JP6917771B2 - 固定包埋擬似組織及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、固定包埋擬似組織及びその作製方法に関する。本発明は、固定包埋擬似組織を用いる、検体分析の精度の管理方法に関する。本発明は、固定包埋擬似組織を含む検体分析の精度管理用キットに関する。
生体から採取された病変組織などの組織検体は、疾患の鑑別や病状の把握に有用な情報を得ることのできる検体である。しかし、組織検体は、そのままの状態で長く保存することはできない。通常、組織検体は、長期保存するために、ホルマリンなどの固定剤により固定され、パラフィンなどの包埋剤で包埋される。これにより、必要に応じて、固定及び包埋された組織検体を切り出し、得られた切片について所望の測定や分析を行うことができる。例えば、病理組織検査では、固定及び包埋された組織検体の薄切切片をスライドガラスに貼り付け、包埋剤の除去及び組織染色をして、顕微鏡観察により病理診断が行われる。
組織検体を細胞レベルで定量的に解析することも行われている。固定及び包埋された組織検体から包埋剤を除去し、組織を酵素などで処理して、得られた細胞を解析することにより、細胞の形態や細胞における分子マーカーの発現などの情報を得ることができる。例えば、特許文献1では、包埋剤を除去した病理組織を酵素処理して個々の細胞に分散させ、得られた細胞をフローサイトメトリーにより解析している。
一方、組織観察による検査結果の検証や細胞測定の精度管理のために、陽性対照及び陰性対照を、測定対象の検体と並行して検査や測定に付すことが必要である。例えば、特許文献2には、細胞株の細胞から調製した擬似組織を、病理組織検査の対照として用いることが開示されている。特許文献2の擬似組織は、細胞にフィブリノゲン及びトロンビンを添加して調製された、フィブリンで接着された細胞塊である。
米国特許出願公開第2015/0276574号明細書 米国特許出願公開第2003/0124563号明細書
固定及び包埋された組織検体に含まれる細胞をフローサイトメータで分析する場合、少なくとも包埋剤の除去及び組織検体の細胞への分散が行われる。しかし、特許文献2の擬似組織は、細胞をフィブリンで接着することにより形成された細胞塊である。したがって、特許文献2の擬似組織は、組織の処理に通常用いられる酵素では個々の細胞に分散できない。フィブリンの分解にはプラスミンが用いられるが、組織はプラスミンによっては個々の細胞に分散されない。そのため、特許文献2の擬似組織は、フローサイトメータによる細胞分析の対照には適さない。よって、顕微鏡による組織検査だけでなく、フローサイトメータによる細胞分析の対照としても利用可能な擬似組織試料の開発が望まれる。
本発明の第1の態様は、細胞株に由来する複数個の細胞と、該細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、該擬似組織において細胞が細胞接着分子により接着している、固定包埋擬似組織を提供する。
本発明の第2の態様は、上記の固定包埋擬似組織に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて対照試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、固定包埋組織検体に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて測定試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第2工程と、対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、該第2工程が適切に行われたか否かを判定する工程とを含む、検体分析の精度の管理方法を提供する。
本発明の第3の態様は、上記の固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、該擬似組織から、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、該測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、該第1工程が適切に行われたか否かを判定する工程とを含む、検体分析の精度の管理方法を提供する。
本発明の第4の態様は、上記の固定包埋擬似組織を含む、検体分析の精度管理用キットを提供する。
本発明の第5の態様は、上記の固定包埋擬似組織の作製方法であって、細胞株に由来する複数個の細胞をインキュベートして、擬似組織を形成する工程と、該擬似組織を固定剤により固定する工程と、固定した擬似組織を包埋剤により包埋する工程とを含む、固定包埋擬似組織の作製方法を提供する。
本発明によれば、フローサイトメータによる細胞分析の対照試料として利用可能な擬似組織を含む、固定包埋擬似組織を提供することを可能にする。
2種類の細胞株の細胞を含む細胞塊の固定工程を示す写真である。 実施例1で作製した円柱状の細胞塊(擬似組織)を示す写真である。 実施例1で作製したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)擬似組織のパラフィンブロックを示す写真である。 1種類の細胞株の細胞を含む細胞塊の固定工程を示す写真である。 実施例2で作製した擬似組織を示す写真である。 FFPE擬似組織の薄切切片をヘマトキシリン・エオジン(HE)染色し、顕微鏡で観察したときの写真である。 FFPE擬似組織の切断位置を示す模式図である。 FFPE擬似組織を上部、中部及び下部で切断して得た薄切切片をHE染色し、顕微鏡で観察したときの写真である。 FFPE擬似組織の薄切切片を脱パラフィン処理して得た擬似組織の写真である。 FFPE擬似組織の薄切切片を脱パラフィン処理して得た擬似組織を免疫組織染色し、顕微鏡で観察したときの写真である。 エストロゲン受容体(ER)を発現した細胞と、発現していない細胞との比率を示すグラフである。 プロゲステロン受容体(PgR)を発現した細胞と、発現していない細胞との比率を示すグラフである。 FFPE擬似組織の薄切切片を脱パラフィン処理して得た擬似組織を、ディスパーゼI+IIにより個々の細胞に分散させ、得られた細胞をフローサイトメータで測定したときの細胞回収率を示すグラフである。 FFPE擬似組織の薄切切片を脱パラフィン処理して得た擬似組織を、ディスパーゼIIにより個々の細胞に分散させ、得られた細胞をフローサイトメータで測定したときの細胞回収率を示すグラフである。 フローサイトメータにより検出した分子マーカー陽性細胞のヒストグラムである。このヒストグラムにおいて、横軸は蛍光強度であり、縦軸はカウント数(細胞数)である。 フローサイトメータにより検出した分子マーカー陽性細胞のヒストグラムである。このヒストグラムにおいて、横軸は蛍光強度であり、縦軸はカウント数(細胞数)である。 抗Ki-67抗体及び蛍光標識二次抗体で免疫染色した細胞を、イメージングフローサイトメータで撮影した写真である。 抗Ki-67抗体及び蛍光標識二次抗体で免疫染色した細胞を、イメージングフローサイトメータで撮影した写真である。 蛍光標識二次抗体のみと反応させた細胞を、イメージングフローサイトメータで撮影した写真である。 種々の細胞株の細胞における細胞接着分子の発現を示す写真である。 FFPE擬似組織の薄切切片を脱パラフィン処理して得た擬似組織を、抗E-カドヘリン抗体で免疫染色し、蛍光顕微鏡で観察したときの写真である。
[1.固定包埋擬似組織]
本実施形態の固定包埋擬似組織は、固定剤により固定され、且つ包埋剤に包埋された擬似組織である。ここで、擬似組織とは、生体から採取した組織を模した細胞塊であり、細胞株に由来する複数個の細胞と、該細胞から産生された細胞接着分子とを含む。細胞の数は、後述の組織検体の種類や測定値の取得方法などを考慮して定められる。該擬似組織において、細胞と細胞とが細胞接着分子により接着しており、これにより組織様構造が形成される。固定包埋擬似組織において、細胞内及び細胞間の水分は包埋剤で置換されている。
本実施形態において、固定包埋擬似組織に含まれる擬似組織は、実質的に均質であることが好ましい。「実質的に均質」とは、疑似組織内で部位によって細胞の偏りなどが殆どなく、細胞がほぼ均一に分散している状態をいう。例えば、疑似組織のどの切断面においても、細胞の種類や数が偏在する場合は、本実施形態の精度管理には適さず、「実質的に均質」とはいえない。
本実施形態の固定包埋擬似組織は、一般に作製される固定及び包埋された組織検体と同様に扱うことができる。すなわち、本実施形態では、固定包埋擬似組織をミクロトームなどで切断して、薄切切片を取得できる。得られた固定包埋擬似組織の薄切切片から包埋剤を除去することにより、擬似組織を取得できる。得られた擬似組織には、対象とする組織検体と同様の測定及び分析を行うことができる。このように、本実施形態の固定包埋擬似組織は、測定試料の調製から測定までの工程を、固定及び包埋された組織検体と同様に行うことができるので、測定や分析の精度管理のための対照試料に適する。
