以下、本発明のオレフィン多量化用触媒および該オレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量体の製造方法の実施形態を説明するが、これらに限定されるものではない。なお、本発明において、オレフィンの多量化とは、オレフィンを2〜10量体にすることである。
<遷移金属化合物(A)>
本発明で用いられる遷移金属化合物は、周期律表第4族から第6属の遷移金属の化合物であり、具体的には、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、タンタル化合物、クロム化合物、モリブデン化合物およびタングステン化合物であり、好ましくはチタン化合物、バナジウム化合物、タンタル化合物、クロム化合物であり、特に好ましくはクロム化合物である。
本発明で用いられる遷移金属化合物は、遷移金属の無機塩、有機塩又は金属有機錯体であり、好ましくはクロムの無機塩、有機塩又は金属有機錯体である。具体的には、塩化クロム(III)、塩化クロム(II)、臭化クロム(III)、臭化クロム(II)、ヨウ化クロム(III)、ヨウ化クロム(II)、フッ化クロム(III)、フッ化クロム(II)、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン、クロム(III)2−エチルヘキサノエート、クロム(III)アセチルアセトナート、クロム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<イミン化合物(B)>
本発明で用いられるイミン化合物(以下イミン化合物(B)と記載する)は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)において、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらは互いに連結していてもよい。より具体的には、R1、R2が水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前記炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール(aryl)基;トリル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基;ベンジリデン、メチリデン、エチリデンなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは5〜10のアルキリデン基などが挙げられる。
前記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、前記炭化水素基は、水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えばベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、前記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10、より好ましくは2〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基等が好ましい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記炭化水素基に含まれていてもよい置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記ホウ素含有基としては、前記炭化水素基に含まれていてもよい置換基として例示したものと同様のもののほか、アルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。アルキル基置換ホウ素としては、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(Et)3B、(iPr)3B、(iBu)3B;アリール基置換ホウ素としては、(C6H5)2B−、(C6H5)3B、(C6F5)3B、(3,5−(CF3)2C6H3)3B;ハロゲン化ホウ素としては、BCl2−、BCl3;アルキル基置換ハロゲン化ホウ素としては、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、(C6H5)2BClなどが挙げられる。このうち三置換のホウ素については、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
前記アルミニウム含有基としては、アルキル基置換アルミニウム、アリール基置換アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、アルキル基置換ハロゲン化アルミニウム等の基が挙げられる。アルキル基置換アルミニウムとしては、(Et)2Al−、(iPr)2Al−、(iBu)2Al−、(Et)3Al、(iPr)3Al、(iBu)3Al;アリール基置換アルミニウムとしては、(C6H5)2Al−;ハロゲン化アルミニウムとしては、AlCl2−、AlCl3;アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムとしては、(Et)AlCl−、(iBu)AlCl−などが挙げられる。このうち三置換のアルミニウムについては、配位結合した状態であることがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
前記ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。このうち炭化水素置換シリル基として具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル‐t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシなどが挙げられる。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノなどが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
イオウ含有基のうち、アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が、アリールチオ基としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオ等が、チオエステル基としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどが、スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどが、スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどが好ましく挙げられる。
上記一般式(1)のR1とR2は、互いに連結していてもよい。好ましくは互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)において、Yは、置換基R3を1つ有する酸素原子(OR3で表される構造)、置換基R3を1つ有する硫黄原子(SR3で表される構造)、または置換基R3、R4を有する窒素原子(NR3R4で表される構造)を示す。中でも、Yが窒素原子であるのが好ましい。R3、R4の定義はR1、R2と同様であり、R1、R2で例示したものと同様の置換基の種類を選択することができる。
上記一般式(1)のYが窒素原子の場合、R3とR4は、互いに連結していてもよい。好ましくは互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
またR1〜R4は、Zと連結していてもよい。R1〜R4とZが連結する場合には、R1〜R4とZとの連結によって、芳香環、脂肪環、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成してもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)において、Zは置換基を有していてもよい炭化水素基、ケイ素含有基またはヘテロ環式化合物残基を示し、YとNとを結ぶ最短結合数は2〜6であり、好ましくは2〜4であり、特に好ましくは2〜3である。
なお、YとNとを結ぶ最短結合数とは、下記(A)、(B)のようにして数えることができ、(A)の場合には4であり、(B)の場合には5である。
Y、NおよびZが形成する構造の具体例としては下記(C)〜(H)に示す構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、下記(C)〜(H)の構造の中で水素原子がR1、R2で例示した置換基によって置換されていてもよい。但し、下記(C)〜(H)に示す構造には、R1がZと連結している構造が含まれている。
なお、下記具体例において、炭素・炭素二重結合に接合する波線は、シス体またはトランス体を意味する。
