以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
本実施形態においては、回転電機の一例としてアキシャルギャップモータを開示する。ただし、本実施形態に示す構造の一部は、他種の回転電機に適用することも可能である。
図1は、本実施形態に係るモータMの外観構成の一例を概略的に示す斜視図である。
モータMは、ハウジング10、シャフトS、連結部材90を備えている。なお、本明細書においては、シャフトSの回転軸AXと平行な方向を軸方向とし、回転軸AXに垂直であり回転軸AXから放射状に広がる方向を径方向とする。
ハウジング10は、第1ハウジング10A、第2ハウジング10B、第3ハウジング10C、第4ハウジング10D、第1フレーム20A、第2フレーム20B、第3フレーム20Cを備えている。
第1フレーム20Aは、第1ハウジング10Aと第2ハウジング10Bとの間に配置され、第1ハウジング10Aと対向する第1面SF1と、第2ハウジング10Bと対向する第2面SF2と、を有している。第2フレーム20Bは、第2ハウジング10Bと第3ハウジング10Cとの間に配置され、第2ハウジング10Bと対向する第3面SF3と、第3ハウジング10Cと対向する第4面SF4と、を有している。第3フレーム20Cは、第3ハウジング10Cと第4ハウジング10Dとの間に配置され、第3ハウジング10Cと対向する第5面SF5と、第4ハウジング10Dと対向する第6面SF6と、を有している。
第1ハウジング10Aは有底筒状であり、第1底面BS1と、開口した一端側に第1面SF1に固定された第1フランジ部101Aと、を有している。第2ハウジング10Bは筒状であり、開口した一端側に第2面SF2に固定された第2フランジ部101Bと、開口した他端側に第3面SF3に固定された第3フランジ部102Bと、を有している。第3ハウジング10Cは筒状であり、開口した一端側に第4面SF4に固定された第4フランジ部101Cと、開口した他端側に第5面SF5に固定された第5フランジ部102Cと、を有している。第4ハウジング10Dは有底筒状であり、第2底面BS2と、開口した一端側に第6面SF6に固定された第6フランジ部101Dと、を有している。第1乃至第4ハウジングと第1乃至第3フレームのうち、第1底面BS1と第2底面BS2との間に位置する部分は、ハウジング10の側部SDに相当する。第2底面BS2は、軸方向において側部SDを介して第1底面BS1の反対側に位置している。第1乃至第6フランジ部は、筒状の第1乃至第4ハウジングに対して径方向に突出している。このように、第1フレーム20Aに対して第1ハウジング10A及び第2ハウジング10Bが固定され、第2フレーム20Bに対して第2ハウジング10B及び第3ハウジング10Cが固定され、第3フレーム20Cに対して第3ハウジング10C及び第4ハウジング10Dが固定されることで、モータMの内部の気密性が保持されている。
第1ハウジング10Aは、図示しない吸気口14(第1孔、図2に図示)を有している。第4ハウジング10Dは、排気口8(第2孔)を有している。図示した例では、4つの排気口8が周方向に等間隔に位置している。連結部材90は、有底筒状であり、開口した一端側が第4ハウジング10Dに固定されている。連結部材90及び第4ハウジング10Dの間の空間は、排気口8と繋がっている。連結部材90は、連結部材排気口80を有している。排気口8から連結部材90内部の空間へ排出された空気は、連結部材排気口80からフレキシブルダクト6へ排出される。フレキシブルダクト6には図示しないブロワが接続されている。例えば、モータMが電車などの車両に搭載されている場合、車両が進行方向に対してカーブするときにモータと車両との間の相対位置が変化し回転変位差が発生する。フレキシブルダクト6は、回転変位差を吸収することが可能であり、車両の動きがモータM内の通風に影響するのを抑制することができる。
シャフトSは、第1乃至第4ハウジング、第1乃至第3フレーム、連結部材90の中央に通され、第1ハウジング10A、第1フレーム20A、第2ハウジング10B、第2フレーム20B、第3ハウジング10C、第3フレーム20C、第4ハウジング10D、連結部材90は、回転軸AXに沿ってこの順に並んでいる。
第1乃至第3フレームのそれぞれの4つの角部には、貫通孔Hが設けられている。モータMは、例えば、これらの貫通孔Hを利用して設置場所に固定される。図1においては、第1フレーム20A及び第3フレーム20Cの下方の貫通孔Hを設置場所の取付具Fに連結した状態を示しているが、モータMの設置方法はこれに限定されない。
図2は、図1に示したモータMの縦断面図である。図2は、図1に示したモータMのシャフトSより上側の構成を示している。
モータMは、図1に示した構成に加えてさらに、第1回転子1A、第2回転子1B、第3回転子1C、第4回転子1Dと、第1固定子2A、第2固定子2B、第3固定子2Cと、ベアリング200と、を備えている。第1回転子1A、第1固定子2A、第2回転子1B、第2固定子2B、第3回転子1C、第3固定子2C、第4回転子1Dは、シャフトSの回転軸AXに沿って隙間を介して順に並んでいる。シャフトSは、ベアリング200を介して第1ハウジング10A及び第4ハウジング10Dに回転自在に支持されている。
