JP6891728B2 - 光論理回路 - Google Patents

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Description

本発明は、論理演算を光回路で行う光論理回路に関するものである。
光論理素子は、RC遅延のない、高速な光演算を実現する上で重要なデバイスの一つであり、多数の機関で古くから研究されている。その多くは、非線形光学効果を利用するものである(非特許文献1参照)。非線形光学効果は、出力ビット信号のバイナリコントラスト(“0”出力時の絶対強度と“1”出力時の絶対強度との比)を確保するために必須である。ただし、非線形光学効果の利用には次のような問題点がある。
(I)信号の大きな入力強度(または強度密度)が必要とされること。
(II)挿入損失が大きいこと。
(III)性能が入力強度に依存して変化すること。
(IV)構造が複雑で作製が容易でないこと。
上記(I)の問題はデバイス構造である程度の補償をすることが可能であるものの、いずれの問題も根本的な解決を図ることは困難である。したがって、現状においてもカスケード性(縦続に接続して使用できる光論理素子の数)や消費電力の観点で、非線形光論理素子の応用が著しく制限されている。仮にカスケード性や消費電力の制約が満たされたとしても、10dBを超えるバイナリコントラストと低挿入損失とを同時に得るのは困難である。
一方、上記の非線形光学効果を利用した光論理素子の問題を回避すべく、線形光学に基づく線形光論理素子も提案されている。線形光学の利点は、性能が入力強度に依存せず、低入力強度(極まれば光子数個レベル)でも動作可能なため、消費電力を圧倒的に小さくできることである。動作原理としては、主に伝搬光の位相を利用した線形干渉に基づくものが提案されている。
上記の位相変化に敏感な光論理素子を自由空間光学系やファイバー光学系に組み込んで使用する場合、各光素子やファイバーの空間的な振動やねじれによって、各光信号間の相対位相が時間的に大きく揺らぐため、フィードバック制御機構なしでは基本的に動作できない。
しかし、近年はナノフォトニクス技術の進展により、電気制御が可能なレーザ光源、光検出器、移相器や1×1スイッチまたは2×2スイッチのオンチップ集積がある程度可能になった。このようなデバイスのオンチップ集積により、各デバイスの相対位置が固定されるため、上記の自由空間光学系にみられる位相揺らぎの問題がほぼ解消される。
しかし、オンチップ線形光論理素子そのものが開発途上であるため、光論理素子と他の光素子の組み合わせによる特定機能の実装や具体的な回路構成は十分に検討されていないのが現状である。
光AND(論理和)素子の応用例として、入力されたビット列が特定の配列に一致するかを判定する一致検索(パタンマッチ)回路が挙げられる。本応用の場合、複数ビットのマッチング判定をなるべく高速(低遅延)に行う必要がある。パタンマッチ回路の応用先としては、例えばスイッチルーターなどがある。
P.Singh et al.,"All-Optical Logic Gates:Designs,Classification,and Comparison",Advances in Optical Technologies,Volume 2014,Article ID 275083,2014
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、論理演算の高速化を実現することができる多ビットの光論理回路を提供することを目的とする。
本発明の光論理回路は、3入力1出力の複数の光論理素子を縦続接続し、初段の前記光論理素子は、異なる振幅に0,1の値を割り当てた振幅ビットの信号光2つとバイアス光とを入力とし、初段以外の前記光論理素子は、直前の2つの光論理素子の出力光と前記バイアス光とを入力とし、終段の1つの前記光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることを特徴とするものである。
また、本発明の光論理回路は、初段に配置された3入力1出力の複数の第1の光論理素子と、初段と終段とを除く箇所に配置された2入力1出力の第2の光論理素子と、終段に配置された3入力1出力の第3の光論理素子とを縦続接続し、前記第1の光論理素子は、異なる位相に0,1の値を割り当てた位相ビットの信号光2つとバイアス光とを入力とし、前記第2の光論理素子は、直前の2つの第1の光論理素子の出力光または直前の2つの第2の光論理素子の出力光を入力とし、前記第3の光論理素子は、直前の2つの第2の光論理素子の出力光と前記バイアス光とを入力とし、前記第3の光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることを特徴とするものである。
また、本発明の光論理回路は、初段に配置された2入力1出力の複数の第1の光論理素子と、2段目に配置された2入力1出力の第2の光論理素子と、初段と2段目と終段とを除く箇所に配置された2入力1出力の第3の光論理素子と、終段に配置された3入力1出力の第4の光論理素子とを縦続接続し、前記第1の光論理素子は、異なる位相に0,1の値を割り当てた位相ビットの信号光2つを入力とし、前記第2の光論理素子は、前記第1の光論理素子の出力光1つとバイアス光とを入力とし、前記第3の光論理素子は、直前の2つの第2の光論理素子の出力光または直前の2つの第3の光論理素子の出力光を入力とし、前記第4の光論理素子は、直前の2つの第3の光論理素子の出力光と前記バイアス光とを入力とし、前記第4の光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることを特徴とするものである。
また、本発明の光論理回路の1構成例は、各光論理素子に入力される2つの信号光のうち一方の位相を調整可能な第1の移相器と、各光論理素子に入力されるバイアス光の位相を調整可能な第2の移相器と、各光論理素子に入力されるバイアス光の強度を調整可能な強度変調器とをさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の光論理回路の1構成例は、前記第1の光論理素子に入力される2つの信号光の強度を調整可能な第1の強度変調器と、前記第2、第3の光論理素子に入力される2つの信号光のうち一方の位相を調整可能な第1の移相器と、前記第1、第3の光論理素子に入力されるバイアス光の強度を調整可能な第2の強度変調器と、前記第3の光論理素子に入力されるバイアス光の位相を調整可能な第2の移相器とをさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の光論理回路の1構成例は、終段に配置された前記光論理素子の出力光を光電変換する光検出器と、この光検出器から出力されたアナログ電気信号をしきい値処理してデジタル電気信号に変換するしきい値処理器とをさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の光論理回路の1構成例は、複数の前記バイアス光の強度を個別に設定可能な光源をさらに備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、2つの信号光とバイアス光とを入力とする3入力1出力の複数の光論理素子と、2つの信号光を入力とする2入力1出力の複数の光論理素子と、1つの信号光とバイアス光とを入力とする2入力1出力の複数の光論理素子のうち少なくとも1種類の光論理素子を縦続接続し、終段の1つの光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることにより、論理演算の高速化を実現することができる。
図1は、本発明の第1の実施例に係る8ビット入力AND回路の構成例を示すブロック図である。 図2は、本発明の第2の実施例に係る8ビット入力AND回路の構成例を示すブロック図である。 図3は、本発明の第3の実施例に係る8ビット入力AND回路の構成例を示すブロック図である。 図4は、本発明の第4の実施例に係る8ビット入力AND回路の構成例を示すブロック図である。 図5は、本発明の第5の実施例に係る8ビット入力AND回路の構成例を示すブロック図である。 図6は、本発明の第6の実施例に係る光論理素子の構成を示す斜視図である。 図7は、本発明の第6の実施例に係る光論理素子の構成を示す平面図である。 図8は、本発明の第7の実施例に係る光論理素子の構成を示す斜視図である。 図9は、本発明の第7の実施例に係る光論理素子の構成を示す平面図である。 図10は、本発明の第8の実施例に係る光論理素子の構成を示す斜視図である。 図11は、本発明の第8の実施例に係る光論理素子の構成を示す平面図である。
