JP6896533B2 - ヘッドアップディスプレイ - Google Patents

ヘッドアップディスプレイ Download PDF

Info

Publication number
JP6896533B2
JP6896533B2 JP2017131152A JP2017131152A JP6896533B2 JP 6896533 B2 JP6896533 B2 JP 6896533B2 JP 2017131152 A JP2017131152 A JP 2017131152A JP 2017131152 A JP2017131152 A JP 2017131152A JP 6896533 B2 JP6896533 B2 JP 6896533B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
half mirror
windshield
surface side
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017131152A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019015783A (ja
Inventor
二村 恵朗
恵朗 二村
那緒子 吉田
那緒子 吉田
田口 貴雄
貴雄 田口
昭裕 安西
昭裕 安西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2017131152A priority Critical patent/JP6896533B2/ja
Publication of JP2019015783A publication Critical patent/JP2019015783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6896533B2 publication Critical patent/JP6896533B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)
  • Instrument Panels (AREA)

Description

本発明は、車両等のウインドシールドに画像を表示するヘッドアップディスプレイに関する。
車両等のウインドシールドに画像を投影し、運転者に情報を提供する、いわゆるヘッドアップディスプレイ(ヘッドアップディスプレイシステム)が知られている。以下の説明では、ヘッドアップディスプレイを『HUD』とも言う。なお、HUDとは、『Head up Display』の略である。
HUDによれば、運転者は、前方の外界を見ながら、視線を大きく動かすことなく、地図、走行速度、および、車両の状態など、様々な情報を得ることができるため、各種の情報を得ながら、より安全に運転を行うことが期待できる。
HUDでは、運転者はウインドシールドに投影された画像の虚像を観察している。その虚像の結像位置は、ウインドシールドより車外前方側に位置する。虚像の結像位置は、通常、ウインドシールドより1000mm以上、前方側であり、ウインドシールドよりも外界側に位置する。
これにより、運転者は運転中でも視線を大きく動かすことなく情報を得ることができ、安全に運転ができる。
ここで、一般道における通常速度での走行と、例えば高速道路での高速走行とでは、運転者の視線の位置が異なる。すなわち、運転者は、高速走行では、通常走行よりも遥か前方に視線を向ける。そのため、高速走行において、視線を動かさずに画像を観察するためには、虚像の結像距離を、より遠くするのが好ましい。
また、近年のHUDでは、車両の前方にいる人物の認識等のために、例えば前方の人物を輪で囲むなどの、仮想現実(AR(Augmented Reality))の表示も要求されている。この際においても、車両と認識する人物との距離および運転者の視線によらず、人物を認識するための輪などの表示を、適正に人物の位置に合わせるためには、虚像の結像距離を変更するのが好ましい。
このような要求に応じて、例えば、特許文献1には、より利便性を良くし、かつ、安全性を高めるために、HUDにおいて、虚像の結像距離を可変とする投影システムが提案されている。
ここで、通常のHUDは、投影光の屈折に起因する二重像を解消して、鮮明な画像の投影を可能にするために、ウインドシールドの断面をクサビ型にしている。
ところが、このようなクサビ型のウインドシールドでは、虚像の結像距離が変わると二重像を低減するためにクサビ角度を変更する必要があり、虚像の結像距離が可変な投影システムに完全に対応することが難しい。
これに対して、特許文献2には、部分的にクサビ角度を変えて投影位置を上下に変えることにより、疑似的に、虚像の結像距離の変更に対応することが記載されている。
一方で、HUDに用いられるウインドシールドとして、特許文献3に示されるような、2枚のガラス板の間にハーフミラーを設けたウインドシールドを用い、ガラス板ではなく、ハーフミラーで投影像を反射する構成も知られている。
特開2015−349191号公報 特開2017−15902号公報 特開2016−153281号公報
特許文献3に記載されるような、ハーフミラーを有するウインドシールドを用いるHUDでは、投影像の反射が光路上の1点になるため、二重像が生じない。従って、ウインドシールドをクサビ型にする必要がないので、どのような虚像の結像距離でも、二重像が発生せずに、綺麗な画像を観察できる。そのため、このウインドシールドを用いることにより、虚像の結像距離が可変のHUDにも好適に対応が可能である。
ところが、本発明者らの検討によれば、ハーフミラーを有するウインドシールドを用いるHUDでは、虚像の結像距離が遠くなると、二重像は生じないものの、表示する画像が歪んでしまうという問題がある。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、虚像の結像距離が可変で、かつ、虚像の結像距離によらず、二重像および画像の歪みが無い鮮明な画像を表示できるHUDを提供することにある。
本発明は、以下の構成により、この課題を解決する。
[1] 外面側ガラス、ハーフミラーおよび内面側ガラスを有し、ハーフミラーが外面側ガラスと内面側ガラスとの間に配置されるウインドシールドと、ウインドシールドに投影光を照射するプロジェクターと、を備え、
プロジェクターは、虚像の結像距離が可変で、かつ、ウインドシールドにP波の投影光を照射するものであり、
ウインドシールドは、JIS K 7374に準拠する写像性測定方法において、角度45°の反射モードにおける像鮮明度が、幅0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上、であることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
[2] ウインドシールドは、ハーフミラーおよび外面側ガラス、ならびに、ハーフミラーおよび内面側ガラスの、少なくとも一方が、塗布型の接着剤によって貼着される、[1]に記載のヘッドアップディスプレイ。
[3] ウインドシールドは、ハーフミラーと外面側ガラスとの間、および、ハーフミラーと内面側ガラスとの間の、少なくとも一方に、中間膜が設けられる、[1]または[2]に記載のヘッドアップディスプレイ。
[4] 中間膜が、ポリビニルブチラールで形成される、[3]に記載のヘッドアップディスプレイ。
[5] ハーフミラーが、反射層と、反射層よりも内面側ガラス側に設けられるλ/2板と、を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ。
[6] ハーフミラーが、コレステリック液晶層を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ。
[7] プロジェクターによる投影光の虚像のうち、少なくとも2つの虚像は結像距離が1m以上異なる、[1]〜[6]のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ。
本発明によれば、虚像の結像距離が可変で、かつ、虚像の結像距離によらず、二重像および画像の歪みが無い鮮明な画像を表示できるHUDが提供される。
本発明のHUDの一例の概念図である。 図1のHUDに用いられるウインドシールドの一例の概念図である。 ハーフミラーの一例の概念図である。
以下、本発明のHUD(ヘッドアップディスプレイ)について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
角度および厚さ等は、特に記載がなければ、一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本発明において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長領域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長領域または780nmを超える波長領域の光である。
また、これに制限されるものではないが、可視光のうち、420〜490nmの波長領域の光は青色(B)光であり、495〜570nmの波長領域の光は緑色(G)光であり、620〜750nmの波長領域の光は赤色(R)光である。
図1に、本発明のHUDの一例を概念的に示す。
図1に示すHUD10は、乗用車等の車両に用いられるHUDであって、プロジェクター12と、ウインドシールド14とを有する。
HUD10において、ウインドシールド14は、図2に概念的に示すように、外面側ガラス18と、内面側ガラス20と、ハーフミラー24と、中間膜26と、接着剤層28とを有する。ハーフミラー24は、反射層32と、λ/2板34とを有する。
なお、本発明のHUDの用途には制限はなく、車両以外にも、航空機、二輪車、電車、および、船舶等、ウインドシールド(フロントガラス、風防ガラス)を有する各種の交通機関に利用可能である。
本発明のHUD10において、プロジェクター12は、出射光が直線偏光で、かつ、虚像の結像距離(虚像の結像位置)が可変なものである。