固定包埋擬似組織に含まれる細胞は、樹立細胞株に由来する細胞であって、細胞接着分子を産生可能な細胞であれば特に限定されない。そのような細胞株としては、上皮細胞由来の細胞株が好ましく、上皮細胞由来の腫瘍細胞の細胞株がより好ましい。例えば、HCC1806、MBA468、BT20、AU565、BT474、BT483、BT549、CAMA1、HCC1419、HCC1428、HCC1500、HCC202、HCC1569、HCC1937、HCC1954、Hs578T、MDA-MB-157、MDA-MB-231、MDA-MB-361、MDA-MB-415、MDA-MB-435S、MDA-MB-436、MDA-MB-453、MDA-MB-468、SK-BR-3、T-47D、UACC812、UACC893、ZR-75-1、ZR-75-30、MCF10Aなどが挙げられる。
本実施形態において、細胞接着分子は、細胞−細胞間接着因子であることが好ましく、例えばカドヘリンなどが挙げられる。ただし、本実施形態でいう細胞接着分子には、フィブリノゲン及びフィブリンは含まれない。本実施形態では、固定包埋擬似組織に含まれる細胞は、実質的にフィブリンによって接着されていない。生体組織では、フィブリノゲンやフィブリンによって細胞同士が接着しているのではなく、カドヘリンなどの接着因子によって接着している。本実施形態の疑似組織では、フィブリノゲンやフィブリンではなく、カドヘリンなどの細胞接着分子で細胞同士が接着しているため、当該疑似組織は、生体から採取された組織により近い。よって、固定包埋組織検体と、本実施形態の固定包埋疑似組織とに対して同様の前処理を施すことができ、より精度管理に適している。
細胞接着分子の産生能は、当該技術において公知の方法により容易に確認できる。例えば、細胞を界面活性剤などで可溶化し、得られた上清に細胞接着分子が含まれるか否かを、ウェスタンブロット法などの免疫学的手法により確認できる。また、細胞接着分子に特異的に結合する抗体を用いて細胞を免疫染色することにより、該細胞における細胞接着分子の発現を確認してもよい。
当該技術分野においては、測定対象とする組織検体が所定の分子マーカーを発現し、該分子マーカーの検出に基づいて該組織検体を分析することがある。本実施形態の固定包埋擬似組織も、組織検体と同様の分析が可能であることが好ましい。よって、固定包埋擬似組織に含まれる細胞は、所定の分子マーカーを発現していてもよい。所定の分子マーカーは、細胞に元から発現している分子であってもよいし、遺伝子導入や刺激などの操作により細胞に発現させた分子であってもよい。
本実施形態において、分子マーカーの種類は特に限定されないが、例えば、膜タンパク質、細胞質タンパク質及び核タンパク質が挙げられる。それらの中でも、膜タンパク質が好ましい。分子マーカーの機能は特に限定されず、分子マーカーは、例えば、膜受容体及び細胞増殖関連分子などであってもよい。分子マーカーの例としては、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、Ki-67及びHER2などが挙げられる。
固定包埋擬似組織に含まれる細胞は、1種類の細胞株に由来する細胞であってもよいが、2種類の細胞株に由来する細胞であってもよい。すなわち、固定包埋擬似組織は、第1の細胞株に由来する複数個の第1細胞と、第2の細胞株に由来する複数個の第2細胞との2種類を含んでもよい。性質の異なる2種類の細胞株の細胞を組み合わせることにより、両方の細胞株の性質を備えた固定包埋擬似組織を得ることができる。例えば、第1の細胞株は、第2の細胞株よりも細胞接着分子の産生能が高い細胞株であってもよい。この場合、第2の細胞株は、接着性が低いために、単独では擬似組織を形成できない細胞株であってもよい。また、第2の細胞株は、所定の分子マーカーを発現する細胞株であってもよい。この場合、第1の細胞株は、所定のマーカーを発現しない細胞株であってもよい。そのような第1の細胞株の細胞と第2の細胞株の細胞とを組み合わせることにより、所定の分子マーカーを発現する細胞が一定の割合で含まれる固定包埋擬似組織を得ることができる。
固定包埋疑似組織中の第1細胞の数と第2細胞の数は、後述の組織検体の種類や測定値の取得方法などを考慮して定められる。細胞塊の形成という観点から、第1の細胞株が、第2の細胞株よりも細胞接着分子の産生能が高い細胞株である場合、固定包埋擬似組織における第1細胞の数は、第2細胞の数以上であることが好ましい。細胞接着分子の産生能が高い細胞の数を調整することにより、細胞−細胞間の接着性を調整することができる。これにより、形成された細胞塊は、強度や弾性などについて組織検体を模すことができる。好ましい実施形態では、固定包埋擬似組織における第1細胞の数は、第2細胞の数以上かつ第2細胞の数の4倍以下である。
上述のように、固定包埋擬似組織において、擬似組織は実質的に均質であることが好ましい。本実施形態において、第1細胞及び第2細胞を含む固定包埋擬似組織は、いずれの部位で切断しても、第1細胞及び第2細胞が偏在しておらず、切断面における第1細胞の数と第2細胞の数との比率は、実質的に同じであることが好ましい。また、好ましくは、いずれの切断面においても第1細胞と第2細胞との総数が均一である。
固定包埋擬似組織の形状及び大きさは特に限定されないが、ミクロトームなどにより薄切切片の切り出しが可能な形状及び大きさであることが好ましい。固定包埋擬似組織中の細胞の数は、特に限定されず、所望の大きさの擬似組織が得られる数であればよい。例えば、固定包埋擬似組織の形状が、底面積が約0.35 cm2(標準的な96ウェルプレートの1ウェル当たりの培養面積に相当)の円柱状であるとき、該固定包埋擬似組織には、通常2×107 cells、好ましくは1×107 cellsの細胞が含まれる。
本実施形態の固定包埋擬似組織は、上記の擬似組織を固定剤により固定し、固定した該擬似組織を包埋剤により包埋することにより作製できる。固定剤は特に限定されず、当該技術において細胞又は組織の固定に用いられる公知の固定剤から適宜選択できる。そのような固定剤としては、例えば、ホルマリン(ホルムアルデヒド)、グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム、酢酸、低級アルコール、アセトン、ピクリン酸、クロロホルム、二クロム酸カリウム、塩化第二水銀などが挙げられる。低級アルコールとしては、炭素数1〜6のアルコールが挙げられ、メタノール又はエタノールが好ましい。また、市販の固定剤を用いてもよい。固定剤は、1種であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
包埋剤は特に限定されず、当該技術において組織標本の作製に用いられる公知の包埋剤から適宜選択できる。そのような包埋剤としては、例えば、パラフィン、パラフィン誘導体、セロイジン、カーボワックス、アガロース、非ヘパリン処理血清、コラーゲン、セルロース誘導体、キチン誘導体及びキトサン誘導体などが挙げられる。また、市販の包埋剤を用いてもよい。包埋剤は、1種であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
上記の包埋剤の中でも、パラフィンが特に好ましい。パラフィンは、組織標本の作製に一般的に用いられており、パラフィン包埋組織からパラフィンを除去する方法(脱パラフィン処理)も確立されている。よって、本実施形態では、擬似組織がパラフィンにより包埋されている固定包埋擬似組織が特に好ましい。
当該技術分野においては、組織標本から包埋剤を除去して取得した組織検体を、酵素処理などにより個々の細胞に分散させて、細胞レベルの分析を行うことがある。本実施形態の固定包埋擬似組織では、組織検体と同様に細胞と細胞とが細胞接着分子によって接着しているので、同様の解析を行うことができる。すなわち、固定包埋擬似組織から包埋剤を除去して取得した擬似組織は、プロテアーゼでの処理により、個々の細胞に分散できる。このようにして擬似組織から得られた細胞は、フローサイトメータなどにより分析できる。
本実施形態において、プロテアーゼは、細胞接着分子を消化して細胞−細胞間接着を解消できる酵素であれば、特に限定されない。そのようなプロテアーゼとしては、カドヘリンを分解できるプロテアーゼが好ましい。プロテアーゼとしては、例えば、ディスパーゼ(商標)、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、パパイン、トリプシンなどが挙げられる。ディスパーゼとは、Paenibacillus sp.由来の金属プロテアーゼであり、市販されている。
[2.固定包埋擬似組織の作製方法]
