(A)第1の実施形態
以下、本発明による親局通信装置、光通信ネットワークシステム、及び通信システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の親局通信装置、光通信ネットワークシスムを、それぞれOLT、PONに適用した例について説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る通信システム1の全体構成について示したブロック図である。
通信システム1は、ユーザが所持する無線通信端末(移動体通信端末)としてのUE30を、コア側ネットワークNに接続させるシステムである。
通信システム1は、通信キャリアの電話局の局舎内等に配置された信号処理装置としてのBBU10と、BBU10の配下に接続されたN個のアンテナ装置としてのRRH20(20−1〜20−N)とを有している。そして、通信システム1では、各RRH20が1つのセルCを構成し、当該セルC内のUE30と接続する。
また、通信システム1には、UE30をコア側ネットワークNに接続させる移動体通信網を実現するための種々の装置が配置されている。図1に示す通信システム1では、UE30の位置登録や、呼出、基地局間ハンドオーバなどの管理を行うMME(Mobility management entity)3、UE30の電話番号や端末識別番号等の加入者情報を管理する加入者情報データベースとしてのHSS(Home subscriber server)4、UE30と接続しUE30とコア側ネットワークNとの間の通信を中継するS−GW(Serving Gateway)5、及びS−GW5をコア側ネットワークNに接続させるためのP−GW(Packet data network Gateway)5が配置されている。
図1に示すように、BBU10は、S−GW6及びP−GW5を介して、上位側ネットワークとしてのコア側ネットワークNに接続されている。
そして、通信システム1では、BBU10とRRH20−1、20−2、20−3との間の有線区間がPON2(光通信ネットワークシステム)により接続されている。PON2は、電話局の局舎内でBBU10の配下(下流側)に接続されるOLT40(親局通信装置)と、各RRH20に接続されるONU50(子局通信装置)とを有している。PON2では、OLT40に接続された光ファイバ60がスプリッタ50により分岐され、それぞれONU50−1、50−2、50−3に接続されている。この実施形態では、図2に示すように、RRH20−1、20−2、20−3に、それぞれONU50−1、50−2、50−3が接続されている。すなわち、各ONU50は、対応するRRH20と同じロケーション(例えば、マンションの屋上や電柱の上等)で各RRH20の上流側に接続されている。
なお、PON2を構成するOLT40及びONU50のインタフェースとしては種々のPONやGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標)−Passive Optical Network)のインタフェース(例えば、IEEE802.3ahで規定されるインタフェース)やITU−T G.989シリーズに対応したTWDM−PON(Time and Wavelength Division Multiplexing−PON)のインタフェースを適用することができる。この実施形態では、PON2を構成するOLT40及びONU50のインタフェースとして、TWDM−PONが適用されるものとして説明する。
UE30としては種々の無線通信端末を適用することができる。UE30としては、例えば、スマートホンやモバイルルータ等のモバイル通信端末や、いわゆるIoTの端末(無線通信可能なもの)等が該当する。IoTの通信端末としては、例えば、環境センサ(例えば、温度計や湿度計等)を搭載したセンサノードや、四輪自動車に装備された通信端末(例えば、ナビゲーションや自動運転の機能に対応する通信端末)や、医療機器に装備された通信端末(例えば、医療機器の制御や患者のバイタルサインを検知して送信する計測機器等)が該当する。
次に、OLT40の内部構成について、図2〜図4を用いて説明する。
ここでは、OLT40は、ITU−T G.989シリーズに対応したTWDM−PONの構成となっているものとして説明するが、本発明の親局通信装置の対応するPONの具体的なアーキテクチャーやインタフェースについては限定されないものである。
OLT40では、下り通信(OLT40からONU50への通信)及び上り通信の両方で、1波長(1λ)で10Gbpsの通信が可能となっているものとする。また、OLT40では、下り通信及び上り通信の両方で、4つの波長(以下ではこの4つの波長を、λ1〜λ4と表す)を用いた通信が可能であるものとする。したがって、OLT40では、下り通信及び上り通信の両方で合計40Gbps(10Gbps×4λ)の通信が可能となっているものとする。
図2は、OLT40の内部構成について示した説明図である。
OLT40は、4つの波長可変光可能な光トランシーバ41(41−1〜41−4)、4つOSU(Optical subscriber unit)42(42−1〜42−4)、OSU−SW(OSU SWitch)43、DWA(Dynamic wavelength allocation)44、及びスプリッタ45を有している。
スプリッタ45は、下位側(ONU50側)の光ファイバ60を4つに分岐(OSU42の数分岐)して、それぞれ光トランシーバ41−1〜41−4に接続させるものである。
DWA44は、OSU42−1〜42−4に対して、いずれかの波長(λ1〜λ4のいずれか)を割当てる処理を行う。