上記一般式(1)において、YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。
一般式(1)で表されるイミン化合物(B)は、アルデヒド類化合物と第1級アミン類を反応させることにより得られる。
まずアルデヒド類化合物と第1級アミン類化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、またはトルエン等の炭化水素溶媒が好ましい。次いで、室温から還流条件で、約30分から48時間攪拌すると、対応するイミン化合物(B)が良好な収率で得られる。イミン化合物(B)を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラーシーブス、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンスタークにより脱水しながら行うと、反応進行に効果的である。
このように合成されたイミン化合物(B)は、遷移金属化合物(A)と別々に反応器へ添加しても良いが、予め遷移金属化合物(A)と反応させることにより遷移金属錯体を形成させてから反応器へ添加することが好ましい。
具体的には、イミン化合物(B)を溶媒に溶解し、遷移金属化合物(A)と混合し、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約5分から48時間撹拌する。
前記溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン等の極性溶媒、トルエン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒などが好ましく使用されるが、この限りではない。
このように形成された遷移金属錯体は、前記溶媒に溶解もしくは懸濁した状態でそのまま使用できるが、一度単離した遷移金属錯体を溶媒に溶解もしくは懸濁させて使用することもできる。
本発明のオレフィン多量化用触媒は通常上記遷移金属化合物(A)、イミン化合物(B)に加えて、有機金属化合物(C−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(C−3)よりなる群からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)を含んでおり、(A)、(B)および(C)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を担持するための担体(D)を含んでいてもよい。
以下、有機金属化合物(C−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(C−3)について説明する。なお化合物(C−3)を「イオン化イオン性化合物」とも記す。
<化合物(C)>
(有機金属化合物(C−1))
本発明で用いられる有機金属化合物(C−1)として、具体的には下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物を挙げることができ、例えば以下に説明する(C−1a)、(C−1b)、(C−1c)等が挙げられる。なお、本発明においては、有機金属化合物(C−1)には後述する有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は含まれないものとする。
(C−1a):一般式Ra mAl(ORb)nHpXq(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。
(C−1b):一般式M2AlRa 4(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(C−1c):一般式RaRbM3(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである)で表される周期律表第2族または12族金属のジアルキル化合物。
前記(C−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。一般式Ra mAl(ORb)3−m(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは、好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ra mAlX3−m(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ra mAlH3−m(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ra mAl(ORb)nXq(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。
(C−1a)に属する有機アルミニウム化合物として、より具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n−アルキル)アルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec−ブチル)アルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルブチル)アルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(iC4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。iC4H9はイソブチル基を表す。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5Al(ORb)0.5(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどが挙げられる。
また(C−1a)に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物も挙げられる。このような化合物として、具体的には、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2などが挙げられる。
前記(C−1b)に属する化合物としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4などが挙げられる。
また、前記(C−1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム等が挙げられる。
上記(C−1a)〜(C−1c)以外の(C−1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
また多量化反応系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
有機金属化合物(C−1)のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。上記のような有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(C−1)
(有機アルミニウムオキシ化合物(C−2))
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(C−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらに、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわちベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物の例としては、下記一般式(2)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げられる。
一般式(2)中、R5は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R6は、互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
上記一般式(2)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(3)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
R5−B(OH)2・・・(3)
(一般式(3)中、R5は上記一般式(2)におけるR5と同じ基を示す)
上記一般式(3)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸等が挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(C−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(イオン化イオン性化合物(C−3))
