JP6907335B2 - 抗体の選択方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組換え抗体技術の分野に関する。相互に独立した2種のアフィニティーカラム、すなわちFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間に基づいて抗体を選択するための方法が、本明細書において報告される。
発明の背景
クラスGのヒト免疫グロブリン(IgG)は、標的抗原に対する特異性を伝える2つの抗原結合(Fab)領域およびFc受容体との相互作用に関与している定常領域(Fc領域)を含む(例えば、Edelman, G.M., Scand. J. Immunol. 34 (1991) 1-22; Reff, M.E. and Heard, C., Crit. Rev. Oncol. Hematol. 40 (2001) 25-35を参照されたい)。サブクラスIgG1、IgG2、およびIgG4のヒトIgGの平均血清半減期は21日であり、これは、他の任意の公知の血清タンパク質の平均血清半減期より長い(例えば、Waldmann, T.A. and Strober, W., Prog. Allergy 13 (1969) 1-110を参照されたい)。この長い半減期は、Fc領域と新生児型Fc受容体(FcRn)の相互作用によって主にもたらされる(例えば、Ghetie, V. and Ward, E.S., Annu. Rev. Immunol. 18 (2000) 739-766; Chaudhury, C., et al., J. Exp. Med. 197 (2003) 315-322.を参照されたい)。これがひとつの理由となって、IgGまたはFcを含む融合タンパク質が、広範囲に及ぶ種類の治療薬として使用されている。
新生児型Fc受容体FcRnは、胎盤を通過する母性IgG輸送および抗原-IgG免疫複合体食作用においてIgGホメオスタシスおよびアルブミンのホメオスタシスの両方に関与している膜結合型受容体である(例えば、Brambell, F.W., et al., Nature 203 (1964) 1352-1354; Ropeenian, D.C., et al., J. Immunol. 170 (2003) 3528-3533を参照されたい)。ヒトFcRnは、グリコシル化されたクラスI主要組織適合性複合体に似たタンパク質(α-FcRn)およびβ2ミクログロブリン(β2m)サブユニットからなるヘテロ二量体である(例えば、Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789を参照されたい)。FcRnは、Fc領域のCH2-CH3領域中の部位に結合し(例えば、Ropeenian, D.C. and Akilesh, S., Nat. Rev. Immunol. 7 (2007) 715-725; Martin, W.L., et al., Mol. Cell 7 (2001) 867-877; Goebl, N.A., et al., Mol. Biol. Cell 19 (2008) 5490-5505; Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548.を参照されたい)、2つのFcRn分子がFc領域に同時に結合することができる(例えば、Sanchez, L.M., et al., Biochemistry 38 (1999) 9471-9476; Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083.を参照されたい)。FcRnとFc領域との親和性はpH依存性であり、5〜6のエンドソームpHではナノモル濃度の親和性を示し、7.4の生理的pHではかなり弱い結合を示す(例えば、Goebl, N.A., et al., Mol. Biol. Cell 19 (2008) 5490-5505; Ober, R.J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 11076-11081; Ober, R.J., et al., J. Immunol. 172 (2004) 2021-2029を参照されたい)。IgGに長い半減期を伝える根源的メカニズムは、3つの基礎的段階を用いて説明することができる。第1に、IgGは、様々な細胞型による非特異的飲作用を受けやすい(例えば、Akilesh, S., et al., J. Immunol. 179 (2007) 4580-4588; Montoyo, H.P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 106 (2009) 2788-2793.を参照されたい)。第2に、IgGは、pH5〜6の酸性エンドソーム中でFcRnに出会い結合し、それによって、IgGがリソソーム分解から保護される(例えば、Ropeenian, D.C. and Akilesh, S., Nat. Rev. Immunol. 7 (2007) 715-725; Rodewald, R., J. Cell Biol. 71 (1976) 666-669を参照されたい)。最後に、IgGは、生理的pH7.4の細胞外空間に放出される(例えば、Ghetie, V. and Ward, E.S., Annu. Rev. Immunol. 18 (2000) 739-766を参照されたい)。この厳密なpH依存性の結合および放出のメカニズムは、IgGリサイクリングにとって不可欠であり、異なるpH値での結合特徴の変化はいずれも、IgGの循環半減期に強く影響し得る(例えば、Vaccaro, C., et al., Nat. Biotechnol. 23 (2005) 1283-1288を参照されたい)。
ヒト治療的抗体候補の大多数は臨床使用に適した薬物動態学的特性を示すが、時として、臨床的有用性を制限する可能性がある予想外に速い抗体クリアランスが観察されるため、Hoetzel, I., et al. (mAbs 4 (2012) 753-760)は、クリアランスの速い抗体のリスクを軽減するための戦略を開示した。治療的タンパク質の非特異的結合を評価するためにバキュロウイルス(BV)粒子への結合をELISAで検出することに基づくアッセイ法が説明されている。
モノクローナル抗体の機能的特徴付けのための解析的FcRnアフィニティークロマトグラフィーが、WO 2013/120929に開示されている。モノクローナル抗体についての薬物動態学的、薬力学的、および免疫原性についての同等性評価戦略が、Putnam, W.S., et al. (Trends Biotechnol. 28 (2010) 509-516)によって開示されている。
Sampei, Z., et al. (PLoS One 8 (2013) e57479)は、第VIII因子補因子活性の機能を模倣する非対称性二重特異性IgG抗体の同定および多次元的最適化を開示している。
WO 2015/140126では、FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおいて測定される保持時間に基づいて抗体のインビボ半減期を予測するための方法を開示している。
現時点での文献では、薬物動態を予測するものとしてFcRnクロマトグラフィー(例えば、Schoch, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 112 (2015) 5997-6002を参照されたい)またはFcRnアフィニティー(例えば、Neuber, T., et al., MAbs 6 (2014) 928-942を参照されたい)の使用が開示されている。あるいは、例えばELISA形式でのヘパリン結合(例えば、Datta-Mannan, A., et al., MAbs 7 (2015) 1084-1093を参照されたい)も、細胞表面構造体との非特異的相互作用を定量するための代理パラメーターとして開示されている。
本発明に記載の方法を用いることにより、治療的用途に適した薬物動態学的特性を有する、数の増加した、すなわちより多くの抗体を同定することが可能である;特に、治療的用途に適した薬物動態学的特性を有する抗体をより正確に選択することが可能である。これは、本明細書において報告される方法を用いて得られる結果に基づいて、提供される多数の抗体に由来する抗体を評価することによって行われる。
カニクイザル単回投与薬物動態学的(SDPK)研究におけるクリアランスを基準にした/に基づく抗体選択を、FcRnアフィニティークロマトグラフィーとヘパリンアフィニティークロマトグラフィーの組合せを用いることにより、単独の(一次元の)FcRnクロマトグラフィーまたは単独のヘパリンクロマトグラフィーそれぞれと比べて改善できることが見出されている。何よりの改善は、許容されるPK特性を有しているのに選択されない抗体の数を減らすことにある。
FcRnアフィニティークロマトグラフィーとヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを組み合わせることにより、FcRnアフィニティークロマトグラフィーおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーのカラム保持時間の閾値、およびそれによって二次元の保持時間範囲を定めることが可能になり、クリアランスの遅い、すなわち体循環半減期の長い抗体を発見できることが見出されている。したがって、この組合せにより、とりわけ、体循環半減期の長い抗体の選択の改善、薬物動態学的予測の精度の改善、および体循環半減期が長いにもかかわらず選択されない抗体の数の減少、が可能になる。
FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間を、各カラムにおける参照抗体の保持時間に基づいて標準化すると、クリアランスの遅い抗体を主に含む相対保持時間範囲が定まることが見出されている。この範囲は、1.78未満のFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間(酸化された(H2O2で処理された)抗Her3抗体調製物を参照抗体として用いる)および0.87未満のヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間(抗pTau抗体を参照抗体として用いる)によって定まる。
したがって、本発明は、(ヒトにおける)治療物質として使用するために適した全身クリアランスをカニクイザルにおいて有する抗体を選択するための方法を含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)抗体を含む(エクスビボ、人工の)試料を任意で提供する段階;
(b)正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第1の参照抗体の保持時間を基準にしたFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける抗体の相対保持時間が、第1の閾値未満ならば/の場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第2の参照抗体の保持時間に対するヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける抗体の保持時間の比率が、第2の閾値未満ならば/の場合に、
その抗体を選択する段階。
1つの態様において、第1の参照抗体は、酸化型抗体調製物である。1つの態様において、酸化型抗体調製物は、非酸化型の重鎖CH2ドメインの252位のメチオニン残基を基準にして、モノ酸化型(mono-oxidized form)(252位の2つのメチオニンのうちの1つだけが酸化されている)およびバイ酸化型(bi-oxidized form)(252位の両方のメチオニン残基が酸化されている)の参照抗体を含む調製物である(Kabatに基づく番号付与)。1つの態様において、相対保持時間は、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
式中、trel,iは、抗体の相対保持時間であり、tiは、抗体の保持時間である。1つの態様において、第1の参照抗体は、SEQ ID NO: 03のアミノ酸配列を有する重鎖およびSEQ ID NO: 04のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する抗Her3抗体である。1つの態様において、第1の閾値は2である。1つの態様において、第1の閾値は1.8である。1つの態様において、第1の閾値は1.78である。
1つの態様において、第2の参照抗体は、SEQ ID NO: 01のアミノ酸配列を有する重鎖およびSEQ ID NO: 02のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する抗pTau抗体である。1つの態様において、第2の閾値は1である。1つの態様において、第2の閾値は0.8である。1つの態様において、第2の閾値は0.78である。
1つの態様において、段階(c)は、
(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に/ならば、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に/ならば、
その抗体を選択する段階である。
1つの態様において、治療的用途に適した、すなわち抗体を治療物質として使用できる、カニクイザルにおける全身クリアランスは、8mL/kg/日またはそれ未満である。1つの態様において、全身クリアランスは、8mL/kg/日未満である。1つの態様において、全身クリアランスは、6mL/kg/日未満である。
本発明は、(ヒトにおける)治療物質として使用するために適した全身クリアランスを(カニクイザルにおいて)有する、少なくとも1つの抗原に(特異的に)結合する抗体を選択するための方法をさらに含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)(i)完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、および直接的もしくはペプチドリンカーを介して1個、2個、もしくは3個の付加的なFab分子、scFv分子、scFab分子、CrossFab分子に融合されている前記のいずれか、ならびに/または
(ii)ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せ
からなる群より選択される、様々な形態の抗体を提供する段階;
(b)(a)の様々な抗体形態のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
その抗体形態を選択する段階、
ならびにそれによって、抗体を選択する段階。
本発明は、(ヒトにおける)治療物質として使用するために適した全身クリアランスを(カニクイザルにおいて)有する、少なくとも1つの抗原に(特異的に)結合する抗体を選択するための方法をさらに含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)(i)異なるCDR配列を有する、または
(ii)同一のCDR配列を有し、異なる可変ドメイン配列を有する、または
(iii)異なる抗体形態において同一のCDR配列を有する、
少なくとも1つの抗原に結合する少なくとも2つの抗体を提供する段階;
(b)(a)の様々な抗体のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第1の参照抗体の保持時間を基準にしたFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、第1の閾値未満であり、かつ
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第2の参照抗体の保持時間に対するヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間の比率が、第2の閾値未満である、
抗体を選択する段階。
1つの態様において、第1の参照抗体は、酸化型抗体調製物である。1つの態様において、酸化型抗体調製物は、非酸化型の重鎖CH2ドメインの252位のメチオニン残基を基準にして、モノ酸化型(252位の2つのメチオニンのうちの1つだけが酸化されている)およびバイ酸化型(252位の両方のメチオニン残基が酸化されている)の抗体を含む調製物である(Kabatに基づく番号付与)。1つの態様において、相対保持時間は、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
式中、trel,iは、抗体の相対保持時間であり、tiは、抗体の保持時間である。1つの態様において、第1の参照抗体は、SEQ ID NO: 03のアミノ酸配列を有する重鎖およびSEQ ID NO: 04のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する抗Her3抗体である。1つの態様において、第1の閾値は2である。1つの態様において、第1の閾値は1.8である。1つの態様において、第1の閾値は1.78である。
1つの態様において、第2の参照抗体は、SEQ ID NO: 01のアミノ酸配列を有する重鎖およびSEQ ID NO: 02のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する抗pTau抗体である。1つの態様において、第2の閾値は1である。1つの態様において、第2の閾値は0.8である。1つの態様において、第2の閾値は0.78である。
1つの態様において、段階(c)は、
(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に/ならば、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に/ならば、
