(第1の実施形態)
本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1に示す手編み具1Aは、短尺棒状の複数の第1ベース部材10及び第2ベース部材20と、略コ字状の2つの第3ベース部材30が連結されてベース50が形成されている。従って、ベース50は、長辺部51及び短辺部52の内側に開口部54が形成された平面視長矩形状とされている。そして、ベース50の上面からは、複数のピン部材40が立設されている。ピン部材40は、軸部42と、この軸部42の上端に形成される膨出部44を有する。
図2には他の形態の手編み具1Bを示す。この手編み具1Bは、第1ベース部材10及び第2ベース部材20により平面視円形のベース60とされている。従って、ベース60の内側には開口部64が形成されている。そして、このベース60の上面からは、複数のピン部材40が立設されている。
図3には、さらに他の形態の手編み具1Cを示す。この手編み具1Cは、2個の第3ベース部材30を組み合わせて平面視四角形状のベース70が形成されている。このベース70の上面からは、複数のピン部材40が立設されている。
これらの手編み具1A,1B,1Cは、ピン部材40に順次毛糸等の糸を1回ずつ巻いて、この巻いた糸の一部を外側から内側にピン部材40の膨出部44の上端を越すように返すことにより編込みができるものである。そして、ピン部材40に糸を巻きつける順序を種々変更することにより、編み目を種々変更することができる。さらに、形状や大きさの異なるベース50,60,70を利用することにより、大きさの異なる帽子やマフラー等の編み物を作成することができる。
次に、図4に基づいて、第1ベース部材10について説明する。短尺棒状に形成される第1ベース部材10は、図4(a)に示すように、両端部11が平面視凸円弧状とされる短尺の平板状に形成されている。従って、上面12a及び下面12bは略平坦に形成されている。そして、図4(b)に示すように、第1ベース部材10の両端部11は、それぞれ正面視において二股状に形成されている。ここで、両端部11の上側の二股上片13a1の上面は、第1ベース部材10の上面12aと連続した面である。同様に、下側の二股下片13a2の下面は、第1ベース部材10の下面12bと連続した面である。
第1ベース部材10は、各両端部11にそれぞれ上下方向に開けられた孔である第1共通孔部14が形成されている。第1共通孔部14は、ピン部材40の軸部42が挿入可能に形成されている。すなわち、第1共通孔部14は、軸部42の外径よりも若干大きい径で開けられた孔であり、ピン部材40の軸部42が回動自在な程度の孔径とされている。第1共通孔部14は、二股上片13a1に開けられた上孔14aと、二股下片13a2に開けられた下孔14bとで構成される。上孔14aは、二股上片13a1を貫通している。下孔14bは、二股下片13a2を貫通せず、孔底部14b1が形成された非貫通孔とされている。なお、上孔14aと下孔14bとは同一径である。
第1ベース部材10の長手方向中間位置には、上下方向に開けられた孔である第1孔部15が設けられている。第1孔部15は、孔底部15aが形成された非貫通孔とされている。そして、第1孔部15には、図4(a)の平面視において孔の中心に向けて三角形状に突出される係合凸部15bが形成されている。係合凸部15bは、第1孔部15の開口面(すなわち上面12a)から孔底部15aに渡って連続して形成されている。係合凸部15bは、組み立て時に外側となる側(図4(a)の下側)に配置されている。
図4(c)に示すように、二股状に形成される両端部11における二股上片13a1と二股下片13a2間における両者の基部である二股間壁13bは、平面視凹円弧状に形成されている。二股間壁13bには、それぞれ第1係合凹部16a,第2係合凹部16b,第3係合凹部16cの3つの連結係合凹部16が設けられている。連結係合凹部16は、二股間壁13bにおける上下方向に渡ってV溝状に形成されている。第1係合凹部16aは、二股間壁13bの平面視円弧状の中間位置に設けられている。第2係合凹部16b及び第3係合凹部16cは、二股間壁13bの一方側(図4(c)における下側)に寄せて互いに隣接して設けられている。さらに、二股間壁13bの一方側の端部(図4(c)における下側の端部)は、平坦な段状の当接端部13cが形成されている。二股間壁13bにおける他方側(図4(c)における上側)の端部には、段部13dが形成されている。
第1ベース部材10における第1孔部15の長手方向両側には、空間部17が形成されている。空間部17は、下面12bから上方に向けて形成される非貫通の空間である。空間部17は、樹脂材料の射出成形により第1ベース部材10を成形した場合における、いわゆる肉盗みである。
第1ベース部材10の上面12a上には、両端部11の端部に三角形状の回動位置マーク18が設けられている。回動位置マーク18は、2つの第1共通孔部14の中心を結ぶ線上に配置され、頂部が外側に向けられている。また、2つの第1共通孔部14と第1孔部15間には、それぞれ設置マーク19が設けられている。設置マーク19は、いわゆる四つ葉のクローバーを模した形状に形成されている。設置マーク19は、係合凸部15bと反対側の第1ベース部材10における長手方向の縁(図4(a)においては上側の縁)近傍に配置されている。
