JP6874978B2 - 蓄放熱装置、電子機器、および蓄放熱方法 - Google Patents

蓄放熱装置、電子機器、および蓄放熱方法 Download PDF

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Description

本発明は、蓄放熱装置、電子機器、および蓄放熱方法に関する。
電子機器に内蔵されている電子部品は、使用時に通電すると、投入されたエネルギーの一部が熱に変換されて、発熱する。そして、発熱により電子部品の温度が上昇すると、電子部品の異常動作や故障などを生じる可能性がある。そのため、電子機器では、電子部品の動作の安定性や寿命の観点から、発熱を外部に放熱することが重要である。
特に、電子機器の高機能化、および高密度実装化に伴い、電子部品の発熱量が増大している。そのため、発熱による電子部品の異常動作や故障を防ぐためには、より効率的な放熱技術が重要となっている。そこで、電子機器の放熱方法として、蓄放熱材料を利用する方法が検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1では、発熱部品と放熱部材との間に潜熱蓄熱材を介在させ、発熱部品の熱量が一時的に潜熱蓄熱材に潜熱として蓄熱され、その後、潜熱蓄熱材に蓄熱された熱量を徐々に放熱部材を介して放熱する技術が提案されている。これにより、電子機器の急激な加熱を抑制している。
特許文献2では、小型のヒートパイプ内に蓄放熱材料を含めることにより、温度上昇を抑制する蓄熱デバイスが提案されている。
特許文献3では、蓄熱部の蓄熱量を検出しながら発熱部の動作を制御することで、電子機器の温度上昇を抑止する電子機器の制御方法が提案されている。
特許文献1〜3で用いられる蓄放熱材料は、ある所定の温度で相転移を生じ、その相転移時の潜熱により、電子部品から発生する熱を蓄熱している。そのため、特許文献1〜3の方法では、電子機器が相転移以上に温度上昇することを抑制する効果があるといえる。
また、蓄放熱材料を電子機器以外に、自動車に利用する方法も検討されている。自動車では、エンジンの燃焼効率の向上に伴い、燃焼熱量が減少している。特にエンジン始動時の熱量が不足する傾向にある。そこで、蓄放熱材料を用いて、熱量が余剰の際には、蓄熱し、熱が必要な時には蓄放熱材料に取り込んだ熱を放熱することで、不足する熱量を補う蓄熱システムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許第4485458号 国際公開第2015/079770号 特開2015−29036号公報 特開2016−31187号公報
しかしながら、従来の技術では、蓄放熱材料の相転移温度は、その物質の組成により決まっている。そのため、相転移温度を調整するためには、物質そのものまたは物質の化学組成を代える必要がある。また、電子機器の周辺の温度が低下した場合には、自然に熱を放出するため、所望の温度で放熱することができない。
本発明の一態様は、所望の温度で蓄放熱を容易に行うことができる蓄放熱装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様における蓄放熱装置は、熱源から熱を吸収すると共に、取り込んだ熱を外部に放出する蓄放熱部を備える蓄放熱装置において、前記蓄放熱部に電圧を印加する電圧印加部を有し、前記蓄放熱部は、金属‐絶縁体転移により、蓄熱または放熱を行う蓄放熱材料を備え、前記蓄放熱部に印加される電圧を制御して、前記蓄放熱材料が金属‐絶縁体転移を生じる相転移温度を変化させる。
本発明の一態様における電子機器は、熱源と、上記の蓄放熱装置と、を有する。
本発明の一態様における蓄放熱方法は、熱源から熱を吸収すると共に、取り込んだ熱を外部に放出する蓄放熱部を備える蓄放熱装置を用いた蓄放熱方法において、前記蓄放熱装置は、前記蓄放熱部に電圧を印加する電圧印加部を有し、前記蓄放熱部は、金属‐絶縁体転移により、蓄熱または放熱を行う蓄放熱材料を備え、前記蓄放熱部に印加する電圧を制御して、前記蓄放熱材料が金属‐絶縁体転移を生じる相転移温度を変化させる。
本発明の一態様によれば、所望の温度で蓄放熱を容易に行うことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る蓄放熱装置を適用した電子機器の構成を示すブロック図である。 図2は、蓄放熱装置の構成の一例を示す図である。 図3は、蓄放熱部への電圧の印加前後における蓄放熱材料の温度と熱量との関係の一例を示す図である。 図4は、蓄放熱部を複数設置した場合の一例を示す図である。 図5は、複数の蓄放熱装置の状態と時間との関係を説明する図である。 図6は、蓄放熱層の示差走査熱量の測定結果を示す図である。 図7は、蓄放熱装置1の加熱時のDTAの測定結果を示す図である。 図8は、蓄放熱装置1の放熱時のDTAの測定結果を示す図である。
