JP6898660B2 - 竹繊維の圧縮硬化体の製造方法及びその製造方法により製造した竹繊維の圧縮硬化体 - Google Patents

竹繊維の圧縮硬化体の製造方法及びその製造方法により製造した竹繊維の圧縮硬化体 Download PDF

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Description

本発明は、竹を原材料とする竹繊維の圧縮硬化体の製造方法及びその製造方法により製造した竹繊維の圧縮硬化体に関する。
従来、竹中に含まれる竹繊維は、比強度、比剛性等に優れていることが知られている。また、近年の放置竹林の増加に伴い、竹を資源として有効に利用する方法が求められており、竹を原材料とした竹製品やその製造方法に関して種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、多数の割竹片(竹を長手方向に切り出した分割竹片)を、その繊維方向を統一して積層化させた状態で、割竹片の厚さ方向に圧縮力を加えて一体固化させた竹を用いた集成材が開示されている。
しかしながら、円環状の竹の肉厚部分から断面長方形状の竹片を削り出して形成するためには、竹材の外周面と内周面の湾曲部分を除去する必要があり、竹材すべてを有効活用することができず歩留まり効率が極めて低い。
また、竹材は、その大半が、比較的強度の強い維管束と比較的柔らかい柔細胞により構成されており、竹材の外皮側と内皮側で維管束と柔組織の分布密度が異なる。
竹繊維を一体に形成するために用いられる割竹片は、前述の通り外皮側の割竹片と内皮側の割竹片とで維管束と柔組織の分布密度が異なるため、割竹片を均質に密に圧縮することが困難であり、割竹片同士の間に隙間もできやすいため、得られる集成材の強度は十分ではなかった。また、隙間ができやすいため、意匠性の点でも課題があった。
特許文献2には、竹を一本乃至数本の維管束からなる加工竹材とした後、その長さ方向をほぼ同一方向に揃え、接着剤と共に所定形状に加熱圧縮成形した薄板を複数枚積層し、接着剤で接着して薄板が積層された竹製合板とする方法が記載されている。
しかしながら、このような方法では、薄板を張り合わせているので、薄板と接着剤とで機械強度にむらが生じたり、薄板の品質のばらつきにより、収縮やひび割れなど得られる竹製合板の品質にばらつきが生じやすかった。
また、薄板を製造した後に、これを複数枚積層して、接着剤で接着する必要があり、工程数が多いため、生産性や生産安定性も低くなりやすいという課題があった。また、製品の厚みによって生産性が左右されるため、異なる寸法の製品を効率よく製造しにくいという課題があった。
特開2002−210709号公報 特開2003−39407号公報
かかる状況下、本発明の目的は、従来にない竹繊維の分解技術と熱硬化性樹脂の毛細管現象にともなう接着効果とにより意匠性に優れ、均質な機械強度を有する竹繊維の圧縮硬化体を製造できる製造方法を提供することである。また、意匠性、機械強度に優れた、竹繊維の圧縮硬化体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、(1)以下の工程を有する、竹繊維の圧縮硬化体の製造方法及びその製造方法で製造した竹繊維の圧縮硬化体である。
第1工程:原料となる竹を長手方向に沿って数分割に割った分割竹片を、ローラプレスにより分割竹片の繊維の一部を解きほぐし竹繊維集合体とし、その他は細竹片を残した未解繊竹片集合体とし分割竹片の竹繊維集合体と細竹片の未解繊竹片集合体とはそれぞれ分離せず一体に繋がった竹繊維混合体とする工程
第2工程:竹繊維を乾留処理する工程
第3工程:乾燥処理工程
第4工程:熱硬化性樹脂中に熱乾燥処理した竹繊維混合体を浸漬する工程
第5工程:熱硬化性樹脂から取り出した竹繊維混合体を乾燥する工程
第6工程:熱硬化性樹脂の含浸した竹繊維混合体を金型に投入して加圧圧縮して竹繊維混合体の圧縮体を形成する工程
第7工程:圧縮体を加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させて圧縮硬化体を得る工程
よりなる。
また、本発明に係る竹繊維の圧縮硬化体の製造方法では、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記竹繊維混合体は略シート状であること。
(3)第3工程において、圧力25N/mm2以上で圧縮を行うであること。
(4)前記竹繊維の圧縮硬化体の密度が、0.8〜1.2g/cm3であること。
(5)第4工程の前において、竹繊維混合体に機能性材料を付与する工程を設けこと。
(6)第7工程において、120〜230℃で加熱を行うこと。
(7)前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂またはイソシアネート樹脂であるであること。
また、本発明に係る圧縮硬化体は、(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法により製造された竹繊維の圧縮硬化体であることを特徴とする。
この発明によれば、ローラプレスにより、分割竹片を竹繊維集合体と未解繊竹片集合体とにより一体に繋がる竹繊維混合体とすることにより、分割竹片は竹繊維集合体と細竹片集合体の絡んだ一体化の竹繊維ブロックとし、この竹繊維混合体を乾留処理した後に熱硬化性樹脂中に浸漬したことにより、液状の熱硬化性樹脂は毛細管現象により竹繊維混合体における竹繊維集合体の間に浸入するが、その竹繊維集合体の隣接間には未解繊竹片集合体が介在して微空間を介して一体に繋がっているために、従来の未解繊竹片集合体を有しない竹繊維集合体のみの竹繊維ブロックに比し、毛細管現象による熱硬化性樹脂の吸収量が一定量に制約されることになり、過多量の熱硬化性樹脂の含有水分を保有することなくその後の加圧圧縮工程で熱硬化性樹脂の含有水分のほとんど充分に排斥することができ、含有水分が有効圧縮の反発力となることがない。従って、フェノール樹脂等の熱硬化成分と竹繊維混合体とが完全一体の融合状態で圧縮硬化体を形成することができる効果がある。
原料竹の処理過程を示す説明図である。 分割竹片をローラプレスに供する状態を示す説明図である。 ローラプレスの内部構成を示した説明図である。 分割竹片、竹繊維混合体、竹繊維集合体、未解繊竹片集合体の構成を示した説明図である。 他の例に係るローラプレスの構造を示した説明図である。 竹繊維混合体の構造を示した説明図である。 竹繊維混合体の構造を示した説明図である。 乾留処理の様子を示した説明図である。 乾燥処理の様子を示した説明図である。 浸漬処理の様子を示した説明図である。 乾燥処理の様子を示した説明図である。 繊維混合体の圧縮体を形成する工程を示した説明図である。 繊維混合体の圧縮体を形成する工程を示した説明図である。 繊維混合体の圧縮体を形成する工程を示した説明図である。 加熱処理の様子を示した説明図である。 圧縮硬化体の形状を示した説明図である。
本発明は、従来にない竹繊維の分解技術と熱硬化性樹脂の毛細管現象に伴う接着効果とにより意匠性に優れ、均質な機械強度を有する竹繊維の圧縮硬化体を製造できる製造方法を提供するものである。
特に、本実施形態に係る竹繊維の圧縮硬化体の製造方法では、その要旨として、次の第1工程から第7工程よりなる点で特徴的である。
すなわち、第1工程は、原料となる竹を長手方向に沿って数分割に割った分割竹片を、ローラプレスにより分割竹片の繊維の1部を解きほぐし竹繊維集合体とし、その他は細竹片を残した未解繊竹片集合体とし、分割竹片の竹繊維集合体と細竹片の未解繊竹片集合体とはそれぞれ分離せず一体に繋がった竹繊維混合体とする工程である。