第1回転子1Aは、第1ハウジング10Aに囲まれている。第1回転子1Aは、第1底面BS1と対向する第1面SF11と、第1面SF11の反対側に位置する第2面SF12と、を有している。第2面SF12は、第1間隙GP1を介して第1固定子2Aと対向している。第2回転子1Bは、第2ハウジング10Bに囲まれている。第2回転子1Bは、第3面SF13と、第3面SF13の反対側に位置する第4面SF14と、を有している。第3面SF13は、第2間隙GP2を介して第1固定子2Aと対向し、第4面SF14は、第3間隙GP3を介して第2固定子2Bと対向している。第3回転子1Cは、第3ハウジング10Cに囲まれている。第3回転子1Cは、第5面SF15と、第5面SF15の反対側に位置する第6面SF16と、を有している。第5面SF13は、第4間隙GP4を介して第2固定子2Bと対向し、第6面SF16は、第5間隙GP5を介して第3固定子2Cと対向している。第4回転子1Dは、第4ハウジング10Dに囲まれている。第4回転子1Dは、第7面SF17と、第2底面BS2に対向し第7面SF17の反対側に位置する第8面SF18と、を有している。第7面SF17は、第6間隙GP1を介して第3固定子2Cと対向している。
第1回転子1Aは、シャフトSに固定された回転子ベース11Aと、回転子ベース11Aの第1固定子2Aと対向する面に固定された永久磁石12を備えている。第2回転子1Bは、シャフトSに固定された回転子ベース11Bと、回転子ベース11Bの第1固定子2Aと対向する面及び第2固定子2Bと対向する面に固定された永久磁石12を備えている。第3回転子1Cは、シャフトSに固定された回転子ベース11Cと、回転子ベース11Cの第2固定子2Bと対向する面及び第3固定子2Cと対向する面に固定された永久磁石12を備えている。
回転子ベース11Aは、永久磁石12とシャフトSとの間に軸方向に貫通した第1通風路77Aを有している。第1通風路77Aは、第1底面BS1と第1回転子1Aとの間の空間と、第1間隙GP1に連通している。回転子ベース11Bは、永久磁石12とシャフトSとの間に軸方向に貫通した第2通風路77Bを有している。第2通風路77Bは、第2間隙GP2と第3間隙GP3に連通している。回転子ベース11Cは、永久磁石12とシャフトSとの間に軸方向に貫通した第3通風路77Cを有している。第3通風路77Cは、第4間隙GP4と第5間隙GP5に連通している。回転子ベース11Dは、永久磁石12とシャフトSとの間に軸方向に貫通した第4通風路77Dを有している。第4通風路77Dは、第6間隙GP6と、第2底面BS2と第4回転子1Dとの間の空間に連通している。
ハウジング10は、第1回転子1A、第1固定子2A、第2回転子1B、第2固定子2B、第3回転子1C、第3固定子2C、第4回転子1Dを気密に囲んでいる。第1底面BSは、第1回転子1Aに対して、第1固定子2A側とは反対側に位置している。第2底面BS2は、第2回転子1Bに対して、第2固定子2A側とは反対側に位置している。第1ハウジング10Aの吸気口14は、第1底面BS1に位置し、第1回転子1Aと軸方向に対向する。第4ハウジング10Dの排気口8は、第2底面BS2に位置し、第4回転子1Dと軸方向に対向する。
第1固定子2Aは、第1回転子1A及び第2回転子1Bの間に配置されている。第2固定子2Bは、第2回転子1B及び第3回転子1Cの間に配置されている。第3固定子2Cは、第3回転子1C及び第4回転子1Dの間に配置されている。第1固定子2A、第2固定子2B、第3固定子2Cは、それぞれ、第1コイル91と、第2コイル92と、第1コア81と、第2コア82と、第3コア83と、を備えている。
第1固定子2Aは、図1に示した第1フレーム20Aの第1面SF1側に固定された第1支持板3Aと、フレーム20Aの第2面SF2側に固定された第2支持板3Bと、を備えている。第2固定子2Bは、第2フレーム20Bの第3面SF3側に固定された第3支持板3Cと、第2フレーム20Bの第4面SF4側に固定された第4支持板3Dと、を備えている。第3固定子2Cは、第3フレーム20Cの第5面SF5側に固定された第5支持板3Eと、第3フレーム20Cの第6面SF6側に固定された第6支持板3Fと、を備えている。第1乃至第6支持板は、シャフトSの周方向にシャフトSを囲んでいる。
第1支持板3Aは、第1通風路77Aと軸方向に対向している。第2支持板3Bは、第2通風路77Bと軸方向に対向している。第3支持板3Cは、第2通風路77Bと軸方向に対向している。第4支持板3Dは、第3通風路77Cと軸方向に対向している。第5支持板3Eは、第3通風路77Cと軸方向に対向している。第6支持板3Fは、第3通風路77Dと軸方向に対向している。第1支持板3Aは、第1間隙GP1を介して第1回転子1Aと対向している。第2支持板3Bは、第2間隙GP2を介して第2回転子1Bと対向している。第3支持板3Cは、第3間隙GP3を介して第2回転子1Bと対向している。第4支持板3Dは、第4間隙GP4を介して第3回転子1Cと対向している。第5支持板3Eは、第5間隙GP5を介して第3回転子1Cと対向している。第6支持板3Fは、第6間隙GP6を介して第4回転子1Dと対向している。
ここでは、第1固定子2Aに着目してその構成について説明する。なお、第2固定子2B及び第3固定子2Cは、第1固定子2Aと同様の構成を有している。
