図1ないし図11に本発明を適用したカメラ(電子機器、撮像装置)1のカメラ本体10を示す。カメラ1はレンズ交換式の一眼レフカメラであり、カメラ本体10に対して不図示の交換レンズ(レンズ鏡筒)を着脱することができる。図11に示す「O」は、交換レンズの光学系を通してカメラ本体10に入る光束の光軸である。以下の説明における前後、上下、左右の各方向は図中に矢線で示す方向に対応しており、前方が被写体側となる。通常の撮影姿勢ではカメラ1の後方に撮影者が位置し、上下方向や左右方向は、カメラ本体10を略水平に構えた状態で撮影者から見た方向に対応したものとなる。
図11に示すように、カメラ本体10の前面には、交換レンズを着脱するマウント部11が設けられている。マウント部11の後方のカメラ本体10の内部には、ミラーヒンジ12xを中心として回動可能なクイックリターンミラー12が設けられている。クイックリターンミラー12は、図示を省略するミラー駆動機構によって、カメラ本体10内の撮影光路上に斜設されたミラーダウン位置(図11に示す位置)と、撮影光路から上方に退避したミラーアップ位置の間で回動する。
クイックリターンミラー12がミラーダウン位置にあるときは、マウント部11に取り付けた交換レンズの光学系を通った被写体光がクイックリターンミラー12によって上方に反射されてファインダ光学系に導かれる。図11に示すように、ファインダ光学系は、クイックリターンミラー12の上方に位置するペンタプリズム13と、ペンタプリズム13の後方に位置する接眼レンズ系14と、接眼レンズ系14の後方に位置する接眼窓15を有しており、クイックリターンミラー12がミラーダウン位置にある状態では接眼窓15を通して被写体像を光学的に観察することができる。カメラ本体10の内部にはさらに、クイックリターンミラー12の後方に撮像素子16が設けられている。クイックリターンミラー12がミラーアップ位置に回動すると、光軸Oに沿って入射する被写体光を撮像素子16によって受光することが可能になる。クイックリターンミラー12と撮像素子16の間には図示を省略するシャッタ(フォーカルプレーンシャッタ)が配されており、シャッタを開くことで被写体光が撮像素子16の受光面に達する。撮像素子16で受光した被写体光は光電変換され、画像生成回路によって電子的な画像データに変換される。画像生成回路などを搭載した回路基板17がカメラ本体10内に設けられている。
カメラ本体10の後面側には、接眼窓15の右側に操作ダイヤル50が設けられ、操作ダイヤル50の下方に複数の操作ボタン51が設けられ、接眼窓15の左側にも複数の操作ボタン52が設けられている。操作ダイヤル50は上下方向に向く軸を中心に回転操作可能であり、各操作ボタン51と各操作ボタン52は押し込み操作可能である。操作ダイヤル50と各操作ボタン51と各操作ボタン52を用いてカメラ1に関する各種設定や機能選択を実行することができる。その具体的な設定や機能は周知のものであるから説明を省略するが、一例として、操作ダイヤル50の回転によって絞り値やシャッタ速度を設定することが可能である。カメラ本体10は他にも上面側などに各種の操作ダイヤルや操作ボタンを備えているが、それらについての説明は省略する。
カメラ本体10の後面側にはさらに可動モニタ(表示部)20が設けられている。可動モニタ20は、接眼窓15と複数の操作ボタン52の下方、複数の操作ボタン51の左方に位置しており、可動モニタ20の右斜め上に操作ダイヤル50が位置する。可動モニタ20は液晶ディスプレイ(LCD)などの表示デバイス(表示画面)21を備えている。可動モニタ20は光軸Oの延長上に位置しており、より詳しくは、可動モニタ20の外形中心が概ね光軸Oを延長した仮想線O’(図11)上に位置している。回路基板17と表示デバイス21を接続するフレキシブル基板18(図11)によってカメラ本体10と可動モニタ20の間で信号の通信が行われ、撮像素子16を介して得られた画像データに基づく被写体画像や、画像以外の各種情報などを表示デバイス21に表示することができる。可動モニタ20はカメラ本体10に対して可動に支持されており、表示デバイス21の向きや位置を変化させることが可能である。以下、可動モニタ20の支持機構とその動作を説明する。なお、以下の説明における可動モニタ20に関する方向は、特段の言及がない限り、可動モニタ20が図1に示す初期位置(カメラ本体10に対する傾動や引き出し動作を行っていない状態)にあるときの方向を述べているものとする。
