JP6913353B2 - 移動体制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、空間内で複数の移動体が移動する状況をシミュレートする移動体制御システムに関する。
現実空間に存在する建築物や構造物、地形、空間内を移動する移動体(車両、歩行者、ロボット、航空機を含む飛翔体、船舶等)、または移動体が移動可能な通路(道路や橋梁等)の位置及び形状を精密にデータ化して蓄積しようとすると、データ量が膨大となる上、そのデータを利用して移動体からの距離や方向を把握するための処理が徒に複雑化し、計算量が増大して処理の遅延を招く懸念がある。
この問題を解決する手立てとして、本願発明者は既に、建築物、構造物、地形、移動体または通路に関する情報を軽量かつ利用容易なデータの形で表現する手法を特許出願している(下記特許文献1ないし4を参照)。具体的には、空間を一定の緯度及び一定の経度の大きさのグリッドに分割し、当該空間内に存在する物体と重なる一または複数のグリッドの位置の座標をデータベース化するというものである。さらに、各グリッドの位置の座標の情報に、当該グリッドと重なる物体の高さ寸法の情報を付加することで、空間内に存在する物体を一または複数の直方体状のキューブ(cuboid)の集合として表現することができる。
また、移動体の自律制御、自動運転または半自動運転を実施する際には、移動体が移動可能な移動経路の位置を予めデータベース化しておき、移動体による適正な経路に沿った移動を実現することが求められる。
本願発明者は既に、移動体が移動しようとする移動経路を軽量かつ利用容易なデータの形で表現し、移動体の周囲に存在する経路の検出ひいては移動体の制御に寄与する手法を特許出願している(例えば、下記特許文献5を参照)。具体的には、移動体が移動しようとする経路を複数の部分に区分し、その各部分について移動経路の延伸方向と交差する幅方向の所定位置の緯度及び経度を求めたデータである経路点データを格納、蓄積しておく。そして、移動体がこれから進入する複数の経路の部分についての経路点データから判明する移動経路の延伸方向と、移動体の現在位置の緯度及び経度の時系列から判明する当該移動体の移動方向とが略平行になるように、移動体が備える操舵装置を操作するか、またはそのために必要な操舵量若しくは操舵方向を移動体の搭乗者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力する。
特開2017−049739号公報 特願2015−238754号明細書 特願2016−018333号明細書 特願2017−002150号明細書 特願2016−018333号明細書
本発明は、空間内で複数の移動体が移動する状況を簡便にシミュレートすることを所期の目的としている。
本発明では、移動体が空間内で移動するべき経路に沿った複数の経路点の各々の位置座標を含む経路点データを格納する経路点データ格納部と、空間内を移動する移動体の移動速度または移動方向に影響を及ぼす標識オブジェクトの位置座標、及び移動体から見て一定の範囲内に当該標識オブジェクトを捉えた移動体に対して当該標識オブジェクトが与える時間経過とともに遷移する移動速度または移動方向に関する指令の内容を含む標識データを格納する標識データ格納部と、空間内を移動する複数の移動体の各々の現在の位置座標、移動速度及び移動方向を含む移動体データを格納する移動体データ格納部と、前記経路点データ格納部に格納している経路点データ、前記標識データ格納部に格納している標識データに含まれる標識オブジェクトが前記移動体に対して与える移動速度または移動方向に関する現在の指令の内容及び前記移動体データ格納部に格納している移動体データを参照して、空間内を移動する複数の移動体の各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向を反復的に演算し、演算した各移動体の新たな位置座標、移動速度及び移動方向を移動体データ格納部に書き込むシミュレート部とを具備し、前記標識データ格納部に格納している標識データにより規定される標識オブジェクトは、当該標識オブジェクトが占有する領域を八つの三角形の区分に分割し、その三角形の各区分がそれぞれ赤信号状態または青信号状態をとり、そしてそれが時間経過とともに切り替わるものであり、前記シミュレート部は、各移動体について、当該移動体の移動方向に沿った前方において、当該移動体から見て標識オブジェクトの青信号状態部分よりも赤信号状態部分の方が手前側に位置しており、当該移動体からその赤信号状態部分までの距離が一定の範囲内にあるとき、当該移動体の移動が当該標識オブジェクトによって制止されるものと判断する移動体制御システムを構成した。これにより、信号機のような状態が刻々と遷移する標識オブジェクトを空間内に配置し、その標識オブジェクトによって個々の移動体の移動を制御するシミュレーションが可能となる。
本移動体制御システムは、前記移動体データ格納部に格納している移動体データを参照して、空間内における少なくとも一の移動体の現在位置を示す画像を生成する出力部を具備することがある。この出力部は、生成した画像をディスプレイの画面に表示させたり、生成した画像のデータをメインメモリまたは補助記憶デバイスの所要の記憶領域に格納したり、電気通信回線を介して通信可能に接続している外部のコンピュータ等に向けて送信したりする。
加えて、本移動体制御システムは、空間内に存在する移動体以外の物体を模擬する複数のキューブの各々の位置座標及び平面寸法及び高さ寸法を含むキューブデータを格納するキューブデータ格納部をさらに具備することがある。その上で、前記出力部は、空間内における少なくとも一の移動体の現在位置とともに同空間内に存在する物体を模擬する複数のキューブをも示す画像を生成し、生成した画像をディスプレイの画面に表示させることができる。
前記標識データ格納部に格納している、移動体に対して与える移動速度または移動方向に関する指令の内容が時間経過とともに遷移する標識オブジェクトについての標識データは、例えば、当該標識オブジェクトとり得る状態とその状態が継続する時間の長さ、そしてその状態と次に遷移する状態との間のインターバル状態をとる時間の長さを記述したものである
また、前記シミュレート部が、前記移動体データ格納部に格納している、複数の移動体の各々の現在の位置座標及び移動方向を基に、ある移動体が当該移動体の移動方向に沿って前方に存在する他の移動体から所定距離の範囲内に接近した場合、そうでない場合と比較して当該移動体に対して与える移動速度を低下させた上で、当該移動体の新たな位置座標、移動速度及び移動方向を移動体データ格納部に書き込むシステムとすれば、交通渋滞その他の事由により移動体の移動が制限される状況をシミュレーションすることが可能となる。
本発明に係る移動体制御システムを構成するために用いられるプログラムは、コンピュータを、移動体が空間内で移動するべき経路に沿った複数の経路点の各々の位置座標を含む経路点データを格納する経路点データ格納部、空間内を移動する移動体の移動速度または移動方向に影響を及ぼす標識オブジェクトの位置座標、及び移動体から見て一定の範囲内に当該標識オブジェクトを捉えた移動体に対して当該標識オブジェクトが与える時間経過とともに遷移する移動速度または移動方向に関する指令の内容を含む標識データを格納する標識データ格納部、空間内を移動する複数の移動体の各々の現在の位置座標、移動速度及び移動方向を含む移動体データを格納する移動体データ格納部、並びに、前記経路点データ格納部に格納している経路点データ、前記標識データ格納部に格納している標識データに含まれる標識オブジェクトが前記移動体に対して与える移動速度または移動方向に関する現在の指令の内容及び前記移動体データ格納部に格納している移動体データを参照して、空間内を移動する複数の移動体の各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向を反復的に演算し、演算した各移動体の新たな位置座標、移動速度及び移動方向を移動体データ格納部に書き込むシミュレート部として機能させる。前記標識データ格納部に格納している標識データにより規定される標識オブジェクトは、当該標識オブジェクトが占有する領域を八つの三角形の区分に分割し、その三角形の各区分がそれぞれ赤信号状態または青信号状態をとり、そしてそれが時間経過とともに切り替わるものであり、前記シミュレート部は、各移動体について、当該移動体の移動方向に沿った前方において、当該移動体から見て標識オブジェクトの青信号状態部分よりも赤信号状態部分の方が手前側に位置しており、当該移動体からその赤信号状態部分までの距離が一定の範囲内にあるとき、当該移動体の移動が当該標識オブジェクトによって制止されるものと判断する。
本発明によれば、空間内で複数の移動体が移動する状況を簡便にシミュレートすることができる。
本発明の一実施形態の移動体制御システムが有するハードウェア資源を示す図。 同実施形態の移動体制御システムの機能ブロック図。 同実施形態の移動体制御システムが出力する、空間内に存在する物体をキューブにより模擬して表示した画像を例示する図。 同実施形態におけるキューブデータ格納部が格納しているキューブデータを示す図。 同実施形態における物体を模擬するキューブの頂点及び稜線、並びに当該キューブの向く方向を示す図。 同実施形態における移動体、移動経路及びその部分、並びに経路点を示す図。 同実施形態における経路点データ格納部が格納している経路点データを示す図。 同実施形態における移動体、移動経路及びその部分、並びに区画線を示す図。 同実施形態における移動体、移動経路及び標識オブジェクトを示す図。 同実施形態における標識データ格納部が格納している標識データを示す図。 同実施形態における交差標識の状態の定義を示す図。 同実施形態における移動体、移動経路及び標識オブジェクトを示す図。 同実施形態における移動体による標識オブジェクトの検出可能範囲を模式的に示す平面図。 同実施形態における移動体による標識オブジェクトの検出可能範囲を模式的に示す側面図。 同実施形態における移動体データ格納部が格納している移動体データを示す図。 同実施形態の移動体制御システムがプログラムに従い実行する処理の手順例を示す図。 同実施形態における視点位置、視線方向、スクリーン及び視野角の関係を模式的に示す斜視図。 同実施形態における視点位置、視線方向、スクリーン及び視野角の関係を模式的に示す平面図。 同実施形態における視点位置、視線方向、スクリーン及び視野角の関係を模式的に示す側面図。 同実施形態における描画情報出力部が出力する情報の内容を例示する図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の移動体制御システムは、コンピュータ1を主体として構成される。コンピュータ1は、汎用的なパーソナルコンピュータ1やワークステーション、携行可能なノートブック型コンピュータ1、タブレット型コンピュータ1、携帯電話端末その他の携帯情報端末であることがある。図1に示すように、コンピュータ1は、CPU(Central Processing Unit)1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、ビデオコーデック1d、オーディオコーデック1e、通信インタフェース1f、入力デバイス1g等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)1hにより制御されて連携動作するものである。
補助記憶デバイス1cは、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、その他である。ビデオコーデック1dは、CPU1aより受けた描画指示をもとに表示させるべき画面を生成しその画面信号をディスプレイ1iに向けて送出するGPU(Graphics Processing Unit)、画面や画像のデータを一時的に格納しておくビデオメモリ等を要素とする。オーディオコーデック1eは、符号化されている音声データを復号化して音声出力デバイス1jから音声出力する。ビデオコーデック1d及びオーディオコーデック1eはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。通信インタフェース1fは、当該コンピュータ1が外部の装置またはコンピュータと情報の授受を行うためのデバイスである。なお、通信インタフェース1fは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、MAN(Mertopolitan Area Network)、LAN(Local Area Network)、携帯電話網、WiMAX網等といった電気通信回線を介した情報通信を実施するための有線接続インタフェースまたは無線トランシーバを含む。入力デバイス1gは、ユーザが手指で操作するタッチパネル(ディスプレイ1iに重ね合わされたものであることがある)、押下ボタン、マウス、キーボード等、またはユーザが肉声により指令を入力する音声入力デバイスである。