第1支持板3A及び第2支持板3Bは、軸方向に対向している。第1支持板3AとシャフトSとの間、及び、第2支持板3BとシャフトSとの間は離間している。第1支持板3A及び第2支持板3Bは、第1コイル91及び第2コイル92に接して導通するのを防ぐため、非磁性かつ非導電性の材料で形成することが好ましい。また、第1支持板3A及び第2支持板3Bは、変形を防ぐためや、間に配置された部材を強固に支持するために、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)で形成することができる。また、第1支持板3A及び第2支持板3Bは、セラミック材料で形成することもできる。
第1コイル91、第2コイル92、第1コア81、第2コア82、第3コア83は、第1支持板3A及び第2支持板3Bの間で支持されている。第1コイル91は、シャフトSの周りに巻き回されている。第2コイル92は、第1コイル91の内周側に位置し、シャフトSの周りに巻き回されている。後述するが、複数の第1コア81は、第1コイル91の外周側で周方向に並んでいる。第1コア81は、径方向に第1コイル91と隙間を対向している。複数の第2コア82は、第1コイル91と第2コイル92との間で周方向に並んでいる。第2コア82は、径方向に第1コイル91及び第2コイル92と隙間を介して対向している。複数の第3コア83は、第2コイル92の内周側で周方向に並んでいる。第3コア83は、径方向に第2コイル92と隙間を介して対向している。すなわち、第3コア83、第2コイル92、第2コア82、第1コイル91、第1コア81は、第1支持板3A及び第2支持板3Bによって相対位置が固定され、径方向にこの順に並んでいる。第1コア81、第2コア82、第3コア83は、第1支持板3A及び第2支持板3Bの孔から露出し、第1回転子1A及び第2回転子1Bと対向している。
次に、磁束の作用について第2固定子2Bに着目して説明する。
第1コイル91及び第2コイル92に電流を流すと、第1コイル91及び第2コイル92の周囲に磁束が発生する。第1コア81、第2コア82、第3コア83を通る磁束は、回転軸AXと概ね平行である。これらの磁束が第2回転子1B及び1Cの永久磁石12に作用し、第2回転子1B及び第3回転子1C、シャフトSが回転する。第1固定子2A及び第3固定子2Cにおいても同様の磁束が発生する。第1固定子2A、第2固定子2B、第3固定子2Cの第1コイル91及び第2コイル92には、それぞれ3相交流が供給される。
図3は、モータMの概略的な断面図である。ここでは、第1回転子1A及び第2回転子1B、第1固定子2Aの一部、シャフトSのみを示し、他の要素の図示を省略している。図3で示される第1固定子2Aの構成は、第2固定子2B及び第3固定子2Cの構成と同様である。
第1支持板3Aは、第1コイル91及び第2コア82の間の隙間と連通する通風口37と、第2コイル92及び第2コア82の間の隙間と連通する通風口38と、を有している。第2支持板3Bは、第1コイル91及び第2コア82の間の隙間と連通する通風口47と、第2コイル92及び第2コア82の間の隙間と連通する通風口48と、を有している。第1固定子2Aは、通風口37、第1コイル91及び第2コア82の間の隙間、通風口47によって構成された通風路9Aを有している。また、第1固定子2Aは、通風口38、第2コイル92及び第2コア82の間の隙間、通風口48によって構成された通風路9Bを有している。
フレキシブルダクト6に接続されたブロワが稼働した際のモータM内の空気ARの流れを図2及び図3を参照して説明する。
ブロワが稼働することで、モータM内が陰圧となり、吸気口14から空気ARが吸引される。吸引された空気ARは、第1回転子1Aの外周側、もしくは、第1通風路77Aを通り、第1間隙GP1に流入する。そして、空気ARは、第1間隙GP1から第1固定子2A内の通風路9A及び9Bを通り、第2間隙GP2へ流出する。空気ARは、第2間隙GP2において、外周側及び内周側の両方に進行し、第2間隙GP2の外周側へ進行した空気ARは、第2回転子1Bの外周側を通過し、第2間隙GP2の内周側へ進行した空気ARは、第2通風路77Bを通過し、第3間隙GP3に流入する。そして、空気ARは、第2固定子2B内の通風路9A及び9Bを通り、第4間隙GP4に流入する。空気ARは、第4間隙GP4において、外周側及び内周側の両方に進行し、第4間隙GP4の外周側へ進行した空気ARは、第3回転子1Cの外周側を通過し、第4間隙GP4の内周側へ進行した空気ARは、第3通風路77Cを通過し、第5間隙GP5に流入する。そして、空気ARは、第3固定子2C内の通風路9A及び9Bを通り、第6間隙GP6に流入する。空気ARは、第6間隙GP6において、外周側及び内周側の両方に進行し、第6間隙GP6の外周側へ進行した空気ARは、第4回転子1Dの外周側を通過し、第6間隙GP6の内周側へ進行した空気ARは、第4通風路77Dを通過し、排気口8から排出される。このように、空気ARがモータMの内部を流れることによって、第1コイル91及び第2コイル92を冷却することができる。
上記のように第1乃至第4回転子ベースがそれぞれ第1乃至第4通風路を有することにより、第1乃至第6間隙の内周側にも空気ARを送ることができる。モータMの稼働時には、第1乃至第4回転子が回転することにより遠心力が生じるため、第1乃至第6隙間の内周側の空気ARは外周側へ流れやすい。そのため、第1乃至第4通風路によって、第1乃至第6隙間の空気ARの流量を増加させることができる。