以下、本発明による実施の形態について説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において、蓄放熱装置の高さ方向の一方を上または上方といい、蓄放熱装置の高さ方向の他方を下または下方という場合がある。
<電子機器>
本発明の実施形態に係る蓄放熱装置を適用した電子機器について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る蓄放熱装置を適用した電子機器の構成を示すブロック図である。図1に示すように、電子機器10は、電子部品11、蓄放熱装置12、および放熱部13を有する。
電子部品11は、電子機器10内に設けられており、電子部品11に通電されると発熱し、熱源となるものである。電子部品11は、電子機器に備えられ、通電されると、発熱する電子部品であれば特に限定されない。電子部品11としては、例えば、CPU、MPUなどの演算装置、ガスセンサ素子や加速度センサ素子などのセンサ素子、ICやLSIなどの半導体集積回路素子、LEDやPD、CCDなどの光半導体素子、セラミック圧電素子や水晶振動子などの圧電素子、容量素子、抵抗器などを挙げることができる。
蓄放熱装置12は、電子部品11および放熱部13と熱的に接続されている。なお、本実施形態において、熱的に接続とは、蓄放熱装置12が、電子部品11や放熱部13に対して、熱が移動可能な状態で接続または接触していることを意味する。熱的に接続は、例えば、蓄放熱装置12が、電子部品11や放熱部13に対して、直接接触している形態、または他部材を介して間接的に接続されている形態を含む。前記他部材として、例えば、熱伝導性を有する接着剤層、または金属製の伝熱板や熱伝導シートなどの熱伝導性材料などが挙げられる。蓄放熱装置12の構成の説明については、後述する。
放熱部13は、外部に熱を放出する放熱層で形成されている。放熱部13としては、例えば、カーボン、銅、またはアルミニウムなどの高い熱伝導率を有する材料を用いることができる。
(蓄放熱装置)
次に、蓄放熱装置12の構成について説明する。図2は、蓄放熱装置12の構成の一例を示す図である。図1および図2に示すように、蓄放熱装置12は、蓄放熱部21、絶縁部22、電圧印加部23、検出部25、電圧発生部26、および制御部27を有する。
蓄放熱部21は、電子部品11において発生した熱を吸収する(取り込む)と共に、取り込んだ熱を外部に放出する。蓄放熱部21は、金属‐絶縁体転移を示す蓄放熱材料を用いて形成されている。蓄放熱部21は、金属‐絶縁体転移を生じる温度(相転移温度)よりも高温の場合には熱の吸収(蓄熱)を行い、前記相転移温度よりも低温の場合には熱の放出(放熱)を行う。
蓄放熱材料は、金属‐絶縁体転移を示す電子相転移蓄放熱材料で形成されている。電子相転移蓄放熱材料は、固体状態で相転移を行う材料である。電子相転移蓄放熱材料としては、例えば、VO2;VO2にW、Re、Mo、Ru、Nb、Taなどのいずれかをドープしたバナジウム酸化物;LiMn24、LiVS2、LiVO2、NaNiO2、RBaFe25、RBaCo25.5(ここで、Rは、Y、Sm、Pr、Eu、Gd、Dy、Ho、Tbなどの希土類元素)、La1-xSrxMn1+y3(x=0.2〜0.4、y=0.01〜0.1)などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。蓄放熱材料は、これらのうちの1種類以上の材料を主成分として含み、さらに他の副成分を含む混合物として用いてもよい。
蓄放熱部21は、蓄放熱材料で形成された焼結体、または蓄放熱材料の粉末(蓄放熱材料粉末)と樹脂(バインダー)との複合材料などの形態で用いることができる。
蓄放熱部21が蓄放熱材料の焼結体で形成される場合、蓄放熱時の熱量が低下することを抑制することができると共に、蓄熱および放熱時の熱交換を効率よく行うことができる。ただし、この場合、焼結体中に組成変動(例えば、酸素量の変化)が生じ易い物質もあるので、蓄放熱量の減少や、吸熱温度の範囲と放熱温度の範囲との差が広がる可能性がある。そのため、蓄放熱部21が蓄放熱材料の焼結体で形成される場合には、焼結条件は、プロセス中の組成変動を抑制することができる範囲(例えば、焼結温度を低く抑えるなど)で、焼結体の密度をできる限り最大となるようにすることが好ましい。例えば、蓄放熱材料が組成変動が少なく、高い密度を有するという両方を満足するためには、低温で加圧しながら焼結することが有効である。
蓄放熱部21が、蓄放熱材料粉末および樹脂を含む複合材料で形成される場合、樹脂中に含まれる蓄放熱材料粉末の含有率が低下すると、蓄放熱時の熱量が減少する。また、樹脂が熱伝導率の低い樹脂である場合、蓄放熱材料粉末への熱伝導率が低下するため、蓄放熱材料粉末が蓄熱および放熱を十分行えない可能性がある。そのため、蓄放熱部21が蓄放熱材料粉末と樹脂との複合材料で形成される場合には、使用する樹脂量を低減させることが好ましい。
