以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明においてオレフィンの多量化とは、オレフィンを2〜10量体にすることを意味し、好ましくはオレフィンを3量体〜4量体にすることを意味する。
<クロム化合物(A)>
本発明に用いるクロム化合物(A)は、通常、クロムの無機塩、有機塩または金属有機錯体である。クロム化合物(A)の具体例としては、塩化クロム(III)、塩化クロム(II)、臭化クロム(III)、臭化クロム(II)、ヨウ化クロム(III)、ヨウ化クロム(II)、フッ化クロム(III)、フッ化クロム(II)、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン、クロム(III)2−エチルヘキサノエート、クロム(III)アセチルアセトナート、クロム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナートが挙げられる。ただし、クロム化合物(A)はこれらに限定されない。これらの中では、3価のクロム化合物が好ましい。また、ハロゲン原子を含有するクロム化合物も好ましい。
<リン化合物(B)>
本発明に用いるリン化合物(B)は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)において、R1〜R4は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。より具体的には、R1〜R4が水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
R1〜R4の少なくとも1つがハロゲン原子である場合、その具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
R1〜R4の少なくとも1つが炭化水素基である場合、その炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール(aryl)基;トリル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基;ベンジリデン、メチリデン、エチリデンなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは5〜10のアルキリデン基が挙げられる。
R1〜R4の少なくとも1つが炭化水素基である場合、その炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよい。その具体例としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
R1〜R4の少なくとも1つが炭化水素基である場合、その炭化水素基は、水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよい。その具体例としては、ベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチルなどのアリール基置換アルキル基が挙げられる。
R1〜R4の少なくとも1つが炭化水素基である場合、その炭化水素基は、さらに、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基が好ましい。
R1〜R4の少なくとも1つが酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基および/またはリン含有基である場合、それら基の具体例としては、炭化水素基に含まれていてもよい置換基として先に例示したものと同様のものが挙げられる。中でも、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基が好ましく、酸素含有基、窒素含有基がより好ましい。
前記窒素含有基としては、例えば、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基がある。アミド基の具体例としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドが挙げられる。アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノが挙げられる。イミド基の具体例としては、アセトイミド、ベンズイミドが挙げられる。イミノ基の具体例としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノが挙げられる。
前記イオウ含有基としては、例えば、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基がある。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ、エチルチオが挙げられる。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられる。チオエステル基の具体例としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルが挙げられる。スルホンエステル基の具体例としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルが挙げられる。スルホンアミド基の具体例としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドが挙げられる。
R1〜R4の少なくとも1つがヘテロ環式化合物残基である場合、そのヘテロ環式化合物残基の具体例としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基が挙げられる。
R1〜R4の少なくとも1つがホウ素含有基である場合、そのホウ素含有基の具体例としては、炭化水素基に含まれていてもよい置換基として先に例示したものと同様のものが挙げられる。さらに、アルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の基も挙げられる。アルキル基置換ホウ素の基としては、例えば、(Et)2B−、(iPr)2B−、(iBu)2B−、(Et)3B、(iPr)3B、(iBu)3Bがある。アリール基置換ホウ素の基としては、例えば、(C6H5)2B−、(C6H5)3B、(C6F5)3B、(3,5−(CF3)2C6H3)3Bがある。ハロゲン化ホウ素の基としては、例えば、BCl2−、BCl3がある。アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の基としては、例えば、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、(C6H5)2BClがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。また、三置換のホウ素は、配位結合した状態にある場合がある。
R1〜R4の少なくとも1つがアルミニウム含有基である場合、そのアルミニウム含有基の具体例としては、アルキル基置換アルミニウム、アリール基置換アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムの基が挙げられる。アルキル基置換アルミニウムの基としては、例えば、(Et)2Al−、(iPr)2Al−、(iBu)2Al−、(Et)3Al、(iPr)3Al、(iBu)3Alがある。アリール基置換アルミニウムの基としては、例えば、(C6H5)2Al−がある。ハロゲン化アルミニウムの基としては、例えば、AlCl2−、AlCl3がある。アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムの基としては、例えば、(Et)AlCl−、(iBu)AlCl−がある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。また、三置換のアルミニウムは、配位結合した状態にある場合がある。
R1〜R4の少なくとも1つがケイ素含有基である場合、そのケイ素含有基の具体例としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基が挙げられる。炭化水素置換シリル基としては、例えば、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルがある。中でも、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルが好ましく、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルがより好ましい。炭化水素置換シロキシ基としては、トリメチルシロキシがある。
