以下、本発明の例である実施形態について図面を用いて説明する。本発明係る電気治療器は生体に所定の波形の電気信号を出力することにより生体に刺激を与える。
(出力波形)
図1は、本発明の一実施形態に係る電気治療器の出力波形の一例を示す図である。治療目的に応じて、様々な波形が考えられるが、以下ではその例を示す。
波形110は、低周波である基底波111にパルス波を重畳させたものであり、図示は高周波パルス112を重畳させたものである。好ましくは、重畳される側である基底波111は方形波で、基底波111の上端を下端に高周波パルス112が重畳される。一例として、ここでは、基底波111の正負両方向の全時間幅に高周波パルス112が重畳される。
なお、本願において、低周波は0.2Hz〜1.2KHzの周波数領域をいい、高周波は低周波より高く、すなわち、1.2KHzより高く、数百KHzまでの周波数領域をいう。ここでは、好ましくは2KHz〜20KHz、より好ましくは4KHz〜11KHzの高周波(連続波、パルス波)が用いられる。
なお、本願では上記の定義を用いるが、1KHz以下を低周波、1KHz〜10KHzを中周波、10KHz以上を高周波と定義される場合もある。この場合は、低周波の基底波に中周波パルスを重畳させてもよいし、低周波の基底波に高周波パルスを重畳させてもよい。
波形110の最上端の出力強度は、基底波111の振幅h1と高周波パルス112の振幅h2の合計であるH3に相当する値である。波形110の形成の詳細については後述する。
このように、低周波の基底波に高周波パルスを合成する合成波とすることで電気刺激を軽減させると共に、低周波刺激(例えば、筋肉、腱などに対する刺激)と高周波刺激(例えば、内臓や細胞組織などに対する刺激)が同時に加わり、両方の効果を上げられる。
波形110は、波形なまり113が形成されてもよい。波形なまり113は、一例として、正負両方向の基底波が立ち上がる側の高周波パルス112の上端及び基底波が立ち下がる側の高周波パルス112の上端の一方又は双方に形成される。
波形なまりを設けることで、電気刺激をより軽減させることができ、0.5Hz〜400Hz程度の低い周波数、特に0.5Hz〜130Hzの場合に有効である。好ましくは、0.5Hz〜100Hzの低周波に波形なまりが設けられる。
図2は、出力波形の他の例を示す図である。波形なまりは、波形110の他の位置に形成されてもよい。一例として、図示の波形なまり114のように、正方向の基底波が立ち上がる側の高周波パルス112の下端及び基底波が立ち下がる側の高周波パルス112の下端の一方又は双方に形成される。
図3は、出力波形の他の例を示す図である。人体が静電容量性を有することが知られている。人体に図3(a)の実線のような方形波の電圧信号を出力しても、人体にかかるのは図3(a)の破線のような立ち上がる側に波形なまり115を有するものとなる。
人体にかかる波形を波形なまりを有しない方形波とするために、図3(b)のように、人体への出力波形の立ち上がる側の上端を突出させた(突出部分122を有する)波形120とすることが考えられる。このような波形は、300Hz以上、特に500Hz以上の低周波の場合に有効である。
図4は、出力波形の他の例を示す図である。出力波形は、低周波パルスである基底波131の上端に高周波パルス132を重畳させた波形130でもよい。この場合も、波形なまりを形成してもよい。
図5は、出力波形の他の例を示す図である。図5(a)のように正負方向のパルス幅が同等である波形が多いが、基底波及び基底波に重畳させるパルス波の一方又は双方を、図5(b)に示すように、正方向と負方向のパルス幅を異ならせた波形140としもよい。
例えば、図示のように正負方向のパルス幅が異なる基底波の上端に、その正負のパルス幅の全時間幅に高周波パルスを重畳させて合成波としてもよい。または、負のパルス幅のみに高周波パルスを重畳させて合成波としてもよい。このように正負異なる波形とし、交互に出力することで、異なる部位への刺激を同時に与えることができるので、連続的にかけても負担が軽減され効率を上げることができる。また、正負方向の波形を異ならせるだけでなく、数周期毎に波形を異ならせるなど適宜調整してもよい。
図6は、出力波形の他の例を示す図で、図6(a)は従来例、図6(b)及び6(c)は本発明の例を示す図である。各図において、実線は人体への印加電圧波形、破線はその結果人体にかかる(感じさせる)と想定される電圧波形を示している。
図6(a)に示すように、人体に方形波を出力する場合、人体にかかるのは破線で示すなまりを有する波形となる。
図6(b)に示すように、人体に実線で示す波形130を出力してもよい。この場合、人体にかかるのは破線で示すような波形となる。波形130は、基底波であるパルス幅aの低周波パルス131の上端にパルス幅bのパルス波(低周波ないし高周波パルス)132を重畳させたものと考えることができる。ここでは、基底波131の全時間幅にパルス波132を重畳させ、さらにパルス波132の振幅を変動させている。
図6(c)に示すように、人体に実線で示す波形150を出力してもよい。この場合、人体にかかるのは破線で示すような波形となる。波形150は、基底波であるパルス幅aの低周波パルス151の上端を下端に、パルス幅bの低周波パルス152を重畳させ、さらに、低周波パルス152の上端に、パルス幅cの2つの低周波パルス153を重畳させたものと考えることができる。
図6(b)及び図6(c)に示すように、低周波パルスに低周波ないし高周波パルスを重畳させた波形とすることで、人体にかかる刺激の度合いを低減することができる。
図7は、1施術における1フェーズの出力波形を示す図である。人体に対する前述のような波形の電気信号を出力する施術を、複数のフェーズ(phase)に細分して行うことができる。複数のフェーズに細分して、異なる形状の複数のフェーズの波形を組み合わせることで、治療目的に応じた施術パターンの構築が容易となる。1施術は、例えば、最大45のフェーズを含むことができる。
図示のフェーズの波形は、フェーズの開始時及び終了時に出力強度が緩やかに変化する例である。詳細は後述するが、1施術の開始時又は前のフェーズからの過渡期であるフェーズの開始時、及び次のフェーズへの過渡期であるフェーズの終了時は、出力強度を弱くして、緩やかに変化させることができる。これにより、人体で感じる刺激を軽減させることができ、丁寧な施術の印象を与えることができる。
