JP6906824B1 - 情報処理装置、樹木の成長率予測システム、樹木の成長率予測方法及びプログラム - Google Patents

情報処理装置、樹木の成長率予測システム、樹木の成長率予測方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】多様な本数密度に対応して樹木の成長率を予測する。【解決手段】管理装置は、所定領域に植栽された複数の樹木について、平均樹齢、平均太さ、本数密度を取得する取得部と、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの距離が最も短い密度水準曲線を選択する選択部と、前記所定領域を、選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出する第1算出部と、選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出する第2算出部と、前記第1成分値と前記第2成分値との合計することによって、前記複数の樹木の平均成長率を予測する予測部と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、多様な本数密度に対応可能な樹木の成長率を予測する技術に関する。
林業において樹木の成長率を予測することは、収益を予測するために重要である。従来の樹木の成長率予測は、単位面積当たりの樹木の本数(以下、本数密度)を、狭い幅で管理している森林にしか適用できなかった。
これに対して現状では、産業としての林業の採算性悪化に伴い、放棄されて過密化した森林、天然木の誘導による環境林への移行を志向した低密度林など、さまざまな本数密度の林を管理し、収益化を図る必要がある。
そこで、これらの多様な本数密度に対応可能な樹木の成長率の予測手法が求められていた。本数密度
特許文献1には、関連技術として、現況情報収集手段が植林地端末から入力された複数の植林候補地における局所領域内の樹木の胸高直径と樹高を収集し、該収集された情報から植林候補地における現時点での二酸化炭素吸収量を求め、植林地決定手段が該二酸化炭素吸収量が第1のしきい値より小さい候補地を植林地として決定し、計画立案手段が、該植林地における植栽面積と樹種データベースに記録されている樹種をそれぞれ変化させた場合の収益を計算し、最も多くの利益を得ることができる樹種と植栽面積を選択し、樹種・植栽面積及び樹木の成長変化の予測値を成長曲線の一つミッチャーリッヒ式に近似できるものとし植林事業計画情報として計画データベースに記録する技術が提案されている。
また、特許文献2には、衛星や航空機に搭載されたカメラも用いて、上空から測定対象から反射された電磁波エネルギーを計測し、その計測結果の示す分光特性に基づいて、植生の状態を示す指標を算出する技術が開示されている。
国際公開番号WO2004/046986号公報 特開2008−79549号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、林分の密度管理は直径成長に影響を及ぼすことが知られており、密度が高いと直径が小さくなり、低いと大きくなるが、通常の森林管理においては、ほぼ前述の直径成長曲線の通り成長するものとしてよいので各々の樹種の、林齢と密度が対応した表があればよいとし、多様な本数密度に対応可能な樹木の成長率を予測することは困難であるという問題点があった。
また、特許文献2に記載の技術では、植生の状態を知ることができても、本数密度に応じた樹木の成長率を予測することはできなかった。
本発明の目的は、多様な本数密度に対応可能な樹木の成長率を予測する技術を提供することにある。
本発明の管理装置は、
所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、前記第1時点における平均太さ、及び前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得する取得部と、
林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林における本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの距離が最も短い密度水準曲線を選択する選択部と、
前記所定領域を、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、前記複数の樹木の平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出する第1算出部と、
前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記複数の樹木の平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出する第2算出部と、
前記第1成分値と前記第2成分値との合計することによって、第1時点における前記平均太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における前記複数の樹木の平均太さの割合である前記複数の樹木の平均成長率を予測する予測部と、を備え、
前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さく設定する。
また、本発明の樹木の成長率予測システムは、
管理装置と、ユーザ端末と、情報収集装置とを備えた樹木の成長率予測システムであって、
前記ユーザ端末は、前記所定領域を指定する指定情報を前記管理装置に送信し、
前記情報収集装置は、前記所定領域を上空から撮像した撮像データ及び撮像時の前記情報収集装置の位置を示す位置データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記指定情報に基づいて前記所定領域を特定する特定部と、
前記撮像データ及び前記位置データに基づいて、前記所定領域の本数密度を生成する生成部とを備える。
また、本発明の樹木の成長率予測方法は、
所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、前記第1時点における平均太さ、及び前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得し、
林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林における本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの距離が最も短い密度水準曲線を選択し、
前記所定領域を、前記選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、前記複数の樹木の平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出し、
前記選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記複数の樹木の平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出し、
前記第1成分値と前記第2成分値との合計することによって、第1時点における前記平均太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における前記複数の樹木の平均太さの割合である前記複数の樹木の平均成長率を予測し、
前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さく設定する。
また、本発明の樹木の成長率予測プログラムは、
情報処理装置を、
所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、前記第1時点における平均太さ、及び前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得する取得部と、
林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林における本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの距離が最も短い密度水準曲線を選択する選択部と、
前記所定領域を、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、前記複数の樹木の平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出する第1算出部と、
前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記複数の樹木の平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出する第2算出部と、
前記第1成分値と前記第2成分値との合計することによって、第1時点における前記平均太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における前記複数の樹木の平均太さの割合である前記複数の樹木の平均成長率を予測する予測部として機能させ、
前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さく設定する。
本発明によれば、多様な本数密度に対応可能な樹木の成長率を予測する技術を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る樹木の成長率予測システムの構成を示す図である。 同実施形態に係る樹木の成長率予測システムを構成するユーザ端末のブロック図である。 同実施形態に係る樹木の成長率予測システムを構成するサーバのブロック図である。 同実施形態に係るデータベースの記憶内容の一例を示すブロック図である。 成長率曲線の一例を示すグラフである。 密度水準曲線の一例を示すグラフである。 樹木の分布の一例を示すグラフである。 間伐による樹高の変化を示すグラフである。 樹木の位置を真上からみた状態を示す図である。 樹高曲線の一例を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るサーバのブロック図である。 同実施形態に係る樹木の成長率予測システムの学習モデルに基づいて森林の定量的な価値を提供する処理の流れを説明するフローチャートである。 同実施形態に係る樹木の成長率予測システムにおける出力例を示す図である。 同実施形態に係る樹木の成長率予測システムの一例を説明する概念図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
