JP6874238B2 - 光学系設計支援システム、光学系設計支援方法および光学系設計支援プログラム - Google Patents

光学系設計支援システム、光学系設計支援方法および光学系設計支援プログラム Download PDF

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Description

本発明は、光学系設計支援システム、光学系設計支援方法および光学系設計支援プログラムに関する。
望遠鏡などの光学系を設計する際には、迷光が発生しないように設計する必要がある。ここで、「迷光」とは、光学設計において潜在的に起こるものであって、設計光路に従わない希少な非干渉性光線に起因して起こる光である。すなわち、非正規の経路(光路)で受光面に入ってくる光線は迷光と呼ばれ、像のコントラスト低下やノイズの原因となる。
しかしながら、非干渉性光線が複雑で大きな系において起こる条件は、非常に複雑であって、たとえ専門家が広範囲にわたる経験と優秀な直観とを持っていたとしても、迷光は稀に起こるものなので、専門家はときたまそれらを見落としてしまう。この事実は、設計されたシステムの性能低下をもたらすだけでなく、信用性と信頼性とを減少させてしまう。
一方、光学シミュレーションによって全ての可能な条件を適用して、非常に希少な条件を全て自動的に探索することは、実際問題として困難である。
迷光を解析するためのシミュレーション手法が知られている。例えば、特許文献1は、1本の光線を透過光線と反射光線とに分割し、その両方の光線を追跡することにより迷光を扱えるようにして、より正確な光線追跡法による「光学シミュレーション装置」を実現している。
特開平06−213769号公報
しかしながら、特許文献1は、迷光という稀な事象を効率よく発見するために、光学シミュレーション装置への入力となるパラメータ(事象)の組み合わせを決定する工夫については何ら示唆も開示もしていない。
本発明の目的は、上述した課題を解決する、光学系設計支援システム、光学系設計支援方法および光学系設計支援プログラムを提供することにある。
本発明による光学系設計支援システムは、設計した光学系において迷光が発生する可能性を発見する光学系設計支援システムであって、パラメータを決定するパラメータ決定部と;前記決定したパラメータを使用して、前記設計した光学系における光線の軌跡を算出する軌跡算出部と;前記算出した軌跡と、理想的な光学系において前記パラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、前記パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出する評価値算出部と;を備え、前記パラメータ決定部は、過去の軌跡の算出に使用したパラメータおよび前記パラメータに対して算出した評価値に基づいて、前記評価値が高いほど前記パラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定する。
本発明の光学系設計支援方法は、設計した光学系において迷光が発生する可能性を発見する光学系設計支援方法であって、パラメータを決定することと;前記決定したパラメータを使用して、前記設計した光学系における光線の軌跡を算出することと;前記算出した軌跡と、理想的な光学系において前記パラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、前記パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出することと;を含み、前記パラメータを決定することは、過去の軌跡の算出に使用したパラメータおよび前記パラメータに対して算出した評価値に基づいて、前記評価値が高いほど前記パラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定する。
本発明の光学系設計支援プログラムは、コンピュータに、設計した光学系において迷光が発生する可能性を発見させる光学系設計支援プログラムであって、前記コンピュータに、パラメータを決定する決定手順と;前記決定したパラメータを使用して、前記設計した光学系における光線の軌跡を算出する軌跡算出手順と;前記算出した軌跡と、理想的な光学系において前記パラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、前記パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出する評価値算出手順と;を実行させ、前記決定手順は、前記コンピュータに、過去の軌跡の算出に使用したパラメータおよび前記パラメータに対して算出した評価値に基づいて、前記評価値が高いほど前記パラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定させる。
本発明によれば、光学系における極めて稀な迷光を、自動的に確実に解析できる。
本発明が適用される望遠鏡の設計した光学系の概略構成を示す図である。 本発明において使用される、Multicanonical MCMC法を説明するための説明図である。 図1に示した設計した光学系の受光面での事象Xを規定する4つ変数を示す説明図である。 4次元パラメータ空間における迷光の探索の結果を示す図である。 Multicanonical MCMC法における致命的な度合い(評価関数)C(X)上のサンプルされた事象を示すヒストグラムの一例を示す図である。 希少事象探索のために特殊化されたMulticanonical MCMC法を説明するための図である。 標準的なMulticanonical MCMC法(sm−MCMC)と提案したFocused Multicanonical MCMC法(fm−MCMC)との間のヒストグラム更新回数に対して、迷光を引き起こす得られた光線の数の比較を示す図である。 本発明の第1の実施例による光学系設計支援システムを示すブロック図である。 図8に示した光学系設計支援システム使用される、パラメータ決定部の構成を詳細に示すブロック図である。 本発明の第2の実施例による光学系設計支援システムを示すブロック図である。 図10に示した光学系設計支援システム使用される、パラメータ決定部の構成を詳細に示すブロック図である。 本発明の第3の実施例による希少事象解析装置を示すブロックである。 図12に示した希少事象解析装置に使用される、パラメータ決定部の構成を詳細に示すブロック図である。
まず、本発明の理解を容易にするために、本明細書中で使用する用語の意味に関して簡略的に説明する。
マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法:Markov chain Monte Carlo methods)とは、求める確率分布を均衡分布として持つマルコフ連鎖を作成することをもとに、確率分布のサンプリングを行うアルゴリズムの総称である。換言すれば、MCMC法は、その名の示す通り「マルコフ連鎖」と「モンテカルロ法」とを組み合わせた方法である。具体的には、MCMC法は、マルコフ連鎖(Markov chain)と呼ばれる確率過程の性質を利用して確率分布からサンプリングを行い、様々な計算を行う方法である。
マルチカノニカル法(Multicanonical algorithm)とは、MCMC法におけるサンプリング法の一つで、メトロポリス・ヘイスティング法により任意の形を持つ被積分関数を積分するときに用いられる。マルチカノニカル法では、サンプリングを状態密度の逆数に従って行う。マルチカノニカル法においては、状態密度はあらかじめワン・ランダウ法などの他の方法により計算しておく。
メトロポリス・ヘイスティング法(もしくはM−Hアルゴリズム)(Metropolis-Hastings algorithm)は、直接サンプリングするのが難しい確率分布から統計標本の配列を生成するのに用いられるマルコフ連鎖を構築するのに用いられる手法である。この配列は、MCMC法において、目標分布の近似(ヒストグラム)として用いられたり、期待値のような積分計算を必要とするものに用いられる。
ワン・ランダウ法(Wang and Landau algorithm)とは、系の状態密度を計算するために用いられるモンテカルロ法のひとつである。ワン・ランダウ法では状態密度の計算に必要な、系の取り得る全ての状態のエネルギを迅速に計算するため、非マルコフ連鎖ランダムウォークを行なう。ワン・ランダウ法は、マルチカノカル法の実行に必要となる、状態密度を計算するために重要である。
本発明の要旨の一つは、望遠鏡のような光学系の設計段階における迷光(希少事象)の発見という用途に、Multicanonical MCMC法を適用したことである。
しかしながら、両者を組み合わせることは次の理由により容易ではない。
何故なら、Multicanonical MCMC法は、長い尻尾を持つ分布に従う乱数を生成するためのいくつかの科学・数学分野においては使用されているが、工学分野における長い尻尾を一般に持たない希少事象解析には使用されていないからである。
また、Multicanonical MCMC法は、統計数学、物理、および化学における種々の分野において応用されてきた。例えば、Multicanonical MCMC法は、ランダム行列、ランダムグラフ、カオス動力学の非常に希少な実例をサンプリングするために使用された。より応用向けの側面において、Multicanonical MCMC法は、遠隔通信における誤り訂正符号の理想的な性能を理論的に評価するための希少雑音をサンプリングするために使用された。しかしながら、実用的な現実世界問題のための、Multicanonical MCMC法の適用可能性とスケーラビリティは、論証されていないからである。
