JP6912335B2 - 捺染方法 - Google Patents

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本発明は、被捺染材料の捺染方法に関する。詳しくは、熱拡散性染料および/または熱昇華性染料を有するインクによって画像を印刷した捺染紙から被捺染材料へ染料を転写させて被捺染材料を捺染する方法に関する。
画像を形成した転写紙を布帛等と加熱・圧着し、画像を形成する染料を布帛等へ転写する捺染方法が公知である(例えば、特許文献1〜3参照)。
熱拡散性染料および/または熱昇華性染料としては、シルク、ナイロン等のポリアミド系繊維に用いる酸性染料;ポリエステル系繊維に用いる分散染料;綿、レーヨン等のセルロース系繊維に用いる反応性染料(反応染料);等が知られている。
特開平06−128881号公報 特開平10−058638号公報 特開2000−015926号公報
特許文献1〜3の転写紙を用いる捺染方法は、比較的厚みのある生地あるいはタオルに代表されるシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地を被捺染材料に採用した場合、捺染ムラの発生や捺染色濃度の低下といった不具合を有することがあった。このために、これら捺染方法では、比較的厚みのある生地あるいはシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地を被捺染材料に採用した場合、商品として使用でき得るような被捺染物を安定して得ることが困難であった。
本発明の課題は、繊維材料や皮革材料などの被捺染材料、特に、比較的厚みのある生地あるいはシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地の被捺染材料に対して、捺染ムラの発生や捺染色濃度の低下を抑制することができ、生産性に優れる捺染方法を提供することである。
本発明の上記の課題は、下記本発明によって解決できる。
(1)無機顔料、水溶性合成樹脂および天然樹脂を少なくとも含有する塗工層を紙支持体上に有する捺染用紙に熱拡散性染料および/または熱昇華性染料を有するインクで画像を印刷して捺染紙を得る工程、被捺染材料に水分を付与した後に該被捺染材料と前記捺染紙とを密着させて加熱・圧着して染料を捺染紙から被捺染材料へ転写させる工程、被捺染材料から捺染紙を除去する工程、および被捺染材料に転写した染料を固着処理する工程、をこの順序で有する被捺染材料の捺染方法。
(2)被捺染材料と捺染紙とを加熱・圧着する温度が180℃以上220℃以下であり、加熱・圧着する時間が1秒以下である前記(1)に記載の被捺染材料の捺染方法。
(3)被捺染材料への水分付与が、水分付与後の被捺染材料の含水率として、被捺染材料に対して10質量%以上30質量%以下である前記(1)または前記(2)に記載の被捺染材料の捺染方法。
本発明により、比較的厚みのある生地あるいはシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地の被捺染材料に対して、捺染ムラの発生や捺染色濃度の低下を抑制することができ、生産性に優れる捺染方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、「捺染用紙」とは、捺染方法に用いられ、転写する画像が印刷される前の白紙状態にある紙をいう。「捺染紙」とは、捺染用紙に対して転写する画像が印刷された状態にある紙をいう。
本発明の捺染用紙は、紙支持体上に塗工層塗工液を塗工・乾燥して塗工層を設けることによって得ることができる。塗工層を設ける方法は、例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置および乾燥装置を用いて塗工層塗工液を紙支持体上に塗工・乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーターなどを挙げることができる。さらに、塗工層を設ける工程として、平版印刷方式、凸版印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式、ホットメルト印刷方式等の各種印刷方法を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアーループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置などを挙げることができる。
