口腔内装置療法のための多検査期間のタイトレーションのための1つまたは複数のパラメータを設定するための例示的な方法が、本明細書に記載されている。方法は、第1の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うこと、第1の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数を特定すること、第2の検査期間中に行われる口腔内装置療法のためのタイトレーションのためのパラメータを設定することを含み得る。パラメータは、第1の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数に依存することができる。また、方法は、第2の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うこと、及び第1及び第2の検査期間中に行われたタイトレーションに基づいて、口腔内装置療法の結果を確立することを含んでいてもよい。
任意選択で、変数は、口腔内装置療法の結果の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、口腔内装置療法の最適突出レベルの予測、呼吸イベントの尺度、特定の突出レベル以上の呼吸イベントの尺度、特定の突出レベル以上で費やされた時間の割合、睡眠段階、覚醒の発生、及び/またはデータセットから測定される他の変数(図12で示される例示的な変数など)であってもよい。例えば、下記の一実施態様では、変数は、口腔内装置療法の結果の予測である。
代替的または追加的に、パラメータは任意選択で、開始突出レベル、突出レベル調整速度、突出レベル範囲、突出レベルを調整する基準、相関ウィンドウの幅及び位置、プロトコルのタイプ、呼吸イベントを定義する基準、睡眠調査資格付与状態、または突出レベルを調整/再調整する前の時間の長さであり得る。例えば、下記の一実施態様では、パラメータが開始突出レベルである。任意選択で、開始突出レベルは、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または対象によって許容される最大突出レベルの割合であってもよい。
代替的または追加的に、口腔内装置療法の結果は任意選択で、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測であってもよい。例えば、口腔内装置療法の結果が、検査期間(例えば、第1の検査期間、第2の検査期間など)の少なくとも1つの間に判定された口腔内装置療法の有効突出レベルの予測である場合も、検査期間の少なくとも1つの間に行われたタイトレーションに関連する変数に依存する場合もある。
代替的または追加的に、方法は、任意選択で、対象に関する診断情報を受信することを含み得る。診断情報は、口腔内装置療法の結果を確立するか、タイトレーションのためのパラメータを設定するために使用することができる。診断情報はまた、任意選択で、検査計画を設定するために使用できる。任意選択で、診断情報は、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度、呼吸イベントの分布、不飽和度のレベル、診断的睡眠調査中の対象の体位、診断的睡眠調査中の睡眠段階、対象の身体的特徴、対象の病歴、または対象の症状を含むが、それらに限定されない、対象に関するいずれかの情報であってもよい。例えば、診断情報は、検査期間の1つ以上の間に行われるタイトレーションの前(例えば、診断的調査の結果として)、または間に得ることができる。例えば、下記の一実施態様では、診断情報は、呼吸イベントの頻度(例えば、無呼吸低呼吸指数(AHI)、酸素飽和度低下指数(ODI)、または呼吸障害指数(RDI)などの呼吸イベントのベースライン尺度)である。さらに、ベースライン尺度は、任意選択で、口腔内装置療法の不在下で対象が経験する呼吸イベントの尺度であってもよい。
代替的または追加的に、方法は任意選択で、第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数を特定すること、及び第1及び/または第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数に基づいて、第3の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うかどうかを決定することを含むことができる。口腔内装置療法のためのタイトレーションが第3の検査期間中に行われる場合、方法は、任意選択で、第3の検査期間中に行われる口腔内装置療法のためのタイトレーションのためのパラメータを設定すること、及び第3の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うことを含み得る。上記と類似して、パラメータは、第1及び/または第2の検査期間中に行われるタイトレーションに関連する変数に依存していてもよい。さらに、第1、第2及び第3の検査期間の少なくとも2つの間に行われるタイトレーションに基づいて、口腔内装置療法の結果が確立され得る。
代替的または追加的に、方法は、対象に関する診断情報、口腔内装置療法の所望の結果、口腔内装置療法の結果のための所望の精度レベル、所望の総検査期間数、対象の感受性または耐性、または調整可能な下顎変位装置の制約に基づき、1つまたは複数の追加の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うかどうかを決定することをさらに含み得る。
代替的または追加的に、個々の各々の検査期間は、異なる睡眠セッション中の睡眠であってもよい。異なる睡眠セッションは同じ夜にあり得る。あるいは、異なる睡眠セッションは異なる夜にあり得る。
代替的または追加的に、口腔内装置療法のためのタイトレーションは、対象の口腔内に調整可能な下顎変位装置を位置決めすること、対象から得る生理学的情報をモニタすること、及び調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含み得る。
代替的または追加的に、方法は、多検査期間のタイトレーションのための検査計画を発展させること、及び検査計画に従って第1及び第2の検査期間中にタイトレーションを行うことを任意選択で含み得る。任意選択で、検査計画は、第1または第2の検査期間中にタイトレーションの少なくとも1つを行う前に発展される。任意選択で、検査計画は、タイトレーションのいずれかを行う前に発展させる。任意選択で、検査計画は、口腔内装置療法の所望の結果、口腔内装置療法の結果の所望の精度レベル、対象に関する診断情報、または対象または下顎変位装置の制限の少なくとも1つに基づいて発展される。
代替的または追加的に、いくつかの実施態様で、口腔内装置療法の結果は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどといった機械学習アルゴリズムを使用して確立される。
口腔内装置療法のための多検査期間のタイトレーションのための1つまたは複数のパラメータを設定するための例示的システムも、本明細書に記載されている。システムは、対象の口腔内に位置決めされるように構成された下顎変位装置と、対象から得た1つ以上の生理学的入力信号を感知するように構成されたモニタリングユニットと、制御ユニットとを含み得る。制御ユニットは、処理ユニットと、処理ユニットに動作可能に接続されたメモリとを含むことができる。さらに、メモリは、処理ユニットによって実行されたときに、システムが、口腔内装置療法のための多検査期間のタイトレーションのための検査計画を発展させるための動作を実行するようにさせる、記憶されるコンピュータ実行命令を有していてもよい。本開示は、システムが、口腔内装置療法のための多検査期間のタイトレーションのための検査計画を発展させるための動作を含む、本明細書に記載の動作のいずれかを行うよう構成し得ることを企図している。
多検査期間のタイトレーションを使用して、対象の口腔内装置療法の結果を評価するための例示的な方法も、本明細書に記載されている。方法は、対象に関する診断情報を受信すること、第1及び第2の検査期間の各々の間に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うこと、第1及び第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する少なくとも1つの変数を分析すること、及び少なくとも1つの変数に基づいて口腔内装置療法の結果を確立することを含むことができる。診断情報は、少なくとも1つの変数の選択に影響を及ぼす場合がある。
任意選択で、診断情報は、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度、呼吸イベントの分布、不飽和度のレベル、診断的睡眠調査中の対象の体位、診断的睡眠調査中の睡眠段階、対象の身体的特徴、対象の病歴、または対象の症状を含むがこれらに限定されない、対象に関する任意の情報であってもよい。例えば、診断情報は、検査期間の1つ以上の間に行われるタイトレーションの前(例えば、診断的調査の結果として)、または間に得ることができる。例えば、診断情報は呼吸イベントの頻度、例えば、無呼吸低呼吸指数(AHI)、酸素飽和度低下指数(ODI)、または呼吸障害指数(RDI)(例えば、呼吸イベントのベースライン尺度)である。さらに、ベースライン尺度は任意選択で、口腔内装置療法の不在下で対象が経験する呼吸イベントの尺度であってもよい。
例えば、下記の一実施態様では、診断情報は、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度である。さらに、診断情報が閾値よりも大きい場合、少なくとも1つの変数は第1の変数であり、診断情報が閾値未満である場合、少なくとも1つの変数は第2の変数である。閾値は任意選択で、1時間当たり15〜40呼吸イベントであってもよい。例示的な実施態様で、閾値は任意選択で、1時間当たり約20呼吸イベント、例えば1時間当たり約16呼吸イベントであってもよい。
代替的または追加的に、少なくとも1つの変数は、呼吸イベントの尺度、例えば第1または第2の検査期間中に行われたタイトレーションの間に生じる呼吸イベントの頻度であってもよい。
代替的または追加的に、口腔内装置療法の結果が、少なくとも1つの変数の値に基づいて確立され得る。任意選択で、方法は、少なくとも1つの変数の値に基づいて、第3の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うことを含むことができる。口腔内装置療法の結果は、第3の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数の値に基づいて確立され得る。
代替的または追加的に、口腔内装置療法の結果は任意選択で、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測であってもよい。
代替的または追加的に、個々の各々の検査期間は、異なる睡眠セッション中の睡眠であってもよい。異なる睡眠セッションは同じ夜にあり得る。あるいは、異なる睡眠セッションは異なる夜にあり得る。
代替的または追加的に、口腔内装置療法のためのタイトレーションは、対象の口腔内に調整可能な下顎変位装置を位置決めすること、対象から得る生理学的情報をモニタすること、及び調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含むことができる。
多検査期間のタイトレーションを用いて対象の口腔内装置療法の結果を評価するための例示的なシステムも、本明細書に記載されている。システムは、対象の口腔内に位置決めされるように構成された下顎変位装置と、対象から得た1つ以上の生理学的入力信号を感知するように構成されたモニタリングユニットと、制御ユニットとを含むことができる。制御ユニットは、処理ユニットと、処理ユニットに動作可能に接続されたメモリとを含むことができる。さらに、メモリは、処理ユニットによって実行されたときに、システムが、多検査期間のタイトレーションを使用して対象の口腔内装置療法の結果を評価するための動作を行うようにさせる、記録されたコンピュータ実行可能命令を有することができる。本開示は、システムが、多検査期間のタイトレーションを使用して対象の口腔内装置療法の結果を評価するための動作を含む、本明細書に記載された動作のいずれかを行うよう構成し得ることを企図している。
睡眠調査の状態に資格を付与するための例示的な方法も、本明細書に記載されている。方法は、対象に対して睡眠調査を行うこと、所定の状態に適合する睡眠調査の時間の量を判定するために睡眠調査中に収集されたデータを分析すること、及び時間の量が所定の閾値以上であるかどうかを判定することを含み得る。
任意選択で、時間の量が所定の閾値以上である場合、方法は、睡眠調査を終了すること、または次の睡眠セッションで継続することを含んでいてもよい。あるいは、時間の量が所定の閾値未満である場合、方法は、睡眠調査を継続することを含んでいてもよい。例えば、睡眠調査の継続は、睡眠調査の別の検査期間の実施を含むことができる。任意選択で、睡眠調査の別の検査期間は、前の検査期間または所定の状態に適合するように調整された条件の下での検査期間の繰り返しであってもよい。
代替的または追加的に、時間の量は、連続的な睡眠期間中に生じ得る。あるいは、時間の量は、複数の非連続的な睡眠期間中に生じる。任意選択で、非連続的な睡眠期間は、睡眠調査の複数の検査期間中の睡眠であってもよい。
代替的または追加的に、所定の状態は、特定の体位での睡眠、例えば仰臥位または側臥位での睡眠であってもよい。任意選択で、所定の状態は、特定の体位におけるレム睡眠またはノンレム睡眠であってもよい。
代替的または追加的に、所定の状態は、下顎変位装置を対象の歯に固定した睡眠であってもよい。任意選択で、方法は、下顎変位装置が対象の歯に固定されたときを感知することを含むことができる。例えば、感知することは、対象の歯に加えられる力を検出するための力センサ、または下顎変位装置に供給されるエネルギーを測定することによって行ってもよい。
代替的または追加的に、方法は、対象が特定の体位で眠っていないとき、または下顎変位装置を対象の歯に固定して眠っていないとき、対象にアラームを発することを含み得る。代替的または追加的に、方法は、対象に関連するデータファイルに表記法を提供することを含むことができる。
代替的または追加的に、所定の閾値は約4時間であってもよい。
代替的または追加的に、睡眠調査は診断的睡眠検査であってもよく、対象から得る生理学的情報をモニタすること、及び生理学的情報を分析して、睡眠時呼吸障害状態の対象を診断することを含む。睡眠時呼吸障害状態は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、吸気流量制限(IFL)、高上気道抵抗(HUAR)、上気道抵抗症候群(UARS)、またはいびきであってもよい。
代替的または追加的に、睡眠調査が、口腔内装置療法のためのタイトレーションであってもよく、対象の口腔内に調整可能な下顎変位装置を位置決めすること、対象から得る生理学的情報をモニタすること、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整すること、及び生理学的情報を分析して口腔内装置療法の結果を評価することを含む。口腔内装置療法の結果が、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測であってもよい。
睡眠調査の状態に資格を付与するための例示的なシステムも、本明細書に記載されている。システムは、対象からの1つまたは複数の生理学的入力信号を感知するように構成されたモニタリングユニットと、制御ユニットとを含むことができる。制御ユニットは、処理ユニットと、処理ユニットに動作可能に接続されたメモリとを含むことができる。さらに、メモリは、処理ユニットによって実行されたときに、システムが、睡眠調査の状態に資格を付与する動作を行うようにさせる、記録されたコンピュータ実行可能命令を有していてもよい。本開示は、システムが、睡眠調査の状態に資格を付与するための動作を含む、本明細書に記載の動作のいずれかを行うよう構成し得ることを企図している。
任意選択で、睡眠調査は、診断的睡眠検査であってもよく、システムは、生理学的入力信号を分析して睡眠時呼吸障害状態の対象を診断するよう構成し得る。睡眠時呼吸障害状態は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、吸気流量制限(IFL)、高上気道抵抗(HUAR)、上気道抵抗症候群(UARS)、またはいびきであり得る。
任意選択で、睡眠調査は、口腔内装置療法のためのタイトレーションであってもよく、システムは、対象の口腔内に位置決めされるように構成された下顎変位装置を含んでいてもよい。また、システムは、口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うよう構成することができる。口腔内装置療法の結果が、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測であってもよい。
多目的睡眠検査プロトコルを実行するための例示的な方法も、本明細書に記載されている。方法は、下顎変位装置と、対象から得る生理学的情報を測定するための1つ以上のセンサとを含む睡眠検査キットを提供することを含み得る。睡眠検査キットは、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルを行うように構成してもよい。また、方法は、診断的睡眠検査プロトコル中に睡眠検査キットを構成するための指示を対象に提供すること、診断的睡眠検査プロトコルを実行すること、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコル中に睡眠検査キットを構成するための指示を対象に提供すること、及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルを行うことを含んでいてもよい。さらに、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、診断的睡眠検査プロトコルの結果に依存して実行してもよい。
任意選択で、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、連続して自動的に行い得る。代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、対象の自宅などの非臨床現場において任意選択で行うことができる。
代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコルの結果は、任意選択で、呼吸イベントの尺度であり得る。例えば、呼吸イベントの尺度は、無呼吸または低呼吸の数、持続期間、頻度、重症度、または比率であり得る。
代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、単一睡眠セッションの間に実施してもよい。あるいは、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、異なる睡眠セッション中に行ってもよい。異なる睡眠セッションが同じ夜にあってもよい。異なる睡眠セッションが異なる夜にあってもよい。
代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコルは、対象から得る生理学的情報をモニタすること、及び生理学的情報を分析して、睡眠時呼吸障害状態の対象を診断することを含み得る。睡眠時呼吸障害状態は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、吸気流量制限(IFL)、高上気道抵抗(HUAR)、上気道抵抗症候群(UARS)、またはいびきであり得る。
代替的または追加的に、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、対象の口腔内に調整可能な下顎変位装置を位置決めすること、対象から得る生理学的情報をモニタすること、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整すること、及び生理学的情報を分析して口腔内装置療法の結果を評価することを含むことができる。口腔内装置療法の結果は、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法のための最適突出レベルの予測であってもよい。
代替的または追加的に、方法は、対象に関する診断情報を受信することを含み得る。診断情報は、口腔内装置療法の結果を確立するため、または口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルのパラメータを設定するために使用し得る。任意選択で、診断情報は、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度、呼吸イベントの分布、不飽和度のレベル、診断的睡眠調査中の対象の体位、診断的睡眠調査中の睡眠段階、対象の身体的特徴、対象の病歴、または対象の症状を含むがそれらに限定されない、対象に関する任意の情報であってもよい。
多目的睡眠検査プロトコルを実行するための例示的なシステムも、本明細書に記載されている。システムは、対象の口腔内に位置決めされるように構成された下顎変位装置と、対象から得た1つ以上の生理学的入力信号を感知するように構成されたモニタリングユニットと、制御ユニットとを含むことができる。制御ユニットは、処理ユニットと、処理ユニットに動作可能に接続されたメモリとを含み得る。さらに、メモリは、処理ユニットによって実行されたときに、システムが、多目的睡眠検査プロトコルを実行するための動作を実行するようにさせる、記録されたコンピュータ実行可能命令を有していてもよい。本開示は、システムが、多目的睡眠検査プロトコルを実行するための動作を含む、本明細書に記載の動作のいずれかを行うよう構成し得ることを企図している。
口腔内装置療法の結果を評価するための別の例示的な方法が、本明細書に記載されている。方法は、口腔内装置療法の所望の結果基準を受信すること、口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うこと、所望の結果基準に基づいて口腔内装置療法の結果を確立するための予測プロトコルを選択すること、及び選択された予測プロトコルに従って口腔内装置療法の結果を確立することを含み得る。任意選択で、方法は、所望の結果基準に基づいて検査プロトコルを選択することを含んでいてもよく、口腔内装置療法のためのタイトレーションは、選択された検査プロトコルに従って行ってもよい。
上記の主題はまた、コンピュータ制御可能な装置、コンピュータプロセス、コンピュータシステム、またはコンピュータ可読記憶媒体などの製造品として実装してもよいことを理解されたい。
他のシステム、方法、特徴及び/または利点は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者に明白になるであろうし、または明白になり得る。このような付加的なシステム、方法、特徴及び/または利点のすべてがこの説明の中に含まれ、添付の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。
図面の構成要素は、必ずしも互いに対して縮尺を合わせてはいない。いくつかの図面で、同様の参照符号が対応する部分を示している。
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及び材料と類似または同等の方法及び材料は、本開示の実施または検証において使用することができる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される「comprising(含む)」という用語及びその変形は、「including(含む)」という用語及びその変形と同義で使用され、オープンで非限定的な用語である。口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための実施態様について説明するが、実施態様がそれに限定されないことは当業者には明らかであろう。
本明細書では、口腔内装置療法のためのタイトレーションをするため、または1つ以上のタイトレーションを行うための方法、システム及び装置が提供される。タイトレーションは、対象の下顎を再配置する効果を評価するために使用することができる。任意選択で、タイトレーションは、口腔内装置療法の結果を評価するために使用することができる。任意選択で、タイトレーションは、口腔内装置療法による治療結果の予測をすることができる。タイトレーションは、口腔内装置療法を処方するか施す前に実施する分析であり得る。代替的または追加的に、タイトレーションを定期的に実施して、口腔内装置療法の治療効果を評価、再評価または最適化することができる。口腔内装置療法に適切な候補者、例えば呼吸障害の数が所定の閾値を下回る候補者、または適切な治療効果をもたらしたと考えられるレベルまで閉塞が低減または排除された候補者を特定するために、タイトレーションを任意選択で使用することができる。また、タイトレーションは、任意選択で、口腔内装置療法に対して適切な治療効果をもたらすと考えられる下顎の臨床的に有益な向きまたは下顎の目標の位置決めを特定するために使用し得る。例えば、下顎の目標の位置決めは、呼吸障害及び閉塞を許容レベルまで低減または排除する有効突出レベルであり得る。また、任意選択で、タイトレーションを使用して、口腔内装置療法のための下顎の最適な目標の位置決めを特定することもできる。タイトレーションは、任意選択で、対象の上顎に対する下顎の位置及び/または向きを評価することを含む。タイトレーションは、対象からのフィードバック信号(例えば、呼吸気流、酸素飽和度、音など)をモニタすることを任意選択で含むことができ、またはそれと併せて利用することができる。タイトレーションは、上顎に対する下顎の1つ以上の位置及び/または向きで、任意選択で実施することができる。タイトレーションは、任意選択で、例えば様々な咬合の隔たりを有して口腔内装置を使用して行われるタイトレーションや、様々な体位で眠っている対象で実施されるタイトレーションなどで実施される、異なる条件下で、2回以上のタイトレーション中に得られた下顎の目標の位置決めを比較するために使用することができる。
対象の下顎の位置及び/または向きは、タイトレーションの間(例えば、タイトレーション中に自動的に)、または同じタイトレーションの各々の別個のタイトレーションもしくは別個の検査期間の開始時に調節することができる。睡眠障害または状態の1つまたは複数の症状または徴候を、低減または排除するような下顎の目標の位置決めは、対象に治療効果をもたらす特定の位置(例えば、特定の突出レベル)として提供することができる。代替的には、目標の位置決めは、対象が治療的処置を受ける治療領域または位置の範囲として提供することができる。治療領域は、対象の気道における最適な再配置以外の位置の影響を記述するマップとして提供することもできる。
臨床的に有益な向きまたは有効な目標の位置決めは、タイトレーションシステムの使用によって、睡眠検査で、任意選択で予め判定することができる。このシステムは、臨床的に有益な向きを表すデータセットを得るために使用される。例えば、システムは、一時的な口腔内装置を対象の歯に適合させ、対象が寝ている間に対象の下顎を上顎に対して前後方向に漸進的かつ可逆的に進ませ、生理学的データを収集することによってデータセットを得るために使用する。このシステムは、上述したRCMP装置などの調整可能な下顎変位装置(例えば、タイトレーション装置)を含み得る。タイトレーション装置は、閉塞を除去すべく下顎の最適位置をタイトレーションするために使用できる。タイトレーション装置は、フィードバック信号(例えば、呼吸気流、O2飽和度、音など)が閉塞の除去を示すまで下顎を前進させるため、技術者により臨床現場において使用することができる。あるいは、タイトレーション装置は、フィードバック信号に基づいて自動的に位置を調整するために、自動化されたアルゴリズムを使用して、(例えば、技術者による措置なしで)自動的に調整することができる。任意選択で、タイトレーションが非臨床現場、例えば対象の自宅で行われる場合などで、技術者が完全に不在であってもよい。任意選択で、遠隔制御式の下顎変位装置を技術者の措置なしで調整しながら、技術者がタイトレーションの間に居て対象を任意選択で観察することができる。任意選択的に、技術者が何らかのレベルで参加するかモニタリングしてタイトレーションを誘導または制御する、自動的なアルゴリズムを利用する臨床設定で、技術者はタイトレーション装置を操作することができる。これらのデータは、下顎が上顎に対して臨床的に有益な向きにあるときから得るデータセットを確立するために使用することができる。
