JP6917771B2 - 固定包埋擬似組織及びその利用 - Google Patents
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Description
本実施形態の固定包埋擬似組織は、固定剤により固定され、且つ包埋剤に包埋された擬似組織である。ここで、擬似組織とは、生体から採取した組織を模した細胞塊であり、細胞株に由来する複数個の細胞と、該細胞から産生された細胞接着分子とを含む。細胞の数は、後述の組織検体の種類や測定値の取得方法などを考慮して定められる。該擬似組織において、細胞と細胞とが細胞接着分子により接着しており、これにより組織様構造が形成される。固定包埋擬似組織において、細胞内及び細胞間の水分は包埋剤で置換されている。
上記の固定包埋擬似組織の作製方法(以下、単に「作製方法」ともいう)について説明する。本実施形態の作製方法では、まず、細胞株に由来する複数個の細胞をインキュベートする。インキュベートの間に、細胞と細胞とが細胞接着分子により接着して、組織様構造を有する細胞塊が形成される。この細胞塊が、本実施形態でいう擬似組織である。
(フローサイトメータによる細胞分析の精度管理)
本発明の範囲には、上記の固定包埋擬似組織を用いる、検体分析の精度の管理方法も含まれる(以下、単に「精度管理方法」ともいう)。一つの実施形態として、フローサイトメータ(FCM)による細胞分析の精度を管理する方法について、以下に説明する。
さらなる実施形態として、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数の分析の精度を管理する方法について、以下に説明する。本実施形態の精度管理方法では、第1工程として、上記の固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、該擬似組織から、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する。擬似組織は、固定包埋擬似組織から包埋剤を除去することにより取得される。包埋剤の除去の詳細については、上述のとおりである。
本発明の範囲には、上記の精度管理方法に用いられる、検体分析の精度管理用キット(以下、単に「キット」ともいう)も含まれる。本実施形態のキットは、上記の固定包埋擬似組織を含む。本実施形態のキットは、擬似組織を個々の細胞に分散させるための試薬をさらに含んでいてもよい。そのような試薬としては、例えば、上記のプロテアーゼの溶液が挙げられる。また、本実施形態のキットは、所定の分子マーカーの検出用試薬をさらに含んでいてもよい。そのような試薬としては、例えば、上記の所定の分子マーカーに特異的に結合する抗体が挙げられる。
(1) 細胞
ホルモン受容体陽性乳癌細胞株のMCF7細胞と、ホルモン受容体陰性乳癌細胞株のHCC1806細胞とを用いた。これらの細胞株は、JCRB細胞バンクより入手した。MCF7細胞は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)などの分子マーカーを発現する。HCC1806細胞は、強固な細胞間接着能を有する。
MCF7細胞及びHCC1806細胞をそれぞれ、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む増殖培地で常法により培養し、トリプシン処理により回収した。回収したMCF7細胞及びHCC1806細胞の細胞数を計測した。MCF7細胞及びHCC1806細胞を、細胞数の比(MCF7:HCC1806)で表して1:1、1:2、1:3又は1:4で混合した。混合細胞をTranswell(登録商標) 96ウェルプレート(Corning社)の各トランスウェルインサート内に分注し、10% FBSを含む増殖培地で1.5時間インキュベートした。プレートを軽く遠心した後、細胞塊上の培地及びトランスウェルインサート下の培地を除去して、細胞塊をPBSで1回洗浄した。各ウェルを10%中性緩衝ホルマリン溶液で満たし、細胞塊を室温で24時間固定した(図1A参照)。固定後、ホルマリン溶液を除去して細胞塊をPBSで洗浄し、各ウェルに70%エタノールを添加した。トランスウェルインサートから円柱状の細胞塊を、70%エタノールを入れたチューブに回収して、擬似組織を得た(図1B参照)。得られた擬似組織を、常法によりエタノールの上昇系列で段階的に脱水し、キシレン処理をしてパラフィン浸透を行った。パラフィン浸透した疑似組織を、常法によりパラフィン包埋して、FFPE擬似組織を作製した(図1C参照)。
HCC1806細胞をTranswell(登録商標) 96ウェルプレート(Corning社)の各トランスウェルインサート内に分注し、10% FBSを含む増殖培地で1.5時間インキュベートした。細胞塊を実施例1と同様にして洗浄し、各ウェルを10%中性緩衝ホルマリン溶液で満たし、細胞塊を室温で20時間固定した(図2A参照)。固定後、ホルマリン溶液を除去して細胞塊をPBSで洗浄し、各ウェルに70%エタノールを添加した。トランスウェルインサートから円柱状の細胞塊を、70%エタノールを入れたチューブに回収して、擬似組織を得た(図2B参照)。実施例1と同様にして、得られた擬似組織からFFPE擬似組織を作製した。
(1) 擬似組織の薄切切片の観察
実施例1で作製した各FFPE擬似組織から薄切切片を取得し、スライドガラスに貼り付けた。得られた薄切切片を常法によりHE染色して、光学顕微鏡で観察した。結果を図3に示す。図3から分かるように、いずれの混合比であっても、擬似組織の切片は、組織様構造を示した。
実施例1で作製したFFPE擬似組織では、円柱状の擬似組織がパラフィン中に包埋されている。擬似組織が実質的に均質であるかを確認するため、混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を上部、中部及び下部で切断した(図4A参照)。得られた薄切切片を、HE染色して光学顕微鏡で観察した。結果を図4Bに示す。図4Bから分かるように、いずれの部位から得られた薄切切片においても、同様の組織様構造を示した。すなわち、擬似組織において、MCF細胞及びHCC1806細胞が実質的に均一に分散していた。よって、擬似組織は、実質的に均質であることが示された。
