JP6902375B2 - 銅系基材、並びにこれを用いた電極触媒および電解装置 - Google Patents

銅系基材、並びにこれを用いた電極触媒および電解装置 Download PDF

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Description

本発明は、銅系基材、並びにこれを用いた電極触媒および電解装置に関する。
エネルギー資源の乏しい日本では、今後水素を作って様々な燃料に用いようとする計画が為されている。太陽電池や水力、風力による再生可能エネルギーを増大させて、水や水蒸気の電解によって水素を製造し、化石燃料に替えて利用していこうというものである。
また、昨今の地球温暖化による悪影響が様々に地球環境の変化をもたらし、多くの問題現象が認められている。その原因が温暖化ガス、特にその多くを占める二酸化炭素の濃度上昇にあると云われている。二酸化炭素濃度を下げるには、陸上の新たな植林や海洋藻類による光合成量の増加だけでなく、積極的に二酸化炭素を吸収回収して、その炭素を有機化合物の原料炭素源化して、10年以上に亘る有価物への固定を図って行く必要がある。具体的には、二酸化炭素を還元して、一酸化炭素やメタン、メタノール、ギ酸等に変換して、有機物合成の原料に成り得る材料として利用していく必要がある。
近年、上記のような二酸化炭素の還元反応には、光触媒や、電極触媒等の触媒が広く用いられており、より触媒性能に優れた触媒の開発が求められている。
二酸化炭素の還元反応に用いられる触媒には、反応効率だけでなく、特定の反応に対する選択性が求められており、そのような観点からは材料の選択が重要となる(非特許文献1)。例えば、一酸化炭素を効率良く還元生成させ、還元物質中での割合を高める上では金や銀が、メタンやエタン、エチレン等の炭化水素を効率良く還元生成させる上では銅が、それぞれ触媒材料として推奨されている。特に銅は、エチレンなど高次の有機物も生成できることから、二酸化炭素のカソード還元電極触媒として着目されている。
このような銅の還元電極触媒としては、銅板や銅箔の平面タイプほか、メッシュや多孔質形状のものが提案されており(特許文献1および2)、基材上に電着や蒸着により触媒材料を固定形成した銅電極触媒も用いられている。しかし、このような銅電極触媒では、基材上に固定形成した触媒材料が、基材を構成している原子との間で経時的に反応あるいは相互拡散して、基材と一体化あるいは変質し、触媒材料としての所望の触媒性能が発揮されない場合がある。
特開2001−97894号公報 特許第5683883号公報
Y Hori「Electrochemical reduction of CO at a Copper Electrode.」 J. Phys. Chem. B. 101(36). 7075-7081 (1997)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、水の電気分解による水素生成、または二酸化炭素をカソード還元して炭素含有物質に変換するための触媒の基材として好適に用いられ、該触媒の触媒性能を向上し得る銅系基材、並びにこれを用いた電極触媒および電解装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、銅または銅系合金からなる基体と、該基体の表面上に直接または酸化物層を介して形成された、有機系材料からなる拡散防止層とを有する銅系基材を、水の電気分解による水素生成、または二酸化炭素をカソード還元して炭素含有物質に変換するための触媒の基材として用いることにより、基材上に形成された触媒材料の経時変化を抑制または防止でき、優れた触媒性能を発揮しうる触媒が得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 水の電気分解による水素生成、または二酸化炭素をカソード還元して炭素含有物質に変換するための触媒を構成する基材として用いられる銅系基材であって、
銅または銅系合金からなる基体と、該基体の表面上に直接または酸化物層を介して形成された、有機系材料からなる拡散防止層とを有することを特徴とする、銅系基材。
[2] 前記有機系材料が、アゾール類の化合物である、上記[1]に記載の銅系基材。
[3] 電気二重層容量の逆数値が、0.3〜5cm/μFである、上記[1]または[2]に記載の銅系基材。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の銅系基材と、該銅系基材の前記拡散防止層に形成された金属クラスターを含む触媒材料からなる触媒層とを有する、電極触媒。
