以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、3次元のグローバル座標系を設定して各部の位置関係について説明する。所定面のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する所定面のY軸と平行な方向をY軸方向とし、X軸及びY軸のそれぞれと直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。所定面はXY平面を含む。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る視線検出装置100の一例を模式的に示す斜視図である。視線検出装置100は、例えば発達障がいの診断を支援する診断支援装置に使用される。
[視線検出装置の概要]
図1に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、光源103とを備える。
表示装置101は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)又は有機ELディスプレイ(OELD:organic electroluminescence display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。
本実施形態において、表示装置101の表示画面101Sは、XY平面と実質的に平行である。X軸方向は表示画面101Sの左右方向であり、Y軸方向は表示画面101Sの上下方向であり、Z軸方向は表示画面101Sと直交する奥行方向である。
ステレオカメラ装置102は、被験者を撮影して被験者の画像データを取得する。ステレオカメラ装置102は、異なる位置に配置された第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを有する。ステレオカメラ装置102は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102BとはX軸方向に配置される。第1カメラ102Aは、第2カメラ102Bよりも−X方向に配置される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bはそれぞれ、赤外線カメラを含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。
光源103は、検出光を射出する。光源103は、異なる位置に配置された第1光源103A及び第2光源103Bを含む。光源103は、表示装置101の表示画面101Sよりも下方に配置される。第1光源103Aと第2光源103BとはX軸方向に配置される。第1光源103Aは、第1カメラ102Aよりも−X方向に配置される。第2光源103Bは、第2カメラ102Bよりも+X方向に配置される。第1光源103A及び第2光源103Bはそれぞれ、LED(light emitting diode)光源を含み、例えば波長803Bは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置されてもよい。
図2は、本実施形態に係る表示装置101とステレオカメラ装置102と光源103と被験者の眼球111との位置関係を模式的に示す図である。
光源103は、検出光である赤外光を射出して、被験者の眼球111を照明する。ステレオカメラ装置102は、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第2カメラ102Bで眼球111を撮影し、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第1カメラ102Aで眼球111を撮影する。
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方からフレーム同期信号が出力される。第1光源103A及び第2光源103Bは、フレーム同期信号に基づいて検出光を射出する。第1カメラ102Aは、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを取得する。第2カメラ102Bは、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを取得する。
眼球111に検出光が照射されると、検出光の一部は瞳孔112で反射する。瞳孔112で反射した光は、ステレオカメラ装置102に入射する。また、眼球111に検出光が照射されると、角膜反射像113が眼球111に形成される。角膜反射像113は、角膜表面における光源103の反射像である。角膜反射像113からの光は、ステレオカメラ装置102に入射する。
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bと第1光源103A及び第2光源103Bとの相対位置が適切に設定されることにより、瞳孔112からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は低くなり、角膜反射像113からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は高くなる。すなわち、ステレオカメラ装置102で取得される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。ステレオカメラ装置102は、取得される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置及び角膜反射像113の位置を検出することができる。
[ハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係る視線検出装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、光源103と、コンピュータシステム20と、入出力インターフェース装置30と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60と、音声出力装置70とを備える。コンピュータシステム20は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bを含む。コンピュータプログラム20Cが記憶装置20Bに記憶されている。
コンピュータシステム20と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60と、音声出力装置70とは、入出力インターフェース装置30を介してデータ通信する。
演算処理装置20Aは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置20Bは、ROM(read only memory)のような不揮発性メモリ又はRAM(random access memory)のような揮発性メモリを含む。演算処理装置20Aは、記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cに従って演算処理を実施する。
駆動回路40は、駆動信号を生成して、表示装置101、ステレオカメラ装置102、及び光源103に出力する。また、駆動回路40は、ステレオカメラ装置102で取得された眼球111の画像データを、入出力インターフェース装置30を介してコンピュータシステム20に供給する。
出力装置50は、フラットパネルディスプレイのような表示装置を含む。なお、出力装置50は、印刷装置を含んでもよい。入力装置60は、操作されることにより入力データを生成する。入力装置60は、コンピュータシステム用のキーボード又はマウスを含む。なお、入力装置60が表示装置である出力装置50の表示画面に設けられたタッチセンサを含んでもよい。音声出力装置70は、スピーカを含み、例えば被験者に注意を促すための音声を出力する。
本実施形態においては、表示装置101とコンピュータシステム20とは別々の装置である。なお、表示装置101とコンピュータシステム20とが一体でもよい。例えば視線検出装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含む場合、タブレット型パーソナルコンピュータに、コンピュータシステム20、入出力インターフェース装置30、駆動回路40、及び表示装置101が搭載されてもよい。
図4は、本実施形態に係る視線検出装置100の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、入出力インターフェース装置30は、入出力部302を有する。駆動回路40は、表示装置101を駆動するための駆動信号を生成して表示装置101に出力する表示装置駆動部402と、第1カメラ102Aを駆動するための駆動信号を生成して第1カメラ102Aに出力する第1カメラ入出力部404Aと、第2カメラ102Bを駆動するための駆動信号を生成して第2カメラ102Bに出力する第2カメラ入出力部404Bと、第1光源103A及び第2光源103Bを駆動するための駆動信号を生成して第1光源103A及び第2光源103Bに出力する光源駆動部406とを有する。また、第1カメラ入出力部404Aは、第1カメラ102Aで取得された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。第2カメラ入出力部404Bは、第2カメラ102Bで取得された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。
