以下に、本発明の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明は、本発明を限定するものではなく、適宜変更して実施可能である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置10の概略構成図である。放射性ダスト自動連続分析装置10は、配管に設けられている。ここで、配管は、主配管22と、主配管22に接続された副配管24と、を有する。詳細には、放射性ダスト自動連続分析装置10は、図1に示すように、副配管24のうち、主配管22と接続している方と反対側に接続されて、設けられている。放射性ダスト自動連続分析装置10は、主配管22の内部を流れる空気中に含まれる可能性のある放射性ダストを副配管24に取り込んで、この取り込んだ放射性ダストに含まれる可能性のあるα線核種から発生するα線を検出することで、主配管22の内部の空気の流れを妨げることなく、放射性ダストを連続でモニタリングする。また、放射性ダスト自動連続分析装置10は、主配管22の内部を流れる空気中に放射線ダストが含まれない場合、または、放射線ダストが含まれているがその放射線ダストにα線核種が含まれていない場合、その空気中にα線核種が含まれていないこと、すなわち、その空気がα線核種で汚染されていないことを、連続でモニタリングする。本実施形態では省略されているが、主配管22の内部を流れる空気を副配管24に取り込むための空気取り込み機構が設けられていてもよい。以下において、放射性ダストを、適宜、ダストと称する。
放射性ダスト自動連続分析装置10は、図1に示すように、フィルタ12と、超伝導転位端マイクロカロリメータ14と、分析処理部16と、冷却器18と、制御部20と、を含む。フィルタ12は、α線核種を含む可能性のある空気が流れる配管の内部に設けられている。フィルタ12は、配管の内部を流れる空気に含まれる可能性のあるα線核種を捕集する。詳細には、フィルタ12は、図1に示すように、副配管24の内部において、空気が流れる方向に交差して設けられている。フィルタ12は、副配管24の内部において、空気が流れる方向に直交する方向に沿って設けられていることが好ましい。このため、フィルタ12は、副配管24の内部を流れる空気に含まれる可能性のあるα線核種を捕集する。
図2は、図1においてフィルタ12が配置されている領域Aを拡大して示した概略構成図である。副配管24は、図2に示すように、副配管24aと、副配管24bと、を有する。副配管24aは、副配管24bよりも主配管22に近い方に設けられ、すなわち空気の流れる上流側に設けられ、副配管24bは、副配管24aよりも主配管22から遠い方に設けられ、すなわち空気の流れる下流側に設けられている。副配管24aは、一方の端が主配管22と接続されており、他方の端がフィルタ12で塞がれている。副配管24bは、一方の端がフィルタ12で塞がれており、他方の端が、図1に示す超伝導転位端マイクロカロリメータ14の検出面で塞がれている。すなわち、フィルタ12は、図2に示すように、副配管24aと副配管24bとの間に、副配管24aと副配管24bとの間の流路を塞ぐように設けられている。
図3は、図2においてフィルタ12が配置されている領域Bをさらに拡大して示した概略構成図である。放射性ダスト自動連続分析装置10は、図2に示すように、フォルダ26と、フォルダ保持部材28と、を含む。フォルダ26及びフォルダ保持部材28は、副配管24aと副配管24bとの間に設けられている。フォルダ26は、図2及び図3に示すように、フィルタ保持部26aと、溝部26bと、を有する。フィルタ保持部26aは、フィルタ12を保持することができる部分である。溝部26bは、フィルタ保持部26aの両側に、副配管24bと対向する側に設けられている。
フォルダ保持部材28は、図2に示すように、フォルダ保持部28aと、突条部28bと、を有する。フォルダ保持部28aは、フォルダ26を外周から保持することができる部分である。突条部28bは、フォルダ保持部材28の、フォルダ26の溝部26bと対向する位置に設けられている。
溝部26bと、突条部28bとは、互いに嵌め合わせされる形状であり、副配管24の延びる方向に抜けない形状を有する。このため、フォルダ26とフォルダ保持部材28とは、スロットイン構造を有している。すなわち、フォルダ26とフォルダ保持部材28とは、鉛直方向、すなわち図2の紙面に垂直な方向に相対的に移動させることで、着脱可能な構造を有している。また、フォルダ26とフォルダ保持部材28とは、副配管24の延びる方向、すなわち図2の紙面の横方向に相対的に移動しないような構造を有している。
フィルタ12は、フォルダ26によって保持されている。フォルダ26は、フォルダ保持部材28によって、副配管24の延びる方向に相対的に移動しないように、保持されている。このため、フィルタ12は、副配管24の内部を流れる空気の影響を受けて副配管24の延びる方向に移動することがないように、フォルダ26及びフォルダ保持部材28によって、保持されている。
フィルタ12は、フォルダ26及びフォルダ保持部材28によって、副配管24aと副配管24bとの間で、フィルタ12により副配管24aと副配管24bとの間の流路を塞ぐように、保持されている。すなわち、フォルダ26及びフォルダ保持部材28は、フィルタ12を、副配管24aと副配管24bとの間で、フィルタ12により副配管24aと副配管24bとの間の流路を塞ぐように、保持している。フィルタ12は、副配管24の内部の空気の流れを塞ぐように保持されているので、この空気に含まれるダストdを、副配管24a側の面上に捕集することができる。
フィルタ12は、一定期間ごとに交換されることが好ましい。フィルタ12は、副配管24への空気が取り込みを一旦停止して、自動又は手動で、フォルダ26ごとフォルダ保持部材28に対して鉛直方向にスライド移動させることで、フォルダ26ごと取り外される。そして、使用済みのフィルタ12は、取り外されたフォルダ26から取り外される。その後、新しいフィルタ12は、フィルタ12が取り外されたフォルダ26に取り付けられる。新しいフィルタ12が取り付けられたフォルダ26は、自動又は手動で、フォルダ26ごとフォルダ保持部材28に対して鉛直方向にスライド移動させることで、フォルダ26ごと取り付けられる。このように、フィルタ12は、交換される。なお、フィルタ12の交換の形態は、これに限定されることなく、フォルダ26のフィルタ保持部26aをいずれか一方の方向にフィルタ12の厚み分程度に貫通した貫通孔とし、この貫通孔をフィルタ12の帯が通過する状態に取り付けられ、ロールペーパー方式でフィルタ12の使用部分を次々と新しい場所に変更する形態であってもよい。
