JP6897305B2 - 無溶剤型アクリル系粘着剤組成物、及びこれを用いた粘着シート - Google Patents

無溶剤型アクリル系粘着剤組成物、及びこれを用いた粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、無溶剤型アクリル系樹脂組成物、および前記無溶剤型アクリル系樹脂組成物を用いてなる粘着剤、粘着シートに関するものであり、詳細には、加熱による分子量変化が少なく、熱安定性に優れた無溶剤型アクリル系樹脂組成物に関するものである。
テレビやパソコン用モニター、ノートパソコンや携帯電話、タブレット端末等のモバイル機器においては、通常、液晶ディスプレイの視認側にプラスチックシート等から形成された保護層が設けられており、外的衝撃による液晶ディスプレイの破損を防止するため、液晶ディスプレイと保護層との間に、空間(空気層)が設けられている。
しかしながら、保護層と空気層との界面、および、空気層と液晶ディスプレイとの界面において、反射が生じて視認性の低下を引き起こすという問題がある。
そこで、近年では、耐衝撃性を確保しつつも、視認性の向上、さらには、モバイル機器(プラスチックシート)の薄型化を目的として、空気層の代わりに衝撃吸収粘着剤層が用いられている。
粘着剤層が十分な衝撃吸収性能を発揮するためには、ある程度の厚みを有することを必要とするが、従来より一般的に用いられている溶剤系のアクリル系粘着剤を厚塗り用途で使用する場合には、塗工時の粘着剤層の厚みが厚いため、塗工垂れが生じたり、塗工後の乾燥工程において溶剤が揮発しにくく、粘着剤層に発泡として残ってしまうという問題点があった。
これに対して、無溶剤型の粘着剤を用いることが提案されており、ホットメルト型粘着剤や活性エネルギー線硬化型粘着剤が提案されている(例えば、特許文献1)。
無溶剤型の粘着剤の中でも、ホットメルト型粘着剤は、塗工後に溶剤を揮発させるための乾燥工程が必要なく、厚塗り塗工をした際においても短時間で効率的に粘着剤層を得ることができるものである。また、活性エネルギー線硬化性モノマーを配合せずに用いられる場合も多く、その際には活性エネルギー線の照射による硬化工程も必須としないため、より効率的に厚膜の粘着剤層を得ることができるものである。
特開2014−214280号公報
しかしながら、ホットメルト型粘着剤は、常温では流動性がなく、通常100〜150℃程度に加熱して塗工する必要があるところ、無溶剤型アクリル系樹脂を用いるホットメルト型粘着剤は、高温条件下に付されると、アクリル系樹脂に含有される製造時の残存モノマーや残存触媒等によって、更には特定の組成からなるアクリル系樹脂によっては、アクリル系樹脂の分子量が増加し、塗工性が低下したり、所望の物性を満足する粘着剤が得られないといった問題があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、加熱による分子量変化が少なく、熱安定性に優れ、粘着剤として用いる際に厚塗り塗工が可能であり、衝撃吸収性、段差追従性、更には耐湿熱性にも優れる粘着剤を得ることができる無溶剤型アクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、無溶剤型アクリル系樹脂組成物において、通常よりも多い特定量の水酸基含有モノマーを含有する重合成分を重合してなり、かつ特定のガラス転移温度を有する無溶剤型アクリル系樹脂に、特定量の酸化防止剤を含有させることにより、加熱による分子量増加を抑制でき、粘着剤として用いる際に厚塗り塗工が可能で、衝撃吸収性、段差追従性に優れる粘着剤を得ることができ、更に耐湿熱性にも優れるアクリル系樹脂組成物を得ることができることを見出した。
即ち、本発明は、
アクリル系樹脂(A)と酸化防止剤(B)を含有し、
アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a1)を11〜30重量%含有する重合
成分を重合してなるものであり、
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−60〜−20℃であり、
アクリル系樹脂(A)中の揮発成分の含有量が2重量%以下であり、
酸化防止剤(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.2〜10
重量部であり、
酸化防止剤(B)が、アミン系化合物及びリン酸系化合物から選ばれる少なくとも1種
であり、
下記式1で示される重量平均分子量変化率M(%)が20以下であることを特徴とする
無溶剤型アクリル系粘着剤組成物に関するものである。
[式1]
M(%)=(|M2−M1|/M1)×100
M2:120℃で4日間加熱処理した後の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分 子量
M1:上記加熱処理前の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量
更には、本発明は、上記無溶剤型アクリル系樹脂組成物を含有する無溶剤型アクリル系粘着剤、ならびに前記無溶剤型アクリル系樹脂組成物からなる粘着剤層を有する粘着シートに関するものである。
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、加熱による分子量の増加が少なく熱安定性に優れ、厚塗り塗工が可能であり、この無溶剤型アクリル系樹脂組成物を用いてなる粘着剤は、衝撃吸収性、段差追従性に優れ、更には、耐湿熱性にも優れるものであり、このため、特にタッチパネル及び画像表示装置等に用いられる粘着剤として有用である。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、アクリル系樹脂(A)と酸化防止剤(B)を含有するものである。
<アクリル系樹脂(A)>
まず、本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物が必須成分として含有するアクリル系樹脂(A)について説明する。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)を3〜50重量%含有する重合成分を重合して得られるものであり、好ましくは更に、分岐構造を有する炭素数5〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー及びビニルエステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種の共重合性モノマー(a2)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)(但し、(a1)及び(a2)を除く。)、官能基含有モノマー(a4)(但し、(a1)を除く。)、その他共重合性モノマー(a5)を重合成分として含有してもよいものである。
