以下に添付図面を参照して、この発明にかかる双方向通信システムおよび情報端末および電子装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システムの構成について説明する。図1は、双方向通信をおこなう情報端末および外部装置である電子装置の外観を示す説明図である。図2は、電子装置の構成を示す説明図であり、図2(a)は電子装置を正面側から見た状態、図2(b)は電子装置を背面側から見た状態を示している。図3は、情報端末の構成を示す説明図である。図4は、電子装置および情報端末のそれぞれのハードウエア構成を示すブロック図である。
電子装置は、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などの情報処理装置によって実現することができ、情報端末は、たとえば、スマートフォンやタブレット端末、電子時計などの携帯型の情報処理装置によって実現することができる。以降の説明においては、電子装置110はスマートフォンであり、情報端末120は電子時計であるとして説明をおこなう。
(電子装置の構成)
電子装置の構成について説明する。
図1、図2、図4に示すように電子装置110は、金属材料や樹脂材料などによって形成される板状の筐体であるケース200を有する。ケース200の正面にディスプレイ201、タッチパッド202、マイク204とスピーカ207が配置される。ディスプレイ201が配置される面とは反対側の面(背面)に撮像素子205、発光素子206が配置される。ケース200の側面には、操作キー203が配置される。また、ケース内部には上述の各電子部品を制御する制御回路411や電源である二次電池、記憶装置、振動素子414、アンテナ415、受信回路416などを有する。
ディスプレイ201は、ケース200の正面側に設けられており、電子装置110の有する複数のアプリケーションの中から選択された機能に応じた各種の情報を表示する表示機器である。ディスプレイ201は、たとえば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどによってその機能を実現することができる。ディスプレイ201の表面にはタッチパッド202が配置される。どのような表示をおこなうかは制御回路411によって制御される。
タッチパッド202は、操作手段412の一つであり、ディスプレイ201における表示側の面に重ねて、または一体となって設けられ、押圧された位置に応じた信号を制御回路411に出力する。使用者はタッチパッド202の直感的な入力操作により電子装置110の情報を操作することができる。また、電子装置110は、操作手段412の別の例である操作キー203を備えている。操作キー203は、プッシュボタンなどの物理キーで構成することができ、ディスプレイ201の点灯または消灯の切り換えや、カーソル移動、音量調整、撮像素子の操作など、アプリケーションに応じた信号を制御回路411に出力する。
マイク204は、外部(電子装置110周辺)の音または音響信号を集音し、入力されたアナログデータである音または音響信号をアナログ/デジタル変換し、デジタル形式のデータを生成する。生成されたデータは制御回路411に向けて出力され対応する処理がおこなわれる。図2においては、ディスプレイ201が配置される面と同じ面であってディスプレイ201よりも下方側に設けられているが、配置場所はこれに限定されず他の面に配置されていてもよい。
スピーカ207は、電子装置110の各アプリケーションに応じて発生する入力信号に基づいた音声を外部(使用者)に向けて発生させる。たとえば、デジタル形式の音声データをデジタル/アナログ変換し、アナログ形式の音声データに基づいてボイスコイルに通電することにより音声を出力する。入力信号は制御回路411の動作に応じて生成される。
撮像素子205は、制御回路411によって駆動制御され、所定の入力操作がおこなわれた場合に撮像素子205に入力される外光に応じた画像データを制御回路411に出力する。制御回路411は、撮像素子205から出力される画像データをディスプレイ201に表示させたり、メモリに記憶したりする。マイク204は、アナログデータとして入力された音をアナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成し、生成した音声データを制御回路411に出力する。発光素子206は、制御回路411によって駆動制御され、点灯したり消灯したりする。
撮像素子205は、入射光を電気信号に変換して画像データ(撮像画像)を生成し、制御回路411に出力する。生成した撮像画像はディスプレイ201に表示することができる。撮像素子205は、CCDやCMOSなどのイメージセンサとレンズとで構成され、ケース200の背面に設けられている。撮像素子205はディスプレイ201と同じ正面側に配置されてもよく、正面と背面の両面にそれぞれ配置され、電子装置110のアプリケーションに応じて任意の撮像素子205が選択されてもよい。
発光素子206は、光源であり、電子装置110の各アプリケーションに応じて発生する入力信号に基づいて発光または消灯をおこなう。また、制御回路411の出力に応じてデータ情報を含む発光パターンで点滅することにより光信号を発信することができる。発光素子206は、たとえば、特定波長領域の波長の光を発光するLEDなどによってその機能を実現することができる。特に、赤色LED、緑色LED、青色LEDなどの互いに波長領域が異なる複数のLEDを組み合わせた場合は、それぞれのLEDの出力を調整することによって任意の波長や輝度によって発光することできる。発光素子206は、撮像素子205の近傍に設けられている。
振動素子414は、入力信号に応じて駆動し、振動を発生させることにより、振動または振動音を使用者に伝達する。振動素子414は、たとえば、偏心モータやリニア・バイブレータ、ピエゾ素子(圧電素子)などによってその機能を実現することができる。たとえば、振動素子414が偏心モータである場合に、制御回路411によって回転のタイミング、各回転時における回転の長さ、先の回転の終了時からつぎの回転までの間隔などが制御され、所定のパターンで回転することができる。
制御回路411は、電子装置110が有する複数のアプリケーションを制御し、また各アプリケーションに応じてディスプレイ201、操作手段412(タッチパッド202、操作キー203)、マイク204、スピーカ207、撮像素子205、発光素子206、振動素子414、受信回路416などの入出力を制御する。制御回路411は、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどによって構成される。制御回路411は、本発明にかかる第2の制御回路に相当する。
メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などによって構成され、各種アプリケーションのプログラムやデータを記憶する。本実施形態においては、制御回路411のメモリには、双方向通信システム100の利用に際して用いる所定のアプリケーション(以下、適宜「双方向通信アプリケーション」という)がインストールされている。
CPUはメモリから対応するアプリケーションのプログラムやデータを読み込み、演算処理をおこない、必要に応じて出力結果をディスプレイ201やスピーカ207、発光素子206、振動素子414などに制御するための信号を出力する。具体的には、タッチパッド202や操作キー203から出力される信号に基づき、発光素子206を点灯、消灯あるいは点滅させたり、撮像素子205による撮像画像の生成をおこなう。
電子装置110が外部のネットワークに接続するためのネットワークインターフェースを備えている場合に、インターネットなどの外部ネットワークを介して、外部装置との間におけるデータの入出力を制御する。受信回路416は、アンテナ415によって受信された高周波信号を増幅し、高周波信号を一定の中間周波数に変換した後に増幅し、検波し、復調する。
(情報端末の構成)
つぎに、情報端末について説明する。図1、図3、図4に示すように情報端末120は、ケース300を有し、ケース300の内部に時刻表示部301、駆動回路422、制御回路421、受光素子303、音響素子304を備え、ケース300の側面に、操作手段302を備える。
ケース300は、開口を有する円筒状の筐体であり、開口の一方の側は、時刻表示部301を視認可能な風防で覆われ、開口の他方の側は蓋で覆われる。ケース300や蓋は金属材料や樹脂材料などによって形成される。風防は光透過性のガラスやプラスチック材料で形成される。
時刻表示部301は、文字板301aや、時針・分針・秒針などの指針301bを備え、ケース300の内部のうち風防側に配置される。文字板301aに対する指針301bの位置によって時刻や電子時計が有する機能に関する情報を表示する。文字板301aには指針301bが指し示す位置を示すインデックスが設けられており、指針301bは文字板301aの中心などにおいて文字板301aに対して回転可能に軸支されている。
指針301bは、文字板301aと蓋との間に配置される複数の輪列423のうちの一つに設けられた軸に取付けられており、輪列423の回転駆動に応じて回転する。詳細には、複数の輪列423はさらにステッピングモータ424と連結され、ステッピングモータ424は駆動回路422に電気的に接続される。駆動回路422は制御回路421によって制御され、ステッピングモータ424に対して駆動パルスを出力する。
ステッピングモータ424は、駆動回路422から出力される駆動パルスに応じて正転(右回り)または逆転(左回り)の回転動作をおこなう。指針301bは、所定の輪列423を介してステッピングモータ424の回転が伝達されることによって回転する。指針301bおよび輪列423によってステッピングモータ424に駆動される被駆動体が構成される。
時刻表示部301は、指針301bによって時刻をアナログ表示するものに限らず、たとえば、十進の整数によってデジタル表示する7セグメントディスプレイなどによってその機能を実現するようにしてもよい。
操作手段302は、ケース300の側面に設けられたリューズ302aや各種のプッシュボタン302bなどによって構成され、入力操作に応じた信号を制御回路421に出力する。リューズ302aは、ケース300の側面から突出する方向に1段または2段引き出すことができる。また、リューズ302aは、軸心周りに回転可能に構成される。リューズ302aを引く操作と、回転操作との組み合わせにより、たとえば、時刻表示部301が表示する時刻を調整するなどの情報端末120が有する機能に対して任意の操作をおこなうことができる。プッシュボタン302bは、操作キー203と同様の構成とすることができ、使用者による各種の操作に応じた信号を制御回路421に出力する。
受光素子303は、受光した光または光信号を、電圧値または電流値による電気信号に変換して、制御回路421に出力する。なお、これ以降においては、発電電圧に基づく電気信号を出力する構成として説明をおこなうこととする。
受光素子303は、たとえば、光起電力効果を利用して電気を発生させるソーラパネルなどによってその機能を実現することができる。図3に示すように、ソーラパネルである受光素子303は、文字板301aの裏面側に配置される。このとき、文字板301aはソーラパネルが受光できるように、光透過性部材で構成される。