超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、図1に示すように、副配管24の空気が流れる方向に沿って、すなわちフィルタ12と直交する方向に沿って、フィルタ12に対向して設けられている。超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、TES(Transition Edge Sensor)型の検出器であり、エネルギーの流入に伴う温度上昇を敏感に検出して、温度上昇の情報を取得する。この温度上昇の情報は、流入したエネルギーの情報に変換することができ、特性X線の情報を含んでいる。このため、超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、α線核種からα線と共に放出される、α線核種に特有の低エネルギーの特性X線に伴う温度上昇を敏感に検出することで、α線核種から放出された特性X線を検出することができる。この低エネルギーの特性X線は、例えば、プルトニウムがα崩壊によってウランに変わる際に、ウランのL殻の軌道に電子が遷移して発生するX線のことを指す場合、LX線と称されることもある。超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、この特性X線と、γ線等のその他の放射線とを区別して検出することができる。
超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、検出面が、フィルタ12と直交する方向に沿って、フィルタ12に対向して設けられているので、フィルタ12のほぼ全面から、特性X線を検出することができる。
超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、分析処理部16と電気的に接続されており、α線核種からα線と共に放出される特性X線に伴う温度上昇の情報を、分析処理部16に送信する。超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、制御部20と電気的に接続され、制御部20により制御される。
この特性X線は、飛程が、α線の飛程と比較して十分に長いので、捕集したダストdを、検出器である超伝導転位端マイクロカロリメータ14の検出面に近づける必要がない。このため、特性X線を検出することでα線核種を分析するこの構成は、α線核種を自動でその場で分析することを容易にできるようにするとともに、超伝導転位端マイクロカロリメータ14の検出面の汚染を低減することができる。また、特性X線は、その波長や振動数、すなわちエネルギーが、α線核種ごとに異なる。また、特性X線は、その強度がα線核種の量に依存する。このため、特性X線を検出することでα線核種を分析するこの構成は、α線核種を精度よく分析することができる。
分析処理部16は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14と電気的に接続されている。分析処理部16は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14が検出した、α線核種からα線と共に放出される特性X線に伴う温度上昇の情報を受信し、取得する。分析処理部16は、この温度上昇の情報を、特性X線のエネルギーの情報と、特性X線の検出量の情報と、に変換する。分析処理部16は、特性X線のエネルギーの情報と、予め入力されている特性X線のエネルギーとα線核種との相関関係の情報とに基づいて、その特性X線を放出したα線核種の情報を取得する。分析処理部16は、特性X線の検出量の情報と、予め入力されている特性X線の検出量とα線核種の量との相関関係の情報とに基づいて、その特性X線を放出したα線核種の量の情報を取得する。このように、分析処理部16は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14が検出した特性X線に基づいて、α線核種を分析する。
分析処理部16は、記憶部が接続されている。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、分析処理部16により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、分析処理部16に本実施形態の放射性ダスト自動連続分析方法における分析処理を実行させるための、分析処理プログラムを記憶する。また、記憶部は、分析処理部16が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。分析処理部16は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、分析処理部16は、記憶部に記憶された分析処理プログラムを読み出して処理することで、本発明の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法に含まれる分析処理を実行する。分析処理部16は、コンピュータが例示される。
冷却器18は、図1に示すように、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に対してフィルタ12がある側とは反対側に、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に接して設けられている。すなわち、冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に対して副配管24の空気が流れる方向に設けられている。冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14を冷却する。具体的には、冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14を含む冷却領域18aの内部の領域を冷却する。冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に含まれる超伝導材料を超伝導状態まで冷却する。
冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14を可能な限り低温まで冷却することが好ましく、この場合、超伝導転位端マイクロカロリメータ14の内部の分子の運動を可能な限り低減することで、エネルギーの流入に伴う温度上昇を検出する際のバックグラウンド及びノイズを可能な限り低減することができる。このため、冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14がこの温度情報を検出する検出精度を向上させることができる。冷却器18は、液体ヘリウムを用いたヘリウム冷凍機が好ましいものとして例示され、この場合、超伝導転位端マイクロカロリメータ14を4K程度まで冷却することができる。冷却器18は、制御部20と電気的に接続され、制御部20により制御される。
制御部20は、図1に示すように、超伝導転位端マイクロカロリメータ14と、冷却器18と、電気的に接続されている。制御部20は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14と、冷却器18と、をそれぞれ制御する。