上記水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマー(a1)の中でも、耐湿熱性と耐熱性のバランスに優れる点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを使用することが特に好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることが好ましく、特には0.2%以下、更には0.1%以下のものを使用することが好ましい。
本発明において、水酸基含有モノマー(a1)の含有量は、重合成分全体に対して3〜50重量%であることが必要であり、好ましくは5〜45重量%、更に好ましくは8〜40重量%、特に好ましくは10〜35重量%、殊に好ましくは11〜30重量%である。
かかる含有量が少なすぎると粘着剤として用いた際の耐湿熱性が低下し、多すぎるとアクリル系樹脂の自己架橋反応が起こりやすくなり、耐熱性が低下する傾向がある。
本発明においては、重合成分として、更に、高温において水素引き抜きが起こりやすく、その結果、架橋が形成され易い構造を有している共重合性モノマーを含有することが好ましく、とりわけ、分岐構造を有する炭素数5〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー及びビニルエステル系モノマーから選ばれる少なくとも1種の共重合性モノマー(a2)を含有することが好ましく、更に具体的には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートや酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明において、上記共重合性モノマー(a2)の含有量は、重合成分全体に対して15〜85重量%であることが好ましく、更には20〜80重量%、特には30〜75重量%、殊には40〜70重量%、更には45〜65重量%であることが好ましい。
かかる含有量が少なすぎる場合、分岐構造を有する炭素数5〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーでは、粘着剤として用いた際の段差追従性が低下する傾向があり、ビニルエステル系モノマーでは、凝集力が低下することでシートとした際の耐久性が低下する傾向がある。一方、共重合性モノマー(a2)が多すぎる場合には、アクリル系樹脂の自己架橋反応が起こりやすくなり、耐熱性が低下する傾向がある。
本発明においては、重合成分として、更に(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)(但し、(a1)及び(a2)を除く。)を含有することが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)としては、例えば、脂肪族系(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー、脂環構造含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー等が挙げられる。
脂肪族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、アルキル基の炭素数が、通常1〜24、特に好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
上記脂肪族系(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソテトラコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記脂環構造含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)の中でも、粘着剤として使用した場合の凝集力向上の点で、メチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、誘電率を低減させる点からは、炭素数が8以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましく、更に好ましくはラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートである。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)は単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)の含有量としては、重合成分全体に対して、5〜70重量%であることが好ましく、更には10〜60重量%、特には15〜45重量%であることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a3)の含有量が少なすぎると、粘着剤として使用した場合の粘着力が低下する傾向にあり、多すぎるとアクリル系樹脂の分子量が小さめの場合に粘着剤として使用すると耐久性が低下する傾向がある。
本発明において、官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)(但し、(a1)を除く。)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、窒素原子を有する官能基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。
これらの中でも、凝集力や架橋促進作用を付与する点で、窒素原子を有する官能基含有モノマーが好ましく、特にはアミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーが好ましく、更にはアミノ基含有モノマーが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n―ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;などが挙げられる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これらの官能基含有モノマー(a4)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