R1〜R4の少なくとも1つがゲルマニウム含有基および/またはスズ含有基ケイ素含有基である場合、それらの基の具体例としては、先に例示したケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムまたはスズに置換したものが挙げられる。
ただし、R1〜R4の一つ以上は炭素原子数3〜20の脂環式炭化水素基である。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロテトラデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロオクタデシル基、エイコセニル基や、その環を形成する炭素が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基ヘキシル基、オクチル基、デシル基や、それらに周期律表の15〜17族元素が含まれた置換基などが結合した構造を例示できる。また、上記のような三員環〜二十員環を形成する元素として、周期律表の15族、16族、17族元素(所謂ヘテロ元素)から選ばれる元素を含む構造でもよい。これらの中でもシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基を好ましい例として挙げることが出来る。
本発明においては、R1〜R4の2つ以上が上記の脂環式炭化水素基であることが好ましく、より好ましくはR1〜R4の全てが上記の脂環式炭化水素基である。
一般式(1)において、Yは、置換基R5、R6を有する炭素原子(−CR5R6−で表される構造)を示す。R5、R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これら各基の例は、R1〜R4の例と同様である。R5とR6は互いに連結していてもよく、またR1〜R4と連結していてもよい。
R1〜R4が以上の好ましい各基のうちの何れかである場合、オレフィンの反応活性がより高くなる傾向があり、かつオクテンやヘキセンを含む低沸点のオレフィンをより選択的に製造し易くなる傾向がある。その理由は定かではないが、以下のような仮説を立てることが出来る。R1〜R4置換基の選定において、触媒活性を向上させるためには、活性種であるカチオン錯体と対アニオンのイオンセパレーションを大きくして、中心金属のカチオン性を高める立体的に嵩高い置換基が有効であり、一方、1−ヘキセンや1−オクテンを選択性に合成するためには、メタラサイクルの形成に好適な広い反応(配位)空間を確保できる小さな置換基が好ましいと推測される。R1〜R4置換基の一つ以上が脂環式炭化水素基である場合、脂環式炭化水素基が回転することにより、立体の嵩高さと反応空間の確保が両立され、高活性と高選択性を兼ね備えた触媒が得られたと考えられる。芳香族炭化水素基は、立体の嵩高さと反応空間の確保の両方の要件を満たしているが、芳香族部位から中心金属へのπ電子供与により中心金属のカチオン性が低くなることや、芳香族部位が中心金属に配位してオレフィンの配位を阻害するため好ましくない。また、2つのリン原子が1個の炭素原子を介して結合していることも、反応(配位)空間の確保による1−ヘキセンと1−オクテンへの高選択的な反応の実現に寄与していると考えられる。
一方、R1とR2とが同じ構造であり、および/または、R3とR4が同じ構造であることも好ましい。この場合、重合活性(オリゴマー製造活性)が高くなることがある。例えば、後述する実施例に使用したリン化合物(B−1)は、R1〜R4が全てシクロヘキシル基なのでこの定義を満たす。
なお、R1とR2が連結した構造は、本願においては脂環式構造と認められる場合がある。R3とR4とが連結している場合も同様である、本発明においては、R1とR2の各々の炭素原子数(および/またはR3とR4の各々の炭素原子数)は、連結構造を構成する炭素原子の数の1/2の地点を境目として定義する。
本発明において、オレフィン多量化用触媒の性能を総合的に判断する為の指標の一つとして、後述する実施例に記載の1−オクテンの触媒活性が挙げられる。1−オクテンの触媒活性とは、単位時間当たりおよび触媒の単位量当たりの1−オクテンの生成量、すなわち、1−オクテンの生成効率である。
さらに、以上説明した好適な各態様においては、エチレンの3量体(1−ヘキセン)や4量体(1−オクテン)の生成効率がより向上するだけでなく、エチレンの反応活性や1−オクテンの効率的な製造の点においても好ましい。
本発明においてエチレンの多量体を製造する場合、1−ヘキセンおよび1−オクテンが主生成物となる傾向がある。そして、両者は蒸留によって分離することが比較的容易である。したがって、先に説明した1−オクテンの生成効率は、工業的な観点から重要な指標となると考えられる。特に、1−ヘキセンと1−オクテンとを併産する為の製造設備を使用する場合、重要な項目となる場合がある。
以下にリン化合物(B)の具体例を示す。ただし、リン化合物(B)はこれらに限定されない。
上記各化合物において、Meはメチル基、Etはエチル基、nPrはノルマルプロピル基、iPrはイソプロピル基、Phはフェニル基を示す。
リン化合物(B)としては、市販のリン化合物を使用してもよい。リン化合物(B)を合成する場合は、例えば、特定のリン化合物を一般的な方法でアルキル化、シクロアルキル化、アリール化などを行うことによって、リン化合物(B)を得ることができる。
リン化合物(B)とクロム化合物(A)は、別々に反応器へ添加してもよい。ただし、予めリン化合物(B)とクロム化合物(A)を反応させることにより形成した遷移金属錯体を、反応器へ添加することが好ましい。例えば、リン化合物(B)を溶媒に溶解し、これをクロム化合物(A)と混合し、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、−78℃から室温または還流条件下で、約5分〜48時間撹拌することによって、遷移金属錯体を得ることができる。
遷移金属錯体を合成する際に用いる溶媒は特に限定されない。このような反応において使用可能なことが知られている一般的な溶媒を使用できる。溶媒の具体例としては、エーテル、テトラヒドロフランなどの極性溶媒;トルエン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素溶媒;塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。
遷移金属錯体は、溶媒に溶解または懸濁した状態で得られる。この遷移金属錯体の溶液または懸濁液をそのまま使用してもよいし、また遷移金属錯体を一度単離して、再び溶媒に溶解または懸濁させて使用してもよい。
<化合物(C)>
本発明に用いる化合物(C)は、有機金属化合物(C−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(C−3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。以下、これら化合物(C−1)〜(C−3)について説明する。以下の記載において、化合物(C−3)は「イオン化イオン性化合物(C−3)」と記す。
[有機金属化合物(C−1)]
有機金属化合物(C−1)としては、例えば、以下に記載する化合物(C−1a)、(C−1b)および(C−1c)のような周期律表第1、2、12、13族の有機金属化合物を使用できる。本発明において、有機金属化合物(C−1)には後述する有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は含まれないものとする。
(C−1a):一般式Ra mAl(ORb)nHpXq(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。
(C−1b):一般式M2AlRa 4(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(C−1c):一般式RaRbM3(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである)で表される周期律表第2または12族金属のジアルキル化合物。