本発明で用いられる、遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(C−3)は、遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物である。従って、少なくとも遷移金属化合物と接触させてイオン対を形成するものは、この化合物に含まれる。
このような化合物としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物もあげることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である)で示される化合物が挙げられ、例えば、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
前記イオン性化合物としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
一般式(4)中、R7+としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
R8〜R11は、互いに同一でも異なっていてもよい有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
R7+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
また前記イオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩なども挙げられる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トリ(n−10ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−15トリル)ボレートなどが挙げられる。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
さらに前記イオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(5)または(6)で表されるホウ素化合物なども挙げられる。
(一般式(5)中、Etはエチル基を示す。)
(一般式(6)中、Etはエチル基を示す。)
前記ボラン化合物として具体的には、例えばデカボラン(14);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
前記カルボラン化合物として具体的には、例えば、4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
前記ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素もしくは錫からなる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、これらの酸の塩、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、およびトリフェニルエチル塩等の有機塩、およびイソポリ化合物を使用できるが、この限りではない。
ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物としては、上記の化合物の中の1種に限らず、2種以上用いることができる。
上記のようなイオン化イオン性化合物(C−3)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明のオレフィン多量化用触媒を用いれば高い活性でオレフィン多量体が得られ、特にオレフィンとしてエチレンを用いた場合には、1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択性が高い。
例えば助触媒成分としてメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)を併用すると、エチレンに対して非常に高い活性を示し、1−ヘキセンまたは1−オクテンを製造することができる。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(C−3)を用いても、良好な活性かつ非常に高い選択率でエチレンから1−ヘキセンまたは1−オクテンが得られる。
また、本発明に係るオレフィン多量化用触媒は、遷移金属化合物(A)、イミン化合物(B)、並びに、有機金属化合物(C−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)、およびイオン化イオン性化合物(C−3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(C)を含み、必要に応じて後述するような担体(D)を含んでいてもよい。
<担体(D)>
本発明で必要に応じて用いられる担体(D)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。なお、本発明において、担体(D)とは、前記成分(A)、(B)および/または(C)を担持するための担体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−Cr2O3、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl2O3を主成分とするものが好ましい。
なお、上記多孔質酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が0.5〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
前記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
本発明で担体として用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で担体として用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ−Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104オングストロームの範囲について測定される。半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い多量化活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。
これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た二量化物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
前記有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)二量化体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)二量化体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明に係るオレフィン多量化用触媒は、遷移金属および遷移金属化合物(A)、イミン化合物(B)、並びに、有機金属化合物(C−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)および、イオン化イオン性化合物(C−3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含み、必要に応じて担体(D)をさらに含むが、さらに必要に応じて後述するような有機化合物成分(E)を含むこともできる。
<有機化合物成分(E)>
本発明において、有機化合物成分(E)は、必要に応じて、多量化性能を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、これに限られるものではない。
前記アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R12−OHで表されるものが使用され(ここで、R12は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す)、アルコール類としては、R12がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。
また、前記フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
前記カルボン酸としては、通常、R13−COOHで表されるものが使用される。R13は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
前記リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