官能基含有モノマー(a4)の含有量としては、重合成分全体に対して、0.01〜30重量%であることが好ましく、更には0.05〜20重量%、特には0.1〜10重量%、殊には0.5〜5重量%であることが好ましい。官能基含有モノマー(a4)の含有量が少なすぎると架橋剤との反応性が低下したり、架橋密度が低下し凝集力が低下する傾向があり、多すぎると樹脂の耐熱性が低下する傾向がある。
本発明において、その他の重合性モノマー(a5)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーや、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
また、高分子量化を目的とする場合に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を少量併用することもできる。この際、これらのエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物は反応性が高く、アクリル系樹脂の重合成分として用いた際に未反応で残存することは通常ないものである。なお、使用量が多すぎるとこれらのエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物が未反応で残存することとなり、アクリル系樹脂がゲル化する傾向があるため好ましくない。
上記その他の重合性モノマー(a5)の含有量は、重合成分全体に対して、50重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。上記その他の重合性モノマー(a5)の含有割合が多すぎると耐熱性が低下したり、粘着力が低下する傾向がある。
上記の重合成分を重合することによりアクリル系樹脂(A)を製造することができる。
アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の重合方法を用いることができるが、本発明においては、溶液重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
以下、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の好ましい製造方法の一例を示す。
まず、有機溶剤中に、上記の重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、溶液重合してアクリル系樹脂(A)溶液を得る。
〔有機溶剤〕
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。これらの溶剤の中でも、溶液重合により得られるアクリル系樹脂溶液から溶剤を留去して、無溶剤型のアクリル系樹脂を効率よく製造できる点で、沸点が70℃以下である溶剤を用いることが好ましい。
沸点が70℃以下である有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン(67℃)のような炭化水素系溶剤、メタノール(65℃)のようなアルコール系溶剤、酢酸メチル(54℃)のようなエステル系溶剤、アセトン(56℃)のようなケトン系溶剤、ジエチルエーテル(35℃)、塩化メチレン(40℃)、テトラヒドロフラン(66℃)等を挙げることができ、なかでも、汎用性や安全性の点で、アセトン、酢酸メチルを用いることが好ましく、特にはアセトンを用いることが好ましい。
なお、上記各有機溶剤名に続いて記載された( )内の数値は沸点である。
〔重合開始剤〕
上記重合反応に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等を用いることができ、アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピ
ルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)等があげられ、過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジイソブチリルペルオキシド等があげられる。
これらは単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
本発明のアクリル系樹脂(A)の製造においては、溶液重合の反応溶剤として沸点が70℃以下のものを使用し比較的低い温度で重合を行うことが好ましく、この際に10時間半減期温度が高い重合開始剤を使用すると、重合開始剤が残存しやすくなり、重合開始剤が残存すると、後述の、アクリル系樹脂溶液から溶剤を留去する工程においてアクリル系樹脂のゲル化が発生する傾向がある。
したがって、本発明においては、溶液重合で得られるアクリル系樹脂溶液から溶剤を留去する工程を安定的に行う点から、上記重合開始剤の中でも10時間半減期温度が60℃未満である重合開始剤を用いることが好ましく、なかでも2,2’−アゾビス(2
,4−ジメチルバレロニトリル)(52℃)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピ
ルプロピオニトリル)(49.6℃)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ2,4−ジ
メチルバレロニトリル)(30℃)、t−ブチルペルオキシピバレート(54.6℃)、t−ヘキシルペルオキシピバレート(53.2℃)、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート(44.5℃)ジイソプロピルペルオキシカーボネート(40.5℃)、ジイソブチリルペルオキシド(32.7℃)が好ましく、特には2,2’−アゾビス(2
,4−ジメチルバレロニトリル)(52℃)、t−ヘキシルペルオキシピバレート(53.2℃)が好ましい。
なお、上記各化合物名に続いて記載された( )内の数値は各化合物の10時間半減期温度である。
上記重合開始剤の使用量としては、重合成分100重量部に対して、通常0.001〜10重量部であり、好ましくは0.1〜8重量部、特に好ましくは0.5〜6重量部、更に好ましくは1〜4重量部、殊に好ましくは1.5〜3重量部、最も好ましくは2〜2.5重量部である。上記重合開始剤の使用量が少なすぎると、アクリル系樹脂の重合率が低下し、残存モノマーが増加したり、アクリル系樹脂の重量平均分子量が高くなる傾向があり、使用量が多すぎると、後記のアクリル系樹脂溶液から溶剤を留去する工程において、アクリル系樹脂のゲル化が発生する傾向がある。
〔重合条件等〕
溶液重合の重合条件については、従来公知の重合条件に従って重合すればよく、例えば、溶剤中に、重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合することができる。
