JP6905228B2 - 試料の分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、試料の分析方法に関する。
試料に含まれる元素や当該元素の含有量を分析する方法として、X線を照射した際に発生する蛍光X線を検出し、当該蛍光X線のエネルギーと強度から試料組成を分析する蛍光X線分析法が知られている。蛍光X線分析法は、高精度な分析を行うことができるが、いわゆる鉱物効果や粒度効果と呼ばれる不均質効果によって、分析の精度が低下する場合がある。
具体的には、鉱物効果は、分析対象である試料に複数の異なった種類の鉱物が存在する場合,鉱物の種類の構成が変化すると分析結果にばらつきが発生する現象である。
粒度効果は、粉砕した試料を分析する場合、粒子の大きさによって目的元素の蛍光X線強度が変化する現象である。特に軽元素を分析対象とする場合には、軽元素から発生するエネルギーの低い蛍光X線は試料表面から浅い位置で発生し、軽元素の分析領域は試料表面から近い領域であることから、粒度効果の影響が大きくなる。
そこで、不均質な試料を分析する場合には、当該試料に含まれる元素を高精度に分析するため、事前に当該試料を均質化する処理を行う必要がある。当該処理は、例えば、粉末にした試料に融剤を加えた上で熔融するガラスビード法が知られている。
図6は、従来から知られた、ガラスビード法によって試料を調整する方法を示すフローチャートである。まず、分析対象である試料は、粉砕機によって粉砕され、乾燥される(S601)。次に、試料と融剤が既定の割合で精秤される。(S602)。次に、試料と融剤が混合される(S603)。次に、混合した試料と融剤がるつぼに充填され、剥離剤が添加される(S604)。次に、るつぼがビードサンプラーに設置され、るつぼに充填された試料は、撹拌されながら加熱され、溶融される(S605)。次に、加熱された試料は、低温環境下で急冷される(S606)。最後に、急冷されることで固形化した試料は、るつぼから剥離される(S607)。以上の工程を経ることで、試料のガラスビードが作成される。
ガラスビード法では1:10の割合で試料と融剤を配合するのが一般的であるが、融剤を多く混合するために、微量成分の分析精度が低くなる。例えば、下記特許文献1は、試料に対する融剤の配合比率を1:3にした場合でも、剥離剤の添加を間欠的に行うことにより、良好に溶融や剥離を行う方法を開示している。融剤の配合比率を低下させることにより、ガラスビード法における微量成分の分析精度を向上させることができる。
また、蛍光X線分析装置を用いた分析方法以外の分析方法として、原子吸光光度分析法や、誘導結合プラズマ質量分析法等の分析方法も知られている。
特開平7−239290号公報
ガラスビード法は、不均質効果を低減し、高精度な分析を行う有効な方法である。しかしながら、図6のフローチャートのように、攪拌、溶融を行うことができる高価なガラスビード作製装置や白金製るつぼを準備する必要がある。また、図6のフローチャートに示すように、ガラスビード法は煩雑な工程を必要とし、時間と手間がかかる。このようにガラスビード法は、高価な装置と煩雑な工程を必要とするため、土壌汚染調査等の現場分析に適用するのは困難である。
ガラスビード法は、白金製るつぼ中で、試料と融剤の攪拌・溶融を行うため、試料に金属、硫化物および有機物などの還元性物質を含む場合は、るつぼを損傷するため調整が困難である。また微量成分の分析のために希釈率を低くすると、溶融物の粘性が高くなる。そのため、溶け残りや気泡、破損などが発生し調整が難しくなる。また、ガラスビード法は通常数百mgのICP等他の手法に比べて多量の試料を必要とし、分析後試料の回収も不可能である。このことから考古遺物などの貴重な試料の分析には適さない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、不均質効果を簡便に除去できる、高精度な試料の分析方法を提供することにある。また、分析対象が還元性を有する物質である場合や分析対象である試料が少量しか採取できない場合であっても可能な分析方法を提供することにある。
請求項1に記載の試料の分析方法は、融剤と試料とを同時にレーザー光で加熱し、ガラス化する工程と、前記試料を冷却する工程と、前記ガラス化された領域にX線を照射し、放出された蛍光X線の強度に基づいて、前記試料に含まれる元素を特定する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項2に記載の試料の分析方法は、請求項1に記載の試料の分析方法において、さらに、前記試料と融剤を混合する工程と、前記混合された試料と融剤を加圧し、ペレットを成形する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の試料の分析方法は、請求項1に記載の試料の分析方法において、さらに、前記試料と融剤を混合し、試料皿に配置する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項4に記載の試料の分析方法は、請求項3に記載の試料の分析方法において、前記試料皿は、セラミック又は金属で形成されることを特徴とする。
