JP6878211B2 - 連続燃焼式ラジアントチューブバーナ - Google Patents
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Description
特許文献1に示すラジアントチューブは、交互燃焼式蓄熱型ラジアントチューブバーナであり、バーナユニットと主燃焼室との間に配置された円形プレートと、円形プレートと蓄熱体との間に形成され且つ蓄熱体を通過した二次燃焼空気が流入する環状エアスロート部と、円形プレートの外縁部から蓄熱体の外縁部に延びる円筒形外周カバーと、円形プレートを一体的に貫通して円形プレートの前方に突出し且つ主燃焼室に開口する伝熱管とを有し、燃料噴射口及び一次燃焼空気吐出口が伝熱管内に開口し、伝熱管の管内領域が一次燃焼空気及び燃料を混合する一次燃焼室を構成し、主燃焼室に開口した環状の空気希釈室が伝熱管先端部の外周に形成され、円形プレートがエアスロート部及び空気希釈室を相互連通する開口部を有するようになっている。
この特許文献1に示す交互燃焼式蓄熱型ラジアントチューブバーナによれば、ラジアントチューブバーナ装置の設置条件又は熱変形の影響を受けずに、燃焼排ガスのNOx濃度の増加を防止することができる。
特許文献2に示すラジアントチューブバーナは、連続燃焼式のラジアントチューブバーナであり、燃焼用空気を案内するラジアントチューブの内部に燃料ガスを供給する燃料ガス供給管が設けられ、燃料ガス供給管の先端に燃料ガスを直進方向に噴出させる直進噴出口が設けられると共に、燃料ガス供給管の先端側に直進噴出口から噴出された燃料ガスと燃焼用空気とを混合させて燃焼させる燃焼筒が設けられている。そして、このラジアントチューブバーナにおいて、直進噴出口より後方における燃料ガス供給管の先端部に燃料ガスを放射方向に噴出させる放射噴出口が設けられ、放射噴出口の後方近傍における燃料ガス供給管の外周に抑止板が設けられると共に、抑止板よりも後方の位置における燃料ガス供給管に、燃料ガスを放射方向に噴出させる一次噴出口が設けられている。
この特許文献2に示すラジアントチューブバーナによれば、一次噴出口から噴出された燃料ガスと、放射噴出口から噴出された燃料ガスと、直進噴出口から噴出された燃料ガスとを3段階で燃焼させるようにしたため、従来のラジアントチューブバーナに比べて、火炎温度が高くなるのが一層抑制され、燃焼排ガス中におけるNOxの量をさらに低減させることができる。
即ち、特許文献1に示すラジアントチューブバーナの場合、交互燃焼式蓄熱型ラジアントチューブバーナであり、従来からある既存の加熱炉に設置されている連続燃焼式ラジアントチューブバーナの更新時にそのまま適用しても、低NOx化の効果は得られない。なぜなら、従来からある連続燃焼式ラジアントチューブバーナでは、メインバーナの燃焼負荷に対して中心部で燃焼させるパイロットバーナの燃焼負荷が約3〜7%であり、それに伴うパイロット燃焼用エアとして供給されるブロワ容量(流量)も、メイン燃焼用エアの流量の3〜7%であり、特許文献1に示すラジアントチューブバーナの構造をそのまま適用しても、特許文献1に記載した低NOx化の効果は得られない。つまり、特許文献1に示す交互燃焼式蓄熱型ラジアントチューブバーナにおいては、一次空気供給管内に、燃料を供給する燃料送給管が配置されるとともにパイロット燃料を供給するパイロット燃料管が燃料送給管と平行に配置され、パイロット燃焼用エアは一次燃焼用空気となっている。このため、パイロット燃焼用エアの流量がメイン燃焼用エアの流量に対して多すぎるからである(特許文献1における一次空気供給管の一次燃焼用空気の流量に対し、従来からある連続燃焼式ラジアントチューブのパイロット燃焼用エアの流量は、1/2〜1/5程度と少ない)。従って、特許文献1に示すラジアントチューブバーナの構造を適用し、低NOx効果を得ようとする場合には、パイロット燃焼用エアを供給するための構造(エアブロワ及び供給管系統)を全面的に更新する必要が生じ、非常に高額の更新費用がかかるという問題があった。
(装置構成)
