JP6897238B2 - 光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムおよび画像表示装置に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末のみならず、ノート型パーソナルコンピュータ等の画像表示装置においても、タッチ機能を有しているものがある。タッチ機能を有する画像表示装置における表面は、通常、カバーガラスから構成されているが、ガラスは、一般的に、硬度は優れるものの、膜厚が厚く、またコスト高となる。このため、カバーガラスの代わりに、樹脂基材を備える光学フィルムを用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、タッチ機能を有する画像表示装置においては、指ではなく、タッチペンによって表示面が擦られることによって操作されることもある。このため、カバーガラスの代わりに用いられる光学フィルムにおいては、耐擦傷性が要求されることは勿論のこと、タッチペン等で擦られることによって光学フィルムの表面に存在する成分が削り取られないような耐摩耗性も要求されている。
特開2016−125063号公報
従来から、耐擦傷性を有する光学フィルムは知られているが、耐擦傷性と耐摩耗性は全く異なる性質であるので、優れた耐擦傷性および優れた耐摩耗性を両立させた光学フィルムは、未だ得られていないのが現状である。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、優れた耐擦傷性および優れた耐摩耗性を有する光学フィルムおよびこれを備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、樹脂基材と、前記樹脂基材の一方の面側に設けられたハードコート層とを備える光学フィルムであって、前記光学フィルムの表面が、前記ハードコート層の表面であり、原子間力顕微鏡を用いて、前記光学フィルムの表面の5μm角の領域を三次元観察したとき、前記領域内に直径0.1μm以上2.5μm以下および高さ20nm以下の円柱状の突起が3個以上20個以下存在する、光学フィルムが提供される。
上記光学フィルムにおいて、消しゴムを用いて荷重500gで前記光学フィルムの前記表面を4000往復擦る消しゴム試験を行った場合に、前記消しゴム試験前の前記光学フィルムの前記表面における水に対する接触角に対する前記消しゴム試験後の前記光学フィルムの表面における水に対する接触角の割合である接触角維持率が80%以上であってもよい。
上記光学フィルムにおいて、スチールウールを用いて1kg/cmの荷重を加えながら前記光学フィルムの前記表面を5000往復擦るスチールウール試験を行った場合に、前記表面に傷が確認されないことが好ましい。
上記光学フィルムにおいて、前記ハードコート層が、粒子を含む第1のハードコート層と、前記第1のハードコート層における前記樹脂基材側の面とは反対側の面に設けられ、かつ粒子を含まない第2のハードコート層とを備えていてもよい。
本発明の他の態様によれば、表示素子と、前記表示素子よりも観察者側に配置された請求項1に記載の光学フィルムと、を備え、前記光学フィルムの前記ハードコート層が、前記樹脂基材よりも観察者側に位置している、画像表示装置が提供される。
上記画像表示装置において、前記表示素子と前記光学フィルムとの間に、タッチセンサをさらに備えていてもよい。
上記画像表示装置において、前記表示素子が、有機発光ダイオード素子であってもよい。
本発明の一の態様によれば、優れた耐擦傷性および優れた耐摩耗性を有する光学フィルムを提供できる。また、本発明の他の態様によれば、この光学フィルムを備えた画像表示装置を提供できる。
図1は、実施形態に係る光学フィルムの概略構成図である。 図2は、突起の個数をカウントする際および突起の直径を求める際の様子を模式的に示した図である。 図3は、実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。 図4は、実施例1に係る消しゴム試験前の光学フィルムの表面を、原子間力顕微鏡を用いて三次元観察したときの写真である。
以下、本発明の実施形態に係る光学フィルムおよび画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る光学フィルムの概略構成図であり、図2は、突起の個数をカウントする際および突起の直径を求める際の様子を模式的に示した図である。
<<<光学フィルム>>>
図1に示される光学フィルム10は、光透過性を有するものであり、樹脂基材11と、樹脂基材11の一方の面11A側に設けられたハードコート層12とを備えている。ハードコート層は、単層構造のみならず、2層以上の多層構造であってもよい。図1に示されるハードコート層12は、第1のハードコート層13および第2のハードコート層14からなる多層構造となっている。光学フィルム10の表面は、ハードコート層12の表面12Aとなっている。
光学フィルム10においては、原子間力顕微鏡(AFM)(製品名「WET−9100」、島津製作所製)を用いて、光学フィルム10の表面10Aの5μm角(5μm×5μm)の領域を三次元観察したとき、前記領域内に直径0.1μm以上2.5μm以下および高さ20nm以下の円柱状の突起が3個以上20個以下存在している。この突起が3個以上20個以下であれば、円柱状の突起により消しゴムと光学フィルム10との間の動摩擦力が低下し、光学フィルム10の表面10Aからの防汚剤の脱落を防ぐことが可能となる。また、円柱状の突起が、3個未満であると、十分な動摩擦力が得られず水に対する接触角が低下してしまうおそれがある。また、上記突起が、20個を越えると、突起により外部ヘイズが生じ始め、透明性が低下してしまうおそれがあるとともに、突起自体は柔らかいので、突起の箇所で傷が付きやすくなり、耐擦傷性が低下してしまうおそれがある。このような突起は、例えば、理由は定かではないが、ハードコート層12に後述する滑剤および防汚剤の両方を含有させることによって形成することができる。また、観察する領域を5μm角としたのは、5μm角より小さい領域では、十分な分解能とは言えないからである。なお、上記突起の個数は、後述する消しゴム試験を行う前の突起の個数である。
光学フィルム10の三次元観察は、以下のように行われるものとする。具体的には、まず、光学フィルムにおいて、少なくとも目視で異常のない箇所(大きい異物や擦りキズ等がない箇所)をランダムに3箇所選び出し、5mm角にカットして、3つのサンプルを得る。一方で、直径15mmおよび厚み1mmの平坦な円形の金属板を複数用意し、それぞれの金属板に、日新EM株式会社製のカーボン両面テープを貼り付ける。そのテープ上に1つのサンプルを、サンプルの表面(光学フィルムの表面)が上側となるように貼り付ける。そして、テープとサンプルの接着を確実なものとするために、サンプル付き金属板をデシケーターの中で一晩放置する。一晩放置後、サンプル付き金属板を原子間力顕微鏡(製品名「WET−9400」、島津製作所製)の測定台の上に磁石で固定し、タッピングモードにて、測定エリア5μm角で、原子間力顕微鏡により表面形状を三次元により観察する。