光トランシーバ41−1〜41−4は、下位側(スプリッタ45側)で分岐された光ファイバ60に接続されている。光トランシーバ41−1〜41−4は、光ファイバ60側とOSU42−1〜42−4側との間の光信号/電気信号の変換(光電変換/電光変更)を行うものである。光トランシーバ41−1〜41−4は、それぞれ異なる波長(接続するOSU42の制御に応じた波長)の光信号を送受信する。
それぞれのOSU42−1〜42−4は、下位側の光トランシーバ41−1〜41−4と電気通信(電気信号を送受信)し、電気信号を用いて、配下のONU50の制御(PONの制御)を行う。また、それぞれのOSU42−1〜42−4は、上位側でOSU−SW43に接続している。
OSU42−1〜42−4は、それぞれ1つの波長(DWA44の制御に応じた波長)で下位側(PON)と通信を行い、同一の波長で通信するONU50の制御を行う。また、OSU42−1〜42−4は、それぞれ下位側から受信した上り通信のデータ(パケット)をOSU−SW43を介して上位側に転送(送信)し、上位側からOSU−SW43を介して受信した下り通信のデータ(パケット)を下位側(配下のONU50宛)に送信する。また、OSU42−1〜42−4は、それぞれ下位側(光トランシーバ41−1〜41−4)に接続するインタフェースとして所定のシリアルインタフェース(例えば、ITU−T G.989シリーズで規定されたシリアルインタフェース)で接続されているものとする。
OSU−SW43は、OSU42−1〜42−4と、上位側(BBU10側)との間のパケット(イーサネット(登録商標)フレーム)送受信を中継するスイッチである。
次に各OSU42(42−1〜42−4)の内部構成について、図3を用いて説明する。この実施形態では、OSU42−1〜42−4は、設定されるアドレス等が異なるだけで機能的には全て同じ構造であるものとする。
図3に示すように、OSU42は、制御部100、SNI(Service Node Interface)101、BRG102、データ送受信処理部としてのPON処理部103、ENC104、FEC105、SEDERS106、RAM107、サービス品質レベル認識手段及び帯域割当手段としてのDBA(Dynamic Bandwidth Allocation)処理部108、バッファ手段としての上りBUF109、及び下りBUF110を有している。
制御部100は、OSU42全体を制御する機能を担っている。制御部100は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータに、制御プログラムをインストールすることにより実現することができる。
SEDERS106は、下位側の光トランシーバ41と接続するためのインタフェース変換(シリアル/パラレル変換)を行うものである。SEDERS106の上位側にはENC104が接続されている。なお、OSU42の内部では、所定のパラレルインタフェースで各要素間のデータ伝送がなされているものとする。
FEC105は、下位側(光トランシーバ41)と送受信する信号の誤り訂正(前方誤り訂正)を行うものである。FEC105の上位側にはENC104が接続されている。
ENC104は、下位側(光トランシーバ41)と送受信する信号の暗号化処理/復号処理を行うものである。ENC104の上位側には、PON処理部103が接続されている。
PON処理部103は、下位側のONU50に対する通信制御(PONの制御)、及び下位側から受信した上り通信のデータ(パケット)を上位側に転送(送信)し、上位側から受信した下り通信のデータ(パケット)を下位側(配下のONU50宛)に送信する。
SNI101は、上位側(OSU−SW43)と接続するためのインタフェースである。
BRG102は、PON処理部103とSNI101との間のデータ(パケット)を中継するブリッジである。
上りBUF109は、PON処理部103から送出された上り通信のパケットをバッファリング(保持)して上位側に送出するものである。上りBUF109は、BRG102とSNI101との間(上り通信の信号線)に挿入されている。上りBUF109は、上り通信のパケットを保して、制御部100の制御に従った優先制御を行い上位側に送出する。
下りBUF109は、上位側(BBU10側)から到来したパケットをバッファリングしてPON処理部103に供給するものである。下りBUF110は、PON処理部103とBRG102との間(下り通信の信号線)に挿入されている。
RAM107は、上りBUF109及び下りBUF110がパケットをバッファリングする際の記憶手段として利用されるものである。
DBA処理部108は、各ONU50に対して通信帯域を割当てる計算(以下、「DBA計算」とも呼ぶ)を行うものである。DBA処理部108は、動的に、各ONU50に対して割当てる上り通信の帯域を決定し、決定した内容をPON処理部103に通知する。DBA処理部108の詳細処理については後述する。PON処理部103は、DBA処理部108の帯域割当処理の結果に従って配下のONU50が帯域制御するように制御する。
この実施形態の上りBUF109は、8サービスクラス(サービス品質レベル)のQoS(Quality of Service)を用いた優先制御に対応したバッファリングを行うものとして説明する。なお、上りBUF109で対応するQoSのサービスクラス(以下、「QoSクラス」とも呼ぶ)の数については限定されないものである。
図4は、上りBUF109の機能的構成について示したブロック図である。
上りBUF109は、パケット振分部201、QoSのそれぞれのサービスクラス(サービスクラス1〜8)のそれぞれに対応したキュー202(202−1〜202−8)及びスケジューラ203を有している。
パケット振分部201は、下位側(PON処理部103)から供給されたパケットのヘッダを参照して、当該パケットに設定されたサービスクラスを確認し、当該パケットを確認したサービスクラスに対応するキュー202−1〜202−8に供給する。パケット振分部201は、例えば、下位側から供給されたパケットのTCPヘッダに設定されたCoS(Class of Service)値に基いて、当該パケットに設定されたサービスクラスを確認する。