なお、図3においては、ソーラパネルの全てを受光素子303として利用する例として説明をおこなったが、これに限定されるものではない。たとえば、ソーラパネルを複数のセルに分割した構成にし、この複数のセルのうちの一つを受光素子303として用いる構成としてもよい。また、ソーラパネルを配置した場合に、文字板301a側から入射する太陽光などの光によって発電した電力は、DC/DCコンバータなどによって昇圧して二次電池に出力される構成としてもよい。
また、受光素子303は、ソーラパネルに代えて、たとえば、受光量に応じた電気信号を出力するフォトダイオードなどによってその機能を実現するようにしてもよい。さらに、ソーラパネルに加えて、たとえば、フォトダイオードなどによってその機能を実現される受光素子303を備えていてもよい。これらの受光素子303は入射光の波長を選択して受光できるように構成することができる。たとえば、所定の波長帯の光のみを通すフィルタを複数用意して、切り換えるようにしてもよいし、入射光を分光して波長成分ごとに電気信号として出力するような構成にしてもよい。また、受光感度(受光可能な波長帯)が異なる複数の受光素子を設けるようにしてもよい。
音響素子304は、情報端末120の機能に応じて発生する入力信号に基づいて外部に向けて音を発する。音には、所定パターンの報知音や音響信号が含まれ、どのような音を発するかは、制御回路421によって制御される。音響素子304は、たとえば、圧電振動板(圧電素子)を用いて形成される圧電ブザーなどによってその機能を実現することができる。圧電ブザーにおいて、圧電振動板は、電極が形成された圧電セラミックスと、黄銅やニッケルなどの金属板とを接着することによって構成されている。圧電振動板に電圧を印加すると、圧電セラミックスは伸張するのに対して、金属板は伸縮せずに屈曲(湾曲)する。圧電振動板に印加する電圧の向きを交互に変えることにより音波を発生させることができる。
音響素子304は、圧電ブザーに限るものではなく、たとえば、電磁石に電流を流して振動板を動かすことによって音を発する電磁ブザーなどによってその機能を実現するようにしてもよく、発信回路およびスピーカによって構成される電子ブザーなどによってその機能を実現するようにしてもよい。また、音響素子304として上述のステッピングモータ424を用いてもよい。この場合に、高周波信号で駆動した際に発生する駆動音や、ステッピングモータ424の駆動にともなう被駆動体の摩擦音や打撃音を利用することができる。また、音響素子304に振動モータを用いてもよく、この場合は振動音を利用することができる。
音響素子304によって発生可能な音の周波数帯は、制御回路421の出力信号に応じて可変にできる構成とすることができる。このとき、可聴域の一部としてもよいし、可聴域外の周波数帯を用いてもよい。また、ピーク周波数の異なる複数の音を合成した重音としてもよい。特に、可聴域外の周波数帯を用いることによって、通信環境によらずに通信することが可能であり、また使用者に気づかれることなく通信処理を完了することができる。
本発明の双方向通信システムにおいては、音響信号に用いる音の周波数帯は、電子装置110のマイク204が集音可能な周波数帯域の少なくとも一部と重なるように決定することが好ましく、音響信号に用いる音の周波数帯の選択および決定は、電子装置110との通信結果に応じて決定してもよいし、情報端末120の操作手段302の操作によって任意の周波数に変更できるようにしてもよい。
たとえば、音響素子304として圧電素子を使用する場合に、音響信号に用いる音調(音の周波数)は、圧電素子が効率よく発音可能な4kHz〜8kHzの周波数帯を使用することができる。音響信号の出力波形は、正弦波に限定されず、正弦波に代えて、矩形波や三角波などを用いてもよい。たとえば、音響信号の出力波形として矩形波を用いる場合に、基本周波数に加えてN倍の周波数の高調波が発生する。しかしながら、周波数の変調範囲を最低出力周波数から、最低周波数の2倍以下の範囲(たとえば4kHz〜7kHz)にすることによって、高調波による誤認識を防ぐことができ、また、より単純な回路で実現できるようになる。
制御回路421は、たとえば、CPU、ROMやRAMなどによって構成されるメモリ、RTC(Real Time Clock)などを含んで構成されるマイクロコンピュータなどによってその機能を実現することができる。制御回路421は、本発明にかかる第1の制御回路に相当する。
メモリは、少なくとも一部が電源を供給しなくても記憶内容が消失しない不揮発性のメモリを用いることができる。メモリは、具体的には、たとえば、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide)型メモリなどの不揮発性メモリを用いることができる。
CPUは、RAMをワークメモリとしてCPUの処理対象となるデータを書き込みながら、ROMに格納された各種の制御プログラムに従って各種の情報処理をおこなう。RTCは、CPUに対して、情報端末120の内部での計時に使用されるクロック信号を出力する。CPUは、RTCが出力したクロック信号に基づいて内部時刻を計時する。上記の時刻表示部301は、CPUが計時する内部時刻を表示する。
情報端末120は、標準時刻を示す時刻情報を含む標準電波や、GPS衛星から送信されて時刻情報を含むGPS電波、Bluetooth(登録商標)による時刻情報を含む電波を受信し、受信した電波に基づいて時刻を修正する電波修正時計で構成することができる。この場合、情報端末120は、各々の目的に応じた電波を受信するアンテナ425や受信回路426をさらに備える。受信回路426は、高周波回路(RF回路)やデコード回路を含んで構成され、アンテナ425によって受信された電波を復号して得られるビット列(受信データ)を制御回路421に対して出力する。たとえば時刻情報を含む信号を受信した場合に、CPUは、計時している内部時刻を、受信した時刻情報に基づいて修正し、時刻表示部301において表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。
上述したとおり、電子装置110は、外部へ送信信号を発信する手段として発光素子206を有し、外部からの信号を受信する手段としてマイク204を有する。また、情報端末120は、外部へ送信信号を発信する手段として音響素子304を有し、外部からの信号を受信する手段として受光素子303を有する。つまり、電子装置110から情報端末120への通信は、発光素子206と受光素子303とによる光信号の送受信をおこない、情報端末120から電子装置110への通信は、音響素子304とマイク204とによる音響信号の送受信によっておこなうことができる。これにより、電子装置110と情報端末120は双方向通信が可能な双方向通信システムを構成することができる。
(双方向通信システム100の機能的構成)
つぎに、双方向通信システム100の機能的構成について説明する。図5は、双方向通信システム100の機能的構成を示すブロック図である。図5において、双方向通信システム100の機能は、たとえば、電子装置110が備える各機能部と、情報端末120が備える各機能部などによって実現することができる。
(電子装置110の機能的構成の説明)
電子装置110の機能は、たとえば、発光部511と、発光制御部512と、タイムコード取得部513と、情報記憶部514と、遅延時間測定部515と、集音部516と、集音制御部517と、情報変換部518と、通信状況監視部519と、撮像部520と、基準位置判定部521と、識別情報特定部522と、通知部523と、無線電波通信部524などによって実現される。
発光部511は、たとえば、上述の発光素子206などによってその機能を実現することができ、発光制御部512によって制御されて発光する。発光部511による光は、照明光や使用者に向けての通知光、所定の発光パターンによる光信号に用いることができる。発光部511は、照明光や通知光のための発光素子と光信号用の発光素子とをそれぞれ用意してもよい。また、互いに発光波長領域の異なる複数の発光素子を一つのパッケージとし、入力信号に応じて任意の発光素子を発光させることによって、所望の発光波長による発光をおこなうようにしてもよい。
発光制御部512は、情報記憶部514に記憶されている情報や通信状況監視部519から出力される信号に基づいて、発光部511が発光する光の発光パターン、すなわち、発光部511の点灯(ON)タイミングや消灯(OFF)タイミングを制御する。具体的に、発光制御部512は、照明光として機能させる場合は、情報記憶部514に記憶されている照明光に関する情報に基づいて、点灯信号または消灯信号を出力し、通知光として機能させる場合は、情報記憶部514に記憶されている通知の種類に応じた発光パターンに基づいた信号を出力し、光信号として機能させる場合は、情報記憶部514に記憶されている情報や通信状況監視部519から出力される信号に基づいて、通信先(情報端末120)が認識可能な発光パターンの信号を出力する。
また、発光制御部512は、通信状況監視部519から出力される信号に基づいて、すなわち、情報端末120との通信状況に応じて、発光部511が発光する光の発光パターンにかかる点滅速度を制御する。発光制御部512は、発光部511が発光する光の発光パターンにかかる点滅速度を制御することにより、送信速度を可変にし、通信環境を向上させることができる。また、発光波長や発光輝度を制御してもよい。発光パターンの発光波長や発光輝度を制御することによって、情報端末120の受光部551に対する感度を可変にすることができ、通信環境を向上させることができる。発光制御部512は、たとえば、制御回路411などによってその機能を実現することができる。
光信号は、たとえば、点灯を「1」、消灯を「0」として時間軸に対するビット信号として送付する。また、光信号は、点灯時における発光強度に閾値を設けて、「1」と「0」を区別してもよいし、複数の閾値を設けてn進数の信号としてもよい。また、光信号は、発光部511が任意の発光波長によって発光可能である場合、発光波長に応じて上述のビット数を割り振ってもよい。
また、光信号は、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)、位相変調(PM:Phase Modulation)など公知の各種の変調方式を用いて光変調をおこなうことができる。また、周波数分割多重化(FDM:Frequency Division Multiplexing)技術を用いて、複数の周波数の光信号を多重化(合波)するようにしてもよい。これにより、発光部511は、情報端末120へ光信号を送信することができる。
光信号として送信する情報としては、たとえば、時刻情報(カレンダー情報、閏秒情報、GPSロールナンバー、GPSウィークナンバーを含む)、位置情報、都市情報、歩度修正、アラーム設定時刻情報、ファームウェアのアップデート情報や、通信先である情報端末120が有する前述の各種情報または識別情報である型式情報または通信状況の問合せなどが挙げられる。発光制御部512は、情報記憶部514や通信状況監視部519からの出力に応じて、光信号として送信する情報を設定し、発光部511に出力する。