また、フェーズの最後にインターバル期を設けて、次のフェーズに移行する前に電気信号を出力しないようにしてもよい。インターバル時間を設けることにより、施術で疲れを感じ難くすることができる。
図8は1施術における複数のフェーズの出力波形を示す図である。ここでは、3つのフェーズについてフェーズ毎に1周期の波形を図示して説明する。1施術における複数のフェーズの波形は、すべてのフェーズで同じものでもよいが、フェーズ毎に異ならせてもよい。
一例として、フェーズ毎の基底波151の周波数が漸次高くなるようにしてもよい。すなわち、基底波151の周波数が、出力順番が後のフェーズほど高いものでよい。例えば、第1フェーズの基底波151の周波数よりも第2フェーズの基底波151の周波数が高く、第2フェーズの基底波151の周波数よりも第3フェーズの基底波151の周波数が高くなるようにする。例えば、第1フェーズの基底波の周波数を20Hz以上で125Hz未満の範囲で選択し、第2フェーズの基底波の周波数を125Hz以上で400Hz未満の範囲で選択し、第3フェーズの基底波の周波数を400Hz以上の範囲で選択する。同じ電圧を加えても、高い周波数の場合は低い周波数の場合より刺激を少なく感じる。このようにすることで、刺激を漸次低下させることができる。
一例として、フェーズ毎の基底波151の振幅が漸次高くなるようにしてもよい。すなわち、基底波151の振幅が、順番が後のフェーズほど大きいものでよい。例えば、第1フェーズの基底波151の振幅よりも第2フェーズの基底波151の振幅が高く、第2フェーズの基底波151の振幅よりも第3フェーズの基底波151の振幅が高くなるようにする。このようにすることで、刺激を漸次向上させることができる。なお、フェーズ毎の基底波151の周波数を漸次高くし且つ振幅を漸次高くすれば、刺激を和らげることができる。
一例として、フェーズ毎の基底波151に重畳するパルス波152の振幅が漸次高くなるようにしてもよい。すなわち、重畳したパルス波152の振幅が、順番が後のフェーズほど大きいものでもよい。使用者はフェーズが進むにつれて手動で出力強度を高めていくことがある。パルス波152の振幅をフェーズ毎に漸次高くすることで、使用者の操作を不要とし、感じる刺激を平均化することができる。
一例として、基底波151に重畳するパルス波152のパルス幅を変動させる、パルス波152に重畳するパルス波153のパルス幅を変動させる、または、パルス波153の振幅を変動させることもできる。
上記のいずれかまたはすべてを組わせることで、使用者が感じる刺激の変動を抑制し、刺激ないし効き目を均一化し、使用者による施術途中の出力強度の調整操作を不要とすることができる。
なお、ここでは、フェーズ間の出力強度を0まで落としているが、これに限らない。0まで落とさずに、例えば、現在フェーズが50%まで下降した時点で、次のフェーズの上昇を50%から開始することで、時間を短縮しても良い。なお、出力強度の下降、上昇の詳細については後述する。
また、実際に効果を表す出力強度は、周波数や体質などにより異なり、例えば体にピリピリ感じられた時に初めて効果が感じられることや、効果があるものだと思えることがある。しかし、実際は出力強度が強すぎる場合が往々にしてある。
一方で、ピリピリしたことによるプラシーボ(placebo)効果が表れることもある。
これらのことから、例えば基底波の周波数より出力強度の高い(例えば、基底波の周波数の2から20倍の強度の)高周波パルス(例えばパルス波153)を、定期的(基底波のすべてに加えるのではなく、例えば、1秒から10秒の間に、一秒間に1回から20回の頻度)に出力することで、適度に無理のない刺激を感じさせ、出力強度を上げ過ぎないような配慮が出来る。
(電気治療器の構成)
図9は、本発明の一実施形態に係る電気治療器の外観を示す図である。本実施形態の電気治療器200は、簡単な構成で安価に前述の波形を含む様々な波形を生成し、出力することができる。
電気治療器200は、本体201と、一対の電極202とを有する。一対の電極202は、リード線及びプラグ203により本体201のジャック204に電気的に接続される。また、本体201は、電源に接続するためのコード付きアダプタ205(例えば、定格出力電圧24V)、及び電源をON/OFF操作するための電源スイッチ206を有する。電源供給にUSB給電や内蔵電池、充電式電池などが用いられても良い。また、ここではジャックを介して接続する例を示しているが、例えば本体を小型にすると共に内蔵電池にし、電極を本体に直接接続しても良い。
本体201は、表示部207を有する。一例として、複数のLEDランプにより構成される出力設定レベル表示部218を有し、設定された出力レベルを例えば10〜30段階で表示できるようになっている。さらに、複数のLEDランプにより構成される出力レベル表示部208を有し、実際の出力レベルを例えば10〜30段階で表示できるようになっていてもよい。表示部208は、出力停止時に点滅して出力停止中であることを表示できるようになっていてもよい。また、本体201は、複数のLEDランプにより構成される残り時間表示部209を有し、施術終了までの残り時間を例えば10〜20段階で表示できるようになっている。なお、表示部207は、出力設定レベルや出力レベルを電圧値で、残り時間を時分で表示できる構成が採用されてもよい。
本体201は、押しボタン、ボリューム(可変抵抗器)やロータリスイッチなどで構成される電圧調整部210を有し、使用者の操作により出力電圧を上げたり、下げたりすることができるようになっている。例えば、10〜30段階で出力電圧を調整できるようになっている。また、本体内のデータテーブルを読み込む、書き換えるための外部接続部(例えばSDカードリーダーやUSBポート)を設けても良い。
また、設定データ(データテーブルを含む)やプログラムの更新を行っても良い。設定データを変更することで、新しい施術などの追加更新が可能となる。
本体201は、押しボタンスイッチ等により構成される開始/停止スイッチ211を有し、使用者の操作により出力を一時停止したり、再開したりすることができるようになっている。なお、停止中は開始/停止スイッチ211が点灯するようになっていてもよい。