キュー202(202−1〜202−8)は、パケット振分部201から供給されたパケットを保持し、スケジューラ203の制御に応じたタイミングで上位側(スケジューラ203)に送出する待ち行列である。キュー202−1〜202−8は、全てFIFO(First In First;先入れ先出し)で保持したパケットを上位側に送出する。キュー202−1〜202−8は、それぞれサービスクラス1〜8に対応している。図4では、キュー202−1〜202−8は、上りBUF109の内部に配置された構成となっているが、キュー202−1〜202−8は、それぞれパケットを保持する記憶手段としてRAM107を利用する。
スケジューラ203は、所定のキューイングのアルゴリズム(QoS制御のアルゴリズム)に基づいたスケジュール(順序)で、キュー202(202−1〜202−8)に保持されたパケットを取得して上位側(SNI101)に送出するものである。スケジューラ203に適用するキューイングのアルゴリズムは限定されないものであるが、例えば、サービスクラスの高いキューほど先に送出するアルゴリズムとしても良いし、高いサービスクラスほど多くの帯域を割当てるアルゴリズムとしても良い。
次に、通信システム1におけるQoS制御の概要について説明する。
上述の通り、上りBUF109では、1〜8のいずれかのサービスクラス(CoS値)が設定(カラーリング)されたパケットを当該サービスクラス(QoSクラス)に対応したキュー202(202−1〜202−8)に保持され、QoS制御されたスケジュールで上位側に送出される。以下では、サービスクラス8が最も優先度の高いサービスクラスであり、サービスクラス1が最も優先度の低いサービスクラスであるものとする。
通信システム1において、上り方向のパケットのサービスクラス設定(CoS値の設定)は、通常UE30にて行われる。UE30は、コア側ネットワークNへの接続時に、MME3を介してHSS4に種々の接続サービスの接続要求(ユーザの契約に基づく接続要求)を行って接続開始許可を受ける。このとき、UE30は、MME3(HSS4)から、当該接続サービスに係る上り方向のパケットに設定するCoS値の通知(以下、「UE_QoS通知」と呼ぶ)を受信する。そして、UE30は、当該接続サービスに係る上り方向のパケットを送信する際、ヘッダにUE_QoS通知で指定されたCoS値を設定する。
この実施形態の通信システム1では、例として、少なくとも低遅延であることが保証された接続サービス(以下、「低遅延サービス」と呼ぶ)と、大容量通信で且つある程度低遅延であることを前提とした接続サービス(以下、「大容量サービス」と呼ぶ)と、ベストエフォートを前提とした接続サービス(以下、「通常サービス」と呼ぶ)がサポートされているものとして説明する。以下では、低遅延サービスのサービスクラス(CoS値)を8、大容量サービスのサービスクラス(CoS値)を6、通常サービスのサービスクラス(CoS値)を4であるものとして説明する。なお、通信システム1では、8つのサービスクラスのそれぞれについて対応するその他の接続サービスが設定されていても良い。
以上のように、この実施形態の通信システム1では、各UE30が、MME3(HSS4)に対してコア側ネットワークNに接続する接続サービスを要求して接続開始許可及びUE_QoS通知を受付け、接続許可されたCoS値を設定した上り通信のパケットを送出する。したがって、各ONU50(RRH20)では、配下のセルCによって、優先度の高い接続サービス(例えば、低遅延サービス)で接続するUE30の数が異なる場合がある。また、同じONU50(RRH20)配下のセルCであっても、時間経過で優先度の高い接続サービスで接続するUE30の数が増減する場合もある。
次に、DBA処理部108による上り通信の帯域割当処理の概要について説明する。
DBA処理部108は、従来のPON(例えば、GE−PON等)におけるDBA計算処理(非特許文献1参照)と同様に、リアルタイムに各ONU50から上り通信(上り方向のユーザデータのパケット転送時)の帯域割当の要求を受付け、その要求に基づき各ONU50に対して上り通信の帯域割当を行うものとする。以下では、DBA処理部108が、通信時(リアルタイム)に各ONU50に動的に割当てる帯域(実際に割当てられる帯域)を「割当帯域」とも呼ぶものとする。また、以下では、実施形態のDBA処理部108は、DBA計算処理の一部として、各ONU50に対して、上り通信時に実際に保証する割当帯域(以下、「保証帯域」とも呼ぶ)を計算するものとする。
図5は、DBA処理部108において、ONU50−1(RRH20−1)に対して上り通信の保証帯域を割当てる処理(以下、「保証帯域割当処理」と呼ぶ)の概要について示した説明図である。
図5では、ONU50−1(RRH20−1)の配下のセルC−1において、8つのUE30が存在する例について説明している。そして、図5(a)の状態では、セルC−1において、低遅延サービスで接続するUE30が4個、大容量サービスで接続するUE30が2個、通常サービスで接続するUE30が2個となっている。また、図5(b)の状態では、セルC−1において、低遅延サービスで接続するUE30が1個、通常サービスで接続するUE30が7個となっている。
この実施形態のDBA処理部108は、配下に優先度の高い接続サービスのUE30が多いONU50(RRH20)ほどより多くの保証帯域を割当てる処理を行う。言い換えると、この実施形態のDBA処理部108は、配下に優先度の高いサービスのUE30が多いONU50(RRH20)ほど、割当てる保証帯域の重み付け(他のONU50(RRH20)と比較した重み付け)を大きくする。
