JP6895908B2 - 打音検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、打音検査技術に関する。また、本発明は、打音検査のための情報処理技術に関する。
例えば鋳造品などの金属製品(「対象品」等と記載する場合がある)をハンマーで打撃し、打撃によって得られる音響信号(音圧信号、打音波形等と記載する場合がある)を含む打音データを基に、その金属製品の良否や合否等を判定する打音検査が行われている。打音検査を行う場合、打音データから予め定めた特徴パラメータ(特徴量と記載する場合がある)の値を抽出して、予め測定しておいた基準となる健全品の特徴パラメータ値と比較することにより、合否判定を行っている。
打音検査装置に係わる先行技術例として、特開2010−261816号公報(特許文献1)、特開2017−44687号公報(特許文献2)が挙げられる。特許文献1に記載の打音検査方法では、特徴パラメータの一例として、最大ピーク周波数や波形振幅の収束時間を用いて、良品判定を行う旨が記載されている。特許文献2に記載の打音検査装置では、複数の健全品の打音データに基づいて、健全品として許容されるばらつき許容幅を設定し、検査対象品の打音データがばらつき許容幅の範囲内に収まっているか否かを判定することで、検査対象品が健全品であるか否かを判定する旨が記載されている。
特開2010−261816号公報 特開2017−44687号公報
例えば、特許文献1の打音検査方法を用いた場合、判定閾値を予め設定する作業が必要であった。判定閾値は、検査対象品の特徴パラメータ値が基準となる健全品の特徴パラメータ値からどれだけ乖離していたら検査対象品が欠陥品(不合格)であると判定するかを決めるための閾値である。この判定閾値は、検査対象品の品種毎に異なる特徴パラメータ値のばらつき範囲を考慮して適切に設定しなければならない。そのため、その設定には多大な手間がかかっていた。
例えば、特許文献2では、上記設定の手間の課題に係わる打音検査装置が提案されている。特許文献2の打音検査装置では、蓄積された複数の健全品の打音データ履歴に基づいて、健全品として許容されるばらつき許容幅を判定基準モデルとして自動的に設定する旨が記載されている。特許文献2に記載の方法では、その履歴に基づいて、打音波形または周波数スペクトルの輪郭線から、ばらつき許容幅を設定している。これにより、設定の手間を低減できる。しかし、設定に用いる打音データ量が増えるほど、その輪郭線が拡幅してしまい、欠陥品の検出感度、言い換えると合否の判定精度が低下してしまう課題があった。
さらに、特許文献2では、上記課題に関して、標準偏差に係数を掛けることによって、ばらつき範囲を統計的に決定する方法も提案されている。例えば特許文献2の段落0023には、「……健全品の履歴データが大量(例えば50以上)に蓄積された段階では、輪郭線群の各周波数の値に対応する点群から統計処理によって逐次に上限値および下限値を定めることにより、輪郭線群の上限曲線および下限曲線を決定しても良い」(式1)といった旨が記載されている。
しかしながら、特定の製品ロットの対象品のバリの有無や左右非対称の形状変動等を原因として、健全品であっても打音データが正規分布を形成するとは限らない。そのため、一般的な標準偏差に基づいた統計的な許容幅の設定方法では、検出感度が低下する、あるいは誤報率が増大する場合があるという課題があった。
非特許文献1には、データに任意の統計分布関数を当て嵌めるための確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)に基づく計算理論が説明されている。この確率的方法では、近似精度を上げるためには、十分な回数の確率サンプリング計算が必要であり、比較的長大な計算時間が必要である。
非特許文献2および非特許文献3には、データに任意の統計分布関数を当て嵌めるための決定的方法(変分推論法あるいは自動微分変分推論法)に基づく計算理論が説明されている。この決定的方法では、比較的高速に計算できるものの、近似精度が必ずしも保証されない。
打音検査の判定モデル(または判定閾値)の設定に統計処理方法を用いるにあたり、決定的方法と確率的方法とでは、それぞれ、精度や計算時間等の観点で得失がある。
本発明の目的は、打音検査技術に関して、打音検査用の判定モデル(または判定閾値)を予め設定または設定更新する作業に係わる手間を軽減して簡単にすることができ、高精度、または計算時間短縮の少なくとも一方を実現できる技術を提供することである。
本発明のうち代表的な実施の形態は、打音検査装置であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。一実施の形態の打音検査装置は、対象品の打音データに基づいて変換によって特徴量を得る特徴量変換部と、第1品種の複数の第1対象品から得た複数の第1特徴量について、健全品として許容されるばらつき範囲を表す特徴量範囲を判定モデルとして作成する判定モデル作成部と、打音検査の前記第1品種の第2対象品の打音データから得た第2特徴量が、前記判定モデルの前記特徴量範囲内に収まるか否かを判定することで、前記第2対象品の合否を判定する判定実行部と、を備え、前記判定モデル作成部は、前記複数の第1特徴量から、統計処理方法を用いて、当て嵌める統計分布関数を推論し、前記統計分布関数の信頼区間から、前記特徴量範囲を決定し、前記判定モデルを更新する。
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、打音検査用の判定モデル(または判定閾値)を予め設定または設定更新する作業に係わる手間を軽減して簡単にすることができ、判定モデルを用いた判定の際に高精度または計算時間短縮の少なくとも一方を実現できる。
本発明の実施の形態1の打音検査装置を含むシステム全体の構成を示す図である。 実施の形態1の打音検査装置で、計算機の演算処理装置のブロック構成を示す図である。 計算機による判定モデル作成処理のフロー図である。 計算機による判定モデル学習処理のフロー図である。 打音データのメタデータテーブルを示す図である。 打音信号データテーブルを示す図である。 周波数スペクトルデータテーブルを示す図である。 決定的方法に関する初期値設定方法を示す図である。 統計分布関数に関する信頼区間テーブルを示す図である。 推論結果からの判定モデルの作成を示す図である。 打音検査システムのトップ画面を示す図である。 判定モデル作成画面を示す図である。 統計分布確認画面の第1例を示す図である。 統計分布確認画面の第2例を示す図である。 統計分布確認画面の第3例を示す図である。 統計分布確認画面の第4例を示す図である。 判定実行画面を示す図である。 計算機による判定処理のフロー図である。 本発明の実施の形態2の打音検査装置における、計算機の演算処理装置のブロック構成を示す図である。 本発明の実施の形態3の打音検査装置における、計算機の演算処理装置のブロック構成を示す図である。
(実施の形態1)
図1〜図18を用いて、本発明の実施の形態1の打音検査装置について説明する。
実施の形態1の打音検査装置は、複数の対象品(第1対象品)の打音データおよびその特徴量(第1特徴量)に基づいて、健全品として許容される特徴量(例えば共鳴スペクトル)のばらつきの範囲(特徴量範囲)を判定モデルとして作成する。打音検査装置は、打音検査時の対象品(第2対象品)からの特徴量(第2特徴量)が、判定モデルの範囲内に収まるか否かによって、対象品が健全品であるか否か(合否)を判定する。打音検査装置は、判定モデルを作成する際、当て嵌める統計分布関数を推論する際の統計処理方法として、決定的方法を用いて推論する機能と、確率的方法を用いて推論する機能とを備える。
実施の形態1では、特徴パラメータ(特徴量)として、打音の周波数スペクトル(特に共鳴スペクトル)を対象として用いる。統計分布関数としては、混合正規分布関数や歪み正規分布関数等の任意の統計分布関数を用いる。打音検査装置は、2種類の方法の推論に基づいて、複数の第1特徴量(共鳴スペクトル)で構成される統計分布(例えば歪み多峰性分布)を、統計分布関数で近似する。打音検査装置は、その統計分布関数の信頼区間に基づいて、特徴量範囲を判定モデル(矩形線)として決定する。打音検査装置は、複数回の判定モデルの作成の際に、2種類の方法を組み合わせて推論を行うことで、好適な判定モデルを更新、学習する。なお、説明上、判定モデル作成に用いる対象品を第1対象品、判定対象の対象品を第2対象品とも記載する。
[打音検査システム]
図1は、実施の形態1の打音検査装置1を含む、システム全体の構成を示す。実施の形態1の打音検査装置1は、計算機システム(打音検査システム)として実装されており、主に計算機100のソフトウェアプログラム処理に基づいて打音検査の情報処理を行う。システム全体としては、打音検査装置1に、打撃装置3、マイク4、製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)5、品質管理システム(QCS:Quality Control System)6等が接続されている。打音検査装置1は、複数の各々の対象品2について、打音検査を行う。対象品2は、例えば鋳造品等の金属製品である。対象品2は、打撃に応じて打音を生じる製品であり、品種毎に異なる形状や材質等を有する。対象品2は、金属のみならず、他の材料で構成されてもよい。
打音検査装置1は、主に計算機(打音検査用計算機)100で構成されている。打音検査装置1は、計算機100、打撃制御信号出力器8、A/D変換器9を含み、それらが接続されている。打音制御信号出力器8は、打撃装置3と接続されており、計算機100からの制御に基づいて、打音制御信号d1を打撃装置3に出力する。打撃装置3は、ハンマー等で構成され、打音制御信号d1に従って、対象品2を打撃する。これにより、対象品2から打音が発生する。A/D変換器9は、マイク4と接続されており、マイク4によって入力、収音される打音の音響信号を含む打音データd2を入力し、その打音データd2のアナログの音響信号を、デジタルの音響信号に変換し、計算機100へ出力する。