本実施形態では、蓄放熱部21は、厚膜または板材の蓄放熱層で形成されている。この場合、蓄放熱部21の平均厚さは、例えば、10μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。上限値に関しては、実施形態に係る蓄放熱装置の用途などにより異なり、特に限定されるものではないが、例えば、500μmであればよい。蓄放熱部21の平均厚さが10μm以上であれば、蓄放熱部21は蓄熱または放熱効果を有効に発揮することができる。なお、本実施形態において、蓄放熱部21の平均厚さとは、蓄放熱部21の厚さの平均値をいう。例えば、蓄放熱部21の断面において、任意の場所で数カ所(例えば、6か所程度)測定した時、これらの測定箇所の厚さの平均値をいう。また、本実施形態において、厚さとは、蓄放熱部21の接触面に対して垂直方向の層の長さをいう。
本実施形態では、蓄放熱部21に電圧が印加されると、蓄放熱材料の相転移温度は低下する。そして、印加される電圧が大きいほど、相転移温度はより低くなる傾向にある。そのため、蓄放熱部21に印加される電圧を制御することで、蓄放熱材料の相転移温度は、所望の温度に調整される。また、蓄放熱材料の相転移温度が調整されることで、蓄放熱材料の蓄熱温度の範囲および放熱温度の範囲も調整される。
蓄放熱部21への電圧の印加前後における蓄放熱材料の温度と熱量との関係の一例を図3に示す。なお、図3中、縦軸は、熱量であり、正の値は放熱を示し、負の値は蓄熱を示す。横軸は、温度を示す。図3に示すように、蓄放熱部21に電圧が印加されていない場合には、蓄放熱材料は、相転移温度αを有する。そして、蓄放熱材料は、相転移温度αよりも低温側に蓄熱した熱を放熱する温度範囲(放熱範囲)Trdを有し、相転移温度αよりも高温側に蓄熱する温度範囲(蓄熱範囲)Tstを有する。蓄放熱材料は、蓄熱範囲Tstに、蓄熱が最大となる蓄熱ピーク温度P1を有し、放熱範囲Trdに、放熱が最大となる放熱ピーク温度P2を有する。蓄放熱材料は、放熱範囲Trdで放熱し、蓄熱範囲Tstで蓄熱する。なお、蓄放熱材料の相転移温度α、放熱範囲Trd、および蓄熱範囲Tstは、蓄放熱材料の種類、組成などにより決まる。
そして、蓄放熱部21に電圧が印加されると、蓄放熱材料の相転移温度αは、相転移温度α'に低下する。そして、相転移温度αの低下に追従して、蓄放熱材料の蓄熱範囲Tstは蓄熱範囲Tst_vに低下し、放熱範囲Trdは放熱範囲Trd_vに低下する。また、蓄放熱材料の蓄熱ピーク温度P1および放熱ピーク温度P2も、蓄熱ピーク温度P1'および放熱ピーク温度P2'にそれぞれ低下する。
本実施形態では、蓄放熱部21に印加される電圧は、0Vよりも大きく、50V以下であることが好ましい。印加する電圧が0Vよりも大きく、50V以下であれば、印加した電圧の大きさの分だけ、蓄放熱材料の相転移温度を低下させることができる。そのため、相転移温度の調整が行い易くなる。
絶縁部22は、図2に示すように、蓄放熱部21の上面の一部に接触して設けられている。絶縁部22は、イオン液体などの電解液、無機系絶縁材料や有機系絶縁材料などで形成された固体膜などを使用することができる。
無機系絶縁材料としては、例えば、絶縁耐圧が高く、緻密な膜を形成できることが好ましい。さらには、誘電率が高いことが好ましい。無機系絶縁材料としては、例えば、SiO2、Y23、TiO2、Al23、HfO2、Ta25、BaTiO3、SrTiO3、PbTiO3、Si34、またはZrO2などを挙げることができる。これら一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。絶縁部22は、これら一種類の単層の膜で形成されていてもよいし、これら二種類以上を含んだ混合膜で形成されていてもよいし、これら一層類の単層の膜を二種以上積層した積層膜でもよい。なお、絶縁部22が無機系絶縁材料からなる場合、絶縁部22の形成方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法を用いることができる。絶縁部22の形成方法として、例えば、MOD法、ゾル−ゲル法、スパッタリング法、CVD法などを用いることができる。
有機系絶縁材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、またはフッ素系樹脂などが挙げられる。なお、絶縁部22が有機系絶縁材料からなる場合、絶縁部22の形成方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法を用いることができる。絶縁部22の形成方法として、例えば、スピンコーティング法、スプレー法などを用いることができる。
絶縁部22の厚さは、特に限定されないが、例えば、50nm〜1000nmであることが好ましい。