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る8ビット入力AND回路(光論理回路)の構成例を示すブロック図である。8ビット入力AND回路は、2つの信号光と1つのバイアス光とを入力として2つの信号光のAND演算を行う3入力1出力の光論理素子1−1〜1−7と、信号光生成用の連続光とバイアス光とを出力する光源2と、信号光生成用の連続光を8ビット入力デジタル電気信号の各ビットに応じて強度変調して信号光を生成する強度変調器3−1〜3−8と、光論理素子1−7の出力光を光電変換する光検出器4と、光検出器4から出力されたアナログ電気信号をしきい値処理してデジタル電気信号に変換するコンパレータ、センスアンプなどのしきい値処理器5と、光導波路7−1〜7−8,8−1〜8−7,9−1〜9−6とから構成される。この8ビット入力AND回路は、誘電体材料からなる基板上に集積化される。
図1において、6A,6Bは光論理素子1−1〜1−7の信号光入力ポート、6Cは光論理素子1−1〜1−7の光出力ポート、6Dは光論理素子1−1〜1−7のバイアス光入力ポートである。
本実施例の8ビット入力AND回路は、異なる振幅に“0”,“1”の値を割り当てた信号光を入力とする光論理素子1−1〜1−7を、階層的に縦続接続したものである。具体的には、光論理素子1−1,1−2の光出力を光論理素子1−5の入力とし、光論理素子1−3,1−4の光出力を光論理素子1−6の入力とし、光論理素子1−5,1−6の光出力を光論理素子1−7の入力としている。段数はN=3である。
光導波路7−1,7−2は光論理素子1−1の信号光入力ポート6A,6Bと接続され、光導波路7−3,7−4は光論理素子1−2の信号光入力ポート6A,6Bと接続されている。光導波路7−5,7−6は光論理素子1−3の信号光入力ポート6A,6Bと接続され、光導波路7−7,7−8は光論理素子1−4の信号光入力ポート6A,6Bと接続されている。光導波路8−1,8−3,8−5,8−7は光論理素子1−1〜1−4のバイアス光入力ポート6Dと接続されている。
光論理素子1−1の光出力ポート6Cと光論理素子1−5の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路9−1によって接続され、光論理素子1−2の光出力ポート6Cと光論理素子1−5の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路9−2によって接続されている。また、光論理素子1−3の光出力ポート6Cと光論理素子1−6の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路9−3によって接続され、光論理素子1−4の光出力ポート6Cと光論理素子1−6の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路9−4によって接続されている。光導波路8−2,8−6は光論理素子1−5,1−6のバイアス光入力ポート6Dと接続されている。
さらに、光論理素子1−5の光出力ポート6Cと光論理素子1−7の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路9−5によって接続され、光論理素子1−6の光出力ポート6Cと光論理素子1−7の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路9−6によって接続されている。光導波路8−4は光論理素子1−7のバイアス光入力ポート6Dと接続されている。
光源2は、値“1”に対応する強度の連続光を光導波路7−1〜7−8に入力する。このとき、光源2は、全ての光導波路7−1〜7−8に同相の連続光を入力する。光導波路7−1〜7−8には、8ビット入力デジタル電気信号の各ビットを入力とする強度変調器3−1〜3−8が設けられている。こうして、入力デジタル電気信号の対応するビットに応じた振幅を有する8つの信号光を生成することができる。以下、強度変調器3−1〜3−8によって生成された、強度が0または1で位相が固定の信号光を振幅ビットと呼ぶ。
強度変調器3−1,3−2によって生成された振幅ビットは光論理素子1−1の信号光入力ポート6A,6Bに入力され、強度変調器3−3,3−4によって生成された振幅ビットは光論理素子1−2の信号光入力ポート6A,6Bに入力される。強度変調器3−5,3−6によって生成された振幅ビットは光論理素子1−3の信号光入力ポート6A,6Bに入力され、強度変調器3−7,3−8によって生成された振幅ビットは光論理素子1−4の信号光入力ポート6A,6Bに入力される。
また、光源2は、光導波路7−1〜7−8に入力する信号光生成用の連続光と同一強度で同一波長の連続光をバイアス光として光導波路8−1,8−3,8−5,8−7に入力し、信号光生成用の連続光と同一波長で1/3の強度の連続光をバイアス光として光導波路8−2,8−6に入力し、信号光生成用の連続光と同一波長で1/9の強度の連続光をバイアス光として光導波路8−4に入力する。このとき、光源2は、これらバイアス光の位相を、信号光用の連続光に対して逆相とする。
光導波路8−1,8−3,8−5,8−7を伝搬したバイアス光は、光論理素子1−1〜1−4のバイアス光入力ポート6Dに入力される。光導波路8−2,8−6を伝搬したバイアス光は、光論理素子1−5,1−6のバイアス光入力ポート6Dに入力される。光導波路8−4を伝搬したバイアス光は、光論理素子1−7のバイアス光入力ポート6Dに入力される。
各光論理素子1−1〜1−7は振幅ビットのAND演算を行う。すなわち、各光論理素子1−1〜1−7は、信号光入力ポート6A,6Bの入力が共に振幅ビット“1”の場合、光出力ポート6Cに振幅ビット“1”を出力し、信号光入力ポート6A,6Bの入力のうち少なくとも一方が振幅ビット“0”の場合、光出力ポート6Cに振幅ビット“0”を出力する。
各光論理素子1−1〜1−7における信号光入力ポート6Aの位相ビットとバイアス光入力ポート6Dのバイアス光と信号光入力ポート6Bの位相ビットとの合流比を1:1:1とする場合、n段目(n=1〜N)の光論理素子のバイアス光入力ポート6Dに入力するバイアス光の相対光強度Pbias_nは3-(n-1)が最適である。したがって、上記の例では、1段目の光論理素子1−1〜1−4に入力されるバイアス光の相対光強度が1、2段目の光論理素子1−5,1−6に入力されるバイアス光の相対光強度が1/3、3段目の光論理素子1−7に入力されるバイアス光の相対光強度が1/9となる。言い換えると、バイアス光の相対光強度を調整することで、各光論理素子1−1〜1−7の合流比を設定することができる。
各光論理素子1−1〜1−7の合流比は1:α:1(α>0)であれば動作できる。全ての光論理素子で同じ合流比にすれば、バイアス光の相対光強度Pbias_nを簡単に定式化できる。なお、光論理素子1−1〜1−7の詳細な構成については後述する。
本実施例の8ビット入力AND回路の動作の流れは次のとおりである。
(1)光源2から各光導波路7−1〜7−8,8−1〜8−7に上記の強度で連続レーザ光を入力する(演算中は定常的に入力)。
(2)8ビット入力デジタル電気信号の各ビットを強度変調器3−1〜3−8にパラレル入力する。
(3)各光論理素子1−1〜1−7で光アナログ演算(本実施例では振幅ビットのAND演算)を実施する。
(4)光論理素子1−7の出力信号光を光検出器4で光電変換する。
(5)光検出器4から出力されたアナログ電気信号をしきい値処理器5でしきい値処理してデジタル電気信号に変換する。
各強度変調器3−1〜3−8は、入力デジタル電気信号の対応するビットが“0”の場合は入力光を遮断し(強度0)、対応するビットが“1”の場合は入力光を透過させる(強度1)。したがって、入力デジタル電気信号の全てのビットが“1”である場合、光検出器4で得られる光電変換後のアナログ電気信号は最大値となる。
また、図1のように各光論理素子1−1〜1−7に適切な強度のバイアス光を入力する場合、入力デジタル電気信号の少なくとも1つのビットが“0”の場合、光電変換後のアナログ電気信号は上記の最大値よりも低い値となる。したがって、光電変換後のアナログ電気信号のこれらの値をあらかじめ計算・設計することで、入力デジタル電気信号の全てのビットが“1”である場合のみ、しきい値処理器5から“1”が出力されるように、しきい値処理器5のしきい値を設定することができる。つまり、光アナログ演算の結果を光電変換し、電気的な判別によって多ビットの論理演算を実現する光電融合演算回路を実現することができる。
本実施例で生じる演算遅延は、次の(A)〜(D)の遅延の合計値で決まる。
(A)強度変調器3−1〜3−8における電気・光信号変換(EO変換)遅延。
(B)強度変調器3−1〜3−8から光検出器4までの光路長と伝搬モードの等価屈折率とにより決定される光パス遅延。
