JP6895997B2 - 掘削中のボアホール掘削装置のダウンホール速度およびダウンホールトルクを推定するための方法および装置、ボアホール装置、ならびに、コンピュータプログラム製品 - Google Patents

掘削中のボアホール掘削装置のダウンホール速度およびダウンホールトルクを推定するための方法および装置、ボアホール装置、ならびに、コンピュータプログラム製品 Download PDF

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Description

本開示は、概して、地中構造(earth formation)中へのボアホール(boreholes)の掘削に関する。より具体的には、本開示は、特に地中構造中にボアホールを掘削する際、ボアホール掘削装置のドリルストリングおよびドリルビットに沿ったダウンホール速度(down hole speed)およびダウンホールトルク(down hole torque)の少なくとも一方を推定する方法および装置、本方法および/または本装置を備えたボアホール装置、ならびに、コンピュータまたはコンピュータシステムによって本方法を実行するためのコンピュータプログラム製品に関する。
ボアホールという用語は、一般に、下端にドリルビットを備えるドリルストリングを用いた、地中での垂直、水平および/またはその他の方向の掘削作業の結果を指す。ドリルストリングは、その上端すなわち頂端において、トップドライブまたはロータリテーブルと呼ばれる地表面または海面の駆動システムによって駆動される。トップドライブまたはロータリテーブルは、電動モータまたは任意の他のタイプの駆動モータで駆動されて、ボアホール内のドリルビットに回転運動を与える。
典型的には、ドリルストリングは、互いにネジで接続された複数の管またはパイプの構造体である。典型的なドリルストリングは、数百または数千メートルの長さを有し得る。
ドリルストリングの下部はボトムホールアセンブリ(BHA)と呼ばれ、そこにはドリルビットとも呼ばれるボアホールを掘削するための切削工具が接続する。
ドリルストリングは中空であり、そのため潤滑の目的で掘削流体をボトムホールアセンブリに向けて、およびビット内のノズルを通して送り込むことができる。掘削流体は、輪部(annulus)、すなわちドリルストリングの外周とボアホール壁との間の空間を上方に戻って循環し、切削屑をドリルビットから地表面に運ぶ。
ボアホールは、水や他の液体(油など)またはガス(天然ガスとシェールガスなど)の採取、地盤調査、地熱エネルギーの利用、環境サイトアセスメント、鉱物調査、温度測定の一部として、または、桟橋や地下施設の設置のためのパイロットホールとして、などの多くの異なる目的で掘削されうる。
ボトムホールアセンブリは、比較的短く厚肉であるため、ねじり方向に剛性である。使用中、ボトムホールアセンブリは圧縮力により横方向の撓みを生じる。ドリルストリングは、その長さが長く、壁の厚さが比較的薄いため、細く柔軟な構造である。掘削中、ボアホール装置内、および、特にドリルストリング内に多数の振動が発生する。回転ドリルストリングおよびボトムホールアセンブリにおいて、ねじり振動、軸方向振動または縦方向振動および横方向振動が発生しうる。
一般に、軸方向振動はビットバウンスを引き起こすかもしれず、それがビットカッターやベアリングを損傷させうる。横方向振動は非常に破壊的であり、ボトムホールアセンブリがボアホールの壁に衝突すると大きな衝撃を生じうる。横方向振動はシステムを逆方向に旋回させ、高周波の大きな曲げモーメントの変動を引き起こし、部品と接合部の疲労が高い割合で起こりうる。アセンブリのアンバランスは、遠心力によるドリルストリングの湾曲を引き起こし、それが前方への旋回を生じ、部品の偏摩耗が生じうる。ねじり振動は、特に、ボアホールに沿ったドリルストリングの振動から生じ、スティックスリップから生じうる。ドリルストリングの機能不全は、表面とビット間のエネルギー伝達を減少させ、金属疲労を増大させ、早すぎるビット摩耗を増大させ、貫通速度を減少させ、そしてボアホールの損傷を引き起こしうる。
スティックスリップは、地中構造表面またはボアホールの内壁面に接触するドリルビットおよび/またはドリルストリングの表面間の摩擦力によって引き起こされる現象である。一方のドリルビットおよび/またはドリルストリングの表面と、他方の地中構造およびボアホールの表面は、摩擦力の対応する変化で、交互に互いに張り付くかまたは互いの上を滑りうる。
実際には、この摩擦力は非線形の挙動を示し、ほとんどの場合、摩擦が非常に大きくなり、ドリルビット、すなわちボトムホールアセンブリが一時的にスティックモードと呼ばれる完全な静止状態になる。スティックモードの間、駆動システムの継続的な回転駆動速度または動きは、ドリルストリングを巻く。ドリルストリングに発生するトルクが静止摩擦を克服するのに十分な大きさである場合、ボトムホールアセンブリは再び回転を始め、スリップモードと呼ばれる。しかしながら、これは、とりわけドリルストリングおよびボトムホールアセンブリによって遭遇される動摩擦が静止摩擦よりも小さいという点で、ドリルビットの動きの角加速度の急激なジャンプまたは段階的な増加を引き起こし得、その過度の磨耗につながり得る。スティックモードとスリップモードは、規則的、定期的に互いにかなり短時間で続いて起こりうる。スティックスリップ掘削中、貫通率が低く、ビットは早く磨耗する。
上述の現象は、何らかの形で掘削プロセスの性能に悪影響を及ぼし、例えばスティックスリップが発生すると、計画された掘削作業が数日程度遅れる可能性があり、ペナルティ料などのリスクが伴う。
ドリルストリングにおけるねじり振動と共振の影響およびスティックスリップ動作と振動の発生および影響を軽減するために、とりわけ、ボアホール装置の駆動システムの回転駆動速度およびそれによって加えられるトルクは、速度制御装置で制御され、そのパラメータはボアホール装置の関連する運転パラメータに設定され調整される。「軽減する」という用語は、ねじり振動およびスティックスリップ振動を回避することを含めて、制御する、軽減する、低減する、和らげる、穏やかにする、取り除く、および、同様の意味を含むと解釈されるべきである。
ボアホール装置の動作パラメータは、上端部駆動装置または表面駆動装置の機械的特性、ボトムホールアセンブリおよびストリング形状、すなわちパイプ材料の比質量および剪断弾性率、粘性のボアホール壁の減衰などに依存する。
掘削が進行するにつれて、ドリルストリングの延長および/またはボトムホールアセンブリの変化により、ドリルストリングの管のストリング形状および機械的特性が変化する。理解されるように、例えばドリルパイプのいくつかのジョイントを含むスタンドによってドリルストリングを延ばすたびに、ボアホール装置の動力学が変化する。実際には、これは、例えば約100から200mの掘削毎に速度制御装置のパラメータを再調整することを必要とし得る。
掘削が始まるとき、掘削ストリングがボアホールの内壁と機械的に接触することなどによって掘削ストリングが受ける摩擦は、ボアホールが掘削される地中構造の材料組成の変化により、同様に作業中に変化するかもしれず、あるいは、ボアホールが例えば垂直位置から水平位置に、あるいはこれら二つの両極端部の間の位置にずれる。
実際には、速度制御装置の入力/出力インタフェースのキーパッドを介して、例えば、スプレッドシートなどから取得された、ドリルストリングの管またはパイプの内径、外径および長さ、ならびに、ドリルビットが載るボトムホールアセンブリのドリルカラーを入力することによって、ドリルストリングのストリング形状パラメータまたは動的特性は掘削者によって手動で提供されうる。ボアホール装置自体の機械的特性を入力する代わりに、使用される特定のドリルストリング形状に基づいて既に計算されたスプレッドシートまたはテーブルなどから速度制御装置のパラメータの値を入力してもよいことが理解されるであろう。
あるいは、例えば、出願人の名前で出願された国際特許出願WO2014/098598に開示されているような方法および装置によって、オペレータまたは他の熟練者の介入なしにストリング形状パラメータが得られてもよい。この方法および装置では、掘削が始まるとき、ボアホール装置、特にドリルストリングおよびボトムホールアセンブリの関連する代表的な動的モデルが完全に自動的かつ自律的に明らかにされることができる。
掘削中のドリルビットまたはボトムホールアセンブリおよびドリルストリングの機械的挙動に関する情報は、掘削プロセスを最適化するために掘削者にとって最も重要であるが、ボアホール装置のこれらの部分は表面下、すなわちダウンホールであり、見えないか、または、測定を適用するために容易にアクセスできないので、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでこの情報を検索することは解決すべき大きな問題となる。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「ダウンホール」は、一般に、掘削されたボアホール内の任意の位置を指し、ボアホールの下端部に限定されると解釈されるべきではない。
実際には、MWD(Measurement While Drilling)としても知られている、掘削中のダウンホールボアホール装置のリアルタイムまたはほぼリアルタイムの測定データは、BHAの軸方向、ねじり方向および横方向の加速度、張力、トルク、温度、および回転速度を測定する、電気機械式方向センサ、各種ひずみゲージ、温度センサおよび加速度計などのBHAにある測定装置によって収集される。マッドパルステレメトリーは、ダウンホールデータを地表の処理装置と交換するための市販のMWDおよびLDW(Logging While Drilling)システムにおける標準的な方法であり、そこでデータを処理して、たとえば装置上の掘削動力学キャビンのコンピュータスクリーン上にグラフィック表示することができる。
使用中のBHAは強い跳ね返りと振動の力にさらされるため、BHA内のMWDおよびLWD測定装置は堅牢である必要があり、過酷な条件ですべて信頼でき続けなければならず、このことはこのタイプの装置をかなり高価にする。現代のMWDツールは、一般に、10万サイクルの寿命にわたって0.5msの間約500Gの衝撃に耐えるように設計されている。スティック/スリップねじれ加速度によって生じるねじれ衝撃もまた重大であり得る。繰り返しスティック/スリップを受けると、ツールが故障することが予想される。
さらに、MWDシステムは、通常、バッテリおよび掘削流体タービンなどの電源を有する。これらの2つのタイプの電力システムの組み合わせは、MWDツールに電力を供給するために使用され、例えば断続的な掘削流体の流れ状態の間の電力中断を回避する。バッテリは、掘削流体の循環とは無関係にこの電力を供給できるが、バッテリの寿命は限られている。
塩化チオニルリチウム電池は、高エネルギー密度とMWD使用温度での優れた性能との優れた組み合わせのために、MWDシステムにおいて一般的に使用されている。これらの電池は低温で安全であるが、180℃以上に加熱すると、激しく、加速された反応を起こし、大きな力で爆発する可能性がある。これらの電池は耐用年数にわたって非常に効率的であるが、充電式ではなく、廃棄は厳しい環境規制の対象となる。
発電機を駆動するタービンは、可能性のあるすべての泥水ポンピング条件(mud-pumping conditions)に対応するために広範囲の流量を受け入れなければならず、かつ、掘削流体に混入した相当量の破片および破壊された循環物質を許容できなければならない。
ドリルパイプを伝送する音響システムは、掘削流体の強い減衰および限られたデータレートの交換を被り、これは例えばより高いビット伝送レートを必要とするより正確な測定装置を適用するための厳しい制限を有する。泥水ポンプと掘削モータによって引き起こされる信号ノイズは、収集されたデータを取得するために高度なフィルタリング技術を要求する。
実際には、とりわけボアホール装置による掘削動作を最適に制御するために、技術的および経済的な観点から、以上で明らかにされたような従来のMWDの不利益を被っていない、掘削中にドリルビット、ボトムホールアセンブリおよびドリルストリングの動的挙動に関するリアルタイムまたはほぼリアルタイムの情報を提供する必要がある。
地中構造にボアホールを掘削中にボアホール掘削装置のダウンホール動的挙動に関するリアルタイムまたはほぼリアルタイムの情報を提供するための方法および装置を提案することが目的である。
他の目的は、そのような方法で作動するおよび/またはそのような装置を備えた、地中構造にボアホールを掘削するためのボアホール装置を提供することである。
第1の態様では、地中構造にボアホールを掘削しながらボアホール掘削装置のダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を推定する方法が提供される。ボアホール掘削装置は、回転駆動システムと、ドリルビットと回転駆動システムに結合された上端とを含むボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、上端駆動トルクを指令することによって回転上端駆動速度を制御するように構成された速度制御装置とを備える。
本方法は、コンピュータで実行され、かつ、
