JP6916012B2 - 電線の保持構造 - Google Patents

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Description

本発明は、電線の保持構造に関する。
例えば電池自動車やハイブリッド電気自動車等の車両に搭載されるバッテリーは、複数のモジュール集合体同士を電気的に接続してなる。このような複数のモジュール集合体間の接続は、大電流が流れるため、バスバーや径の太い電線等により行われる。
特開2002−10439号公報
しかし、バスバーにより接続する場合には、モジュール集合体の配置により専用の形状のバスバーおよび絶縁カバーが必要となったり、設置時の公差吸収が困難であるという問題がある。また、電線により接続する場合には、径が太いため、屈曲し難い等取り扱いが困難であるとともに、配索状態の美観が悪かったり、屈曲状態から戻ろうとする回復力によりモジュール集合体の配置や接続状態に悪影響を及ぼす虞がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、屈曲し難い太い径の電線を使用する場合でも、電線の取り扱いや設置が容易な電線の保持構造を提供することを目的とするものである。
本発明は、芯線が絶縁被覆により被覆された電線の屈曲された屈曲部が保持部材により保持された電線の保持構造であって、前記屈曲部は、前記絶縁被覆が剥がされて露出した状態の前記芯線が屈曲されるとともに絶縁性の前記保持部材により覆われた状態で屈曲状態が保持されており、前記保持部材は、前記電線の延び方向において前記屈曲部の両側に位置する前記絶縁被覆を収容する一対の被覆収容部を有している。
このような構成によれば、電線は露出された芯線の部分で屈曲されるから、所望の角度に屈曲し易い。また、屈曲部に絶縁被覆による回復力も作用しないから、屈曲状態が維持され易い。しかも、この屈曲部は絶縁性の保持部材により被覆されて、屈曲状態が確実に保持されるようになっている。また、保持部材により外部との絶縁性も確保される。
さらに、保持部材は被覆保持部を有しているから、芯線の露出部と保持部材との寸法公差や、電線の設置公差が生じた場合でも、保持部材から芯線が露出することが抑制され、絶縁性がより確実に確保される。
上記電線の保持構造は、以下の構成を備えていてもよい。
保持部材は内部に収容した電線の余長を吸収する余長吸収部を備えていてもよい。
このような構成によれば、芯線の露出部と保持部材との寸法公差や、例えば、接続部材間の配置交差(電線の設置公差)が大きい場合でも、保持部材の余長吸収部によりそれらの公差を吸収することができる。
保持部材は内部に収容した露出した状態の芯線を抜け止め状態に保持する抜止部を備えていてもよい。このような構成によれば、保持部材から芯線が露出することがより確実に抑制される。
保持部材は被取付部に取り付けるための取付部を一体に備えていてもよい。このような構成によれば、電線を取り付けたい所望の位置に安定した状態で配索することができる。
保持部材は電線の延び方向に沿って分割された第1分割体および第2分割体を備えており、第1分割体は、絶縁被覆の周囲を第2保持部との間で保持する第1保持部を備えており、第2分割体は、第1分割体に組み付けられた状態で第1保持部との間で絶縁被覆の周囲を保持する第2保持部を備えている構成としてもよい。
このような構成によれば、屈曲された電線に保持部材を簡単に取り付けることができる。また、第1分割体と第2分割体との組み付け状態においては、第1保持部と第2保持部との間に絶縁被覆の周囲を保持するようになっているから、電線が延び方向において保持部材から位置ずれすることが抑制されるとともに、電線が振動によりがたつくことが抑制される。
本発明によれば、屈曲し難い太い径の電線を使用する場合でも、電線の取り扱いや設置が容易な電線の保持構造が得られる。