次に、図5に基づいて、第2ベース部材20について説明する。短尺棒状に形成される第2ベース部材20は、図5(a)の平面図における両端部21aが平面視凸円弧状とされる短尺の平板状に形成されている。両端部21aは、両端部21a間の中央部分21bよりも肉薄とされている。両端部21aの厚みは、前述の第1ベース部材10の二股間(すなわち、二股上片13a1と二股下片13a2との間)に挿入可能な厚みとされている。
両端部21aには、それぞれ、貫通孔とされる第2共通孔部24が設けられている。第2共通孔部24には、それぞれ係合凸部24aが設けられている。係合凸部24aは、それぞれ平面視三角状の突起が頂部を第2共通孔部24の中心に向けて、第2共通孔部24の上端から下端に渡って形成されている。
各両端部21aの外方端の平面視における中央位置には、それぞれ連結係合凸部21a1が設けられている。各連結係合凸部21a1は、各両端部21aの上面から下面に渡って形成されている。各第2共通孔部24と各連結係合凸部21a1との間には、貫通孔とされる円弧状孔21a2がそれぞれ設けられている。従って、各連結係合凸部21a1は、各連結係合凸部21a1の基部とされる円弧状基部21a3により支持される。第2ベース部材20は、樹脂材料により成形されるので、この円弧状基部21a3により、各連結係合凸部21a1は弾発される。
また、円弧状基部21a3の一方側(すなわち、図5(c)の下側)の端部には、段状に略平坦な当接端部21a4が形成されている。さらに、各両端部21aと中央部分21bとの接続部は、それぞれ上下方向に平面視円弧状の基端壁23が各両端部21aの上側と下側に形成されている。各基端壁23の両端は、それぞれ段部23aが形成されている。
第2ベース部材20の長手方向中央には、第2共通孔部24と同径の第2孔部25が設けられている。第2孔部25は、非貫通孔とされて孔底部25bが形成されている。さらに、第2孔部25は、第2共通孔部24の係合凸部24aと同様に、上面22aから孔底部25bに渡って頂部を孔の中心に向けた三角形状の係合凸部25aが形成されている。
この第2孔部25及び2つの第2共通孔部24は、いずれも同径・同形状とされている。第2孔部25及び2つの第2共通孔部24の係合凸部24a,25aの配置位置も、組み立て時に外側となる第2ベース部材20の一方側(図5(a)の下側)で揃えられている。そして、第2孔部25及び2つの第2共通孔部24は、それぞれピン部材40の軸部42の外径よりも若干大きな径とされて、この軸部42が挿入可能とされている。
また、第2ベース部材20の中央部分21bの下面22bから上方に向けて、非貫通とされる空間部27が第2孔部25の長手方向両側にそれぞれ形成されている。空間部27は、第2ベース部材20の樹脂材料による射出成形における、いわゆる肉盗みとされている。
また、第2ベース部材20の中央部分21bの上面22aには、2つの第2共通孔部24及び第2孔部25の中心を結ぶ線上の、第2孔部25の両側にそれぞれ位置するように、三角形状の第1マーク26aが配置されている。そして、各第1マーク26aよりも一方側(図5(a)における下側)には、第2マーク26b及び第3マーク26cがそれぞれ隣接して配置されている。さらに、各第2マーク26bの第2孔部25側には、各第2マーク26bに対応して大円マーク26b1がそれぞれ設けられている。同様に、各第3マーク26cに対応して小円マーク26c1がそれぞれ設けられている。さらに、係合凸部24aと反対側における第2ベース部材20の長手方向の縁部近傍の上面22aには、四つ葉のクローバーを模した設置マーク29が、第2孔部25の両側2箇所に配置されている。
次に、図6に基づいて、第3ベース部材30について説明する。第3ベース部材30は、外形が平面視略コ字状とされる平板状に形成されている。第3ベース部材30の2箇所の突端部31a,31bは、それぞれ図6(a)の平面視において凸円弧状とされている。図6(a)の左側における一方の突端部31aは、上下に分かれるように二股状に形成されている。一方の突端部31aの二股状における上側の二股上片31a1は、上側の面が本体部31gの上面32aと連続する面を備える。下側の二股下片31a2は、下側の面が本体部31gの下面32bと連続する面を備える。突端部31aの二股上片31a1及び二股下片31a2における平面視凸円弧状の両端には、それぞれ段部31cが形成されている。
二股上片31a1と二股下片31a2が接続される基部間において形成される二股間壁31dは、図6(c)に示すように平面視凹円弧状とされている。二股間壁31dの中央には、上下方向にV溝状に係合凹部31eが形成されている。また、二股間壁31dの平面視凹円弧状の両端部には段部31fが形成されている。
また、一方の突端部31aには、一方第3共通孔部34が設けられている。一方第3共通孔部34は、二股上片31a1を貫通する上孔34aと、二股下片31a2に孔底部34b1を備えて非貫通孔とされる下孔34bとで形成されている。一方第3共通孔部34は、ピン部材40の軸部42が挿入可能なように、軸部42の外径よりも若干大きい径で形成されている。
他方の突端部31bは、本体部31gよりも薄肉の平板状に形成されている。突端部31bの平面視凸円弧状の両端は段部31hが形成されている。さらに、平板状の他方の突端部31bの基部は、本体部31gとの接続部が平面視凹円弧状の基端壁31jとして、突端部31bの上側と下側のそれぞれに形成されている。上下の基端壁31jの両端は、それぞれ段部31kが形成されている。