本発明において、プロジェクター12は、出射光が直線偏光で、かつ、虚像の結像距離が可変であれば、HUDに用いられる公知のプロジェクターが利用可能である。
従って、プロジェクター12の種類には、制限はなく、出射光が直線偏光であれば、HUDに用いられる公知のプロジェクター(投影装置(投影機)、投射装置(投射機))が利用可能である。プロジェクター12としては、一例として、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)プロジェクター、レーザープロジェクター、液晶プロジェクター(液晶ディスプレイ)等が例示される。
また、プロジェクター12における虚像の結像距離の変更方法にも、制限はなく、公知の方法が、全て利用可能である。
プロジェクター12における虚像の結像距離の変更方法としては、一例として、画像の生成面(スクリーン)を移動する方法(特開2017−21302号公報参照)、光路長の異なる複数の光路を切り換えて使用する方法(国際公開第2015/190157号参照)、ミラーの挿入および/または移動によって光路長を変更する方法、結像レンズとして組レンズを用いて焦点距離を変更する方法、プロジェクター12の移動による方法、虚像の結像距離が異なる複数台のプロジェクターを切り換えて使用する方法、および、可変焦点レンズを用いる方法(国際公開第2010/116912号参照)等が例示される。
なお、本発明において、プロジェクター12は、連続的に虚像の結像距離が変更可能なものでも、2点あるいは3点以上の複数点で、虚像の結像距離を切り換え可能なものでもよい。
ここで、プロジェクター12による投影光の虚像のうち、少なくとも2つの虚像は、結像距離が、1m以上、異なるのが好ましい。従って、プロジェクター12が、連続的に虚像の結像距離が変更可能なものである場合には、虚像の結像距離を1m以上、変更可能であるのが好ましい。このようなプロジェクター12を用いることにより、一般道における通常速度での走行と高速道路での高速走行とのように運転者の視線の距離がが大きく異なる場合にも好適に対応できる等の点で好ましい。
本発明のHUD10において、プロジェクター12は、P波(P偏光)の投影光をウインドシールド14(内面側ガラス20)に照射(入射)する。
プロジェクター12がウインドシールド14に照射する投影光がS波(S偏光)であると、ウインドシールド14の内面側ガラス20および外面側ガラス18による投影光の反射が多く二重像が観察される等の不都合が生じる。
好ましくは、プロジェクター12は、P波の投影光をブリュースター角でウインドシールドに照射する。
これにより、内面側ガラス20および外面側ガラス18での投影光の反射を無くして、より鮮明な画像の表示が可能になる。
図示例のウインドシールド14は、いわゆる合わせガラスであって、外面側ガラス18と内面側ガラス20との間に、中間膜26と、ハーフミラー24と、接着剤層28とを有する。
ハーフミラー24は、反射層32とλ/2板34とを積層したもので、λ/2板34が内面側ガラス20側すなわち投影光の入射側となる。また、ハーフミラー24は、接着剤層28によって外面側ガラス18に貼着され、中間膜26によって内面側ガラス20に貼着されて、外面側ガラス18と内面側ガラス20との間に挟持される。
外面側ガラス18および内面側ガラス20は、共に、車両等のウインドシールドに利用される公知のガラス(ガラス板)である。従って、形成材料、厚さ、および、形状等は、公知のウインドシールドに用いられるガラスと同様でよい。
図示例において、外面側ガラス18および内面側ガラス20は、共に平板状であるが、一部に曲面を有してもよく、あるいは、全面が曲面であってもよい。
なお、本発明において、ウインドシールド14の外面側ガラス18と内面側ガラス20とは、基本的に、平行に設けられる。すなわち、本発明において、ウインドシールド14の断面は、クサビ型ではない。
中間膜26は、事故が起きた際にガラスが車内に突き抜け、かつ、飛散することを防止すると共に、ハーフミラー24と内面側ガラス20とを接着する、合わせガラスのウインドシールドに用いられる公知の中間膜(中間層、接着層)である。
中間膜26には、制限はなく、ウインドシールドに用いられる公知の中間膜が利用可能である。中間膜26の形成材料としては、一例として、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素含有樹脂、および、ポリウレタン等が例示される。
また、中間膜26の厚さにも、制限はなく、形成材料等に応じた厚さを、公知のウインドシールドの中間膜と同様に設定すればよい。
接着剤層28は、塗布型の接着剤からなる層である。図示例のハーフミラー24は、接着剤層28によって、外面側ガラス18に貼着される。
接着剤層28には、制限は無く、ウインドシールド14として必要な透明性を確保でき、かつ、必用な貼着力でハーフミラー24とガラスとを貼着可能なものであれば、公知の各種の塗布型の接着剤からなるものが利用可能である。接着剤層28としては、一例として、アクリレート系接着剤等が例示される。
接着剤層28の厚さにも、制限はない。従って、接着剤層28の形成材料に応じて、十分な貼着力が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
ここで、接着剤層28が厚すぎると、後述する平面性を十分に保って、ハーフミラー24を外面側ガラス18(あるいは内面側ガラス20)に貼着できない場合がある。
この点を考慮すると、接着剤層28の厚さは、0.1〜20μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。
なお、図示例のウインドシールド14は、ハーフミラー24と内面側ガラス20との間に中間膜26を設け、ハーフミラー24と外面側ガラス18とを接着剤層28で貼着しているが、本発明は、これに制限はされない。すなわち、本発明のHUDでは、ハーフミラー24と外面側ガラス18との間に中間膜を設け、ハーフミラー24と内面側ガラス20とを接着剤層で貼着してもよい。
あるいは、本発明のHUDは、ウインドシールドが中間膜26を有さず、ハーフミラー24と外面側ガラス18との貼着、および、ハーフミラー24と内面側ガラス20との貼着を、共に、接着剤層28で行った構成でもよい。
ハーフミラー24は、反射層32とλ/2板34とを積層したものである。λ/2板34を有するハーフミラー24は、λ/2板34を内面側ガラス20側すなわち投影光の入射側に向けて設けられる。
なお、λ/2板34は、好ましい態様として設けられるものであり、必ずしも、必須の構成要件ではない。
ハーフミラー24に関しては、後に詳述する。
前述のように、図示例のHUD10において、ウインドシールド14は、外面側ガラス18と内面側ガラス20との間にハーフミラー24を有し、中間膜26によってハーフミラー24(λ/2板34)を内面側ガラス20に貼着し、接着剤層28によってハーフミラー24(反射層32)を外面側ガラス18に貼着する構成を有する。
ここで、本発明のHUD10において、ウインドシールド14は、JIS K 7374(JIS K 7374:2007)に準拠する写像性測定方法(像鮮明度測定方法)において、角度45°の反射モードにおける像鮮明度が、幅0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上である。
本発明のHUD10は、このような像鮮明度を有するウインドシールド14と、虚像の結像距離が可変で、かつ、P波の投影光を照射するプロシェクター12と、を有することにより、虚像の結像距離が可変で、かつ、虚像の結像距離によらず、二重像および画像の歪みが無い鮮明な画像を表示できるHUDを実現している。
図1にも示すように、HUD10では、画像の観察者すなわち運転者Dは、プロジェクター12が投影して、ウインドシールド14が反射した、プロジェクター12による投影像の虚像を観察している。
一般的なHUDでは、プロジェクターの投影像は、ウインドシールドのガラスによって反射され、その反射光を観察する。ここで、一般的なウインドシールドは、合わせガラスであり、内面側と外面側との2枚のガラスを有する。そのため、HUDでは、2枚のガラスの反射光によって、運転者に二重像が観察されるという問題がある。
これに対応するために、通常のHUDでは、内面側ガラスの反射と外面側ガラスの反射とが重なるように、ウインドシールド(中間膜)の断面形状をクサビ型にして、二重像が見えないようにしている。
ところが、前述のように、クサビ型のウインドシールドでは、例えば視線が近い通常走行と視線が遠くなる高速走行とにおける運転者の視線の違いに対応するために、虚像の結像距離を変更すると、ウインドシールドのクサビの角度が合わなくなり、運転者が観察する画像が二重像になってしまう。
これに対し、本発明のHUD10のように、ウインドシールド14が、外面側ガラス18と内面側ガラス20との間に、ハーフミラー24を有し、運転者Dが、ハーフミラー24による反射光を観察する構成では、プロジェクター12の投影光の反射は、基本的に、ハーフミラー24のみで行われるため、基本的に、二重像が生じない。
そのため、ウインドシールド14にハーフミラー24を用いるHUD10では、ウインドシールド14(中間膜26)の断面形状をクサビ型にする必要がなく、従って、虚像の結像距離を変更しても、二重像が生じることがない。
ところが、本発明者らの検討によれば、外面側ガラス18と内面側ガラス20との間に、ハーフミラー24を設けたウインドシールド14を用いるHUD10では、虚像の結像距離を変更すると、運転者Dに観察される画像が歪む(乱れる)という問題が生じる。特に、虚像の結像距離を遠く(長く)した場合には、この歪みが顕著に生じる。
この画像の歪みは、ハーフミラー24の平面性が低いことに起因すると考えられる。
外面側ガラス18と内面側ガラス20との間に、ハーフミラー24を設けたウインドシールド14は、通常、ハーフミラー24を中間膜で挟持し、この挟持体を外面側ガラス18と内面側ガラス20とで挟持した構成を有する。中間膜は、一般的に、PVBによって形成される。ところが、PVBは、比較的、柔らかい樹脂で、さらに、空気抜きの為に、凹凸等を形成されている場合も有る。
