JP6901092B2 - 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 - Google Patents
多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6901092B2 JP6901092B2 JP2019191700A JP2019191700A JP6901092B2 JP 6901092 B2 JP6901092 B2 JP 6901092B2 JP 2019191700 A JP2019191700 A JP 2019191700A JP 2019191700 A JP2019191700 A JP 2019191700A JP 6901092 B2 JP6901092 B2 JP 6901092B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lactic acid
- lactobacillus
- bifidobacterium longum
- acid bacteria
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
ヒトの消化管には多くの細菌が生息している。ヒトの体には、正常細胞が約10兆個あるのに対し、細菌の数は正常細胞より10倍ほど多い100兆個程度である。また、これらの細菌は、ヒトの腸の健康に役立つ有益菌と健康に有害な有害菌とに分けられる。ヒトの体は、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、リューコノストック(Leuconostoc)、ペディオコッカス(Pediococcus)、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)などの有益菌が有害菌よりも消化管で優勢であるときに健康を維持することができる。さもなければ、肥満、腸漏れ症候群、肝疾患、老化の促進、腸炎などの疾患が発生する可能性がある。
ヒトの体の消化管は、粘液質と絨毛で構成されていて、栄養成分を効率的に吸収しながらも、分子量の大きい病原微生物やこれらが産生する毒素の吸収を防止する。また、ヒトの体は、分子量の大きい外部抗原の侵入から身体を保護することができる免疫システムを備えている。しかし、多くの病原微生物の感染、毒素、過度のストレス、消化管内に生息する有害菌を増殖させる高脂肪食のような食品の摂取、過度のアルコール摂取、薬剤(例えば、抗生物質)の乱用などにより腸内細菌叢が撹乱され、消化管の免疫システムに異常が発生し、密着結合タンパク質(tight junction proteins)の発現が阻害される。密着結合タンパク質(tight junction proteins)の発現が阻害されると腸粘膜の密着結合が緩み、この緩んだ隙間や免疫システムの異常に起因して、病原微生物などの巨大分子の体内への侵入が容易になる。腸漏れ症候群(Intestinal Permeability Syndrome)はリーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)とも呼ばれており、消化管を構成する上皮細胞の密着結合防御システムが円滑に機能していないため、未消化の食べ物、病原微生物、毒素などの外部の物質が血液にどんどん取り込まれていく状態となる。腸漏れ症候群になってしまうと、通常体内に吸収されない外部の抗原が体内に取り込まれるため、潰瘍性大腸炎、クローン病、肝損傷、肝機能障害、アレルギー疾患(喘息を含む)、アトピー、自己免疫疾患、脂肪便症、消化吸収障害、にきび、老化の促進、内毒素血症、腸管感染症、湿疹、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、乾癬、関節リウマチ、膵臓機能不全、炎症性関節疾患などが発生する。
潰瘍性大腸炎およびクローン病の発生率は、ヨーロッパ人に高いことは以前から知られていたが、食習慣などの生活習慣の変化により、韓国を含む東洋諸国でも潰瘍性大腸炎およびクローン病の患者数が近年急速に増加している。しかし、原因が不明な理由もあって、これらの疾患に対する根本的な治療法はまだ確立されていない。このため、完全な治療を目標とするのではなく、症状を緩和させ、このような状態を可能な限り長期間維持する薬剤が使用されているのが現状である。この対症療法のための薬剤として、アミノサリチル酸製剤、副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制剤などが主に使用されるが、多様な副作用が報告されている。例えば、アミノサリチル酸製剤としてよく使用されるサラゾスルファピリジンは、吐き気、嘔吐、食欲不振、発疹、頭痛、肝損傷、白血球の減少、異常赤血球、蛋白尿症、下痢などの副作用が報告されている。また、副腎皮質ステロイド剤は、プレドニゾロンの経口投与、点滴、座薬、静脈注射などで一般に使用されるが、長期間使用すると胃潰瘍や大腿骨頭壊死などの強い副作用を引き起こす。しかし、投薬の中断は症状を再発させる可能性があるため、これらの薬剤を継続的に使用せざるを得ない。従って、効果に優れつつも、安全で副作用を起こさない潰瘍性大腸炎、クローン病などの腸疾患治療剤の開発が要求されている。過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome、IBS)も同様に、その原因が不明な慢性腹部疾患である。現在、IBSの根本的な治療剤は存在せず、IBSの各タイプの症状軽減を目的とした対症療法が行われている。例えば、下痢型IBSに対しては、平滑筋の収縮を抑制する鎭痙作用を有する抗コリン剤が使用され、便秘型IBSに対しては、塩類の緩下剤が使用されている。薬剤による制御が困難な混合型IBSに対しては、消化管運動機能改善剤が基本的に使用されている。
肝臓は、ヒトの体においてエネルギー代謝(栄養素の処置、保存および老廃物の排泄)、毒素の解毒、血清タンパク質の合成、胆汁分泌による腸における脂肪の円滑な吸収などの役割を果たしており、免疫の維持(身体の防御)およびビタミンの代謝にも重要である。しかし、肝炎ウイルスの感染、アルコールや高脂質食の過剰摂取により肝炎、脂肪肝、肝硬変などの肝疾患が発生する。また、肝硬変は、薬剤(結核治療薬、アスピリン、抗生物質、麻酔剤、高血圧治療剤、経口避妊剤など)、先天性代謝異常、心不全、ショックなどによっても引き起こされる可能性がある。肝疾患が発生した場合、疲労感、嘔吐、下痢、食欲不振、黄疸、右上腹部の痛み、発熱や筋肉痛を伴う急性肝炎が起こり、慢性肝炎に発展する可能性がある。
社会がより複雑になり、産業と文明が発展し、環境汚染とストレスが増し、そして、食生活が変化したため、アレルギー疾患の患者が毎年増加している。アトピー、アナフィラキシー、喘息などのアレルギー疾患の患者は、1980年に1%未満であったが、2000年代には5%以上に急増しており、潜在的な患者まで含めると10%を超えると推定されている。アレルギー疾患は、抗原抗体反応の結果としてあらわれる生体の過剰な免疫反応によって引き起こされ、アレルギー疾患は、反応時間および補体関与の有無によって1〜4型過敏反応に分類される。1型過敏反応にはアトピー、アナフィラキシーショック、気管支喘息、じんましん、花粉症などがあり、2型過敏反応には不適合輸血、自己免疫溶血性貧血、薬剤による溶血性貧血、顆粒球減少症、血小板減少性紫斑病などがあり、3型過敏反応には紅斑、リンパ節腫脹、関節痛、関節炎、腎炎、連鎖球菌感染症後の急性糸球体腎炎などがあり、そして、4型過敏反応には慢性炎症などがある。アレルギー疾患を改善するために、まずはシャワーや入浴などをして皮膚についているアレルゲン(ハウスダスト、ダニなど)を除去し、アレルゲンの摂取を避けることが好ましい。しかし、アレルギー疾患が改善されない場合、ステロイド、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤などの薬剤を使用するようになるが、これらの薬剤は、皮膚萎縮、血管拡張、変色、紫斑(ステロイド製剤)、眠気(抗ヒスタミン剤)、腎不全(免疫抑制剤)などの副作用を引き起こしやすい。今までに開発された薬剤の中にはアレルギーを完治する薬剤はない。これらの薬剤については症状の改善は期待されるものの、重大な副作用を引き起こすという問題がある。
肥満はカロリーの摂取と消費のバランスが崩れて発生する代謝性疾患であり、形態学的にみると生体内の脂肪細胞の肥大化(hypertrophy)や脂肪細胞数の増加(hyperplasia)に起因する。肥満は、西洋社会で最も一般的な栄養障害であるだけでなく、食生活の改善やライフスタイルの西洋化により韓国でも肥満の流行が急速に拡大している。従って、肥満の治療および予防の重要性が非常に強調されている。肥満は個人に心理的萎縮をもたらし、しかも社会的にもいろいろ成人病の発症リスクを増加させる重要な要因である。肥満は、2型糖尿病、高血圧、高脂血症、心疾患などの様々な成人病の有病率の増加と直接的な関連があるといわれており(Cell 87:377,1999)、肥満に関連する疾患をまとめて代謝性症候群(metabolic syndrome)やインスリン抵抗性症候群(insulin resistance syndrome)と呼び、これらの疾患は動脈硬化症および心血管疾患を引き起こすことが報告されている。現在までに知られている肥満治療剤としては、ゼニカル(Xenical、ロシュ製薬会社、スイス)、リダクティル(Reductil、アボット社、アメリカ)、エキソリーゼ(Exolise、アルコファーマ社、フランス)などがあり、食欲抑制剤、エネルギー消費促進剤、脂肪吸収抑制剤に大別される。ほとんどの肥満治療剤は、視床下部に関連する神経伝達物質を調節することによって食欲を抑制する食欲抑制剤である。しかし、従来の治療剤は、心臓疾患、呼吸器疾患、神経系疾患などの副作用を引起し、その効能の持続性も低い。従って、改善された肥満治療剤の開発が求められている。さらに、現在開発されている製品の中には副作用なく満足する治療効果を得られる治療剤はほとんどないかあるいは全くないため、新しい肥満治療剤の開発が望まれている。
また、本発明は、様々な生理活性または機能性を最大化することができる新規乳酸菌の混合物、並びにその食品および医薬用途を提供することを他の目的とする。
本発明の一側面は、様々な生理活性を有する新規乳酸菌または生理活性を上昇させることができる新規混合乳酸菌に関する。
1.乳酸菌の単離および同定
(1)キムチからの乳酸菌の単離
白菜キムチ、大根キムチおよびネギキムチをそれぞれ破砕し、破砕液をMRS液体培地(MRS Broth;Difco,米国)に入れて懸濁した。その後、上澄み液を取ってMRS寒天培地(MRS agar medium;Difco,米国)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成した菌株を単離した。
ヒト糞便をGAM液体培地(GAM broth;Nissui Pharmaceutical Co.,Ltd.、日本)に入れて懸濁した。その後、上澄み液を取ってBL寒天培地(BL agar medium;Nissui Pharmaceutical、日本)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成したビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)菌株を単離した。