また、第1乃至第6支持板は、第1乃至第4通風路と対向しているため、第1通風路を通った空気ARの進行方向を第1乃至第6隙間の径方向に向けることができる。よって、第1乃至第6隙間において通風量や風速が増し、よりコイルの冷却効率を向上させることができる。なお、第1支持板3A及び第2支持板3Bのうち、どちらか一方のみが通風路77Aと対向する構成であっても良い。第2固定子2B及び第3固定子2Cについても同様である。
なお、第1固定子2Aは、第1コイル91及び第2コア82の間を通る通風路9Aと、第2コイル92及び第2コア82の間を通る通風路9Bと、を有していたが、第1コイル91及び第1コア81の間を通る通風路と、第2コイル92及び第3コア83の間を通る通風路と、を有していても良いし、これら4つの通風路のうち何れか1つを有していても良いし、何れか2つ以上を有していても良い。
本実施形態によれば、第1支持板3Aは、通風口37及び38を有し、第2支持板3Bは、通風口47及び48を有している。そのため、第1固定子2Aに通風路9A及び9Bが形成され、第1コイル91及び第2コイル92に空気ARを直接当てることができる。第1支持板3A及び第2支持板3Bは、熱伝導率の低い非磁性体を用いて形成されている。すなわち、第1コイル91及び第2コイル92が熱伝導率の低い第1支持板3A及び第2支持板3Bによって挟まれている場合にも、第1コイル91及び第2コイル92の冷却効率を向上することが可能である。第2固定子2B及び第3固定子2Cにおいても同様の効果を得ることができる。
図4は、図2に示した第1回転子1Aの概略的な斜視図である。
回転子ベース11Aは、円盤状である。第1回転子1Aは、上記の構成に加えて複数のコア13を備えている。コア13は、例えば鉄などの強磁性体の粉末を圧縮して固めた圧粉磁心である。永久磁石12及びコア13は、回転軸AXを中心として放射状に延びる長尺な形状を有しており、回転軸AXを中心とした周方向に交互に配列されている。図2に示したように、第1回転子1Aにおいては、第1固定子2Aと対向する回転子ベース11Aの一面にのみ、永久磁石12及びコア13が配置されている。第2回転子1B及び第3回転子1Cにおいては、回転子ベース11B及び11Cの両面に永久磁石12及びコア13が配置されている。第4回転子1Dにおいては、第3固定子2Cと対向する回転子ベース11Dの一面にのみ、永久磁石12及びコア13が配置されている。また、回転子ベース11Aは、永久磁石12及びコア13より内周側において適当な間隔を空けて位置する複数の第1通風路77Aを有している。第2通風路77B、第3通風路77C、第7通風路77Dも同様に、それぞれ回転子ベース11B、11C、11Dにおいて、永久磁石12及びコア13より内周側で適当な間隔を空けて位置している。
続いて、第1固定子2Aの詳細につき、図5乃至図9を用いて説明する。第2固定子2B及び第3固定子2Cについては、第1固定子2Aと同様の構造を有するため、説明を省略する。
図5は、図2に示した第1固定子2Aの概略的な斜視図である。
第1コア81は、第2支持板3Bの第1開口41から露出している。第2コア82は、第2支持板3Bの第2開口42から露出している。第3コア83は、第2支持板3Bの第3開口43から露出している。第2支持板3Bの通風口47は、第1開口41及び第2開口42の間で周方向に断続的に位置している。第2支持板3Bの通風口48は、第2開口42及び第3開口43の間で周方向に断続的に位置している。第1開口41、第2開口42、第3開口43にそれぞれ第1コア81、第2コア82、第3コア83が配置されているのに対し、通風口47及び48は空洞である。図示しないが、第1支持板3Aについても同様である。第1コイル91の素線の2つのリード部91a及び第2コイル92の素線の2つのリード部92aは、例えば第1フレーム20Aに設けられた孔を通じて第1フレーム20Aの外部に引き出される。第2支持板3Bは、第2コイル92の素線を引き出すためのスリット46を有している。第2コイル92のリード部92aは、スリット46に収められる。また、第1固定子2Aを構成する各部材を組み立てる際に部材の位置を決定するための位置決めピンPが第2支持板3Bから露出している。
図6は、第1固定子2Aの概略的な分解斜視図である。図6は、第1固定子2Aを構成する部材と、第1フレーム20Aと、を示している。
第1固定子2Aは、上述した第1支持板3A、第2支持板3B、複数の第1コア81、複数の第2コア82、複数の第3コア83、第1コイル91、第2コイル92を備えている。さらに、第1固定子2Aは、第1押え部材5A及び5Bと、第2押え部材6A及び6Bと、第3押え部材7A及び7Bと、を備えている。これら押え部材は、第1コイル91及び第2コイル92との導通を防ぐために非磁性かつ非導電性の材料で形成することが好ましく、例えば各種のプラスチックで形成することができる。
複数の第1コア81は、回転軸AXを中心とした第1円周C1に沿って配列されている。複数の第2コア82は、回転軸AXを中心とし、かつ第1円周C1よりも小さい半径の第2円周C2に沿って配列されている。複数の第3コア83は、回転軸AXを中心とし、かつ第2円周C2よりも小さい半径の第3円周C3に沿って配列されている。第1コア81の周方向における配置間隔は一定であってもよいし、少なくとも一部において異なってもよい。第2コア82及び第3コア83についても同様である。第1コア81、第2コア82、第3コア83は、例えば、鉄などの強磁性体の粉末を圧縮して固めた圧粉磁心である。第1コア81、第2コア82、第3コア83として圧粉磁心を用いると、例えば高周波域の交流でモータMを駆動する場合の鉄損を低下させることができる。