− 前記ボアホール掘削装置の2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデル(two-port spectral domain transfer matrix computational model)の伝達行列成分を取得するステップであって、前記計算モデルは前記ボアホール掘削装置の減衰特性を含み、前記ダウンホール速度とダウンホールトルクは従属変数であり、前記回転上端駆動速度と前記上端駆動トルクは独立変数である、ステップと、
− 掘削中に、前記回転上端駆動速度および上端駆動トルクを取得するステップと、
− 前記得られた伝達行列成分から、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度および前記ダウンホールトルクの少なくとも一方、前記上端駆動速度および前記上端駆動トルクを計算するステップと、
を備え、
前記計算するステップは、
− 前記計算のスペクトル帯域幅を減少させるステップであって、前記減少された帯域幅は、前記計算において限られた数の高次スペクトルモードを含むように選択される、ステップと、
− 前記スペクトル領域において、前記計算に時間遅延項を適用するステップであって、前記時間遅延項は、因果的時間領域解(causal time domain solution)を可能にするように選択される、ステップと、
− 前記減少された帯域幅および追加された時間遅延項を適用することから、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算するステップと、
を備える。
この方法は、ドリルストリング、ボトムホールアセンブリおよびドリルビットによって構成されるボアホール掘削装置のダウンホール動力学が、2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルを使用して推定できるという洞察に基づき、ここでダウンホール速度およびダウンホールトルクは従属変数であり、回転上端駆動速度および上端駆動トルクは独立変数である。
数値的に、すなわちコンピュータ、特に汎用コンピュータによってボアホール掘削装置のダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを計算するために、所望の精度、計算安定性および/または計算時間を満たすのに関連するそのような高次モードのみを含む多数のスペクトルモードに対する計算を制限する目的で、そのスペクトル帯域幅を減少させることによって計算が修正される。モデルが十分な振動モードを表現していないためにモデリング誤差が大きくなり得るように、計算において考慮される高次スペクトルモードの数が少なすぎるようにスペクトル帯域幅を狭めるべきではない。
さらに、高次モードの数の制限を時間領域で補償するために、スペクトル領域では、ダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを達成するために時間遅延項が各計算に適用され、因果的時間領域解を有効にする。それは、計算されたダウンホール速度および/またはダウンホールトルクが、得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルクによって引き起こされることを確実にするためである。または、即ち時間tでの出力が過去の入力のみに依存することを確実にするためである。
ダウンホール速度および/またはダウンホールトルクは、帯域幅減少、時間遅延項および逆スペクトルを時間領域変換に適用して、得られた上端駆動速度および上端駆動トルクと伝達行列成分との行列乗算演算から計算することができる。
この方法は、高価で損傷を受けやすいダウンホール測定およびデータ伝送装置を必要とせずに、コンピュータを使用して、2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルから、実際の掘削作業中にボアホール内のそれぞれの位置でドリルビットおよびドリルストリングの動作を自動的に計算およびシミュレートすることが可能になるので、掘削オペレータのための非常に強力な分析ツールを提供する。当業者は、実際には、例えばドリルストリングに沿ってセンサを実装することによってドリルストリングの動作をその長さに沿って測定することは技術的に実行不可能であることを理解するであろう。
例えば、常にまたは連続的に掘削効率を最大にする目的で、ドリルビットの実際の動作に対する上端での駆動速度の変化の影響は、信頼性をもって自動的に計算され、分析のために掘削オペレータに提供される。
掘削の開始中に本方法を実行できるので、ボトムホールアセンブリから発生する機械的エネルギー、および、スティックスリップ動作と振動の発生と影響を減衰させることによって、特にドリルストリング内のねじり振動および共振の影響を軽減するために、速度制御装置は、自動的に、本質的に瞬時に、ボアホール掘削装置の関連する動作パラメータに適合および調整されることができる。
上記の方法は、実際に動作可能ないくつかの掘削装置から得られた実験的なダウンホール現場データから有効であることが証明されている。
本方法の一例では、前記スペクトル帯域幅減少および前記時間遅延項は、
− 前記伝達行列成分のスペクトル帯域幅を減少させるステップであって、前記減少された帯域幅は、前記伝達行列成分に限られた数の高次スペクトルモードを含むように選択される、ステップと、
− 前記スペクトル領域において、前記伝達行列成分のそれぞれに時間遅延項を追加するステップであって、前記時間遅延は、因果的時間領域解を可能にするように選択される、ステップと、
− 前記修正された伝達行列成分を使用して、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算するステップと、
によって適用される。
伝達行列成分を修正することは、複数のボアホールの位置についての修正伝達行列成分を前もって、すなわち回転上端駆動速度および上端駆動トルクが得られる前に計算しうるという点で、計算上有利である。
修正伝達行列成分を含む伝達行列成分は、スペクトル領域における伝達関数の形を取り得る。本方法の一例では、ダウンホール速度およびダウンホールトルクの時間領域の等価物は、得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルク、ならびに、ドリルストリングにおける1往復時間を含む期間にわたる修正伝達行列の伝達関数成分のインパルス応答関数を処理することによって、因果的畳み込み演算においてコンピュータによって計算される。それはドリルストリングの長さの前後である。往復の長さは、ドリルストリングを通過する振動波の縦方向の速度または振動に関係する。実際には、効率的な数値計算のために、1往復時間よりわずかに長い期間が選択される。例えば、往復時間の10〜20%の一部分である。
インパルス応答関数は、完全なシステムを完全に記述するために数秒の時間長にわたる必要があるだけであるが、畳み込み演算からボアホール掘削装置のダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを計算することは、処理能力と処理時間の両方に関して、計算上、非常に効率的である。結果として、複数のダウンホール位置のそれぞれに関する計算されたダウンホール速度およびダウンホールトルク(ビット速度およびビットトルクを含む)は、掘削中にほぼリアルタイムで提示され得る。
インパルス応答またはインパルス応答関数という用語は、何らかの外的変化に応答した動的システムの挙動を指し、市販のコンピュータソフトウェアから適切に合成できる。インパルス応答関数は、インパルスと呼ばれる短時間の入力信号の関数として、時間領域におけるシステムの動作を表す。インパルスは、連続時間システムではディラックのデルタ関数として、または、離散時間モデルシステムではクロネッカーのデルタとしてモデル化されうる。インパルス応答は、スペクトル伝達関数の時間領域変換への逆スペクトルから計算される。
一例では、複数のダウンホール位置のそれぞれに関する計算されたダウンホール速度およびダウンホールトルクは、特に、たとえば速度波形パターンまたはトルク波形パターン図で、時間およびダウンホール位置の関数として空間グラフ図で表示装置に提示される。
帯域幅の減少は、任意の適切なフィルタ関数によって得ることができ、例えば基本モードを超える、10の、好ましくは20まで、または、より好ましくは30までのスペクトルモードなど、選択された値および/または最大数の高次スペクトルモードを超えるスペクトルパワー密度を有する高次スペクトルモードのみを計算に含めるように、たとえば減衰特性およびドリルストリングの長さの少なくとも一方に基づくことができる。一般に、10Hz以上の帯域幅は、実際に正確な結果を提供するのに十分である。実際に知られており、本開示の目的のために考慮され得るフィルタ関数は、とりわけ、バターワース、チェビシェフ、ベッセルおよびガウスフィルタ関数である。
本方法の一例では、スペクトル帯域幅は、n次ローパスベッセルフィルタ演算を適用することによって低減され、ここでn≧4、好ましくはn≧10またはより好ましくはn≧20、そして漸減(tapering)である。漸減または窓掛けは、選択された間隔の外側のスペクトル領域において、すなわち選択された窓の外側において、計算、すなわち伝達行列成分をゼロ値にするために適用される。時間領域の等価物の計算を軽減する目的のために、コサイン、限定ガウス(confined Gaussian)、ウェルチおよびランチョス窓関数などの、しかしこれらに限定されない、徐々に減少する漸減または窓関数が好ましい。
スペクトル領域に時間遅延項を追加することは、計算の段階、すなわち伝達行列成分を修正する効果を有し、このように修正された計算、すなわち修正された伝達行列成分を、逆ラプラス変換または逆フーリエ変換、例えば逆高速フーリエ変換、IFFTなどにより、時間領域の等価物に変換するとき因果的インパルス応答を達成する。本方法の一例では、伝達行列成分のそれぞれに対し、固定された時間遅延項を追加することができ、または、ドリルストリングの実際の、瞬間的な、または、予想される長さに応じて時間遅延項を選択することができる。特に、ドリルストリングの長さ3000mあたり少なくとも1秒に等しい時間遅延項である。
本方法のさらなる例では、追加される時間遅延項は、ベッセルフィルタ演算またはスペクトル領域で動作する他の任意の選択されたフィルタ関数によって引き起こされる時間遅延も表す時間遅延部分を含む。実際には、この時間遅延項は約0.25秒であり、かつ、選択されたベッセルフィルタ関数の次数と帯域幅に依存する。
本方法の一例では、2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルは、
Figure 0006895997
によって表され、
ここで、M11(s)、M12(s)、M21(s)およびM22(s)は、帯域幅制限および時間遅延項修正スペクトル伝達行列伝達関数成分を表し、
ωdhは、ダウンホール速度を表し、
dhは、ダウンホールトルクを表し、
ωtdは、得られた上端駆動速度を表し、
refは、指令された上端駆動トルクを表し、
τは、速度制御装置の時間遅延を表し、かつ、
sは、ラプラス変換演算子を表す。
ダウンホール速度ωdhは、スペクトル領域または周波数領域において、M11(s)伝達行列成分および得られた上端駆動速度ωtdの乗算結果と、M12(s)伝達行列成分、指令された上端駆動トルクTrefおよび速度制御装置の時間遅延関数e−sτdの乗算結果とを合計することによって表される。
ダウンホールトルクTdhは、スペクトル領域または周波数領域において、M21(s)伝達行列成分および得られた上端駆動速度ωtdの乗算結果と、M22伝達行列成分、指令された上端駆動トルクTrefおよび速度制御装置の時間遅延関数e−sτdの乗算結果とを合計することによって表される。
適用可能であれば、速度制御装置の時間遅延は、ボアホール掘削装置の回転テーブルを駆動するAC電気モータを制御するための可変周波数駆動(VFD)の遅延を含むことに留意されたい。実際には、そのような遅延は10〜30ミリ秒程度である。
上記の式(1)から分かるように、開示された本方法におけるダウンホール速度および/またはダウンホールトルク、すなわち従属変数の計算は、実際の速度制御装置の設定とは無関係であり、かつ、独立変数である命令された上端駆動トルク設定点Trefおよび測定された上端駆動速度ωtdのみに依存する。
掘削の開始時に本方法を実行できるので、ボトムホールアセンブリから発生する機械的エネルギー、および、スティックスリップ動作と振動の発生と影響を減衰させることによって、特にドリルストリング内のねじり振動および共振の影響を軽減するために、速度制御装置は、自動的に、本質的に瞬時に、ボアホール掘削装置の関連する動作パラメータに適合および調整されることができる。
ボアホール掘削装置の動力学のモデル化は、システム解析および制御の基礎を構成する。有効な動的モデルは、取得可能な、すなわち測定された入力から本質的な出力を生成し、そこから許容可能な精度で出力を推定しうるモデルである。既存の掘削モデルは一般に、それによってドリルストリングが質量・ばね・ダンパシステムと見なされる集中定数モデル、ドリルストリングが軸方向および/またはねじり力を受ける梁と見なされる分布定数モデル、ドリルストリングが4つのパラメータおよび2つの状態、すなわち局所速度およびトルクからそれぞれ構成される複数の分数によってモデル化される有限要素モデルおよび伝送線路モデルとして分類されることができる。