[5] 前記金属クラスターが、銅または銅系合金の少なくとも一方からなるクラスターである、上記[4]に記載の電極触媒。
[6] 上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の銅系基材、あるいは上記[4]または[5]に記載の電極触媒を用いた、電解装置。
本発明の銅系基材は、水の電気分解による水素生成、または二酸化炭素をカソード還元して炭素含有物質に変換するための触媒の基材として好適に用いることができる。このような銅系基材によれば、水の電気分解や、二酸化炭素のカソード還元に対し良好な触媒性能を発揮し得る触媒が得られる。
図1は、本発明の銅系基材の一例を示す、概略断面図である。 図2は、本発明の銅系基材の別の一例を示す、概略断面図である。 図3は、本発明の銅系基材を用いた触媒の一例を示す、概略断面図である。 図4は、電解装置を概略的に示す構成図である。 図5は、図4に示す電解装置のうち、電解セル(二酸化炭素還元セル、または水分解セル装置)の構成を示す、概略断面図である。
本発明に従う銅系基材、並びにこれを用いた電極触媒および電解装置の実施形態について、以下で詳細に説明する。
本実施形態に係る銅系基材は、銅または銅系合金からなる基体と、該基体の表面上に直接または酸化物層を介して形成された、有機系材料からなる拡散防止層とを有することを特徴とする。このような銅系基材は、水の電気分解による水素生成、または二酸化炭素をカソード還元して炭素含有物質に変換するための触媒を構成する基材として好適に用いられる。
本発明の銅系基材の一例として、図1に、本発明の銅系基材の断面を模式的に示す概略断面図を示す。図1に示されるように、本発明の銅系基材1aは、基体11と、該基体11上に直接形成された拡散防止層13とを有する。また、図2は、本発明の銅系基材の別の一例であり、図2に示される銅系基材1bは、基体11と、拡散防止層13の間に、酸化物層12を有する。なお、以下において特に区別する必要が無い限り、図1に示される銅系基材1aおよび図2に示される銅系基材1bは、単に「銅系基材1」と表す。
また、本発明の銅系基材を、触媒を構成する基材として用いる場合には、例えば図3に示すような使用態様が挙げられる。図3は、本発明の銅系基材を触媒の基材として用いる場合の一例であり、図1に示される銅系基材1aを用いた触媒3の断面を模式的に示す概略断面図である。図3の触媒3では、触媒層31が銅系基材1aの拡散防止層13上に形成されている。なお、特に図示はしないが、図2に示される銅系基材1bを基材として用いる場合も、図3に示される触媒3と同様で、触媒層31は、銅系基材1bの拡散防止層13上に形成される。
このように使用される本発明の銅系基材1は、基体11上に直接または酸化物層12を介して形成された拡散防止層13を有することにより、触媒3の基材として用いた場合に、触媒層31の触媒性能を劣化させることがない。すなわち、銅系基材1によれば、触媒層31は拡散防止層13上に形成されるため、触媒層31を構成する触媒材料と、基体11や酸化物層12の構成成分とが直接接することはない。そのため、基体11や酸化物層12を構成している原子との間で、経時的に反応あるいは相互拡散することを有効に防止できる。その結果、本発明の銅系基材1を用いれば、従来の基材で問題となっていた、触媒材料と基材と一体化や変質による経時的な劣化を効果的に抑制できるため、触媒材料特有の触媒性能を十分に、かつ継続的に発揮させることができる。
拡散防止層13は、有機系材料からなる。ここで、有機系材料としては、銅系基材1を触媒3の基材として用いた場合に、触媒層31を構成する触媒材料が、基体11や酸化物層12の構成成分との間で、経時的に反応あるいは相互拡散することを有効に防止できる有機系材料であればよく、特に基体11や酸化物層12と触媒層31との間での成分の移動を阻害する材料であることが好ましい。このような材料としては、例えば、トリアゾール類、チアゾール類およびイミダゾール類等のアゾール類、メルカプタン類、トリエタノールアミン類等の化合物が挙げられる。中でも、銅との親和性が良い(例えば、銅に配位結合する)ことから、アゾール類が好ましく、より好ましくはトリアゾール類、さらに好ましくはベンゾトリアゾール類である。なお、ベンゾトリアゾール類の化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾールが好ましい。