1.第1実施形態
1−1:全体構成
本発明の第1実施形態における樹木の成長率予測システム1の構成を図1を参照して説明する。
図1に示すように、樹木の成長率予測システム1は、1以上のユーザ端末100と、1以上の情報収集装置200と、サーバ300Aとから構成されている。
それぞれ、インターネット等の所定の通信網を介して接続されている。この所定の通信網は、LAN(Local Area Network)等であってもよく、また有線・無線等は問わない。
ユーザ端末100は、各種の情報を処理する情報処理装置である。ユーザ端末100は、CPU(Central Processing Unite)、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)等の記憶手段、及び入出力手段を備える。ROMには制御プログラムが格納されている。CPUはROMから制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムを実行することによって、ユーザ端末100の制御中枢として機能する。入出力手段は、ユーザの操作を受け付ける機能と、ユーザに対して情報を提示する機能とを備える。ユーザ端末100は、例えば、スマートフォン、小型パーソナル・コンピュータ、携帯端末等である。ユーザ端末100は、クラウド(SaaS/ASP)によりサーバ300Aが提供するサービス(ソフトウェア)を利用可能であってよい。
情報収集装置200は、センシングのためのセンサー(カメラ、音声レコーダー等)を備えた装置であり、例えば、ドローン、宇宙衛星、センサー附属型林業機械等である。情報収集装置200は、ユーザ端末100やサーバ300Aに対して収集した情報を送信する。情報収集装置200は、ユーザ端末100やサーバ300Aからの指示命令を受信してそれに従って動作することによって、情報を収集できる。1以上の情報収集装置200には、装置を一意に識別するための装置IDが割り当てられており、各情報収集装置200は装置IDを記憶している。
サーバ300Aは、情報処理装置であり、樹木の成長率を予測する機能を有する。サーバ300Aは、管理装置の一例である。サーバ300Aは、例えば、ワークステーション、高機能のパーソナル・コンピュータ等である。
樹木の成長率予測システム1を構成する各装置は主として情報処理装置であり、これらの詳細な構成は公知の種々の技術が適用されてよく、上記した以外の説明はここでは省略する。樹木の成長率予測システム1は、地球上の地域を格子状に分割された複数の個別領域ごとに、管理する。以下の説明では、日本国における管理を一例として説明するが、他の国に適用してもよいことは勿論である。個別領域の大きさは任意に設定されるが、例えば、1つの個別領域は、縦100m及び横100mの範囲であり、個別領域の面積は1haである。日本全体は、複数の個別領域に分割されており、複数の個別領域ごとに当該個別領域を識別する領域IDが割り当てられている。なお、個別領域を、縦10m及び横10m〜縦50m及び横50mとしてもよい。
1−2:ユーザ端末
図2は、ユーザ端末100の機能を示すブロック図である。
図2を参照すると、ユーザ端末100は、通信部110と、入力部120と、出力部130と、記憶部140と、センサー部150と、制御部160を備えている。各部は、公知の入出力I/FやCPU等により、またHDD等により実現されてよい。
通信部110は、所定の通信網に接続された各装置と通信を行う機能を有している。
入力部120は、ユーザ操作に基づく入力を受け付ける機能を有している。入力部120は、例えば、タッチパネル、マイク等で構成される。なお、後述するセンサー部150が検知したセンシングデータの替わりに、ユーザが入力部120を用いてセンシングデータを入力してもよい。例えば、ユーザは、タッチパネルに表示された地図情報を確認し、地図上の任意の地点をタップすることによって、地図上の特定の地点を指定できる。
ここで、地図の表示は、階層的に実行される。例えば、最初に日本地図が表示され、ユーザが日本地図上の任意の地点をタップすると、タップした地点が拡大された地図が表示される。更に、ユーザが拡大された地図をタップすると、より詳細な地図が表示される。
この操作を繰り返すことによって、ユーザ端末100には、ユーザが所望する地域の詳細な地図が表示される。この状態で、ユーザが問い合わせのボタンを押下した後、地図上の地点をタップすると、入力部120は、タップした地点の緯度と経度を示す指定情報を生成する。指定情報は、通信部110を介して、サーバ300Aに送信される。なお、記憶部140に、緯度及び経度と領域IDとを対応付けて記憶するテーブルを格納しておき、入力部120が、当該テーブルを参照することによって、領域IDを生成し、生成した領域IDをサーバ300Aに送信してもよい。
なお、入力部120は、プルダウンリスト等から特定の地域を選択することにより指定情報を生成してもよい。
出力部130は、例えば、ディスプレイ等の表示機構やスピーカなどの音声出力機構により画像データ、音声データ等の各種データを出力する機能を有している。
記憶部140は、情報処理装置を機能させるためのプログラムや各種データを記憶する機能を有している。
センサー部150は、ユーザ端末100の種々の状態を検知する各種機器であるユーザ端末100の所在位置をGPS機能により取得することであってもよい。
制御部160は、各種の情報処理を実行する機能を有している。サーバ装置300とのデータの送受信処理等を実行する。
1−3:サーバ
図3は、サーバ300Aの構成を示すブロック図である。サーバ装置300は、処理装置10と、記憶装置20と、通信装置30と、入力装置40と、出力装置50とを備える。
処理装置10は、サーバ300Aの全体を制御するプロセッサであり、例えば単数又は複数のチップで構成される。処理装置10は、例えば、周辺装置とのインタフェース、演算装置及びレジスタ等を含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成される。
記憶装置20は、処理装置10が読取可能な記録媒体であり、処理装置10が実行する複数のプログラム、及び処理装置10が使用する各種のデータを記憶する。複数のプログラムには、予測プログラムPRが含まれる。また、各種のデータには学習データLD、第1テーブルTBL1、第2テーブルTBL2、及びデータベースDBが含まれる。記憶装置20は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性記憶回路と、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶回路とにより構成される。
第1テーブルTBL1には、個別領域の領域IDと、個別領域の緯度範囲、及び個別領域の経度範囲が対応づけられて記憶される。第1テーブルTBL1を参照することによって、緯度と経度の組によって指定される地点が属する個別領域に対応する領域IDを知ることができる。
第2テーブルTBL2には、情報収集装置200を識別する装置IDと、情報収集装置200に搭載されたカメラの画角を示す画角データとが対応づけられて記憶される。第2テーブルTBL2を参照することによって、装置IDによって指定される情報収集装置200が地上を撮像する際に用いるカメラの画角を知ることができる。
データベースDBには、複数のレコードが記憶される。図4にデータベースDBの記憶内容の一例を示す。データベースDBに記憶されるレコードには、領域ID、個別領域に植栽された複数の樹木の平均樹齢、個別領域に植栽された複数の樹木の平均太さ、個別領域の本数密度、個別領域に植栽された複数の樹木の樹種、及びレコードの更新年月日を対応付ける。樹木の太さは、地表から所定の高さの樹木の直径である。樹木の太さは、例えば、胸高直径としてしてもよく、地表から約1.3mの高さの樹木の直径である。即ち、平均太さは、例えば、平均胸高直径であってもよい。本数密度は、個別領域に植栽された複数の樹木に関する単位面積当たりの本数である。単位面積として任意の面積を設定できるが、この例で1haである。また、この例の個別領域の面積は1haであるので、本数密度と個別領域に植栽された樹木の本数は一致する。図4に示されるデータベースDBは、領域ID「0001」に対応する個別領域には、杉が950本植生されており、平均樹齢が10年、平均太さが15cmであることを示している。
データベースDBに記憶されるレコードは、作業員が個別領域に植栽された複数の樹木を計測することによって得られたデータの他、情報収集装置200によって撮像された撮像データに基づいて計測されたデータが記憶される。レコードの更新年月日は、個別領域の樹木の状態が計測された年月日である。また、同一の個別領域であっても、新たに樹木の状態が計測された場合には、レコードが更新される。データベースDBの記憶内容を更新可能とすることによって、個別領域の樹木の成長率を予測する場合の予測精度を向上させることができる。
通信装置30は、移動体通信網又はインターネット等の通信網を介して他の装置と通信する。通信装置30は、例えば、ユーザ端末100及び情報収集装置200と通信する。入力装置40は、ユーザの操作に応じた操作信号を生成し、操作信号を処理装置10に出力する。入力装置40として、例えば、キーボード、タッチパネル、ポティングデバイス、カメラ、及びマイク等が該当する。出力装置50は、ユーザに情報を提供する。出力装置50としては、例えば、画像情報を提供するディスプレイ、及び音声情報を提供するスピーカが該当する。
通信装置30は、ユーザ端末100から森林の定量的な価値を評価する対象となる地図上の地点を特定した問合せ等を受信する。
処理装置10は、記憶装置20から予測プログラムPRを読み出し、予測プログラムPRを実行することによって、特定部301、生成部302、取得部303、選択部304、第1算出部305、第2算出部306、予測部307、及び評価結果提供部308として機能する。
特定部301には、ユーザ端末100から送信された指定情報が通信装置30を介して供給される。指定情報は、ユーザが樹木に関する情報を知りたいと考える個別領域を指定する。指定情報は、ユーザによって指定された地点を、例えば、緯度及び経度によって指定する。上述したように日本地図は、複数の個別領域に分割されている。複数の個別領域のうち、ユーザによって指定された個別領域を、所定領域と称する。指定情報は、ユーザが樹木に関する情報を知りたいと考える個別領域を指定する情報であるから、所定領域を指定する情報である。特定部301は、指定情報に基づいて所定領域を特定する。具体的には、特定部301は、第1テーブルTBLを参照して、指定情報に対応する領域IDを取得することによって、所定領域を特定する。