キムチまたはヒト糞便から単離した菌株の生理学的特性および16S rDNA配列を分析して菌株の種を同定し、菌株名を付与した。下記表1に白菜キムチ、大根キムチ、ネギキムチおよびヒト糞便から単離された乳酸菌の管理番号および菌株名を示す。
本発明の発明者らは、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を2015年9月1日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11762Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を2015年9月1日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11763Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を2015年9月1日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11764Pの受託番号を与えられた。
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果を評価するために、乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、腸内有害酵素であるβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定した。
*抗酸化活性
DPPH(2,2−diphenyl−1−picrylhydrazyl)をエタノールに0.2mMの濃度となるように溶解させてDPPH溶液を製造した。前記DPPH溶液0.1mlに乳酸菌懸濁液(1×108CFU/ml)またはビタミンC溶液(1g/ml)を加え、20分間37℃で培養した。培養液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。その後、517nmで上澄み液の吸光度を測定し、乳酸菌の抗酸化活性を計算した。
ヒトの新鮮な糞便0.1gを0.9mlの滅菌生理食塩水に懸濁し、一般嫌気性培地で100倍に希釈して糞便懸濁液を製造した。滅菌一般嫌気性培地(日水製薬株式会社、日本)9.8mlに前記糞便懸濁液0.1mlおよび乳酸菌(1×104または1×105CFU)0.1mlを加え、24時間嫌気的に培養した。その後、培養液を約1時間超音波で処理して菌の細胞外膜を破壊し、5000×gの条件で遠心分離して上澄み液を得た。その後、上澄み液に存在する代表的な内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の含有量をLAL(Limulus Amoebocyte Lysate)assay kit(製造社:Cape Cod Inc.、米国)で測定した。また、乳酸菌の大腸菌増殖抑制活性を評価するために、上記と同じ実験により得られた培養液を1000倍および100000倍に希釈し、DHL培地で培養した後、大腸菌数を測定した。
0.1mMの濃度のp−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(p−nitrophenyl−β−D−glucuronide)溶液0.1ml、50mMの濃度のリン酸緩衝生理食塩水0.2mlおよび乳酸菌懸濁液(乳酸菌培養液5mlを集菌した後、生理食塩水5mlに懸濁して製造した)0.1mlを反応器に入れ、15分間β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)酵素反応を行い、0.1mMの濃度のNaOH溶液0.5mlを加えて反応を停止させた。その後、反応液を3000rpmで5分間遠心分離して、上澄み液を得た。その後、405nmで上澄み液の吸光度を測定した。
韓国細胞株銀行から分譲されたCaco2細胞をRPMI 1640培地で48時間培養した後、Caco2細胞培養液を12−ウェルプレートの各ウェルに2×106cells/wellの量となるように分注した。その後、各ウェルを1μgのLPS(lipopolysaccharide)または1μgのLPS(lipopolysaccharide)と1×103CFU/mlの乳酸菌との組合せで処理した後、24時間培養した。その後、各ウェルから培養された細胞を掻き集め、免疫ブロット(immunoblotting)法で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現量を測定した。
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定し、その結果を下記の表5および表6に示した。下記の表5および表6に示すように、ラクトバチルス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57乳酸菌は、抗酸化活性に優れており、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成およびβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)の活性を強く阻害し、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を強く誘導した。これらの乳酸菌は、優れた抗酸化効果を有し、炎症および発がんと関連している腸内細菌叢の有害菌の酵素活性抑制効果に優れており、腸内細菌叢の有害菌が産生する内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の生成を抑制するだけでなく、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を誘導する。従って、これらの乳酸菌は、腸漏れ症候群(Intestinal permeability syndrome)を改善させることができる。
乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果の評価に基づき、以下の7つの菌株:ラクトバシラス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を選別した。肝損傷の改善に対するこれらの選別された乳酸菌の菌株またはこれらの菌株の混合乳酸菌のそれぞれの効果を、様々な肝損傷モデル動物を用いて評価した。
1)実験方法
マウス(C57BL/6、雄性)を各々6匹とする幾つかの群に分けた。正常群以外の群の実験動物にD−ガラクトサミン(D−Galactosamine)を800mg/kgの用量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)を腹腔内投与した後2時間後から、正常群および陰性対照群以外の群の実験動物に、乳酸菌を1×109CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を100mg/kgの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から6時間後に心臓採血を行った。採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定した。
図1は、D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)によって肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGOT値の変化を示すグラフであり、図2は、D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)により肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGPT値の変化を示すグラフであり、図3は、D−ガラクトサミン(D−Galactosamine)により肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのMDA値の変化を示すグラフである。図1乃至図3において、X軸の「Nor」は正常群を示し、「Con」はD−ガラクトサミン(D−Galactosamine)により肝損傷が誘発されたモデル動物に別の薬物を投与していない陰性対照群を示し、「CH11」はラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11投与群を示し、「CH15」はラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15投与群を示し、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23投与群を示し、「CH32」はラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32投与群を示し、「CH38」はビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38投与群を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57投与群を示し、「CH57+CH11」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「CH57+CH23」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「CH57+CH32」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌の投与群を示し、「SM」は乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を投与した陽性対照群を示す。
(1)実験方法
マウス(C57BL/6、雄性)を各々6匹とする幾つかの群に分けた。正常群以外の群の実験動物にTert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を2.5mmol/kgの用量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を腹腔内投与した後2時間後から、正常群および陰性対照群以外の群の実験動物に、乳酸菌を2×109CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を100mg/kgの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から6時間後に心臓採血を行った。採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定した。
