JP6882340B2 - 亜鉛表面または亜鉛合金表面上に化成皮膜を作製するための水性処理溶液、当該水性処理溶液を調製するための濃縮物、当該濃縮物を含むキット、及び、当該水性処理溶液を接触させることにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜を有するワークピース上に化成皮膜を作製する方法 - Google Patents

亜鉛表面または亜鉛合金表面上に化成皮膜を作製するための水性処理溶液、当該水性処理溶液を調製するための濃縮物、当該濃縮物を含むキット、及び、当該水性処理溶液を接触させることにより、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜を有するワークピース上に化成皮膜を作製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、処理溶液、およびこの処理溶液を使用して金属表面、特に亜鉛表面または亜鉛合金表面上に化成皮膜を作製する方法に関する。本発明はさらに、処理溶液を調製するための濃縮物、および本発明による方法を用いて作製することができる化成皮膜に関する。本発明による処理溶液を用いて、金属材料に高い腐食保護を設け、同時に表面の装飾的で機能的な特性を取得または改善することができる。加えて、重金属イオン、特にコバルトイオンおよびクロム(VI)イオンの使用の際に知られている公知の問題を回避することが可能である。
発明の分野
本発明は、金属材料、特に亜鉛含有表面の腐食保護に関する。
発明の背景
先行技術では、金属材料表面を腐食性の環境影響から保護するために種々の方法が提供されている。この技術分野において広く普及しかつ確立された方法が、保護すべき金属ワークピース上に金属被覆を適用することである。例えば、鉄製および鋼製のワークピースは、腐食性の環境影響から保護するために亜鉛めっきまたはカドミウムめっきされる。この場合、コーティング金属は、腐食性の媒体中で母材金属単独よりも電気化学的に貴にまたは卑に挙動する。コーティング金属がより卑に挙動する場合、このコーティング金属は、腐食性の媒体中でカソード腐食保護の意味でベース金属に対して犠牲アノードとして作用する。亜鉛の腐食保護は、亜鉛がベース金属よりもさらに卑であり、したがって、最初にそれ自体が腐食性の攻撃を受け止めることに基づく。この保護機能はたしかに望ましいが、この被覆の腐食生成物はしばしば、ワークピースの装飾的な特性を不要に損なわせ、それに機能的な特性を損なわせることも希ではない。
被覆金属の腐食を低下させるか、あるいはできる限り長期間防止するために、特に、カソード防食の卑な被覆金属、例えば亜鉛およびその合金上にいわゆる化成皮膜が通常用いられる。これは広範囲のpH範囲で水性媒体に不溶性である、卑なコーティング金属といわゆる処理溶液との反応生成物である。このいわゆる化成皮膜の例は、例えば、いわゆるリン酸塩化成皮膜およびクロメート化成皮膜である。リン酸塩化成皮膜処理の場合、保護すべき皮膜は、リン酸イオンを含有する酸性溶液中に浸漬される。この酸性媒体は、コーティングから亜鉛を部分的に溶解させる。遊離したZn2+カチオンは、反応溶液のリン酸イオンと共に難溶性のリン酸亜鉛皮膜を表面上に形成する。リン酸亜鉛皮膜自体は、比較的乏しい腐食保護を形成するだけであるが、この上に適用される塗料およびペイントにとっての優れた付着用下地であることから、塗装および塗膜用のプライマーとして機能することがその主要な用途である。
クロメート化成皮膜処理の場合、処理すべき表面は、クロム(VI)イオンを含有する酸性の溶液中に浸漬される。クロメート化成皮膜を適用することによって、被覆金属自体への腐食性の攻撃を大きく遅らせ、ひいては被覆金属を単独で適用した場合よりもベース金属の腐食をさらに引き延ばすことができる。クロメート化成皮膜によってさらに、環境影響により構成要素が視覚的に損なわれることも引き延ばされる。というのも、被覆金属の腐食生成物(亜鉛の場合はいわゆる白錆)も構成要素の外観に悪影響を及ぼすからである。
しかしながら、クロム(VI)化合物は、その急性の毒性に加えて、高い発癌性を有するという欠点を有する。そうしたなかで、6価クロム化合物によるクロメート化成皮膜処理の代替案として、とりわけ3価クロム化合物の種々の錯体を用いた多数の方法が確立されている。
しかしながら、実際に現在用いられている方法は、一般に、必要な腐食保護を達成するために、コバルトイオンなどのSVHC(高懸念物質)として分類される化合物を使用している。
例えば、欧州特許出願公開第1346081号明細書(EP1346081A1)には、亜鉛、カドミウムまたはそれらの合金、特に亜鉛−ニッケル合金を、クロム(VI)不含で、弱錯化剤、有利にはジカルボン酸またはトリカルボン酸、好ましくはクロム(III)−シュウ酸錯体およびCO2+を含有し、このCO2+濃度が30g/l超である溶液を用いて不動態化する方法が記載されている。