一般に、迷光解析のためのシミュレーション手法では、逆伝播により設計された望遠鏡の受光面から光路(光線)のシミュレーションをスタートし、正規の入光口以外の場所に終着した光路(光線)があった場合(すなわち、正しい光路以外の光路があった場合)に、その光路(光線)を迷光の可能性があると判断する。
受光面は、水平方向および垂直方向の2次元座標の点(x、y)で表され、各点に対して光路(光線)が緯度方向および経度方向の角度α、βで表される。すなわち、一本の光路(光線)は、4つの変数(x、y、α、β)から成る一組のパラメータ値で表されることになる。換言すれば、各光路(光線)は、4つの変数(一組のパラメータ値)で規定される(4つのパラメータを座標とする4次元空間上のベクトルで規定される)。そのため、迷光を探索するには、上記4つの変数(一組のパラメータ値)を順次変えながら、膨大な数の光路(光線)に対してシミュレーションを行うことが必要となる。
[発明の概要の説明]
本発明者らは、この統計的サンプリング手法を、信用できかつ信頼できる工学設計のために、非常に希少で致命的な事象の探索に応用する。本発明の提案は次のように要約される。
本発明者らは、Multicanonical MCMC法を使用して目的系における非常に希少で致命的な事象を自動的にかつ確実に解析する新規な手法を提案する。
本発明者らは、また、希少で致命的な事象のより効率的な探索を達成する目的のために、特に、Multicanonical MCMC法の拡張を提案する。
本発明者らは、望遠鏡の実スケールの設計を使用した実験において、本発明者らの方法の優れた能力を確認し、本発明者らの解析は、10のシミュレーション試験のオーダ内で、成功のうちに全ての迷光を発見できた。これは、公知のグリッドサーチに基づくシミュレーションによって必要な試験の数よりも、5桁も少ない大きさである。ここで、「グリッドサーチ」とは、パラメータの組み合わせを、総当たりで探して探索したい事象(本迷光解析の例では迷光)を発生させるパラメータを探索する方法をいう。
[迷光用の探索のための解析]
迷光解析の目的は、望まれない光線が撮像素子の受光面に伝搬したかどうか、その強度が画像における雑音を引き起こすのに十分に大きいかどうかを決定することである。例えば、図1に示される望遠鏡の光学系10は、4つの鏡を持つ。
図1において、望遠鏡の光学系10は、第1の鏡11と、第2の鏡12と、第3の鏡13と、平面鏡14と、受光面15とを備える。
図1において、実線16は、画像を形成するために受光面15上に焦点を合わすように設計された正規光の光路を表す。他方、破線17は、受光面15に非正規の光路で到達した迷光の光路を表す。
迷光解析の目的は、設計された望遠鏡において起こる、正規光の光路以外をたどって無視できない光量で受光面に達する光路を探索することである。
迷光解析のためのツールは、2つのモンテカルロ原理の1つを使用することによって主に進展された。簡単な手法は、光線が与えられた光源においてあるランダムな位置からランダムな角度で出射される、前方伝播(順伝播)原理を使用することであり、望遠鏡の受光面での到達を評価する。この原理は、シミュレートされるべき出射の広い範囲の位置と角度とを必要とする。何故なら、光源は潜在的に望遠鏡を囲んでいるからである。したがって、前方伝播(順伝播)を使用する解析は、一般的には効率が悪くなる傾向がある。この困難さのために、迷光を解析するための大抵のツールは、光線が望遠鏡の受光面上のランダムな位置からランダムな角度で仮想的に出射される、後方伝播(逆伝播)原理を使用し、望遠鏡の外部へのそれらの存在をチェックする。分光計のような光の入出力特性が非対称な光学変換装置を除いて、望遠鏡の全ての光学要素は、光線の入射および出射に関して対称的である。したがって、後方伝播(逆伝播)は、前方伝播(順伝播)と同一の光路を提供する。後者の原理は、前者よりも効率的である。何故なら、光が受光面から放出される角度と位置の範囲は、ほとんどの場合において制限されるからである。
迷光の発生確率が非常に低い場合、後方伝播(逆伝播)原理を使用するツールの効率は、迷光のしらみつぶし探索を可能にするには不十分である。したがって、これらのツールは、専門家によって迷光の発生に向けて発見的に受光面に達する幾つかの光路をシミュレートするために使用される。専門家の知識とこのツールとを組み合わせた合成法を提案して、迷光解析の信頼性と効率性とを増加することを試みている。しかしながら、人間の専門家によって行われる解析は、専門家のスキルと知識とに依存し、ある場合にはすべての迷光を探索できない。何故なら、迷光の発生する条件は、非常に複雑で、稀に起こるからである。加えて、人間の解析は、熟練した専門家の制限された有用性を扱えない。
[工学設計のための希少で致命的な探索]
多くの工学設計のタスクにおいて与えられる、致命的な結果を引き起こす希少事象を発見するには、次の特徴が必要である。
(1)多数の種類の希少で致命的な事象が、不連続かつ非線形と複雑性とによって特徴づけられる実世界システムにおいて効率的に探索される。
(2)暗黙に与えられかつ非常に低い発生に従う事象が、効率的に探索される。
(3)事象発生の確率が、定量的に評価される。
3番目の特徴を光学設計タスクでは無視することができない。何故なら、致命的な事象が発生する確率の定量的な評価は、工学設計タスクにおいてしばしば要求されるからである。事象の発生確率が非常に低い場合、光学設計タスクでは無視することがありうる。
(1)に関して、探索空間において目標関数のある特定の特徴を仮定する、凸状最適化のような方法は、この問題に適用できない。何故なら、特徴の種類が未知であるからである。この観点において、進化的最適化フレームワーク、確率的最適化フレームワーク、情報科学的最適化フレームワークが、迷光条件を決定するための候補となる。何故なら、それらは、多数の局所極大を探索できるからである。例えば、遺伝的アルゴリズムやシミュレーテッド・アニーリングが代表的なアルゴリズムであり、しばしば、種々の問題において多数の局所極大を見つけるためによく実行される。何故なら、これらのアルゴリズムは、理想的には、根本的な適合特徴についての何らの仮定も必要としないからである。近年、ベイズ最適化が、種々の工学応用においてしばしば使用されている。これは、未知で根本的な適合特徴が、ガウス過程のようないくつかの原理によって生成された代理のモデルによって良く近似されることを仮定しており、特徴推定の最も高い不確かさの点を評価することによって、特徴の局所極大を探す。この手法は、目的とする特徴関数が、評価するために費用が高く、微分不可能で、非凸で、かつ多峰性があるとき、効果的でかつ効率的である。
しかしながら、これらフレームワークの探索原理がご都合主義で、確率的であるために、それらは、その非常に低い未知の確率のために不測の出来事によって見つけられる必要がある、高く分離しかつ高く局所化された極大を容易に見落としてしまう。加えて、最適化手法は、一般的に、システムにおける希少で致命的な事象の発生の確率についての情報を提供しない。何故なら、それらはそれらの探索機構において事象発生の確率分布を評価しないからである。したがって、これらの手法は、要求(2)および(3)を満足しない。
対照的に、次に述べる確率的サンプリングフレームワークは、また根本的な適合特徴についてなんら仮定を必要とないが、その致命的な度合いに従って探索空間を重み付けることによって、目的のかつ未知の希少で致命的な事象に焦点を当てることによって、探索を効率的に達成する。更に、それは、探索の間じゅうそれらの確率分布を保存することによって希少で致命的な事象の公平な確率情報を効率的に獲得する。従って、このフレームワークは、3つの要求の全てを満たすのに十分である。
[希少で致命的な事象の効率的な確率論的なサンプリング]
ヒストグラム法、Multicanonical MCMC法、およびレプリカ交換MCMC法が、希少で致命的な事象を含む事象を効率的に生成するための確率論的なサンプリングの代表的な方法である。これらの方法は、主に、与えられた確率分布を正確に保存するそれらの重みを持つ種々の特徴によって特徴づけられた事象が解析されるのを必要とする、統計物理の分野において開発されてきた。
ヒストグラム法は、簡単に、それらの確率密度関数の逆数に従って、それらの確率に独立な分布を持つ事象から、事象をサンプリングする。しかしながら、その方法は、先行知識として明示的に知られている確率密度関数を必要とし、探索効率のために少ない次元のみを持つ空間上で支持される。
Multicanonical MCMC法は、単一のマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を使用し、単一のMCMC法は、できるかぎり高い次元空間上の黙示的に与えられた確率分布から順次事象を探し出す。サンプリング工程を繰り返している間、Multicanonical MCMC法は、サンプルされた事象の重み関数を反復して更新して、それらが致命的な度合いに関して一様に分布されるのを保証する。従って、Multicanonical MCMC法は、何らの片寄りなく、それらの確率分布を正確に維持するそれらの重みを持って、目標とする希少で致命的な事象を含む種々の事象を効率的に列挙することになる。
レプリカ交換MCMC法は、層状にMCMC法を並列に用いるが、parallel tempering又はMetropolis-coupled MCMCとしてもまた知られている。各MCMC法は、暗黙に与えられた確率分布に従い、最上層のMCMC法は、対象の確率分布に従い、深層のMCMC法は、より平坦な分布に従う。この技法は、それの詳細釣り合いを満たしている間、隣接する層において他の事象を持つ1つの層において生成された事象を、順次およびランダムに交換する。上位層が、それの分布を乱すことなく、低い層からのより平坦な分布に従う事象を導入するので、対象の確率分布に従う最上MCMC法における希少で致命的な事象を含む種々の事象を取得する。この交換メカニズムは、Multicanonical MCMC法よりも希少で致命的な事象をより効率的に発生することができるけれども、個々のMCMC法の各工程が生成された事象の致命的な度合いをチェックするためのシミュレーションを含む、並列MCMC法の為に、多大の計算時間がかかる。