また、第2工程は竹繊維を乾留処理する工程であり、第3工程は乾燥処理工程、第4工程は熱硬化性樹脂中に熱乾燥処理した竹繊維混合体を浸漬する工程、第5工程は熱硬化性樹脂から取り出した竹繊維混合体を乾燥する工程、第6工程は熱硬化性樹脂の含浸した竹繊維混合体を金型に投入して加圧圧縮して竹繊維混合体の圧縮体を形成する工程、第7工程は圧縮体を加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させて圧縮硬化体を得る工程である。
また、前記竹繊維混合体は略シート状の解繊竹繊維体であることを特徴とする。
また、第3工程において、圧力25N/mm2以上で圧縮を行うであることを特徴とする。
また、前記竹繊維の圧縮硬化体の密度が、0.8〜1.2g/cm3であることを特徴とする。
また、第4工程の前において、竹繊維混合体に機能性材料を付与する工程を設けことを特徴とする。
また、第7工程において、120〜230℃で加熱を行うことを特徴とする。
また、前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂またはイソシアネート樹脂であるであることを特徴とする。
また、上記のいずれかに記載の製造方法により製造された竹繊維の圧縮硬化体であることを特徴とする。
また、前記竹繊維混合体が略シート状の解繊竹繊維体である
また、第3工程において、圧力25N/mm2以上で圧縮を行うことを特徴とする。
また、前記竹繊維の圧縮硬化体の密度が、0.8〜1.2g/cm3であることを特徴とする。
また、第4工程の前において、竹繊維集合体に機能性材料を付与する工程を設けることを特徴とする。
また、第7工程において、120〜230℃で加熱を行うことを特徴とする。
また、前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂またはイソシアネート樹脂であることを特徴とする。
また、上記いずれかに記載の製造方法により製造された竹繊維の圧縮硬化体であることを特徴とする。
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
この発明の実施例は以下の各工程より構成されている。
<第1工程>
第1工程は、原料となる竹を長手方向に切り出した分割竹片を、ローラプレスにより分割竹片の繊維の一部を解きほぐしささくれ立った竹繊維よりなる竹繊維集合体とし、その他は細竹片を残した未解繊竹片集合体とし、分割竹片の竹繊維集合体と細竹片の未解繊竹片集合体とはそれぞれ分離せず一体に繋がった竹繊維混合体とする工程である。
すなわち、分割竹片11は、図1(a)に示すような原料となる竹(以下、原料竹10ともいう。)を、図1(b)に示すように縦割りして長手方向に切り出したものである。また、原料竹10を縦割りして長手方向に切り出した後に、湾曲部分を取り除いて平板状の分割竹片とすることもできる。なお、竹外周面に形成された竹節に対応する内部の竹節膜は竹の筒状の内部を節毎に仕切っているが、この節膜は竹割りする前に予め節抜き棒によって除去する。
長手方向に切り出した分割竹片11は、平板状でも、湾曲した構造であってもよいが、湾曲した竹片を用いれば、湾曲した余分な部分として切り落とす必要がなく、竹を有効に利用することができ、原料竹10を縦割りした後にそのまま利用できるので、加工も容易である。また、分割竹片11は湾曲した構造の方が、後述のローラプレスに供した際に分割竹片11の肉厚内部で応力集中によるひずみを発生させやすく、竹繊維混合体の形成をより容易とすることができる。
なお、本発明において用いられる原料竹10の種類は特に限定されるものではなく、竹、具体的には、イネ科タケ亜科に属するタケ類やササ類、例えば、モウソウチク、マダケ、ハチク、メダケ等本類に属する種々の竹を用いてよい。
竹は、好ましくは2年以上、さらに好ましくは3年以上生育したものが本発明の目的に合う。この原料竹10は、伐採後の竹から枝葉の部分を取り除いて用いるが、その後表皮の付いたものをそのまま使用してもよく、また表皮部分を剥いでしまったものを用いてもよい。本発明では、竹は生に近い状態のものが原料として好ましく用いられる。また、以降の適当な工程で、表皮を剥いでしまってもよい。
また、原料竹10の分割は、鋸や斧等の分割機を用いて実施することができる。竹の分割数は、5分割、6分割、8分割、16分割等、竹の種類や太さに応じて適当な分割数にすればよい。
分割竹片11は、例えば図2に示すようなローラプレス12により転圧されて竹繊維集合体と未解繊竹片集合体の混合体に形成されて最終的に竹繊維混合体となる。
竹繊維混合体は縦方向に竹繊維毎に分解された竹繊維集合体と分繊する竹繊維まで細断せずに長手状の細竹片を残した未解繊竹片集合体の混合体となっている。
この竹繊維混合体を形成するローラプレス12の構造は、例えば図3に示すように、円柱状のローラ13を順次並列に配置し、上下対に各複数列架設して4段階のローラ集合体14を形成している。すなわち、4段階のローラ集合体は、2列の初動プレスローラ群13aと、4列の第一中間ローラ群13bと、同じく4列の第二中間ローラ群13cと、最終の4列の最終プレスローラ群13dとより構成している。
すなわち、上下対にして14対並べた14連の圧延ローラプレスとし各ローラはいずれも同径(例えば、直径250mm)としている。
かかる各ローラ群13a〜13dのローラ13の周面には、一定形状の凹凸が形成されている。
具体的には、2列の初動プレスローラ群13aの各周面には、ローラ13の横長手方向に沿って横筋溝が一定間隔で形成されている。
4列の第一中間ローラ群13bの各周面には、円形周面に沿って縦筋溝が一定の間隔で横並列に形成されている。
4列の第二中間ローラ群13cも4列の最終プレスローラ群13dも同様に円形周面に沿って縦筋溝が一定の間隔で横並列に形成されている。
いずれのローラ13も表面に形成される横筋溝も縦筋溝も深さと幅員を約2mmとしている。
各溝のそれぞれ隣接する溝との間隔は、始めの2連は約10mm間隔、次いで4連ずつ約5mm間隔、約3mm間隔、約2mm間隔として順次間隔を狭く形成させている。
すなわち、初動プレスローラ群13aは、曲面状の竹材が入るので対になるローラの間隔を広くし、第一中間ローラ群13bから第二中間ローラ群13cへ順次この間隔を狭くして圧縮効果を高め、最終プレスローラ群13dは、圧力14N/mm2として圧縮、分繊機能を果たすように構成している。
上記したローラプレス12は、14連のローラにより構成しており、各ローラ13を初動プレスローラ群13a〜最終プレスローラ群13dよりなる4段階のローラ集合体14とし、ローラ13の周面の縦横筋溝の隣接溝間隔を初めの2連は約10mm間隔、次いで4連ずつ約5mm間隔、約3mm間隔、約2mm間隔として順次間隔を狭く形成させているが、各ローラ13の列数と各溝の隣接溝との間隔はこれに限定されることなく、要は複数段のローラ13であること、ローラ13の周面の溝形状は初動プレスローラ群13aはローラ13の横長手方向に沿って横筋溝が一定間隔で形成されていること、その下手側の各ローラ群13b〜13dは円形周面に沿って縦筋溝が一定の間隔で横並列に形成されていること、各ローラ13の周面の多数の溝のそれぞれ隣接する溝間隔は、初動プレスローラ群13aから順次間隔を狭く形成していること等を選択的な要件とすることにより、図4(a)に示す分割竹片11から図4(b)に示すような本発明の竹繊維混合体15を形成することができる。