前記スルホン酸塩としては、下記一般式(7)で表されるものが使用される。
一般式(7)中、M2は周期律表第1〜14族の元素であり、R14は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1〜7の整数であり、uは1≦u≦7となる整数である。また、t−uはt−u≧1となる整数である。
本発明のオレフィン多量化用触媒は、オレフィンの多量化に用いることができる。オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、1−オクテン、1−デセンなどのビニル化合物、2−ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの内部オレフィンが好ましく挙げられ、特にエチレンが好ましい。上記記載の複数のオレフィンを共多量化させてもよい。
<オレフィン多量体の製造方法>
以下、前記オレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンの多量化反応を行うオレフィン多量体の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン多量体の製造方法は、前記オレフィン多量化用触媒の存在下でオレフィンの多量化反応、好ましくは三量化反応または四量化反応を行う。
好ましくはオレフィンとしてエチレンを用いたエチレンの多量化反応であり、特に好ましくはエチレンの三量化反応により1−ヘキセンまたはエチレンの四量化反応により1−オクテンを製造する方法である。
多量化の際、上記遷移金属化合物(A)(以下単に「成分(A)」という)、イミン化合物(B)(以下単に「成分(B)」という)を反応器に添加する方法、各成分の使用法、添加方法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)、成分(B)と、有機金属化合物(C−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)およびイオン化イオン性化合物(C−3)からなる群より選択される少なくとも1種の成分(C)(以下単に「成分(C)」という)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(2)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(3)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)を予め接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(4)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)を予め接触させた触媒成分、および成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(5)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を担体(D)に担持した触媒成分、および成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(6)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)とを担体(D)に担持した触媒成分を反応器に添加する方法。
(7)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)とを担体(D)に担持した触媒成分、および成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(8)成分(C)を担体(D)に担持した触媒成分、および成分(A)、成分(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(9)成分(C)を担体(D)に担持した触媒成分、および成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を任意の順序で反応器に添加する方法。
(10)成分(C)を担体(D)に担持した触媒成分、成分(A)、成分(B)および成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(11)成分(C)を担体(D)に担持した触媒成分、成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体および成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(12)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を担体(D)に担持した成分、および成分(C)を担体(D)に担持した成分を任意の順序で反応器に添加する方法。
(13)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を担体(D)に担持した成分、成分(C)を担体(D)に担持した成分、および成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(14)成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(E)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(15)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体、成分(C)および成分(E)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(16)成分(C)と成分(E)を予め接触させた成分、および成分(A)、成分(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(17)成分(C)と成分(E)を予め接触させた成分、および成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を任意の順序で反応器に添加する方法。
(18)成分(C)と成分(E)を担体(D)に担持した成分、および成分(A)、成分(B)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(19)成分(C)と成分(E)を担体(D)に担持した成分、および成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を任意の順序で反応器に添加する方法。
(20)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)を予め接触させた触媒成分、および成分(E)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(21)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)を予め接触させた触媒成分、および成分(C)、成分(E)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(22)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)を予め接触させた触媒成分、および成分(C)と成分(E)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(23)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を担体(D)に担持した成分、成分(C)および、成分(E)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(24)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を担体(D)に担持した成分、および成分(C)と成分(E)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で反応器に添加する方法。
(25)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)と成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒を反応器に添加する方法。
(26)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)と成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒成分および、成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
