JP6894555B1 - 排尿症状治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】残尿を伴う下部尿路障害に対する排尿症状の治療剤の提供。【解決手段】3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を有効成分として含有する残尿量が50mL以上である下部尿路障害に対する排尿症状の治療剤。【選択図】なし

Description

本発明は、3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を有効成分とする、残尿を伴う下部尿路障害に対する治療剤に関する。
蓄尿障害の主な病態として過活動膀胱(overactive bladder、OAB)がある。OAB患者の膀胱生検標本では部分的な除神経(partial denavation)が認められている(非特許文献1、2)。denavationに伴って膀胱平滑筋はアセチルコリンに対し過剰な反応を引き起こすことになり(denavation supersensitivity)、排尿筋過活動(detrusor overactivity、DO)が生じると考えられている。OABの症状は、尿意切迫感、頻尿(昼間と夜間)及び切迫性尿失禁等の蓄尿症状であり、蓄尿期に膀胱の不随意収縮(排尿筋過活動)を伴う場合も多い。
高齢者では排尿症状と蓄尿症状の両方を生じる場合があることが知られている。下部尿路症状(lower urinary tract symptoms、LUTS)がありながら、前立腺肥大症等の下部尿路閉塞(bladder outlet obstruction、BOO)を認めない高齢男性では、40%が排尿筋過活動のみを,31%が排尿筋収縮不全のみを、11%がその両方を伴っていることが報告されている(非特許文献3)。LUTSには多様な症状が含まれ、排尿及び蓄尿の両症状が共存していることが疫学調査の結果、明らかとなっている(非特許文献4)。
OAB発生機序の一つとして膀胱の慢性虚血が知られている。最近、慢性虚血がDOを引き起こし、虚血状態が軽症から高度になるにつれて、排尿筋低活動(detrusor underactivity、DU)を進行させる可能性が提唱されている(非特許文献5、6、7)。
3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンは、神経成長促進作用を示し、認知症等の脳疾患予防・治療用の医薬として有用であること(特許文献1)、排尿障害治療剤として有用であること(特許文献2)、膀胱・尿道協調不全(vesicourethral dyssynergia)に基づく疾患に対する治療剤として有用であること(特許文献3)、収縮力低下随伴性排尿筋過活動(detrusor hyperactivity with impaired contractility、DHIC)の治療剤として有用であること(特許文献4)が報告されている。
また、3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンを用いて、DU及びOAB等の下部尿路障害に対する有効性と安全性を検討するために、下部尿路障害を有する患者を対象とした臨床試験を実施した。
2018年、ICS(The international continence society)のワーキンググループからDUに伴う下部尿路障害の用語標準化の報告があり、その中で低活動膀胱(UAB)の定義が議論されている。これによると、UABはDUを示唆する症状症候群であり、「尿勢低下、排尿遅延および腹圧排尿で特徴付けられ、残尿感はある場合とない場合があり、時々蓄尿症状を伴う」とされている(非特許文献8)。今後UABの診断基準等を明確に定義されることが待たれている。
国際公開WO1999/008987号公報 国際公開WO2002/066024号公報 国際公開WO2015/046377号公報 国際公開WO2017/022787号公報
Br J Urol 60,p519−22(1987) Urology 50 Suppl 6A,p57−67(1997) J Urol 162,p142−146 (1999) 下部尿路機能障害へのアプローチ東京,p2−8(2007) Neurourol Urodyn, 33, p54−58 (2014) LUTS, 6, p131−137 (2014) Int Urol Nephrol 46 (Suppl 1),p23−S27(2014) Neurourol Urodyn, 37(8), p2928−2931 (2018)
本発明は、残尿を伴う下部尿路障害に対する排尿症状の治療剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表される3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(以下、「化合物1」とも称す)が、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者において排尿症状の治療剤として有用であることを見出した。
Figure 0006894555
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔10〕を包含する:
〔1〕3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者に対する排尿症状の治療剤。
〔2〕3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者に対する排尿効率改善剤。
〔3〕患者が、残尿量が100mL以上である下部尿路障害を有する患者である、〔1〕記載の治療剤。
〔4〕患者が、残尿量が100mL以上である下部尿路障害を有する患者である、〔2〕記載の排尿効率改善剤。
〔5〕残尿量を、下部尿路障害に対する3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の治療効果の指標とする方法であって、残尿量が係数T(40≦T≦110)mL以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する方法。
〔6〕3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある排尿効率が低下する疾患を有する患者に対する排尿症状の治療剤。