本移動体制御システムが、車両、ロボット、飛翔体(特に、遠隔操縦されまたは自律制御により飛行する無人航空機であるドローン。多くのドローンは、複数のプロペラを備えたマルチコプタ(マルチロータヘリコプタ、マルチロータ)である)その他の移動体Mに搭載されて運用されることもあり得る。その場合、本移動体制御システムを構成するコンピュータ1が、移動体Mの運転制御を司る可能性がある。例えば、自動車やロボット等の走行する移動体Mは、走行用の車輪の向きを変化させることのできる既知の操舵装置1k、車輪を回転駆動させる駆動源1lとなる既知のエンジン若しくはモータの他、移動体Mの移動経路ROの路面上に敷設されている区画線や移動体Mの周囲の物体を検出するためのセンサ1mとしてのカメラセンサ(パノラマカメラであることがある)、レーダセンサ若しくは対物距離(測距)センサ(レーザレーダ、超音波レーダ、赤外線レーダ等)、パッシブ赤外線センサ(人感センサ)等、並びに、GPSやQZSS(Quasi−Zenith Satellite System)といった航法衛星システム(衛星測位システム)の航法信号受信装置1n等を備える。その上で、コンピュータ1は、それらセンサ1mや航法信号受信装置1nを介して周囲の物体の存在や移動体M自身の現在位置の緯度及び経度を知得した上、操舵装置1k及び駆動源1lを制御して移動体Mを適切な移動経路ROに沿って移動させることとなる。
当該コンピュータ1にあって、CPU1aにより実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、CPU1aによって解読される。コンピュータ1は、プログラムに従って上記ハードウェア資源を作動させ、図2に示すキューブデータ格納部101、経路点データ格納部102、移動体データ格納部104、標識データ格納部103、シミュレート部105及び出力部106としての機能を発揮する。
キューブデータ格納部101は、メインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域を利用し、現実空間に存在する(移動体M以外の)物体を模擬する複数のキューブCの各々について、その存在位置を示す緯度及び経度、並びにその平面寸法及び高さ寸法を含むキューブデータを格納する。
図3に例示するように、本実施形態では、空間内に存在する種々の(移動体Mを含む)物体を、各物体毎に、一つのキューブCまたは複数のキューブCの集合であると仮想する。キューブCは、物体の位置、形状及び寸法の抽象化表現である。前提として、本実施形態では、移動体M1を運用する現実の空間を、一定の緯度及び一定の経度間隔の格子によって区画される、一定の緯度及び一定の経度の大きさの仮想的なグリッドに分割する。一つのグリッドは、緯度方向及び経度方向にそれぞれ所定の寸法を有した方形(四辺形。略長方形状をなすが、厳密には長方形ではない)である。そして、一つのグリッドを表すために、一つのグリッドに対して少なくとも一つの位置座標を付与する。この位置座標は、対象のグリッド内の何れかの地点、例えば当該グリッドの角(北東角、南東角、南西角または北西角)や中央等の地点の緯度及び経度である。それら緯度及び経度はそれぞれ、所要の桁数の値とする。例えば、緯度及び経度の有効桁数を小数点以下6桁までとする場合、即ちあるグリッドを表すデータとして当該グリッド(の北東角)の位置座標[緯度,経度]を
[35.675126°N,139.752472°E]
のように与える場合において、当該グリッドの北に隣接するグリッドに与えるべき(そのグリッドの北東角の)位置座標は、北緯に0.000001°を加算した
[35.675127°N,139.752472°E]
となり、当該グリッドの西に隣接するグリッドに与えるべき(そのグリッドの北東角の)位置座標は、東経から0.000001°を減算した
[35.675126°N,139.752471°E]
となる。
位置座標の緯度及び経度の有効桁数を小数点以下6桁までとする場合、一つのグリッドは緯度方向及び経度方向にそれぞれ0.000001°分の寸法を有した方形となる。その具体的な大きさは、緯度及び経度の影響を受けるため、あらゆるグリッドが均一な平面寸法を有するわけではない。即ち、北極または南極に近づくほど、単位経度あたりの経度(東西)方向の距離は顕著に小さくなり、また単位緯度あたりの緯度(南北)方向の寸法は若干ではあるが大きくなる。緯度及び経度の有効桁数を小数点以下6桁までとする場合、日本国内では、一つのグリッドの緯度方向の寸法は南北に約0.11m、経度方向の寸法は東西に約0.09mとなる。尤も、日本列島は南北に伸びているので、所在地の緯度による寸法の伸縮を完全に無視することは必ずしも妥当ではない。
位置座標の緯度及び経度の有効桁数を小数点以下5桁までとする場合には、一つのグリッドの緯度方向の寸法は約1.1m、経度方向の寸法は約0.9mとなる。有効桁数を小数点以下4桁までとすれば、一つのグリッドの緯度方向の寸法は約11m、経度方向の寸法は約9mとなる。要するに、緯度及び経度の有効桁数は、そのグリッドの平面寸法即ち緯度方向の寸法及び経度方向の寸法を規定する。緯度及び経度の有効桁数は、用途に応じて、また各物体の寸法に応じて、任意に設定することができる。大型のビル等の広い面積を有している物体にできるだけ少ない数のグリッドを当てはめようとするならば、そのグリッドに係る緯度及び経度の有効桁数を少なく設定することが有効である。
その上で、本実施形態では、図3に示しているように、グリッドから直立する直方体状のキューブCを観念し、現実空間に存在する種々の物体をそれぞれ一または複数のキューブCによって模擬することとしている。そして、キューブデータ格納部101は、図4に示すように、個々のキューブC毎に、当該キューブCが占めるグリッドの位置座標[緯度,経度]及びその有効桁数とともに、当該グリッドに所在するキューブCの高さの情報を、当該キューブCを識別する識別子に関連づけてキューブデータとして格納する。キューブCの高さは、現実空間において当該グリッドに存在している物体または物体の部分、即ちキューブCが模擬している物体または物体の部分の上面の高さ位置(標高または海抜であることがある)を表す。
加えて、図4に示しているように、個々のキューブCに対して、その地上高の情報や、当該キューブCが所在しているグリッドの地表高の情報を付与することもあり得る。キューブCの地上高は、現実空間において当該グリッドに存在している物体または物体の下面の高さ位置(標高または海抜であることがある)を表す。並びに、グリッドの地表高は、当該グリッド自体の高さ位置(標高または海抜であることがある)を表す。橋桁や梁、門等のように、移動体Mの存在する地面または床面から浮いている物を表現する際には、キューブCの地上高に、グリッドの地表高よりも大きな正の数値を与える。地面または床面に接地している多くの物体については、地上高の値と地表高の値とが等しくなる。地面または床面よりも低い位置に存在する物体、例えば溝や穴、トンネル、河川や湖、海等を表現する際には、キューブCの高さ及び地上高の値に、グリッドの地表高よりも小さな数値を与える。その数値は、負値となることもあり得る。
一または複数のキューブCにより模擬する対象となる物体は、例えば、移動体Mが移動する空間内に存在する建築物、構造物、中央分離帯、街灯、樹木等の障害物や、移動体Mが移動可能な道路や橋梁等、あるいは地形である。これら物体はそれぞれ、当該物体が空間内で占有している領域に略等しい一または複数のキューブCの形で表現することができる。つまり、当該物体を象るキューブCの位置座標及び高さ(さらには、地上高や色等)の値の集合として、当該物体をデータ化することができる。全長100m、幅3mの通路は、キューブCの位置座標の緯度及び経度の有効桁数を小数点以下6桁とすれば、(当該通路の向きにもよるが)約3万個のキューブCの集合体として捉えることができ、同数の位置座標及び高さの値の集合としてデータ化できる。また、建物面積400m2の建物は、キューブCの位置座標の緯度及び経度の有効桁数を小数点以下5桁とすれば、400個程度のキューブCの集合体として捉えることができ、同数の位置座標及び高さの値の集合としてデータ化できる。
尤も、キューブデータ格納部101に格納するキューブデータにおいて、物体を模擬する個々のキューブCに対して、当該キューブCの平面寸法、即ち水平なx軸方向にそった寸法、及びx軸と直交する水平なy軸方向に沿った寸法の各々を直接指定する数値を付与することもできる。この場合において、平面寸法が直接指定されたキューブCは、当該キューブC(が所在するグリッド)の位置座標の緯度及び経度の有効桁数によらない平面寸法を有することとなる。換言すれば、当該キューブCの平面寸法と当該グリッドの平面寸法とが乖離し、一つのキューブCが一つのグリッドよりも拡張してはみ出し複数のグリッドを占有する、または一つのキューブCが一つのグリッドよりも縮小してそのグリッド全体を占有しないことが起こり得る。なお、平面寸法の数値が与えられていないキューブCは、上述の通り、当該キューブCが所在するグリッドの位置座標の緯度及び経度の有効桁数に応じて定まるx軸方向寸法(経度方向寸法)及びy軸方向寸法(緯度方向寸法)を有する。つまり、キューブCの位置座標の緯度及び経度の有効桁数は、当該グリッドを占有するキューブCの平面寸法を間接的に指示する。
また、図4に示しているように、個々のキューブCに対して、その向きを定義する方位角の情報を付与することもできる。図5に示すように、キューブCの方位角CVは、キューブCの特定の一つの頂点P2[x,y]=[0,0]から当該キューブCのy軸に沿ってyの値が負となる方向に伸びる方位角ベクトルCVが空間内でどちらの方位を向いているかを規定する。方位角0°(及び、360°)を真北とする左手系の場合、方位角90°が真東、方位角180°が真南、方位角270°が真西である。そして、キューブCの方位角が90°であるとき、当該キューブCはその方位角ベクトルCVが真東に向かって伸びているような方向を向く。なお、方位角の数値が与えられていないキューブCは、その方位角ベクトルCVが真北に向かって伸びる方向を向くものとする。つまり、キューブCの方位角を無指定とすることは、キューブCの方位角を0°に設定することに等しい。
方位角は、左手系から右手系に切り替えることもできる。方位角0°(及び、360°)を真東とする左手系の場合、方位角90°が真北、方位角180°が真西、方位角270°が真南である。
図4に示しているように、個々のキューブCに対して、当該キューブCが模擬する物体またはその部分の色等の情報を追加的に付与しても構わない。
経路点データ格納部102は、メインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域を利用し、移動体Mが空間内で移動するべき経路ROに沿った複数の経路点の各々の位置座標を含む経路点データを格納する。
図6に示すように、経路点とは、移動体Mが移動しようとする経路ROを複数の部分RAに区分したときの、移動経路RO上に位置する各部分RA毎の地点RP、または移動経路ROと平行に延伸する仮想的な線上に位置する各部分RA毎の地点をいう。移動体Mは、移動経路ROに従って移動する過程で、移動経路ROに沿って並ぶ経路点RPまたはその近傍を順次通過する。
本実施形態では、移動体Mが移動するときの標準的な移動速度、即ち一秒あたり若しくは数分の一秒(例えば、二分の一秒、四分の一秒等)あたりの移動距離単位で、移動体Mの移動経路ROを区分し、その距離の長さを持つ各部分RAの起点(または、終点、中間点等。各部分RAの、移動経路ROの延伸方向に沿った所定位置)の位置を経路点RPとする。その上で、図7に示すように、移動経路ROに沿って並ぶ各経路点RPの位置を示す緯度及び経度の値を経路点データとして、当該移動経路ROを識別する識別子に関連づけて経路点データ格納部102に格納する。移動体Mが自動車やロボット等であり、移動経路ROである道路上を走行する当該移動体Mの標準的な移動速度が時速50kmであるとすると、当該移動体Mの標準的な秒速即ち一秒あたりの移動距離は13.89m、二分の一秒あたりの移動距離は6.944m、四分の一秒あたりの移動距離は3.472mとなる。これに従い、移動経路ROを13.89m、6.944mまたは3.472の長さ(道程)を持つ複数の部分RAに区分し、それら各部分RAを単位として経路点データを求め、経路点データ格納部102に格納するのである。