本体201は、ロータリスイッチや押しボタンスイッチ等で構成される施術切替スイッチ212を有し、使用者の操作により施術内容(施術パターン)を切り替えられるようになっている。施術の切り替えは、数種類から十数種類程度で行えるようになっている。また、図示しないが、施術内容を表示する表示部を有し、コードや施術名などで表示できるようになっていてもよい。
図10は本発明の一実施形態に係る電気治療器200の構成を示すブロック図である。
電気治療器200は、出力波形の電気信号の生成など処理全般を制御する制御部213を有する。制御部213は、波形生成部214として機能するCPUと、記憶部215として機能するRAMやROMなどで構成されるメモリと、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器216とを有する。制御部213は、CPUやメモリ、D/A変換器を内蔵しているマイクロコントローラ(PICなど)で構成されてもよい。
波形生成部214は、使用者による開始/停止スイッチ211の操作、電圧調整部210の操作、施術切替スイッチ212の操作を監視し、それに応じて所定の処理を行い、出力レベルや残り時間などを表示部207に表示させる。また、操作の完了や、処理の完了、操作のエラーなどを表示や音声で知らせても良い。
波形生成部214は、記憶部215が記憶しているプログラムを実行して、記憶部215が記憶している所定の波形を示すデータに基づき、所定の波形の電気信号を生成する。生成された電気信号は、D/A変換器216によりアナログ信号に変換され、電圧増幅器217に出力されて増幅される。増幅された電気信号は、ジャック204に接続された電極202から生体に出力される(本図では不図示)。波形生成部214が行う処理の詳細については後述する。
(波形の形成)
図11及び図12は出力波形の形成例を示す図で、図11は1周期分の波形を示すデータの例を示す図で、図12は1フェーズ分の波形の形成例を示す図である。
ここでは、低周波の方形波である基底波111の全周期に高周波パルス112を重畳させた波形110の例を説明する。基底波111の上端には例えばその周波数の20倍の高周波パルス112が重畳されている。高周波パルス112の周波数は例えば5KHzである。また、波形110は、基底波111が立ち上がる側及び立ち下がる側の高周波パルス112の上端及び下端に波形なまりを有する。
波形110の1周期(サイクル)分を観察すると、基底波111の出力強度に対して高周波パルスの振幅h2分だけ変動したことになっているが、波形なまりを有するため、変動にばらつきがあり、一律に示すことが難しいことがわかる。
そこで、ここでは、波形110の周期Tを基底波111及び高周波パルス112の立ち上がり及び立ち下がりに応じて複数の期間に細分化する。そして、各期間の出力強度を、波形110の最上端の出力強度、すなわち基底波111の振幅h1と高周波パルス112の振幅h2の合計であるh3に相当する出力強度に対する当該期間の出力強度の割合で示す。そうすると、各期間それぞれの出力強度の割合及び当該期間(ここではその割合の出力強度が持続する期間)の時間幅で、1周期分の波形110を示すことができる。
波形110をこのように示すことで、波形なまりを有する波形を容易に形成できる。また、波形なまりが2周期以上に亘る場合も容易に形成できる。
図示の場合は、波形110の1周期Tを時間幅tが100μsである第1期間〜第40期間に細分する。1周期Tのうち、半周期(1/2T)の第1期間〜第20期間は正方向、半周期(1/2T)の第21期間〜第40期間は負方向の波形部分である。
期間の時間幅tは、タイマ割込みの時間間隔に対応して示すことができる。例えば、タイマ割込みの時間間隔が10μsである場合、時間幅100μsは、10で示すことができる。このようにすることで、波形の生成を簡易に行うことができる。
なお、タイマ割込み時間は、必ずしも、タイマ割込みを使わなくともよく、例えばOSの監視下で、時間監視を行ったりしてもよく、ここで示すタイマ割込みに同等な時間管理下で動作する仕組みであれば良いものである。
また、マイクロコントローラ(PICなど)を用いた時においては、前もって時分割処理(機能)を組み込み、例えば、複数の時分割処理を設け、該当の時分割処理の番号を指定することなどで、処理してもよい。これらも、ここではタイマ割込みと同等の処理と捉える。
例えば、第1期間の波形部分は、出力強度の割合を90、時間幅を10で示すことができる。また、第2期間の波形部分は、出力強度の割合を90、時間幅を10で示すことができる。このような周期データ(サイクルデータ)を格納する周期データテーブル410は、記憶部215に記憶される。
図12に示すように、1フェーズの波形は、周期データを用いて形成できる。過渡期を設けない場合は、フェーズの時間幅分だけ周期データに示す波形を生成し、出力すればよい。
フェーズの開始時や終了時に緩やかな過渡期(q1、q3)を設ける場合は、周期データとは別途に、出力強度を変動させる必要がある。詳細は後述し、ここでは簡単に説明する。
通常の出力強度(標準出力強度)の波形を出力する通常期q2の前後に、出力強度が緩やかに変化する上昇期q1及び下降期q3を設けて、上昇期q1では出力強度が0から標準出力強度まで段階的に上昇する波形を、通常期q2では出力強度が変動しない波形を、下降期q3では出力強度が標準出力強度から0まで段階的に下降する波形を生成し、出力する。
1フェーズの時間幅が3分である場合は、例えば、上昇期q1では1秒ごとに12段階(第1段階〜第12段階)で出力強度を引き上げ、下降期q3では1秒ごとに12段階で(第1段階〜第12段階)で出力強度を引き下げる。休止期(インターバル期)q4が5秒である場合、通常期の時間幅は2分31秒となる。なお、上昇期、下降期及び休止期を合わせてインターバル期と表現することもあるが、ここでは休止期をインターバル期と表現する。
基底波の周波数やフェーズの時間幅、標準出力強度は、治療の目的に応じて選択できる。