上記突起の個数は、1つのサンプルに対して、ランダムに5箇所を選び、3サンプル×5箇所(計15点)について、5μm角の領域に存在する突起の個数をそれぞれカウントし、得られた15点の突起の個数の算術平均値を求めることによって算出するものとする。ここで、上記突起の全てではなく一部が上記領域内に存在する場合には、光学フィルム10の表面10Aの5μm角の領域を原子間力顕微鏡で二次元観察すると、突起は円として観察されるので、上記領域を二次元観察して、図2に示される点線のように、上記領域内に存在している突起10Bの一部を外挿して円とし、上記領域内に存在する突起10Bの一部の面積が外挿された円の半分の面積以上である場合には、突起の一部であっても、突起としてカウントし、上記領域内に存在する突起10Bの一部の面積が外挿された円の半分の面積未満である場合には、突起としてカウントしないものとする。
上記突起の直径は、光学フィルム10の表面10Aの5μm角の領域を原子力顕微鏡で二次元観察して、1個の突起において、図2に示されるように、突起10Bの外周に存在する任意の点Aから突起10Bの外周に存在する他の任意の点Bまでの長さが最も長くなるような3本の線を引き、その線の長さの算術平均値を求めることによって算出するものとする。
光学フィルム10においては、消しゴムを用いて光学フィルム10の表面10Aを4000往復擦る消しゴム試験を行った場合に、消しゴム試験前の光学フィルム10の表面10Aにおける水に対する接触角に対する消しゴム試験後の光学フィルム10の表面10Aにおける水に対する接触角の割合である接触角維持率が80%以上であることが好ましい。接触角維持率が80%以上であると、光学フィルム10の表面10Aに防汚剤の大部分が消しゴム試験によって削り取られずに残存しているので、光学フィルム10は、優れた耐摩耗性を有すると判断できるとともに、優れた防汚性を得ることができる。
上記において、消しゴムを用いて試験するとしたのは、消しゴムでの擦りがタッチペンでの擦りに近く、消しゴム試験によりタッチペンに対する対磨耗性を評価できるからである。なお、光学フィルムの耐擦傷性は、従来から、光学フィルムの表面をスチールウールで擦るスチールウール試験によって評価されているが、スチールウールは細い金属線であり、タッチペンとは著しく異なるために、タッチペンに対する耐摩耗性は、スチールウール試験によっては評価できない。
上記消しゴム試験は、消しゴム付き鉛筆(製品名「事務用鉛筆9852(消しゴム付)」、三菱鉛筆社製)の消しゴムの先端から5cmの位置で該鉛筆を切断し、切断した消しゴム付き鉛筆を消しゴム側とは反対側から直径6mmの穴を有する治具に消しゴムの先端が完全に露出するように挿入し、この消しゴム付き鉛筆を有する治具を学振型磨耗堅牢度試験機(製品名「AB−301」、テスター産業社製)に取り付けて、荷重500gおよび擦り速度30mm/秒で消しゴムにより光学フィルムの表面を4000往復擦る試験である。消しゴム試験においては、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムを用いて行う。
上記水に対する接触角は、JIS R3257−1999に記載の静滴法に従って、顕微鏡式接触角計(製品名「DropMaster300」、協和界面科学株式会社製)を用いて、それぞれ測定する。具体的には、水に対する接触角は、1μLの水を低屈折率層の表面に滴下して、滴下直後における接触角を10点測定し、それらの算術平均値を光学フィルムの表面の接触角とする。
上記接触角維持率は、接触角維持率をA(%)とし、消しゴム試験前の光学フィルムの表面の水に対する接触角をBとし、消しゴム試験後の光学フィルムの表面の水に対する接触角をCとしたとき、以下の式によって求めるものとする。
A=C/B×100
消しゴム試験前の光学フィルムの表面における水に対する接触角は、100°以上であることが好ましい。この接触角が、100°以上であると、十分な耐防汚性を有することとなり、指紋や汚れの付着を抑制でき、また仮に指紋や汚れが付着した場合であっても、拭き取りやすくなる。光学フィルム10の表面10Aの水に対する接触角の下限は、95°以上であることがより好ましく、上限は120°以下であることが好ましい。
光学フィルム10においては、スチールウール(製品名「ボンスター ♯0000」、日本スチールウール社製)を用いて1kg/cmの荷重を加えながら光学フィルム10の表面10A(ハードコート層12の表面12A)を5000往復擦るスチールウール試験を行った場合に光学フィルム10の表面10Aに傷が確認されないことが好ましい。スチールウール試験は、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムをガラス板上に折れやシワがないようニチバン社製のセロテープ(登録商標)で固定した状態で行う。
光学フィルム10の表面10Aは、JIS K5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で測定されたときの硬度(鉛筆硬度)が、5H以上であることが好ましく、6Hであることがより好ましく、7H以上であることがさらに好ましい。ただし、鉛筆硬度試験は、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムをガラス板上に折れやシワがないようニチバン社製のセロテープ(登録商標)で固定し、鉛筆に500gの荷重を加えるとともに、ひっかき速度を1mm/秒とした状態で行うものとする。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において光学フィルムの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上光学フィルムの表面に傷が付かなかった場合には、この硬度の鉛筆においては光学フィルムの表面に傷が付かなかったと判断する。上記傷は、鉛筆硬度試験を行った光学フィルムの表面を蛍光灯下で透過観察して視認されるものを指す。
光学フィルム10においては、JIS K5600−5−1:1999に記載されているマンドレル試験(2mmから32mmの金属製円柱にサンプルを巻きつける試験)に準じ、ハードコート層12を外側にした光学フィルム10を円柱に巻き付けたときのクラック(ひび)が発生しなかった円柱の最小直径が、20mm以下であることが好ましい。最小直径は、この測定を3回行い、3つの最小直径のうち最も小さい直径とする。
光学フィルム10の全光線透過率は、90%以上であることが好ましい。光学フィルム10の全光線透過率が90%未満であると、光学的性能が不充分となるおそれがある。全光線透過率は、JIS K7361−1:1997に準拠して、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、測定することができる。全光線透過率は、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムに対して3回測定して得られた値の算術平均値とする。光学フィルム10の全光線透過率は、91%以上であることがより好ましく、92%以上であることがさらに好ましい。
光学フィルム10のヘイズ値(全ヘイズ値)は、1%以下であることが好ましい。光学フィルム10のヘイズ値が1%を超えると、光学的性能が不充分となるおそれがある。ヘイズ値は、JIS K7136:2000に準拠して、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、測定することができる。ヘイズ値は、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムに対して3回測定して得られた値の算術平均値とする。光学フィルム10のヘイズ値は、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