コンピュータシステム20は、視線検出装置100を制御する。コンピュータシステム20は、画像データ取得部202と、入力データ取得部204と、画像処理部206と、表示制御部208と、光源制御部210と、カメラ制御部211と、位置検出部212と、曲率中心算出部214と、視線検出部216と、距離データ取得部218と、記憶部220と、出力制御部222とを有する。コンピュータシステム20の機能は、演算処理装置20A、記憶装置20B、及び記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cによって発揮される。
画像データ取得部202は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102によって取得された被験者の顔の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。画像データは、ディジタルデータである。被験者の顔の画像データは、眼球111の画像データを含む。ステレオカメラ装置102は、光源103から射出された検出光が照射される被験者の顔を撮影する。画像データ取得部202は、光源103から射出された検出光が照射される被験者の顔の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。
入力データ取得部204は、入力装置60が操作されることにより生成された入力データを、入出力部302を介して入力装置60から取得する。
画像処理部206は、画像データ取得部202で取得された画像データを画像処理する。画像処理部206は、画像データを画像処理して、被験者の顔の特徴部分の画像を示す特徴部画像、及び被験者の顔に装着されたメガネにおける光源103の反射像を示すメガネ反射画像を生成する。
表示制御部208は、特定の画像を表示装置101に表示させる。本実施形態において、表示制御部208は、画像処理部206で生成された特徴部画像とメガネ反射画像とが合成された合成画像を表示装置101に表示させる。表示制御部208は、特徴部画像とメガネ反射画像とが合成された合成画像において、特徴部画像とメガネ反射画像とを異なる表示形態で表示装置101にさせる。表示装置101における表示形態は、画像の輝度、色、明度、及び彩度の少なくとも一つを含む。本実施形態において、表示制御部208は、メガネ反射画像を特徴部画像よりも強調して表示装置101に表示させる。例えば、表示制御部208は、合成画像において、メガネ反射画像を特徴部画像よりも高輝度で表示装置101に表示させる。なお、表示制御部208は、合成画像において、メガネ反射画像を特徴部画像よりも高明度で表示装置101に表示させてもよいし、高彩度で表示装置101に表示させてもよい。
光源制御部210は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bの作動状態を制御する。光源制御部210は、第1光源103Aと第2光源103Bとが異なるタイミングで検出光を射出するように第1光源103A及び第2光源103Bを制御する。また、光源制御部210は、第1光源103Aから射出される検出光の光量、及び第2光源103Bから射出される検出光の光量を制御する。第1光源103Aから射出される検出光の光量の制御は、第1光源103Aの発光強度の制御及び第1光源103Aの発光時間の制御の少なくとも一方を含む。同様に、第2光源103Bから射出される検出光の光量の制御は、第2光源103Bの発光強度の制御及び第2光源103Bの発光時間の制御の少なくとも一方を含む。本実施形態において、光源制御部210は、第1光源103Aから射出される検出光の光量と、第2光源103Bから射出される検出光の光量とが同一になるように、第1光源103A及び第2光源103Bを制御する。
カメラ制御部211は、第1カメラ入出力部404A及び第2カメラ入出力部404Bを制御して、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102の作動状態を制御する。カメラ制御部211は、第1カメラ102Aにおける検出光の露出値、及び第2カメラ102Bにおける検出光の露出値を制御する。第1,第2カメラ102A,102Bにおける検出光の露出値(exposure value)とは、検出光で照明された被験者の顔から第1,第2カメラ102A、102Bの光学系を介して撮像素子に入射する検出光の露出量をいう。第1,第2カメラ102A,102Bにおける検出光の露出値の制御は、第1,第2カメラ102A,102Bのシャッター速度の制御、及び第1,第2カメラ102A,102Bの光学系の絞り値の制御の少なくとも一方を含む。
位置検出部212は、画像データ取得部202で取得された眼球111の画像データに基づいて、瞳孔中心の位置データを検出する。また、位置検出部212は、画像データ取得部202で取得された眼球111の画像データに基づいて、角膜反射中心の位置データを検出する。瞳孔中心は、瞳孔112の中心である。角膜反射中心は、角膜反射像113の中心である。位置検出部212は、被験者の左右それぞれの眼球111について、瞳孔中心の位置データ及び角膜反射中心の位置データを検出する。
曲率中心算出部214は、画像データ取得部202で取得された眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
視線検出部216は、画像データ取得部202で取得された眼球111の画像データに基づいて、被験者の視線を検出する。被験者の視線は、被験者が見ている視線方向を示す視線ベクトルを含む。視線検出部216は、眼球111の画像データから取得された瞳孔中心の位置データ及び角膜曲率中心の位置データに基づいて、被験者の左右それぞれの眼球111の視線ベクトルを検出する。
また、視線検出部216は、検出した視線ベクトルに基づいて、被験者の注視点の位置データを検出する。本実施形態において、被験者の注視点は、被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点を含む。本実施形態において、注視点の位置データとは、グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データをいう。
距離データ取得部218は、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔との距離データを取得する。距離データ取得部218は、位置検出部212で検出された瞳孔中心の位置データに基づいて、距離データを検出する。グローバル座標系における瞳孔中心の位置データが検出されることにより、表示装置101の表示画面101Sの中心と被験者の眼球111との距離が算出される。距離データ取得部218は、表示装置101の表示画面101Sの中心と被験者の眼球111との距離を、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔との距離データとして取得する。
記憶部220は、コンピュータプログラム20C及び各種のデータを記憶する。
出力制御部222は、表示装置101、出力装置50、及び音声出力装置70の少なくとも一つにデータを出力する。出力制御部222は、例えば被験者の左右それぞれの眼球111の注視点の位置データを表示装置101又は出力装置50に表示させる。
[視線検出の原理]
次に、本実施形態に係る視線検出の原理について説明する。以下の説明では、主に曲率中心算出部214の処理の概要について説明する。曲率中心算出部214は、眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
図5及び図6は、本実施形態に係る角膜曲率中心110の位置データの算出方法を説明するための模式図である。図5は、1つの光源103Cで眼球111が照明される例を示す。図6は、第1光源103A及び第2光源103Bで眼球111が照明される例を示す。
まず、図5に示す例について説明する。光源103Cは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置される。瞳孔中心112Cは、瞳孔112の中心である。角膜反射中心113Cは、角膜反射像113の中心である。図5において、瞳孔中心112Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの瞳孔中心を示す。角膜反射中心113Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの角膜反射中心を示す。
角膜反射中心113Cは、光源103Cと角膜曲率中心110とを結ぶ直線上に存在する。角膜反射中心113Cは、角膜表面と角膜曲率中心110との中間点に位置付けられる。角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。