(C)光検出器4における光・電気信号変換(OE変換)遅延。
(D)しきい値処理器5における遅延。
なお、回路構成により(C)と(D)の遅延を1つにまとめることができる可能性がある。本実施例では、電気信号のみで演算する場合と比較して、EO変換およびOE変換の付加的な遅延が加わるが、光論理素子を多用することで(B)の光パス遅延を十分高速化できるため、CMOS回路(文献「A.Agarwal et al.,“A 128x128b High-Speed Wide-AND Match-Line Content Addressable Memory in 32nm CMOS”,Proceedings of the ESSCIRC,pp.83-86,2011」)よりも低遅延な回路が期待できる。例えば128ビットのAND演算はCMOS回路の場合、構成を最適化しても145ピコ秒要すると見積もられている。これに対して、本実施例では、その10分の1程度で実現できる可能性がある。さらにスループットについても強度変調器3−1〜3−8(EO変調器)の動作周波数で決まるとすると、10GHz以上が期待できる。
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図2は本発明の第2の実施例に係る8ビット入力AND回路(光論理回路)の構成例を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。なお、光源2については第1の実施例と同じなので、図2では光源2の記載を省略している。
本実施例の8ビット入力AND回路は、光論理素子1−1〜1−7と、光源2と、強度変調器3−1〜3−8と、光検出器4と、しきい値処理器5と、光導波路7−1〜7−8,8−1〜8−7,9−1〜9−6と、光導波路7−1,8−1,7−3,8−3,7−5,8−5,7−7,8−7,9−1,9−3,8−2,8−6,9−5,8−4に設けられた較正用移相器10−1〜10−14と、光導波路8−1,8−3,8−5,8−7,8−2,8−6,8−4に設けられた校正用強度変調器11−1〜11−7とから構成される。この8ビット入力AND回路は、誘電体材料からなる基板上に集積化される。
本実施例は、第1の実施例の8ビット入力AND回路に較正用移相器10−1〜10−14と校正用強度変調器11−1〜11−7とを追加したものである。
第1の実施例では、光導波路の作製誤差により光路長や各光論理素子1−1〜1−7の合流比が所望の値から外れたり、ばらついたりすることがある。
そこで、光論理素子1−1の性能のばらつきを校正するため、光源2から光導波路7−1,7−2に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−1,3−2から強度1の振幅ビットを出力させた状態で、光論理素子1−1の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路7−2を伝搬する光に対する、光導波路7−1を伝搬する光の相対位相を較正用移相器10−1により調整すればよい。さらに、光源2から光導波路7−1に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−1から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−1に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−1の光出力ポート6Cの出力光が最小となるように、バイアス光の位相を較正用移相器10−2により調整し、バイアス光の強度を校正用強度変調器11−1により調整すればよい。
また、光論理素子1−2の性能のばらつきを校正するため、光源2から光導波路7−3,7−4に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−3,3−4から強度1の振幅ビットを出力させた状態で、光論理素子1−2の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路7−4を伝搬する光に対する、光導波路7−3を伝搬する光の相対位相を較正用移相器10−3により調整すればよい。さらに、光源2から光導波路7−3に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−3から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−3に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−2の光出力ポート6Cの出力光が最小となるように、バイアス光の位相を較正用移相器10−4により調整し、バイアス光の強度を校正用強度変調器11−2により調整すればよい。
較正用移相器10−5,10−6および校正用強度変調器11−3を用いた光論理素子1−3の校正方法、較正用移相器10−7,10−8および校正用強度変調器11−4を用いた光論理素子1−4の校正方法も、光論理素子1−1,1−2の校正方法と同じである。
次に、光論理素子1−1〜1−4の校正終了後、光論理素子1−5の性能のばらつきを校正するため、光源2から光導波路7−1〜7−4に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−1〜3−4から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−1,8−3に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−5の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路9−2を伝搬する光に対する、光導波路9−1を伝搬する光の相対位相を較正用移相器10−9により調整すればよい。さらに、光源2から光導波路7−1,7−2に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−1,3−2から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−2に信号光生成用の連続光の1/3の強度のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−5の光出力ポート6Cの出力光が最小となるように、バイアス光の位相を較正用移相器10−10により調整し、バイアス光の強度を校正用強度変調器11−5により調整すればよい。
また、光論理素子1−6の性能のばらつきを校正するため、光源2から光導波路7−5〜7−8に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−5〜3−8から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−5,8−7に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−6の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路9−4を伝搬する光に対する、光導波路9−3を伝搬する光の相対位相を較正用移相器10−11により調整すればよい。さらに、光源2から光導波路7−5,7−6に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−5,3−6から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−6に信号光生成用の連続光の1/3の強度のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−6の光出力ポート6Cの出力光が最小となるように、バイアス光の位相を較正用移相器10−12により調整し、バイアス光の強度を校正用強度変調器11−6により調整すればよい。
次に、光論理素子1−5,1−6の校正終了後、光論理素子1−7の性能のばらつきを校正するため、光源2から光導波路7−1〜7−8に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−1〜3−8から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−1,8−3,8−5,8−7に強度1のバイアス光を入力し、光導波路8−2,8−6に信号光生成用の連続光の1/3の強度のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−7の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路9−6を伝搬する光に対する、光導波路9−5を伝搬する光の相対位相を較正用移相器10−13により調整すればよい。さらに、光源2から光導波路7−1〜7−4に強度1の連続光を入力し、強度変調器3−1〜3−4から強度1の振幅ビットを出力させると共に、光源2から光導波路8−1,8−3,8−5,8−7に強度1のバイアス光を入力し、光導波路8−2,8−6に信号光生成用の連続光の1/3の強度のバイアス光を入力し、光導波路8−4に信号光生成用の連続光の1/9の強度のバイアス光を入力した状態で、光論理素子1−7の光出力ポート6Cの出力光が最小となるように、バイアス光の位相を較正用移相器10−14により調整し、バイアス光の強度を校正用強度変調器11−7により調整すればよい。