拡散防止層13の形成状態は特に限定されず、基体11の形状や、使用形態に応じて適宜選択することができ、少なくとも基材11の一表面に形成されていればよく、基材11表面の全面を覆うように形成されていてもよい。
また、拡散防止層13の厚みは、電気二重層容量の逆数値にて定量的に表現する。
具体的には、拡散防止層13の厚みを表現する電気二重層容量の逆数値は、市販の直読式電気二重層容量測定器(例えば、インピーダンスアナライザ Cメータ、日置電機株式会社製)を用いて、基体表面の電気二重層容量(C:μF)を測定し、下記式(1)で示すように、その逆数値(1/C)として算出する。
1/C=A・d+B ……(1)
(dは、基体上に形成されている電気二重層の厚み、A,Bは定数)
上記式(1)で求められる電気二重層容量の逆数値は、基体上に形成された電気二重層の厚みd、すなわち拡散防止層13の厚みに比例して誘起される。したがって、このような電気二重層容量の逆数値は、0.3〜5cm/μFであることが好ましく、0.5〜1.5cm/μFであることがより好ましい。上記範囲とすることにより、触媒の基体として用いた場合に、優れた触媒性能を発揮しうる触媒が得られる。なお、電気二重層容量の逆数値が0.3〜5cm/μFであるとき、拡散防止層13の厚みを電子顕微鏡で測定すると、平均4〜75nm程度である。
基体11は、銅または銅系合金からなる。基体11が銅(純銅)からなる場合には、例えば、タフピッチ銅TPC、リン脱酸銅PDC、無酸素銅OFCを様々に形状加工したものや、電解銅箔を用いることができる。また、基体11が銅系合金からなる場合には、銅−スズ系合金、銅−鉄系合金、銅−ジルコニウム系合金、銅−クロム系合金等の銅基希薄合金を用いることができる他、コルソン合金系等などの第二成分以降の成分が0.01質量%〜5質量%程度の、固溶または析出強化された銅基希薄合金を用いることもできる。なお、合金系の電極の場合、銀以外の成分の添加量が増すほど、導電率が低くなり、基材電極としての基本特性を低下させる傾向にあるため、銀以外の成分の添加量は少ないほど好ましい。また、基体11の形状は、特に限定されず、平板状のほか、メッシュや多孔質形状のものも用いることができ、中でも平板状のものが好ましい。
酸化物層12は、任意の層で、基体11と拡散防止層12との間に形成される。このような酸化物層12は、例えば、金属酸化物層により構成されていることが好ましく、中でも、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む酸化物であることが好ましく、特に銅を含む酸化物が好ましい。銅酸化物としては、例えば酸化第一銅(CuO)や、酸化第二銅(CuO)の他、不定比酸化銅などが挙げられる。特に、酸化物層12は、酸化第一銅および酸化第二銅の少なくとも一方を含むことが好ましい。
また、酸化物層12は、1層の酸化物層からなる単層であってもよいし、2層以上の酸化物層からなる複層であってもよい。また、酸化物層12が1層の酸化物層からなる単層である場合、1種の酸化物からなる層であってもよいし、2種以上の酸化物が混在した層であってもよい。また、酸化物層12が2層以上の酸化物層からなる複層である場合、各層は、必ずしも明確に個別の層となっている必要はなく、2つの層の境界部分においては各層を構成する各酸化物が混在していてもよい。また、酸化物層12には、各種酸化物の他にも、上述の有機系材料や、基体を構成する金属や合金が500〜1000ppm程度含まれていてもよい。
また、酸化物層12は、少なくとも酸化第一銅または酸化第二銅を含んでいることが好ましい。このような酸化物層12としては、酸化第一銅および酸化第二銅の少なくとも一方を含む単層、または、酸化第一銅からなる層(以下、「酸化第一銅層」という。)および酸化第二銅からなる層(以下、「酸化第二銅層」という。)の少なくとも一方を含む複層が挙げられる。
また、酸化物層12は、互いに異なる銅の酸化数を有する2層以上の銅酸化物層からなることが好ましく、酸化第一銅層および酸化第二銅層とで構成されることがより好ましい。また、そのような2層以上の銅酸化物層は、表面側に位置する層ほど銅の酸化数が大きいことがより好ましい。
酸化物層12が複層である場合の一例として、図2に、本発明の銅系基材1bの断面を模式的に示す概略断面図を示す。図2に示される銅系基材1bでは、酸化物層12が、互いに異なる銅の酸化数を有する、第1の銅酸化物層121と、第2の銅酸化物層122とで構成されている。ここで、第1の銅酸化物層121よりも表面側に位置する第2の銅酸化物層122は、第1の銅酸化物層121に比べて銅の酸化数が大きいことが好ましい。