しかしながら、コバルトイオンは、健康に有害であると分類され、その使用は様々な規制機関により制限されているか、または候補物質(例えばREACH)として管理されている。
独国特許出願公開第19615664号明細書(DE19615664)には、Cr(III)が必須の皮膜構成要素であり、既にケイ酸塩、セリウム、アルミニウムおよびホウ酸塩を含まずに、塩水噴霧テストDIN 50021 SS(ISO 9227)またはASTM B 117−73に従った約100〜1000時間の腐食保護をDIN 50961、第10章における定義に従った初回腐食攻撃まで有する、亜鉛および亜鉛合金上のクロメートフリーの、実質的にコヒーレントなクロメート皮膜が記載されている。化成皮膜は、清澄で、透明で、無色および緑色−多色の虹色をまとい、約100nm〜1000nmの厚さを有し、硬質で、付着性および防汚性を有する。
フッ化物の使用は、使用されるクロムの錯体配位子としてのフッ化物の交換速度が遅すぎるのと、それによって皮膜が所望の厚さに達し得ないので、この刊行物では不利であると記載されている。
しかしながら、化成浴中の錯化剤としてのフッ化物の使用は、使用が容易であり、分析的に管理可能であるので、基本的に望ましい。
本発明の根底にある課題は、上述の欠点の少なくともいくつかを回避することを可能にする、冒頭で挙げた種類の処理溶液を提供することである。特に、この処理溶液を用いて、金属表面、特に亜鉛表面または亜鉛合金表面上に、高い腐食保護を提供すると同時にコバルト化合物およびクロム(VI)化合物を含まなくてよい化成皮膜が作製される。特に、この処理溶液は、意図的に添加されたコバルト化合物およびクロム(VI)化合物を含まなくてよい。そのうえ、フッ化物の使用が可能であり、それにもかかわらず十分な皮膜厚さが達成可能である。
この課題は、金属表面、特に亜鉛表面または亜鉛合金表面上に化成皮膜を作製するための水性処理溶液によって達成され、この溶液は、
− 0.1g/l〜8.0g/lの量のCr(III)イオン、
− 0.1g/l〜15g/lの量のジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオン、
− 0.1g/l〜50g/lの量のオルガノシラン修飾シリカナノ粒子、
− 0.1g/l〜15g/lの量のフッ化物イオン
を含有する。
驚くべきことに、本発明によれば、処理溶液が−フッ化物イオンの使用にもかかわらず−100nm超の高い皮膜厚さを有する化成皮膜の作製を可能にすることが判明した。これは、溶液を高濃度または高処理温度で用いなくても可能である。
また、本発明による処理溶液は、揮発性有機化合物(VOC)を僅かに含むか、または実質的に含まずに調製することができ、そのため環境および/または気候に優しい。
本発明によればさらに、本発明による処理溶液は、健康を害する金属イオン、特にコバルト化合物およびクロム(VI)化合物の使用を避け、それにもかかわらず際立った腐食保護を提供する化成皮膜を亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜上に作製することを可能にすることが判明した。したがって、実際の試験では、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜に、本発明による処理溶液を用いた処理によって、ISO 9227および/またはASTM B 117−73に従った塩水噴霧試験において、しかも例えば120℃で24時間にわたる熱負荷後に測定して、DIN 50961、第10章による初回攻撃まで240時間超の腐食保護を設けることができると証明することができた。
本発明の好ましい実施形態では、本発明による処理溶液は、コバルト化合物およびクロム(VI)化合物を実質的に含まない。したがって、処理溶液は有利には、1mg/l未満、有利には0.8mg/l未満、特に0.6mg/l未満のクロム(VI)イオンの割合を有する。この場合、クロム(VI)イオンの割合は、ジフェニルカルバジドを用いて測光的に測定することができる。本発明の更なる好ましい実施形態によれば、溶液は、10mg/l未満、有利には5mg/l未満、特に2mg/l未満のコバルトイオンの割合を有する。この場合、コバルトとして測定されるコバルトイオンの割合は、ICPによって測定することができる。
さらに、不動態化溶液中でNiイオンを避けることが可能である。したがって、処理溶液の1つの実施形態でのNiイオンの割合は、有利には10mg/l未満、より好ましくは5mg/l未満、特に2mg/l未満のニッケルイオンである。この場合、ニッケルとして測定されるニッケルイオンの割合は、ICPによって測定することができる。