下記表7は、Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)によって肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGOT値およびGPT値の変化を示している。下記表7に示すように、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、シリマリン(silymarin)よりも優れた肝損傷の改善効果を示し、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌またはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32の混合乳酸菌は、肝損傷の改善効果にさらに優れていた。
(1)乳酸菌による脱顆粒抑制作用の測定
RBL−2H3細胞株(rat mast cell line、韓国細胞株銀行、Cat.No.22256)を、10%FBS(fetal bovine serum)とL−グルタミンを含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium、シグマ社、22256)を用い、加湿された(humidified)5%CO2培養器内で、37℃で培養した。培養液に含まれている細胞をトリプシン−EDTA溶液を使用して浮遊させ、分離および回収して実験に使用した。回収されたRBL−2H3細胞を24−ウェルプレートに5×105cells/wellの量となるように分注した後、マウスモノクローナルIgE0.5μg/mlを入れて12時間インキュベーションすることにより感作させた(sensitized)。感作された細胞を0.5mlのシラガニアン緩衝液(siraganian buffer;119mM NaCl、5mM KCl、0.4mM MgCl2、25mM PIPES、40mM NaOH、pH7.2)で洗浄した後、0.16mlのシラガニアン緩衝液(5.6mM ブドウ糖、1mM CaCl2、0.1% BSAを添加)中で37℃、10分間インキュベートした。次に、細胞培養液に試験薬物である乳酸菌を1×104CFU/mlの濃度となるように添加するか、対照薬物であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム、disodium cromoglycate)0.04mlを添加し、20分後、0.02mlの抗原(DNP−BSA 1μg/ml)を用いて37℃で10分間細胞を活性化させた。その後、細胞培養液を2000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液0.025mlを96−ウェルプレートに移し、1mM p−NAG(0.1M クエン酸緩衝液中にp−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミドを含む溶液、pH4.5)0.025mlをそれに加えた後、37℃で60分間反応させた。次に、0.2mlの0.1M Na2CO3/NaHCO3を添加して反応を停止させ、405nmの吸光度をELISA分析装置で測定した。
BALB/cマウスを各々5匹とする幾つかの群に分けた。正常群および対照群以外の実験群に試験薬物の乳酸菌を1×109CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与するか、対照薬物であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム、disodium cromoglycate)またはアゼラスチン(Azelastine)を0.2mg/mouseの量で1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から1時間後、マウスを観察箱(24cm×22cm×24cm)に10分間放置して環境になじませてから、首の後ろ(頸部背面)の毛を除去した。次に、正常群のマウスには生理食塩水を注射し、他の実験群のマウスには29ゲージ針を用いて掻痒誘導剤(50μgのコンパウンド48/80;シグマ社、米国)を注射した。次に、各マウスを直ちに観察箱に隔離させた後、無人の条件下で8mmビデオカメラ(SV−K80、サムソン(Samsung))を用いて1時間録画し、掻痒行動を観察した。掻痒行動としては、後足による注射部位を引っ掻く行為が認められ、その以外の部分に対しては認められていない。
掻痒誘発部位では、血管透過性が増加することが知られている。本実験は、様々な化合物によって誘発される血管透過性を、本発明に係る乳酸菌が効果的に抑制できるかどうかを調べるために行った。前の掻痒反応抑制活性の測定実験と同じ方法で、同じマウスに薬物を投与した。その後、正常群マウスの頸部背面部位に生理食塩水を皮下注射し、他の実験群のマウスの頸部背面部位に掻痒誘導剤(50μgのコンパウンド48/80;シグマ社、米国)を皮下注射した。その後、1%エバンスブルー(Evans blue)溶液(シグマ社、米国)0.2mlを尾静脈に投与し、1時間後にマウスを安楽死させた。その後、皮下注射部位の皮膚を切開して1N KOH 1mlに入れた後、37℃で一晩インキュベートした。翌日、インキュベートした皮膚組織を0.6Nリン酸−アセトン(5:13)混合溶液4mlを添加して混合した後、3000rpmで15分間遠心分離し、上澄み液を取り、620nmで吸光度を測定した。血管透過性の抑制率(%)は、次の式で計算した。
乳酸菌の脱顆粒抑制率、掻痒感抑制率および血管透過性抑制率を測定した結果を下記表8に示す。下記表8において、「CH5」はラクトバシラス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)CH5を示し、「CH11」はラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を示し、「CH15」はラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)CH15を示し、「CH23」はラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を示し、「CH32」はラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を示し、「CH38」はビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)CH38を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57を示し、「CH57+CH11」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CH11を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「CH57+CH23」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造した混合乳酸菌を示し、「CH57+CH32」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)CH32を同量混合して製造した混合乳酸菌を示す。
(1)樹状細胞の単離および炎症マーカーの測定
C57BL/6マウス(雄、20−23g)の骨髄から、10%FBS、1%抗生物質(antibiotics)、1%グルタマックス(glutamax)、0.1%メルカプトエタノール(mercaptoethanol)を含有したRPMI 1640を用いて免疫細胞を単離した。単離した細胞をRBC lysis bufferで処理し、洗浄し、24−ウェルプレートの各ウェルに分注し、GM−CSFおよびIL−4を1:1000の割合で処理し、培養した。培養5日目に培地を新しい培地に交換し、8日目に細胞を回収し、樹状細胞として使用した。その後、24−ウェルプレートに樹状細胞を0.5×106cells/wellの密度で播種し、試験物質である乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で2時間または24時間処理した後、上澄み液および細胞を回収した。得られた上澄み液を用いて、IL−10およびIL−12の発現量を免疫ブロット(immunoblotting)法で測定した。
6週齢C57BL/6J雄マウス(20〜23g)をラオンバイオ(株)(Raon Bio Co.,Ltd.)から購入した。各マウスの腹腔内に滅菌された4%チオグリコレート(thioglycolate)2mlを投与し、96時間経過後にマウスを麻酔し、そして、各マウス腹腔内にRPMI 1640培地8mlを投与した。5〜10分過ぎた後にマウスの腹腔内のRPMI培地(マクロファージを含む)を取り出し、1000rpmで10分間遠心分離してさらにRPMI 1640培地で2回洗浄した。24−ウェルプレートにマクロファージを0.5×106cells/wellの密度で播種し、試験物質である乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で2時間または24時間処理した後、上澄み液および細胞を得た。得られた細胞をバッファー(Gibco社製)中でホモジナイズした。得られた上澄み液を用いて、TNF−α、IL−1βのようなサイトカインの発現量をELISAキットで測定した。また、得られた細胞を用いて、p65(NF−カッパB)、p−p65(phosphor−NF−カッパB)とβ−アクチンの発現量を免疫ブロット(immunoblotting)法で測定した。具体的には、上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(antibody)(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社(Santa Cruz Biotechnology)、米国)と共に一晩インキュベートした。その後、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。その後、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。
C56BL/6Jマウスから脾臓を切り離し、適当に粉砕し、10%FCS含有RPMI 1640培地に懸濁し、CD4T細胞単離キット(CD4T cell isolation kit)(ミルテニーバイオテク社(MiltenyiBiotec)、ベルギッシュ・グラートバッハ(Bergisch Gladbach)、ドイツ)を用いてそこからCD4T細胞を単離した。単離したCD4T細胞を12−ウェルプレートに5×105cells/wellの密度で播種し、ここに抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加するか、または、抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、組換え(recombinant)IL−6(20ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および組換えトランスフォーミング増殖因子β(recombinant transforming growth factor beta)(1ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加した。細胞を培養しながら乳酸菌を1×103CFUまたは1×105CFU添加し、4日間培養した。その後、培養液の細胞を抗FoxP3抗体または抗IL−17A抗体で染色し、FACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置(C6 Flow Cytometer(登録商標) System、サンノゼ、カリフォルニア州、米国(San Jose、CA、米国))を用いてTh17細胞およびTreg細胞の分布を分析した。