本方法のさらなる例では、ボアホール掘削装置の2ポートスペクトル領域伝送行列計算モデルは、ドリルストリングの慣性、ボアホール内のドリルストリングの剛性および減衰特性、ボトムホールアセンブリの慣性および上端の駆動慣性を含む単一または複合の対称2ポートスペクトル領域伝送線路等価ドリルストリング計算モデル(a single or composite symmetrical two-port spectral domain transmission line equivalent drill string computational model)からなる2ポートスペクトル領域伝達行列を備える。そのような計算モデルの伝達行列成分は、上記式(1)に関して説明したように、それ自体、スペクトル領域における伝達関数、すなわち伝達行列伝達関数成分である。
上記の背景技術の項を参照すると、伝達行列成分を計算するための関連する機械的および弦形状の動作パラメータは、スプレッドシートまたはテーブルなどからオペレータの制御下で手動でおよび/またはデジタルで得ることができる。より洗練された実施では、出願人の名前で出願された国際特許出願WO2014/098598の教示を適用することから関連する機械的および弦形状の動作パラメータを取得することによって、オペレータまたは他の熟練者の介入なしに、掘削の開始時に本方法を完全に自動的かつ自律的に実行できる。
ドリルストリングと同等の2ポートスペクトル領域伝送線路は、動的なドリルストリング特性、すなわちドリルストリング慣性、ボアホール壁の減衰、剛性および材料減衰がドリルストリングの長さに沿って変化しないという仮定に基づいている。しかしながら、実際には、上記の背景技術の項で論じたように、掘削が進行すると、ドリルストリングの管のストリング形状および機械的特性は変化しうる。ドリルストリングとボアホールの内壁との機械的接触などによってドリルストリングが受ける摩擦は、同様に動作中に変化しうる。そのような場合、ドリルストリングは、ドリルストリングのそれぞれの部分の2ポート伝達行列のカスケードの行列乗算によって構成される複合伝達行列によってモデル化されてもよく、それらのそれぞれは、その動的特性に関して、その長さにわたって一様であると見なされうる。各伝達行列の行列成分は、それぞれの部分または長さの特定の動的特性を反映している。
ドリルストリングが受ける摩擦に影響を及ぼすボアホールの偏差または角度に関する情報は、ダウンホール方向センサおよび送信機から得ることができる。ドリルビットの幾何学的方向が時間とともにゆっくりと変化するので、そのような方向センサの情報は、比較的低い伝送ビットレートでドリルパイプの上方に確実に伝送され得る。
提示または視覚化の目的で、すなわち掘削者または掘削監督者にボアホール掘削装置のダウンホール部の動的挙動のリアルタイムに近い概観を提供するために、本方法の一例では、ドリルストリングの長さまたはボアホールに沿った複数の異なる位置に関して、各位置に関して修正伝達行列伝達関数成分のインパルス応答関数を計算することによって、および、それぞれの位置に関する前記計算されたインパルス応答関数のそれぞれ、前記得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルク、それぞれの位置のダウンホール速度およびダウンホールトルクのうちの少なくとも一方からの因果的畳み込み演算における処理によって、コンピュータによりダウンホール速度およびダウンホールトルクのうちの少なくとも一方が提供される。
位置は毎回、ボアホールが掘削される地面の平面などのボアホール掘削装置の設定固定点、または、ドリルストリングの上端などの別の固定基準位置を指す。特定の位置に関するインパルス応答関数は、前もって、すなわち第1の処理ステップにおいて計算することができ、それぞれの畳み込み演算は、上端駆動速度および上端駆動トルクが一旦得られると、第2の処理ステップにおいて実行される。複数の位置に関するダウンホール速度および/またはダウンホールトルクは、掘削中に、時間および位置の関数として空間図形で、特に速度波形パターンまたはトルク波形パターンの図で、表示装置にグラフィカルに提示されうる。
本方法またはその一部は、掘削現場に配置されたコンピュータまたは処理装置によって、および/または、ボアホール掘削装置から離れた別個のコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されうる。
第2の態様では、地中構造にボアホールを掘削するボアホール掘削装置のダウンホール速度および掘削トルクの少なくとも一方を推定するための装置が提供される。ボアホール掘削装置は、回転駆動システムと、ドリルビットおよび前記回転駆動システムに結合された上端を含むボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、上端駆動トルクを指令することによって回転上端駆動速度を制御するように構成された速度制御装置とを備える。
本装置は、
− 前記ボアホール掘削装置の2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルの伝達行列成分を取得し、前記計算モデルは前記ボアホール掘削装置の減衰特性を含み、前記ダウンホール速度とダウンホールトルクは従属変数であり、前記回転上端駆動速度と前記上端駆動トルクは独立変数であり、
− 掘削中に、前記回転上端駆動速度および上端駆動トルクを取得し、
− 前記得られた伝達行列成分から、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度および前記ダウンホールトルクの少なくとも一方、前記上端駆動速度および前記上端駆動トルクを計算する、
ように構成された、コンピュータ制御された掘削作業オブザーバシステムを備え、
前記計算することは、
− 前記計算のスペクトル帯域幅を減少させ、前記減少された帯域幅は、前記計算において限られた数の高次スペクトルモードを含むように選択され、
− 前記スペクトル領域において、前記計算に時間遅延項を適用し、前記時間遅延項は、因果的時間領域解を可能にするように選択され、
− 前記減少された帯域幅および追加された時間遅延項を適用することから、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算する、
ことを備える
さらなる実施形態では、本装置は、コンピュータ制御された掘削作業オブザーバシステムが、上述の例のいずれかの方法に従ってダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を推定するように構成されるように構成される。
別の実施形態では、本装置は、上端駆動速度および上端駆動トルクを直接的に得るために速度制御装置に動作可能に接続されているか、または、組み込まれている。
第3の態様では、地中構造にボアホールを掘削するためのボアホール掘削装置が提供され、ボアホール掘削装置は、回転駆動システムと、ドリルビットおよび回転駆動システムに結合された上端を含むボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、上端の回転駆動速度を制御するため、すなわち変更するために指令されたトルクを提供するように構成された速度制御装置と、上記の例の少なくともいずれかに従ったボアホール掘削装置のダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を推定するための装置と、を備える。
第4の態様では、コンピュータプログラムコードがコンピュータによって読み取り可能な媒体上に格納され、そのコンピュータプログラムコードが上記開示された例の少なくとも1つによる方法を実行するように構成されるコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータはボアホール掘削装置に動作可能に接続され、プログラムコードはコンピュータによって実行される。コンピュータによって読み取ることができる媒体にコンピュータプログラムコードを格納しているコンピュータプログラム製品が提供され、そのコンピュータプログラムコードは、コンピュータがボアホール掘削装置に動作可能に接続され、かつ、プログラムコードがコンピュータによって実行されるとき、上記の例の少なくともいずれかに従った方法を実行するように構成されている
コンピュータプログラム製品は、本開示による方法を実行するようにコンピュータ(または他の電子デバイス)をプログラムするために使用することができるコンピュータコード命令を記憶した機械読み取り可能な媒体を含んでもよい。
機械読み取り可能な媒体は、光ディスク、CD−ROM(コンパクトディスク読み取り専用メモリ)、および光磁気ディスク、ROM(読み取り専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)、EEPROM(電磁消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)、磁気または光学カード、フラッシュメモリ、または、電子命令を格納するのに適した他のタイプの媒体/機械読み取り可能な媒体などの非一時的媒体を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、コンピュータプログラム製品は、ダウンロード可能なコンピュータプログラム製品信号によって実現することもでき、ここでプログラムは、リモートコンピュータ(例えばサーバ)から要求側コンピュータ(例えばクライアント)に、通信リンク(例えばモデムまたはネットワーク接続)を介した搬送波または他の伝搬媒体で実現されるデータ信号を介して転送されうる。したがって、搬送波は機械読み取り可能な媒体を備えると見なされるものとする。
本開示の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明から最もよく理解されよう。図面において、同様の参照符号は、同一の部品または同一もしくは同等の機能もしくは動作を実行する部品を示す。
提示された実施例は、選択された計算モデルの伝達行列成分、それらの時間領域等価物およびインパルス応答関数、スペクトル領域変換、逆またはスペクトルから時間領域への変換、行列操作、畳み込み演算およびフィルタ演算を計算するためにMATLAB(登録商標)を用いた特定のコンピュータソフトウェアに言及するが、本出願の発明の概要部分に開示されている方法、装置、ボアホール掘削装置およびコンピュータプログラム製品は、このタイプのコンピュータソフトウェアプログラムに限定されると解釈されるべきではない。反対に、本開示は、動的システムの伝達関数およびインパルス応答関数のスペクトル領域変換および逆変換、行列操作、畳み込み演算およびフィルタ演算を計算するための任意の市販のコンピュータプログラム、ならびに、例えばC、C+またはC++で書かれた独占のソフトウェアプログラムに適用されうる。
地中構造中にボアホールを掘削するための従来のボアホール掘削装置の非常に概略的な図である。 集中ドリルストリングモデルを有する、図1に示されたボアホール掘削装置のスペクトル領域におけるシステムモデルを示す。 スペクトル領域における分布ドリルストリングモデルを示す。 図3の分布ストリングモデルのストリング部分の電気的な等価回路図である。 ドリルストリングをモデル化するために適用可能な電気的な等価伝送線路回路図を示す。 出願人のシミュレーション試験システムでシミュレートされた実用的なボアホール掘削装置について計算されたインパルス応答関数のグラフを、本開示に従って単一のセグメントまたは部分モデルおよび4つのセグメントまたは部分モデルにより表されたドリルストリングとともに示す。 出願人のシミュレーション試験システムでシミュレートされた実用的なボアホール掘削装置について計算されたインパルス応答関数のグラフを、本開示に従って単一のセグメントまたは部分モデルおよび4つのセグメントまたは部分モデルにより表されたドリルストリングとともに示す。 出願人のシミュレーション試験システムでシミュレートされた実用的なボアホール掘削装置について計算されたインパルス応答関数のグラフを、本開示に従って単一のセグメントまたは部分モデルおよび4つのセグメントまたは部分モデルにより表されたドリルストリングとともに示す。 出願人のシミュレーション試験システムでシミュレートされた実用的なボアホール掘削装置について計算されたインパルス応答関数のグラフを、本開示に従って単一のセグメントまたは部分モデルおよび4つのセグメントまたは部分モデルにより表されたドリルストリングとともに示す。 選択された期間にわたって、図6aから図6dに対応するボアホール掘削装置に関して計算されたビット速度およびビット速度への寄与を、4セグメントドリルストリングインパルス応答関数と、シミュレーションテストシステムにおける上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルクとに基づいて、グラフで示す。 選択された期間にわたって、図6aから図6dに対応するボアホール掘削装置に関して計算されたビット速度およびビット速度への寄与を、4セグメントドリルストリングインパルス応答関数と、シミュレーションテストシステムにおける上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルクとに基づいて、グラフで示す。 