亜鉛表面または亜鉛合金表面という用語は、従来の意味で理解される。特に、それは亜鉛板、亜鉛ダイカスト、ザマック、亜鉛めっき鋼などの物品の表面を意味する。亜鉛合金は、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの異種金属を30%まで含有することができる。
本発明によれば、不動態化溶液は、0.1g/l〜8.0g/lの量でCr(III)イオンを含有する。この場合、クロムとして測定されるCr(III)イオンの割合は、ICPによって測定することができる。
クロム(III)の利点は、クロム(VI)と違って危険性が低いことである。化成皮膜中の酸化クロム(III)として、それは化学的に不活性であるので、外部からの腐食性の影響に対する特に良好なバリアとなり得る。
本発明によれば、不動態化溶液はさらに、0.1g/l〜15g/lの量でジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオンを含有する。この場合、ジルコニウムおよび/またはチタンとして測定されるジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオンの割合は、ICPによって測定することができる。
ジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオンを使用する利点は、それらがクロムと共に析出され易いことである。こうして、作製された化成皮膜中のジルコニウムおよび/またはチタンの重量割合がクロム割合を上回ることさえでき、皮膜厚さをさらに増加させることができる。
更なる成分として、本発明による処理溶液は、オルガノシラン修飾シリカナノ粒子を含有する。これらのナノ粒子において、シリカは、有利にはナノスケールの凝集体の形態で存在する。この凝集体は、その表面がシラン修飾された、すなわち、その表面上に有機シラン化合物が配置されているコアとみなすことができる。オルガノシラン修飾とは、特に、少なくともシリカナノ粒子の表面上の酸素原子が有機ケイ素化合物のケイ素原子と共有結合して存在することを意味する。この場合、有機ケイ素化合物は、有利にはエポキシシラン、アミドシラン、ウレイドシラン、アミノシラン、エステルシラン、メルカプトシランおよび/またはイソシアネートシランである。
種々のシリカナノ粒子を、異なる数および/または種類の有機ケイ素化合物で修飾することが考えられる。この場合、シリカナノ粒子は、種々のケイ素化合物を組み合わせて有していてもよい。調製に関連して、シリカナノ粒子の化学量論組成は変化し得る。
本発明によれば、オルガノシラン修飾シリカナノ粒子は、処理溶液中に0.1g/l〜50g/lの量で存在する。これらの濃度値は、それぞれ、処理溶液中のオルガノシラン修飾シリカナノ粒子の全固形分濃度を基準とする。
オルガノシラン修飾ナノ粒子は、有利には5〜50nmの平均粒径を有する。ナノ粒子は、本発明による処理溶液中に、有利には少なくとも部分的に分散して存在する。このようなナノ粒子は、例えば、欧州特許出願公開第2406328号明細書(EP2406328A1)に記載のとおり調製することができる。さらに、適切なナノ粒子は、例えばAkzo社からBindzil(登録商標)の商品名で市販されている。
オルガノシラン修飾シリカナノ粒子の使用の利点は、それが酸性のpH値でさえも高い安定性を有することである。さらに、シラン修飾は、シリカナノ粒子への本発明により使用されるフッ化物イオンによる攻撃を遅らせるという点で有利である。
それに、シリカナノ粒子は、化成皮膜の耐久性を高める。
本発明による処理溶液は、0.1g/l〜15g/lの量のフッ化物を含有する。この場合、フッ化物は、遊離フッ化物と錯体結合フッ化物の両方を意味する。濃度値は、全フッ化物含量を基準とする。
化成浴中でのフッ化物の使用は、使用が容易であり、例えばイオン選択電位差測定によって分析的に管理可能であるので有利である。そのうえ、フッ化物は、形成する錯体が水性媒体中で特に安定であるので、ジルコニウム成分および/またはチタン成分を溶解するのに有利である。
処理溶液中に含まれる成分の割合は、所望の性能特性に依存して変化し得る。実際の実験では、以下の割合のときに特に有利であると判明した:
− 0.15g/l〜6g/l、特に好ましくは0.2g/l〜5g/lの処理溶液中のCr(III)イオンならびに/または
− 0.15g/l〜10g/l、特に好ましくは0.2g/l〜8g/lのジルコニウムイオンおよび/もしくはチタンイオンならびに/または
− 0.2g/l〜40g/l、特に好ましくは0.3g/l〜30g/lのオルガノシラン修飾シリカナノ粒子ならびに/または
− 0.15g/l〜15g/l、特に好ましくは0.2g/l〜10g/lのフッ化物イオン。
処理溶液中で、一方のCr(III)イオンと、他方のジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオンとのモル比が、0.1〜2.0、好ましくは0.15〜1.5、特に好ましくは0.2〜1であることも同様に有利であると判明した。