角膜反射中心113Cの位置データは、ステレオカメラ装置102によって検出される。角膜曲率中心110は、光源103Cと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線上に存在する。曲率中心算出部214は、その直線上において角膜反射中心113Cからの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部220に記憶されている。
次に、図6に示す例について説明する。本実施形態においては、第1カメラ102A及び第2光源103Bと、第2カメラ102B及び第1光源103Aとは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置を通る直線に対して左右対称の位置に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置に仮想光源103Vが存在するとみなすことができる。
角膜反射中心121は、第2カメラ102Bで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心122は、第1カメラ102Aで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心124は、仮想光源103Vに対応する角膜反射中心を示す。
角膜反射中心124の位置データは、ステレオカメラ装置102で取得された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて算出される。ステレオカメラ装置102は、ステレオカメラ装置102に規定されるローカル座標系において角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを検出する。ステレオカメラ装置102について、事前にステレオ較正法によるカメラ較正が実施され、ステレオカメラ装置102の3次元のローカル座標系を3次元のグローバル座標系に変換する変換パラメータが算出される。その変換パラメータは、記憶部220に記憶されている。
曲率中心算出部214は、ステレオカメラ装置102で取得された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを、変換パラメータを使って、グローバル座標系における位置データに変換する。曲率中心算出部214は、グローバル座標系で規定される角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて、グローバル座標系における角膜反射中心124の位置データを算出する。
角膜曲率中心110は、仮想光源103Vと角膜反射中心124とを結ぶ直線123上に存在する。曲率中心算出部214は、直線123上において角膜反射中心124からの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部220に記憶されている。
図6を参照して説明したように、光源が2つある場合でも、光源が1つである場合の方法と同様の方法で、角膜曲率中心110が算出される。
角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。したがって、角膜表面の位置データ及び角膜曲率中心110の位置データが算出されることにより、角膜曲率半径109が算出される。
このように、本実施形態においては、グローバル座標系における角膜曲率中心110の位置データ、角膜反射中心124の位置データ、及び瞳孔中心112Cの位置データが算出される。
視線検出部216は、瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜曲率中心110の位置データに基づいて、被験者の視線ベクトルを検出することができる。また、距離データ取得部218は、瞳孔中心112Cの位置データに基づいて、表示装置101の表示画面と眼球111を含む被験者の顔との距離データを取得することができる。
[視線検出方法]
次に、本実施形態に係る視線検出方法の一例について説明する。図7は、本実施形態に係る視線検出方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、視線検出装置100と被験者とを適正な相対位置に調整する位置合わせ支援処理(ステップS100)と、角膜曲率中心110の位置データの算出処理及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離データの算出処理を含むキャリブレーション処理(ステップS200)と、視線検出処理(ステップS300)が実施される。
(位置合わせ支援処理)
位置合わせ支援処理について説明する。被験者の顔にメガネが装着されている場合、光源103から射出され被験者の顔に照射された検出光の少なくとも一部が、メガネのレンズで反射する可能性がある。
図8は、メガネ170を装着した被験者の瞳孔112とステレオカメラ装置102と光源103との関係を模式的に示す図である。図8は、メガネ170における光源103の反射像172の位置と被験者の瞳孔112の位置とがステレオカメラ装置102の視野領域において合致している状態を示す。図9は、ステレオカメラ装置102の視野領域においてメガネ170における光源103の反射像172の少なくとも一部が被験者の瞳孔112と重なっている状態を示す模式図である。
図8及び図9に示すように、メガネ170のレンズにおいて光源103の反射像172が形成され、ステレオカメラ装置102の視野領域において反射像172と被験者の瞳孔112とが重なる場合、ステレオカメラ装置102は、被験者の瞳孔112及び角膜反射像113の画像データを良好に取得することが困難となる。瞳孔112及び角膜反射像113が良好に検出されない場合、被験者の視線の検出精度が低下する。
図10は、メガネ170における光源103の反射像172の位置と被験者の瞳孔112の位置とがステレオカメラ装置102の視野領域において合致していない状態を示す模式図である。図10に示すように、メガネ170のレンズにおいて光源103の反射像172が形成されても、ステレオカメラ装置102の視野領域において反射像172と被験者の瞳孔112とが重ならない場合、ステレオカメラ装置102は、被験者の瞳孔112及び角膜反射像113の画像データを良好に取得することができる。瞳孔112及び角膜反射像113が良好に検出される場合、被験者の視線の検出精度の低下が抑制される。
本実施形態において、視線検出装置100は、キャリブレーション処理(ステップS200)及び視線検出処理(ステップS300)が開始される前に、メガネ170を装着した被験者とステレオカメラ装置102及び光源103との相対位置が図10に示す状態になるように、被験者又は測定者を支援する。すなわち、視線検出装置100は、キャリブレーション処理(ステップS200)及び視線検出処理(ステップS300)が開始される前に、ステレオカメラ装置102の視野領域において反射像172と被験者の眼とが重ならないように、被験者の顔の位置、顔の向き、メガネ170の位置、及びメガネ170の向きの少なくとも一つの調整を被験者又は測定者に促すための処理を実施する。
図11は、本実施形態に係る位置合わせ支援処理の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、位置合わせ支援処理(ステップS100)は、光源103から検出光を射出して被験者の顔に照射する工程(ステップS101)と、光源103から射出された検出光が照射された被験者の顔の画像データを取得する工程(ステップS102)と、取得した画像データを2値化する工程(ステップS103)と、2値化された画像データから顔の特徴部分の画像を示す特徴部画像を生成する工程(ステップS104)と、生成された特徴部画像の輝度を調整する工程(ステップS105)と、被験者の顔に装着されたメガネ170における光源103の反射像172を示すメガネ反射画像を生成する工程(ステップS106)と、特徴部画像とメガネ反射画像とを合成する工程(ステップS107)と、特徴部画像とメガネ反射画像とが合成された合成画像を表示装置101に表示させる工程(ステップS108)とを含む。
光源103から検出光が射出される(ステップS101)。検出光が照射された被験者の顔の画像データがステレオカメラ装置102によって取得される。被験者の顔の画像データは、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方によって取得される。本実施形態においては、被験者の顔の画像データが第1カメラ102Aによって取得される。なお、被験者の顔の画像データが第2カメラ102Bによって取得されてもよい。なお、第1カメラ102Aで取得された画像データ及び第2カメラ102Bで取得された画像データの両方が使用されてもよい。
画像データ取得部202は、検出光が照射された被験者の顔の画像データをステレオカメラ装置102から取得する(ステップS102)。図12は、本実施形態に係る画像データ取得部202に取得された画像データの一例を模式的に示す図である。図12は、検出光である赤外光が被験者の顔に照射されたときにステレオカメラ装置102で撮影された、画像処理が実施される前の画像データである生データ(raw data)を示す。
画像処理部206は、画像データ取得部202で取得された画像データを画像処理する。本実施形態において、画像処理部206は、画像データ取得部202で取得された画像データを2値化する(ステップS103)。図13は、本実施形態に係る2値化された画像データの一例を模式的に示す図である。