本明細書で論じるように、検査期間は、対象が眠っている間であってもよい。対象が眠っている間に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うことには利点がある。対象が眠っている間が検査期間である場合、複数の状態(例えば、側臥位または仰臥位の睡眠、レム睡眠またはノンレム睡眠、閉塞している期間など)でデータを収集することが可能であり、状態は夜間に変わり得るものである。これらの状態には、対象の最悪の閉塞のケースが含まれ得る。さらに、対象が眠っている間が検査期間である場合、タイトレーション中の対象の気道の解剖学的形態及び機能は、口腔内療法が適用されるときの対象の気道の解剖学的形態及び機能と同じである。例えば、睡眠中、筋肉は様々な緩和状態にあり、それが対象の気道の構成及び応答に影響を及ぼす。検査期間は、単一の睡眠セッションにすることができる。本明細書で使用される場合、睡眠セッションは、測定された睡眠の持続時間(例えば、約4時間)、十分な量及び/または質のデータの受信(例えば、患者の下顎の全運動範囲を探求すること)、患者の自発的行為(例えば、患者が目を覚まして調査を終える)、またはそれらの組み合わせにより定義することができる。任意選択で、検査期間は複数の睡眠セッションを含み得る。代替的または追加的に、検査期間及び/または1つ以上の睡眠セッションは、少なくとも4時間であり得る。4時間は例で挙げたものであり、睡眠セッション(複数可)は持続時間が4時間より長くても短くてもよいということを理解されたい。任意選択で、4時間は連続的(例えば、中断なし)であってもよく、または複数の断片化した期間から構成されて、合わせて最低の4時間に等しくなるようにしてもよい。検査期間は、任意選択で、一晩未満の持続時間を有することができ、または任意選択で夜間全体の持続時間を有することもできる。タイトレーションは、任意選択で複数の検査期間を含むこともできる。各検査期間中のタイプ及び条件は、任意選択で多検査期間計画として決定することができる。多検査期間計画は、所望の結果及び/または患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)に基づいて、検査の開始前に任意選択で決定することができる。検査のプロトコルのタイプ及び条件を含む多検査期間計画は、検査中の変数の分析によって、計画の実行中に任意選択で決定及び/または調整することができる。多検査期間計画におけるタイトレーションの最終評価は、多検査計画中の1つ以上の検査から、または検査外で判定した患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)から得た変数の分析によって、判断することができる。また、多検査期間計画は、任意選択で検査期間の終了時に調査資格付与の判断の影響を受けることもある。タイトレーション検査は、任意選択的に、同じ装置の少なくとも一部を使用しながら、異なる検査の種類に関連付けることができる。例えば、異なる検査の種類は、対象が口腔内装置タイトレーション検査を受けるべきかどうかを決定するために使用できる診断検査があり得る。診断検査は、任意選択で、口腔内装置療法の不在下で(例えば、対象の口腔内に下顎変位装置を配置することなく)行うことができる。代替的または追加的に、診断検査を用いて、タイトレーション検査のための1つまたは複数の患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)を測定することができる。
本開示は、本明細書に記載の技術が、1)調整可能な下顎変位装置を制御するためのリアルタイム分析、及び2)口腔内装置療法の結果を予測するための別個の分析を、任意選択で採用し得ることを企図している。任意選択で、別個の分析は、オフラインで、または睡眠セッションもしくは睡眠調査の終了時に行うことができる。言い換えれば、調整可能な下顎変位装置は、検査期間中に収集されるデータに応答して(例えば、生理学的応答)、リアルタイムで制御できる。本明細書では、突出レベルの増加/減少、呼吸気流の最適化、静的、動的または精緻化プロトコル、及び/または図3に関して記載する動作(例えば、突出レベルが、検出された呼吸イベントに応答して制御される)を含むがこれらに限定されない、例示的なリアルタイムで調整可能な下顎変位装置制御技術が、説明される。任意選択で、調整可能な下顎変位装置制御技術を選択して、特定のタイプの情報を収集することができる。例えば、動的制御プロトコルを選択して、複数の突出レベルでデータを収集して、最適突出レベルを特定するようにし得る一方で、静的制御プロトコルを選択して、最適突出レベルの予測を確認することができる。あるいは、2つの異なるタイプのデータセットを収集するために、2つの異なる制御プロトコルを選択することができる。任意選択的に、異なるデータセットは異なるタイプの変数を含み得る。種々の調整可能な下顎変位装置制御技術を、異なる検査期間中に使用できることを理解されたい。
さらに、口腔内装置療法の結果(例えば、最終分析または最終評価)を、1つまたは複数の検査期間中に収集されたデータに基づいて予測することができる。収集されたデータは、(例えば、図12で示すように)1つ以上の検査期間に関連する変数の1つ以上を含み得るが、これに限定されない。言い換えれば、収集されたデータは、複数の異なる検査期間中に収集されたデータを含むことができ、その各々は任意選択で異なる調整可能な下顎変位装置制御技術を使用し、収集されたデータのセット全体に基づいて、最終分析を予測することができる。任意選択的に、この分析は、1つまたは複数の検査期間の終了後にオフラインで行うことができる。さらに、本明細書に記載するように、最終分析は、口腔内装置療法の結果を予測するために1つ以上の技術を使用することができる。例えば、最終分析は、機械学習技術を任意選択で採用することができる。機械学習技術の例としては、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、AdaBoost、ランダムフォレストなどがある。機械学習技術は、口腔内装置療法の結果を予測するように訓練することができる。本開示は、1つまたは複数の特定の結果(例えば、AHI<10、ODI<10、またはベースラインから50%減でODI<10)に対するデータセットを使用して、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、AdaBoost、ランダムフォレストなどを訓練できることを企図している。訓練された機械学習モジュール(複数可)(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、AdaBoost、ランダムフォレスト)は、計算装置(例えば、図1Bの計算装置50)によって実行することができる。本明細書で説明するように、所望の結果に基づいて、複数の訓練された機械学習モジュール(例えば、予測プロトコル)から選択することが可能である。その後、1つまたは複数の検査期間に関連する変数の1つまたは複数を、訓練された機械学習モジュール(複数可)に入力することができ、機械学習モジュール(複数可)は、口腔内装置療法の結果の予測を出力することができる。口腔内装置療法の結果を予測するために設計される例示的な決定木及び/またはランダムフォレストを以下に説明する。
例示的なタイトレーションシステム
ここで図1Aを参照すると、本明細書で論じる実施態様による調整可能な下顎変位装置10(例えば、タイトレーション装置)が示されている。遠隔制御式の調整可能な下顎変位装置は、当該技術分野で知られている。例えば、米国特許第5,826,579号には、技術者によって制御される遠隔制御式の下顎リポジショナが記載されており、米国特許第6,273,859号には、コンピュータによって適合するよう制御される遠隔制御式の下顎リポジショナが記載されている。さらに、国際公開第2014−159236号パンフレットには、例えば対象の自宅といった非臨床的な環境などにおいて、無人で口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うことができる自動制御式の下顎ポジショナが記載されている。図1Aに示す調整可能な下顎変位装置10に関して本明細書で実施態様を論じているが、他のタイトレーション装置が企図されていることを理解されたい。例えば、タイトレーション装置は、下顎を再配置することのできる任意の装置であり得る。
図1Aに示すように、調整可能な下顎変位装置10は、上側トレイ18と下側トレイ20とを含む。上側トレイ18と下側トレイ20は、上側ブラケット12と下側ブラケット14に各々取り付け可能である。さらに、調整可能な下顎変位装置10は、ブラシレスDCモータ及びリニアアクチュエータなどのモータ及びリニアアクチュエータを含み、それらはハウジング5に設けられている。モータ及びリニアアクチュエータの仕様は、(例えば、最大12mmの下顎の突出をもたらす)最大の移動距離、及び/または(例えば、2.5kgの)対象の歯に加えられる最大量の力などを制限するよう選択できる。モータ及びリニアアクチュエータは、上側ブラケット12及び下側ブラケット14の相対的な位置を正確に調整するように構成されている。さらに、上側ブラケット12及び下側ブラケット14は、手動で機械的に調節して、上側トレイ18及び下側トレイ20を、対象の下顎の完全に後退する位置から非常に近くに位置決めする。完全に後退する位置は、タイトレーション前の臨床訪問中の調査により判定することができる。したがって、タイトレーションの開始時に、リニアアクチュエータは、下顎が完全に後退するときに完全に退く位置に設定することができる。DCモータ及びリニアアクチュエータを作動させることによって、上側ブラケット12及び下側ブラケット14の相対的な位置、したがって、上側トレイ18及び下側トレイ20の相対的な位置を調整することが可能である。これは、対象の下側の顎(下顎)を対象の上側の顎(上顎)に対して突出させるか、後退する力を働かせる。
上側トレイ18及び下側トレイ20は、対象の上歯及び下歯用に製作することができる。これにより、上側トレイ18と下側トレイ20を対象の歯に緊密に嵌合させることができ、その結果最小量の材料が歯の内側の面を占め、舌の空間への侵食が最小限に抑えられる。これは、タイトレーションの高い精度の予測をもたらすよう促す。なぜならば、タイトレーション中の口内力学が、カスタムで嵌合させる治療用の口腔内装置を使用するときに起こることを模倣しないよう、舌の空間への侵食が舌の位置を修正するからである。
ここで図1Bを参照すると、タイトレーションシステムのブロック図が示されている。このシステムは、調整可能な下顎変位装置10(図1Aにも示されている)、モニタリングユニット30、下顎変位装置用コントローラ40、及び計算装置50を含み得る。図1Bに示すシステムは、単なる1つの例示的なシステムであり、さらなるまたはより少ない特徴を含むシステムを提供することができることを理解されたい。例えば、タイトレーションシステムは、システムの構成要素への遠隔でのアクセスをもたらすために、クラウドコンピューティング環境で実装することができる。クラウドコンピューティングは、最小の対話でプロビジョニング及びリリースできる設定可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなど)の共有プールへのネットワークアクセスを可能にするためのモデルである。クラウドコンピューティングモデルは、高可用性、オンデマンドセルフサービス、ブロードネットワークアクセス、リソースプーリング、及び迅速な弾力性を促進する。また、調整可能な下顎変位装置10、モニタリングユニット30、下顎変位装置用コントローラ40及び計算装置50を接続する通信リンクは、限定されないが、有線、無線及び光通信リンクを含むデータ通信を促す任意のタイプの通信リンクであり得ることも理解されたい。例えば、調整可能な下顎変位装置10は、非常に可撓性のある細いワイヤを介して、例えば下顎変位装置用コントローラ40に通信可能に接続することができ、それを介して制御信号を含むデータが、調整可能な下顎変位装置10のモータ及びリニアアクチュエータと、下顎変位装置用コントローラ40との間で通信される。タイトレーションの間、下顎変位装置用コントローラ40は、例えば、ベッドサイドテーブルに置いてもよい。
さらに、下顎変位装置用コントローラ40は、計算装置50と通信接続することができる。計算装置50は、任意選択で、単一装置として下顎変位装置用コントローラ40と一体化することができる。計算装置50は、任意選択でラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレット装置、または任意の他のタイプの携帯型計算装置など、任意のタイプの計算装置であってもよい。例えば、下顎変位装置用コントローラ40は、調整可能な下顎変位装置10の位置を含むデータを計算装置50に通信するように構成することができる。計算装置50は、対象の自宅または治療用施設内のベッドサイドまたは他の場所のように、対象の近くに位置しても、製造業者の敷地のように、遠隔地に位置して、ネットワーク(例えば、インターネット)を介してアクセスできてもよい。任意選択で、計算装置50及び/または下顎変位装置用コントローラ40の諸態様、例えば下顎変位装置の位置決めを制御するものなどは、局所的に配置することができるが、その一方で、計算装置50及び/または下顎変位装置用コントローラ40の他の諸態様、例えば次の検査期間にどのプロトコルを実行するかの決定を行うものなどは、遠隔に配置できる。計算装置50は、以下で詳細に説明するように、データを記憶し処理するように構成することができる。計算装置50は、制御信号を含むデータを下顎変位装置用コントローラ40に伝えるように構成することもできる。
さらに、モニタリングユニット30は、計算装置50と通信可能に接続することができる。あるいは、モニタリングユニット30は、下顎変位装置用コントローラ40及び/または計算装置50と同じユニットの一部であってもよい。モニタリングユニット30は、1つまたは複数の生理学的入力信号を収集することができ、モニタリングユニット30は、記憶及び/または処理のために、受信した生理学的入力信号を計算装置50に通信することができる。生理学的入力信号は、呼吸気流、酸素飽和度、対象の歯に対する力、腹部の力、脳の信号、睡眠段階、睡眠時の体位、対象によって生成される音響エネルギーまたは振動などを含み得るが、これらに限定されない。これらは、標準的な睡眠ポリグラフ記録または携帯型睡眠モニタに適用されるような機器を介して対象から直接受信することができる。あるいは、生理学的入力信号は、タイトレーション装置(例えば、頭の位置を検出するための3D加速度計、歯に加えられた力を検出するための力センサ、顎の振動を検出するための加速度計、及びいびきを検出するためのマイクロフォン)に配置されるセンサからの受信を含む。また、計算装置50は、制御信号を含むデータをモニタリングユニット30に通信するように構成することもできる。
対象の生理学的データのモニタリング
上述したように、対象から得る生理学的情報をモニタ(または収集、測定、検出など)することが可能である。例えば、対象の生理学的情報は、口腔内装置療法のためのタイトレーション中にモニタすることができる。タイトレーションの間に、いくつかの生理学的入力信号またはデータを対象から受信することができる。例えば、図1Bに関して上述したように、モニタリングユニット30は、1つまたは複数の生理学的入力信号を収集することができ、モニタリングユニット30は、記憶及び/または処理のために、受信した生理学的入力信号を計算装置50に通信することができる。生理学的入力信号は、呼吸気流、酸素飽和度、腹部の運動、脳の信号(EEG)、対象の歯に対する力、睡眠段階、睡眠時の体位、対象が発生させた音響エネルギーまたは振動などを含み得るが、これらに限定されない。これらは、標準的な睡眠ポリグラフ記録または携帯型睡眠モニタに適用されるような機器を介して、対象から直接受信することができる。例えば、生理学的入力信号には、鼻内気流における圧力を記録する鼻プロングで記憶されるような呼吸気流指数、脳波(EEG)、眼球電図(EOG)、頤下の筋電図(EMG)、心電図(ECG)、動脈血酸素飽和度(酸素飽和度)、胸郭及び腹部の体積偏移、いびき音、振動、力の測定、及び体位を含み得る。気流などの生理学的入力信号は、各鼻孔から別々に気流を測定するような独自に設計された鼻プロングで記録することができる。さらに、生理学的入力信号は、声門上の空間に位置決めされる、水で満たしたカテーテルを介する声門上の圧を含み得る。生理学的入力信号の信号は、ポリグラフ(及び/または磁気記録媒体)に記録し、睡眠技術者に表示することができる。代替的または追加的に、生理学的入力信号の信号を記録し、タイトレーション装置に直接記憶することができる。さらに、生理学的入力信号は、睡眠技術者に表示することができ、及び/またはタイトレーション中にタイトレーションシステムが使用することができる。
呼吸イベントの検出
上述のように、口腔内装置療法のためのタイトレーションをするため、または1つ以上のタイトレーションを行うためのシステム及び装置が提供される。口腔内装置療法のためのタイトレーションの間、対象は1つ以上の呼吸イベントを経験し得る。任意選択的に、履歴データ(例えば、睡眠ポリグラフまたは自宅での調査の間に収集されたデータ)のオフライン定量分析とは対照的に、1つ以上の呼吸イベントを、例えばリアルタイムで検出することができる。任意選択で、1つまたは複数の呼吸イベントが、技術者からの入力を伴ってまたは伴わずに自動的に検出され得る。任意選択的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、呼吸イベントの検出に応答して制御することができる。呼吸イベントは、一時的な低呼吸または呼吸の障害である。呼吸イベントは時間が限られており、例えば、開始と終了がある。呼吸イベント中、対象の生理学的システムは定常状態にない。例えば、対象からの1つ以上の生理学的入力信号(例えば、呼吸気流、酸素飽和度など)は、呼吸イベント中に変化する。生理学的入力信号は、介入なしに変更し得る。対象は、呼吸イベントの間に覚醒する可能性があり、それにより呼吸イベントが終了する可能性がある。対照的に、定常状態の呼吸中は、正常な量の呼吸抵抗が起こる可能性があり、それは介入によって、例えば下顎の操作によって変更することができる。呼吸イベントは、所定の基準(後述)に従って定義及び測定され得る。代替的または追加的に、呼吸イベントは、古典的な呼吸イベント(後述)であり得る。例えば、口腔内装置療法のためのタイトレーションの間に、呼吸イベントは、所定の基準に照らして、対象からの1つ以上の生理学的入力信号を比較することによって、検出することができる。任意選択的に、所定の基準は、古典的な呼吸イベントを定義する基準と同じであっても異なっていてもよい。任意選択的に、口腔内装置療法のためのタイトレーション中に用いる所定の基準は、検査期間で得るデータの評価で使用する所定の基準と、同じであっても異なっていてもよい。
任意選択的に、呼吸イベントは、呼吸気流、酸素飽和度、いびき音、振動などの変化のような単なる閉塞の形跡だけでなくてもよい。呼吸イベントは、所定の基準に従って定義及び測定され得る。呼吸イベントには、所定の基準に照らして測定される呼吸のいかなる中断をもが含まれる。任意選択的に、呼吸イベントは、生理学的入力信号(例えば、気流、酸素飽和度、いびき音、振動など)と基準値との間の差を計算し、その差を閾値(例えば、所定の基準のうちの少なくとも1つ)と比較することによって検出される。以下に論じる生理学的情報は、生理学的入力信号の1つ以上を含み得る。基準値は、例えば、任意選択で、計算したベースライン値またはリアルタイムでの値などであってもよい。例えば、呼吸イベントは、米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Physicians)によって確立されたガイドラインに従って任意選択で定義及び測定し得る。代替的または追加的に、所定の基準は、臨床組織によって確立され、許容可能な臨床基準として公表されているものでも、対象群または個々の対象に対し独立して決定されたものでもよい。例えば、所定の基準は、以前の睡眠検査の間に得られ、個々の対象及び/または対象群についてカスタマイズされたデータから確立することができる。代替的または追加的に、所定の基準は、例えばゴールドスタンダードを利用してニューラルネットワークを訓練することによって、実験的な方法により決定することで、設けることができる。睡眠検査は、任意選択で、タイトレーション検査もしくは睡眠ポリグラフ研究、または睡眠時呼吸障害の診断及び評価に使用される携帯型睡眠モニタを用いた調査であり得る。所定の基準は、タイトレーションシステム内に、任意選択でプログラムすることができる。
一般的に知られている呼吸イベント(すなわち、古典的な呼吸イベント)は、無呼吸(例えば、閉塞性無呼吸、中枢性無呼吸、混合性無呼吸)、低呼吸、呼吸努力関連覚醒(RERA)及び流量が制限された呼吸、チェーンストークス呼吸、低喚起状態、いびき、酸素飽和度低下イベント及び流量が制限された呼吸が含まれる。呼吸イベントの判定は、ベースラインまたは基準値からの変化を必要とする可能性がある。ベースラインまたは基準値は、リアルタイムで計算することができる。呼吸イベントの持続時間は、秒(例えば、無呼吸や低呼吸などで5〜120秒)から分(例えばRERAで、例えば2〜30分以上)まで変化し得る。古典的な呼吸イベントの定義については後述する。例えば、無呼吸は、イベントの少なくとも90%の間、前述の気流減少が存在する状態で、10秒以上の持続時間を有する、ベースラインから90%を超える呼吸気流の減少として定義することができる。中枢性無呼吸イベントは、呼吸努力がない可能性がある。低呼吸は、ベースラインから血中酸素が少なくとも4%減少すると共に、前述の気流の減少がイベントの少なくとも90%に存在する状態で、10秒以上持続時間がある、ベースラインからの30%超の気流の減少であり得る。あるいは、低呼吸は、血中酸素の減少がベースラインから3%であることを除いて、上記の通りであってもよい。
本明細書で論じられる呼吸イベントは、古典的な呼吸イベントに限定されていない。例えば、上述したように、口腔内装置療法は、古典的な呼吸イベントを含む呼吸イベントの発生を低減及び/または排除するために使用できる。言い換えれば、有効な口腔内装置療法は、古典的な呼吸イベントの発生を低減及び/または排除する。口腔内装置療法のためのタイトレーションの間に、古典的な呼吸イベントを含むがこれに限定されない呼吸イベントが検出される場合があり、呼吸イベントの検出に応答して措置をとることができる。例えば、所定の基準に従って呼吸イベントを定義及び測定することができる。上述のように、所定の基準は、個々の対象及び/または対象群について確立されているのみならず、臨床組織または臨床的エビデンスによって確立され得る。
ここで図2Aを参照すると、呼吸イベントを検出するための例示的な動作200Aを説明する流れ図が示されている。具体的には、図2Aは、酸素飽和度と呼吸気流との組み合わせを含む所定の基準を使用して呼吸イベントを定義及び測定するための、例示的な動作200Aを示す。任意選択で、呼吸イベントを検査期間中にリアルタイムで定義及び測定することができる。例えば、202において、1つ以上の生理学的入力信号を対象から受信することができる。生理学的入力信号は、呼吸気流及び酸素飽和度を含み得る。203において、呼吸気流に関する基準と酸素飽和度に関するベースラインは、任意選択で、202で受信した入力信号で更新してもよい。ベースライン及び基準呼吸気流、及びベースライン酸素飽和度を計算するための例示的な方法については後述する。204において、少なくとも1つの酸素飽和イベントが、受信された生理学的入力信号に基づいて検出され得る。例えば、203で更新されたベースライン酸素飽和度からの偏差に基づいて、酸素飽和イベントを検出することができる。さらに、206において、少なくとも1つの呼吸気流イベントを、受信した生理学的入力信号に基づいて検出することができる。例えば、203で更新された基準気流からの偏差に基づいて、呼吸気流イベントを検出することができる。次に、208において、酸素飽和イベント及び呼吸気流イベントを整合させることができる。210において、酸素飽和イベント及び呼吸気流イベントがある期間内に検出された(例えば、イベントが所定のタイムラグ内に発生する)かどうかについての判定が行われる。例えば、呼吸気流イベントが検出された後の所定の時間内に酸素飽和イベントが検出されたかどうかの判定を行うことができる。YESであれば、212Aにおいて、整合させた酸素飽和イベント及び呼吸気流イベントが呼吸イベントとして分類される。NOの場合、212Bにおいて、整合させた酸素飽和イベントと呼吸気流イベントは、呼吸イベントとして分類されない。酸素飽和イベントと呼吸気流イベントを整合させた後、呼吸イベントを重症度で分類することができ、これはリアルタイムでも起こり得る。言い換えれば、酸素飽和イベントと呼吸気流イベントを検出及び整合させ、呼吸イベントを分類するステップと同時に、生理学的入力信号を対象から収集することができる。本明細書で論じる実施態様によれば、対象からの1つまたは複数の生理学的入力信号を引き続き受信することが可能で、これは後続の呼吸イベントを特定し、ベースライン及び/または基準値を更新するために使用される。
任意選択的に、整合させた酸素飽和イベント及び呼吸気流イベントは、検査期間後の呼吸イベントとして分類することができる。例えば、酸素飽和イベント及び呼吸気流イベントは、検査期間全体から得たデータから計算された、ベースラインまたは基準値との差として検出できる。
酸素飽和イベントは、ベースラインの酸素飽和度から少なくとも最小量の酸素飽和度が減少することであり得る。例えば、最小量は約1.5%とすることができる。この場合、酸素飽和度が、ベースラインの酸素飽和度から1.5%超の量だけ減少すると、酸素飽和イベントが検出される。ベースラインの酸素飽和度を計算するための例示的な方法を以下に示す。本開示は、当業者が別の方法でベースラインの酸素飽和度を計算できることを企図している。任意選択で、ベースラインの酸素飽和度を移動平均として計算することができる。したがって、ベースラインの酸素飽和度は、タイトレーション中にリアルタイムで個々の対象について任意選択で計算することができる。例えば、移動平均を計算することは、移動平均期間中に複数の酸素飽和度サンプルを受信することを含み得る。酸素飽和度は、任意選択で、1Hzでサンプリングする(例えば、毎秒1サンプル)ことができる。移動平均の期間は、例えば10秒などの任意の期間であってよい。移動平均の期間は、任意選択で10秒より長くても短くてもよい。次に、複数の酸素飽和度のサンプルのうちXパーセンタイル以内の酸素飽和度を有する複数の酸素飽和度サンプルの1つまたは複数を平均化することができる。Xパーセンタイルは、全酸素飽和度サンプルのうち、上位25パーセンタイル(例えば、75パーセンタイル以内)とすることができる。酸素飽和度サンプルの1つ以上を移動平均から除外し得ること(例えば、Xパーセンタイル外の酸素飽和度を有する酸素飽和度サンプル)を理解されたい。
代替的または追加的に、酸素飽和イベントを検出することは、最小量以上の酸素飽和度のリアルタイム値の減少を検出することを含み得る。換言すれば、ベースラインの酸素飽和度から計算される減少でなくても使用することができる。例えば、最小量は1.5%とすることができる。代替的または追加的に、酸素飽和イベントは、酸素飽和度の上昇が後続する酸素飽和度の複数の連続的な減少によって達成される、閾値の大きさの減少とすることができる。上述したように、酸素飽和度は、任意選択で、1Hzでサンプリングする(例えば、毎秒1サンプル)ことができる。例えば、酸素飽和度の複数の連続的な減少は、少なくとも3つの連続した減少を含み得、その各々は最小の0.5%減少する。したがって、酸素飽和イベントは、酸素飽和度が上昇するサンプルが後続する、連続的に酸素飽和度が減少する3つの酸素飽和度サンプルとすることができる。
対象の鼻内気流の圧力を検出する鼻プロングを使用して、呼吸気流を検出することができる。検出された圧力は、例えば、対象の鼻内気流における絶対圧(例えば、圧力から周囲圧力をひく)とすることができる。任意選択的に、対象の各鼻孔の圧力は別々に収集することができ、呼吸気流は、対象の各鼻孔について別々に収集した圧力の変換とすることができる。例えば、変換は、対象の各鼻孔について別々に収集された圧力信号(例えば絶対圧)の平方根の和であってもよい。
ベースラインの呼吸気流は、呼吸を特徴付けるために使用される。例えば、ベースラインの呼吸気流は、吸気の限界と測定値を判定するために使用される。ベースラインの呼吸気流は、例えば20分のような比較的長い期間にわたって計算された平均気流である。任意選択的に、ベースラインの呼吸気流は、以下に説明するように、対象の鼻孔内の鼻プロングによって検出される平均圧力であり得る。ベースラインの呼吸気流を使用して、圧力信号が「ゼロ」である点を特定することができ、その点で各呼吸の開始及び終了が特定される。
ベースラインの呼吸気流を使用して、各呼吸の開始及び終了を特定することができる。吸息の開始及び終了は、一呼吸毎の分時換気量及び/またはピークの気流を計算するために必要である。ベースラインの呼吸気流を計算するための例示的な方法を以下に示す。本開示は、当業者が別の方法によってベースラインの呼吸気流を計算できることを企図している。例えば、ベースラインの呼吸気流は、移動平均として計算することができる。したがって、ベースラインの呼吸気流は、タイトレーションの間、リアルタイムで個々の対象について任意選択で計算することができる。移動平均を計算することは、移動平均期間中に複数の呼吸気流サンプルを受信することを含み得る。呼吸気流は、任意選択で、25Hzでサンプリングする(例えば、毎秒25サンプル)ことができる。移動平均期間は、ベースラインの呼吸気流を計算する場合、例えば、20分などの任意の期間でよい。移動平均期間は、任意選択で20分より長くても短くてもよい。したがって、移動平均は、複数の呼吸気流サンプルに基づいて、移動モード(例えば、最も一般的な値)として算出することができる。代替的または追加的に、移動平均を計算することは、移動平均期間中に複数の呼吸気流サンプルを受信すること、及び複数の呼吸気流サンプルに基づいて移動平均を移動中央値として計算することを含み得る。