その抗体を選択する段階である。
1つの態様において、方法は、以下の段階をさらに含む:
(d)提供された抗体または抗体形態のいずれも、段階(c)の判定基準を満たさない場合に、少なくとも1つのさらなる抗体形態または抗体を提供し、段階(b)および(c)を繰り返す、段階。
本発明は、
(a)(抗体をコードする1つまたは複数の核酸を含む)、抗体を発現する哺乳動物細胞を培養する段階、および
(b)細胞または培養培地から抗体を回収する段階
を含む、抗体を製造するための方法を含み、ここで、抗体は、(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満であるように、かつ(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満であるように、(複数の抗体および/または抗体形態から)選択される。
本発明は、カニクイザルにおいて8mL/kg/日未満の全身クリアランスを有する抗体を選択するための方法を含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)抗体を含む試料を任意で提供する段階;
(b)正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
その抗体を選択する段階。
本発明は、以下の段階を含む、抗体を製造するための方法もさらに含む:
(a)本発明による方法を用いて選択される抗体をコードする1つまたは複数の核酸を含む細胞を提供する段階、および
(b)培養培地中で細胞を培養し、細胞または培養培地から組換え抗体を回収し、それによって、抗体を製造する段階。
すべての方法の1つの態様において、FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間は、図1に記載のピーク定義に基づき、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
(trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tピーク2:図1に記載の部分的に酸化された抗Her3抗体のピーク2の保持時間、tピーク3:図1に記載の抗Her3抗体のピーク3の保持時間)。
すべての方法の1つの態様において、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間は、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
(trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tpTau:抗pTau抗体のピークの保持時間)。
すべての方法の1つの態様において、抗体または抗体形態は、2本の抗体軽鎖および2本の抗体重鎖を含む完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、抗体-サイトカイン融合ポリペプチド、Fc領域-サイトカイン融合ポリペプチド、および抗体-Fab融合ポリペプチドからなる群より選択される。
すべての方法の1つの態様において、抗体は、ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せからなる群より選択されるFc領域を含む。
正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーの1つの態様において、新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の固定された非共有結合性複合体が、アフィニティークロマトグラフィーリガンドとして使用され、
ここで、新生児型Fc受容体およびβ-2-ミクログロブリンの非共有結合性複合体は、クロマトグラフィー材料に結合され、この非共有結合性複合体は、特異的結合対を介して固相に結合されており、
pH勾配は、第1のpH値から第2のpH値までであり、第1のpH値はpH3.5〜pH6.4であり、第2のpH値はpH7.4〜pH 9.5であり、かつ
新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の非共有結合性複合体は、モノビオチン化され、固相はストレプトアビジンで誘導体化されている。
1つの態様において、pH勾配は、第1のpH値から第2のpH値までであり、第1のpH値はPh5.5であり、第2のpH値はpH8.8である。
1つの態様において、β-2-ミクログロブリンは、FcRnと同じ種に由来する。
1つの態様において、FcRnは、ヒトFcRn、カニクイザルFcRn、マウスFcRn、ラットFcRn、ヒツジFcRn、イヌFcRn、ブタFcRn、ミニブタFcRn、およびウサギFcRnより選択される。
1つの態様において、β-2-ミクログロブリンは、FcRnと同じ種に由来する。
1つの態様において、β-2-ミクログロブリンは、FcRnとは異なる種に由来する。
1つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。
1つの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。
1つの態様において、抗体は、キメラ抗体である。
通常、C末端にHis-Aviタグ(SEQ ID NO: 32)を有するFcRnの可溶性細胞外ドメイン(ヒトFcRnの場合SEQ ID NO: 31)が、哺乳動物細胞においてβ2-ミクログロブリン(ヒトβ-2-ミクログロブリンの場合SEQ ID NO: 33)と同時発現された。FcRn-ミクログロブリン非共有結合性複合体がビオチン化され、ストレプトアビジン誘導体化セファロース上に載せられた。
原理的には、本明細書において報告される方法において、任意の緩衝物質を使用することができる。
1つの態様において、FcRnアフィニティークロマトグラフィーのための参照抗体は、SEQ ID NO: 03(重鎖)およびSEQ ID NO: 04 (軽鎖)を有する抗HER3抗体である。
1つの態様において、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーのための参照抗体は、SEQ ID NO: 01(重鎖)およびSEQ ID NO: 02(軽鎖)を有する抗pTau抗体である。
1つの態様において、抗体は、融合ポリペプチドの単一特異性の抗体もしくは抗体断片、または融合ポリペプチドの二重特異性の抗体もしくは抗体断片、または融合ポリペプチドの三重特異性の抗体もしくは抗体断片、または融合ポリペプチドの四重特異性の抗体もしくは抗体断片である。
1つの態様において、抗体は、IgGクラスの抗体である。1つの態様において、抗体は、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の抗体である。1つの態様において、抗体は、サブクラスIgG1またはIgG4の抗体である。
[本発明1001]
(a)抗体を発現する哺乳動物細胞を培養する段階、および
(b)該細胞または培養培地から該抗体を回収する段階
を含む、抗体を製造するための方法であって、
該抗体が、(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満であるように、かつ(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満であるように、(複数の抗体および/または抗体形態から)選択される、前記方法。
[本発明1002]
以下の段階を含む、カニクイザルにおいて8mL/kg/日未満の全身クリアランスを有する抗体を選択するための方法:
(a)正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける抗体の保持時間を測定する段階;ならびに
(b)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
該抗体を選択する段階。
[本発明1003]
抗体が、完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、抗体-サイトカイン融合ポリペプチド、Fc領域-サイトカイン融合ポリペプチド、および抗体-Fab融合ポリペプチドからなる群より選択される、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
抗体が、ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せからなる群より選択されるFc領域を含む、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
アフィニティークロマトグラフィーリガンドとしての、新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の固定された非共有結合性複合体が、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーにおいて使用され、
該新生児型Fc受容体およびβ-2-ミクログロブリンの非共有結合性複合体が、クロマトグラフィー材料に結合され、該非共有結合性複合体が、特異的結合対を介して固相に結合されており、
該pH勾配が、第1のpH値から第2のpH値までであり、該第1のpH値がpH3.5〜pH6.4であり、該第2のpH値がpH7.4〜pH 9.5であり、かつ
該新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の非共有結合性複合体が、モノビオチン化され、該固相がストレプトアビジンで誘導体化されている、
本発明1001〜1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
pH勾配が、第1のpH値から第2のpH値までであり、該第1のpH値がpH5.5であり、該第2のpH値がpH8.8である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、図1に記載のピーク定義に基づき、以下の式:
Figure 0006907335
(t rel,i :ピークiの相対保持時間、t i :ピークiの保持時間、t ピーク2 :図1に記載の部分的に酸化された抗Her3抗体のピーク2の保持時間、t ピーク3 :図1に記載の抗Her3抗体のピーク3の保持時間)
に基づいて計算される、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、以下の式:
Figure 0006907335
(t rel,i :ピークiの相対保持時間、t i :ピークiの保持時間、t pTau :抗pTau抗体のピークの保持時間)
に基づいて計算される、本発明1001〜1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
以下の段階を含む、治療物質として使用するために適した全身クリアランスを有する、少なくとも1つの抗原に結合する抗体を選択するための方法:
(a)(i)完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、および直接的もしくはペプチドリンカーを介して1個、2個、もしくは3個の付加的なFab分子、scFv分子、scFab分子、CrossFab分子に融合されている前記のいずれか、ならびに/または
(ii)ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せ
からなる群より選択される、様々な形態の抗体を提供する段階;
(b)(a)の様々な抗体形態のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
該抗体形態を選択する段階。
[本発明1010]
以下の段階を含む、治療物質として使用するために適した全身クリアランスを有する、少なくとも1つの抗原に結合する抗体を選択するための方法:
(a)(i)異なるCDR配列を有する、または
(ii)同一のCDR配列を有し、異なる可変ドメイン配列を有する、または
(iii)異なる形態において同一のCDR配列を有する、
少なくとも1つの抗原に結合する少なくとも2つの抗体を提供する段階;
(b)(a)の様々な抗体のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第1の参照抗体の保持時間を基準にしたFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、第1の閾値未満であり、かつ
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第2の参照抗体の保持時間に対するヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間の比率が、第2の閾値未満である、
抗体を選択する段階。
[本発明1011]
以下の段階をさらに含む、本発明1009または1010の方法:
(d)提供された抗体または抗体形態のいずれも、段階(c)の判定基準を満たさない場合に、少なくとも1つのさらなる抗体形態または抗体を提供し、段階(b)および(c)を繰り返す、段階。
発明の詳細な説明
本発明は、カニクイザル単回投与薬物動態学的(SDPK)研究におけるクリアランスを基準にした/に基づく抗体選択は、FcRnアフィニティークロマトグラフィーとヘパリンアフィニティークロマトグラフィーの組合せを用いることにより、単独の(一次元の)FcRnクロマトグラフィーまたはヘパリンクロマトグラフィーそれぞれと比べて改善できるという知見に、少なくともある程度基づいている。何よりの改善は、許容されるPK特性を有しているにもかかわらず選択されない抗体の数を減らすことにある。
本発明は、FcRnアフィニティークロマトグラフィーとヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを組み合わせることにより、FcRnアフィニティークロマトグラフィーおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーのカラム保持時間の閾値、およびそれによって保持時間範囲を定めることが可能になり、クリアランスの遅い、すなわち体循環半減期の長い抗体を発見できるという知見に、少なくともある程度基づいている。したがって、この組合せにより、とりわけ、体循環半減期の長い抗体の選択の改善、薬物動態学的予測の精度の改善、および体循環半減期が長いにもかかわらず選択されない抗体の数の減少、が可能になる。
本発明は、FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間を、各カラムにおける参照抗体の保持時間に基づいて標準化すると、クリアランスの遅い抗体を主に含む相対保持時間範囲が定まるという知見に、少なくともある程度基づいている。この範囲は、1.78未満のFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間(抗Her3抗体を参照抗体として用いる)および0.87未満のヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間(抗pTau抗体を参照抗体として用いる)によって定まる。
I 定義
本明細書において使用される場合、重鎖および軽鎖のすべての定常領域および定常ドメインのアミノ酸位置は、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)において説明されているKabat番号付与方式に基づいて番号付与され、本明細書において「Kabatに基づく番号付与」と呼ばれる。具体的には、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のKabat番号付与方式(647〜660頁を参照されたい)が、κアイソタイプおよびλアイソタイプの軽鎖定常ドメインCLに対して使用され、KabatのEU指標番号付与方式(661〜723頁を参照されたい)が、定常重鎖ドメインに対して使用される(CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3。これらは、この場合、「KabatのEU指標に基づく番号付与」を参照することにより、本明細書においてさらに明らかにされる)。
ノブイントゥーホール二量体化モジュールおよび抗体工学におけるそれらの使用が、Carter P.; Ridgway J.B.B.; Presta L.G.: Immunotechnology, Volume 2, Number 1, February 1996 , pp. 73-73(1) において説明されている。
ヒト免疫グロブリンの軽鎖および重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的情報は、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)において示されている。
本発明を実施するために有用な方法および技術は、例えば、Ausubel, F.M. (ed.), Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I to III (1997); Glover, N.D., and Hames, B.D., ed., DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (1985), Oxford University Press; Freshney, R.I. (ed.), Animal Cell Culture - a practical approach, IRL Press Limited (1986); Watson, J.D., et al., Recombinant DNA, Second Edition, CHSL Press (1992); Winnacker, E.L., From Genes to Clones; N.Y., VCH Publishers (1987); Celis, J., ed., Cell Biology, Second Edition, Academic Press (1998); Freshney, R.I., Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, second edition, Alan R. Liss, Inc., N.Y. (1987)に記載されている。