本発明の紙支持体は、通常は、LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ、Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ、Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ、Groundwood Pulp)、PGW(加圧式破木パルプ、Pressure Groundwood Pulp)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ、Refiner Mechanical Pulp)、TMP(サーモメカニカルパルプ、ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ、ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ケミメカニカルパルプ、ChemiMechanical Pulp)、CGP(ケミグランドパルプ、ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、またはDIP(脱墨パルプ、DeInked Pulp)などの古紙パルプに、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、さらに、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン性樹脂や多価陽イオン塩などのカチオン化剤、紙力剤などの各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を、酸性、中性またはアルカリ性に調整して抄造した原紙である。前記紙料中には、その他の添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの1種または2種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。
また、本発明の紙支持体には、原紙に澱粉やポリビニルアルコールなどの表面サイズ剤によってサイズプレス処理を施した上質紙等の基紙、原紙または基紙に下塗り層を設けた下塗り原紙または下塗り基紙、原紙もしくは基紙または下塗り原紙もしくは下塗り基紙に塗工層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙などを含む。紙支持体の坪量は特に限定されない。捺染に対する取扱易さの点から、10g/m以上100g/m以下が好ましく、40g/m以上80g/m以下がさらに好ましい。また、捺染用紙の厚さは特に限定されない。捺染に対する取扱易さの点から、捺染用紙の厚さは0.01mm以上0.5mm以下が好ましく、0.05mm以上0.3mm以下がさらに好ましい。
本発明の塗工層は、紙支持体上へ塗工層塗工液を塗工・乾燥することによって、紙支持体表面に設けられる。塗工層とは、塗工層の成分によって電子顕微鏡観察により紙支持体と区別できる明確な領域である。本発明の塗工層は、捺染用紙に印刷されるインクを保持するための受容層としての機能、捺染紙が被捺染材料に密着され加熱・圧着されたときに捺染紙が被捺染材料に接着するための接着剤層としての機能、および被捺染材料から捺染紙を剥離するための離型層としての機能を有する層である。塗工層の塗工量は、特に限定されないが、捺染用紙の製造コストや被捺染材料に対する密着性の点から、乾燥固形分量で5g/m以上70g/m以下が好ましく、15g/m以上30g/m以下がさらに好ましい。
上記機能を有する塗工層としては、無機顔料、水溶性合成樹脂および天然樹脂を含有するものである。
無機顔料は、製紙分野で従来公知の無機顔料であって、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどを挙げることができる。無機顔料は、これらから成る群から選ばれる1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの中で無機顔料は、カオリン、タルク、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ等のケイ素やアルミニウムを含有する無機顔料から成る群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。珪酸アルミニウム、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナから成る群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
水溶性合成樹脂は、水溶性を有し、加熱により強い被膜形成性を有し、加湿状態では接着力が低下するものである。本発明において、「水溶性」とは、最終的に20℃の水に1質量%以上、溶解あるいは分散することができることを指す。このような水溶性合成樹脂は、バインダーや結着剤として製紙分野で従来公知の水溶性合成樹脂であって、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性アクリル系樹脂、水溶性スチレンアクリル酸系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸系樹脂、水溶性スチレンアクリルマレイン酸系樹脂、水溶性ウレタン系樹脂、水溶性ウレタン変性エーテル系樹脂、水溶性ポリエステルウレタン系樹脂、水溶性ポリエーテルウレタン系樹脂、水溶性ポリエチレンオキサイド系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、水溶性酢酸ビニル系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリビニルアセタール系樹脂等を挙げることができる。水溶性合成樹脂は、これらから成る群から選ばれる1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの中で水溶性合成樹脂は、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性アクリル系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂および水溶性ポリエーテルウレタン系樹脂から成る群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