第1コイル91及び第2コイル92は円環状であり、回転軸AXを中心として同心円状に配置されている。第2コイル92の半径は、第1コイル91の半径よりも小さく、第1コイルの内周側に配置されている。第1コイル91及び第2コイル92は、回転軸AXを中心とした周方向に素線を巻回して構成されている。第1コイル91及び第2コイル92の各々において、例えば素線は軸方向に扁平であり、軸方向及び径方向に複数段重ねられている。
第1支持板3Aは、回転軸AXを中心とした円形であり、シャフトSを通すための円形の中央開口30と、第1コア81に対応する複数の第1開口31と、第2コア82に対応する複数の第2開口32と、第3コア83に対応する複数の第3開口33と、を有している。さらに、第1支持板3Aは、外周縁に沿って設けられた複数の孔34と、中央開口30に沿って設けられた複数の孔35と、を有している。第1支持板3Aの通風口37は、第1開口31よりも第2開口32側に位置している。第1支持板3Aの通風口38は、第3開口33よりも第2開口32側に位置している。
第2支持板3Bは、第1支持板3Aと概ね同様の形状であり、中央開口40と、複数の第1開口41と、複数の第2開口42と、複数の第3開口43と、を有している。さらに、第2支持板3Bは、外周縁に沿って設けられた複数の孔44と、中央開口40に沿って設けられた複数の孔45と、第2コイル92の素線を引き出すためのスリット46と、を有している。第2支持板3Bの通風口47は、第1開口41よりも第2開口42側に位置している。第2支持板3Bの通風口38は、第3開口43よりも第2開口42側に位置している。
第1押え部材5Aは、例えば外径が第1支持板3Aの外径と等しい環状である。第1押え部材5Aは、複数の第1コア81と同じピッチで並ぶ複数のノッチ50を内周側に有している。複数の第2押え部材6Aは、複数の第2コア82と同じピッチで環状に並んでいる。第3押え部材7Aは、例えば内径が中央開口30の径と等しい環状である。第3押え部材7Aは、複数の第3コア83と同じピッチで並ぶ複数のノッチ70を外周側に有している。第1押え部材5B、各第2押え部材6B、及び、第3押え部材7Bの形状及び配置態様は、第1押え部材5A、各第2押え部材6A、及び、第3押え部材7Aと同様である。
第1フレーム20Aは、第1支持板3A及び第2支持板3Bの外径よりも小さくかつ第1押え部材5A及び5Bの外径よりも大きい径の円形の開口21を有している。さらに、第1フレーム20Aは、開口21の周縁に環状の段差部22を有している。段差部22は、第1支持板3A側及び第2支持板3B側の双方に設けられている。さらに、フレーム20Aは、段差部22に設けられた複数の孔23と、少なくとも2つの位置決め孔24とを有している。位置決め孔24には、図5に示した位置決めピンPが通される。
図7は、第2支持板3Bの通風口47及び48と、第1固定子2Aの各部材の位置関係を説明するための概略的な平面図である。図7は、図5に示した第1固定子2Aの一部分を拡大した平面図に相当する。ここでは、第1コイル91及び第2コイル92の平面における位置が破線で示されている。
第1コア81、第2コア82、及び、第3コア83は、回転軸AXを中心とした周方向において、例えば電気角で120°に相当する角度ずつ互いにずれている。平面において、通風口47は、第1コイル91と第2コア82との間に位置している。また、平面において、通風口48は、第2コイル92と第2コア82との間に位置している。すなわち、通風口47は、第1コイル91及び第2コア82の間の隙間と繋がる位置に形成されている。また、通風口48は、第2コイル92及び第2コア82の間の隙間と繋がる位置に形成されている。
図8は、図7における線F13に沿う第1固定子2Aの概略的な断面図である。図8は、図2に示した第1固定子2Aをより詳細に示した断面図に相当する。
第1押え部材5A及び5Bは、第1支持板3Aと第2支持板3Bとの間に位置し、互いに軸方向に対向している。第1押え部材5A及び5Bは、第1フレーム20Aの段差部22を軸方向に挟んでいる。第1押さえ部材5Aは、第1支持板3Aと第1フレーム20Aに接している。第1押え部材5Bは、第2支持板3Bと第1フレーム20Aに接している。第3押え部材7A及び7Bは、第1支持板3Aと第2支持板3Bとの間に位置し、互いに軸方向に対向している。第3押え部材7Aは、第1支持板3Aに接している。第3押え部材7Bは、第2支持板3Bに接している。
第1支持板3Aは、第1開口31において第1コア81と接し、第2開口32において第2コア82と接し、第3開口33において第3コア83と接している。また、第1支持板3Aは、第1開口31と第2開口32との間において第1コイル91に接し、第2開口32と第3開口33との間において第2コイル92に接している。第2支持板3Bは、第1開口41において第1コア81と接し、第2開口42において第2コア82と接し、第3開口43において第3コア83と接している。また、第2支持板3Bは、第1開口41と第2開口42との間において第1コイル91に接し、第2開口42と第3開口43との間において第2コイル92に接している。第1支持板3Aの通風口37、第1コイル91と第2コア82との間の隙間、第2支持板3Bの通風口47は、軸方向の直線上に位置している。第2支持板3Bの通風口47、第2コイル92と第2コア82との間の隙間、第2支持板3Bの通風口48は、軸方向の直線上に位置している。