上記の固定包埋擬似組織の作製方法(以下、単に「作製方法」ともいう)について説明する。本実施形態の作製方法では、まず、細胞株に由来する複数個の細胞をインキュベートする。インキュベートの間に、細胞と細胞とが細胞接着分子により接着して、組織様構造を有する細胞塊が形成される。この細胞塊が、本実施形態でいう擬似組織である。
細胞株及びそれに由来する細胞の詳細については、上述のとおりである。インキュベートの条件(温度及び雰囲気)及び培地は、特に限定されず、細胞の種類に応じた公知の培養条件及び培地から適宜決定できる。培養容器は特に限定されないが、得られる擬似組織の形状は培養容器に依存する。本実施形態では、96ウェルプレートなどのマルチウェルプレートが好ましい。また、Transwell(登録商標) 96ウェルプレートなどの細胞遊走アッセイ用プレートを用いてもよい。細胞遊走アッセイ用プレートの各ウェルでは、細胞を含む区画と培地を含む区画とが、膜を有するインサート部により別れているので、後述の固定及び細胞塊の回収に便利である。
本実施形態では、所定の数の細胞を培地と共に培養容器に入れて、インキュベートする。細胞の数については、上述のとおりである。インキュベート時間は、細胞と細胞とが細胞接着分子により接着するのに十分な時間であればよい。そのようなインキュベート時間は、例えば0.5時間以上6時間以下、好ましくは1.2時間以上2時間以下であり、特に好ましくは1.5時間である。インキュベート後、形成した擬似組織を分散させないようにして、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの適切な緩衝液で洗浄してもよい。
本実施形態では、上記のインキュベートを行う前に、細胞株に由来する細胞をあらかじめ適切に培養しておくことが好ましい。培養した細胞を回収及び計数することにより、擬似組織に必要な数の細胞を用意できる。細胞を回収する時期は、特に限定されないが、好ましくは対数増殖期である。細胞を回収する方法は、細胞を損傷させずに回収できる方法が好ましい。例えば、トリプシンやEDTAを用いて、培養容器から細胞を剥離する方法が挙げられる。セルスクレーパなどで細胞を培養容器から直接剥離してもよい。回収した細胞は、PBSなどの適切な緩衝液、無血清培地などで洗浄することが好ましい。必要に応じて、死細胞及び細胞片を密度遠心分離などにより除去してもよい。
固定包埋擬似組織に含まれる細胞は、1種類の細胞株に由来する細胞であってもよいが、2種類の細胞株に由来する細胞であってもよい。第1の細胞株に由来する複数個の第1細胞と、第2の細胞株に由来する複数個の第2細胞とを含む擬似組織を作製する場合は、あらかじめ第1細胞と第2細胞とを別個に培養する。次いで、それぞれの細胞株の細胞を回収し、細胞数を計数する。そして、第1細胞と第2細胞とを所定の割合で混合して、細胞懸濁液を得る。得られた細胞懸濁液を培養容器に入れて、上記と同様にインキュベートする。
上述のとおり、第1の細胞株が、第2の細胞株よりも細胞接着分子の産生能が高い細胞株である場合、第1細胞の数が、第2細胞の数以上となるように混合することが好ましく、第1細胞の数が、第2細胞の数以上かつ第2細胞の数の4倍以下となるように混合することがより好ましい。
本実施形態の作製方法では、形成した擬似組織を固定剤により固定する。固定剤の種類については上述のとおりである。本実施形態では、固定剤は液体であることが好ましい。固定剤が粉末又は結晶である場合は、その溶液を用いることが好ましい。以下、液体の固定剤を「固定液」とも呼ぶ。細胞の固定は、形成した擬似組織を含む培養容器から培地を除去し、該擬似組織に固定液を添加することにより行われる。固定液の添加量は、特に限定されず、組織の固定に十分な量であればよい。固定時間は、固定剤の種類に応じて適宜決定できる。例えば、ホルマリンを用いる場合は、擬似組織を約24時間固定することが好ましい。
本実施形態は、後述の包埋を行うために、固定した擬似組織を培養容器から回収する。回収した擬似組織は、PBSなどの適切な緩衝液で洗浄してもよい。また、回収した擬似組織を、低級アルコール(例えばエタノール)と水との混液に浸漬して、脱水してもよい。
本実施形態の作製方法では、固定した擬似組織を包埋剤により包埋する。包埋剤の種類については上述のとおりである。包埋により、擬似組織における細胞内及び細胞間の水分が包埋剤で置換される。包埋の方法は、用いる包埋剤の種類に応じて公知の方法から適宜選択できる。
固定した擬似組織を包埋する手順の一例として、パラフィンによる包埋について説明する。パラフィンは非水溶性であるので、水分を含む擬似組織には浸透しない。そこで、擬似組織を低級アルコール、好ましくはエタノールにより脱水する。好ましい実施形態では、擬似組織を、エタノールの上昇系列に浸漬して段階的に脱水する。エタノールの上昇系列とは、例えば、エタノール含有量を70 v/v%、80 v/v%、90 v/v%及び100 v/v%と段階的に高くした一連のエタノール溶液である。次いで、脱水した擬似組織を、パラフィンに親和性のある有機溶媒に浸漬して、擬似組織中の低級アルコールを該有機溶媒に置換する。そのような有機溶媒としては、キシレン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。それらの中でもキシレンが好ましい。そして、有機溶媒を含む擬似組織を、融解したパラフィンに浸漬して、擬似組織中の有機溶媒をパラフィンに置換する。冷却後、パラフィンに包埋された固定包埋擬似組織が得られる。
本実施形態では、上記の細胞塊(疑似組織)の形成の際に、擬似組織に、フィブリノゲン、トロンビン及びフィブリンを実質的に添加しない。ここで、「実質的に添加しない」とは、本実施形態の作製方法では、フィブリンを介した細胞の接着及び擬似組織の形成を目的として、細胞にフィブリノゲン、トロンビン及びフィブリンを添加することはないことをいう。ただし、培地に微量のフィブリノゲン、トロンビン又はフィブリンが含まれる場合など、フィブリノゲン、トロンビン及びフィブリンが、擬似組織がフィブリンを介して形成されない量で添加される場合は除かれる。好ましい実施形態では、細胞塊(疑似組織)の形成工程及び固定工程において、擬似組織にフィブリノゲン、トロンビン及びフィブリンを実質的に添加しない。さらに好ましい実施形態では、細胞塊(疑似組織)の形成工程、固定工程及び包埋工程において、擬似組織にフィブリノゲン、トロンビン及びフィブリンを実質的に添加しない。
[3.検体分析の精度の管理方法]
(フローサイトメータによる細胞分析の精度管理)
本発明の範囲には、上記の固定包埋擬似組織を用いる、検体分析の精度の管理方法も含まれる(以下、単に「精度管理方法」ともいう)。一つの実施形態として、フローサイトメータ(FCM)による細胞分析の精度を管理する方法について、以下に説明する。
本実施形態の精度管理方法は、固定及び包埋された組織検体(以下、「固定包埋組織検体」ともいう)から包埋剤を除去して組織検体を取得し、取得した組織検体を個々の細胞に分散してFCMで分析する場合の分析精度を管理するのに適する。本実施形態の精度管理方法では、第1工程として、固定包埋擬似組織から対照試料を調製し、該対照試料をフローサイトメータで測定して、細胞数を表す測定値を取得する。以下、対照試料の測定により取得された測定値を、「対照試料の測定値」ともいう。また、第2工程として、固定包埋組織検体から測定試料を調製し、該測定試料をフローサイトメータで測定して、細胞数を表す測定値を取得する。以下、測定試料の測定により取得された測定値を、「測定試料の測定値」ともいう。
本実施形態では、より正確な精度管理のため、第1工程と並行して、第2工程を行うことが好ましい。例えば、固定包埋擬似組織からの対照試料の調製と、固定包埋組織検体からの測定試料の調製とを、実質的に同時に又は逐次行ってもよい。また、対照試料の測定値の取得と、測定試料の測定との取得とを、FCMにより連続的に行ってもよい。
本実施形態において、組織検体は、手術や生検などにより生体から採取された組織であれば、特に限定されない。そのような組織検体は、固形腫瘍の組織(以下、「腫瘍組織」という)、非腫瘍性病変組織、及び正常組織のいずれであってもよい。固形腫瘍とは、血液腫瘍以外の悪性腫瘍であり、がん腫、肉腫及びリンパ腫が挙げられる。非腫瘍性病変組織とは、腫瘍以外の病変組織であり、例えば、ポリープ、炎症、潰瘍などが生じた組織が挙げられる。正常組織は、腫瘍組織及び非腫瘍性病変組織以外の組織である。本実施形態において、固定包埋組織検体は、上記の組織検体を、当該技術において公知の方法によって固定及び包埋して得ることができる。
第1工程では、まず、固定包埋擬似組織から擬似組織を取得する。また、第2工程では、固定包埋組織検体から組織検体を取得する。これらは、固定包埋擬似組織及び固定包埋組織検体から、包埋剤を除去することにより行われる。包埋剤の除去は、例えば、該包埋剤を溶解又は分解できる試薬により行うことができる。本実施形態では、より正確な精度管理のため、固定包埋擬似組織の包埋剤と、固定包埋組織検体の包埋剤とは同一又は同種であることが好ましい。同種の包埋剤は、例えば、主成分が同じであって、同じ処理によって組織から除去できる包埋剤である。好ましい実施形態では、固定包埋擬似組織及び固定包埋組織検体は、いずれもパラフィン包埋されている。
