[第一実施形態]
第一実施形態の分析装置について、以下、図面を参照して説明する。本実施形態の分析装置は、たとえば、血液に含まれる糖化ヘモグロビンの量を分析する装置である。血液は、試料の一例であり、検体と称されることもある。糖化ヘモグロビンは、分析装置による分析対象の一例である。
<分析装置の外観構成>
図1に示すように、分析装置102は筐体104を有する。本実施形態では、筐体104は、略直方体の箱状に形成されている。以下では、分析装置102における上下方向、幅方向、及び奥行方向を、それぞれ矢印U、矢印W、矢印Dで示す。矢印W方向、矢印D方向、及び矢印W方向と矢印D方向を合成した方向は、いずれも水平方向である。また、分析装置102の奥行方向の奥側及び手前側をそれぞれ矢印DA、矢印DBで示す。
筐体104には、図示しないタッチパネルが設けられている。分析作業の作業者は、タッチパネルに表示された情報を参照しながら、タッチパネルに接触することで、分析装置102を操作することができる。
また、筐体104には、図示しないプリンターが設けられている。分析装置102は、試料を分析した結果をプリンターで印刷することが可能である。
筐体104の手前面108には、開閉蓋114が設けられている。開閉蓋114は、開閉機構116によって手前側に移動した突出位置(二点鎖線で示す)と、奥側へ移動して手前面108と面一になった収容位置(実線で示す)との間をスライド可能である。開閉蓋114が突出位置にある状態で、開閉蓋114と共にトレー118が筐体104の手前側に露出する。このトレーに、検体(試料)を含む分析用具42を載置することができる。
<分析用具の構成>
図2〜図4に示すように、本実施形態の分析用具42は、一例として、チップ44とカートリッジ46とを有する構造である。チップ44の上にカートリッジ46が重ね合わされた状態で、矢印D1側を奥側にして分析装置102のトレー118にセットされる。分析用具42においても、便宜的に、分析装置102のトレー118にセットされた状態での上下方向、幅方向、及び奥行方向を、それぞれ矢印U、矢印W、矢印Dで示す。また、分析用具42の奥前側及び手前側をそれぞれ矢印D1、矢印D2で示す。
チップ44は、平面視(矢印A1方向視)で同一の外形である2枚の板材(上板44A及び下板44B)を貼り合わせて形成されている。チップ44は、板材44A、44Bが貼り合わされた状態で、板状の部材である。チップ44が水平方向に置かれた状態で、チップ44の板厚方向は鉛直方向と一致する。そして、カートリッジ46は、チップ44に対し鉛直方向、すなわちチップ44の板厚方向に重ねられる。
チップ44には、複数の流路48が形成されている。
流路48のそれぞれの断面形状や、チップ44を平面視したときの形状は限定されず、1箇所又は複数個所で曲がっていてもよいし、直線状であってもよい。
これら流路48の流路断面積は、後述するポンプ172(図11参照)によって液体が加圧されると、加圧された液体がこれらの流路48を流れる程度に設定されている。
流路48の端部には、カートリッジ46に向かって突出する凸部50が形成されている。凸部50は、後述するように、底面膜58を穿孔する穿孔突起の一例である。
カートリッジ46には、複数の液体槽52が形成されている。
これらの液体槽52は、カートリッジ46の上部に形成された凹み部分であり、上面は封止膜54で封止されている。本実施形態では、図4にも示すように、複数の液体槽52を、1枚の封止膜54で封止しているが、液体槽52ごとに、封止膜54が分離されていてもよい。封止膜54 の材質は、液体槽52内において封止されている液体が気化等せず封止され、後述する分析装置に備えられた穿孔部材によって穿孔されればよく、例えばPETを含む多層構造のラミネートフィルムが挙げられる。
液体槽52の下部には、チップ44の流路と連通する連通部56が形成されている。複数の液体槽52の一部には、たとえば、希釈液や泳動液等の液体LAが封入されている。液体が封入された液体槽52の連通部56の下部は底面膜58で封止されている。
なお、チップ44の流路48において、後述するキャピラリー68よりも液体の流れの上流側にフィルタを設けてもよい。このフィルタにより、液体以外の異物が除去されて、キャピラリー68には流れない構造が実現できる。
複数の液体槽52のうち、特定の2つの連通部56に対応する流路48の間には、キャピラリー68が形成されている。キャピラリー68の流路断面積は、流路48に存在している液体が毛細管現象で流れるように設定されている。したがって、キャピラリー68の流路断面積は、流路48のいずれの流路断面積よりも小さい。そして、キャピラリー68の両側の連通部56には電極62が設けられている。
カートリッジ46の一側面46Aには、図21に示すように、電極62のそれぞれに対応する側面孔64が形成されている。側面孔64は分析用具42における2つの側面の一方(一側面46A)から電極62に達する孔である。後述するように、分析装置102の給電プローブ194(給電部材の一例)をカートリッジ46の側面孔64に挿入し、電極62に接触させることで、2つの電極62の間に電圧を印加することが可能である。
なお、カートリッジ46における一側面46A及び他側面46Bは、分析用具42における一側面42A及び他側面42Bと同じである。