選択された期間にわたって、図6aから図6dに対応するボアホール掘削装置に関して計算されたビット速度およびビット速度への寄与を、4セグメントドリルストリングインパルス応答関数と、シミュレーションテストシステムにおける上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルクとに基づいて、グラフで示す。 図7aから図7cに関して拡大した時間スケールで、実際の測定されたビット速度値、および、図6aから図6dに対応するシミュレーションテストシステムでシミュレートされたボアホール掘削装置用の4セグメントドリルストリングモデルおよびドリルストリングの単一セグメントモデルから本開示に従って計算されたビット速度をグラフで示す。 選択された期間にわたって、4つのドリルストリングインパルス応答関数および上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルク、ならびに、図6aから図6dに対応するテストシステムでシミュレートされた計算および測定されたビットトルクに基づいて、ボアホール掘削装置について計算されたビットトルクへの寄与をグラフで示す。 選択された期間にわたって、4つのドリルストリングインパルス応答関数および上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルク、ならびに、図6aから図6dに対応するテストシステムでシミュレートされた計算および測定されたビットトルクに基づいて、ボアホール掘削装置について計算されたビットトルクへの寄与をグラフで示す。 選択された期間にわたって、4つのドリルストリングインパルス応答関数および上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルク、ならびに、図6aから図6dに対応するテストシステムでシミュレートされた計算および測定されたビットトルクに基づいて、ボアホール掘削装置について計算されたビットトルクへの寄与をグラフで示す。 選択された期間にわたって、4つのドリルストリングインパルス応答関数および上端駆動速度の得られた実際の値および指令された上端駆動トルク、ならびに、図6aから図6dに対応するテストシステムでシミュレートされた計算および測定されたビットトルクに基づいて、ボアホール掘削装置について計算されたビットトルクへの寄与をグラフで示す。 本開示に従って推定された、スティックスリップ軽減制御を適用した場合と適用しない場合のそれぞれのダウンホール速度を異なる時点でグラフで示す。 本開示に従って推定された、スティックスリップ軽減制御を適用した場合と適用しない場合のそれぞれのダウンホール速度を異なる時点でグラフで示す。 スティックスリップ軽減制御を適用する前後の選択された期間について、本開示に従って推定された掘削中のダウンホール速度を空間または3D図でグラフで示す。 スティックスリップ軽減制御を適用する前後の選択された期間について、本開示に従って推定されたダウンホールトルクを空間または3D図でグラフで示す。 本開示に従ってボアホール掘削装置の計算モデルからダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを自動的に決定するための単純化されたフローチャート図を示す。 本開示に従って動作するように装備されたボアホール掘削装置の概略図である。
図1は、非常に概略的な方法で、地中構造中にボアホールを掘削するための掘削リグの典型的なボアホール掘削装置10を示す。切削工具またはドリルビット17は、ドリルストリング12の下端部13でボトムホールアセンブリ(BHA)11に接続する。その上端部14で、ドリルストリング12は、トップドライブまたはロータリテーブルとも呼ばれる回転駆動システム15に結合され、それは次に、掘削リグのデリックまたはシャーシによってボアホールが掘削される地中構造の表面に固定されるか、または、船など(図示せず)に取り付けられ得る。
ドリルストリング12は、端から端まで一緒にねじ込まれた、中空の管またはドリルパイプの部分を含む。典型的なドリルストリングは、数キロメートル、例えば0〜10kmの長さであり、ドリルパイプは、約100〜300mmの外径および約10〜50mmの壁厚を有しうる。BHA11は、例えば、約250〜500mmの外径および約100mmの壁厚を有しうるより重い管からなる。BHAの長さは、典型的には100〜300mの範囲である。ドリルストリング12は、その長さと比較して非常に細い。
図示されていないが、実際の掘削作業では、ドリルビット17の冷却および潤滑のために、掘削流体は、ドリルストリング12のドリルパイプを通ってドリルビット17に向かって送り込まれる。掘削作業による切削物は、ドリルストリング12の外周とボアホール(図示せず)との間に形成された輪部を通って流れる掘削流体により、表面に戻される。
ボトムホールアセンブリ11は、いくつかのセンサと、送信機16と、垂直方向、水平方向または角度をずらした方向、もちろんそれらの組み合わせのような地中構造中の特定の方向にボアホールを掘削するようにボトムホールアセンブリ11を方向付ける方向付けツール(図示せず)と、を含む。
掘削データと情報は、ディスプレイまたは他のデータ出力装置(図示せず)およびキーボード、タッチスクリーンなどの入力装置(図示せず)を含むコンソール19に表示され、それにより、中間の速度制御装置20を介して、ドリルビット17の回転速度を制御するために、速度制御装置20の調整パラメータを入力することにより、および/または、駆動システム15のトルク制限を設定することにより、掘削者は、駆動システム15の回転速度を制御しうる。
駆動システム15は、ドリルストリング12、BHA11およびそれによりドリルビット17を回転させるための回転駆動システムモータ18を含む。駆動システムモータ18とドリルストリング12との間には、特定のギア減速またはある範囲のギア減速を有するギアボックス22が任意に接続され得る。
最近では、駆動システムモータ18は一般的に電気モータ、例えば電力変換器によって電力を供給される800kWの誘導モータである。しかしながら、本開示は、同期機、ブラシ付きDC機、ディーゼルエンジン、油圧モータなどにも同様に適用できる。ドリルストリング12の回転速度は、その上端部14で速度インジケータまたは速度センサ21、例えば高速回転モータシャフトの速度センサによって測定することができ、その測定信号は速度制御装置20に入力される。しかし、電気駆動システムモータの場合、ドリルストリングの上端駆動速度は、たとえば電気駆動システムモータ18に供給される電圧および電流から、センサレス方式で、速度制御装置20を用いて得ることができる。
使用時には、その上端部14において、ドリルストリング12は、ドローワークス(図示せず)とも呼ばれる巻き上げ機により上方に引き上げられることができる。下端部13において、底部にあるとき、BHA11はドリルビット17によって地中構造に静止しているか、または接触している。これは、ドリルビット17がボアホールの底で地中構造に接触していないオフボトムのBHA11の位置とは反対である。ドリルストリング12の細いドリルパイプは常に引っ張られているが、BHA11の厚肉の下部は部分的に圧縮されている。ドリルパイプ内の張力は、ドリルパイプ部分の座屈を回避する。しかし、ドリルパイプ部分のねじり剛性は、その細長い構造のために比較的小さい。
実際には、いくつかの種類の速度制御装置20が開発され使用されており、その制御動作は、一種の比例動作Pおよび一種の積分動作Iを提供するように動作可能な周知のPIコントローラに、または、例えば二重積分動作を有するPIIコントローラとして準拠する。例えば、電気駆動システムモータ18の場合、速度制御装置20は、駆動モータ電流、駆動モータの回転速度、および、駆動モータ電流と回転速度の変動などの測定変数のうちのいずれかまたはすべてからのフィードバックで動作するように構成され得る。これは、例えば、これらの変数のいずれかまたは両方を制御することによって駆動システム15内のエネルギーの流れを制御し、かつ、ドリルストリング12の上端14で駆動モータ18によってもたらされる回転速度を測定することである。
駆動システム15は、いわゆるスピニングモードおよびマークアップモードなどの異なるモードで動作してもよく、本開示は主に、しかし排他的にではなくドリルモードに関し、その間に掘削者は、ドリルビット17を押して回転させ、かつ、掘削流体または泥でボアホールを洗い流すことによって、地中構造または地質構造から材料を効果的に研削または切削することを目的とする。
トップドライブ、ドリルストリングおよびボトムホールアセンブリによって構成される動的システムは、状態空間モデル、等価電気回路モデル、等価機械的ねじりばね−慣性モデル、セグメント化モデル、連続時間モデル、離散時間モデル、スペクトルまたは周波数領域モデル、ならびに、機械的および電気的タイプの伝送線路モデルなどの波動伝播モデルのうち1つまたは異なるモデル表現の組み合わせによって表すことができる。
図2を参照すると、本開示を説明する目的で、スペクトル領域における図1のボアホール掘削装置10の単純化された計算動的モデル表現が示される。スペクトル領域は、周知のラプラス変換理論に従って、複素数偏角または演算子sによって表される。
図2の参照符号34、35、36、37、38および39は、加算演算を示し、すなわち、円の方を向く矢印で示される入力と、円から離れる方向を向く矢印で示される出力とを有する小さな円によって表される。それぞれの加算器の出力における値は、図2の特定の入力において示されるそれぞれの符号、すなわちプラスまたはマイナスを考慮したその入力における値の合計である。
ドリルストリング12は、いわゆる「集中ストリングモデル」に従ってモデル化される。このような集中ストリングモデルでは、全体としてのドリルストリング12、すなわちその上端部14からその下端部13までは、単一のねじりばねによって単純化され、内部および外部の摩擦により引き起こされる減衰作用を受け、ドリルストリング12に沿って作動する。とりわけ、内部摩擦は、ドリルストリングのパイプの鋼鉄内部の変形損失によって引き起こされ、かつ、ドリルストリングの引き上げ/下げ速度に比例する。潤滑の目的でBHA11に向かって送り込まれた掘削流体または掘削泥水、および、輪部、すなわちドリルストリング12の外周とボアホール壁との間の空間に戻って地表に循環するドリルビット17からの切削物も、ドリルストリングと泥の速度差による摩擦の原因である。すべてのそのような掘削流体または泥に関連する摩擦力は、外部摩擦と見なされる。
図2のスペクトル領域モデルでは、ドリルストリング12はその伝達関数40によって表され、かつ、ねじり剛性K[Nm/rad]、ストリング慣性J[kgm]、内部摩擦Yint[Nms/rad]および外部摩擦Yext[Nms/rad]を有すると仮定される。スペクトル領域では、ドリルストリング12のねじれ作用23は、そのねじり剛性Kおよびラプラス変換演算1/s、すなわちK/sによってモデル化される。慣性作用24は、ストリング慣性Jの逆数または逆関数およびラプラス変換演算1/s、すなわち1/(sJ)によってモデル化される。ドリルストリング12に沿って働く内部および外部摩擦作用Yint、Yextは、それぞれ加算演算36、37のそれぞれの入力におけるそれらの加算符号と共に、それぞれ要素26、27によって表される。
BHA11およびドリルビット17は、ドリルストリング12の下端部13における集中慣性Jbha[kgm]および集中摩擦Ybha[Nms/rad]によって表されうる。スペクトル領域において、集中慣性作用25は、Jbhaの逆数または逆関数およびラプラス変換演算1/s、すなわち1/(sJbha)によって表される。集中摩擦作用Ybhaは、総和演算39のそれぞれの入力における総和符号と共に、要素28によって表される。
回転駆動システム15は、慣性Jtd[kgm]によって表され、その動作は、ブロック29によって表される、慣性Jtdの逆数または逆関数およびラプラス変換演算1/s、すなわち1/(sJtd)によってモデル化される。
適用可能であれば、高帯域幅のトルク源として作用する可変周波数駆動装置(VFD)と組み合わせた回転駆動システム15は、参照符号30で表される伝達関数D(s)に要約される。参照符号31は、速度制御装置20の速度−トルク伝達関数A(s)を表す。伝達関数G(s)を有する速度フィルタ32は、例えば上端駆動速度ωtd[rad/s]を測定する速度指示計または速度センサ21の測定信号を入力するため、速度制御装置20の入力の内部に存在するか、または外部で接続されてもよく、合計動作34によって表される。ブロック33は、速度制御装置20内に存在し得る伝達関数E(s)を有するトルクフィルタを表す。
図2のモデルでは、ωset[rad/s]は、掘削者の基準速度、すなわち速度制御装置20の入力で掘削者によって設定される回転速度を表す。信号ωerrは、ドリルストリング12の上端14における実際の回転速度を表す速度信号ωtdと、合計演算34によって形成された基準または設定された回転速度信号ωsetとの間の差を表し、すなわちωerr=ωset−ωtdであり、伝達関数A(s)31に入力される。
掘削中、速度制御装置20は、伝達関数D(s)30によって表される駆動システムモータ18を制御するための指令されたトルク信号Tref[Nm]を生成するように動作する。駆動システム15により、すなわち図2の計算モデルにおける伝達関数D(s)の出力において提供される実際のトルクは、Tact[Nm]と呼ばれる。Tmeasは、例えば、トルクフィルタ33のフィルタ伝達関数E(s)を介して速度制御装置20によって示されるような実際のトルクTactを表す。