図13は周波数、フェーズ時間幅及び標準出力強度の一例を示す図である。一例として、波形110は、治療目的に応じて基底波の周波数を設定し、それに対応してフェーズ時間幅や標準出力強度、重畳パルス波の周波数を設定できる。例えば、基底波111の周波数として19Hzを設定する場合は、フェーズ時間幅を3分、標準出力強度を1V、重畳パルス波の周波数を800Hzに設定できる。
基底波の周波数は、例えば、14、16、19、21、25、27、59、61、71、73、94、96、119、121、124、126、159、161、441、447、449、464、466、499、501、599、601、624、626、659、661、665、667、689、691、699、701、724、726、727、728、729、731、739、741、769、771、775、777、786、788、789、791、799、800、801、802、803、804、805、831、839、874、876、879、881、884、886、891、1499、1501、1549、1551、1559、1561、1569、1571、1599、1601、1799、1801、1839、1841、1849、1851、1899、1901、1997、1999、2001、2007、2009、2051、2099、2101、2121、2126、2127、2128、2129、2131、2488、2489、2490、2491、2999、3001、4999、5001、9999及び10001Hzの111種類の周波数から選択できる。
例えば、後天性免疫不全の症状軽減を目的とする場合は、上記周波数のうちの、21、59、73、94、99、121、126、447、449、464、466、499、599、626、659、667、728、739、777、788、791、799、802、805、881、1499、1549、1571、1601、1799、1839、1999、2001、2009、2128、2488、2489、2490、2491、4999、9999からいずれかまたは複数選択できる。さらに、一回の施術でこれらの周波数すべてが用いられてもよいし、数回の施術ですべてが用いられるようになってもよい。
例えば、アレルギー症状の症状軽減を目的とする場合は、上記周波数のうちの、667、726、741、786、791、879、4999、5001から選択できる。例えば、炭疽熱の症状軽減を目的とする場合は、665、728、739、788、791、879から選択できる。例えば、腺ペストなどの伝染病の場合は、19、61、73、94、124、499、501、4999から選択できる。
上記周波数は、電流の変化により、筋肉や神経、骨に対する刺激だけでなく、細菌やウイルスに刺激や損傷を与えたり、細胞を揺るがすことで細胞内の不要物質などを排出したりすると考えられており、体に害のない周波数ともいわれている。
後述するように、上記周波数を、例えば±3Hzの範囲のものを同じグループに含まれるようにグループ分けし、各グループに対して略中間値となる代表周波数を設定し、この代表周波数を治療に用いても良い。
また、このような代表周波数を用いて複数の周期データを設定し、一又は数周期おきに同じ周期データを繰り返す形で、上記111種類の周波数をすべて考慮した波形を形成してもよい。このような方法は、動作クロック数の低い(例えば動作クロックが100MHz以下など)CPUを用いる場合有効である。
グループ分けは、例えば以下のようにされる。第1グループは19、21Hzを含み、代表周波数が20Hzである。第2グループは59、61Hzを含み、代表周波数が60Hzである。第3グループは124、125Hzを含み、代表周波数が125Hzである。第4グループは665、667Hzを含み、代表周波数が666Hzである。第5グループは726、727、728Hzを含み、代表周波数が727Hzである。第6グループは739、741Hzを含み、代表周波数が740である。第7グループは786、788、789、791Hzを含み、代表周波数が790Hzである。第8グループは879、881Hzを含み、代表周波数が880Hzである。第9グループは4999、5001Hzを含み、代表周波数が5000Hzである。第10グループは9999、10001Hzを含み、代表周波数が10000Hzである。このようにして、効果が高いと考えられる(言われる)ものを10グループにグループ分けできる。
この10グループすべてを用いて周期データを構成し連続して出力すれば、細胞の活性化の促進や疼痛の緩和が図れる周波数の波形の並びとなる。このように、広い範囲の症状に対応するように設定することで、簡便に使用できる電気治療器を構成できる。
また、上記グループとは別途に、例えば、上記後天性免疫不全の症状軽減を目的とする場合の周波数を基底波として選択して周期データを構成し、治療目的に応じて周期データを選択できるようにしてもよい。
また、上記10グループとともに、これらに含まれていない一又は複数の周波数も用いて周期データを構成し、出力波形を形成してもよい。また、上記10グループに異なる値の周波数を追加したり、代表周波数を変更したりしてグループ分けを調整できるようにしてもよい。例えば、JIS規格の家庭用治療器に対応する周波数1200Hz以下のもののみを用いても良い。
また、上記周波数を6グループから14グループに分けて後述のフェーズテータを構成してもよい。グループ分けしたもので構成する周期データをフェーズの選択周期データとし、これらのフェーズを組み合わせることで、簡易施術パターン、ノーマル施術パターン、繊細施術パターンなどとしてもよい。
また、フェーズの時間幅を、例えば30秒〜3分、好ましくは、1分〜2分30秒とすることで、長い時間幅の繰返しによる人体への負荷を軽減すると共に、組み合わせられるフェーズの数を増すことができる。例えば、施術時間の上限が30分である場合、フェーズの時間幅が3分であると、フェーズの数が最大10となるが、フェーズ時間幅が2分であると、フェーズの数が最大15となる。また、フェーズ毎に(選択周波数に応じて)時間幅を短くしたり、長くしたりすることで、選択した複数の周波数それぞれに応じた適切な時間配分で1施術をバランスよく構成できる。このように、1回の施術における複数のフェーズは、時間幅がそれぞれ異なるものでよい。フェーズデータテーブルの詳細については後述する。
