JP6916466B2 - 溶接装置及び溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接熱源として、例えば、レーザ光を用いた溶接装置及び溶接方法に関するものである。
上記した溶接熱源としてレーザ光を用いたレーザ溶接において、例えば、平板同士を突合せ溶接する場合には、被溶接物である平板のレーザ光照射部分に金属ヒューム,レーザプルーム等の金属蒸気やスパッタ(金属溶滴)が発生する。この金属蒸気やスパッタがレーザ光を照射するレーザヘッドの光学系に付着すると、レーザ光が遮られて被溶接物へのレーザ照射が不安定になる。
従来、レーザ光照射部分に生じる金属蒸気やスパッタがレーザヘッドの光学系に付着することを防ぐための策を講じたレーザ溶接装置として、負圧環境下でレーザ溶接を行うレーザ溶接装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このレーザ溶接装置は、被溶接物上に載置されて内側が溶接チャンバとして機能する筐体と、この筐体のレーザ光照射口に超音速ガス流による空気窓を生成して溶接チャンバ内に負圧環境を作り出す空気窓生成機構と、筐体の開口部に配置されたシール部を備えており、筐体及び被溶接物を相対的に移動させつつレーザ溶接を行うようになっている。
このレーザ溶接装置において、溶接時にはレーザ光照射部分に金属ヒューム,レーザプルーム等の金属蒸気やスパッタが発生するが、これらの金属蒸気やスパッタは、空気窓生成機構の空気窓を生成する超音速ガス流の流れに乗って筐体外部に排出されるので、金属蒸気やスパッタがレーザヘッドの光学系に付着するのを抑えることができる。
また、このレーザ溶接装置において、筐体の開口部には被溶接物と接するシール部が配置されているので、筐体及び被溶接物を相対的に移動させつつ行うレーザ溶接時には、外気及び溶接チャンバ間の差圧を維持することができる。
特開2014−128832号公報
しかしながら、上記したレーザ溶接装置において、被溶接物と接するシール部を筐体の開口部に配置しているので、筐体が相対的に摺動する被溶接物の表面が滑らかな場合には、外気の溶接チャンバ内への入り込みを少なく抑えることができるものの、被溶接物の表面が粗い場合には、かなりの量の外気が溶接チャンバ内へ入り込んでしまう。
つまり、上記したレーザ溶接装置のシール性能は、筐体が相対的に摺動する被溶接物の表面粗さの度合いに左右されてしまい、被溶接物の表面が粗い場合には、相当量の外気の溶接チャンバ内への入り込みを排除することができず、その結果、溶接金属の酸化を引き起こして溶接品質の低下を招きかねないという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっている。
本発明は、上記したような従来の課題を解決するためになされたもので、被溶接物の表面粗さの度合いに関わりなく、被溶接物の溶接金属が外気に触れるのを少なく抑えることができ、したがって、溶接金属が外気に触れることによる溶接品質の低下を防ぐことが可能である溶接装置及び溶接方法を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様は、レーザ光である溶接熱源と、被溶接物の前記溶接熱源による溶接が施される溶接線を囲んで該被溶接物の表面上に配置される固定ベースと、前記被溶接物の前記溶接線を前記固定ベースとともに覆い且つ前記溶接熱源と一体で該固定ベースに対して前記溶接線に沿って摺動する可動ベースと、前記固定ベースに配置されて、該固定ベース及び前記被溶接物間において前記溶接線を囲むシール部と、前記固定ベース及び前記可動ベースで覆われた前記被溶接物の前記溶接熱源としてのレーザ光が照射される前記溶接線の部分に負圧環境を生じさせる負圧環境発生部を備えている構成としている。
また、本発明の第2の態様において、前記シール部は、前記固定ベースに保持されて前記被溶接物の表面に接触するOリングである構成としている。
さらに、本発明の第3の態様において、前記シール部は、前記固定ベースに形成されて前記被溶接物の表面に向けてガスが噴出する複数のガス噴出孔を含む構成としている。