このようなローラプレス12によって形成される竹繊維混合体15は、分割竹片11の縦方向に竹繊維毎に分解された図4(c)にて模式的に示すような比較的細かな竹繊維集合体16と、分繊する竹繊維まで細断せずに長手状の細竹片を残した図4(d)にて模式的に示すような未解繊竹片集合体17との混合体である。これら竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17との割合は約7:3〜6:4とするのが好ましい。
また、竹繊維集合体16は、未解繊竹片集合体17の周面辺を並行状態で隣接して囲むように長手方向に集合されている。しかも重要なことは、竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17とは、分離することなく連続して一体に繋がった集合体を形成している。このような竹繊維の分解形態とするためにローラプレス12は上記のように構成されている。
このようなプレスローラの構造とすることにより分割竹片11は、まず対の初動プレスローラ群13a間で圧潰されて、断面半円弧状の分割竹片11が略平板状に押し潰される。この際には初動プレスローラ群13aの周面には、ローラ13の横長手方向に沿って横筋溝があるために、特に断面半円弧状の分割竹片11の半円弧隆起部分を押圧して圧潰することになり、分割竹片11は縦割れして多数の長手細竹片が繋がったままに形成される。
次いで、ローラ13の対向間隔がより狭い第一中間ローラ群13b間にこの長手細竹片の集合体が搬送されて侵入してくる。第一中間ローラ群13bのローラ13では対向間隔がより狭くなっているために、縦割れの長手細竹片は更に圧潰されて細竹片の一部は圧潰によりほぐされて竹繊維のささくれ立った分繊状態となる。
特に第一中間ローラ群13bのローラ13の周面には円周面にそってローラ13の長手方向と直交する縦筋溝が一定間隔で多数並設されているため、各縦筋溝間の凸環状部が長手細竹片の肉厚部を長手方向に沿って圧潰することになる。
すなわち、細竹片の竹繊維の流れに沿って圧潰作用が働くため、竹繊維は横方向にバラバラにほぐされた状態となり竹繊維集合体16の形態を現出する。他方、ローラ13の円周面の縦筋溝に対応する細竹片の円周面では、凹状の横筋溝と当接するものの細竹片を圧潰する作用が働かないために凸環状部で押潰されるのと異なり長手細竹片を可及的に残した状態となる。
この際に、仮に縦筋溝の溝内側面形状を外方末広がりのテーパー状とすれば、凸状環状部は台形となるため細竹片の両側縁部は台形の凸状環状部両側形状により漸次圧潰応力が減殺される。
従って細竹片の両側縁部は凸状環状部の台形側面により徐々にほぐされた竹繊維集合体16となり、本来の竹繊維集合体16と混合しながら横測方の未解繊竹片集合体17と繋がりのある一体化した竹繊維混合体15を形成しやすい。
かかる分繊状態の竹繊維混合体15は更に第二中間ローラ群13cに至ると、更に対向間隔が狭いローラ13間で圧潰されて竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17とは互いに繋がりながらシート状に形成される。すなわち、一部ほぐし状態の竹繊維とほぐされないで残った細竹片とを一体に混合したシート状の竹繊維混合体15を形成することができる。
かかるローラプレス12により形成する竹繊維混合体15の組織形態はその後の熱硬化性樹脂の浸透工程や圧力圧縮工程に影響するものであり、重要な技術的要点となる。
なお、初動プレスローラ群13aの下手に配設した第一、第二中間ローラは、第一又は第二の中間ローラとすることでもよし、要は初動プレスローラ群13aは周面の横長手方向に横筋溝を形成し、その下手側の中間ローラは円周面に縦筋溝を形成したことにある。
また、初動プレスローラ群13aにおける対向するローラ13の間隔は、分割竹片の肉厚により適宜調整することが出来るが、例えば後述する加圧力で対向するローラ13同士を接触させておき、搬送されてきた分割竹片11がローラ13間に介在した際に圧潰されるよう構成しておくことで最も効率的な分割竹片の圧潰作用を果たす。
また、第1工程では、竹繊維に分解することにより、分割竹片11中の水分が除去され、同時に分割竹片11中の柔細胞やリグニン類の大部分が除去される。繊維分解の程度は、柔細胞やリグニン類の大部分を除去できていれば、本発明の目的を達成できる範囲で使用目的に応じて適宜決定できる。
分割竹片11は、一本一本の竹繊維にまで分割することもできるが、一本一本の竹繊維にまでばらけないように分解し、竹繊維混合体15とすることが本発明の製造方法の特徴のひとつである。竹繊維混合体15とすることで、以降の取り扱いが容易になり、また、第3工程において、繊維方向を略平行に重ねやすく、より均一に圧縮されやすくなる。
また、第1工程では、分割竹片11を分解し、シート状の竹繊維混合体15を得ることが好ましい。すなわち、竹繊維混合体15は、分割竹片11が平たく引き伸ばされ、竹繊維が、竹繊維の繊維方向と直行する方向に平たく繋がったシート状の構造体であることが好ましい。シート状とすることで、形状の揃った竹繊維体が得られやすく、第3工程において、竹繊維体をより略平行に重ねやすくなるので、圧縮体内部に空隙がより発生しにくくなる。
本発明の竹繊維集合体16の竹繊維は、一本一本の維管束になる状態まで分繊されたものでもよいが、必ずしも一本の維管束にまで分繊される必要はなく、2、3本程度の維管束が集まった状態のものが含まれていてもよい。
分割竹片11を分繊し、竹繊維集合体16を得る方法は、本発明の目的を損なわない限りで適宜選択可能であるが、例えば、分割竹片11の長手繊維方向と直交する方向から高圧を加える方法などがあげられる。
例えば、回転する上下対になったローラ13の間に分割竹片11を挿入し、ローラ13間の圧力で圧潰する圧延ローラプレス12で、分割竹片11を分解することができる。この時、分割竹片11を分解し、竹繊維混合体15にしやすくするためには、複数の対のローラを並べた多段圧延ローラプレス12を用い、前段では比較的圧を小さく、徐々に圧を高くしていくのがよい。本発明では、好ましくは5〜20段圧延ローラプレス12を用いることが好ましく、10〜15段圧延ローラプレス12を用いることがさらに好ましい。
ローラ13にかかる圧力や温度は、本発明の目的を達成できる範囲で適宜選択でき、後段でのローラ13ではローラ13にかかる圧力を好ましくは5〜20N/mm2、さらに好ましくは7〜15N/mm2とする。一般的に、温度は通常室温である。
ローラ13は、その表面の円周方向に沿って複数の溝を設けるのが好ましい。溝は、断面が四角形状でもよいが、溝の壁面が斜面になってローラ13の表面で広く、奥で狭くなった三角形状または台形状とし、幅が1〜5mm、好ましくは2〜3mm程度、深さが1〜5mm、好ましくは2〜3mm程度とするのがよい。
分割竹片11は、圧延ローラ13による上下方向の圧搾によって圧潰されるが、三角形状または台形状の溝の場合には、さらに斜面の壁による部分的な横方向の力が加わり、より効率よく押し潰されていく。
従って、溝は、前段ローラ13では広い間隔、例えば5〜10mm間隔とし、後段ローラ13にいくに従い間隔を狭くしていき、最終段ローラ13では、例えば1〜3mm間隔にしていくのがよい。かかる溝の形状にともなう分割竹片の分解と分繊作用については、すでに前述の通りである。
ところで、上述した如く竹繊維混合体15の形成にあたっては、図3に示したように、2列の初動プレスローラ群13aと、4列の第一中間ローラ群13bと、同じく4列の第二中間ローラ群13cと、最終の4列の最終プレスローラ群13dとより構成した4段階のローラ集合体14を備える上下対にして14対のローラ13を並べた14連の圧延ローラプレス12を用いたが、ここで、更なる本発明の理解に供すべく、先に述べたローラプレス12とは別の構成を備えるローラプレス20について説明する。