光学フィルム10の表面10Aにおける5μm角の領域内の算術平均粗さ(Ra)は、10nm以下となっていてもよい。Raの定義はJIS B0601:2001に従うものとする。Raは、原子間力顕微鏡(製品名「WET−9100」、島津製作所製)を用いて、以下のように算出するものとする。具体的には、まず、光学フィルムにおいて、少なくとも目視で異常のない箇所(大きい異物や擦りキズ等がない箇所)をランダムに3箇所選び出し、5mm角にカットして、3つのサンプルを得る。一方で、直径15mmおよび厚み1mmの平坦な円形の金属板を複数用意し、それぞれの金属板に、日新EM株式会社製のカーボン両面テープを貼り付ける。そのテープ上に1つのサンプルを、サンプルの表面(光学フィルムの表面)が上側となるように貼り付ける。そして、テープとサンプルの接着を確実なものとするために、サンプル付き金属板をデシケーターの中で一晩放置する。一晩放置後、サンプル付き金属板を原子間力顕微鏡(製品名「WET−9400」、島津製作所製)の測定台の上に磁石で固定し、タッピングモードにて、測定エリア5μm角で、原子間力顕微鏡により表面形状を観察する。そして、観察したデータから原子間力顕微鏡に内蔵されている面解析ソフトを用いて、Raを算出する。なお、面解析時における縦のスケールは20nmとする。観察は室温で行い、カンチレバーとしてはNanoWorld社製のNCHR−20を使用する。また、観察に際しては、1つのサンプルに対して、ランダムに5箇所を選び、3サンプル×5箇所(計15点)について、それぞれ表面形状を観察する。そして、得られた15点のデータ全てにおいて、原子間力顕微鏡に内蔵の面解析ソフトを用いてRaを算出し、15点の算術平均値をサンプルのRaとする。
<<樹脂基材>>
樹脂基材11は、光透過性を有する樹脂からなる基材である。本明細書における「光透過性」とは、光を透過させる性質を意味し、例えば、全光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを含む。光透過性とは、必ずしも透明である必要はなく、半透明であってもよい。
樹脂基材11の厚みは、25μm以上100μm以下となっていることが好ましい。樹脂基材の厚みが25μm以上であると、光学フィルムがカールしにくく、また硬度も不充分とならず、更に、光学フィルムをRoll to Rollで製造する場合、シワが発生しにくくなるため外観の悪化を招くおそれもない。一方、樹脂基材の厚みが100μm以下であると、曲げ性が不充分とならず、硬度と屈曲性の両立を図ることができる。樹脂基材11の厚みは、厚み測定装置(製品名「デジマチックインジケーターIDF−130」、ミツトヨ社製)を用いて、樹脂基材11の厚みを10点測定し、その算術平均値を意味するものとする。樹脂基材11の下限は30μm以上であることがより好ましく、樹脂基材11の上限は90μm以下であることがより好ましい。
樹脂基材11としては、特に限定されないが、アセチルセルロース基材、シクロオレフィンポリマー(COP)基材、シクロオレフィンコポリマー(COC)基材、ポリカーボネート基材、アクリル基材、ポリエステル基材、またはこれらの基材の複合体が挙げられる。これらの中でも、樹脂基材への樹脂の密着性や鉛筆硬度の観点から、アセチルセルロース基材が好ましい。
アセチルセルロース基材としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)基材、ジアセチルセルロース基材が挙げられる。トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース基材としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、紫外線吸收剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
シクロオレフィンポリマー基材としては、例えばノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、またはビニル脂環式炭化水素系重合体からなる基材が挙げられる。シクロオレフィンコポリマー基材としては、例えばエチレンとノルボルネン系モノマーとの共重合体や、エチレンとテトラシクロドデセンとの共重合体等が挙げられる。
ポリカーボネート基材としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート基材、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート基材等が挙げられる。
アクリル基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等が挙げられる。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの少なくとも1種を構成成分とする基材等が挙げられる。
<<ハードコート層>>
本明細書における「ハードコート層」とは、JIS K5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で測定されたときの硬度(鉛筆硬度)が「H」以上の層である。鉛筆硬度試験は、鉛筆に500gの荷重を加えるとともに、ひっかき速度を1mm/秒とした状態で行うものとする。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において光学フィルムの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上光学フィルムの表面に傷が付かなかった場合には、この硬度の鉛筆においては光学フィルムの表面に傷が付かなかったと判断する。上記傷は、鉛筆硬度試験を行った光学フィルムの表面を蛍光灯下で透過観察して視認されるものを指す。
ハードコート層12は、第1のハードコート層13と、第1のハードコート層13における樹脂基材11側の面とは反対側の面に設けられた第2のハードコート層14とを備えている。
<第1のハードコート層>
第1のハードコート層13は、硬度を高めるための層である。第1のハードコート層13は、バインダ樹脂と、バインダ樹脂中に分散された粒子とを含んでいる。第1のハードコート層13に粒子を含ませることにより、より高い鉛筆硬度を達成することができる。第1のハードコート層13は、バインダ樹脂等の他、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の各種添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、着色剤、フィラー等が挙げられる。
第1のハードコート層13の膜厚は、10μm以上40μm以下であることが好ましい。第1のハードコート層の膜厚が、10μm以上であると、第1のハードコート層の硬度が不充分とならず、また40μm以下であると、加工性の悪化を抑制できる。第1のハードコート層13の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、第1のハードコート層13の断面を撮影し、その断面の画像において第1のハードコート層13の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とする。