包埋剤を除去する手順の一例として、パラフィン包埋組織の脱パラフィン処理について、以下に説明する。パラフィン包埋された擬似組織及び組織検体をそれぞれ、パラフィンに親和性のある有機溶媒に浸漬する。有機溶媒によりパラフィンが溶解して除去され、擬似組織及び組織検体を得ることができる。そのような有機溶媒については、上述のとおりである。有機溶媒による脱パラフィン処理における処理時間及び処理温度は、組織検体の種類などに応じて適宜決定できる。
脱パラフィン処理により得られた擬似組織及び組織検体には、有機溶媒が浸透しているので、擬似組織及び組織検体を再親水化処理することが好ましい。再親水化処理は、擬似組織及び組織検体を低級アルコール、好ましくはエタノールに浸漬することにより行われる。好ましい実施形態では、擬似組織及び組織検体を、エタノールの下降系列に浸漬して段階的に再水和させる。エタノールの下降系列とは、例えば、エタノール含有量を100 v/v%、90 v/v%、80 v/v%及び70 v/v%と段階的に低くした一連のエタノール溶液である。
本実施形態では、固定包埋擬似組織及び固定包埋組織検体のそれぞれから、FCMでの測定に十分な量の細胞が得られればよい。よって、第1工程において、固定包埋擬似組織を含む薄切切片から擬似組織を取得してもよい。また、第2工程において、固定包埋組織検体を含む薄切切片から組織検体を取得してもよい。これらの薄切切片は、ミクロトームなどにより、固定包埋擬似組織及び固定包埋組織検体を切断することで得ることができる。
第1工程では、得られた擬似組織を個々の細胞を分散させて、該擬似組織の細胞を含む対照試料を調製する。また、第2工程では、得られた組織検体を個々の細胞を分散させて、該組織検体の細胞を含む測定試料を調製する。擬似組織及び組織検体の分散は、例えば、擬似組織及び組織検体とプロテアーゼとを接触させて細胞接着分子を分解することにより行うことができる。具体的には、擬似組織及び組織検体をそれぞれ別個の容器に入れ、それらの容器にプロテアーゼの溶液を添加してインキュベートする。擬似組織及び組織検体が個々の細胞に分散された後、プロテアーゼを失活させることにより、上記の対照試料及び測定試料を得ることができる。プロテアーゼ処理における処理時間及び処理温度は、プロテアーゼ及び組織検体の種類などに応じて適宜決定できる。プロテアーゼの詳細については、上述のとおりである。本実施形態では、より正確な精度管理のため、擬似組織及び組織検体を、同一又は同種のプロテアーゼで処理することが好ましい。同種のプロテアーゼは、例えば、同じ細胞接着分子を分解する活性を有し、アミノ酸配列の高い同一性(例えば、少なくとも80%、90%又は95%の配列同一性)を有するプロテアーゼであってもよい。
本実施形態では、フローサイトメータにより、対照試料及び測定試料中の細胞数を表す測定値を取得する。フローサイトメータの種類は特に限定されず、市販のフローサイトメータを用いることができる。本実施形態では、イメージングフローサイトメータを用いてもよい。イメージングフローサイトメータとは、カメラなどの撮像部を備えたフローサイトメータであり、個々の細胞の画像を取得できる。イメージングフローサイトメータを用いれば、撮像された細胞の画像に基づいて、細胞のサイズやアスペクト比を含む多重パラメータを得ることができる。
FCMによる測定では、各試料中の個々の細胞に光を照射して、光学的情報を取得することが好ましい。光学的情報としては、散乱光情報及び蛍光情報が挙げられる。具体的には、まず、対照試料をFCMのフローセルに導入し、該試料中の一つ一つの細胞がフローセルを通過するときに該細胞に光を照射する。そして、該細胞から発せられる散乱光及び蛍光を測定して、散乱光情報及び蛍光情報を取得する。測定試料についても同様にして、散乱光情報及び蛍光情報を取得する。対照試料及び測定試料を測定する順序は、特に限定されない。本実施形態では、FCMにより取得した光学的情報に基づいて、対照試料の細胞数及び測定試料の細胞数を表す測定値を取得できる。細胞数を表す測定値は、細胞の数そのものであってもよいし、細胞濃度(例えばcells/mL)であってもよい。
散乱光情報としては、例えば、前方散乱光(例えば、受光角度0〜20度付近)及び側方散乱光(受光角度90度付近)のパルスのピーク、パルス幅、パルス面積、及び散乱光強度などが挙げられる。当該技術では、側方散乱光は、細胞の核及び顆粒などの内部情報を反映し、前方散乱光は、細胞の大きさを反映することが知られている。本実施形態では、散乱光情報として前方散乱光強度を取得することが好ましい。蛍光情報としては、例えば、蛍光強度、蛍光パルス幅、及び蛍光パルス面積などが挙げられるが、好ましくは蛍光強度である。照射する励起光の波長は、蛍光物質に応じて適宜選択できる。
FCMの光源は特に限定されず、蛍光物質の励起に好適な波長の光源を適宜選択できる。光源としては、例えば、青色半導体レーザ、赤色半導体レーザ、アルゴンレーザ、He-Neレーザ、水銀アークランプなどが使用される。
本実施形態では、組織検体における所定の分子マーカーの発現について分析してもよい。すなわち、FCMによる測定において、分子マーカー陽性細胞数を表す測定値をさらに取得してもよい。分子マーカー陽性細胞数を表す測定値は、分子マーカー陽性細胞の数そのものであってもよいし、分子マーカー陽性細胞の濃度(例えばcells/mL)であってもよい。分子マーカーの詳細については、上述のとおりである。分子マーカー陽性細胞の測定は、例えば、対照試料及び測定試料に含まれる細胞を、該分子マーカーに特異的に結合する抗体(一次抗体)で免疫染色することにより行われてもよい。この場合、該一次抗体は、蛍光物質で標識されていることが好ましい。標識されていない一次抗体を用いる場合は、該一次抗体に特異的に結合する、蛍光物質で標識された抗体(二次抗体)を用いてもよい。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Alexa Fluor(登録商標)などの蛍光色素、GFPなどの蛍光タンパク質などが挙げられる。
上記のような抗体により免疫染色された細胞に、FCMにより光を照射すると、該抗体に標識された蛍光物質から蛍光シグナルが生じる。本実施形態では、FCMにより蛍光シグナルを測定し、該シグナルから得られた蛍光情報に基づいて、分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得できる。例えば、蛍光情報が蛍光強度である場合、該蛍光強度が所定の値よりも高い細胞を、分子マーカー陽性細胞として計数してもよい。ここで、蛍光強度に関する所定の値は、適宜決定できる。
対照試料及び測定試料に含まれる細胞を免疫染色する場合、上記の包埋剤の除去及び再親水化処理後に、擬似組織及び組織検体における抗原を賦活化する処理を行うことが好ましい。抗原の賦活化処理自体は、当該技術において公知であり、例えば、加熱処理や抗原賦活化剤などを用いることにより行うことができる。加熱処理としては、例えば、擬似組織及び組織検体を、クエン酸緩衝液やTE緩衝液などの適切な緩衝液に入れて95℃〜99℃でインキュベートすることが挙げられる。抗原賦活化剤としては、例えば、イムノセイバー(登録商標)などが挙げられる。
本実施形態の精度管理方法では、対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、第2工程が適切に行われたか否かを判定する。本実施形態の固定包埋擬似組織は組成が一定であるので、対照試料の調製及び測定が適切に行われた場合、得られる測定値は、実質的に一定の値に収束すると考えられる。よって、対照試料の測定値と、所定の基準値との相違の程度により、第2工程が適切に行われたか否かを判定できる。
所定の基準値の数値自体は、特に限定されず、適宜決定できる。例えば、本実施形態の固定包埋擬似組織から、複数の対照試料を調製してFCMにより測定し、それらの測定値の統計学的代表値を、所定の基準値として用いてもよい。統計学的代表値としては、例えば、平均値、中央値などが挙げられる。
本実施形態では、例えば、対照試料の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合、第2工程が適切に行われたと判定してもよい。なお、上記の差又は比が、所定の数値範囲の両端の数値と同じである場合も、第2工程が適切に行われたと判定してもよい。本実施形態では、第2工程が適切に行われたとの判定は、測定試料の調製から測定値の取得までの一連の操作が適切に行われたことを意味する。したがって、本実施形態の精度管理方法は、固定包埋組織検体からの測定試料の調製から測定までのプロセスについて精度管理することを可能にする。ここで、所定の数値範囲自体は、特に限定されず、適宜決定できる。
