JP6879567B2 - 眼鏡レンズ設計システム - Google Patents
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Description
一方、眼鏡レンズの設計ベンダーが、眼鏡レンズの製造業者にレンズ設計システム(LDS:Lens Design Systems)を提供し、眼鏡レンズの製造業者はLDSに計算を実行させて、眼鏡レンズを設計・製造するビジネスが存在する。LDSの計算処理は、一般にサーバ上(工場内又はサーバファーム)又はウェブサービス上で行われ、LDSの計算処理結果は、LMSに出力される。
そこで、本開示の一実施形態は、フレーム形状に合わせた眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚を素早く計算することのできる、眼鏡レンズ設計システムに関する。
装用者の処方値と、フレームの形状データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、物体側面の設計データと、を取得する情報取得手段、
装用者の処方値と、物体側面の設計データと、に基づき、眼球側面の第1設計データを導出する第1設計データ導出手段、
導出した眼球側面の第1設計データと、物体側面の設計データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、に基づいて、フレームの形状データにあわせた、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第1の値を導出する第1厚情報導出手段、
装用者の処方値と、物体側面の設計データと、に基づいて、第1設計データよりも精度の高い、眼球側面の第2設計データを導出する、第2設計データ導出手段、及び、
導出した眼球側面の第2設計データと、物体側面の設計データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、に基づいて、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第2の値を導出する第2厚情報導出手段、
を備える眼鏡レンズ設計システムに関する。
図1は、本開示の実施形態に係る眼鏡レンズ発注システム1の模式的構成を示す機能ブロック図である。
眼鏡レンズ発注システム1は、眼鏡レンズ設計システム(以下、「LDS」ともいう)100と、ラボ管理システム(以下、「LMS」ともいう)200と、端末装置300とを備える。
LDS100及びLMS200は、ネットワーク3を介して互いに接続されている。
そして、LMS200及び端末装置300は、ネットワーク3を介して互いに接続されている。
ネットワーク3としては、例えば、TCP/IPなどの汎用のプロトコルに基づくインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、電話回線等の通信回線網が挙げられる。
LDS100は、眼鏡レンズメーカの工場内に設置されていてもよく、外部に設置されていてもよい。
LMS200は、例えば、眼鏡レンズメーカの工場に設置される。
端末装置300は、例えば、眼鏡販売店に設置される。
〔LDSのハードウェア構成〕
図2は、LDS100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
LDS100は、例えば、LDS100全体の動作を制御するコンピュータ60と、操作表示部71と、操作入力部72を備える。
コンピュータ60は、CPU61、RAM62、ROM63、HDD64、操作部出力I/F65、操作部入力I/F66、及びネットワークI/F67を備える。
CPU(Central Processing Unit)61は、各種プログラムを実行する。CPUは、ROM(Read Only Memory)62に格納されているブートプログラムに基づきシステムを起動する。さらに、CPU61は、HDD(ハードディスクドライブ)64に格納されている制御プログラムを読みだしてRAM(Randam Access Memory)62をワークエリアとして所定の処理を実行する。
HDD64には、各種制御プログラムが格納されている。またHDD64には、ネットワークI/F67を介して装置外から取得したデータや、制御プログラムによる計算結果が格納される。
操作表示部71は、LCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)等の表示装置を備えた、ユーザへの表示インターフェースである。操作入力部72は、タッチパネルやハードキーなどの入力装置を備えた、ユーザからの指示入力インターフェースである。
そして、CPU62が、HDD64に格納された制御プログラムをRAM62に読み出して実行することにより、LDS100の各ユニットの各機能を実現することができる。なお、各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
