JP6906787B2 - 土壌改良剤及び土壌改良方法 - Google Patents

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本発明は、低分子量キチンを有効成分とする土壌改良剤及び土壌改良方法に関する。
作物栽培に重要な土壌の良好さは、化学性、物理性、生物性を指標に評価される。化学性とはpHや肥料成分、物理性とは土の柔らかさ (団粒) や水捌け、保水性等を指し、これらは養分補給や耕運により改善されてきた。一方で、生物性は土壌微生物の種類や割合により評価され、土壌環境改善の重要な因子である。微生物の多様性がある土壌は、作物の生育に優れ、また連作障害を抑制し、病気にかかり難いことが知られ、作物生産者は土壌の微生物性改善のために様々な努力を行っている。
下記非特許文献1には、土壌へのカニ殻キチンの施用により、土壌微生物叢に変化を与え、単位土壌あたりの放線菌数が増加し、インゲン萎黄病の原因菌であるフザリウムが減少し、発病を抑制したことが報告されている。
また、下記特許文献1には、カニ殻の破砕片と粉粒状の無機材料、有効微生物群を配合し、更に必要に応じてキチン、キトサン、各種和漢薬粉末を添加した土壌改良材が記載されている。この土壌改良材を施用すると、有効微生物が速やかにかつ爆発的に増殖すると共に、植物細胞が刺激を受けて活性化して、土壌病害菌や病害虫を攻撃して死滅させることが記載されている。
また、下記特許文献2には、ストレプトミセス属 (streptomyces)に属する新規な放線菌を土壌に施用することによって、連作障害を防止できることが記載されている。上記新規な放線菌は、キチンを混合した土壌より分離されたとあり、キチンを分解する能力が高い菌が選抜されている。
更に、下記特許文献3には、キチンを加水分解して得られる数平均分子量が2,000〜50,000の低分子量キチンを有効成分として含有する植物生長調整剤が記載されている。そして、上記植物生長調整剤を植物に施与することにより、植物の生長を促したり、植物の矮化を促進して、収量を増加させることが記載されている。
更に、下記特許文献4には、キチンを加水分解して得られる数平均分子量3,000〜50,000の低分子量キチンを有効成分として含有することを特徴とする植物病害防除剤が記載されている。上記植物病害防除剤の施与方法は、例えば、土壌や培養基に直接散布してもよいが、例えば、上記低分子量キチンを0.01〜1.0質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%となるように水等の適当な溶媒に懸濁した懸濁液を、植物の根元に灌注することが好ましい旨記載されている。
Microbiological processes associated with the use of chitin for biological control. Mitchell, R. and Alexander, M. Soil Sci. Soc. Proc. 26: 556-558. 1962.
特開2002−180047号公報 特開平9−154570号公報 WO2015/125953号公報 特許4404332号公報
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1に記載された方法では、カニ殻や高分子量のキチンを用いているため、資材の多量施用が必要であったり、効果が出るまでに時間が掛かったりするという難点があった。
また、特許文献2に記載された方法では、新規な放線菌を土壌に施用しても、該放線菌が土壌中で優位に増殖するとは限らず、また、長期に亘ってその優位な状態を維持できるとは限らないので、安定した効果が得られない可能性があった。
一方、特許文献3には、低分子量キチンを有効成分とする作物の収量増加を目的とした植物生長調整剤が開示されているが、土壌の環境改善を目的とした土壌改良剤として用いることについては記載されていない。
また、特許文献4には、アブラナ科作物の病害である根こぶ病や萎黄病に有効であることが記載されているが、病原体ともなる土壌自体から病原菌を減少させる、土壌改良剤として用いることについては記載されていない。