例えば、図2において、第1の銅酸化物層121が酸化第一銅層、第2の銅酸化物層122が酸化第二銅層である場合のように、酸化第二銅層は、酸化第一銅層よりも外層であることが好ましい。また、酸化第二銅層に対する酸化第一銅層の厚さの比率は、0.0001〜10000であることが好ましく、1〜10000であることがより好ましい。
次に、本発明の銅系基材の好ましい製造方法について説明する。
本実施形態に係る銅系基材の製造方法は、基体の表面に、拡散防止層を形成する工程を有する。また、必要に応じて、前処理工程や、酸化物層を形成する工程をさらに有していてもよい。以下、具体的に説明する。
(前処理工程)
まず、銅または銅系合金からなる基体を準備し、該基体の表面洗浄を行う。基体の表面を清浄化することにより、後工程において、基体表面に拡散防止層を均質に形成でき、基体と拡散防止層との密着性を向上できる。表面洗浄は、公知の方法で行うことができるが、浸漬脱脂またはカソード電解脱脂を行った後に酸洗浄(中和)することが望ましい。
(拡散防止層を形成する工程)
前処理を終えた基体表面に、拡散防止層を形成する。具体的には、拡散防止層として形成させたい有機系材料を含む溶液に、基体を浸漬させ、それを乾燥させることで、基体上に拡散防止層を形成する。
有機系材料としては、上述の有機系材料を用いることができる。また、有機系材料を含む溶液の溶媒としては、例えば水やアルコール等の公知の溶媒を用いることができる。また、基体を浸漬させる際の、上記有機系材料を含む溶液の温度は60〜100℃、浸漬時間は1.5〜4分程度とすればよく、乾燥温度は60〜90℃とすればよい。なお、拡散防止層の厚さは、有機系材料の種類や溶液の濃度、浸漬と乾燥の工程を繰り返し回数により調節することができる。
また、基体と拡散防止層との間に、酸化物層を形成する場合には、拡散防止層を形成する工程に先立って、酸化物層を形成する工程を行う。酸化物層を形成する工程は、拡散防止層を形成する前の基体に対して、浸漬処理、アノード酸化処理および加熱酸化処理のいずれかの処理を施す工程であることが好ましい。
次に、本発明の銅系基材を用いた触媒について説明する。
本発明の触媒は、上述した本発明の銅系基材と、該銅系基材の拡散防止層上に形成された、触媒材料を含む触媒層とを有することが好ましい。図3には、本発明の触媒の一例として、図1に示される銅系基材1aを用いた触媒3を示す。
図3に示されるように、本発明の触媒3は、銅系基材1の拡散防止層13上に、触媒材料を含む触媒層31を有する。触媒3において、触媒反応は主に触媒層31の表面や、その表面付近で起こる。このような触媒3によれば、触媒層31の構成成分が、銅系基材1を構成する基体11や、任意に形成される酸化物層12の構成成分と、反応したり、拡散したりすることを有効に防止できるため、触媒層31による触媒反応の反応効率が経時的に低下しない。
触媒層31を構成する触媒材料は、例えば、金属クラスターを含むクラスター触媒やナノ粒子が挙げられる。中でも、触媒性能の高さから、特に、金属クラスターを含む触媒材料が好ましい。
しかし、触媒材料が金属クラスターを含む場合、本発明の拡散防止層13を有さない従来の基材を用いると、触媒層31に含まれる金属クラスターと、基材を構成する銅成分とが相互拡散し、融合し、クラスター触媒特有の性能が十分に発揮されない問題がある。
これに対し、本発明の拡散防止層13を有する銅系基材1によれば、触媒材料が金属クラスターを含む場合であっても、原子の拡散を有効に防止できるため、クラスター触媒としての性能を劣化させない。すなわち、本発明の銅系基材1は、金属クラスターを含む触媒材料からなる触媒層を形成するための基材として、特に好適に用いることができる。
なお、本発明でいうクラスターとは、金属原子が2〜100個程度集合したものを意味する。中でも、金属原子が10〜40個集合したものが好ましい。また、金属クラスターは、金属として白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)および鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の金属を含むものが挙げられ、中でも、銅を含むものが好ましく、銅または銅系合金からなるものがより好ましい。金属クラスターを含む触媒材料は、クラスター以外の金属粒子を触媒材料中に30質量%程度含んでいてもよい。
次に、本発明の銅系基材を用いた触媒の製造方法について説明する。以下では、金属クラスターを含む触媒材料からなる触媒層を形成する場合を例に、触媒の製造方法の一例を説明する。