組換えDNA技術を使用することにより、核酸の誘導体の作製が可能になる。このような誘導体は、例えば、置換、変更、交換、欠失、または挿入によって、単一またはいくつかのヌクレオチド位置において改変されていてよい。改変または誘導体化は、例えば、部位特異的変異誘発を用いて実施することができる。このような改変は、当業者が容易に実施することができる(例えば、Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A laboratory manual (1999) Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, USA; Hames, B.D., and Higgins, S.G., Nucleic acid hybridization - a practical approach (1985) IRL Press, Oxford, Englandを参照されたい)。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈において特に規定がない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの細胞(a cell)」への言及は、1つの細胞、複数のそのような細胞、および当業者に公知であるその等価物を含み、以下同様である。同様に、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」も、本明細書において同義的に使用され得る。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」が同義的に使用され得ることにも留意すべきである。
用語「約」は、その後に続く数値の±20%の範囲を意味する。1つの態様において、用語、約は、その後に続く数値の±10%の範囲を意味する。1つの態様において、用語、約は、その後に続く数値の±5%の範囲を意味する。
本明細書において使用される用語「決定する(determine)」は、用語、測定する、および解析するも包含する。
用語「含む」は、用語「からなる」も含む。
本明細書における用語「抗体」は、広い意味で使用され、限定されるわけではないが、モノクローナル完全長抗体、および多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体)を含む様々な抗体構造体を、それらがFc領域を有している限り、包含する。
「多重特異性抗体」とは、同じ抗原または2種の異なる抗原上の少なくとも2種の異なるエピトープに対する結合特異性を有している抗体を意味する。多重特異性抗体は、完全長抗体もしくは抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)またはそれらの組合せ(例えば、完全長抗体+付加的なscFv断片もしくはFab断片)として調製することができる。2つ、3つ、またはそれ以上(例えば4つ)の機能的抗原結合部位を有している操作された抗体もまた、報告されている(例えば、US 2002/0004587 A1を参照されたい)。
用語「(抗原への)結合」とは、インビトロアッセイ法での抗体の結合を意味する。1つの態様において、結合は、抗体を表面に結合し、その抗体への抗原の結合を表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定する結合アッセイ法において、測定される。結合とは、例えば、10-8Mまたはそれ未満、いくつかの態様において10-13〜10-8M、いくつかの態様において10-13〜10-9Mの結合親和性(KD)を意味する。用語「結合」は、用語「特異的に結合」も含む。
結合は、BIAcoreアッセイ法(GE Healthcare Biosensor AB, Uppsala, Sweden)によって調査することができる。結合親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体における抗体の会合速度定数)、kd(解離定数)、およびKD(kd/ka)に基づいて定義される。
用語「緩衝物質」は、溶液中に存在する場合、例えば、酸性物質または塩基性物質の添加または放出によって溶液のpH値の変化をなくすことができる物質を意味する。
抗体の「クラス」とは、その重鎖が有している定常ドメインまたは定常領域のタイプを意味する。抗体には5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分類され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
用語「Fc融合ポリペプチド」は、結合ドメイン(例えば、単鎖抗体のような抗原結合ドメインまたは受容体のリガンドのようなポリペプチド)と抗体Fc領域との融合物を意味する。
用語「ヒト由来のFc領域」は、ヒンジ領域についての少なくとも1つの部分、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、ヒト由来の免疫グロブリン重鎖のC末端領域を意味する。1つの態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226またはPro230からカルボキシル末端までに及ぶ。1つの態様において、Fc領域は、SEQ ID NO: 05のアミノ酸配列を有する。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば存在しない場合もある。Fc領域は、鎖間ジスルフィド結合を形成するヒンジ領域システイン残基を介して互いに共有結合することができる2つの重鎖Fc領域ポリペプチドから構成されている。
用語「FcRn」は、ヒト新生児型Fc受容体を意味する。FcRnは、リソソーム分解経路からIgGを救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を長くする。FcRnは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、IgGのFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。IgGとFcRnの相互作用は、pHに厳密に依存しており、1:2の化学量論比で起こり、1つのIgGが、2本の重鎖を介して2つのFcRn分子に結合する(Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083)。FcRn結合は酸性pH(pH<6.5)のエンドソーム中で起こり、中性の細胞表面(pH約7.4)でIgGは遊離される。相互作用のpH感受性の性質のおかげで、エンドソームの酸性環境内での受容体への結合によって、細胞中へ飲作用されるIgGを細胞内分解からFcRnを介して保護することが容易になる。次いで、FcRnは、FcRn-IgG複合体が細胞外の中性pH環境に曝露された際に、細胞表面にIgGをリサイクルし、続いて血流中に遊離するのを促進する。
用語「Fc領域のFcRn結合部分」は、おおよそEU位置243番からEU位置261番、ならびにおおよそEU位置275番からEU位置293番、ならびにおおよそEU位置302番からEU位置319番、ならびにおおよそEU位置336番からEU位置348番、ならびにおおよそEU位置367番からEU位置393番およびEU位置408番、ならびにおおよそEU位置424番からEU位置440番まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、KabatのEU番号付与による以下のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数が変更される:F243、P244、P245、K246、P247、K248、D249、T250、L251、M252、I253、S254、R255、T256、P257、E258、V259、T260、C261、F275、N276、W277、Y278、V279、D280、V282、E283、V284、H285、N286、A287、K288、T289、K290、P291、R292、E293、V302、V303、S304、V305、L306、T307、V308、L309、H310、Q311、D312、W313、L314、N315、G316、K317、E318、Y319、I336、S337、K338、A339、K340、G341、Q342、P343、R344、E345、P346、Q347、V348、C367、V369、F372、Y373、P374、S375、D376、I377、A378、V379、E380、W381、E382、S383、N384、G385、Q386、P387、E388、N389、Y391、T393、S408、S424、C425、S426、V427、M428、H429、E430、A431、L432、H433、N434、H435、Y436、T437、Q438、K439、およびS440(EU番号付与)。
用語「完全長抗体」は、天然の抗体構造に実質的に同様の構造を有する抗体を意味する。完全長抗体は、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む2本の完全長抗体軽鎖ならびに重鎖可変ドメイン、第1の定常ドメイン、ヒンジ領域、第2の定常ドメイン、および第3の定常ドメインを含む2本の完全長抗体重鎖を含む。完全長抗体は、さらなるドメイン、例えば、完全長抗体の鎖のうちの1つまたは複数に結合された付加的なscFvまたはscFabを含んでよい。これらの結合体もまた、完全長抗体という用語に包含される。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は同義的に使用され、外来性核酸が導入された細胞を、そのような細胞の子孫を含めて意味する。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、初代形質転換細胞およびそれに由来する子孫が継代の回数に関わらず含まれる。子孫の核酸内容は親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含んでもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物活性を有している変異子孫は、本明細書において含まれる。
用語「から誘導される(derived from)」は、あるアミノ酸配列が、少なくとも1つの位置に変更を導入することによって親アミノ酸配列から誘導されることを意味する。したがって、誘導されたアミノ酸配列は、少なくとも1つの対応位置(抗体Fc領域に対するKabatのEU指標に基づく番号付与)において、対応する親アミノ酸配列と異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列は、対応位置において、1〜15個のアミノ酸残基が異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列は、対応位置において、1〜10個のアミノ酸残基が異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列は、対応位置において、1〜6個のアミノ酸残基が異なる。同様に、誘導されたアミノ酸配列は、その親アミノ酸配列に対して高いアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列は、80%またはそれより多いアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列は、90%またはそれより多いアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列は、95%またはそれより多いアミノ酸配列同一性を有する。
用語「ヒトFc領域ポリペプチド」は、「ネイティブ」または「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドと同一であるアミノ酸配列を意味する。用語「変異(ヒト)Fc領域ポリペプチド」は、少なくとも1つの「アミノ酸変更」によって「ネイティブ」または「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドから誘導されるアミノ酸配列を意味する。「ヒトFc領域」は、2つのヒトFc領域ポリペプチドからなる。「変異(ヒト)Fc領域」は、2つのFc領域ポリペプチドからなり、両方が変異(ヒト)Fc領域ポリペプチドであってもよく、または一方がヒトFc領域ポリペプチドであり、他方が変異(ヒト)Fc領域ポリペプチドである。
1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 05のヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 06のヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 07のヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 08のヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドのアミノ酸配列を有する。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のFc領域ポリペプチドに由来し、SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のFc領域ポリペプチドと比べて少なくとも1つのアミノ酸変異を有している。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、約1〜約10個のアミノ酸変異、および1つの態様において、約1〜約5個のアミノ酸変異を含む/有している。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のヒトFc領域ポリペプチドに対して少なくとも約80%の相同性を有している。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のヒトFc領域ポリペプチドに対して少なくとも約90%の相同性を有している。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のヒトFc領域ポリペプチドに対して少なくとも約95%の相同性を有している。
SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のヒトFc領域ポリペプチドに由来するFc領域ポリペプチドは、含まれるアミノ酸変更に基づいてさらに定義される。したがって、例えば、用語P329Gは、SEQ ID NO: 05、または06、または07、または08のヒトFc領域ポリペプチドと比べてアミノ酸位置329にプロリンからグリシンへの変異を有する、ヒトFc領域ポリペプチドに由来するFc領域ポリペプチドを意味する。
ヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
変異L234A、変異L235Aを含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
Y349C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
L234A変異、L235A変異およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
L234A変異、L235A変異、およびS354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
P329G変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
L234A変異、L235A変異、およびP329G変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
P329G変異およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
P329G変異およびS354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
L234A変異、L235A変異、P329G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
L234A変異、L235A変異、P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG1 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
ヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S228P変異およびL235E変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S228P変異、L235E変異、およびP329G変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