したがって、この実施形態のDBA処理部108は、ONU50−1(RRH20−1)に対して上り通信の保証帯域を割当てる際に、図5(b)の状態である場合よりも図5(a)の状態である場合に、より多くの保証帯域を割当てることになる。
DBA処理部108が、当該OSU42の配下の各UE30が利用中の接続サービスを認識する方式については限定されないものである。DBA処理部108は、例えば、HSS4からUE30へ送出される接続サービスの接続開始許可/接続停止確認やUE_QoS通知を抽出して、当該OSU42の配下の各UE30が利用中の接続サービスを認識(各接続サービスの接続開始及び接続停止を認識)し、保証帯域割当処理に適用するようにしても良い。また、DBA処理部108は、例えば、定期的に当該OSU42の配下の各UE30が利用中の接続サービスを問い合わせて認識するようにしても良い。さらに、例えば、HSS4がUE30と並行して、OSU42(DBA処理部108)に、接続サービスの接続開始許可/接続停止確認やUE_QoS通知を送信するように構成し、OSU42(DBA処理部108)において、配下の各UE30が利用中の接続サービスを認識するようにしても良い。なお、DBA処理部108は、例えば、BBU10で保持している情報等に基いて、各UE30が接続しているRRH20を認識することで、各UE30が接続しているONU50を認識することができる。
次に、DBA処理部108が、当該OSU42の配下の各UE30が利用中の接続サービスを認識した後、上り通信の保証帯域割当処理を行う際の概要について説明する。
上述の通り、DBA処理部108は、配下に優先度の高いサービスのUE30が多いONU50(RRH20)ほど、割当てる保証帯域を多く設定する。このようなポリシーに基づいた方式であれば、DBA処理部108が行う具体的な保証帯域割当処理については限定されないものである。
DBA処理部108は、例えば、各UE30に対して利用中の接続サービス(接続サービスのサービスクラス(CoS値))に応じた評価値を設定し、ONU50(RRH20)ごとに配下のUE30の評価値の合計値を算出し、当該合計値を用いて各ONU50(RRH20)に対する保証帯域割当処理を行うようにしても良い。なお、DBA処理部108は、複数の接続サービスを利用中のUE30については、最も高優先度のサービスクラス(最もCoS値の大きいサービスクラス)に応じた評価値を設定するようにしても良い。
例えば、低遅延サービス(サービスクラス8)を利用中のUE30に設定する評価値を8、大容量サービス(サービスクラス6)を利用中のUE30に設定する評価値を6、通常サービス(サービスクラス4)を利用中のUE30に設定する評価値を4とした場合を想定する。その場合、図5(a)の状態では、ONU50−1(RRH20−1)に対する評価値が52(8×4+6×2+4×2=32+12+8=52)となり、図5(b)の状態では、ONU50−2(RRH20−2)に対する評価値が36(8×1+6×0+4×7=8+0+28=36)となる。なお、各ONU50に対して設定する評価値については、上限値(最大評価値)や下限値(最少評価値)を設けるようにしてもよい。
以下では、DBA処理部108が行う上り通信DBA計算について、上り通信で各ONU50に予め固定的に最低限割当てられる(最低限保証される)保証帯域(以下、「最低保証帯域」と呼ぶ)を設けずに全てベストエフォート帯域(動的に各ONU50に割当て可能な帯域)として設定するポリシー(以下、「第1のポリシー」と呼ぶ)を適用する場合、又は、一部の帯域を各ONU50に対する最低保証帯域として設定し、それ以外の帯域をベストエフォート帯域として設定するポリシー(以下、「第2のポリシー」と呼ぶ)を適用する場合に分けて説明する。なお、以下では、最低保証帯域について「BWGarantee」とも表すものとする。
以下では、OSU42−1に接続するONU50(OSU42−1と同一波長で通信するONU50)をONU50−1〜ONU50−4の4つとした場合の例を説明する。
まず、DBA処理部108が行うDBA計算に、上述の第1のポリシーを適用する場合の具体例について説明する。
上述の通り、第1のポリシーでは、上り通信の帯域に最低保証帯域が設定されず全てベストエフォート帯域となる。例えば、DBA処理部108が行う上り通信DBA計算に第1のポリシーを適用する場合、各ONU50に対して割当可能な上り通信の帯域(全てのベストエフォート帯域)を全て保証帯域割当処理(動的な保証帯域の割当処理)に利用するようにしても良い。
例えば、OSU42−1において、上り通信で配下のONU50(ONU50−1〜ONU50−4)に対して割当可能な最大帯域(保証帯域として割当可能なベストエフォート帯域)を8Gbpsとし、OSU42−1のDBA処理部108において、ある時点でONU50−1〜ONU50−4に対して算出した評価値が、それぞれ100、40、40、20であった場合を想定する。この場合、DBA処理部108は、ONU50−1〜ONU50−4に対して、8Gbpsの帯域を評価値に応じた重みで保証帯域を割当てるようにしても良い。この場合、DBA処理部108は、例えば、ONU50−1〜ONU50−4に対して、それぞれ4Gbps、1.6Gbps、1.6Gbps、0.8Gbpsを保証帯域として割当てるようにしてもよい。
次に、DBA処理部108が行う上り通信DBA計算に、上述の第2のポリシーを適用する場合の具体例について説明する。
上述の通り、第2のポリシーでは、上り通信の帯域にベストエフォート帯域と各ONU50の最低保証帯域が設定されている。第2のポリシーが適用される場合、DBA処理部108は、各ONU50に対して、最低保証帯域と評価値に応じたベストエフォート帯域を割当てる。なお、第2のポリシーが適用される場合でも一部のONU50について設定される最低保証帯域を0としてもよい。すなわち、各ONU50に割当てられる最低保証帯域は任意の値を適用することができる。
