本発明による育児器具は、育児器具本体と、育児器具本体に取り付けられたガード部材と、を有している。育児器具は、乳母車、自動車両や自転車などに取り付けて用いられるチャイルドシート、ベビーラック等の器具であり、典型的には子供(乳児、幼児、児童等の年少者)を育てる過程において子供を世話するために使用される器具である。育児器具本体は、乳母車、チャイルドシート、ベビーラック等の本体部であり、典型的には子供が乗り込むスペースである着座部を有している。
以下、図1〜図13を参照しながら本発明による一実施の形態について説明する。以下に説明する一の実施の形態では、育児器具が、乳母車として構成されている例を示すが、乳母車としての例に限られず、育児器具は、その他の器具として構成されていてもよい。
図1〜図5は本発明による育児器具としての乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1〜図4には、乳母車の具体例の全体構成が示されている。また、図5は、乳母車を部分的に示す斜視図である。図1および図2に示すように、本実施の形態における乳母車10は、前脚14及び後脚16を有する本体フレーム12と、本体フレーム12に対して揺動可能となるように本体フレーム12に接続されたハンドル40と、前脚14に取り付けられた第1キャスター18と、後脚16に取り付けられた第2キャスター19と、を有している。このうち、本体フレーム12及びハンドル40が乳母車本体(育児器具本体)11を構成している。また、乳母車本体11は子供が着座する着座部35を含む。図2のみに二点鎖線で示すように、着座部35にはクッション性を有した座席材13が取り外し可能に装着される。子供は、この座席材13上に着座又は横臥する。図1に示すように、乳母車本体11にはガード部材60が取り付けられている。ガード部材60は、着座部35の上方かつ前方において、乳母車本体11の幅方向に延びている。
本実施の形態において、ハンドル40は、第1位置と第2位置との間を本体フレーム12に対して揺動可能となっている。図示された例において、ハンドル40の第1位置は背面押し位置であり(図1及び図2参照)、ハンドル40の第2位置は対面押し位置である(図3参照)。図2に示すように、ハンドル40は、背面押し位置である第1位置において、鉛直方向に対して傾斜し後方に延び上がっている。背面押し位置である第1位置にハンドル40を配置した場合、操作者(保護者)は子供の背面側からハンドル40を把持して乳母車10を操縦する。このとき、子供は、乳母車10の走行中、進行方向の前方を向いて景色を楽しむことができる。図3に示すように、ハンドル40は、対面押し位置である第2位置において、鉛直方向に対して傾斜し前方に延び上がっている。対面押し位置である第2位置にハンドル40を配置した場合、操作者は子供に対面する前脚側の位置からハンドル40を把持して乳母車10を操縦する。このとき、乳母車10の後脚側が進行方向の前方となるようにして乳母車10を走行させることができる。
図示された乳母車10(乳母車本体11)は、広く普及しているように、図1及び図2に示された展開状態から図4に示された折り畳み状態へ折り畳み可能に構成されている。乳母車10(乳母車本体11)は、折り畳み状態から展開状態に展開することもできる。乳母車10が展開状態にある場合、ハンドル40を本体フレーム12に対して揺動させることができる。
ところで、本明細書中において、乳母車およびその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」および「幅方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車およびその構成要素に着座する子供を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」および「幅方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向」とは、図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、図2及び図3における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乗車した子供が向く側であり、図1における紙面の左下側並びに図2における紙面の左側が前側となる。一方、「上下方向」とは乳母車の走行面に直交する方向である。したがって、走行面が水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向をさす。また、「幅方向」とは横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。図1に示すように、図示された乳母車10は、全体的に、横方向中心に位置し前後方向及び上下方向に沿った面を中心として概ね対称な構成を有している。