上記重合反応における重合温度は、通常40〜120℃であるが、本発明においては、安定的に反応できる点から50〜90℃が好ましく、更には55〜75℃、特には60〜70℃が好ましい。重合温度が高すぎるとアクリル系樹脂がゲル化しやすくなる傾向があり、低すぎると重合開始剤の活性が低下するため、重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。
また、重合反応における重合時間(後述の追い込み加熱を行う場合は、追い込み加熱開始までの時間)は特に制限はないが、最後の重合開始剤の添加から0.5時間以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、殊に好ましくは5時間以上である。重合時間の上限は通常72時間である。
なお、重合反応は、除熱がしやすい点で溶剤を還流しながら行うことが好ましい。
本発明のアクリル系樹脂(A)の製造においては、残存重合開始剤の量を低減させるため、重合開始剤を加熱分解させるために追い込み加熱を行うことが好ましい。
上記追い込み加熱温度は、上記重合開始剤の10時間半減期温度より高い温度で行うことが好ましく、具体的には通常40〜150℃、ゲル化抑制の点から55〜130℃であることが好ましく、特には75〜95℃であることが好ましい。追い込み加熱温度が高すぎると、アクリル系樹脂が黄変する傾向があり、低すぎると重合成分や重合開始剤が残存し、アクリル系樹脂(A)の経時安定性や熱安定性が低下する傾向がある。
かくして、アクリル系樹脂(A)溶液を得ることができる。
次いで得られたアクリル系樹脂(A)溶液から溶剤を留去する。
アクリル系樹脂(A)溶液から溶剤を留去する工程は、公知一般の方法で行うことができ、溶剤を留去する方法としては、加熱することにより溶剤を留去する方法や、減圧することにより溶剤を留去する方法等があるが、溶剤の留去を効率的に行う点から、減圧下で加熱することにより留去する方法が好ましい。
加熱して溶剤を留去する場合の温度としては、60〜150℃で行うことが好ましく、特には、アクリル系樹脂を重合した後の反応溶液を60〜80℃で保持して溶剤を留出させ、次いで、80〜150℃で溶剤を留出させることが、残存溶剤量を極めて少なくする点で好ましい。なお、アクリル樹脂のゲル化を抑制する点から、溶剤留去の際の温度は150℃以上で行わないことが好ましい。
減圧して溶剤を留去する場合の圧力としては、20〜101.3kPaで行うことが好ましく、特には、50〜101.3kPaの範囲で保持して反応溶液中の溶剤を留出させた後、0〜50kPaで残存溶剤を留出させることが、残存溶剤量を極めて少なくする点で好ましい。
かくして本発明に用いるアクリル系樹脂(A)を製造することができる。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、ガラス転移温度(Tg)が−100〜50℃であることが必要であり、好ましくは−80〜0℃であり、更には−70〜−10℃、特には−60〜−20℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度が高すぎると、アクリル系樹脂の溶融粘度が高くなるため、塗工時に必要な加熱温度が高くなり、アクリル系樹脂の安定性を損なう恐れがあり、また段差追従性や粘着力が低下する傾向がある。ガラス転移温度が低すぎると、熱耐久性が低下する傾向がある。
なお、上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度については、Foxの式を用いて算出し、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常DSCにより測定されてなる文献値及びカタログ記載値を用いた。
ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 0006897305
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、重量平均分子量が5万以上であることが好ましく、更に好ましくは10万〜150万、特に好ましくは20万〜100万、殊に好ましくは25万〜80万、なかでも特に好ましくは30万〜60万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると凝集力が低下し、耐久性が低下する傾向がある。なお、大きすぎると粘度が高くなりすぎて、塗工性やハンドリングが低下する傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、更には10以下、特には7以下、殊には5以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にあり、低すぎると取り扱い性が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC−8320GPC」に、カラム:TSKgel GMHXL(排除限界分子量:4×108、分離範囲:100〜4×108、理論段数:14,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:9μm、カラムサイズ:7.8mm I.D.×30cm)の3本とカラム:TSKgel G2000HXL(排除限界分子量:1×104、分離範囲:100〜1×104、理論段数:16000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:5μm、カラムサイズ:7.8mm I.D.×30cm)の1本を直列に用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いて測定することができる。また、分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
上記アクリル系樹脂(A)の溶融粘度(mPa・s)は、100℃において、好ましくは1,000〜10,000,000mPa・s、特に好ましくは50,000〜1,000,000mPa・s、更に好ましくは200,000〜600,000である。粘度が低すぎると、分子量低下による耐久性低下を招く傾向があり、粘度が高すぎると取り扱い性が低下し、塗工が困難になる傾向がある。
なお、上記の粘度は、島津製作所製高化式フローテスターを用いて、荷重30kg、オリフィス径1.0mm、ダイ長さ10mm、測定温度を100℃で測定した値である。