ここで、一方の突端部31aの二股状とされる二股上片31a1と二股下片31a2間は、他の第3ベース部材30における平板状の他方の突端部31bが挿入可能に形成されている。さらに、二股上片31a1と二股下片32a2の間隔は、図4に示す第1ベース部材10の両端部11における二股上片13a1と二股下片13a2と同じである。また、第3ベース部材30の他方の突端部31bの厚みと、図5に示す両端部21aの厚みは同じである。従って、第3ベース部材30の一方の突端部31aは、他の第3ベース部材30の他方の突端部31bや第2ベース部材20の両端部21aと組み合わせることができる。同様に、第3ベース部材30の他方の突端部31bは、第1ベース部材10の両端部11と組み合わせることができる。
他方の突端部31bには、他方第3共通孔部35が形成されている。他方第3共通孔部35には、三角形状の係合凸部35aが頂部を孔の中心に向けて設けられている。係合凸部35aは、他方第3共通孔部35の上端から下方端に渡って形成されている。他方第3共通孔部35は、ピン部材40の軸部42が挿入可能な程度の径で形成されている。
また、平面視コ字状に形成される第3ベース部材30が屈曲される2箇所の角部には、第3孔部36a,36bが形成されている。さらにまた、2つの第3孔部36a,36b間にも第3孔部36cが形成されている。各第3孔部36a,36b,36cとされる第3孔部36には、それぞれ係合凸部36a1,36b1,36c1が形成されている。第3孔部36は、ピン部材40の軸部42が挿入可能な程度の径とされている。
また、第3ベース部材30の本体部31gの上面32aには、四つ葉のクローバーを模した編み始めマーク38及び設置マーク39が設けられている。編み始めマーク38及び設置マーク39は、それぞれ第3ベース部材30の内縁近傍に配置されるように、それぞれ係合凸部35a,36a1,36c1,36b1の反対側に配置される。係合凸部35a,36a1,36c1,36b1は、第3ベース部材30の外側に配置されている。
さらに、樹脂材料による射出成形で形成される第3ベース部材30の本体部31gにおける第3孔部36の周囲には、4箇所の空間部37がいわゆる肉盗みとして設けられている。空間部37は、非貫通の空間として形成されている。
このように形成される第3ベース部材30は、図3に示すように、2つの第3ベース部材30を組み合わせることにより、小さい四角形状のベース70を形成することができる。
次に、図7により、ピン部材40を説明する。ピン部材40は、軸部42と、この軸部42の上端に膨出して形成される膨出部44とにより形成されている。軸部42は、横断面略十字状に形成されている。従って、軸部42には、軸方向に沿って溝部42aが4本形成される。また、膨出部44は、平面視において、いわゆる四つ葉のクローバーを模した形状とされている。これにより、第1ベース部材10、第2ベース部材20及び第3ベース部材30の設置マーク19,29,39や編み始めマーク38とともに、統一感のあるデザインが提供されるので、手編み具1A,1B,1Cの美感を向上させることができる。なお、膨出部44に対する軸部42の軸周りの配置は、溝部42aと膨出部44の谷線44aが合うようにされている。
ピン部材40を図4に示す第1ベース部材10の第1孔部15に挿入する場合には、軸部42の何れかの溝部42aと第1孔部15の係合凸部15bとを係合させる。そして、軸部42の下端は第1孔部15の孔底部15aと当接させる。すると、ピン部材40は、第1孔部15に対して軸心回りに固定される。同様に、図5に示す第2ベース部材20の第2孔部25及び図6に示す第3ベース部材30の第3孔部36a,36b,36cにピン部材40を挿入する場合も、何れかの溝部42aと係合凸部25a,36a1,36b1,36c1が係合される。このように、ピン部材40の軸部42の溝部42aと各係合凸部15b,24a,25a,36a1,36b1,36c1とで係合部が構成される。
また、このピン部材40は、図4の第1ベース部材10と図5の第2ベース部材20が組み合わされて、第1共通孔部14と第2共通孔部24が同心とされた孔に挿入することができる。この場合、ピン部材40の軸部42の溝部42aと、第2共通孔部24の係合凸部24aとを係合させる。そして、軸部42の下端は、第1共通孔部14(下孔14b)の孔底部14b1に当接させる。すると、第1ベース部材10と第2ベース部材20は、第1共通孔部14と第2共通孔部24に共通して挿入されるピン部材40の軸部42を軸中心として相対的に回動可能に連結されることとなる。
第1ベース部材10と第2ベース部材20の相対的な回動の様子は図8(a)〜(c)に示される。図8(a)は、第2ベース部材20の一方の両端部21aの連結係合凸部21a1が、第1ベース部材10の他方の両端部11の第1係合凹部16aと係合している場合を示す。この場合、第1ベース部材10と第2ベース部材20は直線状に並んで連結される。
第1ベース部材10と第2ベース部材20を直線状に連結し、さらに第3ベース部材30の一方の突端部31aと第2ベース部材20の両端部21aの一つとを連結し、第3ベース部材30の他方の突端部31bと第1ベース部材10の両端部11の一つとを連結すると、図1に示す形態のベース50とすることができる。なお、ベース50は、第1ベース部材10が6個、第2ベース部材20が6個、第3ベース部材30が2個用いられている。