画像データの2値化とは、規定された閾値に基づいて、複数の画素からなる画像データを白と黒の2階調に変換する処理をいう。ステップS103においては、規定された第1閾値に基づいて2値化が実施される。画像処理部206は、画素の輝度が第1閾値以上である場合にはその画素を白色に置換し、画素の輝度が第1閾値未満である場合にはその画素を黒色に置換する処理を実施する。なお、2値化における第1閾値は、予め定められた固定値でもよいし、取得された画像データの複数の画素の輝度のうち最高値と最低値との中間値でもよいし、輝度分布における中間値でもよい。2値化は、2値化した結果画像の白の画素の割合に応じて第1閾値を決定するp−タイル法、輝度ヒストグラムが2つの極大値を有するときにヒストグラムの谷の底値を第1閾値とするモード法、画像の輝度ヒストグラムがある閾値で2つのクラスに分割されるときにクラス間分散が最も大きくなるように第1閾値を決定する判別分析法の少なくとも一つに基づいて実施されてもよい。
次に、画像処理部206は、2値化された画像データから顔の特徴部分の画像を示す特徴部画像を生成する(ステップS104)。本実施形態において、特徴部画像は、被験者の顔における輪郭画像を含む。図14は、本実施形態に係る被験者の顔の輪郭画像174Mの一例を模式的に示す図である。図14に示すように、本実施形態において、輪郭画像174Mは、2値化された画像データの白部分と黒部分との境界を示すエッジ画像を含む。ステップS104において生成された輪郭画像174Mの輝度は、第1閾値以上である。
特徴部画像の生成において、画像処理部206は、2値化された画像データのエッジ検出を実施する。画像データのエッジ検出とは、複数の画素からなる画像データにおいて、画素の輝度が急激に変化している境界を検出する処理をいう。画像処理部206は、例えば隣り合う画素の輝度について微分処理を実施してエッジ検出してもよいし、テンプレートマッチングによりエッジ検出してもよい。画像データのエッジ検出が実施されることにより、図14に示すような被験者の顔における輪郭画像174Mが生成される。
顔における輪郭画像174Mは、被験者の顔の輪郭画像、被験者の瞼の輪郭画像、被験者の瞳孔の輪郭画像、被験者の鼻の孔の輪郭画像、被験者の口の輪郭画像、及び被験者の顔に装着されたメガネ170の輪郭画像の少なくとも一つを含む。本実施形態において、輪郭画像174Mは、被験者又は測定者が輪郭画像174Mを見たとき、輪郭画像174Mから瞳孔の位置を認識又は推測できる画像であればよい。
次に、画像処理部206は、生成された輪郭画像174Mの輝度を調整する(ステップS105)。本実施形態において、画像処理部206は、ステップS104で生成した輪郭画像174Mの輝度を低下させる。ステップS105において生成された輪郭画像174Mの輝度は、第1閾値よりも低い。図15は、本実施形態に係る輝度が低下された輪郭画像174Mの一例を模式的に示す図である。図15は、輪郭画像174Mの輝度が50[%]に低下された例を示す。
また、画像処理部206は、被験者の顔に装着されたメガネ170における光源103の反射像172を示すメガネ反射画像を生成する(ステップS106)。図16は、本実施形態に係るメガネ反射画像172Mの一例を模式的に示す図である。本実施形態において、画像処理部206は、ステップS102で取得された画像データ(図12参照)を2値化して、メガネ反射画像172Mを生成する。
ステップS106においては、ステップS103において規定された第1閾値よりも高い第2閾値が規定される。画像処理部206は、第1閾値よりも高い第2閾値に基づいて、画像データ取得部202で取得された画像データを2値化する。画像処理部206は、画素の輝度が第2閾値以上である場合にはその画素を白色に置換し、画素の輝度が第2閾値未満である場合にはその画素を黒色に置換する処理を実施する。これにより、輝度が高い反射像172のみが抽出され、図16に示すようなメガネ反射画像172Mが生成される。
次に、画像処理部206は、ステップS104で生成されステップS105で輝度調整された輪郭画像174M(図15参照)と、ステップS106で生成されたメガネ反射画像172M(図16参照)とを合成して合成画像176Mを生成する(ステップS107)。図17は、本実施形態に係る輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとが合成された合成画像176Mの一例を模式的に示す図である。図17に示すように、合成画像176Mにおいて、メガネ反射画像172Mの輝度は、輪郭画像174Mの輝度よりも高い。
輪郭画像174Mは、輪郭を示す画素と、輪郭以外の背景を示す画素とを含む。メガネ反射画像172Mは、反射像172を示す画素と、反射像172以外の背景を示す画素とを含む。輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとの合成においては、輪郭画像174Mの画素と、その輪郭画像174Mの画素に対応するメガネ反射画像172Mの画素とが合成される。輪郭画像174Mの画素の輝度は多値であり、輪郭画像174Mのうち輪郭を示す画素は、灰色とみなすことができる。メガネ反射画像172Mのうち反射像172を示す画素は、白色とみなすことができる。輪郭画像174Mのうち輪郭以外の背景を示す画素、及びメガネ反射画像172Mのうち反射像172以外の背景を示す画素は、黒色とみなすことができる。輪郭画像174Mの画素と、その輪郭画像174Mの画素に対応するメガネ反射画像172Mの画素との合成において、白色の画素、灰色の画素、及び黒色の画素のいずれか2つの画素が合成されるとき、輝度が高い画素が合成画像176Mの画素として選択される。すなわち、輪郭画像174Mのうち輪郭を示す灰色の画素と、メガネ反射画像172Mのうち背景を示す黒色の画素とが合成される場合、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとの合成画像176Mの画素は灰色である。輪郭画像174Mのうち背景を示す黒色の画素と、メガネ反射画像172Mの画素のうち反射像172を示す白色の画素とが合成される場合、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとの合成画像176Mの画素は白色である。
表示制御部208は、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとが合成された合成画像176Mを表示装置101に表示させる(ステップS108)。メガネ反射画像172Mは、輪郭画像174Mよりも高輝度である。メガネ反射画像172Mは、第2閾値以上の高輝度であり、輪郭画像174Mは、第1閾値よりも低輝度である。本実施形態において、メガネ反射画像172Mの輝度は100[%]であり、輪郭画像174Mの輝度は50[%]である。そのため、メガネ反射画像172Mは、輪郭画像174Mよりも強調して表示装置101に表示される。
図18は、本実施形態に係る表示装置101の一例を示す図である。図18に示すように、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sにおいて、メガネ反射画像172Mと輪郭画像174Mとの合成画像176Mを表示させる第1表示領域101Aと、アニメーションを表示させる第2表示領域101Bとを形成する。図18に示すように、表示制御部208は、メガネ反射画像172Mを輪郭画像174Mよりも高輝度で表示装置101に表示させる。
本実施形態において、表示制御部208は、メガネ反射画像172Mを第2閾値以上の高輝度で表示装置101に表示させ、輪郭画像174Mを第1閾値よりも低輝度で表示装置101に表示させる。
また、本実施形態において、表示制御部208は、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとを異なる色で表示装置101に表示させる。本実施形態において、表示制御部208は、輪郭画像174Mをオレンジ色で表示し、メガネ反射画像172Mを黄色で表示する。なお、表示制御部208は、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとを異なる明度又は彩度で表示装置101に表示させてもよい。例えば、メガネ反射画像172Mが輪郭画像174Mよりも高明度又は高彩度で表示装置101に表示されてもよい。
コンピュータシステム20は、ステレオカメラ装置102で取得された被験者の顔の画像データをリアルタイムで画像処理し、表示装置101の第1表示領域101Aに表示させる。すなわち、表示装置101には、合成画像176Mの動画が表示される。
合成画像176Mが表示装置101に表示されることにより、被験者又は測定者は、表示装置101に表示された合成画像176Mを見ながら、ステレオカメラ装置102の視野領域において光源103の反射像172と被験者の眼とが重ならないように、被験者の顔の位置又は向きを調整したり、メガネ170の位置又は向きを調整したりすることができる。このように、画像処理された被験者の姿が表示装置101に表示されるため、被験者又は測定者は、違和感又は嫌悪感を抱くことなく、被験者の顔の位置又は向きを調整したり、メガネ170の位置又は向きを調整したりすることができる。