本発明のアクリル系樹脂(A)は、実質的に溶剤を含有しない無溶剤型アクリル系樹脂であることが好ましく、アクリル系樹脂(A)の溶剤含有量が2重量%以下であることが好ましく、更には0.00001〜2重量%、特には0.0001〜1重量%、殊には0.001〜0.1重量%であることが好ましい。溶剤含有量が多すぎると、粘着剤として用いた際に粘着剤層に気泡が発生し、耐久性が低下する傾向がある。
また、本発明のアクリル系樹脂(A)中の残存モノマー量が2重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.00001〜1.5重量%、さらに好ましくは0.0001〜1.2重量%である。残存モノマー量が多すぎると、加熱した際に分子量が増加し、塗工性や粘着物性が低下したり、粘着剤に気泡が発生し、耐久性が低下する傾向がある。
なお、上記のアクリル系樹脂(A)中の溶剤含有量および残存モノマー量は、アクリル系樹脂をトルエンで20倍希釈し、ガスクロマトグラフィー/マスフラグメントディテクター(GC:AgilentTechnologies社製 7890A GCsystem、MSD:AgilentTechnologies社製 5975inert)を用いて測定した値である。
また、本発明においては、アクリル系樹脂(A)中の揮発分含有量(通常、溶剤と残存モノマーが主成分である。)が2重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.00001〜1.5重量%、さらに好ましくは0.0001〜1.2重量%である。残存モノマー量が多すぎると、加熱した際にアクリル系樹脂の分子量が増加し、塗工性が低下したり、粘着剤とした際に粘着物性が低下したり、気泡が発生して、耐久性が低下する傾向がある。
なお、上記のアクリル系樹脂(A)中の揮発分含有量は、アクリル系樹脂を熱風乾燥器中で、130℃で1時間加熱し、加熱前と加熱後の重量変化より算出した値である。
<酸化防止剤(B)>
本発明で用いられる酸化防止剤(B)としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。中でもアミン系化合物及びリン酸系化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
アミン系化合物としては、ヒンダードアミン系化合物、芳香族アミン系化合物等が挙げられ、中でもヒンダードアミン系化合物が好ましく、具体的には、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6ペンタメチル4ピペリジル)セバシネート、オクチルジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
硫黄系化合物としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート及びジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン酸系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリイソデシルホスファイト(以下、TDPと略記)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト及びこれらのハロ置換体等が挙げられる。
これらの中でも、ラジカル補足能が高く、酸素存在下でなくても性能を発揮できる点から、アミン系化合物、とりわけヒンダードアミン系化合物を用いることが好ましく、中でもテトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレートが好ましい。また、系内に発生した過酸化物を効率よく分解、安定化し、更にはラジカルを補足することも可能である点からリン酸系化合物が好ましく、中でもトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
これらの酸化防止剤(B)は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明における酸化防止剤(B)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.2〜10重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜9重量部、特に好ましくは1〜7重量部、殊に好ましくは2〜6重量部である。
酸化防止剤(B)の含有量が少なすぎるとアクリル系樹脂(A)の熱安定性が低下する傾向があり、多すぎると経時的なブリードアウトやアウトガスの発生により、粘着剤の耐久性が低下する傾向がある。
酸化防止剤(B)は、アクリル系樹脂(A)の製造における溶剤留去工程前もしくは留去中(溶剤が残存している状態)に配合することが好ましい。
かくして、アクリル系樹脂(A)と酸化防止剤(B)を含有してなる本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物を得ることができる。
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、アクリル系樹脂(A)を組成物全体に対しての90重量%以上含有することが好ましく、更には95〜99.9重量%、特には98〜99.9重量%、殊には99〜99.9重量%含有することが好ましい。
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、下記式1で示される重量平均分子量変化率、即ち、120℃で4日間加熱した後の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量をM2、かかる加熱前の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量をM1とした時の重量平均分子量変化率M(%)が20以下であり、更に好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。
かかる変化率Mが20より大きいと、粘着剤として用いた際に、塗工性が低下したり、所望の粘着物性が得られ難くなる。
[式1]
M(%)=(|M2−M1|/M1)×100
M2:120℃で4日間加熱処理した後の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分 子量
M1:上記加熱処理前の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量
ここで、上記無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量の測定方法は下記の通りである。