図14〜図17は記憶部が記憶しているテーブルの例を示す図である。図14はフェーズデータテーブル及び周期データテーブルの例を示す図である。
フェーズデータテーブル430は、フェーズデータを格納するテーブルであり、フェーズデータは少なくとも後述の周期データテーブルから選択された周期データである選択周期データを示す情報と、所定回数を示す情報とを含む。一例として、フェーズデータは、選択周期データ番号431(アドレスでも良い)、上昇期繰返回数432、通常期繰返回数433、下降期繰返回数434及びインターバル期繰返回数435から構成される。フェーズデータテーブル430は、数百以下、好ましくは10〜50のフェーズデータを有する。
選択周期データ番号431は、周期データテーブル440に格納された周期データから選択された周期データの番号である。
周期データテーブル440は、周期データを格納するテーブルであり、周期データは少なくとも、周期の最上端の出力強度に対するそれぞれの期間の出力強度の割合を示す情報、及び当該期間の時間幅を示す情報を含む。一例として、周期データは、波形ユニットの周期数441、1周期の期間数442、期間毎の出力強度の割合443及び時間幅444から構成される。周期データは、さらに、割込みタイム(タイマ割込み時間間隔)445を含んでもよい。
波形ユニットの周期数441は、1波形ユニットに含まれる周期の数である。波形ユニットは、複数の周期を含む所定時間幅の波形である。後述のように、波形生成部214は波形ユニット単位で所定回数分繰り返し波形を生成する。波形ユニットの所定時間幅は、フェーズの時間幅等に応じて設定され、例えば、1秒である。
1周期の期間数442は、1周期における期間の数である。前述のように、1周期は、基底波及それに重畳するパルス波の立ち上がり及び立ち下がりに応じて複数の期間に細分化されるが、ここではその期間の数が格納される。出力強度の割合443及び時間幅444は、期間の数だけ対に登録される(第1期間の出力強度の割合、第1期間の時間幅、……第n期間の出力強度の割合、第n期間の時間幅)。
フェーズデータテーブル430の説明に戻る。上昇期繰返回数432は、選択された周期データ番号431の波形ユニットをフェーズの上昇期に繰り返し形成する回数である。
前述のように、フェーズの上昇期では、出力強度を段階的に引き上げるが、1秒後ごとに12段階で引き上げる場合は、ここでの繰返回数は12となり、運転時間は12秒となる。上昇期繰返回数とともに繰返し毎の出力強度の引上げ率をフェーズデータに含めてもよい。
通常期繰返回数433は、選択された周期データ番号431の波形ユニットをフェーズの通常期において繰り返し形成する回数である。
下降期繰返回数434は、選択された周期データ番号431の波形ユニットをフェーズの下降期において繰り返し形成する回数である。1秒後ごとに12段階で引き上げる場合は、ここでの繰返回数は12となり、運転時間は12秒となる。下降期繰返回数とともに繰返し毎の出力強度の引下げ率をフェーズデータに含めてもよい。
インターバル期繰返回数435は、出力を0とする波形ユニットの繰返回数である。
このように、1フェーズの一連の波形を波形ユニット単位で簡潔に示すことができる。また、波形ユニットの所定期間幅を1秒とすれば、繰返回数の値が運転秒数の値となり、出力波形をさらに簡潔に形成することができる。また、単に秒数を設定し設定した秒数を待っても良い。
図15は施術データテーブルの例を示す図である。施術データテーブル450は、施術データを格納するテーブルであり、施術データは少なくとも前述フェーズデータテーブルから選択された複数のフェーズデータを示す情報を含む。一例として、施術データは、施術名と、選択された複数のフェーズデータ番号を含む。すなわち、施術データは、1回の施術におけるフェーズの組合せを示すデータである。施術データテーブル450は記憶部215に記憶される。
使用者により施術切替操作が行われた場合は、選択された施術データ番号からその施術に含まれるフェーズが特定され、フェーズデータテーブルを参照して各フェーズデータ番号に対応したフェーズデータが読み出され、さらにフェーズデータに含まれる選択周期データ番号から周期データテーブルを参照して周期データが読み出され、これらに基づき出力波形が形成される。
周期データテーブル、フェーズデータテーブル及び施術データテーブルのいずれか又は複数は、格納されたデータの書き換えが可能である。周期データの各期間の出力強度の割合や波形ユニットの周期数、選択周期データ番号、繰返し回数、フェーズデータ番号などを書き換えることで、様々な波形に対応できる。
図16は周期データテーブルの周期データの一例を具体的に示す図である。
まず、波形の例を説明する。波形120は、周期Tが10msで、周波数が100Hzである。より具体的には、波形120は、低周波の連続方形波(基底波)121の立ち上がる側の上端に、低周波パルス122を重畳させたものである。低周波パルス122は、基底波121と同等の周波数を有し、パルス幅が狭く、例えば1msである。
波形120の1周期は、基底波121及び低周波パルス122の立ち上がり及び立ち下がりに応じて、第1期間〜第4期間の4つの期間に細分化できる。
第1期間及び第3期間は基底波121及び低周波パルス122が立ち上がり、高い出力強度が短い時間幅持続する期間であり、出力強度の割合は100%で、時間幅t1及びt3は1msである。第2期間及び第4期間は低周波パルス122が立ち下がり、基底波121の低い出力強度が長い時間幅持続する期間であり、出力強度の割合は80%で、時間幅t2及びt4は4msである。
周期データテーブル440は、波形120を示す周期データ(周期データ番号100)を有する。
この周期データにおいて、波形ユニットの周期数は、所定時間幅が1秒である場合、波形120の基底波の周波数が100Hzであるため、100となる。1周期の期間の数は、4である。
第1期間の出力強度の割合及び時間幅の値は100、100である。第1期間の出力強度の割合(ここでは電圧比率)は100%であり、100で示している。第1期間の時間幅は、1msであるが、後述のタイマ割込みの時間間隔が10μsである場合、100で示すことができる。第2期間〜第4期間の出力強度の割合及び時間幅は、順に80、400、−100、100、−80、400で示すことができる。
