JP6889435B2 - タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物の設計方法、及び当該設計方法に基づくタンパク質含有飲食品組成物の製造方法 - Google Patents

タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物の設計方法、及び当該設計方法に基づくタンパク質含有飲食品組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物の設計方法、及び当該設計方法に基づくタンパク質含有飲食品組成物の製造方法に関する。
タンパク質を摂取すると、摂取したタンパク質は、骨格筋の維持の他、急性タンパク質や細胞内シグナル伝達等に関わるタンパク質の合成に利用されている。このため、摂取エネルギーが十分であっても摂取タンパク質が不足した場合には感染症等を発症しやすくなる。そこで、体外に失われる窒素量を補い、体タンパク質を維持するために、適切な量を効率よく摂取できるような、良質なタンパク質の飲食品組成物が望まれている。また、腎臓病患者等にとって、腎臓への負荷となるタンパク質の必要量を設定することは重要である(非特許文献1)。
このような事情から、食事タンパク質必要量の評価が種々検討され、そのなかに指標アミノ酸酸化法(非特許文献2〜4)がある。
非特許文献4には、「その結果,指標アミノ酸酸化法は全てのライフステージ(幼児,小児,学童,成人,高齢者)の食事タンパク質必要量の評価だけでなく,代謝要求量が大きく変化している術後,傷害,感染症などいろいろな病態時の食事タンパク質必要量の推定,また,タンパク質の質の評価にも利用できることがわかった」ことが記載されている。
日腎会誌,56(2),pp.553-599,慢性腎臓病に対する食事療法基準(成人)(2014) Report of a FAO Expert Working Group(2014). Food and Agriculture Organization of the United Nations. Research approaches and methods for evaluating the protein quality of human foods, Annex2:Detailed Protocol of the Indicator Amino Acid Oxidation (IAAO):34-39. Humayun MA, Elango R, Ball RO, Pencharz PB.:Reevaluation of the protein requirement in young men with the indicator amino acid oxidation technique. Am J Clin Nutr. 2007 ;86(4):995-1002. 栄養学雑誌Vol.69, 285-293(2011) Report of an FAO Expert Consultation. Dietary protein quality evaluation in human nutrition 2011 「Dietary protein quality evaluation in human nutrition」:Table.5 Recommended amino acid scoring patterns for infants, children and older children, adolescents and adults, :No.92:29-43(2013) 文部科学省資源調査分科会報告「日本食品標準成分表2015年版」(http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365295.htm)
ところで、従来のタンパク質食品はアミノ酸スコアを重視していたため、アミノ酸スコア100以上のタンパク質であれば、この1つのタンパク質を適切な栄養成分であると判断するのが通常であった。しかしながら、アミノ酸スコアが100以上のタンパク質であっても、代謝要求量は一律に同じとなるわけではなく、相違する。今まで、複数のタンパク質を組み合わせてこれら単独の代謝要求量よりもさらに代謝要求量を低く設定しようとする検討はほとんど見られなかった。
一方、非特許文献2〜4には指標アミノ酸酸化法が記載されているものの、どのようにすれば、より良質なタンパク質混合組成物を設計でき、当該タンパク質混合組成物を含有する飲食品組成物を製造できるかについては開示されていない。さらに、従来は複数のタンパク質を混合してタンパク質単独よりも飲食品の代謝要求量を低減させることが着目されていなかったこともあるため、非特許文献2〜4には、タンパク質混合組成物の代謝要求量を低減させるための指標アミノ酸酸化法の利用方法は開示されていない。
このようなことから、本発明者等は、元のアミノ酸スコアが既に100以上のタンパク質に、別のタンパク質や分解物等を混合し、このタンパク質混合組成物のタンパク質代謝要求量を低減させることを検討することとした。
すなわち、本技術は、アミノ酸スコア100以上のタンパク質単独よりも、これとは別のタンパク質等と混合してタンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、鋭意検討した結果、(a)アミノ酸スコアが100以上である第一タンパク質と、当該第一タンパク質を構成するアミノ酸群の中で第一制限アミノ酸となるアミノ酸を補うことが可能な第二タンパク質とをそれぞれ選択すること、次いで、(b)第一タンパク質に第二タンパク質とを混合して得たタンパク質組成物の第一制限アミノ酸含量が第一タンパク質よりも高くなり、かつ当該タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が第一タンパク質よりも低くなる質量比を決定することが、タンパク質単独よりもタンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物を設計するために、重要であることを見出した。さらに、本発明者等は、これにより設計されたタンパク質組成物に用いた各タンパク質を別々に又は混合して使用することで、タンパク質単独使用よりも、タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質含有飲食品組成物を製造できることも見出した。斯様にして、本発明者等は、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 以下の工程を含む、タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物の設計方法;
(1)アミノ酸スコアが100以上である第一タンパク質を選択する工程、
(2)前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことが可能な第二タンパク質を選択する工程、