本実施形態では、キャピラリー68は、下板44Bに形成された溝部を、上板44Aが覆う構造である。したがって、実質的には、キャピラリー68は、チップ44において下板44Bに形成されている。
分析用具42(カートリッジ46及びチップ44)には、キャピラリー68の中間位置に、上面側から挿入孔70が形成されている。本実施形態では、チップ44の上板44Aにも挿入孔70の一部が形成されている。
挿入孔70には、分析装置102の照射部材176(図4参照)が挿入される。この照射部材176は、キャピラリー68内を電気泳動する試料に、先端の照射部176Aから光を照射する部材である。照射部材176の照射部176Aは挿入孔70の底部70Bに接触される。
図3に示すように、チップ44には、分析用具42の他側面42Bと同じ側に、平面視で二等辺三角形状の切込72が形成されている。切込72は凹部71の一例である。切込72は、分析用具42の導入方向(奥側、矢印D1方向)に対し傾斜する2つの傾斜面72A、72Bを有している。切込72には、後述する位置決めピン140Aが嵌合される。そして、位置決めピン140Aに、傾斜面72A、72Bが接触する。
また、チップ44には、切込72とは異なる位置にも、凹部71として切込73が形成されている。この切込73は、切込72と異なり、平面視で略台形状又は長方形状であり、後述する位置決めピン140Bが嵌合される。そして、位置決めピン140Bに奥面71Dが接触する。
凹部71としては、上記した切込72及び切込73の構成以外にも、3つ以上の切込を備えていてもよく、またその形状も切込72または切込73の形状に限られない。いずれにおいても分析装置の位置決めピン等の接触部材と接触または嵌合され、分析用具を位置決め可能な組み合わせとなっていれば形状は問わない。
なお、カートリッジ46の他側面46Bには、位置決めピン140A、140Bとの接触を避けるための逃げ部46C(図9参照)が形成されている。
分析用具42は、チップ44の上方に、カートリッジ46が装着され、この状態で、カートリッジ46に形成された爪部74がチップ44に係合されて、チップ44とカートリッジ46とが一体化される。そして、一体化された状態で、チップ44とカートリッジ46とを相対的に接近させることで、カートリッジ46とチップ44とを嵌合させることができる。チップ44とカートリッジ46との一体化状態、及び嵌合状態では、分析用具42は略直方体の外形を成す。また、チップ44とカートリッジ46との嵌合状態では、キャピラリー68内を電気泳動する試料の成分の分析が可能である。
チップ44とカートリッジ46との嵌合作業は、分析作業者が行ってもよいが、後述するように、分析装置102においても行われる。嵌合状態では、底面膜58に対応する一にある凸部50によって底面膜58が穿孔される。この凸部50が液体槽52の底面を成す底面膜58を穿孔する穿孔突起の一例であるが、底面膜58を開封可能な形状であれば、任意の形状を取りうる。
上述のとおり、分析用具42としてチップ44とカートリッジ46とからなる一例を示したが、後述する分析装置102が備える押込部材128に一側面が押込まれ、且つ、押込部材128によって押込まれた後、この一側面と反対側の他側面が接触部材に接触する構成を備える形状であればどのような形状でもよい。例えば直方体状に関わらず、小判型円柱状、任意の側面が階段形状の円柱状などが挙げられる。また、分析用具42の内部には泳動液及び試料が導入されるキャピラリーを含み、試料の電気泳動がなされる構成が好ましいが、本発明の分析装置102に導入可能で、また位置決め及び測定可能な試料を含んだ分析用具であれば、どのようなものであっても良い。例えば電気泳動法に使われる分析用具に関わらず、電気化学測定法、比色測定法、免疫学的測定法等に用いられる分析用具が挙げられる。いずれにおいても測定装置における分析用具の位置決めが要求される場合に利用できる。
<分析装置の内部構成>
図5〜図8に示すように、分析装置102の筐体104(図1参照)の内部には、トレー118が収容された位置に、導入部120が設けられている。トレー118が筐体104内に退避する(奥側へ移動する)ことで、トレー118に載せられた分析用具42が導入部120に導入される。導入部120は、キャピラリー68において試料を電気泳動させるための電極62を備えた分析用具42が導入される部位である。
導入部120は、設置部122と、この設置部122の上方の押圧部材124及び測定部材126を有している。測定部材126は、後述するように、導入部120に分析用具42が導入された状態で、この分析用具42に含まれる試料の成分を測定する部材である。より具体的には、本実施形態では、分析用具42のキャピラリー68を泳動する試料に照射された光を用いて、試料の成分を測定する部材である。一例として、図4に示すように、測定部材126は、吸光度センサ186と、この吸光度センサ186のデータに基づいて試料の成分の種類や量を特定する測定部190とを含んでいる。