〔7〕3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある排尿効率が低下する疾患を有する患者に対する排尿効率改善剤。
〔8〕患者が、残尿量が100mL以上である排尿効率が低下する疾患を有する患者である、〔6〕記載の治療剤。
〔9〕患者が、残尿量が100mL以上である排尿効率が低下する疾患を有する患者である、〔7〕記載の排尿効率改善剤。
〔10〕残尿量を、排尿効率が低下する疾患に対する3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の治療効果の指標とする方法であって、残尿量が係数T(40≦T≦110)mL以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する方法。
本発明の別の実施形態は、以下の態様にも関する。
・3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩及び薬学的担体を含む、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者に対する排尿症状の治療のための医薬組成物。
・3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者に対する排尿症状を治療するための方法。
・残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者に対する排尿症状の治療剤を製造するための、3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の使用。
・残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者を治療するための、3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩。
本発明によれば、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有する患者に対し、排尿症状を治療することができる。
化合物1は公知化合物であり、例えば国際公開WO1999/008987号公報の記載の方法に準じて製造することが出来る。
本発明における「下部尿路障害」としては、排尿筋低活動、低活動膀胱、過活動膀胱、収縮力低下随伴性排尿筋過活動、低緊張性膀胱、無収縮膀胱、神経因性膀胱、排尿筋-外尿道括約筋協調不全、頻尿、夜間頻尿、尿失禁、前立腺肥大症、間質性膀胱炎、慢性前立腺炎、尿路結石等が挙げられる。本発明の治療剤は、膀胱・尿道協調不全を原因としない下部尿路障害も治療し得る。また、本発明の治療剤は、排尿筋過活動及び排尿筋収縮不全を併せ持つ疾患以外の下部尿路障害も治療し得る。また、本発明の治療剤は、収縮力低下随伴性排尿筋過活動以外の下部尿路障害も治療し得るが、本発明の好ましい実施形態において、下部尿路障害としては、排尿筋低活動、低活動膀胱、過活動膀胱、収縮力低下随伴性排尿筋過活動、低緊張性膀胱、無収縮膀胱及び神経因性膀胱からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
本発明における「残尿を伴う下部尿路障害」の患者とは、好ましくは、下部尿路障害として排尿筋低活動、低活動膀胱、過活動膀胱、収縮力低下随伴性排尿筋過活動、低緊張性膀胱、無収縮膀胱及び神経因性膀胱からなる群より選択される少なくとも1種を有する患者であり、かつ残尿量が50mL以上の患者である。より好ましくは下部尿路障害として排尿筋低活動、低活動膀胱、過活動膀胱、収縮力低下随伴性排尿筋過活動、低緊張性膀胱、無収縮膀胱及び神経因性膀胱からなる群より選択される少なくとも1種を有する患者であり、かつ残尿量が100mL以上の患者である。本発明において、残尿量とは、排尿終了後の膀胱内の尿量を意味し、経腹的超音波検査やカテーテルによる導尿等により測定することができる。
本発明における「排尿効率が低下する疾患」とは、尿流測定により排尿量や最大尿流率の低下があること、残尿量測定により残尿があること等から排尿効率の低下が認められる疾患であり、例えば、排尿筋低活動、低活動膀胱、収縮力低下随伴性排尿筋過活動、低緊張性膀胱、無収縮膀胱、神経因性膀胱、排尿筋-外尿道括約筋協調不全、尿失禁、前立腺肥大症、間質性膀胱炎、慢性前立腺炎、尿路結石が挙げられる。また、本発明における「排尿効率が低下する疾患」には、排尿症状であって、排尿効率低下の程度が当該排尿症状の疾患としての診断基準には満たないものの、排尿効率の改善により、当該排尿症状が改善するようなものも包含される。
本発明における「排尿症状」とは、排尿効率の低下、排尿量の低下、最大尿流率の低下、残尿あり、尿勢低下、尿線分割・尿線散乱、尿線途絶、排尿遅延、腹圧排尿、終末滴下、残尿感、排尿後尿滴下、排尿困難及び尿閉からなる群より選択される少なくとも1種であり、好ましくは排尿効率の低下である。
化合物1は、薬学的に許容され得る塩、具体的には、酸付加物塩又は塩基との塩を形成する場合もあり、かかる塩が薬学的に許容される塩である限りにおいて当該塩を用いる実施形態は本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基やメチルアミン、エチルアミン、メグルミン、エタノールアミン等の有機塩基又はリジン、アルギニン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩やアンモニウム塩が挙げられる。
本発明の治療剤の有効成分である3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩は、薬学的に許容される担体を用いて、通常公知な製剤方法により各種投与形態として製造することができる。かかる投与形態としては特に制限はなく、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、坐剤等の非経口剤等が例示できる。
薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤等、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調節剤・緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、矯味・矯臭剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アメ粉、ヒプロメロース等が挙げられる。