(3)前記第一タンパク質と前記第二タンパク質とを混合して得られるタンパク質組成物を設計する工程であって、前記タンパク質組成物の第一制限アミノ酸含量が第一タンパク質より高く、かつ前記タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が第一タンパク質よりも低くなる質量比を決定する工程。
〔2〕 前記第一タンパク質が、乳タンパク質である、前記〔1〕記載の設計方法。
〔3〕 前記第二タンパク質が、食用タンパク質群、並びに当該由来の分解物及びペプチドから選択される1種又は2種以上のものである、前記〔1〕又は〔2〕記載の設計方法。
〔4〕 前記代謝要求量が、指標アミノ酸酸化法により測定するものである、前記〔1〕〜〔3〕の何れか1つ記載の設計方法。
〔5〕 前記第一制限アミノ酸が、リジン、ヒスチジン、芳香族アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、含硫アミノ酸、バリン、スレオニン及びトリプトファンから選択されるものである、前記〔1〕〜〔4〕の何れか1つ記載の設計方法。
〔6〕 前記第一制限アミノ酸がカゼインタンパク質であり、前記第二タンパク質がホエイタンパク質、並びに当該由来の分解物及びペプチドから選択される1種又は2種以上のものである、前記〔1〕〜〔5〕の何れか1つ記載の設計方法。
〔7〕 前記カゼインタンパク質と前記ホエイタンパク質との質量比が、カゼインタンパク質:ホエイタンパク質=98:2〜41:59である、前記〔6〕記載の設計方法。
〔8〕 前記〔1〕〜〔7〕の何れか1つ記載の設計方法に基づき設計されたタンパク質組成物を原料として、タンパク質含有飲食品組成物を製造する方法。
〔9〕 前記タンパク質含有飲食品組成物が、腎臓病患者用低タンパク質飲食品である、前記〔8〕記載の方法。
〔10〕 カゼインタンパク質及びホエイタンパク質を含有する腎臓病患者用低タンパク質飲食品であり、前記カゼインタンパク質:ホエイタンパク質の質量比が、98:2〜41:59である、腎臓病患者用低タンパク質飲食品。
本技術によれば、アミノ酸スコア100以上のタンパク質単独よりも、これとは別のタンパク質等を混合してタンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物を提供することができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
図1Aは、第一タンパク質:カゼインタンパク質及び第二タンパク質:ホエイタンパク質の混合物のアミノ酸スコアを示す。図1Bは、第一タンパク質:カゼインタンパク質及び第二タンパク質:大豆タンパク質の混合物のアミノ酸スコアを示す。 図2Aはカゼインタンパク質単独摂取の指標アミノ酸酸化(IAAO)法によるタンパク質代謝要求量の臨床試験結果を示す。図2Bはカゼインタンパク質・ホエイタンパク質の混合組成物の指標アミノ酸酸化(IAAO)法によるタンパク質代謝要求量の臨床試験結果を示す。
次に、本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態に限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
<タンパク質の選定・評価>
本明細書における「アミノ酸スコア」は、アミノ酸組成に基づくタンパク質の栄養評価法に用いられるスコアであり、食品に含まれるタンパク質の各必須アミノ酸含量を一定の基準値(アミノ酸評点パタン)と比較した際の比較割合(百分率)の最小値のことをいう。当該最小値が100を上回る場合、タンパク質のアミノ酸スコアは100とみなすのが通例であるが、本明細書においては、当該最小値が100を上回る場合であっても、当該最小値をそのままアミノ酸スコアと定義する。前記基準値としては、例えば、FAO(国連食糧農業機関)によって推奨された、以下の表1に記載したアミノ酸評点パタン(amino acid scoring patterns、非特許文献5のTable.5参照)を使用することができる。なお、本技術は、当該評点パタンが将来的に更新される場合があっても、その使用を妨げるものではない。
具体的には、タンパク質1g当たりのアミノ酸含量(mg)の各アミノ酸の評点パタンに対する割合(%)を計算し、最も小さい数値を示すアミノ酸の評点パタンに対する割合(%)を「アミノ酸スコア」と定義する。
なお、本明細書において、「タンパク質1g当たりのアミノ酸含量(mg)/アミノ酸の評点パタンにおける当該アミノ酸量」(%)を「アミノ酸相対値」と定義する。
Figure 0006889435
本明細書において、タンパク質を構成する各必須アミノ酸のうち、最小のアミノ酸相対値をとるアミノ酸を、第一制限アミノ酸とする。すなわち、第一制限アミノ酸のアミノ酸相対値が、タンパク質のアミノ酸スコアとなる。さらに、アミノ酸相対値が二番目に小さいアミノ酸を第二制限アミノ酸という。
本明細書における「His」との表記はヒスチジンであり、「Ile」との表記はイソロイシンであり、「Leu」との表記はロイシンであり、「Lys」との表記はリジンであり、「Thr」との表記はスレオニンであり、「Trp」との表記はトリプトファンであり、「Val」との表記はバリンを示す。さらに、「SAA(含硫アミノ酸)」との表記はメチオニン及びシステインであり、「AAA(芳香族アミノ酸)」との表記はフェニルアラニン及びチロシンである。
本明細書における「各タンパク質のアミノ酸組成」は、実測値が望ましいが、日本食品標準成分表(非特許文献6)等に記載されているアミノ酸組成を使用しても構わなく、実測値は、非特許文献6記載のアミノ酸の測定方法に準拠して測定すればよい。
本明細書における「タンパク質の代謝要求量を測定する方法」は、一般的な指標アミノ酸酸化法を用いてよい(非特許文献2のAnnex2参照及び非特許文献3参照)。
1.本技術のタンパク質組成物の設計方法
本技術は、本技術のタンパク質組成物の設計方法に基づき、設計されたタンパク質組成物を原料として、タンパク質含有飲食品組成物を製造することができる。前記タンパク質組成物は、タンパク質単独のタンパク質代謝要求量と比較し、タンパク質代謝要求量を低減させたものである。また、前記タンパク質組成物は、タンパク質単独のアミノ酸スコアと比較し、タンパク質のアミノ酸スコアが向上したものである。
なお、前記「設計されたタンパク質組成物」とは、本技術のタンパク質含有飲食品組成物を製造する際に、当該原料として最終的に所定の質量比で使用される前記第一タンパク質と前記第二タンパク質との組み合わせ組成物を意味するものである。
当該設計されたタンパク質組成物は、例えば、タンパク質含有飲食品組成物の原料として、各タンパク質を別々にして使用できる状態であってもよいし、各タンパク質を一部又は全部を混合して使用できる状態であってもよい。また、各タンパク質は、固体状、半固体状、液状の何れでもよい。
より具体的には、当該設計されたタンパク質を、複数のタンパク質から構成される組成物キットや複数のタンパク質を混合した組成物としてもよい。
また、本技術のタンパク質組成物の設計方法は、アミノ酸スコア100以上の第一タンパク質に、これとは別の単数又は複数種の第二タンパク質の配合量を調節してタンパク質組成物を設計する方法である。