電圧印加部23は、蓄放熱部21および電圧発生部26と電気的に接続されている。なお、電気的に接続とは、例えば、電圧印加部23が蓄放熱部21や電圧発生部26に対して、電気が移動可能な状態で接続または接触していることを意味する。電気的な接続は、例えば、電圧印加部23が蓄放熱部21や電圧発生部26に対して、直接接触している場合や、他部材を介して間接的に接続している場合を含む。
電圧印加部23は、蓄放熱部21に電圧を印加するものである。本実施形態では、電圧印加部23は、第1電極(ゲート電極)31、および第2電極(負極)32の一対の電極を備えている。電圧印加部23を構成する第1電極31、および第2電極32について説明する。
第1電極31は、蓄放熱部21に絶縁部22を介して設けられている。絶縁部22を第1電極31と蓄放熱部21との間に設けることで、蓄放熱部21にジュール熱が生じて発熱することを防ぐことができるので、蓄放熱部21の温度を精度高く測定することができる。そのため、所望の温度やタイミングで、蓄放熱部21は蓄熱または放熱を安定して行うことができる。
第1電極31を形成する材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、白金、シリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、チタン、タンタル、クロム、モリブデン、またはグラファイトなどを挙げることができる。
第2電極32は、蓄放熱部21の上面に接触して設けられている。本実施形態では、一対の第2電極32が、蓄放熱部21の上面に、第1電極31を挟んで設けられている。第2電極32を形成する材料としては、第1電極31と同様の材料を用いることができ、第1電極31の材料と同じであってもよいし異なっていてもよい。第2電極32は、異なる材料を複数積層してもよい。なお、本実施形態では、第2電極32は蓄放熱部21上に蓄放熱部21と接触するように設けられているが、絶縁層を介して蓄放熱部21上に設けられていてもよい。
なお、一対の第2電極32は、図2に示すように、蓄放熱部21の第1電極31の設置面と同一面に設置しているが、絶縁部22が第1電極31と蓄放熱部21との間に介在していれば、第2電極32の位置は特に制限されない。例えば、一対の第2電極32は、蓄放熱部21を挟み込むように図2の上下方向に設置してもよいし、蓄放熱部21の側面に図2の左右方向に設置してもよい。
図1に示すように、検出部25は、蓄放熱部21と電気的または熱的に接続されている。
検出部25は、蓄放熱装置12内に備えられる蓄放熱部21の温度を測定する。検出部25としては、例えば、熱電対センサ、焦電型赤外線センサなどの温度センサを用いることができる。また、検出部25は、赤外線カメラなどの非接触型センサを用いることができる。さらに、検出部25は、蓄放熱部21の電気抵抗の変化から測定してもよい。検出部25は、蓄放熱部21の表面に設けてもよいし、蓄放熱部21と非接触として蓄放熱部21から離れた位置に設けてもよい。
電圧発生部26は、電圧印加部23と電気的に接続されている。電圧発生部26は、電源と、前記電源の電圧を所定の電圧まで昇圧する電圧発生回路とを備えている。電圧発生部26は、所定の電圧を発生させて、電圧印加部23に出力する。前記電源は、公知の電源を使用することができる。公知の電源として、例えば、電池や、商用電源などの外部電源が挙げられる。なお、外部電源を使用する際、外部電源はコンセントなどで接続される。本実施形態では、前記電源は、電子機器10の持ち運び性などの点から、電池を使用することが好ましい。
制御部27は、検出部25および電圧発生部26と電気的に接続されている。制御部27は、例えば、制御プログラムや各種記憶情報を格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて動作する演算手段とを含んでいる。制御部27は、蓄放熱部21に印加する電圧と、蓄放熱材料が金属‐絶縁体転移を起こす相転移温度との関係を、予め記憶手段に記憶しておく。制御部27は、検出部25で測定された蓄放熱部21の温度に基づいて、電圧発生部26に蓄放熱部21に印加する電圧の信号を出力し、電圧発生部26の動作を制御する。これにより、電圧発生部26は、電圧印加部23を介して、蓄放熱部21に印加する電圧を制御して、蓄放熱材料の相転移温度を変化させる。この結果、相転移温度は、所望の温度に調整される。
次に、本実施形態に係る蓄放熱装置12を用いた蓄放熱方法の一例について、図3を用いて説明する。なお、蓄放熱部21への電圧の印加の有無や電圧の大きさなどは、制御部27の指示に基づいて行われる。