ここで、図9に示すように、第3ベース部材30の一方の突端部31aと第2ベース部材20の両端部21aの一つとの連結は、同心とされた第3ベース部材30の一方第3共通孔部34と第2ベース部材20の第2共通孔部24にピン部材40の軸部42が挿入されることにより行われる。このとき、ピン部材40の軸部42の溝部42aと、第2共通孔部24の係合凸部24aとが係合し、軸部42の下端は孔底部34b1に当接する。従って、第2共通孔部24と一方第3共通孔部34に共通して挿入されるピン部材40は、軸心回りに固定される。なお、第3ベース部材30と第2ベース部材20の連結時には、第2ベース部材20の両端部21aの連結係合凸部21a1が第3ベース部材30の係合凹部31eと係合し、当接端部21a4と段部31fが当接されるので、第2ベース部材20の第3ベース部材30に対する回動は規制される。
同様に、第3ベース部材30の他方の突端部31bと第1ベース部材10の両端部11の一つとの連結は、同心とされた第3ベース部材30の他方第3共通孔部35と第1ベース部材10の第1共通孔部14にピン部材40の軸部42が挿入されることにより行われる。このとき、ピン部材40の軸部42の溝部42aと、他方第3共通孔部35の係合凸部35aが係合し、軸部42の下端は孔底部14b1に当接される。従って、第1共通孔部14と他方第3共通孔部35に共通して挿入されるピン部材40は、軸心回りに固定される。またこのとき、第3ベース部材30の段部31hと第1ベース部材10の当接端部13cが当接する。従って、第3ベース部材30に対して第1ベース部材10の回動は規制される。
なお、図1のようにベース50を形成した場合には、第1ベース部材10の回動位置マーク18は、第2ベース部材20の第1マーク26aに合わせられる。また、第1ベース部材10、第2ベース部材20、第3ベース部材30それぞれの設置マーク19,29,39を内側に向くように各部材を設置して連結すれば、各部材を正しく組み合わせることができる。
また、図8(b)及び図8(c)に示すように、第1ベース部材10と第2ベース部材20は、ピン部材40の軸部42を中心として(換言すれば、組み合わされた第1共通孔部14と第2共通孔部24を軸中心として)相対的に回動することができる。図8(b)に示す状態においては、連結係合凸部21a1と第3係合凹部16cとが係合し、第1ベース部材10と第2ベース部材20は約30度の角度で連結された状態となる。このようにして第1ベース部材10と第2ベース部材20を連結すれば、図2及び図10(a)で示す小さい円形のベース60とすることができる。
このとき、第1ベース部材10の回動位置マーク18は、第2ベース部材20の第3マーク26cに合わせられる。従って、組み立て途中においても、第3マーク26cに対応して設けられる小円マーク26c1によって、視覚的に第1ベース部材10と第2ベース部材20の連結状態を容易に把握することができる。
一方、図8(c)に示す状態においては、連結係合凸部21a1と第2係合凹部16bとが係合し、第1ベース部材10と第2ベース部材20は約20度の角度で連結された状態となる。この場合、図10(b)に示す大きい円形のベース60Aとすることができる。このとき、第1ベース部材10の回動位置マーク18は、第2ベース部材20の第2マーク26bに合わせられる。従って、大円マーク26b1とともに、第1ベース部材10と第2ベース部材20の連結状態を容易に把握することができる。
なお、図10(a)における小さい円形のベース60においては、第1ベース部材10は6個、第2ベース部材20は6個用いられる。図10(b)における大きい円形のベース60においては、第1ベース部材10が9個、第2ベース部材20が9個用いられる。
なお、図8(a)に示すように、第1ベース部材10と第2ベース部材20の相対的な回動の回動方向は、第1ベース部材10の当接端部13cと第2ベース部材20の当接端部21a4の当接により、一方向だけに回転するよう規制される。
このように、連結係合凹部16(第1係合凹部16a、第2係合凹部16b、第3係合凹部16c)と、連結係合凸部21a1とで構成される連結係合部は、第1ベース部材10と第2ベース部材20の相対的な回動により嵌脱されるので、両者の回動位置を容易に決めることができる。特に、連結係合凸部21a1は、円弧状基部21a3により弾発支持されるので、連結係合凹部16との係合時にクリック感を生じさせるので、使用者は容易に第1ベース部材10と第2ベース部材20の回動位置を把握することができる。
(第2の実施形態)
次に、図11に基づいて、第1ベース部材210について説明する。短尺棒状に形成される第1ベース部材210は、図11(a)に示すように、両端部211が平面視凸円弧状とされる短尺の平板状に形成されている。従って、上面212a及び下面212bは略平坦に形成されている。そして、図11(b)に示すように、第1ベース部材210の両端部211は、それぞれ正面視において二股状に形成されている。ここで、両端部211の上側の二股上片213a1の上面は、第1ベース部材210の上面212aと連続した面である。同様に、下側の二股下片213a2の下面は、第1ベース部材210の下面212bと連続した面である。
第1ベース部材210は、各両端部211にそれぞれ上下方向に開けられた孔である第1共通孔部214が形成されている。第1共通孔部214は、ピン部材240の軸部242が挿入可能に形成されている。すなわち、第1共通孔部214は、軸部242の外径よりも若干大きい径で開けられた孔であり、ピン部材240の軸部242が回動自在な程度の孔径とされている。第1共通孔部214は、二股上片213a1に上孔214aが形成されている。上孔214aは、二股上片213a1を貫通している。上孔214aには、平面視において上孔214aの円周から外側に向けて四角形状に突出される3つの係合凹部214a1,214a2,214a3が周方向等間隔で形成されている。二股下片213a2の上面214bには、ピン部材240の底面245が当接する。