韓国細胞株銀行から分譲されたCaco2細胞をRPMI 1640培地で48時間培養した後、培養したCaco2細胞を12−ウェルプレートに2×106cells/wellの密度で分注した。その後、各ウェルにLPS(lipopolysaccharide)1μgを単独で処理するか、LPS(lipopolysaccharide)1μgと1×103CFUまたは1×105CFUの乳酸菌との組合せで処理した後、24時間インキュベートした。その後、各ウェルから培養された細胞を採取し、免疫ブロット(immunoblotting)法で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現量を測定した。
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)(Orient Bio Inc.)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン(Samyang)、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は6匹とした。
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid、TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的には、実験動物をエーテルで軽く麻酔した後、TNBS(2,4,6−Trinitrobenzene sulfonic acid)2.5gと50%エタノール100mlとの混合溶液を先端の丸い1ml容量の注射器を用いて肛門を通して大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持し、それによって炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。その翌日から1日1回3日間試験試料である乳酸菌または混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して2.0×109CFUの量で経口投与した。試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息死させ、盲腸から肛門直前の大腸部分を摘出して使用した。一方、正常群の実験動物には、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。また、陰性対照群の実験動物には、TNBSによる大腸炎誘発後、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。さらに、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりに大腸炎の治療薬であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgの量で経口投与した。
摘出した大腸の長さと外観を観察し、外観を下記表9に示す基準(Hollenbachなど、2005、大腸炎の判定基準)に基づいて採点することによって分析した。大腸内容物を全て除去した後、大腸組織を生理食塩水で洗浄した。洗浄した大腸組織の一部を病理組織サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド溶液で固定し、残りは分子生物学的分析のために−80℃で凍結保存した。
大腸組織100mgを、0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)を含む10mMリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate buffer)(pH7.0)200μl中でホモジナイズした。ホモジナイズした組織を10000×g、4℃で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mM テトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H2O2を含む)に添加した後、37℃で反応させ、反応中の様々な時点で650nmの吸光度を測定した。ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を算出するため、反応により生成されたペルオキシド(peroxide)1μmol/mlを1ユニット(unit)として使用した。
ウェスタンブロッティング法を用いてp−p65、p65、iNOS、COX−2、β−アクチンなどの炎症マーカーを測定した。具体的には、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定実験と同様の方法で上澄み液を得た。上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に一晩インキュベートした。次に、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。次に、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。
図8は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57が及ぼす影響を、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性などで示すものであり、図9は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57が及ぼす影響を、大腸の組織学的写真で示すものであり、図10は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57が及ぼす影響を、炎症関連サイトカイン量などで示すものである。図8乃至図10において、「NOR」は、正常群を示し、「TNBS」は陰性対照群を示し、「CH57」はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57投与群を示し、「SS50」はスルファサラジン(sulfasalazine)投与群を示す。図8乃至図10に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物の体重、大腸炎マーカー、大腸の長さ、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性などの観点から、大腸炎を効果的に改善することが確認され、スルファサラジンよりも改善効果がより優れていることが確認された。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に対して、炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を増加させた。
(1)実験方法
合計24匹のC57BL6/Jマウスをラオンバイオ(株)から購入し、温度20±2℃、湿度50±10%、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返すサイクルの条件下でチャウダイエット(chow diet)(Purina)で1週間順応させた。次に、実験動物を8匹ずつ3つの群(LFD、HFD、HFD+BL)に分けて、LFD群には4週間正常食餌(LFD、脂肪由来のカロリー10%;Research、NJ、米国)を与え、HFD群およびHFD+BL群には4週間高脂肪食餌(HFD、脂肪由来のカロリー60%;Research、NJ、米国)を与えた。次に、LFD群には、4週間、正常食餌を与えると共にPBSを経口投与した。また、HFD群には、4週間高脂肪食餌を与えると共にPBSを経口投与した。また、HFD+BL群には、4週間高脂肪食餌を与えると共に2×109CFUの混合乳酸菌PBS懸濁液を経口投与した。混合乳酸菌は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23を同量混合して製造したものである。
混合乳酸菌の抗肥満効果は、体重の変化を通じて分析した。また、混合乳酸菌の抗炎症効果は、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験で測定した方法と同じ方法を用いて分析した。
図18は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、体重変化量などで示すものであり、図19は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性、大腸の組織学的写真などで示すものであり、図20は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、炎症関連サイトカイン量などで示すものであり、図21は、肥満誘導モデル動物に対してビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌が及ぼす影響を、炎症反応マーカーなどで示すものである。図18乃至図21に示すように、高脂肪食餌による肥満が誘導されたモデル動物の増加した体重、増加した大腸炎マーカー量、増加したミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を大幅に減少させ、大腸炎の発生を抑制した。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57とラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23の混合乳酸菌は、高脂肪食餌によって肥満が誘導されたモデル動物に対して炎症性サイトカインの産生を大幅に抑制し、抗炎症性サイトカインであるIL−10の産生を増加させた。
1.乳酸菌の単離および同定
(1)キムチからの乳酸菌の単離
白菜キムチ、大根キムチおよびネギキムチをそれぞれ破砕し、破砕液をMRS液体培地(MRS Broth;Difco、米国)に懸濁した。次に、上澄み液を取ってMRS寒天培地(MRS agar medium;Difco、米国)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成したビフィドバクテリウム・ロンガム菌株を形状に従って単離した。
ヒトの糞便をGAM液体培地(GAM broth;日水製薬株式会社、日本)に懸濁した。次に、上澄み液を取ってBL寒天培地(BL agar medium;日水製薬株式会社、日本)に移植し、37℃で約48時間嫌気的に培養した後、コロニー(colony)を形成したビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)菌株を単離した。