一実施形態の電線の保持構造を示す斜視図 同じく電線の保持構造を示す分解斜視図 保持部材および電線の斜め前方からの分解斜視図 保持部材および電線の斜め後方からの分解斜視図 内側ホルダの正面図 内側ホルダの背面図 内側ホルダの右側面図 外側ホルダの平面図 外側ホルダの背面図 外側ホルダの左側面図 クランプの正面図 クランプの背面図 クランプの左側面図 電線を内側ホルダに組み付けた状態の斜め前方からの分解斜視図 電線を内側ホルダに組み付けた状態の斜め後方からの分解斜視図 電線を保持部材に保持させた状態の斜め前方からの斜視図 電線を保持部材に保持させた状態の斜め後方からの斜視図 電線を保持部材に保持させた状態の背面図 図18の一部断面背面図 電線を保持部材に保持させた状態の一部断面左側面図 電線を保持部材に保持させた状態の一部断面底面図
本発明の一実施形態を図1ないし図21によって説明する。
本実施形態の電線の保持構造1は、例えば電気自動車等の車両に搭載された複数の蓄電モジュール10を接続する場合に使用することができる。図1に示すように、保持構造1は、電線20と、電線20の屈曲部23に装着されて当該屈曲部23を保持する保持部材30と、を備えている。電線20は、保持部材30を蓄電モジュール10のケース11に設けられた取付孔15(被取付部の一例)に固定することにより、所定の位置に配索される。
以下の説明においては、図1の上を上方、下を下方、左下を前方、右上を後方、左上を左、右下を右とする。また、前方をX方向、左方をY方向とする。なお、これらの方向は説明の便宜のために用いるものであり、保持構造1は、車両に対して任意の姿勢で配置することができる。
蓄電モジュール10は、合成樹脂製で直方体状の箱形のケース11の内部に複数の蓄電素子(図示せず)を備えたものであって、ケース11の上壁のうち、長尺方向における一対の角部には、正極および負極の電極端子12が設けられている。電極端子12は、扁平な板状の端子台13と、端子台13の中央部から上方に向けて突出する丸棒状の電極ポスト14とから構成されている。
ケース11の側壁のうち前方に位置する側壁の、図1中右上の角部付近には、保持部材30をケース11に取り付けるための取付孔15が貫通して形成されている。取付孔15は、横長の楕円形状をなしている。
電線20は、金属製の芯線21の外周が合成樹脂製の絶縁被覆22により被覆されてなる。その両端部には、図2に示すように、蓄電モジュール10に接続するための接続端子25が一対設けられている。各接続端子25は板状をなすとともに、板面に沿ってL字形状に屈曲された形態をなしており、その先端の接続部に、蓄電モジュール10の電極ポスト14を挿通させるための接続孔26が設けられている。
電線20は、図3に示すように、その長さ方向における中間部において絶縁被覆22が一部剥がされており、その剥がされた部分から芯線21が露出している。そして芯線21の露出部分が、略直角に屈曲された屈曲部23とされている。
なお、本実施形態の電線20は絶縁被覆22の内部に2本の芯線21を備えている。
電線20の屈曲部23には、保持部材30が装着されている。保持部材30は合成樹脂製であって、図3および図4に示すように、電線20の延び方向(X方向およびY方向)に沿って二分割された内側ホルダ31(第1分割体の一例)、および、外側ホルダ51(第2分割体の一例)と、内側ホルダ31に取り付けられて蓄電モジュール10のケース11に固定するためのクランプ70(取付部の一例)と、を組み立てて構成されている。
内側ホルダ31は、例えば図3に示すように、電線20の屈曲部23の曲げ方向における内側(図3の上方)に配されるものであって、曲げ方向における外側(図3の下方)に向けて開放された形態をなして電線20を収容する内側電線収容溝32を備えている。すなわち内側電線収容溝32は、その内壁が曲げ方向における外側を向くように、延び方向における中央付近がL字形状に屈曲されている。この屈曲された部分を内側屈曲部33とする。
内側電線収容溝32は、内側屈曲部33付近が、露出された芯線21が配設される内側芯線収容部36とされ、当該内側芯線収容部36の両端側が、電線20の絶縁被覆22が配設される内側被覆収容部37とされている。これら一対の内側被覆収容部37は、互いに直交する方向(X方向およびY方向)に延びている。