また、本明細書において、ガード部材や後述するガード装置およびその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」および「幅方向」の用語は、特に指示がない場合、ガード部材あるいはガード装置が乳母車本体に接続された状態での、乳母車およびその構成要素に着座する子供を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」および「幅方向」を意味する。
まず、乳母車10の全体構成として、乳母車本体11について説明する。上述したように、乳母車本体11は、本体フレーム12及びハンドル40を有している。このうち本体フレーム12は、図1に示すように、それぞれ左右に配置された一対の前脚14と、それぞれ左右に配置された一対の後脚16と、を有している。本体フレーム12は、それぞれ左右に配置された第1リンクL1、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4を更に有している。前脚14、後脚16及び第1〜第4リンクL1〜L4は、乳母車本体11を折り畳み可能および展開可能に構成するリンクとして機能する。図示された例において、第1リンクL1は、アームレスト21としても機能する。すなわち、アームレスト21によって第1リンクL1が構成されている。第1リンク部材L1の前方部分には、ガード部材60を接続するための端部支持部50が形成されている。
図1〜図3に示すように、前脚14の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。同様に、後脚16の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。また、第2リンクL2の上方部分が、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の後方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。図3に示されているように、図示された例において、第2リンクL2は、主リンク材22と、主リンク材22の上端に固定された上接続材23と、を有している。主リンク材22は、例えば金属製パイプからなる。上接続材23は、例えば、樹脂成形物からなる。第2リンクL2は、上接続材23において、アームレスト21の後端部分に回動可能(揺動可能)に接続している。
図1〜図3に示すように、第3リンクL3は、前脚14と回動可能(揺動可能)に接続している。第4リンクL4は、後脚16と回動可能(揺動可能)に接続している。第3リンクL3は、第2リンクL2及び第4リンクL4の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。第4リンクL4は、第2リンクL2及び第3リンクL3の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。第2リンクL2は、第3リンクL3及び第4リンクL4の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。
図1及び図5に示すように、図示された例において、第3リンクL3をなす部材として、フレーム材24と、フレーム材24に固定された前接続材25及び後接続材26とが設けられている。フレーム材24は、例えば、曲げ加工した金属製パイプからなる。前接続材25及び後接続材26は、例えば樹脂成形物からなる。フレーム材24は、前後方向に延びる一対の側部24aと、一対の側部24aを前方にて連結する連結部24bと、を有してU字状をなしている。前接続材25は、一端部分を前脚14と回動可能に接続され、他端部分を側部24aの前方部分に固定されている。後接続材26は、側部24aの後端部分に固定されている。この例において、右側に位置するフレーム材24の側部24aと、この右側の側部24aに固定された右側の前接続材25及び後接続材26とによって、右側の第3リンクL3が形成されている。同様に、左側に位置するフレーム材24の側部24aと、この左側の側部24aに固定された左側の前接続材25及び後接続材26とによって、左側の第3リンクL3が形成されている。
図5に示すように、図示された例において、第4リンクL4は、後脚16に回動可能に接続された主軸材28と、主軸材28の上端部分に固定された端部材29と、を有している。主軸材28は、例えば金属製パイプからなる。端部材29は、例えば樹脂成形物からなる。主軸材28は、下端部分において後脚16の中間部分と回動可能に接続されている。端部材29は、第2リンクL2及び第3リンクL3と回動可能に接続されている。図示された例において、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、同一の軸部材30を用いて、互いに回動可能に接続されている。この軸部材30は、第2リンクL2の主リンク材22、第4リンクL4の端部材29、及び、第3リンクL3をなす後接続材26を貫通している。この構成により、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、軸部材30の中心軸線と一致する軸線を中心として、互いに回動可能となっている。