請求項5に記載の試料の分析方法は、請求項4に記載の試料の分析方法において、前記試料皿は前記セラミックであって、前記セラミックはアルミナであることを特徴とする。
請求項6に記載の試料の分析方法は、請求項2乃至5のいずれかに記載の試料の分析方法において、前記試料と前記融剤を混合する際に、さらに、前記レーザー光の波長に応じた増感剤を添加することを特徴とする。
請求項7に記載の試料の分析方法は、請求項6に記載の試料の分析方法において、前記増感剤は、カーボン、ケイ素化合物または有機系色素であることを特徴とする。
請求項8に記載の試料の分析方法は、請求項7に記載の試料の分析方法において、前記増感剤は、前記ケイ素化合物であって、前記ケイ素化合物は、SiCであることを特徴とする。
請求項9に記載の試料の分析方法は、請求項1に記載の試料の分析方法において、さらに、粉末状の融剤を加圧し、ペレットを成形する工程と、前記ペレット上に前記粉砕された試料を配置する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項10に記載の試料の分析方法は、請求項9に記載の試料の分析方法において、前記ペレットは、前記試料が配置される領域に凹部が形成されていることを特徴とする。
請求項11に記載の試料の分析方法は、請求項2、9又は10のいずれかに記載の試料の分析方法において、前記ペレットを浮遊炉に設置し、前記ペレットを浮遊させた状態でレーザー光照射を行うことを特徴とする。
請求項12に記載の試料の分析方法は、請求項1乃至11のいずれかに記載の試料の分析方法において、前記融剤は、Liと、LiBOの一方または両方が混合されたものであることを特徴とする。
本発明によれば、不均質効果を除去することで高精度に、かつ、簡便に試料に含まれる元素の分析を行うことができる。また、白金製るつぼを使用しないため、還元性物質の調整が可能である。さらに、試料を低希釈率による調整または希釈せずに調整が可能であり、かつ、少量の試料での調整を行うことができる。
第1の実施形態における分析方法を示すフローチャートである。 加熱する工程について説明するための図である。 第2の実施形態における分析方法を示すフローチャートである。 第3の実施形態における分析方法を示すフローチャートである。 ペレットに形成される凹部及びペレットに配置された試料について説明する為の図である。 ガラスビード法による試料の調整方法を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態を、図面に従って説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る試料の分析方法を表すフローチャートである。
まず、分析の対象である試料を必要に応じて粉砕し、粉末状にした上で乾燥させる(S101)。具体的には、例えば、分析対象である土壌試料は、粉砕容器やメノウ乳鉢を用いて粉砕され粉末状にされる。また、粉砕された試料は、105℃の温度で1時間乾燥される。粉砕工程の手法や、乾燥する工程の時間及び温度は、試料に応じて適宜設定される。なお、試料は、土壌試料に限られず、岩石、セメント、ガラス、セラミック、汚泥、スラグ、廃棄物であってもよい。また、分析の対象である試料が、粉砕及び乾燥された状態で採取される場合には、S101の工程は省略してもよい。
次に、粉砕、乾燥された試料と融剤を混合する(S102)。具体的には、S101工程において粉砕、乾燥された試料と、LiとLiBOの一方または両方が混合された融剤を混合する。融剤はあらかじめ650〜700℃の温度で4時間乾燥されたものを使用する。
試料と融剤の比率は、1:0.01から1:20とする。具合的には、例えば比率1:1の場合には0.6gの試料と、0.6gの融剤が秤量される。また、例えば比率1:10の場合には0.1gの試料と、1.0gの融剤が秤量される。秤量された試料及び融剤は、乳鉢に配置され、混ぜ合わされる。
次に、混合された試料と融剤を加圧し、ペレット200を成形する(S103)。具体的には、混合された試料と融剤を、内径が10乃至50mmのダイスに充填する。ダイスの内径は、試料の質量に応じて適宜選択される。例えば、混合された試料と融剤は、内径が13mmのダイスに充填され、加圧成形機に設置される。ダイスの代わりに、内径が10乃至50mmで厚みが5mm程度の大きさのアルミリング、塩ビリング又はアルミカップを用いて加圧成形してもよい。ここで、試料は、成形性を向上させる成形助剤を混合した上で、ダイス、アルミリング、塩ビリング又はアルミカップに充填されてもよい。