図3に示すように、蓄放熱材料がまだ蓄熱しておらず、蓄放熱部21に電圧を加えていない状態で、蓄放熱材料の温度を上昇させる。そして、蓄放熱材料の温度が相転移温度αに達すると、蓄放熱材料は、絶縁状態から金属状態に相転移し、蓄熱を開始する。蓄放熱材料の温度が上昇して、蓄熱ピーク温度P1で蓄熱量は最大となる。蓄放熱材料の温度がさらに上昇して、所定の温度に達すると、蓄放熱材料の蓄熱は停止する。
蓄放熱材料が蓄熱した後、蓄放熱材料を放冷などして、蓄放熱材料の温度を低下させる。蓄放熱材料の温度が相転移温度αまで下降すると、蓄放熱材料は金属状態から絶縁状態に相転移して、放熱を開始する。蓄放熱材料の温度が低下して、放熱ピーク温度P2で放熱量は最大となる。蓄放熱材料の温度がさらに低下して、所定の温度まで下降すると、蓄放熱材料は放熱を停止する。
本実施形態では、蓄放熱材料が蓄熱した後、第1電極31および第2電極32の間に所定の範囲内の電圧を印加する。これにより、相転移温度αは相転移温度α'に低下し、蓄熱範囲Tstは蓄熱範囲Tst_vに低下し、放熱範囲Trdは放熱範囲Trd_vに低下する。
そのため、蓄放熱材料の温度が蓄熱範囲Tst内にある場合、蓄熱範囲Tstは蓄熱範囲Tst_vの範囲外にあるので、蓄放熱材料は新たに蓄熱しない。
その後、蓄放熱材料の温度が放熱範囲Trdまで低下しても、放熱範囲Trdは放熱範囲Trd_vの範囲外であるので、蓄放熱材料は放熱しない。そして、蓄放熱材料の温度が、さらに放熱範囲Trd_vまで低下すると、蓄放熱材料は放熱する。
一方、蓄放熱材料の温度が放熱範囲Trdにある場合、蓄放熱部21に所定の範囲内の電圧を印加することを停止する。これにより、蓄放熱材料の相転移温度α'は相転移温度αに上昇し、蓄熱範囲Tst_vは蓄熱範囲Tstに上昇し、放熱範囲Trd_vは放熱範囲Trdに上昇する。蓄放熱材料が放熱をする温度範囲は、放熱範囲Trdになるため、蓄放熱材料は放熱する。
よって、蓄放熱材料の放冷時に、蓄放熱材料の温度に応じて、蓄放熱部21に印加する電圧を制御することにより、蓄放熱材料の放熱を制御することができる。
また、蓄放熱材料が蓄熱しておらず、蓄放熱材料の温度が蓄熱範囲Tst_v内であるとする。この場合、蓄放熱部21に電圧を印加すると、蓄放熱材料の相転移温度αは相転移温度α'に下降する。蓄放熱材料が蓄熱する温度範囲は、蓄熱範囲Tst_v内になるので、蓄放熱材料は蓄熱する。
よって、蓄放熱材料の蓄熱時においても、蓄放熱材料の温度に応じて、蓄放熱部21に印加する電圧を制御することにより、蓄放熱材料の相転移温度αが低下して、蓄熱範囲Tstも低下するので、蓄放熱材料の蓄熱も制御することができる。
このように、本実施形態に係る蓄放熱装置12によれば、検出部25で測定された蓄放熱材料の温度に基づき、制御部27により、蓄放熱部21に印加する電圧を制御している。これにより、蓄放熱部21に用いられる蓄放熱材料の相転移温度を変化させることができるので、蓄放熱材料の蓄熱および放熱を制御することができる。よって、蓄放熱装置12は、蓄放熱部21において、所望の温度で蓄熱または放熱を容易に行わせることができる。
また、本実施形態に係る蓄放熱装置12は、蓄放熱部21上に絶縁部22を介して第1電極31を配置すると共に蓄放熱部21上に第2電極32を配置したトップゲート構造を形成している。第1電極31は、絶縁部22を介して蓄放熱部21上に配置して、電極同士の電気的な接続を防いでいる。そのため、本実施形態に係る蓄放熱装置12は、その大きさをより小型にすることができるので、電子機器10の微少領域の熱制御を有効に行うことができる。
電子機器10は、本実施形態に係る蓄放熱装置12を備えることで、所望の温度で蓄放熱を行うことができるので、安定して使用することができる。電子機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、携帯型音楽プレーヤー、または携帯型ゲーム機などが挙げられる。
なお、本実施形態では、蓄放熱部21は一つとしているが、これに限定されるものではなく、蓄放熱部21は複数設けられていてもよい。なお、蓄放熱装置が複数設けられる場合、本実施形態では、それぞれの蓄放熱装置同士が、熱的にも電気的にも接続されていない場合と、熱的に接続されているが、電気的に接続されていない場合との二通りがある。そのため、以下に、それぞれの場合に分けて、蓄放熱部21が複数設けられる場合の効果について説明する。
それぞれの蓄放熱装置同士が、熱的にも電気的にも接続されていない場合について説明する。図4に、四つの蓄放熱装置12−1〜12−4を設置した場合の一例を示す。なお、それぞれの第1電極31−1〜31−4および第2電極32−1〜32−4への電圧の印可は、個別に制御できるようにする。また、蓄放熱部21−1〜21−4は、それぞれ、異なる電子部品と熱的に接続されているものとする。図4に示すように、4つの蓄放熱装置12−1〜12−4が、直列に設けられている。これにより、それぞれの蓄放熱部21−1〜21−4の第1電極31−1〜31−4および第2電極32−1〜32−4に印加する電圧を個別に制御することができる。そのため、蓄放熱部21−1〜21−4の動作タイミングを個別に制御することができる。よって、蓄放熱部21−1〜21−4は、それぞれ、熱的に接続されている電子部品の状態に応じて、個別に蓄熱または放熱を制御することができる。