図5(a)は、他の例に係るローラプレス20の内部構成を示した模式図である。このローラプレス20は、先のローラプレス12と同様に4段階のローラ集合体14を備える点で共通するが、各段階におけるローラ対の数が少ない点や、最終プレスローラ群13dよりも下流側に、更なる別のローラ13を加えている点で構成を異にしている。
図5(a)に示すようにローラプレス20は、4段階からなるローラ集合体14と、揉摺りローラ集合体21と、均しローラ22とを備えている。
ローラ集合体14は、先のローラプレス12と同様に、初動プレスローラ群13aに相当する初動プレスローラ13eと、第一中間ローラ群13bと、第二中間ローラ群13cと、最終プレスローラ群13dとで構成されるが、初動プレスローラ13eは一対、第一中間ローラ群13b〜最終プレスローラ群13dはそれぞれ二対で構成しており、ローラプレス12と比較してローラ集合体14におけるローラ13の対の数を半分、すなわち7つのローラ対で構成している。なお、各段でのローラ13の表面に形成された溝の構成については、ローラプレス12と同様である。
揉摺りローラ集合体21は、ローラ集合体14の圧潰により形成された竹繊維混合体15を更に揉摺ることで、竹繊維集合体16や未解繊竹片集合体17が互いに連結した状態を可及的に保ちながら、偏在状態の未解繊竹片集合体17を略均等に分散した状態とするためのローラ群であり、第1揉摺りローラ21aと第2揉摺りローラ21bとの2対のローラ13で構成している。
第1揉摺りローラ21aや第2揉摺りローラ21bは、図5(b)に示すように、軸方向に亘って比較的なだらかな波状(サイン波や上下半円弧の連続した波形のようにローラ直径の大小が滑らかに繰り返された形状)の表面が形成されたローラであり、対向するローラのうち一方のローラの山部21cは、他方のローラの谷部21dと噛み合うよう配置されている。
また、第2揉摺りローラ21bは、第1揉摺りローラ21aと同じ山谷間隔としても良いが、第1揉摺りローラ21aよりも山谷間隔を狭めた波形状に形成しても良い。このような構成とした場合、より緻密な揉摺りを行うことができる。
多くの場合、使用する原料竹10は天然物であり太細や肉厚の違いがあることから、竹繊維混合体15の均一性を確保するのが困難であるが、第1揉摺りローラ21a又は第2揉摺りローラ21bのいずれかであったり揉摺りローラ集合体21を備えるローラプレス20によれば、ローラ集合体14にて一旦形成された竹繊維混合体15を第1揉摺りローラ21aと第2揉摺りローラ21bで更に揉摺りを行うことで、未解繊竹片集合体17の偏りを防止して、均質な竹繊維混合体15を製造可能としている。
また、ローラプレス20においては均しローラ22を備える点でも特徴的である。均しローラ22は溝のない平坦な周面を有するローラであり、揉摺りローラ集合体21によって処理された未解繊竹片集合体17を挟圧することで未解繊竹片集合体17を平に均して、後述する乾留や乾燥効率を向上させたり、型枠内への配置をより容易にすることができる。
このようなローラプレス20で分割竹片11を処理することにより得られた竹繊維混合体15を図6及び図7に示す。
図6(a)は竹繊維混合体15の全体的な状態を示す説明図であり、図6(b)は竹繊維混合体15の端面の状態を示す説明図である。図6(a)及び図6(b)に示すように、竹繊維混合体15は、比較的大きめの未解繊竹片集合体17と比較的小さめの竹繊維集合体16とが未だ分離せず全体的に連結して一つにまとまった状態であることが分かる。
また、図7(a)は竹繊維混合体15の一端側を左右に開いた状態について示した図であり、図7(b)はその端面における状態を示した説明図であるが、各未解繊竹片集合体17は他の未解繊竹片集合体17と直接連結していたり、竹繊維集合体16を介して連結している状態が確認される。特に、黒矢印で示す竹の節の部分で竹繊維集合体16や未解繊竹片集合体17の連結状態がより強固に保たれており、竹繊維集合体16や未解繊竹片集合体17が分離せず一体的な形状であることが分かる。
このような竹繊維混合体15の構造について付言するならば、竹繊維混合体15は、複数の未解繊竹片集合体17が未解繊竹片集合体17からささくれ状に分岐した竹繊維集合体16によって互いに架橋されたささくれ架橋構造を備えていると言え、また適宜、節部においてそのささくれが集中連結した構造を備えることで更に良好な一体保持性を発揮可能なものであると言える。
また、発明の製造方法では、第1工程の前に、原料竹10を長手方向に切り出した分割竹片11の乾留処理を行うことが好ましい。すなわち、原料竹10を長手方向に切り出した分割竹片11を分解する前に乾留処理を行うことが好ましい。竹は竹本来の有する糖分が多く害虫が付きやすくかびが発生しやすいが、乾留処理を施すことにより竹中の糖類や各種酸類が変質し、防かび材を使用することがなくかびの発生を抑えることができる。また竹稈肉質部に産みつけられる可能性のある虫卵を殺滅することができる。さらに、竹内部の成分が抜け出し、より多孔質になるため、脱臭等の効果が向上する。
また、乾留処理後の分割竹片11は、時間の経過とともに固くなる性質があり、分割竹片11を分解することが困難になる。このため、第1工程の前に、分割竹片11の乾留処理を行う場合には、乾留処理後速やかに、好ましくは乾留処理を行った後24時間以内に分解を行うのがよい。また、圧縮硬化体を構成するために使用される分割竹片11の全てを乾留処理してもよいが、必ずしも全てを乾留処理する必要はない。圧縮硬化体を構成するために使用される分割竹片11の一部だけを乾留処理してもよい。
また、本発明では、第1工程の前に乾留処理を行わずに、ローラプレス12,20により竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17よりなる竹繊維混合体15を形成した後に乾留処理を行う。すなわち第1工程の前に乾留処理を行わずに、第2工程において乾留処理を行うものである。
乾留処理にともなう効果は、前述の通り乾留残留物(竹繊維混合体)に対してかび防止、虫卵減殺、脱臭及び最終製品の色合いを決定する着色効果を目的としている。
なお、ここでいう乾留処理とは、空気を遮断して加熱分解を行う処理であり、具体的には、例えば図8に示すようなオートクレーブ装置25を使用することができ、約100℃〜180℃、4〜6気圧で約40〜180分間の乾留処理を行う。乾留処理を行うことにより、竹繊維集合体16は柔軟性を生起し、他方、未解繊竹片集合体17は竹繊維集合体16程に柔軟とならず硬質部分が残留するために竹繊維集合体16が未解繊竹片集合体17に纏いつく現象を生起して各集合体がより絡むことになり竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17との一体の繋がり形態を保持しやすくなる。なお、乾留処理を行うにあたり、オートクレーブ装置25内に収容する分割竹片11(又は竹繊維混合体15)は、図8中において破線で示すように縦方向に配置するのが好ましい。このような配置とすることにより、横方向(寝かせた状態)に配置した場合に比して収容した分割竹片11や竹繊維混合体15に対し均一な乾留処理を施すことができる。
同時に後工程での毛細管現象による硬化剤の浸透を促進することができる。
ここで、乾留処理において乾留温度を100℃未満とすると乾留時間が長くなるばかりか、上述の乾留処理に伴う効果が充分に得られない。乾留温度を180℃より高くすると竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17との一体の繋がり形態が完全に分解されて最終製品の強度が落ちてしまう。