ボルトB1及びナットN1により、第1支持板3A、第2支持板3B、第1押え部材5A及び5Bが第1フレーム20Aに固定される。また、ボルトB2及びナットN2により、第1支持板3A、第2支持板3B、第3押え部材7A及び7Bが互いに固定される。ボルトB1は、第1支持板3の孔34、第1押え部材5Aの孔52、第1フレーム20Aの孔23、第1押え部材5Bの孔52、第2支持板3Bの孔44に順に通され、第2支持板3Bの側でナットN1にねじ込まれる。ボルトB2は、第1支持板3の孔35、第3押え部材7Aの孔72、第3押え部材7Bの孔72、第2支持板3Bの孔45に順に通され、第2支持板3Bの側でナットN2にねじ込まれる。
図9は、図7における線F14に沿う第1固定子2Aの概略的な断面図である。
第2押え部材6A及び6Bは、第1支持板3Aと第2支持板3Bとの間に位置し、互いに軸方向に対向している。第2押え部材6Aは、第1支持板3Aに接している。第2押え部材6Bは、第2支持板3Bに接している。第1押え部材5Bの各孔51にねじS1を挿入し、その先端を第1押え部材5Aの各孔51の雌ねじにねじ込むことで、第1押え部材5A及び5Bが連結される。また、第2押え部材6Bの孔61にねじS2を挿入し、その先端を第2押え部材6Aの孔61の雌ねじにねじ込むことで、第2押え部材6A及び6Bが連結される。また、第3押え部材7Bの各孔71にねじS3を挿入し、その先端を第3押え部材7Aの各孔71の雌ねじにねじ込むことで、第3押え部材7A及び7Bが連結される。図示した例においては、第1押え部材5Bの孔51、第2押え部材6Bの孔61、第3押え部材7Bの孔71にそれぞれザグリが設けられ、このザグリ内にねじS1乃至S3の頭部が収容されている。第1押え部材5Aと5Bとの間、第2押え部材6Aと6Bとの間、第3押え部材7Aと7Bとの間にはそれぞれ隙間が形成されている。第1コイル91は、径方向において、第1押え部材5Aと第2押え部材6Aとの間、第1押え部材5Bと第2押え部材6Bとの間に位置している。第2コイル92は、径方向において、第2押え部材6Aと第3押え部材7Aとの間、第2押え部材6Bと第3押え部材7Bとの間に位置している。
図10は、本実施形態に係るモータMの第1変形例を概略的に示す斜視図である。図10に示した構成は、図1に示した構成と比較して、主に連結部材90Aの形状及び位置が相違している。
ハウジング10は、側部SDに位置する排気口(第3孔)8A及び排気口(第4孔)8Bを有している。複数の排気口8Aは、第2ハウジング10Bの周方向に互いに間隔をおいて位置している。複数の排気口8Bは、第3ハウジング10Cの周方向に互いに間隔をおいて位置している。複数の連結部材90Aは、第2ハウジング10B及び第3ハウジング10Cの外側に気密に固定され、第2ハウジング10B及び第3ハウジング10Cの周方向に沿って互いに間隔をおいて配置されている。モータMは、例えば、周方向に約90°の等間隔に配置された4つの連結部材90Aを備えている。それぞれの連結部材90Aは、連結部材排気口(第5孔)80Aを有している。1つの連結部材90Aは、1対の排気口8A及び8Bを連通している。第4ハウジング10Dは、第2底面BS2において吸気口(第2孔)14Bを有している。図示した例では、4つの吸気口14Bが周方向に等間隔に位置している。
図示しないが、図1に示したのと同様に、フレキシブルダクトが各連結部材90Aの連結部材排気口80Aに接続されている。それぞれの連結部材90Aに接続されたフレキシブルダクトは1本のフレキシブルダクトに集められ、ブロワに接続される。なお、モータMの周方向に配置される1組の排気口8A及び8B、連結部材90Aの数は限定されない。
図11は、図10に示したモータMの縦断面図である。
図11に示した構成は、図2に示した構成と比較して、主に排気口8A及び8B、吸気口14B、連結部材90Aなどの構成が異なっている。吸気口14Aは、第1底面BS1に位置し、第1回転子1Aと軸方向に対向している。排気口8Aは、第2回転子1Bと径方向に対向している。排気口8Bは、第3回転子1Cと径方向に対向している。吸気口14Bは、第4回転子1Dと軸方向に対向している。排気口8A及び8Bは、連結部材90Aによって連通されている。フレキシブルダクト6は、連結部材排気口80Aに接続されている。
排気口8A及び8Bは、互いに開口面積が異なっている。すなわち、排気口8A及び8Bはそれぞれ圧損が異なり、排気口8A及び8Bのそれぞれから連結部材90Aへ排気される空気の量が異なっている。そのため、空気ARは、第2固定子2Bの内部を第3間隙GP3から第4間隙GP4の向き、もしくは、第4間隙GP4から第3間隙GP3の向きのどちらか一方に流れる。よって、第2固定子2Bにも通風させることができる。なお、排気口8A及び8Bの圧損を異ならせるために、排気口8A及び8Bに圧損の異なるフィルタやパンチングメタルなどを設置しても良い。
図11に示したモータMにおける空気ARの流れを説明する。