このような中間膜でハーフミラー24を挟持すると、ハーフミラー24に凹凸が生じてしまい、これが虚像の結像距離を変更した際における画像の歪みの原因となる。特に、ハーフミラー24を構成する反射層32およびλ/2板34が、共に塗布法で形成されたような、薄いハーフミラーでは、凹凸が大きくなってしまう。
これに対し、本発明のHUD10では、ウインドシールド14は、JIS K 7374に準拠する写像性測定方法において、角度45°の反射モードにおける像鮮明度が、幅0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上である。以下の説明では『JIS K 7374に準拠する写像性測定方法における、角度45°の反射モードにおける像鮮明度』を、単に『像鮮明度』とも言う。
外面側ガラス18と内面側ガラス20との間に、ハーフミラー24を設けたウインドシールド14において、像鮮明度は、ハーフミラー24の平面性と相関が有り、像鮮明度が高いほど、ハーフミラー24の平面性は高いと考えられる。ウインドシールド14において、この像鮮明度を、0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上とすることにより、ハーフミラー24の平面性を十分に確保して、虚像の結像距離を長くした場合でも、画像が歪むことを防止できる。
また、クサビ型のウインドシールドを用いるHUDでは、上下方向でクサビの角度を変更することで、上下方向に虚像の結像距離が異なる投影像を表示できる。しかしながら、このHUDでは、横方向にクサビの角度を変えることはできないので、横方向(車両の幅方向)に、虚像の結像距離が異なる投影像を並べて表示することは、不可能である。
これに対し、本発明のHUD10によれば、虚像の結像距離が異なる投影像を上下方向に並べて表示することはもちろん、虚像の結像距離が異なる投影像を、横方向に並べて表示することも可能である。しかも、本発明のHUD10では、複雑なウインドシールドの断面形状の設計および調節等を行う必要なく、虚像の結像距離が異なる投影像を、上下方向および/または横方向に、並べて表示できる。
図示例では、一例として、中間膜26をハーフミラー24と内面側ガラス20との間のみに設け、ハーフミラー24の外面側ガラス18側は、塗布形の接着剤からなる接着剤層28によって、直接的に外面側ガラス18に貼着することによって、ハーフミラー24の平面性を確保して、像鮮明度を、0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上としている。
なお、必要に応じて、接着剤層28によってハーフミラー24を貼着される外面側ガラス18の表面を研磨して、外面側ガラス18の表面の平坦性を向上してもよい。ガラスの研磨は、研磨材(酸化セリウム粉など)を用い、研磨パッドを有する研磨装置を用いる、公知の方法で行えばよい。
ウインドシールド14の像鮮明度が、0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上の、いずれか一方でも満たさない場合には、ハーフミラー24の平面性が不十分で、虚像の結像距離を変更した際に、画像が歪んでしまう。
ウインドシールド14の像鮮明度は、幅0.5mmの光学くしで95%以上、幅0.125mmの光学くしで80%以上が好ましく、幅0.5mmの光学くしで98%以上、幅0.125mmの光学くしで84%以上がより好ましい。
前述のように、ハーフミラー24は、反射層32とλ/2板34とを積層して構成される。
反射層32は、ハーフミラー24の本体であって、通常のハーフミラーと同様に、入射した光の一部を反射して、一部を透過する。
反射層32は、ハーフミラーを構成する公知の層が利用可能である。図示例においては、反射層32は、好ましい一例として、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である。すなわち、反射層32(コレステリック液晶層)は、コレステリック液晶構造を有する。
周知のように、コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示す波長選択反射性を有する。
コレステリック液晶相の選択反射の中心波長λ(選択反射中心波長λ)は、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。コレステリック液晶相のピッチは、重合性液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相の屈折率異方性Δnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、コレステリック液晶相の屈折率異方性Δnを調節して行うことができる。屈折率異方性Δnは、反射層32を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック液晶相の反射光は円偏光である。反射する円偏光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
反射層32は、右円偏光を反射するコレステリック液晶層でも、左円偏光を反射するコレステリック液晶層でもよい。あるいは、反射層32として、右円偏光を反射するコレステリック液晶層からなる反射層と、左円偏光を反射するコレステリック液晶層からなる反射層とを有してもよい。
コレステリック液晶相の旋回の方向は、反射層32を形成する液晶化合物の種類、および/または、添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
なお、反射層32は、1層のみを有しても、複数層を有してもよい。
反射する光の波長領域すなわち遮断する光の波長領域を広くするには、選択反射中心波長λをずらした層を順次積層することで実現できる。また、ピッチグラジエント法と呼ばれる層内の螺旋ピッチを段階的に変化させる方法で、波長範囲を広げる技術も知られており、具体的にはNature 378、467−469(1995)、特開平6−281814号公報および特許4990426号公報等に記載の方法などが挙げられる。
前述のように、反射層32は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である。
コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線(UV(Ultra Violet))照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。
なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物は、液晶性を示さなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、一例として、液晶化合物を含む液晶組成物が挙げられる。液晶化合物は重合性液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶層の形成に用いる液晶化合物を含む液晶組成物は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。また、コレステリック液晶層の形成に用いる液晶組成物は、さらにキラル剤、重合開始剤および配向剤等を含んでいてもよい。
特に、右円偏光を反射する反射層32を形成する液晶組成物は、重合性液晶化合物、右捩れを誘起するキラル剤、および、重合開始剤を含む重合性コレステリック液晶組成物であるのが好ましい。また、左円偏光を反射する反射層32を形成する液晶組成物は、重合性液晶化合物、左捩れを誘起するキラル剤、および、重合開始剤を含む重合性コレステリック液晶組成物であるのが好ましい。
−−重合性液晶化合物−−
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であるのが好ましい。
コレステリック液晶相を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、およびアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基がより好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.、190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、75〜99.9質量%であるのが好ましく、80〜99質量%であるのがより好ましく、85〜90質量%であるのがさらに好ましい。
−−キラル剤(光学活性化合物)−−
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
すなわち、右円偏光を反射する反射層32を形成する際には、右捩れを誘起するキラル剤を用い、左円偏光を反射する反射層32を形成する際には、左捩れを誘起するキラル剤を用いればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2000−147236、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179633号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−302487号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−306490号公報、特開2003−306491号公報、特開2003−313187号公報、特開2003−313188号公報、特開2003−313189号公報、および、特開2003−313292号公報に記載の化合物を用いることができる。
液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01〜200モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。