続いて、充填された試料と融剤は、加圧成形機に設置される。そして、充填された試料と融剤は、加圧成形機によって、700MPaの圧力で3分間加圧されることでペレット200に成形される。使用されるダイス、アルミリング、塩ビリング又はアルミカップの大きさ及び加圧時の圧力は、採取された試料の質量及び種類に応じて適宜設定される。具体的には、充填された試料と融剤は、加圧成形機によって、20乃至4000MPaの圧力で1分間乃至3分間加圧されることでペレット状に成形される。
次に、融剤と試料とを同時にレーザー光202で加熱し、ガラス化する(S104)。具体的には、図2に示すように、ペレット200に成形された融剤と試料に対して、40Wの出力で炭酸ガスレーザー装置によって発生させたレーザー光202が30秒間照射される。なお、発生させたレーザーの波長は10.6μmである。ペレット200に成形された融剤と試料は、レーザー光202が照射されることによって加熱され、ガラス化する。なお、照射するレーザー光を発生させる装置は、炭酸ガスレーザー装置に限られず、広い波長帯から波長を選択できる半導体レーザー装置または波長1.064μmのYAGレーザー装置であってもよい。加熱の出力及び時間は、採取された試料の質量及び種類に応じて適宜設定される。
また、レーザー光202は、ペレット200の少なくとも一部に照射されればよい。具体的には、12mmの径を有するペレット200に対して、4mmの照射径のレーザー光202を照射することで、レーザー光202が照射された領域のみを加熱するようにしてもよい。試料の一部のみを加熱するようにすることで、試料全体を加熱する場合と比較して、加熱に要するエネルギーと時間を削減することができる。また、試料ステージを操作するなどして、レーザー光202の照射位置を試料表面で走査しながら加熱してもよい。
次に、加熱された試料を冷却する(S105)。具体的には、例えば、加熱された試料を、10分間、常温環境の下で放冷する。冷却の温度及び時間は、採取された試料の質量、種類及び加熱条件に応じて適宜設定される。
次に、加熱によりガラス化された領域にX線を照射し、放出された蛍光X線の強度に基づいて、試料に含まれる元素の含有量を特定する(S106)。具体的には、まず、予め含まれる元素の含有量が既知である標準試料を準備し、加熱によりガラス化する。次に、当該ガラス化された標準試料を蛍光X線分析装置に設置する。次に、ガラス化された領域にX線を照射し、当該X線によって発生した蛍光X線の強度を測定する。そして、既知の含有量と、得られた蛍光X線強度と、の関係を検量線として求める。一方、S105の工程で冷却されたペレット200のガラス化された領域に対してX線を照射し、放出された蛍光X線強度を測定する。当該試料における蛍光X線強度から、あらかじめ作成した検量線で表される式にあてはめ、試料に含まれる分析対象である元素の含有量を特定する。
以上のように、本発明によれば、ビードサンプラーによって試料を撹拌する工程等が不要になることにより、蛍光X線分析を行う前に行う試料の調整が、ガラスビード法よりも簡易になる。また、本発明によれば、土壌汚染調査を行う場合には、試料を採取する場所が実験設備を備えた場所から遠方である場合が多いが、分析装置が簡易なものとなることにより、試料が採取された場所で分析を行うことが出来る。
[変形例]
上記においては、試料に融剤のみを加える場合について説明したが、必要に応じてS104において使用するレーザー光202の波長に応じた増感剤を試料に添加してもよい。増感剤は光を吸収して発熱する添加剤であり、具体的には、例えば、カーボン、ケイ素化合物、有機系色素である。
カーボンは、例えば、炭素の微粒子であるカーボンブラックである。ケイ素化合物は、例えば、炭化ケイ素(SiC)である。有機系色素は、例えば、使用されるレーザー光202に応じて、当該レーザー光202の波長700〜800nmを吸収するように形成されたナフタロシアニンである。
発明者らは、試料に融剤及び増感剤を添加する変形例について、実験により試料がガラス化されることを検証した。具体的には、産業技術総合研究所製の地球化学認証標準物質である堆積岩質の試料、及び、火成岩質の試料と融剤の混合物に増感剤を添加した。さらに、当該試料をレーザー202で加熱し、蛍光X線分析によりガラス化されることを検証した。
まず、上記試料を粉末状にした上で乾燥させた(S101)。次に、粉砕、乾燥された試料と融剤を混合し、ペレットを成形した(S102)。ここで、試料に増感剤としてSiCを添加した試料と、添加しない試料と、を作成した。具体的には、S101工程において粉砕、乾燥された試料と、融剤の質量比が1:1となるように混合した上で加圧し、ペレットを2個成形した(以下試料A及びBとする)。同様に、上記試料と、融剤の質量比が1:10となるように混合した上で加圧してペレットを2個成形した(以下試料C及びDとする)。さらに、上記試料と、融剤の質量比が1:10となるように混合し、さらに増感剤として試料の1質量%のSiCを添加した上で加圧してペレットを成形した(以下試料Eとする)。