キムチまたはヒトの糞便から単離した菌株のグラム染色特性、生理学的特性および16S rDNA配列を分析して菌株の種を確定し、菌株名を付与した。下記表10は、白菜キムチ、大根キムチおよびネギキムチから単離された乳酸菌の管理番号および菌株名を示し、下記表11は、糞便から単離された乳酸菌の管理番号および菌株名を示す。
本発明の発明者らは、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5を2016年1月11日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11800Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を2016年1月11日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11801Pの受託番号を与えられた。また、本発明の発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を2016年1月11日に国際寄託機関である韓国微生物保存センター(住所:大韓民国、ソウル西大門区 弘済内2街ギル45ユリムビル)に寄託してKCCM11802Pの受託番号を与えられた。
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果を評価するために、乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、腸内有害酵素であるβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定した。
*抗酸化活性
DPPH(2,2−Diphenyl−1−picrylhydrazyl)をエタノールに0.2mMの濃度となるように溶解させてDPPH溶液を製造した。前記DPPH溶液0.1mlに乳酸菌懸濁液(1×108CFU/ml)またはビタミンC溶液(1g/ml)を加え、20分間37℃で培養した。培養液を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。その後、517nmで上澄み液の吸光度を測定し、乳酸菌の抗酸化活性を計算した。
ヒトの新鮮な糞便0.1gを0.9mlの滅菌生理食塩水に懸濁し、一般嫌気性培地で100倍に希釈して糞便懸濁液を製造した。滅菌一般嫌気性培地(日水製薬株式会社、日本)9.8mlに前記糞便懸濁液0.1mlおよび乳酸菌(1×104または1×105CFU)0.1mlを加え、24時間嫌気的に培養した。その後、培養液を約1時間超音波で処理して菌の細胞外膜を破壊し、5000×gの条件で遠心分離して上澄み液を得た。その後、上澄み液に存在する代表的な内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の含有量をLAL(Limulus Amoebocyte Lysate)assay kit(製造社:Cape Cod Inc.、米国)で測定した。また、乳酸菌の大腸菌増殖抑制活性を評価するために、上記と同じ実験により得られた培養液を1000倍および100000倍に希釈し、DHL培地で培養した後、大腸菌数を測定した。
0.1mMの濃度のp−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(p−nitrophenyl−β−D−glucuronide)溶液0.1ml、50mMの濃度のリン酸緩衝生理食塩水0.2mlおよび乳酸菌懸濁液(乳酸菌培養液5mlを集菌した後、生理食塩水5mlに懸濁して製造した)0.1mlを反応器に入れ、15分間β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)酵素反応を行い、0.1mMの濃度のNaOH溶液0.5mlを加えて反応を停止させた。その後、反応液を3000rpmで5分間遠心分離して、上澄み液を得た。その後、405nmで上澄み液の吸光度を測定した。
韓国細胞株銀行から分譲されたCaco2細胞をRPMI 1640培地で48時間培養した後、Caco2細胞培養液を12−ウェルプレートの各ウェルに2×106cells/wellの量となるように分注した。その後、各ウェルを1μgのLPS(lipopolysaccharide)または1μgのLPS(lipopolysaccharide)と1×103CFUの乳酸菌との組合せで処理した後、24時間培養した。その後、各ウェルから培養された細胞を掻き集め、免疫ブロット(immunoblotting)法で密着結合タンパク質(tight junction protein)ZO−1の発現量を測定した。
キムチまたはヒトの糞便から単離した乳酸菌の抗酸化活性、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)生成抑制活性、β−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)阻害活性および密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性を測定し、その結果を下記の表14乃至表16に示した。下記の表14乃至表16に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC15、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC17、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC25、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC55、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC65、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68乳酸菌は、抗酸化活性に優れており、リポ多糖類(lipopolysaccharide、LPS)の生成およびβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase)活性を強く阻害し、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を強く誘導した。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67は、密着結合タンパク質(tight junction protein)発現誘導活性が最も優れていた。これらの乳酸菌は、優れた抗酸化効果を有し、炎症および発がんと関連している腸内細菌叢の有害菌の酵素活性抑制効果に優れており、腸内細菌叢の有害菌が産生する内毒素であるLPS(lipopolysaccharide)の生成を抑制するだけでなく、密着結合タンパク質(tight junction protein)の発現を誘導する。従って、これらの乳酸菌は、腸漏れ症候群(Intestinal permeability syndrome)を改善させることができる。
乳酸菌の腸損傷または腸漏れ改善効果の評価に基づき、以下の10個の菌株:ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC15、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC17、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC25、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC55、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC65、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68を選別した。肝損傷の改善に対するこれらの選別された乳酸菌の菌株またはこれらの菌株の混合乳酸菌のそれぞれの効果を、Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)により肝損傷が誘発されたモデル動物を用いて評価した。
マウス(C57BL/6、雄性)を各々6匹とする幾つかの群に分けた。正常群以外の群の実験動物にTert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を2.5mmol/kgの用量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)を腹腔内投与した後2時間後から、正常群および陰性対照群以外の群の実験動物に、乳酸菌を2×109CFUの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。また、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりにシリマリン(silymarin)を100mg/kgの量で1日に1回ずつ3日間経口投与した。薬物の最後の投与から6時間後に心臓採血を行った。採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定した。また、各実験動物から摘出した肝臓組織1gを生理食塩水に入れてホモジナイザーを用いてホモジナイズした後、上澄み液をELISAキットで分析してTNF−αの量を測定した。
下記表17は、Tert−ブチルペルオキシド(Tert−butylperoxide)によって肝損傷が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したときのGOT値、GPT値、TNF−α値の変化を示している。下記表17に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68は、シリマリン(silymarin)よりも優れた肝損傷の改善効果を示し、これらの混合乳酸菌は、肝損傷の改善効果にさらに優れていた。
(1)乳酸菌による脱顆粒抑制作用の測定
RBL−2H3細胞株(rat mast cell line、韓国細胞株銀行、Cat.No.22256)を、10%FBS(fetal bovine serum)とL−グルタミンを含むDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium、シグマ社、22256)を用いて37℃、加湿化された(humidified)5%CO2培養器で培養した。培養液に含まれている細胞をトリプシン−EDTA溶液を使用して浮遊させ、浮遊させた細胞を単離し、採取して実験に使用した。採取したRBL−2H3細胞を24−ウェルプレートに5×105Cells/wellの密度で分注した後、マウスモノクローナルIgE0.5μg/mlと12時間インキュベートし、感作(sensitization)を行った。感作させた細胞を0.5mlのシラガニアン緩衝液(siraganian buffer;119mM NaCl、5mM KCl、0.4mM MgCl2、25mM PIPES、40mM NaOH、pH7.2)で洗浄した後、再び0.16mlのシラガニアン緩衝液(5.6mM ブドウ糖、1mM CaCl2、0.1% BSAを添加)で37℃、10分間インキュベートした。次に、細胞培養液に試験薬物である乳酸菌を1×104CFU/mlの濃度で添加するか、対照薬物であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム、disodium cromoglycate)0.04mlを添加し、20分経過時に0.02mlの抗原(DNP−BSA1μg/ml)を用いて37℃で10分間細胞を活性化させた。その後、細胞培養液を2000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液0.025mlを96ウェルプレートに移し、1mM p−NAG(0.1Mクエン酸緩衝液中にp−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニドを含む溶液、pH4.5)0.025mlをそこに加えた後、その混合物を37℃で60分間反応させた。次に、0.1M Na2CO3/NaHCO30.2mlをその反応液に添加して反応を停止させ、405nmの吸光度をELISA分析で測定した。