時刻情報の送信に関して、光信号は電波修正時計が受信する標準電波やGPS電波と同様のタイムコード形式、または当該タイムコードを模した形式による発光パターンとすることができる。タイムコードを模した形式とは、たとえば、データ信号はタイムコードのうち、双方向通信として必要なデータのみを取り出した情報に関する信号としたり、時間軸に対して圧縮して高速化した信号とすることができる。
これにより、情報端末120が電波修正時計である場合、受信した電波信号の処理と同じシステムを利用することができる。特にタイムコードを模した形式で処理することにより、電波受信時よりも高速に時刻情報を処理することができる。また、これとは反対に、時間軸を伸長する、すなわち時間軸における速度を下げる処理をすることによって、通信困難な環境でも通信を可能とすることができる。
なお、タイムコード形式が複数ある場合、対応しているタイムコードのうち、最も早い周期で受信できるもの(たとえば、中国局におけるタイムコードなど)を使用することによって、光通信の所要時間を短縮するようにしてもよい。
また、時刻情報に含まれる各時刻や日付は、電子装置110が計時する時刻や日時であってもよく、あるいは電子装置110が位置するタイムゾーンの標準時刻であってもよく、使用者が任意に指定した地域の時刻であってもよい。また、発光制御部512は、時刻情報に、送信すべき時刻情報を生成するために処理するにかかった時間を遅延時間として付与してもよい。遅延時間は後述する遅延時間測定部515によって測定される。
また、時刻情報は、通信先である情報端末120の内部時刻または指針301bの位置に応じて、差分の移動量を送信するようにしてもよい。この場合、電子装置110は、あらかじめ情報端末120の内部時刻または指針301bの位置を取得する必要があるが、先に時刻情報の問合せ信号を送信して得られた応答信号や、後述する撮像部520による指針301bの撮像画像から求めることができる。
情報記憶部514は、たとえば、電子装置110が備えるマイクロコンピュータのメモリなどによってその機能を実現することができる。情報記憶部514は、時刻情報(カレンダー情報、閏秒情報、GPSロールナンバー、GPSウィークナンバーを含む)、位置情報、都市情報、歩度修正情報、アラーム設定時刻、ファームウェアのアップデート情報、電子装置110や情報端末120の識別情報、各種処理に要する遅延時間情報、情報端末120の指針301bの位置情報を記憶する。
また、情報記憶部514は、電子装置110や情報端末120の識別情報である型式情報ごとに最適化された発光部511の制御情報を記憶する。この制御情報には、電子装置110の発光素子206および撮像素子205の配置位置や、マイク204の集音可能な周波数帯に関する情報、光信号に使用する発光波長、発光輝度、発光周期、送信信号パターンや、情報端末120の受光素子303の配置位置や、受光可能な波長帯、音響素子304の配置位置や音響素子304が使用する音響信号である発音パターンなどが含まれる。発音パターンは、音の周波数、音の発生タイミング、音の発生回数、音の長さなどによって規定される。なお、これらの各種情報は、電子装置110や情報端末120の識別情報ごとに関連づけたデータベースとして記憶してもよい。
時刻情報は、タイムコード取得部513によって取得されたタイムコードを記憶してもよい。電子装置110や情報端末120の識別情報は、上記の双方向通信アプリケーションのインストールに際して、当該双方向通信アプリケーションとともにダウンロードされ記憶される。
さらに、情報記憶部514は、情報端末120の識別情報ごとに、または電子装置110と情報端末120とのそれぞれの識別情報を組み合わせて、当該識別情報によって特定される情報端末120の外形に沿ったガイド枠を示す画像情報を記憶してもよい。ガイド枠を示す画像情報は、電子装置110の発光素子206と情報端末120の受光素子303との位置を案内し、通信環境を最適化するために用いられる。位置合わせについては後述する。
タイムコード取得部513は、時刻情報を符号化したタイムコードを取得し、情報記憶部514に出力する。タイムコードが示す時刻情報は、電子装置110が計時する時刻に基づいて取得される。また、電子装置110がGPS電波の受信機能を搭載している場合、タイムコードをGPS電波に含まれる時刻情報に基づいて取得することができる。また、タイムコードは、NTP(Network Time Protocol)を利用して、インターネット接続により取得することができる。タイムコード取得部513は、たとえば、制御回路411、アンテナ415、受信回路416などによってその機能を実現することができる。
遅延時間測定部515は、電子装置110から送信した信号に基づいて情報端末120がおこなう信号処理の結果が情報端末120に反映されるまでの遅延時間を測定する。遅延時間測定部515は、具体的には、たとえば、カウンタを備え、そのカウンタを用いて、時刻情報の送信にかかる処理が要する時間を遅延時間としてカウントする。遅延時間は、情報端末120が電子装置110へ送信する音響信号に基づいて設定するようにしてもよい。遅延時間測定部515は、たとえば、制御回路411などによってその機能を実現することができる。
集音部516は、集音制御部517によって制御されて、情報端末120が発生する音を集音する。集音部516は、集音した音を示すアナログの電気信号(アナログデータ)を情報変換部518に出力する。集音部516が集音可能な周波数帯は、音響素子304が発音可能な周波数帯の少なくとも一部が重なるように設定される。集音部516は、たとえば、マイク204などによってその機能を実現することができる。
集音制御部517は、集音部516による集音の開始または停止を制御する。集音制御部517は、たとえば、制御回路411などによってその機能を実現することができる。
情報変換部518は、集音部516から出力されたアナログデータを、アナログ/デジタル変換し、デジタルデータに含まれる情報を生成(取得)する。情報変換部518は、具体的には、たとえば、アナログデータを一定の単位時間で区切り、単位時間ごとの信号レベルを抽出する標本化(サンプリング)をおこない、サンプリングした信号レベルを所定の段階に当てはめて整数値に置き換える量子化をおこなった後、量子化した整数値を「0」と「1」の2進数のデジタルデータに変換し、データ信号に応じた処理をおこなって情報を取得する。
情報変換部518は、取得した情報に応じて、情報記憶部514や、識別情報特定部522、通知部523に出力する。また、デジタルデータは、通信状況を確認するために通信状況監視部519に出力するようにしてもよい。また、デジタルデータは、双方向通信時に発生する遅延時間を測定するために遅延時間測定部515に出力するようにしてもよい。情報変換部518は、たとえば、制御回路411などによってその機能を実現することができる。
情報変換部518は、集音部516が音響信号を集音する場合、音響信号以外のノイズ成分を除去する目的で、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、バンドパスフィルタを有してもよい。また、FFTアナライザなどの周波数解析部を有して、所望の音響信号の周波数帯のみを区別してもよい。
撮像部520は、情報端末120を撮像し、撮像した画像(撮像画像)データを、識別情報特定部522、基準位置判定部521、通知部523に出力する。撮像部520は、たとえば、撮像素子205や制御回路411などによってその機能を実現することができる。
識別情報特定部522は、撮像部520から出力される撮像画像や情報変換部518から出力されるデータ(すなわち、情報端末120の音響信号に基づくデータ)から、情報端末120の識別情報を特定する。識別情報特定部522は、たとえば、制御回路411などによってその機能を実現することができる。
たとえば、撮像部520から出力された撮像画像に基づいて、情報端末120の識別情報を特定する場合、識別情報特定部522は、撮像画像データと情報記憶部514に記憶された情報端末120ごとの識別情報とを関連づけたデータベースとを比較(マッチング)をおこなうことによって情報端末120の識別情報を特定する。マッチングは、たとえば、撮像画像から特徴点を抽出し、あらかじめ記憶された情報端末120の画像から特徴点を抽出し、各特徴点の周囲の領域における特徴量を計算することによっておこなうことができる。特徴点は、ケース外観、文字板外観、時字形状、指針形状などに基づいて抽出してもよい。
また、たとえば、情報変換部518から出力されたデジタルデータ、すなわち、集音部516が集音した音響信号に基づいて情報端末120の識別情報を特定する場合、デジタルデータと情報記憶部514に記憶された識別情報のデータベース(デジタルデータ)とを照合することによって情報端末120の識別情報を特定する。
基準位置判定部521は、撮像部520による撮像画像データと情報記憶部514に記憶された識別情報とに基づいて、電子装置110と情報端末120とが通信可能な位置に配置されているか否かを判定する。基準位置判定部521は、具体的には、通信対象となる情報端末120の識別情報から情報記憶部514に記憶された該当する識別情報に含まれる受光素子303の位置と電子装置110の発光素子206の位置が対向し、光信号をおこなうことができる位置となっているか、また、電子装置110と情報端末120間に光信号を阻害する障害物などが配置されていないかを判定する。電子装置110と情報端末120とが規定の位置関係になったとき、すなわち通信環境が整ったと判断されたときは、情報記憶部514にその旨を記憶するように出力する。また、発光制御部512に直接出力してもよい。
また、基準位置判定部521は、指針位置を確認することにより電子装置110と情報端末120とが通信可能な位置に配置されているか否かを判定するようにしてもよい。基準位置判定部521は、具体的には、撮像部520から出力された撮像画像データに基づいて特定される電子時計の現在の指針301bの位置と、情報記憶部514に記憶されている該当する型式情報に基づいて、基準位置と現在の指針301bの位置との差分を出力する。
通知部523は、情報変換部518、識別情報特定部522からの情報に基づいて、使用者に通知すべき情報の通知をおこなう。また、通知部523は、撮像部520が撮像した画像データを表示する。通知部523は、具体的には、たとえば、制御回路411、ディスプレイ201、発光素子204、スピーカ207、振動素子414などによってその機能を実現することができる。したがって、通知部523による通知の手段としては、ディスプレイ201による表示や、発光素子204による発光、スピーカ207による音、振動素子414による振動を用いることができる。
電子装置110と情報端末120との基準位置判定をおこなうにあたっては、たとえば、ディスプレイ201に撮像画像と、情報記憶部514に記憶された識別情報に基づく規定位置を表示し、発光素子206と受光素子303とを適正な位置関係に案内するように使用者に促すことができる。また、基準位置判定にあたっては、発光素子206による発光パターンや、スピーカ207による音声を使用して、適正な位置関係に案内してもよい。ディスプレイ201を用いた電子装置110と情報端末120の位置の規定方法についての詳細な説明は後述する。