(バインダ樹脂)
樹脂は、重合性化合物(硬化性化合物)の重合体(硬化物)を含む。重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO、カプロラクトン等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも上述した鉛筆硬度を好適に満たし得ることから、3〜6官能のものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
なお、硬度や組成物の粘度調整、密着性の改善等のために、更に単官能(メタ)アクリレートモノマーを含んでいてもよい。上記単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、グリシジルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及び、アダマンチルアクリレート等が挙げられる。
上記モノマーの重量平均分子量は、樹脂層の硬度を向上させる観点から、1000未満が好ましく、200以上800以下がより好ましい。また、上記重合性オリゴマーの重量平均分子量は、1000以上2万以下であることが好ましく、1000以上1万以下であることがより好ましく、2000以上7000以下であることが更に好ましい。
(粒子)
粒子は、ハードコート層の硬度を高める成分であり、無機粒子、有機粒子またはこれらの混合物のいずれであってもよい。無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO)粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称:ATO)粒子、酸化亜鉛粒子等の無機酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、硬度をより高める観点からシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子としては、球形シリカ粒子や異形シリカ粒子が挙げられるが、これらの中でも、異形シリカ粒子が好ましい。本明細書における「球形粒子」とは、例えば、真球状、楕円球状等の粒子を意味し、「異形粒子」とは、ジャガイモ状(断面観察時のアスペクト比が1.2以上40以下)のランダムな凹凸を表面に有する形状の粒子を意味する。上記異形粒子は、その表面積が球状粒子と比較して大きいため、このような異形粒子を含有することで、上記バインダ樹脂との接触面積が大きくなり、第1のハードコート層13の鉛筆硬度をより優れたものとすることができる。第1のハードコート層13に含まれているシリカ粒子が異形シリカ粒子であるか否かは、第1のハードコート層13の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察することによって確認することができる。球形シリカ粒子を用いる場合、球形シリカ粒子の粒子径が小さいほど、光透過性ハードコート層の硬度が高くなる。これに対し、異形シリカ粒子は、市販されている最も小さい粒子径の球形シリカ粒子ほど小さくなくとも、この球形シリカと同等の硬度を達成することができる。
上記シリカ粒子の平均粒子径は、5nm以上200nm以下であることが好ましい。5nm未満であると、粒子自身の製造が困難になり、粒子同士が凝集したりすることがあり、また、異形にするのが極めて困難になることがあり、更に、上記塗工前のインキの段階で異形シリカ粒子の分散性が悪く凝集したりすることがある。一方、上記異形シリカ粒子の平均粒子径が200nmを超えると、第1のハードコート層に大きな凹凸が形成されたり、ヘイズの上昇といった不具合が生じたりすることがある。シリカ粒子が球形シリカ粒子の場合には、シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した粒子の断面の画像から20個の粒子の粒子径を測定し、20個の粒子の粒子径の算術平均値とする。また、シリカ粒子が異形シリカ粒子である場合には、シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影したハードコート層の断面の画像から粒子の外周の2点間距離の最大値(長径)と最小値(短径)とを測定し、平均して粒子径を求め、20個の粒子の粒子径の算術平均値とする。
第1のハードコート層13中の粒子の含有量は、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。粒子の含有量が20質量%以上であると、十分な硬度を担保することでき、また粒子の含有量が70質量%以下であると、充填率が上がりすぎず、粒子とバインダ樹脂との密着性の悪化を抑制でき、第1のハードコート層の硬度の低下を抑制できる。
無機粒子としては、表面に重合性官能基を有する無機粒子(反応性無機粒子)を用いることが好ましい。このような表面に重合性官能基を有する無機粒子は、シランカップリング剤等によって無機粒子を表面処理することによって作成することができる。無機粒子の表面をシランカップリング剤で処理する方法としては、無機粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、無機粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
有機粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
<第2のハードコート層>
第2のハードコート層14は、耐擦傷性および滑り性を高めるための層である。第2のハードコート層14は、バインダ樹脂、滑剤および防汚剤を含み、かつ粒子を含まない。第2のハードコート層14は、バインダ樹脂等の他、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の各種添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、着色剤、フィラー等が挙げられる。
第2のハードコート層14の膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。第2のハードコート層の膜厚が、1μm以上であると、十分な耐擦傷性が発現し、また10μm以下であると、カールを抑制することができ、また屈曲性を保つことができる。第2のハードコート層14の膜厚は、第1のハードコート層13の膜厚と同様の方法で測定するものとする。
(バインダ樹脂)
第2のハードコート層14に含まれるバインダ樹脂は、第1のハードコート層13に含まれるバインダ樹脂と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
(滑剤)
滑剤は、光学フィルム10の表面10Aに滑り性を付与するためのものである。滑剤は、重合性官能基を有するものが好ましい。滑剤として重合性官能基を有する滑剤を用いた場合には、滑剤は第2のハードコート層中においてバインダ樹脂と結合した状態で存在する。
滑剤としては、光学フィルムの表面の滑り性を向上させやすい観点から、シリコーン系滑剤が好ましい。シリコーン系滑剤としては、特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン等のストレートシリコーンや変性シリコーンが挙げられる。