まず、空気ARは、吸気口14A及び14BからモータM内に流入する。吸気口14Aから流入した空気ARは、第1回転子1Aの外周側、もしくは、第1通風路77Aを通った後、第1間隙GP1から第1固定子2Aの通風路9A及び9Bを通り、第2間隙GP2に流入する。そして、第2間隙GP2の空気ARは、第2回転子1Bの外周側、もしくは、第2通風路77Bを通る。第2回転子1Bの外周側に流れた空気ARは、排気口8Aから連結部材90Aへ排出される、もしくは、第3間隙GP3へ流れる。また、第2通風路77Bを通った空気ARも第3間隙GP3へ流れる。第3間隙GP3の空気ARは、第2固定子2Bの通風路9A及び9Bを通って、第4間隙GP4へ流れ、排気口8Bから連結部材90Aへ排出される。
吸気口14Bから流入した空気ARは、第4回転子1Dの外周側、もしくは、第4通風路77Dを通った後、第6間隙GP6から第3固定子2Cの通風路9A及び9Bを通り、第5間隙GP5に流入する。そして、第5間隙GP5の空気ARは、第3回転子1Cの外周側、もしくは、第3通風路77C及び第4間隙GP4を通り、排気口8Bから連結部材90Aへ排出される。
このような構成とすることで、吸気口14A及び14Bから排気口8A及び8Bまでの間の通風経路が、図2に示した吸気口14から排気口8までの間の通風経路よりも短くなり、より低出力のブロワを用いることが可能となる。よって、ブロワの小型化及び低コスト化が可能となる。
図12は、図11に示したモータMに適用される連結部材90Bの構成例を示す斜視図である。
連結部材90Bは、ハウジング10の周りを周方向に囲み、ハウジング10の側部SDに固定されている。ハウジング10の周方向に間隔を置いて位置する複数の排気口8A及び8Bは、1つの連結部材90Bによって連通されている。連結部材90Bは、連結部材排気口(第6孔)80Bを有している。1つの連結部材90Bが1つの連結部材排気口80Bを有することで、フレキシブルダクトの設置個所を低減でき、コストを削減することが可能である。
図13は、本実施形態に係るモータMの第2変形例を概略的に示す斜視図である。図13に示した構成は、図10に示した構成と比較して主に、連結部材90Cの構成が異なっている。
ハウジング10は、排気口8A及び8Bに加えて、側部SDに位置する排気口(第7孔)8C及び排気口(第8孔)8Dを有している。複数の排気口8Cは、第1ハウジング10Aの周方向に互いに間隔をおいて位置している。複数の排気口8Dは、第4ハウジング10Dの周方向に互いに間隔をおいて位置している。複数の連結部材90Cは、第1乃至第4ハウジングの外側に気密に固定され、第1乃至第4ハウジングの周方向に互いに間隔をおいて配置されている。それぞれの連結部材90Cは、連結部材排気口(第6孔)80Aを有している。1つの連結部材90Cは、1組の排気口8A乃至8Dを連通している。図13に示される連結部材90Cは、図10に示した連結部材90Aより軸方向に長く形成されている。なお、モータMの周方向に配置される1組の排気口8A乃至8D、連結部材90Cの数は限定されない。
図14は、図13に示したモータMの縦断面図である。
図14に示した構成は、図11に示した構成と比較して、主に排気口8C及び8Dなどの構成が異なっている。排気口8Cは、第1回転子1Aと径方向に対向している。排気口8Dは、第4回転子1Dと径方向に対向している。排気口8A乃至8Dは、連結部材90Cによって接続されている。
第1ハウジング10Aは、第1回転子1Aと径方向に対向する位置で第1仕切り部25Aを有している。第1仕切り部25Aは、第1回転子1Aまで延出している。第1仕切り部25Aは、排気口8Cよりも吸気口14A側に位置している。第1仕切り部25Aによって、吸気口14Aから流入した空気ARが第1回転子1Aの外周側を通って排気口8Cから流出するのを抑制することができる。また、第4ハウジング10Dは、第4回転子1Dと径方向に対向する位置で第2仕切り部25Bを有している。第2仕切り部25Bは、第4回転子1Dまで延出している。第2仕切り部25Bは、排気口8Dよりも吸気口14B側に位置している。第2仕切り部25Bによって、吸気口14Bから流入した空気ARが第4回転子1Dの外周側を通って排気口8Dから流出するのを抑制することができる。よって、第1仕切り部25A及び第2仕切り部25Bによって、第1固定子2A及び第2固定子2Cの内部を通過する空気の量を増加させることができ、コイルの冷却効率を向上させることができる。
排気口8A乃至8Dは、それぞれ圧損が異なっている。例えば、排気口8Bの圧損より排気口8Aの圧損が大きい。また、排気口8Cの圧損より排気口8Bの圧損が大きい。排気口8Cの圧損及び排気口8Dの圧損は略等しい。そのため、排気口8A乃至8Dのそれぞれから連結部材90Cへ排気される空気の量が異なっている。よって、第2固定子2Bにも通風させることができる。
図14に示したモータMにおける空気ARの流れを説明する。
まず、空気ARは、吸気口14A及び14BからモータM内に流入する。吸気口14Aから流入した空気ARは、第1通風路77Aを通った後、第1間隙GP1へ流れる。第1間隙GP1の空気ARは、排気口8Cから連結部材90Cへ排出される、もしくは、第1固定子2Aの通風路9A及び9Bを通り、第2間隙GP2に流入する。そして、第2間隙GP2の空気ARは、第2回転子1Bの外周側、もしくは、第2通風路77Bを通る。第2回転子1Bの外周側に流れた空気ARは、排気口8Aから連結部材90Cへ排出される、もしくは、第3間隙GP3へ流れる。また、第2通風路77Bを通った空気ARも第3間隙GP3へ流れる。第3間隙GP3の空気ARは、第2固定子2Bの通風路9A及び9Bを通って、第3間隙GP4へ流れ、排気口8Bから連結部材90Cへ排出される。