Y349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S228P変異、L235E変異、およびS354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S228P変異、L235E変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
P329G変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
P329G変異およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
P329G変異およびS354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S228P変異、L235E変異、P329G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
S228P変異、L235E変異、P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を含む、ヒトIgG4 Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 0006907335
「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基およびヒトFRに由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を意味する。特定の態様において、ヒト化抗体は、HVR(例えばCDR)のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト抗体のものに相当し、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト抗体のものに相当する、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域についての少なくとも1つの部分を任意で含んでよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、ヒト化を受けた抗体を意味する。
「単離された」抗体とは、その天然環境の構成要素から分離された抗体である。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換HPLCもしくは逆相HPLC)によって測定した場合に95%または99%を超える純度まで精製される。抗体純度を評価するための方法に関する概要については、例えば、Flatman, S. et al., J. Chrom. B 848 (2007) 79-87を参照されたい。
「単離された」核酸とは、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、その核酸分子は、染色体外に存在するか、または天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同種の抗体集団から得られた抗体を意味する。すなわち、この集団を構成する個々の抗体は、存在し得る変異抗体(例えば、天然に存在する変異を含むか、またはモノクローナル抗体調製物を製造する間に発生し、このような変異体は通常、少量で存在する)を除いて、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法による抗体の製造を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用するためのモノクローナル抗体は、限定されるわけではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部分を含むトランスジェニック動物を使用する方法を含む、様々な技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのこのような方法および他の例示的な方法は、本明細書において説明される。
「天然抗体」とは、様々な構造を有している天然に存在する免疫グロブリン分子を意味する。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2本の同一の軽鎖および2本の同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)とそれに続く3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有している。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)とそれに続く軽鎖定常(CL)ドメインを有している。抗体の軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。
用語「薬学的製剤」は、その中に含まれる有効成分の生物活性が有効になるのを可能にするような形態で存在し、かつその製剤が投与されると思われる対象に対して許容されないほど毒性である追加成分を含まない、調製物を意味する。
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、薬学的製剤中の有効成分以外の成分を意味する。薬学的に許容される担体には、緩衝剤、賦形剤、安定化剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本明細書において使用される用語「プラスミド」は、それが連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を意味する。この用語は、自己複製する核酸構造体としてのプラスミド、ならびに導入された先の宿主細胞のゲノム中に組み入れられるプラスミドを含む。ある種のプラスミドは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。このようなプラスミドは、本明細書において「発現プラスミド」と呼ばれる。
用語「正の直線pH勾配」は、低い(すなわち、酸性が強い)pH値から始まって、高い(すなわち、酸性が弱い、中性、またはアルカリ性の)pH値で終わるpH勾配を意味する。1つの態様において、正の直線pH勾配は、約5.5のpH値から始まり、約8.8のpH値で終わる。
本明細書において使用される用語「組換え抗体」は、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離される、あらゆる抗体(キメラ、ヒト化、およびヒト)を意味する。これは、NS0細胞、HEK細胞、BHK細胞、もしくはCHO細胞などの宿主細胞またはヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体、または宿主細胞中にトランスフェクトされる組換え発現プラスミドを用いて発現させた抗体を含む。このような組換え抗体は、可変領域および定常領域を再配列された形態で有する。本明細書において報告される組換え抗体は、インビボの体細胞超変異に供されてよい。したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVH配列およびVL配列に由来し、かつ関連してはいるものの、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在し得ない配列である。
「固相」は、非流動性物質を意味し、ポリマー、金属(常磁性粒子、強磁性粒子)、ガラス、およびセラミックなどの材料から作製された粒子(微粒子およびビーズを含む);シリカ、アルミナ、およびポリマーゲルなどのゲル物質;ポリマー、金属、ガラス、および/またはセラミック製であり得るキャピラリー;ゼオライトおよび他の多孔性物質;電極;マイクロタイタープレート;ソリッドストリップ;ならびにキュベット、チューブ、または他の分光計用試料容器を含む。「固体支持体」が、ある分子と化学的に相互作用することが意図される少なくとも1つの部分をその表面に含むという点で、アッセイ法の固相構成要素は、不活性な固体表面と区別される。固相は、チップ、チューブ、ストリップ、キュベット、もしくはマイクロタイタープレートなどの静止構成要素であってよく、またはビーズおよび微粒子などの非静止構成要素であってよい。微粒子もまた、均一系アッセイ形式のための固体支持体として使用され得る。タンパク質および他の物質の非共有結合または共有結合の両方を可能にする様々な微粒子が、使用され得る。このような粒子には、ポリスチレンおよびポリ(メチルメタクリラート)などのポリマー粒子;金ナノ粒子および金コロイドなどの金粒子;ならびにシリカ、ガラス、および金属酸化物粒子などのセラミック粒子が含まれる。例えば、参照により本明細書に組み入れられるMartin, C.R., et al., Analytical Chemistry-News & Features, May 1 (1998) 322A-327Aを参照されたい。1つの態様において、固体支持体はセファロースである。
本出願内で使用される用語「価」は、(抗体)分子中に特定の数の結合部位が存在することを意味する。したがって、用語「二価」、「四価」、および「六価」は、(抗体)分子中に2個の結合部位、4個の結合部位、および6個の結合部位が存在することをそれぞれ意味する。本明細書において報告される二重特異性抗体は、1つの好ましい態様において「二価」である。
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体が抗原に結合するのに関与している抗体重鎖または抗体軽鎖のドメインを意味する。一般に、抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、類似した構造を有しており、各ドメインは、4つのフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007), page 91を参照されたい)。単一のVHドメインまたはVLドメインが、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体に由来するVHドメインまたはVLドメインを用いて、相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングして、単離することもできる。例えば、Portolano, S. et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照されたい。
用語「変異体」、「改変抗体」、および「改変融合ポリペプチド」は、親分子のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する分子を意味する。典型的には、このような分子は、1つまたは複数の変更、挿入、または欠失を有する。1つの態様において、改変抗体または改変融合ポリペプチドは、天然に存在しないFc領域の少なくとも1つの部分を含むアミノ酸配列を含む。このような分子は、親抗体または親融合ポリペプチドとの配列同一性が100%未満である。1つの態様において、変異抗体または変異融合ポリペプチドは、親抗体または親融合ポリペプチドのアミノ酸配列とのアミノ酸配列同一性が約75%〜100%未満、特に約80%〜100%未満、特に約85%〜100%未満、特に約90%〜100%未満、および特に約95%〜100%未満であるアミノ酸配列を有する。1つの態様において、親抗体または親融合ポリペプチドと変異抗体または変異融合ポリペプチドとは、1つ(単一の)、2つの、または3つのアミノ酸残基が異なる。
II 本明細書において報告される方法
同一のFc領域を有する抗体のクリアランスは、広範囲に及ぶ。これは、各Fv領域の影響による、すなわち生物物理学的特性によって、速くクリアランスされる抗体とゆっくりクリアランスされる抗体の区別が生じる。
この理論に縛られるわけではないが、FvおよびFcRnが直接的に電荷を介して相互作用することにより、pH7.4におけるFcRnからの抗体の遊離が減少するという仮説が立てられる。
現在、飲作用およびFcRn結合評価の組合せを用いて、抗体の薬物動態を予測/より正確に評価できることが見出されている。これは、FcRnアフィニティークロマトグラフィー(pH勾配溶離)およびヘパリンアフィニティークロマトグラフィー(塩勾配溶離)の組合せによって実現されている。
静脈内免疫グロブリン(IVIG、集められたヒトドナー血清(>1000ドナー)から単離されたIgGのポリクローナル混合物)を、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおいて分離したところ、広い保持時間範囲に及ぶいくつかの幅広いピークを生じた。同じ材料が、FcRnカラムでは細い溶出ピークを示したことから、その中に含まれる各抗体がFcRnに対して類似した結合親和性を有することが示唆された(図4を参照されたい)。
ヘパリンは、著しく負に荷電したグリコサミノグリカン(多糖)であり、上皮細胞を覆う多糖外被の主成分である。
ヘパリン保持時間が最も長い(図4:2)および短い(図4:1)画分を、FcRn野生型マウスおよびFcRnノックアウトマウスで試験した。観察されたクリアランスを、以下の表に示す。
Figure 0006907335
どちらの状況でも、強固なヘパリン結合物の場合に、より多くのクリアランスが認められたことから、より速い飲作用速度が示された。
内因性mIgGと比べてhuIgGに対して顕著に大きな親和性を有するマウスFcRnを発現するマウスモデルでは、FcRnリサイクリングが薬物動態を左右する(この理論に縛られるわけではないが、患者でのシナリオと比べて、内因性mIgGと注入されたhuIgGとの競合が大きく減少している)。FcRnノックアウトマウスでは、FcRnリサイクリングが薬物動態に寄与することはなく、すべての飲作用事象が、飲作用されたIgGの分解をもたらす。したがって、これによって測定されるクリアランスは、注入されたIgG試料の飲作用速度に比例するはずであり、その結果、より顕著に目立つクリアランスが起こる。これらのデータは、ヘパリンカラムの予測と良く相関しており、その結果、飲作用を介した抗体薬物動態の予測因子としてヘパリンカラムが有効であることの証拠が増える。
異なる形態および異なる特異性を有する下記の35種の抗体を作製し、本実施例で報告する方法を用いて解析した。
Figure 0006907335
野生型Fc領域を有する二価の単一特異性IgG1抗体は、2本の抗体軽鎖(それそれが、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む)および2本の抗体重鎖(それぞれが、重鎖可変ドメイン、ヒンジ領域、ならびに重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む)を含む抗体であり、ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2本の抗体重鎖中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよい。1つの態様において、ヒトIgG1 Fc領域は、SEQ ID NO: 05のアミノ酸配列を有する。
KiH-Fc領域を有する二価の二重特異性IgG1抗体は、2本の抗体軽鎖(それそれが、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む)および2本の抗体重鎖(それぞれが、重鎖可変ドメイン、ヒンジ領域、ならびに重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む)を含む抗体であり、ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2本の抗体重鎖中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよく、重鎖のうちの一方はホール変異を含み、それぞれの他方の重鎖はノブ変異を含む。1つの態様において、重鎖Fc領域は、それぞれSEQ ID NO: 09およびSEQ ID NO: 10のアミノ酸配列を有する。
二価二重特異性抗体の重鎖のFc領域中のCH3ドメインは、例えば、WO 96/027011、Ridgway, J.B., et al., Protein Eng. 9 (1996) 617-621;およびMerchant, A.M., et al., Nat. Biotechnol. 16 (1998) 677-681においていくつかの例を用いて詳細に説明されている「ノブイントゥーホール」技術によって変更することができる。この方法では、2つのCH3ドメインの相互作用面を変更して、これら2つのCH3ドメインを含む両方の重鎖のヘテロ二量体化を増加させる。(2本の重鎖の)2つのCH3ドメインのそれぞれが、「ノブ」となることができ、他方が「ホール」である。ジスルフィド架橋の導入により、ヘテロ二量体はさらに安定し(Merchant, A.M., et al., Nature Biotech. 16 (1998) 677-681; Atwell, S., et al., J. Mol. Biol. 270 (1997) 26-35)、収率は上昇する。
抗体重鎖のCH3ドメイン中の変異T366Wは「ノブ変異」と呼ばれ、抗体重鎖のCH3ドメイン中の変異T366S、L368A、Y407Vは、「ホール変異」と呼ばれる(KabatのEU指標に基づく番号付与)。また、例えば、「ノブ変異」を有する重鎖のCH3ドメイン中にY349C変異を導入すること、および「ホール変異」を有する重鎖のCH3ドメイン中にE356C変異またはS354C変異を導入することにより(逆もまた同様)、CH3ドメイン間の追加の鎖間ジスルフィド架橋を使用することもできる(Merchant, A.M., et al., Nature Biotech. 16 (1998) 677-681)。