図17はフェーズの上昇期の波形ユニットの繰り返し例を示す図である。
前述のように、フェーズの上昇期では出力強度を標準出力強度まで段階的に引き上げる。このような上昇期の波形は、波形ユニットを繰り返すことで容易に形成できる。
より具体的には、例えば、12段階で出力強度を引き上げる場合は、波形ユニットを12回繰り返すことで形成できる。まず、第1回目は出力強度が標準出力強度の1/12となる波形ユニット1を生成する。次に、第2回目は出力強度が標準出力強度の2/12となる波形ユニット2を出力する。このように、出力強度を1/12ずつ上げながら12回繰り返して波形ユニット12まで生成すると、出力強度は標準出力強度に達する。波形ユニットの時間幅が1秒である場合、上昇期の時間幅は12秒となる。
標準出力強度は、初期電圧として設定され、その後出力調整操作による出力レベルの調整により定まる。例えば、標準出力強度が3Vである場合において、上昇期の引き上げ率が1/12であるとすると、最初の波形ユニット1の出力強度は0.25Vとなる。そうすると、波形ユニット1の第1期間の出力強度はその100%に相当する0.25Vとなり、第2期間はその80%に相当する0.20Vとなり、第3期間の出力強度は−0.25V、第4期間の出力強度は−0.2Vとなる。
図18〜図21は本発明の一実施形態に係る電気治療器の波形生成部が行う処理の例を示すフローチャートである。
図18に示すように、電源がONすると、波形生成部214は、変数の値を初期化するなど初期化処理を行う(S501)。開始/停止状態を示す変数startには開始前を示す0を設定する。なお、変数startには、開始/停止スイッチ211が押されると開始状態を示す1を設定し、再度開始/停止スイッチ211が押されると停止状態を示す2を設定し、更に再度開始/停止スイッチ211が押されると開始状態を示す1を設定し、電源OFFを待つ終了状態となると9を設定するようになっている。
基本的には電源オンとともに回路が初期起動を開始するが、この際D/A変換器部分に制御前の不用意な電流がながれる。これらを、断ち切るため、開始SWがオンされるまで、出力回路を遮断し、開始状態で回路を繋げることが必要である。例えば開始SWのオンと共にポートをONし、フォトカプラーなどにより回路をONすることで対処する。
波形生成部214は、終了状態であると判定する(S502)まで、待機状態にあり、繰り返し操作監視処理を行う(S503)。
図19は操作監視処理を示すフローチャートである。波形生成部214は、停止中である場合(S601のyes)において、開始/停止スイッチ211がONすると(S602のyes)、初回の運転となるかを判定する(S603)。
初回の運転となる場合(S603のyes)、波形生成部214は、初期電圧設定処理を行い(S604)、電圧レベルを表示させるなど表示処理を行う(S607)。初期電圧設定処理では、標準出力強度として初期電圧を設定する。なお、万全を期するために、初期電圧は比較的に低い電圧値であり、使用者が電圧調整部210により段階的に調整できるようになっている。
初回の運転とはならない場合(S603のno)、すなわち、停止後の運転再開の場合は、波形生成部214は、停止戻し設定処理を行い(S605)、電圧レベルを表示するなど表示処理を行う(S607)。停止後の運転再開の場合は、フェーズの最初に戻って運転を再開するが、標準出力強度は停止前の運転時の値を戻す。しかし、必ずしも戻さずに標準出力強度を例えば半分に下げたり、初期設定値に戻して再度出力調整操作を行うようにしたりしても良い。
停止中である場合(S601のyes)において、開始/停止スイッチがONしていないと(S602のno)、波形生成部214は、電圧レベルを表示するなど表示処理を行う(S607)。
停止中でない場合(S601のno)、波形生成部214は、出力電圧値メモリに格納された電圧値に基づいて、電圧調整処理を行い(S606)、電圧レベルや残り時間を表示するなど表示処理を行う(S607)。後述するように、出力電圧値メモリには、標準電圧に、波形に応じた割合と、モード(上昇期、通常期、下降期)に応じた割合とを乗じた電圧値が格納される。波形生成部214は、出力電圧値メモリの値を随時書き換えながら、格納された電圧値の電圧がD/A変換器に入力されるように制御する。
図20はタイマ割込み処理を示すフローチャートである。タイマ割込み処理の時間間隔は、例えば10μsである。タイマ割込みの時間間隔は、動作中一定となるように設定してもよいが、フェーズ毎にそれぞれ設定(例えば、周期データテーブル410の時間幅を考慮して設定)してもよい。これにより、重畳した波形の時間幅を設定しやすくすることが出来る。
波形生成部214は、停止中である場合(S701のyes)は、割込み処理を終了するが、そうでない場合(S701のno)は、割込みの数を計数するsweepカウンタの値を減らし(S702)、sweepカウンタの値が0であるかを判定する(S703)。
sweepカウンタの値が0である場合(S703のyes)は、次の期間のデータの設定を行う次期間処理を行う(S704)。sweepカウンタの値が0でない場合(S703のno)は、割込み処理を終了する。
図21は次期間処理を示すフローチャートである。なお、変数modeには、フェーズの上昇期である場合は1を設定し、通常期である場合は2を設定し、下降期である場合は3を設定し、インターバル期である場合は4を設定するようになっている。termカウンタの初期値は、図11の例では40が、図16の例では4が設定されるようになっている。また、繰返カウンタの初期値は、上昇期では12、通常期では200〜300、下降期では12、インターバル期では5が設定されるようになっている。
次期間処理では、波形生成部214は、まず、期間の数を計数するtermカウンタの値を減らし(S801)、termカウンタの値が0であるか判定する(S802)。なお、termカウンタの値が0ではないということは、一周期が終了していないことを意味する。
termカウンタの値が0でない場合(S802のno)、波形生成部214は、インターバル期の運転中であるか否かを判定する(S803)。インターバル期の運転中である場合(S803のyes)は、本フローを終了する。