また、図示された乳母車10の本体フレーム12は、図1〜図3に示すように、ベースフレーム31及び上方フレーム32と、ベースフレーム31と上方フレーム32とを連結する連結フレーム33と、をさらに、有している。ベースフレーム31及び上方フレーム32は、共にU字状に形成されている。そして、図示された乳母車10において、フレーム材24およびベースフレーム31には、ベース布材34(図2のみに図示)が張設される。ベース布材34は、フレーム材24、ベースフレーム31、上方フレーム32及び連結フレーム33とともに、クッション性の座席材13(図2のみに二点鎖線で図示)を支持する。なお、図4において、ベースフレーム31、上方フレーム32及び連結フレーム33の図示を省略している。
図示された例において、フレーム材24、ベースフレーム31、上方フレーム32、連結フレーム33及びベース布材34が、着座部35を構成し、座席材13を支持する。このうち、ベース布材34の一部分およびフレーム材24が、子供の臀部を支持する座部支持部を構成する。また、ベース布材34の一部分およびベースフレーム31が、子供の背部を支持する背部支持部を構成する。
ベースフレーム31は、その両端部において、軸部材30に貫通されている(図5参照)。そして、ベースフレーム31は、フレーム材24やその他の構成要素に対して回動可能(揺動可能)となっている。ベースフレーム31がフレーム材24に対して揺動することで、座席材13のリクライニングが可能となる。上方フレーム32は、その両端部において、第1リンクL1の後端部分と回動可能(揺動可能)に接続されている。上方フレーム32の第1リンクL1に対する回動軸線は、第2リンクL2の第1リンクL1に対する回動軸線と同一線上に位置している。ベースフレーム31及び上方フレーム32の間には、横方向に離間して一対の連結フレーム33が設けられている。連結フレーム33は、その両端において、ベースフレーム31及び上方フレーム32と回動可能に接続している。
図1に示すように、本体フレーム12は、横方向に延びる構成要素として、一対の前脚14間を連結する前方連結材15と、一対の後脚16間を連結する後方連結材17と、を有している。ただし、図示された例において、前方連結部材15は、一対の第1キャスター18の間を延びており、後方連結材17は、一対の第2キャスター19の間を延びている。前方連結材15は、フットレストとして機能する。また、一対の後接続材26間には、中央連結材27が設けられている。前方連結材15、後方連結材17及び中央連結材27によって、乳母車10の横方向への変形を抑制することができる。
以上に説明した本体フレーム12に対し、ハンドル40が揺動可能に連結されている。図示された例において、ハンドル40は、本体フレーム12に揺動可能に取り付けられたハンドル本体41と、ハンドル本体41に設けられた保持体42と、を有している。図示された乳母車本体11において、ハンドル40は、側面視において垂直軸よりも後方に傾斜する第1位置(背面押し位置)と、垂直軸よりも前方に傾斜する第2位置(対面押し位置)と、の間を揺動可能となっている。
図1に示すように、ハンドル本体41は、互いに略平行に延びる一対の軸部41aと、一対の軸部41a間を連結する中間部41bと、を含んでいる。ハンドル本体41は、全体として略U字状の形状を有している。ハンドル40は、U字の両端部において、本体フレーム12と回動可能(揺動可能)に接続されている。図示された例において、ハンドル本体41は、軸部材30を用いて、本体フレーム12と回動可能に接続されている。したがって、第2リンクL2、第3リンクL3、第4リンクL4、ベースフレーム31及びハンドル40は、軸部材30によって画成される同一の軸線を中心として、互いに対して回動可能となっている。
保持体42は、ハンドル本体41の軸部41a上に設けられている。保持体42は、軸部41aの長手方向に沿って軸部41a上を移動可能となっている。ハンドル40は図示しない付勢部材(例えば、ばね)を有しており、付勢部材は保持体42を下方に向けて押している。保持体42は、本体フレーム12に設けられた第1位置保持部材36及び第2位置保持部材37と係合可能となっている。図3に示すように、第1位置保持部材36は、第2リンクL2に設けられている。保持体42が第1位置保持部材36と係合することにより、ハンドル40の本体フレーム12に対する揺動が規制され、図2に示すようにハンドル40を第1位置に維持することができる。また、図2に示すように、第2位置保持部材37は、第1リンクL1に設けられている。保持体42が第2位置保持部材37と係合することにより、ハンドル40の本体フレーム12に対する揺動が規制され、図3に示すようにハンドル40を第2位置に維持することができる。例えば、付勢部材の付勢力に抗して上方に移動した保持体42が、第1位置保持部材36又は第2位置保持部材37を覆うようにして下方に移動することにより、保持体42を第1位置保持部材36又は第2位置保持部材37と係合させることができる。