経路点データの要素となる各経路点RPの緯度及び経度はそれぞれ、所定桁数の値とする。緯度及び経度の有効桁数を小数点以下6桁までとする場合、日本国内におけるそれら緯度及び経度の解像度は緯度方向に約0.11m、経度方向に約0.09mとなる。
図7に示しているように、経路点データは、移動経路ROに沿った各経路点RPの高度(標高または海抜であることがある)の値を含むことがある。経路点RP毎に高度の値を設定することで、複数の移動経路ROの立体交差や、高架道路、地下トンネル道路、あるいは飛翔体である移動体Mの飛行ないし浮遊の経路ROを表現することができる。
なお、移動体Mが道路ROを走行する自動車やロボット等である場合、経路点RPは、当該移動体Mの移動経路ROである道路の各部分RAについて、当該道路ROの延伸方向と交差(特に、直交)する幅方向の所定点、例えば区画線の位置であることがある。区画線とは、道路の路面にペイントされた線や、路面に設置された道路鋲(チャッタバー)、石等によって描かれる線のことであり、下記を含む:
「道路外側線」車道の最も外側の境界を示す、路端寄りに引かれている区画線。道路外側線よりも外側は、原則として自動車の走行が禁止される路側帯となる。そして、道路外側線よりも内側が、自動車の走行が許される車両通行帯となる。
「車道中央線」自動車の通行を方向別に区分するために引かれている区画線。実際には、ペイントされた線だけでなく、道路上に設置されたランブルストリップス、道路鋲、車線分離標(センターポール、ポストコーン)、中央分離帯等の構造物によって表されることも多い。
「車線境界線」同一方向に走行するための車両通行帯が二車線以上存在している場合の、隣り合う車線の間を仕切る境界線。
例えば、図8に示すように、移動体Mの移動経路ROである道路の各部分RAの起点における、左側の車道外側線LM、右側の車道外側線(車道中央線に等しいことがある)RM、車線境界線(車両通行帯境界線)MM、左側の道路側壁LL、及び/または、右側の道路側壁RRの位置を経路点RPとし、当該経路点RPの位置を示す緯度及び経度の値、並びに当該経路点RPの高度の値を、移動経路ROを識別する識別子に関連づけて経路点データ格納部102に格納することが考えられる。道路側壁LL、RRとは、道路外側線や車道中央線の外側に存在して移動体Mの移動、通行または通過の障害となる、ランブルストリップス、道路鋲、車線分離標、中央分離帯、防音壁、ガードレール、縁石、ポール、側溝、建築構造物等をいう。
因みに、本移動体制御システムを構成するコンピュータ1が移動体Mに搭載されている場合、このコンピュータ1が、経路点データ格納部102に格納されている経路点データを援用して、移動体Mの操舵や移動速度の制御を行うことができる。
具体的には、まず、今現在の移動体Mの位置を示す緯度及び経度から最も距離が近い緯度及び経度の値を有する経路点データを、経路点データ格納部102の中から検索する。なお、コンピュータ1は予め、移動体Mが備えている航法信号受信装置1nの機能を利用して、移動体Mの現在位置の緯度及び経度を所定時間毎に反復的に取得している。次に、その検索した経路点データと同一の移動経路ROに属しており、移動体Mがこれから進入することになる、連続した複数の移動経路ROの部分RAについての経路点データを経路点データ格納部102から読み出す。例えば、移動体Mが今後一定の時間内に(例えば、今から十秒間のうちに)進入するであろう複数の経路ROの部分RAの(経路点データの生成に際して移動経路ROを一秒あたりの移動距離の長さで切り分けているならば、十個の)経路点RPの緯度及び経度並びに高度のデータを読み出す。
そして、それら経路点データを基に、将来的な移動体Mのあるべき移動の軌跡、即ち移動体Mが道路を走行するときの適正な走行ラインを得る。例えば、移動体Mがこれから進入する複数の移動経路ROの部分RAについての経路点RPの位置の緯度及び経度を読み出し、それら複数の経路点RPの位置を結ぶような直線または曲線の延伸方向、つまりは移動経路ROの延伸方向を求める。
同時に、コンピュータ1は、反復的に取得している移動体Mの現在位置の緯度及び経度を基に、現在の移動体Mの移動方向MVを求める。移動体Mがどの方角に向かって移動しているのかは、たった今取得した最新の移動体Mの位置の緯度及び経度と、直近の過去に知得した移動体Mの位置の緯度及び経度との差分から明らかとなる。
その上で、コンピュータ1は、移動体Mの移動方向MVのベクトルと、移動体Mが走行しようとする移動経路ROの延伸方向のベクトルとの偏差を縮小させるように操舵方向及び/または操舵量を決定し、操舵装置1kを制御する。
また、コンピュータ1が、当該偏差を縮小させるために必要な操舵方向及び/または操舵量の情報を、移動体Mの搭乗者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力、即ちディスプレイ1iの画面に表示させたり音声出力デバイス1jを介して音声出力させたりすることも可能である。これにより、移動体Mの自律制御、自動運転または半自動運転中に搭乗者が操舵の内容の予告を受けることができ、あるいは、搭乗者自身が移動体Mを操舵する場合に適切な操舵量を搭乗者に通知することができる。
加えて、コンピュータ1は、経路点データ格納部102から読み出した複数の経路ROの部分RAの経路点データに含まれる、各経路点RPの高度の値に基づき、移動体Mの駆動源1lであるエンジン若しくはモータの出力を制御する。移動体Mがこれから進入することになる複数の移動経路ROの部分RAの高度を参照すれば、移動体Mがこれから上り坂に差し掛かるのか、または下り坂に差し掛かるのかが判明する。また、連続する複数の部分RAの高低差が、路面の傾斜を表すこととなる。そこで、コンピュータ1は、移動体Mがこれから進入する移動経路ROの部分RAが上り坂であるか下り坂であるか、またその路面の傾斜を求め、それに応じて移動体Mに搭載された駆動源1lの出力を増減させることにより、移動経路ROの上り下りに起因する移動体Mの移動速度の変動を抑制する。
また、コンピュータ1が、移動速度の変動を抑制するために駆動源1lの出力を増量するのか減量するのか、及び/または、移動速度の変動を抑制するために必要な出力の増減量の情報を、移動体Mの搭乗者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力、即ちディスプレイ1iの画面に表示させたり音声出力デバイス1jを介して音声出力させたりすることも可能である。これにより、移動体Mの自律制御、自動運転または半自動運転中に搭乗者が駆動源1lの出力制御の内容の予告を受けることができ、あるいは、搭乗者自身がアクセルペダルを操作する場合に適切な操作量を搭乗者に通知することができる。
このようにして、コンピュータ1は、移動体Mの移動経路RO上の複数の部分RAに関する経路点データと、移動体Mの現在位置の推移とに基づき、移動体Mの操舵や移動速度の制御を遂行することができる。
経路点データは、移動体Mに搭乗している搭乗者が移動体Mの移動先の目的地を指定したときにはじめて生成されることがある。例えば、搭乗者が移動体Mに実装されているカーナビゲーションシステムを操作して目的地を入力し、カーナビゲーションシステムが移動体Mの現在位置から目的地に至るための移動経路ROを検索して決定した後、本操舵支援システムのコンピュータ1が、当該移動経路ROを複数の部分RAに区分して各部分RAについての経路点データを生成、経路点データ格納部102に格納する処理を実行する。
経路点データ格納部102に格納する経路点データに関して補記すると、図7に示すように、移動経路ROに属する個々の経路点RPについて、当該経路点RPまたはその近傍に到達した移動体Mが次の経路点RPに向かうにあたりとるべき動作を指令するコマンドの情報を付与することもできる。コマンドの具体例としては、対象の経路点RPまたはその近傍に到達した移動体Mの以後の移動速度を指定するものや、対象の経路点RPまたはその近傍に到達した移動体Mをその後無操作とするかまたは停止させるウェイト時間の長さを指定するもの、あるいは、対象の経路点RPまたはその近傍に到達した移動体Mを移動経路上または空間内から除去するもの等を挙げることができる。これらのコマンドは、後述するシミュレート部105による各移動体Mの移動のシミュレーションにおいて参照される。
また、コマンドとして、移動体Mが対象の経路点RPまたはその近傍に到達して以後の、当該移動体Mに搭乗している仮想的な搭乗者の視点の位置及び/または視線の方向を指定するコマンドも存在する。このコマンドは、移動体Mを模擬する仮想的なキューブCの内における搭乗者の視点の位置座標、並びにその視点から見る方向である視線の方位角及び仰俯角(仰角及び/または俯角。例えば、水平よりも上を向く仰角を正値、水平よりも下を向く俯角を負値とする)を定義する。移動体M以外の物体を模擬するキューブCと同様、移動体Mを模擬するキューブCもまた直方体状をなす。そして、キューブCは、平面寸法、即ち水平なx軸方向にそった寸法、及びx軸と直交する水平なy軸方向に沿った寸法と、x軸及びy軸の双方に直交するz軸方向に沿った高さ寸法とを有している。搭乗者の視点の位置座標は、移動体Mを模擬するキューブC内でのx軸方向に沿った位置、同キューブC内でのy軸方向に沿った位置、並びに、同キューブ内でのz軸方向に沿った位置の総体である三次元座標[x,y,z]の形で表される。このコマンドは、後述する出力部106によるシミュレーション結果の画像の出力において参照されることがある。
さらに、経路点データ格納部102は、各移動経路RO毎の経路点データの要素として、当該移動経路ROに沿って移動する移動体Mを模擬する仮想的なキューブCの平面寸法及び高さ寸法、並びに、シミュレーションにおける移動体M(を模擬するキューブC)の生成間隔等を定義する情報をも格納する。例えば、[1.48,3.4,2,90,10,5]という数値は、移動体Mを模擬するキューブCのx軸方向寸法が1.48m、y軸方向寸法が3.4m、高さ寸法が2m、当該移動体Mの生成時点で当該移動体Mが向いている方向の方位角が90°であり、当該移動体Mの生成間隔が10秒間隔、かつ当該移動体Mの生成の上限(空間内で同時に存在している移動体Mの個数の上限)が5個であることを意味する。移動体Mを模擬するキューブCの向く方向は、当該移動体Mの前進する方向または当該移動体Mの後進する方向と逆の方向に等しい。図5に示しているように、移動体Mを模擬するキューブCの向く方向の方位角は、キューブCの特定の一つの頂点P2[x,y]=[0,0]から当該キューブCのy軸に沿ってyの値が負となる方向に伸びる方位角ベクトルMV、換言すれば移動方向ベクトルMVが空間内でどちらの方位を向いているかを規定する。なお、方位角の数値が与えられていないキューブCは、その方位角ベクトルMVが真北に向かって伸びる方向を向くものとする。つまり、キューブCの方位角を無指定とすることは、キューブCの方位角を0°に設定することに等しい。経路点データ格納部102は、ある移動経路ROに沿って移動する移動体M(を模擬するキューブC)に関する上記の情報を、当該移動経路ROを識別する識別子に関連づけて格納する。
経路点データとして、各移動経路ROに沿って移動する移動体Mの色等の情報を追加的に付与しても構わない。
標識データ格納部103は、メインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域を利用し、空間内を移動する移動体Mの移動速度または移動方向MVに影響を及ぼす標識オブジェクトSOの位置座標、及び当該標識オブジェクトSOから所定距離の範囲内に接近した移動体Mに対して与える移動速度または移動方向MVに関する指令の内容を含む標識データを格納する。
標識オブジェクトSOに関して詳述する。図9や図12に示すように、標識オブジェクトSOは、移動体Mの移動経路ROまたはその付近に設けられ、移動経路ROに沿って移動する移動体Mまたはその搭乗者によって当該標識オブジェクトSOの存在が検知若しくは認識されたときに、移動体Mの移動速度及び/または移動方向MVを変化させるものである。標識オブジェクトSOはいわば、現実世界における信号機や道路標識のような作用を営む。標識オブジェクトSOの種類には、時間が経過してもその状態が遷移しない(常に一定の状態をとり続ける)「一時停止標識」、「速度標識」及び「方位標識」と、時間の経過に伴いその状態が刻々と遷移する「交差標識」とが存在する。