打音検査装置1は、LAN等の通信網(ネットワーク)7を通じて、外部の他システムであるMES5やQCS6と接続されている。MES5は、対象品2の製造を管理および実行するシステムである。QCS6は、対象品2の品質を管理するシステムである。計算機100は、適宜、通信網7を経由して、MES5から、対象品2の品種データd3等を参照、収集、入力する。計算機100は、適宜、通信網7を経由して、QCS6へ、対象品2の判定データd4(打音検査判定結果情報を含む)等を出力し、格納させる。
打音検査装置1は、MES5により制御された製造ラインで製造された対象品2について、打音検査を行い、判定結果をQCS6および内部の記憶装置130に格納する。これに限らず、打音検査装置1は、判定結果を内部の記憶装置130のみに格納してもよい。打音検査装置1は、判定結果を画面に表示し、ユーザが確認する。これに限らず、打音検査装置1は、判定結果を画面に表示しなくてもよい。また、打音検査装置1は、判定結果で不合格と判定された対象品2の情報のみを出力してもよい。
[打音検査装置]
図1で、計算機100は、演算処理装置110、表示装置120、記憶装置130、入力装置140、通信装置150等を備え、それらが相互に接続されている。記憶装置130は、履歴データ記憶部131、判定モデル記憶部132、計算仕様記憶部133等を備える。演算処理装置110は、CPU、ROM、RAM等で構成され、プログラムに基づいて演算処理を行うことで、後述の図2のような処理部(ブロック)を実現する。表示装置120は、表示画面を有し、後述の画面が表示される。表示装置120は、入力装置としての機能を持つタッチパネル等を備えてもよい。入力装置140は、キーボード等を含み、ユーザが操作入力を行う。通信装置150は、外部に対する通信インタフェース装置を含む。
打音検査装置1の計算機100は、対象品2を打撃装置3で打撃した際の打音データd2(音圧の時間変化の信号を含む)を、マイク4を用いて収集し、A/D変換器9でデジタル値に変換して取得する。打音データd2は、履歴データ記憶部131に履歴として格納される。最初、計算機100の演算処理装置110は、対象品2の打音検査に先立って、健全品であることが予め確認された複数の対象品2(第1対象品)の打音データ群を用いて、その健全品の打音データの特徴量のばらつき範囲を表す「判定モデル」を生成する。演算処理装置110は、その判定モデルを、その健全品の品種データd3等の情報と関連付けて、判定モデル記憶部132に記憶する。この初回の判定モデルの作成に打音データが用いられる複数の対象品2は、打音検査装置1による打音検査以外の他の方法(オフライン検査、人手による官能検査等)により健全品であることが予め確認されている。
なお、変形例として、他の運用としては、初回に判定モデルを作成するための複数の第1対象品を、健全品であるかどうか未確認である製品としてもよい。打音検査装置1は、後述の特有の統計処理や学習を用いる仕組みを有するので、未確認の製品の打音データを入力としても、相応に高精度の判定モデルを作成可能である。この変形例の場合、予め健全品を準備する手間も削減できる。
対象品2(第2対象品)の打音検査を行う際には、打音検査装置1は、対象品2の属する品種と関連付けられた判定モデルを判定モデル記憶部132から検索して抽出する。そして、打音検査装置1は、対象品2の打音データを取得し、その打音データから特徴量として周波数スペクトルを得る。打音検査装置1は、その特徴量(第2特徴量)が、判定モデルの特徴量(第1特徴量)のばらつき範囲(特徴量範囲)を逸脱しているか否かを判定する。これにより、その対象品2の欠陥有無(合否)を判定する。打音検査装置1は、判定結果を含む判定データd4を、QCS6に送信して格納させ、必要に応じて表示装置120の表示画面に表示する。
打音検査装置1は、様々な複数の対象品2に対する複数回の打音検査によって得られたそれぞれの打音データd2、周波数スペクトルデータ、品種データd3、および判定データd4等を、互いに関連付けて履歴データとして履歴データ記憶部131に記憶する。また、打音検査装置1は、過去の打音検査で得られたこれらのデータを、必要に応じて履歴データ記憶部131から抽出する。打音検査装置1は、そのデータ中で健全品(合格)と判定されている複数の対象品2の打音データ群を用いて、判定モデルを生成し直す学習を行うことができる。打音検査装置1は、この新たに生成した判定モデルを用いて、それまで判定モデル記憶部132に記憶されている判定モデルを更新する。以後の打音検査の際、打音検査装置1は、その最新の判定モデルを用いて、打音検査を行う。
[計算機]
図2は、計算機100の演算処理装置110における、プログラムモジュールによって実現される処理部(ブロック)の構成を示す。演算処理装置110は、処理部として、データ入出力部111、周波数スペクトル変換部112、判定モデル作成部113、判定実行部118を有する。演算処理装置110では、周波数スペクトル変換部112、判定モデル作成部113、および判定実行部118の3つのモジュールが、データ入出力部111との間でデータ入出力を行いながら、判定モデル作成および判定実行等の処理を行う。データ入出力部111は、記憶装置130や通信装置150等との間で適宜データ入出力を行う。
周波数スペクトル変換部112は、入力の打音データにおける、打音の音圧変化をマイクで測定した時系列の打音波形信号を、フーリエ変換によって周波数スペクトルに変換する。この変換処理の際、時系列データ切り出し処理等の前処理、周波数スペクトルの線スペクトル成分(ピーク)の抽出処理等の後処理も行われる。変換処理後、周波数スペクトルデータ(特徴量データ)が得られる。
判定モデル作成部113は、さらに各サブモジュールとして、初期値管理部114、決定的ばらつき範囲推論部115、確率的ばらつき範囲推論部116、推論精度比較部117を有する。実施の形態1で、判定モデル作成方法の基盤は、判定モデルに対する統計分布関数の当て嵌めの推論とその際の精度である。これは、周波数スペクトルの複数のピーク(線スペクトル)が有る、左右非対称で歪みを持つ、といった複雑な分布形状を形成する打音データばらつき分布への統計分布関数の当て嵌めである。具体的には、計算機100は、打音データに精度良く当て嵌まるように、統計分布関数を構成する複数のパラメータを推論する。計算機100は、精度良く当て嵌まる統計分布関数が得られた場合、その統計分布関数における予め指定した確率の信頼区間から、健全品の打音データのばらつき範囲(特徴量範囲)を確定する。そして、計算機100は、その範囲を、その範囲内外で健全品(合格)と欠陥品(不合格)とを分ける判定モデルとすることができる。
統計分布関数の推論方法には、非特許文献2および非特許文献3に示されている変分推論法に代表される決定的方法と、非特許文献1に示されているマルコフ連鎖モンテカルロ法に代表される確率的方法との2つがある。決定的方法は、比較的計算が速いが精度が低い場合があるという得失がある。他方、確率的方法は、十分な回数のサンプリング計算を行えば精度は高いが比較的計算が遅いという反対の得失がある。実施の形態1では、これらの決定的方法と確率的方法との両方の2つの方法を組み合わせて適用する。
決定的ばらつき範囲推論部115は、決定的方法(特に変分推論法)を用いて、打音の特徴量(特に共鳴スペクトル)のばらつきに当て嵌まる統計分布関数のパラメータを推論する。決定的ばらつき範囲推論部115は、その推論した統計分布関数の信頼区間から、健全品として許容されるばらつき範囲(特徴量範囲)を算出する。
確率的ばらつき範囲推論部116は、確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)を用いて、打音の特徴量(特に共鳴スペクトル)のばらつきに当て嵌まる統計分布関数のパラメータを推論する。確率的ばらつき範囲推論部116は、その推論した統計分布関数の信頼区間から、健全品として許容されるばらつき範囲(特徴量範囲)を算出する。
前者の決定的方法(特に変分推論法)による統計分布関数の複数のパラメータの推論の精度は、そのパラメータの初期値に依存する。初期値管理部114は、その決定的方法による決定的ばらつき範囲推論部115の統計分布関数のパラメータの初期値の設定方法(初期値設定方法と記載する)を管理する。初期値管理部114は、決定的ばらつき範囲推論部115による推論処理の際に、その初期値設定方法に基づいて、パラメータの初期値を設定する。なお、確率的ばらつき範囲推論部116の方の統計分布関数のパラメータの初期値は、予め静的に設定されている。確率的方法では、十分なサンプリング計算を行えば、パラメータの初期値に依存せずに、十分な推論精度を確保できる。
推論精度比較部117は、上記決定的ばらつき範囲推論部115の決定的方法(特に変分推論法)の推論と、上記確率的ばらつき範囲推論部116の確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)の推論とで、比較によって推論精度を評価する。この処理は、具体的には、後述の信頼区間の誤差の判断として行われる。
判定実行部118は、対象品2(第2対象品)の打音データの特徴量(周波数スペクトル)を、判定モデル作成部113が作成した最新の判定モデル(特徴量範囲)と照合することで、打音検査の判定を行い、判定結果を得る。
[画面(1)−打音検査トップ画面]
図11〜図17は、計算機100の表示装置120の表示画面に表示する画面例を示す。なお、画面例におけるデザイン、GUIは、一例であって限定するものではなく、例えば横長画面としてもよいし、配置が変更されてもよい。また、実施の形態1の打音検査装置では、このような画面表示を省略することも可能である。すなわち、入力打音データに対し、計算機100内部で処理を行った後、判定結果のみを出力することも可能である。ユーザは、ユーザ設定や処理中状態等を確認したい場合に、各画面で確認可能である。