前記有機アルミニウム化合物(C−1a)としては、例えば、一般式Ra mAl(ORb)3−m(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ra mAlX3−m(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ra mAlH3−m(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3の数である)で表される有機アルミニウム化合物、一般式Ra mAl(ORb)nXq(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物を使用できる。
前記有機アルミニウム化合物(C−1a)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n−アルキル)アルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec−ブチル)アルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルブチル)アルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(iC4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。iC4H9はイソブチル基を表す。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;例えばRa 2.5Al(ORb)0.5(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドのように部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドのように部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドのように部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(C−1a)に類似する化合物、例えば、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2のように窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物も使用できる。
前記化合物(C−1b)の具体例としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4が挙げられる。
前記化合物(C−1c)の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムが挙げられる。
以上説明した化合物(C−1a)〜(C−1c)以外の有機金属化合物(C−1)の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドが挙げられる。
多量化反応系内で有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せを使用することもできる。
以上説明した有機金属化合物(C−1)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。また、以上説明した有機金属化合物(C−1)の中では、有機アルミニウム化合物(C−1a)が特に好ましい。
[有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)]
有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知のアルミノキサンは、例えば以下の方法によって製造でき、通常、溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類(例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物)と炭化水素溶媒を含む懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの溶媒中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの溶媒中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物にジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。上記各方法において回収されたアルミノキサンの溶液から溶媒および未反応有機アルミニウム化合物を蒸留除去し、そのアルミノキサンをさらに溶媒に再溶解させてもよいし、アルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンの製造の為に用いる有機アルミニウム化合物の具体例は、先に説明した有機アルミニウム化合物(C−1a)の具体例と同様である。有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
アルミノキサンの製造の為に用いる溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒を使用できる。炭化水素溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素のハロゲン化物(特に塩素化物または臭素化物)が挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、エチルエーテル、テトラヒドロフランが挙げられる。中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素が好ましい。ベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物を使用する場合、60℃のベンゼンに溶解するAl成分の量はAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。
有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)としては、下記一般式(2)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も使用できる。
(一般式(2)中、R5は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R6は、互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
一般式(2)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば、下記一般式(3)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
R5−B(OH)2・・・(3)
(一般式(3)中、R5は上記一般式(2)におけるR5と同じ基を示す)
一般式(3)で表されるアルキルボロン酸の具体的例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸が挙げられる。中でも、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらアルキルボロン酸は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
アルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物の具体例は、先に説明した有機アルミニウム化合物(C−1a)の具体例と同様である。有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好ましい。
以上説明した有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
[イオン化イオン性化合物(C−3)]
イオン化イオン性化合物(C−3)は、遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物である。したがって、少なくとも遷移金属化合物と接触させるとイオン対を形成する性質を有する化合物は、このイオン化イオン性化合物(C−3)に相当する。
イオン化イオン性化合物(C−3)としては、例えば、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許5321106号に記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、カルボラン化合物を使用できる。さらに、ヘテロポリ化合物、イソポリ化合物も使用できる。