−−重合開始剤−−
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、液晶組成物は重合開始剤を含有しているのが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号および同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報および米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜12質量%であるのがさらに好ましい。
−−架橋剤−−
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いるのができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、架橋密度向上の効果が得られやすく、コレステリック液晶相の安定性がより向上する。
−−重合禁止剤−−
液晶組成物は、保存性の向上を目的として、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、ヒンダードアミン(HALS)、および、これらの誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤の含有量は、液晶組成物の固形分質量に対して、0〜10質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましい。
液晶組成物は、コレステリック液晶層を形成する際には、液体として用いられるのが好ましい。
液晶組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびシクロペンタノン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
ここで、前述のように、キラル剤としては、シンナモイル基などの光で異性化する部分(光異性化基)を有するキラル剤が利用可能である。液晶組成物のキラル剤として、光異性化基を有するキラル剤を用いた場合には、液晶組成物を塗布した後、マスク等を用いて、弱い紫外線をパターニングして照射することを1回以上行って、光異性化基を異性化し、その後、液晶組成物をコレステリック液晶相の状態とし、コレステリック液晶相を固定化するための紫外線の照射を行ってもよい。
あるいは、マスク等を用いてコレステリック液晶相を固定化するための強い紫外線をパターニングして照射することで部分的に硬化させた後に、未露光部または全面に弱い紫外線を照射することで光異性化基を異性化し、その後、コレステリック液晶相を固定化するための紫外線の照射を行ってもよい。
これにより、反射層32が、波長領域の異なる複数の色の光を、選択的に反射するようにできる。
また、紫外線照射時の温度を調節することで、反射波長領域を調節することも可能である。温度を調節しながら、紫外線をパターニングして照射することで、反射層32が、面内に、異なる波長領域の光を選択的に反射する反射領域を、複数、有する構成にできる。特に、液晶組成物の等方相温度以上に加熱した状態で、紫外線照射をすることで、いずれの波長領域にも反射特性を持たない透過領域を面内に形成することができる。
反射層32は、一例として、前述の液晶組成物を用いる塗布法で形成できる。
まず、目的とする円偏光方向に対応する捩れを誘起する感光性のキラル剤、重合性液晶化合物、重合開始剤および配向剤等を含有する液晶組成物を調製する。
例えば、HUD10が緑色のモノクロ画像を表示する場合には、緑色光を選択的に反射し、それ以外の光を透過するコレステリック液晶層、すなわち、緑色光の波長領域に選択反射中心波長を有するコレステリック液晶層を形成するように、液晶組成物を調製する。
次いで、調製した液晶組成物を反射層32の形成面に塗布する。図示例においては、λ/2板34に、調製した液晶組成物を塗布する。なお、液晶組成物の塗布は、ワイヤーバー塗布等の公知の方法で行えばよい。
次いで、液晶組成物を加熱することにより、液晶組成物をコレステリック液晶相の状態とし、かつ、硬化することにより、反射層32を形成する。
あるいは、液晶組成物を加熱することにより、液晶組成物をコレステリック液晶相の状態とし、さらに、必要に応じて液晶組成物に紫外線を照射して硬化することにより、反射層32を形成する。
なお、反射層32の厚さには、制限は無く、選択的に反射する可視光の波長、および、目的とする反射率等に応じて、適宜、設定すればよい。
前述のように、ウインドシールド14は、反射層32を1層のみ有するものでもよく、あるいは、複数層の反射層32を有するものでもよい。
ウインドシールド14が、反射層32を1層のみ有する場合には、HUD10は、モノクロ画像の表示を行うものとなる。
すなわち、反射層32(コレステリック液晶層)が、緑色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する場合には、HUD10は、緑色のモノクロ画像を表示する。反射層32が、赤色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する場合には、HUD10は、赤色のモノクロ画像を表示する。反射層32が、青色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する場合には、HUD10は、青色のモノクロ画像を表示する。
また、本発明のHUDにおいて、ウインドシールドのハーフミラーは、図3に概念的に示すように、反射層として、緑色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過緑色光反射層32G、および、赤色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する赤色光反射層32Rを有し、緑色光反射層32Gと赤色光反射層32Rとの2層の反射層を積層した、フルカラー画像の表示を行うHUDに対応するハーフミラーであってもよい。このハーフミラーにおいては、緑色光反射層32Gにおいて、コレステリック層の選択反射中心波長を青色光の波長領域寄りにし、かつ、選択反射帯域(半値幅)を広くすることで、フルカラー画像の表示に対応できる。
さらに、ハーフミラーは、反射層として、赤色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する赤色光反射層、および、青色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する青色光反射層を有し、赤色光反射層と青色光反射層との2層の反射層を積層した、フルカラー画像の表示を行うHUDに対応するハーフミラーであってもよい。このハーフミラーにおいては、両反射層の選択反射帯域(半値幅)を広くすることで、フルカラー画像の表示に対応できる。
あるいは、ハーフミラーは、反射層として、赤色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する赤色光反射層、緑色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する緑色光反射層および、青色光を選択的に反射して、それ以外の光を透過する青色光反射層を有し、赤色光反射層、緑色光反射層および青色光反射層の3層の反射層を積層した構成、および、選択反射帯域が広い1層の反射層を用いる(積層した)構成などの、フルカラー画像の表示を行うHUDに対応するハーフミラーであってもよい。
本発明のHUDにおいて、虚像の結像距離は、基本的にプロジェクター12(光源側)の光学系で変更するが、虚像の結像をガラス上とする場合には、実質的にガラス上に実像を形成することが考えられる。
その場合、プロジェクター12の光学系および下記の説明の様にハーフミラー24(好ましくはコレステリック液晶層(反射層32))の拡散反射率を上げることが好ましく、後述するように、透明層を用いたり、配向処理(ラビングなど)を省くことにより調節することができる。さらに、同一のウインドシールド14内の一部で、このような実像領域を設けたい場合には、配向処理(例えば、ラビング、光配向処理)を部分的に省くこと事により達成可能である。
(コレステリック液晶層の拡散反射率の調節)
選択反射波長における拡散反射率が高く、ヘイズ値が低いコレステリック液晶層(反射層32)は、層の少なくとも一方の表面、好ましくは層の両表面で液晶分子のチルト角が小さく、かつ液晶分子の面内配向方位をランダムとすることにより得られる。すなわち、液晶分子のチルト角および面内配向方位を調節することにより、選択反射波長における拡散反射率を50%以上でありかつ非偏光可視光に対するヘイズ値が低い5%以下であるコレステリック液晶層を形成することができる。コレステリック液晶層表面近傍の液晶配向方向、チルト角はコレステリック液晶層断面の膜表面近傍を透過電子顕微鏡(TEM(Transmission Electron Microscope))像などで確認すればよい。
コレステリック液晶層表面の液晶分子のチルト角と面内配向方位とを上記のように調節することにより、最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成を実現することができる。螺旋軸の傾きを有するとは、面内に後述の螺旋軸の傾きが2°以上である位置があることを意味する。最表面でコステリック液晶相の螺旋軸の傾きを有する構成とすることにより、コレステリック液晶相の螺旋軸は面内で僅かなうねりを持って分布させることができると考えられる。すなわち、層の法線方向から、螺旋軸のずれを、生じさせることができる。この螺旋軸のずれにより、散乱性の層となる。この層の内部には、複数の配向欠陥が存在しうる。
コレステリック液晶層を、最表面の螺旋軸の傾きが面内で変化しているように構成することにより、拡散反射率が高い散乱性の層とすることができる。なお、「螺旋軸の傾きが変化している」とは、例えば、表面の任意の直線上で一定間隔で螺旋軸の傾きを測定すると、直線進行方向で増加および減少が確認される状態を示す。増加および減少は、好ましくは繰り返されており、変化は好ましくは連続的である。
