この課題は、請求項1および請求項9の特徴で解決される。本発明の好ましいさらなる形成は、従属請求項に記載されている。また、本発明の範囲内で、明細書、特許請求の範囲および/または図に記載された特徴の少なくとも2つからなる全ての組合せを生じる。また、記載された値の範囲の場合、挙げられた境界内にある値は、極限値として開示されるべきでありかつ任意の組合せで特許請求されるべきである。
本発明の基本思想は、基本層と保護層とからなるボンディング層を、殊に拡散対として、基板上に設けることであり、その際に、基本層の基本材料は被酸化性である一方で、保護層の保護材料は少なくとも容易には酸化されない。
したがって、本発明は、殊に、酸素親和性材料、例えば殊にアルミニウム(有利に)または銅の酸化を最初から防止するプロセスを取り扱う。酸素親和性基本材料の保護は、本発明によれば、殊に、基本材料を少なくとも部分的に、殊に大部分、有利には完全に覆う保護材料の堆積によって達成される。
酸素親和性に関する、元素の客観的な分類は、最も簡単には電気化学的な一連の電位によって定義されうる。酸素親和性元素、例えばリチウムは、極端に卑であり、簡単に酸化され、したがって、還元剤として作用し、簡単に電子を放出し、かつしたがって、極端に負の標準電極電位を有する。これに対し、わずかな酸素親和性を有する元素は貴と呼称され、なぜなら、前記元素は、簡単に還元されることができ、したがって、酸化剤として作用し、電子を吸収し、かつ極端に正の標準電極電位を有するからである。基本材料として、殊に、2.00V未満、有利に1.00V未満、より有利に0.0V未満、最も有利に−1.0V未満、特に有利に−2.0V未満、殊に有利に−3.0V未満である、標準電極電位を有する材料が使用される。銅は、約0.16Vの標準電極電位を有し、アルミニウムは、約−1.66Vの標準電極電位を有する。最も貴な金属は、(第1の酸化状態について)約1.69Vの標準電極電位を有する金である。
特に好ましい変法において、前記基本材料および保護材料は、互いに別々のターゲットとして、被覆室内に存在し、かつ真空下に連続的に施与されるので、基本材料と酸素含有雰囲気との接触はない。
本発明の実施態様は、保護材料をボンディングプロセス中に基本材料上に存置し、かつ保護材料をその化学的物理的性質に基づいてボンディングプロセス中に基本材料中で少なくとも部分的に、殊に大部分、有利には完全に溶解することにある。基本材料と保護材料との組合せの選択は、この選択が固溶プロセスを可能にするように行なわれる。好ましくは、基本材料が保護材料中に溶解されうるよりも良好に、保護材料は、基本材料中に溶解されうる。
前記保護材料は、殊に、一定のプロセス条件で基本材料中に溶解する。したがって、前記基本材料は、保護材料についての限界溶解度を有し、および/または前記基本材料は、基本材料と、少なくとも部分的に、殊に大部分、有利には完全に混和性である。基本材料中で保護材料の限界溶解度が存在する場合、この限界溶解度は、室温で、或る程度の量の保護材料を溶解して保持するためには、殊に十分な大きさである。こうして、基本材料中への保護材料の拡散プロセス中に、(望ましくない)析出物を生じうる、局所的な濃度上昇を避けるために、本発明によれば、保護材料は極めて薄手の層として施与されうる。
本発明のさらなる、本発明による好ましい態様は、殊に基板で覆われていない基本層の面を保護層で少なくとも大部分覆うことによって、酸素親和性の基本材料と酸素含有または酸素富有の雰囲気との接触を避けることにある。
前記保護材料自体は、殊に少なくとも室温で、特に固体である。したがって、前記保護材料は、液体ではなく、かつ酸素含有雰囲気による、保護された基本材料の輸送を可能にする。
本発明の好ましい実施態様において、保護材料は、この保護材料が基本材料よりも酸素親和性が低いか、または場合により、保護材料上に形成された酸化物が基本材料上に形成された酸化物の場合よりも簡単な手段で除去可能であるように選択される。有利に、保護層について酸化物を形成する材料は、その酸化物が簡単に除去されること以外に、酸化物の除去後に新たな酸化物が緩慢にしか再度形成されないように選択される。殊に、少なくとも2分間、有利に少なくとも5分間、より有利に少なくとも10分間、最も有利に少なくとも15分間経過して、0.3nm未満の酸化物、有利に0.1nm未満までの酸化物が、後に形成される。
本発明によれば、前記基本材料中への、場合により保護層上で形成された酸化物の吸収は殊に少なくとも大部分防止される。このために、保護材料の酸化物を、殊に、ボンディングプロセスの直前に除去する。形成された酸化物が少量の場合、後の望ましいボンディングプロセス中での酸化物の破壊および境界層中への直接の組み入れが考えられる。好ましくは、次に記載された性質の1つ以上を有する保護材料が使用される:
・殊に、0Vを上回る、有利に1.00Vを上回る、より有利に2.00Vを上回る標準電極電位によって定義された、低い酸素親和性、特に基本材料の酸素親和性よりも低いこと、
・殊に、10-5モル%、有利に10-3モル%を上回る、より有利に1モル%を上回る、最も有利に10モル%を上回る、とりわけ有利に40モル%を上回る、基本材料中での高い溶解度、
・前記基本材料の性質が不利な影響を及ぼされず、したがって、望ましい高い導電率の場合、導電性は、劣化されず、望ましい高い強度の場合、強度は、減少しないこと、
・雰囲気に対して、緊密であること、
・安価、
・高い使用可能性、
・低い毒性、殊に毒性ではないこと、および/または
・良好なボンディング特性。
それに応じて、本発明は、殊に、酸化傾向にある第1の材料、基本材料、殊に金属または半導体を、第2の材料、保護材料、で覆う、殊に被覆する方法に関する。前記保護材料は、殊に、さらなるプロセス工程において、基本材料での溶解プロセスによって、少なくとも部分的に、殊に大部分、特に完全に溶解され、および/または特別な拡張された実施態様において、部分的に、殊に大部分、特に全体的に析出物を形成する。本発明による好ましい実施態様は、基本材料中の保護材料の完全な溶解を含み、この場合に析出物は生じない。保護材料から形成された保護層の課題は、殊に、基本材料の酸化の防止にある。保護材料自体は、酸素含有の雰囲気と接触した際に酸化する可能性があり、かつ任意に酸化物が取り除かれ、その後に本発明による溶解プロセスが基本材料中で開始する。特別な実施態様において、前記保護層上での前記酸化物の除去は、ボンダーへの経路において保護層の再酸化が構造に応じて防止される装置内で実施される。例えば、酸化物除去モジュールおよびボンディングチャンバーを、当該モジュールが包囲する酸素含有雰囲気から隔離される、相応する真空クラスター内で使用することが考えられるであろう。この種のクラスターシステムは、当業者には十分に公知である。