実施例1で作製したFFPE擬似組織を脱パラフィン処理して、擬似組織を取得したときに、該擬似組織が組織様の状態を維持できるかを確認した。具体的な操作は次のとおりである。混合比(MCF7:HCC1806)が1:2及び1:3のFFPE擬似組織を切断して、厚さ50μm又は150μmの薄切切片を取得した。各薄切切片をチューブに入れ、そこにキシレンを添加して10分間静置して、脱パラフィン処理をした。脱パラフィン処理した薄切切片を肉眼で観察して、組織が崩壊しているか否かを確認した。結果を図5に示す。なお、図5の左上及び右上のパネルには、2枚の薄切切片が示されている。また、図5の右上及び右下のパネルにおいて、筋状の線は、液体の境界が写ったものである。図5から分かるように、いずれの薄切切片も、キシレンを用いる脱パラフィン処理によって崩壊していなかった。このことから、FFPE擬似組織の薄切切片を、キシレンを用いる脱パラフィン処理することで、擬似組織の薄切切片を回収できることが示された。
実施例1で作製したFFPE擬似組織から取得した擬似組織を検体に用いて、免疫組織染色により分子マーカーを検出できるかを確認した。検出対象の分子マーカーは、MCF7細胞に発現するER及びPgRとした。具体的な操作は次のとおりである。
実施例1で作製した混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を上部、中部及び下部で切断して、厚さ50μmの薄切切片を取得した。各薄切切片をスライドガラスに貼り付け、キシレンを用いて脱パラフィン処理をした。脱パラフィン処理した薄切切片に、エタノールの下降系列による再親水化処理をした。薄切切片を超純水で1回洗浄した。薄切切片を貼り付けたスライドガラスを、イムノセイバー(登録商標)(日新EM株式会社)を添加した蒸留水中に入れ、98℃で20分加熱することにより、抗原賦活化処理をした。薄切切片をPBSで1回洗浄した。薄切切片にDAB法による免疫組織染色をした。一次抗体には、マウス抗ER抗体又はマウス抗PgR抗体を用い、二次抗体には、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を用いた。
免疫組織染色の結果の一例を図6Aに示す。また、各薄切切片における分子マーカー陽性細胞及び陰性細胞を光学顕微鏡により計数した。分子マーカー陽性細胞と陰性細胞との比率を、図6B及びCに示す。図6Aから分かるように、FFPE擬似組織から取得した擬似組織を免疫組織染色することにより、該擬似組織中の細胞に発現する分子マーカー(ER及びPgR)を検出できた。ここで、分子マーカー陽性細胞は、ホルモン陽性乳癌細胞株に由来するMCF7細胞であり、陰性細胞は、ホルモン陰性乳癌細胞株に由来するHCC1806細胞であると考えられる。図6B及びCに示されるように、いずれの部位から得られた薄切切片においても、分子マーカー陽性細胞と陰性細胞との比率は同程度であった。よって、擬似組織が実質的に均質であることが、免疫組織染色よっても示された。
FFPE擬似組織から取得した擬似組織を酵素により分散させて、細胞を回収した。得られた細胞を検体に用いて、フローサイトメータで解析できるかを確認した。具体的な操作は次のとおりである。
実施例1で作製した混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を切断して、厚さ50μmの薄切切片を取得した。薄切切片をチューブに入れ、そこにキシレンを添加して脱パラフィン処理をした。脱パラフィン処理した薄切切片に、エタノールの下降系列による再親水化処理をした。薄切切片を超純水で1回洗浄した。薄切切片を入れたチューブに、蒸留水で希釈したイムノセイバー(登録商標)(日新EM株式会社)を添加し、98℃で20分加熱することにより、抗原賦活化処理をした。薄切切片をPBSで1回洗浄した。薄切切片を入れたチューブに、Dispase I+II(品番17105041、GIBCO社)又はDispase II(品番383-02281、和光純薬株式会社)の溶液(200μL)を種々の酵素濃度で添加し、37℃にて10分間酵素処理した。なお、チューブに添加した酵素溶液の酵素濃度は、Dispase I+IIが1.6、3.2、6.4又は12.8 U/mLであり、Dispase IIが1000又は2000 U/mLである。チューブに1mM EDTA/0.5% BSA/PBS溶液を添加して、酵素を失活させた。酵素の作用により、擬似組織の薄切切片は個々の細胞に分散された。得られた細胞を0.5% BSA/PBS溶液で3回洗浄した。
実施例5では、検出対象の分子マーカーとして、乳癌の増殖マーカーであるKi-67を検出した。上記で得られた細胞を、抗Ki-67抗体(クローン名Ki-S5、MAB4190、MerckMillipore社)及び蛍光標識抗マウスIgG抗体(二次抗体)で免疫染色した。また、細胞核をDAPIで染色した。陰性対照として、二次抗体のみと反応させた細胞も用意した。染色した細胞をFCM解析に供するサンプルとした。該サンプルの全量に、細胞数カウント用標準ビーズ(50μL)(CountBright(商標) Absolute Counting Beads、C36950、Molecular Probes社)を添加して、イメージングフローサイトメータ(BD bioscience社)で測定した。該標準ビーズは蛍光標識されており、50μL当たりのビーズ数が既知である。標準ビーズを添加した細胞サンプルを測定することにより、標準ビーズのイベント数及び細胞のイベント数から該細胞サンプル中の細胞濃度を算出できる。該標準ビーズに添付のマニュアルにしたがって、染色した細胞を含む上記サンプルの細胞濃度(cells/μL)を取得した。
実施例1で作製したFFPE擬似組織の細胞数は既知であり、この細胞数より、上記(1)の薄切切片に含まれる細胞数は4.8×105 cellsと算出される。この値と上記(2)で取得した細胞濃度から、FFPE擬似組織からの細胞回収率を算出した。結果を図7A及びBに示す。これらの図に示されるように、脱パラフィン処理や細胞分散処理などのFCM解析の前処理工程により、FFPE擬似組織から取得される細胞の割合(回収率)は、約20%であることが分かった。
(1) ウェスタンブロットによる確認