本実施形態に係る触媒の製造方法は、本発明の銅系基材の拡散防止層の表面に、触媒層を形成する工程を有する。また、必要に応じて、触媒層の表面に、表面保護層を形成する工程をさらに有していてもよい。以下、具体的に説明する。
まず、上記本発明の銅系基材を準備する。次に、銅系基材の拡散防止層上に、金属クラスターを含む触媒材料からなる触媒層を形成する。このような触媒層は、クラスター触媒を銅系基材の拡散防止層上に蒸着させることにより形成できる。クラスター触媒の形成方法は、特に限定されないが、例えば国際公開第2014/192703号の明細書に記載の方法等が挙げられる。
具体的には、直流電源を利用したマグネトロンスパッタリング法などにより形成できる。このような方法では、真空引きしたチャンバと、該チャンバ内に設置されるクラスター成長セルと、該クラスター成長セル内に設置されるスパッタ源(マグネトロンスパッタ源)を備えた装置を用い、クラスター触媒を作成する。該クラスター成長セルは、その周囲を液体窒素ジャケットで囲まれており、該液体窒素ジャケット内を液体窒素(N)が流通するように構成されている。プラズマを発生させるためアルゴンガス(Ar)をスパッタ源に対して供給し、ヘリウムガス(He)をクラスター成長セル内へ供給する。スパッタ源用パルス電源からパルス電力が供給し、ターゲットからヘリウムガス中に、ターゲット由来の中性原子及びイオン等のスパッタ粒子を放出させる。これらのスパッタ源から発生した金属原子や金属イオンを冷却し前述のヘリウムガスで凝集させ、クラスター触媒を生成する。
このような本発明に係る触媒は、特に電極触媒として好適である。すなわち、本発明の電極触媒は、本発明の銅系基材と、該銅系基材の前記拡散防止層上に形成された、金属クラスターを含む触媒材料からなる触媒層とを有することが好ましい。このような電極触媒は、後述する二酸化炭素還元装置のカソード電極として好適に用いることができる。特に、カソード電極として用いた場合に、カソード還元における反応の過電圧を小さくできるので、必要とする外部バイアス電圧(外部電力)が小さくなる。即ち、カソード還元において、反応の電流効率が高くなり、収率および生産性が向上する。
本実施形態に係る電解装置は、本発明の銅系基材または本発明の電極触媒を用いることが好ましい。装置の形成方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。電解装置としては、例えば二酸化炭素の還元装置や、水の電気分解装置などが挙げられる。
以下に、本発明の銅系基材を用いた電極触媒が、二酸化炭素の電気化学的還元(電解還元、カソード還元)のカソード電極として用いられる場合の一例について説明する。
図4は、二酸化炭素の電気化学的還元を行う電解装置3の構成を示すブロック図である。電解装置3は、主に、電源31、電解セル33、ガス回収装置35、電解液循環装置37、二酸化炭素供給部39等で構成される。
電解セル33は、対象物質を還元する部位であり、本発明のカソード電極が含まれる部位でもあり、二酸化炭素(溶液において、溶存二酸化炭素のほか、炭酸水素イオンである場合も含む。以下、単に二酸化炭素等とする。)を還元する部位である。電解セル33には、電源31から電力が供給される。
電解液循環装置37は、電解セル33のカソード電極に対して、カソード側電解液を循環させる部位である。電解液循環装置37は、例えば槽およびポンプであり、二酸化炭素供給部39から所定の二酸化炭素濃度となるように、二酸化炭素等が供給されて電解液中に溶解され、電解セル33との間で電解液を循環可能である。
ガス回収装置35は、電解セル33によって還元されて発生したガスを回収する部位である。ガス回収装置35では、電解セル33のカソード電極で発生する炭化水素等のガスを捕集することが可能である。なお、ガス回収装置35において、ガス種類毎にガスを分離可能としてもよい。
電解装置3は、以下のように機能する。前述の通り、電解セル33には電源31からの電解電位が付与される。電解セル33のカソード電極には、電解液循環装置37によって電解液が供給される(図中矢印A)。電解セル33のカソード電極においては、供給される電解液中の二酸化炭素等が還元される。二酸化炭素等が還元されると、主にエタンやエチレン等の炭化水素が生成される。
カソード電極で生成された炭化水素ガスは、ガス回収装置35により回収される(図中矢印B)。ガス回収装置35では、必要に応じてガスを分離し貯留することが可能である。