ずっと、これらの技法は、統計数学、物理、および化学における種々の分野において応用されてきた。例えば、それらは、ランダム行列、ランダムグラフ、カオス動力学の非常に希少な実例をサンプリングするために使用された。より応用向けの側面において、これらの技法は、遠隔通信における誤り訂正符号の理想的な性能を理論的に評価するための希少雑音をサンプリングするために使用された。しかしながら、実用的な現実世界問題のためのこれらの技法の適用可能性とスケーラビリティは、論証されていない。
本発明者らが提案する、高い信頼性を要求する工業設計のための非常に希少で致命的な事象探索の手法は、Multicanonical MCMC法を使用し、この研究は、特に、非常に複雑で不連続な特徴を持つ、望遠鏡の迷光解析に適用する。この手法は、モンテカルロシミュレータによって生成された光学事象の確率分布が明白には知られておらず、かつシミュレータによる事象の生成が高価であるような問題に適している。
[Multicanonical MCMC法]
本発明者らは、最初に、提案分布に基づいて重みを適用することによって、事象を探し出すための重点サンプリングの使用について説明する。引き続いて、希少で致命的な事象を含む事象を効率的にサンプルためのマルチカノニカル重みを持つMCMCサンプリングを説明する。更に、Multicanonical MCMC法における適切な提案分布を得るアルゴリズムを説明する。
離散事象空間Sを与えたとき、X∈Sは事象である。事象空間Sは離散でも連続でもあってよいことに注意されたい。事象空間Sが連続であるとき、事象空間Sの部分集合上の総和Σは、以後∫によって書き直される。さらに、事象Xが起こる確率分布は、P(X)で与えられる。確率分布P(X)は、目的が人工システムである多くの工学設計問題において明示的に与えられるが、確率分布P(X)は、自然の物を伴う多くの問題において過去に観察された記録によって暗黙に与えられる。本発明者らは、致命的な事象R={X∈S|Cth≦C(X)}の集合を定義する。ここで、
Figure 0006874238
およびCth∈[Cmin,Cmax]は、事象の致命的な度合いおよび致命的な事象を規定するために与えられたその閾値レベル(以下、単に「閾値」とも呼ぶ。)である。ここで、本発明者らは、[Cmin,Cmax]上での値域C、i=1、・・・、Bから成るヒストグラムを使用する。ここで、値域Cの高さは、次式で表される。
Figure 0006874238
与えられた事象Xに対して、P(C(X))はP(C)を表す。ここで、致命的な度合いC(X)∈Cである。致命的な度合いは評価関数やエネルギ関数とも呼ばれる。また、値域Cは階級とも呼ばれ、値域Cの高さ(事象の個数)は度数とも呼ばれる。
事象Xが非常に低い確率で発生する確率分布P(X)を持つ致命的な事象であると仮定し、確率分布P(X)から直接探し出すことによっては、希少な事象Xをほとんど得ることができない。したがって、目的は、与えられた確率分布P(X)の下で閾値Cth≦C(X)を満足する希少で致命的な事象を効率的に導き出すことと、全体の希少で致命的な事象Rの確率:P(R)=P(Cth≦C(C))の良好な推定を得ることである。
[重点サンプリング]
与えられた確率分布P(X)に対して致命的な事象を効率的に生成するために、本発明者らは、事象がRにおいてマルチカノニカル重みG(C(X))によって人工的に引き上げられた提案分布Q(X)∝G(C(X))P(X)からサンプルされる、重点サンプリングを適用する。重点サンプリングとは、重みが付いたサンプルを用いて期待値を求める方法のことをいう。ここで、本発明者らは、確率分布P(X)≠0のときはいつでも提案分布Q(X)≠0であると仮定している。
[マルチカノニカル重みを持つMCMCサンプリング]
適切な提案分布Q(X)の選択は、重点サンプリングにおける希少で致命的な事象を含む事象の効率的な発生の鍵である。Multicanonical MCMC法は、近似的に次の数3および数4で表される提案分布Q(X)を選択する。
Figure 0006874238
Figure 0006874238
ここで、cは定数であり、各C、i=1、・・・、Bに対応するG(C(X))はマルチカノニカル重みとして知られている。
数4を数3に代入することによって、すべての値域C、i=1、・・・、Bに対して{X∈S|C(X)∈C}上でそれを重要視しないと、数5が得られる。
Figure 0006874238
ここで、Z=ΣP(X)/P(C(X))である。従って、Multicanonical MCMC法は、図2に示すように、領域[Cmin、Cmax]上の一様な分布でサンプルすることによってR={X∈S|Cth≦C(X)}における希少で致命的な事象のサンプルを多く得る。事象Xが一般に高次元のベクトルであるので、MCMC法は、提案分布Q(X)から事象Xを効率的にサンプルするために使用される。
[提案分布の反復推定]
前述したように、確率分布P(X)が与えられるが、確率分布P(X)は、多くの実際的な問題において直接には与えられず、したがって、数4は、マルチカノニカル重みG(C(X))を得るために直接的に適用されえない。したがって、本発明者らは、すべてのMCMCステップにおいて反復修正を使用してマルチカノニカル重みG(C(X))を効率的に推定するために、ワン・ランダウ法を適用する。
鍵となるアイデアは、各値域C、i=1、・・・、BでG(C(X))を徐々に修正して、対応する提案分布Q(C(X))が区間[Cmin、Cmax]上で一様となることを保証することである。最も簡単なアルゴリズムは、すべてのマルチカノニカル重みG(C)が、十分に多数のサンプルされた事象が値域において蓄積された後に、更新される、エントロピック・サンプリング法である。対照的に、ワン・ランダウ法は、サンプル事象がMCMC法によって値域において生成された後に、直接的に値域を更新する。この頻繁な更新は、より効率的に、目的のマルチカノニカル重みG(C(X))を推定する。
ワン・ランダウ法は、次のように働く。MCMCプロセスの各ステップの後に、もし生成された事象が値域Cに属するなら、対応するマルチカノニカル重みG(C(X))は、一定係数0<F<1によって乗算される。この更新は、ヒストグラムがほとんど平坦になるまで繰り返される。この点で、全てのヒストグラム値域が0にリセットされ、Fは√Fに修正される。それから、マルチカノニカル重みG(C)の上記更新は、ヒストグラムが十分に平坦になるまで、再び繰り返される。最後に、マルチカノニカル重みG(C)、i=1、・・・、Bを取得し、それは十分に一様な提案分布Q(C(X))を保証する。
[希少で致命的な事象の確率]
提案分布Q(X)から探し出されたサンプルX、i=1、・・・、Mを与えると、致命的な事象の集合Rの確率が次の数6として与えられる。
Figure 0006874238
ここで、I(Cth≦C(X))は指示関数であって、次の数7として規定される。
Figure 0006874238
この数式は計算するのに不便である。何故なら、提案分布Q(X)は、実際問題として、G(C(X))P(X)から容易に取得されないからである。従って、本発明者らは、それを数3および数4で置換することによってうまく処理し、マルチカノニカル重みG(C(X))のみから成る次の数8の数式を導出して、容易に計算する。
Figure 0006874238
ここで、次の数9の関連が使用される。
Figure 0006874238
[希少迷光探索のための方法論]
本発明者らは、望遠鏡の工学設計のためのシミュレーションを基にした希少迷光探索の新しい方法論を提案する。この方法論は、上記Multicanonical MCMC法と目標とする望遠鏡のシミュレータとから成る。
本発明者らは、事象Xを、目標系の動作条件を提供するベクトルによって定義する。事象Xは、与えられた確率分布P(X)に従うと仮定する。MCMC法は、マルチカノニカル重みG(C)の下で確率分布P(X)と初期に同一な提案分布Q(X)に従う事象Xを生成するために使用される。ここで、i=1、・・・、Bで、全てのヒストグラムの階級で一様(ビン幅がすべて一様)である。それから、目的系Sim(X)のシミュレーションは、入力動作条件として生成された事象Xを使用して導かれ、入力事象Xからのシミュレーションの結果の状況における致命的な度合いは、ヒューリスティックに与えられた測度(評価関数)C(X)によって評価される。この致命的な度合いは、その初期ゼロの値から対応するヒストグラムQ(C)の値域におけるカウントを更新し、かつ、その間の上記ワン・ランダウ法によって値域のマルチカノニカル重みG(C)を更新するために使用される。これらの更新は、Q(X)∝G(C(X))P(X)として提案分布の更新を提供し、MCMC法による新しい提案分布Q(X)に従う次の事象Xの生成と致命的な度合い(評価関数)C(X)を提供する目的系のシミュレーションが繰り返される。このプロセスは、ヒストグラムQ(C)、i=1、・・・、Bがほとんど平坦になるまで続き、マルチカノニカル重みG(C)、i=1、・・・、Bが満足な程度に収束し、十分な数の事象Xが蓄積される。