また、本実施形態においては、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sにおいて寸法及び位置が固定されたガイド線180を表示画面101Sに表示させる。本実施形態において、ガイド線180は、四角形を形成する。ガイド線180は、第1表示領域101Aにおいて、合成画像176Mと重なるように表示される。被験者又は測定者は、合成画像176Mを見ながら、被験者の眼が四角形のガイド線180の内側に配置されるように、被験者の顔の位置を調整することができる。
第2表示領域101Bには、例えば幼児健診においてアニメーションが表示される。幼児健診においては、椅子に腰掛けた保護者の膝の上に幼児が座った状態で、幼児の視線検出が実施される。視線検出装置100と幼児の顔との相対位置は、保護者が幼児の顔の位置又は向きを調整したり、測定者が視線検出装置100の位置又は向きを調整したりすることによって調整される。視線検出装置100と幼児の顔との相対位置を調整する期間において、幼児を表示装置101に注視させるために、第2表示領域101Bには、幼児の注意を引き付けるアニメーションが表示される。なお、第2表示領域102Bに表示される表示データは、動画でもよいし静止画でもよい。幼児の注意を引き付けることができる表示データであればよい。
また、本実施形態においては、表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼又は顔との距離データが距離データ取得部218に取得される。距離データ取得部218は、ステレオカメラ装置102で取得した被験者の眼球111の画像データに基づいて、瞳孔112を検出し、グローバル座標系における瞳孔中心112Cの位置を算出する。距離データ取得部218は、グローバル座標系における瞳孔中心112Cの位置を算出することにより、表示装置101の表示画面101Sの中心と被験者の眼との距離を算出することができる。
表示制御部208は、距離データ取得部218で取得された距離データを表示装置101に表示させる。
本実施形態においては、表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼との距離を示すスケール190の画像データが表示装置101に表示される。また、表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼との距離の目安として、「ちかい」、「よい」、「とおい」の文字データが表示装置101に表示される。表示制御部208は、距離データ取得部218で取得された距離データに基づいて、スケール190に沿ってインジケータ192を移動させる。表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼との距離が適正値である場合、表示制御部208は、インジケータ192を「よい」に移動させる。表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼との距離が適正値よりも短い場合、表示制御部208は、インジケータ192を「ちかい」に移動させる。表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼との距離が適正値よりも長い場合、表示制御部208は、インジケータ192を「とおい」に移動させる。
被験者の顔は、ステレオカメラ装置102の光学系の焦点位置に配置されることが好ましい。表示装置101の表示画面101Sと被験者の眼との距離についての適正値は、ステレオカメラ装置102の光学系の焦点位置に被験者の眼又は顔が配置される距離である。被験者又は測定者は、インジケータ192を見ながら、インジケータ192が「よい」に配置されるように、被験者の顔の位置を調整することができる。
以上により、位置合わせ支援処理が実施される。
(キャリブレーション処理)
次に、キャリブレーション処理について説明する。本実施形態においては、位置合わせ支援処理(ステップS100)が実施された後、角膜曲率中心110の位置データの算出処理、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離データの算出処理を含むキャリブレーション処理(ステップS200)が実施される。
図19は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。キャリブレーション処理は、角膜曲率中心110の位置データを算出すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離126を算出することを含む。
被験者に注視させるための目標位置130が設定される。目標位置130は、グローバル座標系において規定される。本実施形態において、目標位置130は、例えば表示装置101の表示画面101Sの中央位置に設定される。なお、目標位置130は、表示画面101Sの端部位置に設定されてもよい。
表示制御部208は、設定された目標位置130に目標画像を表示させる。これにより、被験者は、目標位置130を注視し易くなる。
直線131は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。直線132は、目標位置130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、直線131と直線132との交点である。曲率中心算出部214は、仮想光源103Vの位置データと、目標位置130の位置データと、瞳孔中心112Cの位置データと、角膜反射中心113Cの位置データとに基づいて、角膜曲率中心110の位置データを算出することができる。
図20は、本実施形態に係るキャリブレーション処理(ステップS200)の一例を示すフローチャートである。出力制御部222は、表示装置101の表示画面101Sに目標画像を表示させる(ステップS201)。被験者は、目標画像を注視することにより、目標位置130を注視することができる。
次に、光源制御部210は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bのうち一方の光源から検出光を射出させる(ステップS202)。ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bのうち検出光を射出した光源からの距離が長い方のカメラで被験者の眼を撮影する(ステップS203)。
次に、光源制御部210は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bのうち他方の光源から検出光を射出させる(ステップS204)。ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bのうち検出光を射出した光源からの距離が長い方のカメラで被験者の眼を撮影する(ステップS205)。
瞳孔112は、暗い部分としてステレオカメラ装置102に検出され、角膜反射像113は、明るい部分としてステレオカメラ装置102に検出される。すなわち、ステレオカメラ装置102で取得される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。位置検出部212は、取得される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置データ及び角膜反射像113の位置データを検出することができる。また、位置検出部212は、瞳孔112の画像データに基づいて、瞳孔中心112Cの位置データを算出する。また、位置検出部212は、角膜反射像113の画像データに基づいて、角膜反射中心113Cの位置データを算出する(ステップS206)。
ステレオカメラ装置102によって検出された位置データは、ローカル座標系で規定される位置データである。位置検出部212は、記憶部220に記憶されている変換パラメータを使用して、ステレオカメラ装置102で検出された瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜反射中心113Cの位置データを座標変換して、グローバル座標系で規定される瞳孔中心112Cの位置データ及び角膜反射中心113Cの位置データを算出する(ステップS207)。
曲率中心算出部214は、グローバル座標系で規定される角膜反射中心113Cと仮想光源103Vとを結ぶ直線131を求める(ステップS208)。
次に、曲率中心算出部214は、表示装置101の表示画面101Sに規定される目標位置130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線132を算出する(ステップS209)。曲率中心算出部214は、ステップS108で算出した直線131とステップS209で算出した直線132との交点を求め、この交点を角膜曲率中心110とする(ステップS210)。
曲率中心算出部214は、瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離126を算出して、記憶部220に記憶する(ステップS211)。記憶された距離は、ステップS300の視線検出において、角膜曲率中心110を算出するために使用される。
(視線検出処理)