以上のように、本実施例によれば、較正用移相器10−1〜10−14と校正用強度変調器11−1〜11−7の導入によって、作製誤差による各光導波路の光路長のずれや、光論理素子1−1〜1−7の合流比のずれやばらつきを補償することができる。
較正用移相器10−1〜10−14および校正用強度変調器11−1〜11−7は、熱光学式の低速なものでよい。熱光学式の較正用移相器10−1〜10−14は、十分短尺(〜10μm)にできるため、光パス遅延はほとんど増大しない。ただし、8(=2N)ビットに対して14(=2N+1−2)個の較正用移相器と7(=2N−1)個の校正用強度変調器を追加する必要がある。
なお、第1、第2の実施例では、8ビット入力AND回路を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、初段の光論理素子を入力ビット数に応じた個数(2N/2)だけ設け、段数Nを増やすようにすれば、より多ビットのAND回路を実現できることは言うまでもない。
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図3は本発明の第3の実施例に係る8ビット入力AND回路(光論理回路)の構成例を示すブロック図であり、図1、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の8ビット入力AND回路は、光源2aと、光検出器4と、しきい値処理器5と、信号光生成用の連続光を8ビット入力デジタル電気信号の各ビットに応じて位相変調して信号光を生成する移相器12−1〜12−8と、2つの信号光と1つのバイアス光とを入力として2つの信号光のAND演算を行う3入力1出力の光論理素子13−1〜13−4と、直前の2つの光論理素子13−1〜13−4の出力光を合流して出力する2入力1出力の光論理素子14−1,14−2と、直前の2つの光論理素子14−1,14−2の出力光とバイアス光とを入力として2つの信号光のAND演算を行う3入力1出力の光論理素子15と、光導波路16−1〜16−8,17−1〜17−5,18−1〜18−6とから構成される。この8ビット入力AND回路は、誘電体材料からなる基板上に集積化される。
本実施例の8ビット入力AND回路は、異なる位相に“0”,“1”の値を割り当てた信号光を入力とする光論理素子13−1〜13−4と、光論理素子13−1〜13−4の出力を入力とする光論理素子14−1,14−2と、光論理素子14−1,14−2の出力を入力とする光論理素子15とを、階層的に縦続接続したものである。段数はN=3である。
光導波路16−1,16−2は光論理素子13−1の信号光入力ポート6A,6Bと接続され、光導波路16−3,16−4は光論理素子13−2の信号光入力ポート6A,6Bと接続されている。光導波路16−5,16−6は光論理素子13−3の信号光入力ポート6A,6Bと接続され、光導波路16−7,16−8は光論理素子13−4の信号光入力ポート6A,6Bと接続されている。光導波路17−1,17−2,17−4,17−5は光論理素子13−1〜13−4のバイアス光入力ポート6Dと接続されている。
光論理素子13−1の光出力ポート6Cと光論理素子14−1の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路18−1によって接続され、光論理素子13−2の光出力ポート6Cと光論理素子14−1の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路18−2によって接続されている。また、光論理素子13−3の光出力ポート6Cと光論理素子14−2の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路18−3によって接続され、光論理素子13−4の光出力ポート6Cと光論理素子14−2の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路18−4によって接続されている。
さらに、光論理素子14−1の光出力ポート6Cと光論理素子15の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路18−5によって接続され、光論理素子14−2の光出力ポート6Cと光論理素子15の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路18−6によって接続されている。光導波路17−3は光論理素子15のバイアス光入力ポート6Dと接続されている。
光源2aは、強度1の連続光を光導波路16−1〜16−8に入力する。このとき、光源2aは、全ての光導波路16−1〜16−8に同相の連続光を入力する。光導波路16−1〜16−8には、8ビット入力デジタル電気信号の各ビットを入力とする移相器12−1〜12−8が設けられている。こうして、入力デジタル電気信号の対応するビットに応じた位相を有する8つの信号光を生成することができる。
移相器12−1〜12−8の動作点は、あらかじめバイアス光を位相基準として定める必要がある。各移相器12−1〜12−8は、入力デジタル電気信号の対応するビットが“0”の場合は入力光の位相をバイアス光と同相(0)とし、対応するビットが“1”の場合は入力光の位相をバイアス光と逆相(π)とする。以下、移相器12−1〜12−8によって生成された、強度が1で固定で、位相がバイアス光と同相(0)または逆相(π)の信号光を位相ビットと呼ぶ。
移相器12−1,12−2によって生成された位相ビットは光論理素子13−1の信号光入力ポート6A,6Bに入力され、移相器12−3,12−4によって生成された位相ビットは光論理素子13−2の信号光入力ポート6A,6Bに入力される。移相器12−5,12−6によって生成された位相ビットは光論理素子13−3の信号光入力ポート6A,6Bに入力され、移相器12−7,12−8によって生成された位相ビットは光論理素子13−4の信号光入力ポート6A,6Bに入力される。
また、光源2aは、光導波路16−1〜16−8に入力する信号光生成用の連続光と同一強度で同一波長の連続光をバイアス光として光導波路17−1,17−2,17−4,17−5に入力し、信号光生成用の連続光と同一波長で3倍の強度の連続光をバイアス光として光導波路17−3に入力する。
光導波路17−1,17−2,17−4,17−5を伝搬したバイアス光は、光論理素子13−1〜13−4のバイアス光入力ポート6Dに入力される。光導波路17−3を伝搬したバイアス光は、光論理素子15のバイアス光入力ポート6Dに入力される。
本実施例の8ビット入力AND回路の動作の流れは次のとおりである。
(1)光源2aから各光導波路16−1〜16−8,17−1〜17−5に上記の強度で連続レーザ光を入力する(演算中は定常的に入力)。
(2)8ビット入力デジタル電気信号の各ビットを移相器12−1〜12−8にパラレル入力する。
(3)各光論理素子13−1〜13−4,14−1,14−2,15で光アナログ演算を実施する。
(4)光論理素子15の出力信号光を光検出器4で光電変換する。
(5)光検出器4から出力されたアナログ電気信号をしきい値処理器5でしきい値処理してデジタル電気信号に変換する。
本実施例では、第1の実施例と異なり、各光論理素子13−1〜13−4が位相ビットのAND演算を行う。すなわち、各光論理素子13−1〜13−4は、信号光入力ポート6A,6Bの入力が共に位相ビット“π”の場合、光出力ポート6Cに位相ビット“π”を出力し、信号光入力ポート6A,6Bの入力のうち少なくとも一方が位相ビット“0”の場合、光出力ポート6Cに位相ビット“0”を出力する。
光論理素子14−1,14−2は、それぞれ信号光入力ポート6A,6Bに入力された位相ビットを合流して光出力ポート6Cに出力する。
光論理素子15は、光論理素子14−1,14−2から出力され信号光入力ポート6A,6Bに入力された光を振幅ビットとしてAND演算を行う。