クロム(III)イオンの供給源として、有利には水溶性クロム(III)塩、例えば塩酸クロム(CrCl)、硝酸クロム(Cr(NO)、硫酸クロム(Cr(SO)、フッ化クロム(CrF)、メタンスルホン酸クロム、MSA(Cr(CHSO)が使用される。
フッ化物イオンと、同時にジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオンの供給源として、例えば、酸および/またはその塩としてジルコニウムおよび/またはチタンのヘキサフルオロ錯体を使用することができる。
フッ化物に加えて、更なる錯化剤、例えば、一般的な処理溶液中で通常用いられる多岐にわたった錯化剤を使用することも可能である。本発明によれば、以下のものからなる群から選択される錯化剤を用いて特に良好な結果が達成される:カルボン酸、特にギ酸、酢酸、アセチルサリチル酸、安息香酸、ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸;アミノ酸、特にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、キレート配位子、特にジカルボン酸、トリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、特にシュウ酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸;さらに、ヒドロキシポリカルボン酸、マレイン酸、グルコン酸、フタル酸、テレフタル酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸;ならびに更なる配位子、例えばアセチルアセトン、尿素、尿素誘導体、および錯形成官能基の窒素、リンまたは硫黄を含有する更なる錯体配位子(−NR2、−PR2[式中、Rは、互いに独立して、有機の、特にC〜C脂肪族基および/またHである]、および/または−SR[式中、Rは、有機の、特にC〜C脂肪族基またはHである]);ホスフィネートおよびホスフィネート誘導体;ならびにそれらの適切な混合物。これらの更なる錯化剤は、存在する場合、有利には0.0g/l〜25g/l、および/または0.1g/l〜25g/lの濃度で存在する。
本発明により特に好ましい更なる錯化剤は、キレート配位子、例えば適切なカルボン酸、特にジカルボン酸、トリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、および/またはアミノ酸ならびにそれらの適切な混合物である。
有利には、錯化剤は、処理溶液中のCr(III)イオンが錯化剤により少なくとも部分的に錯化されて存在するように選択される。これは、プロセス溶液が、幅広いpH範囲、特にpH1〜pH5で安定であり、化成皮膜の視覚的様相を改善し、一様にするという点で有利である。
処理溶液は、更なる金属イオンまたは半金属イオンを有していてもよい。例えば、この処理溶液は、有利には0.005g/l〜5g/lの濃度で、Na、Ag、Al、Co、Ni、Fe、Ga、In、ランタニド、Sc、V、Cer、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、Hf、Ta、W、B、Si、P、Bi、Sb、Seイオンからなる群から選択される少なくとも1種の更なる金属イオンまたは半金属イオンを含有することが考えられる。
これらの金属イオンは、例えば触媒として作用することができ、有利には可溶性塩、特に硝酸塩、硫酸塩またはハロゲン化物として反応溶液に添加される。
そのうえ、処理溶液は、一般的な処理溶液中で通常用いられる更なるアニオンを含有していてもよい。例えば、この処理溶液は、以下のものを含有する群から選択される少なくとも1種のアニオンを含有することが考えられる:ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオン、ヨウ化物イオン;硫黄含有イオン、特に硫酸イオン、メタンスルホン酸イオン、硫酸水素イオン;硝酸イオン;リン含有イオン、特にリン酸イオンならびにリン酸のエステルのアニオン、二リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、線状および/または環状オリゴリン酸イオン、線状および/または環状ポリリン酸イオン、ホスホン酸イオン、1−ヒドロキシエタン−(1,1−ジホスホン酸)イオン、アミノトリメチレンホスホン酸イオン、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)イオン、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)イオン、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン;カルボン酸アニオン;ケイ素含有アニオン、有利にはケイ酸アニオン、特にヘキサフルオロケイ酸アニオン、ヘキサフルオロチタン酸アニオン、ホウ酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、酸性ホウ酸エステルアニオンおよびヘキサフルオロアンチモン酸アニオン。これらの更なるアニオンは、存在する場合、有利には0.1g/l〜50g/lの濃度で存在する。