設置部122は、分析装置102を奥行方向(矢印D方向)に見て、所定の高さにある一般部122Aと、この一般部122Aの幅方向の中央部で上方に突出する台座部122Bと、を有している。分析用具42は、設置部122において、台座部122Bに設置される。台座部122Bに分析用具42が設置された状態で、分析用具42の上面42T及び流路48は水平となる。
図5及び図7に示すように、導入部120には、押込部材128が設けられている。
押込部材128には、図示しない保持機構によって、押込ロッド134が保持されている。押込ロッド134は、分析用具42の一側面46Aに向かって進退可能とされている。押込ロッド134の先端部は、分析用具42の一側面46Aに接触して押込む押込部134Pである。
押込ロッド134には図示ない押込バネが装着されている。そして、同じく図示しない押込モータによって、この押込バネを介して押込ロッド134が矢印P1方向に押され、先端の押込部134Pが分析用具42の一側面46Aに接触する。この状態でさらに押込ロッド134が分析用具42に向かって移動し、分析用具42を矢印P1方向に押す。ただし、後述するように、分析用具42のチップ44が位置決めピン140A、140Bに接触し、分析用具42の矢印P1方向の移動が阻止された状態では、押込バネが圧縮されることで、押込ロッド134が過度に分析用具42を押込むことが抑制される。押込部材の具体的構成は上記に関わらず、分析用具42の一側面46Aに接触し、分析用具42を矢印P1方向に押込むことが可能な構成であれば、どのような構成でもよい。
分析用具42に対し、チップ44の切込72が形成された側(他側面42B側)、すなわち押込ロッド134の反対側には、1本又は複数本の位置決めピン(本実施形態では奥行方向に間隙をあけて2本の位置決めピン140A、140B)が立設されている。位置決めピン140A、140Bは、凸部の一例であり、接触部材の一例でもある。さらに、押込部材128と接触部材(位置決めピン140A、140B)とで、分析用具42を所定位置に位置決めする位置決め部材の一例を構成している。
図9にも示すように、位置決めピン140A、140Bはいずれも、円柱状に形成されており、先端部(上端部)は円錐状である。また、位置決めピン140A、140Bの高さは、台座部122Bに載置された分析用具42の下板44Bには達するが、上板44Aには達しない高さである。さらに、位置決めピン140A、140Bが位置する上板44Aの近傍は、下板44Bより小さく成形されており、寸法誤差によって位置決めピンが高い場合であっても、上板44Aには達しないようにしている。
手前側の位置決めピン140Aは、奥行方向(矢印D方向)では、チップ44の切込72が形成された位置にある。これに対し、奥側の位置決めピン140Bは、奥行方向(矢印D方向)では、切込72よりも奥側において、凹部71が形成された位置にある。
位置決めピン140A、140Bの幅方向(矢印W方向)の位置は、図6に示すように、導入部120に分析用具42が単に導入された状態では、この分析用具42と非接触の位置である。そして、押込ロッド134によって分析用具42が矢印P1方向に押されることで、チップ44の下板44Bが位置決めピン140A、140Bに接触し、分析用具42が幅方向(矢印W方向)に位置決めされる。
ここで、切込72の2つの傾斜面72A、72Bのいずれかが位置決めピン140Aに接触した場合は、分析用具42が奥行方向(矢印D方向)にも移動する。そして、図8に示すように、傾斜面72A、72Bの両方が位置決めピン140Aに接触する位置へと位置決めされる。
接触部材及び凸部の構成は上記に限られず、分析用具42が矢印P1方向に押込まれて移動すると、分析用具42の凹部71が形成された側(他側面42B側)に接触し、幅方向(矢印W方向)に位置決めされる構成であれば、どのような構成でもよい。特に、接触部材及び凸部の構成は、分析用具の形状に応じて形成可能であるが、好ましくは接触部材は凸部である。接触部材が凸部であると、凸状の部分(突出した部分)に分析用具が確実に接触する構造を実現できる。凸部としての接触部材は、さらに好ましくは分析用具が設置される設置部から突出するピン(位置決めピン140A、140Bはその一例)である。凸部がピンである構造では、簡素な構造で凸部を構成できる。
設置部122の上方には、図10にも示すように、押圧部材124が設けられている。押圧部材124は、導入部120に導入された分析用具42の上面と対向する対向壁142を有している。対向壁142は、上下駆動機構144によって上下動するようになっている。
本実施形態では、上下駆動機構144は、制御装置146によって駆動制御される昇降モータ148を有している。そして、昇降モータ148の駆動力が、図示しないバネを介して対向壁142に作用し、対向壁142が昇降するようになっている。
昇降モータ148の駆動によって、バネを介して対向壁142が下降し、対向壁142が分析用具42の上面42Tに接触する。この接触後に、さらに昇降モータ148が駆動されても、図示しないバネが圧縮され、対向壁142は、それ以上は下降しない構造である。これにより、過度に対向壁142が分析用具42を押圧しない構造が実現されている。
対向壁142は、所定の剛性を有する壁本体160と、この壁本体160の下面に貼着される密着シート162とを有している。密着シート162は、壁本体160及び分析用具42のカートリッジ46よりも低弾性であり、外力に対し弾性変形しやすい。