図11は、打音検査システムのトップ画面を示す。トップ画面は、対象品2に関する品種指定ボックスG101、「判定実行画面」ボタンG102、履歴データ検索欄として、期間開始指定ボックスG103aおよび期間終了指定ボックスG103b、「判定モデル作成画面」ボタンG104、「統計分布確認画面」ボタンG105等を有する。ユーザは、打音検査のための判定モデルを作成する際には、本画面の各欄で、対象品2の品種および期間を設定する。ユーザは、その後に「判定モデル作成画面」ボタンG104を押す(クリック等)。これにより、図12の判定モデル作成画面に遷移する。
[画面(2)−判定モデル作成画面]
図12、図13〜図16は、判定モデル作成画面の一例を示す。図12は、判定モデル作成画面として、判定モデル作成前の状態の例を示す。図13〜図16は、判定モデル作成後の状態の例として、統計分布関数の当て嵌めの状態の例(第1例〜第4例)を示し、統計分布確認画面とも記載する。
図12で、特に初回の判定モデル作成の際の画面例を示す。図12の判定モデル作成画面の上部には、品種表示欄G201、対象品2の個体番号指定ボックスG202、打音波形表示領域G203、周波数スペクトル表示領域G204等を有する。品種表示欄G201には、トップ画面の品種指定ボックスG101で指定された品種(例:”Product-A”)が表示されている。個体番号指定ボックスG202では、ユーザが対象品2の個体番号を指定可能である。個体番号は、同じ品種(製品ロット等)に属する複数の製品のうちの1つの個体を特定可能なIDである。本画面では、ユーザが個体番号指定ボックスG202で個体番号を切り換えるように設定することで、設定した個体の打音波形および周波数スペクトルを表示して確認することが可能である。
打音波形表示領域G203には、対象品2の打音データの打音波形が表示される。グラフの横軸は時間(Time[sec])、縦軸は音圧の強度(Intensity)である。周波数スペクトル表示領域G204には、周波数スペクトル変換部112の変換処理で得た周波数スペクトル(特に共鳴スペクトル)が表示される。グラフの横軸は周波数(Frequencye[Hz])、縦軸は周波数スペクトラム(強度、パワー値[dB])である。この周波数スペクトルは、複数のピークとして示される複数の線スペクトルを含む。さらに、この周波数スペクトルは、同一品種の対象品2の群(クラスタ)毎に、共鳴する線スペクトルが、共鳴スペクトルとしてまとめられている。複数の各々の共鳴スペクトルには、識別のためのラベル(L1,L2,L3,……)が付与されている。
実施の形態1では、予め指定した強度閾値、例えば30dB以上の全ての共鳴スペクトルを判定の対象とし、その強度閾値未満のものについては、ノイズとして判定の非対象とする。
実施の形態1で、判定モデル(特に初回の判定モデル)の作成に用いる対象品2(第1対象品)は、標準では、指定した期間内の全ての健全品(前述の確認済みの健全品)である。実施の形態1の打音検査装置1では、特有の統計処理等を用いる仕組みを有するため、基本的に、統計的な外れ値を自動的に除外して、好適な特徴量範囲を判定モデルとして作成することができる。
なお、上記に限らず、変形例の構成では、オプション機能として、画面内に、外れ値等の対象品2個体や共鳴スペクトルを除外するための「除外」ボタンを設けてもよい。この変形例の場合、ユーザは、画面での情報の確認に基づいて、健全品であっても判定モデル作成に用いないようにする製品個体や共鳴スペクトルを、その「除外」ボタンによって指定して除外することが可能である。例えば、周波数に関して外れ値(例えば図10の外れ値1001等)を形成する対象品2個体などを予め除外することができる。これにより、判定モデルの精度をより高めることができる。
判定モデル作成画面の下部には、判定モデル作成方法欄G205、初期値設定方法欄G206、「判定モデル作成」ボタンG207、「戻る」ボタン等を有する。
判定モデル作成方法欄G205は、統計分布関数の当て嵌めの推論に関する2つの方式からの選択が可能であり、実施の形態1では、「自動」ボタンと、方式選択ボックスとを含む。デフォルトでは「自動」ボタンが選択状態となっている。「自動」ボタンの選択の場合、計算機100が2つの方式から自動的に選択して判定モデルの学習を行う。方式選択ボックスでは、ユーザが、2つの方式の選択肢から適宜に選択して設定可能である。第1選択肢は「決定的方法と確率的方法の比較」(第1方式)、第2選択肢は「決定的方法」(第2方式)である。「決定的方法と確率的方法の比較」は、決定的方法と、確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)との両方を組み合わせて推論を実行する第1方式である。「決定的方法」は、決定的方法(特に変分推論法)のみを用いた推論を実行する第2方式である。
実施の形態1の打音検査装置1では、「自動」の設定に基づいて、計算機100が自動的に、「決定的方法」と「決定的方法と確率的方法の比較」との2つの方式を組み合わせて、複数回の判定モデル作成および更新を制御する。特に、打音検査装置1は、対象品2についての初回の判定モデル作成時には「決定的方法と確率的方法の比較」(第1方式)を適用し、次回以後の判定モデル学習更新時には「決定的方法」(第2方式)を適用する。これに限らず、ユーザは、各回の判定モデル作成の際に、判定モデル作成方法欄G205の方式選択ボックスで、適用する方式を選択可能である。
初期値設定方法欄G206は、「自動最適化」ボタンと方法指定ボックスとを含む。初期値設定方法欄G206は、決定的方法を用いて推論する際のパラメータの初期値に関する初期値設定方法を設定することができる。統計分布関数の複数のパラメータを推論する決定的方法の精度は、そのパラメータの初期値に依存する。そのため、その初期値を好適に設定することができるように、予め複数の初期値設定方法(後述の図8)が用意されている。
「自動最適化」ボタンは、計算機100によって自動的に最適な初期値設定方法を選択する後述の自動最適化を適用する場合に選択される。デフォルトでは「自動最適化」ボタンが選択状態であり、計算機100は後述の自動最適化を行う。方法指定ボックスは、ユーザが適宜に初期値設定方法を選択する場合に使用され、複数の初期値設定方法の選択肢から適切な方法を選択指定できる。
「決定的方法と確率的方法の比較」を用いる場合、判定モデル作成部113は、初期値設定方法が適切であったかどうかを評価して、適切な初期値設定方法を自動的に選択することができる。評価は、前述の推論精度比較部117によって可能である。
「判定モデル作成」ボタンG207により、計算機100(特に判定モデル作成部113)は、図3の判定モデル作成処理を実行して判定モデルを作成し、図13のような統計分布確認画面に遷移させる。統計分布確認画面では、統計分布関数を判定モデルへ当て嵌める推論結果を確認可能である。「戻る」ボタンでは、前の画面に戻ることができる。図11の「統計分布確認画面」ボタンG105からも図13の画面に遷移できる。
[画面(3)−統計分布確認画面]
図13は、統計分布確認画面の第1例(状態A1とする)を示す。図13の統計分布確認画面は、品種表示欄G301、共鳴周波数ラベルボックスG302、初期値設定方法ボックスG303、「再計算」ボタンG304、「戻る」ボタン、決定的方法推論結果表示領域G305、確率的方法推論結果表示領域G306、決定的方法信頼区間表示欄G307、確率的方法信頼区間表示欄G308、誤差表示欄G309等を有する。
決定的方法推論結果表示領域G305や確率的方法推論結果表示領域G306の中の上部には、共鳴スペクトルのヒストグラムが表示される。なお、両方とも同じヒストグラムである。ヒストグラムは、横軸が周波数(Sound Frequency[Hz])、縦軸が頻度数(Frequency)である。このヒストグラムは、複数の共鳴スペクトルのクラスタ(図12の周波数スペクトル表示領域G204の複数のラベル)の中から、共鳴周波数ラベルボックスG302で選択された1つのラベル(例えばラベルL1)の共鳴スペクトルに関するヒストグラムである。このヒストグラムは、その共鳴スペクトルに属する複数の周波数(共鳴周波数)を、指定期間の全ての健全品(第1対象品)の個体(除外した個体以外)に渡って集計した結果のヒストグラムである。
決定的方法推論結果表示領域G305の下部には、ヒストグラムの下側で周波数軸を揃えた位置に、決定的方法(特に変分推論法)によって推論した統計分布関数(例えば分布関数1301)が表示されている。確率的方法推論結果表示領域G306の下部には、同様に、確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)によって推論した統計分布関数(例えば分布関数1302)が表示されている。統計分布関数(確率分布関数とも呼ばれる)は、横軸が周波数(Sound Frequency[Hz])、縦軸が確率密度(Probability density)である。
決定的方法信頼区間表示欄G307や確率的方法信頼区間表示欄G308には、それぞれの方法で推論した統計分布関数から、予め定めた確率値(例:99%)で計算した信頼区間が表示されている。決定的方法信頼区間表示欄G307には、決定的方法による推論結果の共鳴周波数ばらつきに関する信頼区間(決定的方法信頼区間)が表示されている。確率的方法信頼区間表示欄G308には、確率的方法による推論結果の共鳴周波数ばらつき範囲の信頼区間(確率的方法信頼区間)が表示されている。
誤差表示欄G309には、決定的方法信頼区間と確率的方法信頼区間との両者の信頼区間の誤差が表示されている。この誤差は、両者の信頼区間の左右端の誤差を、区間幅との比率で表示するものである(後述)。