本発明により特に好ましいのは、硝酸イオン、硫酸イオン、および/またはホスホン酸イオンである。
本発明の好ましい実施形態によれば、処理溶液のpH値は、約1.5〜5、有利には2〜4、特に2.5〜3.5の値に調整される。この場合、所望のpH値は、水素イオンの添加によって、すなわち酸または塩基の添加によって調整することができる。
本発明の好ましい実施形態では、水性処理溶液は、少なくとも1種の有機酸および/または無機酸を含有する。この場合、有機酸は、有利にはクエン酸、マロン酸、ギ酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、コハク酸、およびアジピン酸からなる群から選択される。無機酸が用いられる場合、それは有利には、リン酸、ポリホスホン酸、硝酸、塩酸および硫酸からなる群から選択される。本発明によれば、硝酸が好ましい。
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、処理溶液は、弱酸化剤、有利には亜硝酸塩、アミンオキシド、例えばヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン化合物、N−オキシド、例えばm−ニトロベンゼンスルホネート、N−ニトログアニジン、4−ピコリン−N−オキシド、N−メチルモルホリン−N−オキシドおよびそれらの誘導体などから選択されたものを含有する。
そのうえ、本発明による処理溶液は、有利には、揮発性有機化合物(VOC)、例えばメタノールまたはエタノールなどのアルコールを、完成した組成物を基準として、10重量%未満、有利には5重量%未満、特に好ましくは4重量%未満、非常に好ましくは3重量%未満、特に0.001〜2重量%の含有率で有する。VOCの含有率は、例えばGCまたはGC/MSによって測定することができる。
処理溶液は、例えば、ポリマー、特に有機ポリマー、腐食防止剤;ケイ酸、特にコロイド状または分散したケイ酸;界面活性物質、特に界面活性剤など;ジオール、トリオール、ポリオール;有機酸、特にモノカルボン酸;アミン;ポリマー分散液;染料、顔料、特にカーボンブラック、顔料形成剤、特に金属顔料形成剤;アミノ酸、特にグリシン;分散助剤からなる群から選択される助剤も含有することができる。適切な界面活性剤は、例えば、脂肪族フルオロカーボンスルホネートである。
本発明の更なる対象は、本発明による処理溶液を調製するための濃縮物である。この濃縮物は、固体または液体の形態で存在してよく、有利には、本発明による処理溶液を、該処理溶液の全重量を基準として、少なくとも50重量%、有利には少なくとも70重量%の水で希釈することによって調製することが可能な作用物質濃度を有する。実際の実験では、異なる組成の2つの濃縮物から出発して処理溶液を調製することが、こうしてそれぞれの濃縮物のより長い貯蔵安定性が保証されるので、好都合であることが分かった。したがって、本発明の更なる対象は、本発明の処理溶液を調製するための、異なる組成の少なくとも2つの濃縮物を含むキットである。この場合、濃縮物は、有利には、少なくとも50重量%、有利には少なくとも70重量%の水で希釈することによって、本発明の処理溶液を調製することを可能にする作用物質濃度を有する。
本発明による処理溶液を用いて、有利には、亜鉛または亜鉛合金の表面を有するワークピースに化成皮膜を設けることができる。この場合、アルカリ性シアン化物、アルカリ性シアン化物不含または酸性非シアン化物の電解亜鉛めっきによって作製された亜鉛被覆が設けられているか、または熱拡散プロセスからの亜鉛皮膜で覆われているワークピースだけでなく、溶融物によって亜鉛めっきされているかまたは亜鉛もしくは亜鉛合金からそれ自体なっているワークピースの不動態化も可能である。ワークピース表面上の亜鉛合金は、例えば、Zn/Fe、Zn/Ni、Zn/AlおよびZn/Co合金であってもよい。さらに、反応溶液を用いて、亜鉛表面または亜鉛合金表面に加えて、亜鉛または亜鉛合金からなっていない表面、例えば鋼表面などの鉄含有表面も露出しているワークピースも本発明による方法で処理することができる。これらの更なる表面は、亜鉛または亜鉛合金の表面と一緒に不動態化することができる。基本的には、アルミニウム表面、アルミニウム合金表面、鉄表面および鉄合金表面、マグネシウム表面およびマグネシウム合金表面ならびにカドミウムからなる表面および/またはカドミウムを含有する表面の不動態化のために、本発明による反応溶液を使用することも可能である。