生成部302は、通信装置30を介して、情報収集装置200から計測データを受信する。計測データは、情報収集装置200を識別する装置ID、情報収集装置200用いて撮像された撮像データ、撮像時の情報収集装置200の位置を示す位置データ、及び撮像時を示す時刻データを含む。第2テーブルTBL2には、情報収集装置200を特定する装置IDと、情報収集装置200に搭載されたカメラの画角を示す画角データとが対応づけられて記憶されている。生成部302は、第2テーブルTBL2を参照して、装置IDに対応付けられた画角データを取得する。
位置データは、緯度、経度、及び高度を示す。生成部302は、位置データと画角データに基づいて、撮像データが、地上のどの範囲を撮像したかを特定する。生成部302は、撮像データを解析することによって、撮像範囲に存在する一又は複数の樹木ごとに、樹木の位置、樹木の太さ、及び樹木の種類である樹種を特定した樹木データを生成する。生成部302は、樹木データに基づいて、データベースDBのレコードを生成し、生成したレコードをデータベースDBに記憶する。また、データベースDBに、樹木データを領域ID及び樹木を識別する樹木IDとを対応付けて記憶してもよい。なお、サーバ300Aは、森林所有者の有する植栽履歴のデータ、行政または森林簿などのデータなどを、通信装置30を介して取得し、取得したデータに基づいて樹木の樹齢を特定してもよい。この場合、樹木データに樹木の樹齢を含ませてもよい。また、データベースDBに、森林所有者の有する植栽履歴のデータ、行政または森林簿などのデータに基づいて、予め樹木データを記録しておき、情報収集装置200によって得られた撮像データに基づいて、樹木データに含まれる樹木の太さ及び樹種を更新してもよい。
生成部302は、撮像データの示す撮像画像から樹木ごとの画像を抽出し、抽出した画像に基づいて樹種を特定する。生成部302は、更に、生成部302は、抽出した画像に基づいて樹冠の特定し、特定した樹冠に基づいて、樹木の太さを推定する。この推定において、生成部302は、例えば、回帰式を用いる。さらに、生成部302は、樹種に応じて回帰式を選択することによって、一つの回帰式を用いる場合と比較して樹木の太さの推定精度を向上させることができる。
生成部302は、樹木データの示す位置に基づいて、樹木データに対応する樹木が属する個別領域を特定する。生成部302は、個別領域ごとに当該個別領域に属する樹木の本数を累計することによって、本数密度を算出する。また、生成部302は、当該個別領域に属する樹木の太さを平均することによって平均太さを算出する。
取得部303は、所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、第1時点における平均太さ、第1時点における所定領域の本数密度を取得する。具体的には、取得部303は、特定部301が特定した所定領域の領域IDに対応するレコードをデータベースDBから読み出す。ここで、第1時点を現在とすれば、取得部303は、レコードに含まれる更新年月日と現在の年月日の差分を算出する。取得部303は、レコードに含まれる平均樹齢に差分を加算し、加算結果を第1時点の平均樹齢として取得する。また、取得部303は、更新年月日を現時点として、後述する選択部304、第1算出部305、第2算出部306及び予測部307を動作させることによって、所定領域に植栽された複数の樹木について平均成長率Rを予測し、予測した平均成長率Rと差分と更新年月日における平均太さに基づいて、第1時点における平均太さを算出してもよい。
サーバ300Aは、選択部304、第1算出部305、第2算出部306、及び予測部307を用いて、所定領域に属する複数の樹木について、平均成長率Rを算出する。
ここで、平均成長率Rは、以下に示す式1で与えられる。
R=DN+1/D…式1
但し、Dは第1時点にける平均太さであり、DN+1は第1時点から所定期間経過後の平均太さである。所定期間は適宜設定することができるが、以下の説明では所定期間を1年とする。即ち、平均成長率は、所定領域に属する複数の樹木について、現在(第1時点)における平均太さDに対する、1年後(第1時点から所定期間経過した第2時点)における複数の樹木の平均太さDN+1の割合である。
また、平均成長率Rは、以下に示す式2によって与えられる。
R=R1+R2…式2
ここで、R1は平均成長率Rのうち第1成分を示す第1成分値であり、R2は平均成長率Rのうち第2成分を示す第2成分値である。第1成分は、樹齢に関する成長率の成分である。一方、第2成分は、本数密度と樹木の太さ等の育成環境に関する成長率の成分である。
次に、樹木の成長率について第1成分と第2成分とに分けて説明する。第1成分は、樹齢に関する成長率の成分であり、第1成分値R1は、樹齢tを変数とする関数F(t)で与えられる。樹木は、樹齢が高くなると樹齢が低い(若い)ときよりもあまり成長しなくなり、成長率は減衰する。また、樹木の成長率は、樹木の育成環境によって変化する。
図5に、第1成分であるR1=F(t)で規定される成長率曲線を示す。
成長率曲線g1は、本数密度をごく狭い幅で管理している林における第1成分値R1と樹齢tとの関係を示す。成長率曲線g1は、伝統的な本数密度の管理が適用される林の典型例である。成長率曲線g1は、以下の式によって与えられる。
F(t)=P1・e−K1t…式3
但し、P1及びK1は、林の本数密度に応じて定まる定数である。
成長率曲線g2は、林内の樹木が空いている(本数密度が低い)状態の林における第1成分と樹齢tとの関係を示す。このような林では日当たり等の生育条件が良いため成長率曲線g1よりも右上にシフトする。成長率曲線g2は、林の本数密度を小さくしても、林内の樹木の成長を促進できない上限の本数密度に対応している。成長率曲線g2は、以下の式によって与えられる。
F(t)=P2・e−K2t…式4
但し、P2及びK2は、林の本数密度に応じて定まる定数である。
成長率曲線g3は、林内の樹木が混んでいる(本数密度が高い)状態の林における第1成分と樹齢tとの関係を示す。このような林では、日当たり等の生育条件が悪いため成長率曲線g3は成長率曲線g1よりも左下にシフトする。成長率曲線g3は、林に植栽された複数の樹木がこれ以上成長することによって平均太さが大きくなる場合、自然枯死が発生する限界の本数密度に対応している。成長率曲線g3は、以下の式によって与えられる。
F(t)=P3・e−K3t…式5
但し、P3及びK3は、林の本数密度に応じて定まる定数である。
図5から明らかなように、樹齢tに関する成長率の成分である第1成分値R1は、林内の本数密度に応じて変化する。
次に、第2成分について説明する。第2成分は、樹木の育成環境に関する成長率の成分であり、第2成分値R2は、林に植栽された複数の樹木の平均太さDと、林の本数密度Nとを変数とする関数B(N、D)によって与えられる。
R2=B(N、D)=−bLogN−logD+C…式6
但し、b及びCは、林の環境に応じて定まる定数である。
ここで、林内に植栽された複数の樹木について平均太さDと、林内の本数密度Nとの関係について説明する。以下、縦軸をlogDとし、横軸をlogNとした場合の両者の関係を示すグラフを密度水準曲線と称する。
図6(a)に示される密度水準曲線G1は、図5に示される成長率曲線g1に対応している。即ち、密度水準曲線G1は、本数密度をごく狭い幅で伝統的管理がなされている林を対象とする。密度水準曲線G1は、以下に示す式7で与えられる。
logD=−b1LogN+C1…式7
但し、b1及びC1は、林の環境に応じて定まる定数である。
図6(a)に示される本数密度Nx、太さDxとなる点Xは、密度水準曲線G1上に存在する。この場合、B(Nx,Dx)=0となるように、b1及びC1が設定されている。即ち、以下に示す式8が成り立つ。
B(Nx、Dx)=−b1LogNx−logDx+C1=0…式8
従って、密度水準曲線G1に対応する林では、樹木の平均成長率Rは、R=R1+R2=R1=F(t)=P1・e−K1tとなる。
一方、本数密度Ny、太さDyとなる点Yは、密度水準曲線G1よりも下方に位置する。
点Y(Ny,Dy)の環境は、密度水準曲線G1に対応する林よりも、樹木の平均太さが細いわりには密度が低く、空いている状態、日当たり等の生育条件が良い環境である。
この場合、R2=B(Ny,Dy)>0となる。このため、第2成分値R2が樹木の平均成長率Rに寄与し、R>R1となる。
他方、本数密度Nz、太さDzとなる点Zは、密度水準曲線G1よりも上方に位置する。
点Y(Nz,Dz)の環境は、密度水準曲線G1に対応する林よりも、樹木の平均太さが太いわりには密度が高く、混んでいる状態、日当たり等の生育条件が悪い環境である。
この場合、R2=B(Nz,Dz)<0となる。このため、第2成分値R2が樹木の平均成長率Rに寄与せず、R<R1となる。
次に、図6(b)に、密度水準曲線G1に、密度水準曲線G2及び密度水準曲線G3を加えて示す。
密度水準曲線G2は、図5の成長率曲線g2と対応するものである。なお、林内の樹木が空いている(本数密度が低い)状態であっても、一定の空き具合に到達すると日光の奪い合い等の影響が少なくなり、樹木の成長率を押し上げる効果は頭打ちとなることを考慮して密度水準曲線G2は決定されている。密度水準曲線G2は、林の本数密度を小さくした場合、林に植栽された複数の樹木の成長を促進できない本数密度と平均太さとの関係を示す密度水準曲線である。密度水準曲線G2は式9に示す関係がある。
logD=−b2LogN+C2…式9
また、密度水準曲線G2の近傍にある林の第2成分値R2は、以下に示す式10で与えられる。
B(N、D)=−b2LogN−logD+C2…式10
密度水準曲線G3は、図5の成長率曲線g3と対応するものである。密度水準曲線G3は、林に植栽された複数の樹木の平均太さを大きくした場合、自然枯死が発生する本数密度と平均太さとの関係を示す密度水準曲線である。ある林において植栽された複数の樹木が成長すると、次第に日当たりが悪くなる。この結果、自然枯死が発生する。即ち、自然枯死が発生しない状態と自然枯死が発生する状態の境界に相当する密度水準曲線が存在する。密度水準曲線G3は、境界に対応する密度水準曲線である。密度水準曲線G3は式11に示す関係がある。
logD=−b2LogN+C2…式11
また、密度水準曲線G3の近傍にある林の第2成分値R2は、以下に示す式12で与えられる。
B(N,D)=−b3LogN−logD+C3…式12
次に、図6(c)を参照して、上記の三本の密度水準曲線G1、G2、及びG3を用いた多様な本数密度の管理への対応を説明する。