無線電波通信部524は、たとえば、アンテナや通信モジュールなどによってその機能を実現することができる。より具体的には、無線電波通信部524は、たとえば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)などの通信方式を利用した通信により、情報端末120と通信をおこなうようにしてもよい。
通信状況監視部519は、電子装置110と情報端末120との間の通信状況が良好であるか否かを判定する。通信状況監視部519は、具体的には、たとえば、集音部516が集音した音響信号のデジタルデータと情報記憶部514において記憶されている音の発音パターンを参照して、通信状況が不良であるとする旨の音の発音パターンである場合には、通信状況が不良であるとする情報を出力する。
また、通信状況監視部519は、音響信号は集音できているものの音の強度が所定の閾値以下(音量が小さい)である場合や、所定期間の間に集音部516が音響信号を集音できなかった場合にも、通信状況が不良であるとする情報を出力するようにしてもよい。通信状況監視部519は、具体的には、たとえば、制御回路411などによってその機能を実現することができる。
また、通信状況監視部519は、無線電波通信部524における無線電波の受信状態に基づいて、通信状況を監視してもよい。無線通信にBluetoothを利用する場合に、たとえば、過去にペアリングをおこなった情報端末120との接続が確立されているか否かを監視することによって、通信状況が良好か否かを判定するようにしてもよい。通信状況監視部519は、無線通信に、たとえばNFCを利用する場合に、NFC対応デバイスである情報端末120が所定距離範囲内に位置するか否かを監視することによって、通信状況が良好か否かを判定するようにしてもよい。ここで、情報端末120が所定距離範囲内に位置するか否かは、電子装置110における誘導電流の発生の有無などに基づいて判断することができる。
(情報端末120の機能的構成の説明)
情報端末120の機能は、たとえば、受光部551と、情報変換部552と、受光制御部553と、情報記憶部554と、タイムコード取得部555と、遅延時間測定部556と、発音制御部557と、発音部558と、通信状況監視部559と、無線電波通信部560などによって実現される。
受光部551は、電子装置110の発光素子206が発光した光を受光することによって、電子装置110から光信号を受信し、光電変換されたアナログの電気信号(アナログデータ)を、情報変換部552に出力する。受光素子303などによってその機能を実現することができる。
情報変換部552は、アナログデータをデジタルデータに変換する。情報変換部552は、具体的には、たとえば、アナログ/デジタル変換器で構成される。
受光制御部553は、受光部551において受光された光が示すアナログデータを情報変換部552に出力するタイミング(期間)を制御する。受光制御部553は、たとえば、情報端末120に対する所定の操作がおこなわれた場合に、当該所定の操作がおこなわれてから所定時間、あるいは、当該所定の操作がおこなわれた後、受光部551において所定の発光パターンの光が受光されるまでの間、受光部551において受光された光が示すアナログデータを情報変換部552に出力するように制御する。
あるいは、受光制御部553は、たとえば、受光部551において受光される光が示すアナログデータを常時監視し、当該アナログデータが所定のパターンを示した場合に、当該所定のパターンのアナログデータを示す光を受光してから所定時間、あるいは、当該所定のパターンのアナログデータを示す光を受光した後、受光部551において別の所定の発光パターンの光が受光されるまでの間、受光部551において受光された光が示すアナログデータを情報変換部552に出力するように制御するようにしてもよい。受光制御部553は、具体的には、たとえば、制御回路421などによってその機能を実現することができる。
受光部551において受光される光が示すアナログデータに基づいて、当該アナログデータを情報変換部552に出力するタイミング(期間)を制御することにより、情報端末120に対する使用者の操作を介することなく、電子装置110との双方向通信を開始することができる。受光部551は、具体的には、たとえば、ソーラパネルなどの受光素子303などによってその機能を実現することができる。
情報記憶部554は、内部時刻情報(カレンダー情報、閏秒情報、GPSロールナンバー、GPSウィークナンバーを含む)、指針301bの位置情報、都市情報、歩度修正情報、アラーム設定時刻、ファームウェア情報、識別情報(型式情報)、各種処理に要する遅延時間情報などを記憶する。また、情報記憶部554は、電子装置110の光信号に対応するデータベースを記憶する。データベースは、双方向通信によっておこなわれる処理内容に対応したビット信号(デジタルデータ)のテーブルで構成することができる。また、通信状況が不良である場合などに、光信号の使用波長帯や輝度、周波数などを変更するように要求する要求情報を記憶する。時刻情報は、タイムコード取得部555によって取得されたタイムコードを記憶してもよい。情報記憶部554は、具体的には、たとえば、情報端末120が備えるマイクロコンピュータのメモリなどによってその機能を実現することができる。
また、情報記憶部554は、情報端末120の識別情報ごとに、当該識別情報によって特定される情報端末120の外形に沿ったガイド枠を示す画像情報を記憶するようにしてもよい。ガイド枠を示す画像情報は、電子装置110の発光素子206と情報端末120の受光素子303との位置を案内し、通信環境を最適化するために、電子装置110に提供される情報として用いられる。位置合わせについての詳細な説明については、後述する。
タイムコード取得部555は、時刻情報を符号化したタイムコードを取得し、情報記憶部554に出力する。タイムコードが示す時刻情報は、情報端末120が計時する内部時刻に基づいて取得される。また、タイムコード取得部555は、電子装置110が標準電波やGPS電波などによる信号を復号し、復号した信号に基づいて時刻情報を取得できる受信機能を搭載している場合、タイムコードをこれらの電波に含まれる時刻情報に基づいて取得することができる。
また、タイムコード取得部555は、電子装置110などからのタイムコード情報を含む光信号を受信して、受信した光信号を復号してタイムコードを取得することもできる。このとき、光信号によって送信されるタイムコード情報を含むデータ信号のアルゴリズムを、標準電波やGPS電波に用いられるタイムコード情報のアルゴリズムと同一のアルゴリズムにすることにより、復号処理を共通化するようにしてもよい。タイムコード取得部555は、具体的には、たとえば、制御回路411、アンテナ425、受信回路426などによってその機能を実現することができる。
タイムコード取得部555によって取得された情報と光信号との遅延時間を測定することにより、電子装置110が何らかの原因により正確な時刻情報を取得できない場合に、情報端末120から電子装置110に対して時刻情報を送信し、電子装置110の時刻を正確な時刻に修正するようにしてもよい。
遅延時間測定部556は、電子装置110から送信された信号に基づいて情報端末120がおこなう信号処理の結果が情報端末120に反映されるまでの遅延時間を測定する。遅延時間測定部556は、カウンタを備え、時刻情報の送信にかかる処理が要する時間を遅延時間としてカウントする。カウントしたデータは情報記憶部554に出力される。遅延時間測定部556は、具体的には、たとえば、制御回路421などによってその機能を実現することができる。
発音部558は、発音制御部557によって制御されて発音する。発音部558は、具体的には、たとえば、上述の音響素子303などによってその機能を実現することができる。発音部558による音は、使用者に向けての報知音や所定の発音パターンによる音響信号に用いることができる。発音部558は、報知音のための音響素子と、音響信号用の音響素子とをそれぞれ別々に設けてもよい。また、発音可能な周波数帯の広い音響素子を用いて、入力信号に応じて任意の周波数帯の発音をおこなうようにしてもよい。
発音制御部557は、情報記憶部554に記憶されている情報や通信状況監視部559から出力される信号に基づいて、発音部558が発生する発音パターンを制御する。発音制御部557は、たとえば、発音部558が発する音を報知音として機能させる場合は、情報記憶部554に記憶されている通知の種類に応じた発音パターンに基づいた信号を出力する。また、発音制御部557は、たとえば、発音部558が発する音を音響信号として機能させる場合は、情報記憶部514に記憶されている情報や通信状況監視部519から出力される信号に基づいて、通信先(情報端末120)が認識可能な発音パターンの信号を出力する。
ここで、発音部558が発生する音の周波数帯は、電子装置110のマイク204が集音可能な帯域である必要がある。したがって、発音制御部557は、あらかじめ光信号などによりマイク204の集音可能な周波数帯を取得しておいて、取得した周波数帯の範囲となる音響信号を出力するとよい。
また、情報端末120がアラームなどの報知音を発生する機能を有する場合に、発音制御部557は、電子装置110へ音響信号を送信中は、報知音を発生する機能を無効にするとよい。これにより、音響信号にノイズ成分が混ざることを低減することができる。また、発音制御部557は、発音部558が発生する音の符号化を単純な発音回数などのような、簡単で人間でも理解できる形式にするよう制御してもよい。
また、発音制御部557は、報知音の音の周波数と、音響信号に使用する音の周波数とを異なる周波数となるように制御してもよい。たとえば、報知音の音の周波数帯を音響信号に使用する音の周波数より高く設定するようにしてもよい。または、報知音の音の周波数帯を使用者(人間)に聞き取りやすいとされる周波数帯である2kHz〜4kHzに設定する。一方、音響信号の音の周波数を、報知音の音の周波数帯(2kHz〜4kHz)よりも低い周波数帯に設定するか、あるいは、高い周波数帯に設定するようにしてもよい。このように、報知音の音の周波数と、音響信号に使用する音の周波数とを異なる周波数とすることによって、音響信号の送信中であっても、アラーム機能などによる報知音を鳴らすことができる。
また、発音制御部557は、電子装置110との通信状況、すなわち、通信状況監視部519から出力される信号に基づいて、発音部558が発音する音響信号の時間長、音調、音量の少なくとも一つを可変して調整するように制御する。発音制御部557は、たとえば、通信状況監視部519による監視の結果、電子装置110との通信状況が安定していないと判断される場合は、発音部558が発音する音響信号の時間長を、所定の発音パターンで発生する音響信号の時間長よりも時間軸が長くなるように調整する。この場合、音の発生回数は同じで、発音パターンに含まれる各音の長さおよび音と音との間の長さが長くなるように変更される。同様に音調(音の周波数)を高くしてもよいし、音量を大きくしてもよいし、音の位相を変更してもよい。または、これら4つのうちのいずれかどうしを組み合わせて、最適なレベルに調整するようにしてもよい。