よって、本発明の目的は、短期間で土壌の微生物叢を改善することができる土壌改良剤及び土壌改良方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、低分子量キチンを土壌に施用することで、短期間で土壌中の放線菌を増殖させ、且つ短期間で作物病原菌であるフザリウム菌を低減する効果もあることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の土壌改良剤は、キチンの加水分解物である低分子量キチンを有効成分として含有することを特徴とする。
本発明の土壌改良剤においては、前記低分子量キチンの数平均分子量が2,000〜50,000であることが好ましい。
本発明の土壌改良剤は、土壌中の放線菌を増加させ、フザリウム菌を減少させることにより、土壌の微生物叢を改善するために用いられるものであることが好ましい。
一方、本発明の土壌改良方法は、キチンを分解して得られる低分子量キチンを、土壌中の含有量が0.02質量%以上となるように、土壌に添加することを特徴とする。
本発明の土壌改良方法においては、前記低分子量キチンの数平均分子量が2,000〜50,000であることが好ましい。
本発明の土壌改良方法は、前記低分子量キチンを土壌に添加することにより、土壌中の放線菌を増加させ、フザリウム菌を減少させるのに好適である。
本発明の土壌改良方法においては、前記低分子量キチンを、土壌中の含有量が0.06質量%以上0.17質量%以下となるように、土壌に添加することが好ましい。
本発明によれば、低分子量キチンを有効成分として含有する土壌改良剤を土壌に施与することにより、一般的なキチンと比較して、短期間で放線菌の増殖効果を示し、且つ短期間でフザリウム菌の低減効果を示す。放線菌は抗生物質を産生する菌種が多く有益な土壌微生物であり、一方でフザリウム菌は多くの植物病害を引起す有害な土壌微生物であることが広く知られている。したがって、本発明の土壌改良剤を土壌に施与することにより、従来方法で用いられているカニ殻や一般的なキチンの土壌施用では見られなかった、短期間での土壌中の微生物叢の改善効果が期待でき、それによって土壌自体を改善することによる作物病害の発生抑制効果が期待できる。また、土壌中の微生物叢を改善することにより、農業圃場での連作障害 (連作による土壌汚染に起因する次作物への障害発生) が懸念される土壌の早期回復効果が期待でき、農業生産性の向上に貢献することができる。
低分子量キチン濃度とフザリウム菌低減率との関係を示す図表である。
本発明の土壌改良剤の有効成分である低分子量キチンは、カニ、エビ等の甲殻類の殻等から常法によって調製されるキチンを、酸又は酵素で部分加水分解することによって得られる。低分子量キチンの数平均分子量は、2,000〜50,000であることが好ましく、2,500〜〜20,000であることがより好ましい。なお、上記数平均分子量は、例えばプルランを標準物質としたサイズ排除クロマトグラフィーなどの方法によって測定することができる。
このような低分子量キチンは、例えば、以下のようにして調製することができる。すなわち、原料キチンを3〜8倍量程度の濃塩酸に分散させ、40℃で10〜20分間分解を行う。濃塩酸と等量の水を加えて反応停止し、アルカリで中和した後、濾過して残渣を回収し、必要に応じて賦形剤を適宜添加し乾燥することにより、低分子量キチンを得ることができる。また、低分子量キチンを主成分として含むキチン分解物は市販されており、例えば、商品名「低分子キチンFO」、「LMC−3」(いずれも焼津水産化学工業株式会社製)等をそのまま用いることができる。
本発明の土壌改良剤は、上記分子量の低分子量キチンのみで構成してもよく、上記分子量の低分子量キチン以外の他の成分を含んでいてもよい。例えば、他の成分として、シリカ、ケイ藻土、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの固形肥料や、尿素、硫安、塩安、燐安、塩加里などの水可溶性肥料や、カルシウム、亜鉛、鉄、硼酸、銅、マンガン、ビタミンCなどの微量栄養素や、バリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、アラニン、シスチン、グリシン、イソロイシン、プロリン、アデニンなどのアミノ酸・核酸などを含むことができる。