このとき、当該第二タンパク質は、当該第一タンパク質を構成するアミノ酸群の中でアミノ酸相対値が最も低いアミノ酸(すなわち、第一制限アミノ酸)となるアミノ酸を補うことができるものである。
当該第二タンパク質として好適なものは、選択された第一タンパク質の制限アミノ酸と当該第二タンパク質の制限アミノ酸とが一致しないものである。より具体的には、第一制限アミノ酸(さらに好適には、第一制限アミノ酸及び第二制限アミノ酸)について両者が一致しないことが好適である。
さらに、第一タンパク質の第一制限アミノ酸及び/又は第二制限アミノ酸を第一タンパク質よりも豊富に含む、第二タンパク質が好適である。当該第一制限アミノ酸及び/又は第二制限アミノ酸のアミノ酸は、第二タンパク質中、第一タンパク質含量の1.3〜3.0倍含むものが好ましく、1.3〜2.5倍含むものがより好ましく、1.3〜2.0倍含むものがさらに好ましい。
また、本技術の設計方法において、前記第一タンパク質のアミノ酸スコアは、前記第二タンパク質のアミノ酸スコアよりも高いことが好ましい。また、前記第二タンパク質のアミノ酸スコアが前記第一タンパク質のアミノ酸スコアよりも低い第二タンパク質を選択することが好ましい。
本技術のタンパク質組成物の設計方法は、前記第一タンパク質及び第二タンパク質の配合量を調節して、第一タンパク質の第一制限アミノ酸となるアミノ酸含量をより高くし、かつ第一タンパク質と第二タンパク質の混合組成物のタンパク質代謝要求量が、第一タンパク質単独のタンパク質代謝要求量よりも低くなるような質量比を決定する方法である。
本技術のタンパク質代謝要求量を低減させた飲食品タンパク質組成物の設計方法について、より詳細に説明する。当該設計方法は、以下の(1)〜(3)の工程を含む設計方法である。
(1)アミノ酸スコアが100以上である第一タンパク質を選択する工程、
(2)前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことが可能な第二タンパク質を選択する工程、及び
(3)前記第一タンパク質と前記第二タンパク質とを混合して得られるタンパク質組成物を設計する工程であって、前記タンパク質組成物の第一制限アミノ酸含量が第一タンパク質よりも高く、かつ前記タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が第一タンパク質よりも低くなる質量比を決定する工程。
本技術の前記(1)工程:
本技術において、(1)アミノ酸スコアが100以上である第一タンパク質を選択する工程を行う。なお、「アミノ酸スコアが100以上である」とは、タンパク質の各必須アミノ酸含量の前記アミノ酸相対値が、全て100以上であることを示すものである。
本技術の第一タンパク質の選択工程において、下記に示すタンパク質の例示(以下、「食用タンパク質群」ともいう)から選ばれる1種の単独物又は2種以上の混合物であって、アミノ酸スコアが100以上の食用タンパク質を、第一タンパク質として選択する。
前記第一タンパク質は、乳タンパク質であることが好ましい。さらに、前記第一タンパク質のうち、カゼインタンパク質及び/又はホエイタンパク質が好ましい。当該タンパク質は、アミノ酸スコアが高いので良質なタンパク質を含有する飲食品組成物を得ることが容易である。
本技術で使用する第一タンパク質がアミノ酸スコア100以上であるか否かの判断は、上記<タンパク質の選定・評価>に従って行えばよい。
例えば、タンパク質の例示から選択された一つのタンパク質のアミノ酸組成及びアミノ酸スコア、表1に示すようなFAOのアミノ酸評点パタン等を、コンピュータ等の記憶部に記憶することで、第一タンパク質候補のリストアップ及び選択を容易に行うことができる。さらに条件を設定することで、より好適な第一タンパク質の絞込み及び選択を容易に行うことができる。当該条件として、例えば、タンパク質の由来の条件、アミノ酸スコアの数値範囲の条件、タンパク質を構成するアミノ酸群及びこの各割合の条件、制限アミノ酸及びこの割合の条件等が挙げられる。なお、制限アミノ酸は、最も低いアミノ酸から、順次、第一、第二、第三・・・と設定することができる。
前記第一タンパク質を構成するアミノ酸群として、リジン、ヒスチジン、芳香族アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、含硫アミノ酸、バリン、スレオニン及びトリプトファンを豊富に含むことが好ましい。
これら9種類は、必須アミノ酸に分類されるものであり、かつ通常タンパク質において制限アミノ酸となりやすいため、これを指標として、第一タンパク質及び第二タンパク質を混合してより良質なタンパク質を調製又は製造することが望ましい。
前記第一制限アミノ酸が、リジン、ヒスチジン、芳香族アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、含硫アミノ酸、バリン、スレオニン及びトリプトファンから選択されるものであるのが好適である。
本技術において第一タンパク質又は後述する第二タンパク質の選択に使用するタンパク質の由来は、特に限定されず、動物、植物及び微生物の何れでもよい。また、当該タンパク質は、加工条件や保存管理条件によっても限定されず、生製品、加工製品、冷凍品及び冷蔵品等の何れでもよい。また、固体状、半固体状、液状の何れでもよい。
前記タンパク質として、例えば、乳タンパク質、植物タンパク質、畜肉タンパク質、卵タンパク質、魚肉タンパク質等が挙げられる。
前記乳タンパク質として、乳又は乳製品に含まれるタンパク質、カゼインタンパク質、ホエイタンパク質等が挙げられる。
前記乳として、例えば、牛乳、ヤギ乳、ヒトの母乳、馬乳等が挙げられる。また、前記乳製品として、発酵品(例えば、チーズやヨーグルト等)、バター及びクリーム等が挙げられる。
前記ホエイタンパク質は、ホエイタンパク質由来物も含む意味であり、当該ホエイタンパク質由来物として、例えば、ホエイタンパク質分離物(WPI)、ホエイタンパク濃縮物(WPC)、α‐ラクトアルブミン、β‐ラクトグロブリン、ラクトフェリン等が挙げられる。
前記植物タンパク質として、大豆タンパク質等が挙げられる。
前記大豆タンパク質には、大豆由来物も含む意味であり、当該大豆由来物として、例えば、大豆加工食品(例えば納豆、湯葉等)、大豆タンパク質、濃縮大豆タンパク、分離大豆タンパク等が挙げられる。
前記畜肉タンパク質として、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉及び鯨肉由来のタンパク質等が挙げられる。
前記魚肉タンパク質として、白身魚タンパク質(例えば、サケ等)、赤身魚タンパク質(例えば、アジ、イワシ、マグロ等)等が挙げられる。
本技術の前記(2)工程:
本技術において、(2)前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことが可能な第二タンパク質を選択する工程を行う。
本技術の第二タンパク質の選択工程において、上述したタンパク質から選ばれる1種の単独物又は2種以上の混合物から、前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことが可能なものを、第二タンパク質として選択することが好ましい。