例えば、OSU42−1のDBA処理部108は、任意のONU50−i(iは1〜M1のいずれかの値)に対する保証帯域BW(i)を、以下の(1)式のように決定するようにしても良い。以下の(1)式において、BWGarantee(i)は、ONU50−iに対して設定された最低保証帯域であり、α(i)はONU50−iの評価値に基づく係数(他のONU50との相対的な係数;以下、「相対係数」と呼ぶ)である。
BW(i)=BWGarantee(i)×α(i) …(1)
各OSU42のDBA処理部108では、配下の各ONU50に対するBWGaranteeが予め設定(例えば、設置したタイミングや保守のタイミングでオペレータにより設定)されているものとする。また、BWGaranteeは最低保証帯域(必ず割当てる帯域)であるため、BWは予め設定されたBWGaranteeを下回ることはないものとする。したがって、ここでは、α(i)の最小値は1となるものとする。
例えば、最大評価値(評価値の上限値)を100とし、ベストエフォート帯域(動的に各ONU50に割当可能な帯域の最大値)を、最低保証帯域の合計値の2倍とする場合を想定する。例えば、配下の各ONU50の最低保証帯域の合計値をX(X=BWGarantee(1)+BWGarantee(2)+BWGarantee(3)+BWGarantee(4))、ベストエフォート帯域をYとした場合、Y=2・Xとなる。なお、ここでは、配下の各ONU50−1〜50−4に設定される最低保証帯域は同じ値(BWGarantee(1)=BWGarantee(2)=BWGarantee(3)=BWGarantee(4))であるものとする。また、ここでは、DBA処理部108が、ONU50−1〜ONU50−4に対して算出した評価値が、それぞれ100、40、40、20であったものとする。上述の通り、「Y=2・X」であるため、DBA処理部108は、各相関係数の合計値Sum(Sum=α(1)+α(2)+α(2)+α(4))の最大値Mが8以下となるようにα(1)〜α(4)を設定することになる。さらに、DBA処理部108は、それぞれのONU50−1〜ONU50−4に対し、評価値に応じた重みにもとづき、最大値M(8)を分配する。ただし、DBA処理部108は、各ONU50の評価値に基づく重みに関わらず、各相関係数の最低値を必ず1以上に設定する必要がある。したがって、この場合、DBA処理部108は、α(1)〜α(4)をそれぞれ2.0、1.4、1.4、1.2に設定するようにしても良い。以上のような処理により、例えば、ONU50−1の保証帯域BW(1)は、もとのBWGarantee(1)の2倍になる。
以下では、相対係数αにより保証帯域に加算(BWGaranteeから加算)される帯域を「加算帯域」とも呼ぶものとする。例えば、ONU50−1の保証帯域BW(1)は、もとのBWGarantee(1)の2倍になるため、保証帯域BW(1)に対する加算帯域は、BWGarantee(1)分の帯域となる。なお、DBA処理部108において、実際の最大評価値(各ONU50に対して設定する評価値の最大値)やベストエフォート帯域は、サービス運用や実験から好適な値(設計に基づく値)を設定することが望ましい。例えば、各ONU50に対してベストエフォート帯域の一部(例えば、当初のベストエフォート帯域の半分)を上限として加算帯域を分配し、残りの帯域を純粋なベストエフォート帯域(例えば、ONU50ごとに保証帯域を超えて割当可能な帯域)として利用するようにしてもよい。上述のように、ONU50ごとに、BWGaranteeに加算帯域を加算して保証帯域BWとする計算により、純粋にベストエフォート帯域に使用できる帯域は、ベストエフォート帯域全体から各ONU50に対する加算帯域を合計した帯域を減算した帯域となる。例えば、全体のベストエフォート帯域(当初のベストエフォート帯域)が8Gbpsで、各ONU50の加算帯域の合計値が4Gbpsだった場合、純粋にベストエフォート帯域として利用可能な帯域は残りの4Gbpsとなる。
また、DBA処理部108では、評価値の増減に応じて相対係数αも増減させることで、ONU50の収容サービス状況に応じたBWGaranteeを実現できる。例えば、DBA処理部108は、任意のONU50−iの評価値が増加した場合には、相対係数α(i)もそれに応じて増加させ、任意のONU50−iの評価値が減少した場合には、相対係数α(i)もそれに応じて減少させるようにしても良い。
そして、DBA処理部108は、決定した保証帯域にもとづき、各ONU50からの要求等に対して実際に割当てる割当帯域(実際の通信に用いる上り通信の割当帯域)を決定する。
以上のDBA計算で決定した割当帯域は、PONの標準化で規定(例えば、非特許文献1参照)されているゲート信号により、OSU42(DBA処理部108)から各ONU50に通知される。また、DBA処理部108は、所定の周期(DBA周期)ごとにDBA計算を行い、各ONU50の割当帯域を更新する。
(A−2)第1の実施形態の動作
以下、第1の実施形態に係る通信システム1の動作(実施形態に係る通信制御方法)を説明する。
以下では、OLT40を構成するOSU42−1(DBA処理部108)が、各ONU50に対して上り通信の帯域割当を行う処理を中心に説明する。OLT40において、OSU42−1以外の動作については同様であるため、詳しい説明を省略する。
図6は、OLT40を構成するOSU42−1(DBA処理部108)が、各ONU50に対して上り通信の最低保証帯域の割当処理を行う際の動作例について示した説明図である。
図6では、任意のONU50−iの配下の任意のUE30−jで低遅延サービスの接続開始/接続停止が発生した場合に、OSU42−1(DBA処理部108)で上り通信の最低保証帯域の割当処理が行われる場合の例について示している。