次の表1のAlgorithm 1は、この方法の擬似コードを表す。それは、二重の’while’ループを含み、内側のループは、出力ヒストグラムQ(C)、i=1、・・・、Bが十分に一様になるまで、提案分布Q(X)に対してMCMC法を続けることを意図し、外側のループは、それが最終的に最適に達するまで、マルチカノニカル重みG(C)、i=1、・・・、Bの修正を繰り返すことを意図している。本発明者らは、遷移関数Tδ(X)を、標準MCMCアルゴリズムである、メトロポリス法を適用して、現在の事象Xから次の候補事象X’を生成する。マルチカノニカル重みG(C)の収束が最適になった後、重みを持つM事象から成るデータ集合Dが生成され、致命的な事象の確率P(R)はデータ集合Dから推定される。
Figure 0006874238
以下、本発明を実施する形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の各実施形態に記載されている構成は単なる例示であり、本発明の技術範囲はそれらには限定されない。
[発明の概略]
本発明は、光学系シミュレータSim(X)に係り、それは、後述するように、望遠鏡を含む、光学系設計の分野において商業上利用可能で、標準である。このシミュレータは、事象Xは、光線が後方伝播(逆伝播)の方法によって撮像センサの受光面15(図1参照)から放射される、条件を示している。従って、事象Xは条件とも呼ばれる。それは、図3に示されるような、4つ変数X=[x,y,α,β]から成る。図3において、xおよびyは、それぞれ、x∈[−xrange、xrange]、y∈[−yrange、yrange]として規定される受光面15上の出射の水平位置および垂直位置である。加えて、αおよびβは、それぞれ、直交空間における出射された光線の緯度方向および経度方向の角度である。受光面15の法線ベクトルは、0度である。角度の範囲は、それぞれ、α∈[−90、90]、β∈[−90、90]である。事象(4つの変数)Xは、パラメータ(入力パラメータ)とも呼ばれる。
確率分布P(X)は、次の数10として4つの独立ガウス分布の積によって与えられる。
Figure 0006874238
ここで、d=4であり、Σは、次の数11で示される。
Figure 0006874238
この分布は、座標空間の原点で中心に置かれる。σおよびσは、それぞれ、xrangeおよびyrangeとして設定され、およびσαおよびσβは、それぞれ、90度である。
この分布は、非常に広く、それは、中心でわずかに高いが、受光面の垂直方向において、ほとんど一様である。この確率分布P(X)の選択は、望遠鏡の対称幾何学と鏡構成を反映している。
致命的な度合い(評価関数)C(X)は、ヒューリスティックであるが注意深く指定される必要がある。何故なら、それは、致命的な事象を規定しているからである。本発明の実施の形態の解析において、致命的な度合いは、条件Xの下での受光面15から出射された光線が、後方伝播(逆伝播)を介して望遠鏡の外側へ到達するという事実によって主に規定される。cr(X)は、もしこれが起こったら1であり、それ以外は0である。しかしながら、cr(X)は、光路上のランダムな反射と屈折のために、与えられた条件Xに対して決定的でない。したがって、条件Xの本質的な致命的な度合いは、次の数12のようなn個の試験に対してcr(X)の平均を取得することによって評価される。
Figure 0006874238
ここで、cri(X)は第iの試験における結果である。この致命的な度合い(評価関数)C(X)は、致命的な状況への確率的な近似に関して単調に増加し、閾値レベルCth以上の致命的な度合い(評価関数)C(X)を持つ条件Xは、致命的な事象を表す。閾値レベルCthは、0.6に設定され、n個の試験における条件Xの大部分は、結果として、このシミュレーションにおいて致命的な状況となる。nの値は、致命的な度合い(評価関数)C(X)のコンピュータ計算コストと統計上の安定性との間の関係性を考慮して決定される必要がある。致命的な度合い(評価関数)C(X)は、2項式の分布に従い、その相対的標準誤差は、近似的に√(1−C(X))/nC(X)であり、それは、nと致命的な度合い(評価関数)C(X)とで単調に増加する。nは、本発明者らの実験において100に設定される。何故なら、誤差は、致命的な度合い(評価関数)C(X)が1に近接する致命的な条件Xに対して十分に抑制されるからである。
本発明者らは、出力X’が次の数13のように条件Xで中心に置かれる多変数の独立分布されたガウスによってランダムに与えられる、次の遷移関数Tδ(X)を使用する。
Figure 0006874238
ここで、d=4であり、Σは、次の数14で示される。
Figure 0006874238
、d、dα、dβは、それぞれ、光挙動の空間又は角度的分解能であって、それらは、可視光線の波長と望遠鏡のスケールとに基づいて、光学において知られている。ハイパーパラメータδは、条件Xから新しい条件X’の偏差を支配する。もしハイパーパラメータδが大き過ぎれば、新しい条件X’が条件Xからそれる範囲が、新しい条件X’が条件Xに近接する致命的な事象を見落としてしまう。もしハイパーパラメータδが小さ過ぎれば、新しい条件X’はほとんど条件Xの近傍に残って、条件Xから離れた致命的な事象をほとんど見つけられない。従って、試行錯誤接近方法を使用して、ハイパーパラメータδの値を適切に調整する必要がある。
ヒストグラム更新の最大数KmaxとMCMC工程の最大数Mmaxを、本発明者らのすべての実験を通して、それぞれ、10および5000に設定した。前者は、Fを単位元に近づけるために十分であり、マルチカノニカル重みG(C)を細かく調整する。後者は、また、MCMCプロセスの十分な緩和を可能とする。調整されるべき最後のパラメータは、致命的な度合い(評価関数)C(X)上のヒストグラム値域の数Bである。最大数Mmax以下の事象は、これらB個の値域上に一様に分散されるので、1つの値域におけるすべての事象の起こる確率は同じであり、1つの値域における事象の数は、その相対的な標準偏差ε≦√(B/Mmax)を持つポアソン分布に従う。本発明者らは、B=20に設定し、それは適度に小さいε=0.05〜0.10を維持する。
[実施の形態]
次に、実施の形態を用いて、本発明を実施するための形態を説明する。
[実験セットアップ]
本発明者らは、シノプシス社(Synopsys, Inc)によって発売された、Light Toolsという名前の照明設計解析ソフトウェアを使用した。このソフトウェアは、光学設計および解析において広く利用されている。このソフトウェアはモンテカルロ光線追跡が可能である。目的の光学系は、設計された望遠鏡の本物スケールの実物大模型である。本発明者らは、経験的に、2つの光路が、望遠鏡の幾何学的対称性のために、受光面15の2つの対称領域で同様の強度の迷光を引き起こすことを知っている。
このシミュレーションの仮定と条件は、次の通りである。
・本発明者らは、シミュレーションにおいて使用されるモデルが、実際の世界の実物大模型の系の完全な複製であると仮定する。
・迷光を生成するためのメカニズムは、幾何学的光学のみによってよく近似される。
・すべての追跡された光線は、単一の波長によってよく近似される。
・「逆伝播法」が、すべの実験において効率的な解析のために使用される。
・光線追跡は、次の条件のどちらかで停止される。
−構成の正規化エネルギξが閾値ξthより小さくなった。この閾値ξthは、無視できない相対的光線強度の下限であるとみなされる。実際には、ξthは、元光線エネルギの10−4倍に設定される。
−光線が、何らかの障害物に遭遇することなく、望遠鏡の外側の無限空間へ到達する。
・反射と屈折は次のように計算される。
−物体での反射および屈折のモードは、その物体とその表面に与えられたパラメータに従って選択される。
−物体での反射および屈折の角度は、与えられたパラメータに従って確率的に選択される。
−ある光線は、どの反射点およびどの屈折点においても分岐せず、入射光が減衰して反射光となる。
上記Algorithm 1を含む主なプログラムを、プログラム言語であるパイソン(Python)によって実装した。MCMC法の各ステップを、Light Toolsシミュレータは、Excel VBAとLight Toolsのユーザインタフェースを介して主プログラムによって実行された。本発明者らの実験における全ての計算を、付加的なハードウェアなしで、3.4GHzのIntel Core i7コアプロセッサと16MBのメモリとを備えた汎用パーソナルコンピュータを使用した実行した。
[実験結果]
本発明者らは、上記[方法論]と上記[セットアップ]を使用して、迷光解析を実施した。図4は、4次元パラメータ空間における迷光の探索の結果を示す。
図4(a)は、非正規な経路を通過する光線17と受光面15上の到達位置(x,y)の結果ヒストグラムを示す。より高い光線カウントをより明るい色で表している。このヒストグラムは、無視できない非正規の光線、すなわち、迷光の組を表す、2つの重要なピークを示している。
図4(b−1)および(b−2)は、それぞれ、この2つのピークの周りの選択された領域に属する光線のヒストグラムを示す。これらは、入射方向(α,β)の空間において表され、明らかに、2つのピークの1つを生成した各経路である、βに関して対称な2つの光路が存在することを示している。これら位置、経路に対して得られた結果と迷光17の強度は、実物大模型の望遠鏡の実験結果で得られた迷光とよく対応する。
図5(a)は、この解析のMulticanonical MCMC法における致命的な度合い(評価関数)C(X)上のサンプルされた事象を示すヒストグラムである。図5(a)において、横軸は評価関数C(X)を示し、縦軸はサンプルされた事象を示す。この収束を達成して、図4に示される結果を得るための、シミュレーション試験の総数とそれらの計算時間は、それぞれ、5×10と17.3時間であった。
図5(a)は、評価値を階級とし、各階級のサンプルされた事象(パラメータ)の個数を度数とするヒストグラムを示している。図5(a)のヒストグラムは、階級の最大値が1.0となるように正規化されている。