以下、内側電線収容溝32のうち、左右方向(Y方向に沿う方向)延びる部分を内側第1電線収容溝32Aとし、前後方向(X方向に沿う方向)に延びる部分を内側第2電線収容溝32Bとして説明する。
内側第2電線収容溝32Bの内側芯線収容部36には、内側第2電線収容溝32Bの底部34から立ち上がる板状の抜止片38(抜止部の一例)が設けられている。抜止片38の板面は、内側電線収容溝32の延び方向(X方向およびY方向)に沿う向きとされている。また、抜止片38の底部34からの立ち上がり寸法は、溝壁35の高さ寸法より長くなるように設定されており、後述する外側ホルダ51が組み付けられた状態において、外側ホルダ51の外側電線収容溝52の底部54にほぼ到達する寸法とされている。
この抜止片38は、電線20の保持部材30からの抜けを防止するとともに、電線20の捻れを抑制する作用を有する。
内側電線収容溝32の一対の端部には、電線20の径とほぼ同等程度の内径を有する半円形状に切り欠かれた内側第1保持部39A(第1保持部の一例)および内側第2保持部39B(第1保持部の一例)が、内側電線収容溝32を仕切るように底部34および溝壁35から立ち上がって設けられている。
一方外側ホルダ51は、図4に示すように、電線20の屈曲部23の曲げ方向における外側に配されるものであって、電線20を収容する外側電線収容溝52が、曲げ方向における内側に向けて開放された形態をなしている。この外側電線収容溝52は、露出された芯線21の周囲を内側芯線収容部36とともに覆って内部に収容するL字形状に屈曲された外側芯線収容部56と、当該外側芯線収容部56の両端部に配されて一対の内側被覆収容部37とともに電線20の絶縁被覆22部分を収容する一対の外側被覆収容部57と、から構成されている。一対の外側被覆収容部57は、互いに直交する方向(X方向およびY方向)に延びている。
以下、外側電線収容溝52のうち、左右方向(Y方向に沿う方向)延びる部分を外側第1電線収容溝52Aとし、前後方向(X方向に沿う方向)に延びる部分を外側第2電線収容溝52Bとする。
外側電線収容溝52の一対の端部には、電線20の径とほぼ同等程度の内径を有する半円形状に切り欠かれて上述した内側第1保持部39Aおよび内側第2保持部39Bとの間で電線20の絶縁被覆22の周囲を保持する外側第1保持部59A(第2保持部の一例)および外側第2保持部59B(第2保持部の一例)が、外側電線収容溝52を仕切るように底部54および溝壁55から立ち上がって設けられている。
上述した内側ホルダ31および外側ホルダ51は、互いの溝壁35,55を突き合わせるようにして組み付けられ、後述する係止機構により係止されることにより、各電線収容溝32,52内に電線20を収容するようになっている。
次に、係止機構について説明する。図3に示すように、内側ホルダ31の内側第1電線収容溝32Aのうち、内側被覆収容部37の下方側の溝壁35(下部溝壁35Bとする)の端縁部には、下方に向けて延びる板状の保持壁40が設けられている。この保持壁40の前面(外側ホルダ51側の面)のうち、左側の端部(内側屈曲部33とは反対側の端部)には、前方に向けて立ち上がって左右方向(Y方向に沿う方向)に貫通し、後述する第1係止片61を挿通させる第1受け部41が設けられている。第1受け部41の左側の縁部は略矩形に切り欠かれた第1係止部41Aとされており、この第1係止部41Aに後述する第1係止片61の第1係止爪61Aが係止するようになっている。
また、内側ホルダ31の内側第2電線収容溝32Bの上方側の溝壁35(上部溝壁35Aとする)のうち、後方側(内側屈曲部33とは反対側)の端部寄りには、上面から上方に向けて立ち上がって左右方向(Y方向に沿う方向)に貫通し、後述する第2係止片62を挿通させる第2受け部42が設けられている。第2受け部42の左側の縁部は略矩形に切り欠かれた第2係止部42Aとされており、この第2係止部42Aに第2係止片62の第2係止爪62Aが係止するようになっている。
同様に、内側ホルダ31の内側第2電線収容溝32Bの下部溝壁35Bのうち、第2受け部42に対向する位置には、下面から下方に向けて立ち上がって左右方向に貫通し、後述する第3係止片63を挿通させる第3受け部43が設けられている。第3受け部43にも第3係止部43Aが形成されており、この第3係止部43Aに第3係止片63の第3係止爪63Aが係止するようになっている。