また、必要に応じて、沈殿防止剤、展着剤、防腐剤、増粘剤、賦形剤などを含むこともできる。土壌改良剤中の低分子量キチンの含有量としては、低分子量キチンを固形分換算で1〜100質量%含むことが好ましく、10〜80質量%含むことがより好ましい。また、土壌改良剤の形態としては、粉状、顆粒状、液状、粉状物を水等の溶媒に分散させた分散液状等のいずれの形態であってもよい。土壌への施用形態としては、上記分子量の低分子量キチンを粉状に調整した形態のものをそのまま土壌へ施与しても良いが、必要に応じ作業性や均一性の観点から、水等の溶媒に分散させた分散液状の形態を使用しても良い。低分子量キチンを水等の溶媒に分散させる場合には、低分子量キチン換算で、好ましくは50〜3500mg/L、より好ましくは600〜3500mg/L、更により好ましくは1200〜3500mg/Lの濃度に分散させた分散液とするのが好ましい。
本発明の土壌改良方法は、上記土壌改良剤を、低分子量キチンの土壌中の含有量が0.02質量%以上となるように、土壌に添加する方法である。上記低分子量キチンの土壌中への添加量は、0.06質量%以上、0.17質量%以下がより好ましい。なお、圃場の土壌等に添加する場合、作物の生育に寄与する深さでの土壌中の含有量が上記範囲になればよい。低分子量キチンの土壌中の含有量を上記範囲とする深さは、植物の根がはる深さによって相違するが、一般的には地表から10cmあれば十分な効果が期待できる。
本発明の土壌改良剤を土壌に施与する方法は、特に制限はなく、粉状、顆粒状のものを土壌に散布機などで散布したり、液状、分散液状のものを、ジョロ、散水ノズル、灌水チューブ、スプリンクラー、灌注機などで土壌に散布したりする方法が採用できる。
低分子量キチンを有効成分として含有する本発明の土壌改良剤を土壌に添加することにより、一般的なキチンと比較して、短期間で放線菌の増殖効果を示し、且つ短期間でフザリウム菌の低減効果を示す。このため、本発明の土壌改良剤は、特にフザリウム菌による病害を受けやすい作物、例えばアズキ、イネ、ダイズ、タバコ、トウモロコシ、ムギなどの農産物や、アスパラガス、アルファルファ、イチゴ、インゲンマメ、エダマメ、エンドウマメ、カブ、カボチャ、カリフラワー、カンショ、キャベツ、キュウリ、コマツナ、ゴボウ、コリアンダー、コンニャク、サトイモ、サヤインゲン、サヤエンドウ、サラダナ、ショウガ、スイカ、セルリー、ソラマメ、タマネギ、チンゲンサイ、ツルムラサキ、テンサイ、トウガラシ、トウガン、トマト、ナガイモ、ナス、ニガウリ、ニラ、ニンニク、ネギ、ハクサイ、バジル、ハス、パセリ、バレイショ、ビート、ピーマン、ブロッコリー、ホウレンソウ、マクワウリ、ミズナ、ミツバ、メロン、ユウガオ、ラッカセイ、ラッキョウ、レタスなどの野菜や、ウメ、オウトウ、カキ、コーヒー、サクランボ、ナシ、ネクタリン、パイナップル、パッションフルーツ、パパイア、バナナ、ビワ、カンキツ、モモ、リンゴなどの果樹や、アサガオ、アスター、カーネーション、ガーベラ、キク、グラジオラス、ケイトウ、シクラメン、シンビジウム、スイセン、ストック、スイートピー、ゼラニウム、チューリップ、デルフィニウム、トルコキキョウ、ナデシコ、マーガレット、ミヤコワスレ、ユリ、ラン、リンドウなどの花卉や、アカクローバ、アロエ、イネ科牧草、クワ、シバ、スギ、チャ、チョーセンニンジン、ニセアカシア、マツ、ヘチマ、ワタなどを生育させる際の土壌改良に対して有効である。
また、本発明の土壌改良剤は、特に農業圃場での連作障害 (連作による土壌汚染に起因する次作物への障害発生) が懸念される土壌に対して有効である。上記連作障害の対象となる作物としては、例えばアズキ、ダイズ、タバコ、ムギなどの農産物や、アルファルファ、イチゴ、インゲンマメ、エダマメ、エンドウマメ、カブ、カリフラワー、キャベツ、キュウリ、ゴボウ、コンニャク、サトイモ、サヤインゲン、サヤエンドウ、サラダナ、スイカ、セルリー、ソラマメ、チンゲンサイ、トウガラシ、トウガン、トマト、ナガイモ、ナス、ニガウリ、ニラ、ハクサイ、ハス、パセリ、バレイショ、ビート、ピーマン、ブロッコリー、ホウレンソウ、マクワウリ、ミズナ、ミツバ、メロン、ユウガオ、ラッカセイ、レタスなどの野菜や、アサガオ、アスター、カーネーション、ガーベラ、キク、グラジオラス、ケイトウ、シクラメン、シンビジウム、ストック、スイートピー、チューリップ、デルフィニウム、トルコキキョウ、ナデシコ、マーガレット、ミヤコワスレ、ユリ、ラン、リンドウなどの花卉などが挙げられる。