駆動システム15、すなわち図2のモデルにおけるブロック29が経験する累積トルクTacc[Nm]は、駆動システムモータ18によって加えられるトルクTactと、総和演算35によって形成されたドリルストリング12の上端14の実際の負荷トルクT[Nm]との間の差、すなわちTacc=Tact−Tによって表される。ドリルビット17で作用する負荷トルクはTbit[Nm]によって表され、ドリルビット、すなわちBHA11の回転速度はωbit[rad/s]によって表される。
ここで、図2に示されるシステムモデルでは、ドリルストリング12はスペクトル領域の2ポート伝達関数40によって表され、その入力変数はビットトルクTbitおよび上端駆動速度ωtdであり、その出力変数は負荷トルクTおよび回転ビット速度ωbitである。示されているように、合計演算35、37および38のそれぞれの入力における符号の選択を説明するのは、入力および出力パラメータのこの選択である。
本明細書および特許請求の範囲では、一般化された2ポート伝達行列表記が用いられ、ここでダウンホール側のビットトルクTbitおよびビット速度ωbitは従属変数を形成し、上端の負荷トルクTおよび上端駆動速度ωtdは独立変数を形成する。
集中ストリングモデルは、ストリング慣性Jを集中慣性Jbhaで置き換え、かつ、集中摩擦Ybhaを無視することによって、さらに単純化されうる。
使用時には、その上端部14において、ドリルストリング12は、ドローワークス(図示せず)とも呼ばれる巻き上げ機により上方に引き上げられることができる。下端部13において、底部にあるとき、BHA11はドリルビット17によって地中構造に静止しているか、または接触している。これは、ドリルビット17がボアホールの底で地中構造に接触していないオフボトムのBHA11の位置とは反対である。オフボトム動作では、減衰または集中摩擦Ybhaはドリルビットがボアホールの底部で地中構造に接触するときよりも小さくなり、これはオフボトムの際に非常に大きい減衰項になることが理解されよう。
集中ストリングモデルは、ねじり波(torsional waves)の移動時間もドリルストリングの高次モードも考慮していない。ドリルストリング12全体の伝達関数40は、しかしながら、ドリルストリングの一部分の伝達関数も表している。したがって、ドリルストリング全体は、図3に示すように、それぞれが上端14から下端13までのドリルストリング12の断面または長さを表す複数の2ポート伝達関数をカスケードすることによってスペクトル領域で表されうる。
図3の分布スペクトル領域ストリングモデル45は、N−1個の2ポートストリング伝達関数区間またはセグメント45,45,・・・,45,・・・45N−1からなり、Nは2以上の整数である。区間nの従属変数、すなわちトルクTn+1および速度ωn+1は、後続の区間n+1の独立変数、すなわちこの区間n+1のトルクTおよび速度ωをそれぞれ形成する。ドリルストリング12の上端部14における第1セクションの速度ωは上端駆動速度ωtdであり、第1セクションのトルクTはドリルストリング12の上端部14における実際の負荷トルクTである。ドリルストリング12の下端部13の最後の区間Nの速度ωは、トルクTがBHA11およびドリルビット17に作用する間の回転ビット速度ωbitを表す。
ドリルストリング12に沿った長さx、すなわち掘削される孔内の距離は、ベクトル44によって概略的に示されており、ドリルストリング12の上端部14から下端部13まで延びている。ドリルストリングの特定区間において、ドリルストリング12のそれぞれの部分または長さは、ねじり剛性Kn,n+1、慣性力Jn,n+1、内部摩擦Ynint、および外部摩擦Ynextを有すると仮定される。
すべての要素は線形であると仮定され、これは、有効な「小信号」摩擦を識別するための有効な仮定である。クーロン摩擦、すなわち移動方向にのみ依存する定常トルク、または、「ストライベック摩擦」、上端駆動コントローラの不適切な設定時のスティックスリップ振動が持続する際の駆動力と見なされる、不安定化する負の小信号摩擦として効果的に作用する、速度の増加とともに減少するトルクは、図2の線形モデルで表されない。クーロン摩擦が考慮される場合、これは一般に数Nm/メートルまたは数kNm/キロメートルのドリルストリング長の固定値として推定でき、外部の泥に関連した摩擦に追加されうる。
代替として、図3のドリルストリングの機械的に基づいた計算モデルは、電気素子を備える電気等価回路図によって表されうる。図4は、図3の分布ストリングモデルのストリング部分45の電気的等価物を示す。
図4の回路図では、ドリルストリングのそれぞれの部分または長さ45は、インダクタンス値L=1/Kn,n+1[H]を有するインダクタLによってモデル化される。ドリルストリングのそれぞれの部分または長さの慣性は、容量値C=Jn,n+1[F]を有するキャパシタCによってモデル化される。内部摩擦と外部摩擦は、それぞれ、抵抗値Rnint[Ω]を有し、インダクタLと並列に接続された抵抗Rnint、および、抵抗値Rnext[Ω]を有し、キャパシタCと並列に接続された抵抗Rnextで表される。なお、アドミッタンスY[A/V]と、インピーダンスまたは抵抗R[V/A]は逆数であり、したがってRnint=1/YおよびRnext=1/Ynextである。
区間nでは、電流i[A]と電圧u[V]は、それぞれ独立変数トルクTと速度ωを表し、電流in+1[A]と電圧un+1[V]は、それぞれ従属変数トルクTn+1と速度ωn+1を表す。
現実的な分布ストリングモデルは、それぞれが4つのパラメータと2つの状態(局所速度とトルク)からなる、何十、何百もの部分または長さを用いることにより構築されうる。このようなモデルは、電子機器の伝送線路モデルで使用されるラダーネットワークに似ている。しかし、主な違いは、RnintがインダクタLと平行であることである。電気の世界では、図4の機械的ストリングモデルで示されているように、導電体の銅抵抗は、長さあたりのインダクタンスと直列であり、並列ではない。他の相違点は、導体間の電気的絶縁としての電気的伝送線路モデルのしばしば無視される抵抗Rnextは、ほとんどの場合非常に高く、同軸ケーブル伝送線路モデルではこの電気的絶縁による誘電損失が考慮されるが、その影響は無視されうることである。しかしながら、泥およびボアホール壁の摩擦によって及ぼされるねじり粘性摩擦は、ボアホール掘削において非常に重要であり、機械的ストリングモデルに、したがってその電気的等価物に組み込まれなければならない。したがって、図5のラダーネットワーク伝送線路モデルによって示されるように、伝送線路の標準的な電気的等価回路図は、ドリルストリングのモデル化に適用可能であるように修正される必要がある。
図5の等価電気回路図は、図3の分布ストリングモデルのそれぞれのストリング部分45,45,・・・,45,・・・45N−1の図4による電気的等価回路図のカスケードであり、スペクトル領域の2ポート伝達関数で表されうる。電圧源46によって表される入力電流iおよび入力電圧uは、それぞれ独立変数Tおよびωであり、電流源47によって表される出力電流iN+1および出力電圧uN+1は、それぞれ従属変数Tおよびωである。
図5に示されるようなモデルは、識別されるべき非常に多数のパラメータを作成するであろう。幸い、図5の回路は、Nが無限大になる極限の場合に関してスペクトルまたは周波数領域で記述されうる。N=L/dx→∞のように、長さLのドリルストリングと長さdxの無限の数Nのストリング部分に関して、スペクトル領域における2ポート伝達行列は次のように表現されることが証明できる:
Figure 0006895997
以下の伝達行列特性を用いて:
γ=伝搬係数[1/m]
=特性アドミタンス[Nms/rad]
=1/Y=特性インピーダンス[rad/Nms]
L=ドリルストリングの長さ[m]
cosh(γL)=(eγL+e−γL)/2
sinh(γL)=(eγL−e−γL)/2
ω=ドリルストリングの上端の回転速度[rad/s]
=ドリルストリングの上端のトルク[Nm]
ω=ドリルストリングの下端の回転速度[rad/s]
=ドリルストリングの下端のトルク[Nm]。
伝搬係数および特性アドミタンスまたはインピーダンスは、ドリルストリングの機械的特性から導き出すことができる。比重ρ[kg/m]、せん断弾性率G[N/m]、比粘性壁減衰κ[Ns/m]、および材料のヒステリシスに起因する比粘性減衰δ[Ns/m]を有する鋼管から構成されるドリルストリングを想定する。sをラプラス変換演算子として、スペクトル領域では以下が適用される:
Figure 0006895997
OD=外径[m]およびID=ストリングパイプの内径[m]として、断面極モーメントIP=π/32・(OD−ID)[m]を有するドリルストリングの長さdx[m]の動的特性は、次のように表すことができる:
Figure 0006895997
ここで、ρ・s・IP≡ドリルストリング部の慣性Jn,n+1
κ・IP・dx≡ドリルストリング部の壁の減衰または外部摩擦Ynext
(G・IP)/(s・dx)≡ドリルストリング部のねじり剛性Kn,n+1、および、
δ・IP/dx≡ドリルストリング部の材料の減衰または内部摩擦Ynint
結果として得られる伝達行列の特性は、以下から見い出されうる:
Figure 0006895997
式(2)は、スペクトル領域において、任意の長さの均一なドリルストリングの挙動を容易に計算することができる。
ドリルストリングの機械的性質および/または内部および外部摩擦がドリルストリングの長さに沿って均一ではない場合、スペクトル領域における2ポート伝達行列のカスケードの行列乗算からなる複合伝達行列によってモデル化されることによって同様に、このカスケードの各伝達行列の伝達行列成分は、上記伝達行列(2)に従って、均一であると仮定され得るドリルストリングのそれぞれの部分または長さの機械的性質および摩擦または減衰を表す。
例えば、図1のドリルストリング12が、上端部14から延びる第1の部分(a)とボアホール内の下端部13で終わる第2の部分(b)とによって、上述の電気的伝送線路モデルに従ってモデル化されていると仮定する。上端のドリルストリングで働く回転速度とトルクをωとT、ドリルストリングの第1の部分(a)と第2の部分(b)の境界で働く回転速度とトルクをωとT、ドリルストリングの端部で働く回転速度とトルクをωとTとする。上記の式(2)に従って、ma11,ma12,ma21およびma22はドリルストリングの部分(a)の伝達行列の伝達行列成分を表し、mb11,mb12,mb21およびmb22はドリルストリングの部分(b)の伝達行列の伝達行列成分を表す。
ドリルストリングの部分(a)のスペクトル領域における2ポート伝達行列は、次のように表されうる:
Figure 0006895997
ドリルストリングの部分(b)のスペクトル領域における2ポート伝達行列は、次のように表されうる:
Figure 0006895997
ドリルストリング全体のスペクトル領域における2ポート伝達行列は、次に、式(10)に式(11)を代入することによって見出され、次のようになる:
Figure 0006895997
行列乗算を実行すると、次のようになる:
Figure 0006895997
異なる機械的特性を有するおよび/または異なる摩擦を受ける2つより多い部分からなるドリルストリング12の伝達行列も同様に計算されうることが理解されよう。
ボアホール掘削装置10、すなわち速度制御装置20、駆動システム15、ドリルストリング12およびBHA11ならびにドリルビット17の完全なモデルは、ドリルストリング12の2ポートスペクトル領域伝達行列表現(2)と、一方ではBHA11およびドリルビット17の、他方では速度制御装置20および駆動システム15のそれぞれの2ポートスペクトル領域伝達行列表現とを組み合わせることによって導き出すことができる。
BHA11とドリルビット17に関し、全体として見た、すなわち集中した、BHA11とドリルビット17が受ける摩擦を含む2ポートスペクトル領域伝達行列は、次式で表されうる:
Figure 0006895997
ここで、Jbha=集中ボトムホールアセンブリの慣性
bha=集中ボトムホールアセンブリの摩擦
ωbit=回転ビット速度
ω=ドリルストリングの下端の回転速度
bit=ドリルビットで働くトルク
=ドリルストリングの下端で働くトルク
s=ラプラス変換演算子。
速度制御装置20によって引き起こされる時間遅延τ[s]を含む駆動システム15によってドリルストリング12の上端14に働く回転速度およびトルクについての2ポートスペクトル領域伝達行列は、次式で表されうる:
Figure 0006895997
ここで、J=トップドライブ慣性
τ=速度制御装置の時間遅延
ωtd=得られたドリルストリングの上端の回転ビット速度
ω=ドリルストリングの上端の回転速度
ref=指令された上端駆動トルク
=ドリルストリングの上端のトルク
s=ラプラス変換演算子。
式(2)および(14)を式(15)に代入することは、全体としてのボアホール掘削装置10の2ポートスペクトル領域伝達行列Mbhを提供し、すなわち:
Figure 0006895997
ここで、Mbh11(s)、Mbh12(s)、Mbh21(s)およびMbh22(s)は、上に示された完全なボアホール掘削装置10の伝達行列Mbhのスペクトル伝達行列成分であり、下式である:
Figure 0006895997
式(16)に逆行列の法則を適用すると、次のようになる:
Figure 0006895997
ここで、完全なボアホール掘削装置の伝達行列Mbhの行列式(Det)は1に等しいので、すなわち、Det(Mbh)=Mbh11(s)・Mbh22(s)−Mbh12(s)・Mbh21(s)=1である。式(18)の表記では、ダウンホール側のビットトルクTbitおよびビット速度ωbitが従属変数を形成し、上端側の負荷指令上端駆動トルクTrefおよび上端駆動速度ωtdが独立変数を形成する。
以下のように、行列乗算を適用することによって、式(18)から、スペクトル領域において、ドリルストリングの下端における回転速度ωbitおよびドリルビットで働くトルクTbitを計算することができることに留意されたい:
Figure 0006895997
計算を容易かつ/または高速化するために、例えば、集中摩擦Ybha=0およびMbh11(s)=Mbh22(s)と仮定することによって、式(19)および(20)を単純化しうる。
上述した完全なボアホール掘削装置10のスペクトル伝達行列Mbhのスペクトル伝達行列成分は、それぞれ周波数依存の伝達関数である。さらなる説明を簡単にするために、スペクトル伝達行列成分は、Mbh11、Mbh12、Mbh21およびMbh22と表記される。
実際のシステムでは、式(2)から(9)に従って適用される近似および仮定のために、周波数閾値より上で、逆行列の要件、Det(Mbh)=Mbh11・Mbh22−Mbh12・Mbh21=1はもはや満たされないことが観測されている。このことは、この周波数閾値を超える伝達行列成分Mbh11、Mbh12、Mbh21、およびMbh22の位相増加の効果を有する。さらに、より高い周波数では、伝達行列成分の利得は、関数cosh(γL)=(eγL+e−γL)/2およびsinh(γL)=(eγL−e−γL)/2における伝搬係数γの非ゼロの実部により急速に増加する。
これらの現象を補償するために、伝達行列成分Mbh11、Mbh12、Mbh21およびMbh22は、伝達行列成分の基本モードおよび限られた数の高次スペクトルモードを含むようにそれらのスペクトル帯域幅を減少させることによって、および、スペクトル領域において、各伝達行列成分に時間遅延項を追加することによって、修正され、時間遅延は因果的時間領域解を可能にするように選択される。
スペクトル領域における帯域幅減少フィルタ、すなわちローパスバンドフィルタの伝達関数がF(s)であり、時間遅延τF[s]が因果的時間領域解を可能にするために追加されることを仮定する。スペクトル領域では、式(18)および(19)から、ドリルストリングの下端における回転速度ωbitおよびドリルビットで働くトルクTbitは、帯域幅の減少、すなわち高次のスペクトルモードの制限または減少、および、時間遅延演算を適用して、次の式から計算できる:
Figure 0006895997
時間領域では、ωbitおよびTbitは、それぞれ式(21)および(22)の逆ラプラス変換から計算されうる。
帯域幅の減少は、例えば選択された値を超えるスペクトルパワー密度を有する高次スペクトルモード、および/または、例えば基本モードを超える、10の、好ましくは20まで、より好ましくは30までのスペクトルモードなどの最大数の高次スペクトルモードのみを計算に含めるように、任意の適切なフィルタ関数によって得ることができ、かつ、減衰特性およびドリルストリングの長さの少なくとも一方に基づくことができる。
ローパスバンドフィルタ関数F(s)として、n次ローパスベッセルフィルタ演算を使用してもよく、ここでn≧4、好ましくはn≧10、より好ましくはn≧20、そして漸減である。時間領域の等価物の計算を軽減する目的で、コサイン、限定ガウス、ウェルチおよびランチョス窓関数などの、しかしこれらに限定されない、徐々に減少する漸減関数または窓関数が好ましい。
Fとして書かれたF(s)を用いて、上記の式(21)および(22)におけるフィルタ関数および遅延乗算を適用すると、次のようになり:
Figure 0006895997
そして、式(18)に従って行列の通知で記述される:
Figure 0006895997
ここで、Mb11、Mb12、Mb21およびMb22は、ドリルストリング慣性、ボアホール壁減衰、剛性および材料減衰、上端駆動慣性、ならびに、ボトムホールアセンブリ慣性を含む完全なボアホール掘削装置の帯域幅制限および時間遅延項修正スペクトル伝達行列成分を次式に従って表す:
Figure 0006895997
式(25)は、図3に矢印44で概略的に示されるように、ボアホール内またはドリルストリングに沿った任意の位置xのダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを計算するための一般化された2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルで次式に従って書くことができる:
Figure 0006895997
ここで、M11(x)、M12(x)、M21(x)およびM22(x)=ドリルストリングの長さに沿った特定の位置xにおける帯域幅制限および時間遅延項修正スペクトル伝達行列成分、
ωdh=ダウンホールスピード、
dh=ダウンホールトルク、
ωtd=得られた上端駆動速度、
ref=指令された上端駆動トルク、
τ=速度制御装置の時間遅延、および、
s=ラプラス変換演算子。
固定された基準位置、すなわちドリルストリングの上端から測定されたドリルストリングまたはボアホールに沿った所与の位置x[m]に関し、ドリルストリングの均一な機械的組成およびドリルストリングの長さに沿った均一な減衰または摩擦特性を仮定して、式(27)のそれぞれの修正伝達行列成分は、次のように式(2−9)から導出されてもよい:
Figure 0006895997
不均一なドリルストリングおよび/またはドリルストリングの長さに沿って不均一なまたは変動する内部および外部摩擦の場合、式(10−13)を参照して上述したように複合伝達行列によってモデル化されるのと同じである。
なお、式(28)において、修正スペクトル伝達行列成分は、それぞれスペクトル伝達関数であり、かつ、M11(x;s)、M12(x;s)、M21(x;s)およびM22(x;s)として完全な表記で書くことができる。
時間領域において、得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルクならびに修正スペクトル伝達行列成分M11、M12、M21およびM22のインパルス応答関数を、ドリルストリング内の1往復時間を含む期間にわたって畳み込み演算処理することにより、ダウンホール速度およびダウンホールトルクのいずれかまたは両方が効率的に計算される。
それはドリルストリングの長さの前後である。
有限の時間範囲[−t,t]にわたる2つの連続関数gとhの畳み込みは、一般的に次式で表され:
Figure 0006895997
そして、有限の時間範囲[−p,p]にわたる時間領域のサンプル数nにわたる離散信号g’とh’については次式で表される:
Figure 0006895997
修正スペクトル伝達行列成分M11、M12、M21およびM22のインパルス応答関数は、逆スペクトルから時間領域への変換から計算され、市販のコンピュータソフトウェアから適切に合成することができ、かつ、実際には数秒であるドリルストリング内の1往復時間に少なくとも等しい時間長にわたるだけでよい。
修正スペクトル伝達行列伝達関数成分M11(s)、M12(s)、M21(s)およびM22(s)のインパルス応答関数は、それぞれH11(t)、H12(t)、H21(t)およびH22(t)で表されると仮定する。測定された時変上端駆動速度ωtd(t)および指令された上端駆動トルクTref(t)は過去から知られているだけであるので、ボアホール掘削装置の時変ダウンホール速度ωdh(t)および/またはダウンホールトルクTdh(t)は、因果的畳み込み演算によって、すなわち[−2t,0]から続く有限の時間範囲にわたって計算される:
Figure 0006895997
式(31)および(32)から、計算量tの合計遅延、すなわち計算されたダウンホール速度およびダウンホールトルクは、tにわたり遅延し、これはωdh(t−t)およびTdh(t−t)としてそれぞれ表されることが分かる。離散信号に基づいて実際に計算される畳み込み演算(31)および(32)は、範囲[−2t,0]が、ドリルストリングの1往復時間を少なくとも含む期間に等しくなり得、特に、期間は1往復時間よりも長い時間、たとえば10〜20%長い時間であるということにおいて、計算上非常に効率的である。したがって、tの最小量はドリルストリング内の一方向の移動時間である。
ビット速度および/またはビットトルクを計算するために、式(17)および(26)からの修正スペクトル伝達行列成分Mb11、Mb12、Mb21およびMb22の合成インパルス応答関数、すなわちHb11(t)、Hb12(t)、Hb21(t)およびHb22(t)が適用される。
図6a、図6b、図6cおよび図6dは、本出願人によって開発された掘削装置シミュレーション試験システムから計算された、ドリルストリング慣性、ボアホール壁減衰、剛性、材料減衰、上端駆動慣性、ボトムホールアセンブリ慣性、ビット摩擦を含む、均一なドリル強度および均一な減衰を仮定した、インパルス応答関数Hb11(t)、Hb12(t)、Hb21(t)およびHb22(t)の例を示す。このシミュレーション試験システムは、トップドライブとして作用し速度制御装置によって制御される電気駆動モータと、駆動モータに機械的に結合されてドリルストリング、BHAおよびドリルビットを模擬する制御可能な電気負荷とを含む。
検証の目的で、スティックスリップを有する実際の掘削作業をシミュレートし、スティックスリップ軽減制御を適用しながら、ボアホール掘削シミュレーション試験装置が動作され、以下の特性を示した:
伝搬係数γ=3.1404 10−4 [1/m]
特性アドミタンスY=377.71 [Nms/rad]
特性インピーダンスZ=0.0026476 [rad/Nms]
上端慣性Jtd=1060 [kgm
集中ボトムホール慣性Jbha=105.5 [kgm
集中摩擦力Ybha=4.03 [Nms/rad]
ドリルストリング長さL=3804 [m]
比外部摩擦κ=398.2 [Ns/m
比内部摩擦δ=2.757 10−8 [Ns/m
本開示による計算は、5Hzの低域通過帯域幅を有し、かつ、2秒の追加の時間遅延項τを有する漸減の25次ベッセルフィルタ関数Fを適用して実行された。
図6a、図6b、図6cおよび図6dにおいて、時間t−τ[s]は横軸に沿ってプロットされており、すなわちグラフ61から68は、2秒の時間遅延にわたってシフトされて描かれている。
図6a、図6b、図6cおよび図6dにおいて、実線のグラフ61、62、63、64は、図2に示されるモデルに従って、4セグメントまたはセクションモデルによって表されるドリルストリングについて計算された期間tにわたるインパルス応答関数を示す。破線のグラフ65、66、67、68は、図3に示されるように単一のセグメントまたはセクションのドリルストリングモデルについて計算された期間tにわたるインパルス関数を表す。
図6aは、インパルス応答関数Hb11(t)、61、65を示し、これは無次元であり、ビット速度ωbitに対する上端駆動速度ωtdの寄与を表す。図6bは、インパルス応答関数Hb12(t)[rad/Nms]、62、66を示し、これは指令された上端駆動トルクTrefのビット速度ωbitへの影響を表す。図6cは、インパルス応答関数Hb21(t)[Nms/rad]、63、67を示し、これはビットトルクTbitにおける上端駆動速度ωtdの寄与を示す。図6dは、インパルス応答関数Hb22(t)、64、68による指令された上端駆動トルクTrefのビットトルクTbitへの変換を示し、これもまた無次元である。
示されたインパルス応答関数から、上端駆動速度ωtdおよび指令された上端駆動トルクTrefは、約−1.5秒から1.5秒までの限られた期間内でのみビット速度ωbitおよびビットトルクTbitに寄与すること、および、インパルス応答関数はこの期間外ではゼロまたは本質的にゼロであることが、導出されることができる。より具体的には、−1.5秒から1.5秒の期間内に、すなわち約−1から1秒まで、インパルス応答関数はまた部分的にゼロまたは本質的にゼロである。したがって、相対的に長い均一なドリルストリングに関し、畳み込み演算は非常に限られた範囲のみで実行する必要がある。
図7cの実線73は、選択された期間tにわたって、図6aから図6dの4セグメントドリルストリングのインパルス応答関数に基づく計算された回転ビット速度ωbit/秒[rpm]、および、図6aから図6dに関連して上述したボアホール掘削シミュレーション装置によって実行されるシミュレートされた掘削動作から経時的に測定された上端駆動速度ωtdおよび指令された上端駆動トルクTrefをグラフィカルに示す。破線74は、シミュレーション試験装置における実際の測定されたビット速度を示す。
シミュレーション中、時間t=開示sにてシミュレーションの開始を形成し、出願人の名前で出願された国際特許出願WO2013/062409に開示されている方法および装置に従って、スティックスリップ軽減制御が適用される。図7bでは、t=開示sの前にスティックスリップが発生し、ドリルビットの速度はゼロと約200rpmの間で急速に変動する。スティックスリップ軽減制御を適用した時点から、図7bに示すように、時間t=開示sからビット速度の変動は急速に減少する。