KiH LALAPG-Fc領域を有する二価の単一特異性IgG1抗体サイトカイン融合物は、2本の抗体軽鎖(それそれが、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む)および2本の抗体重鎖(それぞれが、重鎖可変ドメイン、ヒンジ領域、ならびに重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む)を含む抗体であり、ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2本の抗体重鎖中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよく、重鎖のうちの一方はホール変異を含み、それぞれの他方の重鎖はノブ変異を含み、両方の重鎖は、アミノ酸変異L234A、L235A、およびP329Gをさらに含む。1つの態様において、重鎖Fc領域は、それぞれSEQ ID NO: 18およびSEQ ID NO: 19のアミノ酸配列を有する。
KiH-Fc領域を有する二価の二重特異性CrossMabは、以下を含む抗体である:
(a)第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖、ならびに第2の軽鎖および第2の重鎖の可変ドメインVLおよびVHが互いに入れ替えられている、第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖、または
(b)第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖、ならびに第2の軽鎖および第2の重鎖の定常ドメインCLおよびCH1が互いに入れ替えられている、第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖、
ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、ここで、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2本の抗体重鎖中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよく、重鎖のうちの一方はホール変異を含み、それぞれの他方の重鎖はノブ変異を含む。1つの態様において、重鎖Fc領域は、それぞれSEQ ID NO: 09およびSEQ ID NO: 10のアミノ酸配列を有する。
KiH-LALAPG -Fc領域を有する2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体は、以下を含む抗体である
(a)第1の抗原に特異的に結合する第1のFab断片;
(b)第2の抗原に特異的に結合する第2のFab断片であって、Fab軽鎖およびFab重鎖の可変ドメインVLおよびVHまたは定常ドメインCLおよびCH1が互いに入れ替えられている、第2のFab断片;
(c)第1の抗原に特異的に結合する第3のFab断片;ならびに
(d)第1の重鎖Fc領域および第2の重鎖Fc領域で構成されているFc領域;
ここで、(iii)(a)の第1のFab分子は、Fab重鎖のC末端において、(b)の第2のFab分子のFab重鎖のN末端に融合しており、かつ(b)の第2のFab分子および(c)の第3のFab分子はそれぞれ、Fab重鎖のC末端において、(d)の重鎖Fc領域のうちの一方のN末端に融合しており、
ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2つの抗体重鎖Fc領域中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよく、重鎖Fc領域のうちの一方はホール変異を含み、それぞれの他方の重鎖Fc領域はノブ変異を含み、両方の重鎖Fc領域は、アミノ酸変異L234A、L235A、およびP329Gをさらに含む。1つの態様において、重鎖Fc領域は、それぞれSEQ ID NO: 18およびSEQ ID NO: 19のアミノ酸配列を有する。
KiH-LALAPG-Fc領域を有する三価の二重特異性IgG1-Fab融合物は、以下を含む
(a)第1の抗原に特異的に結合する(かつ、2つのFab断片を含む)、抗体の2本の軽鎖および2本の重鎖、
(b)第2の抗原に特異的に結合する、抗体の1つの付加的なFab断片であって、該付加的なFab断片は、(a)の重鎖のうちの一方のC末端にペプチドリンカーを介して融合されており、
該付加的なFab断片において、可変ドメインVLおよびVHが互いに入れ替えられ、かつ/または定常ドメインCLおよびCH1が互いに入れ替えられている、1つの付加的なFab断片
ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2本の抗体重鎖中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよく、重鎖のうちの一方はホール変異を含み、それぞれの他方の重鎖はノブ変異を含み、両方の重鎖は、アミノ酸変異L234A、L235A、およびP329Gをさらに含む。1つの態様において、重鎖Fc領域は、それぞれSEQ ID NO: 18およびSEQ ID NO: 19のアミノ酸配列を有する。
LALAPG-Fc領域を有するFc領域-サイトカイン融合物は、2つの抗体重鎖Fc領域断片(それそれが、ヒンジ領域についての少なくとも1つの断片ならびに重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む)を含む抗体Fc領域融合物であり、ここで、Fc領域はヒトIgG1 Fc領域であり、Fc領域C末端アミノ酸残基KまたはGKは、2つの抗体重鎖Fc領域断片中に互いとは無関係に存在してもよく、または存在しなくてよく、両方の抗体重鎖Fc領域断片は、アミノ酸変異L234A、L235A、およびP329Gを含む。1つの態様において、重鎖Fc領域は、SEQ ID NO: 15のアミノ酸配列を有する。
日内の、個人内の、および研究室内の差異を均一化するために、保持時間を、各アフィニティーカラムにおいて参照抗体に対して標準化した。
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムの場合、SEQ ID NO: 01の重鎖およびSEQ ID NO: 02の軽鎖を有する抗pTau抗体を選択した。この抗体は、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおいて比較的長い保持時間を示し、その結果、相対保持時間の計算が安定する。
FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムの場合、SEQ ID NO: 03の重鎖およびSEQ ID NO: 04の軽鎖を有する抗Her3抗体の酸化型変異体を含む調製物を選択した。この抗体は、Stracke, J., et al. (mAbs 6 (2014) 1229-1242)で使用されている抗体と類似したAUC分布を有していることから、選択した。35種の抗体について、FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムおよびヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間を測定した。さらに、単回投与薬物動態をカニクイザルにおいて測定した。これらの結果を下記の表に提示する(前記と同じ抗体配列)。
Figure 0006907335
以下のようにクリアランスを順位付けする:
速い:>12mL/kg/日;
ボーダーライン:8〜12mL/kg/日
許容範囲:2.5≦X<8mL/kg/日;
非常に良い:<2.5mL/kg/日。
下記の表において、2種類のアフィニティークロマトグラフィーの個別の単独の結果に基づけば、括弧内の抗体は選択されなかったと思われること;薬物動態学的測定に基づけば、「クリアランス」の列の括弧内の抗体は選択されなかったと思われること、が示されている。
Figure 0006907335
下記の表において、これらの結果は、各カラムにおける相対保持時間に基づいて与えられている。選択されない抗体は、括弧内に示している。
Figure 0006907335
Figure 0006907335
保持時間と薬物動態学的挙動の相関を図2に示している。2種のアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間と薬物動態学的挙動との間に今まで知られていなかった相関が存在していることを認めることができる。クリアランスの遅い抗体を主に含む範囲は、1.78未満のFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間(抗Her3抗体を参照抗体として用いる)および0.87未満のヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間(抗pTau抗体を参照抗体として用いる)によって定められることが見出されている。図に示した閾値との各相関関係を図3に示している。
下記の表において、次の4種の方法によって選択されなかった抗体(括弧内)をそれぞれ示している:単独のヘパリンアフィニティークロマトグラフィーに基づく方法(列1)、単独のFcRnアフィニティークロマトグラフィーに基づく方法(列2)、SDPKクリアランスに基づく方法(列3)、および本明細書において報告される本発明の方法での、相互に独立した2種のアフィニティーカラムにおける相関付けられた保持時間に基づく方法。
Figure 0006907335
したがって、本発明による方法を用いると、体循環半減期の長い抗体の選択の改善、薬物動態学的予測の精度の改善、および体循環半減期が長いにもかかわらず選択されない抗体の数の減少、を実現することができる。
当技術分野において公知のバキュロウイルスに基づくアッセイ法を用いる場合、約50%の抗体しか正確に予測されない。
したがって、動物での薬物動態学的研究を実施する必要なく、本発明による方法を用いて、薬物動態学的特性が良好な、Fc領域融合ポリペプチドを含む抗体を同定することができる。
したがって、本発明は、(ヒトにおける)治療物質として使用するために適した全身クリアランスを(カニクイザルにおいて)有する抗体を選択するための方法を含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)抗体を含む試料を任意で提供する段階;
(b)正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第1の参照抗体の保持時間を基準にしたFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける抗体の相対保持時間が、第1の閾値未満である場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第2の参照抗体の保持時間に対するヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける抗体の保持時間の比率が、第2の閾値未満である場合に、
その抗体を選択する段階。
本発明は、(ヒトにおける)治療物質として使用するために適した全身クリアランスを(カニクイザルにおいて)有する、少なくとも1つの抗原に(特異的に)結合する抗体を選択するための方法をさらに含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)様々な形態の抗体を提供する段階;
(b)(a)の様々な抗体形態のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第1の参照抗体の保持時間を基準にしたFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、第1の閾値未満であり、かつ
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第2の参照抗体の保持時間に対するヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間の比率が、第2の閾値未満である、
抗体形態を選択する段階。
本発明は、(ヒトにおける)治療物質として使用するために適した全身クリアランスを(カニクイザルにおいて)有する、少なくとも1つの抗原に(特異的に)結合する抗体を選択するための方法をさらに含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)(i)異なるCDR配列を有する、または
(ii)同一のCDR配列を有し、異なる可変ドメイン配列を有する、または
(iii)異なる形態において同一のCDR配列を有する、
少なくとも1つの抗原に結合する少なくとも2つの抗体を提供する段階;
(b)(a)の様々な抗体のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第1の参照抗体の保持時間を基準にしたFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、第1の閾値未満であり、かつ
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける第2の参照抗体の保持時間に対するヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間の比率が、第2の閾値未満である、
抗体を選択する段階。
1つの態様において、第1の参照抗体は、酸化型抗体調製物である。1つの態様において、酸化型抗体調製物は、非酸化型の重鎖CH2ドメインの252位のメチオニン残基を基準にして、モノ酸化型(252位の2つのメチオニンのうちの1つだけが酸化されている)およびバイ酸化型(252位の両方のメチオニン残基が酸化されている)の抗体を含む調製物である(Kabatに基づく番号付与)。1つの態様において、相対保持時間は、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
式中、trel,iは、抗体の相対保持時間であり、tiは、抗体の保持時間である。1つの態様において、第1の参照抗体は、SEQ ID NO: 03のアミノ酸配列を有する重鎖およびSEQ ID NO: 04のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する抗Her3抗体である。1つの態様において、第1の閾値は2である。1つの態様において、第1の閾値は1.8である。1つの態様において、第1の閾値は1.78である。
1つの態様において、第2の参照抗体は、SEQ ID NO: 01のアミノ酸配列を有する重鎖およびSEQ ID NO: 02のアミノ酸配列を有する軽鎖を有する抗pTau抗体である。1つの態様において、第2の閾値は1である。1つの態様において、第2の閾値は0.8である。1つの態様において、第2の閾値は0.78である。
1つの態様において、(ヒトにおける)治療的用途に適した、すなわち抗体を治療物質として使用できる、カニクイザルにおける全身クリアランスは、8mL/kg/日またはそれ未満である。1つの態様において、全身クリアランスは、8mL/kg/日未満である。1つの態様において、全身クリアランスは、6mL/kg/日未満である。
1つの態様において、カニクイザルにおいて8mL/kg/日未満の全身クリアランスを有する抗体を選択するための方法は、以下の段階を含む:
(a)抗体を含む試料を任意で提供する段階;
(b)正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
その抗体を選択する段階。
1つの態様において、段階(c)(i)の相対保持時間は、図1に記載のピーク定義に基づき、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
(trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tピーク2:図1に記載の部分的に酸化された抗Her3抗体のピーク2の保持時間、tピーク3:図1に記載の抗Her3抗体のピーク3の保持時間)。
1つの態様において、段階(c)(ii)の相対保持時間は、以下の式に基づいて計算される:
Figure 0006907335
(trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tpTau:抗pTau抗体のピークの保持時間)。
1つの態様において、新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の固定された非共有結合性複合体が、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーにおいてアフィニティークロマトグラフィーリガンドとして使用され、
その際、新生児型Fc受容体およびβ-2-ミクログロブリンの非共有結合性複合体は、クロマトグラフィー材料に結合され、この非共有結合性複合体は、特異的結合対を介して固相に結合されており、
pH勾配は、第1のpH値から第2のpH値までであり、第1のpH値はpH3.5〜pH6.4であり、第2のpH値はpH7.4〜pH 9.5であり、かつ
新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の非共有結合性複合体は、モノビオチン化され、固相はストレプトアビジンで誘導体化されている。
1つの態様において、pH勾配は、第1のpH値から第2のpH値までであり、第1のpH値はpH5.5であり、第2のpH値はpH8.8である。
1つの態様において、抗体は、2つの抗原に結合している。
1つの態様において、方法は、以下の段階をさらに含む:
(d)提供された抗体または抗体形態のいずれも、段階(c)の判定基準を満たさない場合に、少なくとも1つのさらなる抗体形態または抗体を提供し、段階(b)および(c)を繰り返す、段階。