変性シリコーンとしては、例えば、(メタ)アクリル変性シリコーン等のエチレン性不飽和基変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン等が挙げられる。
滑剤の市販品としては、例えば、BYK−313、BYK−322、BYK−331、BYK−333、BYK−345、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−UV3510(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
滑剤の重量平均分子量は、3000以上20000以下であることが好ましい。滑剤の重量平均分子量が3000以上であると、面質上の問題の発生を抑制でき、また滑剤の重量平均分子量が20000以下であると、樹脂との相溶性が悪化することを抑制できる。
滑剤の含有量は、バインダ樹脂を構成する重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。滑剤の含有量が0.01質量部以上であると、第2のハードコート層の表面の動摩擦係数が低くなり、優れた滑り性を得ることができ、また0.5質量部以下であると、耐擦傷性の低下を抑制できる。
滑剤と防汚剤の含有割合は、1:9〜5:5であることが好ましい。含有割合がこの範囲内にあれば、より優れた耐擦傷性およびより優れた耐摩耗性を有する光学フィルムを得ることができる。
(防汚剤)
防汚剤は、光学フィルム10の表面10Aに指紋等の汚れが付着するのを防ぐためのものである。防汚剤は、重合性官能基を有するものが好ましい。防汚剤として重合性官能基を有する防汚剤を用いた場合には、防汚剤は第2のハードコート層中においてバインダ樹脂と結合した状態で存在する。
防汚剤としては、フッ素系防汚剤やフッ素シリコーン系防汚剤等のフッ素含有防汚剤が好ましい。フッ素含有防汚剤を用いた場合には、指紋が付きにくく(目立ちにくく)、拭き取り性も良好である。また、第2のハードコート層用組成物の塗工時の表面張力を下げることができるので、レベリング性がよく、形成する第2のハードコート層の外観が良好なものとなる。フッ素含有防汚剤の中でも、消しゴムとの摩擦力を低下させる観点から、フッ素シリコーン系防汚剤が好ましい。
フッ素系防汚剤の市販品としては、例えば、オプツールDAC、オプツールDSX(いずれもダイキン工業社製)、メガファックRS−56、メガファックRS−71、メガファックRS−74、メガファックRS−75(いずれもDIC社製)、LINC152EPA、LINC151EPA、LINC182UA(いずれも共栄社化学社製)、フタージェント650A、フタージェント601AD、フタージェント602等が挙げられる。
フッ素シリコーン系防汚剤の市販品としては、例えば、メガファックRS−851、メガファックRS−852、メガファックRS−853、メガファックRS−854(いずれもDIC社製)、オプスターTU2225、オプスターTU2224(いずれもJSR社製)等が挙げられる。
防汚剤の重量平均分子量は、3000以上20000以下であることが好ましい。防汚剤の重量平均分子量が3000以上であると、面質上の問題の発生を抑制でき、また防汚剤の重量平均分子量が20000以下であると、樹脂との相溶性が悪化することを抑制できる。
防汚剤の含有量は、バインダ樹脂を構成する重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。防汚剤の含有量が0.01質量部以上であると、優れた防汚性を得ることができ、また0.5質量部以下であると、耐擦傷性の低下を抑制できる。
<<光学フィルムの製造方法>>
光学フィルム10は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、樹脂基材11の一方の面11A上に、バーコーター等の塗布装置によって、第1のハードコート層用組成物を塗布して、第1のハードコート層用組成物の塗膜を形成する。
<第1のハードコート層用組成物>
第1のハードコート層用組成物は、硬化後にバインダ樹脂となる重合性化合物および粒子を含んでいる。第1のハードコート層用組成物は、その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、レベリング剤、溶剤、重合開始剤を含んでいてもよい。
(溶剤)
上記溶剤としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール、ジアセトンアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジアセトンアルコール)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、蟻酸メチル、PGMEA)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、カーボネート(炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル)、等が挙げられる。これらの溶剤、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、上記溶剤としては、ウレタン(メタ)アクリレート等の成分、並びに、他の添加剤を溶解或いは分散させ、第1のハードコート層用組成物を好適に塗工できる点で、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンが好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、電離放射線照射より分解されて、ラジカルを発生して重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、電離放射線照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
第1のハードコート層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法でこの塗膜を、例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。
塗膜を乾燥させた後、塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、塗膜を半硬化(ハーフキュア)させる。本明細書における「半硬化」とは、電離放射線をさらに照射すると硬化が実質的に進行することを意味する。ただし、この段階で、塗膜を完全硬化(フルキュア)させてもよい。本明細書における「完全硬化」とは、これ以上電離放射線を照射しても硬化が実質的に進行しないことを意味する。本明細書における電離放射線としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
塗膜を半硬化させた後、塗膜上に、バーコーター等の塗布装置によって、第2のハードコート層を形成するための第2のハードコート層用組成物を塗布して、第2のハードコート層用組成物の塗膜を形成する。
<第2のハードコート層用組成物>