すなわち、対向壁142が分析用具42に向かって押込まれた状態で、壁本体160やカートリッジ46よりも、密着シート162が厚み方向(上下方向)に弾性的に圧縮される。これにより、図16に示すように、密着シート162は、対向壁142が降下すると分析用具42の上面42Tに密着する。対向壁142は、密着部の一例でもある。
特に、本実施形態の分析用具42は複数の液体槽52を有しているが、これら複数の液体槽52に対応して1つの密着シート162が分析用具42の上面42Tに密着する。そして、対向壁142と設置部122との間で分析用具42を高さ方向、すなわちチップ44とカートリッジ46との重ね合せ方向に押圧して挟み込むことができる。
壁本体160には、液体槽52のそれぞれに対応して、複数(本実施形態では液体槽52と同数)の穿孔ピン164が設けられている。穿孔ピン164は穿孔部材の一例である。穿孔ピン164はいずれも、密着シート162よりも下方に突出している。対向壁142が下降することで、穿孔ピン164により、対応する液体槽52において封止膜54を穿孔することができる。
押圧部材124によって分析用具42を押圧し、密着シート162が分析用具42の上面42Tと密着した状態で、それぞれの穿孔ピン164の下端は、図11に示すように、封止膜54よりも下側、すなわち、対応する液体槽52の内部に位置している。そして、穿孔ピン164によって形成された孔部HPと穿孔ピン164の間に隙間GPが生じている。
図10に示すように、複数の液体槽52のうち、たとえば、あらかじめ液体が封入された液体槽52に対応する穿孔ピン164(図10の例では穿孔ピン164A、164Eであるが、これらに限定されない)の先端には、曲がり部165が形成されている。曲がり部165では、押圧部材124の押圧方向(下方向)と交差する方向(図10の例では略直角)に穿孔ピン164が曲がっている。このような曲がり部165が形成された穿孔ピン164では、曲がり部165が形成されていない穿孔ピン164と比較して、より大きく封止膜54を穿孔することができ、孔部HPと穿孔ピン164の間に生じる隙間GPも、より大きくなる。
対向壁142(密着シート162及び壁本体160)には、穿孔ピン164のそれぞれを取り囲む形状で、上側に凹む形状の空間凹部166が形成されている。すなわち、密着部の一例である対向壁142に、空間凹部166が形成されている。空間凹部166は、穿孔ピン164の周囲で対向壁142を部分的に液体槽52のそれぞれから離間する方向に凹ませた部分である。このような空間凹部166があることで、液体槽52のそれぞれと対向壁142との間に密閉空間168が形成される。このように分析装置102の空間凹部166ならびに分析用具42の上面を利用して、穿孔部材による穿孔部位の周囲で分析用具42との間に密閉空間168を形成するための構成が密閉部材となる。もちろん、分析装置102ならびに分析用具42の形状に応じて、密閉空間の形状や形成方法、及び密閉部材の形状は適宜変更することができる。
対向壁142には、空間凹部166のそれぞれに対応して、気体導入部材の一例として、気体導入管170が設けられている。気体導入管170の下端は密閉空間168に対して流体が出入りする気体出入口170Aである。本実施形態では、複数の気体導入管170のいずれにおいても、その下端位置、すなわち気体出入口170Aの位置は、空間凹部166の上面166Tと同じ位置であり、空間凹部166に気体導入管170の気体出入口170Aが突出することなく密閉空間168に位置する構造である。
気体導入管170には、ポンプ172が接続されている。ポンプ172の駆動により、密閉空間168に空気を送出したり、密閉空間168から空気を吸引したりすることが可能である。なお、複数の気体導入管170に対し分岐管を介してポンプ172を共通で1つ設けることが可能であり、この場合は、図示しないバルブにより、空気の流路を任意の気体導入管170に切り替える構造を採り得る。
図11に示すように、気体導入管170と穿孔ピン164とは、水平方向(奥行方向と幅方向の少なくとも一方向)にずれている。すなわち、気体導入管170の気体出入口170Aは、封止膜54の膜面に沿って、穿孔ピン164による穿孔部位(孔部HP)からずれた位置にある。
上述の穿孔ピン164は穿孔部材の一例である。穿孔部材としては、分析用具42における液体槽52の上面の封止膜54を穿孔することが可能であれば、どのような形状であってもよい。また上述の気体導入管170も気体導入部材の一例であって、密閉空間に気体を導入するのであればどのような形状であってもよい。ただし、本実施形態では、穿孔部材と、気体導入部材とは、別体の部材である。いずれであっても、分析用具42の液体槽52に気体を導入する気体導入部材に対して、液体槽52の液体が付着することを抑制できる形状であり、さらに気体出入口に、液体槽52の液体が流入することを抑制できる形状である。