以上の構成を有した乳母車本体11は、各構成部材を相対回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、第1位置に配置されたハンドル40をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げることによって、第4リンクL4を後脚16に対し図2において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、第1リンクL1および第3リンクL3は、第2リンクL2に対し図2において時計回り方向に回動する。このような操作により、側面視においてハンドル40と前脚14とが略平行な配置を維持しながら互いに接近するとともに、ハンドル40の位置が下げられるようになる。以上のようにして、図4に示すように、乳母車本体11を折り畳むことができる。図4の折り畳まれた状態では、乳母車10の前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車本体11を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
また、乳母車本体11は、二つの構成部材の相対回動を規制する状態維持機構(図示せず)を有している。この状態維持機構を操作することで、乳母車本体11の折り畳み動作が可能となる。なお、図示された例において、ハンドル40は、状態維持機構に連結した遠隔操作装置43を有している。図1に示すように、遠隔操作装置43は、ハンドル本体41の中間部41bに設けられている。遠隔操作装置43を操作することで、状態維持機構が動作し、乳母車本体11の折り畳み動作が可能となる。
次に、図1並びに図6〜図13を参照して、ガード部材60およびガード部材60が接続される端部支持部50について説明する。図6〜図13は、ガード部材60および端部支持部50の一実施形態を説明するための図である。このうち、図6には、端部支持部50に接続されたガード部材60が示されている。また、図7には、端部支持部50が設けられた一対の第1リンクL1が示されている。また、図8には、ガード部材60の端部が、着座部35の側から示されている。また、図9〜図11には、端部支持部50に接続されたガード部材60の断面が示されている。また、図12〜図13には、ガード部材60の端部を構成する第1部材621および第2部材622が示されている。なお、図10において、紙面に垂直な方向に沿って延びる矢印を、円の中に点を設けた記号により示した。
図7に示すように、図示された例では、端部支持部50は、着座部35の両側に位置する一対の第1リンクL1にそれぞれ設けられている。また、図1および図6に示すように、ガード部材60は、その両端部において一対の端部支持部50に接続している。ガード部材60の一側端部を、左側の第1リンクL1に設けられた一側端部支持部50aに対して第1方向D1に(図示された例では略上下方向に)相対移動させることで、上記一側端部を一側端部支持部50aに着脱させることができる。さらに、図示された例では、ガード部材60の他側端部を、右側の第1リンクL1に設けられた他側端部支持部50bに対して第1方向D1に相対移動させることで、上記他側端部を他側端部支持部50bに着脱させることができる。
まず、端部支持部50について説明する。図7に示すように、各端部支持部50は、第1リンクL1の上面から略上方に第1方向D1に沿って突出する保持凸部51と、保持凸部51に対して相対移動可能な第1ロック部材56および第2ロック部材57と、を有する。
図示された例では、保持凸部51は、全体として円筒状の側壁52を有する。円筒状の側壁52の中心線は、第1方向D1に沿って延びている。図9〜図10に示すように、側壁52には、第1方向D1と交差する第2方向D2に延びる第1貫通孔53および第2貫通孔54が設けられている。図示された例では、第2方向D2は乳母車本体11の幅方向に沿った方向である。そして、第1貫通孔53は、側壁52のうち着座部35の側を向く部分に設けられている。また、第2貫通孔54は、側壁52のうち着座部35とは反対の側を向く部分に、第1貫通孔53に対向して設けられている。
第1ロック部材56および第2ロック部材57は、それぞれ、第2方向D2に沿って延びている。第1ロック部材56は、第1貫通孔53に挿通されており、第1貫通孔53内を第2方向D2に沿って移動可能である。また、第2ロック部材57は、第2貫通孔54に挿通されており、第2貫通孔54内を第2方向D2に沿って移動可能である。
第1ロック部材56および第2ロック部材57は、円筒状の側壁52の内腔に配置された付勢部材58によって、側壁52の外側へ向けて付勢されている。図示された例では、付勢部材58は略V字状の形状を有する板バネである。第1ロック部材56および第2ロック部材57は、付勢部材58のV字の両端部にそれぞれ接続されている。
次に、ガード部材60について説明する。図1に示すように、ガード部材60は、ガード本体61と、ガード本体61の両端部にそれぞれ接続された接続部62と、を有する。一側接続部62aは、ガード部材60の一側端部をなす。また、他側接続部62bは、ガード部材60の他側端部をなす。一側接続部62aは、一側端部支持部50aに着脱可能に接続する。また、他側接続部62bは、他側端部支持部50bに着脱可能に接続する。
