JP6886873B2 - 地盤の表面波の位相速度推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルのピーク波数に基づいて各観測点における所定周波数ごとの位相速度を求める地盤の表面波の位相速度推定方法に関する。
従来の微動アレイ探査法を用いた地盤構造の探査方法としては、例えば周波数−波数スペクトル解析手法(以下、「F−K法」という)を用いて微動観測によって地盤の表面波の位相速度を推定することで地下構造を推定する方法がある(例えば、特許文献1及び非特許文献2)。
観測対象である微動は、地球表面において常時生じている微弱な振動であり、常時微動とも呼ばれる。微動は、工場の操業、交通機関の運行、工事等の様々な人間活動によって生じる人工的な振動源の他、風、気圧変化、波浪等の自然現象によって生じる振動源がある。一般に、周期1秒(1Hz)以下の短周期の微動は人間活動により、それよりも長周期の微動は自然現象によるものが優勢であると考えられる。
微動アレイ探査法は、この微動を高感度の加速度計で観測するもので、複数の加速度計を所定の間隔で配置し、同時に微動を観測するものである。加速度計が配置される観測点は、円の中心とその円周上に配置する円形アレイや正三角形の頂点に配置する正三角形アレイ等を採用することができる。
F−K法は、調査対象としている地盤の微動アレイ観測データから、周波数−波数パワースペクトル(以下、「FKパワースペクトル」という)の推定値が極大となる波数を周波数ごとに探索し、探索結果の波数(以下、「ピーク波数」という)を基に表面波の位相速度を推定する。
しかしながら、従来のF−K法においては、図3のようなコンター図のピークを検出することをピーク波数探索の基本方針としている。ピーク波数の探索をパラメータ(この場合、波数)の組み合わせ最適化問題と捉えた場合、従来のF−K法のこのような手順は、総当たり方式(Brute−force search)の最適化アルゴリズムに相当し、最適値(この場合、ピーク波数)の探索効率が極めて低い。
特開平11−287865号公報
Capon, J.著、「High Resolution Frequency−Wavenumber Spectrum Analysis.」、Publication: Proc. IEEE, Volume 57, p. 1408−1418
本発明は、微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルからピーク波数を求める手順を効率化して、より少ない計算量でピーク波数を推定することができる位相速度推定方法
を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本適用例に係る地盤の表面波の位相速度推定方法は、
微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルのピーク波数に基づいて各観測点における所定周波数ごとの位相速度を求める位相速度推定方法において、
微動アレイ探査で得られた微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた行列の固有値と前記固有値に対応する固有ベクトルとを演算する第1処理と、
前記第1処理で得られた前記固有ベクトルの中から前記固有値の最大固有値に対応する固有ベクトルを最大固有ベクトルとして選択する第2処理と、
前記最大固有ベクトルに対応する波数を演算する第3処理と、
前記波数を前記FKパワースペクトルの前記ピーク波数に置き換えて各測定点における位相速度を演算する第4処理と、
を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルのピーク波数を求める手順を効率化して、より少ない計算量でピーク波数を推定することができる。
[適用例2]
本適用例に係る地盤の表面波の位相速度推定方法において、
前記第1処理は、下記式(1)で表される前記行列の前記固有値と前記固有ベクトルとを演算し、
前記第2処理は、前記第1処理で得られた前記固有値の中から前記最大固有値を求め、前記最大固有値に対応する前記最大固有ベクトルを選択することができる。
Figure 0006886873
本適用例によれば、微動アレイ探査で得られた各測定点間の微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた上記式(1)の行列から最大固有ベクトルを求めることができる。
[適用例3]
本適用例に係る地盤の表面波の位相速度推定方法において、
前記第3処理は、前記最大固有ベクトルから下記式(2)及び下記式(3)により前記波数を演算することができる。
Figure 0006886873
Figure 0006886873
本適用例によれば、微動アレイ探査で得られた各測定点間の微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた上記式(1)の行列の最大固有ベクトルを用いることでピーク波数を効率化的に、より少ない計算量で推定することができる。