また、乾留時間の調整により最終製品の色合いを決定することができ、より具体的には約120分〜180分の乾留時間で木質的色のうち比較的濃色のマホガニー系色を生起し、約40分〜120分の乾留時間で比較的淡色の松系色や桜系色を生起できる。また、このように乾留時間を違えた竹繊維集合体16を後工程に供することにより最終製品の色彩にバリエーションをつけることも可能である。
また、竹繊維集合体16は維管束の形状の特殊性により維管中を加熱伝播する処理によって柔軟性が向上するものの、未解繊竹片集合体17は一部未解繊の分繊されない竹繊維集合体16であるため維管内部にまで加熱伝播されにくい。
従って、柔軟な竹繊維集合体16を周辺に集めて一枚のシート状の竹繊維混合体15でありながら未解繊竹片集合体17を中心にブロック化した多数の分解竹繊維の集合体を形成しているため、次工程の熱硬化性樹脂浸漬工程において熱硬化性樹脂の毛細管現象の機能を一定の吸引量に制御し適量の硬化剤含有量とする。
なお、熱硬化性樹脂の繊維間の浸透含有量が過大とならないように適量に制御することが必要な理由は、熱硬化性樹脂の水分が過大に繊維間に浸透するとその後に乾燥工程を経て水分の蒸散を行うけれども加圧圧縮工程で残留水分が加圧の反作用を行うことになり、充分な圧力を竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17の混合体の隅々まで及ぼすことができなくなることに起因する。
詳細は後述する通りである。
<第2工程>
第2工程は、オートクレーブ処理、すなわち、乾留処理を空気遮断状態で加熱分解して行う。その必要性及び乾留条件については、先に図8を参照しつつ説明したとおりである。
<第3工程>
第3工程は、乾留処理された乾留残留物としての竹繊維混合体15の乾燥を行う。この第3工程は、例えば図9に示すような乾燥装置26を使用することができる。また、乾燥装置26内に竹繊維混合体15を収容するにあたっては、先に述べたオートクレーブ装置25と同様に立たせた状態(縦方向)に配置することで均一な乾燥処理を施すことができる。
かかる乾燥工程により、竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17の混合体の繋がりの内部組織まで乾燥されることになり次工程の熱硬化性樹脂への浸漬による樹脂吸着を促進すると共に、それに伴う毛細管現象を生起して繊維間に液状樹脂を充分に含浸管理することができる。
すなわち、熱硬化性樹脂は竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17の混合体の隣接間隙や各集合体組織の竹繊維間にまで浸透することができる。
<第4工程>
第4工程は、竹繊維混合体15に熱硬化性樹脂を含浸させる工程である。本発明の製造方法では、竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17の混合体よりなる竹繊維混合体15に熱硬化性樹脂を含浸させるため、熱硬化性樹脂が竹繊維の細部の間隙にまで充分に含浸しやすくなる。
特に本発明では、本発明に特有のローラプレス12,20により分割竹片11を竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17とが繋がる竹繊維複合体とすることにより、分割竹片11の繊維と細竹片が絡んで一体化した竹繊維ブロックとなる。
この竹繊維混合体15を乾留処理した後に熱硬化性樹脂中に浸漬することになるため、液状の熱硬化性樹脂は竹繊維混合体15における竹繊維集合体16の間に毛細管現象により侵入するがその竹繊維集合体16の間には未解繊竹片集合体17が介在して繋がっているために、従来技術における未解繊竹片集合体17を有しない竹繊維集合体16のみの竹繊維ブロックに比して、毛細管現象による熱硬化性樹脂の吸収量を過大とすることなく一定適量に制約することができる。
従って、その後の加圧圧縮工程において、制約された熱硬化性樹脂の含有水分の排斥が充分に行えることになり、多量の熱硬化性樹脂含有水分が有効なプレス圧縮の反作用として機能することを可及的に防止することができ、熱硬化性樹脂の熱硬化成分と竹繊維混合体15とを完全一体に融合した圧縮硬化体とすることができる。
熱硬化性樹脂は、分繊した竹繊維同士を接着できるものであれば限定されず、従来公知の接着剤に使用される樹脂を、竹繊維の圧縮硬化体の使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フェノール系樹脂系(Pタイプ)、ユリアーメラミン共縮合樹脂系(Mタイプ)、ユリア樹脂系(Uタイプ)や、メラミン樹脂、イソシアネート系樹脂、アクリル系エマルジョン接着剤、繊維BR系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、水性ビニルウレタン接着剤等を熱硬化性樹脂として用いることができるが、フェノール樹脂またはイソシアネート系樹脂を用いることが好ましい。また、これらの熱硬化性樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂の混合物であってもよい。
熱硬化性樹脂の含浸は、特に制限はなく、例えば図10に示すように熱硬化性樹脂溶液28を貯留した浸漬槽27に竹繊維混合体15を浸漬したり、竹繊維混合体15に対して熱硬化性樹脂溶液28を散布したりして行う。熱硬化性樹脂は、そのまま用いてもよいが、適当な溶媒に希釈したり、分散して用いてもよい。溶媒としては、水、アルコール等の有機溶媒を用いることができる。
熱硬化性樹脂成分の割合は、熱硬化性樹脂の種類や得られる圧縮硬化体の用途に応じて適宜決定すればよく、竹繊維混合体15の合計重量に対して、通常、5〜20重量%である。
また、本発明の目的を阻害しない限り、これらの熱硬化性樹脂に硬化剤、硬化促進剤、離型剤、脱泡材、紫外線吸収剤、充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
また、第4工程の前に、竹繊維混合体15を、煮沸処理(例えば、常圧下、100℃で煮沸処理)してもよい。すなわち、竹繊維混合体15に、熱硬化性樹脂を含浸する前に、竹繊維混合体15を煮沸処理してもよい。特に第1工程の前に乾留処理を行わずに分繊した竹繊維混合体15は、煮沸処理を行うことが好ましい。煮沸処理することで、乾留処理と同様に、竹中の糖類や各種酸類が変質し、防かび材を使用することなくかびの発生を抑えることができる。さらに、竹内部の成分が抜け出し、より多孔質になるため、脱臭等の効果が向上したり、熱硬化性樹脂が含浸しやすくなる。
また、第4工程の前に、竹繊維混合体15に、機能性材料を付与する工程を設けてもよい。例えば、竹繊維混合体15に、着色剤を付与すれば、竹繊維混合体15を着色することが可能である。また、竹繊維混合体15に、不燃性材料を付与すれば、竹繊維混合体15に不燃性を付与することが可能である。
機能性材料の付与は、特に制限はなく、例えば、竹繊維混合体15を、機能性材料中または機能性材料を含む液中に浸漬したり、竹繊維混合体15に対して、機能性材料または機能性材料を含む液を散布したりして、機能性材料を竹繊維混合体15に付与させればよい。
機能性を付与するために、分割竹片11に機能性材料を含浸させると、分割竹片11の内部にまで機能性材料が浸漬しにくく、また、機能性材料を浸漬させるためには時間を有するが、本発明の製造方法では、分割竹片11を分繊した竹繊維混合体15に、機能性材料を含浸させるため、機能性材料が分繊した竹繊維の内部まで浸漬しやすく、また、機能性材料を浸透させる時間も短くなる。