最表面はコレステリック液晶層のいずれか一方(最上面または最下面)であってもよく、両方(最上面および最下面)であってもよいが、両方であるのが好ましい。
さらに、螺旋軸の傾きの最大値を20°以下とすることにより、ヘイズ値(可視光波長域)を5%以下程度に低く調節できる。螺旋軸の傾きの最大値は2〜20°が好ましく、5〜20°がより好ましい。
本明細書において、「チルト角」とは、傾斜した液晶分子が層平面となす角度を意味し、液晶化合物の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度を意味する。従って、正の光学的異方性を持つ棒状液晶化合物では、チルト角は棒状液晶化合物の長軸方向すなわちダイレクター方向と層平面とのなす角度を意味する。
液晶分子の面内配向方位とは、液晶分子の上記の最大の屈折率の方向最大の屈折率の方向の、層と平行な面内での方位を意味する。面内配向方位がランダムであるとは、面内の液晶化合物分子の面内配向方位の平均方位と4°以上異なる面内配向方位を有する液晶分がTEMにて10〜20%で確認できる状態を意味する。
コレステリック液晶層の形成の際の重合性液晶化合物の配向の際の、下層側表面にある液晶分子のチルト角は0〜20°が好ましく、0〜10°がより好ましい。上記の値にチルト角を制御することにより、配向欠陥の密度と、螺旋軸の傾斜角度分布を好ましい範囲とすることができる。
コレステリック液晶層の形成の際の重合性液晶化合物の配向の際は、下層側表面の液晶分子のチルト角(プレチルト角)を上記のように低く、好ましくは水平にし、かつ、液晶分子の配向均一性を低下させるために、液晶組成物を塗布する後述の透明層および基材、または、他のコレステリック液晶層の表面にラビングなどの配向処理をしないことが好ましい。コレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子を水平にするために、水平配向剤を使用するのが好ましい。
(透明層)
本発明において、ハーフミラー24は、コレステリック液晶層(反射層32)の形成の際に液晶組成物が塗布される下層として、透明層を含んでいてもよい。透明層は、その表面に設けられる液晶組成物中の重合性液晶化合物分子に対して低いプレチルト角を与える材料からなる層を好ましく用いることができる。
透明層としては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、ゼラチン、ウレタンモノマーなどを含む非液晶性の重合性組成物を塗布硬化したものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリレートモノマーを含む層を塗布硬化して得られるアクリル層は面内において等方的であるため、アクリル層表面にラビング処理を施さずに液晶層を形成すると、アクリル層に接している液晶の面内配向方位はランダムとなる。
そのためアクリル層表面に液晶組成物を塗布して形成されるコレステリック液晶層を配向欠陥を有する層とすることができる。
そして、配向欠陥を有する液晶層上に液晶層を形成すると、同様に配向欠陥を有する液晶層を形成することができる。
透明層としてはそのほか、ポリイミド(日産化学社製、ポリイミドワニスのサンエバー130など)、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、変性ポリアミドなどの樹脂などを用いてもよい。拡散反射率の高いコレステリック液晶層の形成のため、液晶組成物を塗布する透明層の表面はラビング処理(例えば、ポリマー層の表面を、紙または布等で一定方向に、擦ることによるラビング処理)を行わないことが好ましい。
透明層の厚さは0.01〜50μmが好ましく、0.05〜20μmがより好ましい。
図示例のハーフミラー24は、好ましい態様として、コレステリック液晶層からなる反射層32と、λ/2板34とで構成される。λ/2板34は、反射層32よりも内面側ガラス20側、すなわち、投影光の入射側に配置される。
HUD10では、プロジェクター12は、P波の投影光を、好ましくはブリュースター角でウインドシールド14(内面側ガラス20)に照射して、内面側ガラス20および外面側ガラス18では投影光を反射しないようにする。例えば、プロジェクター12は、ウインドシールド14の法線(ウインドシールド14の表面の垂線)に対して60°程度の角度で、投影光をウインドシールド14に照射する。
一方で、前述のように、反射層32は、円偏光を反射するコレステリック層である。
この際においては、λ/2板34は、正面(法線方向)から見た場合はλ/2板として作用するが、投影光の入射方向(ブリュースター角)から見た場合には、直線偏光を円偏光に変えるλ/4板として作用する。
従って、λ/2板34を有することにより、P波を円偏光に変えて、投影光を効率よく反射層32で反射して、画像を表示できる。
λ/2板34は、公知のλ/2板(1/2波長板)、すなわちλ/2板の正面レタデーション(Re)を有するAプレートが、各種、利用可能である。
また、λ/2板34も、λ/2板34の形成材料等に応じて、λ/2板34を形成するための塗布液等を用いた、公知の方法で形成すればよい。
このようなウインドシールド14は、一例として、以下のように作製できる。
まず、樹脂フィルム等の仮支持体に塗布法等によってλ/2板34を形成し、λ/2板34に塗布法等によって反射層32を形成して、ハーフミラー24を形成する。
次いで、ハーフミラー24の反射層32を接着剤等28によって外面側ガラス18に貼着する。次いで、仮支持体を剥離する。
さらに、λ/2板34に中間膜26を貼着し、中間膜26に内面側ガラス20を貼着することで、ウインドシールド14を作製できる。
図示例のウインドシールド14は、好ましい態様として、コレステリック液晶層からなる反射層32とλ/2板34とを積層したハーフミラー24を用いているが、本発明は、これに制限はされず、ハーフミラーは、HUDで利用される公知のハーフミラーが、各種、利用可能である。
一例として、誘電体多層膜を用いるハーフミラー、および、直線偏光反射板を用いるハーフミラー等が例示される。
これらのハーフミラーは、ハーフミラーの形成材料に応じて、例えば、延伸した樹脂フィルムを積層する方法等、公知の方法で形成すればよい。
以上、本発明のHUDについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更等を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定はされない。
下記の(液晶)化合物1および2、フッ素系水平配向剤1および2を用意した。
・化合物1
Figure 0006896533
・化合物2
Figure 0006896533
・フッ素系水平配向剤1
Figure 0006896533
・フッ素系水平配向剤2
Figure 0006896533
[実施例1]
<ハーフミラーの作製>
[塗布液の調製]
(液晶組成物)
下記の成分を混合して、反射層(コレステリック液晶層)を形成するための液晶組成物を調製した。
・化合物1 80質量部
・化合物2 20質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.1質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.007質量部
・右旋回性キラル剤LC−756(BASF社製)
目標の反射波長に合わせて調節
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製) 1質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
上述の液晶組成物において、キラル剤LC−756の処方量を調節して、液晶組成物1および液晶組成物2を調製した。
それぞれの液晶組成物を用いて、後述する反射層と同様に、同じ仮支持体上に単一層のコレステリック液晶層を形成し、さらに、コレステリック液晶層の反射特性を確認したところ、形成したコレステリック液晶層はすべて右円偏光を反射する層であり、選択反射中心波長は下記の表1のとおりであった。
Figure 0006896533
(λ/2板形成用塗布液)
下記の成分を混合して、λ/2板を形成するためのλ/2板形成用塗布液を調製した。
・化合物1 80質量部
・化合物2 20質量部
・フッ素系水平配向剤2 0.1質量部
・フッ素系水平配向剤1 0.007質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製) 1質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が30質量%となる量
<ハーフミラー1の作製>
(仮支持体)
仮支持体として、縦500mm×横600mmで、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡社製、コスモシャインA4100)を用意した。
仮支持体の片面に、縦方向を基準(0°)に逆時計回り方向に60°の方向になるように、レーヨン布によってラビング処理(圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
(λ/2板(位相差層)の形成)
仮支持体のラビングを施した表面に、調製したλ/2板形成用塗布液をワイヤーバーを用いて塗布した。
λ/2板形成用塗布液を乾燥した後、仮支持体を30℃のホットプレート上に置き、無電極ランプ(フュージョンUVシステムズ社製、Dバルブ)によって60mW/cm2の紫外線を6秒間照射することによって、液晶相を固定して、厚さ2μmのλ/2板(位相差層)を形成した。
(ハーフミラー1の作製)
このようにして形成したλ/2板の表面に、調製した液晶組成物1をワイヤーバーによって塗布した。
液晶組成物1を乾燥した後、30℃のホットプレート上に置き、無電極ランプ(フュージョンUVシステムズ社製、Dバルブ)によって、60mW/cm2の紫外線を6秒間照射することによって、液晶相を固定して、厚さ0.6μmの反射層1(コレステリック液晶層1)を形成した。