一時停止標識は、移動体Mを指定した時間一時停止させ、その指定時間が経過した後に再発進させるための標識オブジェクトSOである。一時停止標識に接近してこれを検知若しくは認識した移動体Mは、同一時停止標識により指令された時間一時停止し、しかる後に一時停止前の移動方向MVに向けて再発進、一時停止前の移動速度まで再加速する。
速度標識は、移動体Mの移動速度を指定した速度まで減速または加速させる。速度標識に接近してこれを検知若しくは認識した移動体Mは、移動方向MVを保ちながら、同速度標識により指令された速度まで減速し、または加速する。
方位標識は、移動体Mの移動方向MVを指定した方向に変位させる。速度標識に接近してこれを検知若しくは認識した移動体Mは、移動速度を保ちながら、同方位標識により指令された方向まで移動方向MVを変位させる。
交差標識は、少なくとも二つの状態をとり得る。図9に示す例では、一つの交差標識が、(i)の状態と、(ii)の状態とを交互にとる。この交差標識は、ある移動経路ROと他の移動経路ROとが交わる交差点の部位に設けられ、前者の移動経路ROに沿って移動する移動体Mと後者の移動経路ROに沿って移動する移動体Mとが衝突しないように両者の交通を整理する役割を担う。(i)の状態では、南北(図中、上下)方向に伸びる移動経路ROに沿って移動する移動体Mの移動を許容する一方、東西(図中、左右)方向に延びる移動経路ROに沿って移動する移動体Mの移動を制止する。移動が制止される移動体Mの移動速度は、0となる。翻って、(ii)の状態では、南北方向に伸びる移動経路ROに沿って移動する移動体Mの移動を制止する一方、東西方向に延びる移動経路ROに沿って移動する移動体Mの移動を許容する。(iii)の状態は、(i)の状態から(ii)の状態に切り替わる際、または(ii)の状態から(i)の状態に切り替わる際のインターバルの状態であって、南北方向に伸びる移動経路ROに沿って移動する移動体Mの移動と、東西方向に延びる移動経路ROに沿って移動する移動体Mの移動とをともに制止する。
図9に示した例においては、標識オブジェクトSOにおける着色された部分が青信号を模擬し、着色されていない部分が赤信号を模擬している。移動体Mの移動方向MVに沿った前方において、移動体Mから見て着色されていない部分よりも着色されている部分の方が手前側に位置しているとき、当該移動体Mの移動は当該交差標識によっては制止されない。逆に、移動体Mの移動方向MVに沿った前方において、移動体Mから見て着色されている部分よりも着色されていない部分の方が手前側に位置しており、移動体Mからその着色されていない部分までの距離が一定の範囲内にあるとき、当該移動体Mによって当該交差標識が検知若しくは認識され、その帰結として当該移動体Mの移動は当該交差標識によって制止されることとなる。
図10に示すように、本実施形態では、標識データ格納部103が、空間内に設定される個々の標識オブジェクトSO毎に、当該標識オブジェクトSOの種類、当該標識オブジェクトSOの位置座標[緯度,経度]、その有効桁数、当該標識オブジェクトSOが移動体Mに対して与える指令の内容を規定する情報、及び移動体M(または、その搭乗者)が当該標識オブジェクトSOを検知(または、認識)する距離SRを、当該標識オブジェクトSOを識別する識別子に関連づけて格納する。
標識オブジェクトSOが一時停止標識である場合、当該標識オブジェクトSOが移動体Mに対して与える指令の内容には、移動体Mの一時停止の時間の長さの値が含まれる。標識オブジェクトSOが速度標識である場合、当該標識オブジェクトSOが移動体Mに対して与える指令の内容には、移動体Mの移動速度の値が含まれる。この移動速度の値は、絶対的な速度値(向後移動体Mがとるべき移動速度自体)であることもあれば、相対的な速度値(向後移動体Mがどれだけ移動速度を増加または減少させるべきか、その速度の変化量。例えば、相対値での時速−10kmは、移動体Mを現在の移動速度を基準として時速10km分減速させることを意味し、その結果として移動体Mの移動速度が時速何kmになるのかは減速前の移動速度に依存する)であることもある。
標識オブジェクトSOが方位標識である場合、当該標識オブジェクトSOが移動体Mに対して与える指令の内容には、移動体Mが向かうべき方向を指し示すベクトルの方位角及び/または仰俯角の値が含まれる。この方位角及び/または仰俯角の値は、絶対的な値(向後移動体Mがとるべき方向自体の方位角及び/または仰俯角)であることもあれば、相対的な値(向後移動体Mがどれだけ移動方向MVを変化させるべきか、その方向の変化量。例えば、相対値での方位角90°は、移動体Mを現在の移動方向MVを基準として90°右方に旋回させることを意味し、その結果として移動体Mが東西南北どの方向に向かうことになるのかは変位前の移動方向MVに依存する)であることもある。
特殊な方位標識として、当該方位標識よりも上方に位置する移動体Mに対してのみ影響を及ぼす方位標識や、当該方位標識よりも下方に位置する移動体Mに対してのみ影響を及ぼす方位標識を設定することも可能である。例えば、当該方位標識よりも高位置を飛行ないし浮遊している移動体Mの移動方向MVを下向きに変位させ(移動方向MVの仰俯角を減少させ)て当該移動体Mを降下させる、あるいは、当該方位標識よりも低位置を飛行ないし浮遊している移動体Mの移動方向MVを上向きに変位させ(移動方向MVの仰俯角を増加させ)て当該移動体Mを上昇させるようなことが考えられる。
標識オブジェクトSOが交差標識である場合には、とり得る状態とその状態が継続する時間の長さ、そしてその状態と次に遷移する状態との間のインターバル状態をとる時間の長さを、とり得る状態順に記述する。例えば、ある交差標識に係る標識データに含まれる、[S1,20,3,S2,30,3]という数値群は、当該交差標識が(i)の状態を20秒間とった後、3秒間のインターバルの間(iii)の状態をとり、次に当該交差標識が(ii)の状態を30秒間とった後、3秒間のインターバルの間(iii)の状態をとり、以後これらの状態遷移を反復することを意味する。
交差標識がとる状態を、より複雑に定義することも可能である。例えば、図11に示すように、一つの交差標識について八つの状態を観念し、各状態をそれぞれ8ビットの数値で表現することとすると、図11の(a)の状態は00000000という値によって表され、(e)の状態は00010000という値によって表される。そして、図11に示している八つの状態にそれぞれ割り当てられた8ビットの値の和をとることで、八つの状態のうちの二つ以上を組み合わせた状態を表現することができる。例えば、図9の(i)の状態は、図11の(a)、(d)、(e)及び(h)の組み合わせであるから、10011001という数値で表される。交差標識に係る標識データ[S1,20,3,S2,30,3]は、[10011001,20,3,01100110,30,3]と書き換えることができる。
また、上記の八つの状態表現を利用すれば、時差式信号機のようなものを具現することも可能となる。図12に示すように、(iv)、(v)、(vi)の三つの状態を順次とり((vi)の状態をとった後は(iv)の状態に復帰する)、状態(v)と状態(vi)との間、及び状態(vi)と状態(iv)との間にインターバルの状態(vii)をとる交差標識は、[01100110,30,0,01100000,20,3,00011000,30,3]というような形で表現することができる。(iv)の状態から(v)の状態に遷移する際には、インターバルの状態(vii)をとらないので、状態(iv)についてのインターバルの時間の値は0となる。
図10に示しているように、個々の標識オブジェクトSOに対して、当該標識オブジェクトSOの平面寸法、即ち水平なx軸方向にそった寸法、及びx軸と直交する水平なy軸方向に沿った寸法の各々を直接指定する数値を付与することもできる。なお、平面寸法の数値が与えられていない標識オブジェクトSOは、当該標識オブジェクトSOが所在するグリッドの位置座標の緯度及び経度の有効桁数に応じて定まるx軸方向寸法(経度方向寸法)及びy軸方向寸法(緯度方向寸法)を有する。つまり、標識オブジェクトSOの位置座標の緯度及び経度の有効桁数は、当該グリッドを占有する標識オブジェクトSOの平面寸法を間接的に指示する。
また、図10に示しているように、個々の標識オブジェクトSOに対して、その向きを定義する方位角の情報を付与することもできる。キューブCの方位角CV、MVと同様、標識オブジェクトSOの方位角は、標識オブジェクトSOの特定の一つの頂点[x,y]=[0,0]から当該標識オブジェクトSOのy軸に沿ってyの値が負となる方向に伸びる方位角ベクトルが空間内でどちらの方位を向いているかを規定する。なお、方位角の数値が与えられていない標識オブジェクトSOは、その標識オブジェクトSOが真北に向かって伸びる方向を向くものとする。つまり、標識オブジェクトSOの方位角を無指定とすることは、標識オブジェクトSOの方位角を0°に設定することに等しい。
標識オブジェクトSOの検出距離SRは、移動体Mが当該標識オブジェクトSOを検出する距離を規定する。移動体Mの移動速度または移動方向MVに影響を及ぼす標識オブジェクトSOは、移動体Mが検出している(その程度には移動体Mに近い)ものに限られる。移動体Mが検出しない(ほど離れている)標識オブジェクトSOは、当該移動体Mの移動速度及び移動方向MVに影響を及ぼさない。移動体Mが標識オブジェクトSOを検出する条件は、次の通りである。即ち、図13に示すように、移動体Mを模擬するキューブC内の特定の位置、例えば特定の一つの頂点P2[x,y]=[0,0]から当該移動体Mの移動方向MVに沿って前方をみたときの所要の視野角Mαの範囲内、なおかつ当該特定位置からの距離が検出距離SR以内の領域を検出可能領域として設定し、この検出可能領域内に少なくとも一部が入り込んでいる標識オブジェクトSOを、移動体Mが検出する標識オブジェクトSOとする。検出可能領域を規定する視野角Mαの大きさは、例えば、移動体Mの移動方向MVと直交する左右方向にそれぞれ±10°まで(即ち、2Mα=20°)とする。
検出可能領域を規定する検出距離SRは、標識オブジェクトSOに係る標識データに含まれる値であり、検出可能領域は標識オブジェクトSO毎に拡縮し得る。検出距離が長い標識オブジェクトSOは、移動体Mにとって遠方からでも検出することが容易な標識オブジェクトSOであり、検出距離が短い標識オブジェクトSOは、移動体Mにとって接近しないと検出することができない標識オブジェクトSOであると言える。
標識オブジェクトSOが交差標識である場合、移動体Mを模擬するキューブCから見て、交差標識の着色されていない部分よりも着色されている部分の方が手前側に位置しており、その着色されている部分が同キューブCの特定位置を起点とする検出可能領域内に少しでも入り込んでいれば、当該交差標識によって移動体Mの移動が許可される。これに対し、移動体Mを模擬するキューブCから見て、交差標識の着色されている部分よりも着色されていない部分の方が手前側に位置しており、その着色されていない部分が同キューブCの特定位置を起点とする検出可能領域内に少しでも入り込んでいれば、当該交差標識によって移動体Mの移動が制止される。
標識オブジェクトSOを、物体や移動体Mを模擬するキューブCと同様の直方体状の三次元立体と見なすこともできる。この場合における標識オブジェクトSOは、平面寸法、即ち水平なx軸方向にそった寸法、及びx軸と直交する水平なy軸方向に沿った寸法とともに、x軸及びy軸の双方に直交するz軸方向に沿った高さ寸法をも有する。図10に示すように、直方体状の標識オブジェクトSOについては、標識データとして、平面寸法とともに高さ寸法や地上高の情報を付与する。標識オブジェクトSOの地上高は、当該標識オブジェクトSOの下面の高さ位置(標高または海抜であることがある)を表す。地下トンネル内を移動する移動体Mの移動速度や移動方向MVを制御するための標識オブジェクトSOは地下に所在し、その標識オブジェクトSOの地上高の値は負値をとることがある。空中を飛行ないし浮遊する移動体Mの移動速度や移動方向MVを制御するための標識オブジェクトSOは空中に所在し、その標識オブジェクトSOの比較的大きな正の値となり得る。
その上で、図14に示すように、移動体Mを模擬するキューブCの特定位置を起点とする検出可能範囲を上下にも拡張して三次元化することが考えられる。具体的には、移動体Mを模擬するキューブC内の特定の位置、例えば特定の一つの頂点P2[x,y,z]=[0,0,0]から当該移動体Mの移動方向MVに沿って前方をみたときの所要の水平方向に沿った視野角Mα及び鉛直方向に沿った視野角Mβの範囲内、なおかつ当該特定位置からの水平距離(高度差を無視した距離)が検出距離SR以内の領域を検出可能領域として設定し、この検出可能領域内に少なくとも一部が入り込んでいる標識オブジェクトSOを、移動体Mが検出する標識オブジェクトSOとする。検出可能領域を規定する視野角Mβの大きさは、例えば、移動体Mの移動方向MVと直交する上下方向にそれぞれ±10°まで(即ち、2Mβ=20°)とする。このようなものであれば、地上を走行する移動体Mに影響を及ぼすが空中を飛行ないし浮遊する移動体Mには影響を及ぼさない標識オブジェクトSOや、空中を飛行ないし浮遊する移動体Mに影響を及ぼすが地上を走行する移動体Mには影響を及ぼさない標識オブジェクトSOを具現することができる。