次に、上記ペレットにレーザー光202を照射した(S104)。具体的には、100Wの出力で炭酸ガスレーザー装置によって発生させたレーザー光202を、試料A及び試料Cに対して照射した。試料は、照射されたレーザー光202を吸収することで加熱される。なお、発生させたレーザーの波長は10.6μmである。ここで、レーザー照射によって、試料Aの温度は、1100乃至1300℃に上昇した。一方、融剤はレーザー光を吸収しないため,希釈率が高い試料Cの温度は、試料Aより低い800〜1000℃に上昇した。
また、75Wの出力で半導体レーザー装置によって発生させたレーザー光202を、試料B、D及びEに対して照射した。試料B及びEは、レーザー照射によって熔融したものの、試料Dは、レーザー光202の照射によって熔融しなかった。なお、発生させたレーザー光202の波長は、0.94μmである。ここで、試料がレーザー光202を吸収しやすいか否かは、レーザー光202の波長に応じて決まる。半導体レーザー装置は、炭酸ガスレーザー装置と比較して、試料が吸収しにくい波長のレーザー光202を発生する。
次に、加熱された試料を冷却し(S105)、蛍光X線分析により試料に含まれる元素の含有量の検証を行った(S106)。具体的には、試料A乃至Eに対して、蛍光X線分析を行った。試料A、B及びCについての蛍光X線測定で得られたX線強度と、標準試料についての蛍光X線測定で得られるNa,Mg,Al,Si,P,K,Ca,Ti,Mn,Feの強度(以下標準値とする)と、の間に相関が得られた。なお、Siに付いては増感剤としてケイ素化合物を添加した場合、添加量に応じて補正を行った。また、試料A、B及びCについてのX線回折パターン(XRDパターン:X‐Ray Diffraction Pattern)には、非晶質の試料を測定した場合におけるX線回折パターンに特徴的なブロードなハローパターンが現れた。X線回折パターンに現れたピークは、分析対象である試料の結晶構造を表すことから、ピークの数の減少やブロード化は、分析対象である試料が非晶質化(ガラス化)したことを表す。従って、試料A及びCは、試料が光吸収しやすい波長10.6μmのレーザー光202が照射されることにより、高温に加熱されガラス化されることが確認された。また、試料Bは、試料A及びCと比較して試料が光吸収しにくい波長0.94μmのレーザー光202が照射されている。しかし、希釈率が低い試料Bは、高温に加熱されガラス化することが確認された。
一方、試料Dについての蛍光X線測定で得られたX線強度と、上記元素の標準値と、の間に相関が得られなかった。試料Dに対しては、試料A及びCよりも試料が光吸収しにくい波長0.94μmのレーザー光202が照射された。また、試料Dは、試料Bと比較して希釈率が高い。さらに、融剤だけでなく堆積岩等に含まれるSiO2も半導体レーザー装置からのレーザー光を吸収しないことから、試料Dは、ガラス化する温度に上昇しなかった。試料DについてのX線回折パターンには、ハローパターンが現れず、試料Dは、ガラス化しないことが確認された。
これに対して、試料A乃至Cと同様に、試料Eについての蛍光X線測定で得られたX線強度と、上記元素の標準値と、の間に相関が得られた。また、試料EについてのX線回折パターンには、ハローパターンが現れた。従って、試料Eは、ガラス化されたことが確認された。試料Dと試料Eは、照射されるレーザー及び希釈率は同じであるが、試料Eは、増感剤としてSiCが添加されている点が試料Dと異なる。従って、増感剤としてSiCは、ガラス化に寄与することが確認された。
以上のように、変形例によれば増感剤を添加することにより、より少量の試料に対して、蛍光X線分析をすることが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る試料の分析方法を表すフローチャートである。まず、試料を粉砕し、乾燥させる(S301)。なお、S301の工程は、第1の実施形態と同様に、試料が粉砕及び乾燥された状態で採取される場合には、省略してもよい。
次に、試料と融剤を混合する(S302)。具体的には、試料と融剤の比率は1:0.01から1:20とする。具合的には、例えば比率1:1の場合には0.6gの試料と、0.6gの融剤が精秤量される。また例えば比率1:10の場合には0.1gの試料と、1.0gの融剤が秤量される。秤量された試料及び融剤は、乳鉢で混ぜ合わされる。また、第1の実施形態と同様に、融剤は、あらかじめ乾燥したものを用いる。