光論理素子13−1〜13−4,15の構成は第1の実施例の光論理素子1−1〜1−7と同じである。光論理素子14−1,14−2は、光論理素子13−1〜13−4,15からバイアス光入力ポート6Dを取り去ったものに相当する。
本実施例では、第1の実施例と比較して以下のような特徴を有する。
(a)第1の実施例の強度変調器3−1〜3−8の代わりに移相器12−1〜12−8を使用する。
(b)光アナログ演算の初段(N=1)に、信号光入力ポート6Aの位相ビットとバイアス光入力ポート6Dのバイアス光と信号光入力ポート6Bの位相ビットとの合流比が1:1:1の光論理素子13−1〜13−4を使用する。
(c)光アナログ演算の終段(N=3)に、信号光入力ポート6Aの振幅ビットとバイアス光入力ポート6Dのバイアス光と信号光入力ポート6Bの振幅ビットとの合流比が2:1:2の光論理素子15を使用する。
(d)光アナログ演算の初段と終段とを除く演算には、信号光入力ポート6Aの位相ビットと信号光入力ポート6Bの位相ビットとの合流比が1:1の光論理素子14−1,14−2を使用する。
上記の(a)と(b)と(d)によって回路を簡素化することができ、(b)と(d)によって光演算による損失を低減することができ、(c)によって第1の実施例の構成と同じ信号の判別性(信号コントラスト)を得ることができる。
第1の実施例と同様に、バイアス光の相対光強度を調整することで、光論理素子13−1〜13−4,15の合流比を設定することができる。本実施例の場合、光論理素子13−1〜13−4の合流比を1:1:1とし、光論理素子15の合流比を2:1:2とするとき、光演算による損失を最小化できる。本実施例では、1段目の光論理素子13−1〜13−4の信号光強度とバイアス光強度の比は1:1である。8(=2N)ビットのAND回路を構成する場合、連続光の強度を1とするとき、終段の光論理素子のバイアス光入力ポート6Dに入力するバイアス光の相対光強度Pbias_Nは、(2N-1−1)2/(3×2N-3)となる。したがって、上記の例では、光論理素子15に入力するバイアス光の相対光強度を3としている。
本実施例における光パス遅延は第1の実施例の構成とほぼ同じである。こうして、本実施例では、第1の実施例のAND回路の構成を簡素化することができる。
[第4の実施例]
次に、本発明の第4の実施例について説明する。図4は本発明の第4の実施例に係る8ビット入力AND回路(光論理回路)の構成例を示すブロック図であり、図1〜図3と同一の構成には同一の符号を付してある。なお、光源2aについては第3の実施例と同じなので、図4では光源2aの記載を省略している。
本実施例の8ビット入力AND回路は、光源2aと、光検出器4と、しきい値処理器5と、移相器12−1〜12−8と、光論理素子13−1〜13−4,14−1,14−2,15と、光導波路16−1〜16−8,17−1〜17−5,18−1〜18−6と、光導波路16−1,17−1,16−2,16−3,17−2,16−4,16−5,17−4,16−6,16−7,17−5,16−8,17−3に設けられた校正用強度変調器19−1〜19−13と、光導波路18−1,18−3,18−5,17−3に設けられた較正用移相器20−1〜20−4とから構成される。この8ビット入力AND回路は、誘電体材料からなる基板上に集積化される。
本実施例は、第3の実施例の8ビット入力AND回路に校正用強度変調器19−1〜19−13と較正用移相器20−1〜20−4とを追加したものである。
第1の実施例と同様に、第3の実施例では、光導波路の作製誤差により光路長や各光論理素子13−1〜13−4,14−1,14−2,15の合流比が所望の値から外れたり、ばらついたりすることがある。
そこで、光論理素子13−1の性能のばらつきを校正するため、光源2aから光導波路16−1,16−2に強度1の連続光を入力し、移相器12−1,12−2から位相ビット“π”を出力させた状態で、光論理素子13−1の光出力ポート6Cの出力光の位相がバイアス光と逆相(π)となるように、光導波路16−1,16−2を伝搬する光の強度を校正用強度変調器19−1,19−3により調整すればよい。さらに、光源2aから光導波路16−1に強度1の連続光を入力し、移相器12−1から位相ビット“π”を出力させると共に、光源2aから光導波路17−1に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子13−1の光出力ポート6Cの出力光の位相がバイアス光と同相(0)となるように、バイアス光の強度を校正用強度変調器19−2により調整すればよい。
また、光論理素子13−2の性能のばらつきを校正するため、光源2aから光導波路16−3,16−4に強度1の連続光を入力し、移相器12−3,12−4から位相ビット“π”を出力させた状態で、光論理素子13−2の光出力ポート6Cの出力光の位相がバイアス光と逆相(π)となるように、光導波路16−3,16−4を伝搬する光の強度を校正用強度変調器19−4,19−6により調整すればよい。さらに、光源2aから光導波路16−3に強度1の連続光を入力し、移相器12−3から位相ビット“π”を出力させると共に、光源2aから光導波路17−2に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子13−2の光出力ポート6Cの出力光の位相がバイアス光と同相(0)となるように、バイアス光の強度を校正用強度変調器19−5により調整すればよい。
校正用強度変調器19−7〜19−9を用いた光論理素子13−3の校正方法、校正用強度変調器19−10〜19−12を用いた光論理素子13−4の校正方法も、光論理素子13−1,13−2の校正方法と同じである。
次に、光論理素子13−1〜13−4の校正終了後、光論理素子14−1の性能のばらつきを校正するため、光源2aから光導波路16−1〜16−4に強度1の連続光を入力し、移相器12−1〜12−4から位相ビット“π”を出力させると共に、光源2aから光導波路17−1,17−2に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子14−1の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路18−2を伝搬する光に対する、光導波路18−1を伝搬する光の相対位相を較正用移相器20−1により調整すればよい。
また、光論理素子14−2の性能のばらつきを校正するため、光源2aから光導波路16−5〜16−8に強度1の連続光を入力し、移相器12−5〜12−8から位相ビット“π”を出力させると共に、光源2aから光導波路17−4,17−5に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子14−2の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路18−4を伝搬する光に対する、光導波路18−3を伝搬する光の相対位相を較正用移相器20−2により調整すればよい。
次に、光論理素子14−1,14−2の校正終了後、光論理素子15の性能のばらつきを校正するため、光源2aから光導波路16−1〜16−8に強度1の連続光を入力し、移相器12−1〜12−8から位相ビット“π”を出力させると共に、光源2aから光導波路17−1,17−2,17−4,17−5に強度1のバイアス光を入力した状態で、光論理素子15の光出力ポート6Cの出力光が最大となるように、光導波路18−6を伝搬する光に対する、光導波路18−5を伝搬する光の相対位相を較正用移相器20−3により調整すればよい。さらに、光源2aから光導波路16−1〜16−8に強度1の連続光を入力し、移相器12−1〜12−8から位相ビット“π”を出力させると共に、光源2aから光導波路17−1,17−2,17−4,17−5に強度1のバイアス光を入力し、光導波路17−3に信号光生成用の連続光の3倍の強度のバイアス光を入力した状態で、光論理素子15の光出力ポート6Cの出力光が最小となるように、バイアス光の位相を較正用移相器20−4により調整し、バイアス光の強度を校正用強度変調器19−13により調整すればよい。
以上のように、本実施例によれば、校正用強度変調器19−1〜19−13および較正用移相器20−1〜20−4の導入によって、作製誤差による各光導波路の光路長のずれや、光論理素子13−1〜13−4,14−1,14−2,15の合流比のずれやばらつきを補償することができる。
第2の実施例と同様に、校正用強度変調器19−1〜19−13および較正用移相器20−1〜20−4は、熱光学式の低速なものでよい。ただし、8(=2N)ビットに対して4(=2N-1)個の較正用移相器と13(=3×2N +1)個の校正用強度変調器を追加する必要がある。