なお、放線菌は有用微生物として数多くの論文、特許が報告されており、主に病原微生物の拮抗性、その他に土壌の団粒化に有効に働くことが知られている。例えば、特開2007−176759号公報には、放線菌などの有効微生物を高密度に繁殖させることにより、放線菌などが持っている病原性微生物に対する拮抗性などによって、植物病原性微生物の駆除などの効果を発揮させると報告されている。
また、特許第4565878号公報には、放線菌などの食物連鎖を経て有機物の腐食有機物への変性を容易にすることが記載されている。また、放線菌など土壌微生物が旺盛に繁殖することにより、保水、排水、通気性に優れた土壌の団粒化が推進し、植物の生育に適した土壌構造が形成されることが記載されている。
このように、土壌中で放線菌が増殖することにより、放線菌などが持っている病原性微生物に対する拮抗性などにより、植物病原性微生物の駆除などの効果が期待できると共に、保水、排水、通気性に優れた土壌の団粒化が推進し、植物の生育に適した土壌構造が形成されることが期待される。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、以下の実施例において、低分子キチンとしては、「低分子キチン」(商品名、焼津水産化学工業株式会社製、数平均分子量3,000)を用いた。また、比較として低分子量キチンの構成原材料である一般的なキチン(数平均分子量100万以上)を用いた。
[1]土壌サンプル作製
<実施例1(低分子キチン)>
土壌は、静岡県焼津市並びに榛原郡吉田町の農業生産法人2社の圃場から採取したものを等重量ずつ混合したもの使用した。混合土壌は風乾後、2ミリ角メッシュの篩にかけ、篩を通過した土壌を用い、最終水分量が最大容水量の60%になるように滅菌水を加え、併せて低分子量キチンが水分調整後の土壌に対し質量換算で0.1%になるよう加え、良く混合した。混合土壌は、乾熱滅菌した200mL容ガラス瓶の8割容量まで添加し、瓶口部をパラフィルムで封をした後、培養機にて温度25℃で保温した。保温開始後、2週間後に土壌を採取し、微生物数を測定した。
<比較例1(無処理区)>
実施例1における土壌サンプル作成にて、低分子量キチンを添加せず、その他の手順は実施例1と同様にして処理を実施した。
<比較例2(キチン)>
実施例1における土壌サンプル作成にて、低分子量キチンの代りにキチン (カニ由来) を添加し、その他の手順は実施例1と同様にして処理を実施した。
[2]微生物数測定
放線菌の菌数をエッグアルブミン寒天培地、フザリウム菌の菌数をFOG1寒天培地を用いて計数した。培地組成と操作、結果を以下に記す。
(1) 培地組成
(i)エッグアルブミン寒天培地
培地原料:エッグアルブミン 0.25g、グルコース 1.0g、K2HPO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.2g、Fe2(SO4)3 0.01g、寒天 15.0g、蒸留水 1,000mL、pH 6.8
エッグアルブミン寒天培地は、細菌及び放線菌の培地であるが、放線菌コロニーは一般に堅く、表面が粉状を呈するものが多く、且つ寒天中に菌糸を伸展するため、他の細菌群と区別でき、放線菌の計数に一般的に使用されている。
上記培地原料を用い、pH調整後、寒天を加えてオートクレーブ(121℃、15分)した。
(ii)FOG1寒天培地
培地原料:K2HPO4 1.0g、KCl 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、クエン酸水素2アンモニウム 2.0g、H3BO3 0.5g、硝酸エコナゾール 5.0mg、trace element A * 0.2mL、クロラムフェニコール 0.25g、寒天 20g、蒸留水 1,000mL
* trace element A(95mL当り):クエン酸 5.0g、FeSO4 5.0g、ZnSO4・7H2O 1.0g、CuSO4 0.5g、MgSO4・5H2O 50mg、Na2MoO4 50mg