なお、図4では、4つの蓄放熱装置12−1〜12−4が、直列に設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、並列に設けられていてもよい。
次に、それぞれの蓄放熱装置同士が、熱的に接続されているが、電気的に接続されていない場合について説明する。この場合において、それぞれの蓄放熱装置12に電圧を印加するタイミングをずらして行う方法と、それぞれの蓄放熱装置12に電圧を印加するタイミングをずらしながら、さらに蓄放熱部21−1〜21−4に印加する電圧の大きさを制御する方法について説明する。
まず、それぞれの蓄放熱装置12−1〜12−4に電圧を印加するタイミングをずらして行う方法について説明する。この方法の場合、それぞれの蓄放熱装置12−1〜12−4に電圧を印加するタイミングをずらすことで、それぞれの蓄放熱装置12−1〜12−4ごとに蓄熱または放熱を行うができる。これにより、所望の方向に熱を輸送することができる。
例えば、図4に示すような直列に接続されている蓄放熱装置12−1〜12−4に電圧を印加するタイミングの一例について図5を用いて説明する。図5は、複数の蓄放熱装置の状態と時間との関係を説明する図である。なお、図5中、蓄放熱装置が、蓄熱状態である場合を「−1」、放熱状態である場合を「+1」、いずれの状態でもない場合を「0」とする。図5に示すように、初期状態(時間t0)である場合、全ての蓄放熱装置が蓄熱および放熱のいずれも行っていない状態(状態0)であるとする。
所定の時間経過後、時間t1において、蓄放熱装置12−2が蓄熱状態(−1)とする。そして、さらに所定の時間経過後、時間t2において、時間t1で蓄熱状態であった蓄放熱装置12−2を放熱状態(+1)にする。また、同時に、熱を輸送したい方向の隣接している蓄放熱装置12−3を蓄熱状態(−1)にする。これにより、蓄放熱装置12−2から蓄放熱装置12−3への熱移動に伴う熱ロスを無視すれば、ほぼ蓄放熱部21−2で蓄熱した分に相当する熱量(Q)を、蓄放熱装置12−3に輸送することができる。
そして、さらに所定の時間経過後、時間t3において、時間t1で蓄熱状態であった蓄放熱装置12−3を放熱状態(+1)にする。同時に、熱を輸送したい方向の隣接している蓄放熱装置12−4を蓄熱状態(−1)にする。これにより、蓄放熱装置12−3から蓄放熱装置12−4へ熱を輸送する場合と同様、ほぼ蓄放熱部21−3で蓄熱した分に相当する熱量(Q)を、蓄放熱装置12−4に輸送することができる。
このように、蓄放熱装置12−1〜12−4のいずれかで放熱された熱を、熱を輸送したい方向に隣接している蓄放熱装置12−1〜12−4のいずれかに蓄熱させる操作を、順次繰り返す。
よって、それぞれの蓄放熱部21−1〜21−4に電圧を印加するタイミングをずらして、蓄放熱装置12−1〜12−4にそれぞれ蓄熱または放熱を行わせることで、所望の方向に熱を輸送することができる。
例えば、高温側から低温側に向かって熱を輸送することになる場合、この方法は、蓄放熱装置12−1〜12−4に電子部品11を冷却する冷却装置としての機能を発揮させることができる。
次に、それぞれの蓄放熱装置12−1〜12−4に電圧を印加するタイミングをずらしながら、さらに蓄放熱部21−1〜21−4に印加する電圧の大きさを制御する方法について説明する。この方法の場合、例えば、蓄放熱部21−1〜21−4に印加する電圧の大きさを制御して、蓄放熱部21−1〜21−4に用いられる蓄放熱材料の相転移温度を放熱する側に向かって徐々に高くなるように制御する。これにより、蓄放熱装置12−1〜12−4は、電子部品11の熱を輸送するヒートパイプとしての機能を発揮させることができると共に、電子部品11を冷却させる冷却装置としての機能を発揮させることができる。
なお、図5では、4つの蓄放熱装置12−1〜12−4を直列に設けて、直線状(一次元的)に熱を輸送する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の蓄放熱装置を平面的(二次元的)接続して平面状に熱輸送でもよいし、複数の蓄放熱装置を立体的(三次元的)に接続して熱輸送してもよい。
なお、本実施形態においては、蓄放熱装置12が制御部27を備える場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御部27を備えず、検出部25の測定結果に基づいて、電圧発生部26を手動で制御するようにしてもよい。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例により限定されるものではない。