制御部20は、処理部と、記憶部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に本実施形態の放射性ダスト自動連続分析方法を実行させるための、放射性ダスト自動連続分析プログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された放射性ダスト自動連続分析プログラムを読み出して処理することで、超伝導転位端マイクロカロリメータ14及び冷却器18を適切に制御して、本実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を実行する。制御部20は、コンピュータが例示される。
分析処理部16と、制御部20に含まれる処理部とは、一体であってもよい。また、分析処理部16に接続されている記憶部と、制御部20に含まれる記憶部とは、一体であってもよい。分析処理部16と、制御部20とは、一台のコンピュータであってもよい。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を示すフローチャートである。図4を用いて、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を説明する。本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置10の動作の一例である。本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、図4に示すように、空気供給ステップ(ステップS12)と、ダスト捕集ステップ(ステップS14)と、特性X線検出ステップ(ステップS16)と、α線核種分析ステップ(ステップS18)と、を含む。
まず、主配管22の内部を流れる空気を、副配管24に供給する(ステップS12)。具体的には、主配管22からの自然の流れに任せてもよいし、空気取り込み機構により、主配管22の内部を流れる空気を副配管24に取り込んでもよい。これにより、主配管22の内部を流れていた空気が、フィルタ12を通過する。
次に、フィルタ12は、副配管24a側に向けられた表面で、主配管22の内部を流れていた空気に含まれる可能性のあるダストdを捕集する(ステップS14)。フィルタ12は、捕集されたダストdにα線核種が含まれている場合には、α線核種を捕集する。フィルタ12に捕集されたα線核種は、α線と共に、α線核種に特有の低エネルギーの特性X線を放出する。
そして、冷却器18によって冷却されている超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、制御部20の制御を受けて、フィルタ12に捕集されたα線核種から放出された特性X線を検出する(ステップS16)。具体的には、超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、この特性X線に伴う温度上昇を敏感に検出することで、α線核種から放出された特性X線を検出する。超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、α線核種からα線と共に放出される特性X線に伴う温度上昇の情報を、分析処理部16に送信する。
その後、分析処理部16は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14から、特性X線に関する情報を取得する。分析処理部16は、この特性X線に関する情報に基づいて、α線核種を分析する(ステップS18)。具体的には、まず、分析処理部16は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14が検出した、α線核種からα線と共に放出される特性X線に伴う温度上昇の情報を受信し、取得する。次に、分析処理部16は、この温度上昇の情報を、特性X線のエネルギーの情報と、特性X線の検出量の情報と、に変換する。そして、分析処理部16は、特性X線のエネルギーの情報と、予め入力されている特性X線のエネルギーとα線核種との相関関係の情報とに基づいて、その特性X線を放出したα線核種の情報を取得する。また、分析処理部16は、特性X線の検出量の情報と、予め入力されている特性X線の検出量とα線核種の量との相関関係の情報とに基づいて、その特性X線を放出したα線核種の量の情報を取得する。
放射性ダスト自動連続分析装置10及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、ステップS12からステップS18までの処理を繰り返すことで、一定時間ごとに、自動で連続して、主配管22の内部を流れる空気に含まれる可能性のあるα線核種の種類及び量を分析することができる。放射性ダスト自動連続分析装置10及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、α線核種の種類及び量を分析して明確にすることができるので、α線核種を含む可能性のある廃棄物を細かく分類し、管理し、適切に廃棄することを可能にする。
放射性ダスト自動連続分析装置10及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、以上のような構成を有するので、超伝導転位端マイクロカロリメータ14で、ダストdに含まれる可能性のあるα線核種からα線と共に放出される特性X線を検出し、分析処理部16で、特性X線に基づいて、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析することができる。ここで、特性X線は、飛程が、α線の飛程と比較して十分に長いので、捕集したダストdを検出器の検出面に近づける必要がない。このため、空気に含まれる可能性のあるα線核種を自動でその場で分析することを容易にできるようにするとともに、検出器の検出面の汚染を低減することができる。また、特性X線は、その波長がα線核種ごとに異なり、その強度がα線核種の量に依存する。このため、空気に含まれる可能性のあるα線核種を精度よく分析することができる。
また、放射性ダスト自動連続分析装置10及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気中にダストdが含まれない場合、または、空気中に含まれるダストdにα線核種が含まれない場合、特性X線が発生しないので、超伝導転位端マイクロカロリメータ14で特性X線をしないことに基づいて、その空気中にα線核種が含まれていないこと、すなわち、その空気がα線核種で汚染されていないことを、連続でモニタリングすることができる。
放射性ダスト自動連続分析装置10及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14を冷却する冷却器18と、をさらに含む。これにより、冷却器18で超伝導転位端マイクロカロリメータ14を冷却することにより、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に生じている熱振動を低減することで、超伝導転位端マイクロカロリメータ14における特性X線の測定についてのノイズを低減することができる。このため、空気に含まれる可能性のあるα線核種をより精度よく分析することができる。