表示デバイス21は支持枠22に対して固定的に支持されている。表示デバイス21はカメラ1の後面側に向く略矩形の表示画面を有しており、支持枠22は矩形の表示デバイス21の周囲の4辺を囲む上辺部22a、下辺部22b、左辺部22c、右辺部22dを有している。表示デバイス21は左右方向に長い横長形状(横長の長方形)をなしており、表示デバイス21の形状に対応して支持枠22では、上辺部22aと下辺部22bが一対の長辺を構成し、左辺部22cと右辺部22dが一対の短辺を構成している。
支持枠22は金属製のベースプレート23により支持されている。支持枠22はベースプレート23に対して、上辺部22aの背後(前方)に位置するチルト軸22x(図2、図4、図11)を中心として回動可能である。チルト軸22xの軸線は左右方向に延びており、支持枠22は、チルト軸22xを中心とする回動によって上下方向に向きを変化させることができる(図5、図6参照)。
ベースプレート23には左右方向に位置を異ならせて2つの貫通孔23aが形成されている(図6に右側の貫通孔23aのみが見えており、左側の貫通孔23aは図示されていない)。またベースプレート23の周縁には、支持枠22の下辺部22b、左辺部22c及び右辺部22dに嵌る形状のフランジ23b,23c及び23dが形成されている。
カメラ本体10の後面側には、可動モニタ20を収容可能なモニタ収容部30が形成されている。モニタ収容部30は、可動モニタ20の略矩形の外形形状に対応する(略矩形の可動モニタ20が収まる)略矩形の凹部であり、それぞれがフランジ状に後方へ突出する上縁壁30a、下縁壁30b、左縁壁30c及び右縁壁30dによってモニタ収容部30が囲まれている。モニタ収容部30の底部には、略矩形のモニタ収容部30の対角線に沿う方向に放射状に延びる長溝である4つのガイド溝31が形成されている。より詳しくは、上縁壁30aと左縁壁30cの境界(角部)付近からモニタ収容部30の中心(仮想線O’)方向に延びる左上側のガイド溝31と、下縁壁30bと左縁壁30cの境界(角部)付近からモニタ収容部30の中心(仮想線O’)方向に延びる左下側のガイド溝31と、上縁壁30aと右縁壁30dの境界(角部)付近からモニタ収容部30の中心(仮想線O’)方向に延びる右上側のガイド溝31と、下縁壁30bと右縁壁30dの境界(角部)付近からモニタ収容部30の中心(仮想線O’)方向に延びる右下側のガイド溝31を備える。各ガイド溝31のうち、モニタ収容部30の中心に近い側の端部を内側端部と呼び、モニタ収容部30の中心から遠い側の端部を外側端部と呼ぶ。4つのガイド溝31の内側端部は仮想線O’を囲むように配置されている。モニタ収容部30の底部にはさらに、左右方向に位置を異ならせて2つの位置決め突起32が形成されている。各位置決め突起32はベースプレート23に形成した貫通孔23aに挿入可能である。各位置決め突起32内には磁石が設けられている。
モニタ収容部30を囲む上縁壁30a、下縁壁30b、左縁壁30c及び右縁壁30dはそれぞれ、モニタ収容部30の底部から後方へ向けての突出量が均一ではなく、途中部分に後方への突出量を小さくした凹部30e,30f,30g及び30hを有している。凹部30eは上縁壁30aの左右方向の中央部分に形成されており、凹部30eを形成することで上縁壁30aを接眼窓15と干渉させないようになっている。凹部30fは下縁壁30aの左右方向の中央部分に形成されており、凹部30fに対してベースプレート23のフランジ23bが進入可能である。凹部30gは左縁壁30cの上下方向の中央部分に形成されており、凹部30gに対してベースプレート23のフランジ23cが進入可能である。凹部30hは右縁壁30dの上下方向の中央部分から上縁壁30aに接続する上端付近にかけて形成されており、凹部30hに対してベースプレート23のフランジ23dが進入可能である。右縁壁30dのうち上縁壁30aと凹部30hの間に位置する上端部分は、後方への突出量が小さい低壁30iとなっており、低壁30iから上縁壁30aにかけて徐々に突出量が大きくなっている。