これにより、電子装置110は、取得した音響信号の認識率を向上させることができ、通信環境を向上させることができる。発音制御部557は、具体的には、たとえば、制御回路421によって実現することができる。本発明における報知処理部は、発音制御部557によってその機能を実現するようにしてもよい。
音響信号は、たとえば、発音時間を「1」、無音時間を「0」として時間軸に対するビット信号として送付される。また、発音時における音量に閾値を設けて「1」と「0」を区別してもよいし、複数の閾値を設けてn進数の信号としてもよい。また、発音部558が任意の周波数によって発音可能である場合は、発音周波数に応じて上述のビット数を割り振るようにしてもよい。
また、音響信号を、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)、位相変調(PM:Phase Modulation)など公知の各種の変調方式を用いて変調するようにしてもよい。さらに、音響信号を、周波数分割多重化(FDM:Frequency Division Multiplexing)技術などを用いて、多重化するようにしてもよい。
このように、発音制御部557の制御によって、発音部558からの発音が符号化されることにより、外部装置(電子装置110)へ音響信号を送信することができる。さらに音響信号には、エラー検出訂正信号を付与するようにしてもよい。エラー検出訂正信号についての詳細な説明は省略するが、公知の音響通信の手法を利用することで実現することができる。
音響信号として送信する情報としては、たとえば、情報端末120が有する各種の情報(内部時刻情報、識別情報、指針301bの位置情報、都市情報、歩度修正、アラーム設定時刻情報、充電量、ファームウェアのバージョン情報)や、受信の成功/失敗に関する情報や、通信状況を示す情報、光信号の変更を要求するための要求信号などが挙げられる。発音制御部557は、情報記憶部554や通信状況監視部559からの出力に応じて、上述の種類の中から、音響信号として送信する最適な情報を設定し、設定した情報を音響信号として発音部558に出力する。
時刻情報の送信に関して、音響信号を、光信号のときと同様に電波修正時計が受信する標準電波やGPS電波と同様のタイムコード形式、または当該タイムコードを模した形式による発音パターンとすることができる。
また、発音制御部557は、時刻情報に、送信すべき時刻情報を生成するために処理するにかかった時間を遅延時間として付与するようにしてもよい。遅延時間については、上述した光信号のときと同様であるので、詳細な説明については省略する。
また、受光部551において受光したアナログの電気信号をそのまま電子装置110への応答信号として使うようにしてもよい。その場合には、受光部551が取得したアナログデータを、そのまま発音制御部557に入力することができるような構成としてもよい。
無線電波通信部560は、電子装置110との通信をおこなう。無線電波通信部560は、具体的には、たとえば、アンテナや通信モジュールによってその機能を実現することができる。より具体的には、無線電波通信部560は、たとえば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)を利用した通信により、電子装置110と通信をおこなうことができる。
通信状況監視部559は、電子装置110と情報端末120との通信状況が良好であるか否かを判定する。通信状況監視部559は、受光部551が受光した光信号のデジタルデータと情報記憶部554において記憶されている発光パターンのデータベースを参照して、通信状況が不良であるとする旨の音の発光パターンである場合には、通信状況が不良であるとする情報を発音制御部557に出力する。
また、通信状況監視部559は、光信号は受光できているものの光の強度が所定の閾値以下(発電量が小さい)である場合や、所定期間の間に受光部551が光信号を受光できなかった場合にも、通信状況が不良であるとする情報を出力する。通信状況監視部559は、具体的には、たとえば、制御回路421によってその機能を実現することができる。
また、通信状況監視部559は、無線電波通信部560における無線電波の受信状態に基づいて、通信状況を監視するようにしてもよい。通信状況監視部559は、無線通信にBluetooth(登録商標)を利用する場合、たとえば、過去にペアリングをおこなった電子装置110との接続が確立されているか否かを監視することによって、通信状況が良好か否かを判定するようにしてもよい。また、通信状況監視部559は、無線通信にNFCを利用する場合、NFC対応デバイスである電子装置110が所定距離範囲内に位置するか否かを監視することによって、通信状況が良好か否かを判定するようにしてもよい。電子装置110が所定距離範囲内に位置するか否かは、情報端末120における誘導電流の発生の有無によって判断することができる。
(双方向通信システム100の処理手順1)
つぎに、双方向通信システム100の処理手順(処理手順1)について、図6および図7Aを用いて説明する。図6は、双方向通信システム100における通信方法を示す説明図である。また、図7Aは、双方向通信システム100の処理手順(処理手順1)を示す説明図である。図7Aにおいては、電子装置110および情報端末120がおこなう各処理、および、各処理どうしのタイミングを示している。図7Aにおいて、左側が電子装置110の処理手順であり、右側が情報端末120の処理手順である。
なお、図7Aにおいては、双方向通信環境の確認からデータのやり取りをおこなう一般的な処理手順の説明の一例としてタイムコードを送信する例で説明をおこなう。したがって、双方向通信システム100における処理手順は、タイムコードの送信の場合に限定されるものではなく、その他の通信の場合であってもよい。
事前準備として、電子装置110と情報端末120との双方向通信をおこなう際には、図6に示すように、電子装置110の背面と情報端末120とを対向させる。
図7Aにおいて、まず、電子装置110は、所定の入力操作を受け付けた場合に通信モードをONにする(ステップS711)。
そして、電子装置110は、情報端末120との通信環境の確認するための光信号を送信する(ステップS712)。この光信号は、ビット信号としてもよいし、たとえば、発光素子206を最大輝度で連続発光させるなど、所定輝度で所定期間だけ発光させてもよい。
電子装置110は、ステップS712において送信した確認信号に応じて情報端末120から送信される応答信号を受信するまで待機する(ステップS713)。このとき電子装置110は、確認信号を送信してからの時間をカウントし、所定期間内に応答信号が受信できなかった場合は、当該所定期間経過後に、確認信号を再送信するようにしてもよい。
一方、情報端末120は、たとえば、リューズ302aや各種のプッシュボタン302bなどによってその機能が実現される操作手段412に対する所定の入力操作を受け付けた場合に通信モードをONにする(ステップS721)。
そして、情報端末120は、電子装置110が上記のステップS712の処理をおこなうことにより当該電子装置110から送信される、通信環境の確認信号を受信するまで待機する(ステップS722)。
ここで、情報端末120は、常に通信モードがONの状態であってもよい。情報端末120は、電子装置110による所定の光信号(たとえば、所定の点滅パターンによる信号)が、受光素子303によって検知されるまで、低消費電力モードなどで待機するように制御され、ウェイクアップ信号である所定の光信号が検知された場合に、低消費電力モードからステップS722の通信環境の確認信号を待機する状態に自動的に遷移するようにしてもよい。また、上述の所定の光信号は、ステップS712による確認信号を兼ねていてもよい。これにより、使用者が情報端末120を操作することなく、双方向通信をおこなうことができる。
情報端末120は、電子装置110から通信環境の確認信号を受信した場合、受信された確認信号に基づいて通信環境の確認をおこなう(ステップS723)。情報端末120は、たとえば、光信号がビット信号である場合に、正しくデータが受信できていたか否かを判断するようにしてもよい。また、情報端末120は、光信号が所定輝度による連続発光である場合に、受光素子303による受光量が所定の閾値を超えているか否かを判断するようにしてもよい。
また、ステップS723においては、たとえば、音響素子304が発生させる音のうち電子装置110との通信にかかる音以外の音を発生する機能を無効にする。具体的には、たとえば、アラームの設定などを無効にする処理をおこなうようにしてもよい。この処理はステップS721の時点でおこなってもよい。
つぎに、情報端末120は、電子装置110に対して、受信側(電子装置110側)環境が整った旨の信号を送信する(ステップS724)。ステップS724においては、音響素子304に通電し、当該音響素子304から所定の発音パターンの音を発生させることによって、受信側環境が整った旨の信号を送信する。上述のように、電子装置110は、受信側環境が整った旨の信号を受信すると、情報端末120に対して情報信号を送信する。
なお、受信環境が整っていない場合、特に光信号が正しく受光できないと判断される場合は、情報端末120は、電子装置110に対して、受信感度がよくない旨の音響信号を送信してもよい。
また、情報端末120は、電子装置110に対して、情報端末120の識別情報を送信して、電子装置110が情報端末120の型式に合う通信方法をとるように促す処理をおこなってもよい。そして、電子装置110は、情報端末120からの応答信号(音響信号)に応じて、確認信号(光信号)の発光強度を強めたり、発光波長帯を変更したり、光信号の点滅速度を遅くまたは速くしたり、あるいは、それらを組み合わせる制御をおこなう。
また、電子装置110は、使用者に対して、電子装置110と情報端末120との位置関係を正しく合うように促す処理をおこなわせた上で、ステップS712やステップS713を再度おこなう。また、その際に、情報端末120も同様にステップS722やステップS723を再度おこなう。
情報端末120は、ステップS724による通信環境が整った旨の音響信号を送信した後、電子装置110から送信される情報信号を受信するまで待機する(ステップS725)。
このとき、情報端末120は、所定期間待機している間に情報信号を受信しなかった場合に、当該所定期間経過後に、ステップS724に戻って、受信側(電子装置110側)環境が整った旨の信号を再送信するようにしてもよい。
電子装置110は、情報端末120から受信側環境が整った旨の音響信号を受信することにより、通信環境が整ったことを確認する(ステップS714)。
なお、電子装置110は、情報端末120からの音響信号が正しく受信(受音)できないと判断した場合は、静かな環境でおこなうようにするなど受信(受音)環境の状態を、使用者に知らせるようにしてもよい。また、電子装置110は、情報端末120が音響素子304の音量や音調(音色、発音周波数帯)を変更できる場合は、変更する旨の光信号を情報端末120へ送信してもよい。
そして、情報端末120は、応答信号(音響信号)の音量を強めたり、音調を変更したり、音響信号の送信速度を遅くまたは速くしたり、音の位相を変更する、あるいはそれらのいずれかを2つ以上組み合わせる制御をおこない、ステップS723やステップS724の処理を再度おこなう。また、電子装置110も同様に、ステップS714の処理を再度おこなう。