[希少事象探索のために特殊化されたMulticanonical MCMC法]
上述したように、この手法は、事象をサンプルするために標準Multicanonical MCMC法に従っており、与えられた確率分布を正確に維持する重みを持つ希少事象を含んでいる。これは、希少事象確率P(R)と、統計物理や他の応用分野におけるその関連する統計値とを正確に解析することが必要である。正確な重みは、統計偏差を避けるために致命的な度合いの領域[Cmin,Cmax]上で種々の事象を生成することによって取得され、したがって、目的ヒストグラムQ(C)、i=1、・・・、Bは、一様に設定される。
工学設計における本発明者らの現在の応用を含む、実用的な問題における代わりの目標は、正確な重みを持つ事象の派生物よりもむしろ、多くの希少で致命的な事象を発見することである。これは、図6に示されるように、致命的な事象の領域[Cth,Cmax]を他の領域[Cmin,Cth]よりも重点的に扱うことによって効率的に達成され得る。次の解析は、事象空間Sを全体にまんべんなく探索することなく、致命的な事象が観察される範囲を集中的にもっとも効率的に減らすことを示し、それによって致命的な事象上を重点的に扱う。
[最適な提案分布]
十分に緩和されたMCMCプロセスは詳細釣り合いを満たし、生成された事象Xは定常状態になっている。従って、最適な提案分布Q(C(X))の条件は、効率的に発生されるべき致命的な事象を、MCMCプロセスの単一の遷移工程の解析から推測するのを可能にする。
本発明者らの目標の致命的な事象は、上記[実験結果]において本発明者らの解析によって論証されたように、事象空間Sに属する多数の領域に位置付けられるのであるから、事象空間SはS=R∪/Rとしてモデル化され得る。ここで、Rは、次の数15
Figure 0006874238
で表され、全てのi≠j、j、j=1、・・・、rに対して、R∩R=0であり、/R=S\Rである。Rは、致命的な事象の集合であり、/Rは、非致命的な事象の集合である。ここで、簡単のためのメタ事象として各事象集合を参照する。各致命的なメタ事象Riは、十分に特定の場所に局在化されており、他の致命的なメタ事象から十分に分離されているとする。
Q(Y’|Y)を、提案分布Q(X)に従う事象を生成するMCMCプロセスにおいて、メタ事象Yから他のメタ事象Y’への事象Xの遷移確率であると仮定する。上記仮定より、さらに任意の致命的なメタ事象の間の離散遷移は無視されると仮定する。したがって、すべてのRと/Rとの間の非零の遷移確率のみを考察する。次の条件は、総合のメタ事象確率の状態とRと/Rとの間の詳細釣り合いによって保持する。
Figure 0006874238
Figure 0006874238
任意の希少で致命的な事象を見過ごすのを避けるための最も効率的方法において事象空間Sを考察することは、トータルとしてRと/Rとの間の最も大きい遷移確率を要求する。
Figure 0006874238
数16を置換し、Q(R)によって微分することよって、最大値に対して次の条件を得る。
Figure 0006874238
さらにこの式を数17に置換し、すべてのiでの合計をとり、数16の制約を適用することによって、次の簡単な条件を得る。
Figure 0006874238
この結果は、Q(R)=Q(/R)=0.5、すなわち、次の数21を導き出す。
Figure 0006874238
Q(C(X))の一様な分布は任意の統計推定の最小偏差を提供するので、上の条件を満足している間、それぞれ、Rと/Rとで一定である、Q(C(X))の次の目標ヒストグラムを使用する。
Figure 0006874238
致命的な事象を規定するために与えられる、Cthは、[Cmin,Cmax]の上限に一般的に近いので、致命的な事象用のQ(C(X))の値は、非致命的な事象用のそれよりも大きい。
[Focused Multicanonical MCMC法]
前の[最適な提案分布]において与えられた結果に基づいて、本発明者らは、希少で致命的な事象を効率的に発見するために、「Focused Multicanonical MCMC法」と名づけられた、Multicanonical MCMC法の拡張を提案する。上記表1のAlgorithm 1において、Q(Ci)、i=1、・・・、Bが収束するために必要な目的のヒストグラムの形は、フラットではなく、数22によって与えられる階段関数状である。この変更を除いて、上記アルゴリズムに他の変更は必要ない。
希少で致命的な事象P(R)の確率は、また、容易に計算される。数22におけるQ(C(X))の階段状ヒストグラムは、次の数23によって提供される。
Figure 0006874238
ここで、c(C(X))は、次の数24で表される。
Figure 0006874238
そして、Z=Σc(C(X))P(X)/P(C(X))である。これは、数23を数3に代入し、それをすべてのC、i=1、・・・、Bに対して{X∈S|C(X)∈C}において周辺化することによって、容易に確認される。
Figure 0006874238
数3、数23および数24を、数6に代入することによって、次の数26が得られる。
Figure 0006874238
ここで、次の数27の関係が使用される。
Figure 0006874238
したがって、一度、G(C(Xi))がワン・ランダウ法によって得られると、希少で致命的な事象の確率P(R)は、標準的な方法と同様な方法で計算される。
[Focused Multicanonical MCMC法の実験結果]
図5(b)は、前述したように閾値Cth=0.6を使用した、本発明者らのFocused Multicanonical MCMC法におけるC(X)上でのサンプルされた事象のヒストグラムを示す。このヒストグラムは、階段状の形状をしており、閾値Cthでほとんどバランスされている。この収束を達成するための、シミュレーション実験の総数とそれらの計算時間は、それぞれ、6.1×10と20.7時間であった。
図7は、標準的なMulticanonical MCMC法(sm−MCMC)と提案したFocused Multicanonical MCMC法(fm−MCMC)との間のヒストグラム更新上の迷光を引き起こす得られた光線の数の比較を示す。この図から容易に確認されるように、提案した方法によって希少迷光を得るための効率は、標準的なMulticanonical MCMC法のそれよりもほぼ2倍の高効率に収束する。
[他の方法との比較]
表2は、グリッドサーチ、ベイズ最適化、標準的なMulticanonical MCMC法、およびFocused Multicanonical MCMC法の性能比較を示す。グリッドサーチは、全体の事象空間の網羅探索アルゴリズムであって、ベースラインの性能を提供している。本発明者らは、遺伝的アルゴリズムと、シミュレーテッド・アニーシングを評価していない。何故なら、それらは膨大な数のシミュレーションを必要とすることによって実行不可能だからである。
Figure 0006874238
この表2の第1および第2の欄は、シミュレーション試験毎の希少で致命的な事象を発見する確率、すなわち、探索の効率を示す。第1の欄は、[x,y]を迷光を観察したところの位置に固定して、迷光を引き起こす入射光の方向[α,β]を探索するときの効率を示す。ベイズ最適化の効率は、グリッドサーチのそれよりも一桁高い大きさがあるのに対して、標準的なMulticanonical MCMC法およびFocused Multicanonical MCMC法の効率は二桁高い大きさがある。表2の第2の欄は、4次元空間の全体を探索するときの効率を示している。大きな探索空間のために、ベイズ最適化は、扱った10の試験数内において、いずれの致命的な事象を見つけることができなかった。これに対して、2つのMulticanonical MCMC法は、1000の試験数内で1つの希少で致命的な事象を成功裏に発見でき、この効率は、グリッドサーチよりも5桁高い大きさである。2次元および4次元の場合のいずれの場合においても、Focused Multicanonical MCMC法の効率は、標準的なMulticanonical MCMC法の2倍である。これらの結果は、[希少事象探索のために特殊化されたMulticanonical MCMC法]における議論に従っている。
表2の最後の欄は、希少で致命的な事象の確率P(R)の推定値、すなわち、迷光が起こるリスクを示している。グリッドサーチの推定値は、高い不確実性を含むことが予期される。何故なら、グリッドサーチは、迷光を引き起こす非常に制限された数の光線を発見できるだけで、したがって大きな統計的誤差を導くからである。ベイズ最適化は、この確率を提供できない。何故なら、それは、探索において確率的情報を保有しないからである。標準的なMulticanonical MCMC法およびFocused Multicanonical MCMC法の数8および数26は、グリッドサーチによって得られる確率と同じ位の大きさの持つ推定値を提供する。
図8は、上記光学系シミュレータSim(X)を用いる、本発明の第1の実施例による光学系設計支援システム100を示すブロック図である。光学系設計支援システム100は、図1に示すような、望遠鏡のような設計した光学系10において迷光が発生する可能性を発見するシステムである。
光学系設計支援システム100は、処理部200と、記憶部300とを備える。処理部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサから成るが、これに限定されないのは勿論である。記憶部300は、例えば、RAM(random access memory)やROM(read only memory)などから成るが、これらに限定されないのは勿論である。