崩壊剤としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプン等が挙げられる。
滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
コーティング剤としては、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ヒプロメロース、白糖等が挙げられる。
溶剤としては、水、プロピレングリコール、生理食塩液等が挙げられる。
溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、エタノール、α−シクロデキストリン、マクロゴール400、ポリソルベート80等が挙げられる。
懸濁化剤としては、カラギーナン、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
等張化剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、塩化カリウム等が挙げられる。
pH調節剤・緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、塩酸、乳酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
無痛化剤としては、プロカイン塩酸塩、リドカイン等が挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、クレゾール、ベンザルコニウム塩化物等が挙げられる。
抗酸化剤としては、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、天然ビタミンE等が挙げられる。
着色剤としては、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、銅クロロフィル等が挙げられる。
矯味・矯臭剤としてはアスパルテーム、サッカリン、スクラロース、l−メントール、ミントフレーバー等が挙げられる。
安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、酸化マグネシウム、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
経口用固形製剤を調製する場合は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等を用いて、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。
注射剤を調製する場合は、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を用いて、常法により皮下、筋肉内及び静脈内等への投与用注射剤を製造することができる。
上記の各投与単位形態中に配合されるべき化合物1又はその塩の量は、これを適用すべき患者の症状により、あるいはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では約0.005〜1,000mgであり、より好ましくは1〜800mgであり、さらに好ましくは5〜500mgであり、注射剤では約0.001〜500mgであり、より好ましくは0.02〜400mgであり、さらに好ましくは1〜250mgであり、坐剤では約0.01〜1,000mgであり、より好ましくは1〜800mgであり、さらに好ましくは5〜500mgとするのが望ましい。化合物1又はその塩を投与する患者は、ヒトである。
上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、通常成人1日あたり約0.005〜5,000mgであり、好ましくは0.01〜2,000mgであり、より好ましくは10〜1600mgであり、より好ましくは20〜800mgであり、より好ましくは100〜400mgであり、より好ましくは200〜400mgであり、最も好ましくは400mgであり、これを1日1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましく、1日2回に分けて投与するのがより好ましい。
本発明は、残尿量を、下部尿路障害に対する3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の治療効果の指標とする方法であって、残尿量が係数T(40≦T≦110)mL以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する、方法を提供する。
上記のように、本発明の方法においては、患者の残尿量が係数T(mL)以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する。係数Tは、40≦T≦110を満たす範囲で設定できる。従って、本発明の方法には、患者の残尿量が係数50(mL)以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する方法;患者の残尿量が係数50(mL)以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する方法等が包含される。好ましい実施形態において係数Tは、70≦T≦110を満たす範囲で設定でき、より好ましくは90≦T≦110を満たす範囲で設定できる。
また、本発明は、残尿量を、下部尿路障害に対する3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の治療効果の指標とする方法であって、患者の残尿量が前述した係数T(mL)未満の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効でないと判定する、方法も提供する。
本発明は、残尿量を、排尿効率が低下する疾患に対する3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の治療効果の指標とする方法であって、残尿量が係数T(40≦T≦110)mL以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する、方法を提供する。