さらにまた、本発明の第4の態様は、前記固定ベース及び前記可動ベースで覆われた前記被溶接物の前記溶接線の部分を不活性雰囲気に保つ不活性雰囲気維持部を備えている構成としている。
さらにまた、本発明の第5の態様において、前記固定ベース及び前記可動ベースの互いに摺動する各摺動部は、いずれか一方が凸条状を成し、いずれか他方が凹溝状を成している構成としている。
さらにまた、本発明の第6の態様において、前記固定ベースは貫通孔を有し、前記可動ベースは、前記固定ベースの前記貫通孔に摺動可能に嵌合されるピストン状を成している構成としている。
さらにまた、本発明の第の態様において、前記負圧環境発生部は、前記被溶接物に照射されるレーザ光を横切る方向にガスを噴射するノズル、及び、前記ノズルと前記レーザ光を挟んで対峙して該ノズルから噴射されて前記レーザ光を横切ったガスを導入するディフューザを具備している構成としている。
一方、本発明の第の態様は、被溶接物に溶接を行うに際して、レーザ光である溶接熱源による溶接が施される前記被溶接物の溶接線を囲むシール部を有する固定ベースを該被溶接物の表面上に配置し、前記被溶接物の前記溶接線を前記固定ベースとともに覆い且つ前記溶接熱源及び前記溶接線の部分に負圧環境を生じさせる負圧環境発生部と一体で該固定ベースに対して前記溶接線に沿って摺動する可動ベースを前記固定ベース上に配置した後、前記可動ベースを前記溶接熱源及び前記負圧環境発生部とともに前記溶接線に沿って移動させつつ溶接を行う構成としている。
本発明に係る溶接装置では、被溶接物の表面粗さに左右されずに、被溶接物の溶接金属が外気に触れるのを少なく抑えることが可能であり、その結果、溶接金属が外気に触れることによる溶接品質の低下を防ぐことができるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明に係る溶接装置の一実施形態によるレーザ溶接装置を概略的に示す断面説明図である。 図1のレーザ溶接装置における固定ベースの底面説明図である。 図1のA−A線位置に基づく部分拡大断面説明図である。 図1のレーザ溶接装置により突合せ接合される一対の平板をタブ板で仮付けした状態を示す部分斜視説明図である。 本発明に係る溶接装置の他の実施形態によるレーザ溶接装置を概略的に示す断面説明図である。 図5のレーザ溶接装置をB方向から見た矢視説明図である。 本発明に係る溶接装置のさらに他の実施形態によるレーザ溶接装置を概略的に示す断面説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る溶接装置を示しており、この実施形態では、本発明をレーザ溶接装置に適用して一対の平板同士の突合せ溶接を行う場合を例示している。
図1に示すように、このレーザ溶接装置1は、レーザ発振器2と、光ファイバ3を介してレーザ発振器2と接続するレーザヘッド4と、このレーザヘッド4を移動させる駆動機構5と、溶接速度やレーザ出力やレーザ光のスポット径等をコントロールする制御部6を備えている。
この実施形態に係るレーザ溶接装置1に用いられるレーザとしては、YAGレーザやCOレーザやファイバーレーザやディスクレーザを挙げることができるが、これらのものに限定されない。
レーザヘッド4は光学系であるレンズ4aを具備しており、レーザ発振器2から供給されるレーザ光を円錐形状のレーザ光路Lに集光して一対の平板(被溶接物)W,W間の開先Waに照射する(図1では手前側の平板Wのみ示す)。駆動機構5は、開先Waに沿って配置されたレール5aと、スライダ5bを具備しており、スライダ5bは、レーザヘッド4を装着して図示しないモータの出力によりレール5a上を黒太矢印方向に移動する。
また、このレーザ溶接装置1は、一対の平板W,Wのレーザ光照射部分である開先Wa付近に、すなわち、レーザ光路Lの焦点LA付近に負圧環境を生じさせる負圧環境発生部10を備えている。
この負圧環境発生部10は、レーザヘッド4の下部に装着された被覆筒11と、被覆筒11の下方に配置された負圧発生器20と、不活性ガスが充填された負圧発生用ガスボンベ12を具備している。
被覆筒11は負圧発生器20に至るまでのレーザ光路Lを覆っており、この被覆筒11の上端部には、レーザヘッド4のレンズ4aとともに光学系を構成する保護ガラス11aが内蔵されている。