形成した反射層1の表面に、さらに、液晶組成物2を用いて同様の工程を行い、厚さ1μmの反射層2(コレステリック液晶層2)を形成した。
このようにして、λ/2板と、反射層1および反射層2の2層の反射層(2層のコレステリック液晶層)とを有するハーフミラーを作製した。
作製したハーフミラーの反射スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、500nmおよび650nmに選択反射中心波長を有する反射スペクトルが得られた。
(ウインドシールドの作製)
縦200mm×横300mm、厚さ2mmのガラス板1を用意した。
ガラス板1に、接着剤層となるUV硬化型接着剤(東亞合成社製、UVX−5457)を塗布し、作製したハーフミラー1を、反射層側をガラス面側とし、縦方向がそれぞれ合うようにローラーを用いて貼り合わせた。その後、60℃に加熱して、出力90mW/cm2の無電極ランプ(フュージョンUVシステムズ社製、Dバルブ)によって、出力60%で12秒間、紫外線を照射して、接着剤層(UV硬化型接着剤)によってガラス1(外面側ガラス)にハーフミラー1を貼着した。
次いで、仮支持体およびハーフミラー1の、ガラス1の端部からはみ出した部分を切断した。その後、ハーフミラー1の仮支持体(PETフィルム)を剥離した。
次いで、ハーフミラー1(λ/2板)の上に、中間膜として、縦200mm×横300mmに切断した厚さ0.38mmのPVBフィルム(積水化学社製)を積層した。さらに、PVBフィルムの上に、縦200mm×横300mm、厚さ2ミリのガラス板2を積層して、積層体を作製した。この際に、ハーフミラー1のλ/2板の遅相軸方向が、ガラス板2側から見て、ガラスの縦方向を基準に時計回り方向に60°の方向になるように配置した。
この積層体を90℃、0.1気圧下で1時間保持した後に、115℃、13気圧で20分間加熱して気泡を除去して、中間膜(PVB)によってハーフミラー1と内面側ガラスとを貼着して、実施例1のウインドシールドを作製した。
[実施例2]
中間膜となるPVBフィルムに変えて、接着剤層となるUV硬化型接着剤(東亞合成社製 UVX−5457)によって、ハーフミラー1(λ/2板)とにガラス板2を貼着した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のウインドシールドを作製した。
[実施例3]
(ハーフミラー2の作製)
特表平9−506837号公報に記載された方法に基づき、以下のようにして、ハーフミラー2(直線偏光反射板)を作製した。
2,6−ポリエチレンナフタレート(PEN)と、ナフタレート70/テレフタレート30のコポリエステル(coPEN)とを、ジオールとしてエチレングリコールを用いて、標準ポリエステル樹脂合成釜において合成した。
PENおよびcoPENの単層フィルムを押出成型した後、約150℃で、延伸比5:1で延伸し、約230℃で30秒間、熱処理した。配向軸に関するPENの屈折率は約1.88、横断軸に関する屈折率は1.64、coPENフィルムの屈折率は、約1.64となることを確認した。
続いて、標準押出ダイを装着した25スロット供給ブロックを用いて、PENおよびcoPENを同時押出することにより、下記表2の(1)に示す膜厚のPENとcoPENとを、交互に25層、有する層を、形成した。さらに、同様の操作を繰返すことにより、表2の(2)〜(5)に示す厚さのPENとcoPENとを、交互に25層、有する層を、順に形成することにより、計125層を積層してなる、積層体を作製した。
Figure 0006896533
作製した積層体を、約150℃で、延伸比5:1で延伸した。
次いで、延伸した積層体を、エアーオーブン内において、約230℃で30秒間、熱処理して、ハーフミラー2を作製した。作製したハーフミラー2の厚さは5μmであった。このハーフミラー2は、λ/2板を有さない。
作製したハーフミラー2の反射スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、反射帯域が400〜700nmのブロードな反射スペクトルが得られた。
(ウインドシールドの作製)
ハーフミラー1に変えて、このハーフミラー2を用いた以外は、実施例2と同様に実施例3のウインドシールドを作製した。
なお、ガラス板1とハーフミラー2とを貼着する際には、ハーフミラー2が反射する偏光が、ガラス板1の縦方向に一致するように、貼り合わせを行った。
[比較例1]
<アクリル系粘着剤溶液Aの調製>
ブチルアクリレート(三菱化学社製)95質量部、アクリル酸(三菱化学社製)5質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を、酢酸エチル200質量部と共に、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液を調製した。
得られたアクリル系ポリマー溶液に、さらに酢酸エチルを加えて、全固形分濃度30質量%のアクリル系ポリマー溶液を調製した。
次に、このアクリル系ポリマー溶液の固形分100質量部に対して、光架橋剤として8質量部の2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(日本シイベルヘグナー社製、KIP−150)と、0.2質量部の3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−9007)とを配合し、アクリル系粘着剤溶液Aを調製した。アクリル系粘着剤の重量平均分子量をGPC(Gel Permeation Chromatography)で測定したところ、155万であった。
<粘着シートAの作製>
調製したアクリル系粘着剤溶液Aを、シリコーン系剥離剤で処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離ライナー、三菱化学ポリエステルフィルム社製、MRF38)の剥離処理面に、ワイヤーバーで均一に塗工した後、85℃のオーブンで3分間乾燥し、剥離ライナーの表面に厚さ15μmの粘着剤層を形成した。
次いで、剥離ライナーの剥離処理面に形成された粘着剤層に、無電極ランプ(フュージョンUVシステムズ社製、Dバルブ)によって、60mW/cm2の紫外線を、30秒間、照射して、粘着シートAを作製した。
<ウインドシールドの作製>
接着剤層となるUV硬化型接着剤に変えて、作製した粘着シートAによって、ハーフミラー1(反射層)とガラス板1とを貼着した以外は、実施例1と同様に、比較例1のウインドシールドを作製した。
[比較例2]
比較例1に対して粘着シートAの厚さを15μmから3μmに変更し、接着剤層となるUV硬化型接着剤に変えて、厚さ3μmの粘着シートAによって、ハーフミラー1(反射層)とガラス板1とを貼着した以外は、実施例1と同様に、比較例2のウインドシールドを作製した。
[像鮮明度の測定]
作製したウインドシールド(WS)について、写像性測定器(スガ試験機社製、ICM−IT)によって、JIS K 7374:2007に準拠して、幅0.5mmの光学くし、および、幅0.125mmの光学くしを用いて、角度45°の反射モードにおける像鮮明度を測定した。
なお、像鮮明度の測定は、ガラス板2側(λ/2板側)から、入射面がガラス板2の短手方向と平行なるように、光を入射して行った。また、測定光はP波とした。
結果を下記の表3に示す。
[光学性能の評価]
作製したウインドシールドとプロジェクターとを用いて、HUDを構成した。
HUDは、作製したウインドシールドを、ガラス板2(内面側ガラス)側が下方になるように傾斜させて、ガラス板2側から、プロジェクターによって画像を投映する構成とした。なお、HUDは、プロジェクターを光軸方向に移動可能にすることで、虚像の結像距離を変更可能にした。プロジェクターからの投影光はP波とした。
プロジェクターは、白輝度が200cdm-2で、色度がx=0.32、y=0.32の液晶パネル(LG電子社製、23EA53VA)を用いて構成した。投影画像は、縦方向に長尺な5mmピッチの白黒ストライプ画像とした。
光学性能(ミラー性能)の評価は、ガラス板2の垂線(法線)から60°の角度で、画像を目視観察することで行った。
観察および評価は、ウインドシールドと液晶パネルとの距離を、200、1000、および、2500mmに変更することで、虚像の結像距離を変更した、それぞれで行った。
評価は、以下のとおりである。
A: オレンジピール状のうねり、および、輪郭のひずみが、ほぼ見えず、かつ、二重像が見えない。
B: オレンジピール状のうねり、および、輪郭のひずみの少なくとも一方が小さく見えるが、二重像は見えない。
C: オレンジピール状のうねり、および、輪郭のひずみの少なくとも一方が大きい(二重像は判断できない)。
結果を下記の表3に示す。
Figure 0006896533
表3に示すように、ウインドシールド(WS)の像鮮明度が幅0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上を満たす本発明のHUDによれば、虚像の結像距離によらず、歪み等のない鮮明な画像が表示できる。
これに対して、ウインドシールドの像鮮明度が幅0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上を満たさない比較例では、虚像の結像距離が長くなると、画像に歪みを生じてしまう。
なお、実施例1〜3、および、比較例1〜2において、プロジェクターからの投影光をS波として画像表示を行い、同様の光学性能の評価を行った。その結果、全ての例で二重像が発生し、満足な画像を得ることができなかった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
車両、航空機、および船舶等におけるウインドシールドへの情報表示手段として好適に利用可能である。
10 HUD(ヘッドアップディスプレイ)
12 プロジェクター
14 ウインドシールド
18 外面側ガラス
20 内面側ガラス
24 ハーフミラー
26 中間膜
28 接着剤層
32,32G,32R 反射層
34 λ/2板
D 運転者