吸気口14Bから流入した空気ARは、第4通風路77Dを通った第6間隙GP6へ流れる。第6間隙GP6の空気ARは、排気口8Dから連結部材90Cへ排出される、もしくは、第3固定子2Cの通風路9A及び9Bを通り、第5間隙GP5に流入する。そして、第5間隙GP5の空気ARは、第3回転子1Cの外周側、もしくは、第3通風路77C及び第4間隙GP4を通り、排気口8Bから連結部材90Cへ排出される。
このような構成とすることで、吸気口14A及び14Bから排気口8A乃至8Dまでの間の通風経路を縮小することができ、より低出力のブロワを用いることが可能となる。よって、ブロワの小型化及び低コスト化が可能となる。
図15は、図14に示したモータMに適用される連結部材90Dの構成例を示す斜視図である。図15に示した構成は、図12に示した構成と比較して、連結部材90Dが軸方向に長く形成されている点で異なっている。
連結部材90Dは、ハウジング10の周りを囲み、ハウジング10の側部SDに固定されている。ハウジング10の周方向に間隔を置いて位置する複数の排気口8A乃至8Dは、1つの連結部材90Dによって連通されている。
図16は、本実施形態に係るモータMの適用例を示す図である。
モータMは、例えば図16に示すように、鉄道車両100の主電動機に適用することができる。この鉄道車両100は、車体110と、車体110の下方に配置された台車120と、駆動装置130と、車体110の上方に配置されたパンタグラフ140と、を備えている。図示した例では、車体110に対して台車120が2つ設けられ、各台車120に駆動装置130が2つずつ設けられているが、この例に限られない。
台車120は、台車フレーム121と、台車フレーム121に取り付けられた複数の車輪122と、台車フレーム121と車体110の間に配置された空気ばね123と、を備えている。駆動装置130は、主電動機としてモータMを備えている。さらに、駆動装置130は、モータMを制御する制御装置や、モータMの回転力を車輪122に伝達する伝達機構などを備えている。パンタグラフ140は、架線150と接触している。パンタグラフ140を介して架線150から取り込まれる電力は駆動装置130に供給され、この電力によりモータMが回転する。
なお、本実施形態に係るモータMは、鉄道車両だけでなく、回転動力を要する種々の装置に適用することができる。
図17は、本実施形態に係るモータMの第3変形例を概略的に示す平面図である。図17に示す構成は、図7に示した構成と比較して、通風口47及び48の位置が異なっている。
平面において、第2押え部材6Bは、各第2コア82の間に位置している。平面において、通風口47は、第2押え部材6Bと第1コイル91との間に位置している。また、通風口47は、第2コア82と第1コイル91との間には位置していない。平面において、通風口48は、第2押え部材6Bと第2コイル92との間に位置している。また、通風口48は、第2コア82と第2コイル92との間には位置していない。このように、通風口47を第2コア82と第1コイル91との間に位置させないことで、第2コア82と第1コイル91との間の距離を小さくすることができる。同様に、通風口48を第2コア82と第2コイル92との間に位置させないことで、第2コア82と第2コイル92との間の距離を小さくすることができる。よって、磁束の利用効率を向上させることができる。
図18は、本実施形態に係るモータMの第4変形例を概略的に示す平面図である。図18に示す構成は、図17に示した構成と比較して、通風口47及び48の位置が異なっている。
通風口47及び48は、平面において、第2コア82と第2押え部材6Bとの間に位置している。つまり、平面において、周方向に、通風口47、第2コア82、通風口48、第2押え部材6Bが順に並んでいる。通風口47及び48は、第2支持板2Bの第2開口42と繋がっている。
図19は、図18における線F15に沿う第1固定子2Aの概略的な断面図である。
第1支持板3Aは、第2コア82との間に通風口37及び38を有している。通風口37及び38は、第1支持板3Aの第2開口32と繋がっている。通風口37は、軸方向に通風口47と対向している。通風口38は、軸方向に通風口48と対向している。第2コア82は、第1つば部82A及び第2つば部82Bを有している。第1つば部82Aは、通風路82Cを有している。すなわち、第1固定子2Aは、互いに連通された通風口37、第1つば部82Aの通風路82C、通風口47によって構成された通風路9Aを有している。第2つば部82Bは、通風路82Dを有している。すなわち、第1固定子2Aは、互いに連通された通風口38、第2つば部82Bの通風路82D、通風口48によって構成された通風路9Bを有している。通風路9A及び9Bによって、第2コア82において鉄損によって生じる熱を放熱させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、コイルの冷却効率を向上することが可能な回転電機を得ることができる。
なお、本実施形態においては、4つの第1乃至第4回転子と3つの第1乃至第3固定子を備えるモータMを開示した。しかしながら、モータMは、より多い数の固定子と回転子を備えてもよいし、より少ない数の固定子と回転子を備えてもよい。
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。