第2のハードコート層用組成物は、硬化後にバインダ樹脂となる重合性化合物、滑剤および防汚剤を含んでいる。第2のハードコート層用組成物は、その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、溶剤、重合開始剤を含んでいてもよい。第2のハードコート層用組成物は、溶剤および重合開始剤は、第1のハードコート層用組成物で説明した溶剤および重合開始剤と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
第2のハードコート層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法でこの塗膜を、例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。
塗膜を乾燥させた後、第2のハードコート層用組成物の塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、第1のハードコート層用組成物の塗膜および第2のハードコート層用組成物の塗膜を完全硬化(フルキュア)させて、第1のハードコート層13および第2のハードコート層14を形成して、ハードコート層12を得る。これにより、図1に示される光学フィルム10が得られる。
本発明者らは、優れた耐擦傷性および優れた耐摩耗性の両立について、鋭意研究したところ、原子間力顕微鏡を用いて、光学フィルムの表面の5μm角の領域を三次元観察したとき、この領域内に直径0.1μm以上2.5μm以下および高さ20nm以下の円柱状の突起が主に滑剤から構成されており、しかもこの突起が3個以上20個以下存在すれば、優れた耐擦傷性および優れた耐摩耗性を有する光学フィルムが得られることを見出した。これは、以下の理由によるものと考えられる。上記突起は、主に滑剤によって構成されているので、上記突起が光学フィルムの表面に存在すると、光学フィルムの表面は滑りやすくなり、光学フィルムの表面と消しゴムの間の摩擦力を低下させることができる。ここで、上記突起が3個以上あれば、消しゴムとの摩擦による光学フィルムの表面からの防汚剤の脱落を抑制することができるので、優れた耐摩耗性を得ることができる。一方で、上記突起自体は柔らかいので、上記突起の数が多すぎると、上記突起の箇所に傷が付いてしまい、耐擦傷性が低下してしまう。このため、優れた耐擦傷性を得るためには、20個以下である必要である。本実施形態によれば、原子間力顕微鏡を用いて、光学フィルム10の表面10Aの5μm角の領域を三次元観察したとき、この領域内に直径0.1μm以上2.5μm以下および高さ20nm以下の円柱状の突起が3個以上20個以下存在しているので、優れた耐擦傷性および優れた耐摩耗性を有する光学フィルム10を得ることができる。
<<<<画像表示装置>>>>
光学フィルム10は、折り畳み可能な画像表示装置に組み込んで使用することが可能である。図3は、本実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。図3に示されるように、画像表示装置30は、観察者側に向けて、主に、電池等が収納された筐体31、保護フィルム32、表示素子33、タッチセンサ34、円偏光板35、および光学フィルム10がこの順で積層されている。表示素子33とタッチセンサ34との間、タッチセンサ34と円偏光板35との間、円偏光板35と光学フィルム10との間には、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)等の光透過性接着層36が配置されており、これら部材は光透過性接着層36によって互いに固定されている。
光学フィルム10は、ハードコート層12が樹脂基材11よりも観察者側となるように配置されている。画像表示装置30においては、光学フィルム10のハードコート層12の表面12Aが、画像表示装置30の表面30Aを構成している。
表示素子33は、有機発光ダイオード(OLED)素子となっているが、表示素子としては、液晶表示素子、無機発光ダイオード素子、または量子ドット発光ダイオード(QLED)であってもよい。
タッチセンサ34は、円偏光板35よりも表示素子33側に配置されているが、円偏光板35と光学フィルム10との間に配置されていてもよい。また、タッチセンサ34は、オンセル方式やインセル方式であってもよい。
光学フィルム10の用途は、特に限定されないが、スマートフォン、タブレット端末、タッチ機能を有するパーソナルコンピュータ等の画像表示装置において、特に好適に用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。
<ハードコート層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物を得た。
(ハードコート層用組成物1)
・ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「A−9550」、新中村化学工業社製):70質量部
・シリカ粒子(製品名「PGM−AC−2140Y」、日産化学工業社製):30質量部
・フッ素系レベリング剤(製品名「メガファックF−444」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物2)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−333」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1.質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−56」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物3)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−377」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−56」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物4)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−378」、ビックケミー・ジャパン社製):100質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−56」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物5)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−UV3510」、ビックケミー・ジャパン社製):100質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−56」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物6)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−UV3500」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−56」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物7)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−345」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−75」、DIC社製):0.1質量部