図7bのグラフ71は、上端駆動速度ωtdによるビット速度ωbitへの計算された寄与を示し、図7cのグラフ72は、指令された上端駆動トルクTrefがビット速度ωbitに期間tにわたってどのように寄与するかを示し、両者は図6aから6dに示す4セグメントのインパルス応答関数に基づく。グラフ73は、グラフ71と72の両方の合計である。
本開示に従った計算されたビット速度と測定値の正確さは注目に値する。この目的のために、図8は、t=開示sにおけるスティックスリップ軽減制御を適用する前および直後において拡大されたタイスケール上の直接的な時間間隔で、実際の測定されたビット速度値を示す拡大されたグラフィカルな表示を示す。破線グラフ74は、シミュレーションにおける実際の測定されたビット速度を表し、実線グラフ73は、4セグメントドリルストリングモデルから本開示に従って計算されたビット速度を表す。一点鎖線のグラフ75は、図6aから図6dを参照して述べたようにシミュレートされたドリルストリング動作に基づいて、ドリルストリングの単一セグメントモデルから計算されたビット速度を示す。
4セグメントおよび単一セグメントのドリルストリング計算モデルの両方は、シミュレーション試験システムからの測定値に従って、経時的なビット速度における同じ傾向を提供する。
図6および図7を参照して上述したボアホール掘削装置シミュレーションから得られた測定データについて、本開示に従って計算されたビットトルクTbitに対する上端駆動速度ωtdおよび指令された上端駆動トルクTrefの寄与は、図9a、9bおよび9cにグラフィカルに図示される。図9aのグラフ76は、上端駆動速度ωtdの寄与を示し、図9bのグラフ77は、指令されたトルクTrefの寄与を示し、両方とも選択された期間tにわたり、t=開示sからのスティックスリップ軽減制御の適用を含む。
図9cに示される計算されたビットトルクは、図9aおよび9bの寄与の合計である。図9dのグラフ79は、測定されたビットトルクTbitを示す。比較のために、測定されたビットトルクは、ビットトルクの計算に使用される2秒の時間遅延項τに関して補正されて表示される。グラフ78と79のトルク値の差は、クーロン摩擦、すなわち実行された計算において考慮されていない定常トルク値から生じる。クーロン摩擦が考慮されるべきであるとき、それは、一般に、数Nm/メートルまたは数kNm/キロメートルのドリルストリング長の固定値として推定され得、かつ、外部の泥関連の摩擦に加えられ得る。この例では、クーロン摩擦は7.2kNmである。ビットトルクの計算値の精度と傾向は非常に優れている。
図7cおよび9cのグラフはビット速度およびビットトルクを示す。しかし、上記で説明したように、ダウンホールの各位置で、すなわちドリルストリングに沿って、ダウンホール速度ωdh(t)およびダウンホールトルクTdh(t)は、修正スペクトル伝達行列成分M11(s)、M12(s)、M21(s)およびM22(s)のそれぞれのインパルス応答関数H11(t)、H12(t)、H21(t)およびH22(t)を合成することから本開示に従って計算され得る。
位置は毎回、ボアホールが掘削される地面の平面などのボアホール掘削装置の設定固定点、または、ドリルストリングの上端などの別の固定基準位置を指す。特定の位置に対するインパルス応答関数は、前もって、すなわち第1の処理ステップにおいて計算することができ、それぞれの畳み込み演算は、上端駆動速度および上端駆動トルクが一旦得られると第2の処理ステップにおいて実行される。
複数の位置に関するダウンホール速度およびダウンホールトルクは、掘削中に、時間と位置の関数として二次元(2D)または三次元もしくは空間(3D)図の両方で表示装置にグラフィカルに提示されうる。
図10aおよび図10bは、グラフの凡例に示されるように、特定の時間tおよび4つ前の時点における、それぞれ0.5秒差を有する、ダウンホール位置xの関数としての推定されたダウンホール速度を2D表示で示す。図10aは、t=1811.5秒における、すなわちt=1840秒におけるスティックスリップ軽減制御を適用する前のダウンホール速度を表す。図10bは、t=1862秒における、すなわちt=1840秒におけるスティックスリップ軽減制御を適用した後のダウンホール速度を表す。グラフの上には、トップドライブの瞬間速度、すなわち、それぞれ時間t=1811.5秒およびt=1840秒における速度が示される。
図11の3D表現では、推定された、すなわちシミュレーション試験システムで得られた上端の測定データから本開示に従って計算された、t=1840秒でのスティックスリップ軽減制御の適用を含む時間間隔t中のダウンホール速度がダウンホール距離xの関数として示されている。図12は、t=1840秒でのスティックスリップ軽減制御の適用を含む時間間隔t中の、シミュレーション試験システムで得られた上端の測定データから本開示に従って計算/推定されたダウンホール距離xの関数としてのダウンホールトルクを示す。
図10a、図10b、図11および図12に示されるそのような速度波および/またはダウンホールトルクパターンは、ドリルストリングとドリルビットに作用する速度とトルクを連続的に監視するため、現場または遠隔のいずれかで、オペレータのコンソールなどのディスプレイにほぼリアルタイムで表示され得ることが理解されよう。
本開示による方法は、ビットスティックスリップを示すとともに検出できるだけでなく、より高いモードのスティックスリップを含むドリルストリングに沿ったスティックスリップも検出できることが理解されよう。
発明の概要で述べたように、伝達行列成分を計算するための関連する機械的およびストリング形状の動作パラメータは、スプレッドシートまたは表などからオペレータの制御下で手動でおよび/またはデジタル的に得ることができる。より洗練された実施では、入力信号Tsweep、破線の矢印42、および、伝達関数D(s)30の入力における合計操作41によって図2に例示されるような時変周波数トルク制御信号を指令された上端駆動トルクTrefにて適用すること、および、図14を参照して、それに応じて構成された動作パラメータ制御システム87における得られた上端駆動速度を処理することによって、出願人の名義で出願された国際特許出願WO2014/098598の教示を適用することから関連する機械的およびストリング形状の動作パラメータを取得することによって、オペレータまたは他の熟練者の介入なしに、掘削の開始中に、本方法は完全に自動的に自律的に実行できる。
図13は、簡略化されたフローチャート50によって、本開示の例に従ってダウンホール速度および/またはダウンホールトルクの少なくとも一方を推定するため、および、例えば表示することによってそれを提示するため、または、地中構造中にボアホールを掘削する目的でそのような推定を使用するために、デジタルプロセッサ、コンピュータまたは他のデータ処理装置によって処理されるステップを示す。フローの方向は、シートの上から下であることが想定される。他の方向はそれぞれの矢印で示される。
第1のステップとして、駆動システムまたはトップドライブ15、ドリルストリング12およびBHA11によって構成されるボアホール掘削装置10の減衰および摩擦を含む動的部分を表す適切な計算モデルが選択され、すなわちブロック51「ボアホール掘削装置用の2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルを選択」、それは、ダウンホール速度およびダウンホールトルクが従属変数であり、回転上端駆動速度および上端駆動トルクが独立変数であるようなものである。一般に、図4および5を参照して上述された伝送線路モデルのようなこの計算モデルが、一度選択される。
次に、ブロック52、「選択された計算モデルの伝達行列成分を取得」で示されるように、ドリルストリングに沿った特定のダウンホール距離または特定の長さに関し、伝達行列成分の値は、例えば送電線モデルと式2から9、17および18を参照して上述したように摩擦および減衰値を含む、ドリルストリング12、トップドライブ15およびBHA11の機械的特性から得られる。
このようにして得られた伝達行列成分は、基本モードの他に、伝達行列成分中の少数の高次のスペクトルモードを許容するように修正される。さらに、因果的時間領域解を可能にするために、時間遅延項がスペクトル領域の各伝達行列成分に追加される。これは、ブロック55によって示され、「基本および限られた数の高次スペクトルモードを含み、かつ、各スペクトル伝達行列成分に時間遅延項を加えるようにスペクトル帯域幅を減らすことによって、伝達行列成分を修正する」。スペクトル伝達行列成分M11(s)、M12(s)、M21(s)およびM22(s)ならびにMb11(s)、Mb12(s)、Mb21(s)およびMb22(s)が参照される。
掘削中に、例えば4〜20msの範囲内のような選択されるべき特定のサンプリング周波数で、上端駆動トルクを表す値と同時に、速度センサ21によって測定されるような上端駆動速度が得られ、すなわちブロック54「上端駆動速度および上端駆動トルクを掘削中に取得する」。しかし、電気駆動システムのモータ18に供給される電圧および電流からセンサレスで上端駆動速度を推定するように、任意の他の適切な速度測定技術または機器が使用されてもよい。上述したように、上端駆動トルクは、指令された上端駆動トルク設定値Trefによって表されうる。
次に、ブロック55「得られた上端駆動速度および上端駆動トルクの因果的畳み込み演算ならびに修正伝達行列成分のインパルス応答から時間領域でダウンホール速度および/またはビット速度を計算」で示されるように、ダウンホール速度/ビット速度およびダウンホールトルク/ビットトルクが時間領域で計算される。インパルス応答は、例えば逆高速フーリエ変換(IFFT)アルゴリズムを使用してコンピュータによって実行されうる逆スペクトル−時間領域変換によって得られる。畳み込み演算処理からダウンホール速度/ビット速度および/またはダウンホールトルク/ビットトルクを計算することは、行列成分のインパルス応答関数が寄与する短い範囲の観点から有利である。
このようにして計算された速度およびトルクは、たとえば、それを表示することによって、ほぼリアルタイムで掘削者またはスーパーバイザーまたは他の人に提示され、および/または、さらなる分析のために記録されてもよく、すなわちブロック56、「掘削中の複数のダウンホール位置について計算されたダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを表示する」。
掘削作業の過程で例えばドリルストリング12の長さが増加した場合、または、掘削環境が著しく変化した場合、判断ブロック57「掘削環境/装置は変化?」、結果「Yes」で、適用可能であれば、ブロック52から56によって示される処理が繰り返されて、調整された伝達行列成分が得られる。そうでなければ、判断ブロック59で「No」となり、ダウンホール速度および/またはダウンホールトルクの計算および提示は、得られた上端駆動速度およびトルクから継続する。
駆動システム15の慣性Jtdおよびボトムホールアセンブリ11の慣性Jbhaは、ドリルストリングが延びるたびに新たに確立される必要がないことが理解されるであろう。駆動システムの慣性Jtdは、例えば、処理をかなり容易にするために、ボアホール掘削装置のオペレータによって提供されるデータから事前に知ることもできる。調整された伝達行列成分は、上述のように得られうる。
上記の発明の概要の部分で述べたように、選択された計算モデルの伝達行列成分、それらの時間領域等価物およびインパルス応答関数、スペクトル領域変換、逆またはスペクトルから時間領域への変換、行列操作、畳み込み演算およびフィルタ演算を計算するために、コンピュータは、MATLABなどの市販のコンピュータソフトウェアを備えていてもよいし、または、動的システムの伝達関数およびインパルス応答関数のスペクトル領域変換および逆変換、行列操作、畳み込み演算およびフィルタ演算を計算するための任意の市販のコンピュータプログラム、ならびに、例えばC、C+またはC++で書かれた独占の離散時間モデルソフトウェアプログラムを備えてもよい。
図14は、ボアホールを掘削中、オンボトムまたはオフボトムのいずれかで操作されるボアホール掘削装置10のダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを自動的に推定するための装置80を概略的に示す。図1に示されるボアホール掘削装置10に加えて、コンピュータ制御掘削作業オブザーバシステム81が設けられている。オブザーバシステム81は、コンピュータまたは電子処理装置82、ボアホール掘削装置10の代表的な2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルを選択するための、および/または、もしあれば計算モデルの伝達行列成分を決定するためのボアホール掘削装置10の速度制御器20の調整パラメータのような動作パラメータ値を入力するためのキーボード、タッチスクリーンなどの入力インターフェース83を備える。処理装置82によって計算された速度およびトルクは、グラフィカルディスプレイ、プリンタまたはプロッタなどの出力インターフェース84、または、得られた結果を評価するためのデータ評価モジュールにて提供されてもよい。