第1ベース部材210の長手方向中間位置には、上下方向に開けられた孔である第1孔部215が設けられている。第1孔部215は、孔底部215aが形成された非貫通孔とされている。そして、第1孔部215には、図11(a)の平面視において孔の円周から外側に向けて四角形状に突出される係合凹部215bが形成されている。係合凹部215bは、第1孔部215の開口面(すなわち上面212a)から孔底部215aに渡って連続して形成されている。
各両端部211の外方端の平面視における中央位置には、それぞれ連結係合凸部211aが設けられている。各連結係合凸部211aは、各両端部211の上面から下面に渡って形成されている。
図11(c)に示すように、二股状に形成される両端部211における二股上片213a1と二股下片213a2間における両者の基部である二股間壁213bは、平面視凹円弧状に形成されている。また、二股間壁213bの一方側の端部(図11(c)における下側の端部)は、平坦な段状の当接端部213cが形成されている。二股間壁213bにおける他方側(図11(c)における上側)の端部には、鋭角部213dが形成されている。
第1ベース部材210における第1孔部215の長手方向両側には、空間部217が形成されている。空間部217は、下面212bから上方に向けて形成される非貫通の空間である。空間部217は、樹脂材料の射出成形により第1ベース部材210を成形した場合における、いわゆる肉盗みである。
次に、図12に基づいて、第2ベース部材220について説明する。短尺棒状に形成される第2ベース部材220は、図12(a)の平面図における両端部221aが平面視凸円弧状とされる短尺の平板状に形成されている。両端部221aは、両端部221a間の中央部分221bよりも肉薄とされている。両端部221aの厚みは、前述の第1ベース部材210の二股間(すなわち、二股上片213a1と二股下片213a2との間)に挿入可能な厚みとされている。
両端部221aには、それぞれ、貫通孔とされる第2共通孔部224が設けられている。第2共通孔部224には、それぞれ係合凹部224a,224b,224cが設けられている。係合凹部224a,224b,224cは、それぞれ平面視四角状の凹みが底部を第2共通孔部24の円周の外側に向けて、第2共通孔部24の円周上に周方向等間隔で形成されている。第2共通孔部224の係合凹部224a,224b,224cの間隔は、第1共通孔部214の係合凹部214a1,214a2,214a3の間隔より大きく形成されている。
また、円弧状基部221a3の一方側(すなわち、図12(a),(c)の下側)の端部には、段状に略平坦な当接端部221a4が形成されている。さらに、各両端部221aと中央部分221bとの接続部は、それぞれ上下方向に平面視円弧状の基端壁223が各両端部221aの上側と下側に形成されている。
基端壁223には、それぞれ第1係合凹部226a,第2係合凹部226b,第3係合凹部226cの3つの連結係合凹部226が設けられている。連結係合凹部226は、基端壁223における上下方向に渡ってV溝状に形成されている。第1係合凹部226aは、基端壁223の平面視円弧状の中間位置に設けられている。第2係合凹部226b及び第3係合凹部226cは、基端壁223の一方側(図12(a),(c)における下側)に寄せて互いに隣接して設けられている。また、各基端壁223の両端は、それぞれ鋭角部223aが形成されている。
第2ベース部材220の長手方向中央には、第2共通孔部224と同径の第2孔部225が設けられている。第2孔部225は、非貫通孔とされて孔底部225bが形成されている。さらに、第2孔部225は、上面222aから孔底部225bに渡って底部を孔の円周の外側に向けた四角形状の係合凹部225aが形成されている。
この第2孔部225及び2つの第2共通孔部224は、いずれも同径とされている。そして、第2孔部225及び2つの第2共通孔部224は、それぞれピン部材240の軸部242の外径よりも若干大きな径とされて、この軸部242が挿入可能とされている。
また、第2ベース部材220の中央部分221bの下面222bから上方に向けて、非貫通とされる空間部227が第2孔部225の長手方向両側にそれぞれ形成されている。空間部227は、第2ベース部材220の樹脂材料による射出成形における、いわゆる肉盗みとされている。
次に、図13に基づいて、第3ベース部材230について説明する。第3ベース部材230は、外形が平面視略コ字状とされる平板状に形成されている。第3ベース部材230の2箇所の突端部231a,231bは、それぞれ図13(a)の平面視において凸円弧状とされている。図13(a)の左側における一方の突端部231aは、上下に分かれるように二股状に形成されている。一方の突端部231aの二股状における上側の二股上片231a1は、上側の面が本体部231gの上面232aと連続する面を備える。下側の二股下片231a2は、下側の面が本体部231gの下面232bと連続する面を備える。
突端部231aの外方端の平面視における中央位置には、連結係合凸部238が設けられている。連結係合凸部238は、突端部231aの二股上片231a1及び二股下片231a2における上面から下面に渡って形成されている。また、突端部231aの二股上片231a1及び二股下片231a2における平面視凸円弧状の両端には、それぞれ段部231cが形成されている。