一方、対照試料の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合、第2工程が適切に行われなかったと判定してもよい。本実施形態では、第2工程が適切に行われなかったとの判定は、測定試料の調製から測定値の取得までの一連の操作の全部又は一部が適切に行われなかったことを意味する。
別の実施形態の精度管理方法では、上記と同様にして対照試料及び測定試料を調製する。この実施形態では、測定試料の測定値の取得の前に、対照試料の測定値の取得を行う。対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、測定試料の測定値の取得を実施するか否かを選択することができる。例えば、対照試料の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の範囲内である場合は、測定試料の測定値の取得を実施する。対照試料の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の範囲から外れる場合は測定試料の測定値の取得を実施しない。あるいは、対照試料の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の範囲から外れる場合は、ユーザにその旨を通知する。ユーザはその通知を考慮した上で、測定試料の測定値の取得を実行するか否か選択することができる。
(分子マーカーの分析の精度管理)
さらなる実施形態として、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数の分析の精度を管理する方法について、以下に説明する。本実施形態の精度管理方法では、第1工程として、上記の固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、該擬似組織から、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する。擬似組織は、固定包埋擬似組織から包埋剤を除去することにより取得される。包埋剤の除去の詳細については、上述のとおりである。
第1工程では、得られた擬似組織から、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する。該測定値は、擬似組織から調製された試料を測定することにより取得できる。調製する試料の種類は、測定手段に応じて適宜決定すればよい。以下、擬似組織から調製された試料の測定により取得された測定値を、「擬似組織の測定値」ともいう。分子マーカーの発現量を表す測定値は、得られた擬似組織の全部又は一部における分子マーカーのタンパク質量自体であってもよいし、該タンパク質量を反映する値であってもよい。
得られた擬似組織の全部又は一部における分子マーカーのタンパク質量は、例えば、擬似組織の全部又は一部を可溶化して得られる上清における分子マーカーのタンパク質量を測定することにより取得できる。具体的には、包埋剤の除去により得られた擬似組織を適切な界面活性剤で可溶化して、得られた上清を上記の一次抗体を用いる免疫学的手法(例えばウェスタンブロット法、ELISA法など)で測定することにより、分子マーカーのタンパク質量を表す測定値を取得できる。
得られた擬似組織の全部又は一部における分子マーカーのタンパク質量を反映する値は、例えば、FCMによって取得できる。具体的には、包埋剤の除去により得られた擬似組織を、上記と同様にして再親水化処理及びプロテアーゼとの接触を行い、擬似組織を個々の細胞に分散させる。そして、得られた細胞の全部又は一部を、上記のように、蛍光物質で標識された抗体を用いて免疫染色してFCMにより測定することで、分子マーカーのタンパク質量を反映する値に相当する蛍光情報を取得できる。そのような蛍光情報としては、例えば、縦軸に細胞数をとり、横軸に蛍光強度をとったヒストグラムにおいて、蛍光強度が所定の値以上である細胞の蛍光強度の総和などが挙げられる。
分子マーカー陽性細胞数を表す測定値は、例えば、FCMによって取得できる。FCMによる該測定値の取得の詳細については、上述のとおりである。
分子マーカー陽性細胞数を表す測定値は、顕微鏡観察での計数により取得された分子マーカー陽性細胞の数自体であってもよい。分子マーカー陽性細胞の計数は、例えば、免疫組織染色した擬似組織を顕微鏡で観察することにより行うことができる。具体的には、包埋剤の除去により得られた擬似組織に上記の再親水化処理を行い、上記の一次抗体で免疫組織染色をする。必要に応じて、上記の包埋剤の除去及び再親水化処理後に、擬似組織に上記の抗原の賦活化処理を行ってもよい。一次抗体は、蛍光物質又は酵素により標識されていることが好ましい。標識されていない一次抗体を用いる場合は、蛍光物質又は酵素で標識された二次抗体を用いてもよい。擬似組織を、蛍光物質を有する抗体により免疫組織染色した場合は、蛍光顕微鏡での観察により分子マーカー陽性細胞を検出及び計数できる。擬似組織を、酵素を有する抗体により免疫組織染色した場合は、該擬似組織に発色基質を反応させることにより、光学顕微鏡で分子マーカー陽性細胞を観察できる。必要に応じて、擬似組織に、ヘマトキシリンなどによる対比染色を行ってもよい。
蛍光物質については上述のとおりである。酵素としては、例えば、アルカリホスファターゼ及びペルオキシダーゼが挙げられる。酵素の基質は、該酵素の種類に応じて公知の基質から適宜選択できる。酵素がアルカリホスファターゼを用いる場合、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸(BCIP)、p-ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)などの発色基質が用いられる。酵素がペルオキシダーゼである場合、3, 3'-ジアミノベンジジン(DAB)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、2, 2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸アンモニウム)(ABTS)、1, 2-フェニレンジアミン(OPD)、3, 3', 5, 5'-テトラメチルベンジジン(TMB)などの発色基質が用いられる。
本実施形態の精度管理方法では、上記のようにして得られた擬似組織の測定値と、所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、第1工程が適切に行われたか否かを判定する。上述のように、本実施形態の固定包埋擬似組織から、試料の調製及び測定を適切に行えば、得られる測定値は、実質的に一定の値に収束すると考えられる。よって、擬似組織の測定値と、所定の基準値との相違の程度により、第1工程が適切に行われたか否かを判定できる。このように、本実施形態の精度管理方法によれば、固定包埋組織検体について試料の調製及び測定を行う前に、該試料の調製から測定までの一連の操作を適切に実施できるか否かを予測できる。ここで、所定の基準値の詳細については、上述のとおりである。
本実施形態では、例えば、擬似組織の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合、第1工程が適切に行われたと判定してもよい。なお、上記の差又は比が、所定の数値範囲の両端の数値と同じである場合も、第1工程が適切に行われたと判定してもよい。本実施形態では、第1工程が適切に行われたとの判定は、固定包埋擬似組織からの試料の調製から測定値の取得までの一連の操作が適切に行われたことを意味する。この判定結果に基づいて、第1工程と同様の試料の調製及び測定を、固定包埋組織検体に実施することを決定してもよい。ここで、所定の数値範囲自体は、特に限定されず、適宜決定できる。
一方、擬似組織の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合、第1工程が適切に行われなかったと判定してもよい。本実施形態では、第1工程が適切に行われなかったとの判定は、固定包埋擬似組織からの試料の調製から測定値の取得までの一連の操作の全部又は一部が適切に行われなかったことを意味する。この判定結果に基づいて、第1工程と同様の試料の調製及び測定を、固定包埋組織検体に実施しないことを決定してもよい。この場合、試料の調製及び測定における処理や用いる試薬などを調整して、再び本実施形態の精度管理方法を行うことにより、試料の調製及び測定により適切な条件を検討できる。