負圧発生器20は、レーザヘッド4の移動方向(図示左方向)の後退側に配置されるトップブロック21と、このトップブロック21にレーザヘッド4から照射されるレーザ光路Lを横切る方向に沿って配置されたノズル22と、レーザヘッド4の移動方向の前進側に配置されるエンドブロック23と、このエンドブロック23にノズル22とレーザ光路Lが通過する孔部25を挟んで対峙して配置されたディフューザ24を具備している。
この負圧発生器20は、制御部6からの指令により、負圧発生用ガスボンベ12から白抜き矢印に示すようにして供給される不活性ガスをノズル22から噴射し、このノズル22から噴射されてレーザ光路Lを横切る不活性ガスをディフューザ24に導入して白抜き矢印に示すようにして拡散させて、ノズル22及びディフューザ24間に不活性ガスを増速して流すことで、レーザ光路Lの焦点LA付近に負圧環境を生じさせる。
この「負圧環境」とは、90kPa以下の圧力の雰囲気を指し、ノズル22からの不活性ガスの噴射速度は、ノズル22及びディフューザ24間を90kPa以下の圧力雰囲気にし得る速度である。
さらに、このレーザ溶接装置1は、負圧環境発生部10の負圧発生器20の下方に位置する固定ベース13及び可動ベース16を備えている。
固定ベース13は長尺状をなしており、平板W,Wの表面Wb上に配置されている。この際、平板W,Wの両端には、平板仮付け用のタブ板WT,WTが装着されており、固定ベース13は、平板W,Wの表面Wb上及びタブ板WT,WTの表面WTb上に跨って配置されている。
また、固定ベース13には、図2に示すように、平板Wのレーザ光路Lの焦点LA付近を含めた溶接線WLを臨む開口13aが中央部分に形成され、段差13bが平板Wとの対向面の周縁に沿って形成されている。
段差13bには、シール部を構成するOリング14、すなわち、タブ板WT,WTの表面WTbと当接してシールするOリング14が嵌め込まれており、このOリング14はリング押さえ13cにより固定されている。
さらに、固定ベース13には、Oリング14とともにシール部を構成する口径1mm程度のガス噴出孔13dが多数配置されており、これらのガス噴出孔13dは、Oリング14の周りに位置するリング押さえ13cの下面(平板Wの表面Wbとの対向面)で開口している。これらのガス噴出孔13dは、リング押さえ13cの全周にわたってほぼ等間隔に形成されており、シールドガスボンベ15からの不活性ガス(ガス)を平板Wの表面Wbに向けて噴出させてガス溜まりとすることで、溶接線WLの周囲をシールするようにしている。
この実施形態においては、Oリング14及びガス噴出孔13dをシール部として採用している。すなわち、シール部は、Oリング14及びガス噴出孔13dを含む構成としている。しかし、シール部の構成はこれに限定されず、例えば、タブ板WT,WTの表面WTbの表面粗さが小さい場合には、Oリング14及びガス噴出孔13dのうちの少なくともいずれか一方のみをシール部として採用してもよく、表面WTbの表面粗さが極めて小さい場合には、Oリング14及びガス噴出孔13dに代えてグリスをシール部として採用してもよい。
また、多数のガス噴出孔13dの配置間隔は等間隔に限定されるものではなく、ガス噴出孔13dの口径も1mmに限定されない。さらに、シール部はOリング14,ガス噴出孔13d及びグリスのいずれにも限定されない。
一方、可動ベース16も長尺状をなしており、負圧発生器20におけるトップブロック21及びエンドブロック23に跨って固定されていて、図3にも示すように、孔部25に連続するレーザ光路Lの通過孔16aを中央に有している。
この可動ベース16は、燐青銅をクロムコートして硬質化したもので形成されており、下方に向けて張り出す帯部16eを有している。この凸条状を成す帯部16eは、固定ベース13に形成した溝部13eに摺動可能に嵌合されており、可動ベース16における帯部16eの固定ベース13との摺動面16fは、研磨を施して表面粗さを極力小さくした平滑面としてある。
そして、この可動ベース16は、固定ベース13とともに平板W,W間の溶接線WLを覆いつつ固定ベース13に対してレーザヘッド4及び負圧発生器20と一体で溶接線WLに沿って摺動するようになっている。