図3は、LDS100のソフトウェア構成例を示すブロック図である。図3に示す各機能ブロックに対応するソフトウェア(制御プログラム)は、LDS100のROM63又はHDD64に格納されている。図3に示す各機能ブロックの、以下で説明する機能は、CPU61が、ROM63又はHDD64に格納されているソフトウェアを実行することによって、LDS100上で実現される。なお、図3では、本実施形態の説明に特に関連するソフトウェア構成を示している。
図3に示すように、LDS100は、ソフトウェア構成として、問合せ情報受信部110、物体側面データ選択部115、仮設計情報算出部120、回答送信部130、本設計情報算出部140、算出データ記憶部150、本発注受信部160、及び本設計情報送信部170を備える。
LDS100は、眼鏡販売店からの問合せ情報に応じて、仮設計情報算出部120によって肉厚及びフレーム形状に対応したコバ厚を算出し、回答情報を送信する。さらに、LDS100は、本設計情報算出部140にて、より詳細な条件を反映させた設計情報を算出する。このように、仮設計情報算出部120と本設計情報算出部140とに分けて、設計計算を行うため、眼鏡販売店からの問い合わせに対して、素早く回答することが可能となる。
問合せ情報には、例えば、端末装置300の提供情報及びLMS200からの提供情報が含まれる。
(1)眼鏡レンズの種類に関する情報は、例えば、眼鏡レンズの製造業者名、型番、材料の情報を含む。
(2)装用者の処方値は、例えば、球面屈折力(以下、「S度数」ともいう)、乱視屈折力(以下、「C度数」ともいう)、乱視軸方向、プリズム屈折力、プリズム基底方向を含む。ただし、ユーザが選択した眼鏡レンズが、累進屈折力レンズである場合には、装用者の処方値は、遠用部と近用部の度数差を示す加入度を含む。
(3)フレームに関する情報は、例えば、ユーザが選択したフレームの形状データを含む。
(4)ユーザの眼鏡の装用状態に関する情報は、フレーム角膜頂点間距離(Frame Cornor Vertex Distance)、顔の垂線とフレームとの角度を示す前傾角、フレームあおり角(フレームそり角)、ヤゲン又は溝位置等のフレームに関する測定値、レイアウト情報を含む。
(5)その他のユーザ希望情報は、例えば、ユーザの希望する眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の情報が含まれる。
なお、レイアウト情報とは、眼鏡レンズの光学中心を装用者の瞳孔の位置に合わせるための情報であり、フレームの幾何学中心(フレームセンタ)を基準にしてフィッティングポイントの位置を示したものである。
レイアウト情報には、例えば、瞳孔間距離(Pupillary Distance)(以下、「PD」ともいう)、アイポイント(ビジュアルポイント)、光学中心間距離(Optical Centre Distance)(以下「OCD」ともいう)が含まれる。
累進屈折力レンズの場合、レイアウト情報には、例えば、遠用アイポイント(遠用ビジュアルポイント)、近用アイポイント(近用ビジュアルポイント)が含まれる。なお、累進屈折力レンズの場合、光学中心間距離はフィッティングポイント間の距離としてもよい。
累進屈折力眼鏡レンズのセミフィニッシュレンズは、頂点屈折力の範囲を5段階程度に分割した区分毎に用意される。
光学性能の度数分布は、光学性能の度数分布テーブル1210から選択する。
図4は、光学性能の度数分布テーブル1210の概略を示す図である。
光学性能の度数分布テーブル1210は、眼鏡レンズの種類1211、及び装用者の処方値1212等を関連付けられて、最適な光学性能の度数分布1213が記憶部に格納されている。
ここで、LDS100が行う眼球側面の仮設計データの算出方法について説明する。
LDS100では、眼鏡レンズの種類に応じた、光学性能の度数分布が設定されている。
さらに、LDS100には、処方値やレンズ配置パラメータの入力を受け付けて、光学性能の度数分布とそれに対応する曲率分布を持つ眼球側面の設計データを導出する設計プログラムが設定されている。
眼球側面の仮設計データ算出部123では、レンズ配置パラメータの値は、デフォルトの値を使用する。
加入度に対する累進帯の最適化は、累進屈折力レンズである場合のみ、実行される。累進帯の仮最適化部1231は、例えば、肉厚形状やコバ厚に大きな差をもたらさないレベルで加入度の最適化要素を削る。