細胞株として、BT20、HCC1806及びMB468細胞を用いた。これらの細胞をRIPAバッファー(0.5 w/v%デオキシコール酸ナトリウム、0.1 w/v%ドデシル硫酸ナトリウム、1.0 w/v% NP-40 substituteを含む)で可溶化して、遠心分離により上清を得た。得られた上清にサンプルバッファーを添加して煮沸し、SDS-PAGE用サンプルを調製した。得られたサンプルを常法にしたがってSDS-PAGEで分離し、膜転写を行った。得られた膜に、抗E-カドヘリン抗体及び抗GAPDH抗体を用いるウェスタンブロットを行い、カドヘリンの発現を確認した。結果を図10に示す。図10から分かるように、BT20、HCC1806及びMB468細胞にE-カドヘリンが発現していることが確認できた。
実施例1で作製した混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を切断して、厚さ4μmの薄切切片を取得した。実施例4と同様にして、薄切切片からの擬似組織の取得及び抗原賦活化処理を行った。得られた擬似組織を、抗E-カドヘリン抗体及び蛍光標識抗マウスIgG抗体で免疫組織染色した。また、細胞核をDAPIで染色した。染色した擬似組織を、蛍光顕微鏡BZ-9000(株式会社キーエンス)で観察し、カドヘリンの発現を確認した。結果を図11に示す。図11から分かるように、擬似組織中のHCC1806細胞にE-カドヘリンが発現していることが確認できた。
Claims (33)
- 細胞株に由来する複数個の細胞と、前記細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記細胞が前記細胞接着分子により接着しており、
前記複数個の細胞が、第1の細胞株に由来する複数個の第1細胞と、第2の細胞株に由来する複数個の第2細胞とを含み、前記第1の細胞株が、前記第2の細胞株よりも細胞接着分子の産生能が高い細胞株であり、前記擬似組織における前記第1細胞の数が、前記第2細胞の数以上である、固定包埋擬似組織。 - 前記擬似組織における前記第1細胞の数が、前記第2細胞の数以上かつ前記第2細胞の数の4倍以下である請求項1に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記第2の細胞株が、分子マーカーを発現する細胞株である請求項1又は2に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記第1の細胞株が、上皮細胞由来の細胞株である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記細胞接着分子が、細胞−細胞間接着因子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記細胞接着分子が、カドヘリンを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記擬似組織が、プロテアーゼにより個々の細胞に分散される請求項1〜6のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記プロテアーゼが、カドヘリンを分解するプロテアーゼである請求項7に記載の固定包埋疑似組織。
- 前記プロテアーゼが、ディスパーゼ、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、パパイン及びトリプシンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項7又は8に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記分子マーカーが、膜タンパク質である請求項3又は請求項3を引用する請求項4〜9のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記分子マーカーが、膜受容体又は細胞増殖関連分子である請求項3又は請求項3を引用する請求項4〜9のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記分子マーカーが、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、Ki-67及びHER2からなる群より選択される少なくとも1つである請求項11に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記擬似組織が、ホルマリン、グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム、酢酸、低級アルコール、アセトン、ピクリン酸、クロロホルム、二クロム酸カリウム及び塩化第二水銀からなる群より選択される少なくとも1種の固定剤で固定されている請求項1〜12のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記擬似組織が、パラフィン、パラフィン誘導体、セロイジン、カーボワックス、アガロース、非ヘパリン処理血清、コラーゲン、セルロース誘導体、キチン誘導体及びキトサン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の包埋剤により包埋されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記擬似組織が、パラフィンにより包埋されている請求項14に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記擬似組織が、実質的に均質である請求項1〜15のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
- 前記細胞が実質的にフィブリンによって接着されていない請求項1〜16のいずれか1項に記載の固定包埋疑似組織。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて対照試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
固定包埋組織検体に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて測定試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第2工程と、