[適用例4]
本適用例に係る地盤の表面波の位相速度推定方法において、
前記第4処理は、下記式(4)により前記波数から前記位相速度を演算することができる。
Figure 0006886873
本適用例によれば、推定したピーク波数から位相速度を演算することができる。
本発明によれば、FKパワースペクトルのピーク波数を求める手順を効率化して、より少ない計算量でピーク波数を推定することができる地盤の表面波の位相速度推定方法を提供することができる。
本実施形態及び従来例に係る加速度計の配置の一例を示す平面図である。 従来例に係るFKパワースペクトルのピーク波数を求める工程を示すフローチャートである。 従来例に係るFKパワースペクトルの一例を示すコンター図である。 本実施形態に係るFKパワースペクトルのピーク波数を求める工程を示すフローチャートである。 実施例1と比較例1(MLM法)との解析結果の比較を示す図である。 実施例2及び比較例2に係る加速度計の配置を示す平面図である。 実施例2と比較例2(MLM法)との解析結果の比較を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
微動アレイ探査法を用いた地盤構造の探査方法であるF−K法を用いて微動観測による地盤の表面波の位相速度推定方法について説明する。位相速度推定方法によれば、周波数(周期)によって位相速度が変わる分散の性質を用いて地下構造を推定することができる。位相速度の分散は地下構造と密接に関係しているため、地表に二次元的に展開した振動観測網により微動を観測し、観測した微動から観測地点直下の地下構造を反映した表面波の位相速度の特定を行い、特定された位相速度の逆解析から分散をもたらした地下構造を推定することができる。
本実施形態の位相速度推定方法は、従来のF−K法におけるピーク波数を求める過程を求める手順を効率化してピーク波数を推定するものであるので、まず、従来のF−K法におけるピーク波数の求め方について説明した後に、本実施形態について説明する。
1.従来のF−K法におけるピーク波数の求め方
図1〜図3を用いて、従来のF−K法におけるピーク波数の求め方について説明する。図1は本実施形態及び従来例に係る加速度計10の配置の一例を示す平面図であり、図2は従来例に係るFKパワースペクトルのピーク波数を求める工程を示すフローチャートであり、図3は従来例に係るFKパワースペクトルの一例を示すコンター図である。
図1に示すように、加速度計10は、例えば、中心となる観測点に1つ配置されると共に、中心を同じくする3つの円周上の3つの観測点にそれぞれ等間隔に配置され、円周上の加速度計10が3つの正三角形の頂点となるように配置される。また、加速度計10のアレイ形状は、このアレイ形状に限られるものではなく、微動アレイ探査法において公知のアレイ形状を採用することができる。
加速度計10は、微動である表面波を測定することができる高性能の微動計を採用することができる。一般にF−K法で採用されている市販の微動計を用いることができる。
一般に、微動アレイ探査法におけるF−K法では、FKパワースペクトル(P)を計算し、FKパワースペクトル(P)が最大となる波数を求める。FKパワースペクトル(P)が最大となる波数が、評価対象としている微動アレイデータ(以下、「微動データ」という)の波動伝播特性を表す波数であり、この波数によって微動の伝播速度(位相速度)を求めることができる。微動データは、図1のように配置した各加速度計10から得られる時系列の振動データである。
FKパワースペクトル(P)の推定方法としては、BFM(Beam Forming
Method)法、MLM(Maximum Likelihood Method)法等が知られている。
BFM法やMLM法におけるFKパワースペクトル(P)では、下記式(1)で表される、地表面上の座標(x,y)の観測点iと座標(x,y)の観測点jとの間の
複素コヒーレンスを並べた行列(C)を算出する。
Figure 0006886873
後述する本実施形態においても、図1のように配置した加速度計10から得られた微動データから上記式(1)の行列(C)を作成するまでは従来法と同様である。
例えば、BFM法におけるFKパワースペクトル(P)は、行列Cを上記式(1)、ベクトル(v)を下記式(5)のように定義すると、下記式(6)で表すことができる。
Figure 0006886873
Figure 0006886873
このFKパワースペクトル(P(k,k))が最大となる波数(k,k)が、評価対象としている微動データの波動伝播特性を表す波数であり、この波数によって微動の伝播速度(位相速度)を求めることが出来る。従来のF−K法では、このFKパワースペクトル(P)が最大となる波数(k,k)を探すために、総当たり式アルゴリズム(Brute−force search)を用いる。
図2に示すように、従来のF−K法におけるピーク波数(k,k)の求める手順は、例えば、
S100:観測された微動データから観測点i−j間の複素コヒーレンスを並べた行列(