例えば、所定の領域における樹木の本数密度と平均太さとの関係が密度水準曲線Gαと求められた場合、密度水準曲線Gαに対応する第2成分値R2(=B(Nα,Dα))を求めることができればよい。この場合、密度水準曲線Gαに対応する定数bα及びCαが既知であることが必要である。
しかしながら、全ての樹木の本数密度と平均太さとの関係について予め定数を設定するのは、容易でない。そこで、本実施形態では、林の環境を3本の密度水準曲線G1、G2、及びG3を用いて近似する。
具体的には、樹木の本数密度と平均太さとで規定される座標と、3本の密度水準曲線G1、G2、及びG3との間の距離を各々算出し、最も距離の短い密度水準曲線を選択し、選択された密度水準曲線に対応する定数を選択する。
例えば、図6(c)に示される点α(Nα,Dα)が与えられた場合、点αからの距離が最も短い密度水準曲線は、密度水準曲線G3である。従って、所定領域の本数密度Nαで平均太さDαである場合、第2成分値R2は、以下の式13で算出される。
R2=B(Nα,Dα)=−b3LogNα−logDα+C3…式13
同様に、多様な本数密度(本数密度)に応じた密度水準曲線ごとに、三本の密度水準曲線G1、G2及びG3のうちどの近傍にあるのかが判断され、該当するものが基準として選択採用されることとなる。以下、選択部304、第1算出部305、第2算出部306、及び予測部307について説明する。
図3に示される選択部304は、林内の複数の樹木の太さの平均値と林における本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、所定領域の平均太さ及び所定領域の本数密度の座標からの距離が最も短い密度水準曲線を選択する。ここで、第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さい。即ち、3本の密度水準曲線は、本数密度が互いに異なる林に対応する。
また、第2密度水準曲線は、第2密度水準曲線に対応する林の本数密度を小さくした場合、林に植栽された複数の樹木の成長を促進できない本数密度と平均太さとの関係を示す密度水準曲線であることが好ましい。即ち、第2密度水準曲線は、上述した密度水準曲線G2であることが好ましい。
また、第3密度水準曲線は、林に植栽された複数の樹木の平均太さを大きくした場合、自然枯死が発生する本数密度と平均太さとの関係を示す密度水準曲線であることが好ましい。ある林において植栽された複数の樹木が成長すると、次第に日当たりが悪くなる。この結果、自然枯死が発生する。即ち、自然枯死が発生しない状態と自然枯死が発生する状態の境界に相当する密度水準曲線が存在する。第3密度水準曲線は、境界に対応する密度水準曲線である。即ち、第3密度水準曲線は、上述した密度水準曲線G3であることが好ましい。
さらに、第1密度水準曲線は、上述した密度水準曲線G1であることが好ましい。
第1算出部305は、所定領域を、選択部304によって選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、平均樹齢に基づいて、所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率Rのうち第1成分を示す第1成分値R1を算出する。
具体的には、第1算出部305は、以下の式に従って、第1成分値R1を算出する。
R1=P・e−Kt
但し、tは所定領域に植栽された複数の樹木の第1時点における平均樹齢、P及びKは選択部304によって選択された密度水準曲線に対応する林を想定した場合の正の定数である。
記憶装置20は、定数Pについて3個の定数P1、P2、及びP3、並びに定数Kについて3個の定数K1、K2、及びK3を記憶している。第1算出部305は、選択部304によって、第1密度水準曲線が選択された場合、記憶装置20から定数P1及び定数K1を読み出し、第2密度水準曲線が選択された場合、記憶装置20から定数P2及び定数K2を読み出し、第3密度水準曲線が選択された場合、記憶装置20から定数P3及び定数K3を読み出す。第1算出部305は、読み出した定数の組を上記式に適用することによって、第1成分値R1を算出する。
第2算出部306は、選択部304によって選択された密度水準曲線に対応する林内の複数の樹木の太さの平均値と本数密度との関係に基づいて、所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率Rのうち第2成分を示す第2成分値R2を算出する。
具体的には、第2算出部306は、以下に示す式に従って、第2成分値R2を算出する。
R2=B(N、D)=−bLogN−logD+C
但し、Nは所定領域の本数密度、Dは所定領域に植栽された複数の樹木の平均太さ、b及びCは、選択部304によって選択された密度水準曲線に対応する林に応じて定まる定数である。
記憶装置20は、定数bについて3個の定数b1、b2、及びb3、並びに定数Cについて3個の定数C1、C2、及びC3を記憶している。第2算出部306は、選択部304によって、第1密度水準曲線が選択された場合、記憶装置20から定数b1及び定数C1を読み出し、第2密度水準曲線が選択された場合、記憶装置20から定数b2及び定数C2を読み出し、第3密度水準曲線が選択された場合、記憶装置20から定数b3及び定数C3を読み出す。第2算出部306は、読み出した定数の組を上記式に適用することによって、第2成分値R2を算出する。
予測部307は、第1成分値R1と第2成分値R2との合計を算出し、算出結果を所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率Rとする。
上述したように、第2成分は、林の環境に関する樹木の成長率の成分である。この場合、林の環境は、第1時点から所定期間が経過する第2時点までの間に、変化しないことを前提としている。しかしながら、所定期間に間伐が予定されていることもある。適切な間伐が実施されると、日当たり等の育成条件が向上するので、樹木の成長率が高くなる傾向にある。そこで、予測部307は、以下に示す式によって、平均成長率Rを算出してもよい。
R=R1+δR2
但し、δは補正係数であり、樹種及び所定期間に実施が予定される間伐パターンに応じて定まる。
より詳細には、補正係数δは日当たりをより必要とするか否かの樹種(陽樹・陰樹)に応じて変化する。陽樹とは、日の光が十分に当たる場所で生育する樹木のことをいい、マツ、ナラ等がある。陰樹とは、日の光に対する要求性が比較的低い樹木のことをいい、スギ、ブナ等がある。
例えば、林内の樹木が混んでいる状態になって日当たりが悪くなっても、陰樹の樹冠は、陽樹の樹冠よりも枯れにくい(直射日光のあたりにくい位置で生存している樹冠を陰樹冠という)。そのため、林内の樹木が空いている状態になって日当たりが良くなると、陰樹冠に日が当たることにより、成長に寄与するようになる。従って、陰樹の平均成長率Rは、陽樹の平均成長率Rよりも大きく伸びることもある。このため、補正係数δは陰樹の場合は、陽樹の場合よりも大きくなる(感度が高い)場合もある。ただし,陽樹・陰樹という区別だけでなく,
次に、図7に基づいて、間伐(間引き)パターンによる補正係数δが変化することを説明する。
図7は、縦軸N:本数密度、横軸D:太さであり、グラフは樹木の分布を表している。
ここで、ライン(a)は、細い樹木を多く間引く場合を意味する。細い樹木は高さも低いものが多く、もともと他の樹木を圧迫していないため、補正係数δ(例えば1.6)は0より大きくなるが下記のライン(b)と比較して相対的に小さく(補正による影響は小さい)なる。
一方、ライン(b)は、太さに関して満遍なく間引く場合を意味し、林の高い位置にある樹木も一部伐採することとなり、低い位置の樹木の日当たりが改善され樹木の成長が促進されるため、補正係数δ(例えば2.0)はライン(a)と比べてより大きく(補正による影響は相対的に大きい)なる。
他方、ライン(c)は、太い樹木を多く間引く場合を意味する。
記憶装置20に、樹種、間伐(間引き)パターン及び補正係数δとを対応付けた補正テーブルを格納し、予測部307は、補正テーブルを参照することによって、補正係数δを取得してもよい。
このように、予測部307は、補正係数δにより樹種や間伐パターン等による影響を考慮して第2成分値R2を生成できる。この結果、平均成長率Rの予測精度が向上する。
図8は、間伐による樹高の変化を示すグラフである。縦軸はH:高さ(樹高)、横軸はt:樹齢であり、間伐(図7のライン(a)の場合)により平均樹高は高くなる。林齢、平均太さ等を算定する際にこの事情を織り込んで計算することであってもよい。
また、予測部307は、領域成長量Qを予測する。領域成長量Qとは、所定領域に植栽された複数の樹木全体の成長量である。
予測部307は、領域成長量Qを予測するために、所定期間における所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長量qを以下に示す式に従って算出する。
q=(R−1)・D
但し、Rは、複数の樹木の平均成長率であり、Dは第1時点における複数の樹木の平均太さである。
更に、予測部307は、以下に示す式に従って領域成長量Qを予測する。
Q=n・q
但し、nは所定領域に植栽された複数の樹木の本数である。即ち、予測部307は、平均成長量qに複数の樹木の本数nを乗算することによって、領域成長量Qを算出する。
次に、評価結果提供部308は、森林の経済的価値などの数値による定量的な価値の評価の結果等を算定して提供する機能を有している。具体的には、評価結果提供部308は、各種の画像データを生成する。各種の画像データには、地図の所定領域に対応する位置に領域成長量Qを示す画像データ、及び地図の所定領域に対応する位置に平均成長率Rを示す画像データが含まれる。
評価結果提供部308は、ユーザ端末100からの問い合わせに応じて、生成した画像データを通信装置を介して、ユーザ端末100に提供する。
1−4:第1実施形態の変形例
上述した第1実施形態は、以下の変形が可能である。
(1)第1実施形態では、所定領域における平均太さ、平均樹齢、及び本数密度に基づいて、所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率R及び領域成長量Qを予測したが、一つの樹木について成長率及び成長量を予測してもよいことは勿論である。この場合、平均太さを一つの樹木の太さに置き換え、平均樹齢を一つの樹木の樹齢に置き換えればよい。また、本数密度は、一つの樹木が属する個別領域の本数密度とすればよい。