・易滑剤(製品名「H65」、CIKナノテック社製):1.5質量部
(ハードコート層用組成物8)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−75」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物9)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−313」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−75」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物10)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−322」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−75」、DIC社製):0.1質量部
(ハードコート層用組成物11)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(製品名「A−TMM−3」、新中村化学工業社製):100質量部
・シリコーン系滑剤(製品名「BYK−331」、ビックケミー・ジャパン社製):0.1質量部
・フッ素含有防汚剤(製品名「メガファックRS−75」、DIC社製):0.1質量部
<実施例1>
樹脂基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「KC8UAW」、コニカミノルタ社製)を準備し、トリアセチルセルロース基材の一方の面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させた。これにより、トリアセチルセルロース基材上に、膜厚が15μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を備える光学フィルムを得た。なお、トリアセチルセルロース基材の厚みは厚み測定装置(製品名「デジマチックインジケーターIDF−130」、ミツトヨ社製)を用いて、トリアセチルセルロース基材の厚みを10点測定し、その算術平均値とした。また、ハードコート層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、ハードコート層の断面を撮影し、その断面の画像においてハードコート層の膜厚をそれぞれ20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とした。実施例2〜実施例5および比較例1〜5においても、実施例1と同様の手法によって基材の厚み、およびハードコート層の膜厚を測定した。
<実施例2>
実施例2においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<実施例3>
実施例3においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<実施例4>
実施例4においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<実施例5>
実施例5においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例1>
比較例1においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例2>
比較例2においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例3>
比較例3においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例4>
比較例4においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<比較例5>
比較例5においては、ハードコート層用組成物2の代わりにハードコート層用組成物11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。
<突起数確認>
実施例および比較例に係る光学フィルムにおいて、原子間力顕微鏡(AFM)(製品名「WET−9100」、島津製作所製)を用いて、光学フィルムの表面の5μm角の領域を三次元観察して、前記領域内に存在する直径0.1μm以上2.5μm以下および高さ20nm以下の円柱状の突起の数をカウントした。なお、突起の数のカウントは、後述する消しゴム試験前の光学フィルムにおいて行った。また、参考として、実施例1に係る消しゴム試験前の光学フィルムの表面の5μm角の領域を原子間力顕微鏡(AFM)(製品名「WET−9100」、島津製作所製)によって三次元観察したときの写真を図4に示した。
上記光学フィルムの表面の三次元観察は、以下のようにして行われた。具体的には、まず、光学フィルムにおいて、少なくとも目視で異常のない箇所(大きい異物や擦りキズ等がない箇所)をランダムに3箇所選び出し、5mm角にカットして、3つのサンプルを得る。一方で、直径15mmおよび厚み1mmの平坦な円形の金属板を複数用意し、それぞれの金属板に、日新EM株式会社製のカーボン両面テープを貼り付ける。そのテープ上に1つのサンプルを、サンプルの表面(光学フィルムの表面)が上側となるように貼り付ける。そして、テープとサンプルの接着を確実なものとするために、サンプル付き金属板をデシケーターの中で一晩放置する。一晩放置後、サンプル付き金属板を原子間力顕微鏡(製品名「WET−9400」、島津製作所製)の測定台の上に磁石で固定し、タッピングモードにて、測定エリア5μm角で、原子間力顕微鏡により表面形状を三次元により観察した。
上記突起の個数は、1つのサンプルに対して、ランダムに5箇所を選び、3サンプル×5箇所(計15点)について、5μm角の領域に存在する突起の個数をそれぞれカウントし、得られた15点の突起の個数の算術平均値を求めることによって算出した。ここで、上記突起の全てではなく一部が上記領域内に存在する場合には、光学フィルムの表面の5μm角の領域を原子間力顕微鏡により二次元観察して、図2に示される点線のように、上記領域内に存在している突起の一部を外挿して円とし、上記領域内に存在する突起の一部の面積が外挿された円の半分の面積以上である場合には、突起の一部であっても、突起としてカウントし、上記領域内に存在する突起の一部の面積が外挿された円の半分の面積未満である場合には、突起としてカウントしないものとした。
上記突起の直径は、光学フィルム10の表面10Aの5μm角の領域を原子力顕微鏡で二次元観察して、1個の突起において、突起の外周に存在する任意の点から突起の外周に存在する他の任意の点までの長さが最も長くなるような3本の線を引き、その線の長さの算術平均値を求めることによって算出した。
<消しゴム試験前後の接触角維持率>
実施例および比較例に係る光学フィルムにおいて、消しゴムで光学フィルムの表面を4000往復擦る消しゴム試験を行うとともに、消しゴム試験前後において光学フィルムの表面の水に対する接触角をそれぞれ測定し、消しゴム試験前の接触角に対する消しゴム試験後の接触角の維持率を算出した。