天然樹脂は、通常は、天然に産出する樹脂の原料をそのまま、または物理的もしくは化学的に加工して得られるものである。また天然樹脂は、接着力を示すが、加熱により接着力が上昇することがなく、親水性のものである。また、天然樹脂は、染料との相溶性が高く、染料を均一に吸収および保持するものである。このような天然樹脂は、例えば、動物由来の樹脂と植物由来の樹脂とに分類することができる。動物由来の樹脂としては、例えば、カゼイン、ゼラチンおよびタンパク質等を挙げることができる。植物由来の樹脂としては、澱粉やセルロース、およびこれらを出発原料として加工された各種変性澱粉やカルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。植物由来の樹脂は、より具体的には、例えば、エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガムおよびアカシアアラビアガム等の天然ガム類;カルボキシメチルセルロース、エーテル化カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;澱粉、グリコーゲン、デキストリン、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉誘導体;アルギン酸ソーダや寒天等を挙げることができる。天然樹脂は、これらから成る群から選ばれる1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの中で天然樹脂は、天然ガム類、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、アルギン酸ソーダから成る群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
塗工層中における無機顔料、水溶性合成樹脂および天然樹脂の含有質量比は、乾燥固形分量で、無機顔料100質量部に対して、水溶性合成樹脂が50質量部以上1750質量部以下および天然樹脂が25質量部以上500質量部以下の範囲が好ましい。前記含有質量比の範囲であることによって、捺染紙が被捺染材料から一層良好に剥がれ易くなるか、または捺染ムラの発生が抑えることができる。
塗工層は、塗工層塗工液の各種物性を最適化し、転写される染料の染着性を向上させるなどのために、捺染紙を用いる捺染方法で従来公知の助剤を含有することができる。助剤としては、例えば、各種界面活性剤、増粘剤、保湿剤、湿潤剤、pH調整剤、アルカリ剤、濃染化剤、防腐剤、防バイ剤、消泡剤、脱気剤および還元防止剤等を挙げることができる。
本発明の「捺染用紙に熱拡散性染料および/または熱昇華性染料を有するインクで画像を印刷して捺染紙を得る工程」は、熱拡散性染料および/または熱昇華性染料を有するインクを用いる従来公知の印刷手段によって捺染用紙上に画像を形成する工程である。熱拡散性染料および/または熱昇華性染料は捺染分野で従来公知のものであり、例としては、反応染料、酸性染料、金属錯塩型染料、直接染料、分散染料、カチオン染料などを挙げることができる。
熱拡散性染料および/または熱昇華性染料を有するインクは、染料を染料溶解剤または分散剤等により溶解または分散させたものである。染料溶解剤の例としては、水、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ε−カプロラクタムを挙げることができる。インクは、さらに、必要に応じて乾燥防止剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、防バイ剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤、脱気剤等を含有することができる。
印刷手段は特に限定されない。印刷手段の例としては、スクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、フレキソ印刷方式、電子写真記録方式、インクジェット記録方式などを挙げることができる。中でも、印刷機のコストと印刷画質とからインクジェット記録方式が好ましい。
本発明の「被捺染材料に水分を付与した後に該被捺染材料と前記捺染紙とを密着させて加熱・圧着して染料を捺染紙から被捺染材料へ転写させる工程」は、被捺染材料に水分を付与し、水分が付与された被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着することによって捺染紙から被捺染材料へ染料を転写させる工程である。