放射性ダスト自動連続分析装置10及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、さらに、配管が主配管22と主配管22に接続された副配管24とを有し、フィルタ12が副配管24の空気が流れる方向に交差して設けられ、超伝導転位端マイクロカロリメータ14がフィルタ12に対して副配管24の空気が流れる方向に設けられ、冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に対して副配管24の空気が流れる方向に設けられている。このため、超伝導転位端マイクロカロリメータ14の検出面が、副配管24の空気が流れる方向に沿って、フィルタ12に対向して設けられているので、フィルタ12のほぼ全面から、特性X線を検出することができる。また、主配管22の内部における、α線核種を含む可能性のあるダストdが含まれている空気の流れを妨げることなく、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析することができる。また、主配管22の内部における空気の流れの影響を受けることが低減されるので、空気に含まれる可能性のあるα線核種を精度よく分析することができる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置30の概略構成図である。放射性ダスト自動連続分析装置30は、図5に示すように、配管の主配管46の周囲に、主配管46に向けて設けられている。放射性ダスト自動連続分析装置30は、主配管46の内部を流れる空気中に含まれる放射性ダストを、レーザ光を用いて分析することで、主配管46の内部の空気の流れを妨げることなく、放射性ダストを連続でモニタリングする。また、放射性ダスト自動連続分析装置30は、主配管46の内部を流れる空気中に放射線ダストが含まれない場合、または、放射線ダストが含まれているがその放射線ダストにα線核種が含まれていない場合、その空気中にα線核種が含まれていないこと、すなわち、その空気がα線核種で汚染されていないことを、連続でモニタリングする。
放射性ダスト自動連続分析装置30は、図5に示すように、レーザ照射器としての第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34と、光学系36と、マルチディテクタ38と、発光検出器40と、分析処理部42と、制御部44と、を含む。
第1レーザ照射器32と第2レーザ照射器34とを含むレーザ照射器は、図5に示すように、α線核種を含む可能性のある空気が内部を流れる主配管46の一方の側面側、すなわち図5における右側に、主配管46に向けて設けられている。第1レーザ照射器32は、第1レーザ光L1を照射する。第1レーザ光L1は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdに照射されることで、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光を発生させる。第2レーザ照射器34は、第2レーザ光L2を照射する。第2レーザ光L2は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdに照射されることで、α線核種を含むダストdの原子発光を発生させる。第1レーザ照射器32と第2レーザ照射器34とは、いずれも制御部44と電気的に接続されており、制御部44に制御される。なお、レーザ照射器は、本実施形態のような第1レーザ照射器32と第2レーザ照射器34とを含む形態に限定されず、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光を発生させ、かつ、α線核種を含むダストdの原子発光を発生させるものであれば、どのような形態であってもよい。
光学系36は、主配管46の他方の側面側、すなわち図5における左側に設けられている。光学系36は、主配管46を介して、主配管46の内部の空気が流れる方向に交差した方向に、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34と対向して設けられている。光学系36は、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光をマルチディテクタ38に向けて集光させる。光学系36は、集光機能を有する凸レンズ、及び、集光機能を有するレンズの組み合わせが例示される。
マルチディテクタ38は、主配管46の他方の側面側、すなわち図5における左側に設けられている。マルチディテクタ38は、主配管46及び光学系36を介して、主配管46の内部の空気が流れる方向に交差した方向に、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34と対向して、主配管46に向けて設けられている。すなわち、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34、光学系36、及びマルチディテクタ38は、この順番に、主配管46の内部の空気が流れる方向に交差した方向に、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34がそれぞれ第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を照射する方向に沿って、一列に設けられている。
マルチディテクタ38は、複数の検出器が、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34がそれぞれ第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を照射する方向に交差する面内に配列されている。マルチディテクタ38は、複数の検出器により、光学系36によって集光されたα線核種を含むダストdの散乱光または回折光を受光して検出し、散乱または回折の角度ごとに、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報を取得する。
マルチディテクタ38は、分析処理部42と電気的に接続されており、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報を、分析処理部42に送信する。マルチディテクタ38は、制御部44と電気的に接続され、制御部44により制御される。
発光検出器40は、主配管46の他方の側面側、すなわち図5における左側に設けられている。発光検出器40は、主配管46に向けて設けられている。発光検出器40は、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34、光学系36、及びマルチディテクタ38が設けられた列からずれた位置に、設けられている。発光検出器40は、α線核種を含むダストdの原子発光を受光して検出し、α線核種を含むダストdの原子発光の検出情報を取得する。
発光検出器40は、分析処理部42と電気的に接続されており、α線核種を含むダストdの原子発光の検出情報を、分析処理部42に送信する。発光検出器40は、制御部44と電気的に接続され、制御部44により制御される。