さらに、内側ホルダ31の内側第1電線収容溝32Aの上部溝壁35Aのうち、左側(内側屈曲部33とは反対側)の端部には、上面から上方に向けて立ち上がって左右方向に貫通し、後述する補助片64を挿通させる第4受け部44が設けられている。第4受け部44は、溝壁35の高さ寸法と同等の幅寸法に設定されている。
一方、外側ホルダ51の外側第1電線収容溝52Aのうち、外側被覆収容部57の下部溝壁55Bの端縁部には、下方に向けて延びるとともに左方(Y方向)に向けてL字形状に屈曲された第1係止片61が設けられている。第1係止片61の左右方向(Y方向に沿う方向)に延びる部分の幅寸法は、第1受け部41内に挿通可能な寸法に設定されている。第1係止片61の先端には、外側(前方)に向けて突出して上述した第1係止部41Aに係止する第1係止爪61Aが設けられている。
また、外側ホルダ51の外側第2電線収容溝52Bのうち、外側被覆収容部57の上部溝壁55Aの上面には、左方(Y方向)に向けて延びる第2係止片62が設けられている。第2係止片62の幅寸法は、第2受け部42内に挿通可能な寸法に設定されている。第2係止片62の先端には、上方に向けて突出して上述した第2係止部42Aに係止する第2係止爪62Aが設けられている。
同様に、外側ホルダ51の外側第2電線収容溝52Bの下部溝壁55Bのうち、第2係止片62に対向する位置には、左方(Y方向)に向けて延びる第3係止片63が設けられている。第3係止片63の幅寸法は、第3受け部43内に挿通可能な寸法に設定されている。第3係止片63の先端にも上述した第3係止部43Aに係止する第3係止爪63Aが設けられている。
さらに、外側ホルダ51には、上部溝壁55Aの上面側において外側屈曲部53付近から外側第1電線収容溝52Aに沿って左方(Y方向)に延びる補助片64が設けられている。この補助片64の前方側および右側(外側屈曲部53側)の縁部は、上部溝壁55Aと一体とされている。
また、補助片64の左側(外側屈曲部53とは反対側)の端部は前方部分が切り欠かれることにより幅寸法が小さくされた差込部64Aとされており、この差込部64Aが上述した第4受け部44内に挿通されるようになっている。
なお、差込部64Aの先端側(外側屈曲部53とは反対側)の端縁部は、溝壁55の端縁部よりやや左側(外側屈曲部53とは反対側)に突出する位置まで延びている(図8参照)。
内側ホルダ31、および外側ホルダ51は、内側ホルダ31の第1受け部41、第2受け部42、第3受け部43内に、外側ホルダ51の第1係止片61、第2係止片62、および第3係止片63が挿通され、第1係止部41A、第2係止部42A、および第3係止部43Aに第1係止爪61A、第2係止爪62A、および第3係止爪63Aが係止することにより、組み付け状態が保持される。またこの時、第4受け部44内に補助片64の差込部64Aが挿通されることにより、組み付け姿勢が正規の姿勢に保持されるようになっている。
本実施形態の保持部材30は、上述したように、蓄電モジュール10に取り付けるためのクランプ70(取付部の一例)を備えている。クランプ70は合成樹脂材からなり、内側ホルダ31の保持壁40に取り付けられて内側ホルダ31と一体化されるようになっている。
クランプ70は、例えば図3に示すように、内側ホルダ31に取り付けるためのホルダ固定部71と、蓄電モジュール10に取り付けるためのクランプヘッド部80とを備えている。
ホルダ固定部71は、図11に示すように、正面視長方形状の被覆板部72を備えている。被覆板部72は、詳細には、その高さ方向の中央部が後方に向けて段差状に張り出した張出部73とされている(図3および図4参照)。
被覆板部72の上端縁および下端縁には、それぞれ、前方(X方向)に向けて延びる板状の案内壁部74が一体的に設けられている。また、一対の案内壁部74の間には、当該案内壁部74に沿って延びる一対の案内片75が設けられている。これら一対の案内片75は、互いの板面が面一となるように平行に配されており、一端寄り(左寄り)の位置において板状の抜止部76により架け渡されている。すなわち一対の案内片75と抜止部76とは、正面視略H形状をなすように配されている(図11参照)。