そして、仮想光学モデル仮最適化部1233は、まず、眼球モデルと眼鏡レンズモデルで構成される仮想光学モデルを設定する。なお、眼球モデルは装用者の処方値に基づいて設定される。具体的には、例えば、予め記憶される眼球モデルのプロファイルから、処方値(球面屈折力、乱視屈折力)に基づいて眼球モデルを選択する。また、眼鏡レンズモデルは、眼鏡レンズの種類、材料(基材の屈折率)、処方値、最低肉厚、ベースカーブに応じて決定される物体側の面形状、及び、前段の最適化計算で算出された眼球側の面形状に基づいて設定される。そして、選択された眼球側の面形状と、ベースカーブに応じて決定される物体側の面形状とを、最低肉厚だけ空けて配置する。眼鏡レンズの配置は、さらに、装用者のフレーム測定値から計算されたレンズ配置パラメータである、レンズそり角、レンズ前傾角、角膜頂点間距離に基づいて行われる。仮想光学モデル仮最適化部1233は、この装用パラメータは、予め初期値として定められる値が使用さる。一方、後述の仮想光学モデル最適化部1423では、レンズ配置パラメータは、レンズ配置パラメータ算出部141で計算された各値が使用される。
仮想光学モデル仮最適化部1233では、眼球モデルを使った最適化を行う際のターゲット数を、仮想光学モデル最適化部1423でのターゲット数の半分程度に間引きする。これにより、コバ厚への影響を少なくしつつ、計算時間を短縮できる。
眼球側面の仮設計データ算出部123は、以上の最適化の計算を経て、眼球側面の仮設計データを算出する。
物体側面の設計データと眼球側面の設計データに基づいて、所定の肉厚を設定した場合の、フレーム形状にカットしたときのコバ厚の仮値を算出する。
この際に、アンカットレンズのコバ厚及びフレームにカットしたコバ厚が、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚に関する所望の条件を満たさない場合には、条件を変更して、フレーム形状にカットしたときのコバ厚の仮値を再度算出する。
アンカットレンズのコバ厚及びフレームにカットしたコバ厚が、所望のコバ厚を満たさない場合は、フレーム形状でのコバ厚が所望のコバ厚になるように、物体側面の設計データと眼球側面の設計データの基準点の距離を調節して、肉厚を決定する。そして、所望のコバ厚と決定した肉厚を記憶する。
この基準点は、設計メーカ各社で設定されており、例えば、光学中心が基準点として設定される。
眼鏡レンズの最低肉厚と、フレーム形状での最低コバ厚は、眼鏡レンズの種類に応じて設定されている。最適化計算は、この最低肉厚と最低コバ厚の値を所望の値として計算を行ってもよい。
また、発注側が、選択されたフレームに応じて、肉厚とフレームの形状でのコバ厚を指定する場合がある。この場合は、発注側が指定した値を所望の値として計算してもよい。なお、発注側により指定された肉厚及びフレーム形状でのコバ厚の値が、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚より小さい場合は、設定されている肉厚及びフレーム形状でのコバ厚の値を所望の値とすることが望ましい。
また、LMS200には、眼鏡レンズの加工を加味して、アンカットレンズでの最低コバ厚が指定されている場合がある。この場合は、更に、フレーム形状へ加工前の眼鏡レンズでの最低コバ厚を満たすか判断して、これを満たさないときは、物体側面の設計データと眼球側面の設計データの光学中心の距離を調節して、肉厚とフレーム形状での最低コバ厚を決定することが望ましい。
レンズ配置パラメータ算出部141は、フレームの測定値等の装用者の眼鏡の装用状態に関する情報及び仮設計情報算出120で得られた眼鏡レンズの仮設計情報に基づいて、眼鏡装用時の眼鏡レンズと眼球の相対的な位置関係を含むレンズ配置パラメータを算出する。
レンズ配置パラメータには、例えば、レンズそり角、レンズ前傾角、角膜頂点間距離(Corner Vertex Distance)(以下、「CVD」ともいう)が含まれる。
具体的には、レンズ配置パラメータ算出部141は、フレームに関する測定値であるフレームそり角、レンズ前傾角、フレーム角膜頂点間距離のそれぞれを、レンズそり角、レンズ前傾角、角膜頂点間距離のそれぞれに変換する。この変換は、仮設計情報算出120で得られた眼鏡レンズの仮設計情報に基づいて行われ、フレームの形状、ヤゲン又は溝位置、レンズの度数、曲率分布、フィッティングポイント位置、肉厚等の情報が反映される。
角膜頂点間距離は、眼鏡レンズの後方頂点と眼球モデルの角膜頂点との距離である。
具体的には、眼球側面の本設計データ算出部142は、処方値に基づいて、加入度に対する累進帯の最適化を行う累進帯の最適化部1421、処方値に対する眼球側面の曲率分布の最適化を行う対処方値曲率分布の最適化部1422、眼球モデルを通した見え方を考慮した最適化を行う仮想光学モデル最適化部1423、検査位置での度数の最適化を行う検査度数仮最適化部1424を有する。
眼球側面の本設計データの算出は、基本的には、仮設計データの算出方法と同様の方法により、実行する。
ただし、本設計データ算出部142では、仮設計データ算出部123とは以下の点で異なる。
(1)収束計算の対象となるターゲット数は、前述した仮設計データ算出部123より多く設定される
(2)収束計算の許容幅は、前述した仮設計データ算出部123より小さい値が設定される
(3)算出されたレンズ配置パラメータを考慮に入れた計算が実行される