図10に示すように、対向壁142には挿通孔174が形成されている。挿通孔174には照射部材176が挿通されている。照射部材176には、図示しない発光部からの光が、たとえば光ファイバー等によって導かれる。照射部材176は、この光を、先端の照射部176Aから照射する部材である。実質的に、照射部材176を光ファイバーの一部として構成してもよい。なお、所定の波長域の光を出射するLEDチップ、光学フィルタ、レンズ等を備え、また、発光部は、スリットを備えるなどの形状であってもよい。
照射部材176は、挿通孔174に挿通されているので、対向壁142に対して、水平方向へのズレが抑制されている。
挿通孔174の位置は、導入部120において所定位置に位置決めされた分析用具42の挿入孔70に対応する位置である。また、照射部材176の外径は、挿通孔174の内径よりも小さい。これにより、挿入孔70に照射部材176が挿入可能な構造となっている。照射部材176の下側部分は、密着シート162よりも下側に突出する突出部176Tである。
照射部材176の上部、すなわち、押圧部材124から突出する側と反対側には、挿通孔174よりも幅広の制限板178が取り付けられている。制限板178が突出部の分析用具への突出量を一定範囲に制限する制限部材の一例であるが、制限する機能を有していれば任意の形状を取りうる。また、対向壁142からは、上方に向けて1本又は複数本の支柱180が立設され、支柱180は制限板178を貫通している。
支柱180の先端には、支柱180よりも幅広の対向板182が形成されている。対向壁142と対向板182の間に制限板178が位置しており、制限板178は、支柱180によって案内されつつ上下移動可能であるが、この上下方向の移動範囲は、対向壁142と対向板182の間に制限されている。これにより、突出部176Tの突出範囲(対向壁142から突出する突出長)も所定範囲に制限することができ、突出部176Tが過度に対向壁142から突出することを抑制できる。対向壁142と対向板182とは対になっており、突出部176Tの進退方向の両側で制限板178と対向している。すなわち、対向壁142と対向板182とは一対の対向部材の一例である。そして、対向壁142が、対向部材の一部を兼ねている。これにより、対向壁142を、対向部材とは別体の部材とした構造と比較して、部品点数が少なくされている。
制限板178と対向板182の間にはバネ184が介在されている。このバネ184の付勢力で、制限板178を介して照射部材176が下方に付勢される。この付勢力を付与するバネ184が、突出部176Tを押圧部材124からの突出方向に付勢する付勢部材の一例である。このような付勢する機能を有していれば、付勢部材は任意の形状を採り得る。これにより、照射部材176の突出部176Tが、所定の突出長で対向壁142から突出した状態を維持できる。また、突出部176Tの下方への移動範囲は、図14及び図15に示すように、制限板178が対向壁142に接触することで所定範囲に制限される。
図14に示すように、制限板178が対向壁142に接触している状態で、突出部176Tの突出長TLの最大値は、挿入孔70の深さSDよりも長い。
したがって、対向壁142が降下し、照射部材176が挿入孔70に挿入されると、先端の照射部176Aが、挿入孔70の底部70Bに接触する。このように、照射部176Aが底部70Bに接触するまでは、照射部材176及び制限板178は、対向壁142との位置関係を一定に保って降下する。
この状態で、さらに対向壁142が下方へ移動しようとしても、制限板178と対向板182の間には隙間があるので、この隙間を少なくするようにして(バネ184を押し縮めながら)対向壁142が下方へ移動するが、照射部材176は下方へ移動しない(図16参照)。
本実施形態では、押圧部材124による分析用具42の押圧方向(対向壁142が分析用具42に接近する方向)と、照射部材176の分析用具42への接近方向とが同方向である。押圧部材124の移動軌跡と、照射部材の移動軌跡とが部分的に重なっているので、これらの移動軌跡が重ならずに分離している構造と比較して、省スペースでこれら部材を配置できる。
導入部120には、所定位置にセットされた分析用具42における挿入孔70の下方位置に、吸光度センサ186が設けられている。キャピラリー68内を電気泳動する試料に照射部材176から光が照射され、試料を透過した透過光に基づき、測定部材126によって測定を行う。例えば、吸光度センサ186は、この透過光に基づき吸光度を検知する。また例えば、測定部材は、例えば、フォトダイオード、フォトIC等を備える。
図10に示すように、対向壁142には、さらに、傾斜検知部の一例として、複数の傾斜検知ロッド188が取り付けられている。傾斜検知部は、導入部120に導入された分析用具42の、すなわち水平方向に対する傾斜(具体的には、傾斜しているか否か)を検知する部材である。この傾斜の検知には、図12に示すように、幅方向での傾斜している場合と、図13に示すように、奥行方向で傾斜している場合の両方が可能である。傾斜検知ロッド188のそれぞれは、対向壁142に対し上下動可能に保持されている。
傾斜検知ロッド188の下端の位置は、図5及び図7に示すように、導入部120に導入された分析用具42が傾斜していない状態では分析用具42に接触しない位置である。しかし、図12及び図13に示すように、分析用具42が傾斜していると傾斜検知ロッド188の下端が接触するように、所定の位置に設定されている。そして、分析用具42に傾斜検知ロッド188が接触した状態でさらに対向壁142が降下すると、傾斜検知ロッド188が対向壁142に対し相対的に上方に移動する。制御装置146は、傾斜検知ロッド188のこのような上方移動を検知すると、分析用具42が傾斜していると判断し、所定の処理を行うことが可能である。