処理部200は、パラメータ決定部210と、軌跡算出部220と、評価値算出部230とを備える。記憶部300は、パラメータ記憶部310と、光学モデル記憶部320と、評価値記憶部330とを備える。
パラメータ決定部210は、後述するように、パラメータを決定する。パラメータ決定部210は、各パラメータとして、上述したように、設計した光学系10の受光面15における2次元の位置(x、y)および光線が受光面15に入光する2方向の角度(α、β)の計4次元の変数の組み合わせを決定する。パラメータ記憶部310は、決定したパラメータを記憶する。
軌跡算出部220は、決定したパラメータを使用して、後述するように、設計した光学系10における光線の軌跡を算出する。軌跡算出部220は、受光面15から入光口の方向に向けて、光線が逆伝播する軌跡を算出する。光学モデル記憶部320は、設計した光学系10における入光口から受光面15までの光路上に複数の光学部品を配置した光学モデルを記憶する。この光学モデルは、設計した光学系10に対応している。軌跡算出部220は、光学モデル記憶部320に記憶した光学モデルの入力を受け付け、光学モデルにおける光線の挙動を示す軌跡を算出する。
評価値算出部230は、算出した軌跡と、理想的な光学系においてパラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出する。換言すれば、評価値算出部230は、上記設計した光学系10(光学モデル)に応じて一意に規定される評価関数C(X)を持つ。すなわち、上記光学系シミュレータSim(X)は、評価関数C(X)を持つ。評価値算出部230は、算出した軌跡と決定したパラメータとを受け、評価関数C(X)に従って評価値を算出する。評価値記憶部330は、算出した評価値を記憶する。
したがって、パラメータ記憶部310は過去の軌跡の算出に使用したパラメータを記憶する。評価値記憶部330はそのパラメータに対して算出した評価値を記憶する。
パラメータ決定部210は、パラメータ記憶部310に記憶したパラメータおよび評価値記憶部330に記憶した評価値に基づいて、当該評価値が高いほどパラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定する。
パラメータ決定部210は、評価値が高いほどパラメータに近い乱数が得られるような乱数の分布を定義し、この分布に基づいて次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを生成する。
図9は、図8に使用されるパラメータ決定部210の構成を詳細に示すブロック図である。パラメータ決定部210は、ヒストグラム算出部212と、乱数分布定義部214と、パラメータ生成部216とから成る。
以下、図8および図9を参照して、光学系設計支援システム100の動作について更に詳細に説明する。
パラメータ記憶部310は、過去の軌跡の算出に使用したN個のパラメータを記憶する。
パラメータ決定部210は、上記分布に基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータをそれぞれ決定する。
軌跡算出部220は、決定したN個のパラメータに対してそれぞれN本の軌跡を算出する。
評価値算出部230は、決定したN個のパラメータおよび算出したN本の軌跡に対してそれぞれN個の評価値を算出する。評価値記憶部330は、N個のパラメータに対して算出されたN個の評価値を記憶する。
ヒストグラム算出部212は、パラメータ記憶部310から過去の軌跡の算出に使用したN個のパラメータを受け、評価値記憶部330からN個のパラメータに対して算出されたN個の評価値を受ける。ヒストグラム算出部212は、評価値を階級とし、各階級のパラメータの個数を度数とするヒストグラムを算出する。
乱数分布定義部214は、算出したヒストグラムに基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを生成するための乱数の分布を、ヒストグラムが実質的に平坦になるような乱数が得られるように定義する(図6の左側の図参照)。
パラメータ生成部216は、定義した乱数の分布に従って、次回以降の各軌跡算出に使用する各パラメータを生成する。すなわち、パラメータ生成部216は、図5(a)に示されるように、ヒストグラムが実質的に平坦になるようにN個のパラメータを生成する。
したがって、パラメータ決定部210は、上記標準的なMulticanonical MCMC法を用いて次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを決定する。
より具体的に説明すると、ランダムに乱数(パラメータ)を発生すると、評価値としては、図2の左側の図のように、閾値Cth=0.6より小さい評価値のパラメータの度数が沢山得られることになる。そこで、パラメータ決定部210は、閾値Cth=0.6以上の評価値が得られる乱数(パラメータ)を全て採用するが、閾値Cth=0.6より小さい評価値が得られる乱数(パラメータ)についてはほとんどを破棄し、たまに採用することで、図2の右側の図のように、ヒストグラムが実質的に平坦になるようにN個のパラメータを決定する。
光学系設計支援システム100は、上記動作を複数回繰り返すことによって、図5(a)に示されるような、最終的にヒストグラムが実質的に平坦になるようにN個のパラメータを決定することができる。ここで、「実質的に平坦」とは、各階級における度数が、平均度数に対して所定の誤差の範囲内に入っていることを意味する。これを図5(a)の場合を例に挙げて説明する。平均度数が75であって、所定の誤差が15であるとする。この場合、各階級における度数は、60〜90の範囲に入っている。
以上の説明から明らかなように、本第1の実施例によれば、光学系における迷光を自動的に確実に解析することができる。
図10は、上記光学系シミュレータSim(X)を用いる、本発明の第2の実施例による光学系設計支援システム100Aを示すブロック図である。光学系設計支援システム100Aも、図1に示すような、望遠鏡のような設計した光学系10において迷光が発生する可能性を発見するシステムである。
図示の光学系設計支援システム100Aは、処理部の構成および動作が後述するように相違する点を除いて、図8に示した光学系設計支援システム100と同様の構成を有し動作をする。従って、処理部に200Aの参照符号を付している。図8に示されたものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、説明の簡略化のためにそれらについて説明を省略する。
処理部200Aは、パラメータ決定部の構成および動作が後述するように相違する点を除いて、図8に示した処理部200と同様の構成を有し動作をする。従って、パラメータ決定部に210Aの参照符号を付している。
図11は、図10の光学系設計支援システム100Aに使用されるパラメータ決定部210Aの構成を詳細に示すブロック図である。パラメータ決定部210Aは、乱数分布定義部の構成および動作が後述するように相違する点を除いて、図9に示したパラメータ決定部210と同様の構成を有し動作をする。従って、乱数分布定義部に214Aの参照符号を付している。
乱数分布定義部214Aは、算出したヒストグラムに基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを生成するための乱数の分布を、ヒストグラムの階級に対して定められた閾値Cth以上の各階級でのパラメータの度数が閾値Cth以下の各階級におけるパラメータの度数よりも高いようなヒストグラムを与える乱数が得られるように、定義する。
尚、図示の例では、ヒストグラムの階級の最大値が1.0となるように正規化されており、閾値Cthは0.6に等しい。
乱数分布定義部214Aは、ヒストグラムの階級に対して定められた閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるようなヒストグラムを与える乱数が得られるように、分布を定義する。ここで、「実質的に等しい」とは、所定の誤差の範囲内において、閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが等しいことを意味する。
パラメータ生成部216は、定義した乱数の分布に従って、図5(b)に示されるように、次回以降の各軌跡算出に使用する各パラメータを生成する。すなわち、パラメータ生成部216は、図5(b)に示されるように、ヒストグラムが、閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるように、N個のパラメータを生成する。
したがって、パラメータ決定部210Aは、上記Focused Multicanonical MCMC法を用いて次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを決定する。
より具体的に説明すると、ランダムに乱数(パラメータ)を発生すると、評価値としては、図2の左側の図のように、閾値Cth=0.6より小さい評価値においてパラメータの度数の高いものが沢山得られることになる。そこで、パラメータ決定部210Aは、閾値Cth=0.6以上の評価値が得られる乱数(パラメータ)を全て採用するが、閾値Cth=0.6より小さい評価値が得られる乱数(パラメータ)についてはほとんどを破棄し、たまに採用する。このことにより、図5(b)に示されるように、パラメータ決定部210Aは、ヒストグラムが、閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるようにN個のパラメータを決定する。