インターバル期の運転中でない場合(S803のno)、波形生成部214は、次の期間のデータを設定する処理を行い(S804)、本フローを終了する。次の期間のデータを設定する処理では、波形生成部214は、周期データテーブルの「出力強度の割合」に基づいて、出力電圧値メモリに電圧値を格納し、「時間幅」に基づいてsweepカウンタ値を設定する。
termカウンタの値が0である場合(S802のyes)、波形生成部214は、波形ユニットの繰り返し回数を計数する繰返カウンタの値を減らし(S805)、上昇期の運転中であるか否かを判定する(S806)。
上昇期の運転中である場合(S806のyes)、波形生成部214は、繰返カウンタの値が0であるか否かを判定する(S807)。繰返カウンタの値が0でない場合とは、現在のモード(上昇期、通常期、下降期)の途中であることを意味する。
繰返カウンタの値が0でない場合(S807のno)、波形生成部214は、次の波形ユニットの運転設定処理(「次波形ユニット運転設定」)を行い(S808)、本フローを終了する。ここで、「次波形ユニット運転設定」処理では、波形生成部214は、周期データテーブルの「出力強度の割合」に基づいて、出力電圧値メモリに電圧値を設定し、「時間幅」に基づいてsweepカウンタ値を設定する。
具体的には、上昇期では、出力される電圧値を段階的(例えば、12段階)に上昇させるため、最初の「次波形ユニット運転設定」処理S808では、初期設定された標準の出力電圧に、周期データテーブルの「出力強度の割合」を乗じて、さらに、1/12を乗じて得られた電圧値を、出力電圧メモリに格納する。2回目の「次波形ユニット運転設定」処理S808では、1/12ではなく、2/12を乗じて得られた電圧値を、出力電圧メモリに格納する。同様に、n回目では、n/12を乗じて、出力電圧を求めて格納する。
繰返カウンタの値が0である場合(S807のyes)、波形生成部214は、通常期運転設定処理を行い(S809)、本フローを終了する。通常期運転設定処理では、波形生成部214は、通常期運転のための設定を行う。具体的には、modeを2に設定し、繰返カウンタを200〜300に設定する。また、周期データテーブルの「出力強度の割合」に基づいて、出力電圧値メモリに電圧値を設定し、「時間幅」に基づいてsweepカウンタ値を設定する。
上昇期の運転中でない場合(S806のno)、波形生成部214は、通常期の運転中であるか否かを判定する(S810)。
通常期の運転中である場合(S810のyes)、波形生成部214は、繰返カウンタの値が0であるか否かを判定し(S811)、繰返カウンタの値が0でない場合(S811のno)は、通常期の次の波形ユニットの運転設定(「次波形ユニット運転設定」)処理を行い(S812)、本フローを終了する。次の波形ユニットの運転設定処理では、周期データテーブルの「出力強度の割合」に基づいて、出力電圧値メモリに電圧値を設定し、「時間幅」に基づいてsweepカウンタ値を設定する。
繰返カウンタの値が0である場合(S811のyes)、波形生成部214は、下降期運転設定処理を行い(S813)、本フローを終了する。下降期運転設定処理では、波形生成部214は、下降期運転のための設定を行う。具体的には、modeを3に設定し、繰返カウンタを12に設定する。また、周期データテーブルの「出力強度の割合」に基づいて、出力電圧値メモリに電圧値を設定し、「時間幅」に基づいてsweepカウンタ値を設定する。
通常期の運転中でない場合(S810のno)、波形生成部214は、下降期の運転中であるか否かを判定する(S814)。
下降期の運転中である場合(S814のyes)、波形生成部214は、繰返カウンタの値が0であるか否かを判定し(S815)、繰返カウンタの値が0でない場合(S815のno)は、下降期の次の波形ユニットの運転設定(「次波形ユニット運転設定」)処理を行い(S816)、本フローを終了する。
具体的には、下降期では、出力される電圧値を段階的(例えば、12段階)に下降させるため、最初の「次波形ユニット運転設定」処理S816では、初期設定された標準の出力電圧に、周期データテーブルの「出力強度の割合」を乗じて、さらに、12/12を乗じて得られた電圧値を、出力電圧メモリに格納する。2回目の「次波形ユニット運転設定」処理S816では、12/12ではなく、11/12を乗じて得られた電圧値を、出力電圧メモリに格納する。n回目では、(12−n)/12を乗じて、出力電圧を求めて格納する。
繰返カウンタの値が0である場合(S815のyes)、波形生成部214は、すべてのフェーズが終了しているか否かを判定する(S817)。
全てのフェーズが終了していない場合(S817のno)、波形生成部214は、インターバル期運転設定処理(S818)を行う。インターバル運転設定処理では、出力電圧値メモリに電圧値0を設定し、sweepカウンタ値は上記と同様に設定する。全てのフェーズが終了している場合(S817のyes)、波形生成部214は、終了処理を行う(S819)。
下降期の運転中でない場合(S814のno)は、インターバル期運転中であり、波形生成部214は、繰返カウンタの値が0であるか否かを判定する(S820)。繰返カウンタの値が0でない場合(S820のno)、波形生成部214は、次のインターバル運転設定処理を行う(S821)。繰返カウンタの値が0である場合(S820のyes)、波形生成部214は、次のフェーズの運転設定処理を行う(S822)。
(他の例)
例えば、本発明に係る波形は、波形の周期における立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一部が、緩慢に立ち上がる又は立ち下がるものでよい。一例として、上記では基底波の上端に方形波のパルス波を重畳させた例を説明したが、基底波に緩慢な立ち上がり(階段状の立ち上がり)及び緩慢な立ち下がり(階段状の立ち下がり)の一方を有する鋸波のような高周波、または双方を有する三角波のような高周波を重畳させてもよい。