つぎに、電子装置110は、情報端末120に対して情報信号を送信する(ステップS715)。ステップS715においては、電子装置110は、情報信号として、たとえば、電子装置110において計時している時刻を示すタイムコードを、情報端末120へ送信する。
そして、電子装置110は、完了信号の受信を待機する(ステップS716)。なお、電子装置110は、所定期間待機している間に完了信号を受信しなかった場合に、当該所定期間経過後に情報信号を再送信するようにしてもよい。このステップS716における所定期間は、送信する情報信号の種類やデータ量などに応じて異なるように設定してもよい。たとえば、短時間で送信および処理が完了すると見込まれる場合は、待機時間である所定期間を短く設定するようにしてもよい。一方、送信および処理が完了するのに長時間が必要であると見込まれる場合は、所定時間を長く設定するようにしてもよい。
つぎに、情報端末120は、電子装置110から情報信号を受信する(ステップS726)。
そして、情報端末120は、受信した情報信号に応じた処理をおこなう(ステップS727)。ステップS727においては、情報端末120は、たとえば、電子装置110から送信されるタイムコードに基づいて、情報端末120が計時する内部時刻を修正したり、修正した内部時刻に基づいて時刻表示部301が表示する時刻を修正したりする。また、情報端末120は、タイムコードとは別に遅延時間に関する情報を取得している場合は、遅延時間を考慮して内部時刻を修正することができる。
また、ステップS727においては、情報端末120は、電子装置110から送信される情報信号に応じた処理が正常に完了しなかった場合に、音響素子304に通電し、当該音響素子304から所定の発音パターンの音を発生させることによって、電子装置110に対して、情報信号の再送信を要求する信号を送信してもよい。
また、ステップS726において、情報端末120は、電子装置110が計時する時刻に基づくタイムコードと、当該タイムコードに基づいて修正された情報端末120の内部時刻の通知要求と、を含む情報信号を受信した場合、ステップS727においては、この情報信号に応じて修正した内部時刻を電子装置110へ送信するようにしてもよい。この場合、情報端末120は、電子装置110が計時する時刻との遅延時間を加味したタイムコードにかかる情報信号、またはタイムコードに遅延時間に関する情報が付与された情報信号を待機し、2回目に受信した情報信号に基づいて内部時刻を修正するようにしてもよい。
その後、情報端末120は、電子装置110に対して、情報信号に応じた処理が完了した旨の完了信号を送信して(ステップS728)、情報端末120側における一連の処理を終了する。完了信号を送信するタイミングは、情報信号に応じた処理がおこなわれた後のタイミングとしてもよく、そのタイミングに代えて、情報信号が正しく受信できたことを判定できたタイミングとするようにしてもよい。
この場合、たとえば、情報信号を所定のデータ列にエラーチェック用のパリティを付加したものとすることができる。そして、受信した情報信号から算出されるパリティと受信したパリティ信号とを比較して、同一である場合に正しく受信できたと判定し、受信が完了したことを送信するようにしてもよい。ここで、判定のために使用するデータはパリティに限定されず、たとえば、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)などの誤り制御方法を使用するようにしてもよい。
電子装置110は、完了信号を受信する(ステップS717)。そして、電子装置110は、通信完了の確認処理をして(ステップS718)、電子装置110側における一連の処理を終了する。
なお、電子装置110は、完了信号を受信する前に、情報端末120から、情報信号の再送信を要求する信号を受信した場合、ステップS715において送信した情報信号に応じた処理が情報端末120において正常に完了しなかったと判断し、発光素子206を所定のパターンで発光させることによって、所定の時間が経過後に、当該情報信号を再送信するようにしてもよい。
電子装置110は、通信環境の設定後であったとしても、情報信号の再送信に際しては、発光素子206が発光する光の発光パターンにかかる点滅速度を、先の情報信号の送信時とは異ならせてもよい。電子装置110は、具体的には、たとえば、先の情報信号の送信時よりも、再送信時の方が点滅速度が遅くなるように制御する。
点滅速度を遅くすることにより、先の情報信号の送信時よりも、点灯している時間、および、先の点灯からつぎの点灯までの消灯時間が長くなるので、情報端末120に対して、点灯している状態と消灯している状態とを明確に区別させることができる。これにより、電子装置110や情報端末120の周囲の明るさが変動した場合であっても、電子装置110と情報端末120との双方向通信を確実におこなうことができる。
また、電子装置110は、情報信号の再送信に際しては、電子装置110が計時する時刻に基づくタイムコードと、当該タイムコードに基づいて修正された情報端末120の内部時刻の通知要求と、を含む情報信号を送信し、この情報信号に応じて情報端末120から修正された内部時刻と、電子装置110が計時する時刻とに基づいて遅延時間を測定し、測定した遅延時間を加味したタイムコードにかかる情報信号を情報端末120へ送信するようにしてもよい。
このように、処理手順1においては、情報端末120は、電子装置110からの確認信号や情報信号に基づいて処理をおこない、処理の結果に応じて通信環境に関する情報や完了信号を電子装置110に送信することについて説明をおこなった。ここで、処理手順1においては、情報端末120が、たとえば、電子時計である場合に、電子時計が有する制御ICでこのような処理をおこなうことは、負荷が高くなったり、また、消費電力も大きくなってしまう場合がある。
そこで、情報端末120は、電子装置110から受光したアナログデータをそのまま応答信号として発音部558を介して電子装置110に送信し、通信環境の確認や情報信号の通信状況の確認処理を、電子装置110においておこなうようにしてもよい。その処理手順について、つぎの処理手順2において説明する。
(双方向通信システム100の処理手順2)
双方向通信システム100の別の処理手順(処理手順2)について図7Bを用いて説明する。図7Bは、双方向通信システム100の別の処理手順(処理手順2)を示す説明図である。図7Bにおいては、図7Aと同様に、左側が電子装置110の処理手順であり、右側が情報端末120の処理手順であり、互いの各処理のタイミングを示している。以下の説明において、図7Aと同様の処理については、その説明を省略する。
まず、電子装置110は、処理手順1のステップS711と同様に、所定の入力操作を受け付けた場合に通信モードをONにする(ステップS1711)。
そして、電子装置110は、準備信号を送信する(ステップS1712)。準備信号は、情報端末120に向けて送信する光信号であり、電子装置110や情報端末120との通信環境の確認や当該通信環境に応じた光信号に関するパラメータを設定するための信号である。たとえば、消灯を「0」、点灯を「1」とする点滅信号としてもよい。
電子装置110は、準備信号に応じて情報端末120から送信される応答信号の受信を待機する(ステップS1713)。
一方、情報端末120は、処理手順1のステップS721と同様に、まず、通信モードをONとする(ステップS1721)。
そして、情報端末120は、電子装置110からの光信号の受信(受光)を待機する(ステップS1722)。
その後、情報端末120は、電子装置110から光信号を受信した場合に、受光によって得られる発電電圧のアナログデータをそのまま、または所定のゲイン調整をおこなって音響信号に変換して、電子装置110に向けて送信する(ステップS1723)。このように、情報端末120は、受光部551によって発生するアナログデータを、発音制御部557に入力して、発音部558から音響信号として送信する。
これにより、情報端末120は、たとえば、受光強度(発電電圧、照度)などに応じて、音響信号の音量、発生周波数または時間長が変化する信号を送信することができる。より具体的には、音響信号として使用する周波数帯が4〜8kHzであるとした場合に、受光素子303による受光強度が第1閾値より低ければ4kHzとし、第2閾値より高ければ8kHzとし、第1閾値と第2閾値の間は、4〜8kHzの間のいずれかの周波数に変換して音響信号を出力することができる。
このように処理することによって、情報変換部552による処理を介さないため、情報端末120に負荷を与えなくて済む。このとき、発音制御部557への入力と同時に情報変換部552にも信号を入力してもよい。ただし、入力される信号は、「1」と「0」の点滅信号であるため、情報端末120は、これらの点滅信号をデータとしての意味をなさないと判断して、何らの処理もおこなわない。情報端末120は、ステップS1722と同様に、引き続き、電子装置110からの光信号の受信(受光)を待機する。
一方、電子装置110は、情報端末120から送信される応答信号を受信する(ステップS1714)。
そして、電子装置110は、ステップS1714において受信した応答信号に基づいて、通信環境の確認をおこなう(ステップS1715)。このとき、たとえば、電子装置110による音響信号の復号アルゴリズムを、情報端末120と同じ復号アルゴリズムにしておくことによって、同じ信号が受信できているか否かの判定を容易におこなうことができる。通信環境の確認内容としては、たとえば、電子装置110と情報端末120との位置関係や、外乱光などの外部ノイズの影響、双方向通信にともなう遅延時間などが挙げられる。
上述したように、音響信号が受光部551の受光強度に応じた周波数として変換される場合、電子装置110が集音部516によって受音した音響信号の周波数から通信環境を確認することができる。たとえば、情報端末120の発音部558である圧電素子が音響信号として使用する周波数帯を4〜8kHzとした条件においては、集音ができていなければ、集音部516が音響信号を受信できていないと判定するか、あるいは、情報端末120の通信モードが「ON」の状態になっていないと判定することができる。
また、周波数が4kHzであれば、電子装置110の発光部511と情報端末120の受光部551との位置関係がずれており、光量が足りないため、充分な発電ができていないと判定することができる。さらに、周波数が8kHzであれば、受光強度が強すぎるため、太陽光などの外乱光が入っていると判定することができる。また、発光部511の発光強度を調整できる場合は、発光強度が強すぎると判定してもよい。4〜8kHzの中間である6kHz近傍であれば、位置が合っていると判定することができる。
また、縦軸を周波数、横軸を時間軸とした音響信号の振幅から判定してもよく、振幅が狭い場合は、電子装置110と情報端末120の位置がずれていると判定することができる。この場合に、位置ずれや外乱光による影響があると判定されたことを、電子装置110の通知部523(たとえばディスプレイ201など)を介して使用者に通知して、正しい位置合わせを促したり、通信環境を整えるように促す構成としてもよい。