図5〜8に示すように、導入部120には、分析用具42の複数の側面孔64のそれぞれ対応する給電プローブ194が突出されている。給電プローブ194は、制御装置146により制御される図示しないモータの駆動力で、分析用具42の一側面46Aに対し前進したり後退したりする。
給電プローブ194は給電部材の一例である。複数の給電プローブ194のそれぞれは、分析用具42の一側面46Aに対し前進し、対応する側面孔64に挿入されて、電極62に接触する。
給電プローブ194は、導入部120において所定位置に保持された分析用具42の側方に位置しており、側方以外には存在していない。したがって、給電プローブ194を避けた位置に、各種の部材を配置可能な構造が実現されている。たとえば、押圧部材124は分析用具42の上方に配置されており、押圧部材124と給電プローブ194との干渉が抑制されている。また、設置部122は、分析用具42の下方に配置されており、給電プローブ194が設置部122と干渉することも抑制されている。なお、給電部材としては、電極62に給電できれば、形状は特に限定されない。
次に、本実施形態の分析装置102の作用、及び分析用具42における試料の成分を分析する方法について説明する。
まず、分析用具42の流路48の一部に、試料(本実施形態では血液)を充填しておく。
分析装置102のタッチパネルから所定の入力操作を行うことで、図1に二点鎖線で示すように、開閉蓋114が手前側に移動し、トレー118が露出する。
このトレー118に、試料が含まされた分析用具42を載せた状態で、トレー118及び開閉蓋114を押して(あるいは分析装置102の図示しないタッチパネルから所定の操作を行って)、トレー118を奥側に移動させる。これにより、図5に示すように、分析用具42が導入部120に導入される。そして、分析用具42は、設置部122の台座部122Bに設置される。
分析装置102は、傾斜検知部を有している。したがって、この状態で、分析装置102は、この傾斜検知部により、分析用具42の傾斜検知を行う。具体的には、制御装置146が昇降モータ148を駆動し、押圧部材124の対向壁142を所定位置まで降下させる。
このとき、図12又は図13に示すように、分析用具42が傾斜していると、複数の傾斜検知ロッド188の一部が分析用具42に接触する。この場合は、制御装置146は、昇降モータ148の駆動を停止すると共に、分析用具42が傾斜していることに対応する所定の処理を行う。ここでいう「所定の処理」は、たとえば、試料の成分分析を一時的に停止すると共に、分析用具42の傾斜を作業者に報知する等の処理を含む。
傾斜検知ロッド188は複数設けられているので、分析用具42の傾斜方向や、傾斜量(傾斜角度)によって傾斜検知の精度が低下することを抑制できる。
なお、分析用具42の傾斜を検知する傾斜検知部の構造は、上記したものに限定されない。たとえば、分析用具42に対し複数個所から光を照射して傾斜を検知する構造であってもよい。
分析用具42が傾斜していない(傾斜が許容範囲内である場合を含む)場合は、制御装置146は、分析用具42に対する位置決めを行う(位置決め方向を実行する)。なお、この状態で、図6に示すように、分析用具42の切込72と位置決めピン140Aとは非接触であり、凹部71と位置決めピン140Bも非接触である。
制御装置146は、図示しない押込モータを駆動し、押込ロッド134によって、分析用具42の一側面46Aを押し込む。これにより、図7及び図8に示すように、分析用具42のチップ44が位置決めピン140A、140Bに接触するので、分析用具42が所定位置に位置決めされる。
特に、本実施形態では、位置決めピン140Aの高さが、チップ44の下板44Bには達するが上板44Aには達しない高さである。そして、チップ44の下板44Bが位置決めピン140A、140Bに接触することで分析用具42が位置決めされる。チップ44の下板44Bにはキャピラリー68が形成されているので、実質的に、このキャピラリー68を正確に位置決めすることができる。
チップ44には、切込72が形成されている。分析用具42が位置決めピン140Aに向かって接近し、位置決めピン140Aに傾斜面72A及び傾斜面72Bのいずれか一方が接触し、さらに分析用具42が押込まれると、分析用具42は奥行方向(矢印D方向)にも移動する。そして、図8に示すように、傾斜面72Aと傾斜面72Bの両方が位置決めピン140Aに接触する位置で分析用具42が位置決めされる。すなわち、分析用具42は、幅方向(矢印W方向)だけでなく、奥行方向(矢印D方向:導入部120への導入方向)にも位置決めされる。
この状態で、位置決めピン140Aが切込72に嵌合し、位置決めピン140Bが切欠73に嵌合するので、分析用具42は位置決めされた状態で、奥行方向へ位置ズレすることが抑制される。