一の案内壁部74とその隣に配された案内片75とは、一方側(右側)の端部において連結部77によりそれぞれ連結されるとともに、被覆板部72と一体とされている。また、一対の案内片75のうち、抜止部76より連結部77側(右側)の領域は、互いに対向する端部が後方側(X方向と反対側)に向けて延びており、被覆板部72と連結されている。
一方、上述した保持壁40の背面側には、クランプ70の一対の案内片75を受け入れるための一対の案内片収容壁45が設けられている。これらの案内片収容壁45は、保持壁40の背面から断面L字形状に立ち上がるように設けられている。
より詳しくは、図7に示すように、上方側の案内片収容壁45は、内側第1電線収容溝32Aの下部溝壁35Bから所定距離離れた位置から後方(X方向と反対方向)に向けて立ち上がるとともに、下方に向けてL字形状に屈曲されている。また、下方側の案内片収容壁45は、保持壁40の下端から後方に向けて立ち上がるとともに、上方に向けてL字形状に屈曲されている。図3に示すように、一対の案内片75は、これらの一対の案内片収容壁45の間に右から左に向けて(Y方向に)挿入されるようになっている。
一対の案内片収容壁45は、案内片75の挿入方向の先端側において案内片75を突き当てるための突当部46を備えている(図6および図19参照)。突当部46も保持壁40から後方に向けて立ち上がるように設けられており、案内片収容壁45と連なっている。
また一対の案内片収容壁45は、案内片75の挿入方向における先端寄りの位置(左寄りの位置、図6の背面図においては右寄りの位置)において、連結壁47により一部が連結されている。この連結壁47には、一対の案内片収容壁45の間において前記挿入方向と反対方向(右方、Y方向と反対側)に向けて延びる規制片保持部48が設けられている。
規制片保持部48は、保持壁40側(前方、X方向)に向けて開放する断面U字形状をなしており、その内側に、先端部(右端部)から保持壁40側(前方、X方向)かつ挿入方向側(左方、Y方向)に向けて片持ち状に延びてクランプ70の抜止部76をの移動を規制する規制片49が設けられている(図21参照)。
クランプ70を保持壁40に保持させる際には、クランプ70の一対の案内片75を一対の案内片収容壁45の間に挿入するとともに、上側の案内壁部74を内側第1電線収容溝32Aの下部溝壁35Bと上側の案内壁部74との間の隙間(以下、案内溝50とする)に挿入する。
クランプ70が保持壁40の所定の位置に保持された状態においては、図19に示すように、一対の案内片75が突当部46に突き当てられて挿入方向側(Y方向)への抜け止めがなされるとともに、抜止部76の右方(Y方向と反対方向)への移動が規制片49により規制されることにより、挿入方向と反対側(Y方向と反対方向)への抜け止めがなされるようになっている。
なお、上述した規制片49は、一対の案内片75が突当部46に突き当てられた状態において、抜止部76との間に若干の隙間Sを有するように設定されている。
クランプヘッド部80は、例えば図12および図13に示すように、被覆板部72の背面側(案内片75とは反対側の面)の高さ方向における中央部(張出部73)、かつ、左寄り(図12の背面図においては右寄り)において、後方(X方向と反対方向)に向けて突出して一体的に設けられている。
クランプヘッド部80は、張出部73から後方に向けて横長の略楕円柱状に突出する基部81を有している。基部81の基端の僅かに後方側から後端部にかけては、当該基部81の上面および下面から上方および下方に向けて突出して平面状の上面および下面を有する嵌合部82が設けられている。嵌合部82は、蓄電モジュール10の取付孔15の内周縁に嵌合する部分である。
また、嵌合部82の後方には、嵌合部82の上面および下面から上方および下方に向けて突出する一対の突出部83が設けられている。これら突出部83は前面(被覆板部72側の面)が垂直方向、すなわち、被覆板部72と平行になる方向に立ち上がっており、クランプ70が蓄電モジュール10のケース11に取り付けられた状態において、ケース11の内面に突き当てられるようになっている(図20参照)。