下記表18は、乳酸菌による脱顆粒抑制率を測定した結果を示している。表18に示すように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC28、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC68およびこれらの混合乳酸菌は、好塩基球の脱顆粒を効果的に抑制した。したがって、これらの乳酸菌または混合乳酸菌は、アレルギー性のアトピー、喘息、咽喉炎、慢性皮膚炎などを非常に効果的に改善することができる。
(1)マクロファージの単離および炎症マーカーの測定
6週齢C57BL/6J雄マウス(20〜23g)をラオンバイオ(株)から購入した。各マウスの腹腔内に滅菌された4%チオグリコレート(thioglycolate)2mlを投与し、96時間経過後にマウスを麻酔し、各マウスの腹腔内にRPMI 1640培地8mlを投与した。5〜10分後、マウス腹腔内のRPMI培地(マクロファージを含む)を取り出し、1000rpmで10分間遠心分離し、RPMI 1640培地で2回洗浄した。24−ウェルプレートにマクロファージを0.5×106cells/wellの密度で播種し、試験物質である乳酸菌と炎症反応誘導物質であるLPS(lipopolysaccharide)で2時間または24時間処理した後、上澄み液と細胞を得た。この場合、細胞の処理のために乳酸菌を1×104CFU/mlの濃度で使用した。得られた細胞をバッファー(ギブコ社製)中でホモジナイズした。得られた上澄み液を用いて、TNF−αなどのサイトカインの発現量をELISAキットで測定した。また、得られた細胞を用いて、p65(NF−カッパB)、p−p65(phosphor−NF−カッパB)とβ−アクチンの発現量を免疫ブロット(immunoblotting)法で測定した。具体的には、上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に一晩インキュベートした。その後、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。その後、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。現像したバンドの強度(Intensity)を測定し、抑制率を下記の式で計算した。下記式において、正常群はマクロファージが生理食塩水のみで処理された群を示し、LPS処理群はマクロファージがLPSのみで処理された群を示し、乳酸菌処理群はマクロファージが乳酸菌とLPSの両方で処理された群を示す。
C56BL/6Jマウスから脾臓を切り離し、適当に粉砕し、10%FCS含有RPMI 1640培地に懸濁し、CD4T細胞単離キット(CD4T cell isolation kit;ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を用いてそこからCD4T細胞を単離した。単離したCD4T細胞を12−ウェルプレートに5×105cells/wellの密度で播種し、ここに抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加するか、抗CD3(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、抗CD28(1μg/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)、組換え(recombinant)IL−6(20ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)および組換えトランスフォーミング増殖因子β(recombinant transforming growth factor beta)(1ng/ml、ミルテニーバイオテク社、ベルギッシュ・グラートバッハ、ドイツ)を添加した。細胞を培養しながら乳酸菌を1×103CFUまたは1×105CFU添加し、4日間培養した。その後、培養液の細胞を抗FoxP3抗体または抗IL−17A抗体で染色し、FACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置(C6 Flow Cytometer(登録商標) System、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)を用いてTh17細胞およびTreg細胞の分布を分析した。
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid、TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的には、実験動物をエーテルで軽く麻酔した後、TNBS(2,4,6−Trinitrobenzene sulfonic acid)2.5gと50%エタノール100mlとの混合溶液を先端の丸い1ml容量の注射器を用いて肛門を通して大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持し、それによって炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。その翌日から1日1回3日間試験試料である乳酸菌または混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して2.0×109CFUの量で経口投与した。試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息死させ、盲腸から肛門直前の大腸部分を摘出して使用した。一方、正常群の実験動物には、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。また、陰性対照群の実験動物には、TNBSによる大腸炎誘発後、乳酸菌の代わりに生理食塩水のみを経口投与した。さらに、陽性対照群の実験動物には、乳酸菌の代わりに大腸炎の治療薬であるスルファサラジン(sulfasalazine)を50mg/kgの量で経口投与した。
摘出した大腸の長さと外観を観察し、外観を下記表22に示す基準(Hollenbachなど、2005、大腸炎の判定基準)に基づいて採点することによって分析した。大腸内容物を全て除去した後、大腸組織を生理食塩水で洗浄した。洗浄した大腸組織の一部を病理組織用サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド固定液で固定し、残りは分子生物学的分析のために−80℃で凍結保存した。
大腸組織100mgを、0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)を含有する10mMリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate buffer)(pH7.0)200μl中でホモジナイズした。ホモジナイズした組織を10000×g、4℃で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mM テトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H2O2を含む)に入れた後、37℃で反応させ、反応中の様々な時点で650nmの吸光度を測定した。ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を算出するため、反応により生成されたペルオキシド(peroxide)1μmol/mlを1ユニット(unit)として使用した。
ウェスタンブロッティング法を用いてp−p65、p65、iNOS、COX−2、β−アクチンなどの炎症マーカーを測定した。具体的には、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定実験と同様の方法で上澄み液を得た。上澄み液50μgを取ってSDS10%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)で1時間30分電気泳動を行った。電気泳動したサンプルをニトロセルロース膜に100V、400mAの条件下で1時間10分転写(transfer)させた。サンプルが転写されたニトロセルロース膜を5%スキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキング(blocking)した後、PBS−Tweenで5分間ずつ3回にわたって洗浄し、1:100希釈の1次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に一晩インキュベートした。次に、膜を10分ずつ3回にわたって洗浄し、1:1000希釈の2次抗体(サンタ・クルーズ バイオテクノロジ社、米国)と共に1時間20分インキュベートした。次に、膜を15分間ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光によって現像し、可視化した。
摘出した大腸を2.5mM EDTA溶液で2回洗浄した。洗浄した大腸を1mg/mlコラゲナーゼタイプVIII(Sigma)を含有するRPMI培地中で30℃、20分間振って処理し、濾過して粘膜固有層(Lamina propria)を分離させた。次に、粘膜固有層(Lamina propria)を30〜100%パーコール液で処理し、遠心分離してT細胞を単離した。単離したT細胞を抗FoxP3または抗IL−17A抗体で染色し、FACS(Fluorescence−activated cell sorting)装置(C6 Flow Cytometer(登録商標) System、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)を用いてTh17およびTregの分布を分析した。