この際、可動ベース16は、燐青銅をクロムコートして硬質化したものに限定されることはない。また、可動ベース16の固定ベース13に対する摺動性や、固定ベース13との間の密閉性を高めるために、可動ベース16の摺動面16fを樹脂で被覆してもよく、また、摺動面16fにグリスを塗布してもよい。
この実施形態において、可動ベース16とエンドブロック23(トップブロック21)との間で且つ孔部25及び通過孔16aの周囲には不活性雰囲気維持部としてのOリング17が配置され、可動ベース16と対向する固定ベース13の溝部13eには、Oリング17と同じくシールドガスボンベ15からの不活性ガスを流す不活性雰囲気維持部としてのガス溝13fが形成されている。
ここで、負圧発生用ガスボンベ12及びシールドガスボンベ15に充填される不活性ガスとしては、窒素やアルゴンやヘリウム等の各ガスやこれらの混合ガスが使用される。
なお、この実施形態では、Oリング17及びガス溝13fを不活性雰囲気維持部として採用しているが、不活性雰囲気維持部は、Oリング17及びガス溝13fのうちのいずれか一方でもよい。また、不活性雰囲気維持部は、Oリング17及びガス溝13fに限定されるものではない。
また、可動ベース16には、通過孔16aを通るレーザ光路Lを覆う先細り筒18が装着されており、可動ベース16が固定ベース13に対して摺動する際は、先細り筒18が固定ベース13の開口13a内を移動する。
ここで、長尺状を成す可動ベース16は、固定ベース13に対して摺動しつつ溶接を行う場合、先細り筒18以外の部分で固定ベース13の溶接線WLを臨む開口13aをすべて覆うことが必須になるので、溶接線WLの約2倍の長さ寸法を必要とするが、溶接線WLの距離が長い場合には、可動ベース16に延長用可動ベースを継ぎ足して対応することができる。
このように、延長用可動ベースを継ぎ足した場合であったとしても、可動ベース16と負圧発生器20との間で且つ孔部25及び通過孔16aの周囲にOリング17を配置していると共に、可動ベース16と対向する固定ベース13の溝部13eにシールドガスボンベ15からの不活性ガスを流すガス溝13fを形成しているので、溶接線WLの部分での不活性雰囲気は維持される。
なお、図3における符号19はプランジャであり、可動ベース16の固定ベース13からの脱落を防ぐと共に、可動ベース16を固定ベース13に対して適度の圧力で押し付けている。
この実施形態における負圧発生器20のノズル22及びディフューザ24は、いずれも図示した形状のものに限定されるものではなく、例えば、ガス噴射孔を楕円形状としたノズルを採用してもよいほか、ノズル22及びディフューザ24を複数個ずつ配置してもよい。
次に、このレーザ溶接装置1によって、一対の平板W,W間の開先Waに突合せ溶接を行って、一対の平板W,W同士を接合する場合の要領(レーザ溶接方法)を説明する。
まず、図4に示すように、平板W,Wの両端(一端側のみ示す)にタブ板WT,WTを装着して、平板W,Wを仮接合する。この際、平板Wの端部とタブ板WTとの間に凹凸Nがある場合には、パテを塗布したり平滑化加工を施したりして凹凸Nをなくす。
この前処理の後、平板W,W間の開先Wa(溶接線WL)をシール部であるOリング14及び多数のガス噴出孔13dで囲むようにして(固定ベース13の開口13aを溶接線WLに合わせて)、固定ベース13を平板W,Wの表面Wb上(タブ板WT,WTの表面WTb上)に配置する。
続いて、平板W,W間の溶接線WLを覆うようにして、レーザヘッド4及び負圧発生器20と一体を成す可動ベース16を固定ベース13上に配置する。
そして、レーザヘッド4から照射されるレーザ光路Lを挟んで対峙させた負圧環境発生部10の負圧発生器20のノズル22から、レーザ光路Lを横切る方向に不活性ガスを高速で噴射させると共に、レーザ光路Lを横切った不活性ガスをディフューザ24に導入し、これとほぼ同時に、ガス噴出孔13dから平板Wの表面Wbに向けてシールドガスボンベ15からの不活性ガスを噴出させる。
この状態で溶接を開始して、レーザ光路Lを一対の平板W,W間の溶接線WLに照射しつつ、駆動機構5によって可動ベース16をレーザヘッド4及び負圧発生器20とともに開先Waに沿って一体で移動させる。