共鳴周波数ラベルボックスG302では、ユーザが適宜にラベルを選択指定して切り換えることができ、これによって、画面の内容を、そのラベルに対応するデータに合わせた表示に切り替えることができる。共鳴周波数ラベルボックスG302は、ユーザがラベル毎の内容の確認を行う場合に使用されるが、上記自動の場合には使用しなくてもよい。初期値設定方法ボックスG303は、ユーザが適宜に初期値設定方法を選択指定して切り換えることができ、これにより、画面の表示内容を、その指定された初期値設定方法に対応するものに切り替えることができる。初期値設定方法ボックスG303は、上記自動最適化の場合には使用しなくてもよい。
図13の状態A1のヒストグラムには、概略的に3つの峰が存在している(いわゆる3峰分布:trimodal distribution)。対象品2が左右対称形状を持ち、1つの周波数で共鳴する場合でも、バリ等によって対称性が少し崩れただけで、その1つの周波数から近接する2つの周波数に分裂して共鳴する場合がある。その場合、複数の全個体を集計すると、このように3つの峰を持つヒストグラムが形成される。このヒストグラムに当て嵌める分布関数としては、3つの成分(上記3つの峰に対応付けられる成分)を持つ混合正規分布関数が適切である。また、全ての共鳴周波数ラベルに渡って同じ成分数の混合正規分布関数の当て嵌めが必ずしも適切で無い場合には、以下のようにしてもよい。すなわち、複数種類の成分数の混合正規分布関数の当て嵌め推論を総当たりで行い、その中からデータへの当て嵌めの良さを表すデータ尤度が最大となる成分数の混合正規分布関数を自動で選択すれば良い。
決定的方法(特に変分推論法)では、各成分の平均パラメータの初期値を全個体の平均値に設定する第1の初期値設定方法(図12では“ALG−1”)を選択する場合、3つの成分共に、平均パラメータが全個体の平均値に収束してしまい、3峰分布への当て嵌め精度が低下する。実際には、3成分混合正規分布の1つの成分が適切な幅と高さを持ち、他の2つの成分は幅が極端に小さい、あるいは高さが極端に低い成分となり、1成分正規分布の当て嵌めと殆ど同じになる。これにより、信頼区間の幅がヒストグラムの存在区間よりも大きく広がってしまう状況となる。図13の状態A1では、このような状況が、決定的方法推論結果表示領域G305に表示されている。説明補足用に、決定的方法におけるヒストグラムの存在区間の幅を縦破線で示し、正規分布関数である分布関数1301の信頼区間の幅を縦一点鎖線で示している。本例では、決定的方法における正規分布関数の信頼区間の幅における左端が−15.2Hz、右端が100.0Hzである。
他方、確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)では、同じ初期値設定方法(“ALG−1”)を選択した場合でも、3成分混合正規分布(分布関数1302)の各成分が、意図した通り適切に3峰に分裂収束している。これにより、信頼区間の幅がヒストグラムの存在区間の幅(外れ値を除いた区間)にほぼ一致する状況となる。図13では、このような状況が、確率的方法推論結果表示領域G306に表示されている。本例では、確率的方法における3成分混合正規布関数の信頼区間の幅における左端が5.02Hz、右端が82.0Hzである。
誤差表示欄G309では、上記2種類の信頼区間の誤差が表示されている。本例では、誤差として、左端側で26.1%、右端側で23.0%である。
図14の状態A2は、図13と同様で、かつ初期値設定方法を別の方法である第3の初期値設定方法(“ALG−3”)に切り換えた例を示す。この第3の初期値設定方法では、外れ値を除外した後に、ヒストグラムの存在区間を3等分し、各区間の中央に3成分の各平均パラメータを個別に割り付ける。この場合は、決定的方法(特に変分推論法)でも、3成分混合正規分布の各成分が適切に3峰に分裂収束している。これにより、図14の決定的方法推論結果表示領域G305では、分布関数1401のように、信頼区間の幅がヒストグラムの存在区間の幅(外れ値を除いた区間)にほぼ一致する状況が表示されている。誤差表示欄G309では、信頼区間の誤差が、上記初期値設定方法の変更によって縮小した状況が表示されている。本例では、誤差として、左端側で0.1%、右端側で0.2%である。
図15の状態B1および図16の状態B2は、図13および図14とは別の共鳴周波数ラベル(例:ラベルL24)とした場合の各初期値設定方法での画面例を同様に示す。例えば、図13の共鳴周波数ラベルボックスG302でラベルL1からラベルL24に切り換えられることにより、統計分布確認画面の内容が図13から図15に切り替わる。
図15で、決定的方法推論結果表示領域G305および確率的方法推論結果表示領域G306内の上部のヒストグラムには、1つの峰しか存在していない(いわゆる単峰性:unimodal)。その1つの峰は、存在区間の中央ではなく右側寄りに位置し、分布形状は左右非対称に歪んでいる(いわゆる歪み分布)。このヒストグラムに当て嵌める分布関数としては、2つの成分を持つ混合正規分布関数が適切である。ただし、前述と同様に、予め成分数を指定するのではなく、複数種類の成分数の混合正規分布関数の当て嵌め推論を総当たりで行い、その中からデータ尤度が最大となる成分数の混合正規分布関数を自動で選択するようにする。これにより、2成分混合正規分布関数が自動的に選択される。
決定的方法(特に変分推論法)では、前述の第1の初期値設定法(“ALG−1”)を選択する場合、2つの成分共に、平均パラメータが全個体の平均値に収束してしまい、歪み分布(左右非対称な分布)への当て嵌め精度が低下する。実際には、2成分混合正規分布の1つの成分が適切な幅と高さを持ち、他の成分は幅が極端に小さい、あるいは高さが極端に低い成分となり、1成分正規分布の当て嵌めと殆ど同じになる(分布関数1501)。これにより、信頼区間の位置がヒストグラムの存在区間よりも右方向にずれてしまう状況となる。図15の決定的方法推論結果表示領域G305ではこのような状況が表示されている。
他方、確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)では、同じ初期値設定方法(“ALG−1”)を選択した場合でも、2成分混合正規分布の各成分が適切に歪みを表現する位置に分裂収束している(分布関数1502)。これにより、信頼区間の幅がヒストグラムの存在区間の幅(外れ値を除いた区間)に一致する状況となる。図15の確率的方法推論結果表示領域G306ではこのような状況が表示されている。本例では、誤差として、左端側で7.1%、右端側で11.8%である。
また、図16の状態B2は、同様に、初期値設定方法を別の方法(“ALG−3”)に切り換えた例を示す。この第3の初期値設定方法では、外れ値を除外した後に、ヒストグラムの存在区間を2等分し、各区間の中央に2成分の各平均パラメータを個別に割り付ける。この場合は、決定的方法(特に変分推論法)でも、分布関数1601のように、2成分混合正規分布の各成分が適切に歪みを表現する位置に分裂収束している。これにより、図16の決定的方法推論結果表示領域G305では、信頼区間の幅がヒストグラムの存在区間の幅(外れ値を除いた区間)にほぼ一致する状況が表示されている。誤差表示欄G309では、信頼区間の誤差が上記初期値設定方法の変更によって縮小した状況が表示されている。本例では、誤差として、左端側で4.4%、右端側で2.5%である。
上記処理の際の適切な初期値設定方法の選択としては、例えば以下のようにすればよい。すなわち、計算機100は、予め準備した複数の全ての初期値選択方法を総当たりで試行し、決定的方法と確率的方法との2種類の推論方法による信頼区間の誤差を集計して、誤差が最少になる初期値設定方法を自動で選択すればよい。
[処理フロー(1)−判定モデル作成]
図3は、打音検査装置1の計算機100(特に演算処理装置110)による第1処理フローとして、判定モデル作成処理のフローを示す。図3のフローは、ステップS11〜S20を有する。以下、ステップの順に説明する。図12の判定モデル作成画面において「判定モデル作成」ボタンG207が押された場合、図3の処理が開始される。
(S11) ステップS11で、計算機100は、履歴データ記憶部131から、指定された品種(例:“Product-A”)と同一品種の健全品(第1対象品)に関する指定された期間内の打音データ群を読み出して取得する。
[打音データ]
図5は、ステップS11で取得される、打音データ群のメタデータテーブル(言い換えると打音データ管理情報)を示す。また、図6は、打音信号データテーブルを示し、図5のテーブルと関連付けられている。図12の画面の打音波形表示領域G203には、図6の打音信号データテーブル中の1つの対象品2個体の振幅波形チャートを示している。これらのデータおよび情報は、取得された対象品2(健全品を含む)の打音データ群の一例を示す。
図5のメタデータテーブルは、各打音データに関するメタデータを表している。図5のメタデータテーブルにおいて、第1行目の列(データ要素名称)として、打音データID、品種名、個体番号、判定結果を有する。第1列の「打音データID」は、各打音データを識別するためのID番号を表す。第2列の「品種名」は、各打音データに対応する対象品2の品種を表す。第3列の「個体番号」は、同一品種に属する対象品2個体を識別する番号を表す。第4列の「判定結果」は、各打音データに対応する対象品2が健全品(合格)か欠陥品(不合格)かの判定結果の値を表す。
ステップS11では、健全品の打音データ群として、図5のように、指定された品種(“Product-A”)の対象品2のうち“健全品”と判定されている個体の打音データ(例:ID1,ID4,ID5,ID7,ID8,ID10,……)に絞り込まれて取得される。なお、前述のように、初回に判定モデルを作成するために用いる健全品の打音データ群は、予め健全品と確認済みの複数の製品の各打音データが採用されている。そのため、この健全品の打音データ群のメタデータでの、「判定結果」項目には、その予め確認時の方法によって成された判定結果の値“健全品”が格納されている。