本実施形態では、上記の第1工程と並行して、固定包埋組織検体からの試料の調製及び該試料の測定を行ってもよい。すなわち、本実施形態の精度管理方法は、固定包埋組織検体から組織検体を取得し、該組織検体から、分子マーカーの発現量又は該分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第2工程をさらに含んでもよい。以下、組織検体から調製された試料の測定により取得された測定値を、「組織検体の測定値」ともいう。第2工程を行う場合、第1工程で取得した擬似組織の測定値と、所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、第2工程が適切に行われたか否かを判定してもよい。
本実施形態では、例えば、擬似組織の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合、第2工程が適切に行われたと判定してもよい。なお、上記の差又は比が、所定の数値範囲の両端の数値と同じである場合も、第2工程が適切に行われたと判定してもよい。本実施形態では、第2工程が適切に行われたとの判定は、固定包埋組織検体からの試料の調製から測定値の取得までの一連の操作が適切に行われたことを意味する。
一方、擬似組織の測定値と所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合、第2工程が適切に行われなかったと判定してもよい。本実施形態では、組織検体の測定値の取得が適切に行われなかったとの判定は、固定包埋組織検体からの試料の調製から測定値の取得までの一連の操作の全部又は一部が適切に行われなかったことを意味する。
[4.検体分析の精度管理用キット]
本発明の範囲には、上記の精度管理方法に用いられる、検体分析の精度管理用キット(以下、単に「キット」ともいう)も含まれる。本実施形態のキットは、上記の固定包埋擬似組織を含む。本実施形態のキットは、擬似組織を個々の細胞に分散させるための試薬をさらに含んでいてもよい。そのような試薬としては、例えば、上記のプロテアーゼの溶液が挙げられる。また、本実施形態のキットは、所定の分子マーカーの検出用試薬をさらに含んでいてもよい。そのような試薬としては、例えば、上記の所定の分子マーカーに特異的に結合する抗体が挙げられる。
本実施形態のキットにおいて、固定包埋擬似組織は、箱に収容されてユーザに提供されてもよい。この箱は、固定包埋擬似組織及び上記の試薬を全て同梱していてもよいし、一部のみを収容していてもよい。この箱には、さらに固定包埋擬似組織の使用方法などを記載した添付文書が同梱されていてもよい。
本発明は、精度管理方法への固定包埋疑似組織の使用を含む。精度管理方法および固定包埋疑似組織については、上述の通りである。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1: 2種類の細胞を用いる固定包埋擬似組織の作製
(1) 細胞
ホルモン受容体陽性乳癌細胞株のMCF7細胞と、ホルモン受容体陰性乳癌細胞株のHCC1806細胞とを用いた。これらの細胞株は、JCRB細胞バンクより入手した。MCF7細胞は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)などの分子マーカーを発現する。HCC1806細胞は、強固な細胞間接着能を有する。
(2) 作製の手順
MCF7細胞及びHCC1806細胞をそれぞれ、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む増殖培地で常法により培養し、トリプシン処理により回収した。回収したMCF7細胞及びHCC1806細胞の細胞数を計測した。MCF7細胞及びHCC1806細胞を、細胞数の比(MCF7:HCC1806)で表して1:1、1:2、1:3又は1:4で混合した。混合細胞をTranswell(登録商標) 96ウェルプレート(Corning社)の各トランスウェルインサート内に分注し、10% FBSを含む増殖培地で1.5時間インキュベートした。プレートを軽く遠心した後、細胞塊上の培地及びトランスウェルインサート下の培地を除去して、細胞塊をPBSで1回洗浄した。各ウェルを10%中性緩衝ホルマリン溶液で満たし、細胞塊を室温で24時間固定した(図1A参照)。固定後、ホルマリン溶液を除去して細胞塊をPBSで洗浄し、各ウェルに70%エタノールを添加した。トランスウェルインサートから円柱状の細胞塊を、70%エタノールを入れたチューブに回収して、擬似組織を得た(図1B参照)。得られた擬似組織を、常法によりエタノールの上昇系列で段階的に脱水し、キシレン処理をしてパラフィン浸透を行った。パラフィン浸透した疑似組織を、常法によりパラフィン包埋して、FFPE擬似組織を作製した(図1C参照)。
実施例2: 1種類の細胞からの固定包埋擬似組織の作製
HCC1806細胞をTranswell(登録商標) 96ウェルプレート(Corning社)の各トランスウェルインサート内に分注し、10% FBSを含む増殖培地で1.5時間インキュベートした。細胞塊を実施例1と同様にして洗浄し、各ウェルを10%中性緩衝ホルマリン溶液で満たし、細胞塊を室温で20時間固定した(図2A参照)。固定後、ホルマリン溶液を除去して細胞塊をPBSで洗浄し、各ウェルに70%エタノールを添加した。トランスウェルインサートから円柱状の細胞塊を、70%エタノールを入れたチューブに回収して、擬似組織を得た(図2B参照)。実施例1と同様にして、得られた擬似組織からFFPE擬似組織を作製した。
実施例3: 擬似組織の観察及び評価
(1) 擬似組織の薄切切片の観察
実施例1で作製した各FFPE擬似組織から薄切切片を取得し、スライドガラスに貼り付けた。得られた薄切切片を常法によりHE染色して、光学顕微鏡で観察した。結果を図3に示す。図3から分かるように、いずれの混合比であっても、擬似組織の切片は、組織様構造を示した。
(2) 均質性の確認
実施例1で作製したFFPE擬似組織では、円柱状の擬似組織がパラフィン中に包埋されている。擬似組織が実質的に均質であるかを確認するため、混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を上部、中部及び下部で切断した(図4A参照)。得られた薄切切片を、HE染色して光学顕微鏡で観察した。結果を図4Bに示す。図4Bから分かるように、いずれの部位から得られた薄切切片においても、同様の組織様構造を示した。すなわち、擬似組織において、MCF細胞及びHCC1806細胞が実質的に均一に分散していた。よって、擬似組織は、実質的に均質であることが示された。
(3) 脱パラフィン処理の適用
実施例1で作製したFFPE擬似組織を脱パラフィン処理して、擬似組織を取得したときに、該擬似組織が組織様の状態を維持できるかを確認した。具体的な操作は次のとおりである。混合比(MCF7:HCC1806)が1:2及び1:3のFFPE擬似組織を切断して、厚さ50μm又は150μmの薄切切片を取得した。各薄切切片をチューブに入れ、そこにキシレンを添加して10分間静置して、脱パラフィン処理をした。脱パラフィン処理した薄切切片を肉眼で観察して、組織が崩壊しているか否かを確認した。結果を図5に示す。なお、図5の左上及び右上のパネルには、2枚の薄切切片が示されている。また、図5の右上及び右下のパネルにおいて、筋状の線は、液体の境界が写ったものである。図5から分かるように、いずれの薄切切片も、キシレンを用いる脱パラフィン処理によって崩壊していなかった。このことから、FFPE擬似組織の薄切切片を、キシレンを用いる脱パラフィン処理することで、擬似組織の薄切切片を回収できることが示された。
実施例4: 擬似組織の免疫組織染色
実施例1で作製したFFPE擬似組織から取得した擬似組織を検体に用いて、免疫組織染色により分子マーカーを検出できるかを確認した。検出対象の分子マーカーは、MCF7細胞に発現するER及びPgRとした。具体的な操作は次のとおりである。
(1) 免疫組織染色
実施例1で作製した混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を上部、中部及び下部で切断して、厚さ50μmの薄切切片を取得した。各薄切切片をスライドガラスに貼り付け、キシレンを用いて脱パラフィン処理をした。脱パラフィン処理した薄切切片に、エタノールの下降系列による再親水化処理をした。薄切切片を超純水で1回洗浄した。薄切切片を貼り付けたスライドガラスを、イムノセイバー(登録商標)(日新EM株式会社)を添加した蒸留水中に入れ、98℃で20分加熱することにより、抗原賦活化処理をした。薄切切片をPBSで1回洗浄した。薄切切片にDAB法による免疫組織染色をした。一次抗体には、マウス抗ER抗体又はマウス抗PgR抗体を用い、二次抗体には、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を用いた。
(2) 結果