即ち、重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC−8320GPC」に、カラム:TSKgel GMHXL(排除限界分子量:4×108、分離範囲:100〜4×108、理論段数:14,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:9μm、カラムサイズ:7.8mm I.D.×30cm)の3本とカラム:TSKgel G2000HXL(排除限界分子量:1×104、分離範囲:100〜1×104、理論段数:16000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:5μm、カラムサイズ:7.8mm I.D.×30cm)の1本を直列に用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いて測定することができる。また、分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、粘着剤成分として有用であり、特にはホットメルト用粘着剤成分として有用である。
<粘着シート>
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、これを用いてなる粘着剤層を基材シート上に設けた粘着シート、粘着剤層を離型シート上に設けた両面粘着シート、粘着剤層を光学部材上に設けた粘着剤層付き光学部材として用いられることが好ましい。なお、上記粘着剤層は、本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物そのものであっても、本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物が硬化(架橋)されてなるものであってもよい。硬化方法としては、活性エネルギー線により硬化する方法や、架橋剤を用いて架橋することにより硬化する方法、これらを組み合わせた方法等があげられる。
粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
なお、本発明において、「シート」とは、特に「フィルム」や「テープ」と区別するものではなく、これらをも含めた意味として記載するものである。
まず、無溶剤型アクリル系樹脂組成物を加熱により溶融した状態で基材シートの片面もしくは両面に塗工し、その後冷却する方法や、粘着剤組成物を加熱により溶融させ、Tダイ等により基材シート上に押出しラミネートする方法等で基材シート上の片面もしくは両面に所定の厚みとなるように粘着剤層を形成する。ついで、必要に応じて上記粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより粘着シートを作製することができる。
また、基材シート上に粘着剤層を形成した後、必要に応じて活性エネルギー線照射処理を行ない、さらにエージングすることで粘着剤組成物が硬化(架橋)してなる粘着剤層を有する粘着シートを作製することができる。
また、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レスの両面粘着シートを作製することもできる。
得られた粘着シートや両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。
基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布があげられる。これらの基材シートは、単層体として又は2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
さらに、上記離型シートとしては、例えば、上記支持基材で例示した各種合成樹脂シート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法があげられる。
活性エネルギー線を照射することにより、無溶剤型アクリル系樹脂組成物中のアクリル系樹脂(A)が分子内及び/又は分子間で架橋構造を形成する。
活性エネルギー線照射をするに際しては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
活性エネルギー線による硬化を行う場合には、活性エネルギー線照射時の反応を安定化させることができる点で光重合開始剤を用いることが好ましい。
かかる光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルフォスフィンオキサイド類等の重合開始剤があげられる。なお、分子間または分子内で効率的に架橋できる点から水素引き抜き型のベンゾフェノン類の光開始剤を用いることが好ましい。
また、これら光重合開始剤の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
かかる光重合開始剤の配合量については、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部である。かかる配合量が少なすぎると硬化速度が低下したり、硬化が不十分となる傾向があり、多すぎても硬化性は向上せず経済性が低下する傾向がある。
また、活性エネルギー線による硬化を行う場合には、活性エネルギー線硬化性モノマーを用いることができる。これにより、粘着剤層全体の凝集力を調整し、安定した粘着物性を得ることができる。
活性エネルギー線硬化性モノマーとしては、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能モノマーが好ましく、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、上記多官能性モノマーは単独で、又は2種以上を併用することができる。
かかる多官能モノマーは、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0〜5量部で用いることが好ましく、特に好ましくは0.01〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部である。
また、本発明の粘着シートにおいて、必要に応じて粘着剤層にその他の粘着剤を配合したり、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、機能性色素等の従来公知の添加剤を配合してもよい。
上記エージング処理は、特に粘着剤組成物に架橋剤を用いる場合に行なうことが好ましく、上記エージング処理の条件としては、温度は通常室温(25℃)〜100℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、好ましくは、23℃で3〜10日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