図6の打音信号データテーブルは、各打音データの音圧信号(振幅波形データ)が格納されている。この打音信号データテーブルにおいて、第1行目の列(データ要素名称)として、打音データID、複数(N)の時刻(時刻t1,……,時刻tN)を有する。第1列の「打音データID」は、図5の「打音データID」と同様である。第2列以降の「時刻t1」〜「時刻tN」は、打音データの各サンプリング時刻を表し、対応する各行には音圧信号値が格納されている。実施の形態1では、図12の打音波形表示領域G203に示すように、横軸を時刻(打撃後の経過時間)、縦軸を音圧信号値とした時系列の振幅波形データが、この打音信号データテーブルの各行に取得、格納されている。
(S12) 次に、ステップS12で、計算機100(特に周波数スペクトル変換部112)は、対象品種の全対象品2個体の各打音信号データを、フーリエ変換によって周波数スペクトルに変換する計算を行う。後処理として、周波数スペクトルの線スペクトル成分の抽出、および、複数の対象品2の群(クラスタ)における複数の線スペクトルのクラスタからの共鳴スペクトル(共鳴スペクトルに含まれる複数の共鳴周波数)の抽出も行われる。
[周波数スペクトルデータ]
図7は、周波数スペクトルデータテーブルを示す。このテーブルでは、各打音データの周波数スペクトルの情報が格納されている。図12の周波数スペクトル表示領域G204には、周波数スペクトルデータテーブルの中の1つの製品個体の周波数スペクトルチャートが表示されている。図7の周波数スペクトルデータテーブルにおいて、第1行目の列(データ要素名称)として、打音データID、複数(M)の周波数(周波数f1,……,周波数fM)を有する。第1列の「打音データID」は、図5等の「打音データID」と同様である。第2列以降の「周波数f1」〜「周波数fM」は、複数(M)の各周波数における線スペクトル成分を表し、対応する行には、その線スペクトルのパワー値が格納されている。実施の形態1では、図12の周波数スペクトル表示領域G204に示すように、横軸を周波数、縦軸をパワー値とした周波数スペクトルデータが、この周波数スペクトルデータテーブルの各行に格納されている。
(S13) 続くステップS13で、計算機100は、全対象品2個体を通して見た周波数スペクトル群の共鳴スペクトルに、低周波数側から高周波数側まで順番に、群(クラスタ)毎に共通のラベル(L1,L2,L3,……,LX)(ラベル数をXとする)を共鳴周波数ラベルとして割り付ける。その際の処理としては、例えば、全対象品2個体の周波数スペクトル群を全て重畳させ、隣接する線スペクトル間の距離(周波数差分)が所定の値以内である場合には同じラベルのクラスタに属すると判断してクラスタ分割し、複数の各クラスタに順番に共鳴周波数ラベルを割り付ける。
次に、ステップS14〜S18のループ処理では、計算機100は、各共鳴周波数ラベルのクラスタに対して、対象品2個体間の共鳴周波数のばらつきを表す統計分布関数とその統計分布関数の信頼区間を推論する繰り返し処理を順番に行う。
(S14) ステップS14では、計算機100(特に決定的ばらつき範囲推論部115)は、その共鳴周波数ラベルに含まれる対象品2個体間の線スペクトルの共鳴周波数に対して、統計分布関数の推論を、決定的方法(特に変分推論法)によって行う。決定的方法によって、比較的高速に計算可能である。
この推論に関して、表現能力が高い統計分布関数として混合正規分布関数を採用した場合の、分布関数パラメータを推論するための階層ベイスモデルを、式1に示す。式1の左辺であるπ(θ│x)は、共鳴周波数データxの基での分布関数パラメータ集合θの事後分布を表す。右辺第一項であるf(x│θ)は、分布関数パラメータ集合θで決まる分布関数への共鳴周波数データxの当て嵌め精度を表すデータ尤度を表す。第二項であるπ(θ)は、分布関数パラメータ集合θの事前分布を表す。
Figure 0006895908
混合正規分布関数を推論対象とした場合のデータ尤度f(x│θ)および事前分布π(θ) を、式2に示す。式2における“Normal”は、式3に示す分布パラメータを持つ正規分布関数を表す。“HalfCauchy”は、式4に示す分布パラメータを持つプラス側の分布のみ有効な半コーシ分布関数を表す。“Dirichlet”は、式5に示す分布パラメータを持つディリクレ分布関数を表す。
Figure 0006895908
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Figure 0006895908
Figure 0006895908
データ尤度f(x│θ)に含む3種類の分布パラメータμk,σk,ωkは、事前分布π(θ)に基づいて推論される。3種類の事前分布π(μk),π(σk),π(ωk)の分布パラメータには初期値が設定される。この初期値としては、過去の推論実績から引用するか、あるいはデータ全体に対する正規分布近似から近似値を設定するか、あるいは無情報事前分布を形成するように分布裾幅が十分広くなる値を設定する。実施の形態1では、混合正規分布関数の各成分関数の平均値μkの事前分布π(μk)以外は無情報事前分布とする。事前分布π(μk)の“Normal”関数の分散パラメータσ0は、データ全体の分散値が初期値として設定される。平均パラメータμ0(前述の初期値に該当する)は、予め複数の初期値設定方法を準備しておき、それらから選択できるようにする。
[決定的方法−初期値設定方法]
図8には、混合正規分布関数の成分番号kの正規分布の平均パラメータμkの事前分布π(μk)について、その”Normal”関数の平均値パラメータμ0(k)の初期値設定方法を表形式でまとめたものを示す。図8の表で、列として、方法ID、方法名称、設定方法を有する。「方法ID」は初期値設定方法のID、「方法名称」はその初期値設定方法の名称、「設定方法」はその初期値設定方法の内容である設定方法(計算式、対応するアルゴリズム)を示す。
第1の初期値設定方法である平均値配置法(“ALG−1”)は、成分数K個までの成分番号kの事前分布π(μk)の全ての平均パラメータμ0(k)に、全データの平均値“mean(x)”を共通に設定する方法である。
第2の初期値設定方法である分散配置法(“ALG−2”)は、全データの最大値“max(x)”から最小値“min(x)”の区間を成分数K個で等分し、各等分区間の中央値を順番に設定する方法である。
第3の初期値設定方法である外れ値除外分散配置法(“ALG−3”)は、全データの分布を正規分布で近似した場合の両裾端をパーセントポイント関数“normal_ppf()”で指定した領域“(pp、100%-pp)”だけ外れ値として除外してから、外れ値除外の最大値“max_pp(x)”から最小値“min_pp(x)”の区間に対して、上記の分散配置法を適用する方法である。
第4の初期値設定方法である乱数法(“ALG−4”)は、全データの最大値“max(x)”から最小値“min(x)”の区間でK個の乱数“rand()”を発生させ設定する方法である。この乱数法では、複数回の分布関数の推論を行い、尤度が最大の推論試行結果を採択する。
決定的方法(特に変分推論法)として非特許文献3に示されている自動微分変分推論法を使用する場合、推論式を導く必要なく、式1の階層ベイスモデルから分布関数パラメータ集合θの各推論値を得ることができる。
なお、式2のデータ尤度“f()”の混合正規分布関数の最適な成分数Kが不明の場合には、複数の成分数Kについて分布関数の推論を個別に行い、その中から尤度最大の混合正規分布関数を与える成分数Kを決定すればよい。
(S15) 上記S14の決定的方法(特に変分推論法)による分布関数パラメータ集合θの推論が終了したら、ステップS15で、計算機100は、前述の判定モデル作成方法の選択肢として「決定的方法と確率的方法の比較」(第1方式)が選択されているかどうかを確認する。これは、図12の判定モデル作成画面の判定モデル作成方法欄G205の「決定的方法と確率的方法の比較」の選択が反映される。この「決定的方法と確率的方法の比較」が選択されている場合(Y)には、続くステップS16,S17が実行され、選択されていない場合(N)、すなわち「決定的方法」(第2方式)が選択されている場合には、ステップS18へ進む。実施の形態1では、この第1方式は、使用する初期値設定方法(図8)を決めるために、自動的に、初回の判定モデル作成時のみ選択される。次回以降では自動的に第2方式が選択される。ユーザによる指示や設定がある場合には、自動的ではなく、その指示や設定に従って方式が選択される。
(S16) ステップS16では、計算機100(特に確率的ばらつき範囲推論部116)は、共鳴周波数ラベルのクラスタに含まれる対象品2間の共鳴周波数のばらつきの統計分布関数に関する推論を、確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)によって行う。計算機100は、式1〜式5の階層ベイスモデルから、分布関数パラメータ集合θの各推論値を得る。確率的方法によって、比較的高精度に計算可能である。
(S17) ステップS17では、計算機100(特に推論精度比較部117)は、ステップS14の決定的方法(特に変分推論法)とステップS16の確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)との両方法の各方法の推論結果による各統計分布関数の信頼区間、およびその誤差値を計算する。この信頼区間は、例えば図13の決定的方法信頼区間表示欄G307および確率的方法信頼区間表示欄G308に表示する値に対応する。この誤差値は、例えば図13の誤差表示欄G309に表示する値に対応する。
[信頼区間誤差計算]