免疫組織染色の結果の一例を図6Aに示す。また、各薄切切片における分子マーカー陽性細胞及び陰性細胞を光学顕微鏡により計数した。分子マーカー陽性細胞と陰性細胞との比率を、図6B及びCに示す。図6Aから分かるように、FFPE擬似組織から取得した擬似組織を免疫組織染色することにより、該擬似組織中の細胞に発現する分子マーカー(ER及びPgR)を検出できた。ここで、分子マーカー陽性細胞は、ホルモン陽性乳癌細胞株に由来するMCF7細胞であり、陰性細胞は、ホルモン陰性乳癌細胞株に由来するHCC1806細胞であると考えられる。図6B及びCに示されるように、いずれの部位から得られた薄切切片においても、分子マーカー陽性細胞と陰性細胞との比率は同程度であった。よって、擬似組織が実質的に均質であることが、免疫組織染色よっても示された。
実施例5: 擬似組織から回収した細胞のFCM解析
FFPE擬似組織から取得した擬似組織を酵素により分散させて、細胞を回収した。得られた細胞を検体に用いて、フローサイトメータで解析できるかを確認した。具体的な操作は次のとおりである。
(1) 細胞の回収
実施例1で作製した混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を切断して、厚さ50μmの薄切切片を取得した。薄切切片をチューブに入れ、そこにキシレンを添加して脱パラフィン処理をした。脱パラフィン処理した薄切切片に、エタノールの下降系列による再親水化処理をした。薄切切片を超純水で1回洗浄した。薄切切片を入れたチューブに、蒸留水で希釈したイムノセイバー(登録商標)(日新EM株式会社)を添加し、98℃で20分加熱することにより、抗原賦活化処理をした。薄切切片をPBSで1回洗浄した。薄切切片を入れたチューブに、Dispase I+II(品番17105041、GIBCO社)又はDispase II(品番383-02281、和光純薬株式会社)の溶液(200μL)を種々の酵素濃度で添加し、37℃にて10分間酵素処理した。なお、チューブに添加した酵素溶液の酵素濃度は、Dispase I+IIが1.6、3.2、6.4又は12.8 U/mLであり、Dispase IIが1000又は2000 U/mLである。チューブに1mM EDTA/0.5% BSA/PBS溶液を添加して、酵素を失活させた。酵素の作用により、擬似組織の薄切切片は個々の細胞に分散された。得られた細胞を0.5% BSA/PBS溶液で3回洗浄した。
(2) FCM解析
実施例5では、検出対象の分子マーカーとして、乳癌の増殖マーカーであるKi-67を検出した。上記で得られた細胞を、抗Ki-67抗体(クローン名Ki-S5、MAB4190、MerckMillipore社)及び蛍光標識抗マウスIgG抗体(二次抗体)で免疫染色した。また、細胞核をDAPIで染色した。陰性対照として、二次抗体のみと反応させた細胞も用意した。染色した細胞をFCM解析に供するサンプルとした。該サンプルの全量に、細胞数カウント用標準ビーズ(50μL)(CountBright(商標) Absolute Counting Beads、C36950、Molecular Probes社)を添加して、イメージングフローサイトメータ(BD bioscience社)で測定した。該標準ビーズは蛍光標識されており、50μL当たりのビーズ数が既知である。標準ビーズを添加した細胞サンプルを測定することにより、標準ビーズのイベント数及び細胞のイベント数から該細胞サンプル中の細胞濃度を算出できる。該標準ビーズに添付のマニュアルにしたがって、染色した細胞を含む上記サンプルの細胞濃度(cells/μL)を取得した。
(3) 結果
実施例1で作製したFFPE擬似組織の細胞数は既知であり、この細胞数より、上記(1)の薄切切片に含まれる細胞数は4.8×105 cellsと算出される。この値と上記(2)で取得した細胞濃度から、FFPE擬似組織からの細胞回収率を算出した。結果を図7A及びBに示す。これらの図に示されるように、脱パラフィン処理や細胞分散処理などのFCM解析の前処理工程により、FFPE擬似組織から取得される細胞の割合(回収率)は、約20%であることが分かった。
FCM解析による分子マーカーの検出結果として、図8A及びBに示すヒストグラムを得た。また、イメージングフローサイトメータにより撮影された細胞の画像の一例を、図9A〜Cに示す。図8A及びBにおいて、左のピークは、二次抗体のみと反応させた陰性対照を示し、右のピークは、抗Ki-67抗体及び二次抗体で免疫染色したサンプルを示す。このように、免疫染色したサンプルと陰性対照とが明確に区別できることが分かった。また、図9A及びBに示されるように、抗Ki-67抗体で免疫染色された細胞の画像では、Ki-67の発現が認められた。しかし、図9Cに示されるように、二次抗体のみと反応させた陰性対照の画像では、Ki-67の発現は認められなかった。これらのことから、FFPE擬似組織から回収した細胞は、分子マーカーを免疫染色することにより、FCM解析により検出できることが示された。なお、細胞分散酵素の濃度の増加による染色性の低下は、見られなかった。
以上のことから、FFPE擬似組織を陽性対照として用いることで、FFPE検体からの細胞取得からFCM解析までの工程を精度管理することができる。また、検出対象とする分子マーカーを発現していない細胞株により作製されたFFPE擬似組織は、陰性対照として使用することもできる。これら擬似組織を用いた対照の結果に基づいて、組織検体から細胞を分散して行うFCM解析の成否を判定することで精度管理を行うことができる。
参考例: 細胞接着分子の発現の確認
(1) ウェスタンブロットによる確認
細胞株として、BT20、HCC1806及びMB468細胞を用いた。これらの細胞をRIPAバッファー(0.5 w/v%デオキシコール酸ナトリウム、0.1 w/v%ドデシル硫酸ナトリウム、1.0 w/v% NP-40 substituteを含む)で可溶化して、遠心分離により上清を得た。得られた上清にサンプルバッファーを添加して煮沸し、SDS-PAGE用サンプルを調製した。得られたサンプルを常法にしたがってSDS-PAGEで分離し、膜転写を行った。得られた膜に、抗E-カドヘリン抗体及び抗GAPDH抗体を用いるウェスタンブロットを行い、カドヘリンの発現を確認した。結果を図10に示す。図10から分かるように、BT20、HCC1806及びMB468細胞にE-カドヘリンが発現していることが確認できた。
(2) 蛍光顕微鏡による確認
実施例1で作製した混合比(MCF7:HCC1806)が1:2のFFPE擬似組織を切断して、厚さ4μmの薄切切片を取得した。実施例4と同様にして、薄切切片からの擬似組織の取得及び抗原賦活化処理を行った。得られた擬似組織を、抗E-カドヘリン抗体及び蛍光標識抗マウスIgG抗体で免疫組織染色した。また、細胞核をDAPIで染色した。染色した擬似組織を、蛍光顕微鏡BZ-9000(株式会社キーエンス)で観察し、カドヘリンの発現を確認した。結果を図11に示す。図11から分かるように、擬似組織中のHCC1806細胞にE-カドヘリンが発現していることが確認できた。

Claims (33)

  1. 細胞株に由来する複数個の細胞と、前記細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記細胞が前記細胞接着分子により接着しており
    前記複数個の細胞が、第1の細胞株に由来する複数個の第1細胞と、第2の細胞株に由来する複数個の第2細胞とを含み、前記第1の細胞株が、前記第2の細胞株よりも細胞接着分子の産生能が高い細胞株であり、前記擬似組織における前記第1細胞の数が、前記第2細胞の数以上である、固定包埋擬似組織。
  2. 前記擬似組織における前記第1細胞の数が、前記第2細胞の数以上かつ前記第2細胞の数の4倍以下である請求項に記載の固定包埋擬似組織。
  3. 前記第2の細胞株が、分子マーカーを発現する細胞株である請求項1又は2に記載の固定包埋擬似組織。
  4. 前記第1の細胞株が、上皮細胞由来の細胞株である請求項のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  5. 前記細胞接着分子が、細胞−細胞間接着因子である請求項1〜のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  6. 前記細胞接着分子が、カドヘリンを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  7. 前記擬似組織が、プロテアーゼにより個々の細胞に分散される請求項1〜のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  8. 前記プロテアーゼが、カドヘリンを分解するプロテアーゼである請求項に記載の固定包埋疑似組織。
  9. 前記プロテアーゼが、ディスパーゼ、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、エラスターゼ、パパイン及びトリプシンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項又はに記載の固定包埋擬似組織。