可動モニタ20は4つの支持ロッド24を介してカメラ本体10に接続される。各支持ロッド24の一端には球状端部25が設けられ、各支持ロッド24の他端には球状端部26(図11参照)が設けられており、球状端部25がモニタ収容部30内のガイド溝31に対して嵌り、球状端部26がベースプレート23に設けたソケット27に嵌っている。球状端部25と球状端部26はそれぞれ対応するガイド溝31とソケット27に対して球心回動(方向の制約のない自在回動)可能に接続する球状体であり、支持ロッド24に対するカメラ本体10と可動モニタ20のそれぞれの方向の自由度が高いボールジョイント構造になっている。さらに球状端部25はガイド溝31の長手方向に移動(摺動)自在に支持される。支持ロッド24とソケット27は4つのガイド溝31に対応する位置関係で4つ設けられており、左上側の支持ロッド24は左上側のガイド溝31と左上側のソケット27を接続し、左下側の支持ロッド24は左下側のガイド溝31と左下側のソケット27を接続し、右上側の支持ロッド24は右上側のガイド溝31と右上側のソケット27を接続し、右下側の支持ロッド24は右下側のガイド溝31と右下側のソケット27を接続している。
以上の支持構造を有する可動モニタ20は、カメラ本体10に対して次のように動作する。図1は、カメラ本体10のモニタ収容部30内に可動モニタ20の全体が収まっている初期位置を示している。初期位置では2つの位置決め突起32が貫通孔23aに対して挿入されて可動モニタ20の位置が定まっている。各位置決め突起32内に設けた磁石の磁力によってベースプレート23を吸着して可動モニタ20を初期位置に保持させる。また、モニタ収容部30を囲む上縁壁30a、下縁壁30b、左縁壁30c、右縁壁30dに沿って可動モニタ20側の上辺部22a、下辺部22b(フランジ23b)、左辺部22c(フランジ23c)、右辺部22d(フランジ23d)が位置している。可動モニタ20の初期位置では、各支持ロッド24の球状端部25がガイド溝31の外側端部付近に位置しており、モニタ収容部30に対する各支持ロッド24の立ち上がり角度(突出量)が最小になっている。可動モニタ20の初期位置では、4つのソケット27と4つの支持ロッド24の球状端部26が、仮想線O’を囲む位置関係にある。初期位置における可動モニタ20の向きは、表示デバイス21の表示画面が光軸O(より厳密には、光軸Oを後方に延長した仮想線O’)に対して略直交するように設定されている。この可動モニタ20の向きを基準角度とする。
図2ないし図5に示すように、初期位置における基準角度から上下左右の4方向(表示画面の長手方向と短手方向)に可動モニタ20を傾動させることができる。図2は、上下方向に向く軸線を中心として可動モニタ20を左側に向けて傾けた状態を示している。左側への可動モニタ20の傾動は、右辺部22d(フランジ23d)側を後方に向けて引くことにより、左辺部22c(フランジ23c)と左縁壁30cの当接箇所を支点として行われる。このとき右上側と右下側の2つの支持ロッド24がそれぞれ、球状端部25をガイド溝31の外側端部付近から内側端部側に向けて移動させながらモニタ収容部30に対する立ち上がり角度(突出量)を大きくし、その結果として右上側と右下側の2つのソケット27が後方へ向けて押し出されることで可動モニタ20が左側に向けて傾く。図2は右上側と右下側の2つの支持ロッド24の押し出しによる左向きの最大傾き角まで可動モニタ20を動作させた状態を示しており、この状態で右上側と右下側の2つの球状端部25が対応するガイド溝31の内側端部付近に位置している。
図3は、上下方向に向く軸線を中心として可動モニタ20を右側に向けて傾けた状態を示している。右側への可動モニタ20の傾動は、左辺部22c(フランジ23c)側を後方に向けて引くことにより、右辺部22d(フランジ23d)と右縁壁30dの当接箇所を支点として行われる。このとき左上側と左下側の2つの支持ロッド24がそれぞれ、球状端部25をガイド溝31の外側端部付近から内側端部側に向けて移動させながらモニタ収容部30に対する立ち上がり角度(突出量)を大きくし、その結果として左上側と左下側の2つのソケット27が後方へ向けて押し出されることで可動モニタ20が右側に向けて傾く。図3は左上側と左下側の2つの支持ロッド24の押し出しによる右向きの最大傾き角まで可動モニタ20を動作させた状態を示しており、この状態で左上側と左下側の2つの球状端部25が対応するガイド溝31の内側端部付近に位置している。