このレーザヘッド4及び負圧発生器20の移動により、一対の平板W,W間の溶接線WLには溶接ビードが形成され、この間、一対の平板W,W間の溶接線WLに対するレーザ光路Lの照射により、一対の平板W,Wから金属蒸気やスパッタが噴出するが、この金属蒸気やスパッタの大半は、負圧環境発生部10における負圧発生器20のノズル22及びディフューザ24間を高速で流れる不活性ガスに乗ってディフューザ24に吸引されることとなり、金属蒸気やスパッタがレーザヘッド4のレンズ4aに付着することが少なく抑えられることとなる。
加えて、可動ベース16には、通過孔16aを通るレーザ光路Lを覆う先細り筒18が装着されていて、固定ベース13に対して可動ベース16が摺動する際には、この先細り筒18が固定ベース13の開口13a内を移動するので、レーザ光路Lの照射によって一対の平板W,Wから噴出する金属蒸気やスパッタの広がりを抑え得ることとなる。
この間、レーザヘッド4及び負圧発生器20と一体を成す可動ベース16は、平板W,W上を摺動するのではなく、平板W,Wの表面Wb上に配置した固定ベース13に対して摺動するので、平板W,W(タブ板WT,WT)の表面粗さの度合いに関わりなく、平板W,W間の溶接線WLが外気に触れるのを少なく抑え得ることとなる。そして、溶接中において、平板W,W間の溶接線WLをOリング14で囲っていると共に、同じく平板W,W間の溶接線WLを囲う多数のガス噴出孔13dから不活性ガスを噴出させているので、溶接線WLが外気に触れることを抑制でき、その結果、溶接ビード(溶接金属)が外気に触れることによる溶接品質の低下を防ぎ得ることとなる。
また、上記した実施形態に係るレーザ溶接装置1では、可動ベース16と負圧発生器20との間で且つ孔部25及び通過孔16aの周囲に、不活性雰囲気維持部としてのOリング17を配置していると共に、可動ベース16と対向する固定ベース13の溝部13eに、シールドガスボンベ15からの不活性ガスを流す不活性雰囲気維持部としてのガス溝13fを形成しているので、平板W,W間の溶接線WLの部分を不活性雰囲気に保ち得ることとなり、したがって、溶接品質の低下をより確実に防ぎ得ることとなる。
さらに、上記した実施形態に係るレーザ溶接装置1では、互いに摺動する可動ベース16に凸条状を成す帯部16eを設け、固定ベース13に帯部16eを摺動可能に嵌合する溝部13eを設けているので、可動ベース16の固定ベース13に対する摺動が安定して成されることとなる。加えて、可動ベース16に燐青銅をクロムコートして硬質化したものを採用したうえで、帯部16eの固定ベース13との摺動面16fを研磨が施された平滑面としているので、可動ベース16の固定ベース13に対する摺動性や、固定ベース13との間の密閉性がいずれも高まることとなる。
図5及び図6は、本発明の他の実施形態に係る溶接装置を示しており、この実施形態でも、本発明をレーザ溶接装置に適用して一対の平板同士の突合せ溶接を行う場合を例示している。
図5及び図6に示すように、このレーザ溶接装置51は、光ファイバ53を介して図外のレーザ発振器と接続するレーザヘッド54と、一対の平板W,Wのレーザ光照射部分である開先Wa付近に、すなわち、レーザ光路Lの焦点LA付近に負圧環境を生じさせる負圧環境発生部60と、固定ベース63と、可動ベース66を備えており、負圧環境発生部60は、ノズル72及びディフューザ74で構成される負圧発生器70を具備している。
固定ベース63は中心に断面円形の貫通孔63cを有する角筒状をなしており、平板W,Wの表面Wb上及び平板W,Wの両端部に配置した仮付け用のタブ板WT,WTの表面WTb上に配置されている。
この固定ベース63の中央部分には、平板W,W間の開先Wa(溶接線)を臨む開口63aが形成され、タブ板WT,WTの表面WTbとの対向面63dには、開口63aを囲むようにして溝63bが形成されており、この溝63bには、シール部を構成するOリング64、すなわち、タブ板WT,WTの表面WTbと当接してシールするOリング64が嵌め込まれている。
一方、可動ベース66は、固定ベース63の貫通孔63cに摺動可能に嵌合されるピストン状を成しており、固定ベース63の開口63aに連続する孔66aを中央に有している。なお、固定ベース63の貫通孔63c及びピストン状の可動ベース66は、いずれも断面円形に限定されない。