次に、視線検出処理について説明する。視線検出処理は、キャリブレーション処理の後に実施される。視線検出部216は、眼球111の画像データに基づいて、被験者の視線ベクトル及び注視点の位置データを算出する。
図21は、本実施形態に係る視線検出処理の一例を説明するための模式図である。視線検出処理は、キャリブレーション処理(ステップS200)で求めた瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離126を用いて、角膜曲率中心110の位置を補正すること、及び補正された角膜曲率中心110の位置データを使って注視点を算出することを含む。
図21において、注視点165は、一般的な曲率半径値を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。注視点166は、キャリブレーション処理で求められた距離126を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。
瞳孔中心112Cは、キャリブレーション処理において算出された瞳孔中心を示し、角膜反射中心113Cは、キャリブレーション処理において算出された角膜反射中心を示す。
直線173は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、一般的な曲率半径値から算出した角膜曲率中心の位置である。
距離126は、キャリブレーション処理により算出した瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離である。
角膜曲率中心110Hは、距離126を用いて角膜曲率中心110を補正した補正後の角膜曲率中心の位置を示す。
角膜曲率中心110Hは、角膜曲率中心110が直線173上に存在すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離が距離126であることから求められる。これにより、一般的な曲率半径値を用いる場合に算出される視線177は、視線178に補正される。また、表示装置101の表示画面101S上の注視点は、注視点165から注視点166に補正される。
図22は、本実施形態に係る視線検出処理(ステップS300)の一例を示すフローチャートである。なお、図22に示すステップS301からステップS307までの処理は、図20に示したステップS202からステップS208までの処理と同様であるため説明を省略する。
曲率中心算出部214は、ステップS307で算出した直線173上であって、瞳孔中心112Cからの距離がキャリブレーション処理によって求めた距離126と等しい位置を角膜曲率中心110Hとして算出する(ステップS308)。
視線検出部216は、瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110Hとを結ぶ視線ベクトルを求める(ステップS309)。視線ベクトルは、被験者が見ている視線方向を示す。視線検出部216は、視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データを算出する(ステップS310)。視線ベクトルと表示装置101の表示画面101Sとの交点の位置データが、グローバル座標系で規定される表示画面101Sにおける被験者の注視点の位置データである。
視線検出部216は、グローバル座標系で規定される注視点の位置データを、二次元座標系で規定される表示装置101の表示画面101Sにおける位置データに変換する(ステップS311)。これにより、被験者が見つめる表示装置101の表示画面101S上の注視点の位置データが算出される。
[作用及び効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、位置合わせ支援処理(ステップS100)において、画像データ取得部202に取得された被験者の顔の画像データが画像処理部206において画像処理される。画像処理部206は、取得された画像データから、顔の特徴部画像174Mとメガネ反射画像172Mとを抽出して、合成画像176Mを生成する。画像処理部206において生成された合成画像176Mは、表示装置101に表示される。そのため、被験者又は測定者は、表示装置101に表示された合成画像176Mを見ながら、ステレオカメラ装置102の視野領域において光源103の反射像172と被験者の眼とが重ならないように、被験者の顔の位置又は向きを調整したり、被験者の顔に装着されているメガネ170の位置又は向きを調整したりすることができる。したがって、位置合わせ支援処理(ステップS100)の後に実施される視線検出処理(ステップS300)においては、ステレオカメラ装置102の視野領域において光源103の反射像172と被験者の眼とが重ならない状態で、視線検出が実施される。これにより、反射像172の影響が十分に抑制された状態で、瞳孔112及び角膜反射像113が良好に検出される。そのため、メガネ170を装着した被験者の視線の検出精度の低下が抑制される。
本実施形態においては、図12に示したような生データが表示装置101に表示されるのではなく、図17及び図18に示したような合成画像176Mが表示装置101に表示される。本実施形態において、被験者に照射される検出光は赤外光である。赤外光が照射されたときの被験者の顔の生データは、可視光が照射されたときの被験者の顔の生データに比べて、被験者又は測定者に違和感又は嫌悪感を与える可能性が高い。例えば、赤外光が照射されたときの被験者の顔の生データにおいては、瞳孔が白く表示されたり、血管が浮き出るように表示されたり、髭が過度に黒く表示されたりして、被験者に違和感又は嫌悪感を与える可能性が高い。
本実施形態においては、被験者の顔の生データが画像処理されて合成画像176Mが生成され、生成された合成画像176Mが表示装置101に表示される。そのため、被験者又は測定者は、違和感又は嫌悪感を抱くことなく、表示装置101に表示された合成画像176Mを見ながら、被験者の顔の位置又は向きを調整したり、メガネ170の位置又は向きを調整したりすることができる。
また、幼児健診において視線検出装置100が使用される場合、被験者及び測定者のみならず、保護者に違和感又は嫌悪感を与えることが抑制される。
また、本実施形態においては、2値化を含む画像処理により、生データからメガネ反射画像172Mが生成される。メガネ反射画像172Mが生成されることにより、メガネ170における赤外光の反射状態が明確に把握される。そのため、被験者又は測定者は、ステレオカメラ装置102の視野領域において光源103の反射像172と被験者の眼とが重ならないように、被験者の顔の位置又は向きを調整したり、被験者が装着しているメガネ170の位置又は向きを調整したりすることができる。
また、本実施形態においては、2値化及びエッジ検出を含む画像処理により、生データから輪郭画像174Mが生成される。上述のように、輪郭画像174Mは、被験者の顔の輪郭画像、被験者の瞼の輪郭画像、被験者の瞳孔の輪郭画像、被験者の鼻の孔の輪郭画像、被験者の口の輪郭画像、及び被験者の顔に装着されたメガネ170の輪郭画像の少なくとも一つを含む。これらの輪郭画像174Mは、被験者又は測定者がその輪郭画像174Mを見たとき、被験者の眼の位置を認識又は推測できる画像である。例えば、顔の輪郭画像が表示装置101に表示されれば、被験者又は測定者は、顔の輪郭画像に基づいて、被験者の眼のおおよその位置を認識又は推測することができる。同様に、例えば、鼻の孔の輪郭画像又はメガネ170の輪郭画像が表示装置101に表示されれば、被験者又は測定者は、鼻の孔の輪郭画像又はメガネ170の輪郭画像に基づいて、被験者の眼のおおよその位置を認識又は推測することができる。また、被験者の瞳孔の輪郭画像が表示装置101に表示されれば、被験者又は測定者は、被験者の眼の位置を認識することができる。被験者の眼の位置を認識又は推測できる輪郭画像174Mが表示装置101に表示されることにより、被験者又は測定者は、表示装置101に表示された輪郭画像174M及びメガネ反射画像172Mに基づいて、眼と反射像172との相対位置を認識することができ、ステレオカメラ装置102の視野領域において光源103の反射像172と被験者の眼とが重ならないように、被験者の顔の位置又は向きを調整したり、被験者が装着しているメガネ170の位置又は向きを調整したりすることができる。
また、本実施形態において、表示制御部208は、合成画像176Mにおいて、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとを異なる表示形態で表示装置101にさせる。上述のように、表示形態は、輝度、色、明度、及び彩度の少なくとも一つを含む。これにより、被験者又は測定者は、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとを十分に区別することができる。
また、本実施形態においては、表示制御部208は、メガネ反射画像172Mを輪郭画像174Mよりも高輝度で表示装置101に表示させる。これにより、被験者又は測定者は、メガネ反射画像172Mを迅速に認識することができる。