本発明によるプロセスの好ましい目的は、とりわけ、さらなるプロセス工程においてボンディングされるべき酸素親和性基本材料、殊にアルミニウムだけでなくまた銅を、酸化前の本来のボンディング工程に到るまで保護することにある。特に、保護すべき基本材料よりも十分に低い酸素親和性を有する保護材料の任意の酸化物の除去は、著しく簡単で迅速で、かつとりわけ確実であるので、プロセスは、加速されうる。
好ましい実施態様において、前記保護材料は、殊に保護材料の酸化物の除去後に、引き続きさらなる、殊に本発明により形成された基板とボンディングされる。好ましくは、保護材料は、なおボンディングプロセス中に、基本材料中に少なくとも部分的に、殊に大部分、特に完全に溶解されるので、理想的な場合には、ボンディングに到るまで、基本材料と酸素富有の雰囲気との接触は生じない。
したがって、本発明による方法は、とりわけ、酸素親和性基本材料、殊にアルミニウムまたは銅を、基板上での被覆の直後に、一時的に保護材料で保護するのに適している。
前記基本材料が全面的ではないが殊に構造化されて基板上に施与され、および/または部分領域(例えば、銅コンタクト、またはMEMS部品の気密に閉鎖された空間の一部になるアルミニウム境界)内でのみ基板上に施与される場合には、保護材料は、できるだけ均一な厚みで、殊に閉鎖された膜として施与される。本発明によれば、保護材料の層厚に対する基本材料の(殊に、平均)層厚の割合は、重要である。さらに、保護材料を伴う基本材料の化学的挙動、物理的挙動および/または冶金学的挙動は、本発明によれば役割を果たす。
前記基本材料は、有利に固体溶媒である。殊に、前記基本材料は、多相−多成分系であることができる。多相材料の場合には、溶解プロセスについての全ての考察が少なくとも1つの相に当てはまり、理想的な場合には、全ての相に当てはまる。好ましくは、基本材料として、個々の化学元素、殊に金属、半金属または非金属、特にケイ素、ガリウム、アルミニウム、ニッケル、チタンまたは銅が選択される。前記金属は、導電性接続部、コンタクトまたは構造単位(例えば、MEMSデバイスの)を製造するための、最も普通に半導体産業において使用される材料である。
本発明によるプロセスをできるだけ簡単に開示するために、例示的にではあるが、これに限定されることなく、本発明によるプロセスは、基本材料のアルミニウムについて記載される。本発明によれば、アルミニウムが特に適しており、なぜなら、アルミニウムは可用性が高く安価な構造材料であるからである。
前記保護材料は、殊に同様に多相−多成分系であることができるが、しかし、とりわけ、特に単相でのみ生じる簡単な化学元素である。好ましくは、これは、金属、半金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である。本発明によれば、本発明によるプロセスの範囲内で非金属と基本材料との間の化学的物理的性質が相応する限り、非金属元素、例えば炭素の使用も考えられるであろう。
本発明によれば、次の材料が原則的に基本材料および/または保護材料として該当する。この場合、本発明によるプロセスは、基本材料中の保護材料が少なくとも部分的に、殊に大部分、特に完全に溶解しうることを前提とする。
・金属、殊に
Cu、Ag、Au、Al、Fe、Ni、Co、Pt、W、Cr、Pb、Ti、Te、Sn、Zn、Ga、
・アルカリ金属、殊に
Li、Na、K、Rb、Cs、
・アルカリ土類金属、殊に
Mg、Ca、Sr、Ba、
・合金、
・半導体、殊に相応するドーピングを備えた半導体、
元素半導体、殊に
Si、Ge、Se、Te、B、Sn、
化合物半導体、殊に
GaAs、GaN、InP、InxGal−xN、InSb、InAs、GaSb、AlN、InN、GaP、BeTe、ZnO、CuInGaSe2、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、Hg(1−x)Cd(x)Te、BeSe、HgS、AlxGal−xAs、GaS、GaSe、GaTe、InS、InSe、InTe、CuInSe2、CuInS2、CuInGaS2、SiC、SiGe。
前記保護材料の酸化物層の除去のために、次のプロセスが好ましい:
・化学的酸化物除去、殊に
ガス状還元剤および/または
液体還元剤による化学的酸化物除去、
・物理的酸化物除去、殊にプラズマでの物理的酸化物除去、
・イオンアシスト化学エッチング、殊に
高速イオン照射(FAB、スパッタリング)、
研削および/または
研磨。
堆積のため、したがって、基本材料および/または保護層の合成のために、次のプロセスが考えられる:
・物理気相成長(英語:physical vapour deposition、PVD:物理気相堆積)、
・化学気相成長(英語:chemical vapour deposition、CVD:化学気相堆積)、
・ガルヴァーニ電気的析出法、
・ゾルゲル法。
基本層と保護層とからなる本発明による系は、層系として設計されており、かつ殊に熱力学的平衡で存在しない系である。それによって、室温と比べて高められた温度で、基本材料と保護材料との間で、相互拡散、特に少なくとも大部分、殊に排他的に、基本材料中への保護材料の拡散が引き起こされる。