前記ルイス酸としては、例えば、一般式BR3(Rはフッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である)で表される化合物がある。その具体例としては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンが挙げられる。
前記イオン性化合物の具体例としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
一般式(4)中、R7+としては、例えば、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが挙げられる。R8〜R11は、互いに同一でも異なっていてもよい有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
R7+がカルボニウムカチオンである場合の具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンが挙げられる。
R7+がアンモニウムカチオンである場合の具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
R7+がホスホニウムカチオンである場合の具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
R7+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンがより好ましい。
以上説明した一般式(4)で表される化合物以外に、前記イオン性化合物としては、さらにトリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩も使用できる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩の具体例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トリ(n−10ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−15トリル)ボレートが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩の具体例としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩の具体例としては、ジ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。
以上説明した各塩以外に、前記イオン性化合物としては、さらにトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記一般式(5)または(6)で表されるホウ素化合物も使用できる。
(一般式(5)中、Etはエチル基を示す。)
(一般式(6)中、Etはエチル基を示す。)
前記ボラン化合物の具体例としては、デカボラン(14);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩が挙げられる。
前記カルボラン化合物の具体例としては、4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩が挙げられる。
前記ヘテロポリ化合物は、通常、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素または錫からなる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とからなる。その具体例としては、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸が挙げられる。また、これら各酸の塩であってもよい。塩の具体例としては、例えば、周期律表第1または2族の金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム)との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩、イソポリ化合物が挙げられる。
以上説明したイオン化イオン性化合物(C−3)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
以上のオレフィン多量化用触媒を用いれば高い活性でオレフィン多量体が得られ、特にオレフィンとしてエチレンを用いた場合には、1−オクテンの選択性が高い。例えば助触媒成分としてメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)を併用すると、エチレンに対してより高い活性を示し、1−オクテンを製造することができる。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(C−3)を用いても、より良好な活性かつより高い選択率でエチレンから1−オクテンが得られる。
<担体(D)>
本発明のオレフィン多量化用触媒は、担体(D)を含んでいてもよい。担体(D)は、無機化合物または有機化合物であって、通常、顆粒状または微粒子状の固体である。本発明において、担体(D)はクロム化合物(A)、リン化合物(B)および/または化合物(C)を担持する。無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物の具体例としては、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2、またはこれらを含む複合物もしくは混合物(例えば、天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−Cr2O3、SiO2−TiO2−MgO)が挙げられる。中でも、SiO2および/またはAl2O3を主成分と多孔質酸化物が好ましい。多孔質酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩または酸化物成分を含有していてもよい。多孔質酸化物の粒径、比表面積、細孔容積は特に限定されず、材料の種類や製法に応じて適宜決定すればよい。本発明において、多孔質酸化物の粒径は好ましくは0.5〜300μm、より好ましくは20〜200μmであり、比表面積は好ましくは50〜1000m2/g、より好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積は好ましくは0.3〜3.0cm3/gである。多孔質酸化物は、必要に応じて、好ましくは100〜1000℃、より好ましくは150〜700℃で焼成される。
前記無機ハロゲン化物の具体例としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま使用してもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に使用してもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを使用することもできる。
前記粘土は、通常、粘土鉱物を主成分として含む。また、前記イオン交換性層状化合物は、イオン結合によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能な化合物である。イオン交換性層状化合物としては、例えば、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を使用できる。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。これらの粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物としては、天然のものに限らず、人工合成物も使用できる。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、雲母、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライト、リョクデイ石、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトが挙げられる。イオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ−Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。中でも、粘土、粘土鉱物が好ましく、合成雲母、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトがより好ましい。
粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物の細孔容積は、好ましくは0.1cc/g以上、より好ましくは0.3〜5cc/gである。この細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104オングストロームの範囲について測定した容積である。半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合は、高い多量化活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、例えば、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理がある。化学処理の具体例としては、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くだけでなく、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大できる。アルカリ処理は、粘土の結晶構造を破壊して、粘土の構造を変化させることができる。塩類処理や有機物処理は、イオン複合体、分子複合体または有機誘導体を形成することによって、表面積や層間距離を変化させることができる。
イオン交換性層状化合物は、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することによって層間を拡大した状態の層状化合物であってもよい。この嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担い、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することは、インターカレーションと言う。インターカレーションするゲスト化合物(別の物質)の具体例としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+などの金属水酸化物イオンが挙げられる。ゲスト化合物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。ゲスト化合物をインターカレーションする際に、例えば、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解して得た二量化物、SiO2などのコロイド状無機化合物を共存させることもできる。ピラーの具体例としては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後で加熱脱水することにより生成する酸化物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま使用してもよいし、ボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に使用してもよい。また、新たに水を添加して吸着させた後に使用してもよいし、あるいは加熱脱水処理した後に使用してもよい。
前記有機化合物としては、例えば、粒径が10〜300μmの顆粒状または微粒子状の固体有機化合物が挙げられる。有機化合物を構成する重合体のモノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)二量化体、ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)二量化体、およびそれらの変成体が挙げられる。
<有機化合物成分(E)>
本発明のオレフィン多量化用触媒は、さらに必要に応じて有機化合物成分(E)を含んでいてもよい。
本発明において、有機化合物成分(E)は、例えば、多量化性能を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩を使用できる。ただし、有機化合物成分(E)はこれに限られるものではない。
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R14−OHで表される化合物が使用される。R14は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。アルコール類としては、R14がハロゲン化炭化水素である化合物が好ましい。フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換された化合物が好ましい。
前記カルボン酸としては、通常、R15−COOHで表される化合物が使用される。R15は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。特に、R15が炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基である化合物が好ましい。
前記リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR結合またはP=O結合を有するホスフェートまたはホスフィンオキシド化合物が好ましい。
前記スルホン酸塩としては、例えば、下記一般式(7)で表される化合物を使用できる。
一般式(7)中、M2は周期律表第1〜14族の元素であり、R12は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1〜7の整数であり、uは1≦u≦7の整数であり、かつt−u≧1である。
<オレフィン多量化用触媒>
本発明のオレフィン多量化用触媒は、オレフィンの多量化反応に使用される触媒である。そのオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、1−オクテン、1−デセンなどのビニル化合物、2−ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの内部オレフィンが挙げられる。中でも、エチレンが好ましい。2種以上のオレフィンを共多量化させてもよい。
<オレフィン多量体の製造方法>
本発明のオレフィン多量体の製造方法は、以上説明したオレフィン多量化用触媒の存在下でオレフィンの多量化反応(好ましくは3量化〜4量化反応、より好ましくは4量化反応)を行う方法である。
多量化させるオレフィンの具体例は、先に記載のとおりであり、中でもエチレンが好ましい。具体的には、エチレンの多量化反応により多量体を製造することが好ましく、エチレンの3量化および4量化反応により1−ヘキセンおよび1−オクテンを高い選択率で製造することがより好ましく、エチレンの4量化反応により1−オクテンを高い選択率で製造することが特に好ましい。
多量化の際、上記クロム化合物(A)、リン化合物(B)、化合物(C)およびその他の成分(例えば担体(C)、有機化合物成分(E))を反応器に添加する順序は特に限定されない。添加方法の具体例は以下の通りである。
(1)成分(A)と、成分(B)とをそのまま任意の順序で反応器に添加する方法。
(2)成分(A)と、成分(B)とを予め接触させて形成した遷移金属錯体を反応器に添加する方法。
(3)成分(A)と、成分(B)と、成分(C)とをそのまま任意の順序で反応器に添加する方法。
(4)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(5)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)を予め接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(6)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)を予め接触させた触媒成分と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(7)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)を反応器に添加する方法。
(8)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)と、成分(C)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(9)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体ならびに成分(C)を担持した担体(D)を反応器に添加する方法。