そして、本発明においては、上記粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。また、上記の両面粘着シートを用いて光学部材同士を貼合することもできる。
上記粘着シートの粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と粘着力の点から10〜100%であることが好ましく、特には30〜90%が好ましく、殊には50〜80%であることが好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性低下する傾向がある。また、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
なお、ゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、例えば、活性エネルギー線照射量や光重合開始剤量を調整したり、活性エネルギー線硬化性モノマーの種類や量を調整すること、また、架橋剤を用いる場合には、架橋剤の種類や量を調整すること等により達成される。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
上記粘着シートの粘着剤層の厚みは、通常、50〜3000μmであることが好ましく、さらには75〜1000μmがあることが好ましく、殊には80〜350μmであることが好ましい。上記粘着剤層の厚みが薄すぎると衝撃吸収性が低下する傾向があり、厚すぎると光学部材全体の厚みが増して実用性が低下する傾向がある。
なお、本発明における膜厚は、ミツトヨ社製「ID−C112B」を用いて、粘着剤層含有積層体全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求めた値である。
本発明の粘着シート、両面粘着シート、および粘着剤層付き光学部材の粘着剤層の粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜決定されるが、例えば、ガラス基板、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板、ITO層を蒸着したPETシートに貼着する場合には、5N/25mm〜100N/25mmの粘着力を有することが好ましく、さらには10N/25mm〜50N/25mmが好ましい。
なお、上記粘着力は、例えば、つぎのようにして算出される。ポリエステル系離型シート(ポリエチレンテレフタレートシート)を用いてなる基材レス両面粘着シートの粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、厚み125μmの易接着PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに押圧し、粘着剤層付きPETフィルムを作製する。上記粘着剤層付きPETフィルムを、幅25mm×長さ100mmに裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を上記被着体に密着させ、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラー2往復にて加圧貼付し、同雰囲気下で30分放置した後、常温(23℃)で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定する。
本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、熱安定性に優れ、厚塗り塗工が可能であり、また耐湿熱性に優れるため、この無溶剤型アクリル系樹脂組成物を用いてなる粘着剤は、両面粘着用途や、耐衝撃性や強粘着性を有する粘着剤として好適に用いることができる。具体的には、ガラスやITO透明電極シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の光学シート類、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム等の光学部材貼り付け用途の粘着剤成分として有用である。さらに、これら光学部材を含んでなるタッチパネル等の画像表示装置に対して好適に用いることができる。
また、本発明の無溶剤型粘着剤組成物は、各種ラベル用粘着剤やマスキング用粘着剤としても用いることができ、特に電子部品用途等に好適に用いられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、アクリル系樹脂、アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
〔アクリル系樹脂(A−1)の製造〕
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶剤としてアセトン100部(沸点56℃)、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN;
半減温度52℃)1部をフラスコ内で加熱還流し、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)17部、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)24部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)13部、t−ブチルメタクリレート(tBMA)8部、ラウリルメタクリレート(LMA)20部、イソステアリルアクリレート(ISTA)18部をあらかじめ混合した溶液を2時間かけて滴下した。滴下後、1時間、2時間後にそれぞれADVN1部を添加して反応し、アクリル系樹脂(A−1)溶液を得た。
上記で得られたアクリル系樹脂(A−1)溶液をトの字連結管を使用することで溶剤を系外に留去できる形にしたフラスコにて、ジャケット温度80℃にて1時間、さらに10kPaに減圧しジャケット温度90℃にて2時間放置して溶剤の留去を行い、アクリル系樹脂(A−1)(重量平均分子量;34.4万、ガラス転移温度;−31.0℃、溶剤含有量;0.024%、揮発分含有量;0.9%)を得た。
なお、得られたアクリル系樹脂(A−1)中の溶剤含有量は下記の方法で測定した。