より詳細には、(3)に関連して、仮想光学モデル最適化部1423は、レンズ配置パラメータ及び眼球側面の仮設計データ算出部123で算出した肉厚及びコバ厚から、装用者個人にあわせた最適な、眼球側面の設計データを導出する。
つまり、本設計データ算出部142では、より詳細な条件を考慮し、且つ、精度の高い収束計算が行われるため、光学性能の度数分布に対して、より近似の曲率分布を持つ、眼球側面の設計データが導出される。
厚情報算出部143は、眼球側面の仮設計データの代わりに、眼球側面の本設計データを用いて行うこと以外は、仮厚情報算出部124と同様の処理を行い、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の値を算出する。
算出データ記憶部150は、眼球側面の本設計データ及び眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚等の本設計情報を格納する。
本発注受信部160は、発注側からの本発注情報を受信する。
本設計情報送信部170は、本発注情報を受信した場合に、眼球側面の本設計データ及び眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚等の本設計情報を送信する。
LMS200及び端末装置300は、LDS100と同様に、操作表示部71、操作入力部72と接続されるサーバコンピュータやパーソナルコンピュータ等のコンピュータ60により実現することができる。
そして、CPU61が、HDD64に格納された制御プログラムをRAM62に読み出して実行することにより、LMS200及び端末装置300の各ユニットの各機能を実現することができる。なお、各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
図に示す各機能ブロックに対応するソフトウェア(制御プログラム)は、LMS200又は端末装置300のROM63又はHDD64に格納されている。図に示す各機能ブロックの、以下で説明する機能は、CPU61が、ROM63又はHDD64に格納されているソフトウェアを実行することによって、LMS200又は端末装置300上で実現される。
図5に示すように、LMS200は、ソフトウェア構成として、問合せ情報受信部210、最低肉厚及び最低コバ厚情報選択部220、物体側面データ関連情報選択部230、問合せ情報送信部240、回答受信部250、回答送信部255、本発注受信部260、本発注送信部265、本設計情報受信部280、及び製造プロセス管理部290を備える。
最低肉厚及び最低コバ厚情報選択部220は、端末装置300の問合せ情報の中の眼鏡レンズの種類に関する情報から、最低肉厚及び最低コバ厚情報を選択する。
物体側面データ関連情報選択部230は、端末装置300の問合せ情報の中の眼鏡レンズの種類に関する情報及び装用者の処方値から、最適な物体側面の設計データを選択する。
問合せ情報送信部240は、端末装置300の問合せ情報と、最低肉厚及び最低コバ厚情報と、物体側面の設計データとをLDS100に送信する。
回答受信部250は、LDS100から送信される、フレーム形状に合わせた眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の情報を受信する。
回答送信部255は、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の情報を端末装置300へと送信する。
本発注受信部260、端末装置300から送信される、本発注情報を受信する。
本発注送信部265、本発注情報をLDS100に送信する。
本設計情報受信部280は、本発注情報に対応してLDS100から送信される本設計情報を受信する。
製造プロセス管理部290は、LDS100から受信した本設計情報に基づいて、眼鏡レンズの製造プロセスを管理する。
図6に示すように、端末装置300は、ソフトウェア構成として、問合せ情報発信部310、回答受信部320、回答表示部330、及び本発注送信部340を備える。
問合せ情報発信部310は、上述の問合せ情報を送信する。
回答受信部320は、フレーム形状に合わせた眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の情報を受信する。
回答表示部330は、フレーム形状に合わせた眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の情報を表示する。端末装置300の設置された眼鏡販売店の販売員は、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の情報の情報に基づいて、眼鏡の仕上がりについて、ユーザに説明し、ユーザの購入の要否の判断を待つ。
本発注送信部340は、ユーザが購入意思を示した場合には、眼鏡販売店の店員が操作し、本発注情報を送信する。
上述の眼鏡レンズ発注システム1の処理フローについて、以下に説明する。