なお、第3、第4の実施例では、8ビット入力AND回路を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、初段の光論理素子を入力ビット数に応じた個数(2N/2)だけ設け、段数Nを増やす(光論理素子14−1,14−2の段数を増やす)ようにすれば、より多ビットのAND回路を実現できることは言うまでもない。この場合、中段の2入力1出力の光論理素子は、直前の3入力1出力の光論理素子の出力光を入力とする場合と、直前の2入力1出力の光論理素子の出力光を入力とする場合とがある。
[第5の実施例]
次に、本発明の第5の実施例について説明する。図5は本発明の第5の実施例に係る8ビット入力AND回路(光論理回路)の構成例を示すブロック図であり、図1〜図4と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の8ビット入力AND回路は、光源2bと、光検出器4と、しきい値処理器5と、移相器12−1〜12−8と、2つの信号光を合流して出力する2入力1出力の光論理素子21−1〜21−6と、直前の1つの光論理素子21−1〜21−4の出力光とバイアス光とを合流して出力する2入力1出力の光論理素子22−1〜22−4と、直前の2つの光論理素子21−5,21−6の出力光とバイアス光とを入力として2つの信号光のAND演算を行う3入力1出力の光論理素子23と、光導波路24−1〜24−8,25−1〜25−5と、26−1〜26−4と、27−1〜27−6とから構成される。この8ビット入力AND回路は、誘電体材料からなる基板上に集積化される。
本実施例の8ビット入力AND回路は、位相ビットを入力とする光論理素子21−1〜21−4と、光論理素子21−1〜21−4の出力とバイアス光とを入力とする光論理素子22−1〜22−4と、光論理素子22−1〜22−4の出力を入力とする光論理素子21−5,21−6と、光論理素子21−5,21−6の出力を入力とする光論理素子23とを、階層的に縦続接続したものであり、第3、第4の実施例の初段の光論理素子13−1〜13−4を、光論理素子21−1〜21−4と光論理素子22−1〜22−4とを縦続接続した構成に置き換えたものである。本実施例では、第3、第4の実施例と比較して光演算による損失はやや増大するが、信号コントラストは第3、第4の実施例と同じである。
光導波路24−1,24−2は光論理素子21−1の信号光入力ポート6A,6Bと接続され、光導波路24−3,24−4は光論理素子21−2の信号光入力ポート6A,6Bと接続されている。光導波路24−5,24−6は光論理素子21−3の信号光入力ポート6A,6Bと接続され、光導波路24−7,24−8は光論理素子21−4の信号光入力ポート6A,6Bと接続されている。
光論理素子21−1の光出力ポート6Cと光論理素子22−1の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路26−1によって接続され、光論理素子21−2の光出力ポート6Cと光論理素子22−2の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路26−2によって接続されている。光論理素子21−3の光出力ポート6Cと光論理素子22−3の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路26−3によって接続され、光論理素子21−4の光出力ポート6Cと光論理素子22−4の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路26−4によって接続されている。光導波路25−1,25−2は光論理素子22−1,22−2の信号光入力ポート6Bと接続されている。光導波路25−4,25−5は光論理素子22−3,22−4の信号光入力ポート6Bと接続されている。
光論理素子22−1の光出力ポート6Cと光論理素子21−5の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路27−1によって接続され、光論理素子22−2の光出力ポート6Cと光論理素子21−5の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路27−2によって接続されている。光論理素子22−3の光出力ポート6Cと光論理素子21−6の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路27−3によって接続され、光論理素子22−4の光出力ポート6Cと光論理素子21−6の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路27−4によって接続されている。
さらに、光論理素子21−5の光出力ポート6Cと光論理素子23の信号光入力ポート6Aとの間は光導波路27−5によって接続され、光論理素子21−6の光出力ポート6Cと光論理素子23の信号光入力ポート6Bとの間は光導波路27−6によって接続されている。光導波路25−3は光論理素子23のバイアス光入力ポート6Dと接続されている。
光源2bは、強度1の連続光を光導波路24−1〜24−8に入力する。このとき、光源2bは、全ての光導波路24−1〜24−8に同相の連続光を入力する。光導波路24−1〜24−8には、8ビット入力デジタル電気信号の各ビットを入力とする移相器12−1〜12−8が設けられている。こうして、第3、第4の実施例と同様に位相ビットを生成することができる。
また、光源2bは、光導波路24−1〜24−8に入力する信号光生成用の連続光と同一波長で1/2の強度の連続光をバイアス光として光導波路25−1,25−2,25−4,25−5に入力し、信号光生成用の連続光と同一波長で9/4の強度の連続光をバイアス光として光導波路25−3に入力する。
本実施例の8ビット入力AND回路の動作の流れは次のとおりである。
(1)光源2bから各光導波路24−1〜24−8,25−1〜25−5に上記の強度で連続レーザ光を入力する(演算中は定常的に入力)。
(2)8ビット入力デジタル電気信号の各ビットを移相器12−1〜12−8にパラレル入力する。
(3)各光論理素子21−1〜21−6,22−1〜22−4,23で光アナログ演算を実施する。
(4)光論理素子23の出力信号光を光検出器4で光電変換する。
(5)光検出器4から出力されたアナログ電気信号をしきい値処理器5でしきい値処理してデジタル電気信号に変換する。
光論理素子21−1〜21−4は、それぞれ信号光入力ポート6A,6Bに入力された位相ビットを合流して光出力ポート6Cに出力する。
光論理素子22−1〜22−4は、それぞれ光論理素子21−1〜21−4から出力され信号光入力ポート6Aに入力された光と信号光入力ポート6Bに入力されたバイアス光とを合流して光出力ポート6Cに出力する。
光論理素子21−5は、光論理素子22−1,22−2から出力され信号光入力ポート6A,6Bに入力された光を合流して光出力ポート6Cに出力する。光論理素子21−6は、光論理素子22−3,22−4から出力され信号光入力ポート6A,6Bに入力された光を合流して光出力ポート6Cに出力する。
光論理素子23は、光論理素子21−5,21−6から出力され信号光入力ポート6A,6Bに入力された光を振幅ビットとしてAND演算を行う。
本実施例の場合、光論理素子21−1〜21−4の信号光入力ポート6Aの位相ビットと信号光入力ポート6Bの位相ビットとの合流比、光論理素子22−1〜22−4の信号光入力ポート6Aの位相ビットと信号光入力ポート6Bのバイアス光との合流比、および光論理素子21−5,21−6の信号光入力ポート6Aの位相ビットと信号光入力ポート6Bの位相ビットとの合流比は、全て1:1である。また、光論理素子21−1〜21−4,22−1〜22−4の信号光強度とバイアス光強度の比は2:1が最適である。
第3、第4の実施例と同様に、終段の光論理素子23の信号光入力ポート6Aの振幅ビットとバイアス光入力ポート6Dのバイアス光と信号光入力ポート6Bの振幅ビットとの合流比を2:1:2とすると、光演算による損失を最小化できる。8(=2N)ビットのAND回路を構成する場合、連続光の強度を1とするとき、終段の光論理素子のバイアス光入力ポート6Dに入力するバイアス光の相対光強度Pbias_Nは、(2N-1−1)2/2N-1となる。したがって、上記の例では、光論理素子23に入力するバイアス光の相対光強度を9/4としている。
なお、本実施例では、8ビット入力AND回路を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、初段の光論理素子を入力ビット数に応じた個数(2N/2)だけ設け、段数Nを増やす(光論理素子21−5,21−6の段数を増やす)ようにすれば、より多ビットのAND回路を実現できることは言うまでもない。
[第6の実施例]