突出部83より後方側は、上下方向において平面的に徐々に縮径する傾斜状とされるとともに、さらにその先端側は曲面状に膨出した形態の先端部84とされている(図13参照)。
またクランプヘッド部80の略楕円柱状の基部81は、図12に示すように、嵌合部82を挟んだ両側方の対角配置された領域(図12の左上および右下)が切り欠かれている。また、これらの切り欠かれた部分の端縁部には先端部84にかけて延びる繋ぎ部85が設けられている。繋ぎ部85は左右方向において先端部84に向けて縮径するとともに、先端部84に連なっている(図21参照)。
また、クランプヘッド部80は、一対の押さえ片86を備えている。押さえ片86は、上述した張出部73の段差状の部分(段差部73A)から、それぞれ斜め上方かつ後方と、斜め下方かつ後方に向けて延びる板状とされている。これらの押さえ片86の先端部と、上述した突出部83とで、蓄電モジュール10のケース11を挟持するようになっている(図20参照)。
本実施形態の保持部材30は以上のような構成であって、次に、組み付け方法の一例について説明する。なお、各図においては必ずしも組み付け状態が下記に説明する組み付け順となっていない場合がある。
電線20を保持部材30に組み付ける際には、まず、図3に示すように、電線20の屈曲させたい部分の絶縁被覆22を剥ぎ取り、芯線21を露出させる。そして、露出した芯線21が内側ホルダ31の内側屈曲部33付近に配されるように電線20を内側ホルダ31に近づけ、内側電線収容溝32内に収容する(図14参照)。
この時、一対の芯線21の間に抜止片38を挿入する。また、電線20の絶縁被覆22を、内側ホルダ31の両端部の内側第1保持部39Aおよび内側第2保持部39Bに嵌め入れる。
この状態においては、図14に示すように、電線20の芯線21は内側電線収容溝32の内側屈曲部33において屈曲され(屈曲部23)るとともに、内側屈曲部33を挟んだ両側に配されている。また、一対の芯線21のうち内側第2電線収容溝32Bに配された部分は、抜止片38により上方および下方に分かれて配されている。
内側電線収容溝32のうち、芯線21が配されている領域は、上述した内側芯線収容部36である。また、この内側芯線収容部36の両端部は、絶縁被覆22が収容される内側被覆収容部37である。
本実施形態において、内側第1電線収容溝32Aの内側被覆収容部37は、同じく内側第1電線収容溝32Aの内側芯線収容部36の3倍程度の長さ寸法を有している。また、内側第2電線収容溝32Bの内側被覆収容部37は、同じく内側第2電線収容溝32Bの内側芯線収容部36と同等程度の長さ寸法となるように設定されている。いずれにしても、内側被覆収容部37は内側芯線収容部36と比較して同等以上の長さ寸法を有している。
この長さ寸法は、外側芯線収容部56および外側被覆収容部57についても同様である。
このように、被覆収容部37、57を芯線収容部36、56と同等以上の長さ寸法とすることにより、芯線21の露出部と保持部材30との寸法公差や、例えば、蓄電モジュール10間の配置交差(電線20の設置公差)が大きい場合でも、被覆収容部37、57によりその余長を十分に吸収することができる(余長吸収部の一例)。
このように、電線20が内側ホルダ31の所定位置に収容されたら、外側ホルダ51を内側ホルダ31に組み付ける。具体的には、外側ホルダ51を図14中の右側から内側ホルダ31に近づけ(Y方向に沿って近づけ)、第1係止片61を第1受け部41に挿通させ、第2係止片62を第2受け部42に挿通させ、第3係止片63を第3受け部43に挿通させ、補助片64を第4受け部に挿通させる。すると、各係止片61,62,63が各受け部41,42,43内で弾性変形するとともに、各係止爪61A,62A,63Aが係止部41A,42A,43Aに到達した時点で弾性復帰する。これにより、内側ホルダ31および外側ホルダ51が組み付け状態とされる(図16および図17参照)。またこの時、補助片64の差込部64Aが第4受け部44内に挿通されることにより、組み付け姿勢が正規の姿勢に保持される。