α線核種を含むダストdの散乱光、回折光及び原子発光は、いずれも、飛程が、α線の飛程と比較して十分に長いので、ダストdを、検出器であるマルチディテクタ38及び発光検出器40の検出面に近づける必要がない。このため、散乱光、回折光及び原子発光を検出することでα線核種を分析するこの構成は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を自動でその場で分析することを容易にできるようにするとともに、マルチディテクタ38及び発光検出器40の検出面の汚染を低減することができる。
α線核種を含むダストdの散乱光及び回折光は、α線核種を含むダストdの粒径に関する情報、例えば粒径分布に関する情報を含む。発明者らは、鋭意検討の結果、ダスト粒径分布とα線核種の濃度との間に依存性があることを発見した。このため、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの散乱光及び回折光を検出することで、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析するこの構成は、空気に含まれる可能性のあるα線核種の濃度を精度よく分析することができる。
空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの原子発光は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストの成分に関する情報を含む。このため、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの原子発光を検出することでα線核種を分析するこの構成は、空気に含まれる可能性のあるα線核種の成分を精度よく分析することができる。
分析処理部42は、マルチディテクタ38及び発光検出器40と電気的に接続されている。分析処理部42は、マルチディテクタ38が検出した、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報を受信し、取得する。分析処理部42は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報と、予め入力されているα線核種を含むダストdの粒径分布とα線核種の濃度との相関関係の情報とに基づいて、その散乱光または回折光を発生させた、空気に含まれる可能性のあるα線核種の濃度の情報を取得する。
分析処理部42は、発光検出器40が検出した、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの原子発光の検出情報を受信し、取得する。分析処理部42は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を含むダストdの原子発光の検出情報に基づいて、空気に含まれる可能性のあるα線核種の成分の情報を取得する。
分析処理部42は、ダストの濃度の情報と、ダストの成分の情報とに基づいて、α線核種ごとの濃度の情報を取得する。このように、分析処理部42は、マルチディテクタ38が検出した散乱光または回折光と、発光検出器40が検出した原子発光とに基づいて得られるα線核種を含むダストに関する情報を組み合わせて補完して、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析する。
分析処理部42は、記憶部が接続されている。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、分析処理部42により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、分析処理部42に本実施形態の放射性ダスト自動連続分析方法における分析処理を実行させるための、分析処理プログラムを記憶する。また、記憶部は、分析処理部42が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。分析処理部42は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、分析処理部42は、記憶部に記憶された分析処理プログラムを読み出して処理することで、本発明の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法に含まれる分析処理を実行する。分析処理部42は、コンピュータが例示される。
制御部44は、図5に示すように、第1レーザ照射器32と、第2レーザ照射器34と、マルチディテクタ38と、発光検出器40と、電気的に接続されている。制御部44は、第1レーザ照射器32と、第2レーザ照射器34と、マルチディテクタ38と、発光検出器40と、をそれぞれ制御する。
制御部44は、処理部と、記憶部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に本実施形態の放射性ダスト自動連続分析方法を実行させるための、放射性ダスト自動連続分析プログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された放射性ダスト自動連続分析プログラムを読み出して処理することで、第1レーザ照射器32、第2レーザ照射器34、マルチディテクタ38及び発光検出器40を適切に制御して、本実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を実行する。制御部44は、コンピュータが例示される。
分析処理部42と、制御部44に含まれる処理部とは、一体であってもよい。また、分析処理部42に接続されている記憶部と、制御部44に含まれる記憶部とは、一体であってもよい。分析処理部42と、制御部44とは、一台のコンピュータであってもよい。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を示すフローチャートである。図6を用いて、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を説明する。本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置30の動作の一例である。本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、図6に示すように、レーザ光照射ステップ(ステップS22)と、散乱光または回折光検出ステップ(ステップS24)と、原子発光検出ステップ(ステップS26)と、α線核種分析ステップ(ステップS28)と、を含む。
まず、第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34は、制御部44の制御を受けて、主配管46を流れる空気に含まれる可能性のあるダストdに向けて、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2をそれぞれ照射する(ステップS22)。すなわち、ステップS22は、第1レーザ照射器32により第1レーザ光L1を照射する第1レーザ光照射ステップと、第2レーザ照射器34により第2レーザ光L2を照射する第2レーザ光照射ステップと、を含む。これにより、第1レーザ光L1がダストdに照射されることで、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光が発生する。また、第2レーザ光L2がダストdに照射されることで、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、α線核種を含むダストdの原子発光が発生する。