図7は、開示の実施形態に係る眼鏡レンズ発注システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図7の各ステップの処理は、CPU61が、ROM63又はHDD64に格納されたソフトウェア(図3,5,6に示す各機能ブロックに対応するソフトウェア)をRAM62に読み出して実行することによって、眼鏡レンズ発注システム1のLDS100、LMS200、端末装置300の各部において実現される。即ち、各ステップの処理は、CPUによって実行される。
S103において、LMS200の物体側面データ関連情報選択部230は、端末装置300の問合せ情報の中の眼鏡レンズの種類に関する情報及び装用者の処方値から、最適な物体側面の設計データに関する情報を選択する。
S104において、LMS200の問合せ情報送信部240は、端末装置300の提供情報に加えて、最低肉厚及び最低コバ厚情報、並びに、最適な物体側面の設計データを含むLMSの提供情報を含む、問合せ情報をLDS100に送信する。LDS100は、受信した問合せ情報を算出データ記憶部150に格納してもよい。
S106において、LDS100の仮設計情報算出部120は、装用者の処方値と、物体側面の設計データとに基づいて、眼球側面の設計データを算出する。
S10601において、光学性能の度数分布選択部122は、光学性能の度数分布テーブル1210から眼鏡レンズの種類に関する情報、及び装用者の処方値に基づいて、光学性能の度数分布を選択する。
続いて、S10602〜S10606において、眼球側面の仮設計データ算出部123は、光学性能の度数分布と、物体側面の設計データと、に基づき、眼球側面の仮設計データを算出する。
S10602において、眼球側面の仮設計データ算出部123は、眼鏡レンズが累進屈折力レンズであるか判断する。眼鏡レンズが累進屈折力レンズである場合、S10603へと進む。眼鏡レンズが累進屈折力レンズでない場合、S10604へと進む。
S10603では、眼球側面の仮設計データ算出部123は、加入度に対する累進帯の仮最適化を行う。ここでは、例えば、肉厚形状やコバ厚に大きな差をもたらさないレベルで加入度の最適化要素を削る。
S10604では、眼球側面の仮設計データ算出部123は、処方値に対する眼球側面の曲率分布の仮最適化を実行する。この際に、収束条件に幅を持たせることで計算時間を短縮できる。
S10605では、眼球側面の仮設計データ算出部123は、眼球モデルを通した見え方を考慮した仮最適化を実行する。ここでは、ターゲット数を、後述のS12105のターゲット数の半分程度に間引きする。
S10606では、検査位置での度数の仮最適化を実行する。ここでは、検査位置での度数の最適化の許容幅を、本設計データ算出部142の許容幅と比較して、2〜3倍程度ひろげる。これにより、コバ厚への影響を少なくしつつ、計算時間を短縮できる。
以上のステップにより、眼球側面の仮設計データを算出する。
図9は、S107における、LDS100の仮厚情報算出部124の動作の一例を示すフローチャートである。
S10701では、物体側面の設計データと、眼球側面の設計データの基準点の距離を所定値に設定する。ただし、所定値は、眼鏡レンズの最低肉厚を下回らないように設定される。
S10702では、設定された所定値に基づいて、物体側面の設計データと、眼球側面の設計データとから、フレーム形状カット時のコバ厚を算出する。
S10703では、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、眼鏡レンズの最低コバ厚以上であるか判定する。S10703において、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、眼鏡レンズの最低コバ厚を下回る場合には、S10701に戻り、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、より大きくなるように所定値を設定し、S10702へと進む。S10703において、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、眼鏡レンズの最低コバ厚を以上である場合には、S10704に進む。
S10704では、コバ厚のユーザ希望値があるか否かを判定する。ユーザ希望値がある場合には、S10705に進む。一方、ユーザ希望値がない場合には、S10706に進む。
S10705では、フレーム形状カット時のコバ厚が、ユーザ希望値を満たすか判定する。S10705において、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、ユーザ希望値を上回る場合には、S10701に戻り、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、より小さくなるように所定値を設定し、続くS10702へと進む。S10705において、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、ユーザ希望値以下である場合には、S10706に進む。