この場合、サーバ300A(管理装置の一例)は、所定領域に植栽された複数の樹木のうち一の樹木について第1時点における樹齢、前記第1時点における前記一の樹木の太さ、前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得する取得部と、林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林における本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記一の樹木の太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの距離が最も短い密度水準曲線を選択する選択部と、前記所定領域を、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記樹齢に基づいて、前記一の樹木の成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出する第1算出部と、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記一の樹木の成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出する第2算出部と、前記第1成分値と前記第2成分値との合計することによって、第1時点における前記一の樹木の太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における前記一の樹木の太さの割合である前記一の樹木の成長率を予測する予測部と、を備え、前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さい。
(2)第1実施形態では、図6(b)などに示されるように、林内に植栽された複数の樹木について平均太さDと、林内の本数密度Nとの関係を、密度水準曲線を用いて考察したが、林の込み具合は、他の指標によって評価してもよい。
例えば、混み合い度の指標として、収量比数(RY):最多密度(ある樹高での上限の本数密度)を1としたときの、相対的な混み具合を示すものを用いることであってもよい。一例として図6(b)に示される密度水準曲線G3はRY1の場合などと表現することができる。
例えば、収量比数(RY)が0.8以上は混み過ぎであり、0.8に達したら自動的に伐採のアラートを出力する制御がなされてもよい。
さらに発展させて、トータルで最大利益の伐採計画を出力したり、微小領域ごとに伐採によりいくら儲かるか(利益額)等も算出して出力することが可能となる。
(3)なお、補助金を利用した植樹時点の履歴データを格納した所定のデータベースに基づいて樹齢を推定することであってもよい。その他、林況・地況の条件等を考慮して樹種・樹木の太さ・高さ等から樹齢を推定することなどの公知の樹齢推定技術が適用可能である。
(4)図9は、樹木の位置を真上からみた状態を示す図である。樹木の位置は、立木位置図として表されることであってもよく、箇所情報として一本ずつの樹木がどの位置にあるか地図上の地点(緯度及び経度の情報)に表示するように、サーバ300Aやユーザ端末100等に出力する。
予測部307により算定された平均成長率Rを基礎に、各樹木の成長量の予測を行う。大きい樹木は大きく成長し、小さい樹木は小さく成長する挙動となる。
例えば、5年後の太さは、Rの5乗を乗算することで算出できる。
例えば、図9に示すように、現状が太さ10cmや11cmであり、樹木の成長後の将来予測値の平均太さを破線で示すようにサーバ300Aやユーザ端末100等に対して評価結果提供部308を介して出力されることであってもよい。
従来は1ha等の林全体の単位で平均と分散で分析していたが、一本ずつの樹木の成長に落とし込んで空間的にどの程度成長するか分析することを可能としている。さらに、これらの一本ごとの樹木の成長量を個別領域で集計(平均など)することにより、個別領域ごとの予測に繋げることもできる。
図10の樹高曲線に示すように、D:太さは、H:高さ(樹高)に変換できる。一般に直径と樹高の間には相関があり、基本的に、太い樹木は高い(細い樹木は低い)という関係が統計上・経験上知られている。また、林齢が高くなると上方にシフトしながら傾きが緩やかになる。
なお、大きい樹木の根の張り具合に基づいて山地災害危険度が小さくなる(防災)という観点からの分析も可能となる。
2.第2実施形態
2−1:全体構成
第2実施形態に係る樹木の成長率予測システム1は、サーバ300Aの替わりにサーバ300Bを用いる点を除いて、第1実施形態と同じ構成である。以下、相違点について説明する。サーバ300Bは管理装置の一例である。
2−2:サーバ
図11は、サーバ300Bの構成を示すブロック図である。第2実施形態に係るサーバ300Bは、図3に示されるサーバ300Aと以下の点で相違する。処理装置10は、記憶装置20から予測プログラムPRを読み出して実行することによって、特定部301、生成部302、取得部303、選択部304、第1算出部305、第2算出部306、予測部307、及び評価結果提供部308の他に、学習データ格納部309及びモデル生成部310として機能する。
また、記憶装置20に、学習データLDと学習モデルMとが記憶される。
学習データ格納部309は、学習データLD(教師データ)を生成し、生成した学習データLDを記憶装置20に格納する。学習データLDには、2つの態様がある。第1の態様は、学習データLDが、予測部307が予測した平均成長率Rなどの予測データと、取得部303が取得した実測された実データとによって構成される。第2の態様は、学習データLDが、取得部303が取得した実測された実データであって、計算のパラメータ部分の実データとなるものと、計算の結果(森林の定量的な価値)の実データとなるものとによって構成される。
モデル生成部310は、人工知能(AI)モジュールにより、学習データLDに基づいて、予測データと、取得部303が取得した実測された実データとの関係を学習した学習モデルMを生成し、記憶装置20に格納する。具体的には、モデル生成部310は、予測データと実データとの関係を回帰分析等により機械学習する。回帰する方法は、例えば、線形回帰、多項式回帰やロジスティック回帰など、公知の手法を用いることができる。
また、モデル生成部310は、学習データLD(教師データ)に基づいて、取得部303が取得した実測された実データであって、計算のパラメータ部分の実データとなるものと、計算の結果(森林の定量的な価値)の実データとなるものとの関係を学習した学習モデルを生成し、記憶装置20に格納することであってもよい。具体的には、モデル生成部310は、大量の学習データLDに基づいて、多層構造のニューラル通信網を用いたディープラーニング(深層学習)により、機械学習を実行してもよい。
また、モデル生成部310は、その他の公知の機械学習等により学習モデルMを生成してもよい。
評価結果提供部308は、ユーザ端末100により問い合わされた地図上の特定の地点に対応する領域IDに基づいて、予測部307が予測した予測データを学習モデルMにより補正し、評価結果データ(補正後の推定値・予測値)として提供する。なお、予測部307が計算した樹木の成長率等の予測値(補正前)をそのまま補正することなく提供してもよい。
また、評価結果提供部308は、ユーザ端末100により問い合わされた地図上の評価対象となる特定の地点に対応する領域IDに基づいて、取得部303が取得した評価対象となる実測された実データであって、計算のパラメータ部分の実データとなるものに基づいて、ニューラル通信網を用いたディープラーニングによる学習モデル等により計算した評価結果データ(推定値・予測値)を提供してもよい。
次に、本実施の形態に係る樹木の成長率予測システム1の学習モデルMに基づいて森林の定量的な価値を提供する際の基本的(汎用的)な2つの処理動作を、図12(a)、(b)のフローチャートを参照して説明する。
最初に図12(a)を参照すると、まず、サーバ300Bの通信装置30は、ユーザ端末100から特定の地点における森林の所定の価値の問い合わせを受信する(ステップS301)。ユーザ端末100に表示された日本地図上の任意の地点うちから画面に対するタップ操作するなどにより、地図上の特定の地点を指定することであってもよい。もちろん、プルダウンリスト等から特定の地域を選択することにより指定すること等であってもよい。
次に、評価結果提供部308は、ユーザに指定された地点に対応する領域IDおける森林の価値(ユーザにより特定された種類の価値)の評価問題を、予測部307に解かせて、補正前の予測データを算出させる(ステップS302)。
次に、評価結果提供部308は、予測データをモデル生成部310が生成した学習モデルMにより補正する(ステップS303)。
そして、評価結果提供部308は、補正した値を、森林の価値の評価結果データ(補正後の推定値・予測値)として提供する(ステップS304)。
次に図12(b)を参照すると、上記のステップS301と同様に、まず、サーバ300Bの通信装置30は、ユーザ端末100から特定の地点における森林の所定の価値の問い合わせを受信する(ステップS301´)。
次に、評価結果提供部308は、ユーザに指定された地点に対応する領域IDおける森林の価値(ユーザにより特定された種類の価値)の評価問題を、取得部303が取得した計算のパラメータ部分の実データとなるものに基づいて、モデル生成部310が生成したニューラル通信網を用いたディープラーニングによる学習モデルM等により解いて、推定値を算出する(ステップS302´)。
そして、評価結果提供部308は、計算した値を、森林の価値の評価結果データ(推定値・予測値)として提供する(ステップS303´)。
以上、森林の定量的な価値を提供する際の学習モデルに関する基本的(汎用的)な2つの処理動作を説明したが、以降の本実施の形態における、具体例での説明の際には、特に明示しなくても、学習モデルの処理動作は、この2つのいずれもが並列的又は代替的に適用可能であるため、個別の箇所で繰り返しの説明は省略する。
2−3:データべース
次に、データベースDBの詳細を説明する。日本全域の地図をベースとするUI(ユーザインターフェイス)とするため、日本全域の森林を「10m×10m」〜「50m×50m」の領域にメッシュ状に区切って1億点から25億点の個別領域の集合体として位置づけ、ビッグデータのデータベースプラットフォームを形成する。
地図情報は、一定の緯度・経度の間隔で矩形に分離されたメッシュ単位で構成されている。さらに各メッシュは、所定の単位で分離された縮尺の異なる複数の階層から構成されている。メッシュは、日本の場合、例えば、総務省により定められた標準地域メッシュの規格を採用することであってもよい。標準地域メッシュは、1次メッシュ、2次メッシュ、3次メッシュの順に約10分の1の面積比で構成される。さらに、メッシュは、1次〜3次メッシュより細分化した分割地域メッシュを、メッシュ単位として採用することであってもよい。地図情報は、メッシュ単位毎に分割される場合、それぞれ領域IDと、対応する緯度及び経度の情報とを有する。