本発明による系は、殊に拡散対として設計されている。記載された相図ならびに前記の材料の組合せの任意の相図は、異なる温度および濃度での幾つかの相の平衡状態を表わす。動的プロセス、例えば拡散に関連する、平衡図、例えば相図から引き出すことのできる結論は、非常に限定的である。原則的に、平衡図は、動的プロセスの評価と考えることはできない。したがって、前記相図は、保護材料が一般に或る程度の温度で基本材料中に溶解しうるかどうかについて評価するためにだけ利用される。前記基本材料中への保護材料の拡散プロセス中に、基本材料中での保護材料の溶解度を超え、ひいては可能性のある偏折、相形成等をもたらす局所的な濃度の増大を生じるのであれば、このことは、以下の明細書において無視される。さらなる経過において、基本材料中への保護材料の拡散は、所定の温度で基本材料のどの点で、どんなときでも保護材料の最大溶解度を超過しないように急速に行なわれるものと一般に推測される。このことは、本発明によれば、殊に、所定の温度で基本材料中での保護材料の溶解度が高ければ高いほど達成され、基本材料中への保護材料の拡散が急速であればあるほど達成され、および/または保護材料−基本材料の境界面で基本材料中への保護材料の移行が少なければ少ないほど達成される。
描写されかつ記載された相図は、冶金学的に算出された。多数の成分は、そのつど第2の成分中で非常に低い溶解度を有するので、溶解度境界は、図示に基づいてほとんど確認することができない。
本発明による思想をより良好に説明しうるために、幾つかのできるだけ簡単な系の本発明による思想が記載される。基本材料として、技術的に非常に重要な、これまでボンディングするのが非常に困難であった材料であるアルミニウムが使用される。したがって、前記基板のボンディング面上での堆積後の基本材料は、一成分単相系である。
保護層の保護材料として、本発明により必要とされる性質を有する、4つの重要な材料、すなわちゲルマニウム、ガリウム、亜鉛およびマグネシウムが以下に例示的に示される。したがって、堆積後の保護材料も一成分単相系である。本発明によれば先述の材料の組合せが好ましく、その際に個々の材料の組合せに対して、記載された利点を有する、以下に記載される例が教示される。
それに応じて、前記ボンディング層の基本材料−保護材料の系は、とりわけ、ボンディングプロセス中に溶解プロセスによって二成分単相系に変換される層系である。この場合、有利には、基本材料と保護材料とから混晶が生じる。前記ボンディングプロセス自体は、不活性ガス雰囲気中で行なわれるが、しかし、好ましくは、真空中で行なわれる。
本発明の好ましい実施態様において、殊に(効果的な)ボンディングプロセス後に少なくとも1つの熱処理が行なわれることにより、析出させることが望ましく、基本材料からの保護材料の少なくとも部分的な、殊に大部分、特に全体的な析出によって、二成分二相系が製造される。
次に、好ましい実施例を用いて本発明を説明し、その際、実施例は、そのつど、殊に上記の一般的な開示内容と組み合わせて、別の発明として開示されかつ特許請求を行なうべきである、考慮された独立の本発明の態様であることができる。
第1の実施例
本発明による思想を適用することができる第1の系は、アルミニウム−ゲルマニウムの系、略してAl−Geである。二成分系のAl−Geは、アルミニウム中のゲルマニウムの部分的な限界溶解度およびゲルマニウム中のアルミニウムのほとんどないくらいに低い限界溶解度を有する、純粋な共晶系である。したがって、基本材料として、アルミニウムが選択される。
アルミニウムを酸化から保護するために、アルミニウムを、基板上での効果的な堆積後に、ただちに保護層としてのゲルマニウム層で覆う。したがって、ゲルマニウムは、本発明による保護材料である。
前記ゲルマニウム層は、殊に10μm未満、有利に1μm未満、より有利に100nm未満、最も有利に10nm未満、とりわけ有利に1nm未満である。
高められた温度でのアルミニウム中へのゲルマニウムの部分的または完全な拡散を防止するかまたは少なくとも抑制するために、堆積をできるだけ低い温度で行なう。
アルミニウムの温度は、ゲルマニウムの堆積の際に、600℃未満、有利に500℃未満、より有利に400℃未満、最も有利に300℃未満、特に有利に200℃未満、とりわけ有利に100℃未満である。特別な場合には、アルミニウムをむしろ積極的に冷却して、温度をさらに低下させてよい。できるだけ低い温度によって、アルミニウム上に堆積されたゲルマニウムは、ただちに、その熱運動が妨げられ、かつ有利には、表面上に残留し、したがって、アルミニウム中へ拡散されない。
さらに、アルミニウム中でのゲルマニウムの特に低い溶解度によって、低温ではアルミニウム中へのゲルマニウムの拡散が困難になる。ゲルマニウムは、この時点から、アルミニウムのための保護材料として利用される。前記系が酸素含有雰囲気に晒された場合には、少なくとも大部分、有利には完全にゲルマニウムが酸化され、それによって、アルミニウムが雰囲気に対して封止されることにより、アルミニウムを酸化から保護する。
この場合、ゲルマニウムの標準電極電位は、約0.12Vであり、アルミニウムの標準電極電位は、約−1.66Vであることに注目すべきである。したがって、ゲルマニウムは、アルミニウムよりも貴であり、かつそれゆえに、アルミニウムを化学的に犠牲アノードとして保護する状態にない。それに応じて、ゲルマニウム層が緊密に施与され、アルミニウムと雰囲気との間に物理的バリアが確立される。
アルミニウムと望ましい第2の材料との間のボンディングを実施するために、最初に、任意に形成された酸化ゲルマニウムを、ゲルマニウムから除去する。前記酸化ゲルマニウムの除去は、物理的手段および/または化学的手段で行なわれる。酸化物のスパッタリング、還元性酸による湿式化学的除去、水素による還元または他のガス状還元剤による還元が考えられうる。酸化ゲルマニウムの除去後に、できるだけ迅速に、純粋なゲルマニウム表面と、ボンディングすべき表面、殊に類似の、殊に本発明により形成された基板とを接触させる。
ボンディングプロセスは、室温と比べて高められたボンディング温度で行なわれる。この場合、ボンディング温度は、殊に25℃を上回り、有利に100℃を上回り、より有利に200℃を上回り、最も有利に300℃を上回り、特に有利に400℃を上回り、とりわけ有利に約426℃である。アルミニウムは、相図によれば、約426℃で約2.5モル%のゲルマニウムに対する最大溶解度を有する。本発明によれば、好ましい実施態様において、好ましいボンディング温度が共晶温度を下回り、殊に400℃〜420℃であることにより、境界領域内での液体の共晶相の形成が防止される。前記温度範囲内で、アルミニウム中でのゲルマニウムの溶解度は、アルミニウム中でのゲルマニウムの溶解を確立するために依然として十分に高い。本発明によれば、ボンディング温度は、ボンディングプロセス中に、ゲルマニウムが少なくとも大部分、有利には完全に、アルミニウム中に溶解されるまで、この温度で一定に保持される。