1つの態様において、FcRnアフィニティークロマトグラフィーは、FcRnとβ-2-ミクログロブリンの複合体に結合されたストレプトアビジンセファロース(3mg複合体/1mlのセファロース)を含み、長さが約50mmであり内径が約4.6mmであるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムを用いて実施される。1つの態様において、FcRnアフィニティークロマトグラフィーは、次のように実施される:(i)30μgの試料を、pH5.5に調整された140mM NaCl含有20mM MES緩衝液で平衡にしたFcRnアフィニティーカラムにアプライする; (ii)pH5.5に調整された140mM NaCl含有20mM MES緩衝液を80%(v/v)およびpH8.8に調整された140mM NaCl含有20mM Tris/HClを20%(v/v)含む緩衝液を用いて、0.5mL/分の流速で10分間、カラムを洗浄する; (iii)段階(ii)の緩衝液から、pH5.5に調整された140mM NaCl含有20mM MES緩衝液を30%(v/v)およびpH8.8に調整された140mM NaCl含有20mM Tris/HClを70%(v/v)含む緩衝液までの直線勾配を用いて、0.5mL/分の流速で溶出させ、保持時間を測定する。
1つの態様において、酸化型抗Her3抗体調製物は、抗Her3抗体を0.02%過酸化水素溶液と共に室温で18時間インキュベーションすることによって得られる。
1つの態様において、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーは、ヒドロキシル化メタクリル酸ポリマー上の硫酸化グリコサミノグリカンに結合されたヘパリンを含み、長さが約50mmであり内径が約5mmであるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムを用いて実施される。1つの態様において、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーは、次のように実施される:(i)低塩緩衝液(≦25mMイオン強度)に溶かした20〜50μgのタンパク質試料を、室温で、pH7.4に調整された50mM TRIS緩衝液で予め平衡にしたヘパリンアフィニティーカラムにアプライする;(ii)pH7.4に調整された1000mM NaCl含有50mM TRIS緩衝液の0〜100%の直線勾配を32分間にわたって用いて0.8mg/mLの流速で溶出させる。
1つの態様において、β-2-ミクログロブリンは、FcRnと同じ種に由来する。
本明細書において使用されるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムは、マトリックスおよびマトリックスに結合されたクロマトグラフィー用の官能基を含み、その際、マトリックスに結合されたクロマトグラフィー用の官能基は、新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリンの非共有結合性複合体を含む。
本明細書での1つの態様において、FcRnは、ヒトFcRn、カニクイザルFcRn、マウスFcRn、ラットFcRn、ヒツジFcRn、イヌFcRn、ブタFcRn、ミニブタFcRn、およびウサギFcRnより選択される。
1つの態様において、β-2-ミクログロブリンは、FcRnと同じ種に由来する。
1つの態様において、β-2-ミクログロブリンは、FcRnとは異なる種に由来する。
1つの態様において、抗体は、完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、抗体-サイトカイン融合ポリペプチド、Fc領域-サイトカイン融合ポリペプチド、および抗体-Fab融合ポリペプチドからなる群より選択される。
1つの態様において、抗体は、ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せからなる群より選択されるFc領域を含む。
1つの態様において、抗体形態は、完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、および直接的またはペプチドリンカーを介して1個、2個、または3個の付加的なFab分子、scFv分子、scFab分子、CrossFab分子に融合されている前記のいずれか、からなる群より選択される。
1つの態様において、抗体形態は、ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せからなる群より選択されるFc領域を含む。
1つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。
1つの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。
1つの態様において、抗体は、キメラ抗体である。
通常、C末端にHis-Aviタグ(SEQ ID NO: 32)を有するFcRnの可溶性細胞外ドメイン(ヒトFcRnの場合SEQ ID NO: 31)が、哺乳動物細胞においてβ2-ミクログロブリン(ヒトβ-2-ミクログロブリンの場合SEQ ID NO: 33)と同時発現された。FcRn-ミクログロブリン非共有結合性複合体がビオチン化され、ストレプトアビジン誘導体化セファロース上に載せられた。
原理的には、本明細書において報告される方法において、任意の緩衝物質を使用することができる。
電荷とヘパリン/FcRn結合の関係、およびそれによって薬物動態をさらに解明するために、抗体Fvにおいて通常認められる電荷の生物物理学的間隔および疎水性を網羅する、抗体5番の変異体を合成した。
正に荷電したパッチを有する変異体は、強固なヘパリンカラム保持およびFcRnカラム保持を示した(FcRnカラムについての相対保持は0.5およびそれより大きく、ヘパリンカラムにおける相対保持は0.8またはそれより大きい)ことから、速いクリアランスが予測される。
負に荷電したパッチを有する変異体は、弱いヘパリンカラム保持およびFcRnカラム保持を示した(FcRnカラムについての相対保持は0.25およびそれ未満であり、ヘパリンカラムにおける相対保持は0.6またはそれ未満)ことから、遅いクリアランスが予測される。
負に荷電したパッチおよび正に荷電したパッチを組み合わせた場合、結果として生じる抗体変異体は、正に荷電したパッチのみを有するかのように挙動する。
野生型抗体5番およびその4種の変異体について、FcRnノックアウトマウスにおけるクリアランスを測定した(図5および6)。正に荷電したパッチを有する試験した3種の変異体はすべて、野生型抗体5番と比べて非常に高レベルのクリアランスをFcRnノックアウトマウスにおいて示し、これはカラム保持と良く相関している。負に荷電したパッチを有する変異体は、このマウスモデルにおいて有意に減少したクリアランスを示し、これもまた、カラム保持と良く相関している。
「パッチ状態」がクリアランスに与える効果(すなわち、均一な電荷分布とは異なり電荷パッチを形成する表面電荷の濃度の効果)を明らかにするために、抗体5番の5種の変異体を作製した。これらの変異体では、正電荷および負電荷の合計数は不変のままであるが、Fab表面での電荷の分布は、「均一」から「パッチ状」に漸増的に変えられた。
正に荷電したパッチおよび負に荷電したパッチの両方を作製したが、ヘパリンカラム保持は、パッチ状態が増えるにつれて、増大した。このことから、既に上記で認められたように、負に荷電したパッチと比べて正に荷電したパッチの影響の方が大きい、またはさらに優勢であることが示される。これらの変異体について計算されたpIは、ほぼ不変であるが、最もパッチ状の変異体のFcRnノックアウトマウスにおけるクリアランスは、電荷分布が最も均一な変異体よりも有意に速い(ほぼ2倍、図7)。この理論に縛られるわけではないが、これらのデータから、「パッチ状態」またはもっと正確に言えば、正に荷電したパッチの影響によって、かなり広範であり、したがって薬物動態の予測因子として良くないpIと比較して、クリアランスが決まることが示唆される。
常に正に荷電したアミノ酸リジンおよびアルギニンをpH依存的に荷電したヒスチジンで置換する影響を明らかにするために、HC Fvの正に荷電したアミノ酸残基すべてがヒスチジンで置換された(合計7個の変更)、抗体5番の変異体を作製した。ヘパリンカラム相対保持時間およびFcRnカラム相対保持時間ならびにインビボ薬物動態に基づいて、これを野生型抗体5番と比較した。
この理論に縛られるわけではないが、中性pHの血清中で、ヒスチジンの電荷は主に中性であり、したがって、負に荷電した多糖外被への結合が、続いて飲作用速度が低減すると想定されている。酸性エンドソーム内では、ヒスチジンは主に正に荷電しており、したがって、Fv-FcRn結合活性を介したFcRnへの結合に寄与する。リサイクルされると、ヒスチジン変異IgGは、細胞表面に運ばれ、そこでFcRnから効率的に解離することが、良好な薬物動態のために必要である。この時点で血清の中性pHに曝露されるヒスチジンは、脱プロトン化され、したがって、FcRnとの結合活性相互作用が弱まって、血清への放出の改善が可能になる。
ヒスチジン変異体がヘパリン保持の減少を示したのに対し、FcRn保持はほとんど不変のままであることが見出されている(図8)。この理論に縛られるわけではないが、このことは、pH依存性を反映している。
FcRnノックアウトマウスにおいて、ヒスチジン変異体のインビボクリアランスは、野生型抗体と比べて有意に減少している(図9および10)。
本発明は、親抗体と同じ抗原に(特異的に)結合し、親抗体の全身クリアランスとは異なる全身クリアランスを有し、かつその薬物動態学的特性に基づき、(ヒトにおける)治療物質として適切である、親抗体の変異抗体を選択するための方法もさらに含み、この方法は、以下の段階を含む:
(a)Fv断片の電荷分布が、
(i)少なくとも1つの(常に)負に荷電したアミノ酸残基もしくは荷電していないアミノ酸残基を、(常に)正に荷電したアミノ酸残基に変更すること、または
(ii)少なくとも1つの(常に)正に荷電したアミノ酸残基もしくは荷電していないアミノ酸残基を、(常に)負に荷電したアミノ酸残基に変更すること、または
(iii)少なくとも1つの(常に)荷電したアミノ酸残基を、反対の電荷を有するアミノ酸残基に変更すること、または
(iv)少なくとも1つの常に荷電したアミノ酸残基を、pH依存的に荷電したアミノ酸残基に変更すること、または
(v)(i)〜(iv)の組合せ
によって変更されている、親抗体の少なくとも1種の変異抗体を提供する段階;
(b)親抗体の全身クリアランスとは異なる全身クリアランスを有し、かつ(ヒトにおける)治療物質として適切である、変異抗体を選択する段階。
1つの態様において、この方法は、以下の付加的な段階を含む:
(b)親抗体および少なくとも1種の変異抗体を用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、(同じ溶出条件下での)(同じ)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける親抗体の保持時間より短いか、または
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、(同じ溶出条件下での)(同じ)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける親抗体の保持時間より短いか、または
(iii)(i)および(ii)の両方である、
変異抗体を選択する段階。
1つの態様において、この方法は、以下の付加的な段階を含む:
(b)親抗体および少なくとも1種の変異抗体を用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、(同じ溶出条件下での)(同じ)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける親抗体の保持時間より長いか、または
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、(同じ溶出条件下での)(同じ)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける親抗体の保持時間より長いか、または
(iii)(i)および(ii)の両方である、
変異抗体を選択する段階。
1つの態様において、この方法は、以下の付加的な段階を含む:
(b)親抗体および少なくとも1種の変異抗体を用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
(c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、(同じ溶出条件下での)(同じ)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける親抗体の保持時間より短いもしくは長いか、または
(ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、(同じ溶出条件下での)(同じ)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける親抗体の保持時間より短いもしくは長いか、または
(iii)(i)および(ii)の両方であって、(i)で相対保持時間が短く、(ii)で相対保持時間が長いか、もしくは逆である、
変異抗体を選択する段階。
1つの態様において、変異抗体は、少なくとも1つの付加的な負に荷電したパッチを、その(溶媒にさらされた)表面に有している。
抗体の(溶媒にさらされた)表面の荷電パッチを測定するために、様々な方法および手段が当業者には公知である。様々な販売業者および学術的グループによって提供されている手段がある。例えば、本明細書において、X線構造またはホモロジーモデル、続いて酸性アミノ酸側鎖および塩基性アミノ酸側鎖のpHプロトン化、ならびにソフトウェアスイートDiscovery Studio(販売業者: Dassault Systems)において実行されるソフトウェアCHARMMおよびDelphiを用いた3D電荷分布の計算に基づくインシリコ計算法を使用した。
1つの態様において、変異抗体は、少なくとも1つの付加的な正に荷電したパッチを、その(溶媒にさらされた)表面に有している。
1つの態様において、変異抗体は、親抗体と同じ(表面)実効電荷を有している。
1つの態様において、(常に)負に荷電したアミノ酸残基は、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群より選択される。
1つの態様において、(常に)正に荷電したアミノ酸残基は、アルギニンおよびリジンからなる群より選択される。
1つの態様において、pH依存的に荷電したアミノ酸残基は、ヒスチジンである。
1つの態様において、常に荷電したアミノ酸残基は、pH6〜pH8のpH範囲で同じ(実効)電荷を有している。
1つの態様において、pH依存的に荷電したアミノ酸残基は、pH 6で第1の(実効)電荷を有し、pH8で第2の反対の(実効)電荷を有する。
FcRnカラムにおける相対保持時間を計算するためのピークの定義である。 ヘパリンカラム相対保持に対してプロットしたFcRn相対保持である。バツ印:クリアランス>12mL/kg/日(「速い」);塗りつぶした四角:8〜12mL/kg/日の間のクリアランス(「ボーダーライン」);塗りつぶした丸:2.5mL/kg/日より多いが8mL/kg/日より少ないクリアランス;塗りつぶした星:2.5mL/kg/日またはそれ未満のクリアランス。 ヘパリンカラム相対保持に対してプロットしたFcRn相対保持である。バツ印(×):クリアランス>12mL/kg/日(「速い」);塗りつぶした四角:8〜12mL/kg/日の間のクリアランス(「ボーダーライン」);塗りつぶした丸:2.5mL/kg/日より多いが8mL/kg/日より少ないクリアランス;塗りつぶした星:2.5mL/kg/日またはそれ未満のクリアランス。縦線は、治療的に適したクリアランスに対応する保持時間範囲を示す(左下の象限、FcRn<1.78;ヘパリン<0.87)。 IVIG(intravenous immunoglobulin)の、ヘパリンカラム相対保持に対してプロットしたFcRn相対保持である。2:ヘパリン結合が最大である画分;1:ヘパリン結合が最小である画分。 抗体5番およびその変異体の、ヘパリンカラム相対保持に対してプロットしたFcRn相対保持である。1:野生型抗体;20:負にパッチ化したHC変異体;27:正にパッチ化したHC変異体;112:正にパッチ化したLC変異体;183:正にパッチ化したHC変異体。 FcRnノックアウトマウスにおける抗体5番およびその変異体のクリアランスである。1:野生型抗体;20: 負にパッチ化したHC変異体;27:正にパッチ化したHC変異体;112:正にパッチ化したLC変異体;183:正にパッチ化したHC変異体。 FcRnノックアウトマウスにおける抗体5番の非パッチ状変異体およびパッチ状変異体の時間依存性血清濃度である。 抗体5番およびそのヒスチジン変異体の、ヘパリンカラム相対保持に対してプロットしたFcRn相対保持である。 FcRnノックアウトマウスにおける抗体5番およびそのHCヒスチジン変異体の時間依存性血清濃度である。 FcRnノックアウトマウスにおける抗体5番およびそのHCヒスチジン変異体のクリアランスである。
以下の実施例、図面、および配列は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲において説明される。本発明の精神から逸脱することなく、説明される手順に修正を加えてよいことが理解される。
材料および方法
抗体
これらの実験で使用される参照抗体は、SEQ ID NO: 01の重鎖アミノ酸配列およびSEQ ID NO: 02の軽鎖アミノ酸配列を有する抗pTau抗体、ならびにSEQ ID NO: 03の重鎖アミノ酸配列およびSEQ ID NO: 04の軽鎖アミノ酸配列を有する抗Her3抗体であった。.