被捺染材料に水分を付与する方法は特に限定されない。例えば、従来公知の方法であって、水を満たした容器に被捺染材料を浸漬した後にローラーニップ等で圧搾する方法、スプレーやローターダンプニングといった噴霧装置で被捺染材料に噴霧する方法、蒸気をノズル等から噴出させて被捺染材料に供給する方法などを挙げることができる。
シャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地の被捺染材料は、人間の触覚によって乾燥していると感じる場合、常温常湿状態で含水率6質量%以下である。本発明の「水分を付与」とは、水分付与後の被捺染材料の含水率として6質量%超に高めることである。被捺染材料への水分付与は、水分付与後の被捺染材料の含水率として、被捺染材料に対して10質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。この理由は、捺染ムラの発生および捺染色濃度の低下の少なくともいずれかをより抑制することができるからである。また、被捺染材料に形成される画像の捺染色濃度を均一にするためには、可能な限り均一に水を被捺染材料に付与することが好ましい。
被捺染材料へ付与する水分には、必要に応じて、各種添加剤を含有させることができる。例えば、アルカリ剤、尿素、親水性増粘物質、染着向上剤、およびマイグレーション防止剤等を挙げることができる。
被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着する方法は、捺染紙を用いる捺染方法で従来公知の方法である。例えば、圧着機、加熱ローラーおよび加熱ドラムなどにより捺染紙と被捺染材料とを密着させて加熱・加圧する方法を挙げることができる。
被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着する方法は、(1)捺染紙と被捺染材料とを十分に密着させる、(2)捺染紙から被捺染材料へ染料を良好に転写させる、(3)滲みが発生しない程度まで被捺染材料の水分を気化させる、ということが達成される条件であればよく、特に限定されない。加熱・圧着の線圧は10kg/cm以上200kg/cm以下が好ましい。加熱・圧着する温度は120℃以上240℃以下が好ましく、特に、比較的厚みのある生地あるいはシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地の被捺染材料に対して加熱・圧着の温度は180℃以上220℃以下が好ましい。また、加熱・圧着の時間は3秒以下が好ましく、特に、比較的厚みのある生地あるいはシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地の被捺染材料に対して加熱・圧着の時間は1秒以下が好ましく、0.3秒以上1秒以下がより好ましい。これらの理由は、捺染ムラの発生および捺染色濃度の低下の少なくともいずれかが一層抑制されるからである。
本発明の「被捺染材料から捺染紙を除去する工程」は、被捺染材料から捺染紙を物理的に剥離する工程である。除去する方法は特に限定されない。除去する方法は、捺染分野で従来公知の方法である。「被捺染材料から捺染紙を除去する工程」では、被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着する工程の乾燥加熱によって被捺染材料と捺染紙とが除去し易くなる。除去が困難な場合は、除去前の捺染紙に、改めて幾分水分を付与することが好ましい。
本発明の「被捺染材料に転写した染料を固着処理する工程」は、被捺染材料に転写した染料を固着させる処理であり、捺染分野で従来公知の染料の固着処理を行う工程である。固着処理は、反応染料等を用いる捺染で通常行われているスチームによる加熱のほか、加湿や水分の付与等を行った状態で加熱する方法等を挙げることができる。また、被捺染材料がポリエステル繊維や合成繊維の場合は、乾燥加熱する方法を採用しても構わない。
固着処理の条件は、捺染分野で従来公知のスチーミング等による染料の固着条件をそのまま用いることができる。例えば、100℃以上220℃以下の蒸気によって被捺染材料の捺染紙が密着されていた側からのスチーミングという条件を適用することができる。また、染料が反応染料の場合、1相スチーム固着法による、100℃以上105℃以下、5分以上20分以下のスチーミングという条件を適用することができる。また、2相法(例えば、コールドフィックス法等)によるスチーミングと同様な条件を適用することができる。染料が酸性染料の場合、100℃以上105℃以下、10分以上60分以下のスチーミングという条件を適用することができる。染料が分散染料の場合、160℃以上220℃以下、1分以上15分以下のHTスチーミングまたは乾燥加熱処理という条件を適用することができる。
固着処理後の被捺染材料は、水洗またはソーピングなど捺染分野で従来公知の洗浄処理を施すことができる。例えば、分散染料の場合は水洗・還元洗浄・水洗という手順であり、他の場合は水洗・ソーピング・水洗という手順である。水洗処理を施すことによって、風合いが良好で繊細、濃厚な画像を有する被捺染材料を得ることができる。