前記溶解に必要とされる時間は、アルミニウム中へのゲルマニウムの拡散定数を知り、一次元の拡散方程式を解くことによって計算できる。それにもかかわらず、温度をより短く保持するかまたはより長く保持することが、必要でありかつ有用であることがある。アルミニウム中にゲルマニウムを溶解するための時間の幅は、本発明によれば、殊に1分間を超えるように、有利に10分間を超えるように、より有利に30分間を超えるように、最も有利に1時間を超えるように、特に有利に2時間を超えるように、とりわけ有利に5時間を超えるように調整される。
溶解プロセス中に、有利に圧力は、互いにボンディングすべき基板に対して、維持されるかまたは高められる。ボンディング層に作用する圧力は、殊に1Paを上回り、有利に100Paを上回り、より有利に10000Paを上回り、最も有利に1MPaを上回り、特に有利に10MPaを上回り、とりわけ有利に100MPaを上回る。殊に、標準ウェハに対して、使用される力は、10Nを上回り、有利に100Nを上回り、最も有利に1000Nを上回り、特に有利に10000Nを上回り、とりわけ有利に100000Nを上回る。
溶解プロセス中に、ゲルマニウムは、有利にはアルミニウム全体の中に溶解する。溶解すべきゲルマニウムの量が非常に少なく、同時に溶解するアルミニウムの量が非常に多いという事実に基づいて、アルミニウム中でのゲルマニウムの全濃度は非常に低い。アルミニウム中でのゲルマニウムの全濃度は、殊に1モル%未満、有利に10-3モル%未満、より有利に10-5モル%未満、最も有利に10-7モル%未満である。ゲルマニウムは、有利にアルミニウムの表面付近領域内だけに溶解するのではなく、アルミニウム中へできるだけ深く、有利に或る程度の時間後にアルミニウム中でのゲルマニウムの均一な分布が達成される程度に深く拡散する。
第1の本発明によるやり方においては、冷却プロセス中に、アルミニウム中でのゲルマニウムの限界溶解度の超過が生じないので、ゲルマニウムが常に完全にアルミニウム中に溶解したままであることが保証される。それによって、アルミニウムマトリックス中でのゲルマニウムの析出は、全温度範囲内で防止される。このことは、本発明によれば、ゲルマニウム層厚に対するアルミニウム層厚の本発明による比率が選択され、かつゲルマニウムが殊に大部分、有利には完全に、とりわけ使用できる全空間を介してアルミニウム中に分布されるまで、拡散プロセスが一定時間進行することにより、実現される。この場合、前記のゲルマニウム層厚とアルミニウム層厚との比率は、1未満、有利に10-3未満、より有利に10-5未満、最も有利に10-7未満、特に有利に10-9未満、とりわけ有利に10-11未満である。
他の選択可能な本発明によるやり方においては、ゲルマニウム層厚は、より高い温度で、ゲルマニウムが殊に少なくとも大部分、有利には完全に溶解されるが、しかし冷却に際してゲルマニウム析出物をもたらす過飽和混晶が生じるように調節される。このゲルマニウム析出物は、アルミニウムの強度特性にプラスの影響を及ぼす。有利に、前記ゲルマニウム析出物は、殊にさらなる熱処理と組み合わせてアルミニウムの強度の増大をもたらす。
第2の実施例
本発明による思想を適用することができる、第2の系は、アルミニウム−ガリウム、略してAl−Gaである。二成分系のアルミニウム−ガリウムは、非常に強い縮退を有する、純粋な共晶系である。この共晶濃度は、純粋なガリウムの濃度に非常に近い。
アルミニウム中のガリウムの限界溶解度は、著しく高く、かつ約125℃の温度で約7.5〜8.0モル%の最大値に達する。それに比べて、ガリウム中のアルミニウムの限界溶解度は、ほとんどないくらいに低い。
したがって、本発明によれば、基本材料としてアルミニウムが選択される。アルミニウムを酸化から保護するために、アルミニウムは、効果的な堆積後に、ただちにガリウム層で覆われる。ガリウム層は、殊に10μm未満、有利に1μm未満、より有利に100nm未満、最も有利に10nm未満、とりわけ有利に1nm未満で形成される。
高められた温度でのアルミニウム中へのガリウムの部分的または完全な拡散を防止するかまたは少なくとも抑制するために、堆積をできるだけ低い温度で行なう。ガリウムは、約30℃の非常に低い融点を有する。アルミニウム上に施与されたガリウム層が液化することを防止するために、温度は、30℃未満に調節される。もちろん、本発明によれば、全ウェハの取扱いを困難にすることなく、ガリウムはより高い温度で液体の形でアルミニウム上に残留することも考えられうるであろう。その理由は、とりわけ、液体金属膜としてさらに存在させるために、十分に高い表面張力およびアルミニウム対する十分に高い付着力を有する、非常に少量の堆積されたガリウムにあるかもしれない。
第2の実施態様の場合、本発明によれば、ガリウムが中位の温度でアルミニウム中に拡散することが想定されている。したがって、引き続くボンディングプロセスは、保護層で基本層を覆った後できるだけすぐに実施される。
アルミニウムの温度は、ガリウムの堆積の際に、300℃未満、有利に200℃未満、より有利に100℃未満、最も有利に50℃未満、特に有利に30℃未満、とりわけ有利に0℃未満である。特別な場合には、アルミニウムをむしろ積極的に冷却して、温度をさらに低下してよい。前記系が酸素含有雰囲気に晒された場合には、有利にガリウムが酸化され、それによって、アルミニウムが保護される。
この場合、ガリウムの標準電極電位は、約−0.53Vであり、アルミニウムの標準電極電位は、約−1.66Vであることに注目すべきである。したがって、ガリウムは、アルミニウムよりも貴であり、かつ結果として、アルミニウムを化学的に犠牲アノードとして保護する状態にない。それに応じて、ガリウム層が緊密に施与され、アルミニウムと雰囲気との間に物理的バリアが確立される。