二股上片231a1と二股下片231a2が接続される基部間において形成される二股間壁231dは、図13(c)に示すように平面視凹円弧状とされている。また、二股間壁231dの平面視凹円弧状の左側の端部には段部231fが形成されている。
また、一方の突端部231aには、一方第3共通孔部234が設けられている。一方第3共通孔部234は、二股上片231a1を貫通する上孔234aが形成されている。一方第3共通孔部234は、ピン部材240の軸部242が挿入可能なように、軸部242の外径よりも若干大きい径で形成されている。
他方の突端部231bは、本体部231gよりも薄肉の平板状に形成されている。突端部231bの平面視凸円弧状の右側の端部は段部231hが形成され、左側の端部は段部231mが形成されている。また、平板状の他方の突端部231bの基部は、本体部231gとの接続部が平面視凹円弧状の基端壁231jとして、突端部231bの上側と下側のそれぞれに形成されている。
基端壁231jには、連結係合凹部239が設けられている。連結係合凹部239は、基端壁231jにおける上下方向に渡ってV溝状に形成されている。連結係合凹部239は、基端壁231jの平面視円弧状の中間位置に設けられている。また、上下の基端壁231jの両端は、それぞれ段差部231kが形成されている。
ここで、一方の突端部231aの二股状とされる二股上片231a1と二股下片231a2間は、他の第3ベース部材230における平板状の他方の突端部231bが挿入可能に形成されている。さらに、二股上片231a1と二股下片232a2の間隔は、図11に示す第1ベース部材210の両端部211における二股上片213a1と二股下片213a2と同じである。また、第3ベース部材230の他方の突端部231bの厚みと、図12に示す両端部221aの厚みは同じである。従って、第3ベース部材230の一方の突端部231aは、他の第3ベース部材230の他方の突端部231bや第2ベース部材220の両端部221aと組み合わせることができる。同様に、第3ベース部材230の他方の突端部231bは、第1ベース部材210の両端部211と組み合わせることができる。
他方の突端部231bには、他方第3共通孔部235が形成されている。他方第3共通孔部235には、四角形状の係合凹部235aが底部を孔の円周の外側に向けて設けられている。係合凹部235aは、他方第3共通孔部235の上端から下方端に渡って形成されている。他方第3共通孔部235は、ピン部材240の軸部242が挿入可能な程度の径で形成されている。
また、平面視コ字状に形成される第3ベース部材230が屈曲される2箇所の角部には、第3孔部236a,236bが形成されている。さらにまた、2つの第3孔部236a,236b間にも第3孔部236cが形成されている。各第3孔部236a,236b,236cとされる第3孔部236には、それぞれ係合凹部236a1,236b1,236c1が形成されている。第3孔部236は、ピン部材240の軸部242が挿入可能な程度の径とされている。
さらに、樹脂材料による射出成形で形成される第3ベース部材230の本体部231gにおける第3孔部236の周囲には、4箇所の空間部237がいわゆる肉盗みとして設けられている。空間部237は、非貫通の空間として形成されている。
このように形成される第3ベース部材230は、図3に示すベース70と同様に、2つの第3ベース部材230を組み合わせることにより、小さい四角形状のベースを形成することができる。
次に、図14により、ピン部材240を説明する。ピン部材240は、軸部242と、この軸部242の上端に膨出して形成される膨出部244と、軸部242の下端に形成された挿入部243とにより形成されている。軸部242は、横断面略十字状に形成されている。従って、軸部242には、軸方向に沿って溝部242aが4本形成される。また、膨出部44は、平面視において、いわゆる四つ葉のクローバーを模した形状とされている。なお、膨出部244に対する軸部242の軸周りの配置は、溝部242aと膨出部244の谷線244aが合うようにされている。挿入部243は円柱形状であり、挿入部243の上面から底面245に渡って断面四角形の係合凸部243aが形成されている。
ピン部材240を図11に示す第1ベース部材210の第1孔部215に挿入する場合には、挿入部243の係合凸部243aと第1孔部215の係合凹部215bとを係合させる。そして、挿入部243の底面245は第1孔部215の孔底部215aと当接させる。すると、ピン部材240は、第1孔部215に対して軸心回りに固定される。同様に、図12に示す第2ベース部材220の第2孔部225及び図13に示す第3ベース部材230の第3孔部236a,236b,236cにピン部材240を挿入する場合も、挿入部243の係合凸部243aと係合凹部225a,236a1,236b1,236c1が係合される。このように、ピン部材240の挿入部243の係合凸部243aと各係合凹部215b,224a,225a,236a1,236b1,236c1とで係合部が構成される。