合成遺伝子は、Geneart(Life technologies GmbH, Carlsbad, CA, USA)で作製された。
本明細書において使用されるモノクローナル抗体は、HEK293細胞において一過性に発現させ(下記を参照されたい)、標準手順を用いたプロテインAクロマトグラフィーによって、精製を行った(下記を参照されたい)。
生化学的特徴付けは、サイズ排除クロマトグラフィー(Waters BioSuite(商標) 250 7.8×300mm、溶出剤: 200mM KH2PO4、250mM KCl、pH 7.0)およびBioAnalyzer 2100(Agilent technologies, Santa Clara, CA,USA)を用いた分子量分布の解析を含んだ。
発現プラスミド
前述の抗体を発現させるために、CMV-イントロンAプロモーターを含むもしくは含まないcDNA構成、またはCMVプロモーターを含むゲノム構成のいずれかに基づく、(例えば、HEK293-Fにおける)一過性発現細胞のための発現プラスミドの変異体を使用した。
抗体発現カセットのほかに、これらのプラスミドは以下を含んだ:
-大腸菌(E. coli)におけるこのプラスミドの複製を可能にする複製起点、
-大腸菌にアンピシリン耐性を与えるβ-ラクタマーゼ遺伝子、および
-真核細胞における選択マーカーとしての、ハツカネズミ(Mus musculus)に由来するジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子。
抗体遺伝子の転写単位は、以下のエレメントから構成された:
-5'末端の独特な制限部位
-ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
-続いて、cDNA構成の場合、イントロンA配列、
-ヒト抗体遺伝子の5’非翻訳領域、
-免疫グロブリンの重鎖シグナル配列、
-cDNAとしての、または免疫グロブリンのエキソン-イントロン構成を有するゲノム構成としてのいずれかの、ヒト抗体鎖、
-ポリアデニル化シグナル配列を有する3'非翻訳領域、ならびに
-3'末端の独特な制限部位。
抗体鎖を含む融合遺伝子をPCRおよび/または遺伝子合成によって作製し、公知の組換え法および組換え技術により、例えば、各プラスミド中の独特な制限部位を用いて、一致する核酸セグメントを連結することによって、組み立てた。サブクローニングした核酸配列は、DNA配列決定によって確認した。一過性トランスフェクションのために、形質転換された大腸菌培養物からのプラスミド調製によって、より多量のプラスミドを調製した(Nucleobond AX, Macherey-Nagel)。
細胞培養技術
Current Protocols in Cell Biology (2000), Bonifacino, J.S., Dasso, M., Harford, J.B., Lippincott-Schwartz, J. and Yamada, K.M. (eds.), John Wiley & Sons, Inc.に説明されているように、標準的な細胞培養技術を使用した。
HEK293-F系における一過性トランスフェクション
製造業者の取扱い説明書に従ってHEK293-F系(Invitrogen)を用いて、(例えば、重鎖および対応する軽鎖をコードする)各プラスミドで一過性トランスフェクションすることによって、抗体を作製した。簡単に説明すると、振盪フラスコまたは撹拌発酵槽のいずれかにおいて、無血清FreeStyle(商標)293発現培地(Invitrogen)に懸濁した状態で増殖するHEK293-F細胞(Invitrogen)を、各発現プラスミドおよび293フェクチン(商標)またはフェクチン(Invitrogen)の混合物を用いてトランスフェクトした。2L容振盪フラスコ(Corning)の場合、600mL中に1×106細胞/mLの密度でHEK293-F細胞を播種し、120rpm、8%CO2でインキュベートした。翌日、約1.5×106細胞/mLの細胞密度の細胞を、(A)それぞれ重鎖および等モル比の対応する軽鎖をコードする全プラスミドDNA(1μg/mL)600μgを含むOpti-MEM(Invitrogen)20mL、ならびに(B)Opti-MEM 20ml+293フェクチンまたはフェクチン(2μL/mL)1.2mLの混合物約42mLを用いてトランスフェクトした。グルコース消費に応じて、発酵の過程でグルコース溶液を添加した。分泌された抗体を含む上清を5〜10日後に回収し、抗体を上清から直接的に精製するか、または上清を凍結し、保存した。したがって、以下の抗体を作製した:
Figure 0006907335
精製
MabSelectSure-Sepharose(商標)(GE Healthcare, Sweden)を用いるアフィニティークロマトグラフィー、ブチルセファロース(GE Healthcare, Sweden)を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー、およびSuperdex 200サイズ排除(GE Healthcare, Sweden)クロマトグラフィーによって、抗体を細胞培養上清から精製した。
簡単に説明すると、滅菌ろ過した細胞培養上清を、PBS緩衝液(10mM Na2HPO4、1mM KH2PO4、137mM NaCl、および2.7mM KCl、pH7.4)を用いて平衡化したMabSelectSuRe樹脂上に捕捉し、平衡化緩衝液で洗浄し、pH3.0の25mMクエン酸ナトリウムを用いて溶出させた。溶出された抗体画分を集め、2M Tris、pH9.0で中和した。1.6M硫酸アンモニウム溶液を最終濃度が0.8M硫酸アンモニウムとなるように添加することによって、抗体プールを疎水性相互作用クロマトグラフィーのために準備し、酢酸を用いてpHをpH5.0に調整した。ブチルセファロース樹脂を35mM酢酸ナトリウム、0.8M硫酸アンモニウム、pH5.0で平衡化した後、抗体を樹脂にアプライし、平衡化緩衝液で洗浄し、35mM酢酸ナトリウムpH5.0までの直線勾配を用いて溶出させた。抗体を含む画分を集め、20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0で平衡化したSuperdex 200 26/60 GL(GE Healthcare, Sweden)カラムを用いるサイズ排除クロマトグラフィーによって、さらに精製した。抗体を含む画分を集め、Vivaspin限外ろ過器具(Sartorius Stedim Biotech S.A., France)を用いて必要とされる濃度まで濃縮し、-80℃で保存した。
純度および抗体の完全性を、各精製段階の後に、マイクロ流体Labchip技術(Caliper Life Science, USA)を用いるCE-SDSによって解析した。5μlのタンパク質溶液を、製造業者の取扱い説明書に従ってHTタンパク質高速試薬キットを用いるCE-SDS解析のために調製し、HTタンパク質高速チップを用いてLabChip GXIIシステムにおいて解析した。データは、LabChip GXソフトウェアを用いて解析した。
マウス
マウスFcRn α鎖遺伝子が欠損しているがヒトFcRn α鎖遺伝子についてヘミ接合トランスジェニックであるB6.Cg-Fcgrttm1Dcr Tg(FCGRT)276Dcrマウス(muFcRn-/- huFcRn tg +/-、276系統)を、薬物動態学的研究のために使用した。マウスの飼育は、病原体の存在しない特殊な条件下で実施した。マウスは、Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME, USA)から入手した(雌、4〜10週齢、投薬時の体重17〜22 g)。動物実験はすべて、Government of Upper Bavaria, Germanyによって承認され(許可番号55.2-1-54-2532.2-28-10)、実験動物の管理と使用に関する欧州連合規範(European Union Normative for Care and Use of Experimental Animals)に従って、AAALAC公認の動物施設において実施した。これらの動物は、標準的なケージに入れられ、研究期間を通じて、食物および水を自由に利用できた。
薬物動態学的研究
10mg/kgの用量レベルで、外側尾静脈を介して1回量の抗体を静脈内注射した。マウスを、それぞれマウス6匹の3グループに分けて、合計9回の血清採取時点(投与後0.08、2、8、24、48、168、336、504、および672時間の時点)をカバーした。各マウスを、Isoflurane(商標)(CP-Pharma GmbH, Burgdorf, Germany)を用いた浅麻酔のもとで実施される後眼窩採血に2回供した;第3の血液試料は、安楽死させる時点に採取した。血液は、血清チューブ中に採取した(Microvette 500Z-Gel, Sarstedt, Numbrecht, Germany)。2時間のインキュベーション後、試料を9,300gで3分間遠心分離して、血清を得た。遠心分離後、解析するまで血清試料を-20℃で凍結保存した。
ヒト抗体血清濃度の測定
マウス血清中のウステキヌマブ、ブリアキヌマブ、mAb 8、およびmAb 9の濃度を、特異的酵素結合免疫測定法によって測定した。これらの抗体に特異的なビオチン化インターロイキン12およびジゴキシゲニン標識抗ヒトFcマウスモノクローナル抗体(Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)を、捕捉および検出のためにそれぞれ使用した。ストレプトアビジンで被覆されたマイクロタイタープレート(Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)を、アッセイ用緩衝液で希釈したビオチン化捕捉抗体(Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)で1時間被覆した。洗浄後、様々な希釈率の血清試料を添加し、続いて、1時間のさらなるインキュベーション段階を行った。洗浄を繰り返した後、検出抗体との、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP; Roche Diagnostics, Penzberg, Germany)に結合された抗ジゴキシゲニン抗体とのインキュベーションを続けて行うことにより、結合したヒト抗体を検出した。ABTS (2,2’アジノ-ジ[3-エチルベンズチアゾリンスルホナート] (2,2'Azino-di[3-ethylbenzthiazoline sulfonate]); Roche Diagnostics, Germany)をHRP基質として使用して、有色の反応生成物を形成させた。得られた反応生成物の吸光度を、Tecan社のサンライズプレートリーダー(Mannedorf, Switzerland)を用いて、参照波長を490nmとして405nmで読み取った。
血清試料、陽性対照試料、および陰性対照試料はすべて、2つ1組にして解析し、参照標準に対して較正した。
薬物動態学的(PK)解析
WinNonlin(商標)1.1.1 (Pharsight, CA, USA)を用いて、ノンコンパートメント解析によって薬物動態パラメーターを計算した。
手短に言えば、抗体が非線形に減少したため、対数台形法によって曲線下面積(AUC0〜無限時間)の値を計算し、見かけの終末相速度定数λzを用いて、最終時点に観察された濃度からの外挿により、無限時間まで外挿した。
投与速度(D)をAUC0〜無限時間で割ることによって、血漿クリアランスを計算した。見かけの終末相半減期(T1/2)は、式T1/2=ln2/λzから導き出した。
実施例1
FcRnアフィニティーカラムの調製
HEK293細胞におけるFcRnの発現
FcRnおよびβ-2-ミクログロブリンのコード配列を含む2つのプラスミドを用いてHEK293細胞をトランスフェクションすることによって、FcRnを一過性に発現させた。トランスフェクトされた細胞を、36.5℃、120rpm(振盪機の振幅5cm)、80%湿度、および7%CO2で、振盪フラスコ中で培養した。2〜3日毎に、細胞を3〜4×105細胞/mlの濃度に希釈した。