前記第二タンパク質を構成するアミノ酸群が、リジン、ヒスチジン、芳香族アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、含硫アミノ酸、バリン、スレオニン及びトリプトファンから選択される1種又は2種以上のものを含むことが好ましく、第一タンパク質を構成するアミノ酸群と一致することがより好ましい。
前記第二タンパク質の選択に使用するタンパク質は、前記選択された第一タンパク質とは別のタンパク質であれば特に限定されず、さらに当該タンパク質はアミノ酸スコアが100以上であっても100未満であってもよいが、アミノ酸スコアが100以上のタンパク質が、良質なタンパク質組成物を得る点で、好ましい。
前記第二タンパク質の選択に使用するタンパク質は、当該食用タンパク質群(具体的には、この例示物)、並びに当該由来の分解物及び当該由来のペプチドから選択される1種又は2種以上のものが、好ましい。
また、前記分解物は、加水分解物であることが好適であり、さらに、酸加水分解、アルカリ加水分解又は酵素加水分解から選択される手段で行うことが好適であり、このうち酵素加水分解がより好ましい。当該酵素としては、例えば、ペプチダーゼが挙げられ、当該ペプチダーゼとしてエンド型ペプチダーゼ及びヘキソ型ペプチダーゼが挙げられるが、エンド型ペプチダーゼがさらに好ましい。酵素処理条件は、処理温度、処理pH、処理時間等を適宜調整すればよい。また、酵素分解物をさらに分離精製した分離精製物を使用してもよい。
また、前記ペプチドは、アミノ酸残基数が特に限定されず、高分子ペプチドであってもよく低分子ペプチドであってもよく、例えば、アミノ酸残基数が2〜30のものが好適である。
前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことが可能なタンパク質を選択する場合、まず、上述で選定された第一タンパク質のアミノ酸組成を<タンパク質の選定・評価>に従って確認し、当該第一タンパク質を構成するアミノ酸群の中から第一制限アミノ酸となるアミノ酸を決定する。
前記タンパク質のなかから、第一タンパク質の第一制限アミノ酸と同じアミノ酸が、タンパク質を構成するアミノ酸群の中に存在するタンパク質を検索する。
また、第一タンパク質の第一制限アミノ酸と同じアミノ酸を構成に含むように、食用タンパク質群、並びに当該由来の分解物及びペプチドから選択される2種以上の混合物を調製してもよい。
そして、当該第一制限アミノ酸を補うことが可能なアミノ酸含量を有するタンパク質を、第二タンパク質として選択することが好適である。
ここで、第一タンパク質の第一制限アミノ酸の含量を増加させることができるように、当該アミノ酸を補うことが可能なアミノ酸含量のタンパク質を、第二タンパク質候補として選択することが好ましい。
また、第一タンパク質の第一制限アミノ酸と、第二タンパク質選択候補となるタンパク質の第一制限アミノ酸(より好適には第一制限アミノ酸及び第二制限アミノ酸)とが一致していないタンパク質を、第二タンパク質候補として選択することが好ましい。また、第二タンパク質は、第一タンパク質の第一制限アミノ酸を、第一タンパク質よりも豊富に含むタンパク質であることが好ましい。
また、前記アミノ酸を補うことが可能なアミノ酸含量として、タンパク質を構成するアミノ酸群の中で、アミノ酸相対値が、好ましくは120以上、より好ましくは160以上、さらに好ましくは180以上である。
なお、これらアミノ酸含量は高い程好ましく、この上限値は、各タンパク質により上限値が存在するので、自ずと定まる値であるが、概ね、アミノ酸相対値の上限値は300であることが好ましい。
前記第二タンパク質は、乳タンパク質であることが好ましい。さらに、前記第二タンパク質のうち、カゼインタンパク質及び/又はホエイタンパク質、並びに当該由来物が好ましく、当該タンパク質は、アミノ酸スコアが高いので良質なタンパク質を含有する飲食品組成物を得ることが容易である。より好ましくは、前記第二タンパク質がホエイタンパク質及び当該由来物(例えば、分解物及びペプチド等)から選択される1種又は2種以上のものである。
さらに、前記第一タンパク質がカゼインタンパク質のとき、前記第二タンパク質がホエイタンパク質及び当該由来物から選択される1種又は2種以上のものであることが、より好ましい。
本技術で使用する第二タンパク質として適しているか否かの判断は、上述の条件に従って行えば良い。
例えば、前記タンパク質の例示から選択されるタンパク質を構成するアミノ酸群及びこの割合、各タンパク質の第一制限アミノ酸及びこの割合、表1に示すようなFAOのアミノ酸評点パタン等を、コンピュータ等の記憶部に記憶することで、上述の条件に適合する第二タンパク質候補のリストアップ及び選択を容易に行うことができる。さらに、タンパク質の由来の条件、アミノ酸スコアの数値範囲の情報等の条件を設定することで、より好適な第二タンパク質の絞込み及び選択を容易に行うことができる。
本技術の前記(3)工程:
本技術において、(3)前記第一タンパク質と前記第二タンパク質とを混合して得られるタンパク質組成物を設計する工程を行う。
このとき、(3a)前記タンパク質組成物の第一制限アミノ酸含量を第一タンパク質よりも高く、かつ(3b)前記タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が第一タンパク質よりも低くなる質量比に決定する工程を行う。
本技術の前記(3a)工程:前記第一タンパク質と前記第二タンパク質とを混合して得られるタンパク質組成物の各アミノ酸のアミノ酸相対値を算出する(例えば、表3参照)。
例えば、2種のタンパク質を混合してタンパク質組成物を調製する場合、第一タンパク質(100%)に、これとは別のタンパク質を配合していき、タンパク質組成物中の各アミノ酸のアミノ酸相対値を計算する。
なお、第二タンパク質とは、第一タンパク質とは別の単数又は複数のタンパク質であることから、2種のタンパク質にとどまらず、3種又はそれ以上の混合物の各アミノ酸のアミノ酸相対値を計算してもよい。
例えば3種のタンパク質を混合する場合、第一タンパク質に、第二タンパク質のうちの1種のタンパク質を段階的に配合していき、これに対応して他方のタンパク質も段階的に配合していくように設計する。例えば、第一タンパク質100%、第二タンパク質の1種5%添加し、第二タンパク質の他方のタンパク質を0%と5%添加等のプロセスで設計を検討することが可能である。
具体的には、以下のとおりにて行うことが可能である。
第一タンパク質及び第二タンパク質の前記9種のアミノ酸のアミノ酸組成割合と、これに対応する各アミノ酸のアミノ酸相対値を設定する。
第一タンパク質を100%(単独)とし、順次、第一タンパク質の配合量を減少させつつ第二タンパク質の配合量を増加させて、タンパク質組成物の質量比を変化させる。タンパク質組成物は、第一タンパク質と第二タンパク質の合計量を100%とする。
第一タンパク質の配合量から、各アミノ酸のアミノ酸相対値を算出する。一方、第二タンパク質の配合量から、各アミノのアミノ酸相対値を算出する。これらを合計することで、タンパク質組成物の各アミノ酸のアミノ酸相対値を算出する。