カソード電極で二酸化炭素等が還元されて消費されることで、電解液中の二酸化炭素等の濃度が減少する。還元反応によって減少した二酸化炭素等は常に補充され、その濃度は常に所定範囲内に保たれる。具体的は、電解液の一部が電解液循環装置37により回収されて(図中矢印C)、所定濃度の電解液が常に供給される(図中矢印A)。以上により、電解セル33において、常に一定の条件で炭化水素を生成することができる。
次に、電解セル33について説明する。図5は、電解セル33の構成を示す図である。電解セル33は、主に、カソード槽である槽316a、金属メッシュ317、カソード電極319、陽イオン交換膜321、アノード電極320、アノード槽である槽316b等から構成される。
槽316a、316bには、それぞれ電解液315a、315bが保持される。カソード電極側の槽316aの上部には、生成ガスを回収するための孔が形成され、図示を省略したガス回収装置に接続される。すなわち、カソード電極で生成されるガスは、当該孔から回収される。また、槽316aには、配管等が接続され、図示を省略した電解液循環装置37と接続される。すなわち、槽316a内の電解液315aは常に電解液循環装置37によって循環可能である。なお、必要に応じて、槽315b側の電解液も同様に循環可能としてもよい。
カソード電解液である電解液315aとしては、二酸化炭素等を多量に溶解できる電解液であることが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等のアルカリ性溶液、モノメタノールアミン、メチルアミン、その他液状のアミン、またはそれら液状のアミンと電解質水溶液の混合液などが用いられる。また、アセトニトリル、ベンゾニトリル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール等を用いることができる。また、水素生成を目的とする水電解の場合には、適当な水溶液か純水を用いて構わない。
また、アノード電解液である電解液315bとしては、前記のカソード電解液を用いるか、または適当な純水や水溶液を用いることができる。
金属メッシュ317は、参照電極318と共に電源31の負極側に接続され、カソード電極319に対して通電するための部材である。金属メッシュ317としては、例えば銅製のメッシュやステンレス製のメッシュであり、参照電極318には銀/塩化銀電極などが使用できる。
陽イオン交換膜321としては、例えば、公知のナフィオン系などを用いることができる。アノード反応で酸素と共に発生する水素イオンをカソード側へ移動させ得る。
アノード電極320は電源31の正極に接続される。アノード電極320としては酸素発生過電圧の小さい電極、例えば、チタンやステンレス鋼などの基材上に酸化イリジウムや白金、ロジウム等を被覆した電極、或いは酸化物電極や、ステンレス電極、鉛電極などを用いることができる。
なお、アノード電極320は、光触媒や半導体電極触媒によって構成することもできる。すなわち、光を照射することで起電力を生じるようにすることができる。このようにすることで、アノード電極に太陽光などの光を照射して起電力を生じさせ、この起電力を電解セル33における電解電位として利用することができる。
カソード電極319では、電解液中の二酸化炭素等が還元される。二酸化炭素は、水に溶解し、溶存二酸化炭素や炭酸水素イオンの状態で電解液中に存在し、カソード電極に供給される。通常、銅系以外の材料からなるカソード電極の場合、水素や一酸化炭素が多く発生する傾向にあり、炭化水素は殆ど生成されない。これに対し、銅系の材料からなるカソード電極の場合、比較的効率良く炭化水素を生成することができる。
本実施形態に係るカソード電極319は、本発明の電極触媒で構成されている。すなわち、カソード電極319は、本発明の銅系基材上に、触媒層が形成されてなる。このようなカソード電極を用いることで、二酸化炭素を効率良く分解還元でき、エネルギーとして有用な炭化水素を高いエネルギー効率で生成できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、基体としてTPC銅板(古河電気工業株式会社製、10mm×10mm×0.1mm)を準備した。次に、準備した基体に対し、前処理として、クリーナー160(メルテックス株式会社製)水溶液を用いてカソード脱脂し、これを水洗した後、希硫酸水溶液(硫酸濃度10質量%)を用いて酸洗中和し、さらに水洗した。