この状態において、芯線21の露出部分は内側ホルダ31および外側ホルダ51により覆われることにより、外部に対して絶縁状態とされている。また、電線20の保持部材30からの導出部分は、一方側が内側ホルダ31の内側第1保持部39Aおよび外側ホルダの外側第1保持部59Aにより保持され、他方側が内側ホルダ31の内側第2保持部39Bおよび外側ホルダ51の外側第2保持部59Bにより保持されている。
次に、単品の状態のクランプ70を蓄電モジュール10のケース11に設けられた取付孔15に取り付ける。具体的には、クランプ70のクランプヘッド部80を取付孔15に近づけ、突出部83が左右方向に配される向き(ホルダ固定部71が縦長となる向き)で先端部84を取付孔15内に挿入する。そして、90度回転させながら取付孔15の奥方に押し込む。
すると、図20に示すように、一対の突出部83と押さえ片86との間にケース11の側壁が挟持され、これにより、クランプ70がケース11に対して固定される。
次に、組み付け状態の内側ホルダ31、外側ホルダ51、および電線20をクランプ70に取り付ける。具体的には、クランプ70の一対の案内片75を内側ホルダ31の一対の案内片収容壁45の間に相対的に挿入するとともに、上側の案内壁部74を案内溝50に相対的に挿入する。すると、内側ホルダ31の規制片49がクランプ70の抜止部76により規制片保持部48側に弾性変形する。さらに案内片75(クランプ70)を案内片収容壁45の奥方に挿入させると、規制片49の先端が抜止部76を乗り越え、弾性復帰する(図21参照)。これにより、クランプ70の挿入方向と反対側(Y方向と反対方向)への移動が規制される。
また、クランプ70の一対の案内片75が案内片収容壁45の奥方まで挿入された状態においては、図19に示すように、一対の案内片75は突当部46に突き当てられ、挿入方向側(Y方向)への抜け止めがなされる。
なお、上述した規制片49は、一対の案内片75が突当部46に突き当てられた状態において、抜け止め部76との間に隙間Sを有している。これにより、組み付け時の交差吸収が可能である。
最後に、電線20の端末に設けられた接続端子25の接続孔26に電極端子12の電極ポスト14を挿通させる。これにより、電線20を複数の蓄電モジュールの所定位置に配索することができる。
このような本実施形態の電線の保持構造1によれば、電線20は、露出された芯線21の部分で屈曲されるから、所望の角度に屈曲し易く、また、屈曲部23に絶縁被覆22による回復力も作用しないから、屈曲状態が維持され易い。しかもこの屈曲部23は、絶縁性の保持部材30により被覆されて、屈曲状態が確実に保持されるようになっている。また、保持部材30により外部との絶縁性も確保される。
すなわち、屈曲し難い太い径の電線20を使用する場合でも、電線20の取り扱いや設置が容易な電線の保持構造1が得られる。
また、保持部材30は内部に収容した電線20の余長を吸収するだけの十分な長さ寸法を有する被覆収容部37,57(余長吸収部の一例)を備えているから、芯線21の露出部と保持部材30との寸法公差や、蓄電モジュール10間の配置交差(電線20の設置公差)が大きい場合でも、それらの公差を吸収することができる。
また、保持部材30は内部に収容した露出した状態の芯線21を抜け止め状態に保持する抜止片38を備えているから、保持部材30から芯線21が露出することがより確実に抑制される。
また、保持部材30は蓄電モジュール10(ケース11)に取り付けるためのクランプ70を一体に備えているから、電線20を取り付けたい所望の位置に安定した状態で配索することができる。
さらに、保持部材30は電線20の延び方向(X方向およびY方向)に沿って分割された内側ホルダ31および外側ホルダ51を備えており、内側ホルダ31は、絶縁被覆22の周囲を外側第1保持部59Aおよび外側第2保持部59Bとの間で保持する内側第1保持部39Aおよび内側第2保持部39Bを備えており、外側ホルダ51は、内側ホルダ31に組み付けられた状態で内側第1保持部39Aおよび内側第2保持部39Bとの間で絶縁被覆22の周囲を保持する外側第1保持部59Aおよび外側第2保持部59Bを備えている。