また、送信した光信号に応じて生成される音響信号を受信(受音)しているため、電子装置110は、送信した光信号データ(ビット列)と、受音した音響信号のデータ(ビット列)を比較、照合することによって、ノイズ成分となっている外乱光などの影響の程度を判断することができる。
電子装置110は、照合したビット列が異なっている場合は、たとえば、外乱光が混ざり合っている可能性があると判断することできる。この場合に、外乱光によるノイズの影響があることを、電子装置110の通知部523(たとえばディスプレイ201など)を介して使用者に通知して、外乱光が受光部551に入らないように対処することを促すような構成としてもよい。
さらに、電子装置110は、光信号に応じて情報端末120において生成される音響信号を受音するまでの期間に基づいて、遅延時間を算出するようにしてもよい。電子装置110は、具体的には、たとえば、発光部511(発光素子206)がLEDである場合に、消灯状態から点灯を開始し、輝度が最高になるまでには所定時間がかかる。音響信号はこの輝度に応じて音の周波数が変化するため、受音した音の周波数が所定値で飽和する時間から遅延時間を算出するようにしてもよい。
上述したように、音響信号の周波数帯(振幅幅)の判定処理、ビット列の照合処理、遅延時間の算出処理の順に各処理をおこなうことによって、双方向通信に適した通信環境とすることができる。
通信環境の確認を終えると、つぎに、電子装置110は、ステップS715と同様に、情報信号を送信する(ステップS1716)。
そして、電子装置110は、この情報信号と同じデータ列である応答信号の受信をするために待機する(ステップS1717)。ここで、電子装置110は、通信間環境に関する情報を電子装置110のディスプレイ201に常時表示しておき、使用者に位置合わせを促す通知をおこなうようにしてもよい。また、たとえば、電子装置110は、使用者の位置合わせ操作によって通信環境が整ったと判定された場合には、自動的にステップS1716へ移行して、情報信号の送信を開始するようにしてもよい。
一方、情報端末120は、処理手順1のステップS726と同様に、電子装置110からの情報信号を受信する(ステップS1724)。
そして、情報端末120は、ステップS1723と同様に、情報信号に応じた応答信号として、受信(受光)したアナログデータを音響信号に変換して、電子装置110へ送信する(ステップS1725)。応答信号を送信する際に、情報端末120は、情報信号を含むアナログデータを情報変換部552に入力し、情報信号の内容に基づいた処理をおこなう(ステップS1726)。情報信号の内容に基づいた処理として、たとえば、情報端末120は、情報信号がタイムコード情報であれば、内部時刻をタイムコード情報の時刻に更新する。
これにより、情報端末120は、情報変換部552による所定の処理をおこなうと双方向通信の一連の処理を終了する。ここで、情報端末120は、情報変換部552による所定の処理をおこなった後に、再び受信待機状態へ戻り、情報信号の受信をおこなうように構成してもよい。このとき、情報端末120の情報記憶部554に、双方向通信を終了するための終了コードをあらかじめ記憶しておいて、情報変換部552によって当該終了コードを受信したときに、双方向通信を終了する処理をおこなう。
また、情報端末120は、所定の時間内に受光部551による受信がおこなわれなかったときに終了するタイムアウト制御をおこなうように構成してもよい。このとき、タイムアウトをした旨を音響信号として発信するようにすることで、電子装置110は、情報端末120がどのような状態であるかを把握することができる。
一方、電子装置110は、ステップS1725によって情報端末120から送信される応答信号を受信する(ステップS1718)。
そして、電子装置110は、応答信号に基づいて通信が完了したことを確認すると通信完了処理をおこない(ステップS1719)、双方向通信における電子装置110側の一連の処理を終了する。
また、上述したように情報端末120は、情報信号に基づく処理をおこなうと双方向通信を終了して音響信号の送信をおこなわなくなるため、電子装置110が所定時間を経過しても音響信号を受信しない場合は、電子装置110は、送信した情報信号にかかる情報端末120の一連の処理が終了したものと判断して、電子装置110の通信完了処理をおこなうように制御してもよい。
通信完了の確認は、電子装置110からの送信信号と、情報端末120からの応答信号とを比較することによって、おこなうことができる。情報端末120は、たとえば、電子装置110が光信号として送信したデータ列と、情報端末120からの音響信号によるデータ列とを照合し、同一のデータ列と判断された場合に、正しく受信することができたと判定することができる。また、情報端末120は、電子装置110が光信号として送信したデータ列と、情報端末120からの音響信号によるデータ列とを照合した結果、データ列が一致しないときは、正しく受信がおこなわれておらず、間違った情報信号による処理がおこなわれた可能性があると判定する。そして、そのような判定がなされた場合には、情報端末120は、光信号の再送信をおこなうように制御してもよい。
このように、情報端末120は、受光部551によって受信した発電電圧によるアナログ信号を音響信号に変換して応答信号として送信し、かつ、このアナログ信号を変換することによって取得される情報信号に応じた処理をおこなうようする。また、電子装置110は、送信信号である光信号と情報端末120からの応答信号である音響信号を比較することによって、通信環境を確認するようにする。これにより、情報端末120が通信環境を判定するための負荷を除去または軽減することができる。
また、このような構成とした場合に、情報端末120は、取得した情報信号に応じた処理を順次おこなうが、仮に、通信エラーなどによって誤った情報(たとえば、正しい時刻とは異なるタイムコード)に更新されるなどの不具合が生じたとしても、そのような不具合が生じたことを電子装置110によって判定することができる。このため、エラーのための専用の双方向通信処理をおこなう必要はない。したがって、あらためて正しい情報信号を送信することが可能であり、情報端末120は再び情報信号を受信して正しい情報(正しい時刻のタイムコード)に更新することができる。
処理手順2においては、情報信号の送信前に準備信号を送信して双方向通信の通信環境を確認するとして説明をおこなったが、情報端末120は、受光した情報信号に応じて応答信号である音響信号を送信するため、双方向通信中は、常時または定期的に、通信環境(通信状況)を確認するような構成としてもよい。
これにより、情報端末120から電子装置110に向けて光信号の発光強度や発光波長帯、発光速度を変更するような命令信号を出さなくとも、集音部516によって受音した音の周波数から、受信レベルや信号品質(S/N)を確認することができる。したがって、情報端末120の負荷を増加させることがない。また、通信環境の改善処理にかかる処理をおこなう必要がないため、双方向通信時間の長期化を効率よく抑制することができる。
また、電子装置110の発光部511による発光強度や発光波長帯などを可変にすることが可能な場合には、電子装置110は、定期的に発光強度や発光波長を変更して、光信号の変化に応じて送信される音響信号の音量や音調などを受音することによって、双方向通信にかかる遅延時間を測定するようにしてもよい。
たとえば、電子装置110は、第1の発光強度で光信号を送信し、所定時間経過後に第2の発光強度に変更するように制御をおこなう。これに対して、情報端末120は、第1の発光強度の光信号を受信したときには、第1の音調を応答信号として送信し、第2の発光強度の光信号を受信したときには、第2の音調を応答信号として送信するように制御する。そして、電子装置110は、第1の発光強度から第2の発光強度に切り換えるタイミングからカウントを始めて、集音部516によって受音する音響信号が第1の音調から第2の音調に切り替わるまでの時間を測定する。電子装置110は、この測定時間に基づいて遅延時間を求めるようにしてもよい。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システム100によれば、既存の通信規格に従った通信インターフェースを用いることなく、情報端末装置(情報端末および電子装置)間における双方向通信を実現することができる。これにより、送受信環境を容易に確立することができるとともに、電子装置110と情報端末120との間での通信における双方向の受信状況を確認することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システム100によれば、双方向通信をおこなう電子装置110と情報端末120とのうちの一方が、情報端末120のように、既存の通信規格に従った専用の通信手段をもたない装置である場合にも、ソーラパネルなどの受光素子303やアラームの報知に用いる音響素子304を利用して電子装置110と情報端末120との間における双方向通信を実現することができる。これにより、スマートフォンなどの情報端末120と電子時計などの電子装置110との間での双方向通信を、低コストで実現することができる。
また、電子装置110と情報端末120とが、それぞれ無線電波通信部524、560を有している場合でも、互いのペアリングのための初期設定など、所定の通信においてのみ上述した光信号と音響信号による双方向通信をおこない、ペアリング設定後または所定の通信以外では、無線電波通信部524、560による通信をおこなうように制御してもよい。特に、情報端末120が時計である場合、WiFiなどの無線通信の際に必要となるパスワード設定を時計単体で入力することは困難であるため、光信号と音響信号とを用いた双方向通信により、時計側の操作を減らして、容易にWiFiなどの無線通信のための設定をおこなうことができる。
上述の双方向通信においては、電子装置110から情報端末120へのデータ送信であるとして説明をおこなったが、情報端末120から電子装置110へのデータ送信であってもよい。たとえば、情報端末120が標準電波を受信可能な電波時計である場合に、電波時計が受信した約40kHzの電波を検波した波形(タイムコード波形)を音声に変調して電子装置110へ出力する。電子装置110は、受信(受音)したタイムコード波形に基づいて、電波時計の信号品質を解析して、解析結果をフィードバックするために当該解析結果にかかるデータを電波時計に送信する。
また、ディスプレイ201を用いて使用者に解析結果を表示するようにしてもよい。電波時計による情報表示面積は電子装置110の一例であるスマートフォンなどのディスプレイと比較して小さく情報量を多く載せることが困難である。スマートフォンのディスプレイ201を用いることにより多様な解析結果を表示することが可能であり、使用者により多くの情報を提示することができる。
(電子装置110と情報端末120との位置合わせについての説明)
上述の処理手順において説明したとおり、電子装置110は、双方向通信アプリケーションを起動し、通信モードをONの状態にして、通信環境の確認用の光信号を情報端末120に向けて送信し、当該光信号を受信した情報端末120から確認用の光信号を受け取った旨(受信側環境が整った旨)の音響信号を受信(集音)することによって通信環境の確認をおこなう。このとき、電子装置110の発光素子206と情報端末120の受光素子303とを対向させて通信環境を確立させる必要がある。電子装置110と情報端末120との位置合わせについて図8〜12を用いて説明する。