空間内に設置される標識オブジェクトSOには、空間内に存在するあらゆる移動体Mに対して影響を及ぼすものと、特定の移動経路ROに沿って移動する移動体Mに対してのみ影響を及ぼす(それ以外の移動経路ROに沿って移動する移動体Mに対しては影響を及ぼさない)ものとがある。後者の標識オブジェクトSOが特定の移動経路ROに沿って移動する移動体Mの検出可能範囲に入った場合、当該標識オブジェクトSOにより当該移動体Mの移動速度または移動方向MVが変化する。だが、後者の標識オブジェクトSOが特定の移動経路RO以外の移動経路ROに沿って移動する移動体Mの検出可能範囲に入ったとしても、当該標識オブジェクトSOにより当該移動体Mの移動速度及び移動方向MVは変化しない。
標識データ格納部103に格納する標識データにおいて、特定の移動経路ROに沿って移動する移動体Mに対してのみ影響を及ぼす標識オブジェクトSOについては、当該標識オブジェクトSOが影響を及ぼす対象となる移動経路ROを識別する識別子が追加される。標識データに移動経路ROを識別する識別子が追加されていない標識オブジェクトSOは、移動経路ROを問わず移動体M一般に対して影響を及ぼす標識オブジェクトSOとなる。
移動体データ格納部104は、メインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域を利用し、少なくとも、空間内を移動経路ROに沿って移動する複数の移動体Mの各々について、その現在の位置座標、移動速度及び移動方向MVを含む移動体データを格納する。
図15に示すように、本実施形態では、移動体データ格納部104が、個々の移動体Mを模擬するキューブC毎に、当該キューブC(または、これが模擬する移動体M)が移動するべき経路ROを識別する識別子、当該キューブCの現在の位置座標[緯度,経度]とその有効桁数、当該キューブCの目標移動速度及び目標移動方向の方位角、並びに現在の移動速度及び現在の移動方向MVの方位角の情報を、当該キューブCを識別する識別子に関連づけて格納する。
移動体Mを模擬するキューブCの現在位置は、当該キューブ内の特定の一つの頂点P2[x,y,z]=[0,0,0]の位置に等しい。
目標移動速度は、移動体Mが通過する経路点RPに設定されたコマンドや、移動体Mが接近した標識オブジェクトSO(特に、速度標識)によって与えられる。目標移動方向は、原則として、移動体Mが移動経路ROに沿ったある経路点RPから次の経路点RPに向かって移動する際の、それら経路点の位置座標に基づいて決定される。具体的には、既に到達したある経路点とこれから向かう次の経路点とを結ぶ線分に平行なベクトル、または移動体Mの現在位置と次の経路点とを結ぶ線分に平行なベクトルが、目標移動方向となる。但し、目標移動方向は、移動体Mが通過する経路点に設定されたコマンドや、移動体Mが接近した標識オブジェクトSO(特に、方位標識)によって与えられることもある。
目標移動速度及び目標移動方向は、移動体Mを模擬するキューブCが達成するべき移動速度及び移動方向である。これに対し、同キューブCの現在の移動速度及び移動方向MVは、常に目標移動速度及び目標移動方向と合致するとは限られない。例えば、ある経路点に到達した移動体Mが、その経路点に設定されたコマンドによって90°右方に旋回するケースでは、目標移動方向の方位角が瞬時に90°分変化する一方、現在の移動方向MVの方位角は目標移動方向の変化に追従して徐々に変化し、ある程度の時間を経てはじめて目標移動方向の方位角と一致する。同様に、現在の移動速度も、目標移動速度の変化に追従して徐々に加速または減速することとなる。また、現在の移動速度は、移動体Mが接近した標識オブジェクトSO(特に、一時停止標識や交差標識)により影響を受けて減速することがあり、さらに、自身の前方に存在する他の移動体Mを模擬するキューブCとの間の距離が一定以下に縮まったときに減速することもある。
加えて、図15に示しているように、各移動体Mを模擬する各キューブCに対して、その現在の地上高の情報を付与することもあり得る。キューブCの地上高は、当該キューブCが模擬している移動体Mの下面の高さ位置(標高または海抜であることがある)を表す。移動体Mが地下トンネル内を移動するような場合には、これを模擬するキューブCの地上高の値が負値をとることがある。また、空中を飛行ないし浮遊する飛翔体を模擬するキューブCの地上高の値は、比較的大きな正の値となり得る。
並びに、各移動体Mを模擬する各キューブCに対して、目標移動方向及び現在の移動方向MVの方位角とともに、目標移動方向及び現在の移動方向MVの仰俯角の情報を付与することもあり得る。移動方向を方位角及び仰俯角の両方で表現することで、登坂路上または降坂路上を走行する移動体Mの上り下りを表現することが可能となり、飛翔体である移動体Mの上昇または下降を表現することも可能となる。
シミュレート部105は、経路点データ格納部102に格納している経路点データ、標識データ格納部103に格納している標識データ、及び移動体データ格納部104に格納している移動体データを参照して、空間内を移動する複数の移動体Mの各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向MVを反復的に演算し、演算した各移動体Mの新たな位置座標、移動速度及び移動方向MVを移動体データ格納部104に書き込む。
経路点データにより規定される経路点の位置座標、標識データにより規定される標識オブジェクトSOの位置座標、移動帯データにより規定される移動体Mの位置座標はそれぞれ、緯度及び経度を含んでいる。ここで、それぞれの位置座標が緯度及び経度で表される二つの地点の間の距離である測地線長、及びその一方の地点から他方の地点を見たときの方位角の計算方法の具体例を示す。以下に述べる計算方法は、国土地理院ウェブサイト(http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/surveycalc/bl2stf.html)で紹介されているものである。
一方の地点の緯度をφ1、経度をL1とおき、他方の地点の緯度をφ2、経度をL2とおく。但し、北緯を正、南緯を負、東経を正、西経を(360°−経度)とする。また、L=L2−L1が負値となる場合には、一方の地点の緯度をφ2、経度をL2とし、他方の地点の緯度をφ1、経度をL1として、Lを正値化する。並びに、地球楕円体(準拠楕円体)の長半径をa、扁平率をfとおく。
L=L2−L1; L’=180°−L (但し、0°≦L≦180°)
Δ=φ2−φ1; Σ=φ1+φ2
1=tan-1[(1−f)tanφ1]; u2=tan-1[(1−f)tanφ2
Σ’=u1+u2; Δ’=u2−u1 (但し、−180°≦Σ’≦180°、−180°≦Δ’≦180°)
ξ=cos(Σ’/2); ξ’=sin(Σ’/2)
η=sin(Δ’/2); η’=cos(Δ’/2)
x=sinu1sinu2; y=cosu1cosu2
c=ycosL+x
ε=[f(2−f)]/[(1−f)2
以降、cの値に応じて一部計算式が異なり、c≧0が成立する場合をゾーン1、0>c≧−cos(3°cosu1)が成立する場合をゾーン2、c<−cos(3°cosu1)が成立する場合をゾーン3とする。
θの初期値θ(0)について、ゾーン1ではθ(0)=L(1+fy)とし、ゾーン2ではθ(0)=L’とする。
ゾーン3では、Σ=0であるゾーン3(a)と、Σ≠0であるゾーン3(b)とで計算方法が分かれる。
R=fπcos21[1−(1/4)f(1+f)sin21+(3/16)f2sin41
1=L’cosu1−R; d2=|Σ’|+R
q=L’/(fπ); f1=(1/4)f[1+(1/2)f]; γ0=q+f1q−f13
ゾーン3(a)でのθ(0)の計算は、
0=tan-1(d1/d2) (但し、−90°≦A0≦90°)
0=sin-1[R/√(d1 2+d2 2)] (但し、0°≦B0≦90°)
ψ=A0+B0; j=γ0/cosu1
k=(1+f1)|Σ’|(1−fy)/(fπy); j1=j/(1+ksecψ)
ψ’=sin-11 (但し、0°≦ψ’≦90°)
ψ’’=sin-1(j1cosu1/cosu2) (但し、0°≦ψ’’≦90°)
θ(0)=2tan-1{tan[(ψ’+ψ’’)/2]sin(|Σ’|/2)/cos(Δ’/2)}
他方、ゾーン3(b)では、d1>0の場合にθ(0)=L’とする。ゾーン3(b)でd1≦0である場合の測地線長及び方位角の計算に関しては、別途述べる。
(ゾーン3(b)でd1≦0である場合を除く)下記θの算出において、一回目の演算ではθ(n)≡θ(0)とし、二回目以降の演算ではθ(n+1)≡θ(n)とする。
ゾーン1では、g=√[η2cos2(θ(n)/2)+ξ2sin2(θ(n)/2)]
ゾーン1以外では、g=√[η2sin2(θ(n)/2)+ξ2cos2(θ(n)/2)]
ゾーン1では、h=√[η’2cos2(θ(n)/2)+ξ’2sin2(θ(n)/2)]
ゾーン1以外では、h=√[η’2sin2(θ(n)/2)+ξ’2cos2(θ(n)/2)]
σ=2tan-1(g/h); J=2gh; K=h2−g2
γ=(y/J)sinθ(n); Γ=1−γ2; ζ=ΓK−2x; ζ’=ζ+x
D=(1/4)f(1+f)−(3/16)f2Γ
E=(1−DΓ)fγ{σ+DJ[ζ+DK(2ζ2−Γ2)]}
ゾーン1では、F=θ(n)−L−E
ゾーン1以外では、F=θ(n)−L’+E
G=fγ2(1−2DΓ)+fζ’(σ/J)[1−DΓ+(1/2)fγ2]+(1/4)f2ζζ’
θ(n+1)=θ(n)−F/(1−G)
上記を所要回数反復することで、θを求める。その反復的な演算は、|F|<10-15となるまで続行することが好ましい。
(ゾーン3(b)でd1≦0である場合を除く)測地線長sは、
0=εΓ/[√(1+εΓ)+1]2; A=(1+n0)[1+(5/4)n0 2
B=ε[1−(3/8)n0 2]/[√(1+εΓ)+1]2
s=(1−f)aA(σ−BJ{ζ−(1/4)B[K(Γ2−2ζ2)−(1/6)Bζ(1−4K2)(3Γ2−4ζ2)]})
(ゾーン3(b)でd1≦0である場合を除く)移動体Mの位置から見た対象の位置の方位角αは、
ゾーン1では、α=tan-1[ξtan(θ/2)/η]−tan-1[ξ’tan(θ/2)/η’]
ゾーン1以外では、α=tan-1[η’tan(θ/2)/ξ’]−tan-1[ηtan(θ/2)/ξ]
但し、一方の地点の緯度及び経度を(φ2,L2)とし、他方の地点の緯度及び経度を(φ1,L1)としているのであれば、
ゾーン1では、α=180°+tan-1[ξtan(θ/2)/η]+tan-1[ξ’tan(θ/2)/η’]
ゾーン1以外では、α=360°−tan-1[η’tan(θ/2)/ξ’]−tan-1[ηtan(θ/2)/ξ]
なお、ゾーン3(b)でd1=0である場合の測地線長s及び方位角αは、
Γ=sin21
0=εΓ/[√(1+εΓ)+1]2; A=(1+n0)[1+(5/4)n0 2
s=(1−f)aAπ
α=90°
但し、一方の地点の緯度及び経度を(φ2,L2)とし、他方の地点の緯度及び経度を(φ1,L1)としているのであれば、α=270°
また、ゾーン3(b)でd1<0である場合の測地線長s及び方位角αは、下記に則って算出する。一回目の演算ではγ(n)≡γ(0)とし、二回目以降の演算ではγ(n+1)≡γ(n)として、
Γ=1−γ(n) 2; D=(1/4)f(1+f)−(3/16)f2Γ
γ(n+1)=q/(1−DΓ)
上記を所要回数反復することで、Γ及びDを求める。その反復的な演算は、|γ(n)−γ(n-1)|<10-15となるまで続行することが好ましい。そして、
0=εΓ/[√(1+εΓ)+1]2; A=(1+n0)[1+(5/4)n0 2
s=(1−f)aAπ
m=1−qsecu1; n=DΓ/(1−DΓ); w=m−n+mn
w≦0のとき、α=90°
w>0のとき、α=90°−2sin-1√(w/2)
但し、一方の地点の緯度及び経度を(φ2,L2)とし、他方の地点の緯度及び経度を(φ1,L1)としているのであれば、
w≦0のとき、α=270°