C)を算出する。
S110:探索波数の候補(k,k)について、S100で算出された行列(C)を用いた上記式(6)に基づいてFKパワースペクトル(P)を算出する。
S120:総当たり式に波数を変えてFKパワースペクトル(P)を繰り返し計算する。ここで、総当たり探索における探索波数の候補をkについてm通り、kについてm通りで計m通り候補があるものとしている。
S130:全てのS120の計算結果からFKパワースペクトル(P)が最大となるピーク波数(k,k)を検出する。このピーク波数(k,k)を検出する際に、図3に示すコンター図を作成し、このコンター図からピーク波数(k,k)を検出してもよい。
このように、従来のF−K法では、FKパワースペクトル(P)をm回計算することになるが、実用的な精度を得るためには少なくともmは100以上であるため、計算量が多くなってしまうという課題がある。例えば、図3のコンター図の場合、ピーク値20を推定または確認するために、k=−1.6〜1.6、k=−1.6〜1.6とした場合には、それぞれの値の範囲を1,600分割して、1,600×1,600=2,560,000通りの(k,k)の組を作成し、全ての組についてFKパワースペクトル(P)を計算した上で最大値を与える(k,k)の組を求める必要がある。この手順を効率化して、より少ない計算量でピーク波数を推定するために、以下に説明する本実施形態の位相速度推定方法を用いる。
2.本実施形態の位相速度推定方法
図4を用いて、本実施形態に係る位相速度推定方法について説明する。図4は、本実施形態に係るFKパワースペクトル(P)のピーク波数(k)を求める工程を示すフローチャートである。
本実施形態に係る地盤の表面波の位相速度推定方法は、微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルのピーク波数に基づいて各観測点における所定周波数ごとの位相速度を求める位相速度推定方法において、微動アレイ探査で得られた微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた行列の固有値と前記固有値に対応する固有ベクトルとを演算する第1処理(S30)と、前記第1処理で得られた前記固有ベクトルの中から前記固有値の最大固有値に対応する固有ベクトルを最大固有ベクトルとして選択する第2処理(S30)と、前記最大固有ベクトルに対応する波数を演算する第3処理(S40,S50)と、前記波数をピーク波数と推定して各測定点における位相速度を演算する第4処理と、を含むことを特徴とする。
本実施形態によれば、微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルのピーク波数を求める手順を効率化して、より少ない計算量でピーク波数を推定することができる。
図4に示すように、本実施形態のF−K法におけるピーク波数(k)の推定値を求める具体的な手順は、例えば以下の通りである。
S10:行列(X)を算出する。行列(X)は、微動アレイの配置(例えば図1に示すような)から定まる既知の行列(R)に基づいて、下記式(7)により算出できる。行列(R)は、下記式(8)で表される。
Figure 0006886873
Figure 0006886873
S20:下記式(1)で表される行列(C)を算出する。行列(C)は、微動アレイ探査で得られた微動データより計算される各測定点間(地表面上の座標(x,y)の観測点iと座標(x,y)の観測点jとの間)の複素コヒーレンスを並べた行列である。従来のF−K法におけるS100と同様である。
Figure 0006886873
S30:第1処理として、S20で得られた行列(C)の固有値解析を行う。行列(C)はエルミート行列であるので、一般的に確立されたQR法などの固有値解析アルゴリズムを用いることで固有値と当該固有値に対応する固有ベクトルを求めることができる。次に、第2処理として、固有値解析によって得られた複数の固有値と固有ベクトルとの組の内、最も大きい値である最大固有値を探索し、最大固有値に対応する固有ベクトルを最大固有ベクトル(φ)として選択する。最大固有ベクトルは、第1処理で演算された複数の固有ベクトルの内の1つであり、説明の便宜上「最大固有ベクトル」という。
第1処理及び第2処理において、微動アレイ探査で得られた各測定点間の微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた上記式(1)の行列の最大固有ベクトルを得ることでピーク波数を効率化的に、より少ない計算量で推定することができる。
S40:第3処理は、下記式(2)により、S30で得られた最大固有ベクトル(φ)の偏角(arg)を取ってベクトル(ψ)を計算する。ベクトル(ψ)は、FKパワースペクトル(P)の最大値を与えるベクトルである。
Figure 0006886873