アルミニウム中でのガリウムの限界溶解度は、既に挙げられた7.5〜8.0モル%の最大に近くない場合であっても、室温でもなお極端に高い。アルミニウム中でのガリウムの限界溶解度は、室温未満で初めて再び減少する。したがって、アルミニウム中での溶解されたガリウムの析出は、本発明の前記態様の場合には、避けることができる。
アルミニウム中でのガリウムの特に高い溶解度によって、殊になお室温でも、アルミニウム中に溶解するために材料ガリウムが特に適している。
本発明によれば、プロセスパラメーターは、アルミニウム中でのガリウムの濃度がいつでも限界溶解度よりも低くなるように調節され、なぜなら、さもなければ、ガリウムを有するアルミニウム混晶と液相との二相系が生じうるからである。このことは、ボンディングがもはや実施不可能であることをもたらし、なぜなら、液相が室温でもなお存在しているからである。
他方、まさに低い融点と極端に低い温度で液化する可能性は、後のボンディングプロセスに最適な前提条件である。最低限の温度上昇によって、ガリウムは、アルミニウムの表面上で液化され、かつ液相として、互いに接合すべき両面の輪郭に適合される。ガリウムをアルミニウム中に溶解することが本発明の本来の本発明による思想であるが、本来の溶解プロセス前に、ボンディングプロセスを支持するために低い温度で液化する可能性は、本発明の別の態様として開示されている。
アルミニウムと望ましい第2の材料との間のボンディングを実施するために、最初に、任意に形成された酸化ガリウムを、ガリウムから除去する。ガリウムは、緊密な酸化物層を有するアルミニウムと同様に被覆され、かつそれによって不動態化される。水と共に、ガリウムは、水酸化ガリウム層を形成する。酸化ガリウムは、物理的手段および/または化学的手段で除去される。
酸化物のスパッタリング、還元性酸および/または還元性アルカリ液による湿式化学的除去、水素による還元または他のガス状還元剤による還元が考えられうる。酸化ガリウムの除去後に、できるだけ迅速に、純粋なガリウム表面と、ボンディングすべき表面、殊に類似した、殊に本発明により形成された基板とを接触させる。
ボンディングプロセスは、室温と比べて高められた温度で行なわれる。この場合、ボンディング温度は、殊に25℃を上回り、有利に100℃を上回り、より有利に200℃を上回り、最も有利に300℃を上回り、特に有利に400℃を上回り、とりわけ有利に約426℃である。アルミニウムは、相図によれば、77℃〜177℃で約8モル%のゲルマニウムに対する最大溶解度を有する。
境界領域内での液体の共晶相の形成を防止することは、Al−Ga拡散対の場合には、非常に困難になる。本発明によれば、アルミニウム中のガリウムの溶解が好ましく、かつ拡散はできるだけ迅速に行われるべきであるので、本発明によれば、液相の短時間の存在は許容される。本発明によれば、ボンディングプロセス中のボンディング温度は、アルミニウム中でのガリウムが少なくとも大部分、有利には完全に溶解するまで、この温度で一定に保持される。
必要とされる時間は、アルミニウム中へのガリウムの拡散定数を知り、一次元の拡散方程式を解くことによって計算できる。それにもかかわらず、温度をより短く保持するかまたはより長く保持することが必要でありかつ有用であることがある。この場合、アルミニウム中にガリウムを溶解するための時間の幅は、1分間を超えるように、有利に10分間を超えるように、より有利に30分間を超えるように、最も有利に1時間を超えるように、特に有利に2時間を超えるように、とりわけ有利に5時間を超えるように調整される。
溶解プロセス中に、有利に圧力は、互いにボンディングすべき基板に対して、維持されるかまたはむしろ高められる。作用する圧力は、殊に1Paを上回り、有利に100Paを上回り、より有利に10000Paを上回り、最も有利に1MPaを上回り、特に有利に10MPaを上回り、とりわけ有利に100MPaを上回る。殊に、標準ウェハに対して、使用される力は、10Nを上回り、有利に100Nを上回り、最も有利に1000Nを上回り、特に有利に10000Nを上回り、とりわけ有利に100000Nを上回る。
溶解プロセス中に、ガリウムは、有利にはアルミニウム全体の中に溶解する。溶解すべきガリウムの量は非常に少ないが、しかし、溶解するアルミニウムの量が非常に高いという事実に基づいて、アルミニウム中でのガリウムの全濃度は非常に低い。アルミニウム中でのガリウムの全濃度は、殊に10モル%未満、有利に5モル%未満、より有利に1モル%未満、最も有利に10-3モル%未満である。ガリウムは、有利にアルミニウムの表面付近領域内だけに溶解するのではなく、アルミニウム中へできるだけ深く、有利に或る程度の時間後にアルミニウム中でのガリウムの均一な分布が達成される程度に深く拡散する。
本発明によるやり方においては、冷却プロセス中に、アルミニウム中でのガリウムの限界溶解度の超過が決して生じないので、ガリウムが常に完全にアルミニウム中に溶解したままであることが保証される。それによって、アルミニウムマトリックス中でのガリウムの析出は、全温度範囲内で防止される。Al−Gaの系において、それを技術的に非常に簡単に実現させることができ、なぜなら、約130℃〜室温の温度範囲内で、アルミニウム中でのガリウムの限界溶解度の変化はわずかであり、したがって、特に強く変化しないからである。従って、冷却プロセス中に、実際にアルミニウム中でのガリウムの(言うに値するほどの)析出を生じる危険性はない。この場合、前記のガリウム層厚とアルミニウム層厚との比率は、1未満、有利に10-3未満、より有利に10-5未満、最も有利に10-7未満、特に有利に10-9未満、とりわけ有利に10-11未満である。
第3の実施例
本発明による思想を適用することができる、第3の系は、アルミニウム−亜鉛の系、略してAl−Znである。二成分系のアルミニウム−亜鉛は、亜鉛富有の共晶および亜鉛富有の共析晶を有する、二成分系である。本発明による思想には、殊に、系のパートナーの限界溶解度が重要である。Al−Znの相図によれば、アルミニウムは、亜鉛に対して限界溶解度を有し、および亜鉛は、僅かであっても、アルミニウムに対して限界溶解度を有する。アルミニウムは、有利に基本材料として使用され、および亜鉛は、有利に保護層として使用されるので、相図のアルミニウム富有の側だけが重要である。