消しゴム試験においては、まず、消しゴム付き鉛筆(製品名「事務用鉛筆9852(消しゴム付)」、三菱鉛筆社製)を途中から切断し、切断した消しゴム付き鉛筆を消しゴム側とは反対側から直径6mmの穴を有する治具に消しゴムが完全に露出するように挿入し、この消しゴム付き鉛筆を有する治具を学振型磨耗堅牢度試験機(製品名「AB−301」、テスター産業社製)に取り付けて、荷重500gおよび擦り速度30mm/秒で消しゴムにより光学フィルムの表面を4000往復擦った。
接触角測定においては、それぞれ横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した消しゴム試験前後の実施例および比較例に係る光学フィルムにおいて、光学フィルムの表面(第2のハードコート層の表面)の水に対する接触角を測定した。具体的には、JIS R3257:1999に記載の静滴法に従って、25℃において、顕微鏡式接触角計(製品名「DropMaster300」、協和界面科学社製)を用い、1μLの水をハードコート層の表面に滴下して、滴下後における接触角を10点測定し、それらの算術平均値を光学フィルムの表面の水に対する接触角とした。また、接触角維持率は、接触角維持率をA(%)とし、消しゴム試験前の光学フィルムの表面の水に対する接触角をBとし、消しゴム試験後の光学フィルムの表面の水に対する接触角をCとしたとき、以下の式によって算出した。なお、消しゴム試験後の接触角測定は、光学フィルムにおける消しゴムで擦った箇所で行われた。
A=C/B×100
<スチールウール試験>
実施例および比較例に係る光学フィルムの表面(ハードコート層の表面)に対して、スチールウール試験を行い、評価した。具体的には、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムをガラス板上に折れやシワがないようニチバン社製のセロテープ(登録商標)で固定した状態で、#0000番のスチールウール(製品名「BON STAR」、日本スチールウール社製)を用いて、1kg/cmの荷重をかけながら、速度50mm/秒で5000往復擦り、その後の光学フィルムの表面に傷の有無を目視により確認した。評価基準は、以下の通りとした。
○:傷が確認されなかった。
×:傷が確認された。
<鉛筆硬度試験>
実施例および比較例に係る光学フィルムの表面(ハードコート層の表面)における鉛筆硬度を、JIS K5600−5−4:1999に基づいてそれぞれ測定した。なお、鉛筆硬度の測定の際には、5cm×10cmの大きさに切り出した光学フィルムをガラス板上に折れやシワがないようニチバン社製のセロテープ(登録商標)で固定した状態で、鉛筆に1kgの荷重をかけながら、鉛筆を速度1mm/秒で移動させた。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において光学フィルムの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上蛍光灯下で光学フィルムの表面を透過観察した際に光学フィルムの表面に傷が視認されなかった場合には、この硬度の鉛筆においては光学フィルムの表面に傷が付かなかったと判断する。
<全光線透過率測定>
実施例および比較例に係る光学フィルムの全光線透過率を、JIS K7361−1:1997に準拠して、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、測定した。全光線透過率は、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムに対して3回測定して得られた値の算術平均値とした。
<ヘイズ値測定>
実施例および比較例に係る光学フィルムのヘイズ値(全ヘイズ値)を、JIS K7136:2000に準拠して、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、測定した。ヘイズ値は、横方向10cm×縦方向5cmの大きさに切り出した光学フィルムに対して3回測定して得られた値の算術平均値とした。
以下、結果を表1に示す。

Figure 0006897238
以下、結果について述べる。比較例1および2に係る光学フィルムにおいては、上記突起の個数が3個未満であったので、スチールウール試験の結果が良好であったものの、接触角維持率が低く、耐摩耗性に劣っていた。なお、比較例1に係る光学フィルムは、第2のハードコート層が易滑剤を含んでいたので、光学フィルムの表面に凸部が多数存在していたが、この凸部は円柱状ではなかった。このため、比較例1に係る光学フィルムにおいては、消しゴム試験で円柱状の上記突起よりも消しゴムとの接触面積が小さくなるので、防汚剤が削り取られてしまい、接触角維持率が低くなったと考えられる。また、比較例3〜5に係る光学フィルムにおいては、上記突起の個数が20個を超えていたので、接触角維持率は高かったものの、スチールウール試験の結果が劣っており、耐擦傷性が劣っていた。これに対し、実施例1〜5に係る光学フィルムにおいては、スチールウール試験の結果および接触角維持率の結果も良好であったので、耐擦傷性に優れ、かつ耐摩耗性にも優れていた。
10…光学フィルム
10A…表面
11…樹脂基材
11A…一方の面
12…ハードコート層
12A…表面
13…第1のハードコート層
14…第2のハードコート層
30…画像表示装置
33…表示素子
34…タッチセンサ

Claims (5)

  1. 樹脂基材と、前記樹脂基材の一方の面側に設けられたハードコート層とを備える光学フィルムであって、
    前記光学フィルムの表面が、前記ハードコート層の表面であり、
    前記ハードコート層が、粒子を含む第1のハードコート層と、前記第1のハードコート層における前記樹脂基材側の面とは反対側の面に設けられ、かつ粒子を含まない第2のハードコート層とを備えており、
    原子間力顕微鏡を用いて、前記光学フィルムの前記表面の5μm角の領域を三次元観察したとき、前記領域内に直径0.1μm以上2.5μm以下および高さ20nm以下の円柱状の突起が3個以上20個以下存在し、
    消しゴムを用いて荷重500gで前記光学フィルムの前記表面を4000往復擦る消しゴム試験を行った場合に、前記消しゴム試験前の前記光学フィルムの前記表面における水に対する接触角に対する前記消しゴム試験後の前記光学フィルムの表面における水に対する接触角の割合である接触角維持率が80%以上である、光学フィルム。
  2. スチールウールを用いて1kg/cmの荷重を加えながら前記光学フィルムの前記表面を5000往復擦るスチールウール試験を行った場合に、前記表面に傷が確認されない、請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 表示素子と、
    前記表示素子よりも観察者側に配置された請求項1または2に記載の光学フィルムと、を備え、
    前記光学フィルムの前記ハードコート層が、前記樹脂基材よりも観察者側に位置している、画像表示装置。
  4. 前記表示素子と前記光学フィルムとの間に、タッチセンサをさらに備える、請求項に記載の画像表示装置。
  5. 前記表示素子が、有機発光ダイオード素子である、請求項3または4に記載の画像表示装置。
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