次に、制御装置146は、昇降モータ148を駆動し、対向壁142を下降させる。これにより、図14に示すように、照射部材176も下降し、分析用具42に接近する。分析用具42は既に所定位置に位置決めされており、挿入孔70も位置決めされているので、照射部材176は分析用具42の上面42Tに接触することなく、挿入孔70に挿入される。
そして、図15に示すように、照射部材176の下端の照射部176Aが、挿入孔70の底部70Bに接触する。この状態で、図16に示すように、さらに昇降モータ148が駆動されても照射部材176及び制限板178は降下しないので、照射部材176の照射部176Aが底部70Bに強く押されて損傷を受けることを抑制できる。
また、対向壁142の降下により、複数の穿孔ピン164のそれぞれが、対応する液体槽52の封止膜54を穿孔する。そして、密着シート162が分析用具42の上面42Tに密着する。
この状態で、図11に示すように、複数の液体槽52のそれぞれには、穿孔ピン164による穿孔箇所の周囲において、分析用具42との間に密閉空間168が形成される。密着シート162は、分析用具42の上面42Tに面接触した状態で密着するので、たとえば密着部材が線状に接触する構造と比較して、密閉空間168をより確実に密閉状態に維持できる。
また、この状態で、分析用具42は、分析用具42が設置される設置部122と押圧部材124との間で上下に挟み込まれるので、カートリッジ46とチップ44とが嵌合される。そして、図17に示すように、凸部50がそれぞれ対応する底面膜58を穿孔するので、穿孔された底面膜58を有する液体槽52からは、液体が下方へ流出可能となる。ただし、カートリッジ46とチップ44とは上下方向に密着されているので、底面膜58が穿孔された液体槽52から液体がカートリッジ46とチップ44の隙間へ漏れ出すことは抑制される。
分析用具42は、押圧部材124に押圧されて、設置部122と押圧部材124との間に保持されるので、分析用具42の位置ズレが抑制される。本実施形態では、位置決め部材によって分析用具42が位置決めされているので、押圧部材124が分析用具42を押圧することで、分析用具42を位置決めされた状態に維持できる。
また、カートリッジ46とチップ44との嵌合に大きな力を要する構造であっても、分析用具42を設置部122と押圧部材124とで挟み込んで押圧するので、カートリッジ46とチップ44とを確実に嵌合させることができる。しかも、照射部材176を挿入孔70に挿入した状態を実現した状態を維持しつつ、押圧部材124によって分析用具42を押圧できる。
ここで、制御装置146はポンプ172(図11参照)を駆動し、所定のタイミングで、特定の液体槽52に対する気体の供給及び吸引を行う。穿孔ピン164による穿孔箇所では、穿孔ピン164と封止膜54との間に隙間GPが生じているので、密閉空間168と、対応する液体槽52との間で、この隙間GPを通る空気の移動が可能である。
一例として、まず、図17に示すように、1つの液体槽52(図17では左側の液体槽52)への空気の導入(加圧)等を行う。これにより、試料が液体LAで希釈されて攪拌され、特定の流路48を通じて、他の液体槽52へ送られる。
また、図18に示すように、上記とは異なる液体槽(図18では右側の液体槽52)への空気の導入(加圧)等を行う。これにより、該当する液体槽52の液体LAが、この液体槽52と繋がっている流路48に充填される。そして、図19に示すように、キャピラリー68に、毛細管現象により、液体が充填される。
このように、封止膜54を穿孔する穿孔ピン164と、密閉空間168に気体(流体)を導入する気体導入管170とは別々の部材である。そして、それぞれの気体導入管170の下端の気体出入口170Aは、対応する密閉空間168の内部に位置している。したがって、液体槽52の液体が気体導入管170の内部に浸入することが抑制される。たとえば、前回の試料の分析時に希釈試料が気体導入管170の内部に残留してしまうことが抑制され、この残留した希釈試料が次回の分析時の希釈試料と混ざるといった事態も抑制される。
また、本実施形態では、穿孔ピン164による穿孔部位に対し、気体出入口170Aは、封止膜54の膜面に沿って穿孔部位からずれた位置にある。したがって、液体槽52の液体が、穿孔ピン164と封止膜54の隙間を通って密閉空間168に達しても、この液体が気体出入口170Aに流入することを抑制できる。
さらに、たとえば穿孔ピン164による封止膜54の穿孔によって、封止膜54を構成している部材の一部が破片となった場合であっても、気体出入口170Aは穿孔部位から離れているので、この破片が気体出入口170Aに混入することを抑制できる。
次に、制御装置146は、図示しない押込モータを駆動し、図20及び図21に示すように、給電プローブ194を分析用具42の一側面46Aに接近させる。給電プローブ194は、それぞれ対応する側面孔64に挿入され、電極62に接触される。この段階で、分析用具42は奥行方向に位置決めされている。すなわち、給電プローブ194が分析用具42に接近する方向と交差する(図21の例では直交する)方向で分析用具42が位置決めされているので、給電プローブ194の先端が分析用具42の一側面46Aに当たることはなく、確実に側面孔64に挿入される。