そして、タンパク質組成物のこれらアミノ酸のうちで最もアミノ酸相対値が低いアミノ酸をタンパク質組成物の第一制限アミノ酸とし、当該第一制限アミノ酸のアミノ酸相対値をタンパク質組成物のアミノ酸スコアとする。
第一タンパク質と第二タンパク質の質量比が変わることによって、タンパク質組成物のアミノ酸スコア及び第一制限アミノ酸も変わってくる。当該質量比を変えるために、第一タンパク質に第二タンパク質を配合してもよいし、第二タンパク質に第一タンパク質を配合してもよい。
そして、第一タンパク質と第二タンパク質との質量比を調整しながら混合していくことによって、第一タンパク質の当初の第一制限アミノ酸含量が増加し、「前記タンパク質組成物の制限アミノ酸含量」「前記タンパク質組成物のアミノ酸スコア」が増加する。当該アミノ酸スコアが極大値となる場合の第一タンパク質と第二タンパク質の質量比を決定することが望ましい。これにより、タンパク質代謝要求量が第一タンパク質よりも低くなる質量比を想定することが容易となる。
このときの第一タンパク質と第二タンパク質の質量比の範囲は、前記タンパク質組成物のアミノ酸スコアが、第一タンパク質単独のアミノ酸スコア及び第二タンパク質のアミノ酸スコアと比較し、高い値となっていることが好ましい。仮に、第一タンパク質及び第二タンパク質の両方のアミノ酸スコアと比較し、タンパク質組成物のアミノ酸スコアが高い値となる範囲がなかった場合、タンパク質組成物のアミノ酸スコアが向上できたとはいえないので、第二タンパク質を再設定して再設計することが望ましい。
また、前記タンパク質組成物のアミノ酸スコアが、第一タンパク質単独のアミノ酸スコアと比較し、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上増加するように設計することが、より質を高くし代謝要求量を低減させることができる点で、好ましい。
この(3a)の手順を経て、前記第一タンパク質のアミノ酸スコアが最も低いアミノ酸含量をより高くすることができる質量配合比を算出し、見出すことができる。これにより、前記第一タンパク質のアミノ酸相対値が最も低いアミノ酸の含量を、第一タンパク質単独より高くしたタンパク質混合物を設計することができる。
本技術の前記(3b)工程:さらに(3b)前記第一タンパク質及び前記タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量を算出する。
このとき、第二タンパク質のアミノ酸スコアが第一タンパク質のアミノ酸スコアよりも高い場合、第二タンパク質のタンパク質代謝要求量を算出することが望ましい。
タンパク質代謝要求量は、公知の方法(例えば、指標アミノ酸酸化法、窒素出納法等)にて適宜測定すればよい。この測定方法のうち、指標アミノ酸酸化法が、精度良く簡便であるので好ましい。
タンパク質単独とタンパク質組成物のそれぞれのタンパク質摂取量の値に基づき、それぞれの屈曲点(タンパク質代謝要求量)を算出することができる。タンパク質単独のタンパク質代謝要求量と、タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量とを対比する。タンパク質単独のタンパク質代謝要求量よりも、タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が低減するか否かで、本技術の前記(3a)前記第一タンパク質と前記第二タンパク質との質量比を設計したことが適切であったか否かを判断することができる。
本技術のタンパク質組成物の代謝要求量は、タンパク質単独の代謝要求量(100%とした場合)と比較し、好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、よりさらに好ましくは10%以上低減することが望ましい。
ここで、タンパク質代謝要求量は、指標アミノ酸酸化法により測定するものであることが好ましい。これは、呼気中に排出される13C−標識アミノ酸を指標にするため非侵襲的で簡便でありながら的確にタンパク質代謝の対比が行える点で、好適である。
また、指標アミノ酸酸化法は、不足していたアミノ酸の摂取量が増えるに従って、他の全ての不可欠アミノ酸がタンパク質合成に利用されるようになり、代謝要求量を満たした後は、それ以上摂取しても13C−標識アミノ酸の酸化に影響なく、一定値を維持するため、本技術の前記(3a)のアミノ酸スコア向上で設計したタンパク質混合物が、タンパク質代謝要求量が第一タンパク質単独よりも低くなっているかどうかを検証し易いという利点がある。
なお、タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量の低減の検討に基づき、複数のタンパク質の良好な組み合わせ及び良好な質量配合比の数値範囲を設計することは、時間的労力的に困難である。予め、複数のタンパク質の良好な組み合わせ及び良好な質量比の数値範囲を設計することで、当該タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が低くなっているか検証することは重要であり、この手順にて本技術の目的が達成できることが実証されたことが重要である。
また、前記指標アミノ酸酸化法は、上記<タンパク質の選定・評価>に従って行えばよい。また、指標アミノ酸として13C−フェニルアラニンは、タンパク質出納の変化に対する感受性が高い点で、好適である。
例えば、本技術の設計の概要として、以下のとおりである。
各タンパク質のアミノ酸スコアを計算し、アミノ酸スコアが100以上のタンパク質を第一タンパク質として選定する。
第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことができるタンパク質を第二タンパク質として選定する。
第一タンパク質と第二タンパク質のアミノ酸組成及び各アミノ酸のアミノ酸相対値に基づき、質量比を変化させて、各質量比におけるアミノ酸スコアを計算し、第一タンパク質のアミノ酸スコアより高いアミノ酸スコアとなるように質量比を決定する。
第一タンパク質単独、及び第一タンパク質と第二タンパク質のタンパク質組成物のそれぞれの代謝要求量を算出する。この試験結果にて単独の代謝要求量よりもタンパク質組成物の代謝要求量が低減されていれば、所定の質量比のタンパク質組成物を、設計されたタンパク質組成物であると決定する。
本技術の設計は、例えば、以下の手順(ステップ1〜4)で行うことができる。
ステップ1:食用タンパク質群から、アミノ酸スコア100以上のタンパク質を、第一タンパク質として、単数又は複数選択する。
ステップ2:前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことができるタンパク質を、食用タンパク質、並びに当該由来の分解物・ペプチドから選ばれる1種又は2種以上のものを、第二タンパク質として、選択する。
ステップ3:選択された第一タンパク質と、選択された第二タンパク質とを混合して得られるタンパク質組成物のアミノ酸スコアが、第一タンパク質のアミノ酸スコアよりも、高くなる質量比を算出する。