S50:さらに、第3処理は、S10で得られた行列(X)とS40で得られたベクトル(ψ)とを用いて下記式(3)を用いてピーク波数(kハット)を計算する。ピーク波数(kハット)は、上記従来法で総当たり式に計算して求めたピーク波数(k,k)に相当する推定値である。S10〜S50の演算は、演算手段として例えばコンピュータを用いて行う。
Figure 0006886873
第3処理によれば、微動アレイ探査で得られた各測定点間の微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた上記式(1)の行列の最大固有ベクトルを用いることでピーク波数を効率化的に、より少ない計算量で推定することができる。
そして、観測された周波数ごとのピーク波数(k)を上記S10〜S50と同様にして求める。
図4に示す位相速度の推定方法によれば、図2に示す従来のMLM法に比べ、FKパワースペクトル(P)を総当たり式に計算してピーク波数を求める手順を大幅に効率化して、より少ない計算量でピーク波数を推定することができる。観測点数がnのとき、従来法においてFKパワースペクトル(P)を求める計算に要する計算量がnのオーダーであり、従来法ではそれをm回繰り返すので全体の計算量はmのオーダー、このときmは少なくとも100以上であり、どんなに観測点が多い場合でもmはnよりも大きい。したがって、従来法の計算法は少なくともn以上のオーダーである(なぜならnはn以上だからである)。一方、図4に示すS30〜S50の計算量はnのオーダーであって、従来法に比べると少なくとも1/n以下の計算量でピーク波数を求めることが出来る。
また、従来法では、波数の探索範囲・探索の細かさ(上記の「m」)の設定には、ある程度の経験もしくは試行錯誤を必要としたが、本実施形態の手順では、そのような経験や試行錯誤を要する部分はない。
次に、第4処理は、下記式(4)によりS50で算出されたピーク波数(k)から位相速度(c)を演算する。ピーク波数(k)から位相速度(c)を演算する方法は、従来も全く変わらないため、詳細な説明は省略する。
Figure 0006886873
第4処理によれば、推定したピーク波数から位相速度を演算することができる。
このように、微動アレイ探査で得られた各測定点間の微動データの行列(C)の最大固有ベクトル(φ)から各周波数(f)のピーク波数(k)を演算して推定することができる。さらに、観測された周波数(f)の範囲で計算を繰りかえすことで、各周波数(f)における推定ピーク波数(k)を演算することができる。
3.本実施形態の定義式の説明
本実施形態に係るピーク波数を得るための計算式が上記式(3)となる理由について説明する。本実施形態に係るFKパワースペクトル(P(k,k))の定義式は、上述した従来のBFM法における上記式(5)及び式(6)の定義式を一部修正し、下記式(9)及び下記式(10)のように置くことができる。
Figure 0006886873
Figure 0006886873
ここで定義しているベクトル(w)は、上述の従来法のベクトル(v)に対し、実際の微動データの特徴である測定誤差や距離減衰の影響を表現したパラメータ(ε)を導入した、自然な拡張になっている。そのため、従来よりも微動アレイ観測の実情に即した表現になる。
また、上記式(1)の行列(C)はエルミート行列であるので、エルミート行列の性質から、任意の複素数ベクトル(w)について下記式(11)の関係が成り立つ。行列(C)の最大固有ベクトル(φ)を求めれば、それが即ち求める最適なベクトルである。
Figure 0006886873
次に、最大固有ベクトル(φ)とこれに対応する波数ベクトル(k)の関係式を求める。最大固有ベクトル(φ)の偏角をとり、これを並べたベクトル(ψ)は、上記式(9)のベクトル(w)の定義式より、下記式(12)の関係が成り立つ。
Figure 0006886873
表記の簡略化のために、行列(R)、ベクトル(k)、ベクトル(ψ)を下記式(8)、(13)、(2)、(14)の通りに定義すれば、上記式(12)は下記式(14)のように表すことができる。
Figure 0006886873
Figure 0006886873
Figure 0006886873
Figure 0006886873
上記式(14)において、行列(R)は微動アレイの配置から定まる既知の行列であるので、上記式(14)右辺の行列(R)を左辺に移すことによって下記式(3)が得られ
る。
Figure 0006886873
また、従来法では、ピーク波数の信頼性について検証する方法が、FKパワースペクトルのコンター図を作成して、ピークが明瞭であるか、または、ピークが単一の位相速度を示しているかを人の目で見て確認するしかないが、上記の定義式の説明から理解できるように、本実施形態では定量的に評価することができる。具体的には、本実施形態では上記式(9)のε項がゼロに近いか否かで測定データと理論との整合性が定量的に評価でき(ゼロに近い方が理論との整合が良い)、また行列(C)の最大固有値とそれ以外の固有値との大小比によって単一のピークが卓越しているかそうでないか定量的に評価できる(最大固有値が、他の固有値に比してより大きい値になっているほど、単一のピークが卓越していることになる)。