さらに、本発明は、金属表面、特に亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜を有するワークピース上に、この処理すべきワークピースを本発明による処理溶液と接触させて化成皮膜を作製する方法に関する。
好適には、浸漬による接触が行われ、すなわち、ワークピースは、容器に収容された処理溶液中に浸漬される。このために、ワークピースは、フレームに保持し、反応溶液中にフレームごと浸漬するか、またはドラムもしくは遠心分離機もしくはトレイに配置し、反応溶液中にドラムまたはトレイごと浸漬することができる。選択的な方法様式では、ワークピースは、噴霧浸漬によって処理溶液と接触させる。更なる方法様式ではまた、ワークピースは、噴霧によって処理溶液と接触させる。選択的な方法様式では、ワークピースは、フラッディングによって処理溶液と接触させることもできる。さらに、ワークピースに、例えば処理溶液が勢いよく流れてくるノズルによって処理溶液をかぶせることもできる。さらに別の処理様式は、刷毛処理、ローラー処理または別の塗布技術によって処理溶液をワークピース表面上に適用することにある。この処理は、ワークピースをバッチ式で処理する従来のプラントにおいて、またはワークピースを連続的に通過させて処理する連続プラントで行うことができる。
本発明による方法の利点は、コバルト含有処理溶液を用いた市販の方法と同様のプロセス条件下で実施することができる点である。したがって、従来技術のプラント技術に頼ることが可能である。
本発明の好ましい実施形態では、処理溶液は、約20〜100℃、有利には20〜80℃、好ましくは25〜60℃、特に好ましくは30〜50℃の浴温度を有する。
ワークピースを浸漬によって処理溶液と接触させる場合、浸漬時間は、有利には5〜700秒、より好ましくは15〜600秒、特に20〜240秒である。ワークピースを反応溶液と接触させる技術に応じて、より長いまたはより短い処理時間も必要となり得る。
反応溶液と接触させる前に、処理すべきワークピースを場合によりまず洗浄してもよい。この方法工程は、例えば、電解亜鉛めっきとその後の亜鉛めっき溶液の洗い流し直後に反応溶液と接触させる場合には省くこともできる。本発明による方法の完了後、ワークピースは、有利には、例えば温風で乾燥される。さらに、表面から余分な反応溶液を除去するために、乾燥前にワークピースを洗ってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、方法は1段階である。しかしながら、処理された物体を、化成皮膜の適用前および/または適用後に、更なる処理溶液、例えばシーリング溶液で処理することも同様に考えられる。
本発明の更なる対象は、上記の方法によって調製された化成皮膜である。
本発明の1つの実施形態では、化成皮膜は、元素Cr、Si、O、F、C、H、ならびにZrおよび/またはTiからの化合物を含有し、より好ましくは、化成皮膜は、これらの化合物からなり、この場合、金属表面由来の化合物、例えば鉄および/または亜鉛からの化合物も含まれていてよい。元素の重量割合は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によって測定することができる。
実際の実験では、20kVの励起電圧でエネルギー分散型X線分光法(EDX)によって測定された、本発明による方法を用いて不動態化された亜鉛表面における元素の重量割合は、通常、以下の範囲にあることが判明した:クロムは、通常、炭素、酸素、フッ素、ケイ素、ジルコニウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛の全重量を基準として、それぞれ0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.15〜1.3重量%、特に0.2〜1.0重量%の範囲である。ケイ素の重量割合は、通常、炭素、酸素、フッ素、ケイ素、ジルコニウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛の全重量を基準として、それぞれ0.05〜10重量%、有利には0.1〜7重量%、より好ましくは0.2〜5重量%、特に0.3〜3重量%の範囲である。酸素の重量割合は、通常、炭素、酸素、フッ素、ケイ素、ジルコニウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛の全重量を基準として、それぞれ1〜25重量%、有利には1.5〜22重量%、より好ましくは2〜20重量%、特に3〜15重量%の範囲である。フッ素の重量割合は、通常、炭素、酸素、フッ素、ケイ素、ジルコニウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛の全重量を基準として、それぞれ0.05〜3重量%、有利には0.1〜2重量%、より好ましくは0.15〜1.5重量%、特に0.2〜1.0重量%の範囲である。ジルコニウムおよび/またはチタンの重量割合は、通常、炭素、酸素、フッ素、ケイ素、ジルコニウム、チタン、クロム、鉄、亜鉛の全重量を基準として、それぞれ0.1〜5重量%、有利には0.2〜4重量%、より好ましくは0.3〜3重量%、特に0.5〜2.5重量%の範囲である。