被捺染材料は、繊維材料または皮革材料であるが、これらに限定されない。繊維材料は天然繊維材料および合成繊維材料のいずれでも構わない。天然繊維材料の例としては、綿、麻、リヨセル、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維材料、絹、羊毛、獣毛等の蛋白質系繊維材料を挙げることができる。合成繊維材料の例としては、ポリアミド繊維(ナイロン)、ビニロン、ポリエスエル、ポリアクリル等を挙げることができる。皮革材料の例としては、牛、水牛、豚、馬、羊、山羊、カンガルー、鹿、豹、兎、狐、ラクダ等の天然皮革、さらに公知の製革/なめし工程を経て乾燥した加工皮革を挙げることができる。また、本発明において、繊維材料または皮革材料の構成は、織物、編物、不織布、皮革等の単独、混紡、混繊または交織などを挙げることができる。さらに複合化されていても構わない。本発明の効果が顕著に認められることから、被捺染材料は、比較的厚みのある生地あるいはシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地が好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。ここで「部」および「%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」および「質量%」を表す。また、塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
参考例1
<塗工層塗工液の調製>
シリカ(ミズカシルP−78A、水澤化学工業社製)50部、珪酸アルミニウム(キョーワード700SN、協和化学工業社製)50部、水溶性ポリエステル系樹脂(ペスレジンA−684G、高松油脂社製)400部、ポリビニルアルコール(PVA217、クラレ社製)50部、加工澱粉(ニッカガム3A、日華化学社製)200部、尿素200部、界面活性剤(MAC−100S、北広ケミカル社製)15部、炭酸ナトリウム200部を、水800部に加えて撹拌機でよく撹拌し、塗工層塗工液を調製した。
<捺染用紙の調製>
紙支持体として、坪量77g/mの厚さ95μmの上質紙を用いた。この紙支持体の一方の表面へ上記塗工層塗工液を、エアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥した。このとき、塗工層の塗工量は20g/mとした。
<捺染紙の調製>
反応染料インク液(C.I.Reactive Blue 19 15%、ポリエチレングリコール5%、グリセリン5%、ε−カプロラクタム5%、イオン交換水70%)、反応染料インク液(C.I.Reactive Red 226 10%、ポリエチレングリコール5%、グリセリン5%、ε−カプロラクタム5%、イオン交換水75%)、反応染料インク液(C.I.Reactive Yellow 95 15%、ポリエチレングリコール5%、グリセリン5%、ε−カプロラクタム5%、イオン交換水70%)、および反応染料インク液(C.I.Reactive Black 5 15%、ポリエチレングリコール3%、グリセリン7%、ε−カプロラクタム5%、イオン交換水70%)、をインクとしてインクジェットプリンター(JV4、ミマキ社製)に搭載し、該インクジェットプリンターで捺染用紙(ロール紙)の塗工層を設けた側に評価画像を印刷し、捺染紙(ロール紙)を得た。
<捺染>
捺染は23℃、50%RHの環境下で実施した。被捺染材料としてシャーリング地の綿製のタオルを用いた。水を張ったバットにタオルを浸漬、湿潤させた後、ローラーニップに通し水を圧搾した。圧搾後のタオルの含水率は35%であった。前記水分を付与したタオルと捺染紙とを密着させて加熱・圧着(温度160℃、線圧100kg/cm、ローラーの回転速度0.7m/min、圧着時間3秒、ローラー型)し、染料を転写した。次に、捺染紙をタオルから剥離した。捺染紙を剥離した後、100℃で15分間スチーミングによって染料の固着処理を行い、タオルを捺染した。次に、タオルを常法により水洗、ソーピング、水洗、乾燥した。
[参考例2
参考例1において、タオルと捺染紙とを加熱・圧着する温度を185℃とした以外は参考例1と同様に行い、参考例2とした。
参考例3
参考例2において、加熱・圧着時のローラーの回転速度を2.1m/min(圧着時間1秒)とした以外は参考例2と同様に行い、参考例3とした。
参考例4
参考例3において、水を張ったバットにタオルを浸漬、湿潤、圧搾する方法に換えてタオルが捺染紙と接触する面側にスプレーを用いて水を噴霧し、含水率を35%に調整した以外は参考例3と同様に行い、参考例4とした。
実施例1
参考例4において、タオルの含水率を20%に調整した以外は参考例4と同様に行い、実施例1とした。
実施例2
実施例1において、タオルの含水率を14%に調整した以外は実施例1と同様に行い、実施例2とした。
実施例3
実施例2において、タオルと捺染紙とを加熱・圧着する温度を200℃とした以外は実施例2と同様に行い、実施例3とした。
参考例5
実施例2において、タオルと捺染紙とを加熱・圧着する温度を225℃とした以外は実施例2と同様に行い、参考例5とした。