高くなる質量比が存在しなかった場合、ステップ1又はステップ2に戻り、第一タンパク質の再設定及び/又は第二タンパク質の再設定を行う。
高くなる質量比が存在した場合、タンパク質組成物のアミノ酸スコアが最も高くなる質量比を選択し、次のステップに移る。
ステップ4:前記選択された質量比で混合したタンパク質組成物及び前記タンパク質単独のタンパク質代謝要求量を算出する。
算出されたタンパク質単独のタンパク質代謝要求量と、算出されたタンパク質組成物のタンパク質代謝要求量とを対比する。
タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が、同じ又は高くなった場合には、第一タンパク質と第二タンパク質の質量比が不適切であったと判定する。不適切の場合、ステップ1又はステップ2に戻り、第一タンパク質の再設定及び/又は第二タンパク質の再設定を行う。
タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が、低くなった場合には、第一タンパク質と第二タンパク質の質量比が適切であったと判定する。適切の場合、タンパク質単独よりも、アミノ酸スコアが向上し、タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物であると決定する。
また、本技術の設計方法を、装置のCPU等を含む制御部、及び記憶媒体(USBメモリ、HDD、CD、ネットワークサーバ等)等を備えるハードウエア資源にプログラムとして格納し、制御部によって実現させることも可能である。また、本技術は、本技術の設計方法として、コンピュータを機能させるためのプログラムとすることも可能である。
2.本技術のタンパク質含有飲食品組成物及びその製造方法
本技術の設計方法に基づきタンパク質組成物を設計することができ、当該設計されたタンパク質組成物を原料として用いることで、設計されたタンパク質を含有するタンパク質含有飲食品組成物を製造することができる。
また、本技術のタンパク質含有飲食品組成物は、設計されたタンパク質組成物を原料として、公知の飲食品の製造方法にて得られるものであり、例えば、加熱殺菌、加熱調理や成形等の製造条件で製造することができる。
本技術のタンパク質含有飲食品組成物は、設計されたタンパク質組成物に基づき配合調製されたタンパク質組成物そのものであってもよい。また、本技術のタンパク質含有飲食品組成物は、前記設計されたタンパク質組成物に基づき製造工程において添加して得られたものであってもよい。
これにより、本技術のタンパク質含有飲食品組成物は、第一タンパク質単独を原料として使用するタンパク質含有の飲食品組成物と比較し、タンパク質代謝要求量を低減させることができる飲食品組成物として提供することができる。
上記設計方法にて、後記実施例に示すように、カゼインタンパク質とホエイタンパク質との組み合わせによって非常に良質なタンパク質組成物になるので、前記第一タンパク質がカゼインタンパク質であり、前記第二タンパク質がホエイタンパク質、並びに当該由来の分解物及びペプチドから選択される1種又は2種以上のものであるものから設計されたタンパク質組成物が好ましい。
さらに設計されたタンパク質組成物は、カゼインタンパク質とホエイタンパク質の組み合わせであって、カゼインタンパク質:ホエイタンパク質との質量比は、好ましくは47:53〜93:7、より好ましくは57:43〜82:18、さらに好ましくは62:38〜77:23である。これにより、アミノ酸スコアが向上しタンパク質代謝要求量を低減可能な、タンパク質組成物を設計できるので、低タンパク質飲食品組成物を得ることが容易となる。
例えば、本技術のタンパク質含有飲食品組成物は、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販食品や、錠菓、流動食、介護食、栄養補助食品、スポーツ飲料、飼料(ペット用を含む)等を挙げることができる。本技術の配合調製されたタンパク質組成物は、これら各飲食品に添加して用いることができる。飲食品の形態は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず用いることができる。
本技術の飲食品組成物は、低タンパク質飲食品等の保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。かかる表示としては、例えば、低タンパク質飲食品を望むヒトを対象として、「タンパク質の摂取量が気になる方へ」、「良質のタンパク質を取りたい方へ」、「腎機能の低下した方へ」、及び「腎溶質負荷を低減させたい方へ」等と表示することが挙げられる。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて規定される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
斯様にして本技術の製造方法により得られた飲食組成物であれば、少量でも効率よくタンパク質を体内に取り込むことができるため、例えば、低タンパク質飲食品として、内臓器官へのタンパク質負荷の低減を望むヒトや患者(例えば、腎疾患患者、肝臓疾患患者等及びその予備軍)に提供すること、又は、介護食、流動食、経腸栄養食品、プロテイン飲食品等として、筋力の維持・向上又は健康維持・増進を望むヒト(例えば、入院患者、高齢者、健常者、アスリート等)等に提供することができる。
本技術は、飲食品組成物の他、飲食品、機能性食品、医薬品、飼料等の幅広い分野に使用することもできる。
3.本技術の低タンパク質飲食品及びその製造方法
本技術は、上述のように2種以上のタンパク質を混合するタンパク質組成物の設計方法に基づき、元となるタンパク質単独使用よりも低タンパク質となる低タンパク質飲食品を提供することができる。これにより、腎臓病用(腎臓病患者及びその予備軍も含む)飲食品組成物の設計方法及び製造方法も提供することができる。
ところで、腎臓病患者は、腎臓への負荷が高いタンパク質の摂取を少なくする必要があるため、タンパク質摂取量の厳密な管理が要求される。例えば、腎機能障害のステージG1以上では、1日当たりのタンパク質摂取量が1.3g/kgBWを超えないことが推奨されており、さらに、G3b〜G5の慢性腎臓病患者の場合、1日当たりのタンパク質摂取量は、通常0.6〜0.8g/kgBWの範囲内に近づけることが好ましいとされている。したがって、腎臓病患者にとっては、アミノ酸構成のバランスに優れた良質なタンパク質を摂取することが望まれる。また、腎臓病ステージG1以上でなくとも、その予備軍でも無理なく適切にタンパク質摂取量を減らすことで、腎臓病の進行をより遅らすことも可能となる。
本技術の設計方法によって、後記実施例に示すように、カゼインタンパク質とホエイタンパク質を所定の混合比率で調整することによってタンパク質の代謝要求量を10%低減させることができた。このことは、体重50kgのヒトにおいて、1日当たりの総タンパク質摂取量を5g低減でき、腎溶質負荷を20mOsm/L低減できることを示すものである。
ここで、腎溶質負荷は、腎臓で排泄される溶質量(電解質、尿素など)を尿溶質濃度(mOsm)で表している。ある製品を摂取する場合に、その製品(1L)に含まれるタンパク質、電解質から計算される。タンパク質は約70%が尿素に代謝され、尿素1mg当量が1mOsmになるため、タンパク質1g摂取で、腎溶質負荷は4mOsmになるとされている。