機能性材料としては、不燃材、難燃剤、撥水材、防腐剤、着色剤等が挙げられ、固体状であっても、液状であっても良い。具体的には、ポリホウ酸ナトリウム等を用いることができる。固体状の機能性材料を用いる場合には、適当な溶媒に溶解または分散させた後に、竹繊維混合体15に含浸させることができる。液状の機能性材料を用いる場合は、そのまま用いても、適当な溶媒で希釈または分散させてもよい。
<第5工程>
第5工程は、ローラプレス12,20により分繊した竹繊維混合体15を熱硬化性樹脂に浸漬した後に引き上げて液状樹脂を払い落として乾燥処理を行う。ここでは、自然乾燥あるいは強制乾燥して竹繊維混合体15の表面に露出した熱硬化性樹脂の乾燥を行い表面の樹脂をある程度乾燥して固化状態としてその後の取り扱い処理を行いやすくすると共に、次工程の加圧圧縮処理において加圧金型表面に液状の熱硬化性樹脂が付着するのを防止している。すなわち、竹繊維混合体15の表面意匠を保護し損傷しないためにもこの乾燥処理を行うことが好ましい。なお、本第5工程に係る乾燥処理もまた、第3工程と同様、乾燥装置26内に竹繊維混合体15を収容するにあたっては、図11に示すように立たせた状態(縦方向)に配置することで均一な乾燥処理を施すことができる。
<第6工程>
第6工程は、熱硬化性樹脂を含む竹繊維混合体15を、繊維方向を略平行に複数重ねて圧縮して、圧縮体を得る工程である。なお、「竹繊維混合体15の繊維方向を略平行に複数重ねて圧縮」とは、竹繊維混合体15の繊維方向がほぼ同一方向となるように重ねて圧縮するということで、本発明の目的を損なわない範囲で、竹繊維混合体15の繊維方向が交差しているものであってもよい。例えば、圧縮硬化体を構成する竹繊維混合体15の70%以上、より好ましくは90%以上が、形成される圧縮硬化体の繊維方向と竹繊維混合体15の繊維方向とのなす角が±10°以内となるように重ねられていればよい。
本発明の圧力圧縮形態として、竹繊維混合体15を無秩序に重ねたり、繊維方向が直交するように重ねて圧縮する一圧縮形態では角柱等の竹繊維圧縮の硬化ブロック製品を製造する場合に適用されるものである。この場合は、相当の圧力をかけることが必要であり、圧力が不足すると圧縮硬化体の組織には空隙ができやすく、機械強度や意匠性が不十分となりやすい。
本発明の他の圧力圧縮形態では、竹繊維混合体15を繊維方向が略平行となるように複数枚重ね、かつ長手の両側縁部が上下に向く横向き姿勢で上方から圧縮することにより単板硬化体とすることができる。かかる単板圧縮形態では均一に圧縮されやすく、空隙の少ない圧縮体を得ることができ、意匠性も優れたものとなる。
なお、従来技術のように分割竹片11をそのまま圧縮した場合は、分割竹片11の内部に柔細胞やリグニン類が存在するために仮に圧縮圧力を大きくしても高密度の圧縮体に形成することが難しい。しかし、本発明の製造方法では、ローラプレス12,20の特殊なローラ構成により、ささくれ立った竹繊維集合体16とまだ細竹片が残る未解繊竹片集合体17との一定の混合組織よりなる竹繊維混合体15を形成することができるため最終的には高密度の圧縮体を成形でき、しかも、圧力の調整により密度の異なる竹繊維の圧縮硬化体を得ることができる。
竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17との繋がった混合組織である竹繊維混合体15は本発明の特徴とするプレスローラによる圧力分繊作業によってのみ効率的に形成されることは既に説明した通りである。
圧縮処理は、一実施例として説明すると、例えば、任意の形状の金型の中に、金型の長辺と竹繊維混合体15の繊維方向とが平行になるように竹繊維混合体15を重ねた後、プレス機を用いて圧縮する場合(以下、整然配置法ともいう。)や、角筒状のシリンダー型の金型中に縦横斜め、上下転倒等の任意の姿勢で竹繊維混合体15を投入しピストン型のプレス機を用いて金型中で圧縮する場合(以下、ランダム配置法ともいう。)等の二種の実施態様が考えられる。
このように、熱硬化性樹脂を含む竹繊維混合体15を金型内に収納して上から鉄板で蓋をしてプレス機で設定した深さ(目的とする圧縮体の高さ)まで圧縮することができる。
金型の寸法は、製品の寸法や使用目的により適宜決定でき、例えば、内寸105mm×300mm×2000mmの金型を用いることができる。
竹繊維混合体15を金型内に容易に且つ均一に重ねて収容し圧縮するために、ほぼ同一形状やほぼ同一密度で繋がった竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17の混合体を用いることが好ましいが、必要に応じて竹繊維集合体16と未解繊竹片集合体17の密度割合や単繊維の細さがの異なる形状のものを併用してもよい。
また、金型内に重ねられる竹繊維混合体15は、1種であってもよく、2種位上の異なる竹繊維混合体15の組み合わせであってもよい。例えば、分割竹片11を乾留処理せずに分繊した竹繊維混合体15(A)、分割竹片11を乾留処理した後に分繊した竹繊維混合体15(B)、分割竹片11を乾留処理した後に分繊し、さらに、着色処理した竹繊維混合体15(C)の3種類の竹繊維混合体15の組み合わせであってもよい。
異なる竹繊維混合体15を組み合わせることで、得られる圧縮硬化体の意匠性をさらに向上させることできる。
また、意匠性を目的に応じて設計しやすく、機械強度や機能性も調整しやすい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、竹繊維混合体15以外の成分(例えば、一本一本にばらけた分繊竹繊維)が金型内には充填される実施形態でもよい。
また、本発明の製造方法は、分割竹片11と比較して柔軟な竹繊維混合体15を金型に充填するので、曲面金型を使用すれば、アーチ状に圧縮することもでき、加工性にも優れる。
圧縮の条件は、熱硬化性樹脂を含む竹繊維混合体15の重量や、目的とする圧縮硬化体の密度や大きさ、機械強度等を考慮して適宜決定される。圧縮雰囲気は、常圧下でも減圧下でもよい。
圧縮は、圧力25N/mm2以上で行うのが好ましく、圧力50N/mm2以上がより好ましい。圧力25N/mm2より小さい場合、圧縮に時間がかかるだけでなく、厚みがある圧縮体を圧縮した際に、内部に隙間が発生しやすくなる。本発明の目的を損なわない範囲であれば、圧力の上限は特に限定されず、例えば、圧力120N/mm2程度で圧縮を行うこともできる。圧力25N/mm2以上とすることで、厚みにかかわらず、機械強度のより優れた圧縮体を効率よく製造できる。
なお、熱硬化性樹脂を吸着した竹繊維混合体15を加圧圧縮する実施態様について具体的に説明する。
実施態様としては、三態様が考えられる。
第1の実施態様は図12(a)に示すように、略方形のシート状あるいはマット状に形成した竹繊維混合体15を、金型の長辺と竹繊維混合体15の繊維方向とが平行になるように加圧金型30内に投入してプレス用ピストン31の稼働によって加圧圧縮する実施態様である。最終製品は角柱様の形状とした製品が出来上がり、建築材料における鋼鉄支柱の代わりとなる強度を有する製品となる。
加圧金型30はその内部に竹材収容空間30aが形成された上方開口を有する箱型であり、長辺の両側壁上部近傍には、それぞれ対向する位置に閂棒挿通孔30bが複数対穿設されている。
この閂棒挿通孔30bは、竹材収容空間30a内に竹繊維混合体15を収容し、押圧板32を介してプレス用ピストン31により上方から加圧した後、図12(b)に示すように、竹繊維混合体15の上部に押圧板32を留置しつつ閂棒30cを挿入するための孔であり、竹繊維混合体15の反発力による押圧板32の上昇を規制して竹繊維混合体15への加圧力を維持した状態が保たれる。なお、以下の説明において、竹繊維混合体15が収容され押圧板32を介して閂棒30cにより加圧保持状態とした加圧金型30を加圧保持ユニット33とも称する。