信頼区間の誤差の計算については以下である。この計算は、決定的方法による推論結果の第1の信頼区間(決定的方法信頼区間)と、確率的方法による推論結果の第2の信頼区間(確率的方法信頼区間)との2種類の信頼区間について、区間の左右端のそれぞれでの誤差を、区間幅との比率で算出するものである。信頼区間の左端を“Int-L”、右端を“Int-R”とする。決定的方法(特に変分推論法)による値を”(ADVI)“とする。確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)による値を”(MCMC)“とする。信頼区間の幅(周波数差分)を“Int-V”とする。2種類の信頼区間の左端の誤差を“Err-L”、右端の誤差を“Err-R”とする。各誤差は、以下の式のように計算される。例えば、図13での左端側の誤差は、Err-L=|−15.2−5.02|/(82.0−5.02)=26.1%となる。
Err-L=|Int-L(ADVI)−Int-L(MCMC)|/Int-V(MCMC)
Err-R=|Int-R(ADVI)−Int-R(MCMC)|/Int-V(MCMC)
(S18) ステップS18では、計算機100は、ステップS14〜S17の計算が全ての共鳴スペクトルのクラスタ(ラベルL1〜LX)について終了したかどうかをチェックし、終了した場合(Y)にはステップS19へ進み、終了していない場合(N)にはステップS14へ戻って終了するまで同様に繰り返す。上記全ての推論計算の終了後、図9に示す信頼区間テーブルのデータが得られる。
図9は、信頼区間テーブルを示す。この信頼区間テーブルは、列として、ラベル(共鳴周波数ラベル)、混合分布成分数、信頼区間の最小値fmin、最大値fmaxを有する。「ラベル」は前述の共鳴スペクトルを識別するIDである。「混合分布成分数」は、ラベルのクラスタに対し、尤度が最大で最も分布への当て嵌め精度が良かった混合分布成分数を示す。「信頼区間(fmin,fmax)」は、その混合分布成分数で推論した混合分布関数の信頼区間の値を示す。図示しないが、誤差値の情報も保持されている。
(S19) ステップS19で、計算機100は、その分布関数の信頼区間から、判定モデルとなる特徴量範囲(共鳴周波数ばらつき分布)を作成する。共鳴スペクトルのクラスタのラベルを“L”、そのクラスタの共鳴周波数分布の信頼区間を“fmin(L)”〜“fmax(L)”、そのクラスタに含まれる線スペクトル群の最大値を“Amax(L)”とする。すると、判定モデルは、全てのラベルLについて、以下の式6を満たすように、図10に示す例のように作成される。
Figure 0006895908
[判定モデル]
図10は、推論結果からの判定モデルの作成について示す。ラベルL毎に結果を有する。図10では、対象のラベルLがL24の場合の例を示し、ラベルL毎に結果を有する。図10で、上側には、共鳴周波数ばらつき分布からの統計分布関数の推論結果1000を示す。推論結果1000内の上部には、ラベルL24の共鳴周波数のクラスタのヒストグラム、下部には統計分布関数1003を示す。ヒストグラムの外れ値の例として外れ値1001,1002も示す。統計分布関数1003の下側に、二点鎖線に対応する信頼区間1004(“fmin(L24)”〜“fmax(L24)”)を示す。
図10の下側には、判定モデル1005(“Model(f)”)を示す。横軸が周波数f([Hz])、縦軸が周波数スペクトラム(強度、パワー値[dB])である。また、判定モデル1005中には、矩形線1006、最大値1007“Amax(L)”、ノイズレベル1008等を示す。実施の形態1で、判定モデル1005は、矩形線1006で構成されている。矩形線1006は、全体としては縦横の線分のつながり(折れ曲がり)から成り、上側に長く凸型に出ている複数の各々の矩形部分を有する。各々の凸型矩形部分が、各々の共鳴スペクトルに対応付けられた許容範囲に対応する。矩形線1006のうちのラベルL24に対応する部分1006Aが、上側の統計分布関数1003の信頼区間1004と対応している。
矩形線1006は以下のようにして構成される。周波数fが、ラベルL24の共鳴周波数分布の推論結果1000の統計分布関数1003の信頼区間1004(fmin(L24)〜fmax(L24))から外れている場合には、判定モデル1005のスペクトル強度の上限にノイズスペクトルを検知しないように、ノイズレベル1008(凸型矩形部分の左右の横線)(例:10dB)が設定される。また、周波数fが、信頼区間1004内に入っている場合には、そのラベルL24に含まれる線スペクトル群のスペクトル強度の最大値1007(“Amax(L24)”)が、上限(凸型矩形部分の上辺の横線)として設定される。
このように、実施の形態1では、統計的信頼区間に立脚するように判定モデルが構成される。これによって、判定モデルの特徴量範囲が、共鳴周波数分布からの統計的外れ値(例:外れ値1001,1002)によって無闇に拡大して、検出感度が低下してしまうことを防止できる。
上記処理を全ての共鳴周波数ラベルについて繰り返すことによって、図10の判定モデル1005に示す、統計的信頼性の高い矩形線1006が得られる。なお、実施の形態1では、検査対象の周波数範囲を可聴域(20kHz未満)としている。そのため、矩形線1006は、20kHz以上では大きな上限値が設定されている。
判定モデル1005を用いた打音検査の判定の際には、対象品2の打音データの周波数スペクトルと、判定モデル1005の矩形線1006とが照合される。対象品2の打音の任意の共鳴周波数が変動して、そのスペクトルパワー値が、この矩形線1005の上限(各々の最大値1007の線やノイズレベル1008の線)を任意の周波数fの箇所で上側に超過した場合、欠陥品(不合格)として判定される。例えば、ある打音データの周波数スペクトルのパワー値が、部分1006Aの凸型矩形部分の最大値1006(“Amax(L24)”)を超える場合、不合格と判定される。
(S20) ステップS20では、計算機100は、上記作成した判定モデルを判定モデル記憶部132に記憶して最新の判定モデルとして設定更新する。計算機100は、その判定モデルを、例えば図13に示すような統計分布確認画面に表示する。
以上の実施の形態1では、図12、図13〜図16の画面例に示すように、図8のような決定的方法に係わる初期値設定方法を、ユーザが選択して設定することも可能である。さらに、実施の形態1では、この初期値設定方法の選択設定を、以下のように、計算機100による自動最適化として行うことが可能である。これにより、ユーザによる設定作業をさらに低減することができる。また、このような手動/自動のいずれの方式を用いるかについても、図12の例のように、ユーザによる指定、設定が可能である。
[処理フロー(2)−判定モデル学習]
図4は、計算機100による第2処理フローとして、判定モデル学習処理のフローを示す。図4は、ステップS30〜S38,S41〜S46を有する。図4のフローは、複数回の判定モデルの作成、更新の全体を含み、決定的方法の初期値設定方法を自動的に選択して設定する自動最適化の処理を含む。
(S30) まずステップS30で、計算機100は、対象品2に関する初回の判定モデル作成であるかどうかを確認する。初回である場合(Y)にはステップS31へ進み、2回目以降である場合(N)にはステップS41へ進む。ステップS31〜S38は、初回における決定的方法の初期値探索処理を示す。ステップS41〜S46は、2回目以降における決定的方法による判定モデル作成処理を示す。
(S31,S32) ステップS31,S32で、計算機100は、複数の初期値設定方法(図8)から順次に1つの方法を選択して仮設定する。例えば、最初、計算機100は、第1の初期値設定方法(“ALG−1”)に仮設定する。
(S33) ステップS33で、計算機100は、判定モデル作成方法として「決定的方法と確率的方法の比較」(第1方式)を用いるように設定する。そのうちの決定的方法の初期値設定方法は、ステップS32で仮設定された初期値設定方法とする。
(S34) ステップS34で、計算機100は、「決定的方法と確率的方法の比較」を用いて、判定モデル作成を試行する。この処理の内容は図3と同様である。この際、計算機100は、決定的方法(特に変分推論法)と確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)との両方の各推論方法でそれぞれの推論を行ってそれぞれの統計分布関数を作成する。
(S35) ステップS35で、計算機100は、複数の全ての初期値設定方法(図8の“ALG−1”〜“ALG−4”)の試行が終了したかどうかを確認し、全てを試行するまでステップS32〜S34を同様に繰り返す。終了後にステップS36へ進む。
(S36) ステップS36で、計算機100は、初期値設定方法毎に、その初期値設定方法に依存した精度未定の決定的方法(特に変分推論法)と、精度確定済みの確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)との両方の各方法で推論した2つの統計分布関数の信頼区間、およびそれらの誤差値を参照する。計算機100は、2つの信頼区間の誤差値を、全ての共鳴周波数ラベルについて集計し、統計値、例えば平均値を計算する。
(S37) ステップS37で、計算機100は、上記誤差の集計値(平均値)が、最小の初期値設定方法と、それに対応する判定モデルとを決定し、最新の最適なものとして設定する。
(S38) 続くステップS38で、計算機100は、その判定モデルを判定モデル記憶部132に格納し、その初期値設定方法を計算仕様記憶部133に格納する。その判定モデルおよび初期値設定方法の情報を、図13のような画面に表示する。
次回以後では、ステップS41以降のように、判定モデルの学習更新は、初回に決定され計算仕様記憶部133に格納されている初期値設定方法に基づき、その初期値設定方法に依存した精度確定済みの決定的方法(特に変分推論法)のみを用いて比較的高速に実行される。なお、次回以後の学習の際には、同一品種の対象品2として、健全品かどうか未確認の製品の打音データを用いることもできる。
(S41,S42) ステップS41,S42で、計算機100は、初回に決定されて計算仕様記憶部133に格納されている初期値設定方法の情報を読み出して選択する。