図4は、左右方向に向く軸線を中心として可動モニタ20を下側に向けて傾けた状態を示している。下側への可動モニタ20の傾動は、上辺部22a側を後方に向けて引くことにより、下辺部22b(フランジ23b)と下縁壁30bの当接箇所を支点として行われる。このとき左上側と右上側の2つの支持ロッド24がそれぞれ、球状端部25をガイド溝31の外側端部付近から内側端部側に向けて移動させながらモニタ収容部30に対する立ち上がり角度(突出量)を大きくし、その結果として左上側と右上側の2つのソケット27が後方へ向けて押し出されることで可動モニタ20が下側に向けて傾く。図4は左上側と右上側の2つの支持ロッド24の押し出しによる下向きの最大傾き角まで可動モニタ20を動作させた状態を示しており、この状態で左上側と右上側の2つの球状端部25が対応するガイド溝31の内側端部付近に位置している。
図5は、左右方向に向く軸線を中心として可動モニタ20を上側に向けて傾けた状態を示している。上側への可動モニタ20の傾動は、下辺部22b(フランジ23b)側を後方に向けて引くことにより、上辺部22aと上縁壁30aの当接箇所を支点として行われる。このとき左下側と右下側の2つの支持ロッド24がそれぞれ、球状端部25をガイド溝31の外側端部付近から内側端部側に向けて移動させながらモニタ収容部30に対する立ち上がり角度(突出量)を大きくし、その結果として左下側と右下側の2つのソケット27が後方へ向けて押し出されることで可動モニタ20が上側に向けて傾く。図5は左下側と右下側の2つの支持ロッド24の押し出しによる上向きの最大傾き角まで可動モニタ20を動作させた状態を示しており、この状態で左下側と右下側の2つの球状端部25が対応するガイド溝31の内側端部付近に位置している。
図1の可動モニタ20の初期位置(モニタ収容部30への収納状態)では、モニタ収容部30の周囲の上縁壁30a、下縁壁30b、左縁壁30c、右縁壁30dによって可動モニタ20を囲むことにより、外部からの引っ掛かりなどを防いで可動モニタ20が不用意に動作しないように保護できる。右縁壁30dの上端部分(上縁壁30aとの境界部分)に形成した低壁30iは、可動モニタ20の右上に位置する操作ダイヤル50や、操作ダイヤル50の下方に位置する複数の操作ボタン51の操作性を向上させる機能を有する。具体的には、カメラ本体10のグリップ部を右手で把持した場合、操作ダイヤル50とその周囲に位置する押しボタン(複数の操作ボタン51の一部)は、右手親指で操作することが想定される。その際に、親指の移動軌跡上に低壁30iが位置するため、モニタ収容部30を囲む高い壁部(30a,30b,30c及び30d)に引っ掛かることなくスムーズに親指を操作ダイヤル50などに届かせやすくなる。
上記の通り、可動モニタ20の初期位置では、可動モニタ20の上下左右の四隅を囲む位置に設けた各壁30a,30b,30c及び30d(低壁30iを含む)によって可動モニタ20を保護できる。その一方で、モニタ収容部30の周囲に凹部30e,30f,30g及び30hを形成することにより可動モニタ20の縁部を部分的に露出させ、図2から図5のような初期位置からの可動モニタ20の傾動時の操作性(指掛かり)の良さも実現している。凹部30e,30f,30g及び30hはいずれも、可動モニタ20の上辺部22a、下辺部22b、左辺部22c、右辺部22dの中央部分に対応して形成されているため、初期位置から上下左右方向へ可動モニタ20を傾動させるための力を付与しやすい。
図2ないし図5では、支持ロッド24の押し出しによって上下左右の最大傾き角まで可動モニタ20を傾動させた状態を示しているが、ガイド溝31の内側端部と外側端部の間の途中に球状端部25を位置させることによって、これよりも小さい任意の傾き角に可動モニタ20を保持することも可能である。各支持ロッド24の球状端部25は対応する各ガイド溝31内に所定のフリクションを与えられた状態で嵌っており、可動モニタ20に対する傾動操作を途中で止めることにより、当該角度で可動モニタ20を保持させることができる。なお、支持ロッド24の長さやガイド溝31の長さなどの設定変更によって、可動モニタ20の最大傾き角を図2ないし図5に示す大きさよりも大きくしたり小さくしたりすることが可能である。