また、このピン部材240は、図11の第1ベース部材210と図12の第2ベース部材220が組み合わされて、第1共通孔部214と第2共通孔部224が同心とされた孔に挿入することができる。この場合、ピン部材240の挿入部243の係合凸部243aと、第2共通孔部224の係合凹部224aとを係合させる。そして、挿入部243の底面245は、第1共通孔部214の下方に位置する二股下片213a2の上面214bに当接させる。すると、ピン部材240が挿入されていない状態では、第1ベース部材210と第2ベース部材220は、組み合わされた第1共通孔部214と第2共通孔部224を軸中心として相対的に回動可能とされて、ピン部材240が挿入されることにより第1ベース部材210と第2ベース部材220は相対的な回動が規制される。
第1ベース部材210と第2ベース部材220の相対的な回動の様子は図15(a)〜(c)に示される。図15(a)は、第1ベース部材210の一方の両端部211aの連結係合凸部211aが、第2ベース部材220の他方の両端部221aの第1係合凹部226aと係合している場合を示す。この場合、第1ベース部材210と第2ベース部材220は直線状に並んで連結される。
第1ベース部材210と第2ベース部材220を直線状に連結し、さらに第3ベース部材230の一方の突端部231aと第2ベース部材220の両端部221aの一つとを連結し、第3ベース部材230の他方の突端部231bと第1ベース部材210の両端部211の一つとを連結すると、図1に示す形態のベース50とすることができる。なお、ベース50は、第1ベース部材210が6個、第2ベース部材220が6個、第3ベース部材230が2個用いられている。
ここで、図16に示すように、第3ベース部材230の一方の突端部231aと第2ベース部材220の両端部221aの一つとの連結は、同心とされた第3ベース部材230の一方第3共通孔部234と第2ベース部材220の第2共通孔部224にピン部材240の挿入部243が挿入されることにより行われる。このとき、ピン部材240の挿入部243の係合凸部243aと、第2共通孔部224の係合凹部224aとが係合し、挿入部243の底面245は二股下片231a2の上面234bに当接する。従って、第2共通孔部224と一方第3共通孔部234に共通して挿入されるピン部材240は、軸心回りに固定される。なお、第3ベース部材230と第2ベース部材220の連結時には、第2ベース部材220の両端部221aの第1係合凹部226aが第3ベース部材230の係合凸部238と係合し、当接端部221a4と段部231fが当接されるので、第2ベース部材220の第3ベース部材230に対する回動は規制される。
同様に、第3ベース部材230の他方の突端部231bと第1ベース部材210の両端部211の一つとの連結は、同心とされた第3ベース部材230の他方第3共通孔部235と第1ベース部材210の第1共通孔部214にピン部材240の挿入部243が挿入されることにより行われる。このとき、ピン部材240の挿入部243の係合凸部243aは、第1共通孔部214の係合凹部214a1と、他方第3共通孔部235の係合凹部235aとに係合し、挿入部243の底面245は二股下片213a2の上面214bに当接される。従って、第1共通孔部214と他方第3共通孔部235に共通して挿入されるピン部材240は、軸心回りに固定される。またこのとき、第3ベース部材230の段部231hと第1ベース部材210の当接端部213cが当接する。従って、第3ベース部材230に対して第1ベース部材210の回動は規制される。
また、図15(b)及び図15(c)に示すように、第1ベース部材210と第2ベース部材220は、ピン部材240が挿入される第1共通孔部214と第2共通孔部224を中心として相対的に回動することができる。図15(b)に示す状態においては、連結係合凸部211aと第3係合凹部226cとが係合し、ピン部材240を挿入することにより、第1ベース部材210と第2ベース部材220は約30度の角度で連結された状態となる。このようにして第1ベース部材210と第2ベース部材220を連結すれば、図2及び図10(a)で示す小さい円形のベース60と同様のベースを形成することができる。
一方、図15(c)に示す状態においては、連結係合凸部211aと第2係合凹部226bとが係合し、第1ベース部材210と第2ベース部材220は約20度の角度で連結された状態となる。この場合、図10(b)に示す大きい円形のベース60Aと同様のベースを形成することができる。
なお、図15(a)に示すように、第1ベース部材210と第2ベース部材220の相対的な回動の回動方向は、第1ベース部材210の当接端部213cと第2ベース部材220の当接端部221a4の当接により、一方向だけに回転するよう規制される。
このように、連結係合凹部226(第1係合凹部226a、第2係合凹部226b、第3係合凹部226c)と、連結係合凸部211aとで構成される連結係合部は、第1ベース部材210と第2ベース部材220の相対的な回動により嵌脱されるので、両者の回動位置を容易に決めることができる。なお、第2の実施形態の手編み具は、第1の実施形態の手編み具と同様に、回動位置マーク18、マーク26や設置マーク19,29,39等を配置してもよい。
また、第1ベース部材210の第1共通孔部214の係合凹部214a1,214a2,214a3と、第2ベース部材220の第2共通孔部224の係合凹部224a,224b,224cと、第3ベース部材230の一方第3共通孔部234の係合凹部234a,他方第3共通孔部235の係合凹部235aとは、ピン部材240の挿入部243の係合凸部243aにより固定されるので、第1ベース部材210と第2ベース部材220と第3ベース部材230とを強固に連結することができる。