  10. 前記分子マーカーが、膜タンパク質である請求項又は請求項を引用する請求項のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  11. 前記分子マーカーが、膜受容体又は細胞増殖関連分子である請求項又は請求項を引用する請求項のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  12. 前記分子マーカーが、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、Ki-67及びHER2からなる群より選択される少なくとも1つである請求項11に記載の固定包埋擬似組織。
  13. 前記擬似組織が、ホルマリン、グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム、酢酸、低級アルコール、アセトン、ピクリン酸、クロロホルム、二クロム酸カリウム及び塩化第二水銀からなる群より選択される少なくとも1種の固定剤で固定されている請求項1〜12のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  14. 前記擬似組織が、パラフィン、パラフィン誘導体、セロイジン、カーボワックス、アガロース、非ヘパリン処理血清、コラーゲン、セルロース誘導体、キチン誘導体及びキトサン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の包埋剤により包埋されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  15. 前記擬似組織が、パラフィンにより包埋されている請求項14に記載の固定包埋擬似組織。
  16. 前記擬似組織が、実質的に均質である請求項1〜15のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織。
  17. 前記細胞が実質的にフィブリンによって接着されていない請求項1〜16のいずれか1項に記載の固定包埋疑似組織。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて対照試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
    固定包埋組織検体に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて測定試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第2工程と、
    対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第2工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
    を含む、検体分析の精度の管理方法。
  19. 固定包埋擬似組織に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて対照試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
    固定包埋組織検体に含まれる細胞を個々の細胞に分散させて測定試料を調製し、フローサイトメータにより細胞数を表す測定値を取得する第2工程と、
    対照試料の測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第2工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
    を含み、
    前記固定包埋擬似組織が、細胞株に由来する複数個の細胞と、前記複数個の細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記複数個の細胞が前記細胞接着分子により接着している、
    検体分析の精度の管理方法。
  20. 前記フローサイトメータによる測定工程において、分子マーカー陽性細胞数を表す測定値をさらに取得する請求項18又は19に記載の方法。
  21. 前記フローサイトメータが、イメージングフローサイトメータである請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記判定工程において、前記対照試料の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合に、前記第2工程が適切に行われたと判定し、
    前記対照試料の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合に、前記第2工程が適切に行われなかったと判定する
    請求項1821のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記第1工程において、前記固定包埋疑似組織から疑似組織を取得し、プロテアーゼと前記疑似組織とを接触させ、前記疑似組織中の細胞接着分子を分解することにより、前記疑似組織を構成する細胞を個々の細胞に分散させ、
    前記第2工程において、前記固定包埋組織検体から組織検体を取得し、前記プロテアーゼと同種のプロテアーゼと前記組織検体とを接触させ、前記組織検体中の細胞接着分子を分解することにより、前記組織検体を構成する細胞を個々の細胞に分散させる、
    請求項1822のいずれか1項に記載の方法。
  24. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、前記擬似組織から、分子マーカーの発現量又は前記分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
    前記測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
    を含む、検体分析の精度の管理方法。
  25. 固定包埋擬似組織から擬似組織を取得し、前記擬似組織から、分子マーカーの発現量又は前記分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第1工程と、
    前記測定値と所定の基準値とを比較し、比較結果に基づいて、前記第1工程が適切に行われたか否かを判定する工程と
    を含み、
    前記固定包埋擬似組織が、細胞株に由来する複数個の細胞と、前記複数個の細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記複数個の細胞が前記細胞接着分子により接着している、
    検体分析の精度の管理方法。
  26. 前記測定値を取得する工程が、フローサイトメータ又は顕微鏡により行われる請求項24又は25に記載の方法。
  27. 前記フローサイトメータが、イメージングフローサイトメータである請求項26に記載の方法。
  28. 前記判定工程において、前記擬似組織の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲内である場合に、前記第1工程が適切に行われたと判定し、
    前記擬似組織の測定値と前記所定の基準値との差又は比が、所定の数値範囲から外れる場合に、前記第1工程が適切に行われなかったと判定する、
    請求項2427のいずれか1項に記載の方法。
  29. 固定包埋組織検体から前記組織検体を取得し、前記組織検体から、分子マーカーの発現量又は前記分子マーカー陽性細胞数を表す測定値を取得する第2工程をさらに含む請求項2428のいずれか1項に記載の方法。
  30. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織を含む、検体分析の精度管理用キット。
  31. 固定包埋擬似組織を含む、検体分析の精度管理用キットであって、
    前記固定包埋擬似組織が、細胞株に由来する複数個の細胞と、前記細胞から産生された細胞接着分子とを含む擬似組織を含み、前記擬似組織において前記細胞が前記細胞接着分子により接着している、
    前記精度管理用キット。
  32. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の固定包埋擬似組織の作製方法であって、
    細胞株に由来する複数個の細胞をインキュベートして、擬似組織を形成する工程と、
    前記擬似組織を固定剤により固定する工程と、
    前記固定した擬似組織を包埋剤により包埋する工程と
    を含む、前記固定包埋擬似組織の作製方法。
  33. 前記形成工程において、実質的にフィブリノゲン、フィブリン及びトロンビンを添加しない請求項32に記載の作製方法。
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