w>0のとき、α=270°+2sin-1√(w/2)
測地線長及び方位角の計算方法は、上掲のものに限定されないことは言うまでもない。より簡易な(計算量の少ない、だが誤差が生じ得る)計算方法として、Vincentyの式やHubenyの式等が知られており、それらを採用しても構わない。あるいは、与えられた地域[緯度,経度]における単位緯度あたりの緯度方向寸法及び単位経度あたりの経度方向寸法を求め、一つのグリッドの平面寸法を一意に決定してしまってもよい。例えば、日本国内では、緯度0.000001°が0.11m、経度0.000001°が0.09mであると定めた上で、測地線長及び方位角を簡易に計算することが考えられる。
図16に、本移動体制御システムのシミュレート部105の機能を具現するコンピュータ1がプロラムに従い実行するシミュレーション処理の手順の概要を示している。シミュレート部105は、まず、経路点データに基づき、当該経路点データが定義する各移動経路RO毎に、その移動経路ROに沿って移動する新たな移動体Mを適時に生成して、その新たな移動体Mを識別する識別子、当該移動体Mの位置座標、目標移動速度及び目標移動方向を移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む(ステップS1)。
次に、シミュレート部105は、移動体データに基づき、空間内に存在している各移動体Mの現在の位置座標を知得するとともに、経路点データ及び標識データに基づき、空間内に存在している経路点RPの位置座標、各標識オブジェクトSOの位置座標、寸法及びをそれぞれ知得する。そして、各移動体Mが何れかの経路点RPまたはその近傍に到達した場合、当該経路点RPに係る経路点データに定義されている、当該経路点RPまたはその近傍に到達した移動体Mに対して与えるべきコマンドを参照し、そのコマンドに従って当該移動体Mの目標移動速度及び/または目標移動方向を変更、変更後の目標移動速度及び/または目標移動方向を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む。並びに、各移動体Mの検出可能範囲内に何れかの標識オブジェクトSO、特に速度標識または方位標識が入り込んだ場合、当該速度標識または方位標識に係る標識データに定義されている、当該速度標識または方位標識を検出した移動体Mに対して与えるべき指令の内容を参照し、その指示に従って当該移動体Mの目標移動速度及び/または目標移動方向を変更、変更後の目標移動速度及び/または目標移動方向を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む(ステップS2)。
なお、ステップS2において、移動体Mが到達した経路点RPに設定されているコマンドが、当該移動体Mを移動経路上または空間内から除去する旨のものである場合には、当該移動体Mに係る移動帯データ、即ち当該移動体Mを識別する識別子、当該移動体Mの位置座標、目標移動速度及び目標移動方向、並びに現在の移動速度及び現在の移動方向MVを、移動体データ格納部104から消去する。
続いて、シミュレート部105は、移動体データに基づき、各移動体Mの目標移動速度と現在の移動速度との偏差を縮小するように現在の移動速度を所定量増減させ、その結果の現在の移動速度を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む。並びに、各移動体Mの目標移動方向と現在の移動方向MVとの偏差を縮小するように現在の移動方向MVを所定量変位させ、その結果の現在の移動方向MVを当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む(ステップS3)。
また、シミュレート部105は、移動体データに基づき、空間内に存在している各移動体Mの現在の位置座標を知得するとともに、標識データに基づき、空間内に存在している各標識オブジェクトSOの位置座標及び寸法をそれぞれ知得する。そして、各移動体Mの検出可能範囲内に何れかの標識オブジェクトSO、特に一時停止標識または交差標識が入り込んだ場合、当該一時停止標識または交差標識に係る標識データに定義されている、当該一時停止標識または交差標識を検出した移動体Mに対して与えるべき指令の内容を参照し、その指示に従って当該移動体Mの現在の移動速度を変更、変更後の現在の移動速度を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む(ステップS4)。既に述べた通り、交差標識は、時間の経過に伴いその状態が刻々と遷移する。従って、シミュレート部105は、移動体Mが交差標識を検出した場合、その交差標識の現在の状態に応じて当該移動体Mの現在の移動速度を変更する必要が否かを判定し、変更する必要があると判定したときに限り、変更後の現在の移動速度を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む。
さらに、シミュレート部105は、移動体データ及び経路点データに基づき、空間内に存在している各移動体Mの現在の位置座標及び各移動体Mを模擬するキューブCの寸法を知得する。そして、ある移動体Mが当該移動体Mの移動方向MVに沿って前方に存在する他の移動体Mから所定距離MRの範囲内に接近している場合には、そうでない場合と比較して当該移動体Mの現在の移動速度を減少させ、その結果の現在の移動速度を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む(ステップS5)。移動体Mの移動速度の減少は、移動体Mの移動速度を0として当該移動体Mを一時的に停止させることを含む。これは、ある移動体Mが他の移動体Mに追突してしまうことを回避することを意味している。ステップS5では、移動体Mを模擬するキューブC内の特定の位置、例えば特定の一つの頂点P2[x,y]=[0,0]から当該移動体Mの移動方向MVに沿って前方をみたときの所要の視野角Mαの範囲内、なおかつ当該特定位置からの距離が所定距離以内の領域を衝突危険領域として設定する。あるいは、移動体Mを模擬するキューブC内の特定の位置、例えば特定の一つの頂点P2[x,y,z]=[0,0,0]から当該移動体Mの移動方向MVに沿って前方をみたときの所要の水平方向に沿った視野角Mα及び鉛直方向に沿った視野角Mβの範囲内、なおかつ当該特定位置からの水平距離が所定距離以内の領域を衝突危険領域として設定する。この衝突危険領域は、移動体Mが標識オブジェクトを検出する検出可能範囲に類似している。その上で、この衝突危険領域内に他の移動体Mを模擬するキューブCの少なくとも一部が入り込んでいることを条件として、当該移動体Mがその前方に存在する他の移動体Mから所定距離MRの範囲内に接近していると判断する。
最後に、シミュレート部105は、移動体データに基づき、空間内に存在している各移動体Mの現在の位置座標、並びに現在の移動速度及び現在の移動方向MVを知得する。そして、各移動体M毎に、単位時間あたりの移動量、即ち単位時間あたりの移動体Mの位置座標の変化量を求め、これに基づいて移動体Mの現在の位置座標を変更、その変更後の位置座標を当該移動体Mに係る移動体データとして移動体データ格納部104に書き込む(ステップS6)。
しかして、シミュレート部105は、上述のステップS1ないしS6を反復的に実行することで、空間内での複数の移動体Mの各々の移動をシミュレーションする。
出力部106は、経路点データ格納部102に格納している経路点データ、標識データ格納部103に格納している標識データ、及び移動体データ格納部104に格納している移動体データを参照して、空間内に存在する移動体Mを模擬するキューブCや移動体M以外の物体を模擬するキューブCによって移動体M及び移動体M以外の物体を表現した静止画像または動画像を生成する。そして、生成した静止画像または動画像を、ディスプレイ1iの画面に表示させ、その静止画像または動画像のデータをメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に格納し、または、本移動体制御システムの主体となるコンピュータ1と電気通信回線を介して通信可能に接続している外部の装置またはコンピュータに向けて送信する。
出力部106が生成し出力する静止画像または動画像は、現実の移動体Mを含む物体をそれぞれ一または複数のキューブCにより模擬した場景を描画したものである。図5に示すように、空間内に存在する個々のキューブCについては、その八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の三次元位置座標が既に確定している。キューブCにおける隣り合う二つの頂点は、キューブCの稜線により結ばれる。一つのキューブCは、八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7とともに十二本の稜線L0、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11を有する。
出力部106は、まず、現実の物体を模擬する多数のキューブCが配置される仮想空間をある視点位置Vからある視線方向Sに沿って見たときに、所要の視野角α、βの範囲内に存在している一または複数のキューブCを検索する。これは、現実の物体をキューブCによって模擬した場景を描画する処理を実行するにあたり、描画するべき対象となるキューブCを選出することに等しい。
視点の位置Vを規定する値としては、その緯度及び経度、並びに高さ位置(標高または海抜であることがある)がある。そして、視線の方向Sを規定する値としては、視点の位置Vから見る方向Sのベクトルの方位角及び仰俯角がある。視点の位置V[緯度,経度,高さ]及び視線の方向S[方位角,仰俯角]は、予め与えられてメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cに記憶保持していることもあれば、入力デバイス1gを介してその入力を受け付けることもある。あるいは、電気通信回線を介して通信可能に接続している外部の装置またはコンピュータから受信するということもあり得る。さらには、空間内を移動するある移動体Mに搭乗している仮想的な搭乗者の視点の位置及び視線の方向を、視点の位置V及び視線の方向Sとすることもある。この仮想的な搭乗者の視点の位置及び視線の方向は、移動体Mが経由する経路点RPに設定したコマンドによって指定することが可能である。
図17ないし図19に示すように、出力部106は、与えられる視点の位置Vから、与えられる視線の方向Sを見るときに、その視線の方向Sと直交する有限の大きさのスクリーンFに投影され得る一または複数のキューブCに係る情報を抽出する。スクリーンFの寸法、換言すれば視野角α、βの大きさは、例えば、視線の方向と直交する上下方向及び左右方向にそれぞれ±20°まで(即ち、2α=2β=40°)とする。但し、この視野角α、βの大きさは任意であり、視点位置V及び視線方向Sと同様に与えられる不定のものであってもよい。
出力部106がキューブCを検索するにあたり、視点の位置Vから無限遠方に位置するキューブCまでをも検索の対象としても勿論よいが、より好ましくは視点の位置Vから検索する距離の範囲Rを有限に設定する。一例としては、視点の位置Vから10kmまでの範囲内、または100kmまでの範囲内に存在するキューブCのみを検索対象とし、それよりも遠方に位置するキューブCは検索の対象外とする。視点Vから遙かに遠く離れたキューブC(が模擬している物体)は実際には視認できない、または視認する必要がなく、そのようなキューブCは描画の対象としなくともよいからである。視点の位置Vからの検索距離の範囲Rは常に一定であってもよいし、視点位置V及び視線方向Sと同様に与えられる不定のものであってもよい。
出力部は、空間内に存在する各キューブCの位置座標及び寸法を規定する情報を読み出し、これを基に、空間内に存在するキューブCのうち、
(I)与えられた視点位置V[緯度,経度]から与えられた視線方向S[方位角]を見るときに、キューブCの南西角、南東角、北東角または北西角の頂点(あるいは、中央等)のうちの何れか少なくとも一つの位置[緯度,経度]が所要の視野角αの範囲内にあるようなキューブC
(II)なおかつ、与えられた視点位置V[緯度,経度]と、キューブの南西角、南東角、北東角または北西角の頂点(あるいは、中央等)のうちの何れか少なくとも一つの位置[緯度,経度]との水平距離が所要の検索距離Rの範囲内にあるようなキューブC