次に、マルチディテクタ38は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、制御部44の制御を受けて、ステップS22で発生した後に光学系36で集光されたα線核種を含むダストdの散乱光または回折光を受光して検出する(ステップS24)。これにより、マルチディテクタ38は、散乱または回折の角度ごとに、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報を取得する。マルチディテクタ38は、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報を、分析処理部42に送信する。
そして、発光検出器40は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、制御部44の制御を受けて、ステップS22で発生したα線核種を含むダストdの原子発光を受光して検出する(ステップS26)。これにより、発光検出器40は、α線核種を含むダストdの原子発光の検出情報を取得する。発光検出器40は、α線核種を含むダストdの原子発光の検出情報を分析処理部42に送信する。
ステップS22、ステップS24及びステップS26は、この順番に限定されない。ステップS22における第1レーザ光照射ステップの後にステップS24が行われ、ステップS22における第2レーザ光照射ステップの後にステップS26が行われさえすれば、後はどのような順番になっても構わない。例えば、第1レーザ光照射ステップ及びステップS24と、第2レーザ光照射ステップ及びステップS26と、が並行して行われてもよい。
その後、分析処理部42は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、マルチディテクタ38から、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報を受信し、取得する。また、分析処理部42は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、発光検出器40から、α線核種を含むダストdの原子発光の検出情報を受信し、取得する。
分析処理部42は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光の検出情報と、分析処理部42に接続された記憶部に予め記憶されたα線核種を含むダストdの粒径分布とα線核種の濃度との相関関係の情報とに基づいて、その散乱光または回折光を発生させたα線核種の濃度の情報を取得する。また、分析処理部42は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、α線核種を含むダストdの原子発光の検出情報に基づいて、α線核種の成分の情報を取得する。分析処理部42は、空気にα線核種を含むダストdが含まれている場合、α線核種の濃度の情報と、α線核種の成分の情報とに基づいて、α線核種ごとの濃度の情報を取得する。このように、分析処理部42は、マルチディテクタ38が検出した散乱光または回折光と、発光検出器40が検出した原子発光とに基づいて得られるα線核種に関する情報を組み合わせて補完して、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析する。
放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、ステップS22からステップS28までの処理を繰り返すことで、一定時間ごとに、自動で連続して、主配管46の内部を流れる空気に含まれる可能性のあるα線核種ごとの濃度を分析することができる。放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、α線核種ごとの濃度を分析して明確にすることができるので、α線核種を含む可能性のある廃棄物を細かく分類し、管理し、適切に廃棄することを可能にする。
放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、以上のような構成を有するので、分析処理部42により、マルチディテクタ38で検出した空気の散乱光及び回折光に基づいて、空気に含まれる粒子の粒径分布を求め、予め求めておいた粒径分布とα線核種の濃度との相関関係から、空気に含まれる可能性のあるα線核種の濃度を分析することができる。また、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、分析処理部42により、発光検出器40で検出した空気の原子発光に基づいて、空気に含まれる可能性のあるα線核種の成分を分析することができる。ここで、空気の散乱光及び回折光と、原子発光とは、いずれも、飛程が、α線の飛程と比較して十分に長いので、捕集したダストdを検出器の検出面に近づける必要がない。このため、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気に含まれる可能性のあるα線核種を自動でその場で分析することを容易にできるようにするとともに、検出器の検出面の汚染を低減することができる。また、このため、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、分析処理部42が、空気の散乱光及び回折光に基づく分析結果と、空気の原子発光に基づく分析結果とを組み合わせて補完することで、空気に含まれる可能性のあるα線核種を精度よく分析することができる。
また、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気中にダストdが含まれない場合、または、空気中に含まれるダストdにα線核種が含まれない場合、α線核種を含むダストdの散乱光または回折光と、α線核種を含むダストdの原子発光とが発生しないので、マルチディテクタ38でα線核種を含むダストdの散乱光または回折光を検出せず、発光検出器40でα線核種を含むダストdの原子発光を検出しないことに基づいて、その空気中にα線核種が含まれていないこと、すなわち、その空気がα線核種で汚染されていないことを、連続でモニタリングすることができる。
放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、レーザ照射器が、第1レーザ照射器32と第2レーザ照射器34とを含み、第1レーザ照射器32が、空気に照射されることで散乱光または回折光を発生させる第1レーザ光L1を照射し、第2レーザ照射器34が、空気に照射されることで原子発光を発生させる第2レーザ光L2を照射する。これにより、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、第1レーザ照射器32で、空気の散乱光及び回折光に基づく分析に適した第1レーザ光L1を照射し、第2レーザ照射器34で、空気の原子発光に基づく分析に適した第2レーザ光L2を照射することができる。このため、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気に含まれる可能性のあるα線核種をより精度よく分析することができる。