次に、混合された試料と融剤を試料皿に配置する(S303)。具体的には、混合された試料と融剤の全量または一部がアルミナ製の皿に配置される。なお、試料皿の材質は、アルミナに限られず、他のセラミックや金属であってもよく、形状は板やるつぼやボートであってもよい。
次に、融剤と試料とを同時にレーザー光202で加熱し、ガラス化する(S304)。具体的には、皿に配置された融剤と試料に対して、40Wの出力で炭酸ガスレーザー装置によって発生させたレーザー光202が30秒間照射される。融剤と試料は、レーザー光202が照射されることによって加熱され、ガラス化する。なお、第1の実施形態と同様に、照射されるレーザー光を発生させる装置は、炭酸ガスレーザー装置に限られず、半導体レーザー装置またはYAGレーザー装置であってもよい。また、加熱の温度及び時間は、採取された試料の質量及び種類に応じて適宜設定される。さらに、また、試料ステージを操作するなどして、スキャンしながら加熱してもよい。
次に、加熱された試料を冷却する(S305)。具体的には、例えば、加熱された試料を、10分間、常温環境の下で放冷する。冷却の温度及び時間は、採取された試料の質量、種類及び加熱条件に応じて適宜設定される。
次に、加熱によりガラス化された領域にX線を照射し、放出された蛍光X線の強度に基づいて、試料に含まれる元素の含有量を特定する(S306)。具体的には、S106の工程と同様に、標準試料を用いて既知の含有量と、得られた蛍光X線強度と、の関係を検量線として求める。次に、るつぼから取り出した試料と融剤に対して、るつぼの底面に接する面にX線を照射し、放出された蛍光X線の強度を測定する。そして、当該試料における蛍光X線強度から、あらかじめ作成した検量線で表される式にあてはめ、試料に含まれる分析対象である元素の含有量を特定する。
上記のように第2の実施形態によれば、粉末のまま加熱することによって、ペレット200を成形する工程を省略することができるため、加圧成形機が不要となる。
また、第1の実施形態の変形例と同様に、必要に応じてS304において使用するレーザー光202の波長に応じた増感剤を試料に添加してもよい。増感剤は、例えば、カーボン、ケイ素化合物、有機系色素である。発明者らは、第2の実施形態においても、増感剤がガラス化に寄与することを確認した。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係る試料504の分析方法を表すフローチャートである。
まず、試料を粉砕し、乾燥させる(S401)。なお、S401の工程は、第1の実施形態と同様に、試料が粉砕及び乾燥された状態で採取される場合には、省略してもよい。
次に、粉末状の融剤を加圧し、ペレット200に成形する(S402)。具体的には、粉末状の融剤は、内径が13mmのダイスに充填され、加圧成形機によって、700MPaの圧力で3分間加圧されることでペレット200に成形される。なお、第1の実施形態と同様に、融剤は、アルミリング、塩ビリングまたはアルミカップに充填された後、加圧されるようにしてもよい。また、加圧の圧力及び時間は、融剤の種類に応じて適宜設定される。また、第1及び第2の実施形態と同様に、融剤は、あらかじめ乾燥したものを用いる。
なお、S402の工程において、ペレット200は、試料504が配置される領域に凹部502が形成されてもよい。具体的には、図5(a)に示すように、ペレット200は、外径が13mm、厚さ5mmの円柱状の形状であって、中央部に深さ1mm、直径5mmの凹部502が形成されてもよい。
さらに、ペレット200は、凹部502の底面に凸部が形成されてもよい。具体的には、ペレット200は、凹部502の底面に10μmの間隔で10μmの高さの突起が隙間なく形成されてもよい。当該突起によって、後述する加熱工程において、試料504と融剤は、均一に混合した状態でガラス化される。上記のようなペレット200の形状は、加圧成形機の金型の形状によって実現される。
次に、ペレット200上に粉砕された試料504を配置する(S403)。具体的には、例えば図5(b)のように、S401の工程で粉砕され、乾燥された1mgの試料504をペレット200の中央部の直径5mmの領域に配置する。また、試料504は、ペレット200に配置された後、ペレット200と圧着される。なお、ペレット200に凹部502を形成した場合には、図5(c)のように、試料504は凹部502に配置される。なお、第1及び第2の実施形態の変形例と同様に、ペレット200上に配置される試料504に増感剤を添加してもよい。