光学系設計支援システム100Aは、上記動作を複数回繰り返すことによって、図5(b)に示されるような、ヒストグラムが閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるようにN個のパラメータを生成することができる。
なお、本例では、乱数分布定義部214Aは閾値Cthを0.6に設定しているが、乱数分布定義部214Aは、閾値Cthを0.5より大きい値に設定すればよい。但し、乱数分布定義部214Aは、閾値Cthを0.6以上0.8以下の範囲の間に設定することが好ましい。しかしながら、乱数分布定義部214Aは、閾値Cthを0.6の値に設定することがより好ましい。その理由は次の通りである。
一般に、迷光は1つだけであるとは限らず、上述した対称性等に起因して、複数個ある場合がほとんどである。そのような状況において、もし閾値Cthを0.8より高く設定してしまうと、その閾値Cthより小さい評価値の乱数(パラメータ)のほとんどが破棄されてしまい、他の迷光を探索できる可能性(確率)が非常に低くなってしまうからである。また、閾値Cthを0.6より低く設定しまうと、効率的に複数の迷光を探索できなくなってしまうからである。よって、閾値Cthを0.6の値に設定することが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本第2の実施例によれば、光学系における複数の迷光を自動的に効率的に解析することができる。
図12は、本発明の第3の実施例による希少事象解析装置100Bを示すブロック図である。希少事象解析装置100Bは、希少事象が発生する可能性を発見する装置である。具体的には、希少事象解析装置100Bは、例えば、図1に示すような、望遠鏡のような設計した光学系10において発生する迷光を希少事象として発見する。しかしながら、希少事象解析装置100Bは、そのような設計した光学系10のシミュレーションだけでなく、他の目的系のシミュレーションにも適用され得る。
希少事象解析装置100Bは、処理部200Bと、記憶部300Bとを備える。処理部200Bは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサから成るが、これに限定されないのは勿論である。記憶部300Bは、例えば、RAM(random access memory)やROM(read only memory)などから成るが、これらに限定されないのは勿論である。
処理部200Bは、パラメータ決定部210Bと、シミュレータ220Bと、評価値取得部230Bとを備える。記憶部300は、パラメータ記憶部310Bと、評価値記憶部330Bとを備える。
シミュレータ220Bは、例えば、上記光学系シミュレータSim(X)であってよい。この場合、シミュレータ220Bは、図8に示されている、光学モデル記憶部320と軌跡算出部220と評価値算出部230との組み合わせで実現され得る。しかしながら、シミュレータ220Bは、上記光学系シミュレータSim(X)には限定されず、他のシミュレータであってよい。シミュレータ220Bは、希少事象が発生する可能性を規定する評価関数C(X)を持つ。
パラメータ決定部210Bは、提案分布Q(X)に基づいて、毎回の試験k(1≦k≦K)におけるN回のシミュレーションに使用するN個のパラメータXを決定する。N個のパラメータXの各々は、事象を規定する。パラメータ決定部210Bは、N個のパラメータXを1つずつ順次、シミュレータ220Bに供給する。パラメータ記憶部310Bは、決定したパラメータを記憶する。
評価値取得部230Bは、N個のパラメータXに対応してシミュレータ220Bから出力されるN個の評価値C(X)を取得する。評価値記憶部330Bは、このN個の評価値を記憶する。
パラメータ記憶部310Bは、過去の試験(k−1)のN回のシミュレーションに使用したN個の過去のパラメータXk−1を記憶する。評価値記憶部330Bは、それらN個の過去のパラメータXk−1に対するN回のシミュレーションで取得されたN個の過去の評価値C(Xk−1)を記憶する。
パラメータ決定部210Bは、パラメータ記憶部310Bに記憶されているN個の過去のパラメータXk−1と、評価値記憶部330Bに記憶されているN個の過去の評価値C(Xk−1)とに基づいて、後述するように、今回の試験kにおけるN回のシミュレーションに使用するN個のパラメータXを決定する。
図13は、図12に使用されるパラメータ決定部210Bの構成を詳細に示すブロック図である。パラメータ決定部210Bは、ヒストグラム算出部212Bと、乱数分布定義部214Bと、パラメータ生成部216Bとから成る。
ヒストグラム算出部212Bは、パラメータ記憶部310Bに記憶されたN個の過去のパラメータXk−1と、評価値記憶部330Bに記憶されたN個の過去の評価値C(Xk−1)とを受ける。ヒストグラム算出部212Bは、評価値を階級とし、各階級のパラメータの個数を度数とするヒストグラムを算出する。
乱数分布定義部214Bは、算出したヒストグラムに基づいて、今回の試験kのN回のシミュレーションに使用するN個のパラメータXを生成するための乱数の分布を、ヒストグラムの階級に対して定められた閾値Cth以上の各階級でのパラメータの度数が、閾値Cth以下の各階級でのパラメータの度数よりも多くなるようなヒストグラムを与える乱数が得られるように、定義する。
尚、図示の例では、ヒストグラムの階級の最大値が1.0となるように正規化されており、閾値Cthは0.6に等しい。
乱数分布定義部214Bは、ヒストグラムの階級に対して定められた閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるようなヒストグラムを与える乱数が得られるように、分布を定義する。ここで、「実質的に等しい」とは、所定の誤差の範囲内において、閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが等しいことを意味する。
パラメータ生成部216Bは、定義した乱数の分布に基づいて、図5(b)に示されるように、今回の試験kにおける各シミュレーションに使用する各パラメータXを生成する。すなわち、パラメータ生成部216Bは、図5(b)に示されるように、ヒストグラムが、閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるように、今回の試験kにおけるN回のシミュレーションに使用するN個のパラメータXを生成する。
したがって、パラメータ決定部210Bは、上記Focused Multicanonical MCMC法を用いて、今回の試験kにおけるN回のシミュレーションに使用するN個のパラメータXを決定する。
より具体的に説明すると、ランダムに乱数(パラメータ)を発生すると、評価値としては、図2の左側の図のように、閾値Cth=0.6より小さい評価値においてパラメータの度数の高いものが沢山得られることになる。そこで、パラメータ決定部210Bは、閾値Cth=0.6以上の評価値が得られる乱数(パラメータ)を全て採用するが、閾値Cth=0.6より小さい評価値が得られる乱数(パラメータ)についてはほとんどを破棄し、たまに採用する。このことにより、図5(b)に示されるように、パラメータ決定部210Bは、ヒストグラムが、閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるように、今回の試験kにおけるN回のシミュレーションに使用するN個のパラメータXを生成する。
希少事象解析装置100Bは、上記試験動作をK回繰り返すことによって、図5(b)に示されるような、ヒストグラムが閾値Cth以上のパラメータの度数の合計と閾値Cth以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるように、最終回の試験Kにおいて、N個の最終のパラメータXを生成することができる。
なお、本例では、乱数分布定義部214Bは閾値Cthを0.6に設定しているが、乱数分布定義部214Bは、閾値Cthを0.5より大きい値に設定すればよい。但し、乱数分布定義部214Bは、閾値Cthを0.6以上0.8以下の範囲の間に設定することが好ましい。しかしながら、乱数分布定義部214Bは、閾値Cthを0.6の値に設定することがより好ましい。その理由は次の通りである。
一般に、希少事象は1つだけであるとは限らず、複数個ある場合がほとんどである。そのような状況において、もし閾値Cthを0.8より高く設定してしまうと、その閾値Cthより小さい評価値(階級)の乱数(パラメータ)のほとんどが破棄されてしまい、他の希少事象を探索できる可能性(確率)が非常に低くなってしまうからである。また、閾値Cthを0.6より低く設定しまうと、効率的に複数の希少事象を探索できなくなってしまうからである。よって、閾値Cthを0.6の値に設定することが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本第3の実施例によれば、目的系における複数の希少事象を自動的に効率的に解析することができる。
なお、本発明は、上記実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
尚、光学系設計支援システム(希少事象解析装置)の各部は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAM(random access memory)に光学系設計支援(希少事象解析)プログラムが展開され、該光学系設計支援(希少事象解析)プログラムに基づいて、CPU(central processing unit)等のプロセッサのハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。また、該光学系設計支援(希少事象解析)プログラムは、記録媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録された光学系設計支援(希少事象解析)プログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、プロセッサ(CPU)等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