対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第2工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
を含む、検体分析の精度の管理方法。 - 固定包埋擬似組織に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて対照試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
固定包埋組織検体に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて測定試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第2工程と、
対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第2工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
を含み、
前記固定包埋擬似組織が、細胞株に由来する複数個の細胞と、前記複数個の細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記複数個の細胞が前記細胞接着分子により接着している、
検体分析の精度の管理方法。 - 前記フローサイトメータによる測定工程において、分子マーカー陽性細胞数を表す測定値をさらに取得する請求項18又は19に記載の方法。
- 前記フローサイトメータが、イメージングフローサイトメータである請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
- 前記判定工程において、前記対照試料の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合に、前記第2工程が適切に行われたと判定し、
前記対照試料の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合に、前記第2工程が適切に行われなかったと判定する
請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。 - 前記第1工程において、前記固定包埋疑似組織から疑似組織を取得し、プロテアーゼと前記疑似組織とを接触させ、前記疑似組織中の細胞接着分子を分解することにより、前記疑似組織を構成する細胞を個々の細胞に分散させ、
前記第2工程において、前記固定包埋組織検体から組織検体を取得し、前記プロテアーゼと同種のプロテアーゼと前記組織検体とを接触させ、前記組織検体中の細胞接着分子を分解することにより、前記組織検体を構成する細胞を個々の細胞に分散させる、
請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。 - 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、前記擬似組織から、分子マーカーの発現量又は前記分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
前記測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
を含む、検体分析の精度の管理方法。 - 固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、前記擬似組織から、分子マーカーの発現量又は前記分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
前記測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
を含み、
前記固定包埋擬似組織が、細胞株に由来する複数個の細胞と、前記複数個の細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記複数個の細胞が前記細胞接着分子により接着している、
検体分析の精度の管理方法。 - 前記測定値を取得する工程が、フローサイトメータ又は顕微鏡により行われる請求項24又は25に記載の方法。
- 前記フローサイトメータが、イメージングフローサイトメータである請求項26に記載の方法。
- 前記判定工程において、前記擬似組織の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合に、前記第1工程が適切に行われたと判定し、
前記擬似組織の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合に、前記第1工程が適切に行われなかったと判定する、
請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。 - 固定包埋組織検体から前記組織検体を取得し、前記組織検体から、分子マーカーの発現量又は前記分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第2工程をさらに含む請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織を含む、検体分析の精度管理用キット。
- 固定包埋擬似組織を含む、検体分析の精度管理用キットであって、
前記固定包埋擬似組織が、細胞株に由来する複数個の細胞と、前記細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記細胞が前記細胞接着分子により接着している、
前記精度管理用キット。 - 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織の作製方法であって、
細胞株に由来する複数個の細胞をインキュベートして、擬似組織を形成する工程と、
前記擬似組織を固定剤により固定する工程と、
前記固定した擬似組織を包埋剤により包埋する工程と
を含む、前記固定包埋擬似組織の作製方法。 - 前記形成工程において、実質的にフィブリノゲン、フィブリン及びトロンビンを添加しない請求項32に記載の作製方法。
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