まず、UE30−jから、低遅延サービスでの接続要求(コア側ネットワークNへの接続開始要求)が送出され、当該接続要求が、ONU50−i、OLT40(OSU42−1)、及びBBU10を介してMME3に到達したものとする(S101)。
そして、UE30−jからの低遅延サービスでの接続開始要求を受け付けると、MME3は、当該接続開始要求の確認をHSS4に要求する(S102)。
HSS4は、MME3からUE30−jの接続開始要求(低遅延サービスでの接続開始要求)に関する確認要求を受信すると、UE30−jの接続開始要求が正当であるか否かを判断(UE30−jによる低遅延サービスでの接続が加入者契約の範囲内であるか否かを判断)して、MME3に返答する。ここでは、UE30−jの接続開始要求が正当であるものとする。したがって、HSS4は、MME3に対して、UE30−jの接続開始要求を許可する通知、及び接続開始を許可する接続サービスに対応するサービスクラス(CoS値)を通知するためのUE_QoS通知を、MME3に返答する(S103)。
そして、MME3は、HSS4から返答された内容(接続開始許可、及びUE_QoS通知)をUE30−jに返答する(S104)。
このとき、OLT40(OSU42−1のDBA処理部108)が、MME3からUE30−jに返答される内容を取得し、上り方向の保証帯域割当に反映(DBA計算に反映)させる処理を行う(S105)。例えば、DBA処理部108は、取得した情報(UE_QoS通知)に基づいてONU50−iの配下のUE30−jに設定する評価値を更新し、さらにUE30−jが接続するONU50−iの評価値を算出し直す。そして、DBA処理部108は、ONU50−iに対して新たに算出した評価値に基いて、OSU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)に対する上り通信の保証帯域割当処理を再度行う。この時、UE30−jは、新たに高優先度の低遅延サービスに接続しているので、ONU50−iに対して割当てられる上り通信の保証帯域は増加することになる。そして、DBA処理部108は、OSU42−1のPON処理部103を介して、各SU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)に対する上り通信の帯域割当を制御する。これにより、各OSU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)は、上り通信の保証帯域を、新たにOLT40(OSU42−1)から通知された帯域として動作する。
また、以上の処理により、UE30−jは、低遅延サービスを利用して上り通信のパケット送信を行うことができる(S106)。
そして、その後、UE30−jで低遅延サービスを用いた通信が終了(例えば、低遅延サービスを利用するアプリケーションが終了)することになり、UE30−jから、低遅延サービスでの接続停止要求が送出され、当該接続停止要求がMME3に到達したものとする(S201)。
そして、UE30−jからの低遅延サービスでの接続停止要求を受け付けると、MME3は、当該接続開始要求の確認をHSS4に要求する(S202)。
HSS4は、MME3からUE30−jの接続停止要求(低遅延サービスでの接続停止要求)に関する確認要求を受信すると、MME3に、UE30−jの接続停止を確認する通知、及び低遅延サービスの接続停止後に利用を許可する通常接続サービスに対応するサービスクラス(CoS値)を通知するためのUE_QoS通知を、MME3に返答する(S203)。
そして、MME3は、HSS4から返答された内容(接続停止確認、及びUE_QoS通知)をUE30−jに返答する(S204)。
このとき、OLT40(OSU42−1のDBA処理部108)が、MME3からUE30−jに返答される内容を取得し、上り方向の保証帯域割当処理に反映(DBA計算に反映)させる処理を行う(S205)。例えば、DBA処理部108は、取得した情報(UE_QoS通知)に基づいてONU50−iの配下のUE30−jに設定する評価値を更新し、さらにUE30−jが接続するONU50−iの評価値を算出し直す。この時、UE30−jは、高優先度の低遅延サービスが終了し、通常サービスでの接続となるため、ONU50−iに対して割当てられる上り通信の保証帯域は減少することになる。そして、DBA処理部108は、OSU42−1のPON処理部103を介して、OSU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)に対する上り通信の保証帯域が、最新に割当てた値となるように制御する。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態のOLT40(OSU42)では、ONU50ごとに、配下のUE30が利用中の接続サービスに係るQoSのサービスクラスを考慮して上り通信の保証帯域を割当てる処理を行う。これにより、第1の実施形態のOLT40(OSU42)では、各ONU50で高優先度の接続サービス(例えば、低遅延サービス)で接続するUE30の数の変化に応じて柔軟な帯域割当(保証帯域割当処理)を行うことができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による親局通信装置、光通信ネットワークシステム、及び通信システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。以下では、本発明の親局通信装置、光通信ネットワークシスムを、それぞれOLT、PONに適用した例について説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の通信システム1の構成については、第1の実施形態と同様に上述の図1を用いて示すことができる。また、第2の実施形態のOLT40(OSU42)の構成についても上述の図2、図3を用いて示すことができる。以下では、第2の実施形態の構成について第1の実施形態との際を説明する。