(10)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体ならびに成分(C)を担持した担体(D)と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(11)成分(C)を担持した担体(D)と、成分(A)と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(12)成分(C)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(13)成分(C)を担持した担体(D)と、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(14)成分(C)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(15)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)と、成分(C)を担持した担体(D)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(16)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)と、成分(C)を担持した担体(D)と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(17)成分(A)と、成分(B)と、成分(E)とをそのまま任意の順序で反応器に添加する方法。
(18)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体と、成分(E)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(19)成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(E)とをそのまま任意の順序で反応器に添加する方法。
(20)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体と、成分(C)と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(21)成分(C)および成分(E)を予め接触させた成分と、成分(A)と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(22)成分(C)および成分(E)を予め接触させた成分と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(23)成分(E)を担持した担体(D)と、成分(A)と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(24)成分(E)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(25)成分(C)および成分(E)を担持した担体(D)と、成分(A)と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(26)成分(C)および成分(E)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(27)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)を予め接触させた触媒成分と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(28)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)を予め接触させた触媒成分と、成分(C)と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(29)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)を予め接触させた触媒成分と、成分(C)および成分(E)を予め接触させた成分とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(30)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)と、成分(C)と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(31)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(32)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体を担持した担体(D)と、成分(C)および成分(E)を予め接触させた成分とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(33)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(E)を予め接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(34)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)および成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(35)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(C)および成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒成分と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(36)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体ならびに成分(E)を担持した担体(D)を反応器に添加する方法。
(37)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体、成分(C)ならびに成分(E)を担持した担体(D)を反応器に添加する方法。
(38)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体、成分(C)ならびに成分(E)を担持した担体(D)と、成分(C)とを任意の順序で反応器に添加する方法。この場合、各成分(C)は同一でもよいし、異なっていてもよい。
本発明においては、以上説明したオレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンを多量化することによりオレフィン多量体を得る。多量化は、溶解反応や懸濁反応などの液相反応法、気相反応法のいずれにおいても実施できる。
液相反応法においては、通常、不活性炭化水素媒体を用いる。不活性炭化水素媒体の具体例としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、またはこれらの混合物が挙げられる。中でも、ペンタン、n−ヘキサン、n−へブタンなどの炭素数5〜7の直鎖状飽和炭化水素;メチルシクロヘキサンなどの脂環式飽和炭化水素が好ましい。
オレフィン多量化用触媒を用いて、例えば、主としてエチレンの3〜4量化反応により1−ヘキセンや1−オクテンを製造する場合は、成分(A)中のクロム原子は、反応容積1リットル当り、通常10−12〜10−2モル、好ましくは10−10〜10−3モルとなるような量で用いられる。本発明では、成分(A)を比較的薄い濃度で用いた場合であっても、高活性でオレフィン多量体を得ることができる。
成分(B)は成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(B)/M〕が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜2となるような量で用いられる。
成分(C)のうち、成分(C−1)は、成分(C−1)と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(C−1)/M〕が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。