(27)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)と成分(E)を担体(D)に担持した触媒を反応器に添加する方法。
(28)成分(A)と成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体と成分(C)と成分(E)を担体(D)に担持した触媒成分および、成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
本発明に係るオレフィン多量体の製造方法では、上記のようなオレフィン多量化用触媒の存在下に、オレフィンを多量化することによりオレフィン多量体を得る。本発明では、多量化は溶解反応、懸濁反応などの液相反応法または気相反応法のいずれにおいても実施できる。
液相反応法においては、不活性炭化水素媒体を用いるが、用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができる。反応溶媒としては特に、炭素数5〜7の直鎖状飽和炭化水素であるペンタン、n−ヘキサン、n−へブタン、脂環式飽和炭化水素であるメチルシクロヘキサンが好ましい。
上記のようなオレフィン多量化用触媒を用いて、エチレンの三量化により1−ヘキセンまたはエチレンの四量化反応により1−オクテンの製造を行う場合には、成分(A)中の遷移金属原子は、反応容積1リットル当り、通常10−12〜10−2モル、好ましくは10−10〜10−3モルとなるような量で用いられる。本発明では、成分(A)を、比較的薄い濃度で用いた場合であっても、高い多量化活性でオレフィン多量体を得ることができる。
成分(B)は成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B)/M〕が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜2となるような量で用いられる。
また、成分(C)のうち、成分(C−1)は、成分(C−1)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C−1)/M〕が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。
成分(C−2)は、成分(C−2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
成分(C−3)は、成分(C−3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
成分(D)は、成分(A)中の遷移金属原子(M)のモル当たりに対する成分(D)の質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは1000〜5000となるような量で用いられる。
成分(E)は、成分(C)に対して、成分(C−1)の場合、モル比〔(E)/(C−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(C−2)の場合、成分(D)と成分(C−2)中のアルミニウム原子とのモル比〔(E)/(C−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(C−3)の場合、モル比〔(E)/(C−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応温度は、通常、−50〜200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。反応圧力は、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaの条件であり、多量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応は帯電防止剤を添加して行っても良い。帯電防止剤としてはポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジステアレート、エチレンジアミン−PEG−PPG−ブロックコポリマー、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(例えばポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック共重合体(PEG−PPG−PEG))などが好ましく、特にポリオキシアルキレン(PEG−PPG−PEG)が好ましい。これらの帯電防止剤は成分(A)中の遷移金属原子(M)のモル当たりに対する質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは100〜1000となるような量で用いられる。
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応は水素を添加して行っても良い。反応の水素の圧力は0.01MPa〜5MPa、好ましくは0.01MPa〜1MPaの条件である。
以下、合成例および実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、合成例1及び7、並びに実施例1及び7は参考例である。
合成例および実施例で得られた化合物の構造は、270MHz 1H NMR(日本電子製、装置名GSH−270)、GC−MS(島津製作所製、装置名QP2010 Ultra)、FD−質量分析(日本電子製、装置名SX−102A)等を用いて決定した。
反応生成物の収量および1−ヘキセンの選択率は、ガスクロマトグラフィー(島津GC−14A、J&WScientific DB−5カラム)を用いて分析した。
[触媒活性]
単位時間当たりに得られた反応生成物の質量を、多量化に使用した遷移金属触媒成分中の遷移金属原子量(ミリモル)で除して求めた。
[1−ヘキセン、1−オクテンの選択率]
以下の式に従い1−ヘキセン、1−オクテンの選択率を求めた。
S(%)=Wp/Wr×100
S(%):1−ヘキセン、1−オクテンの選択率(質量分率)
Wr(質量):反応により生成した炭素原子数が4以上からなる生成物の合計質量
Wp(質量):反応により生成した1−ヘキセン、1−オクテンの質量
以下に本発明の(B)イミン化合物の具体的な合成例を示すとともに、エチレン多量化の具体的な実施例を示す。
(1)イミン化合物の合成
[合成例1]
充分に乾燥した100mLの反応器に、p−トルアルデヒド1.21g(10.1mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン1.1mL(10.1mmol)、トルエン30mLを仕込み、室温で撹拌した。19時間後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(a)で示した目的物(以下化合物(a)という)が1.89g(収率99%)得られた。
GC−質量分析(M+):190
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.28(1H,s,CH=N),7.61(2H,d,J=8.0Hz,Ar−H),7.20(2H,d,J=8.0Hz,Ar−H),3.73(2H,t,J=6.9Hz,CH2),2.64(2H,t,J=6.9Hz,CH2),2.38(3H,s,CH3),2.31(6H,s,CH3)ppm
[合成例2]
充分に乾燥した100mLの反応器に、4−フルオロベンズアルデヒド0.55mL(5.23mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.58mL(5.32mmol)、トルエン15mLを仕込み、室温で撹拌した。17時間30分後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(b)で示した目的物(以下化合物(b)という)が1.00g(収率98%)得られた。
GC−質量分析(M+):194
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.28(1H,s,CH=N),7.75−7.69(2H,m,Ar−H),7.08(2H,t,J=8.6Hz,Ar−H),3.73(2H,dt,J=7.3,1.4Hz,CH2),2.64(2H,t,J=7.3Hz,CH2),2.31(6H,s,CH3)ppm
[合成例3]
充分に乾燥した100mLの反応器に、4−クロロベンズアルデヒド0.70g(5.01mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.55mL(5.04mmol)、トルエン15mLを仕込み、室温で撹拌した。18時間30分後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(c)で示した目的物(以下化合物(c)という)が1.04g(収率99%)得られた。
GC−質量分析(M+):210