データベースDBに格納されるテーブルの行には各領域としての個別領域を識別するための領域IDが割り当てられている。
データベースDBのテーブルの列に格納されるデータは、森林の価値を定量的に評価するために用いられる、すなわち技術常識に鑑みて森林の価値との間に何らかの相関関係等が存在し、森林の価値の定量的な評価の際にパラメータ等として利用可能なデータであり、例えば、各地域における、林況(樹種、本数(密度)、太さ(幹の直径)、高さ(樹高)、樹齢、樹木位置等)、気象条件(各月の温度・降水量・日照時間・積雪量、風速・風向・最大瞬間風速等)、地況(緯度経度、標高、地形の傾斜、地位、曲率、谷密度、集水域積算、災害履歴(山地崩壊履歴)等)、人為条件(保育・間伐体系、伐期(伐採に至るまでの期間)、間伐頻度、間伐率、使用機械等)、経済条件(木材市場価格、労賃、搬出費用、金利等)、制度条件(補助金、税率、計画制度等)、森林空間センシングデータ(動植物の外形、畦畔の音、風の音、動物の鳴き声、人間の発する声、樹木の形状、におい、味等)であり、各領域IDに対応付けられて格納されている。その他、森林の価値を定量的に評価するために用いられる、すなわち技術常識に鑑みて森林の価値との間に何らかの相関関係等が存在し、森林の価値の定量的な評価の際にパラメータ等として利用可能なデータが各領域IDに対応付けられてテーブルの列に格納されることであってもよい。なお、宇宙衛星(観測衛星)は、解像度などのスペックがアップデートされていくと考えられ、高高度から高密度にレーザ光を照射するなどの森林のはるか外側からの観測データも含む。また、本実施の形態における林況、気象条件、地況、人為条件、経済条件、制度条件及び森林空間センシングデータの各データの意味は上記の例示を含む概念と定義される。
データベースDBに格納される初期データは、既に日本全域で取得されているデータ(一般には非公開)を用いることであってよい。これまでに、データベースDBの基礎は構築済みであるのでこれらのデータを活用することができる。
データベースDBに追加される追加データは、ユーザが観測した実データ(樹木の本数、太さ、高さ)や、情報収集装置200(ドローン、宇宙衛星、センサー附属型林業機械等)がビッグデータ等として収集した実データ(樹木の本数、太さ、高さ)がある。
さらに、データベースDBに追加される追加データとしては、AIによる推定データ(利益額等)に基づいてユーザが実際に実施した結果の実データ(利益額等)がある。
さらに、データベースDBに追加される追加データとしては、AIによるビッグデータ解析結果に基づく成果や情報を追加していく。
これらの情報を領域IDをキーとして紐付けてデータベースDBに蓄積していくことなどが基礎となる。なお、領域IDをキーとして各種のDBとの連携が図られることであってもよい。
また、データベースDBはクラウド化されユーザビリティの向上が図られていてもよい。
2−4:UI・出力例
上記のデータベースDBに基づいて、図10に示すような、日本全域の地図をベースとするUI(ユーザインターフェイス)とする。ユーザ端末100の出力部130としてのディスプレイ等の表示機構に画面表示されることであってよい。
個別領域、流域、市町村、都道府県、国レベル、場合によっては個々の樹木レベルにおいて、多様なスケールに対応できるとともに、より広域のレイヤーが規模的に下位のレイヤーの積み上げで構成されている。そしてスケール間の情報の連続性が公知の技術を用いて担保されている。
すなわち、小スケールから大スケールに積み上げて、ある点にフォーカスすればその地点を微細に把握可能であり、一方、視点を引いていけば広域のものもよくわかるUIとなっている。
ここで、領域IDをキーとして、各レイヤーの合算値に矛盾は無いように公知の技術を用いて構成されており、また、レイヤー間の現況把握、予測、最適化等の間にも矛盾は無いように構成されている。
図10は、日本全域の地図をベースとする各個別領域について、利益額(収益−費用=利益)と木材価格(材価)の変動に応じて、伐採による採算性をとれる個別領域(将来の収益は将来時点の木材価格に依拠するが、現在時点の木材価格に基づいて所定の変動があってもなお採算のある個別領域ごとに)を視覚化して出力(アウトプット)した例である。
図13は、材価の変動に応じて長期的に経済的に循環可能(サステナブル)な個別領域を抽出して数値標高モデル(DEM)のように、個別領域の集合体として、ラスターデータ又はベクターデータの一方又は両方により、日本全域をカバーしたマップにて示した例である。例えば、樹木の高さや太さ、本数密度という定量的なアウトプットは、樹木の種類等に基づいて、設定した個別領域に対し、現況と将来の成長量(木はどこかのタイミングで伐採しなくてはならなく、どのタイミングだと一時点の儲けの最大化ではなくサステナブルかの観点を含んでもよい。)を上記の樹木の成長率予測に基づいて算出して生成し、新たに現在から将来にかけての樹木の高さ、太さ、本数密度等を生成してデータベースに格納する。その際に、例えば、自己間引き率(自然枯死率)を設定し、将来の自然枯死を考慮した本数密度の推定法を利用してもよい。
そして、設定した個別領域に対し、新たに現在から将来にかけての木材利益額等を生成してデータベースDBに格納する。例えば、金利1%を割引率として設定し、将来の金利を考慮した現在価値による評価法を利用してもよい。現行の補助率等(補助金)を基礎とし、年間市況最頻値を基準(材価の市場有り)とし、地形の傾斜(山地災害危険度、日当たり)・地位(土地の生産力・肥沃度、水分・栄養の多寡(河川に近いと多い))のみを考慮した例である。なお、他の項目(鹿の分布・追い払うコスト)を考慮したアウトプット等であっても、個別領域ごとに情報を出力し林分、流域から日本全域まで詳細な情報を保存したまま広域展開することも可能である。
2−5:ソフトウェアのクラウド化
サーバ300Bが、上記の機能ブロックで示したサーバ300Bの機能のうち少なくとも一部をソフトウェアにより提供し、クラウド(SaaS/ASP)によりサーバ300Aが提供するサービス(ソフトウェア)をユーザがユーザ端末100から使用して、サーバ300Aのデータベースへアクセスして入出力情報をやりとりするため、アウトプットの高速化・高精度化をはじめとするソフトウェアのユーザビリティ向上(利便性向上)に資する。
上記のソフトウェアによりサーバ300BのデータベースDBへは、日本全域からアクセス可能であり、国土の7割を占める森林のあらゆる地域のユーザのユーザ端末100のソフトウェアを介した入出力データと連携でき、ビッグデータの収集に繋がる。
2−6:AI解析
サーバ300Bにおける、AI解析は、例えば、どの程度の利益額であれば、森林において伐採するという意思決定がとられるのかを、得られたビッグデータから学習モデルを生成して解析する。
モデル生成部310は、例えば、算出した推定利益額(=収益項目の材木価格、種類、太さ、高さ等−費用項目の周囲の地形、労賃、搬出費用等)と、ユーザが記録し入力するなどして得られた実測(観測)された利益額との関係を学習した学習モデルを生成することであってもよい。
AI解析による定量的な評価結果としてのアプトプットは、森林の価値の評価結果データとしての利益額(補正後の推定値・予測値)そのものであるが、さらに展開して、例えば、想定される利益額に基づいて計算される、伐採される森林の範囲や木材生産量・必要労働量等の推定値・予測値であってもよい。なお、生成するアウトプットは、木材生産量などの実数であっても、労働量の稼働率などの割合であってもよい。
例えば、木材生産量というアウトプットは、地図上の地点に対応する複数の個別領域ごとに樹木の種類等に基づいて、現況の蓄積と将来の成長量を樹木の成長率予測に基づいて算出して現在から将来にかけての木材生産量等を生成してデータベースに格納し、例えば、一定の割引率(金利)や利益額又は利益率等を設定し、将来の金利や利益額を考慮して採算の取れる木材生産だけを計上して出力したり、収益を最大化する伐採の樹齢を計算するロジックを利用してもよい。
さらに、自律的にモデル生成部310は、学習データLD(上記の推定データ(補正後)の木材生産量と、ユーザ端末等から入力された実データとしての実際に観測やセンシングされた木材生産量)に基づいて、推定値と観測値の間に所定の閾値以上の誤差がある場合は、誤差を最小化して精度を向上するように、機械学習により新たな学習モデルを生成し、その学習モデルにより補正して、樹木の成長率や木材生産量等の出力値を提供することであってもよい。これにより、ビッグデータによる新たな知見やフィードバックによってデータベース及びソフトウェアの改善をも効率的に自動化可能となり、広域通信通信網システムとの連動も踏まえ、シミュレーション・最適化・計画立案等は、その後のモニタリングによって得られたリアルタイムのインプット情報の観測値によって自動補正され、時間の経過とともに、陳腐化することのないシステムが実現される。学習モデル(予測可能技術)は数式等で表現し、プログラムのソースコードに書き加えることによってソフトウエアに組み込まれることであってもよい。
また、AI解析では、自ら範疇を決めずにルールを認知していったり、何のデータが足りなく、より良いパフォーマンスにするために何のデータが必要か判断させていく。AI自らビッグデータを取得するシステムの自動化により、自律的な改善をフルオートで可能とする汎用型AIを広域で確立することができる。
具体的なアルゴリズムとしては、例えば、結果の精度を検証することがある。従来は頻度の高いデータのみ大量に収集するため、少ないデータの箇所は精度が悪くなり、誤差の大きいところとなる。予測に用いるデータの信頼度を考慮して、必要とされる推定(シミュレーション)の信頼度を充足しない場合、AIが自ら通信網経由でデータを収集する。
図14に示すように、グラフの横軸(林齢)に関して、日本全域における林齢40年の林は多く、したがって縦軸(データ数)に関して、データは大量に集まり、観測値(四角印)と推定値(三角印)の乖離は小さい、すなわち精度が高く誤差は小さい。一方、林齢100年の林は少なく、データは少なくなり、観測値と推定値の乖離が大きくなり、必要とされる推定(シミュレーション)の信頼度を充足しない場合がある。
そこで、AI解析により必要とされる推定(シミュレーション)の信頼度を充足しない(観測値と推定値の乖離が所定の閾値を超える)と判断した場合、例えば、情報収集装置200としてのドローンによる飛行計画を立案し、予測(推定)に必要なデータに応じて当該データを収集するためどのような高度でどの範囲を飛行するか等のプランを出力する。そして、林齢100年の林のデータを重点的に回収するようにドローンを飛ばしてデータを集めて、推定値を改善して、観測値と推定値の乖離を許容範囲内(閾値内)に小さくしていくことができる。