成分(C−2)は、成分(C−2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(C−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
成分(C−3)は、成分(C−3)と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(C−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
成分(D)は、成分(A)中のクロム原子(M)のモル当たりに対する成分(D)の質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは1000〜5000となるような量で用いられる。
成分(C)として成分(C−1)を用いる場合、成分(E)は、モル比〔(E)/(C−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。成分(C)として成分(C−2)を用いる場合、成分(E)は、成分(D)と成分(C−2)中のアルミニウム原子とのモル比〔(E)/(C−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。成分(C)として成分(C−3)を用いる場合、成分(E)は、モル比〔(E)/(C−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
多量化の反応温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜170℃、より好ましくは10℃〜130℃、特に好ましくは20℃〜120℃である。また、最も好ましい下限値は25℃であり、最も好ましい上限値は100℃である。本発明の触媒は、反応温度が低すぎると触媒の活性化が効率的に進行しないことが想定され、また反応温度が高すぎると触媒が分解することにより活性が低くなると考えられる。
反応圧力は、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜6MPa、より好ましくは常圧〜5MPaである。また下限値は、好ましくは0.2MPa、より好ましくは0.5MPa、特に好ましくは0.8MPaである。最も好ましい上限値は、4MPaである。本発明の触媒は、反応圧力が高い方が1−オクテンの生成効率が高くなる傾向がある。1−オクテンは、メタラシクロペンタンへエチレンが2分子配位し、その後協奏的(または逐次的)にエチレンが挿入して生成するメタラシクロノナンを経由して得られると推定される。そして、反応圧力が高い方がより効果的である理由は必ずしも明らかではないが、本発明の触媒の構造は、高圧になるほどメタラシクロペンタンへのエチレン2分子配位が有利になる構造であるからと推測される。
多量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
多量化反応は、帯電防止剤を添加して行ってもよい。帯電防止剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジステアレート、エチレンジアミン−PEG−PPG−ブロックコポリマー、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(例えばポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック共重合体(PEG−PPG−PEG))が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレン(例えばPEG−PPG−PEG)が好ましい。帯電防止剤は、成分(A)中のクロム原子(M)のモル当たりに対する質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは100〜1000となるような量で用いられる。
多量化反応は、水素を添加して行ってもよい。反応の水素の圧力は通常0.01MPa〜5MPa、好ましくは0.01MPa〜1MPaである。
以下、合成例および実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
合成例で得た化合物の分析は、ICP発光分光分析装置(アジレント・テクノロジー製、装置名720−ES型)を用いた。
反応生成物の収量と、1−ヘキセンおよび1−オクテンの選択率は、ガスクロマトグラフィー(島津GC−14A、J&WScientificDB−5カラム)を用いて分析した。
[触媒活性]
触媒活性は、単位時間当たりに得られた反応生成物の質量を、多量化に使用した遷移金属触媒成分中の遷移金属原子量(ミリモル)で除して求めた。
[1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択率]
1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択率は、以下の式に従い求めた。
S(%)=Wp/Wr×100
S(%):1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択率(質量分率)
Wr(質量):反応により生成した炭素原子数が4以上からなる生成物の合計質量
Wp(質量):反応により生成した1−ヘキセン、1−オクテンの質量
以下に、エチレン多量化の実施例を示す。
[実施例1]
充分に乾燥した100mLのシュレンク管に、下記式(B−1)で表されるビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン(リン化合物(B−1))0.57g(1.40mmol)、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン0.44g(1.17mmol)、ジクロロメタン20mLを加え、アルゴン雰囲気下で18時間撹拌した。反応液を濃縮した後、n−ヘキサン15mLを加え、不溶分をガラスフィルターでろ取した。ろ取した固形物をn−ヘキサン15mLで洗浄し、減圧乾燥することでクロム化合物0.38gを得た。このクロム化合物にメチルシクロヘキサンを加え、クロム原子換算で0.001mmol/mLのメチルシクロヘキサン溶液(触媒溶液)を調製した。
充分に窒素置換した内容積100mLのオートクレーブにメチルシクロヘキサン29.6mLを入れ、続いて、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケムMMAO−3A、5.7質量%ヘキサン溶液)をアルミニウム原子換算で0.5mmol加えた。引き続き、先に調整した触媒溶液を0.10mL(0.0001mmol)加え、エチレン(0.8MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら60℃で60分間反応させた後、少量のイソプロパノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数12以下の生成物)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。低沸点成分の生成量(炭素原子数12以下の生成物の生成量)は1553mg、ポリエチレンの生成量は4mgであり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は15562g−生成物/(mmol−Cr・hr)であった。1−ヘキセンの選択率は66.6質量%、1−オクテンの選択率は30.0質量%、ポリエチレンの選択率は0.2質量%であった。また、1−ヘキセンの触媒活性は10366g−生成物/(mmol−Cr・hr)、1−オクテンの触媒活性は4670g−生成物/(mmol−Cr・hr)と算出された。
[比較例1]
リン化合物(B−1)の代わりに下記式で表される化合物(B−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。
低沸点成分の生成量(炭素原子数12以下の生成物の生成量)は9mg、ポリエチレンの生成量は4mgであり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は88g−生成物/(mmol−Cr・hr)であった。1−ヘキセンの選択率は33.1質量%、1−オクテンの選択率は16.8質量%、ポリエチレンの選択率は50.1質量%であった。また、1−ヘキセンの触媒活性は29g−生成物/(mmol−Cr・hr)および1−オクテンの触媒活性は15g−生成物/(mmol−Cr・hr)と算出された。