次いで、ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製)の2質量%水溶液(以下、単に「2質量%BTA溶液」という。)を準備し、2質量%BTA溶液に、上記前処理後の基体を、80℃、2分間の条件で浸漬処理し、その後80℃で乾燥させて、基体の表面に拡散防止層を有する銅系基材を作製した。
その後、得られた銅系基材の拡散防止層上に、国際公開第2014/192703号の明細書に記載の方法に従い、Cuペレットを原料としてマグネトロンスパッタリングにより銅ナノクラスターイオンを生成させ、銅クラスター電極触媒を得た。
(実施例2)
実施例2では、2質量%BTA溶液に替えて、ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製)の0.5質量%水溶液(以下、単に「0.5質量%BTA溶液」という。)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒を作製した。
(実施例3)
実施例3では、0.5質量%BTA溶液を用いた浸漬処理を、間に80℃の乾燥を挟んで、表1に示す電気二重層容量の逆数が得られるまで複数回繰り返した以外は、実施例2と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒を作製した。
(実施例4〜6)
実施例4〜6では、2質量%BTA溶液を用いた浸漬処理を、間に80℃の乾燥を挟んで、表1に示す各電気二重層容量の逆数が得られるまで複数回繰り返した以外は、実施例1と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒をそれぞれ作製した。
(実施例7)
実施例7では、2質量%BTA溶液に替えて、トリルトリアゾール(城北化学工業株式会社製)の2.5質量%水溶液(以下、単に「2.5質量%TTA溶液」という。)を用い、2.5質量%TTA溶液を用いた浸漬処理の条件を60℃、2分間とし、その後の乾燥条件を60℃とした以外は、実施例1と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒を作製した。
(実施例8)
実施例8では、2.5質量%TTA溶液に替えて、イミダゾール(城北化学工業株式会社製)の2.5質量%水溶液を用いた以外は、実施例7と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒を作製した。
(実施例9)
実施例9では、2.5質量%TTA溶液に替えて、ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製)1質量%およびトリアゾール(城北化学工業株式会社製)1.5質量%を含む水溶液を用いた以外は、実施例7と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒を作製した。
(比較例1)
比較例1では、拡散防止層を形成せず、前処理後の基体の表面に直接、銅クラスターを蒸着させた以外は、実施例1と同様の方法で、電極触媒を得た。
(比較例2)
比較例2では、2質量%BTA溶液に替えて、無機材料であるシリカ微粉末の5質量%水溶液を準備し、このシリカ溶液に、上記前処理後の基体を、30℃、1分間の条件で浸漬処理し、その後80℃で乾燥させて、基体の表面に拡散防止層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で銅系基材およびこれを用いた電極触媒を作製した。
(実施例10)
実施例10では、実施例1と同様の方法で銅系基材を作製し、得られた銅系基材の拡散防止層上に、国際公開第2014/192703号の明細書に記載の方法に従い、パラジウム(Pd)ペレットを原料としてマグネトロンスパッタリングによりPdナノクラスターイオンを生成させ、Pdクラスター電極触媒を得た。
[評価]
上記実施例および比較例に係る銅系基材および電極触媒を用いて、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りである。結果を表1および2に示す。
[1]電気二重層容量の逆数値
実施例1〜10および比較例2の銅系基材について、拡散防止層を形成する前後の表面(拡散防止層形成前:前処理後の基体の表面、拡散防止層形成後:作製した銅系基材の表面)の電気二重層容量を測定し、その逆数(1/C)を算出した。測定装置としては、直読式電気二重層容量測定器(インピーダンスアナライザ Cメータ、日置電機株式会社製)を用い、電解液は、0.1Nの硝酸カリウム水溶液を用い、ステップ電流50μA/cmの条件にて、各試料2点ずつ測定し(N=2)、平均値を求めた。なお、比較例2については、測定限界により、電気二重層容量が検出できなかった。