母乳(1L)を例にすると、タンパク質11g (44mOsm)、ナトリウム150mg(7mOsm)、カリウム480mg(12mOsm)、塩素460mg(13mOsm)となり、腎溶質負荷は76mOsm/Lとなる。
そこで、ホエイタンパク質とカゼインタンパク質の混合により腎臓への負担を軽減すると考えた場合、体重50kgの方に対し、製品1Lでたんぱく質代謝要求量を満たすように設計すると、
カゼインタンパク質 1.0g/kgBW/day×50kg=50gであり、すなわち、腎溶質負荷200mOsm/Lとなる。一方、本技術の混合たんぱく質 0.9g/kgBW/day×50kg=45gであり、すなわち、腎溶質負荷 180mOsm/Lとなる。このように、本技術の混合タンパク質を用いると、単独タンパク質よりも、タンパク質を5g低減することができ、これは腎溶質負荷を20mOsm/L減らすことができることになる。
すなわち、本技術に係るカゼインタンパク質・ホエイタンパク質含有組成物は、カゼインタンパク質と同じ栄養価を維持しつつタンパク質の摂取量を低減させることにより、腎臓への負荷を低減させることができるものである。そして、本技術の飲食品組成物は、栄養価を変えずにタンパク質の代謝要求量を満たしつつ摂取量を低減することができるので、腎臓への負荷を低減させることができるため、慢性腎臓病用や腎不全等の罹患者用途により好適である。
そして、本技術の腎臓病用飲食品組成物において、カゼインタンパク質にホエイタンパク質を混合した場合には、アミノ酸スコア100以上のカゼインタンパク質の単独摂取量よりも、1日当たりの必要量をさらに少なくすることができることは新たな知見である。このときのカゼインタンパク質とホエイタンパク質との質量比は、好適は98:2〜41:59であり、より好適には57:43〜82:18であることで、複数の組み合わせの混合物の中でもアミノ酸スコアが最も高く、必要量をさらに少なくすることができるので、低タンパク質組成物として、好ましい。
本技術によれば、アミノ酸スコアが100であるタンパク質を別のタンパク質と混合させることにより、単独で摂取するよりも少ない摂取量で必要なタンパク量を賄うことができる。したがって、本技術において、腎臓病患者の腎臓への負荷を低減することができる腎臓病患者用飲食品組成物の製造方法を提供することが好適である。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
試験例1〜4:第一タンパク質及び第二タンパク質の混合組成物の調製
第一タンパク質と第二タンパク質を混合することで、アミノ酸スコアが向上するかどうかを検討した。これらのアミノ酸構成を表2に示した。また、各タンパク質に含まれる必須アミノ酸のアミノ酸相対値を表3に示した。試験例1の第二タンパク質の添加量5%刻みでの結果を、表4に示した。試験例1〜2の結果を図1に示した。
Figure 0006889435

Figure 0006889435

試験例1:カゼインタンパク質・ホエイタンパク質
第一タンパク質として、アミノ酸スコア149のカゼインタンパク質を選択した。第二タンパク質として、アミノ酸スコア121のホエイタンパク質を選択した。
第一タンパク質に第二タンパク質を添加すると、第一タンパク質単独と比較し、第二タンパク質2%から59%添加までアミノ酸スコアが向上した。このとき、第一タンパク質のカゼインタンパク質と第二タンパク質のホエイタンパク質の質量比が70〜69:30〜31のとき、アミノ酸スコア最大値170となった。また、アミノ酸スコア160のときには、第二タンパク質16%〜45%添加のときであった。
表4に示すように、カゼインの第一制限アミノ酸はSAAであるが、この第一制限アミノ酸を多く含むホエイタンパク質を添加配合することにより、この混合物のアミノ酸スコアが、カゼイン単独のアミノ酸スコアよりも向上することがわかった。
さらに、混合物中の第一制限アミノ酸がSAAから別のアミノ酸のHisに切り替わると次第にアミノ酸スコアが減少に転じて、カゼイン単独のアミノ酸スコアと逆転する混合割合もあった。
Figure 0006889435
試験例2:カゼインタンパク質・分離大豆タンパク質
第一タンパク質として、アミノ酸スコア149のカゼインタンパク質を選択した。第二タンパク質として、アミノ酸スコア122の大豆タンパク質(分離大豆タンパク質、塩分無調整)を選択した。
第一タンパク質に第二タンパク質を添加すると、第一タンパク質単独と比較し、アミノ酸スコアが低減した。カゼインタンパク質単独(100%)の方が、アミノ酸スコアが最もよかった。
試験例3:ホエイタンパク質・鶏卵の全卵
第一タンパク質として、アミノ酸スコア121のホエイタンパク質を選択した。第二タンパク質として、アミノ酸スコア159の鶏卵の全卵(生)を選択した。
第一タンパク質に第二タンパク質を添加すると、第一タンパク質単独と比較し、第二タンパク質36%添加までアミノ酸スコアが向上した。この時、第一タンパク質のホエイタンパク質と第二タンパク質の鶏卵の全卵の質量比が79〜76:21〜24のとき、アミノ酸スコア最大値167となった。
試験例4:牛肉・大豆
第一タンパク質として、アミノ酸スコア125の牛肉(和牛肉 サーロイン)を選択した。第二タンパク質として、アミノ酸スコア122の大豆タンパク質(分離大豆タンパク質、塩分無調整)を選択した。
第一タンパク質に第二タンパク質を添加すると、第一タンパク質単独と比較し、第二タンパク質93%添加までアミノ酸スコアが向上した。この時、第一タンパク質の牛肉と第二タンパク質の質量比が40〜9:60〜91のとき、アミノ酸スコア最大値127となった。
試験例5:指標アミノ酸酸化法による検討
試験例1〜4のうち、最もアミノ酸スコアが高かった混合タンパク質組成物(カゼインタンパク質:ホエイタンパク質=7:3)と、カゼインタンパク質単独における、指標アミノ酸酸化(IAAO)法によるタンパク質代謝要求量について検討を行った。
健康な成人男性10名(年齢 22.2±0.2歳、BMI 21.0±0.7kg/m)に対して、指標アミノ酸酸化法を用いて、カゼインタンパク質および混合タンパク質組成物(カゼインタンパク質:ホエイタンパク質=7:3)の代謝要求量を測定した。
まず、安静時代謝量をエアロモニタAE−310S(ミナト医科学株式会社)を用いて早朝空腹時に座位安静にて測定した。カゼインタンパク質、混合タンパク質(カゼインタンパク質:ホエイタンパク質=7:3)について、各々6通りのタンパク質摂取量(0.5,0.7,0.9,1.0,1.2,1.4g/kgBW/day)で測定するため、合計12回実験を実施した。
各実験は、実験日前の2日間の調整日と実験日の3日間に渡って実施した。