すなわち、連結係合凹部226の第1係合凹部226aが連結係合凸部211aと係合される場合、係合凹部214a1と係合凹部224aが連通する。同様に、第2係合凹部226bが連結係合凸部211aと係合される場合、係合凹部214a2と係合凹部224bが連通する。第2係合凹部226cが連結係合凸部211aと係合される場合、係合凹部214a3と係合凹部224cが連通する。
(手編み具の使用方法)
以上のように組み立てられた手編み具1A,1B,1Cの基本的な編み方は、以下の通りである。なお、図17に示すフック90を用いれば、より簡単に手編み具1A,1B,1Cを用いて編み物を製作することができる。また、図18に示すフック91を用いれば、子供でも持ち易く、先端が短いので操作性と安全性を向上させることができる。
編み方の基本的動作を長矩形のベース50の形態の場合を例として図19、図20に基づいて説明する。なお、編み方の基本的動作は第1の実施形態に係る手編み具を使用して説明するが、第2の実施形態に係る手編み具も同様であり、説明を省略する。先ず、図19に示すように、毛糸等の糸110の端部に輪120を作る。その輪120をピン部材40に掛ける。ことのき、第3ベース部材30の編み始めマーク38のあるピン部材40に掛ければ、編込み途中においても編み始めを認識することができる。
次に、図20に示すように、糸110を軽く張りながら、隣のピン部材40に、手編み具1A(軸部42)の外側から内側に糸110を一回巻きつける。このとき、軸部42を折り返した糸が上側に配置されるよう軸部42に巻きつける(上側糸111)。そして、軸部42の溝部42aにフック90の先端をなぞらせて、下側の糸110(下側糸112)を持ち上げて、下側糸112がピン部材40の膨出部44を越えて内側(開口部54側)に位置するよう移動させる。この動作を全てのピン部材40に対して行い、所定回数繰り返すことにより、編み物が作成される。なお、所定の大きさの編み物が出来上がったら、手編み具1Aから編み物を取出して、端部を編み針等で結ぶ等の処理をして、編み物が完成される。
なお、糸をピン部材40に掛ける順番は、作成する編み物の種類に応じて適宜使用者が選択することができる。また、編込みの途中で適宜ビーズ等の装飾物を糸に通したり、糸と係合させたりして編込みすることもできる。さらにまた、ピン部材40は4方向に溝部42aが設けられている。従って、上述の説明では、ピン部材40に巻いた糸を外側から内側に折り返すよう説明したが、これに限られず、内側から外側や、左右の一方側から他方側へと糸を折り返す編み方を行うこともできる。
以上の通り、第1ベース部材10、第2ベース部材20及び第3ベース部材30を複数用意して、任意の個数を連結することにより、容易に大きさや形状の異なる手編み具1A,1B,1Cを準備することができる。従って、使用者は、種々の大きさや種類の編み物を容易に作成することができる。
また、手編み具1A,1B,1Cは、設置マーク19,29,39等のマークが適宜各部材の上面に設けられていたり、第1ベース部材10と第2ベース部材20の回動方向が規制される等されているため、子供から大人まで、幅広い年齢層にとって扱いやすい手編み具とされている。
なお、本発明は以上の実施形態に限られず、種々の形態で実施することができる。例えば、図7のピン部材40に代えて、図21に示すピン部材40Aを用いることもできる。ピン部材40Aは、軸部42Aと膨出部44Aとで形成されている。そして、軸部42Aの軸心に沿って、V字状の溝部46Aが軸部42Aから膨出部44Aに掛けて設けられている。このようなピン部材40Aによれば、フック90の先端を溝部46Aに沿って下から上に移動させるだけで、容易に糸を膨出部44Aを越えて返すことができる。
ここで、設置マーク19,29,39が内側になるように手編み具1A,1B,1Cを組み合わせると、溝部46Aと係合可能な各部材の各孔部の係合凸部15b,24a,25a,35a,36a1,36c1,36b1が同じ向きである外側に配置される。すると、図21のピン部材40Aを用いた場合には、常に溝部46Aが外側に向けられるので、手編み具の組立を容易に行うことができる。
なお、図7に示すピン部材40が第3ベース部材30の2箇所の角部の第3孔部36a,36bに挿入された場合には、2方向又は4方向からフック90による糸の折り返しを行うことができる。例えば、図1の手編み具1Aの場合は、長辺部51側及び短辺部52側の2方向の何れかからフック90を軸部42の溝部42aに沿わせてピン部材40の内側に糸を返すことができる。
また、第1ベース部材10、第2ベース部材20、第3ベース部材30における各孔部の個数は本実施形態に限定されることなく、適宜増減させることができる。また、ピン部材40と第1ベース部材10、第2ベース部材20、第3ベース部材30の色を異ならせる、または複数のピン部材のうち、編み始め等の目印としたいピン部材のみ異なる色で形成することができる。
また、第2ベース部材20の第2共通孔部24の係合凸部24aを廃して、第1ベース部材10の第1共通孔部14の下孔14bに、ピン部材40,40Aの溝部42a,46Aと係合する係合凸部を設けても良い。この場合、第1ベース部材10にピン部材40,40Aを立設させて、第1ベース部材10単体で編み物をすることができる。
また、溝部42a,46Aと係合可能な各部材の各孔部の係合凸部15b,24a,25a,35a,36a1,36c1,36b1を廃してピン部材40,40Aを軸回りに固定しない構成とすることもできるが、係合凸部を設けてピン部材を軸回りに固定すると編込みし易く好適である。