アルミニウムを酸化から保護するために、アルミニウムは、効果的な堆積後に、基板上でただちに保護層としての亜鉛層で覆われる。したがって、亜鉛は、基本層を酸化から保護するための保護材料である。
亜鉛層は、殊に10μm未満、有利に1μm未満、より有利に100nm未満、最も有利に10nm未満、とりわけ有利に1nm未満である。
アルミニウム中への高められた温度での亜鉛の部分的または完全な拡散を防止するかまたは少なくとも抑制するために、堆積をできるだけ低い温度で行なう。
アルミニウムの温度は、亜鉛の堆積の際に、600℃未満、有利に500℃未満、より有利に400℃未満、最も有利に300℃未満、特に有利に200℃未満、とりわけ有利に100℃未満である。特別な場合には、アルミニウムをむしろ積極的に冷却して、温度をさらに低下させてよい。できるだけ低い温度によって、アルミニウム上に堆積された亜鉛は、ただちに、その熱運動が妨げられ、かつとりわけ、表面上に残留し、したがって、アルミニウム中へ拡散されない。
さらに、アルミニウム中での亜鉛の特に低い溶解度によって、低温ではアルミニウム中への亜鉛の拡散が困難になる。亜鉛は、この時点から、アルミニウムのための保護材料として利用される。前記系が酸素含有雰囲気に晒された場合には、少なくとも大部分、有利には完全に亜鉛が酸化され、それによって、アルミニウムが雰囲気に対して封止されることにより、アルミニウムを酸化から保護する。
この場合、亜鉛の標準電極電位は、約−0.76Vであり、アルミニウムの標準電極電位は、約−1.66Vであることに注目すべきである。したがって、亜鉛は、アルミニウムよりも貴であり、かつ結果として、アルミニウムを化学的に犠牲アノードとして保護する状態にない。それに応じて、亜鉛層が緊密に施与され、アルミニウムと周囲、殊に雰囲気との間に物理的バリアが確立される。
アルミニウムと望ましい第2の材料との間のボンディングを実施するために、最初に、任意に形成された酸化亜鉛を、亜鉛から除去する。前記酸化亜鉛の除去は、殊に、物理的手段および/または化学的手段で行なわれる。本発明によれば、酸化物のスパッタリング、還元性酸による湿式化学的除去、水素による還元または他のガス状還元剤、殊に一酸化炭素による還元が考えられうる。
酸化亜鉛の除去後に、できるだけ迅速に、純粋な亜鉛表面と、ボンディングすべき表面とを接触させる。ボンディングプロセスは、室温と比べて高められた温度で行なわれる。この場合、ボンディング温度は、25℃を上回り、有利に100℃を上回り、より有利に200℃を上回り、最も有利に300℃を上回り、特に有利に400℃を上回り、とりわけ有利に約380℃である。亜鉛は、相図によれば、約350℃〜約380℃でアルミニウム中での亜鉛の高い溶解度を有する極端に広い範囲を有する。
本発明によれば、堆積された亜鉛の量は、アルミニウム中での亜鉛の全体的な、とりわけ均一な分布後に、1モル%を超える範囲内の亜鉛の濃度、ましてや50〜60モル%の範囲内の亜鉛の濃度を生じない程度に少なくなるように調節される。広い溶解度範囲は、混晶の本発明により望ましい濃度範囲を離れることなく、可能性のある局所的な濃度上昇を避けるために、十分に適している。相応する長い熱処理によって、アルミニウム中での亜鉛の任意の濃度上昇は、アルミニウム中での亜鉛の均一な分布によって再度減少されるので、最終的な、冷却プロセス前に達成された、アルミニウム中の亜鉛の最終濃度は、有利には、室温でアルミニウム中での亜鉛の限界溶解度を下回る。
したがって、本発明によれば、有利にボンディングプロセス中に、前記系は、アルミニウム中の全部の亜鉛を溶解するのに必要とされる時間の幅で、前記温度範囲内で保持される。それにもかかわらず、既に約280℃で、アルミニウム中での亜鉛の限界溶解度は、本発明によるプロセスを実施するのに十分な大きさである。必要とされる時間は、アルミニウム中への亜鉛の拡散定数を知り、一次元の拡散方程式を解くことによって計算できる。それにもかかわらず、本発明によれば、温度をより短く保持するかまたはより長く保持することが、必要でありかつ有用であることがある。
アルミニウム中に亜鉛を溶解するための時間の幅は、殊に1分間を超えるように、有利に10分間を超えるように、より有利に30分間を超えるように、最も有利に1時間を超えるように、特に有利に2時間を超えるように、とりわけ有利に5時間を超えるように調整される。
溶解プロセス中に、有利に圧力は、互いにボンディングすべき基板に対して、維持されるかまたは高められる。作用する圧力は、殊に1Paを上回り、有利に100Paを上回り、より有利に10000Paを上回り、最も有利に1MPaを上回り、特に有利に10MPaを上回り、とりわけ有利に100MPaを上回る。殊に、標準ウェハに対して、使用される力は、10Nを上回り、有利に100Nを上回り、最も有利に1000Nを上回り、特に有利に10000Nを上回り、とりわけ有利に100000Nを上回る。
溶解プロセス中に、亜鉛は、有利にはアルミニウム全体の中に溶解する。溶解すべき亜鉛の量が非常に低いが、しかし、溶解するアルミニウムの量が非常に高いという事実に基づいて、アルミニウム中での亜鉛の全濃度は非常に低い。亜鉛は、有利にアルミニウムの表面付近領域内だけに溶解するのではなく、アルミニウム中へできるだけ深く、有利に或る程度の時間後にアルミニウム中での亜鉛の均一な分布が達成される程度に深く拡散する。
第1の本発明によるやり方においては、冷却プロセス中に、アルミニウム中での亜鉛の限界溶解度の超過が生じないので、亜鉛が常に完全にアルミニウム中に溶解したままであることが保証される。それによって、アルミニウムマトリックス中での亜鉛の析出は、本発明による全温度範囲内で防止される。このことは、本発明によれば、亜鉛層厚に対するアルミニウム層厚の本発明による比率が選択され、かつ亜鉛が完全に、とりわけ使用できる全空間を介してアルミニウム中に分布されるまで、拡散プロセスが一定時間進行することにより、実現される。この場合、前記の亜鉛層厚とアルミニウム層厚との比率は、1未満、有利に10-3未満、より有利に10-5未満、最も有利に10-7未満、特に有利に10-9未満、とりわけ有利に10-11未満である。