また、本実施形態においては、輝度についての第1閾値及び第1閾値よりも高い第2閾値が規定され、画像処理部206は、第2閾値以上の輝度のメガネ反射画像172Mを生成し、第1閾値よりも低い輝度の輪郭画像174Mを生成する。表示制御部208は、メガネ反射画像172Mを第2閾値以上の高輝度で表示装置101に表示させ、輪郭画像174Mを第1閾値よりも低輝度で表示装置101に表示させる。本実施形態においては、一例として、メガネ反射画像172Mの輝度を100[%]とした場合、輪郭画像174Mの輝度が50[%]に調整される。これにより、メガネ反射画像172Mの輝度と輪郭画像174Mの輝度との差が十分に設けられる。そのため、被験者又は測定者は、輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとを十分に区別することができる。したがって、被験者又は測定者は、表示装置101に表示された合成画像176Mを見ながら、ステレオカメラ装置102の視野領域において光源103の反射像172と被験者の眼とを合致させないための調整を円滑に実施することができる。
また、本実施形態においては、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔との距離データが表示装置101に表示される。本実施形態においては、距離データとして、スケール190及びインジケータ192が表示装置101に表示される。表示装置101に表示される距離データは、視線検出処理において、被験者の顔がZ軸方向の最適な位置に配置されるように、被験者又は測定者を支援する。したがって、被験者又は測定者は、表示装置101のインジケータ192を見ながら、表示装置101及びステレオカメラ装置102に対して最適な距離に被験者の顔を配置することができる。例えば、ステレオカメラ装置102の光学系の焦点位置が固定されている場合、被験者と表示装置101及びステレオカメラ装置102との距離が短過ぎると、視線検出処理において瞳孔112及び角膜反射像113を精度良く検出することが困難となる。また、被験者と表示装置101及びステレオカメラ装置102との距離が長過ぎると、ステレオカメラ装置102によって取得される被験者の眼の画像が小さくなってしまい、視線検出処理において瞳孔112及び角膜反射像113を精度良く検出することが困難となる。距離データが表示装置101に表示されることにより、被験者又は測定者は、表示装置101に表示された距離データを見ながら、Z軸方向において最適な位置に被験者の顔を配置することができる。
また、本実施形態においては、表示制御部208は、表示装置101の表示画面101Sにおいて寸法及び位置が固定されたガイド線180を表示画面101Sに表示させる。表示装置101に表示されるガイド線180は、視線検出処理において、被験者の顔がX軸方向及びY軸方向の最適な位置に配置されるように、被験者を支援する。これにより、被験者又は測定者は、ガイド線180に基づいて、視線検出処理において被験者の顔を最適な位置に配置することができる。
なお、本実施形態においては、第1閾値及び第1閾値よりも高い第2閾値が規定され、メガネ反射画像172Mの輝度は第2閾値以上であり、輪郭画像174Mの輝度は第1閾値よりも低いこととした。輝度について1つの閾値が規定され、メガネ反射画像172Mの輝度が閾値以上であり、輪郭画像174Mの輝度が閾値未満でもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
上述の実施形態においては、位置合わせ支援処理において、光源103から一定の光量で検出光が射出され、輝度についての第1閾値及び第1閾値よりも高い第2閾値が規定され、第1閾値よりも低輝度の輪郭画像174Mと第2閾値よりも高輝度のメガネ反射画像172Mとを画像処理によって生成する例について説明した。
本実施形態においては、光源103から射出される検出光の光量が調整され、光量が調整された検出光が被験者の顔に照射されたときにステレオカメラ装置102で取得された画像データに基づいて、輪郭画像174M及びメガネ反射画像172Mが生成される例について説明する。
本実施形態において、画像処理部206は、光源103から第1光量の検出光が射出されたときにステレオカメラ装置102で取得された被験者の顔の画像データと、光源103から第1光量よりも大きい第2光量の検出光が射出されたときにステレオカメラ装置102で取得された被験者の顔の画像データとに基づいて、輪郭画像174M及びメガネ反射画像172Mを生成する。
本実施形態においては、位置合わせ支援処理において、第1光源103Aから第1光量の検出光が射出され、第2光源103Bから第1光量よりも大きい第2光量の検出光が射出される。第1光源103Aと第2光源103Bとは検出光を交互に射出する。ステレオカメラ装置102の第2カメラ102Bは、第1光源103Aから検出光が射出されたときの被験者の顔の画像データを取得し、第1カメラ102Aは、第2光源103Bから検出光が射出されたときの被験者の顔の画像データを取得する。
光源103から射出される検出光の光量は、光源103から射出される光の総量を示す全光束[lm]又は光度[cd]を含む。光量が大きい場合、被験者の顔に照射される検出光の照度は高くなる。光量が小さい場合、被験者の顔に照射される検出光の照度は低くなる。
図23は、本実施形態に係る位置合わせ支援処理における第1カメラ102A、第2カメラ102B、第1光源103A、及び第2光源103Bの作動のタイミングを示すタイミングチャートである。図23に示すように、第1光源103Aと第2光源103Bとは検出光を交互に射出する。第1カメラ102Aは、第2光源103Bからの検出光の射出と同期して、被験者の顔の画像データを取得する。第2カメラ102Bは、第1光源103Aからの検出光の射出と同期して、被験者の顔の画像データを取得する。第1カメラ102Aが画像データを取得するときに第2光源103Bから射出される検出光の光量は、第2カメラ102Bが画像データを取得するときに第1光源103Aから射出される検出光の光量よりも大きい。
本実施形態においては、第1カメラ102Aが作動したとき、すなわち第1カメラ102Aのシャッターが開いたとき、第1カメラ102Aの撮像素子に光が入射する。撮像素子に入射した光は電気信号に変換される。電気信号はUSB(universal serial bus)信号に変換された後、第2光源103Bを作動させるためにコンピュータシステム20に転送される。すなわち、第1カメラ102Aのシャッターが開くタイミングで、第1カメラ102Aに対応した第2光源103Bから検出光が射出される。第2カメラ102B及び第1光源103Aについても同様である。
なお、本実施形態においては、暗瞳孔を検出するため、第1カメラ102Aが作動するとき、第1光源103A及び第2光源103Bのうち第1カメラ102Aから離れた位置に配置されている第2光源103Bから検出光が射出され、第2カメラ102Bが作動するとき、第1光源103A及び第2光源103Bのうち第2カメラ102Bから離れた位置に配置されている第1光源103Aから検出光が射出される。なお、明瞳孔を検出する場合、第1カメラ102Aが作動するとき、第1光源103A及び第2光源103Bのうち第1カメラ102Aに近い位置に配置されている第1光源103Aから検出光が射出され、第2カメラ102Bが作動するとき、第1光源103A及び第2光源103Bのうち第2カメラ102Bに近い位置に配置されている第2光源103Bから検出光が射出される。
なお、第1カメラ102A及び第2光源103Bが作動した後、第2カメラ102B及び第1光源103Aが作動するまでの時間は短く、第2カメラ102B及び第1光源103Aが作動した後、第1カメラ102A及び第2光源103Bが作動するまでの時間は長い。第1カメラ102A及び第2光源103Bが作動した後、第2カメラ102B及び第1光源103Aが作動するまでの時間が短いので、ほぼ同じタイミングで左右のステレオ画像を取得することができる。
本実施形態においては、位置合わせ支援処理において、第1カメラ102Aで取得された画像データに基づいて輪郭画像174Mが生成され、第2カメラ102Bで取得された画像データに基づいてメガネ反射画像172Mが生成される。換言すれば、第2光源103Bから射出された大光量の検出光が照射された被験者の顔の画像データに基づいて輪郭画像174Mが生成され、第1光源103Aから射出された小光量の検出光が照射された被験者の顔の画像データに基づいてメガネ反射画像172Mが生成される。
第1カメラ102Aで被験者の顔の画像データを取得するとき、被験者の顔は大光量の検出光で照明されている。そのため、第1カメラ102Aで取得された画像データを規定の閾値に基づいて2値化した場合、例えば図13に示したように、2値化された画像データの複数の画素の大部分が白色に変換される。すなわち、メガネ170のみならず被験者の顔全体が白色に変換される。2値化された画像データについてエッジ検出が実施されることにより、輪郭画像174Mが生成される。
一方、第2カメラ102Bで被験者の顔の画像データを取得するとき、被験者の顔は小光量の検出光で照明されている。そのため、第2カメラ102Bで取得された画像データを規定の閾値に基づいて2値化した場合、例えば図16に示したように、2値化された画像データの複数の画素のうち反射像172に相当する画素のみが白色に変換され、被験者の顔に相当する画素は黒色に変換される。すなわち、小光量の検出光で照明された被験者の顔の画像データが2値化されることにより、メガネ反射画像172Mが生成される。
図24は、本実施形態に係る位置合わせ支援処理の一例を示すフローチャートである。