実験日前々日には3食の食事を自己管理で摂取し、実験日前日には3食の調整食を摂取した。調整食の摂取エネルギー量は被験者の平均安静時代謝量1600kcalに身体活動レベルII(1.7)を乗じて設定した。タンパク質摂取量は1.2g/kgBW/dayとし、被験者の平均体重62kgを用いた。実験日前日の21時以降、水、お茶、紅茶以外は摂取せず12時間の絶食とした。実験日当日は9時から18時まで1時間毎に実験食を摂取した。実験食のエネルギー量は安静時代謝量に身体活動レベルI(1.5)を乗じて算出した。タンパク質摂取量は、所定のタンパク質摂取量にて調整した。エネルギー源としては、ういろう、寒天、なたね油を用い、タンパク質は紅茶飲料に溶解して摂取した。13時より13C標識アミノ酸の摂取を開始し、13時では13C標識炭酸水素ナトリウムを0.176mg/kgBW、L-[1-13C]-phenylalanine (13C−Phe) (99 atom percent excess; Cambridge Isotope Laboratories)を0.66mg/kgBW経口摂取した。以降は、実験食の摂取終了時まで実験食とともに13C−Pheを1.20mg/kgBWずつ摂取した。呼気の回収は13時より開始後、実験食摂取終了1時間後まで30分または1時間毎に呼気回収バッグに回収した。
回収した呼気サンプルは赤外分光分析装置POCone(大塚電子株式会社)を用いて、呼気中13COを測定した。呼気分析の結果は13時の13CO量をPre値とし、各時間の測定値からPre値を引いた値をΔ13CO(‰/kgBW)として算出した。Δ13COが安定した18:30と19:00の平均Δ13COとタンパク質摂取量との関係から屈曲点を求め、得られた屈曲点を代謝要求量とした。
その結果(表5及び図2参照)、カゼインタンパク質の代謝要求量は1.00g/kgBW/day、混合タンパク質(カゼインタンパク質:ホエイタンパク質=7:3)の代謝要求量は0.90g/kgBW /dayであった。
これにより、異なるタンパク質を混合させ、アミノ酸スコアを向上させたタンパク質混合組成物は、タンパク質代謝要求量も低減させることができることが認められた。
Figure 0006889435
このことより、アミノ酸スコアが100以上である第一タンパク質を構成するアミノ酸群の中で第一制限アミノ酸となる当該アミノ酸を補うことが可能な第二タンパク質(タンパク質及び/又は当該由来の分解物・ペプチド)を選択することが重要であることを確認できた。
次いで、第一タンパク質に第二タンパク質を配合しながら前記第一制限アミノ酸含量がより高くなるようにしつつ、かつタンパク質代謝要求量が低くなるように質量比を設計することが重要であることを確認できた。
特に、第一制限アミノ酸含量がより高くなるように設計した複数タンパク質を混合したタンパク質組成物は、指標アミノ酸酸化法を用いた測定法において、タンパク質単独よりも、タンパク質代謝要求量が低減されていることを確認できた。これにより、より少ない量で良質なタンパク質を体内に効率よく摂取吸収できると考えた。また、カゼインタンパク質とホエイタンパク質とを7:3の質量比で混合したタンパク質組成物では、代謝要求量が0.1g減少したことから、前記のとおり、体重50kgの場合の1日のタンパク質摂取量を5g低減することができ、腎溶質負荷を20mOsm/L減らすことができる。
すなわち、以下の(1)〜(3)の手順に従って、タンパク質組成物の設計を行うことで、アミノ酸スコアが向上したタンパク質混合物を得ることができる。
(1)各タンパク質の構成アミノ酸割合及びアミノ酸スコアを計算し、アミノ酸スコアが100以上のタンパク質を第一タンパク質に選定する。
(2)第二タンパク質は、第一タンパク質の第一制限アミノ酸について、第一タンパク質より多く含むタンパク質を選定する。
(3)第一タンパク質と第二タンパク質の構成アミノ酸組成を基に、配合割合を変化させて、各配合割合におけるタンパク質組成物のアミノ酸スコアを計算し、第一タンパク質単独及び第二タンパク質単独のアミノ酸スコアと比較し、より高いアミノ酸スコアとなるように質量比を決定する。
さらに、より高いアミノ酸スコアとなるタンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が、第一タンパク質のタンパク質代謝要求量よりも、低くなることを、指標アミノ酸酸化法により測定して確認する。
そして、この設計方法によって、アミノ酸スコア100以上のタンパク質を単独よりも、タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物を設計できる。さらに、この設計されたタンパク質組成物を基礎として、当該組成物に使用した各タンパク質を原料として用いて、タンパク質含有飲食品組成物又は低タンパク飲食品を製造することができる。さらに、適宜用途に応じたタンパク質代謝要求量を低減した飲食品組成物を提供することができる。

Claims (9)

  1. 以下の工程を含む、タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物の設計方法;
    (1)アミノ酸スコアが100以上である第一タンパク質を選択する工程、
    (2)前記第一タンパク質の第一制限アミノ酸を補うことが可能な第二タンパク質を選択する工程、
    (3)前記第一タンパク質と前記第二タンパク質とを混合して得られるタンパク質組成物を設計する工程であって、前記タンパク質組成物の第一制限アミノ酸含量が第一タンパク質よりも高く、かつ前記タンパク質組成物のタンパク質代謝要求量が第一タンパク質よりも低くなる質量比を決定する工程。
  2. 前記第一タンパク質が、乳タンパク質である、請求項1記載の設計方法。
  3. 前記第二タンパク質が、食用タンパク質群、並びに当該由来の分解物及びペプチドから選択される1種又は2種以上のものである、請求項1又は2記載の設計方法。
  4. 前記代謝要求量が、指標アミノ酸酸化法により測定するものである、請求項1〜3の何れか1項記載の設計方法。
  5. 前記第一制限アミノ酸が、リジン、ヒスチジン、芳香族アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、含硫アミノ酸、バリン、スレオニン及びトリプトファンから選択されるものである、請求項1〜4の何れか1項記載の設計方法。
  6. 前記第一タンパク質がカゼインタンパク質であり、前記第二タンパク質がホエイタンパク質、並びに当該由来の分解物及びペプチドから選択される1種又は2種以上のものである、請求項1〜5の何れか1項記載の設計方法。
  7. 前記カゼインタンパク質と前記ホエイタンパク質との質量比が、カゼインタンパク質:ホエイタンパク質=98:2〜41:59である、請求項6記載の設計方法。
  8. 請求項1〜7の何れか1項記載の設計方法に基づき、設計されたタンパク質組成物を原料にして、タンパク質含有飲食品組成物を製造する方法。
  9. 前記タンパク質含有飲食品組成物が、腎臓病患者用低タンパク質飲食品である、請求項8記載の製造方法。

JP2017154225A 2017-08-09 2017-08-09 タンパク質代謝要求量を低減させたタンパク質組成物の設計方法、及び当該設計方法に基づくタンパク質含有飲食品組成物の製造方法 Active JP6889435B2 (ja)

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