さらなる本発明によるやり方によれば、亜鉛層厚は、より高い温度で、亜鉛が殊に少なくとも大部分、有利には完全にアルミニウム中に溶解されるが、しかし、冷却に際し、亜鉛析出物をもたらす過飽和混晶が生じるように調節される。この亜鉛析出物は、アルミニウムの強度特性にプラスの影響を及ぼす。有利に、前記亜鉛析出物は、殊に熱処理と組み合わせてアルミニウムの強度の増大をもたらす。
第4の実施例
本発明による思想を適用することができる、第4の系は、アルミニウム−マグネシウムの系、略してAl−Mgである。二成分系のAl−Mgは、アルミニウム中でのマグネシウムの限界溶解度ならびにマグネシウム中でのアルミニウムの限界溶解度を有する、2つの共晶からなる二成分系である。基本材料として、有利にアルミニウムが選択される。
アルミニウムを酸化から保護するために、アルミニウムは、マグネシウム材料の効果的な堆積後に、ただちにマグネシウム層で覆われる。マグネシウムは、とりわけ、その純粋な形で、非常に反応性のアルカリ土類金属である。
マグネシウム層は、殊に10μm未満、有利に1μm未満、より有利に100nm未満、最も有利に10nm未満、とりわけ有利に1nm未満で形成される。
アルミニウム中への高められた温度でのマグネシウムの部分的または完全な拡散を防止するかまたは少なくとも抑制するために、堆積をできるだけ低い温度で行なう。
アルミニウムの温度は、マグネシウムの堆積の際に、600℃未満、有利に500℃未満、より有利に400℃未満、最も有利に300℃未満、特に有利に200℃未満、とりわけ有利に100℃未満である。特別な場合には、アルミニウムをむしろ積極的に冷却して、温度をさらに低下させてよい。できるだけ低い温度によって、アルミニウム上に堆積されたマグネシウムは、ただちに、その熱運動が妨げられ、かつとりわけ、表面上に残留し、したがって、アルミニウム中へ拡散されない。
さらに、アルミニウム中でのマグネシウムの特に低い溶解度によって、低温ではアルミニウム中へのマグネシウムの拡散が困難になる。マグネシウムは、この時点から、アルミニウムのための保護材料として利用される。前記系が酸素含有雰囲気に晒された場合には、有利にマグネシウムが酸化され、かつそれによって、アルミニウムが保護される。
この場合、マグネシウムの標準電極電位は、約−2.36Vであり、アルミニウムの標準電極電位は、約−1.66Vであることに注目すべきである。したがって、マグネシウムは、アルミニウムよりも卑であり、かつその結果、アルミニウムを化学的に犠牲アノードとして保護する状態にある。むしろ、おそらく、堆積されたマグネシウムは、既に少なくとも部分的に形成されたかまたは完全には除去されていない酸化アルミニウムのための還元剤として直接に使用されることが考えられるであろう。還元プロセスは、本来の、さらなる熱処理工程によって実施されることができ、および有利にマグネシウムによって覆われた酸化アルミニウムは、酸化マグネシウムの形成下に純粋なアルミニウムに還元される。その際に、殊に、任意のさらなる方法の特徴と組み合わせて開示されかつ特許請求されるべきである、独立した本発明の態様であることが確認される。
アルミニウムと望ましい第2の材料との間のボンディングを実施するために、最初に、任意に形成された酸化マグネシウムを、マグネシウムから除去する。前記酸化マグネシウムの除去は、物理的手段および/または化学的手段で行なわれる。本発明によれば、酸化物のスパッタリング、還元性酸による湿式化学的除去、水素による還元または他のガス状還元剤による還元が考えられうる。この場合には、酸化マグネシウムは、湿式化学的手段で完全に除去するのが非常に困難である、かなり安定した構造体でありうることが考えられ、それによって、本発明によれば、物理的方法がよりいっそう適している。
酸化マグネシウムの除去後に、できるだけ迅速に、純粋なマグネシウム表面と、ボンディングすべき表面とを接触させる。ボンディングプロセスは、高められた温度で行なわれる。この場合、ボンディング温度は、25℃を上回り、有利に100℃を上回り、より有利に200℃を上回り、最も有利に300℃を上回り、特に有利に400℃を上回り、とりわけ有利に約426℃である。
アルミニウムは、相図によれば、約452℃で、約16モル%のマグネシウムに対する最大溶解度を有する。しかし、境界領域内での液相の形成が防止されかつ固体のマグネシウムが固体のアルミニウム中で溶解されることだけを保証することが望まれる場合には、好ましいボンディング温度は、前記の452℃を下回る。前記の温度範囲内で、アルミニウム中でのマグネシウムの溶解度は、アルミニウム中でのマグネシウムの顕著な溶解を生じさせるのに、依然として十分な高さである。本発明によれば、マグネシウムがアルミニウム中に、殊に大部分、有利には完全に溶解される時間の間、温度は維持される。必要とされる時間は、アルミニウム中へのマグネシウムの拡散定数を知り、一次元の拡散方程式を解くことによって計算できる。本発明によれば、温度をより短く保持するかまたはより長く保持することが有用でありうる。
アルミニウム中にマグネシウムを溶解するための時間の幅は、殊に1分間を超えるように、有利に10分間を超えるように、より有利に30分間を超えるように、最も有利に1時間を超えるように、特に有利に2時間を超えるように、とりわけ有利に5時間を超えるように調整される。
溶解プロセス中に、有利に圧力は、互いにボンディングすべき基板に対して、維持されるかまたは高められる。作用する圧力は、殊に1Paを上回り、有利に100Paを上回り、より有利に10000Paを上回り、最も有利に1MPaを上回り、特に有利に10MPaを上回り、とりわけ有利に100MPaを上回る。ウェハに作用する、使用される力は、10Nを上回り、有利に100Nを上回り、最も有利に1000Nを上回り、特に有利に10000Nを上回り、とりわけ有利に100000Nを上回る。
溶解プロセス中に、マグネシウムは、有利にはアルミニウム全体の中に溶解する。溶解すべきマグネシウムの量が非常に少なく、溶解するアルミニウムの量が非常に多いという事実に基づいて、アルミニウム中でのマグネシウムの全濃度は非常に低い。マグネシウムは、有利にアルミニウムの表面付近領域内だけに溶解するのではなく、アルミニウム中へできるだけ深く、有利に或る程度の時間後にアルミニウム中でのゲルマニウムの均一な分布が達成される程度に深く拡散する。