次に、本発明の第6の実施例について説明する。本実施例は、第1〜第5の実施例で用いた光論理素子1−1〜1−7,13−1〜13−4,14−1,14−2,15,21−1〜21−6,22−1〜22−4,23の具体的な構成を説明するものである。図6は本実施例の光論理素子の構成を示す斜視図、図7は本実施例の光論理素子の構成を示す平面図である。
光論理素子100は、図6に示すように、第1の誘電体材料からなる基板101と、この基板101の一の面101a上に形成され、第1の誘電体材料より高い屈折率を有する第2の誘電体材料からなる光導波路102、光導波路103、光導波路104、光導波路105(バイアス光入力ポート6D)とを備える。
基板101を構成する第1の誘電体としては、例えば、石英等のシリカ(SiO2)が挙げられる。
また、光導波路102〜105を構成する第2の誘電体は、例えば、シリコン(Si)である。シリカの屈折率は、通信波長帯(例えば波長1.5μm)で1.4であるのに対し、シリコン(Si)の屈折率は、3.5である。したがって、光導波路102〜105をシリコンから構成した場合、基板および空気がクラッドとして作用して、光導波路102〜105内に光が閉じ込められる。
また、光導波路102〜105を基板101の一の面101a上に形成することによって、光論理素子100は平面光導波路上に構成されている。
図6、図7に示すように、本実施例に係る光論理素子100において、光導波路102と光導波路103と光導波路104とは、それぞれの一端が互いに接続されて、Y分岐光導波路を構成している。光導波路102および光導波路103は、それぞれ信号光入力用の光導波路であり、1組の信号光入力ポート(第1〜第5の実施例の信号光入力ポート6A,6B)として作用する。また、光導波路104は、信号光出力用の光導波路であり、光出力ポート(第1〜第5の実施例の光出力ポート6C)として作用する。
本実施例において、信号光入力ポートとなる光導波路102と光導波路103とは、光出力ポートとなる光導波路104の延長線に対して対称に配置されている。
一方、光導波路105は、バイアス光入力用の光導波路であり、バイアス光入力ポート(第1〜第5の実施例のバイアス光入力ポート6D)として作用する。
バイアス光入力ポートとなる光導波路105は、光導波路102と光導波路103との間に配置されている。より具体的には、光導波路105は、光導波路104の延長線上に配置されている。
光導波路105のY分岐光導波路に近い方の一端は、平面視でテーパー状に形成されている。このテーパー状に形成された光導波路105の一端を「テーパー部105a」とよぶ。このテーパー部105aは、Y分岐光導波路の光導波路102と光導波路103とに空隙を隔てて近接して配置されている。その結果、光導波路102および光導波路103と光導波路105とが互いに光学的に結合する。
このような光論理素子100においては、信号光入力ポートである光導波路102と光導波路103をそれぞれ伝播してきた入力信号光が、光導波路105を伝播してきたバイアス光と干渉して、光出力ポートとなる光導波路104から出力光が出力される。
本実施例に係る光論理素子100の構造は、図6、図7に示すように、各導波路の幅(導波路幅)W、導波路の高さhH、バイアス光入力用の光導波路105のテーパー部105aの長さ(テーパ長さ)Ltaper、Y分岐光導波路とテーパー部とのギャップ幅(テーパ導波路間ギャップ幅)g、光導波路102と光導波路103とがなす角(Y分岐角度)αによって表すこととする。
上記の各構造パラメータの範囲として、例えばW=0.1〜2.0μm、hH=0.1〜2.0μm、Ltaper=0.1〜20μm、g=0〜1.0μm、α=5〜60°を想定している。構造パラメータの値は、光導波路を構成する材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、光導波路105のテーパー部105aとY分岐光導波路を構成する光導波路102および光導波路103とが互いに接触(オーバラップ)するようなパラメータの組み合わせもあり得る。
上述した光論理素子は、次のような工程によって製造することができる。すなわち、シリカ等からなる基板を用意し、その位置の面上にシリコン(Si)の層を成長させる。シリコン層の成長にはCVD等の方法を用いればよい。
次に、フォトリソグラフィ技術により、シリコン層の表面に塗布した感光材を、例えば図7に示すような所定のパターンにパターンニングした後、シリコン層をエッチングすれば、図6に示すような光導波路を得ることができる。
本実施例の光論理素子100を論理演算に用いる際には、1組の入力信号光の位相は互いに同相とする。すなわち、2つの光入力ポートに入力される1組の入力信号光は、光出力ポートからの出力光を強めるように互いに位相が調整されている。
また、バイアス光の位相は、信号光に対して逆相とする。すなわち、バイアス光は、各信号光入力ポートに入力された2つの入力信号光に対して、光出力ポートからの出力光を弱めるように互いに位相が調整されている。
光導波路102の長さと光導波路103の長さとが互いに等しければ、2つの信号光入力ポートに入力される入力信号光は、光導波路102と光導波路103との連結点、すなわちY分岐光導波路の分岐点で同相となる。
本実施例において出力光の高いバイナリコントラストを得るためには、次の条件を満たす必要がある。
(1)Y分岐のような信号光の信号光入力ポート(すなわち、光導波路102および光導波路103)が光出力ポート(光導波路104)の方向に対して左右対称に導入されていること。
(2)バイアス光入力ポートがあること。
(3)バイアス光強度Pbiasの調整が可能であること。
第1〜第5の実施例で説明したとおり、バイアス光の強度Pbiasを調整することで、光論理素子100の合流比を設定することができる。
以上のように、本実施例によれば、光論理素子100を、第1〜第5の実施例で説明した光論理素子1−1〜1−7,13−1〜13−4,15,23として用いることができる。また、基板101と光導波路102〜104とからなる構造のY分岐光導波路を、光論理素子14−1,14−2,21−1〜21−6,22−1〜22−4として用いることができる。
本実施例によれば、非線形光学における問題を避けるために、線形光学素子を利用して、高いバイナリコントラストを広い波長帯域で実現することが可能である。また、線形光学にのみ基づいて動作するので、大きな入力強度を必要とせず、性能が入力強度無依存であるため、究極的には光子レベルでも大幅な省電力化が期待できる。
さらには、光論理演算による信号強度の減少、すなわち挿入損失を最低限に抑制し、場合によっては、バイナリコントラストを維持した状態で0.2〜0.3dB程度の利得を持ち、1以上の出力強度が出る。すなわち、入力された信号光を増幅することができるので、信号判別のために必要な後段での非線形光学による補償処理を最小限に抑えることができる。また、増幅を伴う線形光論理演算と僅かな非線形光学効果の組み合わせで、さらなる高性能化が期待できる。
また、同一素子において、光学的な調整、具体的には、バイアス光の強度を調整することにより、論理演算機能を変更することができる。これにより光回路作製後でも回路に予め導入してある調整機構で回路構成を柔軟かつ高速に変更できる。
また、本実施例に係る光論理素子100によれば、実際に光干渉が起こる領域の素子長は2μm前後となるため、光信号のパス時間は0.02ps程度と極めて短くなる。これは、従来の光スイッチと比較して少なくとも100分の1以上短尺であるため、光パス素子回路全体のパス時間を大幅に短縮し、ごく低遅延な光演算の実現に貢献することができる。
また、本実施例では、広帯域動作が可能となるので、単一素子による波長分割多重演算が可能となる。また、誘電体材料のみで構成できるので、付加損失の抑制と作製の容易化を図ることができる。また、素子をオンチップ化し、さらに短尺化することができる。これらは低演算遅延な光演算応用に重要である。
さらに、誘電体材料のみで構成されており、作製が簡易で光通信波長帯であれば移相器や強度変調器が一括集積可能なCMOSファウンダリが利用可能である。
また、オンチップ集積が可能であり、複数の素子間を十分に短い光導波路で接続できる。これにより上記の低演算遅延を維持したまま様々な機能性を創出しうる。
[第7の実施例]
次に、本発明の第7の実施例について説明する。本実施例は光論理素子の別の具体例を説明するものである。図8は本実施例の光論理素子の構成を示す斜視図、図9は本実施例の光論理素子の構成を示す平面図である。