Claims (5)

  1. 外面側ガラス、ハーフミラーおよび内面側ガラスを有し、前記ハーフミラーが前記外面側ガラスと前記内面側ガラスとの間に配置されるウインドシールドと、前記ウインドシールドに投影光を照射するプロジェクターと、を備え、
    前記ハーフミラーが、コレステリック液晶層と前記コレステリック液晶層よりも前記内面側ガラス側に設けられるλ/2板との積層体、または、多層膜による直線偏光反射板であり、
    前記プロジェクターは、虚像の結像距離が可変で、かつ、前記ウインドシールドにP波の投影光を照射するものであり、
    前記ウインドシールドは、JIS K 7374に準拠する写像性測定方法において、角度45°の反射モードにおける像鮮明度が、幅0.5mmの光学くしで90%以上、幅0.125mmの光学くしで70%以上、であることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
  2. 前記ウインドシールドは、前記ハーフミラーおよび前記外面側ガラス、ならびに、前記ハーフミラーおよび前記内面側ガラスの、少なくとも一方が、塗布型の接着剤によって貼着される、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
  3. 前記ウインドシールドは、前記ハーフミラーと前記外面側ガラスとの間、および、前記ハーフミラーと前記内面側ガラスとの間の、少なくとも一方に、中間膜が設けられる、請求項1または2に記載のヘッドアップディスプレイ。
  4. 前記中間膜が、ポリビニルブチラールで形成される、請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
  5. 前記プロジェクターによる投影光の虚像のうち、少なくとも2つの虚像の結像距離が1m以上異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
JP2017131152A 2017-07-04 2017-07-04 ヘッドアップディスプレイ Active JP6896533B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017131152A JP6896533B2 (ja) 2017-07-04 2017-07-04 ヘッドアップディスプレイ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017131152A JP6896533B2 (ja) 2017-07-04 2017-07-04 ヘッドアップディスプレイ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019015783A JP2019015783A (ja) 2019-01-31
JP6896533B2 true JP6896533B2 (ja) 2021-06-30