したがって、屈曲された電線20に保持部材30を簡単に取り付けることができる。また、内側ホルダ31と外側ホルダ51との組み付け状態においては、内側第1保持部39Aと外側第1保持部59Aとの間、および、内側第2保持部39Bと外側第2保持部59Bとの間に絶縁被覆22の周囲を保持するようになっているから、電線20が延び方向において保持部材30から位置ずれすることが抑制されるとともに、電線20が振動によりがたつくことを抑制することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、複数の蓄電モジュール10間を接続する電線の保持構造1を示したが、電線20は、電源とインバータ等、モータ等、他の電気機器等と接続するものであってもよい。
(2)上記実施形態では、1本の電線の保持構造を示したが、複数の電線を保持させる構成にも適用することができる。
(3)抜止片38は省略することもできる。
(4)上記実施形態では、保持部材30の両端部に電線20の絶縁被覆22の周囲を保持する保持部(39,59)を設ける構成としたが、保持部は省略してもよく、両端部のうちの片側の端部だけに設ける構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、保持部材30を電線20の屈曲方向における内側および外側に分割した形態を示したが、例えば、上方と下方に分割する構成としてもよい。
(6)クランプ70は省略することもできる。
1…電線の保持構造
10…蓄電モジュール
11…ケース(被取付部)
15…取付孔(被取付部)
20…電線
21…芯線
22…絶縁被覆
23…屈曲部
30…保持部材
31…内側ホルダ(第1分割体)
32…内側電線収容溝
36…内側芯線収容部
37…内側被覆収容部(被覆収容部、余長吸収部)
38…抜止片(抜止部)
39A…内側第1保持部(第1保持部)
39B…内側第2保持部(第1保持部)
40…保持壁
51…外側ホルダ(第2分割体)
52…外側電線収容溝
56…外側芯線収容部
57…外側被覆収容部(被覆収容部、余長吸収部)
59A…外側第1保持部(第2保持部)
59B…外側第2保持部(第2保持部)
70…クランプ(取付部)
80…クランプヘッド部(取付部)
X…電線の延び方向
Y…電線の延び方向

Claims (5)

  1. 芯線が絶縁被覆により被覆された電線の屈曲された屈曲部が保持部材により保持された電線の保持構造であって、
    前記屈曲部は、前記絶縁被覆が剥がされて露出した状態の前記芯線が屈曲されるとともに絶縁性の前記保持部材により覆われた状態で屈曲状態が保持されており、
    前記保持部材は、前記電線の延び方向において前記屈曲部の両側に位置する前記絶縁被覆を収容する一対の被覆収容部を有するとともに、前記延び方向に沿って分割され、前記屈曲部の曲げ方向における内側に配される第1分割体と、前記屈曲部の曲げ方向における外側に配される第2分割体と、を備えている、電線の保持構造。
  2. 前記保持部材は内部に収容した前記電線の余長を吸収する余長吸収部を備えている請求項1に記載の電線の保持構造。
  3. 前記保持部材は内部に収容した前記露出した状態の芯線を抜け止め状態に保持する抜止部を備えている請求項1または請求項2に記載の電線の保持構造。
  4. 前記保持部材は被取付部に取り付けるための取付部を一体に備えている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電線の保持構造。
  5. 前記第1分割体は、前記絶縁被覆の周囲を第2保持部との間で保持する第1保持部を備えており、
    前記第2分割体は、前記第1分割体に組み付けられた状態で前記第1保持部との間で前記絶縁被覆の周囲を保持する前記第2保持部を備えている、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電線の保持構造。
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