次いで、検出された各呼吸の吸気間隔の開始及び終了を検出する手段を提供することによって、ベースラインの呼吸気流のリアルタイムでの計算を利用して、リアルタイムで呼吸イベントを検出することができる。吸息間隔の開始及び終了の検出が、ピーク気流の変化を測定するために使用される。ピーク気流の変化は、単一の呼吸または複数の呼吸について計算することができる。複数の呼吸は、任意選択で複数の連続する呼吸であってもよい。あるいは、ベースラインの呼吸気流をリアルタイムで計算することにより吸息間隔の開始と終了を検出することを利用して、一呼吸毎の分時換気量における変化を検出してもよい。一呼吸毎の分時換気量は、ある期間の移動平均値として検出することができる。呼吸気流イベントは、平均化した一呼吸毎の分時換気量の計算における、一呼吸毎の分時換気量の増加が続く基準呼吸気流から測定された単調な減少として、任意選択で検出することができる。基準呼吸気流は、例えば、単調な減少が開始する前の平均化された一呼吸毎の分時換気量の最後の値である第1の値と、戻り終えた値である第2の値を有する2つの値について、より小さいものとして計算され得る。あるいは、呼吸気流イベントは、ピークからピークまでの流量の変化として任意選択で検出することができる。
任意選択的に、基準呼吸気流は、例えば10秒のような期間にわたる呼吸気流の移動平均とすることができる。任意選択的に、基準呼吸気流は、1以上の呼吸の一呼吸毎の通気の平均であってもよい。任意選択的に、基準呼吸気流は、1以上の呼吸の平均化したピーク呼吸気流であってもよい。例えば、呼吸気流は、移動期間(例えば、10秒)中に平均化することができる。任意選択的に、基準呼吸気流は、対象の鼻孔内の鼻プロングによって検出された圧力に基づいていてもよい。基準呼吸気流を使用して、呼吸気流及び/または呼吸気流イベントの変化を検出することができる。
呼吸気流イベントは、基準呼吸気流に対して、呼吸気流の増加が続く単調減少であり得る。例えば、呼吸気流イベントは、基準の一呼吸毎の分時換気量に対して一呼吸毎の分時換気量の増加が続く単調減少であり得る。呼吸気流の減少と増加があまり単調でない場合には、基準呼吸気流を計算する際に最初の減少の一部を「持ち越し」することができる。
分時換気量の変化による呼吸イベントの検出は、呼吸の頻度と振幅の両方の変化を利用するので、より感応性がある。同様に、移動モードを計算することと比較して、移動中央値によりベースラインの呼吸気流を計算する方法には利点がある。例えば、呼吸パターンの相違は、移動モードにより大きな影響を及ぼす可能性がある。呼吸イベントを判定する際に気流を用いることは一般的ではない。なぜならそれは典型的には信頼できる正確な信号ではないからである。本明細書で提供される方法によれば、正確さ及び信頼性は、呼吸の開始及び終了が判定され得る信頼性のあるベースラインの気流の計算により高まる。さらに、対象の各鼻孔から別々に検出される呼吸気流は、夜間じゅう起きることが知られている鼻孔特異の気流の変化を考慮するため、より正確である可能性がある。さらに、口腔内装置のタイトレーション中の呼吸イベントの検出において気流を利用することが、より完全で信頼性が高い可能性があり、それはタイトレーション装置が口を通る呼吸気流を妨げるためである。このため、対象の鼻を通って取り込まれた空気は、対象の口から脱するのが困難となり、これによって、検出された呼吸気流がより完全で信頼できるものとなるのである。
上述したように、呼吸気流イベントが検出された後、酸素飽和イベントが所定のタイムラグ(例えば、固定したまたはカスタマイズしたタイムラグ)内に検出された場合、呼吸イベントが分類される。任意選択的に、所定のタイムラグは、すべての対象に対して固定され得る。例えば、所定のタイムラグは、約10〜40秒(例えば、25±15秒)の間であり得る。任意選択的に、所定のタイムラグ、または整合させる酸素飽和イベントと呼吸気流イベントとの間の期間は、対象固有の可能性がある。タイムラグは、その範囲(例えば、相関期間の幅)及びその中間点の値(例えば、相関ウィンドウの位置)に関して任意選択にカスタマイズすることができる。中間点の値は、酸素飽和イベントと前の呼吸気流イベントとの間の時間間隔を決定し、中間点の両側に均等に分布する範囲は、前の呼吸気流イベントが位置(すなわち、発生)しているに相違ない時間窓を決定し、その後の酸素飽和イベントと相関させるようにする。例えば、カスタマイズされたタイムラグは、ある期間中に収集された酸素飽和イベントと気流イベントとの間で、最大数の整合される呼吸イベントを提供するタイムラグであり得る。例えば、カスタマイズされたタイムラグは、遅延時間の多様な中間点の値について、各固定時間間隔の間に検出された呼吸イベントの数を合計することによって、特定することができる。例えば、開始した値の両側(例えば、±15秒)で30秒の範囲を有するイベントの数を計算し、それを連続する位置(例えば、開始時間間隔プラス1秒、2秒、3秒など)で同じ30秒の窓の間のイベントの数と比較して、最大数の呼吸イベントを伴う時間の位置を特定し、特定した時間間隔の両側の範囲(例えば、±15秒)を許容することである。例えば、最初に30秒の時間間隔を選択することができる。5〜35秒の整合させる時間間隔で検出されたイベントの数は、6〜36秒、7〜37秒などの整合させる時間間隔で検出されたイベントの数と比較し、最大数の呼吸イベントの間隔が許容される。また、カスタマイズされたタイムラグの判定は、相関ウィンドウの幅を変更することを伴い得る。カスタマイズされたタイムラグは、本明細書で説明する予測アルゴリズムで使用するために一定のタイムラグで収集されたデータの呼吸イベントを再スコアリングするとき、呼吸イベントのリアルタイムの分析またはオフラインで使用できるということを理解されたい。さらに、固定したタイムラグは、任意選択でデータ収集の第1段階で使用することができ、次いでカスタマイズされたタイムラグをデータ収集の第2段階で使用することができる。例えば、カスタマイズされたタイムラグは、第1夜に決定され、次いで第2夜に利用され得るか、カスタマイズされたタイムラグは、検査期間の第1の部分において決定され、次いで、同じ検査期間の第2の部分において利用し得る。カスタマイズされたタイムラグは、オフラインまたはリアルタイムで、任意選択で計算できる。あるいは、固定したタイムラグを用いてデータを収集し、次に呼吸応答を分析してカスタマイズされたタイムラグを判定することによって、個々の対象に対して所定のタイムラグをカスタマイズすることができる。この分析は、対象に対する口腔内装置療法のためのタイトレーションを行う前に実行することができる。代替的または追加的に、分析は、対象に対する口腔内装置療法のためのタイトレーションを行いながら実行することができる。
ここで図2Bを参照すると、呼吸イベントを検出するための例示的な動作200Bを説明する流れ図が示されている。具体的には、図2Bは、酸素飽和度により呼吸イベントを定義及び測定するための例示的な動作200Bを説明している。例えば、呼吸イベントは、リアルタイムまたはベースラインの酸素飽和度からの酸素飽和度の大きな減少のみに基づいて、任意選択で分類することができる。214において、少なくとも1つの生理学的入力信号を対象から受信することができる。生理学的入力信号は、例えば、酸素飽和度とすることができる。216において、少なくとも1つの酸素飽和イベントが、受信された生理学的入力信号に基づいて検出される。次に、218において、酸素飽和イベントが呼吸イベントとして分類される。具体的には、220において、酸素飽和度の低下が、リアルタイムまたはベースラインの酸素飽和度から少なくとも1つの所定の量を超えるかどうかに関する判定が行われる。例えば、所定の量は約6%とすることができる。YESの場合、酸素飽和イベントは呼吸イベントとして分類される。NOの場合、酸素飽和度のみを使用して呼吸イベントを検出することはできない。任意選択で、他の所定の基準を用いて呼吸イベントを検出することができる。例えば、呼吸イベントは、図2Aに関して上述したように、酸素飽和度と呼吸気流との組み合わせを含む所定の基準を使用して定義及び測定することができる。
ここで図2Cを参照すると、対象の呼吸気流を評価するための例示的な動作200Cを説明する流れ図が示されている。上述のように、呼吸気流は、対象の鼻内気流の圧力を検出する鼻プロングを使用して検出することができる。例えば、対象の各鼻孔に対して別々のチューブを有するカニューレを使用して、対象の各鼻孔から別々に呼吸気流を収集することができる。記録される圧力は、例えば、対象の鼻内気流における絶対圧(例えば、圧力からベースラインの圧力を引いたもの)であり得る。222において、呼吸気流を対象の各鼻孔から別々に収集することができる。224において、対象の各鼻孔からの圧力信号を検出することができる。次いで、226において、対象の各鼻孔から別々に受信した圧力信号を変換したものとして、対象の呼吸気流を計算することができる。例えば、変換は、対象の各鼻孔から別々に収集された圧力信号(例えば絶対圧)の平方根の和であってもよい。計算された呼吸気流は、ピーク呼吸気流、一呼吸毎の分時換気量、または他の任意の有用な尺度を推定するために使用できる。呼吸気流は、呼吸イベントの検出に使用される呼吸気流イベントを検出するために使用できるか、下顎の再配置の効果を評価するために使用できる。
代替的または追加的に、呼吸イベントを検出することは、吸気流量制限の発生を検出することを含み得る。この発生は、ゴールドスタンダードに対して訓練されたニューラルネットワークを用いて確立されたパラメータと比較することによって、判断することができる。入力信号は、酸素飽和度、呼吸気流、音響エネルギー(音)及び振動エネルギーのうちの少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせを含み得る。
タイトレーション装置の突出レベルの制御
本明細書で論じるように、突出レベルを制御することは、対象の下顎を上顎に対して、少なくとも1つの自由度で再配置することを含む。例えば、対象の下顎は、上顎に対して前後方向に動かすことができる。さらに、突出レベルを制御することは、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの自由度で、対象の下顎を上顎に対して再配置することを含む。例えば、対象の下顎は、咬合の開く量(例えば、顆の周囲の下顎の回転)及び/または歯の隔たり(例えば、顆の平行な分離)を調整することによって、上顎に対して動かすことができる。多次元タイトレーションのために、タイトレーション装置を用いて下顎の位置を複数の自由度で調整することができる。例えば前後方向で下顎の突出レベルを調整することに加えて、歯の咬合面の間を離すために位置を調整することができ、また、咬合の開く量を調整することもできる。これらの例で、治療の位置または臨床的に有益な向きが、任意選択で複数の変数で記述され、臨床的に有益な向きを含む治療領域が、任意選択で3次元マップとして提供される。
上述したように、前後方向で、上顎に対する下顎の突出距離を変えることができる(例えば、上顎に対する下顎の前後方向での並進)。前後方向での上顎に対する下顎の突出により、前咽頭筋が延び、咽頭が開く傾向がある。
対象の咬合の開き具合を変えて維持すること、つまり顆の周囲で下顎の回転運動をすることも可能である。この回転は、咬合を開き、下顎を後方及び尾側に変位させる。これは、いくつかの咽頭筋(例えば、頤舌筋、頤舌骨、茎突舌筋など)が直接的または間接的に下顎の前部領域に付着したため、睡眠時無呼吸を治療したことを暗示す。下顎の回転が咽頭の受動性の力学に与える影響から、回転により閉鎖の圧力が増加し、気道の最大断面積が減少することが実証されている。
顎関節(T−M)の関節には2つの主要な移動(例えば、並進(または突出)及び回転)があるが、さらに小さい垂直方向の調整形態も任意選択で利用される。平行分離(例えば、並進がない顆の尾側への移動)は限界があり(例えば、1〜3mm)、T−M関節面がわずかに分かれていることは、関節の正常な無負荷の状態を表している。したがって、下顎の突出した状況では、関節面を離すべきである。これは、長期間の配置または歯ぎしりの間、つまり面の並置によるT−M関節の負荷が疼痛を引き起こし、関節の変質をもたらす可能性がある間、特に重要である。この移動は、舌のための追加のスペースを提供する。
したがって、これら3つの次元のいずれか(例えば、突出、咬合を開くこと、または平行分離)の再配置は、治療効果を有する。これら3つの次元の各々は、所定の臨床的に有益な向きを判断する際に、独立して考慮され得ることを理解されたい。
図1Aに関して論じた調整可能な下顎変位装置10などのタイトレーション装置を自動的に制御するためのシステム及び方法が、本明細書に提供される。調整可能な下顎変位装置10に関して、例示的な実施態様が提供される。本開示は、他のタイトレーション装置の突出レベルもまた制御可能であるよう企図していることを理解されたい。例えば、調整可能な下顎変位装置10は、自動的に制御される下顎突出装置であってもよい。自動的に制御される下顎突出装置は、技術者が手動で下顎変位装置を局所的に(例えば、対象の口腔で、または対象の口腔に隣接して)調節することなく動的に調整でき、そして技術者の制御なしで動的に調節することができるか、技術者がタイトレーションをガイドするのに役立つ自動的に生成されたプロンプトによって、技術者が動的に調整できる。
任意選択的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することは、1つ以上の呼吸イベントの頻度または重症度の少なくとも1つに基づいて、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調節することを含み得る。例えば、突出レベルは、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて、タイトレーションの間、動的かつ自動的に(例えば、リアルタイムで)制御することができる。代替的または追加的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、1つまたは複数の呼吸イベントを誘発するように、または呼吸気流の変化を誘発するように制御することができる。代替的または追加的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御して、突出レベルを最適化することができる。ここで図3を参照すると、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御するための例示的な動作300を説明する流れ図が示されている。調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することは、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを増加または減少させることの少なくとも1つを含み得ることを理解されたい。例えば、302において、呼吸イベントを検出することができる。呼吸イベントの検出は、詳細に上述している。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含み得る。304において、呼吸イベントの重症度の程度を判定することができる。重症度の程度は、気流イベント及び酸素イベントの一方または両方の重症度を評価することで計算できる。代替的または追加的に、呼吸イベントの頻度(例えば、呼吸イベント/単位時間)を計算することができる。任意選択的に、各重症度の程度の呼吸イベントの頻度を判定することができる。さらに、306において、呼吸イベントの頻度レベルを判定することができる。308において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、呼吸イベントの重症度の程度または頻度の少なくとも1つに基づいて制御できる。例えば、調整の規模及び速さの少なくとも1つは、呼吸イベントの頻度または重症度の程度の少なくとも1つに関連し得る。代替的または追加的に、調整の規模と速さの両方は、呼吸イベントの頻度または重症度の程度の少なくとも1つに関連し得る。調整の規模は、調整可能な下顎変位装置の突出レベルが調節される量(例えば、ミリメートル数)である。例えば、突出レベルは、所与の重症度及び/または頻度のレベルの呼吸イベントに応答して、5mm調整することができる。調整の速さは、調整可能な下顎変位装置の突出レベルをどの程度速く(または遅く)調整するかを規定する。例えば、突出レベルは、1分の遅延などの遅延期間の後に、あるいは、所与の重症度及び/または頻度のレベルの呼吸イベントに応じた遅延期間を伴わずに、5mm調整することができる。特に、調整の規模がより大きいか調整の速さが高いことは、より頻繁または重度の呼吸イベントに対応することができ、調整の規模がより小さいか調整の速さが低いことは、頻度がより少ないか軽度の呼吸イベントに対応させることができる。したがって、より重症または頻繁な呼吸イベントが発生する諸突出レベルから素早く突出レベルを調整し、呼吸イベントの発生がより軽度または頻度の少ないより大きな突出レベルの範囲に安定させることができる。次に、より軽度または頻度の少ない呼吸イベントが発生する突出レベルの範囲内に、突出レベルを最適化することが、任意選択で可能である。最適化は、気流の大きさをモニタし調整することにより、行うことができる。
1つ以上の呼吸イベントの重症度の程度は、以下に論じるように任意選択で判定することができる。重症度の程度は、任意選択で、複数の所定のカテゴリのうちの1つに分類することができる。例えば、対象からの生理学的入力信号が酸素飽和度及び呼吸気流を含む場合、酸素飽和イベント及び呼吸気流イベントを特定することができ、呼吸気流イベントを特定するために酸素飽和イベントを対応する呼吸気流イベントと整合することができる。したがって、カテゴリは、酸素飽和イベントの重症度に関連する複数のカテゴリと、呼吸気流イベントの重症度に関連する複数のカテゴリとを含み得る。例えば、呼吸イベントに関連する酸素飽和度の低下は、n個のカテゴリのうちの1つに分類することができ、呼吸イベントに関連する呼吸気流の減少は、m個のカテゴリの1つに分類することができる。呼吸イベントの重症度の程度は、酸素飽和度の低下の重症度及び呼吸イベントに関連する呼吸気流の減少に基づくn×mの行列を使用して判定することができ、式中nとmは1超の整数である。突出レベルの調整の規模及び速さの少なくとも1つは、n×m行列を用いて判定された重症度の程度に基づいて制御することができる。
例えば、呼吸気流イベントの重症度レベル(例えば、m=3)には3つのカテゴリが存在し得る。第1のカテゴリは、呼吸気流の約80〜100%の減少に相応し得る。第2のカテゴリは、呼吸気流の約45〜79%の減少に相応し得る。第3のカテゴリは、呼吸気流の約30〜44%の減少に相応し得る。呼吸気流の減少が上記カテゴリの1つに該当しない場合、例えば約30%未満の減少は、呼吸気流イベントとして登録されず、呼吸の正常な変動とみなされる。代替的または追加的に、酸素飽和イベントの重症度の程度(例えば、n=3)について3つのカテゴリが存在し得る。第1のカテゴリは、リアルタイムまたはベースラインの酸素飽和度からの酸素飽和度の約6%以上の減少に相応し得る。第2のカテゴリは、リアルタイムまたはベースラインの酸素飽和度からの酸素飽和度の約3〜6%の減少に相応し得る。第3のカテゴリは、リアルタイムまたはベースラインの酸素飽和度からの酸素飽和度の約3%未満の減少に相応し得る。mとnの値、ならびに各カテゴリの値は、例としてのみ提供され、他の値が使用できることを理解されたい。
さらに、1つまたは複数の呼吸イベントの頻度のレベルを任意選択で判定することができる。1つ以上の呼吸イベントの頻度のレベルは、調整可能な下顎変位装置の調整の規模及び速さの少なくとも1つを判定するために使用できる。例えば、呼吸イベントの重症度の程度は、上述のように(例えば、n×mの行列を使用して)判定することができる。任意選択で、呼吸イベントが発生する頻度が計算される。呼吸イベントが発生する頻度に、呼吸イベントの重症度レベルの程度を掛けて、頻度‐重症度指数を得ることができる。調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、頻度‐重症度指数に基づいて制御することができる。任意選択で、実質的に同じ重症度の程度である呼吸イベントの頻度を判定し、次いで、重症度の程度で乗算して、頻度‐重症度指数が得られる。複数の呼吸イベントに対する頻度‐重症度指数を合計することによって、全体の頻度‐重症度指数を計算することができる。調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、検査期間中、全体の頻度‐重症度指数に基づいて制御することができる。
代替的または追加的に、呼吸イベントの頻度のレベルをq個のカテゴリの1つに分類でき、呼吸イベントに関連する重症度及び頻度のレベルに基づいてn×m×qの行列を使用して頻度‐重症度指数を得ることができ、式中、n、m及びqは1超の整数である。調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、頻度‐重症度指数に基づいて制御することができる。
口腔内装置療法のための自動タイトレーション
ここで図4を参照すると、対象における口腔内装置療法の結果を評価するための例示的な動作を説明する流れ図400が示されている。402で、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めすることができる。調整可能な下顎変位装置を配置した後、自動タイトレーションプロトコルを実施することができる。404において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、検査期間中に制御することができる。406において、対象から得る生理学的情報が検査期間中にモニタされる。モニタされた生理学的情報は、例えば以下に説明する分析を容易にするために、計算装置のメモリに記録することができる。例えば、生理学的情報は、呼吸気流や酸素飽和度を含み得る。また、生理学的情報は、対象に関連する他の情報を含むことができ、それは、対象が発生させた音響エネルギーまたは振動、睡眠時の体位、睡眠段階、または対象の歯に加えられる力を、それらの組み合わせを含みながら、非限定的に含む。次いで、408において、生理学的情報を分析して、口腔内装置療法の結果を評価する。
任意選択的に、評価は、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるかを予測するものであり得る。代替的または追加的に、評価は、任意選択で、調整可能な下顎変位装置の有効突出レベルの指標とすることができる。代替的または追加的に、評価は、任意選択で、調整可能な下顎変位装置の最適な有効突出レベルの指標とすることができる。
調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、生理学的情報の分析に基づいて、検査期間中に任意選択で制御できる。さらに、生理学的情報の分析は、計算装置を使用して生理学的情報を処理することを含み得る。任意選択的に、生理学的情報は、1つまたは複数の呼吸イベントを検出するために分析される。例えば、生理学的情報の成分の1つまたは複数間の関係は、例えば、本明細書で論じられる方法のいずれかに従って、所定の基準を使用して呼吸イベントを検出(特定、分類など)するために分析することができる。呼吸イベントの検出については、詳細に上述している。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。呼吸イベントは単なる閉塞の形跡(例えば、呼吸気流、酸素飽和度、いびき音などの変化)ではない。
例えば、1つ以上の呼吸イベントの発生頻度を計算することができる。発生頻度が所定の閾値より多い場合、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを増加させることによって、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することができる。突出レベルは、1つ以上の呼吸イベントの発生頻度が所定の閾値未満になるまで増加させることができる。したがって、突出レベルは、呼吸イベントの発生を最小化及び/または許容可能なレベルまで排除するために増加させることができる。任意選択的に、突出レベルの調整の規模及び速さの少なくとも1つは、本明細書で論じられるような呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて制御できる。したがって、所定の閾値を選択して、発生頻度が所定の閾値を超えたときに、調整可能な下顎変位装置が、呼吸イベントを最小化する、及び/または許容可能なレベルに抑えるように、することができる。
代替的または追加的に、1つまたは複数の呼吸イベントの発生頻度が所定の閾値未満である場合、本明細書で論じているような、呼吸気流または別の生理学的入力信号(例えば、いびき)を最適化するよう、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御し得る。例えば、第1の突出レベルという、突出レベルの減少がそれを超えると呼吸気流の減少をもたらすレベルを特定することができる。例えば、第1の突出レベルは、最小突出レベル(Pcrit)とすることができるが、それにおいて突出レベルをさらに低下させると、呼吸気流の減少に至る。任意選択的に、突出レベルが変化する前の1回以上の呼吸における平均の一呼吸毎の分時換気量を、突出レベルが変化した後の1回以上の呼吸における平均の一呼吸毎の分時換気量と比較して、突出レベルの変化がいかに呼吸気流に影響を与えたかを判定し得る。任意選択で、ピーク呼吸気流を用いて同様の比較を行うことができる。さらに、第2の突出レベルという、突出レベルの増加がそれを超えても呼吸気流の増加をもたらさないレベルも特定することができる。例えば、第2の突出レベルは、突出レベルのさらなる増加が呼吸気流の増加をもたらさない最適突出レベル(Popt)であり得る。任意選択的に、突出レベルが変化する前の1回以上の呼吸における平均の一呼吸毎の分時換気量を、突出レベルが変化した後の1回以上の呼吸における平均の一呼吸毎の分時換気量と比較して、突出レベルの変化がいかに呼吸気流に影響を与えたかを判定し得る。任意選択で、ピーク呼吸気流を用いて同様の比較を行うことができる。口腔内装置療法のための有効突出レベルは、おおよそ第1の突出レベルと第2の突出レベルとの間であり得る。代替的または追加的に、突出レベルのわずかな増加が呼吸気流のわずかな変化をもたらし、突出レベルのわずかな減少が呼吸気流の著しい変化をもたらす第3の突出レベルが特定され得る。この応答は、アトラクタ挙動として知られている。これについては、後で詳しく説明する。任意選択的に、口腔内装置療法のための有効突出レベルは、ほぼ第3の突出レベルであり得る。任意選択的に、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、呼吸イベントを誘発するために、または呼吸気流の変化を誘発するために、一定期間の間に呼吸イベントを検出しないことに応答して制御することができる。
包括的なデータセットに基づくタイトレーション
ここで図5Aを参照すると、包括的なデータセットを使用して口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための例示的な動作500Aを説明する流れ図が示されている。包括的なデータセットを用いて口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うことにより、検査期間中の様々な突出レベルでの全体的な応答を調べ、治療結果を評価する。例えば、以下に説明するように、呼吸イベントが検出され、場合によっては誘導さえもなされ、分類される。次いで、タイトレーション装置の突出レベルは、呼吸イベントに応答して動的に制御される。突出レベルは、分類された呼吸イベントに応じた段階的な動的調整(例えば、規模及び速さ)を使用して制御することができる。次いで、治療結果を全体のデータセットに基づいて評価することができ、それは、対象の生理学的応答及びタイトレーション装置の動的応答に関する情報(例えば、検査期間中にタイトレーション装置がどれ程速くまた遠くに移動するか)を含むが、これに限定されない。