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.27(1H,s,CH=N),7.66(2H,d,J=8.1Hz,Ar−H),7.37(2H,d,J=8.1Hz,Ar−H),3.74(2H,dt,J=7.0,1.4Hz,CH2),2.64(2H,t,J=7.0Hz,CH2),2.31(6H,s,CH3)ppm
[合成例4]
充分に乾燥した100mLの反応器に、2−クロロベンズアルデヒド0.60mL(5.34mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.59mL(5.41mmol)、トルエン15mLを仕込み、室温で撹拌した。21時間後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(d)で示した目的物(以下化合物(d)という)が1.12g(収率99%)得られた。
GC−質量分析(M+):210
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.75(1H,s,CH=N),8.04−8.01(1H,m,Ar−H),7.38−7.27(3H,m,Ar−H),3.79(2H,dt,J=6.9,1.6Hz,CH2),2.66(2H,t,J=6.9Hz,CH2),2.32(6H,s,CH3)ppm
[合成例5]
充分に乾燥した100mLの反応器に、4−ブロモベンズアルデヒド0.93g(5.01mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.55mL(5.04mmol)、トルエン15mLを仕込み、室温で撹拌した。19時間後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(e)で示した目的物(以下化合物(e)という)が1.26g(収率99%)得られた。
GC−質量分析(M+):254
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.26(1H,s,CH=N),7.63−7.51(4H,m,Ar−H),3.73(2H,dt,J=6.9,1.4Hz,CH2),2.63(2H,t,J=6.9Hz,CH2),2.31(6H,s,CH3)ppm
[合成例6]
充分に乾燥した100mLの反応器に、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド0.74g(4.97mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.55mL(5.04mmol)、トルエン15mLを仕込み、室温で撹拌した。17時間30分後、反応液を減圧下溶媒留去し、トルエン15mLに溶解させた。この溶液にN,N−ジメチルエチレンジアミン0.30mL(2.75mmol)を添加し、室温で撹拌した。24時間30分後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(f)で示した目的物(以下化合物(f)という)が1.07g(収率98%)得られた。
GC−質量分析(M+):219
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.18(1H,s,CH=N),7.59(2H,d,J=8.9Hz,Ar−H),6.68(2H,d,J=8.9Hz,Ar−H),3.68(2H,dt,J=7.3,1.1Hz,CH2),3.00(6H,s,CH3),2.61(2H,t,J=7.3Hz,CH2),2.31(6H,s,CH3)ppm
[合成例7]
充分に乾燥した100mLの反応器に、p−トルアルデヒド0.60mL(5.08mmol)、1−(2−アミノエチル)ピロリジン0.65mL(5.17mmol)、トルエン15mLを仕込み、室温で撹拌した。16時間後、反応液を減圧下溶媒留去し、下記式(g)で示した目的物(以下化合物(g)という)が1.06g(収率96%)得られた。
GC−質量分析(M+):216
1H−NMR(270MHz,CDCl3):8.29(1H,s,CH=N),7.61(2H,d,J=7.8Hz,Ar−H),7.21(2H,d,J=7.8Hz,Ar−H),3.78(2H,dt,J=7.3,1.4Hz,CH2),2.81(2H,t,J=7.3Hz,CH2),2.63−2.57(4H,m,CH2),2.38(3H,s,CH3),1.82−1.76(4H,m,CH2)ppm
(2)エチレン多量化
[実施例1]
充分に乾燥した30mLのシュレンク管に、化合物(a)0.003g(0.016mmol)、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン0.006g(0.016mmol)、ジクロロメタン0.2mLを加え、アルゴン雰囲気下で30分撹拌した。反応液を減圧下溶媒留去した後に、メチルシクロヘキサン8mLを加え、触媒溶液を調製した。
充分に窒素置換した内容積100mLのオートクレーブにメチルシクロヘキサン28mLを入れ、続いて、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケムMMAO−3A、5.7質量%ヘキサン溶液)をアルミニウム原子換算で0.5mmol加えた。引き続き、上記で調整した触媒溶液を2.5mL(0.005mmol)加え、エチレン(0.8MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら60℃で60分間反応させた後、少量のイソプロパノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は93.3%、1−オクテンの選択率は4.5%であった。またポリエチレンの選択率は1.9%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は77kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。
[実施例2]
化合物(a)に代えて化合物(b)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は92.3%、1−オクテンの選択率は2.7%であった。またポリエチレンの選択率は4.1%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は490kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。
[実施例3]
化合物(a)に代えて化合物(c)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は89.8%、1−オクテンの選択率は3.2%であった。またポリエチレンの選択率は5.1%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は657kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。
[実施例4]
化合物(a)に代えて化合物(d)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は92.4%、1−オクテンの選択率は3.5%であった。またポリエチレンの選択率は2.8%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は459kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。
[実施例5]
化合物(a)に代えて化合物(e)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は91.3%、1−オクテンの選択率は2.9%であった。またポリエチレンの選択率は4.9%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は324kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。
[実施例6]
化合物(a)に代えて化合物(f)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は92.3%、1−オクテンの選択率は3.9%であった。またポリエチレンの選択率は3.2%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は204kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。
[実施例7]
化合物(a)に代えて化合物(g)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は92.8%、1−オクテンの選択率は0.9%であった。またポリエチレンの選択率は6.1%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は144kg−生成物/(mol−Cr・h)であった。