<蓄放熱層の作製>
二酸化バナジウム(VO2)粉末(株式会社高純度化学研究所製)を、Φ5mmのZrO2ボールを用いた遊星ボールミルにより、400rpmで1時間粉砕し、微粉末を得た。そして、得られた微粉末をΦ8mmのダイスに入れた後、パルス通電焼結法を用いて、真空雰囲気で、1GPaの加圧下で、焼結温度を500℃として、5分間焼結した。これにより、厚さが約1mm、相対密度が97%程度の蓄放熱材料(焼結体)からなる蓄放熱層(蓄放熱部)を得た。
(結晶性の確認)
得られた蓄放熱層の蓄放熱材料の結晶を同定するため、XRD装置(RINT2000、リガク社製)を用いて、XRD測定を行った。測定により得られたX線回折スペクトルから、蓄放熱層はVO2の単相で形成されていることが確認された。X線回折測定には、X線源としてCu−Kα線を用いた。X線回折の測定条件は、電圧40kV、電流200mAで、回折角(2θ)=20°〜80°の範囲を、走査速度1deg/secとした。なお、VO2の主なXRDピーク(単斜晶)は、27.9°、37.1°、55.3°、55.6°、および57.6°である。
(蓄熱および放熱特性の確認)
得られた蓄放熱層の蓄熱および放熱特性を示差走査熱量計(DSC)により測定した。昇温時には、1分間に7℃の割合で、50℃から80℃まで温度を上げ(7℃/min)、降温時には、1分間に7℃の割合で80℃から50℃まで温度を下げた(7℃/min)。蓄放熱層の示差走査熱量の測定結果を図6に示す。図6に示すように、昇温時には、約67℃に吸熱のピーク(蓄熱ピーク)が観察された。一方、降温時には、約62℃に放熱のピーク(放熱ピーク)が観測された。
<蓄放熱装置の作製>
[実施例1]
得られた蓄放熱層の表面に、有機金属分解(MOD)塗布型材料(BT−06、成分BaTiO3、株式会社高純度化学研究所製)をディップコート法により、引き上げ速度を1mm/sとして、塗布した。これにより、蓄放熱層の表面にMOD塗布型材料の液膜を形成した。その後、液膜が形成された蓄放熱層を、300℃で熱処理して、蓄放熱層の表面に、BaTiO3の絶縁膜を形成した。その後、絶縁膜の表面に白金からなるゲート電極および負極を形成し、銅線を銀ペーストにより両電極に接続した。これにより、蓄放熱装置1を得た。
(絶縁性の確認)
なお、絶縁膜で被覆された蓄放熱層の抵抗を確認した。その結果、絶縁膜で被覆される前の蓄放熱層の抵抗は数Ωであったが、絶縁膜で被覆された蓄放熱層の抵抗は数MΩ以上であることが確認された。
[実施例2]
得られた蓄放熱層の表面に、フッ素樹脂粘着テープ(アズフロンテープASF−110FR、アズワン社製)により絶縁膜を形成し、さらにその絶縁膜にΦ5mmの穴を形成した。穴は、蓄放熱層の表面まで貫通させた。そして、前記穴に、イオン液体(N,N−ジエチル-N−メチル-N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、関東化学社製)を、ピペットにより滴下した。その後、チタン製の金属電極により、前記穴を被覆した。このチタン製の金属電極をゲート電極とした。得られた絶縁膜の表面に白金からなる負極を形成した。その後、銅線を銀ペーストによりゲート電極および負極に接続した。これにより、蓄放熱装置2を得た。
(絶縁性の確認)
なお、絶縁膜で被覆された蓄放熱層の抵抗を確認した結果、絶縁膜で被覆された蓄放熱層の抵抗は、10MΩ以上であることが確認された。
[実施例3]
得られた蓄放熱層の表面に、パルスレーザー蒸着法により、成膜時の試料温度を室温とし、5Paの酸素雰囲気として、膜厚が1μm程度のカルシウムアルミネート(CaO・6Al23)の絶縁膜を形成した。その後、得られた絶縁膜の表面に白金からなるゲート電極および負極を形成した。その後、銅線を銀ペーストにより両電極に接続した。これにより、蓄放熱装置3を得た。
(絶縁性の確認)
なお、絶縁膜で被覆された蓄放熱層の抵抗を確認した結果、絶縁膜で被覆された蓄放熱層の抵抗は、1MΩ以上であることが確認された。
(結晶性の確認)
得られた絶縁膜をXRD装置(RINT2000、リガク社製)を用いて、XRD測定を行った。測定により得られたX線回折スペクトルから、絶縁膜は非晶質であることが確認された。
<評価>
実施例1で作製した蓄放熱装置1の蓄熱特性および放熱特性を評価した。ゲート電圧は、0V、0.5V、1.0V、または1.5Vとして行った。ゲート電圧を0Vとして行った試験例を比較例1とし、ゲート電圧を0.5Vとして行った試験例を実施例1−1とし、ゲート電圧を1.0Vとして行った試験例を実施例1−2とし、ゲート電圧を1.5Vとして行った試験例を実施例1−3とした。
(蓄熱特性の評価)