光源制御部210は、第2光源103Bから大光量の検出光を射出させる。大光量の検出光で照明された被験者の顔の画像データは、第1カメラ102Aによって取得される(ステップS111)。
画像データ取得部202は、第1カメラ102Aから画像データを取得する。画像処理部206は、第1カメラ102Aで取得された画像データである第1画像データを規定の閾値に基づいて2値化する(ステップS112)。これにより、図13に示したような画像データが生成される。
画像処理部206は、2値化された第1画像データについてエッジ検出する。これにより、図14に示したような輪郭画像174Mが生成される(ステップS113)。
次に、画像処理部206は、輪郭画像174Mの輝度調整を実施する(ステップS114)。画像処理部206は、輪郭画像174Mの輝度を低下させる。これにより、図15に示したような輪郭画像174Mが生成される。
輝度調整された輪郭画像174Mは、記憶部220に記憶される(ステップS115)。
次に、位置検出部212は、第1画像データにおける左右の眼の瞳孔中心112Cの位置を算出する(ステップS116)。
次に、光源制御部210は、第1光源103Aから小光量の検出光を射出させる。小光量の検出光で照明された被験者の顔の画像データは、第2カメラ102Bによって取得される(ステップS117)。
画像データ取得部202は、第2カメラ102Bから画像データを取得する。画像処理部206は、第2カメラ102Bで取得された画像データである第2画像データを規定の閾値に基づいて2値化する(ステップS118)。これにより、図16に示したような画像データが生成される。すなわち、第2画像データが2値化されることにより、メガネ反射画像172Mが生成される。
本実施形態において、ステップS118で使用される第2画像データを2値化するための閾値と、ステップS112で使用される第1画像データを2値化するための閾値とは、同一の値である。
生成されたメガネ反射画像172Mは、記憶部220に記憶される(ステップS119)。
次に、画像処理部206は、記憶部220に記憶されている輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとを合成する(ステップS120)。これにより、図17に示したような合成画像176Mが生成される。
次に、位置検出部212は、第2画像データにおける左右の眼の瞳孔中心112Cの位置を算出する(ステップS121)。
次に、曲率中心算出部214は、ステップS116において第1画像データに基づいて算出した瞳孔中心112Cの位置データ及びステップS121において第2画像データに基づいて算出した瞳孔中心112Cの位置データの少なくとも一方に基づいて、グローバル座標系における瞳孔中心112Cの位置を算出する(ステップS122)。
次に、距離データ取得部218は、ステップS122で算出した瞳孔中心112Cの位置データに基づいて、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔との距離データを算出する(ステップS123)。
表示制御部208は、ステップS120において生成された合成画像176Mを表示装置101に表示させる(ステップS124)。また、表示制御部208は、ステップS123で算出された距離データを表示装置101に表示させる。上述の実施形態と同様、表示制御部208は、距離データとして、スケール190及びインジケータ192を表示装置101に表示させる。
なお、位置合わせ支援処理においては、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔とのおおよその距離データが分かればよい。したがって、ステップS122においては、左右の眼の瞳孔中心112Cの位置データのうち、いずれか一方の眼の瞳孔中心112Cの位置データに基づいて、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔との距離データが算出されてもよい。あるいは、左右の眼の瞳孔中心112Cの位置データの平均値に基づいて、表示装置101の表示画面101Sと被験者の顔との距離データが算出されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、位置合わせ支援処理において、光源103から射出される検出光の光量が変更される。これにより、画像処理において使用される輝度についての閾値は1つで済む。そのため、視線検出装置100を制御するためのコンピュータプログラム20Cの簡素化が図られる。例えば、位置合わせ処理において光源103の光量を変更するだけで、位置合わせ支援処理において使用されるコンピュータプログラム20Cの内容と、視線検出処理において使用されるコンピュータプログラム20Cの内容とに大きな差異を設けなくて済む。
なお、本実施形態においては、光源103から射出される検出光の光量を制御して、輪郭画像174M及びメガネ反射画像172Mを取得することとした。すなわち、第1カメラ102Aで被験者の顔の画像データを取得するとき、被験者の顔を大光量の検出光で照明し、大光量の検出光で照明された被験者の顔の画像データに基づいて、輪郭画像174Mを生成し、第2カメラ102Bで被験者の顔の画像データを取得するとき、被験者の顔を小光量の検出光で照明し、小光量の検出光で照明された被験者の顔の画像データに基づいて、メガネ反射画像172Mを生成することとした。画像データ取得部202が検出光で照明された被験者の顔を撮影する第1,第2カメラ102A、102Bから被験者の顔の画像データを取得するとき、画像処理部206は、第1,第2カメラ102A,102Bで撮影され画像データ取得部202に取得された第1の露光量の被験者の顔の画像データと、第1の露光量よりも小さい第2の露光量の被験者の顔の画像データとに基づいて、特徴部画像174M及びメガネ反射画像172Mを生成してもよい。
第1,第2カメラ102A,102Bによって取得される被験者の顔の画像データの露光量は、光源103の発光強度、光源103の発光時間、及び第1,第2カメラ102A,102Bの露出値の少なくとも一つに基づいて調整可能である。上述のように、光源制御部210は、第1,第2光源103A、103Bの発光強度及び第1,第2光源103A,103Bの発光時間を制御することができる。カメラ制御部211は、第1,第2カメラ102A、102Bのシャッター速度及び光学系の絞り値の少なくとも一方を制御して撮像素子における露出値を制御することができる。
第1カメラ102Aで被験者の顔の画像データを取得するとき、光源制御部210が第2光源103Bの発光強度を強くしたり、光源制御部210が第2光源103Bの発光時間を長くしたり、カメラ制御部211が第1カメラ102Aのシャッター速度を遅くしたり、カメラ制御部211が第1カメラ102Aの光学系の絞り値を小さくしたりすることによって、第1カメラ102Aに取得される被験者の顔の画像データの露光量を大きくし、画像処理部206が、大きい露光量の被験者の顔の画像データに基づいて、輪郭画像174Mを生成してもよい。また、第2カメラ102Bで被験者の顔の画像データを取得するとき、光源制御部210が第1光源103Aの発光強度を弱くしたり、光源制御部210が第1光源103Aの発光時間を短くしたり、カメラ制御部211が第2カメラ102Bのシャッター速度を速くしたり、カメラ制御部211が第2カメラ102Bの光学系の絞り値を大きくしたりすることによって、第2カメラ102Bに取得される被験者の顔の画像データの露光量を小さくし、画像処理部206が、小さい露光量の被験者の画像データに基づいて、メガネ反射画像172Mを生成してもよい。
なお、本実施形態においては、輪郭画像174Mは、第1カメラ102Aによって取得される第1画像データから生成され、メガネ反射画像172Mは、第2カメラ102Bによって取得される第2画像データから生成される。輪郭画像174Mとメガネ反射画像172Mとが別々の画像データから生成されるものの、位置合わせを支援する観点から、十分な精度を有する合成画像176Mが生成される。
なお、上述の実施形態において、メガネ170のレンズは、視力調整機能を有する度付きレンズでもよいし、視力調整機能を有しない度無しレンズでもよい。また、メガネ170は、遮光機能を有してもよいし有しなくてもよい。本実施形態において、メガネ170はサングラスを含む。
また、メガネ170は被験者の顔に装着されていなくてもよい。本実施形態において、メガネ170とは、視線検出装置100と被験者の眼との間に配置された、光透過機能を有する光学部材を含む概念である。
なお、上述の実施形態において、メガネ反射画像172Mは輪郭画像174Mよりも高輝度であることとした。メガネ反射画像172Mの輝度が、輪郭画像174Mの輝度と同一でもよいし、輪郭画像174Mの輝度よりも低くてもよい。メガネ反射画像172Mの輝度と輪郭画像174Mの輝度とが近似する場合、メガネ反射画像172Mと輪郭画像174Mとは異なる色で表示されることが好ましい。
なお、上述の実施形態においては、被験者の顔の特徴部画像が、エッジ検出によって生成される輪郭画像であることとした。特徴部画像は、被験者又は測定者がその特徴部画像を見たとき、被験者の眼の位置を認識又は推測できる画像であればよく、エッジ検出によって取得される輪郭画像でなくてもよい。