例えば、502において、調整可能な下顎変位装置は、検査期間中に対象の口腔内に位置決めすることができる。504において、対象から得る生理学的情報が検査期間中にモニタされ、記録される。例えば、生理学的情報は、呼吸気流や酸素飽和度を含み得る。また、生理学的情報は、対象に関連する他の情報を含むことができ、それは、対象が発生させた音響エネルギーまたは振動、睡眠時の体位、睡眠段階または対象の歯に加えられる力を、それらの組み合わせを含みながら、非限定的に含む。さらに、506において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、検査期間中に制御及び記録され得る。調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、本明細書で説明する方法のいずれかに従って制御することができる。例えば、調整可能な下顎変位装置は、呼吸イベントの頻度を許容可能なレベルに低減するように制御できる。代替的または追加的に、調整可能な下顎変位装置は、呼吸イベントの重症度または頻度に基づいて制御できる。任意選択で、調整可能な下顎変位装置を制御して気流を最適化することができる。504から得た生理学的情報は、506で記録されるとき、それが検出された突出レベルに関連して記録される。504及び506の各々についての時間的データも同様に記録される。508において、口腔内装置療法の結果は、調整可能な下顎変位装置の移動の履歴及び検査期間中の生理学的情報に基づいて評価される。例えば、本明細書で論じるように、評価は、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるかどうかの予測であり得る。代替的または追加的に、評価は、任意選択で、調整可能な下顎変位装置の有効突出レベルの指標とすることができる。調整可能な下顎変位装置の有効突出レベルは、呼吸イベントの重症度または頻度を許容可能なレベルまで低下させる突出レベルであってもよい。代替的または追加的に、評価は、任意選択で、調整可能な下顎変位装置の最適な有効突出レベルの指標であってもよい。
上述したように、モニタされた生理学的情報は、対象が発生させた音響エネルギーまたは振動、睡眠時の体位、睡眠段階または対象の歯に加えられる力を、それらの組み合わせを含みながら、非限定的に含み得る。例えば、対象から得る生理学的情報をモニタすることは、検査期間中に対象から1つ以上の生理学的入力信号を受信し、1つ以上の生理学的入力信号を用いて検査期間中に1つ以上の呼吸イベントを検出することを含み得る。呼吸イベントの検出は、詳細に上述している。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。呼吸イベントは単なる閉塞の形跡(例えば、呼吸気流、酸素飽和度、いびきの音などの変化)ではない。本明細書で論じられる1つ以上の呼吸イベントは、無呼吸、低呼吸、流量の制限された呼吸、いびきのイベントなどであり得る。
本明細書で論じるように、移動の履歴は、タイトレーション中のタイトレーション装置の位置及び/または向きに関連する情報を含む。タイトレーション装置は、例えば、図1Aに関して上述した調整可能な下顎変位装置10であってもよい。言い換えれば、移動の履歴は、タイトレーション中の1つ以上の個別の時間における位置及び/または向き(複数の位置及び/または向きを含む)に関連する情報を含む。時間は、任意選択で、秒、分、時間、またはその任意の一部分で計ることができる。下顎変位装置の位置及び/または向きは前後方向の突出量、頭側−尾側方向での咬合の隔たる量、及び/または咬合の開く量として測定することができる。したがって、情報は、タイトレーション中の時間の関数として、タイトレーション装置の位置及び/または向きを含み得る。情報はまた、タイトレーション装置が複数の位置及び/または向きの各々で、またはそれを超えるかそれに達しないで費やす時間の合計量を含み得る。さらに、情報は、位置及び/または向きの間のタイトレーション装置の移動の速さを含み得る。
さらに、包括的なデータセットに基づいて口腔内装置療法の結果を評価する場合、調整可能な下顎変位装置の突出レベルの変化を検査期間中にモニタすることができる。例えば、突出レベルの変化は、図1Bに関して上述した下顎変位装置用コントローラ40及び/または計算装置50を使用してモニタ及び/または記憶することができる。調整可能な下顎変位装置の突出レベルの変化は、調整可能な下顎変位装置の移動の履歴を定義することができる。任意選択的に、調整可能な下顎変位装置の移動の履歴は、少なくとも2つの突出レベルの間の移動を含み得る。さらに、移動の履歴は、調整可能な下顎変位装置が少なくとも2つの突出レベルの各々で費やす時間の量を含み得る。
任意選択で、呼吸イベントの頻度(例えば、諸呼吸イベント/単位時間)を計算することができる。呼吸イベントの検出は、詳細に上述している。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。タイトレーションの間(例えばリアルタイムで)、呼吸イベントの頻度は、単位時間当たりに発生する呼吸イベントの数として計算できることを理解されたい。さらに、タイトレーション中に収集されたデータセットを使用して、後で複数の突出レベルで発生した呼吸イベントの頻度を計算できることも理解されたい。例えば、複数の突出レベルの各々またはそれより多い(すなわち、それ以上の)ときのいくつかの呼吸イベントを判定できる。次いで、いくつかの呼吸イベントの各々を、複数の突出レベルの各々またはそれを超える時間の量で除算することができる。この頻度は、残留呼吸障害指数(「残留RDI」)を定義することができる。残留RDIは以下の式(1)に示されている。
(1)残留RDI(i)=#突出レベル(i)以上での呼吸イベント数/突出レベル(i)以上での時間の量
式中、iは、調整可能な下顎変位装置の個別の突出レベルである。
任意選択的に、複数の突出レベルの各々またはそれを超えるときの時間の量が少なくとも5分である場合、残留RDIは複数の突出レベルで計算することができる。言い換えれば、残留RDIは、調整可能な下顎変位装置がその突出レベル以上のときかなりの時間の量を費やしてはいない突出レベルでは、任意選択で計算しなくてもよい。
任意選択的に、移動の履歴を分析して、調整可能な下顎変位装置が少なくとも2つの突出レベルの各々またはそれ未満(すなわち、またはそれ以下)に費やす時間の割合を判定することができる。例えば、各突出レベル以下の時間の割合は、複数の突出レベルの各々またはそれ未満で費やされた時間の量を検査期間中の時間の量の合計で割ったものとすることができ、これは下記の式(2)に示されている。
(2)時間(i)の割合(%)=突出レベル(i)以下での時間の量/検査期間中の時間の量の合計
式中、iは、調整可能な下顎変位装置の個別の突出レベルである。
さらに、包括的なデータセットに基づいて口腔内装置の結果を評価することは、少なくとも1つの有効突出レベルを特定することを含み得る。例えば、口腔内装置療法の結果を評価することは、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも低い複数の突出レベルのうちの1つ以上を特定することを含み得る。任意選択的に、呼吸イベントの頻度は、例えば、上述の残留RDIであり得る。所定の値は、単位時間当たりの許容可能な呼吸イベントの頻度を表すことができる。例えば、所定の値は、1時間あたり10イベントのような、1時間当たりの許容可能なイベント数であり得る。所定の値は、1時間当たりの臨床的に許容可能なイベント数であっても、1時間当たりの対象固有の許容可能なイベント数であってもよい。したがって、1時間あたりの許容可能なイベントの数は、10より多くても少なくてもよいことを理解されたい。任意選択的に、検査期間前または検査期間中に得られた生理学的測定値に基づいて所定の値を判定できる。例えば、所定の値は、例えば、ベースラインの呼吸イベント数から50%減少するなどの、対象が治療を受けていないときに判定されたベースライン数からの割合の減少に加えて、1時間当たりの許容可能なイベント数であってもよい。言い換えれば、治療上の成功は、(i)1時間あたりの許容可能なイベント数、及び(ii)1時間当たりのベースラインのイベント数から得る割合の減少、を必要とすることとして、任意選択で定義することができる。呼吸イベントの頻度が所定の値よりも低い突出レベルは、呼吸イベントの頻度が許容レベルまで低減されるため、口腔内装置療法の有効突出レベルとみなすことができる。単位時間当たりのほぼ許容可能なイベント数を表す値または範囲が、例えば、1時間当たり15や20イベントなどに確立され得ることも理解されたい。したがって、対象は、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも少ない場合に、口腔内装置療法の好ましい候補とみなすことができる。あるいは、所定の値は対象固有であることができる。例えば、1時間当たりの許容されるイベントの数は、ベースラインの調査で測定されるような、治療を受けていない対象によって表示された、1時間当たりのイベントの数の半分未満であり得る。さらに、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも少ない突出レベルは、口腔内装置療法の有効突出レベルとみなすことができる。一方、呼吸イベントの頻度があらゆる突出レベルについて所定の値よりも大きい場合、対象は口腔内装置療法の好ましい候補ではないとみなされ得る。したがって、対象は、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも少ない突出レベルが存在しない場合、失敗が予測されるものとしてラベル付けされ得る。さらに、対象は、呼吸イベントの頻度が呼吸イベントのほぼ許容可能な頻度を表す値よりも低い場合に、口腔内装置療法の概ね好ましい候補とみなすことができる。任意選択的に、対象は、検査期間が短すぎて十分なデータを収集することができない場合、及び/またはタイトレーション装置がその上限付近で十分な時間を費やさない場合、確定的ではないとみなすことができる。
さらに、包括的なデータセットに基づいて口腔内装置の結果を評価することは、少なくとも1つの有効突出レベル以下の時間の割合が所定の時間の割合より多いかそれと等しいかどうかを判定することを含み得る。同様の判定は、少なくとも1つの有効突出レベル以上の時間の割合が、所定の時間の割合未満かそれと等しいかどうかを判定することを含み得る。上記の場合において時間の所定の割合は異なるが、判定の結果が同じになることを理解されたい。上述したように、移動の履歴を分析して、調整可能な下顎変位装置が複数の突出レベルの各々で、またはそれら未満で費やす時間の割合を判定することができる。次いで、1つ以上の突出レベルの各々以下における時間の割合が、検査期間の所定の割合を超えるかそれと等しいかどうかについての判定が行われ得る。例えば、検査期間の所定の割合は、検査期間の大部分とすることができる。所定の割合は、検査期間の85%といった、75%から100%の間であってもよく、それは検査期間の大部分よりも多いことを表す。したがって、呼吸イベントの頻度が所定の値未満で、時間の割合が所定の時間の割合よりも大きい、少なくとも1つの突出レベルが存在する場合、対象は、任意選択で、口腔内装置療法の好ましい候補とみなすことができる。さらに、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも少なく、時間の割合が所定の時間の割合よりも大きい突出レベルは、口腔内装置療法の有効突出レベルとみなすことができる。一方、対象は、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも大きく、及び/または時間の割合が所定の時間の割合未満である場合には、任意選択で、口腔内装置療法の好ましい候補ではないとみなすことができる。
さらに、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも少ない複数の突出レベルがあってもよいことを理解されたい。言い換えれば、呼吸イベントの頻度が許容可能なレベルに低減される複数の突出レベルがあり得る。この場合、口腔内装置療法の有効突出レベルは、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも少なく、時間の割合が検査期間の所定の割合を超えるかそれに等しい最も低い突出レベル(例えば、最小突出レベル)であってもよい。したがって、口腔内装置療法の有効突出レベルは、呼吸イベントの頻度が許容可能レベルまで低下し、調整可能な下顎変位装置が検査期間の大部分を費やす最小突出レベルであり得る。
任意選択的に、例えば、残留RDIのような複数の突出レベルの各々以上における呼吸イベントの頻度のグラフ表示、及び/または複数の突出レベルの各々以下であるとき時間の割合のグラフ表示を、生成することができる。さらに、包括的なデータセットに基づいて口腔内装置療法の結果を評価することは、グラフ表示を用いて行うことができる。例えば、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるか及び/または有効突出レベルであるかどうかの判定は、グラフ表示を利用して行うことができる。ここで図6Aを参照すると、複数の突出レベルの各々以上での呼吸イベントの頻度を示すグラフが示されている。グラフは、残留RDI(例えば、呼吸イベント/単位時間)対突出レベル(例えば、突出(mm))を示す。図6Aに示すように、約PLi=17.9mmで、残留RDIは、1時間あたり10未満の呼吸イベントであり、これは任意選択で、上述したように、呼吸イベントの許容頻度を表す単位時間当たりのイベントの所定の値であり得る。したがって、対象は、残留RDIが所定の値未満(例えば、PLi=17.9mm)であるため、口腔内装置療法の好ましい候補と考えることができる。換言すれば、呼吸イベントの発生を許容レベルまで低減する突出レベルが存在している。例えば、図6Aで、有効突出レベルはPLi=17.9mmである。残留RDI対突出レベルのグラフは、対象固有であり、タイトレーション後に生成されることを理解されたい。したがって、1つまたは複数の有効突出レベルも、対象固有である。
ここで図6Bを参照すると、複数の突出レベルの各々以下での時間の割合を示すグラフが示されている。上述のように、対象は、呼吸イベントの頻度(例えば、残留RDI)が所定の値(例えば、1時間当たり10イベントなど)未満で、所定の突出レベル以下での時間の割合が検査期間の所定の割合よりも大きい場合に、口腔内装置療法の好ましい候補とみなすことができる。所定の割合は、検査期間の大部分、例えば検査期間の75%〜100%の間などであり得る。図6Bで、約PLi1=16.1mmより大きい突出レベルは、調整可能な下顎変位装置が、所与の突出レベルまたはそれ未満で検査期間の75%超を費やす場合の突出レベルを表す。さらに、図6Bに示すように、調整可能な下顎変位装置は、約PLi2=17.9mm以下で検査期間の約87%超を費やす。また、PLi2=17.9mmは、残留RDIが、図6Aに示す1時間当たり10未満の呼吸イベントである突出レベルを表す。したがって、対象は、残留RDIが所定の値(例えば、PLi2=17.9mm)未満であり、PLi2=17.9mm以下の時間の割合が、所定の時間の割合を越えている口腔内装置療法の好ましい候補とみなすことができる。換言すれば、呼吸イベントの発生を許容可能レベルまで低減する突出レベルが存在している。例えば、図6A〜6Bで、有効突出レベルはPLi2=17.9mmとなる。時間の割合のグラフは、対象固有であり、タイトレーション後に生成されることを理解されたい。したがって、時間の割合も対象固有である。
包括的なデータセットに基づいて口腔内装置療法の結果を評価する場合、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、本明細書で論じられる方法のいずれかに従って、検査期間中に動的かつ自動的に制御することができる。例えば、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを増加させるか、突出レベルを減少させることによって、制御することができる。突出レベルは、例えば、呼吸イベントの発生を許容可能なレベルまで低減または排除するように調整することができる。代替的または追加的に、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、1つまたは複数の呼吸イベントの頻度または重症度の少なくとも1つに基づき、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することによって、制御することができる。調整の規模または速さの少なくとも1つは、1つまたは複数の呼吸イベントの頻度または重症度の少なくとも1つに任意選択で関連し得る。例えば、調整可能な下顎変位装置の突出レベルの調整の規模及び/または速さがより高程度であることは、より頻繁または重度な呼吸イベントに相応し得、調節可能な下顎変位装置の突出レベルの調節の規模及び/または速さがより低程度であることは、頻度がより少ないかより軽度の呼吸イベントに相応し得る。任意選択的に、呼吸イベントを誘発するために、または呼吸気流の変化を誘発するために、一定期間の間に呼吸イベントを検出しないことに応答して、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することができる。代替的または追加的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、呼吸気流を最適化するために検査期間中に制御することができる。
ここで図5Bを参照すると、調整可能な下顎変位装置の複数の突出レベルで収集されたデータを使用して口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための例示的な動作500Bを説明する流れ図である。上記と同様に、治療の結果を評価するために、複数の突出レベルで収集したデータを使用して口腔内装置療法の結果を評価することにより、検査期間中様々な突出レベルでの全体的な応答を調べる。例えば、以下に論じるように、呼吸イベントが検出され、場合によっては誘発さえもなされ、分類される。次いで、タイトレーション装置の突出レベルは、呼吸イベントに応答して動的に制御される。突出レベルは、分類された呼吸イベントに応じた段階的な動的調整(例えば、規模及び速さ)を利用して制御することができる。次いで、対象の生理学的応答及びタイトレーション装置の動的応答に関する情報(例えば、検査期間中にタイトレーション装置がどれ程速くまたどれ程遠くに移動するか)を含むが、これに限定されない全体のデータセットに基づいて、治療結果を評価することができる。
例えば、510において、生理学的データ(例えば、本明細書で論じられる生理学的情報)を対象から受信することができる。さらに、512において、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルに関するデータを受信することができる。次いで、514において、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の複数の突出レベルで、対象から収集された生理学的データに基づいて、口腔内装置療法の結果を評価することができる。評価では、複数の突出レベルから得る生理学的データを組み合わせることができる(例えば、データ量を最小限の時間の量、例えば1時間より長くまで増加する必要がある場合)。
非臨床設定におけるタイトレーション
ここで図7を参照すると、非臨床設定において口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための例示的な動作700を説明する流れ図が示されている。本明細書で論じるように、非臨床設定におけるタイトレーションは、従来の睡眠検査と比較して、限られた情報で行うことができる。具体的には、例えば、従来の睡眠ポリグラフ調査の間に収集されていた情報なしで、タイトレーション(例えば、治療結果の評価、有効突出レベルの予測など)を行うことが可能である。非臨床設定は、睡眠クリニック外で発生する睡眠セッションであり得る。例えば、非臨床設定は、対象の自宅で発生する睡眠セッションであり得る。代替的または追加的に、非臨床設定は、睡眠ポリグラフ技術者が対象をモニタすることなく、及び/または睡眠ポリグラフ調査を実施することなく生じる、睡眠セッションであり得る。代替的または追加的に、非臨床設定は、外科手術領域を含むオフィスまたは外来患者の設定で睡眠を誘発するための薬学的睡眠補助剤で生じる睡眠セッションであり得る。任意選択的に、検査期間中の睡眠段階、検査期間中の体位、または最悪の場合のシナリオ(例えば、仰臥位でのレム睡眠の期間)であることに関係なく、好ましい候補を特定することができる。
702において、調整可能な下顎変位装置を、検査期間中に対象の口腔内に位置決めすることができる。任意選択的に、本明細書で説明するように、検査期間の条件は、異なるタイプの検査で判定された、または患者から直接得られた患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)により影響され得る。任意選択で、検査期間は、前の検査期間の分析から得られた変数から判定した条件に従って設定することができる。704において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、検査期間中に制御することができる。突出レベルは、例えば、調整可能な下顎変位装置を少なくとも2つの突出レベルの間で動かすことによって、制御することができる。調整可能な下顎変位装置を制御するための方法は、呼吸イベントを低減/排除するための突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づく突出レベルの制御(例えば、一定の期間一定の突出レベルを保持すること)、呼吸イベントの頻度及び重症度に基づいて調整の規模または速さを制御すること、気流を最適化することなどを含むがそれらに限定されない、本明細書で論じられる調整方法のいずれかを含み得る。706において、検査期間中の対象から得る1つまたは複数の生理学的入力信号を、収集することができる。加えて、708において、対象から収集された1つ以上の生理学的入力信号と、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の移動の履歴を分析することができる。上述したように、対象が口腔内装置療法の好ましい候補者であるか、及び/または調整可能な下顎変位装置の有効突出レベルであるかについては、対象から収集された1つまたは複数の生理学的入力信号と、検査期間中の調整可能な下顎変位装置の移動の履歴とを分析することにより、判定できる。任意選択的または追加的に、検査分析は、異なるタイプの検査によって判定されたか、患者から直接得られた患者の入力信号を含み得る。任意選択的または追加的に、分析は、検査中に得て測定した変数、または検査計画内の異なる検査によって、影響され得る。任意選択または追加的に、分析を使用して検査計画に影響を与えることが可能である。
非臨床設定では、モニタされる生理学的情報は、呼吸気流や酸素飽和度を含み得る。任意選択的に、非臨床設定では、モニタされる生理学的情報は、呼吸気流及び酸素飽和度のみを含み得る。したがって、生理学的入力信号は、呼吸気流及び酸素飽和度を含むことができ、例えば、睡眠ポリグラフ調査の間に収集された他の情報を除外することができる。呼吸気流及び酸素飽和度は、検査期間中に対象から受信することができ、検査期間中に、受信した呼吸気流及び酸素飽和度を用いて、1つまたは複数の呼吸イベントを検出することができる。呼吸イベントの検出については、詳細に上述している。例えば、所定の基準に従って呼吸イベントを測定及び定義することができる。
非臨床設定では、対象が口腔内装置療法の好ましい候補者であるかどうかを予測することは、検査期間中の各突出レベル以上での呼吸イベントの頻度を判定することをさらに含み得る。例えば、上述の残留RDIは式(1)を用いて計算することができる。代替的または追加的に、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるかを予測することは、検査期間中の各突出レベル以下での時間の割合を判定することをさらに含み得る。各突出レベル以下での時間の割合は、例えば式(2)を使用して計算できる。上述したように、対象は、呼吸イベントの頻度が所定の値未満であるか、時間の割合が検査期間の所定の割合よりも大きい場合に、好ましい候補であり得る。任意選択的に、対象は、呼吸イベントの頻度が所定の値より小さく、時間の割合が所定の割合より大きい場合に好ましい候補であり得る。さらに、上述したように、口腔内装置療法の有効突出レベルは、呼吸イベントの頻度が所定の値よりも小さく、時間の割合が所定の割合を越えているかそれと等しい最小突出レベルであり得る。
タイトレーション中のタイトレーション装置の自動制御
ここで図8を参照すると、口腔内装置療法のためのタイトレーション中に、調整可能な下顎変位装置を自動的に制御するための例示的な動作800を説明する流れ図が示されている。調整可能な下顎変位装置を自動的に制御することは、複数のモード(例えば、イベントモードと非イベントモード)を含むことができ、適応制御アルゴリズムは、複数のモードの各々において異なっていてもよい。イベントモードでは、適応制御アルゴリズムの目的は、呼吸イベントに応答してタイトレーション装置を調節することであってもよい。非イベントモードでは、適応制御アルゴリズムの目的は、呼吸イベントまたは呼吸気流の変化を誘発し、及び/または呼吸気流を最適化すること、またはいびきなどの他の生理学的入力信号をモニタ及び最適化することであってもよい。
例えば、802において、対象から得る生理学的情報は、検査期間中にモニタされ得る。検査期間は、少なくとも1つのイベント期間及び少なくとも1つの非イベント期間を含み得る。804において、対象が少なくとも1つのイベント期間または少なくとも1つの非イベント期間にあるかどうかを判定するために、モニタされた生理学的情報を分析することができる。806において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、少なくとも1つのイベント期間中に制御され得る。808において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、少なくとも1つの非イベント期間中に制御され得る。上述のように、適応制御アルゴリズムは、イベント期間と非イベント期間とで異なる。810において、少なくとも1つのイベント期間及び少なくとも1つの非イベント期間中にデータを収集することができる。
イベント期間は、1つ以上の呼吸イベントの頻度が所定の閾値より大きい検査期間の一部を含む。さらに、非イベント期間は、1つ以上の呼吸イベントの頻度が所定の閾値未満である検査期間の一部を含む。例えば、所定の閾値は、上述の目的を考慮して選択することができる。イベントモードで、目的は呼吸イベントに応答することにできる。呼吸イベントに応答して突出レベルを調整する場合、突出レベルは、呼吸イベントが許容レベルまで低減または排除される(例えば、呼吸イベントの発生頻度が減少する)箇所まで増加させることができる。呼吸イベントが許容可能なレベル未満に低減または排除され、呼吸イベントがより少なく生じて、呼吸イベントに応答して突出レベルをそれ程頻繁に調整しなくなった後に、調整可能な下顎変位装置を制御して、例えば、呼吸イベントまたは呼吸気流の変化を誘発したり、気流を最適化したりしてもよい。
任意選択的に、データ収集は、少なくとも1つのイベント期間及び少なくとも1つの非イベント期間中、調整可能な下顎変位装置の移動の履歴に関するデータを収集することを含み得る。代替的または追加的に、モニタされた生理学的情報を分析することは、1つまたは複数の呼吸イベントを検出することを含み得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述している。
さらに、イベント期間中、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することは、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを増加させること、または突出レベルを減少させることのうちの少なくとも1つを含み得る。任意選択で、少なくとも1つのイベント期間中に調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することは、1つ以上の呼吸イベントの頻度または重症度の少なくとも1つに基づいて、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含み得る。上述したように、調整の規模及び速さの少なくとも1つは、1つまたは複数の呼吸イベントの頻度または重症度の少なくとも1つに関連し得る。
代替的または追加的に、非イベント期間中、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することは、呼吸気流の変化を誘発するために突出レベルを調整することを含み得る。例えば、突出レベルは、呼吸イベントを誘発するために減少させることができる。さらに、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、呼吸気流を最適化するように制御することができる。呼吸気流を最適化するための方法は、詳細に上述している。
代替的または追加的に、非イベント期間中調整可能な下顎変位装置の突出レベルを制御することは、いびきの変化をモニタするために突出レベルを調整することを含み得る。例えば、突出レベルは、イベントを所定の閾値未満に維持しながら、いびきの量、大きさ、または程度が最小になるよう突出レベルを検査または最適化するように、調整することができる。
アトラクタ挙動に基づくタイトレーション
本明細書で論じるように、アトラクタ挙動は、突出レベルのわずかな増加が呼吸気流(例えば、ピーク通気)のわずかな変化をもたらし、突出レベルのわずかな減少が呼吸気流(例えば、ピーク通気)の著しい変化をもたらす突出レベルで起こる。アトラクタ挙動は、呼吸気流を最適化するべく突出レベルを制御しながら(例えば、Popt/Pcritの検査中に)見出すことができ、それについては上述している。アトラクタ挙動の遵守は、呼吸イベントが排除された後に生じ得るが、必須ではない。例えば、アトラクタ挙動は、呼吸イベントの頻度が検出時に所定の閾値を下回らない突出レベルで観察することができる。咽頭の力学により、このような特に感応性のある箇所が得られることを理解されたい。さらに、CPAP療法中にアトラクタ挙動のより緩やかな形態が観察されるのに対し、OA療法中のアトラクタ挙動はより重度で突然である。したがって、アトラクタ挙動が生じる突出レベルは、口腔内装置療法の有効突出レベルとなり得る。