図6に示すように、可動モニタ20はさらに、チルト軸22xを中心として支持枠22をベースプレート23に対して回動させて、上向きの角度を大きくさせることができる。例えば、図5の状態では、前述した支持ロッド24を介した傾動(1段階目の傾動)によって、カメラ本体10に対して可動モニタ20全体が約40度上向きになっている。そして図6の状態では、ベースプレート23に対する支持枠22の傾動(2段階目の傾動)を追加することで、図1の初期位置に対して支持枠22と表示デバイス21が約90度上向きに変化している。これにより、例えば可動モニタ20をウエストレベルファインダーのように使用することが可能になる。図5の状態から図6の状態への支持枠22の回動は、支持枠22のうちベースプレート23のフランジ23b,23c及び23dに覆われていない部分に指を掛けて行うことができる。
可動モニタ20は、カメラ本体10に接近してモニタ収容部30に収納された状態(初期位置)では、以上のように上下方向や左右方向といった特定方向の軸を中心とした傾動を行うことができる。この可動モニタ20の傾動を第1の態様の傾動とする。可動モニタ20は第1の態様の傾動に加えて、図7や図11に示すように、モニタ収容部30から光軸方向後方(光軸Oを延長した仮想線O’に沿う方向)に引き出してカメラ本体10に対して離間させることが可能である。この可動モニタ20の引き出し動作は、モニタ収容部30に対する4つの支持ロッド24の立ち上がり角度(突出量)を大きくさせることで行われる。例えば、モニタ収容部30に対する4つの支持ロッド24の突出量が略均等になるようにすることで、図1の初期位置から可動モニタ20を傾けずに(基準角度を維持しながら)光軸Oと略平行に移動させて図7や図11の状態にさせることができる。
可動モニタ20をモニタ収容部30の後方に引き出してカメラ本体10から離間させた状態では、可動モニタ20はモニタ収容部30の上縁壁30a、下縁壁30b、左縁壁30c及び右縁壁30dによる制限を受けずに動作することが可能になる。そのため、図2ないし図6のように上下方向や左右方向といった特定方向の軸中心には限定されない自在な方向の傾動が可能になる。例えば、図8に示す右斜め上、図9に示す左斜め下、図8とは左右を逆にした左斜め上、図9とは左右を逆にした右斜め下といった方向に可動モニタ20を傾動させることができ、その角度も、各支持ロッド24が追従可能な範囲で任意に設定できる。この可動モニタ20の方向自在な傾動を第2の態様の傾動とする。第2の態様の傾動では、第1の態様の傾動と同様に、上下左右方向(表示画面の長手方向と短手方向)に向けて可動モニタ20を傾動させることもできる。また、可動モニタ20を後方に最大量よりも少なく引き出した状態において、各支持ロッド24が追従可能な所定の範囲で、基準角度を維持しながら光軸Oと直交する方向への可動モニタ20の移動を行わせることもできる。
可動モニタ20をモニタ収容部30の後方に引き出した状態ではさらに、図10に示すように、各支持ロッド24が追従可能な範囲で、光軸Oを延長した仮想線O’(カメラ本体10に対する可動モニタ20の接離方向を向く軸)を中心とする可動モニタ20の回転動作も可能である。図10は撮影者側から見て反時計方向に可動モニタ20を回転させた状態を示しており、これと逆の時計方向に可動モニタ20を回転させることも可能である。なお、本実施形態では可動モニタ20の外形中心が概ね光軸Oを延長した仮想線O’上に位置しているため、図10の状態では可動モニタ20が自身の外形中心を中心とする回転を行っているが、光軸Oを延長した仮想線O’が可動モニタ20の外形中心とは異なる位置を通る構成にすることも可能である。この場合は、可動モニタ20の外形中心と回転中心の位置が一致しない。
以上のように本実施形態のカメラ1では、カメラ本体10に対する可動モニタ20の位置設定の自由度が高くなっている。可動モニタ20の動作の第1の態様として、可動モニタ20がモニタ収容部30内の初期位置にある状態で上下左右の4方向への傾動を行うことができる。可動モニタ20の動作の第2の態様として、可動モニタ20を初期位置から光軸方向後方(カメラ本体10からの離間方向)に移動させた状態では、方向の制約のない自在な傾動が可能になる。