S10707では、アンカットレンズのコバ厚が、眼鏡レンズの最低コバ厚以上であるか判定する。S10707において、アンカットレンズのコバ厚が、眼鏡レンズの最低コバ厚を下回る場合には、S10701に戻り、アンカットレンズのコバ厚が、より大きくなるように所定値を設定し、続くS10702へと進む。S10707において、アンカットレンズのコバ厚が、眼鏡レンズの最低コバ厚以下である場合には、S10708に進む。
例えば、プラスレンズの場合、フレーム形状カット時のコバ厚が、眼鏡レンズの最低コバ厚を満たす場合であっても、アンカットレンズのコバ厚が眼鏡レンズの最低コバ厚を満たさないことがある。
S10708では、算出された肉厚及びコバ厚の仮値を算出データ記憶部150に記憶する。
S109において、LMSの回答送信部255は、LDS100から受信した、肉厚及びコバ厚の仮値を、端末装置300に送信する。
S110において、端末装置300の操作表示部71に計算結果を表示する。
眼鏡販売店の店員は、ユーザの意向を確かめる。
図10は、S121における、LDS100の眼球側面の本設計データ算出部142の動作の一例を示すフローチャートである。
S12102において、眼球側面の本設計データ算出部142は、眼鏡レンズが累進屈折力レンズであるか判断する。眼鏡レンズが累進屈折力レンズである場合、S12103へと進む。眼鏡レンズが累進屈折力レンズでない場合、S12104へと進む。
S12103では、累進帯の最適化部1421は、加入度に対する累進帯の最適化を行う。ここでは、肉厚形状やコバ厚についても加入度の最適化要素に加える。
S12104では、対処方値曲率分布最適化部1422は、処方値に対する眼球側面の曲率分布の最適化を実行する。この際に、収束条件を厳しく設定し、より適切な値を算出する。
S12105では、仮想光学モデル最適化部1423は、眼球モデルを通した見え方を考慮した最適化を実行する。ここでは、ターゲット数を、S10605におけるターゲット数の2倍以上とする。
S12106では、検査度数最適化部1424は、検査位置での度数の最適化を実行する。ここでは、検査位置での度数の最適化の許容幅を、1/2〜1/3倍程度に狭める。
以上のステップにより、眼球側面の本設計データを算出し、精度の高い値を得る。
S122における厚情報算出部143の動作は、眼球側面の仮設計データの代わりに眼球側面の本設計データを用いること以外は、S107におけるLDS100の仮厚情報算出部124と同様である。
厚情報算出部143は、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の値を算出した後、算出データ記憶部に計算結果を記憶する。
S131において、LMS200の本発注送信部265は、本発注受信部260で受信した本発注情報を、LDS100に送信する。
S132において、LDS100の本設計情報送信部170は、本発注受信部160で受信した本発注情報を受信したことに対応して、本設計情報をLMS200に送信する。
その後、製造プロセス管理部290は、LDS100から受信した本設計情報に基づいて、眼鏡レンズの製造プロセスを管理し、発注された眼鏡レンズが製造される。
本開示の実施の形態は、
装用者の処方値と、フレームの形状データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、物体側面の設計データと、を取得する情報取得手段(例えば、問合せ情報受信部110、物体側面データ選択部115)、
装用者の処方値と、物体側面の設計データと、に基づき、眼球側面の第1設計データを導出する第1設計データ導出手段(例えば、眼球側面の仮設計データ算出部123)、
導出した眼球側面の第1設計データと、物体側面の設計データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、に基づいて、フレームの形状データにあわせた、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第1の値を導出する第1厚情報導出手段(例えば、仮厚情報算出部124)、
装用者の処方値と、物体側面の設計データと、に基づいて、第1設計データよりも精度の高い、眼球側面の第2設計データを導出する、第2設計データ導出手段(例えば、眼球側面の本設計データ算出部142)、及び、
導出した眼球側面の第2設計データと、物体側面の設計データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、に基づいて、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第2の値を導出する第2厚情報導出手段(例えば、厚情報算出部143)、
を備える眼鏡レンズ設計システムに関する。