上記のように、本発明の方法においては、患者の残尿量が係数T(mL)以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する。係数Tは、40≦T≦110を満たす範囲で設定できる。従って、本発明の方法には、患者の残尿量が係数50(mL)以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する方法;患者の残尿量が係数50(mL)以上の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効であると判定する方法等が包含される。好ましい実施形態において係数Tは、70≦T≦110を満たす範囲で設定でき、より好ましくは90≦T≦110を満たす範囲で設定できる。
また、本発明は、残尿量を、排尿効率が低下する疾患に対する3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩の治療効果の指標とする方法であって、患者の残尿量が前述した係数T(mL)未満の場合に3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩による治療が有効でないと判定する、方法も提供する。
また、一日あたりの投与量は、薬剤の剤形や製剤添加物の違いにより、薬物動態が異なる場合、ある投与形態で示される薬物動態と同程度にするために投与量を増減することができる。
以下、試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
排尿筋低活動(detrusor underactivity、DU)を有する患者であって、DUに関連した腹圧排尿、尿勢低下、尿線途絶、残尿、排尿効率の低下等の排尿症状を有する患者を対象として、化合物1の有効性と安全性を検討するために、プラセボを対照とした二重盲検比較試験を実施した(本試験の患者は、過活動膀胱も有している患者を対象として実施した)。二重盲検下(実施した医師や患者がどちらの薬剤が投与されたのかがわからない状態)で、化合物1 200mg又はプラセボのいずれかを1日2回食後、12週間経口投与して有効性及び安全性を評価した。
有効性評価のため、BVE(bladder voiding efficiency)を評価した。BVE(%)は、排尿量/(排尿量+残尿量)×100で算出した。排尿量は、排尿時の1回排尿量のことであり、残尿量は排尿終了後に経腹的超音波検査により測定した膀胱内の残尿量のことである。ベースライン(投与前)と投与後12週時の測定値の差はPaired t−test検定を用い、化合物1群とプラセボ群とのBVE変化量の差ではStudent‘s t−test検定を用いて評価した。表1に示したとおり、化合物1群の投与12週後のBVE変化量の平均値は10.91でプラセボ群よりも大きかったが、プラセボ群との差を認めなかった(p=0.178)。
Figure 0006894555
化合物1の排尿効率に対する効果を詳細に検討するため、残尿量が50mL以上ある、より症状が重い下部尿路障害を有する患者のみの集団でBVEの変化を評価した。表2に示したとおり、化合物1群では、投与12週後のBVEが投与前に比べて明らかに増加した(p<0.001)。一方、プラセボ群ではBVE増加傾向を認めなかった(p=0.489)。さらに、化合物1群の投与12週後のBVE変化量の平均値は18.41でプラセボ群とも差を認めた(p=0.031)。
Figure 0006894555
さらに、化合物1の排尿効率に対する効果を詳細に検討するため、残尿量が100mL以上ある、さらに症状が重い下部尿路障害を有する患者のみの集団でBVEの変化を評価した。表3に示したとおり、化合物1群では、投与12週後のBVEが投与前に比べて明らかに増加した(p<0.001)。一方、プラセボ群ではBVE増加傾向を認めなかった(p=0.708)。また、化合物1群の投与12週後のBVE変化量の平均値は23.57でプラセボ群とも差を認めた(p=0.025)。さらに、化合物1群のプラセボ群との投与12週後のBVE変化量の差は21.47となり、残尿量が50mL以上ある患者集団での差(15.53、表2参照)よりも大きくなった。
Figure 0006894555
残尿量が50mL未満の下部尿路障害を有する患者のみの集団でBVEの変化を評価した。表4に示したとおり、化合物1群では、投与12週後のBVEの明らかな増加を認めなかった(p=0.928)。
Figure 0006894555
以上の結果から、化合物1は、残尿量が50mL未満の患者に対しては排尿効率の顕著な増加を示さなかったのに対し、より症状が重い下部尿路障害を有する患者である残尿量が50mL以上又は100mL以上の患者に対して、排尿効率の顕著な増加を示した。
下部尿路障害を有する患者に対する化合物1の安全性を検討するため、有害事象:Adverse Events(試験に参加した患者に生じた好ましくないあらゆる医学的出来事のことであり,薬剤との因果関係の有無は問わない)及び副作用:Adverse Drug Reactions(薬剤との因果関係が「合理的な可能性がある」と判定された有害事象)を評価した。表5に示したとおり、化合物1群の有害事象の発現割合は46.2%であり、プラセボ群(37.5%)と大きな差はなかった。化合物1群で副作用は発現しなかった。以上のことから、下部尿路障害を有する患者に対して、化合物1 200mgを1日2回、12週間経口投与したときの安全性に問題はなく、忍容性があることが確認された。
Figure 0006894555

Claims (4)

  1. 3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある下部尿路障害を有するヒト患者に対する排尿効率改善剤。
  2. 患者が、残尿量が100mL以上である下部尿路障害を有する患者である、請求項記載の排尿効率改善剤。
  3. 3−(15−ヒドロキシペンタデシル)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン又はその塩を含む、残尿量が50mL以上ある排尿効率が低下する疾患を有するヒト患者に対する排尿効率改善剤。
  4. 患者が、残尿量が100mL以上である排尿効率が低下する疾患を有する患者である、請求項記載の排尿効率改善剤。
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