この実施形態において、負圧発生器70は、レーザヘッド54とともに可動ベース66内に組み込まれている。レーザヘッド54は、可動ベース66の軸心に沿って配置されており、このレーザヘッド54から照射されるレーザ光路Lは、可動ベース66内のミラー54aにより方向が変えられて、可動ベース66の孔66a及び固定ベース63の開口63aを通して一対の平板W,Wのレーザ光照射部分である開先Wa付近に焦点LAが向かうように設定されている。
負圧発生器70のノズル72は、ミラー54aで方向が変えられたレーザ光路Lを横切る方向に沿って(可動ベース66の軸心に沿って)配置され、ディフューザ74は、ノズル72とレーザ光路Lが通過する孔66aを挟んで対峙して配置されている。
この負圧発生器70は、図外の負圧発生用ガスボンベから矢印に示すようにして供給される不活性ガスをノズル72から噴射し、このノズル72から噴射されてレーザ光路Lを横切る不活性ガスをディフューザ74に導入して矢印に示すようにして排出させて、ノズル72及びディフューザ74間に不活性ガスを増速して流すことで、レーザ光路Lの焦点LA付近に負圧環境を生じさせる。
この実施形態において、固定ベース63の両端部で且つ可動ベース66が摺接する固定ベース63の貫通孔63cの内周面には、図外のシールドガスボンベからの不活性ガスを流す不活性雰囲気維持部としてのガス溝63fと、これと同じく不活性雰囲気維持部としてのOリング67を嵌め込むためのリング溝63gが形成されている。
このレーザ溶接装置51は、図示はしないが、レーザヘッド54及び負圧発生器70を組み込んだ可動ベース66を移動させる駆動機構と、溶接速度やレーザ出力やレーザ光のスポット径等をコントロールする制御部を備えている。
この実施形態では、レーザヘッド54が負圧発生器70とともに可動ベース66内に組み込まれるようにしているが、図7に示す溶接装置51Aのように、固定ベース63に上部開口63h及びこれを覆う窓69を設け、可動ベース66の外部に位置させたレーザヘッド54からのレーザ光路Lが、窓69及び上部開口63hを通して、一対の平板W,Wのレーザ光照射部分である開先Wa付近に焦点LAが向かうようにしてもよい。
上記した実施形態に係るレーザ溶接装置51,51Aにおいて、負圧発生器70を組み込んだピストン状の可動ベース66は、いずれも平板W,W上を摺動するのではなく、平板W,W間の開先Wa(溶接線)をOリング64で囲うべく平板W,Wの表面Wb上に配置した固定ベース63に対して摺動する。
したがって、上記したレーザ溶接装置51,51Aでは、平板W,W(タブ板WT,WT)の表面粗さの度合いに関わりなく、平板W,W間の溶接線WLが外気に触れるのを少なく抑え得ることとなり、その結果、溶接ビードが外気に触れることによる溶接品質の低下を防ぎ得ることとなる。
また、上記したレーザ溶接装置51,51Aでは、固定ベース63の両端部で且つ可動ベース66が摺接する固定ベース63の貫通孔63cの内周面に、図外のシールドガスボンベからの不活性ガスを流す不活性雰囲気維持部としてのガス溝63fを形成していると共に、これと同じく不活性雰囲気維持部としてのOリング67を配置しているので、平板W,W間の開先Waの部分を不活性雰囲気に保ち得ることとなり、したがって、溶接品質の低下をより確実に防ぎ得ることとなる。
さらに、上記した実施形態に係るレーザ溶接装置51,51Aでは、ピストン状を成す可動ベース66にレーザヘッド54及び負圧発生器70(レーザ溶接装置51Aでは負圧発生器70)を組み込んだうえで、この可動ベース66を固定ベース63に形成した貫通孔63cに摺動可能に嵌合するようにしているので、溶接装置のコンパクト化が図られることとなる。
上記した実施形態では、いずれも本発明をレーザ溶接装置に適用して一対の平板同士の突合せ溶接を行う場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、本発明を溶接熱源がアークである溶接装置による肉盛溶接に適用してもよい。
この場合には、溶接部を負圧環境とする必要がないので、シールドガスとして、窒素やアルゴンやヘリウム等の各不活性ガスやこれらの混合ガスに加えて、酸素と反応して気泡の発生を抑え得る炭酸ガス(活性ガス)も使用することができる。