第2の実施形態では、OSU42のDBA処理部108で、配下の各UE30が利用中の接続サービス(接続サービスに対応するサービスクラス(CoS値))を認識する方式が異なる。
第1の実施形態のDBA処理部108は、HSS4からのUE_QoS通知を取得して、配下の各UE30が利用中の接続サービス(接続サービスに対応するサービスクラス(CoS値))を認識していた。これに対して、第2の実施形態のDBA処理部108は、上りBUF109のパケット振分部201によるパケットの振分状況(振分先のログ)を監視することで、配下の各UE30が利用中の接続サービスを認識する。
上述の通りパケット振分部201は、上り通信のパケットのヘッダを参照して、当該パケットに設定されたサービスクラス(CoS値)に応じたキュー202に当該パケットを供給する処理を行う。したがって、DBA処理部108は、パケット振分部201のログ(各パケットの振分先の履歴情報)を参照することで、間接的に配下の各UE30が利用中の接続サービス(利用中の接続サービスのサービスクラス)を認識することができる。
以下に、パケット振分部201の具体的な動作例を説明する。パケット振分部201は、上り通信のパケットヘッダに基づくサービスクラス(QoSクラス)を認識(CoS値を認識)して、当該パケットを対応するサービスクラス(QoSクラス)のキュー202に振分ける。そして、パケット振分部201は、任意の時間長(以下、「カウント時間長」と呼ぶ)の期間ごとに、振分先サービスクラスと振分回数をカウントする。このとき、パケット振分部201は、上り通信のパケットのヘッダに記載されているLLID(Logical Link ID;各ONU50に割当てられる識別番号)に基づき、当該パケットの送信先のONU50を認識する。なお、LLIDとしては、例えば、PON標準化で規定される形式を適用することができる。これにより、パケット振分部201では、ONU50ごとのサービスクラス(QoSクラス)別のパケット数がカウント(認識)できる。
パケット振分部201によるカウント結果(ONU50ごとのサービスクラス別のパケット数)は制御部100に送信され、さらに、制御部100からDBA処理部108に送信される。ここでは、上述のカウント結果を、制御部100経由で送信させるものとするが、直接、上りBUF109からDBA処理部108に送信するようにしても良い。
上りBUF109においてサービスクラスの更新をDBA周期に追従させる場合、パケット振分部201は、カウント時間長を1DBA周期より短い時間に設定するようにしてもよい。また、上りBUF109においてサービスクラスの更新が複数のDBA周期に一度実施される場合、パケット振分部201は、カウント時間長を当該複数のDBA周期に設定し、そのカウント時間長分(当該複数のDBA周期分)のカウント結果の平均値(1DBA周期あたりに換算した平均値)を最終的なカウント結果として制御部100に通知するようにしてもよい。
ここでは、DBA処理部108では、QoSの各サービスクラス(各キュー202−1〜202−8)に対する重み係数が設定されているものとする。例えば、図4のような8クラスのサービスクラス(クラス1〜8)が設定されている場合、DBA処理部108では、上位クラスから順に8,7,6,5,4,3,2,1という重み係数を設定するようにしてもよい。DBA処理部108では、この重み係数とONU50ごとのカウント結果(QoSのサービスクラス別のパケット数)からDBA計算用の最終評価値を決定するようにしてもよい。例えば、DBA処理部108は、各ONU50について、サービスクラスごとのパケット数(カウント結果)を、サービスクラスごとの重み係数で重み付け加算し、その重み付け加算した結果を最終的な評価値として算出するようにしてもよい。
例えば、ONU50−1に対するカウント結果(QoSのサービスクラス別のパケット数)が上位のサービスクラスから順(サービスクラス8〜1)に10、7、0、0、1、1、1、0であり、ONU50−2に対するカウント結果が上位のサービスクラスから順(サービスクラス8〜1)に2、1、0、0、1、7、8、2だった場合を想定する。この場合、最終的な評価値(重み付け加算の結果)はONU50−1では138(=8×10+7×7+6×0+5×0+4×1+3×1+2×1+1×0)となり、ONU50−2では66(=8×2+7×1+6×0+5×0+4×1+3×7+2×8+1×2)となる。DBA処理部108は、この最終評価値を使用して、第1の実施形態と同様のDBA計算(ONU50ごとの保証帯域の割当処理)を実行する。
上述のようにサービスクラスごとのパケット数をサービスクラスごとの重み付け加算処理して最終評価値を算出する場合、高サービスクラスのパケット数に比べて低サービスクラスのパケット数が多いONU50(以下、「第1のONU50」と呼ぶ)よりも、高サービスクラスのパケット数が0のONU50(以下、「第2のONU50」と呼ぶ)の方が評価値が高くなる等、最終評価値の逆転現象が発生することになる。QoS制御の観点からは、第2のONU50よりも第1のONU50に優先的に帯域を割当てることが望ましい。そのため、DBA処理部108では、例えば、高サービスクラス以外(未満)のサービスクラス(例えば、8クラスのうちクラス5以下のサービスクラス)の重み係数を0に設定して、高サービスラス(例えば、8クラスのうちクラス6以上のサービスクラス)のパケットがカウントされたONU50が必ず優先されるようにしてもよい。