この状態で、制御装置146は、図22に示すように、給電プローブ194から、電極62の間に所定の電圧を印加する。これにより、キャピラリー68において試料の成分が電気泳動される。また、このとき、制御装置146は、照射部材176の照射部176Aから光を照射する。そして、電気泳動されている希釈試料の吸光度を吸光度センサ186で検出し、試料の成分を測定する。
このとき、照射部材176の照射部176Aは、挿入孔70の底部70Bに接触している。すなわち、照射部176Aは、キャピラリー68との距離が近い位置で、且つこの距離が一定に維持される状態である。したがって、キャピラリー68内を電気泳動される試料に対し、安定的に光を照射できる。
また、押圧部材124の対向壁142と設置部122との間で分析用具42を挟み込み、所定位置で保持しているので、分析用具42の位置が安定する。分析用具42のチップ44にはキャピラリー68が形成されているので、キャピラリー68の位置も安定する。したがって、試料の成分分析をより正確に行うことができる。
試料の成分分析が終了した後、制御装置146は、給電プローブ194を退避させて側面孔64から抜くと共に、対向壁142を上昇させて、分析装置102の押圧を解除し、さらに、照射部材176を挿入孔70から抜く。さらに、押込ロッド134を退避させて、分析装置102から離間させる。
そして、開閉蓋114及びトレー118を手前側に移動させて、分析用具42を取り出し可能とする。分析終了後の分析用具42は廃棄可能である。
本実施形態では、分析用具42に、測定対象である試料と、測定に必要となる液体(希釈液LA及び泳動液LB)が収容されてパッケージ化されている。分析装置102には、測定に必要な液体をあらかじめセットしておく必要がなく、また、これらの液体を一時的に貯留する貯留部や、測定部位に送るポンプ等が不要である。したがって、分析装置102として、構造の簡素化や小型化を図ることができる。
上記では、接触部材の一例として、棒状の位置決めピン140A、140Bを挙げているが、接触部材としては、このような棒状のピンに限定されず、たとえば、板状の部材であってもよい。接触部材として棒状のピンを用いると、板状の部材と比較して、より狭いスペースであっても接触部材を配置できる。棒状のピンを複数設けることで、1つのみ設ける構成と比較して、ピンに接触した分析用具42の回転を抑制でき、安定的に位置決めできる。
[第二〜第四実施形態、参考例]
次に、第二〜第四実施形態及び参考例について説明する。以下の各実施形態及び参考例において、分析装置の全体的構成は第一実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。また、第一実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図23に示す第二実施形態の分析装置202では、気体導入管170の下端部分が、空間凹部166の上面106よりも下方に突出しており、突出部170Bが構成されている。気体導入管170の下端部分は、気体出入口170Aを含む先端部分でもある。
第二実施形態では、このように気体導入管170の下端部分が突出している。したがって、密閉空間168内に流入した液体が上面106に沿って気体導入管170に向かって移動しても、気体導入管170の管自体によって液体を堰き止めることで、気体出入口170Aにこの液体が流入することを抑制できる。
図24に示す第三実施形態の分析装置302では、空間凹部166の上面106から下方へ延出される壁部材196が形成されている。壁部材196は、穿孔ピン164と気体導入管170の間に位置している。また、壁部材196の下端の位置は、封止膜54には接触せず、封止膜54との間に隙間が生じる位置である。
第三実施形態では、このような壁部材196を有しているので、密閉空間168内に流入した液体が上面106に沿って気体導入管170に向かって移動しても、壁部材196によって液体を堰き止めることができる。これにより、気体出入口170Aにこの液体が流入することを抑制できる。壁部材196としては、このように、穿孔部材(一例としての穿孔ピン164)と気体導入部材(一例としての気体導入管170)との間に位置していれば、形状は限定されない。すなわち、壁部材の形状によらず、密閉空間168内で、液体が上面106に沿って気体導入管170に向かう移動を堰き止めることができる。
図25に示す第四実施形態の分析装置402では、第二実施形態の構造(気体導入管170の下端部分に、突出部170Bが構成されている)と、第三実施形態の構造(壁部材196が形成されている)とを併せ持つ構造である。したがって、第四実施形態では、密閉空間168内に流入した液体が気体出入口170Aに流入することを、より確実に抑制できる。
図26には、参考例の分析装置502が部分的に示される。図26に示す構造では、気体導入管170が穿孔ピン164を兼ねており、気体導入管170の先端で封止膜54に穿孔できる。また、気体導入管170の側面には、封止膜54よりも上側、すなわち密閉空間168の内部に位置するように気体出入口170Aが形成されている。
参考例の構造であっても、気体出入口170Aは液体槽52には位置していないので、気体出入口170Aに、液体槽52の液体が流入することを抑制できる。