本実施例に係る光論理素子200は、図8に示すように、シリカ(SiO2)等の第1の誘電体材料からなる基板201と、この基板201の一の面201a上に形成され、シリコン(Si)等、第1の誘電体材料より高い屈折率を有する第2の誘電体材料からなる光導波路202、光導波路203、光導波路204、光導波路205とを備える。ここで光導波路202および光導波路203は、信号光入力ポート(第1〜第5の実施例の信号光入力ポート6A,6B)として作用し、光導波路204は光出力ポート(第1〜第5の実施例の光出力ポート6C)として作用し、光導波路205はバイアス光入力ポート(第1〜第5の実施例のバイアス光入力ポート6D)として作用する。
図8、図9に示すように、本実施例に係る光論理素子200においては、信号光入力ポートとして作用する光導波路202と光導波路203との間に、バイアス光入力ポートとして作用する光導波路205が配置されている。また、本実施例においては、光導波路202と光導波路203とは、平面視で光導波路205に対して互いに対称となるように配置されている。
また、光導波路205と光出力ポートとして作用する光導波路204とは、その一端において互いに接続されている。
信号光入力ポートである光導波路202および光導波路203は、それぞれバイアス光入力ポートである光導波路205と結合する結合部202a,203aを有する。すなわち、結合部202a,203aは、それぞれ光導波路204と間隔gDCを隔てて平行に配置された、光導波路202と光導波路203の先端部近傍の長さLDC分の部分である。このように光導波路202と光導波路203とがそれぞれ結合部202a,203aを備えることによって、光導波路202および光導波路203と光導波路205とは、互いに結合可能な程度に離間して、方向性結合器を形成している。結合部202a、203aの長さLDCは、3dB結合長の90%程度とすることが望ましい。
こうして、本実施例によれば、光論理素子200を、第1〜第5の実施例で説明した光論理素子1−1〜1−7,13−1〜13−4,15,23として用いることができる。
[第8の実施例]
次に本発明の第8の実施例について説明する。本実施例は光論理素子の別の具体例を説明するものである。図10は本実施例の光論理素子の構成を示す斜視図、図11は本実施例の光論理素子の構成を示す平面図である。
本実施例に係る光論理素子300は、図10に示すように、シリカ(SiO2)等の第1の誘電体材料からなる基板301と、この基板301の一の面301a上に形成され、シリコン(Si)等、第1の誘電体材料より高い屈折率を有する第2の誘電体材料からなる光導波路302、光導波路303、光導波路304、光導波路305とを備える。ここで、光導波路302および光導波路303は、1組の信号光入力ポート(第1〜第5の実施例の信号光入力ポート6A,6B)として作用し、光導波路304は光出力ポート(第1〜第5の実施例の光出力ポート6C)として作用する。また、光導波路305は、バイアス光入力ポート(第1〜第5の実施例のバイアス光入力ポート6D)として作用する。
本実施例に係る光論理素子300において、信号光入力ポートとして作用する光導波路302および光導波路303と、光出力ポートとして作用する光導波路304とは、第6の実施例に係る光論理素子100と同様に、それぞれの一端が互いに接続されて、Y分岐光導波路を構成している。光導波路302と光導波路303とがなす角(Y分岐角度)をβによって表すこととする。
図10、図11に示すように、本実施例に係る光論理素子300において、バイアス光入力ポートである光導波路305は、Y分岐光導波路を構成する光導波路304と結合する結合部305aを有する。すなわち、結合部305aは、光導波路304と間隔gDCを隔てて平行に配置された、光導波路305の先端部近傍の長さLDC分の部分である。このように光導波路305が結合部305aを備えることによって、光導波路304と光導波路305とは、互いに結合可能な程度に離間して、方向性結合器を形成している。本実施例では、Y分岐で信号光を干渉させた後に方向性結合器でバイアス光と干渉させる。つまり3波の干渉を2回に分けている。
こうして、本実施例によれば、光論理素子300を、第1〜第5の実施例で説明した光論理素子1−1〜1−7,13−1〜13−4,15,23として用いることができる。
本発明は、光論理回路に適用することができる。
1−1〜1−7,13−1〜13−4,14−1,14−2,15,21−1〜21−6,22−1〜22−4,23,100,200,300…光論理素子、2,2a,2b…光源、3−1〜3−8…強度変調器、4…光検出器、5…しきい値処理器、6A,6B…信号光入力ポート、6C…光出力ポート、6D…バイアス光入力ポート、7−1〜7−8,8−1〜8−7,9−1〜9−6,16−1〜16−8,17−1〜17−5,18−1〜18−6,24−1〜24−8,25−1〜25−5と、26−1〜26−4と、27−1〜27−6,102〜105,202〜205,302〜305…光導波路、10−1〜10−14,20−1〜20−4…較正用移相器、11−1〜11−7,19−1〜19−13…校正用強度変調器、12−1〜12−8…移相器、101,201,301…基板。

Claims (7)

  1. 3入力1出力の複数の光論理素子を縦続接続し、
    初段の前記光論理素子は、異なる振幅に0,1の値を割り当てた振幅ビットの信号光2つとバイアス光とを入力とし、
    初段以外の前記光論理素子は、直前の2つの光論理素子の出力光と前記バイアス光とを入力とし、
    終段の1つの前記光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることを特徴とする光論理回路。
  2. 初段に配置された3入力1出力の複数の第1の光論理素子と、初段と終段とを除く箇所に配置された2入力1出力の第2の光論理素子と、終段に配置された3入力1出力の第3の光論理素子とを縦続接続し、
    前記第1の光論理素子は、異なる位相に0,1の値を割り当てた位相ビットの信号光2つとバイアス光とを入力とし、
    前記第2の光論理素子は、直前の2つの第1の光論理素子の出力光または直前の2つの第2の光論理素子の出力光を入力とし、
    前記第3の光論理素子は、直前の2つの第2の光論理素子の出力光と前記バイアス光とを入力とし、
    前記第3の光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることを特徴とする光論理回路。
  3. 初段に配置された2入力1出力の複数の第1の光論理素子と、2段目に配置された2入力1出力の第2の光論理素子と、初段と2段目と終段とを除く箇所に配置された2入力1出力の第3の光論理素子と、終段に配置された3入力1出力の第4の光論理素子とを縦続接続し、
    前記第1の光論理素子は、異なる位相に0,1の値を割り当てた位相ビットの信号光2つを入力とし、
    前記第2の光論理素子は、前記第1の光論理素子の出力光1つとバイアス光とを入力とし、
    前記第3の光論理素子は、直前の2つの第2の光論理素子の出力光または直前の2つの第3の光論理素子の出力光を入力とし、
    前記第4の光論理素子は、直前の2つの第3の光論理素子の出力光と前記バイアス光とを入力とし、
    前記第4の光論理素子に合流して得られた出力光を演算結果とすることを特徴とする光論理回路。
  4. 請求項記載の光論理回路において、
    各光論理素子に入力される2つの信号光のうち一方の位相を調整可能な第1の移相器と、
    各光論理素子に入力されるバイアス光の位相を調整可能な第2の移相器と、
    各光論理素子に入力されるバイアス光の強度を調整可能な強度変調器とをさらに備えることを特徴とする光論理回路。
  5. 請求項記載の光論理回路において、
    前記第1の光論理素子に入力される2つの信号光の強度を調整可能な第1の強度変調器と、
    前記第2、第3の光論理素子に入力される2つの信号光のうち一方の位相を調整可能な第1の移相器と、
    前記第1、第3の光論理素子に入力されるバイアス光の強度を調整可能な第2の強度変調器と、
    前記第3の光論理素子に入力されるバイアス光の位相を調整可能な第2の移相器とをさらに備えることを特徴とする光論理回路。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の光論理回路において、
    終段に配置された前記光論理素子の出力光を光電変換する光検出器と、
    この光検出器から出力されたアナログ電気信号をしきい値処理してデジタル電気信号に変換するしきい値処理器とをさらに備えることを特徴とする光論理回路。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の光論理回路において、
    複数の前記バイアス光の強度を個別に設定可能な光源をさらに備えることを特徴とする光論理回路。
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