Family

ID=65357615

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017131152A Active JP6896533B2 (ja) 2017-07-04 2017-07-04 ヘッドアップディスプレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6896533B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7382392B2 (ja) * 2019-03-13 2023-11-16 富士フイルム株式会社 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP7424378B2 (ja) 2019-07-08 2024-01-30 Agc株式会社 車体用樹脂部材、車体用樹脂部材付き窓部材、及び車両
JP7304573B2 (ja) * 2019-07-26 2023-07-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 ヘッドアップディスプレイ装置
JP7425806B2 (ja) * 2019-12-27 2024-01-31 富士フイルム株式会社 画像表示装置およびarグラス
WO2021132063A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 富士フイルム株式会社 画像表示装置およびarグラス
EP4130816A4 (en) * 2020-03-30 2023-11-22 FUJIFILM Corporation LINEAR POLARIZED LIGHT REFLECTION FILM, WINDSHIELD GLASS AND HEAD-UP DISPLAY SYSTEM

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10115802A (ja) * 1996-10-11 1998-05-06 Central Glass Co Ltd 表示装置
US20070279755A1 (en) * 2006-06-01 2007-12-06 3M Innovative Properties Company Head-Up Display System
JP6513690B2 (ja) * 2014-09-29 2019-05-15 富士フイルム株式会社 投映像表示用部材および投映像表示システム
JPWO2016190137A1 (ja) * 2015-05-27 2018-03-15 Jxtgエネルギー株式会社 透明積層体、それを備えた透明スクリーン、およびそれを備えた映像投影システム
JP2017021302A (ja) * 2015-07-15 2017-01-26 日本精機株式会社 ヘッドアップディスプレイ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019015783A (ja) 2019-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6896533B2 (ja) ヘッドアップディスプレイ
JP6114728B2 (ja) 投映像表示用部材および投映像表示システム
US11314087B2 (en) Projection image-displaying member, windshield glass, and head-up display system
US11947109B2 (en) Projection image-displaying member, windshield glass, and head-up display system
JP7382392B2 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP6768567B2 (ja) ウインドシールドガラス、ヘッドアップディスプレイシステム、およびハーフミラーフィルム
JP6858113B2 (ja) 実像表示用部材、および表示システム
JPWO2020080355A1 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
US20200333598A1 (en) Method for producing screen image-displaying laminated glass, screen image-displaying laminated glass, and image display system
US12072597B2 (en) Reflection film, windshield glass, and head-up display system
US11433743B2 (en) Half mirror
JP7260449B2 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
US11860361B2 (en) Reflection film, windshield glass, and head-up display system
JP2019012211A (ja) 投映像表示用ハーフミラー、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP6676015B2 (ja) 合わせガラスの製造方法
JP7314294B2 (ja) 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム
JP7247068B2 (ja) プロジェクター用反射部材およびヘッドアップディスプレイ用プロジェクター
JP7483003B2 (ja) 反射フィルム、合わせガラスの製造方法、および、合わせガラス
WO2023080115A1 (ja) 虚像表示装置、ヘッドアップディスプレイシステム及び輸送機
JP2024127027A (ja) ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190805

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200818

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210609

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6896533

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250