実施例1で作製した蓄放熱装置1を示差熱分析(DTA)装置を用いて、蓄放熱装置1の蓄熱ピーク温度を測定した。蓄放熱装置1をDTA装置内の一方のステージ上に設置し、基準物質である酸化アルミニウムをDTA装置内の他方のステージ上に設置した。その後、蓄放熱装置1および酸化アルミニウムを加熱速度8℃/分で昇温し、蓄放熱装置1の蓄放熱層および酸化アルミニウムの温度を同時に測定した。蓄放熱装置1の蓄放熱層および酸化アルミニウムの温度は、それぞれ、赤外線カメラにより測定した。蓄放熱装置1内の蓄放熱層と酸化アルミニウムとの温度差をDTA信号とし、DTA曲線より、蓄放熱層の蓄熱ピーク温度を求めた。蓄放熱装置1の加熱時のDTAの測定結果を図7に示す。
(蓄熱後の放熱特性の評価)
実施例1で作製した蓄放熱装置1をDTA装置を用いて、蓄放熱装置1の放熱ピーク温度を測定した。実施例1のDTA装置を用いて、実施例1で作製した蓄放熱装置1の蓄放熱層を予め80℃まで昇温し、蓄放熱装置1内の蓄放熱層に蓄熱させた。その後、蓄放熱層を80℃から自然冷却して降温させながら、蓄放熱装置1内の蓄放熱層と基準物質である酸化アルミニウムとの温度を、それぞれ測定した。蓄放熱装置1の蓄放熱層および酸化アルミニウムの温度は、それぞれ、赤外線カメラにより測定した。蓄放熱装置1内の蓄放熱層と酸化アルミニウムとの温度差をDTA信号とし、DTA曲線より、蓄放熱層の放熱ピーク温度を求めた。蓄放熱装置1の放熱時のDTAの測定結果を図8に示す。
図7および図8に示すように、蓄放熱装置1のゲート電極に印加すると、蓄放熱層の蓄熱ピーク温度および放熱ピーク温度は、低下することが確認された。また、ゲート電極に印加する電圧が大きくなるほど、蓄熱ピーク温度および放熱ピーク温度は、それぞれ、低温側へシフトすることが確認された。よって、本実施形態に係る蓄放熱装置は、蓄放熱層に印加される電圧の大きさを制御することで、転移温度を制御することができるので、蓄放熱層の蓄熱及び放熱を所定の温度で容易に行うことができるといえる。
10 電子機器
11 電子部品(熱源)
12、12−1〜12−4 蓄放熱装置
13 放熱部
21、21−1〜21−4 蓄放熱部
22、22−1〜22−4 絶縁部
23 電圧印加部
25 検出部
26 電圧発生部
27 制御部
31、31−1〜31−4 第1電極(ゲート電極)
32、32−1〜32−4 第2電極(負極)

Claims (8)

  1. 熱源から熱を吸収すると共に、取り込んだ熱を外部に放出する蓄放熱部を備える蓄放熱装置において、
    前記蓄放熱部に電圧を印加する電圧印加部を有し、
    前記蓄放熱部は、金属‐絶縁体転移により、蓄熱または放熱を行う蓄放熱材料を備え、
    前記蓄放熱部に印加される電圧を制御して、前記蓄放熱材料が金属‐絶縁体転移を生じる相転移温度を変化させることを特徴とする蓄放熱装置。
  2. 前記蓄放熱部の温度を測定する検出部と、
    前記電圧印加部に出力する電圧を発生させる電圧発生部と、
    前記蓄放熱部の温度に基づいて、前記電圧発生部の動作を制御する制御部と、
    を有する請求項1に記載の蓄放熱装置。
  3. 前記蓄放熱部の一部に設けられる絶縁部を有し、
    前記電圧印加部は、前記蓄放熱部に前記絶縁部を介して設けられる第1電極と、前記蓄放熱部の一部に設けられる第2電極とを備え、
    前記蓄放熱装置は、前記蓄放熱材料、前記絶縁部、前記第1電極、および前記第2電極によりトップゲート構造を形成する請求項1または2に記載の蓄放熱装置。
  4. 前記蓄放熱部に印加される電圧は、0Vよりも大きく、50V以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄放熱装置。
  5. 前記蓄放熱部は、前記蓄放熱材料を含んで形成された蓄放熱層であり、
    前記蓄放熱部の平均厚さが、10μm〜1000μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄放熱装置。
  6. 前記蓄放熱部、および前記蓄放熱部に熱的に接続されている前記電圧印加部が複数設けられ、
    それぞれの前記蓄放熱部に印加される電圧が個別に制御される請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄放熱装置。
  7. 熱源と、
    請求項1〜6のいずれか一つの蓄放熱装置と、
    を有する電子機器。
  8. 熱源から熱を吸収すると共に、取り込んだ熱を外部に放出する蓄放熱部を備える蓄放熱装置を用いた蓄放熱方法において、
    前記蓄放熱装置は、前記蓄放熱部に電圧を印加する電圧印加部を有し、
    前記蓄放熱部は、金属−絶縁体転移により、蓄熱または放熱を行う蓄放熱材料を備え、
    前記蓄放熱部に印加される電圧を制御して、前記蓄放熱材料が金属‐絶縁体転移を生じる相転移温度を変化させることを特徴とする蓄放熱方法。
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