ここで図9を参照すると、アトラクタ挙動に基づいて口腔内装置療法の候補を特定するための例示的な動作900を説明する流れ図が示されている。902において、調整可能な下顎変位装置は、検査期間中に対象の口腔内に位置決めすることができる。904において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、呼吸気流を最適化するように制御され得る。気流を最適化する方法については、詳細に上述している。例えば、突出レベルはPopt/Pcritを探索して制御することができる。906において、アトラクタ突出レベルを特定することができる。アトラクタ突出レベルは、突出レベルのわずかな増加が呼吸気流のわずかな変化をもたらし、突出レベルのわずかな減少が呼吸気流の顕著な変化をもたらす突出レベルである。アトラクタ挙動を特定する場合、摂動(例えば、突出レベルのわずかな変化)させ、呼吸気流への影響をただちに調べ(例えば、突出レベルを変化させてから所定の時間内に)、気道への自動的な影響を観察する。例えば、5回以内の呼吸、または約20秒である。この時間の後に、化学反射が引き継ぎ、アトラクタ挙動が消え去っていく。908において、アトラクタ突出レベルを特定するのに応答して、対象が口腔内装置療法の好ましい候補者であるという判定を下すことができる。任意選択的に、口腔内装置療法の有効突出レベルは、概ねアトラクタ突出レベルであり得る。さらに、アトラクタ突出レベルを特定しないことに応答して、調整可能な下顎変位装置の移動の履歴及び検査期間中の1つまたは複数の呼吸イベントに基づき、タイトレーションを行うことができる。
任意選択的かつ追加的に、検査において測定されたアトラクタ挙動は、本明細書に記載の他の目的のために使用することができる。例えば、アトラクタ挙動は、検査期間中に収集されたデータの分析から判定した変数として使用することができ、任意選択で、検査計画に影響を及ぼすために、及び/または口腔内装置療法の結果を評価するために使用することができる。
多検査期間プロトコル及び分析
本明細書で論じるように、多検査期間プロトコルは、別々及び異なる検査期間(例えば、第1の検査期間、第2の検査期間、第3の検査期間、または第4の検査期間など)の少なくとも2つのタイトレーションを行うことを含む。4つの検査期間は例として挙げられていること、及び本開示が4つより多いまたは少ない検査期間を含む多検査期間計画を企図していることを理解されたい。任意選択的に、第2、第3、または第4などの検査期間は、第1の検査期間に時間内で後続することができる。例えば、第1の検査期間は、第1のセッション中の睡眠とすることができ、第2、第3、または第4などの検査期間は、第2、第3または第4などのセッション中の睡眠とすることができる。本明細書に記載するように、睡眠セッションは、測定された睡眠の持続時間(例えば、約4時間)、十分な量及び/または質のデータ(例えば、患者の下顎の全運動範囲の探求)の受信、患者の自発的行為(例えば、患者が目を覚まして検査を終える)、またはそれらの組み合わせによって、定義することができる。代替的または追加的に、各後続セッション(例えば、第2、第3、または第4などのセッション)は時間的により遅い。あるいは、第1、第2、第3、または第4などの検査期間は時間的に連続していない。代替的または追加的に、各々の個々の検査期間は、異なる睡眠セッションの間の睡眠とすることができる。異なる睡眠セッションは、同じ夜にすることができる。あるいは、異なる睡眠セッションは、異なる夜にすることができる。任意選択で、第1の検査期間は第1夜間の睡眠とすることができ、第2、第3または第4などの検査期間は、第2、第3または第4などの夜間、または一晩と夜の一部の間の何らかの組み合わせの睡眠とすることができる。任意選択で、第1の検査期間は、夜の第1の部分の間の睡眠とすることができ、第2の検査期間は、同じ夜の第2の部分の間の睡眠とすることができる。第1の期間の検査プロトコルは、第2、第3、または第4などの検査期間における検査プロトコルと同じでも異なっていてもよい。各々の個々の検査期間中に使用される検査プロトコル(例えば、後述するような動的制御プロトコル、静的制御プロトコル、または精緻化プロトコル)は、多検査期間計画に従って考案することができる。代替的または追加的に、複数の検査の組み合わせ及び各々の中で分析される変数を使用して、口腔内装置療法の結果を評価することができる。代替的または追加的に、第1の検査期間は、仰臥位または側臥位の1つにおける睡眠を含むことができ、第2の検査期間は、仰臥位または側臥位の他方における睡眠を含み得る。任意選択的に、第2の検査期間は、第1の検査期間と異なる治療的介入を伴う睡眠を含み得る。例えば、第1の検査期間及び第2の検査期間中の治療的介入は、口腔内装置、異なる量の咬合分離、またはCPAPと口腔内装置の併用のうちの少なくとも1つであり得る。
上述したように、本明細書に記載の技術は、1)調整可能な下顎変位装置を制御するためのリアルタイム分析、及び2)口腔内装置療法の結果を予測するための別個の分析、を任意選択で採用することができる。任意選択で、別個の分析は、オフラインで、または睡眠セッションまたは睡眠調査の終了時に行うことができる。言い換えれば、調整可能な下顎変位装置は、検査期間中に収集されるデータに応答(例えば、生理学的応答)して、リアルタイムで制御できる。任意選択で、調整可能な下顎変位装置制御技術を選択して、特定のタイプの情報を収集することができる。例えば、動的制御プロトコルを選択して、最適突出レベルを特定するために複数の突出レベルでデータを収集することができ、一方で静的制御プロトコルを選択して最適突出レベルの予測を確認することができる。あるいは、2つの異なる制御プロトコルを選択して、異なるタイプの変数を有する2つの異なるタイプのデータセットを収集することができる。種々の調整可能な下顎変位装置制御技術が、異なる検査期間中に使用できることを理解されたい。
さらに、口腔内装置療法の結果(例えば、最終分析または最終評価)は、1つまたは複数の検査期間中に収集されたデータに基づいて予測することができる。収集されたデータは、(例えば、図12に示すように)1つ以上の検査期間に関連する変数の1つ以上を含み得るが、それに限定されない。言い換えれば、収集されるデータは、複数の異なる検査期間中に収集されるデータを含むことができ、その各々は任意選択で異なる調整可能な下顎変位装置制御技術を使用し、収集されたデータのセット全体に基づいて最終分析を予測することができる。任意選択的に、この分析は、1つまたは複数の検査期間の終了後にオフラインで行うことができる。さらに、本明細書に記載するように、最終分析は、口腔内装置療法の結果を予測するための1つ以上の技術を使用することができる。
ここで図10Aを参照すると、多検査期間プロトコルを利用して口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための例示的な動作1000Aを説明する流れ図が示されている。1002において、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めすることができる。1004において、対象は、第1の検査期間中に1つ以上の生理学的応答についてモニタされ得る。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。1006において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、第1の検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御するための方法については上述しており、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保持すること)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。1008において、第1の検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルのタイトレーションに基づいて、口腔内装置療法の推奨を確立することができる。推奨は、対象が成功を予測された(例えば、口腔内装置療法の好ましい候補)か、有効突出レベルか、有効突出レベルの範囲であるかということなどであり得る。次に、1010において、口腔内装置療法の推奨は、第2の検査期間中に検証及び/または精緻化させることができる。
さらに、口腔内装置療法に対する推奨を検証することは、第2の検査期間中の1つまたは複数の生理学的応答を求めて対象をモニタすることを含み得る。口腔内装置療法の推奨は、第2の検査期間中の1つまたは複数の生理学的応答に基づいて確認、精緻化または拒絶することができる。例えば、第1及び第2の検査期間中のタイトレーションの結果が一致している場合、推奨を確認することができる。しかし、第1及び第2の検査期間中のタイトレーションの結果が不一致であれば、推奨を拒絶することができる。推奨が却下された場合、第3の検査期間は、新たな推奨を確認するため、または推奨が失敗の予想から成功の予測に変更された場合、目標突出位置を提供または精緻化させるために利用できる。結果は、対象が成功を予測される(例えば、口腔内装置療法の好ましい候補である)か、有効突出レベルであるか、有効突出レベルの範囲にあるかなどがあり得ることを理解されたい。
さらに、口腔内装置療法に対する推奨を確立することは、口腔内装置療法のための有効突出レベルの範囲を特定することを含み得る。例えば、有効突出レベルの範囲は、例えば、x〜ymmの間であり得る。任意選択的に、口腔内装置療法の推奨を検証することは、第2の検査期間中の有効突出レベルの範囲内で、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調節することを含み得る。言い換えれば、第2の検査期間中、調整可能な下顎変位装置は、有効突出レベルの範囲内(例えば、x〜ymmなど)で調整される。任意選択的に、第2の検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルの調整に基づいて、口腔内装置療法のための有効突出レベルを特定することができる。したがって、第1の検査期間中に、有効突出レベルの概略的な推定値または範囲を特定し、第2の検査期間中に、有効突出レベルを精緻化させる。
代替的または追加的に、口腔内装置療法の推奨を確立することは、第1の検査期間中の口腔内装置療法のための有効突出レベルを特定することを含み得る。さらに、口腔内装置療法の推奨を検証することは、第2の検査期間中、調整可能な下顎変位装置を有効突出レベルで固定することを含み得る。調整可能な下顎変位装置が固定されているとき、それは第2の検査期間中に調整されないか、または最小限に調整される。代わりに対象は、確認する目的で、推奨される有効突出レベルで第2の検査期間中に生理学的応答についてモニタされる。
任意選択的に、口腔内装置療法の治療結果の予測の尺度を提供することができる。例えば、治療結果の予測の尺度は無呼吸‐低呼吸指数(AHI)、酸素飽和度低下指数(ODI)、平均酸素飽和度、及び吸気流量制限指数または呼吸障害指数(RDI)のうちの少なくとも1つとすることができる。
ここで図10Bを参照すると、多検査期間プロトコルを利用する口腔内装置療法のためのタイトレーションでの例示的な動作1000Bを説明する流れ図が示されている。1012において、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めすることができる。1014において、対象は、第1の検査期間中に1つ以上の生理学的応答についてモニタされ得る。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。1016において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、第1の検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御するための方法は上述しており、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保持すること)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。1018において、対象は、第2の検査期間中の1つまたは複数の生理学的応答についてモニタすることができる。次に、1020において、第1の検査期間中の1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果を、第2の検査期間中の1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果と比較することができる。
任意選択的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、第2の検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御するための方法は上述し、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保持すること)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。代替的または追加的に、第1の検査中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルの調整に基づいて、口腔内装置療法の推奨が確立できる、第2の検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルの調整に基づいて、口腔内装置療法の推奨を確認、精緻化または拒絶することができる。
ここで図10Cを参照すると、口腔内装置療法のためのタイトレーションのための多検査期間プロトコル用の例示的な動作1000Cを説明する流れ図が示されている。1022において、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めすることができる。1024において、対象は、第1の検査期間中に1つ以上の生理学的応答についてモニタされ得る。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。1026において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、第1の検査期間中に調整することができる。突出レベルは、本明細書に記載の調整可能な下顎変位装置制御技術のいずれかを使用して調整することができる。例えば、調整可能な下顎変位装置を制御するための方法については上述しており、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保持すること)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。1028において、対象は、第2の検査期間中の1つまたは複数の生理学的応答についてモニタされ得る。任意選択的に、本明細書で説明するように、第2の検査期間中に使用される調整可能な下顎変位装置制御技術は、第1の検査期間中に使用するものと異なっていてもよい。例えば、調節を可能にする前の持続時間、呼吸気流の調整の利用、及び/または他のいずれかのパラメータは、異なる検査期間中に使用される調整可能な下顎変位装置制御技術に対して異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、第2の検査期間は、第1の検査期間と比較して、特定の突出レベルでより多くの情報を収集するように設計することができる。任意選択的に、第2の検査期間の間の対象となる特定の突出レベルの設定(例えば、第2の検査期間に関連するパラメータ)は、第1の検査期間の分析に基づいていてもよい。次に、1020において、第1の検査期間中の1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果、及び第2の検査期間中に1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果を、評価することができる。
いくつかの実施態様では、第1の検査期間中の1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果(例えば、最終分析または最終評価)及び第2の検査期間中の1つまたは複数の生理学的応答について対象をモニタした結果を評価することは、第1の検査期間中の1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果と、第2の検査期間中に1つ以上の生理学的応答について対象をモニタした結果とを平均化または組み合わせることを含み得る。他の実施態様では、モニタの結果の評価(例えば、最終分析または最終評価)は、第1及び第2の検査期間両方の間のモニタの結果に基づいていてもよい。例として、2つの検査期間が設けられているが、本開示は、任意の数の検査期間の評価に基づくことを企図している。これは、第1及び第2の検査期間に関連する変数の1つまたは複数を分析することを含み得る。任意選択的に、第1及び第2の検査期間の両方が終了した後、最終分析をオフラインで行うことができる。任意選択的に、最終分析は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどの機械学習技術を使用することができる。本明細書で説明するように、最終分析は、1つ以上の訓練された機械学習モジュールを使用することができる。この方法は、評価された結果に基づいて口腔内装置療法の推奨を確立することをさらに含み得る。
任意選択的かつ追加的に、検査計画に従って複数の検査期間を考案することができる。検査計画は、検査期間の1つ以上の間に検査プロトコルを実行する前に(例えば、時間内でさらに早期に)、任意選択で作成されてもよい。任意選択で、任意の検査期間中にプロトコルを実行する前に検査計画を作成する。任意選択的に、例えば検査期間中に分析される1つまたは複数の変数に応答して、検査期間の1つ以上の間に検査プロトコルを実行しながら、検査計画を修正または変更することができる。代替的または追加的に、検査計画は、口腔内装置療法に対する推奨の所望の結果を考慮することができる。本明細書で説明するように、検査計画は、所望の結果に基づいた調整可能な下顎変位制御技術(及び任意選択でそれに関連する1つまたは複数のパラメータ)の選択を含み得る。様々な調整可能な下顎変位制御技術を、例えば、異なる目的を達成するために、本明細書に記載されているような異なる検査期間中に使用することができる。代替的または追加的に、検査計画は、所望の結果に基づいた口腔内装置療法の結果予測技術の選択を含み得る。例えば、異なる目的を達成するために、異なる口腔内装置療法の結果予測技術を用いることができる。例えば、いくつかの実施態様では、決定木を用いて口腔内装置療法の結果を予測することができるが、他の実施態様では、ランダムフォレストを用いて口腔内装置療法の結果を予測することができる。任意選択で、決定木またはランダムフォレストの分析を選択することは、所望の結果に依存することが可能である。任意選択的に、同じタイプの予測技術(例えば、ランダムフォレスト)を使用して異なる所望の結果を予測することができるが、予測技術の設計(例えば、決定木の数、重み付けなど)は、異なる望ましい結果に対して異なり得る。本明細書で使用されるように、所望の結果は、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるか否かの予測の精度、または口腔内装置療法の有効突出レベル(本明細書では「目標突出位置」とも呼ばれる)の予測の精度などの、推奨に対する所望の精度レベルであり得る。例えば、複数の検査期間の結果を繰り返すこと及び平均化すること、もしくは上記のように結果を確認または精緻化するさらなる検査期間を追加することは、精度を向上させ、または異なる2種類の検査期間の結果が使用される(例えば、動的な制御下にあるものと静的な制御下にあるもの)ことにより、精度が向上する。さらに、所望の結果には、口腔内装置療法の治療結果の予測の所望の尺度(例えば、AHI<10)を達成すること、または口腔内装置療法の治療結果の予測の所望の尺度及び所望の割合の減少(例えば、AHI<10及びベースラインからの50%の減少)を達成することを含むことができる。任意選択的に、所望の結果には、特定のタイプのイベントを伴う口腔内装置療法の治療結果の予測の所望の尺度(例えば、AHIまたはODI)を達成することが含まれ得る。さらに、所望の結果は、口腔内装置療法の突出レベルの所望のレベルの最適値を含み得る。例えば、口腔内装置療法のための突出レベルを最小化することが望ましい場合や、あるいは口腔内装置療法のための有効突出レベルを選択することが許容可能である場合がある。さらなる検査期間を追加することにより、図13を参照して説明したように、目標突出位置を最小にすることができる。しかし、検査計画に応じて、検査期間を追加することにより、目標突出位置を増加させて精度を上げることも可能である。検査計画は、対象(本明細書では「患者」とも呼ぶ)によって許容され、使用者によって与えられ、及び/または下顎変位装置の特徴(例えば、電池の寿命または他の寿命のある使い捨て可能なもの)によって制約され得る所望の検査セッションの最大数を任意選択で考慮することができる。代替的または追加的に、検査計画は、口腔内装置療法に耐える(例えば、顎関節(TMJ)の懸念事項)ために、最小突出位置を必要とする場合もそうでない場合もある対象の解剖学的形態を、任意選択で考慮してもよい。
任意選択的に、検査計画及び/または検査期間の分析は、患者の入力信号(本明細書では「対象に関する診断情報」とも呼ばれる)を考慮することができる。言い換えれば、対象に関する診断情報は、検査期間の数、実行されるプロトコル、及び/またはプロトコルのパラメータ(複数可)を含み、検査計画に任意選択で影響を及ぼすことが可能である。患者の入力信号は、任意選択で、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度、呼吸イベントの分布(例えば、呼吸イベントのクラスタリングを含む)、酸素不飽和度のレベル、診断的睡眠調査中の対象の体位、診断的睡眠調査中の睡眠段階、対象の身体的特徴、対象の病歴、または対象の症状を含むがそれらに限定されない対象の任意の情報であってもよい。患者の入力信号は、以下に記載するように、タイトレーションのために使用される下顎変位装置を用いるが、口腔内装置を対象の口腔に位置決めすることなく行われる異なる検査(例えば、診断検査)によって、任意選択で判定することができる。例えば、診断検査を使用して、口腔内装置療法や他の診断変数なしで対象の呼吸イベントの頻度を判定することができる。代替的または追加的に、患者の入力信号は、任意選択で患者から直接得ることもでき(例えば、対象の身体的特徴、投薬、病歴、特定の症状の存在、高血圧の病歴、肺機能不全歴などを引き出すアンケートを通じて)、及び/または対象の直接的な測定(例えば、身長、体重、首まわり、ボディマス指数(BMI)など)によって得られる。任意選択的に、患者の入力信号は、複数の検査期間にわたり測定/分析された任意の患者の入力信号の検査期間から検査期間までの(例えば、夜間から夜間の)変動を含み得る。代替的または追加的に、多検査期間計画は、ある対象(例えば、より小さな変化を検出することによって精度が妨げられる可能性がある軽度の睡眠時無呼吸を患う対象、または健康との関連に起因して所望の精度が高まり得る重度の睡眠時無呼吸を患う対象)における精度を高める追加的な検査期間を含むことができる。
多検査期間計画は、多検査期間計画の1つ以上の検査期間の分析によって、任意選択で変更することができる。検査期間の分析は、対象から得る生理学的情報及び/または下顎変位装置の突出レベルの履歴を含むがこれらに限定されない検査期間からのデータの収集、測定及び/または分析を含み得る。検査期間の分析は、検査期間中に収集したデータに関連する少なくとも1つの変数の判定または特定を含み得る。例えば、変数は、口腔内装置療法の結果の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測のうちの1つまたは複数を含み得る。言い換えれば、変数は、検査期間中に行われたタイトレーション中に判定された口腔内装置療法の結果の予測であり得る。代替的または追加的に、変数は、呼吸イベントのカウントや頻度(例えば、#無呼吸及び呼吸数の数/期間といった、無呼吸低呼吸指数(AHI))といった呼吸イベントの尺度の1つ以上を含み得る。代替的または追加的に、変数は、図12に示される変数が含まれるが、これに限定されない検査期間中に収集されたデータに関連する他の尺度を含むことができる。任意選択的に、多検査期間計画は、例えば、さらなる検査期間(例えば、第3、第4などの検査期間)を追加することによって、2つの検査期間(例えば、第1及び第2の検査期間)の間の結果の差異により、変更することができる。例えば、上述したように、多検査期間計画は、確認用及び/または精緻化用検査期間を含むか、含むように変更される。
代替的または追加的に、検査期間の1つまたは複数のパラメータ(例えば、検査期間中に実行されたプロトコルに対する)は、任意選択で、他の検査期間に関連する特定された変数(複数可)に依存して設定することができる。他の検査期間は、パラメータが設定されている検査期間に先行して、またはその前に、任意選択で実行することができる。例えば、第2、第3、第4などの検査期間中に実行されるプロトコルのパラメータは、第1の検査期間中に特定された変数(複数可)に依存して設定することができ、パラメータは、任意選択で、時間内の早くに実行される。パラメータは、任意選択で開始突出レベル、突出レベル調整速度、突出レベル範囲、突出レベルを調整する基準(例えば、AHI>10または任意の他の基準の場合に突出レベルを調整する)、相関ウィンドウ(例えば、上述したような気流と酸素飽和度低下イベントを整合させることによる呼吸イベント検出のための遅延時間)の幅及び/または位置、プロトコルのタイプ、呼吸イベントを定義する基準(例えば、上記のように、呼吸イベントが定義及び測定される所定の基準)、睡眠調査資格付与状態、または突出レベルを調整する前の時間の長さ)であってよい。
例えば、第1の検査期間(例えば、対象の下顎の変位が複数の突出レベルの間で制御されるタイトレーションプロトコルが実施される)から得た結果が、対象が口腔内装置療法の候補であると予測した場合、第2の検査期間(例えば、対象の下顎の変位が複数の突出レベルの間で制御されるタイトレーションプロトコルが実行される)のためのパラメータを設定して、第1の検査期間から確立された目標突出位置での下顎変位装置の移動を開始することができる。あるいは、第1の検査期間から得た結果により、対象は口腔内装置療法の候補ではないと予測された場合、第2の検査期間は、予め選択された目標突出位置で下顎変位装置を開始することができる。予め選択された目標突出位置は、任意選択で最大突出レベルに近いレベルに選択されて、成功する治療を示す可能性が最も高い突出レベルを十分に検査することを確実にすることができる。予め選択された目標突出は、任意選択で、例えば、対象の最大突出の90%であってもよい。本開示は、予め選択された突出が最大突出の90%より多くても少なくてもよいことを企図している。代替的にまた具体的に、多期間検査計画により最小突出位置が必要になった場合、予め選択された突出は最大突出の90%未満であってもよい。代替的または追加的に、第2の検査期間を実行する決定は、第1の検査期間の分析に基づいていてもよい。換言すれば、一部の場合、第1の検査期間の結果に応じて第2の検査期間を実施しなくてもよい。代替的かつ追加的に、第3の検査期間が多期間検査計画に従って実行される場合、第3の検査期間は、事前に予め選択された突出(例えば、最大突出の90%)で、または事前に選択された突出未満の値(例えば、最大突出の90%未満や最大突出の70%)で開始し得る。代替的または追加的に、後続の検査期間のパラメータは、例えば、必要な時間の長さ、必要とされる突出のレベル、または調整可能な下顎変位装置の移動などといった調査資格付与状態に関して、前の検査期間の特定の変数の分析によって、任意選択で設定することもできる。代替的または追加的に、後続の検査期間のパラメータは、先に説明した遅延時間などの変数の観点から、前の検査期間の特定の変数の分析によって、任意選択で設定することもできる。例えば、上述したように、第1の検査期間中に一定の遅延時間を利用することができ、次いで、カスタマイズされたタイムラグを第2の検査期間に使用することができる。