上記第1および第2の実施例を別の表現で説明すれば、光学系設計支援システムとして動作させるコンピュータを、RAMに展開された光学系設計支援プログラムに基づき、パラメータ決定部210、210A、軌跡算出部220、および評価値算出部230の組み合わせとして動作させることで、実現することが可能である。
上記第3の実施例を別の表現で説明すれば、希少事象解析装置として動作させるコンピュータを、RAMに展開された希少事象解析プログラムに基づき、パラメータ決定部210B、シミュレータ220B、および評価値取得部230Bの組み合わせとして動作させることで、実現することが可能である。
また、本発明の具体的な構成は前述の実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
本発明は、光通信やカメラ等の光学系シミュレータと併用して利用可能である。また、本発明は、工学設計における終局条件探索のような他のシミュレータと併用しても利用可能である。
10 設計した光学系(望遠鏡)
11 第1の鏡
12 第2の鏡
13 第3の鏡
14 平面鏡
15 受光面
16 正規光の光路
17 迷光の光路
100、100A 光学系設計支援システム
100B 希少事象解析装置
200、200A、200B 処理部
210、210A パラメータ決定部
212、212B ヒストグラム算出部
214、214A、214B 乱数分布定義部
216、216B パラメータ生成部
220 軌跡算出部
220B シミュレータ
230 評価値算出部
230B 評価値取得部
300、300B 記憶部
310、310B パラメータ記憶部
320 光学モデル記憶部
330、330B 評価値記憶部

Claims (14)

  1. 設計した光学系において迷光が発生する可能性を発見する光学系設計支援システムであって、
    パラメータを決定するパラメータ決定部と、
    前記決定したパラメータを使用して、前記設計した光学系における光線の軌跡を算出する軌跡算出部と、
    前記算出した軌跡と、理想的な光学系において前記パラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、前記パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出する評価値算出部と、を備え、
    前記パラメータ決定部は、過去の軌跡の算出に使用したパラメータおよび前記パラメータに対して算出した評価値に基づいて、前記評価値が高いほど前記パラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定する、
    光学系設計支援システム。
  2. 前記パラメータ決定部は、前記評価値が高いほど前記パラメータに近い乱数が得られるような乱数の分布を定義し、前記分布に基づいて次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを生成する、
    請求項1に記載の光学系設計支援システム。
  3. 前記パラメータ決定部は、前記分布に基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータをそれぞれ決定し、
    前記軌跡算出部は、前記決定したN個のパラメータに対してそれぞれN本の軌跡を算出し、
    前記評価値算出部は、前記決定したN個のパラメータおよび前記算出したN本の軌跡に対してそれぞれN個の評価値を算出し、
    前記パラメータ決定部は、
    過去の軌跡の算出に使用したN個のパラメータに対して算出された前記N個の評価値を入力として、評価値を階級とし、各階級のパラメータの個数を度数とするヒストグラムを算出するヒストグラム算出部と、
    前記算出したヒストグラムに基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを生成するための乱数の分布を、前記ヒストグラムが実質的に平坦になるような乱数が得られるように定義する乱数分布定義部と、
    前記定義した乱数の分布に従って、次回以降の各軌跡算出に使用する各パラメータを生成するパラメータ生成部と、
    を備える、
    請求項2に記載の光学系設計支援システム。
  4. 前記パラメータ決定部は、Multicanonical MCMC法を用いて前記次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを決定する、
    請求項3に記載の光学系設計支援システム。
  5. 前記パラメータ決定部は、前記分布に基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータをそれぞれ決定し、
    前記軌跡算出部は、前記決定したN個のパラメータに対してそれぞれN本の軌跡を算出し、
    前記評価値算出部は、前記決定したN個のパラメータおよび前記算出したN本の軌跡に対してそれぞれN個の評価値を算出し、
    前記パラメータ決定部は、
    過去の軌跡の算出に使用したN個のパラメータに対して算出された前記N個の評価値を入力として、評価値を階級とし、各階級のパラメータの個数を度数とするヒストグラムを算出するヒストグラム算出部と、
    前記算出したヒストグラムに基づいて、次回以降N回の軌跡算出に使用するN個のパラメータを生成するための乱数の分布を、前記ヒストグラムの階級に対して定められた閾値以上の各階級でのパラメータの度数が前記閾値以下の各階級でのパラメータの度数よりも高いようなヒストグラムを与える乱数が得られるように定義する乱数分布定義部と、
    前記定義した乱数の分布に従って、次回以降の各軌跡算出に使用する各パラメータを生成するパラメータ生成部と、
    を備える、
    請求項2に記載の光学系設計支援システム。
  6. 前記乱数分布定義部は、前記ヒストグラムの階級に対して定められた閾値以上のパラメータの度数の合計と前記閾値以下のパラメータの度数の合計とが実質的に等しくなるようなヒストグラムを与える乱数が得られるように、前記分布を定義する、請求項5に記載の光学系設計支援システム。
  7. 前記階級の最大値が1.0となるように正規化されている場合、前記乱数分布定義部は、前記閾値を0.5より大きい値に設定する、請求項6に記載の光学系設計支援システム。
  8. 前記乱数分布定義部は、前記閾値を0.6以上0.8以下の範囲の間に設定する、請求項7に記載の光学系設計支援システム。
  9. 前記乱数分布定義部は、前記閾値を0.6の値に設定する、請求項8に記載の光学系設計支援システム。
  10. 前記パラメータ決定部は、各パラメータとして、前記設計した光学系の受光面における2次元の位置(x、y)および前記光線が前記受光面に入光する2方向の角度(α、β)の計4次元の変数の組み合わせを決定する、
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学系設計支援システム。
  11. 前記軌跡算出部は、前記受光面から入光口の方向に向けて、前記光線が逆伝播する軌跡を算出する、
    請求項10に記載の光学系設計支援システム。
  12. 前記軌跡算出部は、前記設計した光学系における入光口から受光面までの光路上に複数の光学部品を配置した光学モデルの入力を受け付け、前記光学モデルにおける前記光線の挙動を示す軌跡を算出する、
    請求項1に記載の光学系設計支援システム。
  13. 設計した光学系において迷光が発生する可能性を発見する光学系設計支援方法であって、
    パラメータを決定することと、
    前記決定したパラメータを使用して、前記設計した光学系における光線の軌跡を算出することと、
    前記算出した軌跡と、理想的な光学系において前記パラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、前記パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出することと、を含み、
    前記パラメータを決定することは、過去の軌跡の算出に使用したパラメータおよび前記パラメータに対して算出した評価値に基づいて、前記評価値が高いほど前記パラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定する、
    光学系設計支援方法。
  14. コンピュータに、設計した光学系において迷光が発生する可能性を発見させる光学系設計支援プログラムであって、前記コンピュータに、
    パラメータを決定する決定手順と、
    前記決定したパラメータを使用して、前記設計した光学系における光線の軌跡を算出する軌跡算出手順と、
    前記算出した軌跡と、理想的な光学系において前記パラメータのもとで期待される軌跡との比較に基づいて、前記パラメータに対して迷光が発生する可能性を示す評価値を算出する評価値算出手順と、を実行させ、
    前記決定手順は、前記コンピュータに、過去の軌跡の算出に使用したパラメータおよび前記パラメータに対して算出した評価値に基づいて、前記評価値が高いほど前記パラメータに近くなるように、次回以降の軌跡算出に使用するパラメータを決定させる、
    光学系設計支援プログラム。
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