(S43) ステップS43で、計算機100は、判定モデル作成方法として「決定的方法」(第2方式)を用いるように設定する。
(S44) ステップS44で、計算機100は、「決定的方法」を用いて、判定モデルを作成する。この処理の内容は図3と同様である。この際、計算機100は、決定的方法(特に変分推論法)で推論を行って、統計分布関数を作成する。
(S45) ステップS45で、計算機100は、作成した判定モデルを、最新の最適なものとして設定する。なお、適用する初期値設定方法に変更が無い場合には、初期値設定方法の更新や記憶が不要である。
(S46) ステップS46で、計算機100は、その判定モデルを判定モデル記憶部132に格納する。計算機100は、その判定モデルおよび初期値設定方法の情報を、図13のような画面に表示する。なお、ステップS38やステップS46での画面表示を省略して、ユーザによる判定モデル等の確認を省略することも可能である。
[画面(4)−判定実行画面]
図17は、打音検査の判定実行画面の画面例を示す。この画面では、上記作成した最新の判定モデルを用いて、対象品2(第2対象品)の欠陥有無(合否)を判定し、判定結果を表示する。例えば、図11のトップ画面の「判定実行画面」ボタンG102から、この図17の画面に遷移できる。
図17の判定実行画面は、品種表示欄G401、個体番号表示欄G402、打音波形表示領域G403、周波数スペクトル判定結果表示領域G404、判定結果表示欄G408、逸脱スペクトル数欄G407、「判定実行」ボタンG409、「戻る」ボタン等を有する。
周波数スペクトル判定結果表示領域G404内には、明細として、判定モデルの矩形線G405と、その矩形線G405から逸脱している共鳴スペクトルを表す共鳴スペクトル線G406とが重ね合わせた状態で表示される。なお、共鳴スペクトル線G406は、逸脱している周波数fの位置で縦直線として出ている部分を持つ情報であるが、矩形線G405と重なって見え難くならないように、太線として図示している。周波数スペクトル判定結果表示領域G404内の情報は、拡大縮小表示等も可能である。
判定結果表示欄G408には、判定結果の値として「合格」または「不合格」が表示される(なお「健全品」/「欠陥品」等の表示としてもよい)。逸脱スペクトル数欄G407には、「不合格」の場合における、矩形線G405から逸脱している共鳴スペクトル線G406の本数が表示される。
なお、変形例として、「合格」/「不合格」の2値の判定に限らず、逸脱の度合い(例えば逸脱スペクトル数)の判断等に応じて、対象品2の良否の度合いや可能性を表す多値(例えばレベルや%)の判定としてもよい。逸脱スペクトル数は、逸脱の度合いを表している。例えば、逸脱スペクトル数を、良否の度合いや可能性を表す指標値として用いてもよいし、他の指標値を用いてもよい。また、逸脱スペクトル数に限らず、周波数スペクトル判定結果の分析に応じて、欠陥種類等を判定して表示してもよい。例えば、逸脱スペクトルの分布状態から、欠陥種類として、材料欠陥であるか構造欠陥であるかを判定可能である。このような変形例の場合、より詳しい打音検査が可能である。
「判定実行」ボタンG409は、判定モデルを用いた判定を実行する場合に押される。なお、同じ品種の複数の対象品2についてまとめて判定が実行可能であり、その判定結果をまとめて表示することも可能である。「不合格」と判定された対象品2のリストを表示してもよい。
[処理フロー(3)−判定処理]
図18は、計算機100による、判定モデルを用いた打音検査の判定処理のフローを示す。図18のフローは、ステップS51〜S59を有する。例えば、図17の「判定実行」ボタンG409により、図18の処理が開始される。
(S51) ステップS51で、計算機100は、対象品2の打音データ(振幅波形データ等)を取得し、図17の画面の打音波形表示領域G403に表示する。なお、この表示も省略可能である。
(S52) ステップS52では、計算機100(特に周波数スペクトル変換部112)は、MES5(または取得済みの場合には記憶装置130内)から、指定品種の対象品2の個体番号を取得し、図17の画面の個体番号表示欄G402に表示する。
(S53) ステップS53では、計算機100(特に周波数スペクトル変換部112)は、打音データの時系列の振幅波形データを、フーリエ変換によって周波数スペクトルに変換する計算を行う。この際、計算機100は、時系列データ切り出し処理等の前処理、および、周波数スペクトルの線スペクトル成分を抽出するベースライン除去処理や共鳴スペクトルのクラスタ分割処理等の後処理も行う。
(S54) ステップS54では、計算機100(特に判定実行部118)は、得た周波数スペクトルと判定モデルの矩形線(図17の矩形線G405)とを照合し、矩形線から逸脱する共鳴スペクトル(図17の共鳴スペクトル線G406)がある場合には検出する。計算機100は、図17の画面の周波数スペクトル判定結果表示領域G404に、その判定モデルの矩形線と逸脱する共鳴スペクトル線とを表示する。また、計算機100は、逸脱する共鳴スペクトル線の本数をカウントする。
(S55) ステップS55では、計算機100は、逸脱する共鳴スペクトル線の有無を確認し、1本以上ある場合(Y)にはステップS56へ進み、無い場合(Y)にはステップS58へ進む。実施の形態1では、この合否判定の際の判定閾値として1本としている。
なお、変形例として、この合否判定の際、逸脱の有無の判定(判定閾値として1本)ではなく、逸脱本数が予め定めた所定の判定閾値(2本以上)を超過するかどうかの判定としてもよい。この変形例の場合、好適な判定閾値の設定に応じて、合否判定の精度を高めることができる。
(S56) ステップS56では、計算機100は、逸脱スペクトル本数を、図17の画面の逸脱スペクトル数欄G407に表示する。
(S57) 続くステップS57では、計算機100は、逸脱スペクトルが有る(判定閾値以上である)ので、判定結果を「不合格」と判定し、図17の画面の判定結果表示欄G408に「不合格」を表示する。
(S58) 他方、ステップS58では、計算機100は、逸脱スペクトルが無い(判定閾値未満である)ので、判定結果を「合格」と判定し、図17の判定結果表示欄G408に「合格」を表示し、逸脱スペクトル数欄G407には何も表示しない(あるいは「0本」表示してもよい)。
(S59) 最後のステップS59では、計算機100は、上記判定結果を含む判定データを、履歴データ記憶部131に記憶し、また、QCS6へ送信して格納させる。
なお、図18の処理は、MES5等で制御されている自動化製造ラインにおいて対象品2が打音検査装置1へ到着したイベントを契機として開始するようにしてもよい。その場合、打音検査装置1は、製造ラインの製造工程のうちの一部の打音検査工程を構成する装置として配置および制御される。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1の打音検査装置1では、健全品の打音データ群から自動的に打音の周波数スペクトルの健全品ばらつき範囲を計算して、判定モデル(特徴量範囲を表す矩形線)を作成および学習する。打音検査装置1は、その判定モデルからの対象品2の打音データの周波数スペクトルの逸脱を判定することによって打音検査を行う。これにより、打音検査装置1によれば、打音検査用の判定モデル(判定閾値、例えばばらつき許容幅)をユーザが予め設定または設定更新する作業に係わる手間を軽減して簡単にすることができる。
また、実施の形態1の打音検査装置1によれば、統計分布関数を用いて判定モデルを作成することで、統計分布関数を当て嵌める際の精度、および判定モデルを用いた判定の際の精度に関する高精度、または計算時間短縮、の少なくとも一方を実現できる。特に、実施の形態1によれば、任意の統計分布関数を打音データ群の特徴量の分布に当て嵌めて判定モデルを作成することにより、従来技術例よりも判定精度を向上でき、誤報率を低下させることができる。実施の形態1では、統計分布関数の信頼区間を用いて特徴量範囲を決定するので、高精度な判定モデルを作成することができる。
また、特に、実施の形態1によれば、統計処理方法として確率的方法を用いた確率的ばらつき範囲推論と決定的方法を用いた決定的ばらつき範囲推論との両方の計算機能を備え、両方の方法を効果的に組み合わせて適用する。そのため、統計分布関数の当て嵌めに関する高精度と計算時間短縮とをバランス良く両立することができる。
実施の形態1の打音検査装置1では、従来のように品種毎に周波数スペクトル上に存在する多数の共鳴スペクトル(周波数ピーク)の中から打音検査のために着目する周波数ピークを人手で決定してその周波数ピークに対応する判定閾値を設定する作業が必要無い。そのため、人手の工数あるいは人件費コスト等を削減することができる。複雑な形状の金属製品の周波数ピークは、主要なものだけで数十に及ぶ場合があり、その周波数は製品品種毎に異なる。また、実施の形態1では、欠陥製品を予め準備して、健全品と欠陥品とで周波数スペクトルを比較して判定閾値を設定するといった作業が必要無い。そのため、欠陥製品の管理コスト、あるいは模擬欠陥製品の製造コスト等が不要になる。また、打音検査装置1では、予め想定した特定の欠陥品による周波数ピークに対応した判定閾値の設定を行わない。そのため、周波数スペクトルの周波数軸全域の任意の箇所で逸脱するあらゆる欠陥品の検出が可能である。
また、以上説明したように、実施の形態1の打音検査装置1によれば、比較的計算時間は長いが高精度な推論が可能な確率的方法(特にマルコフ連鎖モンテカルロ法)と、比較的計算時間は短いが推論精度が必ずしも保証されない決定的方法(特に変分推論法)との両方の方法の計算機能を備える。これにより、以下の効果を得ることができる。すなわち、打音検査装置1によれば、任意の統計分布関数を共鳴周波数ばらつき分布に当て嵌めて判定モデルを作成および学習することにより、判定モデルの精度が向上し、誤報率が低下する。