一過性発現のために、14L容のステンレス鋼バイオリアクターを、培養体積8リットル、36.5℃、pH7.0±0.2、pO2 35%(N2および空気をガス供給、合計ガス流量200ml/分)、および撹拌速度100〜400rpmの条件で開始した。細胞密度が20×105細胞/mlに達した場合、プラスミドDNA 10mg(等モル量の両方のプラスミド)をOpti-MEM(Invitrogen)400ml中で希釈した。293フェクチン(Invitrogen)20mlをこの混合物に添加し、次いで、室温で15分間インキュベートし、続いて、発酵槽に移した。翌日以降、これらの細胞に連続的に栄養素を供給した:供給溶液を500ml/日の速度で添加し、2g/lを上回るレベルを維持するように必要に応じてグルコースを添加した。トランスフェクション後7日目に、1L容バケツ付きスイングヘッド遠心分離機を4000rpmで90分間用いて、上清を回収した。Sartobran Pフィルター(0.45μm+0.2μm、Sartorius)によって上清(13L)を清澄化し、FcRn β-2-ミクログロブリン複合体をそれから精製した。
新生児型Fc受容体のビオチン化
FcRn β-2-ミクログロブリン複合体3mgを、150mM塩化ナトリウムを含有する20mMリン酸二水素ナトリウム緩衝液5.3 mL中で溶解/希釈し、PBS 250μlおよび1錠のコンプリートプロテアーゼインヒビター(コンプリートULTRA錠、Roche Diagnostics GmbH)に添加した。製造業者の取扱い説明書(Bulk BIRA, Avidity LLC)に従ってAvidity社のビオチン化キットを用いて、FcRnをビオチン化した。ビオチン化反応は、室温で一晩、実施した。
140mM NaClを含む20mM MES緩衝液、pH5.5(緩衝液A)に対して、ビオチン化FcRnを4℃で一晩透析して、過剰なビオチンを除去した。
ストレプトアビジンセファロースへの結合
ストレプトアビジンセファロースに結合させるために、ストレプトアビジンセファロース(GE Healthcare, United Kingdom)1mLを、ビオチン化し透析したFcRn β-2-ミクログロブリン複合体に添加し、4℃で一晩インキュベートした。FcRn β-2-ミクログロブリン複合体によって誘導体化したセファロースを、4.6mm×50mmのクロマトグラフィーカラム(Repligen)に詰めた。このカラムを、80%緩衝液Aおよび20%緩衝液B(20mM Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン pH8.8、140mM NaCl)中で保存した。
実施例2
FcRnアフィニティーカラムおよびpH勾配を用いるクロマトグラフィー
条件:
カラム寸法:50mm×4.6mm
添加量:試料30μg
緩衝液A:pH5.5に調整された、140mM NaClを含む20mM MES
緩衝液B:pH8.8に調整された、140mM NaClを含む20mM Tris/HCl
30μgの試料を、緩衝液Aで平衡化したFcRnアフィニティーカラムにアプライした。流速0.5mL/分、20%緩衝液B中で10分間の洗浄段階の後に、70分間にわたる20%緩衝液Bから70%緩衝液Bへの直線勾配を用いて溶出を行った。波長280nmにおけるUV光吸収を検出のために使用した。20%緩衝液Bを用いて、各溶出後にカラムを10分間再生した。
相対保持時間を計算するために、標準試料(Bertoletti-Ciarlet, A., et al., Mol. Immunol. 46 (2009) 1878-1882に従って、0.02%過酸化水素で18時間酸化した、抗Her3抗体(SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04))を、一連の注入の最初および各10回の試料注入後に流した。
手短に言えば、10mMリン酸ナトリウム、pH7.0に溶かした(9mg/mLの)抗体を最終濃度が0.02%となるようにH2O2と混合し、室温で18時間インキュベートした。反応を停止するために、予冷した10mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH5.0に試料を加えて入念に透析した。
相対保持時間は、以下の式に基づいて計算した:
Figure 0006907335
ピークの定義については、図1を参照されたい。
実施例3
ヘパリンアフィニティーカラムおよびpH勾配を用いるクロマトグラフィー
条件:
カラム寸法:50mm×5.0mm
添加量:試料20〜50μg
緩衝液A:50mM TRIS pH 7.4
緩衝液B:50mM TRIS pH 7.4、1000mM NaCl
低塩緩衝液(≦25mMイオン強度)に溶かした20〜50μgのタンパク質試料を、室温で緩衝液Aによって予め平衡にしたTSKgelヘパリン-5PWガラスカラム、5.0×50mm(Tosoh Bioscience, Tokyo/Japan)にアプライした。流速0.8mg/mLで、32分間にわたる0%緩衝液Bから100%緩衝液Bへの直線勾配を用いて溶出を行った。波長280nmにおけるUV光吸収を検出のために使用した。一連の注入はいずれも、保持時間標準物質(抗pTau抗体)で始め、これを用いて、以下の式に基づいて相対保持時間を計算した:
Figure 0006907335
(trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tpTau:抗pTau抗体のピークの保持時間)。
実施例4
カニクイザルSDPK研究
試験化合物の薬物動態を、カニクイザルにおいて0.3mg/kg〜150mg/kgの範囲の用量レベルで1回静脈内投与した後に測定した。数週間にわたって連続的に血液試料をサルから採取し、採取した血液試料から血清/血漿を調製した。試験化合物の血清/血漿レベルをELISAによって測定した。線形薬物動態の場合、薬物動態パラメーターを、標準的なノンコンパートメント法によって決定した。クリアランスは、以下の式に基づいて計算した:
クリアランス=用量/濃度-時間曲線下面積
非線形薬物動態の場合、クリアランスの線形部分を以下の代替方法によって明らかにした:付加的な非線形クリアランス経路がほぼ飽和する高用量レベルでのIV投与後に、両方のクリアランス値を推定した。あるいは、線形および非線形の飽和され得るクリアランス期間を含むPKモデルを確立した。これらの場合、モデルによって決定される線形クリアランス部分を、相関付けのために使用した。
結果:
Figure 0006907335

Claims (8)

  1. 以下の段階を含む、カニクイザルにおいて8mL/kg/日未満の全身クリアランスを有する抗体を選択するための方法:
    (a)正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける抗体の保持時間を測定する段階;ならびに
    (b)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
    (ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
    該抗体を選択する段階。
  2. 抗体が、完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、抗体-サイトカイン融合ポリペプチド、Fc領域-サイトカイン融合ポリペプチド、および抗体-Fab融合ポリペプチドからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 抗体が、ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せからなる群より選択されるFc領域を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. アフィニティークロマトグラフィーリガンドとしての、新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の固定された非共有結合性複合体が、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーにおいて使用され、
    該新生児型Fc受容体およびβ-2-ミクログロブリンの非共有結合性複合体が、クロマトグラフィー材料に結合され、該非共有結合性複合体が、特異的結合対を介して固相に結合されており、
    該pH勾配が、第1のpH値から第2のpH値までであり、該第1のpH値がpH3.5〜pH6.4であり、該第2のpH値がpH7.4〜pH 9.5であり、かつ
    該新生児型Fc受容体(FcRn)およびβ-2-ミクログロブリン(b2m)の非共有結合性複合体が、モノビオチン化され、該固相がストレプトアビジンで誘導体化されている、
    請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. pH勾配が、第1のpH値から第2のpH値までであり、該第1のpH値がpH5.5であり、該第2のpH値がpH8.8である、請求項4記載の方法。
  6. FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、図1に記載のピーク定義に基づき、以下の式:
    Figure 0006907335
    (trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tピーク2:図1に記載の部分的に酸化された抗Her3抗体のピーク2の保持時間、tピーク3:図1に記載の抗Her3抗体のピーク3の保持時間)
    に基づいて計算される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、以下の式:
    Figure 0006907335
    (trel,i:ピークiの相対保持時間、ti:ピークiの保持時間、tpTau:抗pTau抗体のピークの保持時間)
    に基づいて計算される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 以下の段階を含む、治療物質として使用するために適した全身クリアランスを有する、少なくとも1つの抗原に結合する抗体を選択するための方法:
    (a)(i)完全長抗体、CrossMab、2:1ヘテロ二量体T細胞二重特異性抗体、および直接的もしくはペプチドリンカーを介して1個、2個、もしくは3個の付加的なFab分子、scFv分子、scFab分子、CrossFab分子に融合されている前記のいずれか、ならびに/または
    (ii)ヒトIgG1 Fc領域、変異L234A、L235A、およびP329Gを有するヒトIgG1 Fc領域、ノブイントゥーホール変異を有するヒトIgG1 Fc領域、ならびにそれらの組合せ
    からなる群より選択される、様々な形態の抗体を提供する段階;
    (b)(a)の様々な抗体形態のそれぞれを用いて、正の直線pH勾配を用いるFcRnアフィニティークロマトグラフィーおよび正の直線伝導率/塩勾配を用いるヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階;ならびに
    (c)(i)FcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 03およびSEQ ID NO: 04の酸化型抗Her3抗体の調製物のピーク2とピーク3との保持時間の差の1.78倍未満である場合に、ならびに
    (ii)ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける相対保持時間が、SEQ ID NO: 01およびSEQ ID NO: 02の抗pTau抗体の保持時間の0.87倍未満である場合に、
    該抗体形態を選択する段階。
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