ここで図10Dを参照すると、口腔内装置療法のための多検査期間のタイトレーション用のパラメータを設定するための例示的な動作1000Dを説明する流れ図が記載されている。任意選択で、上述のように、以前に発展された検査計画に基づいて、多検査期間のタイトレーションを行うことができる。1001において、第1の検査期間中に、口腔内装置療法のためのタイトレーションが行われる。1003において、第1の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数が特定される。例えば、図13に関して説明される1つの実施態様では、変数は、口腔内装置療法の結果の予測(例えば、対象の口腔内装置療法の成功または失敗の予測)である。1005において、第2の検査期間中に行われる口腔内装置療法のためのタイトレーション用のパラメータが設定される。本明細書に記載しているように、パラメータは、第1の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数に依存することがある。例えば、図13に関して説明される1つの実施態様では、パラメータは、以前の検査期間に行われたタイトレーションが対象の口腔内装置療法の成功を予測したか失敗を予測したかに依存する、後続のタイトレーションの開始突出レベルである。1007において、第2の検査期間中、口腔内装置療法のためのタイトレーションが行われる。1009において、第1及び第2の検査期間中に行われたタイトレーションに基づいて、口腔内装置療法の結果を確立することができる。
任意選択的に、口腔内装置療法の結果は、検査期間の1つ(例えば、第1、第2、第3、第4などの検査期間)によって予測される結果とすることができる。代替的または追加的に、口腔内装置療法の結果は、いくつかの検査期間、例えば異なる検査期間中に判定された、いくつかの有効突出レベルによって判定される結果の予測とすることができ、各々は異なる治療基準(例えば、AHI<10、AHI<5などを達成すること)に基づいて提案される。口腔内装置療法の結果は、任意選択で、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測であり得る。例えば、口腔内装置療法の結果は、検査期間の少なくとも1つの間に判定された口腔内装置療法の有効突出レベルの予測であり得る。口腔内装置療法の確立された結果は、時間的により遅い、または最後に実施される検査期間の結果である必要はない。さらに、口腔内装置療法の結果は、複数の検査期間によって確立された結果の平均、確認、または精緻化とする必要はない。代わりに、口腔内装置療法の結果は、2つ以上の検査期間の結果(例えば、組み合わせの分析)に基づくことができる。このようにして、複数の検査期間の結果を用いて、口腔内装置療法の結果を確立することができる。任意選択的に、本明細書で説明するように、口腔内装置療法の結果は、複数の検査期間中に収集されたデータに基づく最終分析とすることができる。これは、異なる検査期間に関連する変数の1つ以上(例えば、図12によって示される変数の1つ以上)を分析することを含み得る。任意選択的に、最終分析は、多検査期間の終了後にオフラインで実行することができる。任意選択的に、最終分析は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどの機械学習技術を使用することができる。本明細書で説明するように、最終分析は、1つ以上の訓練された機械学習モジュールを使用することができる。代替的または追加的に、最終分析のタイプは、所望の結果に基づいて任意選択で選択することができる。異なる分析を、所望の結果に基づいて行ってもよい。例えば、第1のタイプの最終分析は、所望の結果が口腔内装置療法の治療結果の予測の特定の尺度(例えば、AHI<10またはODI<10)である場合に実行することができるが、所望の結果が口腔内装置療法の治療結果の予測の異なる尺度(例えば、AHI<10及びベースラインからの50%の減少)である場合に、第2のタイプの最終分析を行うことができる。最終分析のタイプは、複数の検査期間中に収集されたデータに関連する変数を、口腔内装置療法の結果に関連付ける方法を含むことができ、それはニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどの機械学習技術を含むが、これらに限定されない。任意選択で、各検査期間中に学習された情報は、口腔内装置療法の結果の予測に影響を及ぼす可能性がある。例えば、図13に示すように、口腔内装置療法の結果は、(i)時間内の最後の検査期間の分析から得た成功(または失敗)の予測、及び(ii)時間的により早く実施された検査期間の分析から得た有効突出レベルの予測、から取得される。この例では、各検査期間の結果が、口腔内装置療法の最終結果の予測の一部を構成する。他の例として、図14Cに示すように、口腔内装置療法の結果は、(i)第1の検査期間(時間的により早くに実施される)から得た最大の残留AHI、及び(ii)第2の検査期間(時間的により遅く)の最後の1時間の間のイベントの頻度に基づく。この例では、各検査期間からの情報−分析された変数−は、口腔内装置療法の最終結果の予測に影響を与える。これらは、検査期間の組み合わせに基づく口腔内装置療法の結果を確立する例にすぎないことを理解されたい。例えば、多検査期間中に収集、測定、及び/または分析された任意のデータ(例えば、上記の変数)に基づいて、口腔内装置療法の結果を確立することができる。例えば、後続の検査期間中に収集、測定、及び/または分析されるデータは、1つまたは複数の以前に実施された検査期間から得た結果がより信頼性が高いまたはより正確であることを示すことができる。あるいは、前の検査期間中に収集され、測定され、及び/または分析されたデータは、1つまたは複数の後続で実施される検査期間から得る結果が、より信頼性が高いまたはより正確であることを示し得る。例えば、第1または第2の検査期間の1つの間に収集、測定及び/または分析されたデータは、検査期間の1つによって予測された口腔内装置療法の結果が、他の検査期間よりも信頼性が高いまたは正確であることを明らかにすることができる。換言すれば、各検査期間中に特定された変数の1つ以上は、後続の検査期間中に実施されるプロトコルを導き、その上結果の予測の信頼性に関する情報を提供することができる。本開示は、後続の検査期間中に実施されるプロトコル用のパラメータ(複数可)が設定される変数(複数可)が、口腔内装置療法の結果を確立するために使用される変数(複数可)と同じであっても異なっていてもよいことを企図している。したがって、より信頼性の高い及び/またはより正確な結果を選択することができる。任意選択的に、上述したように、口腔内装置療法の結果は、検査期間の組み合わせ(例えば、平均化または精緻化)によって予測される結果とすることができる。
任意選択的に、動作は、対象に関する診断情報(例えば、上記の患者の入力信号)を受信することを含み得る。診断情報は、口腔内装置療法の結果を確立するために、及び/または検査プロトコル用のパラメータを設定するために、使用できる。例えば、診断情報は、口腔内装置療法が不在下の場合(例えば、診断的調査から得る呼吸イベントのベースライン測定)に対象が経験する呼吸イベントの尺度とすることができる。任意選択的に、診断情報は、CPAP療法などの別のタイプの療法と併せて測定することができる。例えば、呼吸イベントのベースライン尺度は、呼吸イベントの頻度またはAHIであり得る。
任意選択的に、動作は、対象に関する診断情報、口腔内装置療法の所望の結果、口腔内装置療法の結果に対する所望の精度レベル、所望の検査期間総数、対象の感受性または耐性、または調整可能な下顎変位装置の制約に基づいて、1つ以上の追加の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うかどうかを判定することをさらに含み得る。例えば、動作は、第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数を特定し、第1または第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数に基づいて、第3の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うかどうかを判定することを任意選択で含み得る。口腔内装置療法のためのタイトレーションが第3の検査期間中に行われる場合、動作は、第3の検査期間中に行われる口腔内装置療法のためのタイトレーション用のパラメータを設定し、第3の検査期間中に口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うことを任意選択で含み得る。上記と同様に、パラメータは、第1または第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する変数に依存することができる。さらに、第1、第2及び第3の検査期間の少なくとも2つの間に実施されるタイトレーションに基づいて、口腔内装置療法の結果を確立することができる。
本開示は、上述の例示的な動作が、例えば図1A〜1Bに関して記載されるタイトレーションシステムを使用して実行できることを企図している。図1A〜1Bに関して記載しているタイトレーションシステム以外のシステムを使用できることを理解されたい。口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための技術は、上で詳細に記載されている。例えば、検査期間中のタイトレーションは、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めし、対象から得る生理学的情報をモニタし、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含み得る。
ここで図10Eを参照すると、複数の夜での検査計画における例示的な動作1000Eを説明する流れ図が示されている。1040から始まり、所望の評価結果が評価され、1042で、これらの所望の評価結果を使用して、所望の結果を達成するための検査計画を発展させる。所望の結果には、口腔内装置療法の所望の結果(例えば、AHI、ODI、%減少、またはそれらの組み合わせなどの治療結果の予測の特定の尺度)、口腔内装置療法の結果に対する所望の精度レベル、所望の総検査期間数、対象の感受度または耐性、または調整可能な下顎変位装置の制約を含み得る。本明細書で説明するように、検査計画は、所望の結果に基づいて、調整可能な下顎変位制御技術(及び任意選択でそれに関連する1つまたは複数のパラメータ)の選択をすることを含み得る。代替的または追加的に、検査計画は、所望の結果に基づく口腔内装置療法の結果予測技術の選択を含み得る。上述したように、これは、特定の検査期間が繰り返され、結果が平均化されて精度レベルの向上を得る検査計画を考案することを含み得る。あるいは、第2、第3または第4などの検査期間を含む検査計画を考案して、所望の結果を確認または精緻化することを含み得る。代替的または追加的に、それは、全検査期間の数を最小数に制限する検査計画を考案することを含むか、または所望の精度を達成するために必要とされないので特定の検査期間を省略する。検査計画は、代替的に及び任意選択で、患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)を考慮することができる。検査計画の発展に続いて、1044で対象に装置(例えば、図1Bに関して記載されたタイトレーションシステム)が提供され、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めすることができる。1046において、対象を、検査期間中の1つまたは複数の生理学的応答についてモニタし得る。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。さらに1046において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御するための方法は、上述し、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づき突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保持すること)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。次に、1048で、検査期間から得た情報が分析され、1つまたは複数の変数が計算される。
情報は、生理学的情報とすることができ、上述したような下顎変位装置を駆動するモータの動的応答を含む包括的な情報を含み得る。上述したように、変数(複数可)は、口腔内装置療法の結果の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、口腔内装置療法の最適突出レベルの予測、呼吸イベントのカウントまたは頻度などの呼吸イベントの尺度(例えば、#無呼吸及び低呼吸の数/期間といった無呼吸低呼吸指数(AHI)など)、特定の突出レベルまたはそれを超える呼吸イベントの尺度(例えば、上記のような残留RDI)、特定の突出レベル以上で費やされた時間の割合、睡眠段階、または覚醒の発生の1つ以上を含み得るが、それらに限定されない。
1050で、検査期間からの分析を利用して、検査計画に従って次の検査を決定する。1050で次の検査が必要であると判断した場合、1052で、分析から判定された変数(複数可)を使用して、次の検査のための1つまたは複数のパラメータを決定することができる。上述したように、パラメータには、開始突出レベル、突出レベル調整速度、突出レベル範囲、相関ウィンドウの幅及び/または位置(例えば、上記のような呼吸イベントを検出するための遅延時間)、プロトコルのタイプ、呼吸イベントを定義する基準(例えば、上記のように、呼吸イベントが定義及び測定される所定の基準)、睡眠調査資格付与状態、または突出レベルを調整する前の時間の長さを含み得るが、それらに限定されない。代替的に、1050において、1054でさらなる検査期間が必要でないと判定された場合、1つまたは複数の検査期間の結果に基づいて、口腔内装置療法の推奨を確立することができる。
上述したように、推奨は、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるかどうかの予測であり得る。代替的または追加的に、推奨は、任意選択で調整可能な下顎変位装置の有効突出レベルを示すことでもよい。調整可能な下顎変位装置の有効突出レベルは、呼吸イベントの重症度または頻度を許容可能なレベルまで低下させる突出レベルであり得る。代替的または追加的に、推奨は、任意選択で調整可能な下顎変位装置の最適な有効突出レベルを示すことでもよい。
評価は、検査期間から得た全データセットに基づいて評価することができるが、それは、先に説明したように、対象の生理学的応答、及び下顎変位装置の動的応答に関する情報(例えば、検査期間中に装置がどれ程速くまたどれ程遠くに移動するか)を含むが、これに限定されない。上述のように、評価はまた、検査期間に関連する1つ以上の変数の特定または判定を含み得る。
1つ以上の変数はまた、上述のように多期間検査計画に影響を与え得る。任意選択で、変数は、次の検査の条件にも影響する可能性がある。例えば、前述のように、後続の検査期間に実行されるプロトコルのパラメータを設定するために変数を使用できる。任意選択で、検査期間の分析から得る変数は、口腔内装置療法の推奨を確立するために、検査期間の完全なセットの最終分析に使用することもできる。口腔内装置療法に対する推奨を確立するための最終分析は、検査の開始前に患者から直接判定された患者の入力信号(例えば患者に関する診断情報)、または追加的もしくは代替的に同じ装置での第1のタイプの検査(例えば診断検査)を、任意選択的及び追加的に考慮することができる。
ここで図10Fを参照すると、多検査期間プロトコルの分析用の例示的な動作1000Fを説明する流れ図が示されている。1062において、患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)は、任意選択で判定され、後の分析のために確保される。患者の入力信号は、最終分析に先立って、多検査期間プロトコル中の任意の時点で、代替的に収集することができる。1064において、第1の検査期間が実行される。第1の検査期間は、調整可能な下顎変位装置を提供すること、対象から得る生理学的情報をモニタすること、及び生理学的情報に応答して下顎変位装置を調整することを含む、前述のステップを含み得る。1066において、第1の検査期間から得た結果を分析して、検査変数の第1のセットを決定する。検査変数は、対象が口腔内装置療法のための好ましい候補であるかどうかの予測、呼吸イベントの重症度または頻度を許容可能なレベルに低減する調整可能な下顎変位装置の有効突出レベル(目標突出)の第1の指標、などの検査期間の結果を任意選択で含み得る。代替的または追加的に、検査期間変数は、上述の検査期間に関連する変数の1つまたは複数を含み得る。1068で、次の検査期間が実行される。検査期間は、調整可能な下顎変位装置を提供すること、対象から得る生理学的情報をモニタすること、生理学的情報に応答して下顎変位装置を調整することを含む、前述のステップを含む。1070で、次の検査期間から得る結果を分析して、次の検査変数のセットを決定する。検査変数には、対象が口腔内装置療法の好ましい候補であるかどうかの予測、呼吸イベントの重症度または頻度を許容可能なレベルまで低減する調整可能な下顎変位装置の有効突出レベル(目標突出)の第1の指標などの検査期間の結果、が含まれる。代替的または追加的に、検査期間変数は、上述の検査期間に関連する変数の1つまたは複数を含み得る。1072において、追加の検査の必要性が、前述の検査計画に従って判定される。1074において、検査計画の終わりに、検査期間の1つ以上から得た変数を使用して、口腔内装置療法に対する推奨を確立する。口腔内装置療法に対する推奨を確立するための最終分析は、患者の入力信号(例えば、対象に関する診断情報)を任意選択的または追加的に含むことができ、これは検査の開始前に患者から直接判断されるか、追加的または代替的に同じ装置での第1のタイプの検査(例えば、診断検査)による。任意選択的に、最終分析のタイプは、口腔内装置療法のための所望の推奨基準に基づいて選択することができる。例えば、AHI<10、診断的調査からの50%減少を伴うAHI<10、またはRDIまたはAHIを計算するために使用される呼吸イベントのタイプ(例えば、3%酸素飽和度低下対4%酸素飽和度低下、または飽和度低下イベントのみなど)という、口腔内装置療法に対する推奨基準の各々は、異なるタイプの最終分析の選択に関連し得る。
ここで図10Gを参照すると、口腔内装置療法の結果予測プロトコルを選択するための例示的な動作1080を説明する流れ図が示されている。1082において、口腔内装置療法の所望の結果基準が受信される。所望の結果基準は、任意選択で、使用者(例えば、対象、睡眠技術者、医療専門家、及び/または口腔内装置療法の結果に関心のあるその他の者)によって選択され得る。所望の結果基準は、口腔内装置療法の所望の結果、口腔内装置療法の結果に対する所望の精度レベル、所望の総検査期間数、対象の感受性または耐性、または調節可能な下顎変位装置の制約を含み得る。例えば、所望の結果基準は、AHI、ODI、%減少、またはそれらの組み合わせなどの治療結果の予測の尺度であり得る。1084において、口腔内装置療法のためのタイトレーションが行われる。本明細書に記載されているように、口腔内装置療法のためのタイトレーション中に下顎変位装置を制御するための方法は、呼吸イベントを低減/排除するための突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づく突出レベルの制御(例えば、一定期間にわたって一定の突出レベルを保持すること)、呼吸イベントの頻度及び重症度に基づいて調整の規模または速さを制御すること、気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載されるように、多検査期間プロトコルの間、下顎変位装置を制御するための方法は、異なる検査期間中で異なっていてもよい。
1086において、口腔内装置療法の結果を確立するための予測プロトコルが、所望の結果基準に基づいて選択される。予測プロトコルは、1つ以上の検査期間中に収集されたデータに関連する変数を、口腔内装置療法の結果に関連付けるための、任意の方法を含み得る。異なるタイプの予測プロトコルには、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどの機械学習技術が含まれるが、これらに限定されない。例えば、150の決定木のランダムフォレスト(例えば、第1のタイプの予測プロトコル)は、所望の結果基準が、10イベント/時間未満及びベースラインからの50%減少という成功基準を伴う4%のODIのような、口腔内装置療法の治療結果の予測の第1の尺度のときに使用でき、100の決定木のランダムフォレスト(例えば、第2のタイプの予測プロトコル)は、所望の結果基準が、10イベント/時間未満のみという成功基準の伴う4%のODIのような、口腔内装置療法の治療結果の予測の第2の尺度のときに使用し得る。予測プロトコル及び治療結果の予測の尺度は、例としてのみ挙げており、他のものを本明細書に記載の技術に従って使用できることを理解されたい。上記の例は、異なる所望の結果基準に依存して、異なる予測プロトコルを使用することを実証するためにのみ挙げている。
1088において、選択された予測プロトコルに従って、口腔内装置療法の結果が確立される。さらに、本明細書で説明するように、予測プロトコルを使用して、1つまたは複数の検査期間中に収集されたデータに関連する変数の1つまたは複数(例えば、図12で示す変数)を分析することができる。言い換えると、予測プロトコルは、1つまたは複数の検査期間中に収集された完全なデータセットに関する最終分析を実行するために、使用することができる。任意選択で、最終分析は、1つまたは複数の検査期間の終了後にオフラインで実行することができる。
任意選択的に、いくつかの実施態様で、所望の結果基準に基づいて検査プロトコル(例えば、下顎変位装置を制御する方法)を選択することができる。口腔内装置療法のためのタイトレーションは、選択された検査プロトコルに従って行うことができる。検査プロトコルは、予測プロトコルに加えて、またはその代わりに選択し得ることを理解されたい。1082での口腔内装置療法の所望の結果基準は、1084での口腔内装置療法のためのタイトレーションが完了する前または後のいずれかに受信することができる。例えば、所望の結果基準の選択が、オフラインでの最終分析予測プロトコルのみに影響を及ぼし、検査プロトコルに影響しない場合には、口腔内装置療法のためのタイトレーションの完了後に所望の結果基準を受信してもよい。一方、所望の結果基準の選択が、オフラインでの最終分析予測プロトコルと検査プロトコルの両方に影響する場合、口腔内装置療法のためのタイトレーションを行う前に所望の結果基準を受信してもよい。
ここで図13を参照すると、口腔内装置療法のための多検査期間のタイトレーションを行うための例示的な動作1300が記載されている。上述したように、多検査期間のタイトレーションは、検査計画に基づいて任意選択で行うことができ、それは、所望の結果、所望の精度レベル、患者の入力信号及び/または既知の制限を含むがこれらに限定されないいくつかの要因に基づいて、時間内の早期に発展されるものである。具体的には、図13において、口腔内装置タイトレーションの結果は、異なる検査期間内で得る1つ以上の変数の分析に基づいて評価される。検査期間内に得る変数は、次の検査期間のパラメータを判定するために使用し、最終評価は、様々な(例えば1つ以上の)検査期間から得る変数の分析を含む。最終評価は、様々な検査期間に関連する変数の1つ以上(例えば、図12で示す変数の1つ以上)を分析することを含む。任意選択で、最終分析は、様々な検査期間の終了後にオフラインで実行できる。任意選択的に、最終分析は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどといった機械学習技術を使用することができる。本明細書で説明するように、最終分析は、1つ以上の訓練された機械学習モジュールを使用することができる。代替的または追加的に、所望の結果に基づいて最終分析のタイプを任意選択で選ぶことができ、所望の結果に基づいて異なるタイプの最終分析を行うことができる。例えば、第1のタイプの最終分析が、所望の結果が特定の口腔内装置療法の治療結果の予測の尺度(例えば、AHI<10またはODI<10)である場合に実行され得る一方で、第2のタイプの最終分析は、所望の結果が異なる口腔内装置療法の治療結果の予測の尺度(例えば、AHI<10、及びベースラインからの50%の減少)である場合に実行され得る。最終分析のタイプには、多検査期間中に収集されたデータに関連する変数を、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどといった機械学習技術を含むが、これらに限定されない、口腔内装置療法の結果に関連付ける方法が含まれ得る。例えば図10Eのステップ1040を参照して説明した(所望の結果、所望の精度、検査期間数、患者または装置の制限などを含む)ように、所望の評価結果を判定し、例えば図10Eのステップ1042を参照して説明したような検査計画を考案した後、1302で第1の検査期間が実行される。1304において、検査期間から得た情報を分析し、変数を評価する。図13において、評価される変数の1つは、検査期間中に評価されるような口腔内装置療法の結果の予測である。結果が成功の予測(PS)として評価される(1306でのように)場合、検査期間から得る情報を分析して口腔内装置療法の目標の有効突出レベルの予測を判定する(1308で)。1310において、この目標の有効突出レベルの予測は、次の検査期間で実行されるプロトコルのパラメータとして、具体的には検査用の下顎変位装置の開始目標突出レベルとして使用される。対照的に、1312において、口腔内装置療法の結果の予測が失敗の予測(PF)である場合、次の検査期間の下顎変位装置の開始突出レベル(例えば、第2の検査期間のパラメータ)は、予め選択された突出レベルで設定される(1314で)。予め選択された突出レベルが、口腔内装置療法の有効突出レベルを特定する際に最良の機会を提供するレベルであると判断される。対象がこの段階で口腔内装置療法に対しPFであるとすると、例えば対象の最大突出レベルに近い値が提案される。例えば、予め選択された突出レベルは、対象の最大突出範囲の90%であってもよい。予め選択された突出レベルは、最大値の90%より大きくても小さくてもよいことを理解されたい。図13のステップ1302からステップ1314は、調整可能な下顎変位装置制御技術(及びその特定のパラメータ)が第1の検査期間に関連する変数に基づいて選択される例を示している。言い換えれば、第2の検査期間の開始突出レベル(例えば第2の検査期間のパラメータ、それは第2の検査期間で使用される調整可能な下顎変位装置制御技術のパラメータである)は、第1の検査期間に関連する変数(例えば、口腔内装置療法の結果の予測)に応じて選択される。
1316において、検査計画に従って、第2の検査期間が実行される。第2の検査期間の完了後、1318で、検査期間から得た情報が分析され、変数が評価される。図13において、評価される変数の1つは、第2の検査期間中に評価される口腔内装置療法の結果の予測である。結果が成功の予測(PS)(1320で)として評価される場合、第2の検査期間から得た情報をさらに分析して、目標の有効突出レベルの予測を判定する。1322において、最終評価が実行され、第1の検査期間(1302)の結果を確認しながら第2の検査期間(1316)に基づいて、対象は成功すると予測される。さらに、目標の有効突出レベルは、第1または第2の検査期間によって判定される、より高次のレベルとして選択される。同様に、1324で結果が失敗の予測(PF)である場合、1326で最終評価が実行され、第1の検査期間(1302)の結果を確認しながら、第2の検査期間(1316)に基づいて、対象は失敗すると予測される。
1318での第2の検査期間の分析に戻ると、1328で結果が失敗の予測(PF)として評価されており、第1の検査期間(1302)の結果が、第2の検査期間(1316)で確認されていない。検査計画に従って、第3の検査期間を実行して評価を完了することができる。図13において、第2の検査期間の検査プロトコルが、1336で繰り返され、1306(PS)及び1328(PF)における第1及び第2の検査期間の結果(例えば、検査期間に関連する変数)に基づいて、第3の検査期間の間実行されるプロトコル用の検査パラメータを1330で選択する。具体的には、第3の検査期間中の下顎変位装置の開始(startingまたはbeginning)レベルは、1330にて最後の検査期間(例えば、第1の検査期間)で評価された有効突出レベルとは対照的な、予め選択された突出レベルとして選択される。対象が第2の検査期間に基づくと口腔内装置療法に対しPFである(例えば、対象の最大突出レベルの90%またはそれ付近)なら、有効突出レベルを特定する最良の機会となるのを保証するように予め選択された突出レベルを選択することができる。あるいは、1332のように、第1の検査期間(1302)の結果が第2の検査期間(1316)によって確認されていない場合、第2の検査期間の検査プロトコルが1336で第3の検査期間として繰り返される。第3の検査期間(例えば、第3の検査期間のパラメータ)のための下顎変位装置の開始位置は、先に選択した突出レベルよりも小さい、予め選択した突出として選択される。例えば、1314において、第2の検査期間中の下顎変位装置の開始突出レベルとして対象の最大突出レベルの90%を利用した場合、1334において、第1及び第2の検査期間の結果が矛盾し、後の検査期間がPSを示し(1332で)ているものとして、対象の最大突出レベルの70%を第3の検査期間中の下顎変位装置の開始突出レベルとして使用することができる。対象の最大突出レベルの70%よりも大きいまたは小さい開始突出レベルを利用できることを理解されたい。1336において、前の検査期間(例えば、第1及び第2の検査期間)から特定された変数に基づいて設定されたパラメータ(例えば、開始突出レベル)を用いて、第3の検査期間が実行される。