また、上記した実施形態では、負圧環境発生部10(60)が、ノズル22(72)及びディフューザ24(74)で構成される負圧発生器20(70)を具備している場合を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、負圧環境発生部が負圧発生器としての真空ポンプを備えている構成としてもよい。
本発明に係る溶接装置及び溶接方法の構成は、上記した実施形態に限られるものではない。
1,51,51A レーザ溶接装置(溶接装置)
10,60 負圧環境発生部
12 負圧発生用ガスボンベ(負圧環境発生部)
13,63 固定ベース
13d ガス噴出孔(シール部)
13e 溝部
13f ガス溝(不活性雰囲気維持部)
14,64 Oリング(シール部)
15 シールドガスボンベ(不活性雰囲気維持部)
16,66 可動ベース
16e 帯部
17,67 Oリング(不活性雰囲気維持部)
20,70 負圧発生器(負圧環境発生部)
22,72 ノズル(負圧発生器)
24,74 ディフューザ(負圧発生器)
63f ガス溝(不活性雰囲気維持部)
63g リング溝(不活性雰囲気維持部)
L レーザ光路
LA レーザ光路の焦点
W 平板(被溶接物)
Wa 開先(溶接線)
Wb 平板の表面
WL 溶接線

Claims (8)

  1. レーザ光である溶接熱源と、
    被溶接物の前記溶接熱源による溶接が施される溶接線を囲んで該被溶接物の表面上に配置される固定ベースと、
    前記被溶接物の前記溶接線を前記固定ベースとともに覆い且つ前記溶接熱源と一体で該固定ベースに対して前記溶接線に沿って摺動する可動ベースと、
    前記固定ベースに配置されて、該固定ベース及び前記被溶接物間において前記溶接線を囲むシール部と、
    前記固定ベース及び前記可動ベースで覆われた前記被溶接物の前記溶接熱源としてのレーザ光が照射される前記溶接線の部分に負圧環境を生じさせる負圧環境発生部を備えている溶接装置。
  2. 前記シール部は、前記固定ベースに保持されて前記被溶接物の表面に接触するOリングである請求項1に記載の溶接装置。
  3. 前記シール部は、前記固定ベースに形成されて前記被溶接物の表面に向けてガスが噴出する複数のガス噴出孔を含む請求項1に記載の溶接装置。
  4. 前記固定ベース及び前記可動ベースで覆われた前記被溶接物の前記溶接線の部分を不活性雰囲気に保つ不活性雰囲気維持部を備えている請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の溶接装置。
  5. 前記固定ベース及び前記可動ベースの互いに摺動する各摺動部は、いずれか一方が凸条状を成し、いずれか他方が凹溝状を成している請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の溶接装置。
  6. 前記固定ベースは貫通孔を有し、前記可動ベースは、前記固定ベースの前記貫通孔に摺動可能に嵌合されるピストン状を成している請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の溶接装置。
  7. 前記負圧環境発生部は、前記被溶接物に照射されるレーザ光を横切る方向にガスを噴射するノズル、及び、前記ノズルと前記レーザ光を挟んで対峙して該ノズルから噴射されて前記レーザ光を横切ったガスを導入するディフューザを具備している請求項1〜6のいずれか一つの項に記載の溶接装置。
  8. 被溶接物に溶接を行うに際して、
    レーザ光である溶接熱源による溶接が施される前記被溶接物の溶接線を囲むシール部を有する固定ベースを該被溶接物の表面上に配置し、
    前記被溶接物の前記溶接線を前記固定ベースとともに覆い且つ前記溶接熱源及び前記溶接線の部分に負圧環境を生じさせる負圧環境発生部と一体で該固定ベースに対して前記溶接線に沿って摺動する可動ベースを前記固定ベース上に配置した後、
    前記可動ベースを前記溶接熱源及び前記負圧環境発生部とともに前記溶接線に沿って移動させつつ溶接を行う溶接方法。
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