FOG1寒天培地は、フザリウム菌の選択培地である。
上記培地原料を用い、寒天を加えてオートクレーブ(121℃、15分)した後、以下の追加原料を添加・溶解した。
追加原料:L-ソルボース 20g、イミノクタジン3酢酸塩25%溶液 50μL、トルクロフォスメチル50%水和剤 1.0mg
(2)菌数測定方法
土壌10gを滅菌水90mLに入れ、30分間振盪した後、懸濁液を滅菌水で10倍ごとに希釈した。
放線菌は、希釈液1mLをエッグアルブミン寒天培地に添加・混釈し、30℃で7日間培養した後、放線菌のコロニーを計数して、土壌1g中の菌数を求めた。
フザリウム菌は、希釈液1mLをFOG1寒天培地の表面に塗抹し、30℃で7日間培養した後、コロニーを計数した。コロニー計数値をもとに、土壌1g中の菌数を求めた。
(3) 結果
(i) 放線菌
放線菌数の菌数測定結果を下記表1に示す。
Figure 0006906787
(ii)フザリウム菌
フザリウム菌の菌数の測定結果を下記表2に示す。なお、各処理区とも保管開始時の菌数を100%とし、それと比較した2週間後の菌数割合(残存率)を百分率で示した。また、無処理区の残存率を100%とした、低分子量キチン、キチン処理区の残存率を併せて示した。この結果を下記表2に示す。
Figure 0006906787
(4)考察
(i)低分子量キチン濃度とフザリウム菌低減率との関係
低分子量キチン濃度とフザリウム菌低減率との関係は、(a) キチンが放線菌やフザリウム菌を含む真菌類の栄養源であること、(b) 低分子量キチンのフザリウム菌低減効果は濃度依存的であると判断されること、(c) 微生物は普遍的に指数関数的な増減挙動をとること、の3点より、図1に示されるような指数近似曲線を描くことが出来ると考えられる。
(ii)施用濃度の下限値
土壌病原菌であるフザリウム菌を短期間で低減することが実用上有益であることから、低分子量キチンの施用効果は、フザリウム菌を半減することが好ましく、1桁以上低減することがより好ましい。当該条件に値する低分子量キチンの土壌への施用濃度の下限は、図1から、好ましくは0.02%(w/w土壌)以上、更に好ましくは0.06%(w/w土壌)以上と算出される。
(iii)施用濃度の上限値
低分子量キチンは不溶性成分で自体の固体化が可能な物質であり、且つそれ自体がキノコ等の食用にも栽培される真菌の栄養源として使用可能である。上記で考察の通り、低分子量キチンのフザリウム菌低減効果は濃度依存的であると判断されるため、科学的に効果発揮に要する上限濃度は無い。
◇参考データ(施用の参考データ)
キチンは窒素を含有する多糖類であり、構造中のアセトアミド基由来の窒素が6.9%程度含まれる。農作物栽培において、窒素の過剰施用は作物の濃度障害を引き起こし、また環境汚染の原因となることが知られている。日本では農地含む土地の地力増進を目的に地力増進法において、土壌窒素分の改善目標が示されている。その内、窒素含有量の上限値が示されて対象地は、水田のみである。その値を下記表3に抜粋して示す。
Figure 0006906787
(iv) 施用濃度の上限値例
表3に示す含水土壌中の窒素含有量の上限と、低分子量キチンに由来する窒素量が同一となる低分子量キチン濃度は、0.17%と算出される。このことから低分子量キチンの施用は好ましくは0.17%以下と考えられる。算出例を下記表4に示す。
Figure 0006906787

Claims (4)

  1. キチンを分解して得られる低分子量キチンを、土壌中の含有量が0.02質量%以上となるように、土壌に添加することを特徴とする土壌中のフザリウム菌低減方法。
  2. 前記低分子量キチンの数平均分子量が2,000〜50,000である、請求項記載の土壌中のフザリウム菌低減方法。
  3. 前記低分子量キチンを土壌に添加することにより、土壌中の放線菌を増加させ、フザリウム菌を減少させる、請求項又は記載の土壌中のフザリウム菌低減方法。
  4. 前記低分子量キチンを、土壌中の含有量が0.06質量%以上0.17質量%以下となるように、土壌に添加する、請求項のいずれか1項に記載の土壌中のフザリウム菌低減方法。

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