を抽出する。図18に示す例に則して述べると、あるキューブCの頂点PAはスクリーンFの左右方向に沿った視野角αの範囲外に位置しているので、この頂点PAを有するキューブCは検索条件(I)に合致しない。一方で、他のキューブCの頂点PB、PCは何れもスクリーンFの左右方向に沿った視野角αの範囲内に位置しているが、頂点PCは視点位置Vからの距離が検索距離Rの範囲外にある、つまりは視点Vから遠すぎるので、その頂点PCを有するキューブCは検索条件(II)に合致しない。結果として、頂点PBを有するキューブCが検索条件(I)及び(II)に合致することとなる。
さらに、出力部106は、上記の検索条件(I)及び(II)に合致するキューブCのうち、
(III)与えられた視点位置V[緯度,経度,高さ]から与えられた視線方向S[仰俯角]を見るときに、キューブCの頂面側の何れかの頂点(あるいは、中央等)の位置[緯度,経度,高さ]が所要の視野角の下限よりも上方に位置し、並びに、同キューブCの底面側の何れかの頂点(あるいは、中央等)の位置[緯度,経度,高さ]が同視野角の上限よりも下方に位置しているようなキューブC
を抽出する。図19に示す例に則して述べると、あるキューブCの頂面側の頂点PDはスクリーンFの上下方向に沿った視野角βの下限よりも下方に位置しているので、この頂点PDを有するキューブCは検索条件(III)に合致しない。また、他のキューブCの底面側の頂点PEはスクリーンFの上下方向に沿った視野角βの上限よりも上方に位置しているので、この頂点PEを有するキューブCも検索条件(III)に合致しない。一方で、別のキューブCの頂点PBはスクリーンFの上下方向に沿った視野角βの範囲内に位置しているので、この頂点PBを有するキューブCが検索条件(III)に合致することとなる。
上記の条件(I)、(II)及び(III)をおしなべて充足するキューブCが、描画するべき対象のキューブCである。出力部106は、そのような一または複数のキューブCを選出し、当該キューブCの描画のために必要となる情報、即ち当該キューブCの位置座標、寸法、色等の情報を読み出して取得する。
続いて、出力部106は、描画するべき対象として選出した一または複数のキューブCの各々について、当該キューブCの各頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7をスクリーンFに投影した場合における各頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の同スクリーンF上での位置座標[左右方向位置X,上下方向位置Y]を演算する。
図18に示す例に則して述べると、描画対象であるキューブCの頂点PBをスクリーンFに投影する場合の、同スクリーンF上での左右方向に沿った位置座標は、鉛直面に平行かつ視線方向Sと直交する方向から見た(平面視の)状態で、視点Vから視線の方向Sに沿って伸びる線分と、視点Vから当該頂点PBに向かって伸びる線分とがなす角度Xとして求められる。この角度Xは、視点の位置Vから見た視線の方向Sの方位角と、同じ視点Vの位置から見た頂点PBの方向の方位角との差分である。
並びに、図19に示す例に則して述べると、描画対象であるキューブCの頂点PBをスクリーンFに投影する場合の、同スクリーンF上での上下方向に沿った位置座標は、水平面に平行かつ視線方向Sと直交する方向から見た(側面視の)状態で、視点Vから視線の方向Sに沿って伸びる線分と、視点Vから当該頂点PBに向かって伸びる線分とがなす角度Yとして求められる。この角度Yは、視点の位置Vから見た視線の方向Sの仰俯角と、同じ視点の位置Vから見た頂点PBの方向の仰俯角との差分である。出力部106は、描画対象のキューブCの各頂点の同スクリーンF上での位置座標[X,Y]を算出する。
のみならず、出力部106は、描画対象となるキューブCの各々について、当該キューブCが有する八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7のうち、当該キューブC自体の陰に隠れるために視点Vからでは見えない、つまりは描画する必要のない頂点を判断する。具体的には、視点の位置V[緯度,経度,高さ]から、キューブCの八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7のそれぞれの位置[緯度,経度,高さ]までの間の斜距離(高度差をも加味した文字通りの距離)を算出する。そして、視点Vからの斜距離が最も遠い頂点を、キューブC自体の陰に隠れて見えない頂点であると判定する。
さらに、視点Vからの斜距離が最も遠い頂点のスクリーンF上での位置座標[X,Y]と、視点Vからの斜距離が二番目に遠い頂点のスクリーンF上での位置座標[X,Y]との間の距離を求め、スクリーンF上で両者の距離が閾値以下に接近しているならば、視点Vからの斜距離が二番目に遠い頂点もまたキューブC自体の陰に隠れて見えない頂点であると判定する。この閾値は、視点Vと前者の最も遠い頂点とを結ぶ線分と、視点Vと後者の二番目に遠い頂点とを結ぶ線分とがなす角度が0.5°程度となるような値に設定する。
加えて、視点Vからの斜距離が最も遠い頂点のスクリーンF上での位置座標[X,Y]と、視点Vからの斜距離が三番目に遠い頂点のスクリーンF上での位置座標[X,Y]との間の距離を求め、スクリーンF上で両者の距離が閾値以下に接近しているならば、視点Vからの斜距離が三番目に遠い頂点、及び視点Vからの斜距離が四番目に遠い頂点もまたキューブC自体の陰に隠れて見えない頂点であると判定する。この閾値は、視点Vと前者の最も遠い頂点とを結ぶ線分と、視点Vと後者の三番目に遠い頂点とを結ぶ線分とがなす角度が0.5°程度となるような値に設定する。
なお、描画対象のキューブCが有する十二本の稜線L0、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11のうち、キューブC自体の陰に隠れて見えない頂点に接続する稜線は、やはりキューブCの陰に隠れて見えない。そのような稜線は、描画する必要のない稜線である。
また、出力部106は、描画対象のキューブCの各々について、当該キューブCが有する十二本の稜線L0、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11のうち、視点Vから遠く離れており視点Vから見て極めて短小となるために描画する必要のない稜線を判断する。具体的には、稜線により結ばれる二つの頂点のうちの一方のスクリーンF上での位置座標[X,Y]と、他方のスクリーンF上での位置座標[X,Y]との間の距離を求め、スクリーンF上でその両者の距離が閾値以下に接近しているならば、それら二つの頂点を結ぶ稜線を描画する必要のない稜線であると判定する。この閾値は、視点Vと一方の頂点とを結ぶ線分と、視点Vと他方の頂点とを結ぶ線分とがなす角度が0.5°程度となるような値に設定する。
なおかつ、出力部106は、描画対象のキューブCの各々について、当該キューブCが有する八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7のうち、視点Vから遠く離れており視点Vから見て各々の頂点を区別することが困難であるために描画する必要のない頂点を判断する。具体的には、隣り合う二つの頂点のうちの一方のスクリーンF上での位置座標[X,Y]と、他方のスクリーンF上での位置座標[X,Y]との間の距離を求め、スクリーンF上でその両者の距離が閾値以下に接近しているならば、それら二つの頂点のうちの何れかを描画する必要のない頂点であると判定する。この閾値は、視点Vと一方の頂点とを結ぶ線分と、視点Vと他方の頂点とを結ぶ線分とがなす角度が0.05°程度となるような値に設定する。この閾値は、上記の他の閾値と比較して小さい。
描画対象となるキューブCが有する八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7及び十二本の稜線L0、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11が全てスクリーンFの寸法の範囲内、即ち視野角α、βの範囲内に収まっているとは限らない。出力部106は、スクリーンF上における位置座標[X,Y]がスクリーンFの寸法よりも外側に逸脱する頂点を、描画する必要のない頂点であると判断する。そして、一本の稜線により結ばれる二つの頂点の双方がスクリーンFの寸法の外側に位置している場合には、その稜線を描画する必要のない稜線であると判断する。
このように演算して求められた、描画対象のキューブCが有する各頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7のスクリーンF上での位置座標[X,Y]その他の情報は、与えられた視点の位置Vから与えられた視線の方向Sに沿って一または複数のキューブCを見た場景を三次元グラフィクスとして描画する処理に用いられる。図20に示すように、この情報には、描画対象として選出された一または複数のキューブCのそれぞれ毎に、当該キューブCが有する八つの頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7の各々のスクリーンF上での位置座標[X,Y]、各頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7を描画する必要があるかないか、隣り合う二つの頂点を結ぶ十二本の稜線L0、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11の各々を描画する必要があるかないか、当該キューブCの色、等が含まれる。出力部106は、これらの情報を、メインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cに書き出す。なお、この情報を、電気通信回線を介して通信可能に接続している外部の装置またはコンピュータに向けて送信することもあり得る。
出力部106は、当該情報を基に、三次元グラフィクス描画を行う。即ち、視点の位置Vから見た一または複数のキューブCを描画し、ディスプレイ1iの画面に表示する。当該情報には、単独のキューブCについて、当該キューブCが有する頂点P0、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7及び稜線L0、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11のうち描画不要のものを指し示す情報が含まれ、これを参照すれば、三次元グラフィクス描画プログラムにおいて、一つのキューブCの隠線処理を実行することが可能となる。他方、複数のキューブC同士の重なり合い、即ち視点Vから見て遠方のキューブCの一部または全部が視点Vにより近い手前方のキューブCの陰に隠れて見えなくなることについては、描画プログラム自体においてその隠れる部分を判断して処理する必要がある。
シミュレート部105が実行するシミュレーションにより、移動体データ格納部104に格納している各移動体Mの現在の位置座標及び現在の移動方向MVは、刻々と変化する。つまり、各移動体Mを模擬するキューブCの空間内での位置や向いている方向が、単位時間毎に変化してゆく。出力部106において、単位時間毎のキューブCの位置を描画した画像を生成し、それら単位時間毎の画像を集めれば、空間内で移動体Mが移動経路ROに沿って移動する場景を表現した動画像を得ることができる。
視点位置V及び視線方向Sの具体的な態様は、複数考えられる。具体例を列挙すると:
「マップ」俯瞰カメラであり、地図のように移動体Mや移動体M以外の物体を模擬するキューブCを上方から見た場景を描画する。視線方向Sの方位角は、ある程度の範囲でユーザが入力デバイス1を介して操作することが可能。視点位置Vは、視線方向Sのベクトルの先にユーザが入力デバイス1gを介して選択した地点または移動体Mがあるように設定する。
「オーバービュー」鳥瞰図のように、移動体Mや移動体M以外の物体を模擬するキューブCを斜め上方から見た場景を描画する。例えば、20m上空に視点位置Vを設定し、視線方向Sの仰俯角を−30°の俯角とし、40m先の移動体Mを追跡するようにトラッキングする。トラッキングには、視線方向Sを固定とし、その視線方向Sのベクトルの先にユーザが入力デバイス1gを介して選択した移動体Mがあるように視点位置Vを水平移動させる態様と、視点位置Vを固定とし、視線方向Sのベクトルの先にユーザが入力デバイス1gを介して選択した移動体Mがあるように視線方向Sを揺動させる態様とがある。後者の態様のトラッキングでは、視線方向Sと鉛直方向とのなす角度の大きさが所定値、例えば±10°を超えたら、視線方向Sと鉛直方向とのなす角度が縮小ないし0°となるように視点位置Vを変位させる。