第2の実施態様は図13に示すように、略方形のシート状あるいはマット状に形成した竹繊維混合体15を、加圧金型30内に任意の重複形態で投入してプレス用ピストン31の稼働によって加圧圧縮する実施態様である。この場合もまた、最終製品は角柱様の形状とした製品が出来上がり、建築材料における鋼鉄支柱の代わりとなる強度を有する製品となる。なお図13において加圧金型30には閂棒挿通孔30bが形成されていないが、予め加圧金型30に閂棒挿通孔30bを穿設し、押圧板32を配置した上で閂棒30cを挿通させ、加圧保持ユニット33を形成しても良いのは勿論である。
第3の実施態様は、図14に示すように、略方形のシート状あるいはマット状の竹繊維混合体15を方形加圧金型30内に平面部を重ねて長手方向の両側縁端面を上下に横並びに配置し、長手方向の上側縁端面側、すなわち、方形加圧金型30の上方からプレス用ピストン31により加圧する実施態様である。最終製品は単板圧縮硬化体の形状とした製品が出来上がり、テーブル、椅子、クローゼット、床暖房のフローリング、装飾品等の家具・日用品や各種木製製品の代替物や、楽器等で一定の強度を必要とする製品、ベランダデッキなどの耐候性を必要とする製品に使用することができる。なお、図14においても加圧金型30には閂棒挿通孔30bが形成されていないが、予め加圧金型30に閂棒挿通孔30bを穿設し、押圧板32を配置した上で閂棒30cを挿通させ、加圧保持ユニット33を形成しても良い。
このような加圧圧縮手段により第1の実施態様では角柱様のブロック圧縮硬化体に形成され、第2や第3の実施態様では板用の肉厚1mm以上の単板圧縮硬化体に形成される。なお、肉厚の1mm以下の突板に形成することも可能である。
かかる実施態様は、竹繊維の圧縮硬化体の使用目的によって第1又は第2の実施態様の成形体を選択することができる。
<第7工程>
前記圧縮体が圧縮された状態を維持できるように固定した後、好ましくは加圧保持ユニット33を構築した後に、図15に示すような加熱装置40内で加熱処理を行い、熱硬化性樹脂を硬化させ圧縮硬化体を得る工程である。
第6工程で得られる圧縮体を、圧縮状態が維持できるように固定するためには、例えば竹繊維混合体が詰まった加圧金型30の押圧板32を閂棒30cの如きピンで固定し、プレス機から取り出せばよい。このようにすることで、第6工程の終了時にはプレス機から、圧縮体は、加圧金型30中に圧縮された状態を維持した形で取り出せる。
加熱条件は、熱硬化性樹脂の種類や、熱硬化性樹脂と竹繊維混合体15の混合割合等を考慮して適宜決定すればよいが、熱硬化性樹脂を十分に硬化させるためには、加熱温度は、120℃が好ましく、150℃以上がより好ましい。また、230℃以下で加熱を行うことが好ましく、200℃以下がより好ましい。熱硬化性樹脂を十分に硬化させるためには、加熱保温時間は通常1〜20時間である。
図16に示すような第7工程で得られる圧縮硬化体41は、必要に応じて周囲を切削したり、任意の形状に切り出し使用目的に合うように加工処理を施してもよい。
特に、得られる圧縮硬化体41が密度0.8〜1.2g/cm3となるように、圧縮時の諸条件(圧力等)を調整することが好ましい。
密度の高い圧縮硬化体41は、圧縮時に圧縮体の内部にひずみの生じやすく、機械強度にばらつきが生じやすい。本発明の製造方法では、圧縮と加熱を同時に実施しないことにより、圧縮体の内部のひずみがより少ない状態で加熱硬化されやすく、均質な機械強度を有する圧縮硬化体41を得ることができる。そのため、密度の高い圧縮硬化体41であっても、本発明の製造方法で製造することにより、均質な機械強度を付与できる。
2.竹繊維の圧縮硬化体
また、本発明は、竹繊維の圧縮硬化体41であって、前記竹繊維の圧縮硬化体41は、竹繊維混合体15と熱硬化性樹脂とを含み、前記竹繊維の圧縮硬化体41の密度が、0.8〜1.2g/cm3である竹繊維の圧縮硬化体41である。
本発明の圧縮硬化体41は、上述した本発明の製造方法により、好適に製造することができる。
このような構成にすることで、空隙が少なく、均質な機械強度を有する圧縮硬化体となり、圧縮硬化体41の内部を切り出しても、優れた機械強度を有している。また、意匠性も均一であり、内部を切り出しても意匠性は損なわれない。
本発明の圧縮硬化体41を構成する竹繊維混合体15及び熱硬化性樹脂は、本発明の製造方法において上述した通りである。
また、本発明の圧縮硬化体41に含まれる竹繊維混合体15は、1種でもよく、2種以上でもよい。本発明の圧縮硬化体41は、2種以上の異なる竹繊維混合体15を含むことで、意匠性のさらなる向上が可能である。
本発明の圧縮硬化体41は、密度0.8〜1.2g/cm3である。寸法は使用目的に応じて適宜調整することが可能であるが、幅100mm以上、長さ1900mm以上、厚さ130mm以上が好適であり、例えば、幅100〜105mm、長さ1900〜2000mm、厚さ130〜150mm程度のブロック状の圧縮硬化体41は、本発明の圧縮硬化体41の好適な例の一つである。
また、ブロック状の硬化体から適宜使用目的に応じて、各種寸法の部材を切り出すこともできる。
また、本発明の圧縮硬化体41の用途としては、特に限定されないが、構造材、外装材、内装材、造作材等として建築用材、家具類、楽器等に使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
1.竹繊維の圧縮硬化体の製造
<実施例1>
1)工程(1a)
外径が約100mm、肉厚約10mmのモウソウタケを長手方向に8分割し、分割竹片を得た。この分割竹片を室温で2日間水に浸漬しておいた後、これを直径250mmのローラを上下対にして14対並べた14連圧延ローラプレスを用い、室温にて、始めの2連のローラプレスは、曲面上の竹材が入るので対になるローラの間隔を広くし、順次この間隔を狭くして圧縮効果を高め、最終ローラは、圧力14N/mm2として圧縮、分繊した。最後に、ベルトコンベアー式乾燥機を用い70℃で乾燥して、シート状の分繊竹繊維を得た。
なお、ローラ表面には、幅が2mm、深さが2mmの溝を、始めの2連は約10mm間隔、次いで4連ずつ約5mm間隔、約3mm間隔、約2mm間隔として順次間隔を狭く形成させた。
かかるローラプレス処理により、次のような竹繊維集合体と未解繊竹片集合体とよりなるシート状の竹繊維混合体が形成される。すなわち、次の第1工程から第7工程より竹繊維混合体を主体とした竹繊維の圧縮硬化体が形成される。
第1工程においては、竹繊維混合体をつくるために、原料となる竹を長手方向に沿って数分割に割って形成した分割竹片をローラプレスにより分割竹片の繊維の1部を解きほぐして竹繊維集合体とし、その他の残竹片は細竹片を残した未解繊竹片集合体とする。しかも、分割竹片の竹繊維集合体と細竹片の未解繊竹片集合体とはそれぞれ分離せず一体に繋がった竹繊維混合体となるようにする。その後、第2工程で竹繊維を乾留処理し、第3工程では乾燥処理を行い、第4工程では、熱硬化性樹脂中に熱乾燥処理した竹繊維集合体を浸漬し、第5工程で熱硬化性樹脂から取り出した竹繊維集合体を乾燥し、第6工程では、本発明の主要工程となる加圧圧縮工程であり、熱硬化性樹脂を含浸した竹繊維混合体を金型に投入して加圧圧縮して竹繊維集合体の圧縮硬化体の前段階となる竹繊維圧縮体を形成し、第7工程では、竹繊維圧縮体を加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させて圧縮硬化体を得る。