下記表23は、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したとき、腸の重量、大腸の外観、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性、炎症関連サイトカインの含有量に及ぼす乳酸菌の影響を示すものである。下記表23に示すように、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物は、体重の減少、大腸炎の外観点数(Macroscopic score;肉眼的スコア)の減少、大腸の長さの減少およびMPO活性の増加を示した。しかし、TNBSにより急性大腸炎が誘発されたモデル動物に乳酸菌を投与したところ、これらの指標はすべて改善された。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を単独で投与するか、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67とラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の混合乳酸菌を投与した場合、大腸炎の改善効果が非常に優れていた。また、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物は、TNF−α、IL−17の発現量が増加し、IL−10の発現量が減少した。しかし、TNBSにより急性大腸炎が誘導されたモデル動物に乳酸菌を投与したとき、これらの指標はすべて改善された。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を単独で投与するか、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacteriumlongum)LC67とラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5の混合乳酸菌を投与した場合、TNF−α、IL−17の発現量が大幅に減少し、IL−10の発現量が大幅に増加した。
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は6匹とした。
1つの実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×109CFUの量で3日間経口投与した。別の実験群に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×109CFUの量で3日間経口投与した。さらに別の実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×109CFUの量で3日間経口投与した。また、陽性対照群には、市販の胃潰瘍治療剤であるラニチジン(Ranitidine)を1日1回、50mg/kgの量で3日間経口投与した。また、正常群および陰性対照群には、生理食塩水を1日1回、0.2mlの量で3日間経口投与した。試料を3日間経口投与した後、18時間実験マウスを絶食および絶水させた。実験4日目に試料または生理食塩水の投与1時間後に正常群を除いた全ての実験群のマウスに99%純エタノール0.2mlを経口投与して胃潰瘍を誘発させた。また、正常群には、エタノールの代わりに生理食塩水0.2mlを経口投与した。
エタノールの投与から3時間経過後、実験マウスを屠殺し、胃組織を縦に切開し、PBS(phosphate buffer saline)溶液で洗浄した後、胃損傷の程度を視覚的にまたは顕微鏡的に観察し、損傷の程度に応じて点数を付けた(参考文献:Park,S.W.,Oh,T.Y.,Kim,Y.S.,Sim,H.,et al.,Artemisia asiatica extracts protect against ethanol−induced injury in gastric mucosa of rats.J.Gastroenterol.Hepatol.2008,23,976−984.)。
胃組織100mgを、0.5%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)を含む10mMリン酸カリウム緩衝液(potassium phosphate buffer)(pH7.0)200μl中でホモジナイズした。その後、その組織溶液を10000×g、4℃で10分間遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液50μlを0.95mlの反応液(1.6mM テトラメチルベンジジン(tetramethyl benzidine)と0.1mM H2O2を含む)に添加した後、37℃で反応させ、反応中の様々な時点で650nmの吸光度を測定した。ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を算出するため、反応により生成されたペルオキシド(peroxide)1μmol/mlを1ユニット(unit)として使用した。
キアゲンRNイージーミニキット(Qiagen RNeasy Mini Kit)を用いて胃組織からmRNA2μgを単離し、Takara Prime Script Rtaseを用いてcDNAを合成した。次に、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(quantitative real time polymerase chain reaction)(Qiagn thermal cycler,Takara SYBER premix agent,サーマルサイクリング条件:DNAポリメラーゼ活性化のため95℃で5分、続いて増幅のため95℃で10秒と60℃で45秒を40サイクル)を用いてCXCL4[chemokine(CXC motif)ligand 4]とTNF−α(tumor necrosis factor−alpha)の発現量を測定した。下記表24は、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(quantitative real time polymerase chain reaction)に用いられたプライマー(primer)配列を、分析されるサイトカイン(cytokine)別に示すものである。
図25は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、写真で示すものであり、図26は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、総胃病変スコア(gross gastric lesion score)で示すものであり、図27は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、潰瘍指数(ulcer index)で示すものであり、図28は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、組織学的活動指数(Histological activity index)で示すものである。また、図29は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性で示すものである。また、図30は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、CXCL4の発現量で示すものであり、図31は、本発明の第2次実験において、エタノールにより胃潰瘍が誘発されたマウスの胃粘膜(stomach mucosa)に対して乳酸菌が及ぼす影響を、TNF−αの発現量で示すものである。図30および図31において、正常群以外の実験群におけるCXCL4発現量とTNF−α発現量は、正常群の発現量を基準として倍数変化(fold−Change)で示した。図25乃至図31において、「Nor」は正常群を示し、「Ethnanol」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料として生理食塩が投与された陰性対照群を示し、「Ethnanol+Ranitidine」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料としてラニチジン(Ranitidine)が投与された実験群を示し、「Ethnanol+LC27」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料としてラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27が投与された実験群を示し、「Ethnanol+LC67」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料としてビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67が投与された実験群を示し、「Ethnanol+LC27/LC67」はエタノールにより胃潰瘍が誘発され、試料として、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌が投与された実験群を示す。図25乃至図29に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27またはこれらの混合乳酸菌は、エタノールにより誘発された胃損傷または胃潰瘍を効果的に改善した。また、図30および図31に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27またはこれらの混合乳酸菌は、エタノールにより胃損傷または胃潰瘍が誘発されたマウスの炎症マーカー量を大幅に軽減させた。
(1)実験動物
5週齢C57BL/6雄マウス(24〜27g)をオリエントバイオ(株)から購入し、制御された環境条件下(湿度50±10%、温度25±2℃、照明を12時間付けた後12時間消すことを繰り返す)で飼育した後に実験に使用した。飼料は、標準実験用飼料(サムヤン、韓国)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は6匹とした。
1つの実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×109CFUの量で3日間経口投与した。別の実験群に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×109CFUの量で3日間経口投与した。さらに別の実験群に、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27とビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67を同量混合して製造した混合乳酸菌を生理食塩水に懸濁して1日1回、1×109CFUの量で3日間経口投与した。また、陽性対照群には、市販の肝損傷治療剤であるシリマリン(silymarin)を1日1回、50mg/kgの量で3日間経口投与した。また、正常群および陰性対照群には、生理食塩水を1日1回、0.1mlの量で3日間経口投与した。試料または生理食塩水を3日間経口投与した3時間後に正常群以外の全ての実験群のマウスにエタノールを6ml/kgの量で腹腔内投与して肝損傷を誘発した。また、正常群には、エタノールの代わりに生理食塩水を6ml/kgの量で腹腔内投与した。次に、実験マウスを12時間絶食および絶水させた後に犠牲させて心臓採血を行った。