この場合、1周期の波形における少なくとも一部の期間の出力強度が漸増又は漸減するが、このような波形でも上記周期データに基づいて対応できる。波形生成部214は、上記周期データにおける、当該期間の出力強度の割合を示す情報及び当該期間の直前の期間の出力強度の割合を示す情報に基づいて、または/及び、当該期間の出力強度の割合を示す情報及び当該期間の直後の期間の出力強度の割合を示す情報に基づいて、当該期間の時間幅を示す情報に応じて(例えば割込み毎に)、当該期間の出力強度の割合を変動させることができる。
例えば、第2期間に対して、周期データにおける第2期間の出力強度の割合を示す値が55で、直後の第3期間の出力強度の割合を示す値が100である場合、第2期間の時間幅を示す値10に応じて、割込み時間間隔で、出力強度の割合を均一な幅で漸増させて、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100のように変動させて波形を形成してもよい(指数関数的な変動などでもよい)。直後の期間の出力強度の割合が当該期間の出力強度の割合より小さい場合は、上記の方法で漸減させればよい。
このように重畳高周波の立ち上がりまたは立ち下がりを緩慢にすることで、刺激が穏やかなより滑らかな出力変化が得られる。
図22は本発明の一実施形態に係る電気治療器の出力波形の一例を示す図である。図示は、基底波151の上端に階段状の立ち上がり及び階段状の立ち下がりを有する、三角波のような高周波152を重畳させた波形150の例である。
例えば、第3期間に対して、周期データにおける第3期間の出力強度の割合を示す値が90で、直前の第2期間の出力強度の割合を示す値が80である場合、周期データの第3期間の時間幅を示す値10に応じて、立ち上がりに期間の時間幅の8/10(割込み8回分)を用いて割込み毎に出力強度の割合を83、84、85、86、87、88、89、90のように漸増させてから、残りの期間の時間幅の2/10(割込み2回分)で出力強度の割合90を保つようにして、出力強度の割合を変動させた波形を形成してもよい。
このように、重畳パルス波の立ち上がりまたは立ち下がりを緩慢にした波形は、フェーズの上昇期、通常期、下降期のいずれかまたは2以上で形成されてよい。
図23は本発明の一実施形態に係る電気治療器の出力波形の一例を示す図である。上記例は、主に合成波の周期が基底波の周期と一致する例であるが、これに限らず、異なってもよい。
図示のように、波形160は、低周波の方形波である基底波161に高周波パルス162を重畳させたものである。波形160では、2周期の基底波161に対して、周期的に高周波パルス162を重畳させており、波形160の周期は基底波161の2周期分に相当する。高周波パルス162は、パルス周期がBであるパルス群が、基底波161の2周期に相当する変動周期で振幅変動するものである。
波形160において、重畳したパルス波162の振幅は周期的に変動している。なお、ここにおける「振幅」は高周波パルス162のパルス幅ないしパルス幅に相当する部分の振幅をいう。重畳パルス波162の振幅の変動周期は、基底波161の周期より大きく、ここでは、2倍である。重畳した高周波パルス612の振幅を連ねると図示のような曲線(破線で示す曲線)が得られる。波形160は、低周波の基底波に高周波パルスを合成し、さらに、基底波の周期よりも大きい時間幅の変動周期(ここでは2倍)で変動する振幅変動により、三種類の刺激が得られる。
波形160において、高周波パルス162は、基底波161の第1周期では正方向に重畳し、基底波161の第2周期では負方向に重畳する。より具体的には、基底波161の第1周期では、基底波161の正方向のパルス幅では基底波の上端を下端に正方向に重畳し(例えば、波形部分1601)、負方向のパルス幅では基底波の上端を下端に正方向に重畳し(例えば、波形部分1602)、それ以外では基準線を下端に正方向に重畳する(例えば、波形部分1603)。基底波161の第2周期では、基底波161の正方向のパルス幅では基底波の上端を下端に負方向に重畳し(例えば、波形部分1604)、負方向のパルス幅では基底波の上端を下端に負方向に重畳し(例えば、波形部分1605)、それ以外では基準線を下端に負方向に重畳する(例えば、波形部分1606)。波形160は、このように、基底波161の上端に高周波パルス162を重畳させたものである。
波形160は、上記の周期データに基づいて形成できる。波形160の1周期は基底波161の2周期に相当し、図示の波形は波形160の1周期の波形である。この1周期を基底波161及び高周波パルス162の立ち上がり及び立ち下がりに応じて複数の期間に細分化する。そうすると、複数の期間それぞれの、波形の周期の最上端の出力強度に対する当該期間の出力強度の割合、及び当該期間の時間幅で、1周期分の波形160を示すことができる。なお、ここでは、上記例と異なり、例えば、波形部分1602の期間kでは、出力強度の割合の値が正の値であるが、その次の期間の出力強度の割合は負の値となる。
なお、図示の波形160は、重畳高周波パルスの振幅変動周期が基底波の周期の2倍に相当する例であるが、基底波の周期の3倍に相当するものなど、基底波の周期とずらして干渉波のような波形を形成してもよい。このような波形でも、本発明の電気治療器により、簡易に形成できる。
また、波形160は、重畳高周波パルスの振幅変動周期が基底波の周期より小さく、基底波の周期の2/3倍に相当するものでもよい。言い換えれば、基底波3周期分に対して、重畳した高周波パルスの振幅変動周期が2周期となるような波形でもよい。この場合は、合成波の波形160の1周期が基底波6周期分に相当すると考えられるので、これに対応して1周期を複数の期間に細分化することになる。
従来の干渉波型の治療では複数対の電極を使用しているが、本発明の電気治療器によれば簡易に一対の電極で実現できる。
図24〜図27に、サイクルデータと(周期データ)、サイクルデータで作成しようとする波形のイメージ、実際に作成して出力されたオシロスコープ波形を示す。上記実施形態の方法により、作成しようとした波形とほぼ同様の波形が出力できた。
以上、本発明に係る電気治療器の実施形態について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明には、以上の各実施形態やその変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。