放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、α線核種が分析されるダストdを含む可能性のある空気が流れている配管が、主配管46である。これにより、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、主配管46の内部における、α線核種を含む可能性のあるダストdが含まれている空気の流れを妨げることなく、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析することができる。また、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、主配管46の内部における空気の流れの影響を受けることが低減されるので、空気に含まれる可能性のあるα線核種を精度よく分析することができる。また、放射性ダスト自動連続分析装置30及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、主配管46を流れる空気に含まれるダストdについて、ダストdに含まれる可能性のあるα線核種を効率よく分析することができる。
[第3の実施形態]
図7は、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置50の概略構成図である。放射性ダスト自動連続分析装置50は、放射性ダスト自動連続分析装置10及び放射性ダスト自動連続分析装置30を組み合わせて、これらに様々な変更を加えたものである。1つ目の変更は、放射性ダスト自動連続分析装置10と同様の構成を設けた位置を、主配管22に接続された副配管24から、主配管60に接続された副配管62に変更されたことである。2つ目の変更は、放射性ダスト自動連続分析装置30と同様の構成を設けた配置を、主配管46の周囲に主配管46に向けた配置から、副配管62に含まれる副配管62aの周囲に副配管62aに向けた配置に変更されたことである。3つ目の変更は、副配管62に含まれる副配管62bに分岐64を設け、分岐64から空気の流れる下流側に設けられた副配管62c及び副配管62dを、途中に吸引ポンプ54を設けて、主配管60に接続したことである。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成に第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
放射性ダスト自動連続分析装置50は、配管に設けられている。ここで、配管は、主配管60と、主配管60に接続された副配管62と、を有する。放射性ダスト自動連続分析装置50は、副配管62に設けられており、主配管60の内部を流れる空気中に含まれる放射性ダストを副配管62に取り込んで、この取り込んだ放射性ダストから発生するα線を検出することで、主配管60の内部の空気の流れを妨げることなく、放射性ダストを連続でモニタリングする。また、放射性ダスト自動連続分析装置50は、主配管60の内部を流れる空気中に放射線ダストが含まれない場合、または、放射線ダストが含まれているがその放射線ダストにα線核種が含まれていない場合、その空気中にα線核種が含まれていないこと、すなわち、その空気がα線核種で汚染されていないことを、連続でモニタリングする。
放射性ダスト自動連続分析装置50は、放射性ダスト自動連続分析装置10と同様の構成と、放射性ダスト自動連続分析装置30と同様の構成と、を含む。すなわち、放射性ダスト自動連続分析装置50は、第1の実施形態と同様の、フィルタ12と、超伝導転位端マイクロカロリメータ14と、冷却器18と、フォルダ26と、フォルダ保持部材28とを含むと共に、第2の実施形態と同様の、レーザ照射器としての第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34と、光学系36と、マルチディテクタ38と、発光検出器40と、を含む。第3の実施形態では、フォルダ26及びフォルダ保持部材28は、副配管62aと副配管62bとの間に設けられている。ここで、図7の領域Aは、図2と同様の構成を有する。また、図7の領域Cは、図5と同様の構成を有する。
放射性ダスト自動連続分析装置50は、第1の実施形態に係る分析処理部16と第2の実施形態に係る分析処理部42との両方の機能を備える、分析処理部52を含む。また、放射性ダスト自動連続分析装置50は、第1の実施形態に係る制御部20と第2の実施形態に係る制御部44との両方の機能を備える、制御部を含む。この制御部は、さらに吸引ポンプ54と電気的に接続されており、吸引ポンプ54を制御する機能を備えている。分析処理部52は、分析処理部16及び分析処理部42と同様に、コンピュータが例示される。第3の実施形態に係る制御部は、制御部20及び制御部44と同様に、コンピュータが例示される。なお、図7では、放射性ダスト自動連続分析装置50に含まれる制御部の図示を省略している。
副配管62は、図7に示すように、副配管62aと、副配管62bと、副配管62cと、副配管62dと、を有する。副配管62a、副配管62b、副配管62c及び副配管62dは、この順に、空気の流れる上流側から下流側に向かって設けられている。副配管62bは、分岐64を有し、一方の分岐先が副配管62bの端部となっており、他方の分岐先が副配管62cとなっている。副配管62a及び副配管62dは、主配管60に接続されており、主配管60における副配管62aとの接続位置は、主配管60における副配管62dとの接続位置よりも、主配管60の内部の空気の流れる上流側に設けられている。
放射性ダスト自動連続分析装置50は、放射性ダスト自動連続分析装置30と同様の構成が、副配管62aの周囲に、副配管62aに向けて設けられている。すなわち、レーザ照射器としての第1レーザ照射器32及び第2レーザ照射器34と、マルチディテクタ38と、発光検出器40とは、副配管62aの周囲に、副配管62aに向けて設けられている。また、光学系36は、副配管62aとマルチディテクタ38との間に設けられている。
副配管62aは、一方の端が主配管60に接続され、他方の端がフィルタ12で塞がれている。副配管62bは、一方の端がフィルタ12で塞がれており、他方の端が超伝導転位端マイクロカロリメータ14の検出面で塞がれており、分岐64では副配管62cが接続されている。すなわち、フィルタ12は、図7に示すように、副配管62aと副配管62bとの間に、副配管62aと副配管62bとの間の流路を塞ぐように設けられている。
すなわち、フィルタ12は、副配管62aの放射性ダスト自動連続分析装置30と同様の構成が向けられた領域に対して、副配管62aの空気が流れる方向に設けられている。また、超伝導転位端マイクロカロリメータ14は、フィルタ12に対して副配管62aの空気が流れる方向に設けられている。また、冷却器18は、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に対して副配管62aの空気が流れる方向に設けられている。