次に、融剤と試料504とを同時にレーザー光202で加熱し、ガラス化する(S404)。具体的には、試料504が配置された領域に対して、30Wの出力で炭酸ガスレーザー装置によって発生させたレーザー光202が10秒間照射される。ここで、ペレット200に成形された融剤と試料504は、同時にレーザー光202加熱されることで、混合した状態でガラス化される。なお、第1の実施形態と同様に、照射されるレーザー光202を発生させる装置は、炭酸ガスレーザー装置に限られず、半導体レーザー装置またはYAGレーザー装置であってもよい。また、加熱の温度及び時間は、採取された試料504の質量及び種類に応じて適宜設定される。
次に、加熱された試料504を冷却する(S405)。具体的には、例えば、加熱された試料504を、10分間、常温環境の下で放冷する。冷却の温度及び時間は、採取された試料504の質量、種類及び加熱条件に応じて適宜設定される。
次に、加熱によりガラス化された領域にX線を照射し、放出された蛍光X線の強度に基づいて、試料504に含まれる元素の含有量を特定する(S406)。具体的には、S107の工程と同様に、標準試料を用いて既知の含有量と、得られた蛍光X線強度と、の関係を検量線として求める。また、S405の工程で冷却されたペレット200のガラス化された領域に対してX線を照射し、放出された蛍光X線強度を測定する。当該試料504における蛍光X線強度から、あらかじめ作成した検量線で表される式にあてはめ、試料504に含まれる分析対象である元素の含有量を特定する。
上記のように第3の実施形態によれば、予め融剤で成形されるペレット200を準備することにより、試料504を採取した場所でペレット200を成形すること及び加圧成形機が不要となり、土壌汚染調査等の現場でより簡易に分析を行うことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。フローチャートは一例であって、これに限定されるものではない。上記の実施形態で示した工程と実質的に同一の工程、同一の作用効果を奏する工程または同一の目的を達成する工程で置き換えてもよい。
具体的には、例えば、第1及び第3の実施形態における加熱工程において、ペレット200を浮遊炉に設置し、ペレット200を浮遊させた状態でレーザー光202照射を行ってもよい。ペレット200を浮遊させた状態で加熱することにより、ペレット200を設置する容器が不要となり、容器との接触に起因する影響を排除することができる。
200 ペレット、202 レーザー光、502 凹部、504 試料。

Claims (12)

  1. 融剤と試料とを同時にレーザー光で加熱し、ガラス化する工程と、
    前記試料を冷却する工程と、
    前記ガラス化された領域にX線を照射し、放出された蛍光X線の強度に基づいて、前記試料に含まれる元素を特定する工程と、
    を含むことを特徴とする前記試料の分析方法。
  2. さらに、前記試料と融剤を混合する工程と、
    前記混合された試料と融剤を加圧し、ペレットを成形する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  3. さらに、前記試料と融剤を混合し、試料皿に配置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  4. 前記試料皿は、セラミックまたは金属で形成されることを特徴とする請求項3に記載の分析方法。
  5. 前記試料皿は前記セラミックであって、前記セラミックはアルミナであることを特徴とする請求項4に記載の分析方法。
  6. 前記試料と前記融剤を混合する際に、さらに、前記レーザー光の波長に応じた増感剤を添加することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の分析方法。
  7. 前記増感剤は、カーボン、ケイ素化合物または有機系色素であることを特徴とする請求項6に記載の分析方法。
  8. 前記増感剤は、前記ケイ素化合物であって、前記ケイ素化合物は、SiCであることを特徴とする請求項7に記載の分析方法。
  9. さらに、粉末状の融剤を加圧し、ペレットを成形する工程と、
    前記ペレット上に前記試料を配置する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
  10. 前記ペレットは、前記試料が配置される領域に凹部が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の分析方法。
  11. 前記ペレットを浮遊炉に設置し、前記ペレットを浮遊させた状態でレーザー光照射を行うことを特徴とする請求項2、9又は10のいずれかに記載の分析方法。
  12. 前記融剤は、Liと、LiBOの一方または両方が混合されたものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の分析方法。

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