アクリル系樹脂(A−1)を0.1g秤量し、それぞれトルエンで20倍希釈した。前記アクリル系樹脂(A−1)のトルエン希釈溶液を、容量2mlのバイアル瓶に入れ、オートサンプラー(AgilentTechnologies社製 7693 Autosampler)、ガスクロマトグラフィー/マスフラグメントディテクター(GC:AgilentTechnologies社製 7890A GCsystem、MSD:AgilentTechnologies社製 5975inert)を用いて、溶剤濃度及び各モノマー濃度を測定した。使用したカラムはAgilent社製DB−1MS(30m×250μmφ×0.25μm)、キャリアーガスはHe、流量は1.0ml/分、圧力7.0psi(オーブン温度が40℃の時)である。また、スプリット比50:1、注入口温度250℃であった。オーブンの温度条件は40℃で5分後、10℃/分で昇温し、300℃に到達後、3分間放置した。MSDへのトランスファーライン温度は320℃、SIMモード(ターゲットイオン:58m/z、クォリファイイオン43m/z、サイクル/sec=3.81)であった。
また、得られたアクリル系樹脂(A−1)中の揮発分含有量は、下記の方法で測定した。
アルミカップにアクリル系樹脂(A−1)を0.5g秤量し、熱風乾燥器(130℃×1時間)で加熱し、加熱前と加熱後の重量変化より算出した。
〔アクリル系樹脂(A−2)〜(A−4)の製造〕
上記の(A−1)の製造において、表1に示す通りの重合成分組成とした以外は同様の方法にて製造を行い、得られたアクリル系樹脂についても同様に諸物性を測定した。
Figure 0006897305
<実施例1>
上記で得られたアクリル系樹脂(A−1)100部に対して、酸化防止剤(B−1)(アデカ社製(商品名;アデカスタブLA−52)を0.5部添加し、加温して十分混合し、無溶剤型アクリル系樹脂組成物を調整した。
<実施例2〜10、比較例1〜4>
実施例1において、アクリル系樹脂(A)の種類及び酸化防止剤(B)の種類及び含有量を表2のとおりにした以外は同様にして無溶剤型アクリル系樹脂組成物を調製した。
実施例2〜10、比較例1〜4で得られた無溶剤型アクリル系樹脂組成物を用いて、以下の評価を行った。これらの結果を下記の表2に併せて示した。
〔熱安定性〕
無溶剤型アクリル系樹脂組成物をガラス瓶に取り、窒素置換後、オーブンに入れて120℃で4日間加熱した。その後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重合平均分子量を測定し、下記式1で示すとおり、120℃で4日間加熱処理した後のアクリル系樹脂組成物の重量平均分子量をM2、かかる加熱処理前のアクリル系樹脂組成物の重量平均分子量をM1とした時の重量平均分子量変化率M(%)を算出し、下記評価基準にて評価した。
[式1]
M(%)=(|M2−M1|/M1)×100
M2:120℃で4日間加熱処理した後の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分 子量
M1:上記加熱処理前の無溶剤型アクリル系樹脂組成物の重量平均分子量
(評価基準)
◎・・・Mが10以下
○・・・Mが10より大きく、20以下
×・・・Mが20より大きい


Figure 0006897305
上記実施例より、本発明の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、加熱による重量平均分子量変化が少なく、熱安定性に優れるものであることがわかった。
一方、酸化防止剤を含有しない、または、酸化防止剤の含有量が本発明の範囲を満たさない比較例の無溶剤型アクリル系樹脂組成物は、加熱による分子量変化が大きく、熱安定性に劣るものであった。このような無溶剤型アクリル系樹脂組成物を、ホットメルト型粘着剤として用いると、塗工性が低下し、得られる塗膜物性が悪かったり、所望の粘着物性が得られないものである。
本発明の無溶剤型樹脂組成物は、熱安定性に優れ、厚塗り塗工が可能であるため、衝撃吸収性、段差追従性に優れ、タッチパネル及び画像表示装置等に用いられる粘着剤や、衝撃吸収シート等に有用である。

Claims (5)

  1. アクリル系樹脂(A)と酸化防止剤(B)を含有し、
    アクリル系樹脂(A)が水酸基含有モノマー(a1)を11〜30重量%含有する重合
    成分を重合してなるものであり、
    アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が−60〜−20℃であり、
    アクリル系樹脂(A)中の揮発成分の含有量が2重量%以下であり、
    酸化防止剤(B)の含有量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対して0.2〜10
    重量部であり、
    酸化防止剤(B)が、アミン系化合物及びリン酸系化合物から選ばれる少なくとも1種
    であり、
    下記式1で示される重量平均分子量変化率M(%)が20以下であることを特徴とする
    無溶剤型アクリル系粘着剤組成物。
    [式1]
    M(%)=(|M2−M1|/M1)×100
    M2:120℃で4日間加熱処理した後の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物の重量平均
    分子量
    M1:上記加熱処理前の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物の重量平均分子量
  2. アクリル系樹脂(A)が、分岐構造を有する炭素数5〜14のアルキル基を有する(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー及びビニルエステル系モノマーから選ばれる
    少なくとも1種の共重合性モノマー(a2)を15〜85重量%含有する重合成分を重合
    してなるものであることを特徴とする請求項1記載の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物。
  3. アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が5万以上であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物。
  4. アクリル系樹脂(A)の含有量が90重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3
    いずれか記載の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜いずれか記載の無溶剤型アクリル系粘着剤組成物を用いてなる粘着剤層を
    有することを特徴とする粘着シート。
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