「フォロー」空間内を移動する何れかの移動体Mを、その移動方向MVに沿った後方から一定の距離を空けて追尾したときに目に入る、移動体Mや移動体M以外の物体を模擬するキューブCを描画する。例えば、ユーザが入力デバイス1gを介して選択した移動体Mの5m後方、同移動体Mよりも2m高い位置に視点位置Vを設定し、視線方向Sの仰俯角を−10°の俯角として、対象の移動体Mを視野角αの範囲内に捉える。
「モバイルアイ」空間内を移動する何れかの移動体Mに搭乗している仮想的な搭乗者の視点から、その搭乗者の視線の方向に見える、移動体Mや移動体M以外の物体を模擬するキューブCを描画する。即ち、ユーザが入力デバイス1gを介して選択した移動体Mについて設定された、仮想的な搭乗者の視点の位置及び視線の方向を、視線位置V及び視線方向Sとする。
出力部106は、物体を模擬するキューブCと同様にして、標識オブジェクトSOを描画する(標識オブジェクトSOの表現を含む画像を生成する)こともできるし、標識オブジェクトSOは描画しないようにする(標識オブジェクトSOの表現を含まない画像を生成する)こともできる。
本実施形態では、移動体Mが空間内で移動するべき経路ROに沿った複数の経路点RPの各々の位置座標を含む経路点データを格納する経路点データ格納部102と、空間内を移動する移動体Mの移動速度または移動方向MVに影響を及ぼす標識オブジェクトSOの位置座標、及び移動体Mから見て一定の範囲(検出可能領域)内に当該標識オブジェクトSOを捉えた移動体Mに対して当該標識オブジェクトSOが与える移動速度または移動方向MVに関する指令の内容を含む標識データを格納する標識データ格納部103と、空間内を移動する複数の移動体Mの各々の現在の位置座標、移動速度及び移動方向MVを含む移動体データを格納する移動体データ格納部104と、前記経路点データ格納部102に格納している経路点データ、前記標識データ格納部103に格納している標識データ及び前記移動体データ格納部104に格納している移動体データを参照して、空間内を移動する複数の移動体Mの各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向MVを反復的に演算し、演算した各移動体Mの新たな位置座標、移動速度及び移動方向MVを移動体データ格納部104に書き込むシミュレート部105とを具備する移動体制御システムを構成した。
本実施形態によれば、複数の移動体Mが移動経路ROに沿って移動する交通計画、特に移動体M同士の衝突の回避や渋滞の緩和等を目的とした計画の立案を支援することができる。シミュレーションにおける計算量が比較的少なく済み、計算時間を短縮でき、またメインメモリ1bや補助記憶デバイス1cの記憶領域の消費量の増大を抑制することができる。
本実施形態の移動体制御システムは、前記移動体データ格納部104に格納している移動体データを参照して、空間内における少なくとも一の移動体Mの現在位置を示す画像を生成する出力部106を具備する。これにより、シミュレーションの結果を可視化して提示することが可能となっている。
本実施形態の移動体制御システムは、空間内に存在する移動体M以外の物体を模擬する複数のキューブCの各々の位置座標及び平面寸法及び高さ寸法を含むキューブデータを格納するキューブデータ格納部101を具備し、前記出力部106は、空間内における少なくとも一の移動体Mの現在位置とともに同空間内に存在する物体を模擬する複数のキューブCをも示す画像を生成し、生成した画像をディスプレイ1iの画面に表示させる。
前記標識データ格納部103は、時間経過とともに遷移する、移動体Mから見て一定の範囲内に前記標識オブジェクトSO(交差標識)を捉えた移動体Mに対して当該標識オブジェクトSOが与える移動速度または移動方向MVに関する現在の指令の内容を前記標識データとして格納しており、前記シミュレート部105は、前記標識データ格納部103に格納している、前記標識オブジェクトSOが前記移動体Mに対して与える移動速度または移動方向MVに関する現在の指令の内容を基に、空間内を移動する複数の移動体Mの各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向MVを反復的に演算し、演算した各移動体Mの新たな位置座標、移動速度及び移動方向MVを移動体データ格納部104に書き込む。このようなものであれば、信号機のような標識オブジェクトSOによる移動体Mの移動の制御のシミュレーションを実現できる。
前記シミュレート部105は、前記移動体データ格納部104に格納している、複数の移動体Mの各々の現在の位置座標及び移動方向MVを基に、ある移動体Mが当該移動体Mの移動方向に沿って前方に存在する他の移動体Mから所定距離の範囲(衝突危険領域)内に接近した場合、そうでない場合と比較して当該移動体Mに対して与える移動速度を低下させた上で、当該移動体Mの新たな位置座標、移動速度及び移動方向MVを移動体データ格納部104に書き込む。これにより、渋滞時の移動体Mの動きをシミュレーションできる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態における標識オブジェクトSOの一である交差標識は、時間経過とともにその状態が刻々と遷移し、その状態に応じてどの移動体Mの(どの移動経路ROを移動する移動体Mの)移動を制止するかが変化するものであった。このような交差標識は、移動体Mに対して与えるべき移動速度に関する指示が時間経過とともに遷移する標識オブジェクトSOである。これ以外に、例えば、時間経過とともにその状態が刻々と変化する方位標識、即ち移動体Mから見て一定の範囲(移動体Mの検出可能領域)内に当該方位標識を捉えた移動体Mに対して当該方位標識が与えるべき移動方向MVに関する指示が時間経過とともに変化する標識オブジェクトSOを設定することも考えられる。この場合において、当該方位標識に係る標識データが含む、移動体に与えるべき指令の内容は、
[90,30,0,0,30,0]
のように記述される。この例では、移動方向MVを方位角90°に向けるべき旨の指示を移動体Mに対して与える状態が30秒継続し、次いで移動方向MVを方位角0°に向けるべき旨の指示を移動体Mに対して与える状態が30秒継続し、これら二つの状態が交互に繰り返され、かつ一方の状態から他方の状態に遷移する際のインターバルの時間は何れも0秒であると定義している。また、移動体Mから見て一定の範囲内に標識オブジェクトSOを捉えた移動体Mに対して当該標識オブジェクトSOが与えるべき移動速度及び移動方向MVの各々に関する指示が時間経過とともに変化するような(移動体Mの移動速度と移動方向MVとの双方に影響を及ぼす)標識オブジェクトSOを設定することも可能である。
その他、各部の具体的な構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…コンピュータ
101…キューブデータ格納部
102…経路点データ格納部
103…標識データ格納部
104…移動体データ格納部
105…シミュレート部
106…出力部

Claims (6)

  1. 移動体が空間内で移動するべき経路に沿った複数の経路点の各々の位置座標を含む経路点データを格納する経路点データ格納部と、
    空間内を移動する移動体の移動速度または移動方向に影響を及ぼす標識オブジェクトの位置座標、及び移動体から見て一定の範囲内に当該標識オブジェクトを捉えた移動体に対して当該標識オブジェクトが与える時間経過とともに遷移する移動速度または移動方向に関する指令の内容を含む標識データを格納する標識データ格納部と、
    空間内を移動する複数の移動体の各々の現在の位置座標、移動速度及び移動方向を含む移動体データを格納する移動体データ格納部と、
    前記経路点データ格納部に格納している経路点データ、前記標識データ格納部に格納している標識データに含まれる標識オブジェクトが前記移動体に対して与える移動速度または移動方向に関する現在の指令の内容及び前記移動体データ格納部に格納している移動体データを参照して、空間内を移動する複数の移動体の各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向を反復的に演算し、演算した各移動体の新たな位置座標、移動速度及び移動方向を移動体データ格納部に書き込むシミュレート部と
    を具備し、
    前記標識データ格納部に格納している標識データにより規定される標識オブジェクトは、当該標識オブジェクトが占有する領域を八つの三角形の区分に分割し、その三角形の各区分がそれぞれ赤信号状態または青信号状態をとり、そしてそれが時間経過とともに切り替わるものであり、
    前記シミュレート部は、各移動体について、当該移動体の移動方向に沿った前方において、当該移動体から見て標識オブジェクトの青信号状態部分よりも赤信号状態部分の方が手前側に位置しており、当該移動体からその赤信号状態部分までの距離が一定の範囲内にあるとき、当該移動体の移動が当該標識オブジェクトによって制止されるものと判断する移動体制御システム。
  2. 前記移動体データ格納部に格納している移動体データを参照して、空間内における少なくとも一の移動体の現在位置を示す画像を生成する出力部を具備する請求項1記載の移動体制御システム。
  3. 空間内に存在する移動体以外の物体を模擬する複数のキューブの各々の位置座標及び平面寸法及び高さ寸法を含むキューブデータを格納するキューブデータ格納部を具備し、
    前記出力部は、空間内における少なくとも一の移動体の現在位置とともに同空間内に存在する物体を模擬する複数のキューブをも示す画像を生成し、生成した画像をディスプレイの画面に表示させる請求項2記載の移動体制御システム。
  4. 前記標識データ格納部に格納している、移動体に対して与える移動速度または移動方向に関する指令の内容が時間経過とともに遷移する標識オブジェクトについての標識データは、当該標識オブジェクトとり得る状態とその状態が継続する時間の長さ、そしてその状態と次に遷移する状態との間のインターバル状態をとる時間の長さを記述したものである請求項1、2または3記載の移動体制御システム。
  5. 前記シミュレート部は、前記移動体データ格納部に格納している、複数の移動体の各々の現在の位置座標及び移動方向を基に、ある移動体が当該移動体の移動方向に沿って前方に存在する他の移動体から所定距離の範囲内に接近した場合、そうでない場合と比較して当該移動体に対して与える移動速度を低下させた上で、当該移動体の新たな位置座標、移動速度及び移動方向を移動体データ格納部に書き込む請求項1、2、3または4記載の移動体制御システム。
  6. 請求項1、2、3、4または5記載の移動体制御システムを構成するために用いられるものであって、コンピュータを、
    移動体が空間内で移動するべき経路に沿った複数の経路点の各々の位置座標を含む経路点データを格納する経路点データ格納部、
    空間内を移動する移動体の移動速度または移動方向に影響を及ぼす標識オブジェクトの位置座標、及び移動体から見て一定の範囲内に当該標識オブジェクトを捉えた移動体に対して当該標識オブジェクトが与える時間経過とともに遷移する移動速度または移動方向に関する指令の内容を含む標識データを格納する標識データ格納部、
    空間内を移動する複数の移動体の各々の現在の位置座標、移動速度及び移動方向を含む移動体データを格納する移動体データ格納部、並びに、
    前記経路点データ格納部に格納している経路点データ、前記標識データ格納部に格納している標識データに含まれる標識オブジェクトが前記移動体に対して与える移動速度または移動方向に関する現在の指令の内容及び前記移動体データ格納部に格納している移動体データを参照して、空間内を移動する複数の移動体の各々の単位時間毎の位置座標、移動速度及び移動方向を反復的に演算し、演算した各移動体の新たな位置座標、移動速度及び移動方向を移動体データ格納部に書き込むシミュレート部
    として機能させ
    前記標識データ格納部に格納している標識データにより規定される標識オブジェクトは、当該標識オブジェクトが占有する領域を八つの三角形の区分に分割し、その三角形の各区分がそれぞれ赤信号状態または青信号状態をとり、そしてそれが時間経過とともに切り替わるものであり、
    前記シミュレート部は、各移動体について、当該移動体の移動方向に沿った前方において、当該移動体から見て標識オブジェクトの青信号状態部分よりも赤信号状態部分の方が手前側に位置しており、当該移動体からその赤信号状態部分までの距離が一定の範囲内にあるとき、当該移動体の移動が当該標識オブジェクトによって制止されるものと判断するプログラム。
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