電子装置110は、撮像素子205が生成する画像データをディスプレイ201に表示する。これにより、使用者は、電子装置110と情報端末120との位置関係を容易かつ確実に認識することができる。電子装置110は、撮像素子205が生成する画像データに基づいて、撮像された情報端末120の識別情報を特定するようにしてもよい。また、情報端末120は、電子装置110に向けて、情報端末120の識別情報を含む音響信号を送信するようにしてもよい。また、電子装置110の双方向通信アプリケーションによって、使用者に情報端末120の識別情報である型式情報を入力または選択できるようにする。このように、使用者の設定よって情報端末120の識別情報を特定するようにしてもよい。
図8に示すように、電子装置110は、情報端末120の識別情報に応じた情報端末120の最適位置を案内する画像、たとえば、情報端末120の外形を示すガイド枠801を、ディスプレイ201に表示する。さらに、電子装置110は、ガイド枠801に対して、撮像素子205によって撮像されてディスプレイ201に表示される情報端末120の画像がずれている場合、図8に示すように、「位置がずれています」などのメッセージ802を表示するようにしてもよい。
これにより、使用者は、ディスプレイ201に表示されたガイド枠801に、撮像素子205によって撮像されてディスプレイ201に表示される情報端末120の画像が重なるように、電子装置110と情報端末120との位置関係を調整するだけで、容易に通信環境を最適化することができる。このとき、最適化されていることを確認するための光信号および音響信号の双方向通信をおこなうようにしてもよい。通信による最適化の確認については、互いの受信周波数帯域が合致しているかの確認や、受信した信号強度が閾値を越えているかの確認などをおこなうようにしてもよい。
情報端末120の識別情報が不明な場合は、電子装置110の撮像素子205と発光素子206との位置関係から、情報端末120の受光素子303が位置すべき領域を、ガイド枠801に代えて示すようにしてもよい。電子装置110の撮像素子205と発光素子206との位置関係は、電子装置110の種類、たとえば、スマートフォンやタブレット端末の型式情報によって異なる。したがって、双方向通信アプリケーションは、上述したように、情報記憶部514に記憶された電子装置110の識別情報である型式情報ごとの撮像素子205と発光素子206との位置関係を示す情報を読み込めるようにすることが好ましい。
図9に示すように、電子装置110は、情報端末120との位置関係が最適化されると、「通信環境が整いました」などのメッセージ901や、撮像画像に基づいて特定される情報端末120の識別情報902をディスプレイ201に表示する。これにより、使用者は、通信環境が整ったことや、電子装置110が情報端末120の型式を正確に認識したことを確認することができる。
また、上述のように情報端末120の識別情報が不明であった場合は、電子装置110は、電子装置110と情報端末120との通信環境が整った後、情報端末120の識別情報を取得するようにしてもよい。この場合に、ガイド枠801に情報端末120の画像が一致した際に、電子装置110から情報端末120に対して、識別情報の送信を要求する光信号を送信するようにすることができる。
情報端末120は、受光素子303において受光した光の発光パターンに基づいて、電子装置110との通信環境が整ったことを認識すると、図9に示すように、秒針などの所定の指針301bを所定の位置(たとえば、12時の位置)に位置づけるようにしてもよい。このとき、他の指針も受光素子303を覆わないように、回避動作をおこなうようにしてもよい。そして、受光素子303において受光した光の発光パターンに基づいて、電子装置110からの識別情報の送信要求に応じて、所定の発音パターンで音を発生させ、識別情報を送信するようにしてもよい。
電子装置110は、情報端末120との通信中は、図10に示すように、「通信中・・・」などのメッセージ1001を表示する。これにより、使用者は、電子装置110と情報端末120とが通信中であることを確認することができ、通信中に電子装置110と情報端末120との位置関係をずらしてしまうなどして、通信が中断することを回避することができる。
情報端末120は、電子装置110との通信中は、図9や図10に示すように、秒針などの所定の指針301bを所定の位置(たとえば、12時の位置)に位置づけた状態とするようにしてもよい。このように、電子装置110は、情報端末120の画像をディスプレイ201に表示しているため、使用者は、ディスプレイ201を介して情報端末120の秒針の位置を確認するだけで、情報端末120を直接目視することなく、電子装置110と情報端末120との通信環境が整い、通信をおこなっていることを確認することができる。電子装置110は、情報端末120から識別情報を取得することにより、情報端末120が確実に認識可能な発光パターンで発光して、情報端末120との通信をおこなうことができる。
電子装置110は、通信環境が整い、情報端末120から識別情報を取得した後は、双方向通信の目的とする情報信号を送信する。電子装置110は、たとえば、タイムコードを含む時刻情報や、アラーム時刻の設定、都市情報の設定、ファームウェアのアップデート用の信号などの情報信号を送信することができる。情報端末120は、電子装置110との通信中は、図9や図10に示すように、秒針などの所定の指針301bを所定の位置に位置づけた状態とし、通信が完了または中断すると、所定の指針301bを該当する各位置に位置づけることによって通信結果を表示する。
情報端末120は、電子装置110との通信が正常に完了した場合に、電子装置110に向けて通信が完了した旨の音響信号を送信するとともに、図11に示すように、秒針を通信が完了したことを示す位置(たとえば、1時の位置)に位置づけるようにしてもよい。電子装置110は、情報端末120との通信が正常に完了した場合に、図11に示すように、「通信処理が完了しました」などのメッセージ(完了通知)1101を表示するようにしてもよい。
また、情報端末120は、電子装置110との通信が失敗した場合に、電子装置110に向けて通信が失敗した旨の音響信号を送信するとともに、図12に示すように、秒針を通信が失敗したことを示す位置(たとえば、11時の位置)に位置づけるようにしてもよい。電子装置110は、情報端末120との通信が失敗した場合、図12に示すように、「通信処理に失敗しました」などのメッセージ(通信エラー通知)1201を表示するようにしてもよい。
通信に失敗した場合、電子装置110は、図12に示すように、情報信号の再送信をおこなうか、または、双方向通信を終了するかのいずれかを選択する選択キー1202を表示するようにしてもよい。これにより、使用者は、双方向通信を再度おこなうか選択することができる。
電子装置110は、撮像素子205を、環境光を受光するセンサとしても活用し、あるいは、環境光を受光するセンサを別途に設けて、環境光が安定しない(具体的には、所定の閾値より強かったり、あるいは変動しているなど)と判断される場合は、外乱光に注意するよう促すメッセージをディスプレイ201に表示するようにしてもよい。また、電子装置110が備える加速度センサの出力値に基づいて、電子装置110に動きがあると判断される場合は、安定して置くように促すメッセージをディスプレイ201に表示するようにしてもよい。
また、電子装置110は、情報信号の送信を開始した後、情報端末120からの応答がなくても、情報端末120が情報を受信するのに十分な時間経過したと判断される場合は、情報信号の送信を停止して、使用者に受信状態を確認するように促すメッセージをディスプレイ201に表示するようにしてもよい。
また、電子装置110は、情報信号の送信中であっても、上記加速度センサの情報から、電子装置110が動いている(あるいは、動かされている)と判断される場合には、経過時間のカウントに含めなくてもよい。また、電子装置110が動いている(あるいは、動かされている)と判断される場合には、経過時間のカウントをリセットするようにしてもよい。
電子装置110は、複数の異なる識別情報(型式、キャリバー情報)を使用者に選択可能にディスプレイ201に表示するようにしてもよい。また、電子時計の文字板301aの撮像画像から型式情報が取得できない場合には、ディスプレイ201に、識別情報の確認方法を表示するようにしてもよい。使用者が通信の目的とする情報端末120の識別情報を取得している場合(既知の状態)では、情報端末120を受信待機状態にするための操作方法を表示するようにしてもよい。
このように、秒針の位置のみならず、電子装置110のディスプレイ201に表示したメッセージ1101、1201によって通信結果を案内することにより、使用者は、ディスプレイ201を介して情報端末120の秒針の位置を確認するだけで、視線を大きく移動させることなく電子装置110と情報端末120との通信結果を確認することができる。使用者の視線の移動を抑えることにより、視線の移動にともなって通信中に電子装置110と情報端末120との位置関係がずれてしまうなどして、通信が中断することを回避できる。
また、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システム100によれば、電子装置110のディスプレイ201に、通信対象となる情報端末120を撮像した画像を表示することにより、使用者が、電子装置110と情報端末120との位置関係を、直接目視して確認することなく、容易かつ確実に認識することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システム100によれば、電子装置110の撮像機能のために、撮像素子205とともにケース200の背面に設けられている発光素子206の発光パターンを制御することによって、情報端末120に情報信号を送信することができる。これにより、使用者は、双方向通信に際してはディスプレイ201のみを注視すればよく、電子装置110と情報端末120との双方向通信を、容易かつ確実におこなうことができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システム100によれば、双方向通信の間、情報端末120の画像をディスプレイ201に表示することにより、たとえば、秒針の位置のように通信状況に応じた情報端末120の変化を、ディスプレイ201を介して確認することができる。これによっても、使用者は、双方向通信に際してはディスプレイ201のみを注視すればよく、電子装置110と情報端末120との双方向通信を、容易かつ確実におこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の双方向通信システム100によれば、双方向通信の結果を、時刻表示のために情報端末120が備える指針301b(秒針)の位置によって案内することにより、情報端末120に通信結果を専用に報知する機構を不要とすることができる。これにより、情報端末120の美観を確保しつつ、双方向通信の結果を使用者に対して確実に伝えることができる。