表示デバイス21の表示画面が光軸Oを延長した仮想線O’に対して略直交している基準角度は、第1の態様では図1の状態、第2の態様では図7及び図11の状態である。この各態様において表示デバイス21が基準角度にある状態を可動モニタ20の待機位置とする。可動モニタ20の第1の態様の傾動と第2の態様の傾動はいずれも、待機位置(図1、図7及び図11)を経由せずに、任意の傾き方向から次の傾き方向へ直接に移行させることができる。例えば、第1の態様では、図2や図3に示す傾動位置から図4や図5に示す傾動位置への可動モニタ20の姿勢変化(あるいはその逆の姿勢変化)を、図1の待機位置を経ずに行うことができる。第2の態様も同様に、上下左右方向の傾動位置の間での可動モニタ20の姿勢変化を、図7及び図11の待機位置を経ずに行うことができる。これに加えて第2の態様ではさらに、図8に示す右斜め上向きの傾動位置、図9に示す左斜め下向きの傾動位置、図8とは左右を逆にした左斜め上向きの傾動位置、図9とは左右を逆にした右斜め下向きの傾動位置、といった斜め方向への可動モニタ20の姿勢変化も、図7及び図11に示す待機位置を経ずに行うことができる。このように、待機位置を経由せずに多様な方向へ直接に可動モニタ20を傾動可能としたことにより、可動モニタ20を迅速に所望の姿勢にさせることが可能となり、操作性が向上する。
また、以上のいずれの場合においても、可動モニタ20を傾動させたときには、図10のように光軸Oと平行な方向に見て、可動モニタ20がカメラ本体10の外形から突出しない範囲内に収まり、カメラ1の大型化(特に光軸Oと垂直な上下左右方向のサイズアップ)を防ぐことができる。
可動モニタ20はさらに、ベースプレート23に対して支持枠22を回動させることで所定の方向(上方)への角度変化を大きくさせることができ、より多様な撮影姿勢に対応可能となる。
また、可動モニタ20を初期位置から光軸方向後方(カメラ本体10からの離間方向)に移動させると、図10のような光軸Oを中心とした回転も可能であり、可動モニタ20の位置設定の自由度がさらに高くなっている。
そして、以上の可動モニタ20の傾動や回転はいずれも、可動モニタ20の外形中心と光軸O(光軸Oを延長した仮想線O’)の相対的な位置関係を大きく変化させず(表示デバイス21の表示画面を仮想線O’上に位置させながら)に行われ、光軸Oに沿って見たときに可動モニタ20がカメラ本体10の外形から大きく逸脱した状態にならないため、構図合わせなどを行い易い。また、可動モニタ20の初期位置(図1)ではカメラ本体10のモニタ収容部30内に可動モニタ20が収められ、必要に応じてモニタ収容部30から可動モニタ20を引き出す構成であるため、初期状態でのカメラ1の光軸方向の大きさを抑えることができる。
以上、図示実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は図示実施形態に限定されるものではない。例えば、図示実施形態の可動モニタ20は、4つの支持ロッド24を用いた角度変化に加えて、ベースプレート23に対する支持枠22の回動によって上向きの角度変化を大きくさせているが、この2段階の角度変化を上向き以外の方向に適用することも可能である。また、ベースプレート23に対して支持枠22が相対回動する構造を省略して(支持枠22とベースプレート23を一体化させて)、支持ロッド24による支持機構のみで可動モニタ20の動作を行うようにすることも可能である。
図示実施形態の可動モニタ20は横長画面の表示デバイス21を備えているが、正方形など横長以外の形状の表示画面を有するタイプの撮像装置にも本発明を適用可能である。さらに、表示画面の外形形状は矩形に限らず、三角形、矩形以外の四角形、5つ以上の頂点を持つ多角形、頂点を有さない曲線形状、などであってもよい。
また、図示実施形態の可動モニタ20のように支持枠22上に表示デバイス21が固定的に取り付けられているタイプではなく、支持枠22に対して別体の表示デバイス(例えばスマートフォンなど)を着脱可能なタイプの表示部を採用することもできる。表示部を構成する表示デバイスとしては、表示機能のみを有するディスプレイと、画面に触れて操作するタッチパネル式のディスプレイのいずれも採用可能である。
図示実施形態のカメラ1はレンズ交換式の一眼レフカメラであるが、本発明を適用する撮像装置はこれに限定されるものではなく、レンズ交換式の一眼レフカメラ以外のスチルカメラや、動画撮影を主に行うビデオカメラなどに適用することもできる。特に動画撮影は撮影中のカメラアングルの変化が多いため、本発明を適用した位置設定の自由度の高い表示部を備えた撮像装置が有効である。
本発明は、本体に対して可動の画像表示部を有する電子機器として、撮像装置以外にも、ラップトップ型のパーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの携帯電子機器、カーナビゲーション、オシロスコープなどの検査機器などにも適用が可能である。