採取した血液を室温で60分間放置し、3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清のGPT(glutamic pyruvate transaminase)とGOT(glutamic oxalacetic transaminase)を血液分析キット(ALT&AST測定キット;アサンファーム社製、韓国)を用いて測定し、その結果を下記表25に示した。下記表25に示すように、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC27またはこれらの混合乳酸菌は、エタノールにより誘発された肝損傷を効果的に改善した。特に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67は、市販の肝損傷治療剤であるシリマリン(silymarin)よりも優れた効果を示した。
Claims (10)
- 抗酸化活性、β−グルクロニダーゼ阻害活性、リポ多糖類生成抑制活性および密着結合タンパク質発現誘導活性から選択される1以上の活性を有することを特徴とするビフィドバクテリウム・ロンガムLC67(受託番号:KCCM11802P)、その培養物、その破砕物またはその抽出物。
- 前記ビフィドバクテリウム・ロンガムLC67が、配列番号7で示される16S rDNA塩基配列を含むことを特徴とする請求項1に記載のラクトバチルス・プランタラムLC27。
- 請求項1に記載のビフィドバクテリウム・ロンガムLC67、その培養物、その破砕物またはその抽出物を含み、
腸損傷、肝損傷、アレルギー疾患および炎症性疾患からなる群から選択される1以上の疾患を予防または治療するための医薬組成物。 - 請求項1に記載のビフィドバクテリウム・ロンガムLC67、その培養物、その破砕物またはその抽出物を含み、腸損傷、肝損傷、アレルギー疾患および炎症性疾患からなる群から選択される1以上の疾患を予防または緩和するための食品組成物。
- ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)CH23(受託番号:KCCM11762P)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)CH57(受託番号:KCCM11764P)およびラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LC5(受託番号:KCCM11800P)からなる群から選択される1種以上の乳酸菌をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の食品組成物。
- 前記腸損傷が、腸漏れ症候群であることを特徴とする請求項4に記載の食品組成物。
- 前記肝損傷が、肝炎、脂肪肝および肝硬変からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の食品組成物。
- 前記アレルギー疾患が、アトピー性皮膚炎、喘息、咽喉炎および慢性皮膚炎からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の食品組成物。
- 前記炎症性疾患が、胃炎、胃潰瘍、大腸炎および関節炎からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の食品組成物。
- 腸損傷、肝損傷、アレルギー疾患および炎症性疾患からなる群から選択される1以上の疾患を予防または治療するための医薬の製造におけるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)LC67(受託番号:KCCM11802P)、その培養物、その破砕物またはその抽出物を含む組成物の使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019191700A JP6901092B2 (ja) | 2016-09-07 | 2019-10-21 | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018513778A JP6608047B2 (ja) | 2015-09-15 | 2016-09-07 | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 |
JP2019191700A JP6901092B2 (ja) | 2016-09-07 | 2019-10-21 | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018513778A Division JP6608047B2 (ja) | 2015-09-15 | 2016-09-07 | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020022488A JP2020022488A (ja) | 2020-02-13 |
JP6901092B2 true JP6901092B2 (ja) | 2021-07-14 |
Family
ID=69617796
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019191700A Active JP6901092B2 (ja) | 2016-09-07 | 2019-10-21 | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6901092B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115181696B (zh) * | 2022-06-27 | 2023-08-29 | 广东粤港澳大湾区国家纳米科技创新研究院 | 一种长双歧杆菌cb39Y4及其应用 |
CN115181698B (zh) * | 2022-06-28 | 2023-09-08 | 广东粤港澳大湾区国家纳米科技创新研究院 | 一种益生菌组合物及应用 |
CN115612652B (zh) * | 2022-11-28 | 2023-05-02 | 哈尔滨美华生物技术股份有限公司 | 植物乳杆菌as21及其在预防溃疡性结肠炎中的应用 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20080075971A (ko) * | 2007-02-14 | 2008-08-20 | (주)네오팜 | 프로바이오틱스 복합 제제 |
KR100818360B1 (ko) * | 2007-03-16 | 2008-04-02 | 건국대학교 산학협력단 | 신규 락토바실러스 플란타룸, 이의 생산을 위한 배지조성물및 이를 포함하는 조성물 |
KR101292139B1 (ko) * | 2011-06-22 | 2013-08-09 | 강원대학교산학협력단 | 유산균과 누룩을 사용한 발효 선식 및 그 제조방법 |
KR101401530B1 (ko) * | 2012-07-06 | 2014-06-11 | (주)케비젠 | 공액리놀레산을 생산하는 비피도박테리움 롱검 균주 및 그 용도 |
KR20150142527A (ko) * | 2014-06-12 | 2015-12-22 | 부산대학교 산학협력단 | 유산균이 코팅된 견과류 |
-
2019
- 2019-10-21 JP JP2019191700A patent/JP6901092B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020022488A (ja) | 2020-02-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6608047B2 (ja) | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 | |
Zhang et al. | Faecalibacterium prausnitzii inhibits interleukin-17 to ameliorate colorectal colitis in rats | |
KR101937364B1 (ko) | 면역조절 작용을 가는 사람 소화관 유래 신규 유산균 및 이의 용도 | |
van der Kleij et al. | Protective effects of Lactobacillus reuteri and Bifidobacterium infantis in murine models for colitis do not involve the vagus nerve | |
KR101862051B1 (ko) | 면역조절 작용을 가는 사람 소화관 유래 신규 유산균 및 이의 용도 | |
JP6901092B2 (ja) | 多様な機能性を有する新規乳酸菌およびその用途 | |
US11104878B2 (en) | Lactic acid bacteria capable of controlling blood sugar and use thereof | |
JP7201837B2 (ja) | ロイコノストック・シトレウムwikim0104を含む肥満または脂肪肝疾患の予防、改善または治療用組成物 | |
KR102487131B1 (ko) | 신규 유산균 및 이의 용도 | |
JP2009142266A (ja) | 新規乳酸菌 | |
JP2005068092A (ja) | 免疫促進用組成物 | |
Chen et al. | Lactobacillus plantarum Lp2 improved LPS-induced liver injury through the TLR-4/MAPK/NFκB and Nrf2-HO-1/CYP2E1 pathways in mice | |
Kurpad | Potential of probiotics in hypercholesterolemia: a review of in vitro and in vivo findings | |
US11883445B2 (en) | Lactococcus bacteria and uses thereof | |
JPWO2008105540A1 (ja) | アレルギー疾患及び自己免疫疾患に有効な医薬及び食品 | |
KR102380726B1 (ko) | 패칼리박테리움속 미생물 및 이를 포함하는 항암 조성물 | |
Sales-Campos et al. | OPEN ACCESS EDITED BY | |
Αλεξοπούλου | Probiotics and prebiotics in human health and animal welfare |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210601 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210608 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6901092 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |