JP6908360B2 - 質量分析装置及び質量分析方法 - Google Patents
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Description
一方、磁場と電場とを重畳させた重畳場を利用した質量分析装置が提案されており、例えば、非特許文献1に重畳場を利用した質量分析装置の記載がある。
通常の有機物質測定用の磁場型質量分析装置(計)は小型でも回転半径は15cm以上であり、高質量(〜2000)、高分解(〜10000)での分子量決定、組成式等決定等の質量数分析用であり、高価格(〜2千万円以上)であった。高分子分子量決定、組成決定等に用いられる質量分析装置では低質量数1〜30の測定は余り必要でなかった。
このようなどちらかと言えばモニター用のMS (Mass Spectrometry)としては、より廉価であるQ-MS (Quadrupole Mass Spectrometer)等が用いられている。しかしQ-MSでも最低質量数1〜の分析には安定性の面で問題があると言われている。
を目的とする。
(1) 本発明に係る質量分析装置は、一対の扇型同心円電極を構成する第1及び第2の電極と、
前記第1及び第2の電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の補助電極と、
前記第1及び第2の補助電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の磁極と、
前記第1の磁極と前記第2の磁極との間に一様な磁場を形成する永久磁石と、
前記補助電極にイオンビームの収束を一定にするための補助電極電圧を印加する電源と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に変化する電場電圧と変化する加速電圧とを印加する電源と、
を備えた質量分析装置である。
前記第1及び第2の電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の補助電極と、
前記第1及び第2の補助電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の磁極と、を有する質量分析装置の質量分析方法において、
前記補助電極にイオンビームの収束を一定にするための補助電極電圧を印加し、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に、変化する電場電圧と変化する加速電圧とを印加する質量分析方法である。
質量分析は、イオン化した原子、分子等をそのm/z(mはイオンの質量、zはイオンの電荷数)によって分離、測定する方法であって、質量分析のための機器が質量分析装置である。質量分析装置は、分析対象とする物質をイオン化するイオン化部、イオン化された物質を分離する分析部、及び分析部で分離されたイオンを二次電子増倍管等で増幅して検出するイオン検出部を備えている。
図1は本発明の質量分析装置の一実施形態の重畳場分析部の、イオンの進行方向に対し直角な方向の縦断面図である。図2は重畳場分析部の一対の扇型同心円電極を構成する内側電極と外側電極との配置を示す横断面図である。図3は重畳場分析部の内磁極の配置を示す横断面図である。図4はイオンの進行方向に対し平行な方向の重畳場分析部の端部の縦断面図である。
偏向角(回転角)ψe は180度以下であれば(ψe≦180°)であればよいが、回転角ψeが余り小さいと焦点距離が大きくなる。よって、偏向角(回転角)ψe は22.5度から180度の範囲に設定することが好ましい。
補助電極13、14の上下には、分析部の内部に一様な磁場を発生させるための一定間隔(例えば12mm)で設置された上下の内磁極(ポールピース)15、16と、内磁極15、16の上下に設けられた外磁極17、18とが設けられている。外磁極17、18は永久磁石19に接続され、分析部内の内磁極(ポールピース)15、16間に一様磁場、例えば約2000ガウスを与える。内磁極15、16は側壁部20,21に固定され、側壁部20、21は真空パッキング22によって分析部内を真空に保持する。本実施形態では、内磁極15、16は真空内にあり、外磁極(ヨーク)17、18は真空外にある。しかし、外側電極11、内側電極12、補助電極(マツダプレート)13、14を分析部内に入れて真空とし、内磁場(ポールピース)15、16を真空外に出してもよい。
間隔一定の平行な上下の一対の内磁極(ポールピース)15、16により、一様磁場が与えられる。外側電極11と内側電極12は両端のフランジ部27、28に固定される。
磁場端面からのフリンジング(fringing)場をカットする為に出入り口端面に磁気シャント25、26が設けられ、イオンの入射面及び出射面で実効磁場端面が電場の端面と一致するように形成される。図4では出入り口の1つの一対の磁気シャント25、29のみ示しているが、他方の出入り口にも同様な一対の磁気シャントが設けられている(図2では1つの磁気シャント26のみを示している)。磁場の実効端面位置が計算により決定され、Xgはこの実効端面と実際の磁場端面(内磁場、ポールピース端面)間の距離である。
この為、電場電圧に加えて、加速電圧をも同時に変化させることが求められる。このようにすることで、最低質量数1を含む底質量数範囲(例えば、1から10)のモニターし、更に質量数70まで、又は200までの測定の出来る、コンパクトで低価格の質量分析装置を実現する。
質量数M<M0 の低質量では、C=a/ae<0となっている。またC≦-1(及びC≧1)では、表1の「3次収差」から分かるように、収差係数が10以上と大きくなる。加速電圧を上げると同じ質量数M に対して、-1<C=a/ae <0 の範囲内にすることができる。これにより高次収差を許容範囲内に抑えることができる。
本実施形態では、等電位の縦曲率C(=a/ae)を広範囲(−1<(a/ae)<1)で変えて質量走査を行う。
また数8及び数10より
故に、M’0、V’0をM0、V0、及びKで表すことにより、
上式の数11は
すなわち、数式5において、K=1、即ちV’a=Vaとすると、数式5は、以下の数式14(数14して示す)
方向収束の条件、イオン源と像位置との関係(Newton の式)は、
ここで、l’はイオン源-電場入口端面間距離、l’’は電場端面-像位置間距離、φは電場偏向角、Krは場定数(場の収束定数)(下記の数16を参照)、aeは電場のみによるイオンの回転半径、amは磁場のみによるイオンの回転半径、aはトータル場(電場+磁場)によるイオンの回転半径、fは数式16(数16として示す)で表される焦点距離である。
ここで、Reは電場中心点における等電位面の縦方向の曲率半径、aeは電場のみによるイオンの回転半径、aはトータル場(電場+磁場)によるイオンの回転半径を示す。
c=a/Reは(Vm/Vd)の一次関数(ほぼ比例)になる。これより、下記の数式19(数19として示す)
収束の条件は、下記の数式20(数20として示す)となる。
すなわち、V0=200.3458 と置くと、C=Vd/V0と成っていることがわかる。
従って、収束条件Kr=1 が成り立っている。
以上説明したように、補助電極Vmを下記の数式22(数22として示す)
電場電極電圧V’dを下記の数式23(数23として示す)
例えば、トータル場(電場+磁場)によるイオンの回転半径aを50mm、回転角を90度、電場間隔を4mm、電場の高さを7.6mm、磁場間隔を12mm、磁場強度を2036.5ガウスとしたとき、基準加速電圧Vaを0.5kv、基準質量M0を10、基準電場電圧V0を80V、加速電圧V’aを0.5kV〜1.5kV、電場電圧V’dを−240V〜80V、補助電極電圧Vmを上記数式21で求められる値とする。
12 内側電極
13、14 補助電極
15、16 内磁極
17、18 外磁極
19 永久磁石
20、21 側壁部
22 真空パッキング
23、24 電源
25、26、29 磁気シャント
27、28 フランジ部
Claims (7)
- イオンビームが入射される、一対の扇型同心円電極を構成する第1及び第2の電極と、
前記第1及び第2の電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の補助電極と、
前記第1及び第2の補助電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の磁極と、
前記第1の磁極と前記第2の磁極との間に一様な磁場を形成する永久磁石と、
前記第1及び第2の補助電極に前記イオンビームの収束を一定にするための補助電極電圧を印加する電源と、
前記一様な磁場の中で、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、変化する電場電圧に加えて変化する加速電圧を印加する電源と、
を備えた質量分析装置。 - 前記第1の磁極と前記第2の磁極との間の間隔が、前記第1の電極と前記第2の電極との間の間隔に比べ大きい場合に、磁場端面には磁気シャントを置き、磁場実効端面を電場端面に一致させるようにした請求項1から3のいずれか1項に記載の質量分析装置。
- イオンビームが入射される、一対の扇型同心円電極を構成する第1及び第2の電極と、
前記第1及び第2の電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の補助電極と、
前記第1及び第2の補助電極の上方及び下方に設けられた第1及び第2の磁極と、を有する質量分析装置の質量分析方法において、
前記第1及び第2の補助電極に前記イオンビームの収束を一定にするための補助電極電圧を印加し、
前記第1の磁極と前記第2の磁極との間に形成された一様な磁場の中で、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、変化する電場電圧に加えて変化する加速電圧を印加する質量分析方法。
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