2−7:空間軸・時間軸
「空間軸」:日本全域レベルであり、樹木は温度・降水量・日照時間、地位等の様々な要因で成長し、日本は四季、個別の地域性がある。
「時間軸」:現時点のみでなく、樹木の成長の観点からの時間軸も考慮する。例えば、一年ごと、一か月ごと、一日ごと、などの推定データを算出してデータベースDBに格納する。後述する森林の多面的機能は、森林の状態の変化に依存している。したがって、森林の状態の変化を、樹木の成長率の予測により長期連続データとして推定することで、百年を超える時間方向に拡張したシミュレーションが可能となる。樹木の成長予測等を介して、時間方向においても長期的なシミュレーション・最適化・伐採事業等の計画立案が可能となる。
具体的な時間方向におけるシミュレーションの手法は、例えば、以下のようなものがある。
前提として、既存の画像データやユーザ端末100と情報収集装置200(ドローン等)から収集した画像データに基づいて、樹木の種類を判定する。具体的には、樹形、葉の形・色、といった樹木の特徴量に基づいて判定する。この判定には特徴量と樹木の種類との関係について、多層構造のニューラル通信網を用いたディープラーニング(深層学習)により、モデル生成部310で生成された高品質な学習済みモデルを用いてもよい。なお、季節によって、樹木の外観は変化する。また、標高や緯度経度によっても樹木の外観は変化する。そこで、これらの要素を特徴量に含ませて樹木の種類を判定してもよい。
次に、将来の森林の有り様を予測する。樹木の種類及び環境に応じた成長がある。
樹木の成長率に関する環境のパラメータは、例えば、各月の気温、各月の降水量、各月の日照時間、単位面積当たりの樹木数が含まれる。
モデル生成部310は、学習データLD(例えば、予測部307が予測した成長率と、ユーザが記録し入力するなどして得られる取得部303が取得した実測された成長率)に基づいて、機械学習により学習モデルを生成し、評価結果提供部308はその学習モデルにより補正して樹木の成長率を評価結果データ(補正後の推定値・予測値)として提供することであってもよい。樹木の成長率の予測結果として、地図上の地点に対応する複数の個別領域(領域ID)ごとに一本ずつの樹木の大きさ(太さ、高さ)のデータをデータベースに格納する。なお、樹木の成長率の予測結果として生成する定量的なアウトプットは、林分蓄積(一斉に植林した林などの体積m3)などの実数であっても、収量比数(1を100%としたときの本数密度、0.6〜0.7が好ましい、高いと自己間引き始まる)などの割合であってもよい。また、例えば、過去の気候変動から将来の気候変動を予測し、樹木の成長率の予測結果に反映してもよい。
2−8:広範囲AIの身体性の獲得
四季を持つ日本全域の多様な森林は広大に分布する。これまで、日本全域の多様かつ広大な森林を対象に適用可能な身体性を備えたAIは実現されていなかった。
図1に示すように、日本全域の森林を対象としたシステムを介し、国レベルの通信網による大量の情報収集装置200によるセンシング、例えば、ドローンや宇宙衛星のカメラ機構やレーザ照射による自動林内撮影(樹木位置、太さ、高さ、動植物の外形等)や、音声レコーダーによる自動録音(林内の畦畔、風、動物の鳴き声、人間の発する声等)や、センサー附属型林業機械等によるセンシング(伐採する樹木の形状(真っ直ぐだと木材に適する)、太さ、長さ等)のデータを自動取得する。
「目(視覚=カメラ機構)」、「耳(聴覚=音声レコーダー)」、「手(触覚=林業機械等のセンサー)」などからなる「身体性(五感)」をAIが獲得することにつながる。「鼻(嗅覚)」においセンサー、「舌(味覚)」味覚センサーなどを備えることであってもよい。
なお、大量のドローンの調和的制御がなされることであってもよい。大量のドローンの調和的制御とは人間には困難な自己犠牲的な全体最適による制御を指す(例えば、森林火災等の非常時における現地観測において、先行するドローン群で観測対象地への安全経路を自損も前提に探査し、帰還したドローンの経路を踏襲して後続のドローンが本格探査を実施する等の制御である。)
上記のセンシング結果の活用として、
(1)林内撮影等により、木材生産量、生物多様性、森林のCO2吸収量、山地災害の危険度の算定に利用することができる。
例えば、地図上の地点に対応する複数の個別領域ごとに林内撮影による観測から得られた樹木の高さや太さ、本数密度というセンシング結果により、樹木の種類等に基づいて、上述した樹木の成長率を算出することができる。
(2)音声録音等により、生物多様性の評価に利用することができる。
例えば、林内の生物多様性というアウトプットは、地図上の地点に対応する複数の個別領域ごとに林内音声録音による観測から判別して得られた鳥類の種類等のデータに基づいて、現況の多様性を生成し、森林の伐採(伐採により多様性は小さくなる、なお一部伐採でも山林全体では多様性は大きくなるケースもある)などから、多層構造のニューラル通信網を用いたディープラーニング(深層学習)により、モデル生成部310で生成された高品質な学習済みモデルを用いて、新たに算出された現在から将来にかけての生物多様性等を生成してデータベースに格納する。例えば、シャノンの多様度指数や指標種の概念を設定し、特定の希少種の観測に基づく評価法を利用してもよい。なお、生成するアウトプットは種数などの実数であっても、生物多様度などの相対化された指数であってもよい。
(3)センサー附属型林業機械等によるセンシング結果により、木材生産の効率性・利益額の評価等の評価に利用することができる。
モデル生成部は、学習データLD(地図上の2地点間のセンサー附属型林業機械等の観測に基づいて差分により計算された移動時間(短時間だと伐採コスト下がる))に基づいて、多層構造のニューラル通信網を用いたディープラーニング(深層学習)により、モデル生成部310で生成された高品質な学習済みモデルを用いて、木材生産の効率性等のアウトプットを提供することであってもよい。
2−9:実施例
本実施の形態におけるシステムは、AI解析等により、多額の税金を投入している行政の説明責任、合意形成の基礎資料として活用もできる、以下のような分析・アウトプットが可能である。モデル生成部310で生成された高品質な学習済みモデルを用いることであってよい。
(1)定量的なアウトプットに基づいて、防災のリスクを最小化したい場合には、伐採して植え替えるときの、伐採フィールド及び伐採タイミングの時空間も決定できる。例えば、伐採は、路網(林道、作業道等)の設置と連動する。路網の設置は、地盤が弱くなる、土砂の流出などに起因して防災リスクを高めるため、防災リスクの潜在的に高いエリアは、路網の設置及び伐採を控えるなどして山地崩壊を制御するなどの最適化計算が可能となる。樹木の成長によって、防災リスクに影響する根茎の深さ(成長に伴い根茎が深くなり、基岩層の亀裂に根を張り地盤の浸食や崩壊を防ぐ機能)も変化するため、時間とともに巨大化する森林の予測によって時間軸を推定に付加してもよい。
(2)山地災害危険度を予測する。樹木の種類、樹齢、地形の傾斜などに基づいて山地災害危険度を予測する。山地災害危険度は単位領域当たりの等高線密度で表し、マップ化することであってもよい。例えば、山地災害危険度という定量的なアウトプットは、樹木の種類等に基づいて、現況の危険度と将来の危険度を算定し、例えば、乱数やシナリオを設定し、将来のゲリラ豪雨による降雨イベントを考慮した不確実性や確率論による評価法を利用してもよい。なお、生成するアウトプットは山地災害によって見込まれる木材被害量などの実数であっても、災害の発生確率(傾斜が急、地形の複雑さに基づく)などの割合であってもよい。
(3)伐採による採算性が低く、かつ、災害発生頻度の低い領域などを、太陽光発電の対象地として設定するなど、個別の森林所有者との交渉・市町村単位の都市計画・コンサルティング等に活用することも可能となる。例えば、定量的なアウトプットは、利益額などの実数であっても、災害の発生確率などの割合であってもよい。さらに、太陽光発電の採算性と比較することでより有利な土地利用の選択肢を評価することも可能となる。
(4)CO2吸収量(二酸化炭素吸収量)を予測する。樹木の種類、樹齢、場所、地形などに基づいて例えば、一年ごとのCO2吸収量を予測する。CO2吸収量のパラメータは、間伐頻度(間引く頻度、面積の2割×2回、面積の4割×1回、コストとの兼ね合い、周辺の林との兼ね合いも・トータルで安価となるタイミングで)等であり、本数密度や樹齢、地位などの計算を実行することによって、CO2吸収量が算出される。例えば、樹木のCO2吸収量算定という定量的なアウトプットは、林内のフラックスタワーなどによる観測から得られた樹木の種類等に基づいて、設定した個別領域に対し、現況と将来の成長率を算出して、新たに現在から将来にかけての成長率と樹種ごとに設定されたCO2換算率に基づきCO2吸収量等を生成する。その際に、例えば、バイオマス拡大係数を設定し、幹材積から枝葉や根茎も考慮したCO2吸収量による評価法を利用してもよい。
上記の本実施の形態によれば、三本の密度水準曲線による多様な本数密度管理への対応等も可能となる。これらには樹木の太さの成長量なども反映でき、さらに間伐などの人為的作業の影響も詳細に考慮できる。
また、図11に示すように、樹木の成長率に関する各パラメータを推定するうえで、不足するデータがあれば、能動的に希少データを探査しBigDataを収集し、収集したデータからパラメータを再度修正し、予測式を改善する、このことを繰り返し、観測値と予測式による推定値を比較することで、さらなる精度向上の自動化を図るAIアルゴリズムを適用可能である。
また、上記の樹木の成長率予測を基礎に、各樹木の成長予測を行い、これらの一本ごとの樹木の成長を個別領域で集計すれば、個別領域ごと等の各レイヤーにおける予測に繋げることもできる。
また、ユーザ端末100としてのスマートフォン向けのアプリケーションとして提供されることにより、ユーザは樹木の成長予測を3D画像等で確認することもできる。
さらに、上記の本実施の形態によれば、日本全域の多様かつ広大な森林を対象に適用可能なAIを活用して、樹木の成長の観点を含む森林の経済的価値などの価値を数値により定量的に評価可能な森林データの利用技術を実現することができる。そして、上記の効果を奏する限り、上記処理工程は一部の順序が入れ替わったり、同時並行的に処理されることであったり、必須ではない処理が省略されてもよいのはもちろんである。
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、各装置・システムの機能を実現するためのプログラムを各装置・システム等に読込ませて実行することにより各装置・システム等の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROM又は光磁気ディスクなどを介して、又は伝送媒体であるインターネット、電話回線等を介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、一部のシステムが人の動作を介在して実現されてもよい。