オブザーバシステム81によって使用される、本開示による計算モデル、動作および調整パラメータ、フィルタ関数、時間遅延項、および他の値は、オブザーバシステム81からアクセス可能なデータベース85に格納され、かつ、そこから引き出されてもよい。データベース85は、オブザーバシステム81から離れていてもよく、例えば通信ネットワーク86によって接続されてもよく、あるいはコンピュータまたは処理装置82によって読み取り可能な一時的および非一時的媒体を含む媒体によって構成されてもよい。
例えば速度インジケータまたは速度センサ21によってその上端14で測定されたドリルストリング12の回転上端速度は、入力89を介して処理装置82に提供される。上端駆動トルクは、調整パラメータおよび/またはフィードバックをオブザーバシステム81に提供するため、データ入力/出力88を介して速度制御装置20から得られてもよい。
処理装置82は、プログラムされるか、または、処理装置82によって読み取り可能なコンピュータプログラムコードを記憶する媒体を有するコンピュータプログラム製品からプログラムされてもよく、本開示にしたがって、得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルクから推定ダウンホール速度および/またはダウンホールトルクを計算する。さらに処理装置82は、出願人の名前で出願された、参照により本明細書に組み込まれる特許出願WO2014/098598に従った、参照符号87で概略的に示される動作パラメータ制御システムを実施することによって、伝達行列成分を計算するために必要な動作パラメータ値を得るために自動的かつ自律的に動作するように構成されうる。
オブザーバシステム81は、速度制御装置20との接続部88、89が単一のデータネットワーク接続部または有線もしくは無線の電気通信ネットワークとの接続部として構成されるように、ボアホール掘削装置10から離れて構成または配置されてもよい。
速度制御装置20および/または別個の電子制御装置および/またはシステム81は、本出願人の名前で出願された、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願WO2013/062409号に開示されたスティックスリップ軽減制御を適用するようにさらに構成され得る。
本発明および開示は、上記に開示した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に開示した本開示の範囲内で、創造的技量の適用を必要とせずに、当業者により修正および改良されうる。

Claims (18)

  1. 地中構造にボアホールを掘削する間のボアホール掘削装置のダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を推定する方法であって、前記ボアホール掘削装置は、回転駆動システムと、ドリルビットおよび前記回転駆動システムに結合された上端を含むボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、上端駆動トルクを指令することによって回転上端駆動速度を制御するように構成された速度制御装置とを備え、前記方法は、コンピュータで実行され、かつ、
    − 前記ボアホール掘削装置の2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルの伝達行列成分を取得するステップであって、前記計算モデルは前記ボアホール掘削装置の減衰特性を含み、前記ダウンホール速度とダウンホールトルクは従属変数であり、前記回転上端駆動速度と上端駆動トルクは独立変数である、ステップと、
    − 掘削中に、前記回転上端駆動速度および上端駆動トルクを取得するステップと、
    − 前記得られた伝達行列成分から、前記上端駆動速度および前記上端駆動トルク、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算するステップと、
    を備え、
    前記計算するステップは、
    − 前記計算のスペクトル帯域幅を減少させるステップであって、前記減少された帯域幅は、前記計算において限られた数の高次スペクトルモードを含むように選択される、ステップと、
    − 前記スペクトル領域において、前記計算に時間遅延項を適用するステップであって、前記時間遅延項は、因果的時間領域解を可能にするように選択される、ステップと、
    − 前記減少された帯域幅および追加された時間遅延項を適用することから、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算するステップと、
    を備える方法。
  2. 前記スペクトル帯域幅減少および前記時間遅延項は、
    − 前記伝達行列成分のスペクトル帯域幅を減少させるステップであって、前記減少された帯域幅は、前記伝達行列成分に限られた数の高次スペクトルモードを含むように選択される、ステップと、
    − 前記スペクトル領域において、前記伝達行列成分のそれぞれに時間遅延項を追加するステップであって、前記時間遅延は、因果的時間領域解を可能にするように選択される、ステップと、
    − 前記修正された伝達行列成分を使用して、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算するステップと、
    によって、前記伝達行列成分を修正することによって適用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方は、前記コンピュータにより、前記得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルク、ならびに、前記ドリルストリングにおける1往復時間を含む期間、特に1往復時間よりも長い一部分である期間にわたる前記修正された伝達行列成分のインパルス応答関数を処理する因果的畳み込み演算において計算される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記スペクトル帯域幅は、減衰特性および前記ドリルストリングの長さの少なくとも1つに基づいて、特にn次ローパスベッセルフィルタ演算を適用することによって、低減され、ここでn≧4、好ましくはn≧10またはより好ましくはn≧20、そして漸減である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記時間遅延項は、ドリルストリングの長さの3000m当たり少なくとも1秒に等しい、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記時間遅延項は、前記ベッセルフィルタ演算によって引き起こされる時間遅延を表す時間遅延部分をさらに備える、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクは、それぞれ回転ビット速度およびビットトルクである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記ボアホール掘削装置の前記2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルは、ドリルストリングの慣性、前記ボアホール内の前記ドリルストリングの剛性および減衰特性、ボトムホールアセンブリの慣性および上端駆動慣性を含む単一または複合の対称スペクトル領域伝送線路等価ドリルストリング計算モデルからなる2ポートスペクトル領域伝達行列を備える、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルは、
    Figure 0006895997
    によって表され、
    ここで、M11(s)、M12(s)、M21(s)およびM22(s)は、帯域幅制限および時間遅延項修正スペクトル伝達行列伝達関数成分を表し、
    ωdhは、ダウンホール速度を表し、
    dhは、ダウンホールトルクを表し、
    ωtdは、得られた上端駆動速度を表し、
    refは、指令された上端駆動トルクを表し、
    τは、速度制御装置の時間遅延を表し、かつ、
    sは、ラプラス変換演算子を表す、
    請求項8に記載の方法。
  10. 前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方は、前記ドリルストリングの長さまたはボアホールに沿った複数の異なる位置に関して、各位置について前記修正伝達行列伝達関数成分のインパルス応答関数を計算することによって、および、それぞれの位置に関する前記計算されたインパルス応答関数のそれぞれ、前記得られた回転上端駆動速度および上端駆動トルク、それぞれの位置のダウンホール速度およびダウンホールトルクのうちの少なくとも一方からの因果的畳み込み演算における処理によって、コンピュータにより提供される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記複数の位置に関して提供される前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクのうちの前記少なくとも1つは、掘削中に、時間および位置の関数として空間図形で、特に速度波形パターンまたはトルク波形パターンの図で、表示装置にグラフィカルに表示される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ボアホール掘削装置とは別のコンピュータで実行される、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 地中構造にボアホールを掘削するボアホール掘削装置のダウンホール速度および掘削トルクの少なくとも一方を推定するための装置であって、前記ボアホール掘削装置は、回転駆動システムと、ドリルビットおよび前記回転駆動システムに結合された上端を含むボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、上端駆動トルクを指令することによって回転上端駆動速度を制御するように構成された速度制御装置とを備え、前記装置は、
    − 前記ボアホール掘削装置の2ポートスペクトル領域伝達行列計算モデルの伝達行列成分を取得し、前記計算モデルは前記ボアホール掘削装置の減衰特性を含み、前記ダウンホール速度とダウンホールトルクは従属変数であり、前記回転上端駆動速度と前記上端駆動トルクは独立変数であり、
    − 掘削中に、前記回転上端駆動速度および上端駆動トルクを取得し、
    − 前記得られた伝達行列成分から、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度および前記ダウンホールトルクの少なくとも一方、前記上端駆動速度および前記上端駆動トルクを計算する、
    ように構成された、コンピュータ制御された掘削作業オブザーバシステムを備え、
    前記計算することは、
    − 前記計算のスペクトル帯域幅を減少させ、前記減少された帯域幅は、前記計算において限られた数の高次スペクトルモードを含むように選択され、
    − 前記スペクトル領域において、前記計算に時間遅延項を適用し、前記時間遅延項は、因果的時間領域解を可能にするように選択され、
    − 前記減少された帯域幅および追加された時間遅延項を適用することから、前記ボアホール掘削装置の前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を計算する、
    ことを備える装置。
  14. 前記コンピュータ制御された掘削作業オブザーバシステムは、請求項2から11のいずれかに記載の方法に従って前記ダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を提供するように構成されている、請求項13に記載の装置。
  15. 前記上端駆動速度および上端駆動トルクを得るために前記速度制御装置に動作可能に接続されているか、または、組み込まれている、請求項13または14に記載の装置。
  16. 地中構造にボアホールを掘削するためのボアホール掘削装置であって、前記ボアホール掘削装置は、回転駆動システムと、ドリルビットおよび前記回転駆動システムに結合された上端を含むボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、指令されたトルクおよび前記上端の回転駆動速度を制御するように構成された速度制御装置と、請求項13から15のいずれかに記載の前記ボアホール掘削装置のダウンホール速度およびダウンホールトルクの少なくとも一方を推定するための装置と、を備えるボアホール掘削装置。
  17. コンピュータによって読み取ることができる媒体にコンピュータプログラムコードを格納しているコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムコードは、前記コンピュータがボアホール掘削装置に動作可能に接続され、かつ、前記プログラムコードが前記コンピュータによって実行されるとき、請求項1から12のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている、コンピュータプログラム製品。
  18. 前記コンピュータコードは非一時的媒体に格納される、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
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