副配管62cは、一方の端が副配管62bの分岐64に接続されており、他方の端が吸引ポンプ54に接続されている。副配管62dは、一方の端が吸引ポンプ54に接続されており、他方の端が主配管60に接続されている。吸引ポンプ54は、副配管62cと副配管62dとの間に設けられており、主配管60の内部を流れる空気を副配管62に取り込むための空気取り込み機構として機能している。吸引ポンプ54は、制御部と電気的に接続されており、制御部の制御を受けて、副配管62に取り込んだ空気の流れを一定にすることができる。
すなわち、副配管62は、フィルタ12と超伝導転位端マイクロカロリメータ14との間に分岐64を有し、一方の分岐先は超伝導転位端マイクロカロリメータ14へ向かい、他方の分岐先は吸引ポンプ54を介して主配管60に接続されている。
本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法を説明する。本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析装置50の動作の一例である。本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法と、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法と、を組み合わせたものである。本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、ステップS12からステップS18と、ステップS22からステップS28と、の各処理を並行して施すものである。また、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト自動連続分析方法は、ステップS18の処理と、ステップS28の処理とを合わせて施すことで、さらに詳細に精度よく、α線核種を分析する。
放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、以上のような構成を有するので、α線核種を含む可能性のある空気が流れる副配管62の内部に設けられ、空気に含まれる可能性のあるα線核種を捕集するフィルタ12と、捕集されたα線核種からα線と共に放出される特性X線を検出する超伝導転位端マイクロカロリメータ14と、をさらに含む。さらに、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、分析処理部52が、分析処理部42の機能に加えて、さらに検出された特性X線に基づいて、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析する。これにより、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、さらに、超伝導転位端マイクロカロリメータ14で、ダストdに含まれる可能性のあるα線核種からα線と共に放出される特性X線を検出し、分析処理部52で、特性X線に基づいて、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析することができる。このため、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気に含まれる可能性のあるα線核種をさらに精度よく分析することができる。
また、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気中にダストdが含まれない場合、または、空気中に含まれるダストdにα線核種が含まれない場合、特性X線が発生しないので、超伝導転位端マイクロカロリメータ14で特性X線をしないことに基づいて、その空気中にα線核種が含まれていないこと、すなわち、その空気がα線核種で汚染されていないことを、連続でモニタリングすることができる。
放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、さらに、超伝導転位端マイクロカロリメータ14を冷却する冷却器18と、をさらに含む。これにより、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、冷却器18で超伝導転位端マイクロカロリメータ14を冷却することにより、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に生じている熱振動を低減することで、超伝導転位端マイクロカロリメータ14における特性X線の測定についてのノイズを低減することができる。このため、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気に含まれる可能性のあるα線核種をより精度よく分析することができる。
放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、さらに、配管が主配管60と主配管60に接続された副配管62とを有し、第1レーザ照射器32、第2レーザ照射器34、マルチディテクタ38及び発光検出器40が、副配管62の副配管62aに向けて設けられている。また、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、フィルタ12が、副配管62の副配管62aの領域に対して、副配管62の空気が流れる方向に設けられ、超伝導転位端マイクロカロリメータ14が、フィルタ12に対して副配管62の空気が流れる方向に設けられ、冷却器18が、超伝導転位端マイクロカロリメータ14に対して副配管62の空気が流れる方向に設けられている。また、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、副配管62がフィルタ12と超伝導転位端マイクロカロリメータ14との間に分岐64を有し、一方の分岐先は超伝導転位端マイクロカロリメータ14へ向かい、他方の分岐先は吸引ポンプ54を介して主配管60に接続されている。これにより、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、主配管60の内部における、α線核種を含む可能性のあるダストdが含まれている空気の流れを妨げることなく、空気に含まれる可能性のあるα線核種を分析することができる。また、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、主配管60の内部における空気の流れの影響を受けることが低減されるので、空気に含まれる可能性のあるα線核種を精度よく分析することができる。また、放射性ダスト自動連続分析装置50及びこれによる放射性ダスト自動連続分析方法は、空気に含まれる可能性のあるα線核種の分析のために副配管62に取り込んだ空気を再び主配管60に戻すことができるので、副配管62に取り込んだ空気の流れを一定にすることができるため、一定の条件下で、空気に含まれる可能性のあるα線核種を精度よく分析することができる。