以上のように第2の実施形態のDBA処理部108は、各UE30が利用中の接続サービス(利用中の接続サービスのサービスクラス)を認識し、その認識結果に基づいて各ONU50に対する上り通信の保証帯域の割当処理を行う。第2の実施形態のDBA処理部10が、各UE30が利用中の接続サービス(利用中の接続サービスのサービスクラス)の認識結果に基いて各ONU50に対する上り通信の最低保証帯域の割当処理を行う処理については第1の実施形態と同様の処理を適用することができるため、詳しい説明を省略する。
(B−2)第2の実施形態の動作
以下、第2の実施形態に係る通信システム1の動作(実施形態に係る通信制御方法)を説明する。
以下では、第2の実施形態において、OLT40を構成するOSU42−1(DBA処理部108)が、各ONU50に対して上り通信の帯域割当を行う処理を中心に説明する。OLT40において、OSU42−1以外の動作については同様であるため、詳しい説明を省略する。
図7は、第2の実施形態のOLT40を構成するOSU42−1(DBA処理部108)が、各ONU50に対して上り通信の最低保証帯域の割当処理を行う際の動作例について示した説明図である。
図7では、任意のONU50−iの配下の任意のUE30−jで低遅延サービスの接続開始/接続停止が発生した場合に、OSU42−1(DBA処理部108)で上り通信の最低保証帯域の割当処理が行われる場合の例について示している。
まず、UE30−jが、コア側ネットワークNと低遅延サービスで接続を開始したものとする(S301)。
なお、図7では、UE30−jが低遅延サービスでの接続開始/接続停止する際のシーケンス(MME3(HSS4)等との通信によるシーケンス)については図示を省略している。
そして、UE30−jが、低遅延サービスのパケット(サービスクラス8のパケット)の送信を開始したものとする(S302)。
上述の通り、第2の実施形態のOLT40(OSU42−1のDBA処理部108)は、上りBUF109(パケット振分部201)におけるパケット振分処理のログを監視しているため、UE30−jが低遅延サービスのパケット(サービスクラス8のパケット)の送出を開始したこと(低遅延サービスを利用中であること)を認識(パケット振分部201のログに基づいて認識)することができる(S303)。
UE30−jが低遅延サービスのパケット(サービスクラス8のパケット)を送出したこと(低遅延サービスを利用中であること)を認識すると、OLT40(OSU42−1のDBA処理部108)は、UE30−jに設定する評価値を更新し、上り方向の帯域割当に反映させる処理を行う(S304)。例えば、DBA処理部108は、取得した情報(UE_QoS通知)に基づいてONU50−iの配下のUE30−jに設定する評価値を更新し、さらにUE30−jが接続するONU50−iの評価値を算出し直す。そして、DBA処理部108は、ONU50−iに対して新たに算出した評価値に基いて、OSU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)に対する上り通信の帯域割当を再度行う。この時、UE30−jは、新たに高優先度の低遅延サービスに接続しているので、ONU50−iに対して割当てられる上り通信の帯域は増加することになる。そして、DBA処理部108は、OSU42−1のPON処理部103を介して、各SU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)に対する上り通信の帯域割当を制御する。これにより、各SU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)は、上り通信の帯域を、新たにOLT40(OSU42−1)から通知された帯域として動作する。
そして、その後、UE30−jで低遅延サービスを用いた通信が終了(例えば、所定のアプリケーションが終了)し、通常サービスでの通信が開始されたものとする(S401)。
そして、UE30−jが、通常サービスのパケット(サービスクラス4のパケット)の送信を開始したものとする(S402)。
UE30−jが通常サービスのパケット(サービスクラス4のパケット)の送出を開始したこと(通常サービスを利用開始したこと)を認識(パケット振分部201のログに基づいて認識)すると、OLT40(OSU42−1のDBA処理部108)は、UE30−jで低遅延サービスでの接続が終了し通常サービスでの接続が開始されたと認識する(S403)。
そして、OLT40(OSU42−1のDBA処理部108)は、UE30−jに設定する評価値を更新し、上り方向の帯域割当に反映させる処理を行う(S404)。
この時、UE30−jは、高優先度の低遅延サービスが終了し、通常サービスでの接続となるため、ONU50−iに対して割当てられる上り通信の帯域は減少することになる。そして、DBA処理部108は、OSU42−1のPON処理部103を介して、各SU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)に対する上り通信の帯域割当を制御する。これにより、各SU42−1の配下の各ONU50(50−1〜50−M1)は、上り通信の帯域を、新たにOLT40(OSU42−1)から通知された帯域として動作する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態では、OLT40(OSU42)が、HSS4から情報を取得せずに、内部の情報(パケット振分部201のログ)を参照するだけで、素早く各UE30が利用中のサービスクラスを認識することができる。したがって、第2の実施形態のOLT40(OSU42)では、第1の実施形態と比較して、より高速なDBA処理に対応することができる。
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(C−1)上記の各実施形態では、本発明の光通信ネットワークシステム(親局通信装置)を、TWDM−PONに適用する例について説明したが、TWDMではない通常のPON(GE−PON等)に適用するようにしてもよい。