第1の本発明によるやり方においては、冷却プロセス中に、アルミニウム中でのマグネシウムの限界溶解度の超過が生じないので、マグネシウムが完全にアルミニウム中に溶解したままであることが保証される。それによって、アルミニウムマトリックス中での化学量論的アルミニウム−マグネシウム相の析出は、全ての本発明による温度範囲内で防止される。このことは、本発明によれば、マグネシウム層厚に対するアルミニウム層厚の本発明による比率が選択され、かつマグネシウムを全部、とりわけ使用できる全空間を介してアルミニウム中に分布するのに十分な時間が拡散プロセスに与えられることにより、実現される。前記のマグネシウム層厚とアルミニウム層厚との比率は、殊に1未満、有利に10-3未満、より有利に10-5未満、最も有利に10-7未満、特に有利に10-9未満、とりわけ有利に10-11未満である。
他の選択可能な本発明によるやり方においては、マグネシウム層厚は、より高い温度で実際に、マグネシウムが殊に少なくとも大部分、有利には完全に溶解されるが、しかし、冷却に際し、化学量論的アルミニウム−マグネシウム相の析出物をもたらす過飽和混晶が生じるように調節される。このアルミニウム−マグネシウム相の析出物は、アルミニウムの強度特性にプラスの影響を及ぼす。有利に、前記のアルミニウム−マグネシウム相の析出物は、殊に熱処理と組み合わせてアルミニウムの強度の増大をもたらす。
特別な実施態様において、前記基本材料は、保護材料の堆積前に研削および/または研磨される。この場合には、表面の平坦化が生じ、この平坦化は、後のボンディングプロセスにとって決定的に重要である。平均粗さおよび/または自乗粗さは、100μm未満、有利に10μm未満、より有利に1μm未満、最も有利に100nm未満、特に有利に10nm未満、とりわけ有利に1nm未満である。前記研磨は、純粋に機械的および/または化学的な手段で行なうことができる。化学機械研磨(英語:chemical mechnical polishing,CMP)が最も適している。
基本材料上に酸化物層が形成されていた場合には、この酸化物層は、有利に挙げられたプロセスによって既に除去されている。挙げられたプロセスによる酸化物の除去が十分ではない場合には、酸化物除去のための既に挙げられたプロセス、例えばスパッタリング、還元性ガスの使用および/または還元性酸の使用をさらに使用できる。さらに、平坦化および酸化物の任意の清浄化の後に、保護層が被覆される。
本発明による全ての実施態様について、本発明の有利な実施態様により、後に行なわれる第2の熱処理プロセスのボンディングプロセスを、殊に空間的に分けて行なうことができる。有利にはボンディング装置内で本来のボンディングプロセスが実施される。ボンディングプロセスは、殊に5時間未満、有利に1時間未満、より有利に30分未満、最も有利に15分間未満、とりわけ有利に5分間未満継続される。
ボンディング段階が終結されかつ両基板間に十分に高い付着力が存在するようになったら、ボンディングされた基板対をボンダーから取り出し、他の装置内で、後処理、殊に熱処理できる。この種の熱処理装置は、有利にバッチ式装置であり、したがって、装置は、数多くのウェハを同時に収容することができ、場合により連続的に収容することすらできる。この種の熱処理装置内での熱処理は、本発明によれば、殊に5分間よりも長く、有利に30分間よりも長く、より有利に1時間よりも長く、最も有利に5時間よりも長く行なわれる。当該熱処理装置内での温度は、好ましく調節可能であり、有利には、通路に沿って調節可能であり、および/または時間の関数として調節可能であるので、処理された基板は、正確に温度変化を受けうる。使用された温度は、殊に25℃を上回り、有利に100℃を上回り、より有利に300℃を上回り、さらに有利に500℃を上回り、とりわけ有利に800℃を上回る。熱処理は、有利に不活性ガス雰囲気内で行なうことができ、基板の露出された表面が不要な酸化または意図しない酸化から保護される。
この種の熱処理装置内で、全ての考えられうる熱処理工程を実施することができる。殊に、基本材料中での本発明による保護層の本来の溶解を最初に熱処理装置内で行なうことが考えられうる。熱処理装置は、幾つかの基板対を同時に、ボンディング装置の場合よりも高い温度にもたらすことができる。片側で基板対を収容する、連続的に作業する熱処理装置の場合には、当該基板対は、連続的に装置によって、例えばコンベヤーベルトによって搬送され、かつ他方の端部で開放され、むしろ通路を介して温度勾配が調整され、したがって、一定のコンベヤーベルト速度で時間をかけて調整することが考えられうる。しかし、本発明によれば、基本材料中への保護材料の拡散は、基板間での相応する堅固なボンディングの形成に圧力が不要である場合にのみ、ボンディング装置の外側で行なうことができる。
効果的な接触および基板間での効果的なボンディングの後、殊に基本材料中での保護材料の本発明による溶解の後に、2つの基本材料層の全厚に亘ってできるだけ作用する、組織の再結晶化が意図される。前記プロセスが既に本来のボンディングプロセス中に行なわれない場合には、前記の再結晶化は、熱処理装置内で行なうことができる。
再結晶化は、殊にボンディング境界面を超えての粒子の新たな形成をもたらし、かつこうして、全厚に沿って一貫した、機械的に安定した、堅固で永続的な基本材料層を形成する。再結晶化によって形成された、新規のミクロ構造体は、最適で本来の望ましい組織を有し、なぜなら、この組織内に、ボンディング境界面はもはや生じないからである。組織を少なくとも部分的に制御できるように再結晶化する方法が有利に使用される。そのために、殊に、転位密度の増加および/または相応して高い温度が含まれる。
好ましい実施態様において、基本材料中での保護材料の本発明による溶解ならびに殊にボンダーとは別の、外部の熱処理装置内での組織の再結晶化が行なわれる。それによって、ボンダーは、すぐ次の基板のボンディングに使用可能になるようにできるだけ高速になる。特別な実施態様において、本発明による溶解プロセスと再結晶化とは、同時に行なわれる。
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい実施例の以下の説明から明らかになり、ならびに図につき明らかになる。