本発明の好ましい実施形態では、化成皮膜中のジルコニウムおよび/またはチタンの重量割合はクロム割合よりも高い。こうして、シリカナノ粒子と組み合わせて特に良好な腐食保護を達成することができる。化成皮膜は、例えば、処理された表面からのNi、Al、Fe、Co、Cdなどの更なる元素も含有することもできる。
化成皮膜の厚さは、例えば、所望の腐食保護特性に応じて変化し得る。たいていの用途では、100nm〜1000nm、有利には100nm〜600nm、特に150nm〜400nmの平均皮膜厚さを有する化成皮膜を調整することが有利であると判明した。この場合、皮膜厚さは、走査電子顕微鏡の破断面を測定することによって突き止めることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、化成皮膜は、亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜を有する物体に、ISO 9227および/またはASTM B 117−73による塩水噴霧試験において、例えば120℃で24時間にわたる熱負荷の有無にかかわらず、DIN 50961、第10章による初回攻撃まで100時間超、有利には200時間超、特に240時間超の腐食保護を付与する。
本発明による化成皮膜の更なる利点は、着色付与成分を用いずに調製が可能なことである。それは、例えば、清澄で、透明で、実質的に無色でかつ虹色をまとった視覚的印象を亜鉛上に示す。これは、選択的に調整された任意の着色付与を容易にし、例えば、構成要素の区別がより簡単になる。例えば、本発明による処理溶液による的を絞った着色により、右手および左手の構成要素を確実かつ簡単に区別することが可能になる。これにより、特に、非常に類似した構成要素を大量に加工する場合に、プロセス信頼性が大幅に向上する。このために、化成皮膜は、染料または着色顔料を含有してもよい。
上述したように、本発明による化成皮膜は、処理された物体に既に際立った腐食保護を付与する。したがって、これらに追加の皮膜、例えばシーリング皮膜を設ける必要はない。それにもかかわらず、本発明による化成皮膜は、更なる無機および/または有機皮膜のための基材として際立って適している。
したがって、本発明による化成皮膜を有する物体または物品は、持続的に、ひいては特に有利に腐食から保護することができる。本発明による化成皮膜を有する物体または物品も本発明の主題である。
本発明を、いくつかの非限定的な実施例を参照して以下により詳細に説明する。
実施例1:本発明による種々の処理溶液の調製
以下の組成を有する本発明による4つの処理溶液を調製する:
Figure 0006882340
Figure 0006882340
Figure 0006882340
Figure 0006882340
実施例2:本発明による処理溶液による亜鉛被覆鋼板の処理
実施例1で調製した処理溶液を亜鉛被覆鋼板の処理に用いた。この鋼板は、ここでは市販のSurTec(登録商標)704でアルカリ性シアン化物を含まずに調製した。処理パラメータは、以下のように設定する:
Figure 0006882340
実施例3:処理した鋼板の腐食保護特性の測定
実施例2で得られた処理鋼板の腐食保護特性を、ISO 9227およびASTM B117−73に従った塩水噴霧試験によって調べた。ここでは、次の結果が得られる:
Figure 0006882340
この結果は、本発明による化成皮膜が、亜鉛被覆鋼板に、DIN EN ISO 9227および/またはASTM B 117−73に従った塩水噴霧試験で、しかも120℃で24時間にわたる熱負荷下で、DIN 50961、第10章による初回攻撃まで300時間超の腐食保護を付与することが可能であることを示す。
実施例4:処理溶液3を用いて調製した化成皮膜の元素組成の測定
エネルギー分散型X線分光法(EDX)により組成を測定する。測定結果を以下の表に示す。
Figure 0006882340
表:本発明による処理溶液3を用いて調製した化成皮膜のエネルギー分散型X線分光分析(EDX)の結果
ジルコニウムの重量割合はクロムの重量割合よりも高いことが分かる。
実施例5:本発明による種々の化成皮膜の元素の重量割合
本発明により不動態化された亜鉛表面上の元素の重量割合を、20kVの励起電圧でエネルギー分散型X線分光法(EDX)により測定し、EDAX Genesis V5.11により評価した。