図示された例では、ガード本体61は、可撓性を有する材料で形成されているが、これに限られない、ガード本体61は、弾性変形しにくい材料で形成されていてもよい。ガード本体61が弾性変形しにくい材料で作製されていることにより、比較的握力の強い子供がガード本体61をしっかりと握っても、ガード本体61が変形する虞が防止される。
接続部62は、図8〜図10に示すように、全体として筒状に形成されて保持凸部51を収容可能な筒状本体部63と、筒状本体部63に接続する第1舌部71および第2舌部72と、を有する。さらに、接続部62は、筒状本体部63の上端部に接続してガード本体61の対応する端部を保持する保持部80と、筒状本体部63の下端部に接続してガード部材60の先端をなす環状先端部85と、を有する。
図10に示すように、筒状本体部63は、第1方向D1に沿った方向を中心線とする筒状の本体部壁64と、保持凸部51を挿通可能な環状の干渉部65と、を有する。
干渉部65は、本体部壁64に対して固定されている。図9に示すように、干渉部65は、保持凸部51から突出したロック部材56,57と第1方向D1に干渉する。干渉部65は、第1方向D1の一側(上側)を向く一側面65aと、第1方向D1の他側(下側)を向く他側面65bと、を有する。接続部62が対応する端部支持部50に接続された状態において、ロック部材56,57は、干渉部65の一側面65aと対面する側(干渉部65の上側)に配置される。これにより、接続部62が第1方向D1に沿って端部支持部50から離間する側へ引っ張られても、干渉部65とロック部材56,57とが第1方向D1に干渉し、接続部62が当該端部支持部50から脱落することが防止される。
図6および図8に示すように、各舌部71,72は、筒状本体部63に接続している。各舌部71,72は、筒状本体部63に接続する基端部73と、基端部73とは反対側の自由端部である先端部74と、を有する。各舌部71,72は、その先端部74が基端部73に対して、筒状本体部63の内側および外側に向かう方向に揺動可能である。
図示された例では、舌部71,72は、前後方向に延びており、第1方向D1に沿って延びる揺動軸線71x,72xを中心として筒状本体部63に対し揺動する。もちろん、舌部71,72および揺動軸線71x,72xの延びる方向は、それぞれ前後方向および第1方向D1に沿った方向に限られない。
第1舌部71および第2舌部72は、それぞれ、接続部62が対応する端部支持部50に接続された状態で(すなわち筒状本体部63が保持凸部51を収容した状態で)、第1ロック部材56および第2ロック部材57と第2方向D2に対面する。したがって、図11に示すように、第1舌部71および第2舌部72を筒状本体部63の内側へ押し込むことにより、対応するロック部材56,57を、付勢部材58の付勢力に抗して保持凸部51内に埋没させることができる。これにより、ロック部材56,57と干渉部65との干渉を(したがって、接続部62と端部支持部50との接続を)解除することができる。以下では、舌部71,72のロック部材56,57に対面する面を「舌部内面75」と称し、舌部内面とは反対側の面を「舌部外面76」と称する。
舌部71,72の筒状本体部63の内側への揺動は、それぞれ、筒状本体部63に形成された第1内側規制部66および第2内側規制部67によって規制される。図10に示すように、内側規制部66,67は、筒状本体部63の本体部壁64の内面から前後方向に延び出している。内側規制部66,67は、対応する舌部71,72の先端部74に、舌部内面75の側から当接することにより、舌部71,72の上記内側への揺動を規制する。内側規制部66,67により、舌部71,72が筒状本体部63の内側へ保持凸部51と干渉する位置まで揺動して接続部62の端部支持部50からの取り外し作業が阻害される、という虞が低減される。
また、舌部71,72の筒状本体部63の外側への揺動は、それぞれ、筒状本体部63に形成された第1外側規制部68および第2外側規制部69によって規制される。図6、8および図10に示すように、外側規制部68,69は、本体部壁64の一部である。図10に示すように、外側規制部68,69は、対応する舌部71,72の先端部74に、舌部外面76の側から当接することにより、舌部71,72の上記外側への揺動を規制する。外側規制部68,69により、ロック部材56,57によって筒状本体部63の外側へ向けて押された舌部71,72が接続部62の寸法を増大させることを、抑制することができる。
保持部80は、筒状本体部63の上端から上方に延び出す周壁部81と、周壁部81で囲まれた空間内を前後方向に延び周壁部81の内面に接続する保持軸部82と、を有する。図9に示すように、保持軸部82は、ガード本体61の対応する端部に形成された挿通孔61aに挿通されて当該端部を保持している。
環状先端部85は、筒状本体部63の下端から下方に延び出す。図9に示すように、環状先端部85の内周面には、上方に向かって(したがって、筒状本体部63の側に向かって)先細りする環状のテーパ面86が形成されている。このようなテーパ面86によって、接続部62を端部支持部50に接続する際、接続部62を端部支持部50の上方から下方へ移動させるのと同時に、ロック部材56,57を保持凸部51に埋没させることができる。これにより、干渉部65を、ロック部材56,57と干渉させることなく、ロック部材56,57の下方に配置することができる。
図示された例では、このような接続部62は、筒状本体部63の本体部壁64の後側半部(以下、「本体部壁後側半部」とも称する)641を形成する第1部材621(図12参照)と、筒状本体部63の本体部壁64の前側半部(以下、「本体部壁前側半部」とも称する)642を形成する第2部材622(図13参照)と、により構成されている。
図12に示すように、第1部材621は、本体部壁後側半部641と、本体部壁後側半部641の上記幅方向内側(着座部35の側)の前端縁から前方に延び出す第1舌部71と、を含む。本体部壁後側半部641の上記幅方向外側(着座部35の側とは反対側)の前端縁の一部は、第2外側規制部69をなす。また、本体部壁後側半部641の内面からは、第2内側規制部67が前方に延び出している。
第1部材621は、さらに、保持部80の周壁部81の後側半部(以下、「周壁部後側半部」とも称する)811と、保持軸部82の全部と、環状先端部84の全部と、を含む。保持軸部82は、周壁部後側半部811の内面から前方に延び出している。
第1部材621を構成する上記要素(本体部壁後側半部641、第1舌部71、第2内側規制部67、保持部80の周壁部後側半部811、保持軸部82および環状先端部84)は、一体に形成されている。このため、ガード部材60を組み立てる際、これらの要素を互いに対して組み付ける工程が省略される。
図13に示すように、第2部材622は、本体部壁前側半部642と、本体部壁前側半部642の上記幅方向外側(着座部35の側とは反対側)の後端縁から後方に延び出す第2舌部72と、を含む。本体部壁前側半部642の上記幅方向内側(着座部35の側)の後端縁の一部は、第1外側規制部68をなす。また、本体部壁前側半部642の内面からは、第1内側規制部66が後方に延び出している。
第2部材622は、さらに、環状の干渉部65の全部と、保持部80の周壁部81の前側半部(以下、「周壁部前側半部」とも称する)812と、を含む。周壁部前側半部812の内面には、保持軸部82の前端部を支持する保持軸部受83が形成されている。
第2部材622を構成する上記要素(本体部壁前側半部642、第2舌部72、第1内側規制部66、干渉部65、保持部80の周壁部前側半部812および保持軸部受83)は、一体に形成されている。このため、ガード部材60を組み立てる際、これらの要素を互いに対して組み付ける工程が省略される。
このような構成を有するガード部材60および端部支持部50は、接続部62a,62bを対応する端部支持部50に対して第1方向D1に沿って端部支持部50に接近させる方向(下方)に移動させることで、接続することができる。具体的には、まず、ガード部材60が端部支持部50に接続されていない状態において、ロック部材56,57は、付勢部材58からの付勢力によって保持凸部51から突出している。この状態で、接続部62の環状先端部84内に端部支持部50の保持凸部51を挿入すると、ロック部材56,57が、環状先端部84の上記テーパ面によって押され、付勢部材58からの付勢力に抗して保持凸部51内に埋没する。そして、ロック部材56,57は、筒状本体部63の干渉部65がロック部材56,57の下方に到達すると、付勢部材58からの付勢力によって保持凸部51から突出する。これにより、ロック部材56,57と干渉部65とが第1方向D1に干渉して、ガード部材60が端部支持部50から脱落することが防止される。
また、ガード部材60および端部支持部50は、舌部71,72を筒状本体部63の内側に向けて押しながら接続部62a,62bを対応する端部支持部50に対して第1方向D1に沿って端部支持部50から離間させる方向(上方)に移動させることで、取り外すことができる。具体的には、まず、ガード部材60が端部支持部50に接続された状態において、ロック部材56,57は、干渉部65の上方に配置されており、また、付勢部材58からの付勢力によって保持凸部51から突出している。この状態で、舌部71,72を筒状本体部63の内側に向けて押すと、ロック部材56,57は、付勢部材58からの付勢力に抗して保持凸部51内に埋没する。これにより、ロック部材56,57と干渉部65との干渉が解除されて、ガード部材60を端部支持部50から取り外すことができる。
以上に説明した実施の形態において、ガード部材60は、その両端部が端部支持部50a,50bに着脱可能に接続されているが、これに限られない。ガード部材60の一方の端部は、対応する端部支持部50に着脱不能に接続されていてもよい。
また、端部支持部50は2つのロック部材56,57を有し、これに対応して接続部62は2つの舌部71,72を有するが、これに限られない。端部支持部50は少なくとも1つのロック部材を有していればよく、また、接続部62は少なくとも1つの舌部を有していればよい。