[2]二酸化炭素の還元試験
実施例1〜10および比較例1および2の電極触媒を、二酸化炭素のカソード還元装置のカソード電極として用い、二酸化炭素の還元試験を行った。二酸化炭素のカソード還元装置の概略は、上述のとおりである(図5)。なお、電解液は、50mMの炭酸水素カリウム水溶液を用い、各槽316a、316bに30mLずつ用いた。アノード電極320には、チタン基材に白金を被覆した白金電極(田中貴金属工業株式会社製)を用いた。電気分解は、電流2mA、電圧2.8Vの条件で60分間行った。また、電気分解中は、供給管より、二酸化炭素ガスを10mL/分でバブリングした(図中矢印A方向)。また、カソードより発生したガスは、分析管323により収集し(図中矢印B方向)、ガスクロマトグラフィーで分析を行った。カラムは、SUPELCO CARBOXEN 1010PLOT 30m×032mmlDを用い、検出機はFID(Sigma−Aldrich社製)を用いた。
なお、カソードにおける反応としては、以下に示したメタン、エチレン、エタンの生成について注目した。
CO+8H+8e → CH+2H
CO+12H+12e → C+4H
CO+14H+14e → C+4H
結果を表3に示す。なお、本実施例では、メタンガス濃度が40ppm以上、エチレンガス濃度が30ppm以上、エタンガス濃度が10ppm以上のものを合格レベルと評価した。
Figure 0006902375
[3]水の電気分解試験
上記二酸化炭素の還元試験で用いた装置により、電解液をイオン交換水に替えて、水の電気分解試験を行った。なお、本試験は、実施例1、2および6を、それぞれカソード電極として用いる場合について行った。また、電気分解の条件は、電流2mA、電圧2.8V、60分とした。結果を表2に示す。
Figure 0006902375
表1に示されるように、本発明の実施例1〜10に係る銅系基材は、銅からなる基体上に、直接形成された有機系材料からなる拡散防止層を有するため、これを触媒電極の基材として用いたとき、二酸化炭素のカソード還元に対し、良好な触媒性能を発現する電極触媒が得られることが確認された。さらに、表2に示されるように、本発明の銅系基材(実施例1、2および6)を用いた触媒電極は、水の電気分解においても、水素ガス濃度が600ppm以上の良好な触媒特性を発現することが確認された。
これに対し、比較例1〜2に係る銅系基材は、銅からなる基体上に有機系材料からなる拡散防止層を有していないため、これを用いた電極触媒は、本発明の実施例1〜10に係る電極触媒に比べて、二酸化炭素のカソード還元において触媒活性が劣っていることが確認された。これは、比較例1〜2に係る銅系基材では有機系材料の拡散防止層が形成されていないため、基体を構成する銅と、Cuクラスターとが融合し、クラスター触媒としての活性が低下したためと推察される。
1……………銅系基材
11…………基体
12…………酸化物層
121………酸化第一銅層
122………酸化第二銅層
13…………拡散保護層
3……………電解装置
31…………電源
33…………電解セル(COカソード還元試験装置)
35…………ガス回収装置
37…………電解液循環装置
39…………二酸化炭素供給部
315a、315b………電解液
316a、316b………槽
317………金属メッシュ
318………参照電極(銀/塩化銀)
319………カソード電極
320………アノード電極
321………陽イオン交換膜
323………分析管
325………供給管
327………シール部材

Claims (4)

  1. 水の電気分解による水素生成、または二酸化炭素をカソード還元して炭素含有物質に変換するための触媒を構成する基材として用いられる銅系基材であって、
    銅または銅系合金からなる基体と、該基体の表面上に直接または酸化物層を介して形成された、有機系材料からなる拡散防止層とを有し、
    前記有機系材料が、アゾール類の化合物であることを特徴とする、銅系基材。
  2. 請求項に記載の銅系基材と、該銅系基材の前記拡散防止層に形成された金属クラスターを含む触媒材料からなる触媒層とを有する、電極触媒。
  3. 前記金属クラスターが、銅または銅系合金からなるクラスターである、請求項に記載の電極触媒。
  4. 請求項に記載の銅系基材、あるいは請求項またはに記載の電極触媒を用いた、電解装置。
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