図1には、本発明の一実施形態に係る連続燃焼式ラジアントチューブバーナが示されており、連続燃焼式ラジアントチューブバーナ(以下、単にバーナという)1は、2次燃焼室12(図2及び図3参照)を形成するラジアントチューブ10と、ラジアントチューブ10の一端に配置されたバーナユニット20とを備えている。
一方、ラジアントチューブ10の中には、図2及び図3に示すように、円形プレート30が配置されている。円形プレート30は、ラジアントチューブ10の内径D(図4参照)と実質的に同一の外径を有する。
また、バーナ1においては、円形プレート30から前側(バーナユニット20側と反対側)に突出し且つ内部に1次燃焼室11を形成する燃焼筒33が設けられている。この燃焼筒33の円形プレート30からの長さL(図3参照)は、L≧100mmとする。燃焼筒33の長さLが100mmより短いと、2次燃焼比率が増えすぎて、Nox濃度が高くなるため、L≧100mmとした。そして、この燃焼筒33外周には、環状の空気希釈室13が形成される。
次に、バーナ1の作動について説明する。
先ず、パイロット燃料ガスをバーナガン21からパイロット燃料ガス供給管40を経て1次燃焼室11内に噴射するとともに、パイロット燃焼用空気をバーナガン21からパイロット燃焼用空気供給路36を経てパイロット燃焼用空気流Cとして1次燃焼室11内に吐出する。これにより、1次燃焼室11内で点火しておく。
一方、複数の2次燃焼用空気吐出口42の各々を通過して空気希釈室13内に吐出する2次燃焼用空気流Bは、2次燃焼室12の燃焼ガスを誘引し、この結果、空気希釈室13内に逆流する燃焼ガスの再循環流Rが形成される。この再循環流Rは、空気希釈室13内に流入し、燃焼筒33の外周面に沿って2次燃焼用空気吐出口42の近傍に回り込み、2次燃焼用空気流Bと混合し、二次燃焼用空気を比較的多量の燃焼ガスにより希釈することができる。
このように、2次燃焼用空気流Bを再循環流Rとの混合により酸素濃度を低減させることで、2次燃焼室12における燃焼で火炎温度が低減され、その結果として、排ガス中のNOx濃度を低減することができる。
ここで、複数の2次燃焼用空気吐出口42は、図4に示すように、円形プレート30の中心を中心に、中心直径がPCDかつその周方向範囲がθで配置される。中心直径PCDの半径は、各2次燃焼用空気吐出口42の開口縁42a,42bの各曲率半径の平均値に相当する。
そして、2次燃焼用空気吐出口42の周方向範囲θを180°≦θ≦220°とする。この理由について述べると、図5に示すように、2次燃焼用空気吐出口42の周方向範囲θが大きくなればなるほど、排ガス中のNOx濃度(酸素濃度11%換算値)は大きくなるため、NOx濃度の観点からは周方向範囲θはより小さい方が好ましい。一方、2次燃焼用空気吐出口42の周方向範囲θを小さくすればするほど、空気希釈室13における周方向偏熱量ΔTが大きくなるため、周方向偏熱量ΔTの観点からは周方向範囲θは大きい方が好ましい。そこで、本実施形態にあっては、2次燃焼用空気吐出口42の周方向範囲θを180°≦θ≦220°とする。当該周方向範囲θを220°以下とすることで、排ガス中のNOx濃度(酸素濃度11%換算値)を180ppmに以下に抑制することができる。なお、図5においては、このNOx濃度(酸素濃度11%換算値)は、2次燃焼用空気吐出口42を通過する2次燃焼用空気の流速V2をバーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)において26m/sとしたときの値であり、図7(B)に示すように、2次燃焼用空気の流速V2をバーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)において20m/sとすると、排ガス中のNOx濃度(酸素濃度11%換算値)を160ppm以下に抑制することができる。一方、当該周方向範囲θを180°以上とすることで、周方向偏熱量ΔTを約85℃以下に抑制することができる。
また、燃焼用空気供給路32内に導入される燃焼用空気は、2次燃焼用空気吐出口42を通過する2次燃焼用空気流Bの流速V2がバーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)においてV2≦20m/secとなるように導入される。