また、以上に説明した実施の形態において、育児器具本体11の端部支持部50が保持凸部51およびロック部材56,57を有し、ガード部材60の端部62が筒状本体部63および舌部71,72を有するが、これに限られない。ガード部材60の端部62が保持凸部51およびロック部材56,57を有し、育児器具本体11の端部支持部50が筒状本体部63および舌部71,72を有していてもよい。
また、図示された例では、育児器具10は、育児器具本体11(第1リンクL1)と一体に形成された端部支持部50と、ガード部材60とを有しているが、これに限られない。育児器具10は、図14に示すような、ガード装置100を有していてもよい。図14に示す例では、ガード装置100は、育児器具本体11とは別体として形成された一対の端部支持部材150a,150bと、端部支持部材150a,150bに両端部において接続するガード部材60と、を有している。端部支持部材150a,150bは、ボルト等の固定部材によって育児器具本体11の着座部35の両側に固定される。各端部支持部材150a,150bは、保持凸部51およびロック部材56,57を有する。そして、ガード部材60の一側接続部62aおよび他側接続部62bが、対応する端部支持部材150a,150bに着脱可能に接続する。
なお、図14に示す例において、ガード部材60は、その両端部が端部支持部材150a,150bに着脱可能に接続されているが、これに限られない。ガード部材60の一方の端部は、対応する端部支持部材に着脱不能に接続されていてもよい。
また、図14に示す例では、端部支持部材150a,150bは2つのロック部材56,57を有し、これに対応してガード部材60の接続部62a,62bは2つの舌部71,72を有するが、これに限られない。端部支持部材150a,150bは少なくとも1つのロック部材を有していればよく、また、接続部62a,62bは少なくとも1つの舌部を有していればよい。
また、図14に示す例では、端部支持部材150a,150bが保持凸部51およびロック部材56,57を有し、ガード部材60の端部62a,62bが筒状本体部63および舌部71,72を有するが、これに限られない。ガード部材60の端部が保持凸部51およびロック部材56,57を有し、端部支持部材150a,150bが筒状本体部63および舌部71,72を有していてもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、子供が着座する着座部35を含む育児器具10は、着座部35を含む育児器具本体11と、育児器具本体11の着座部35の両側にそれぞれ設けられた端部支持部50に、両端部において接続したガード部材60と、を備えている。ガード部材60の一側端部62aを一側端部支持部50aに対して相対移動させることで、ガード部材60は一側端部支持部50aに着脱可能となっている。そして、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの一方が、上記相対移動の方向D1に突出した保持凸部51と、保持凸部51に対して相対移動の方向D1と交差する方向D2に付勢されて保持凸部51から突出するロック部材56と、を有している。また、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの他方が、保持凸部51を収容し保持凸部51から突出するロック部材56と相対移動の方向D1に干渉する筒状本体部63と、筒状本体部63に接続する舌部71と、を含んでいる。また、舌部71は、一側端部62aと一側端部支持部50aとが接続した状態でロック部材56と対面し、筒状本体部63の内側へ向けて揺動することでロック部材56と筒状本体部63との干渉を解除可能である。
このような育児器具10によれば、ガード部材60あるいは一側端部支持部50aを組み立てる際、ロック部材56と筒状本体部63との干渉を解除する舌部71を、ガード部材60あるいは一側端部支持部50aの他の部分に組み付ける必要が無い。したがって、ガード部材60あるいは一側端部支持部50aの組み立てが容易である。
また、本実施の形態において、筒状本体部63は、舌部71の筒状本体部63の外側への揺動を規制する外側規制部68を含む。これにより、ロック部材56によって筒状本体部63の外側へ向けて押された舌部71が接続部62の寸法を増大させることを、抑制することができる。
また、本実施の形態において、筒状本体部63は、舌部71の筒状本体部63の内側への揺動を規制する内側規制部66を含む。これにより舌部71が筒状本体部63の内側へ保持凸部51と干渉する位置まで揺動して一側端部62aの一側端部支持部50aからの取り外し作業が阻害される、という虞が低減される。
また、本実施の形態において、舌部71は、上記相対移動の方向D1に沿って延びる揺動軸線71xを中心として筒状本体部63に対し揺動する。