このように、この発明では高圧力による加圧圧縮工程を経て熱硬化性樹脂を竹繊維間に浸透させ竹繊維混合体の繊維組織間に硬化剤を介入させて硬化剤を有効に作用させて最終的に圧縮硬化体を形成するものであるが、かかる最終製品としての圧縮硬化体の品質(硬度、色彩、整形)の良否は、ローラプレスによる機械的な分繊作用と分繊後の各種繊維の繋がり形態によるところが多いと考えられている。
すなわち、竹繊維集合体と未解繊竹片集合体との別個の繊維形態に形成するものの、各繊維集合体は互いに繋がった状態でバラバラに分離しない長方形状のシート状態、或いはマット状態をつくるようなローラプレス工程が重要な実施工程となる。
2)工程(4a)
工程(1a)で得られたシート状の竹繊維混合体を、シート状の竹繊維混合体と熱硬化性樹脂(溶剤を除く樹脂部分)が85:15(重量比)となるように樹脂溶液に浸漬して含浸せしめ、50℃で1時間乾燥した。熱硬化性樹脂として、レゾルシノールフェノール共縮体系樹脂を用いた。
3)工程(6a)
熱硬化性樹脂を含むシート状とした34500gの竹繊維混合体を、底面が100mm×2000mmの金型に、金型長辺とシート状の竹繊維混合体の繊維方向とが平行になるように重ね、金型に充填し、上から鉄板で蓋をした。その金型を高圧プレス機により100N/mm2で圧縮を行い、100mm×2000mm×150mmの圧縮体を得た。
4)工程(7a)
工程(3a)で得た圧縮体を、圧縮状態が維持できるように、金型の蓋をピンで固定した後に、圧縮機から取り外した。この状態で200℃、2時間保持し、熱硬化性樹脂を硬化させた。冷却後、取り出し、100mm×2000mm×150mmの竹繊維の圧縮硬化体(1)を得た。
2.竹繊維の圧縮硬化体の評価
[密度]
得られた竹繊維の圧縮硬化体(1)は、密度が1.1g/cm3であった。
[曲げ強さ]
竹繊維の圧縮硬化体(1)から31mm×29mm×480mmの試験体を3個切り出し測定に用いた。なお、試験体は、竹繊維の圧縮硬化体(1)の繊維方向の長さが480mmとなるように切り出した。試験機は、株式会社島津製作所製、「万能材料試験機 AG-250KN」を用いた。
JI繊維 Z 2101-1994「木材の試験方法−曲げ試験」に準拠し、曲げ強さを評価した。試験速度は10mm/min、スパン430mmで測定した。各試料につき3回行い、平均値をもって測定値とした。結果を表1に示す。
[引張り強さ]
竹繊維の圧縮硬化体(1)から30mm×15mm×390mmの試験体を3個切り出し測定に用いた。なお、試験体は、竹繊維の圧縮硬化体(1)の繊維方向の長さが390mmとなるように切り出され、厚さは両端から100mmまでは15mmであるが、そこから漸次減少し両端から165mmの間部分はおよそ5.5mmとなっている。試験機は、株式会社島津製作所製、「万能材料試験機AG-250KN」を用いた。
JI繊維 Z 2101-1994「木材の試験方法−曲げ試験」に準拠し、引っ張り強さを評価した。試験速度は1mm/minで測定した。また、伸びの測定はビデオ伸び計を使用した。各試料につき3回行い、平均値をもって測定値とした。結果を表1に示す。
[圧縮強さ]
竹繊維の圧縮硬化体(1)から37mm×37mm×140mmの試験体を3個切り出し測定に用いた。なお、試験体は、竹繊維の圧縮硬化体(1)の繊維方向の長さが140mmとなるように切り出した。試験機は、株式会社島津製作所製、「万能材料試験機AG-250KN」を用いた。
JI繊維 Z 2101-1994「木材の試験方法−縦圧縮試験」に準拠し、縦圧縮強さを評価した。試験速度は1mm/minで測定した。結果を表1に示す。
[部分圧縮強さ]
竹繊維の圧縮硬化体(1)から31mm×29mm×90mmの試験体を3個切り出し測定に用いた。なお、試験体は、竹繊維の圧縮硬化体(1)の繊維方向の長さが90mmとなるように切り出した。試験機は、株式会社島津製作所製、「万能材料試験機AG-250KN」を用いた。
JI繊維 Z 2101-1994「木材の試験方法−部分圧縮試験」に準拠し、部分圧縮を評価した。試験機は、株式会社島津製作所製、「万能材料試験機 AG-250KN」を用いた。試験速度は1mm/minで測定した。各試料につき3回行い、平均値をもって測定値とした。結果を表1に示す。
Figure 0006898660
[ホルムアルデヒド発散性能]
JI繊維 Z 1460に準拠して、ホルムアルデヒド放出量(mg/l)を測定したところ、ホルムアルデヒドは不検出であった。
本発明の製造方法は、均質な機械強度の竹繊維の圧縮硬化体を安定に製造することができ、得られた竹繊維の圧縮硬化体は、木材の代替として、床材、壁材や天井材、家具材等に利用することができる。
10 原料竹
11 分割竹片
12 ローラプレス
15 竹繊維混合体
16 竹繊維集合体
17 未解繊竹片集合体
25 オートクレーブ装置
26 乾燥装置
27 浸漬槽
28 熱硬化性樹脂溶液
30 加圧金型
31 プレス用ピストン
32 押圧板
33 加圧保持ユニット
40 加熱装置
41 圧縮硬化体

Claims (8)

  1. 以下の工程を有する、竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
    第1工程:原料となる竹を長手方向に沿って数分割に割った分割竹片を、ローラプレスにより分割竹片の繊維の一部を解きほぐし竹繊維集合体とし、その他は細竹片を残した未解繊竹片集合体とし分割竹片の竹繊維集合体と細竹片の未解繊竹片集合体とはそれぞれ分離せず一体に繋がった竹繊維混合体とする工程
    第2工程:竹繊維を乾留処理する工程
    第3工程:乾燥処理工程
    第4工程:熱硬化性樹脂中に熱乾燥処理した竹繊維混合体を浸漬する工程
    第5工程:熱硬化性樹脂から取り出した竹繊維混合体を乾燥する工程
    第6工程:熱硬化性樹脂の含浸した竹繊維混合体を金型に投入して加圧圧縮して竹繊維混合体の圧縮体を形成する工程
    第7工程:圧縮体を加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させて圧縮硬化体を得る工程。
  2. 前記竹繊維混合体が、略シート状の解繊竹繊維体である、請求項1に記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
  3. 第3工程において、圧力25N/mm2以上で圧縮を行う、請求項1または2に記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
  4. 前記竹繊維の圧縮硬化体の密度が、0.8〜1.2g/cm3である、請求項1から3のいずれかに記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
  5. 第4工程の前において、竹繊維混合体に機能性材料を付与する工程を設ける請求項1から5のいずれかに記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
  6. 第7工程において、120〜230℃で加熱を行う、請求項1から6のいずれかに記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
  7. 前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂またはイソシアネート樹脂である、請求項1から7のいずれかに記載の竹繊維の圧縮硬化体の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の製造方法により製造された竹繊維の圧縮硬化体。
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