第3の検査期間に続いて、この例では、最終的な評価が実行される。最初に、第3の検査期間から得た結果が1338で評価される。1340で、第3の検査期間に基づいて失敗の予測(PF)が評価され、最終的な評価は、第2及び第3の検査期間のPF結果に基づき失敗の予測(1342で)となる。対照的に、PFが1344で評価される場合、1344でこの否定的な予測がなされたにもかかわらず、最終結果は1346で成功の予測(PS)となる。このシナリオでは、第2の検査期間から得た結果は、第3の検査期間で確認されなかったが、最終的な結果であるとみなされる。検査期間から、対象にとっての最大突出レベルの90%では口腔内装置療法がPSである(例えば1332で)が、対象にとっての最大突出レベルの70%では口腔内装置療法がPFである(例えば1344で)ことが明らかになる。したがって、対象の最大突出レベルの90%での口腔内装置療法が、口腔内装置療法の最終目標突出レベルである。あるいは、1348において、結果が成功の予測(PS)である場合、最終結果(1350で)は、第2及び第3の検査期間で判定した結果に基づき成功の予測(PS)であり、下顎変位装置の目標突出レベルは、例えば、口腔内装置療法の突出の低い方のレベル(例えば、最大の70%対90%)がPFであるため、第3の検査期間から得られる。また最後に、1352で結果が成功の予測(PS)であれば、1354での最終結果も成功の予測(PS)であり、目標突出レベルは第1及び第3の検査期間に由来するレベルのうちの高いものとして取得される。このようにして、最少量の検査期間において、突出レベルの最小量で、最大限の精度が達成される。
ここで図14Aを参照すると、多検査期間のタイトレーションを使用して対象における口腔内装置療法の結果を評価するための例示的な動作1400Aが記載されている。1402Aにおいて、対象に関する診断情報が受信される。1404Aにおいて、第1及び第2の検査期間の各々の間に、口腔内装置療法のためのタイトレーションが行われる。1406Aにおいて、第1及び第2の検査期間中に行われたタイトレーションに関連する少なくとも1つの変数が分析される。さらに、診断情報は、少なくとも1つの変数の選択に影響を及ぼすことがある。1408Aにおいて、口腔内装置療法の結果は、少なくとも1つの変数に基づいて確立される。
任意選択で、診断情報は、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度、呼吸イベントの分布、不飽和度のレベル、診断的睡眠調査中の対象の体位、診断的睡眠調査中の睡眠段階、対象の身体的特徴、対象の病歴、または対象の症状を含むがこれらに限定されない、対象に関する任意の情報であってもよい。例えば、診断情報は、(例えば、診断調査の結果として)前に取得することができる。図14Bに関して以下に説明する1つの実施態様では、診断情報は、口腔内装置療法の不在下で対象が経験するベースライン無呼吸低呼吸指数(AHI)である。少なくとも1つの変数は、診断情報が閾値よりも大きい場合には第1の変数であり得、診断情報が閾値よりも小さい場合には少なくとも1つの変数は第2の変数(例えば第1の変数とは異なる)である。上述した図14Aのステップ1408Aのように、少なくとも1つの変数は、口腔内装置療法の結果の確立に影響を及ぼす。言い換えれば、対象が口腔内装置療法に成功する候補かどうかということ、口腔内装置療法の有効突出レベル、口腔内装置療法の最適突出レベルなどの予測は、異なる変数を分析することによって判定することができ、それは対象に関する診断情報(例えば、対象のベースラインAHI)に拠る。上述した閾値は、任意選択で1時間当たり15〜40の呼吸イベントであってもよい。任意選択で、閾値は、1時間当たり約20の呼吸イベント、例えば1時間当たり約16の呼吸イベントとすることができる。
本開示は、上述の例示的な動作が、例えば、図1A〜1Bに関して記載しているタイトレーションシステムを使用して実行され得ることを企図している。図1A〜1Bに関して記載しているタイトレーションシステム以外のシステムを使用することができることを理解されたい。口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための技術は、詳細に上述している。例えば、検査期間中のタイトレーションは、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔に位置決めし、対象から得る生理学的情報をモニタし、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含み得る。
ここで図14Bを参照すると、多検査期間のタイトレーションを使用して対象の口腔内装置療法の結果を評価するための例示的な動作1400Bが記載されており、ここで、最終評価は、2つ以上の検査期間から得た1つ以上の変数の分析、患者の入力信号(例えば、対象から得た診断情報)に基づいて判定される。この例では、患者の入力信号は、例えば、診断検査プロトコルの間、タイトレーション検査プロトコル外で判定される。1402において、患者の入力信号(例えば、対象から得た診断情報)が判定される。例えば、診断情報は、患者が口腔内装置療法を使用していないときに測定された1時間当たりの平均イベント数であり得る(例えば、ベースライン無呼吸低呼吸指数)。1404において、第1の検査期間が実施され(例えば、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコル)、続いて1406で第1の検査期間の分析がなされる。1408で、第2の検査期間が実施され(例えば、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコル)、続いて1410での第2の検査期間の分析がなされる。第1、第2、または追加の検査期間は、上記のすべての可能性で事前に計画できることを理解されたい。次に1412で、1402での患者の入力信号(例えば、ベースラインAHI)、1406での第1の検査期間の分析から得た1つ以上の変数、及び1410での第2の検査期間の分析から得た1つ以上の変数をすべて使用して、口腔内装置療法の結果を確立することができる。
ここで図14Cを参照すると、患者の入力信号、及び図14Bのステップ1412における第1及び第2の検査期間から得た1つまたは複数の変数を分析するための例示的な動作1400Cが説明されている。例えば、1414において、対象から得た診断情報(例えば、ベースラインAHI)が分析される。口腔内装置タイトレーション調査の前に測定された患者のAHIが1時間当たり20イベントより多い場合、第2の検査期間中の最大突出時の呼吸イベントの頻度(例えば、第2の検査期間に関連する少なくとも1つの変数)は、1416で評価できる。診断情報が比較される閾値(例えば、1時間当たり20イベント)は、例としてのみ挙げており、閾値は1時間当たり20イベントより多くても少なくてもよく、例えば、1時間当たり15〜40イベント、または任意選択で、上記のように1時間当たり約16イベントであってもよいことを理解されたい。1414での呼吸イベントの頻度が1時間当たり12イベントより多い場合、口腔内装置療法の最終結果は失敗と予測されたことになる。1414での呼吸イベントの頻度が1時間当たり12イベント未満である場合、口腔内装置療法の最終結果は成功であると予測されたことになる。第2の検査期間(例えば、第2の検査期間中の最大突出時の呼吸イベントの頻度)及び1時間当たり12イベントの閾値に関連する変数は、例としてのみ挙げていることを理解されたい。本開示は、変数が上記の検査期間に関連する任意の変数であり得、閾値が他の値を有することができることを企図している。
あるいは、1414において、口腔内装置タイトレーション調査の前に測定された患者のAHIが1時間当たり20イベント未満であった場合、第2の検査期間の最後の1時間の間の呼吸イベントの頻度(例えば、第2の検査期間に関する少なくとも1つの変数)が、1418で評価され得る。呼吸イベントの頻度が1418で1時間当たり5イベント未満である場合、口腔内装置療法の最終結果は成功するという予測であると予測されたのである。上記と同様に、第2の検査期間(例えば、第2の検査期間の最後の1時間の間の呼吸イベントの頻度)及び1時間当たり5イベントの閾値に関連する変数は、例としてのみ挙げていることを理解されたい。本開示は、変数が上記の検査期間に関連する任意の変数であり得、閾値が他の値を有することができることを企図している。
1418での呼吸イベントの頻度が1時間当たり5イベントよりも多い場合、下顎変位装置がそれ以下で時間の70%を費やす第1の検査期間中の突出レベルでの残留AHIは、口腔内装置療法の結果の予測を確立する前に1420で評価することができる。この突出レベルは、図14Cにおいて「残留AHI−突出レベル70%」と称されている。本明細書で使用される場合、残留AHIは、#突出レベル(i)以上の無呼吸及び低呼吸数/突出レベル(i)以上で消費された時間の長さ、であり、式中「i」は、所与の突出レベルである。1時間当たり5イベントを超える頻度では、口腔内装置療法で失敗するという予測の最終評価結果に至ったが、1時間当たり5イベント未満の頻度では、口腔内装置療法で成功するという予測の最終評価結果に至ったことになる。上記と同様に、第1の検査期間(例えば、第1の検査期間中の最大残留AHI)に関連する変数及び1時間当たり5イベントの閾値は、例としてのみ挙げていることを理解されたい。本開示は、変数が上記のような検査期間に関連する任意の変数であり得、閾値が他の値を有することができることを企図している。この例では、患者データの後ろ向きの分析によって分析計画(例えば、第1及び第2の検査期間から分析される特定の診断情報及び変数)が確立されたのである。
例示的な検査プロトコル
本明細書に記載の検査期間中に使用される例示的な検査プロトコルを以下に示す。これらのプロトコルは、例としてのみ挙げており、包括的な列挙であることを意図しない。以下に説明するプロトコルの各々の間の下顎変位装置(例えば、図1A〜1Bに記載の下顎変位装置)の制御は、異なる目的を達成することを意図していることを理解されたい。さらに、結果(例えば、予測)の最終評価は、検査プロトコルの各々を使用して収集された変数に対して実行される組み合わせ分析であり得る。
動的制御プロトコル
プロトコルの第1の部分の間、下顎変位装置を、呼吸イベントを排除するために迅速かつ積極的に制御する。プロトコルの第2の部分では、生理学的システムは、任意選択で、下顎の任意の突出または後退によって摂動され、この摂動に対する通気応答を評価する。このプロトコルにより、さらに突出させてもそれ以上の通気の増加を生じない最適突出、及び臨界の突出、つまり対象の睡眠の特定の段階であらゆる呼吸イベントを排除することができる最小の突出に等しい突出の判定が、可能になる。どの時点でも、下顎変位装置は、対象が許容する上限及び下限を超えて、対象の下顎を移動させるように制御しない。
静的制御プロトコル
静的制御プロトコルによって、より多くの数のデータポイントを特定の突出レベルで収集することが可能になる。このプロトコルは、OA療法及び/または有効突出レベルの予測に対する患者の応答に関する予測が正しいことを確認し、目標の値の最適化または「チューンアップ」を可能にするために、使用することができる。静的制御プロトコルは、任意選択で、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御することを含み得る。例えば、突出レベルは、レム期間が予想される前の時間の長さ(例えば、約2時間)などの一定期間、一定に保持して、そのような一定期間中にデータを収集させるようにし得る。確認プロトコルは様々なストラテジーを採用するが、それにおいて目標突出の予測(例えば、口腔内装置療法の有効突出レベル)が出発点であり(例えば、動的制御プロトコルの間に決定されるものとして)、介入は、累積的な残留無呼吸低呼吸指数(AHI)が所定の閾値よりも大きい場合のみ生じる。それ以外の場合、摂動が実行され、結果がログに記録されるが、突出は目標の値で一定のままである。いずれの時点でも、対象が許容する上限及び下限を超えて対象の下顎を移動させるように、下顎変位装置を制御しない。
精緻化制御プロトコル
目標精緻化プロトコルは、成功を確認する目標の値よりも低い突出範囲で対象を検査することを意図している。いくつかのシナリオでは、上記の評価及び確認プロトコルの間、より低い突出範囲、例えば最大の70〜90%が完全には探求されず、目標の値(例えば、口腔内装置療法の有効突出レベル)が、最大突出量の90%超で選択される。目標精緻化プロトコルは、突出値の予測を90%未満に下げる可能性を探求することができる。下顎変位装置の全般的な制御は、確認プロトコルと非常に類似しているが、ただし累積残留AHIが評価されるとき、閾値よりも高い酸素飽和度低下(例えば、4%以上)のイベントのみを考慮する。開始突出レベルは70%であり、上限は対象の最大突出値の90%に設定される。いずれの時点でも、対象が許容する上限及び下限を超えて対象の下顎を移動させるように、下顎変位装置を制御しない。
多目的検査プロトコル
本明細書で論じるように、多目的検査プロトコルは、口腔内装置療法の推奨に加えて、異なるタイプの結果を提供する。任意選択的に、異なる結果は、上記のような患者の入力信号(例えば、対象から得た診断情報)を口腔内装置タイトレーション検査へと確立するために使用してもよく、または患者のケアにおいて別個に使用してもよい。例えば、口腔内装置療法の推奨に加えて、検査プロトコルは、睡眠時呼吸障害の診断を提供することができる。診断は、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、または吸気流量制限、高上気道抵抗、いびき、その他の1つであり得る。任意選択的または代替的に、異なる結果は、完全な診断を下すことなく、睡眠時呼吸障害(例えば、イベントの数、いびきの存在、中枢性睡眠時無呼吸の発生、高上気道抵抗の存在など)の尺度を提供するスクリーニング検査であってもよい。スクリーニングは、患者が口腔内装置タイトレーション検査を進めることを推奨するために任意選択で使用することができ、または可能性のある状態に対する追加的または代替的なケアを追求するための推奨を対象に提供することができる。
多目的検査プロトコルは、複数の異なる検査を完了することによって実施することができる。検査は、1つのセッションで1つの検査から次の検査まで連続して実行することも、代替的に別々のセッションで実行することもできる。検査は一晩で行うことも、別々の夜に行うこともできる。任意選択で、以下に説明するように、睡眠の専門家による介入なしに異なる検査を自動的に実行するように構成され得る同装置を用いて、検査を行うことができる。例えば、装置は、診断的調査を実施するよう構成でき、任意選択で、そのために装置を構成すべく対象に指示を提供するよう構成できる。次に、診断調査の結果に基づいて、装置はタイトレーション調査を実施するよう構成でき、任意選択で、対象に対してそのために装置を構成すべく指示を提供するように構成できる。
異なる検査を進める結果は、第1の検査の結果に基づいて判定され得る。例えば、対象が口腔内装置療法で治療できる状態にある場合に、睡眠時呼吸障害の診断検査である第1の検査を使用して、対象が口腔内装置タイトレーション検査を進めるべきかどうかを判定することができる。この判定は、臨床的疾患の閾値(例えば、1時間あたり5イベント超、1時間あたり10イベント超、1時間あたり15イベント超)、または疾患の定義(例えば、気流の有無での3%飽和度低下指数対4%飽和度低下指数を用いて測定したAHI)を満たすある閾値の状態(例えば、1時間当たりの特定の呼吸イベント数)を対象が有することに基づいてもよい。さらに、判定は、検査の特定の状態に対象が適合することに基づいてもよい。例えば、第1のタイプの検査は、中枢性睡眠時無呼吸イベントの存在及び数を測定することができる。中枢性睡眠時無呼吸イベントの数が特定の閾値未満である(例えば、イベントの50%未満が中枢性である)ことに基づいて、口腔内装置タイトレーション検査を進めることを決定してもよい。第2の例で、第1のタイプの検査は、呼吸イベントの種類の比(例えば、低呼吸に対する無呼吸の比、閉塞性イベントの中枢性イベントに対する比)を測定してもよい。第3の例で、第1のタイプの検査は、睡眠時の体位を測定し、各体位に関連する呼吸イベントの頻度を判定することができる。口腔内装置療法を進める決定は、イベントの頻度及び/または重症度が、他方の体位よりも1つの体位において大きいかどうかに基づいていてもよい。例えば、進行する決定は、頻度が側臥位よりも仰臥位で多いかどうかに基づき得る。任意選択で、第1の検査(例えば診断検査)から得た特定の尺度または変数を利用して、口腔内装置タイトレーション検査で使用される検査パラメータ、検査計画及び/または分析方法を決定することができる。例えば、診断検査における呼吸イベントの頻度を利用して、図14A〜Cを参照して説明したような口腔内装置タイトレーション検査のための検査期間の1つまたは複数の分析で使用する方法を決定することができる。
第1のタイプの検査(例えば診断検査)から第2のタイプの検査(例えば、タイトレーション検査)へ進む決定は、自動的に行うことができる。例えば、装置は、第1のタイプの検査(例えば診断検査)から得たデータを自動的に分析し、第2のタイプの検査(例えば、口腔内装置タイトレーション検査)を開始するのに必要な設定で装置を構成することができる。これは、睡眠の専門家の介入なしに任意選択で行うことができる。例えば、装置は、タイトレーション検査のために下顎変位装置の移動を制御するようにプロトコルを設定することができる。任意選択で、患者が、検査中に口腔内に下顎変位装置の口腔内装置タイトレーショントレイを配置することを必要とする次の検査を進めるように、装置は、患者に指示を与えることができる。装置は、任意選択で、例えば、患者の突出の限界または検査の開始位置といった設定を提供することを必要とし得る。装置は、任意選択で、これらの設定を患者から直接、または訓練されたオペレータに対して要求することができる。詳細に上述したように、装置は、検査期間(複数可)から得たデータを分析し、プロトコルの変数(複数可)及び/またはセットパラメータ(複数可)を特定するように、例えばプロトコルの設定を確立するように構成することができる。任意選択的に、装置は、通信ネットワークに接続してオペレータからこれらの設定を遠隔的に及び/または遠隔のサーバから受信するように構成することができる。装置は、図11に関して説明した、通信ネットワークを介して通信するための構成要素が含まれている計算装置を含み得ることを理解されたい。任意選択で、第1のタイプの検査(例えば、診断検査)から得た結果は、訓練されたオペレータまたは専門家(例えば、睡眠専門医、技術者、歯科医など)が確認してもよい。本開示は、オペレータまたは専門家が、上記のように装置が接続されている通信ネットワークを介して検査期間に関連するデータを受信することができ、その結果、オペレータまたは専門家が遠隔でデータをレビューし、通信ネットワークを介して装置に指示を戻すことができることを企図している。
任意選択的に、第1の検査(例えば診断検査)において、患者は、タイトレーション歯科用トレイ(例えば、図1A〜1Bに記載の調整可能な下顎変位装置10)を含む下顎変位装置を使用しない、または提供されない。任意選択的に、例えば装置を使用して口腔内に下顎変位装置を配置しないように指示が対象に与えられる。任意選択的に、対象から得た所望の生理学的情報を測定するための1つ以上のセンサ(例えば、図1Bに記載のモニタリングユニット30)を構成するために、例えば装置を使用して、使用者に指示が与えられる。言い換えると、第1の検査は、患者からの生理学的信号の測定値のみを含み得る(例えば、気流、酸素飽和度、EEGなどの本明細書に記載される生理学的信号の1つ以上のいずれか)。第2のタイプの検査(例えば、口腔内装置タイトレーション検査)では、対象は、調整可能な下顎変位装置(例えば、図1A〜1Bに記載された調整可能な下顎変位装置10)を使用または提供される。任意選択的に、例えば装置を使用しながら、口腔内に下顎変位装置を配置しないように対象に指示が与えられる。任意選択的に、例えば装置を使用して、対象から得た所望の生理学的情報を測定するために、1つ以上のセンサ(例えば、図1Bに記載のモニタリングユニット30)を構成するよう、使用者に指示が与えられる。任意選択的に、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、第2の検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御する方法が本明細書に記載されているが、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保つこと)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどに限定されない。代替的または追加的に、口腔内装置タイトレーション検査期間中の調整可能な下顎変位装置の突出レベルの調整に基づいて、口腔内装置療法に対する推奨を確立することができる。
ここで図15Aを参照すると、多目的睡眠検査プロトコルを実行するための例示的な動作1500Aも本明細書で説明されている。1502Aにおいて、下顎変位装置と、対象から得る生理学的情報を測定するための1つ以上のセンサとを含む睡眠検査キット(例えば、図1A〜1Bに記載のタイトレーションシステム)を対象に提供することができる。睡眠検査キットは、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルを行うように構成することができる。1504Aにおいて、診断的睡眠検査プロトコル中に睡眠検査キットを構成するための指示を、対象に与えることができる。上述したように、これらの指示は、任意選択で、口腔内に下顎変位装置を配置しないこと、及び/または診断的睡眠検査プロトコルによって要求される所望の生理学的情報を収集するために、センサの1つ以上を使用/構成する方法を含み得る。任意選択で、これらの指示は、睡眠検査キットを使用して対象に任意選択で与えることができる。例えば、これらの指示は、下顎変位装置の表示装置(例えば視覚的)またはスピーカ(例えば可聴式)を使用して与えることができる。1506Aにおいて、診断的睡眠検査プロトコルは、例えば、睡眠検査キットによって自動的に実行することができる。1508Aにおいて、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコル中に睡眠検査キットを構成するための、対象への指示。上述したように、これらの指示は、口腔内に下顎変位装置を配置すること、及び/または口腔内装置療法のためのタイトレーション検査プロトコルによって必要とされる所望の生理学的情報を収集するためのセンサの1つまたは複数を使用/構成する方法を、任意に含み得る。任意選択で、これらの指示は、睡眠検査キットを使用して対象に任意選択で提供することができる。例えば、これらの指示は、下顎変位装置の表示装置(例えば目に見えるように)またはスピーカ(例えば聞こえるように)を使用して与えることができる。1510Aにおいて、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、例えば、睡眠検査キットによって自動的に実行される。さらに、口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、上記のような診断的睡眠検査プロトコルの結果に応じて行うことができる。例えば、分析された変数、プロトコルのパラメータ、実施された検査期間数などを、睡眠検査キットにより自動的に判定することができる。
任意選択で、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、連続して自動的に実行することができる。代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、上記のような非臨床現場、例えば対象の自宅で、任意選択で行うことができる。代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、単一の睡眠セッションの間に行うことができる。あるいは、診断的睡眠検査プロトコル及び口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルは、異なる睡眠セッション中に行うことができる。異なる睡眠セッションは、同じ夜にすることができる。異なる睡眠セッションは、異なる夜にすることができる。
代替的または追加的に、診断的睡眠検査プロトコルの結果は、任意選択的に、呼吸イベントの尺度とすることができる。例えば、呼吸イベントの尺度は、数、持続期間、頻度、重症度、または無呼吸または低呼吸の比であり得る。
代替的または追加的に、対象に関する診断情報を受信し、診断的プロトコルまたは口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルの一部として使用することができる。任意選択で、診断情報は、対象が経験する呼吸イベントのベースライン尺度、呼吸イベントの分布、不飽和度のレベル、診断的睡眠調査中の対象の体位、診断的睡眠調査中の睡眠段階、対象の身体的特徴、対象の病歴、または対象の症状を含むが、それらに限定されない対象に関する任意の情報であってもよい。
本開示は、上述の例示的な動作が、例えば図1A〜1Bに関して記載しているタイトレーションシステムを使用して実行され得ることを意図している。図1A〜1Bに関して記載しているタイトレーションシステム以外のシステムを使用し得ることを理解されたい。診断的睡眠検査プロトコルを実施するための技術は、対象から得る生理学的情報をモニタすること、生理学的情報を分析して睡眠時呼吸障害状態の対象を診断することを含み得る。睡眠時呼吸障害状態は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、吸気流量制限(IFL)、高上気道抵抗(HUAR)、上気道抵抗症候群(UARS)、またはいびきであり得る。口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルを行うための技術は、詳細に上述されている。例えば、検査期間中のタイトレーションは、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めし、対象から得る生理学的情報をモニタし、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含み得る。口腔内装置療法の結果は、口腔内装置療法の成功または失敗の予測、口腔内装置療法の有効突出レベルの予測、または口腔内装置療法の最適突出レベルの予測であり得る。
ここで図15Bを参照すると、多目的睡眠検査プロトコルを実行するための例示的な動作1500Bも本明細書に記載されている。1502において、対象は、図1A〜1Bに記載のタイトレーションシステムなどの装置を提供される。1504において、対象は、第1の検査タイプの間、1つ以上の生理学的応答についてモニタすることができる。この検査タイプのモニタリングは、リアルタイムのモニタリングを必要とせず、代わりに信号を収集し、夜間に記録することができる。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。1506において、第1の検査タイプ間の生理学的応答を分析することができる。任意選択で、1508において、分析は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、吸気流量制限(IFL)、高上気道抵抗(HUAR)、上気道抵抗症候群(UARS)、またはいびきを含み得るが、これらに限定されない睡眠時呼吸障害の診断に使用し得る。1510において、第1の検査タイプからの分析及び/または診断を利用して、対象が第2の検査タイプ、すなわち口腔内装置タイトレーション検査を進めるべきかどうかを決定することができる。進める決定は、上記の基準(臨床診断、特定の状態が適合し得る要件、及び/または臨床診断なしで特定の状態が存在することを含む)に基づいていてもよい。任意選択的に、上述したように、第1のタイプの検査(例えば診断検査)を使用して確認された患者の入力信号(例えば、対象から得た診断情報)などの特定の尺度を使用して、口腔内装置タイトレーション検査用の条件またはパラメータ(複数可)を設定してもよい。例えば、診断検査で測定された1時間当たりの呼吸イベントの数(例えば、対象のベースラインAHI)を使用して、図14A〜14Cを参照して説明したように、口腔内装置タイトレーション検査で行われる分析のタイプについてガイドすることができる。