(1)実施例1
実施例1として、図1に示すアレイ配置により、微動アレイ探査を行い、図4のフローチャートに従って推定ピーク波数を求めて、位相速度を推定した。図1に示すアレイ配置は最大円の半径が10mであり、微動アレイ測定は、データ長を20分、サンプリングレートを500Hzとした。
また、比較例1として、実施例1と同様に微動アレイ探査を行い、従来のMLM法(Maximum Likelihood Method)による位相速度を推定した。MLM法は、従来のF−K法によるFKパワースペクトルの推定方法のBFM法(Beam Forming Method)よりも分解能が高いことが知られている。比較例1は、図2のフローチャートに従って、図3のようなコンター図を作成した上で、ピーク波数を検出した。
図5に、実施例1及び比較例1(MLM法)の解析結果の比較を示した。図5において、太く薄い色の線が比較例1のMLM法による位相速度の推定値であり、細く濃い線が実施例1のD法(Direct Method)による位相速度の推定値である。図5の横軸は、周波数(Hz)、縦軸は上のグラフが位相速度(m/s)であり、下のグラフが微動の到来方向(Deg.)である。
図5の通り、実施例1の位相速度の推定値及び到来方向は、比較例1の従来のMLM法による位相速度の推定値及び到来方向とほぼ一致していた。したがって、実施例1の方法によれば、比較例1のMLM法の解析精度を保ちつつ、MLM法より手順を簡略化できていることが確認できた。
(2)実施例2
実施例2として、図6に示すアレイ配置(図1とは異なる)により、微動アレイ探査を行い、図4のフローチャートに従って推定ピーク波数を求めて、位相速度を推定した。図6は、実施例2及び従来例2に係る加速度計10の配置の一例を示す平面図である。図6に示すアレイ配置は、半径2mの円周上に5つの加速度計10を等間隔で配置すると共に、その円の中心にも1つの加速度計10を配置した。微動アレイ測定は、データ長を20分、サンプリングレートを500Hzとした。
比較例2として、実施例2と同様に微動アレイ探査を行い、従来のMLM法による位相速度を推定した。
図7に、実施例2及び比較例2(MLM法)の解析結果の比較を示した。図7において、太く薄い線が比較例2のMLM法による位相速度の推定値であり、細く濃い線が実施例2のD法(Direct Method)による位相速度の推定値である。図7の横軸は、周波数(Hz)、縦軸は上のグラフが位相速度(m/s)であり、下のグラフが微動の到来方向(Deg.)である。
図7の通り、実施例2の位相速度の推定値及び到来方向は、比較例2の従来のMLM法による位相速度の推定値及び到来方向とほぼ一致していた。したがって、実施例2のアレイ配置によっても、比較例2のMLM法の解析精度を保ちつつ、MLM法より手順を簡略化できていることが確認できた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…加速度計、20…ピーク値

Claims (4)

  1. 微動アレイ探査におけるFKパワースペクトルのピーク波数に基づいて各観測点における所定周波数ごとの位相速度を求める位相速度推定方法において、
    微動アレイ探査で得られた微動データより計算される各測定点間の複素コヒーレンスを並べた行列の固有値と前記固有値に対応する固有ベクトルとを演算する第1処理と、
    前記第1処理で得られた前記固有ベクトルの中から前記固有値の最大固有値に対応する固有ベクトルを最大固有ベクトルとして選択する第2処理と、
    前記最大固有ベクトルに対応する波数を演算する第3処理と、
    前記波数を前記FKパワースペクトルの前記ピーク波数に置き換えて各測定点における位相速度を演算する第4処理と、
    を含むことを特徴とする、地盤の表面波の位相速度推定方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1処理は、下記式(1)で表される前記行列の前記固有値と前記固有ベクトルとを演算し、
    前記第2処理は、前記第1処理で得られた前記固有値の中から前記最大固有値を求め、前記最大固有値に対応する前記最大固有ベクトルを選択することを特徴とする、地盤の表面波の位相速度推定方法。
    Figure 0006886873
  3. 請求項1または2において、
    前記第3処理は、前記最大固有ベクトルから下記式(2)及び下記式(3)により前記波数を演算することを特徴とする、地盤の表面波の位相速度推定方法。
    Figure 0006886873
    Figure 0006886873
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記第4処理は、下記式(4)により前記波数から前記位相速度を演算することを特徴とする、地盤の表面波の位相速度推定方法。
    Figure 0006886873
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