また、上述の各処理の具体例は、それぞれ組み合わせて実施されてよく、その際に用いられている公知のデータ等は既知のデータベース等と連携して通信網から取得したり、それらの取得されたデータが本システムのデータベースに格納されて利用されることであってもよい。すなわち、当業者が技術常識から理解実現可能な細部の記載は適宜省略されている場合もある。
1 樹木の成長率予測システム
100 ユーザ端末
200 情報収集装置
300A,300B サーバ

Claims (12)

  1. 所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、前記第1時点における平均太さ、及び前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得する取得部と、
    林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの最短距離が最も短い密度水準曲線を選択する選択部と、
    前記所定領域を、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出する第1算出部と、
    前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出する第2算出部と、
    前記第1成分値と前記第2成分値と合計することによって、前記第1時点における平均太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における平均太さの割合である平均成長率を予測する予測部と、を備えた、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率を予測する情報処理装置であって、
    前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記太さの平均値が同一の場合に、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さい、
    ことを特徴とする情報処理装置
  2. 前記第2密度水準曲線は、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度を小さくした場合、前記第2密度水準曲線に対応する林内の複数の樹木の成長を促進できない本数密度と太さの平均値との関係を示す密度水準曲線であることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置
  3. 前記第3密度水準曲線は、前記第3密度水準曲線に対応する林内の複数の樹木の平均太さを大きくした場合、自然枯死が発生する本数密度と太さの平均値との関係を示す密度水準曲線であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置
  4. 前記第1算出部は、P及びKを前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林を想定した場合の正の定数、前記第1成分値をR1、前記第1時点における前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均樹齢をt、とした場合、以下の式により前記第1成分値を算出する、
    R1=P・e−Kt
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置
  5. 前記第2算出部は、b及びCを前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林に応じて定まる定数、前記第2成分値をR2、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林内の複数の樹木の太さの平均値をD、前記林における本数密度をN、とした場合、以下の式により前記第2成分値を算出する、
    R2=−blogN−logD+C
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の情報処理装置
  6. 前記予測部は、
    前記所定領域に植栽された複数の樹木の樹種及び前記所定期間に実施が予定される間伐パターンに応じて補正係数を決定し、
    前記第1成分値と前記第2成分値とを合計する替わりに、前記第2成分値に前記補正係数を乗算して得られた乗算結果と前記第1成分値の合計を前記平均成長率として予測する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置
  7. 前記予測部は、
    前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率をR、前記所定期間における前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長量をq、前記第1時点における前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均太さをDとした場合、以下の式に従って前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長量を予測し、
    q=(R−1)・D
    さらに、前記平均成長量に前記所定領域に植栽された複数の樹木の本数を乗算することによって、前記所定領域に植栽された複数の樹木全体の成長量である領域成長量を予測する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の情報処理装置
  8. 地図の前記所定領域に対応する位置に前記領域成長量を示す画像データを生成する評価結果提供部を備える請求項7に記載の情報処理装置
  9. 請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の情報処理装置と、ユーザ端末と、情報収集装置とを備えた樹木の成長率予測システムであって、
    前記ユーザ端末は、前記所定領域を指定する指定情報を前記情報処理装置に送信し、
    前記情報収集装置は、前記所定領域を上空から撮像した撮像データ及び撮像時の前記情報収集装置の位置を示す位置データを前記情報処理装置に送信し、
    前記情報処理装置は、
    前記指定情報に基づいて前記所定領域を特定する特定部と、
    前記撮像データ及び前記位置データに基づいて、前記所定領域の本数密度を生成する生成部とを備える、
    ことを特徴とする樹木の成長率予測システム。
  10. 請求項8に記載の情報処理装置と、ユーザ端末とを備えた樹木の成長率予測システムであって、
    前記ユーザ端末は、前記所定領域を指定する指定情報を前記情報処理装置に送信し、
    前記情報処理装置は、
    前記指定情報に基づいて前記所定領域を特定する特定部を備え、
    前記画像データを前記ユーザ端末の送信することによって、前記所定領域に対応する位置に前記領域成長量を示す地図を前記ユーザ端末に表示させる、
    ことを特徴とする樹木の成長率予測システム。
  11. 所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、前記第1時点における平均太さ、及び前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得し、
    林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの最短距離が最も短い密度水準曲線を選択し、
    前記所定領域を、前記選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出し、
    前記選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出し、
    前記第1成分値と前記第2成分値と合計することによって、第1時点における平均太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における平均太さの割合である平均成長率を予測し、
    前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記太さの平均値が同一の場合に、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さい、
    ことを特徴とする樹木の成長率予測方法。
  12. 情報処理装置を、
    所定領域に植栽された複数の樹木について、第1時点における平均樹齢、前記第1時点における平均太さ、及び前記第1時点における前記所定領域の本数密度を取得する取得部と、
    林内の複数の樹木の太さの平均値と前記林本数密度との関係を示すグラフにおいて、第1密度水準曲線、第2密度水準曲線、及び第3密度水準曲線のうち、前記平均太さ及び前記所定領域の本数密度の座標からの最短距離が最も短い密度水準曲線を選択する選択部と、
    前記所定領域を、前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する林として想定し、前記平均樹齢に基づいて、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率のうち第1成分を示す第1成分値を算出する第1算出部と、
    前記選択部によって選択された密度水準曲線に対応する前記関係に基づいて、前記所定領域に植栽された複数の樹木の平均成長率のうち第2成分を示す第2成分値を算出する第2算出部と、
    前記第1成分値と前記第2成分値と合計することによって、第1時点における平均太さに対する、前記第1時点から所定期間経過した第2時点における平均太さの割合である平均成長率を予測する予測部として機能させ、
    前記第1密度水準曲線に対応する林の本数密度は、前記太さの平均値が同一の場合に、前記第2密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも大きく、前記第3密度水準曲線に対応する林の本数密度よりも小さい、
    ことを特徴とする樹木の成長率予測プログラム。
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