本開示の一実施形態によれば、フレーム形状に合わせた眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚を素早く計算することのできる、レンズ設計システムが提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (7)
- 装用者の処方値と、フレームの形状データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、物体側面の設計データと、を取得する情報取得手段、
前記装用者の処方値と、前記物体側面の設計データと、に基づき、眼球側面の仮設計データ算出部により眼球側面の第1設計データを導出する第1設計データ導出手段、
前記導出した前記眼球側面の第1設計データと、前記物体側面の設計データと、眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、に基づいて、前記フレームの形状データにあわせた、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第1の値を導出する第1厚情報導出手段、
前記装用者の処方値と、前記物体側面の設計データと、に基づいて、眼球側面の本設計データ算出部により前記第1設計データよりも精度の高い、眼球側面の第2設計データを導出する、第2設計データ導出手段、及び、
前記導出した前記眼球側面の第2設計データと、前記物体側面の設計データと、前記眼鏡レンズの最低肉厚及び最低コバ厚の情報と、に基づいて、眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第2の値を導出する第2厚情報導出手段、
を備える眼鏡レンズ設計システムであって、
前記第1設計データ導出手段は、検査位置での度数の最適化を行う、第1の検査度数最適化手段を有し、
前記第2設計データ導出手段は、検査位置での度数の最適化を行う、第2の検査度数最適化手段を有し、
前記第1の検査度数最適化手段の最適化の許容幅が、前記第2の検査度数最適化手段の最適化の許容幅に対して、2〜3倍である、眼鏡レンズ設計システム。 - 前記眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第1の値を送信する送信手段を更に備える、請求項1に記載の眼鏡レンズ設計システム。
- 前記装用者の処方値に基づいて、光学性能の度数分布を導出する光学性能の度数分布導出手段を更に有し、
前記第1設計データ導出手段は、前記装用者の処方値に対する眼球側面の曲率分布の最適化を行う、第1の対処方値曲率分布の最適化手段を有し、
前記第2設計データ導出手段は、前記装用者の処方値に対する眼球側面の曲率分布の最適化を行う、第2の対処方値曲率分布の最適化手段を有し、
前記第1の対処方値曲率分布の最適化手段における最適化の許容幅は、前記第2の対処方値曲率分布の最適化手段における最適化の許容幅よりも広い、請求項1又は2に記載の眼鏡レンズ設計システム。 - 前記第1設計データ導出手段は、眼球モデルを通した見え方を考慮した最適化を行う、第1の仮想光学モデル最適化手段を有し、
前記第2設計データ導出手段は、眼球モデルを通した見え方を考慮した最適化を行う、第2の仮想光学モデル最適化手段を有し、
前記第1の仮想光学モデル最適化手段のターゲット数は、前記第2の仮想光学モデル最適化手段のターゲット数よりも少ない、請求項1〜3のいずれかに記載の眼鏡レンズ設計システム。 - 前記装用者の眼鏡の装用状態に関する情報、前記物体側面の設計データ、前記眼球側面の第1設計データ、並びに、前記眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第1の値に基づいて、レンズ配置の眼鏡レンズと眼球の相対的な位置関係を含むレンズ配置パラメータを導出する、レンズ配置パラメータ導出手段を更に備え、
前記第2設計データ導出手段が、前記装用者の処方値と、前記物体側面の設計データと、前記レンズ配置パラメータと、に基づいて、眼球側面の第2設計データを導出する、請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡レンズ設計システム。 - 前記第1厚情報導出手段において、フレーム形状カット時のコバ厚が、ユーザ希望値を満たすかを判定する、請求項1〜5のいずれかに記載の眼鏡レンズ設計システム。
- 前記第1厚情報導出手段において、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、ユーザ希望値を上回る場合には、フレーム形状カット時のコバ厚の最低値が、より小さくなるように設定された、物体側面の設計データと、眼球側面の設計データの基準点の距離により、前記眼鏡レンズの肉厚及びコバ厚の第1の値を算出する、請求項6に記載の眼鏡レンズ設計システム。
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