実施例4
実施例3において、タオルの含水率を10%に調整した以外は実施例3と同様に行い、実施例4とした。
実施例5
実施例3において、加熱・圧着時のローラーの回転速度を4m/min(圧着時間0.53秒)とした以外は実施例3と同様に行い、実施例5とした。
実施例6
実施例3において、加熱・圧着時のローラーの回転速度を8m/min(圧着時間0.26秒)とした以外は実施例3と同様に行い、実施例6とした。
[比較例1]
参考例1において、タオルに水分を付与しない以外は参考例1と同様に行い、比較例1とした。タオルの含水率は6%であった。
[比較例2]
実施例3において、タオルに水分を付与しない以外は実施例3と同様に行い、比較例2とした。タオルの含水率は6%であった。
各実施例および各比較例により得られた捺染されたタオルについて、捺染ムラおよび捺染色濃度を評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006912335
<捺染ムラの評価>
捺染されたタオルの4色各ベタ部の捺染ムラを観察し、捺染ムラの発生の程度を官能評価した。本発明において、評価がA〜Cであれば捺染ムラが抑制されているものとする。
A:良好である。
B:上記Aより劣るが、概ね良好である。
C:上記Bより劣るが、実用上問題無い。
D:捺染ムラが認められ、実用上問題となる。
<捺染色濃度の評価>
捺染されたタオルの4色各ベタ部の捺染色濃度を観察し、捺染色濃度を官能評価した。本発明において、評価A〜Cであれば捺染色濃度の低下が抑制されているものとする。
A:良好である。
B:上記Aより劣るが、概ね良好である。
C:上記Bより劣るが、実用上問題無い。
D:捺染色濃度が不十分であり、実用上問題となる。
表1から明らかなように、「被捺染材料に水分を付与した後に該被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着して染料を捺染紙から被捺染材料へ転写させる工程」を有する本発明の捺染方法である各実施例では、捺染ムラの発生や捺染色濃度の低下が抑制された被捺染材料を得ることができると分かる。
一方、「被捺染材料に水分を付与した後に該被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着して染料を捺染紙から被捺染材料へ転写させる工程」を有しない捺染方法である各比較例では、捺染ムラの発生や捺染色濃度の低下が抑制された被捺染材料を得ることができないと分かる。
また、加熱・圧着時の温度に関して、主に、160℃である参考例1と185℃である参考例2との対比および185℃である実施例2、200℃である実施例3および225℃である参考例5の対比から、加熱・圧着する温度は、180℃以上220℃以下の範囲が好ましいと分かる。
また、加熱・圧着時の時間に関して、主に、3秒である参考例2、1秒である参考例3、1秒である実施例3、0.53秒である実施例5および0.26秒である実施例6の対比から加熱・圧着する時間は、1秒以下の範囲が好ましいと分かる。
また、被捺染材料への水分付与に関して、主に、含水率が35%である参考例4、含水率が20%である実施例1、含水率が14%である実施例2並びに含水率が14%である実施例3と含水率が10%である実施例4の対比から、「被捺染材料に水分を付与した後に該被捺染材料と捺染紙とを密着させて加熱・圧着して染料を捺染紙から被捺染材料へ転写させる工程」において被捺染材料への水分付与は、水分付与後の被捺染材料の含水率として、被捺染材料に対して10%以上30%以下の範囲が好ましいと分かる。
また、本発明は、タオルやカーペット等に認められるシャーリング地やパイル地などの比較的毛足の長い生地である被捺染材料に特に有効である。
本発明は、「被捺染材料から捺染紙を除去する工程」および「被捺染材料に転写した染料を固着処理する工程」をこの順序で有する被捺染材料の捺染方法であるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、「被捺染材料から捺染紙を除去する工程」と「被捺染材料に転写した染料を固着処理する工程」との順序を入れ替ることができる。

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  1. 無機顔料、水溶性合成樹脂および天然樹脂を少なくとも含有する塗工層を紙支持体上に有する捺染用紙に熱拡散性染料および/または熱昇華性染料を有するインクで画像を印刷して捺染紙を得る工程、被捺染材料に水分を付与した後に該被捺染材料と前記捺染紙とを密着させて加熱・圧着して染料を捺染紙から被捺染材料へ転写させる工程、被捺染材料から捺染紙を除去する工程、および被捺染材料に転写した染料を固着処理する工程、をこの順序で有し、前記被捺染材料と前記捺染紙とを加熱・圧着する温度が180℃以上220℃以下で、加熱・圧着する時間が1秒以下であり、水分を付与した後の被捺染材料の含水率が、被捺染材料に対して10質量%以上30質量%以下である被捺染材料の捺染方法。
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