また、本実施の形態において、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの他方は、舌部71と舌部71の基端部73が接続する筒状本体部63の一部とを含む第1部材621と、舌部71の先端部74と干渉する外側規制部68を有する筒状本体部63の他の一部を含む第2部材622と、を含む。このような第1部材621および第2部材622を用いることで、舌部71および外側規制部68を有する一側端部62aあるいは一側端部支持部50aを、容易に組み立てることができる。
また、本実施の形態において、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの一方が、上記交差する方向D2に付勢されて保持凸部51から突出し、筒状本体部63と上記相対移動の方向D1に干渉する第2ロック部材57を、さらに有する。また、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの他方が、筒状本体部63に接続する第2舌部72を含む。そして、第2舌部72は、一側端部62aと一側端部支持部50aとが接続した状態で第2ロック部材57と対面し、筒状本体部63の内側へ向けて揺動することで第2ロック部材57と筒状本体部63との干渉を解除可能である。これにより、ロック部材56,57の一方と筒状本体部63との干渉が意図せず解除されても、一側端部62aが一側端部支持部50aから意図せず取り外されることが、防止される。
また、本実施の形態において、筒状本体部63は、第2舌部72の筒状本体部63の外側への揺動を規制する第2外側規制部69を含む。これにより、ロック部材57によって筒状本体部63の外側へ向けて押された舌部72が接続部62の寸法を増大させることを、抑制することができる。
また、本実施の形態において、筒状本体部63は、第2舌部72の筒状本体部63の内側への揺動を規制する第2内側規制部67を含む。これにより第2舌部72が筒状本体部63の内側へ保持凸部51と干渉する位置まで揺動して一側端部62aの一側端部支持部50aからの取り外し作業が阻害される、という虞が低減される。
また、本実施の形態において、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの他方は、舌部71と、舌部71の基端部73が接続し、第2舌部72の先端部74と干渉する第2外側規制部69を有する筒状本体部63の一部と、を含む第1部材621と、第2舌部72と、第2舌部72の基端部73が接続し、舌部71の先端部74と干渉する外側規制部68を有する筒状本体部63の他の一部と、を含む第2部材622と、を含む。このような第1部材621および第2部材622を用いることで、舌部71,72および外側規制部68,69を有する一側端部62aあるいは一側端部支持部50aを、容易に組み立てることができる。
また、本実施の形態において、一側端部62aおよび一側端部支持部50aの他方は、舌部71と、舌部71の基端部73が接続し、第2舌部72の先端部74と干渉する第2内側規制部67を有する筒状本体部63の一部と、を含む第1部材621と、第2舌部72と、第2舌部72の基端部73が接続し、舌部71の先端部74と干渉する内側規制部66を有する筒状本体部63の他の一部と、を含む第2部材622と、を含む。このような第1部材621および第2部材622を用いることで、舌部71,72および内側規制部66,67を有する一側端部62aあるいは一側端部支持部50aを、容易に組み立てることができる。
また、本実施の形態の変形例において、ガード装置100は、育児器具本体11に接続される一側端部支持部材150aおよび他側端部支持部材150bと、一側端部支持部材150aおよび他側端部支持部材150bに、両端部において接続したガード部材60と、を備えている。ガード部材60の一側端部62aを一側端部支持部材150aに対して相対移動させることで、ガード部材60は一側端部支持部材150aに着脱可能となっている。そして、一側端部62aおよび一側端部支持部材150aの一方が、上記相対移動の方向D1に突出した保持凸部51と、保持凸部51に対して上記相対移動の方向D1と交差する方向D2に付勢されて保持凸部51から突出するロック部材56と、を有している。また、一側端部62aおよび一側端部支持部材150aの他方が、保持凸部51を収容し保持凸部51から突出するロック部材56と上記相対移動の方向D1に干渉する筒状本体部63と、筒状本体部63に接続する舌部71と、を含んでいる。そして、舌部71は、一側端部62aと一側端部支持部材150aとが接続した状態でロック部材56と対面し、筒状本体部63の内側へ向けて揺動することでロック部材56と筒状本体部63との干渉を解除可能である。
このようなガード装置100によれば、ガード部材60あるいは一側端部支持部材150aを組み立てる際、ロック部材56と筒状本体部63との干渉を解除する舌部71を、ガード部材60あるいは一側端部支持部材150aの他の部分に組み付ける必要が無い。したがって、ガード部材60あるいは一側端部支持部材150aの組み立てが容易である。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。