また、打音検査装置1によれば、判定モデルを作成および学習する過程で必要になる、統計分布関数の当て嵌めの精度と計算時間とをバランス良く両立することができる。すなわち、実施の形態1では、例えば新規製品の判定モデルを作成するために、初回だけ確率的方法と決定的方法との両方の方法の推論計算を行う。そして、両方の方法による共鳴周波数ばらつき範囲に対応する信頼区間の推論値の誤差が小さくなるように、決定的方法の初期値設定方法を選択する。次回以後の判定モデル学習時には、初回に選択した初期値設定方法を適用することによって、精度保証された決定的方法のみを適用して比較的高速に推論計算を行って判定モデルを学習することができる。
従来、対策例(本発明に対する比較例)として、打音検査の判定モデル(許容範囲等)の設定に係わる多大な手間を省くために、複数の健全品の打音データの履歴に基づいて、判定モデル(許容範囲等)を計算機で自動設定する構成が考えられる。この構成の場合、蓄積し取り込む打音データの量が増えるほど、許容範囲が拡幅してしまい、その結果、判定精度が低下してしまう。それに対し、実施の形態1では、統計処理方法を用いて好適な判定モデルを作成して自動的に設定する。特に、実施の形態1では、精度に影響する、決定的方法の好適な初期値設定方法および初期値を決定する仕組みを含む。そのため、実施の形態1によれば、取り込む打音データ量が増えても、許容範囲が無闇に拡幅せず、判定精度の低下を防止できる。
なお、本発明の判定の対象となる打音データの特徴量は、前述の周波数スペクトルの線スペクトル(ピーク周波数)および共鳴スペクトルに限定されるものではなく、他の特徴量についても同様に適用可能である。例えば、周波数スペクトル積分値、打音波形振幅の収束時間、打音波形の包洛線、打音波形の音圧最大値や平均値などであってもよい。
また、本発明の対象品は、単一素材の金属製品に限定されるものではなく、打撃によって音を発生する素材で形成された様々な製品や部品が含まれる。例えば、金属とセラミックスなどの他の素材との複合材でもよいし、人造石(コンクリート)などであってもよい。
(実施の形態2)
図19を用いて、本発明の実施の形態2の打音検査装置等について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、以下では実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2では、推論計算の統計処理方法として、前述の決定的方法のみを用いる計算機能を備え、統計的方法を用いる計算機能は備えていない。実施の形態2では、複数回の対象品の判定モデルの作成および学習の際に、決定的方法のみを用いる。
図19は、実施の形態2の打音検査装置1の計算機100の演算処理装置110のブロック構成を示す。図19の構成は、図2の構成に対し、確率的ばらつき範囲推論部116、および推論精度比較部117を除いた構成である。判定モデル作成部113は、初回、決定的方法における初期値設定方法を決定し、決定的方法を用いて決定的ばらつき範囲推論部115による推論計算で判定モデルを作成する。初期値管理部114は、決定的方法の初期値設定方法および初期値を管理する。次回以後、判定モデル作成部113は、初回に決定された初期値設定方法で決定的方法を用いて同様に推論計算によって判定モデルを学習、更新する。
実施の形態2によれば、決定的方法を用いてばらつき範囲(統計分布関数)を推論するので、比較的高速に短い計算時間で判定モデルを作成できる。作成された判定モデルを用いて効率的に打音検査が可能である。実施の形態2は、精度よりも時間効率性を優先する用途の場合に有用である。
(実施の形態3)
図20を用いて、本発明の実施の形態3の打音検査装置等について説明する。実施の形態3では、推論計算の統計処理方法として、前述の確率的方法のみを用いる計算機能を備え、決定的方法を用いる計算機能は備えていない。実施の形態3では、複数回の対象品の判定モデルの作成および学習の際に、確率的方法のみを用いる。
図20は、実施の形態3の打音検査装置1の計算機100の演算処理装置110のブロック構成を示す。図20の構成は、図2の構成に対し、決定的ばらつき範囲推論部115、および推論精度比較部117を除いた構成である。初期値管理部114は、確率的方法の初期値を管理する。判定モデル作成部113は、初回、確率的方法を用いて確率的ばらつき範囲推論部116による推論計算で判定モデルを作成する。次回以後、判定モデル作成部113は、確率的方法を用いて同様に推論計算によって判定モデルを学習、更新する。
実施の形態3によれば、確率的方法を用いてばらつき範囲(統計分布関数)を推論するので、比較的高精度に判定モデルを作成できる。作成された判定モデルを用いて高精度に打音検査が可能である。実施の形態3は、時間効率性よりも精度を優先する用途の場合に有用である。
実施の形態1は、実施の形態2と実施の形態3を1つに併合し、2種類の統計処理方法を組み合わせて、精度と計算時間との2つの観点をバランス良く両立させた形態に相当する。
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
110…演算処理装置、111…データ入出力部、112…周波数スペクトル変換部、113…判定モデル作成部、114…初期値管理部、115…決定的ばらつき範囲推論部、116…確率的ばらつき範囲推論部、117…推論精度比較部、118…判定実行部。

Claims (11)

  1. 対象品の打音データに基づいて変換によって特徴量を得る特徴量変換部と、
    第1品種の複数の第1対象品から得た複数の第1特徴量について、健全品として許容されるばらつき範囲を表す特徴量範囲を判定モデルとして作成する判定モデル作成部と、
    打音検査の前記第1品種の第2対象品の打音データから得た第2特徴量が、前記判定モデルの前記特徴量範囲内に収まるか否かを判定することで、前記第2対象品の合否を判定する判定実行部と、
    を備え、
    前記判定モデル作成部は、前記複数の第1特徴量から、統計処理方法を用いて、当て嵌める統計分布関数を推論し、前記統計分布関数の信頼区間から、前記特徴量範囲を決定し、前記判定モデルを更新
    前記判定モデル作成部は、前記統計処理方法として、第1方式として、決定的方法と確率的方法との両方の方法を用いて、それぞれの方法で前記統計分布関数を推論し、推論結果である前記決定的方法の第1統計分布関数と前記確率的方法の第2統計分布関数とを比較して前記推論の精度を評価し、前記精度が最も高い前記第1統計分布関数および前記第2統計分布関数を用いて、前記判定モデルを作成する、
    打音検査装置。
  2. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記判定モデル作成部は、前記判定モデルを初回に作成する際には、前記第1方式を用い、次回以後には、前記統計処理方法として、第2方式として、前記決定的方法のみを用いて前記第1統計分布関数を推論し、前記第1統計分布関数を用いて前記判定モデルを更新する、
    打音検査装置。
  3. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記判定モデル作成部は、前記決定的方法を用いる際の前記特徴量の初期値に関する複数の初期値設定方法のうち選択された初期値設定方法を用いて、前記第1統計分布関数を推論し、前記精度が最も高い前記第1統計分布関数および前記初期値設定方法を用いて前記判定モデルを作成し、次回以後の前記判定モデルの更新の際に用いる、
    打音検査装置。
  4. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記判定モデル作成部は、前記推論結果である前記決定的方法の第1統計分布関数の第1信頼区間と前記確率的方法の第2統計分布関数の第2信頼区間とで誤差を計算し、前記誤差が最小である前記第1統計分布関数および前記第2統計分布関数を用いて、前記判定モデルを作成する、
    打音検査装置。
  5. 請求項1記載の打音検査装置において、
    前記特徴量として、周波数スペクトルの周波数軸に沿った、複数の各々の線スペクトルにおける、前記複数の第1対象品の群による共鳴スペクトルに基づいた、複数の各々の共鳴スペクトルを用いる、
    打音検査装置。
  6. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記特徴量範囲は、前記共鳴スペクトル毎に前記統計分布関数の信頼区間の幅と最大値とを持つ凸型矩形部分を含む、矩形線で構成されている、
    打音検査装置。
  7. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記判定実行部は、前記第2対象品からの前記共鳴スペクトルが前記矩形線の上側に逸脱する数をカウントし、前記逸脱する数が、閾値未満である場合には合格、前記閾値以上である場合には不合格と判定する、
    打音検査装置。
  8. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記確率的方法として、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いる、
    打音検査装置。
  9. 請求項記載の打音検査装置において、
    前記決定的方法として、変分推論法を用いる、
    打音検査装置。
  10. 請求項1記載の打音検査装置において、
    前記統計分布関数として、混合正規分布関数または歪み正規分布関数の少なくとも一方を有する、
    打音検査装置。
  11. 請求項1記載の打音検査装置において、
    前記判定モデルを初回に作成する際に、前記複数の第1対象品として、予め健全品であることが確認されている製品を用いる、
    打音検査装置。
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