この理由について述べると、図7(A)に示すように、排ガス中のNOx濃度は、2次燃焼用空気吐出口42を通過する2次燃焼用空気流Bの流速V2の増加に対して上側凸の放物線を描くような増減をするものであり、2次燃焼用空気流Bの流速V2が非常に大きくなると、2次燃焼室12における燃焼ガスの火炎が伸長し、火炎温度が低減するため、排ガス中のNOx濃度が低減する。しかし、2次燃焼用空気流Bの流速V2が大きくなるということは、2次燃焼用空気吐出口42の幅が狭くなるので、2次燃焼用空気吐出口42における圧損が大きくなってしまう。一方、2次燃焼用空気流Bの流速V2が非常に小さくなると、再循環流Rが円滑に形成され、2次燃焼用空気流Bの酸素濃度が低減し、2次燃焼室12における燃焼で火炎温度が低減され、その結果として、排ガス中のNOx濃度が低減する。しかし、2次燃焼用空気流Bの流速V2が小さくなるということは、2次燃焼用空気吐出口42の幅が広くなるので、2次燃焼用空気吐出口42の取合上の限界がある。本実施形態にあっては、2次燃焼用空気吐出口42における圧損を大きくすることなく、排ガス中のNOx濃度を低減させる方法として、2次燃焼用空気吐出口42を通過する2次燃焼用空気流Bの流速V2が図7(B)に示すようにバーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)においてV2≦20m/secとなるようにした。これにより、排ガス中のNOx濃度(酸素濃度11%換算値)を160ppm以下に抑制することができる。なお、当該2次燃焼用空気流Bの流速V2の下限値は、吐出口取合上の限界を考慮し、V2>16m/sとすることが好ましい。
なお、2次燃焼用空気流Bの流速V2をバーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)においてV2≦20m/secとなるようにすることにより、周方向偏熱量ΔTも67℃以下に抑制することができる。
次に、円形プレート30を通過する全体の空気流量に対する燃焼筒33の内部への燃焼空気流量比(筒内燃焼空気流量比)rqについて図8を参照して説明する。この筒内燃焼空気流量比rqは、燃焼筒33の内部への燃焼空気流量Qpを円形プレート30を通過する全体の空気流量(Qp+Q2)で除した値である。燃焼筒33の内部への燃焼空気流量Qpは、1次燃焼用空気吐出口41を通過して1次燃焼室11内に吐出する1次燃焼用空気流Aの流量と、パイロット燃焼用空気供給管35を経て1次燃焼室11内に吐出するパイロット燃焼用空気流Cの流量とを合計した流量である。また、Q2は、2次燃焼用空気吐出口42を通過して空気希釈室13内に吐出する2次燃焼用空気流Bの流量である。
この理由について述べると、図9(A)に示すように、排ガス中のNOx濃度は、筒内燃焼空気流量比rqの増加に対して下側凸の放物線を描くような増減をするものであり、筒内燃焼空気流量比rqが非常に大きくなると、燃焼筒33内の1次燃焼室11における筒内燃焼比率が増加し、2次燃焼室12における燃焼ガスの火炎温度が上昇し、排ガス中のNOx濃度が増加する。一方、筒内燃焼空気流量比rqが非常に小さくなると、燃焼筒33内の1次燃焼室11における筒内燃焼比率が増加し、2次燃焼室12における燃焼ガスの火炎温度が上昇し、排ガス中のNOx濃度が増加する。従って、筒内燃焼空気流量比rqの大きさは、適当な範囲で制限することが望ましい。
また、筒内燃焼空気流量比rqをバーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)において17%<rq<25%になるように設定することにより、周方向偏熱量ΔTも67℃以下に抑制することができる。
また、本実施形態に係るバーナ1においては、円形プレート30において、2次燃焼用空気吐出口42の周方向範囲θを180°≦θ≦220°とし且つ2次燃焼用空気吐出口42の中心直径PCDをラジアントチューブ10の内径Dに対し、D/PCD<1.4としている。このため、排ガス中のNOx濃度(酸素濃度11%換算値)を160ppm以下に抑制することができるとともに、周方向偏熱量ΔTを約85℃以下に抑制することができる。