以下の表に、本発明による8層の化成皮膜(KS)の元素の測定された重量割合を列挙する。
Figure 0006882340
本発明による処理溶液3を用いて調製した化成皮膜の横断面を示す図 本発明による処理溶液4を用いて調製した化成皮膜の横断面を示す図
図1は、処理溶液3を用いて調製した化成皮膜の横断面を示す。10個の異なる位置で、化成皮膜の皮膜厚さの平均値をとりながら測定した。皮膜の平均厚さは、約300nmである。
図2は、処理溶液4を用いて調製した化成皮膜の横断面を示す。10個の異なる位置で、化成皮膜の皮膜厚さの平均値をとりながら測定した。皮膜の平均厚さは、約250nmである。
Figure 0006882340

Claims (15)

  1. 亜鉛表面または亜鉛合金表面上に化成皮膜を作製するための水性処理溶液であって、該処理溶液は、
    − 0.1g/l〜8.0g/lの量のCr(III)イオン、
    − 0.1g/l〜15g/lの量のジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオン、
    − 0.1g/l〜50g/lの量のオルガノシラン修飾シリカナノ粒子、
    − 0.1g/l〜15g/lの量のフッ化物イオン
    を含有し、1mg/l未満のクロム(VI)イオンの割合および10mg/l未満のコバルトイオンの割合を有し、かつ、水分散性のポリウレタン樹脂を含まない、処理溶液。
  2. 0mg/l未満のNiイオンの割合を有することを特徴とする、請求項1記載の処理溶液。
  3. 前記オルガノシラン修飾シリカナノ粒子が、凝集シリカのコアを有し、該コアの表面上に有機シラン化合物が配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の処理溶液。
  4. 前記シリカナノ粒子の表面上の酸素原子が、エポキシシラン、アミドシラン、ウレイドシラン、アミノシラン、エステルシラン、メルカプトシランおよび/またはイソシアネートシランのケイ素原子と共有結合して存在することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の処理溶液。
  5. 前記シラン修飾ナノ粒子が、5〜50nmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の処理溶液。
  6. 前記処理溶液中で、一方のCr(III)イオンの、他方のジルコニウムイオンおよび/またはチタンイオンに対するモル比が、0.1〜2.0であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の処理溶液。
  7. 1.5〜5のpH値を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の処理溶液。
  8. 10重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)の含有率を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の処理溶液。
  9. 前記処理溶液の全重量を基準として、少なくとも50重量%の水で希釈することによって前記処理溶液を調製することを可能にする作用物質濃度を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の処理溶液を調製するための濃縮物。
  10. 前記処理溶液の全重量を基準として、少なくとも70重量%の水で希釈することによって前記処理溶液を調製することを可能にする作用物質濃度を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の処理溶液を調製するための濃縮物。
  11. 異なる組成の請求項9または10記載の少なくとも2つの濃縮物を含むキット。
  12. 亜鉛皮膜または亜鉛合金皮膜を有するワークピース上に化成皮膜を作製する方法であって、処理すべき前記ワークピースを、請求項1から8までのいずれか1項記載の処理溶液と接触させる、方法。
  13. 作製された化成皮膜が、元素Cr、Si、O、F、C、H、ならびにZrおよび/またはTiからの化合物を含有することを特徴とする、請求項12記載の方法。
  14. 前記化成皮膜中のジルコニウムおよび/またはチタンの重量割合がクロム割合よりも高いことを特徴とする、請求項12または13記載の方法。
  15. 100nm〜1000nmの平均皮膜厚さを有することを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
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