また、本実施形態に係るバーナ1によれば、燃焼筒33の長さLをL≧100mmとするとともに、円形プレート30を通過する全体の空気流量に対する燃焼筒33の内部への燃焼空気流量比rqを、バーナの最大燃焼負荷時(12万kcal/h)において17%<rq<25%に設定する。これにより、排ガス中のNOx濃度(酸素濃度11%換算値)を160ppm以下に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、2次燃焼用空気吐出口42は、円形プレート30において、2次燃焼用空気吐出口42の周方向範囲θを180°≦θ≦220°とし且つ2次燃焼用空気吐出口42の中心直径PCDをラジアントチューブ10の内径Dに対し、D/PCD<1.4とするものであれば、数は3つでなくてもよい。
10 ラジアントチューブ
11 1次燃焼室
12 2次燃焼室
13 空気希釈室
20 バーナユニット
21 バーナガン
22 燃料ガス供給配管
22a 燃料ガス入口
23 パイロット燃料ガス供給配管
23a パイロット燃料ガス入口
24 パイロット燃焼用空気供給配管
24a パイロット燃焼用空気入口
25 エアケース
25a 燃焼用空気供給口
25b 開口
30 円形プレート
31 円筒形外周カバー
32 燃焼用空気供給路
33 燃焼筒
35 パイロット燃焼用空気供給管
36 パイロット燃焼用空気供給路
37 燃料ガス供給管
37a 燃料ガス噴射ノズル
38 燃料ガス供給路
39 前端プレート
39a パイロット燃焼用空気吐出口
40 パイロット燃料ガス供給管
41 1次燃焼用空気吐出口
42 2次燃焼用空気吐出口
42a 開口縁
42b 開口縁
50 熱交換器
51 燃焼用空気入口
52 燃焼用空気流路
53 排ガス流路
54 排ガス出口
A 1次燃焼用空気流
B 2次燃焼用空気流
C パイロット燃焼用空気流
D ラジアントチューブの内径
E 混合ガス流
PCD 2次燃焼用空気吐出口の中心直径
θ 2次燃焼用空気吐出口の周方向範囲
V2 2次燃焼用空気流の流速
rq 筒内燃焼空気流量比
Claims (1)
- 2次燃焼室を形成するラジアントチューブと、該ラジアントチューブの一端に配置され、燃料ガス、燃焼用空気、パイロット燃料ガス及びパイロット燃焼用空気を供給するバーナユニットとを備えた連続燃焼式ラジアントチューブバーナであって、
前記ラジアントチューブの中に配置された円形プレートと、該円形プレートの外縁部からバーナユニット側に延び、前記燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給路を形成する円筒形外周カバーと、前記円形プレートから前記バーナユニット側と反対側に突出し且つ1次燃焼室を形成する燃焼筒と、前記円形プレートを貫通して前記燃焼筒の内部に開口し、前記パイロット燃焼用空気を供給するパイロット燃焼用空気供給路を形成するパイロット燃焼用空気供給管と、前記円形プレートの前記燃焼筒と前記パイロット燃焼用空気供給管との間の部分に前記円形プレートを貫通するように形成された1次燃焼用空気吐出口と、前記円形プレートの前記燃焼筒の半径方向外側に前記円形プレートを貫通するように形成された2次燃焼用空気吐出口とを備え、
前記パイロット燃焼用空気供給管の内部に燃料ガス供給管を配置して該燃料ガス供給管を前記パイロット燃焼用空気供給管で覆い、前記パイロット燃焼用空気供給管内のパイロット燃焼用空気供給路に全空気流量の3〜7%のパイロット燃焼用空気を供給して前記燃料ガス供給管内を流れる燃料ガスの200℃以上への高温化を抑止するとともに、
前記円形プレートにおいて、前記2次燃焼用空気吐出口の周方向範囲θを180°≦θ≦220°とし且つ前記2次燃焼用空気吐出口の中心直径PCDを前記ラジアントチューブの内径Dに対し、D/PCD<1.4とし、
前記2次燃焼用空気吐出口を通過する2次燃焼用空気流の流速V2を、バーナの最大燃焼負荷時においてV2≦20m/secとし、
前記燃焼筒の長さLをL≧100mmとするとともに、全体の空気流量に対する前記燃焼筒の内部への燃焼空気流量比rqを、バーナの最大燃焼負荷時において17%<rq<25%に設定することを特徴とする連続燃焼式ラジアントチューブバーナ。
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