1510での決定に応じて、調整可能な下顎変位装置を1512で対象の口腔内に位置決めすることができる。1514において、対象は、口腔内装置検査期間中の1つ以上の生理学的応答についてモニタすることができる。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。さらに、1514において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、第1の検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御する方法は上述しており、突出レベルの増加/減少、経過時間の量に基づいて突出レベルを制御すること(例えば、一定期間にわたって突出レベルを一定に保持すること)、呼吸イベントの頻度または重症度に基づいて突出レベルを制御すること、呼吸気流を最適化することなどを含むが、これらに限定されない。上述のように、対象は、検査計画に従って、さらなる検査期間中に1つまたは複数の生理学的応答についてモニタすることができる。次に、1516において、口腔内装置療法の推奨は、口腔内装置タイトレーション検査の1つ以上の検査期間の結果に基づいていてもよい。任意選択的に、口腔内装置タイトレーション検査からの口腔内装置療法の推奨は、第1の検査タイプから得た情報に依存し得る。例えば、口腔内装置療法により、呼吸イベントの頻度または発生が、第1の検査タイプでの尺度(例えば、ベースラインAHIからの50%の減少)から変化すると予想されるかどうかである。
調査資格付与
本明細書で論じるように、調査資格付与ステップは、後続する検査期間について検査計画を継続することを推奨する前に、検査期間の特定の状態が適合しているかどうかを判断するために、任意選択で利用することができる。任意選択的に、状態が適合していなかった場合、装置(例えば、図1A〜1Bに記載された下顎変位装置)は、必要最小限の状態を得るために、検査期間を繰り返すことができる。任意選択で、繰り返される検査に対応するように検査計画を修正することができる。例えば、検査計画は、繰り返される検査に対応するよう追加の検査期間を増やすことができ、あるいは、検査期間の総数を所望の数に保つため、以前計画した検査を除くように検査計画を修正することができる。上述のように、検査計画を改訂することは、口腔内装置の推奨の精度に影響を与える可能性、あるいは口腔内装置タイトレーションから判定する最小の目標突出位置を犠牲にする可能性があり、または最終結果に他の何らかの変更を生じさせる。
調査資格付与状態は、最小限の量の調査時間が達成されてきたことを要件とすることができる。例えば、最低4時間である。最低値4時間は例としてのみ挙げており、最低は4時間より長くても短くてもよく、例えば3時間〜5時間の最低時間などであってもよいことを理解されたい。最低調査時間は、連続した時間(例えば、対象による中止、または生理学的入力信号の欠如または他の中断を示すアラームの発生によって中断されていない)であり得る。代替的に、最低調査時間は、複数の睡眠セッション中に集めた部分を含む、中断した間に集めた断片部分で構成されてもよい。任意選択的に、非連続的な睡眠期間は、睡眠調査の複数の検査期間中の睡眠とすることができる。患者の入力信号(例えば、対象から得た診断情報)に依拠して、調査資格付与状態は、仰臥位または側臥位の睡眠などの睡眠中の特定の体位、及び/またはレム睡眠またはノンレム睡眠のような特定の睡眠段階を任意選択で要件とし得る。これらの患者の入力信号は、第1の検査タイプ(例えば診断検査)または先行の口腔内装置タイトレーション検査期間中に判定することができる。例えば、調査資格付与は、対象が、以前測定されたのと同様の体位で夜間の特定の部分(例えば、夜間の仰臥位50%超、または夜間の仰臥位90%超、または夜間の仰臥位10%未満)を眠ることが必要なことがある。調査資格付与状態は、任意選択で、特定の障害の状態が存在していないことを検証できる。例えば、タイトレーショントレイが、口腔内装置タイトレーション検査の全持続期間、または口腔内装置タイトレーション検査の一部の間、定位置にあることを実証することが必要な場合がある。
ここで図16Aを参照すると、睡眠調査の状態に資格を付与するための例示的な動作1600Aが記載されている。1602Aにおいて、睡眠調査が対象に対して行われる。睡眠調査は、上述のように検査プロトコルが実施される1つ以上の検査期間を含み得る。1604Aにおいて、睡眠調査の間に収集されたデータを、所定の状態に適合する睡眠調査の時間の量を判定するために分析する。次に、1606Aにおいて、睡眠調査に資格を付与するために、時間の量が所定の閾値以上であるかについて判定を行うことができる。所定の閾値は、上記のように任意選択で4時間であってもよい。
任意選択で、時間の量が所定の閾値以上である場合、睡眠調査が終了する。あるいは、時間の量が所定の閾値よりも少ない場合、睡眠調査を継続させるが、それは睡眠調査の別の検査期間を実施することを含む。任意選択的に、睡眠調査の別の検査期間は、前の検査期間を繰り返すもの、または所定の状態に適合するように調整された状態での検査期間とすることができる。
代替的または追加的に、所定の状態は、特定の体位、例えば、仰臥位または側臥位の睡眠であってもよい。任意選択的に、所定の状態は、特定の体位におけるレム睡眠またはノンレム睡眠であり得る。
代替的または追加的に、所定の状態は、下顎変位装置を対象の歯に固定した睡眠にすることができる。任意選択で、動作は、下顎変位装置が対象の歯に固定されたときを感知することを含み得る。この場合、下顎変位装置(例えば、図1A〜1Bに記載の下顎変位装置)は、対象の歯に加えられる力を検出するための1つ以上の力センサを含み得る。代替的または追加的に、下顎変位装置に供給されるエネルギーを測定することが可能であり、それは対象の歯に加えられる力の指標を提供することができる。
代替的または追加的に、本方法は、対象が特定の体位で眠っていないか、対象の歯に下顎変位装置を固定して眠っていないとき、対象にアラーム(例えば、可聴、触覚、及び/または視覚アラーム)を発することを含み得る。下顎変位装置(例えば、図1A〜1Bに記載された下顎変位装置)は、表示装置、スピーカまたは他の出力ユニットを介してアラームを発することができる。代替的または追加的に、例えば計算装置(例えば、図1の計算装置50)を使用して、対象に関連するデータファイルに表記法を提供することができる。データファイルの表記法は、タイトレーションの状態に関する情報を提供する。データファイル内の表記法は、最終分析または最終評価中に、及び/または睡眠技術者によってアクセスすることができる。
本開示は、上述の例示的な動作が、例えば、図1A〜1Bに関して記載されているタイトレーションシステムを使用して実行され得ることを企図している。図1A〜1Bに関して記載されているタイトレーションシステム以外のシステムを使用できることを理解されたい。診断的睡眠検査プロトコルを実施するための技術は、対象から得る生理学的情報をモニタすること、生理学的情報を分析して睡眠時呼吸障害状態の対象を診断することを含み得る。口腔内装置療法のためのタイトレーションプロトコルを行うための技術は、詳細に上述されている。例えば、検査期間中のタイトレーションは、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めし、対象から得る生理学的情報をモニタし、調整可能な下顎変位装置の突出レベルを調整することを含み得る。
ここで図16Bを参照すると、調査資格付与についての例示的な動作1600Bを示す流れ図が記載されている。1602において、調整可能な下顎変位装置を対象の口腔内に位置決めすることができる。1604において、対象は、口腔内装置検査期間中、1つまたは複数の生理学的応答についてモニタすることができる。任意選択的に、生理学的応答は、例えば、呼吸イベントであり得る。呼吸イベントの検出については、詳細に上述されている。例えば、呼吸イベントを検出することは、所定の基準に照らして、対象から得る生理学的情報を定義及び測定することを含む。さらに、1606において、調整可能な下顎変位装置の突出レベルは、検査期間中に調整することができる。調整可能な下顎変位装置を制御する方法ついては上述しており、突出レベルの増加/減少、呼吸イベントの頻度または重症度に基づく突出レベルの制御、経過時間の量に基づいた突出レベルの制御、呼吸気流の最適化などを含むがこれらに限定されない。上述したように、対象は、検査計画に従って追加の検査期間中に1つ以上の生理学的応答についてモニタすることができる。次に1608で、検査期間から得たデータを分析することができる。分析には、調査資格付与状態に適合することを判定するために必要な尺度を含めることができ、その例は、最低量の調査時間、睡眠中の体位、対象の歯にしっかりと固定された口腔内装置タイトレーショントレイが存在することを含む。次いで、1610において、それらの尺度を評価して、調査資格付与状態に適合しているかどうかを判定することができる。それらが最低限の状態に適合していないことが判明した場合には、1602で、再び始まる検査期間を繰り返す決定をすることができる。あるいは、上記のように、所望の結果の状態(例えば、結果予測の精度、目標突出位置の最小化など)に従って、検査計画を修正する決定をすることができる。1610で、尺度が調査資格付与状態に適合していることが判明したら、次の検査期間に検査を進め得ることを意図しているものとして検査計画を進めてもよく、または口腔内装置療法の推奨を、口腔内装置タイトレーション検査の1つまたは複数の検査期間の結果に基づくようにしてもよい。
例示的な計算装置
様々な図面に関して本明細書で説明される論理動作は、(1)計算装置上で実行される一連のコンピュータに実装された作動またはプログラムモジュール(すなわちソフトウェア)として、(2)計算装置内の相互接続された機械論理回路または回路モジュール(すなわちハードウェア)として、及び/または(3)計算装置のソフトウェアとハードウェアの組み合わせとして実施され得ることを理解されたい。したがって、本明細書で論じられる論理動作は、ハードウェアとソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも限定されない。実装は、計算装置の性能及び他の要件に応じた選択の問題である。したがって、本明細書で説明される論理動作は、動作、構成的装置、作動、またはモジュールのように様々に称される。これらの動作、構成的装置、作動及びモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、専用のデジタルロジック、及びそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。また、図面に示され、本明細書に記載されているよりも多くのまたは少ない動作を実行してもよいことも理解されたい。また、これらの動作は、本明細書に記載された順序とは異なる順序で実行してもよい。
本明細書で説明される論理動作がソフトウェアで実施される場合、プロセスは、任意のタイプのコンピューティングアーキテクチャまたはプラットフォームで実行され得る。例えば、図11を参照すると、本発明の実施形態を実装することができる計算装置の例が示されている。例えば、図1に関して論じた下顎変位装置用コントローラ40及び/または計算装置50は、計算装置1100として実装され得る。計算装置1100は、計算装置1100の様々な構成要素間で情報を通信するためのバスまたは他の通信メカニズムを含み得る。最も基本的な構成では、計算装置1100は、通常、少なくとも1つの処理ユニット1106及びシステムメモリ1104を含む。計算装置の正確な構成及びタイプに依存して、システムメモリ1104は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)、不揮発性(読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなど)、または2つの何らかの組合せであってもよい。この最も基本的な構成を図11に破線1102で示す。処理ユニット1106は、計算装置1100の動作に必要な算術演算及び論理演算を実行する標準的なプログラマブルプロセッサであってもよい。
計算装置1100は、追加の特徴/機能を有することができる。例えば、計算装置1100は、磁気ディスクまたは光ディスクまたはテープを含むが、これらに限定されない、リムーバブルストレージ1108及び非リムーバブルストレージ1110などの追加のストレージを含み得る。計算装置1100はまた、装置が他の装置と通信することを可能にするネットワーク接続(複数可)1116を含み得る。また、計算装置1100は、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどの入力装置(複数可)1114を有することができる。ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力装置(複数可)1112も含み得る。計算装置1100の構成要素間のデータの通信を容易にするために、追加の装置をバスに接続することができる。これらの装置はすべて当技術分野で周知であり、本明細書で詳細に論ずる必要はない。
処理ユニット1106は、有形のコンピュータ可読媒体に符号化されたプログラムコードを実行するように構成することができる。コンピュータ可読媒体は、計算装置1100(すなわち機械)を特定の様式で動作させるデータを提供できる任意の媒体を示す。実行のために処理ユニット1106に命令を提供するために、様々なコンピュータ可読媒体を利用することができる。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、磁気媒体、光学的媒体、物理的媒体、メモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。例示的なコンピュータ可読媒体には、揮発性媒体、不揮発性媒体、及び伝送媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。揮発性及び不揮発性媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶用の任意の方法または技術で実装することができ、一般的な形態については以下に詳細に論じている。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線及び/または光ファイバケーブル、ならびに、電波及び赤外線のデータ通信中に生成されるものなどの音響波または光波を含み得る。例示的な有形のコンピュータ可読記録媒体は、集積回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向けIC)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、ホログラフィック記憶媒体、ソリッドステート装置、RAM、ROM、電気的消去可能プログラム読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光学的ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージの装置を含むが、これらに限定されない。
例示的な実施態様では、処理ユニット1106は、システムメモリ1104に記憶されたプログラムコードを実行することができる。例えば、バスは、システムメモリ1104にデータを伝えることができ、そこから処理ユニット1106が命令を受信し、実行する。システムメモリ1104によって受信されたデータは、任意選択で、処理ユニット1106による実行の前後に、リムーバブルストレージ1108または非リムーバブルストレージ1110に記憶してもよい。
計算装置1100は、典型的には、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、装置1100によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができ、揮発性及び不揮発性媒体、リムーバブル及び非リムーバブルの媒体の両方を含む。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装される揮発性及び不揮発性、またリムーバブル及び非リムーバブルの媒体が含まれる。システムメモリ1104、リムーバブルストレージ1108、及び非リムーバブルストレージ1110はすべて、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、電気的消去可能プログラム読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学的ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージの装置、または所望の情報を記憶するために使用することができ、計算装置1100がアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。任意のこうしたコンピュータ記憶装置の媒体を計算装置1100の一部にし得る。
本明細書に記載された様々な技術は、ハードウェアまたはソフトウェアに関連して、または適切な場合にはそれらの組み合わせと共に実装され得ることを理解されたい。したがって、本開示の主題の方法及び装置またはその特定の態様または部分は、フロッピーディスク、CD−ROM、ハードドライブ、または任意の他の機械可読記憶媒体などの有形の媒体に組み込まれたプログラムコード(すなわち、命令)の形態をとり得、それにおいてプログラムコードが計算装置などの機械にロードされ、実行されると、機械は、現在開示されている主題を実施するための装置となる。プログラマブルコンピュータのプログラムコードを実行する場合、概して計算装置は、プロセッサ、プロセッサによる読み取りが可能な記憶媒体(揮発性及び不揮発性メモリ及び/または記憶要素を含む)、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置を含む。1つ以上のプログラムは、例えば、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、再利用可能な制御などを使用して、現在開示されている主題と併せて説明されたプロセスを実施または利用することができる。そのようなプログラムは、コンピュータシステムと通信すべくハイレベルの手続き型の、またはオブジェクト指向のプログラミング言語で実装することができる。しかし、プログラム(複数可)は、所望であれば、アセンブリ言語または機械語で実装することができる。いずれの場合でも、言語はコンパイラ言語やインタプリタ言語であってもよく、ハードウェアの実装と組み合わせてもよい。
実施例1
自動タイトレーション調査の有効性を検証するための調査が、技術者の監督下で、睡眠クリニックで行われた。
14名の対象をリクルートし、自動RCMP装置を用いて睡眠センターで一晩のタイトレーション検査に供した。各対象は、携帯型睡眠モニタを使用して、自宅で二晩のベースライン前処置呼吸評価を事前に受けていた。その後、各対象を歯科共同調査者が評価し、印象材で満たされた上下の歯科用タイトレーショントレイを備え付けた。歯科医は、タイトレーショントレイのスケールから後退及び突出の最大値を測定した。
自動タイトレーション調査の夜に、訓練を受けた睡眠ポリグラフの技術者は、RCMPタイトレーションソフトウェアに後退及び突出を同じ値で入力した。タイトレーショントレイを下顎ポジショナに取り付け、トレイの位置を、手で調整可能なノブにより、ほぼ完全に後退させるように調整した。次いでトレイを対象の口腔内に挿入し、タイトレーション調査の持続期間にわたり使用した。患者がいったん眠ったら、RCMP装置を、(例えば、上記の口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための実施態様に従って)意思決定アルゴリズムで制御した。アルゴリズムは、フィードバック情報(例えば、SaO2−酸素飽和度及び鼻腔特異的な気流)を連続的に受信し、無呼吸及び低呼吸を自動的に検出及び分類し、下顎の位置決めに関するその時々(moment−to−moment)の決定を行う。
収集されたデータを分析して、残留RDIが、下顎ポジショナがそのレベル以上で夜の少なくとも85%を費やした突出レベルで、1時間当たり10イベントの閾値未満であるかどうかを特定した。この分析に基づいて、対象は、口腔内装置療法で成功する候補か成功しない候補のいずれであるかが予測され、目標突出位置を判定した。
この14人の患者は、先行して手動のRCMPで調査されていた。手動のRCMP調査から、対象は先行して遡及的な下顎再位置決め装置(MRA)を備え付けられ、下顎再位置決め装置(MRA)と共に、自宅での二晩にわたるベースライン調査に用いたものと同じ携帯型モニタを用いて、睡眠中の処置後呼吸評価で検証された。
自動タイトレーション調査から得た成功及び目標突出距離の予測を、手動RCMPプロトコルで測定したときの患者の治療結果と比較した。成功すると予測された対象について、予測された目標突出位置を、手動RCMPプロトコルで判定した目標突出位置と比較した。
自動タイトレーションプロトコルで成功すると予測された7人の対象は全員、遡及的なMRAで成功であったことが判明した。自動タイトレーションプロトコルにより失敗すると予測された7人の対象中5人は予測が正しかった(すなわち、遡及的なMRAで治療したという結果を達成しなかった)が、失敗すると予測された2人の対象は、予測が誤っていた(すなわち、遡及的なMRAで治療したという結果を達成した)。感度は78%として計算され、特異度は100%として計算された。
実施例2
自動タイトレーション調査の有効性を検証するための調査を、家庭環境において無人で実施した。
151人の対象をリクルートし、幾夜かにわたって、自動RCMP装置を用いた自宅でのタイトレーション検査に供した。各対象は、携帯型睡眠モニタを使用して、自宅で二晩にわたるベースライン前処置呼吸評価を先行して受けていた。その後、各対象を歯科共同調査者が評価し、印象材で満たされた上下の歯科用タイトレーショントレイを備え付けた。歯科医は、タイトレーショントレイのスケールから後退及び突出の最大値を測定した。
自動タイトレーション調査の最初の夜、臨床コーディネーターが対象の自宅を訪れて装置をセットアップし、RCMPタイトレーションソフトウェアに後退及び突出の値を入力した。タイトレーショントレイを下顎ポジショナに取り付け、トレイの位置を手で調整可能なノブでほぼ完全に後退させるように調整した。対象に、トレイを口に配置する方法、指酸素計及び経鼻カニューレの着用方法を示した。対象には、ソフトウェアの実行方法に関する簡単なチュートリアルが提供されていた。睡眠に入る前に、対象はタイトレーション調査の持続期間にわたり、トレイを口に配置した。患者がいったん眠った後、RCMP装置は、(例えば、上述した口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための技術に従って)意志決定アルゴリズムにより制御した。アルゴリズムは、フィードバック情報(例えば、SaO2−酸素飽和度及び鼻腔特異的な気流)を連続的に受信し、無呼吸及び低呼吸を自動的に検出及び分類し、下顎の位置決めに関する瞬時の決定を行う。
夜間の調査が終了したら、データは中央サーバに自動的にアップロードされ、訓練を受けた技術者がアクセスした。その技術者は、下顎ポジショナがそのレベル以上で夜の少なくとも85%を過ごした突出レベルで、残留RDIが1時間当たり10イベントの閾値未満であるかどうか、データを分析して確認した。この分析に基づいて、対象は、口腔内装置療法の成功する候補か成功しない候補のいずれであるかが予測され、目標突出位置を判定した。十分なデータが得られない場合(例えば、4時間未満)、その夜は繰り返された。
自動タイトレーション調査の第2夜に、臨床コーディネーターが戻り、第1夜から得た評価を調べる確認プロトコルを実行するように装置を設定した。プロトコルは、調節可能な装置を、決定された目標突出位置に保持するように設定され、特定の閾値を超える呼吸イベントが検出された場合にのみ自動的に調整された。対象が口腔内装置療法に成功しないと予測された場合、突出位置は、予測を確認するために、高い突出位置に保持された。第2夜の調査が終了したとき、データは中央サーバに自動的にアップロードされ、訓練された技術者がアクセスしてその者がデータを分析した。
第1夜と第2夜の結果が矛盾する場合、第3夜を利用して、目標突出距離を精緻化するか、または最終予測を確立した。具体的には、第1夜では対象が口腔内装置療法で成功すると予測し、第2夜ではその予測が確認されなかった場合、第3夜が第2夜のプロトコルを繰り返すべく実行された。成功することが確認された場合、第1夜及び第3夜から得た目標の突出距離からより高いものを選択した。対照的に、第1夜に口腔内装置療法に失敗すると予測された対象が第2夜に成功したことが見出された場合、第1夜からのプロトコルが繰り返され、精緻化して目的を最小化した。場合によっては、咬合面の間隔を広げて(3mmではなく7mm)設定された装置で、追加した夜に収集がなされ、その結果を調査の第1夜から得た結果の評価と比較して、予測と目標突出距離の両方を比較した。
対象は、歯科医のもとに戻って恒久的な下顎再位置決め装置(MRA)を備え付けられ、下顎再位置決め装置(MRA)と共に、自宅での二晩にわたるベースライン調査に用いたものと同じ携帯型モニタを用いて、睡眠中の処置後呼吸評価で検証された。
口腔内装置療法で成功すると予測された85人の対象のうち、79人が、1時間当たり10未満の治療AHI、及びベースラインから50%超の減少を達成した。口腔内装置療法で失敗すると予測された46人の対象のうち、29人の予測が正しかった(すなわち、遡及的なMRAで治療結果を達成しなかった)のに対し、失敗すると予測された17人の対象は、予測が正しくなかった(すなわち、恒久的なMRAで治療結果を達成した)。感度は82%として計算され、特異度は83%として計算された。目標突出位置は、成功して対応する治療結果を達成することが予測された79人の対象のうち72人の予測が正しかった。調査の第1夜と第2夜の間の矛盾を解決するために、第3夜の調査が18%のケースで必要であった。調査の第3夜が目標を精緻化するために利用された諸事例で、第3夜を実施することによって、突出位置を2.5〜4.0mm下げた。
実施例3
自動タイトレーション調査の有効性を検証するための調査が、家庭環境において無人で実施された。
上記の調査(実施例2)で、収集したデータをアトラクタ挙動の発生について分析した。口腔内装置療法で成功すると予測された対象は、口腔内装置療法で成功しないと予測された対象よりもアトラクタ挙動の事例の数が多いことが見出された。例えば、1時間あたり3つ未満ではなく、1時間あたり5つを超えていた。
実施例4
高上気道抵抗のための自動タイトレーション調査について実証するための調査が、技術者の監督下、睡眠クリニックで実施された。
1人の対象をリクルートし、体位を測定するための加速度計と、音響エネルギーを検出するためのマイクロフォンとを含むように特別に改変した自動RCMP装置を用いて、睡眠センターで一晩のタイトレーション検査に供した。対象は、携帯型睡眠モニタを使用して自宅で二晩のベースライン前処置呼吸評価を事前に受け、歯科共同調査者によって評価され、印象材で満たされた上下の歯科用タイトレーショントレイが備え付けられた。歯科医は、タイトレーショントレイのスケールから、後退及び突出の最大値を測定した。
自動タイトレーション調査の夜、訓練を受けた睡眠ポリグラフの技術者は、RCMPタイトレーションソフトウェアに同じ値で後退及び突出を入力した。タイトレーショントレイを下顎ポジショナに取り付け、次いで対象の口腔内に挿入し、タイトレーション調査の期間使用した。患者がいったん眠った後、RCMP装置は、(例えば、上述した口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための技術に従って)意志決定アルゴリズムによって制御された。アルゴリズムは、フィードバック情報(例えば、SaO2、音、及び鼻腔特異的な気流)を継続的に受信し、記録された各々の呼吸について流量が制限されているかどうかをリアルタイムで評価するために、訓練されたニューラルネットワーク(例えば、分類システム)を使用している。次いで、この評価の結果を使用して、より高い吸気流量制限呼吸の発生率に応答して、一連の突出の探求を含む下顎の位置決めに関するその時々(moment−to−moment)の決定を行う。
収集されたデータを分析して、吸気流量制限呼吸の有病率を除くまたは最小化する際に、突出の探求がどのレベルで成功したかを判定した。次いで、これらを組み合わせて、高上気道抵抗を治療するための最適突出位置の推定値を得た。
実施例5
151人の患者(実施例2)に関する調査は、装置が93%の精度(PPV)、それぞれ82%の感度及び83%の特異度で候補を陽性に特定できたことを見出した。全体のエラー率は19%であり、陰性の予測精度はわずか63%であった。これらの結果を改善するために、最終的なデータセットを後ろ向きに分析した。
後ろ向きの分析用のデータは、口腔内装置療法(OAT)の治療有効性が未知であった、新たにリクルートされた患者の家庭環境において、コンピュータ制御下顎ポジショナ(CCMP)を使用して、タイトレーション方法の予測精度を検証することを目的とする臨床試験(n>150)から得られた。上記のような方法で行われた。
後ろ向きの分析は、全データセットが入手可能であった131人の患者(平均AHI=25.3±13.3hr5hr−1、平均BMI=30.1±5.0kg/m2)についてその時点で行った。
後ろ向きの分析の目標は、可能であれば、全体的なエラー率の最小化、感度/特異度及び陽性/陰性の予測値の増加を可能にする1セットの予測のルールを設計することであった。
分析は、タイトレーションプロセスの二晩から三晩に集められたすべての重要な情報を含む195の変数を構築することから開始した。これらの変数の値を、すでに最終的な治療結果を得ている131人の参加者について表化した。最適な予測モデルを見出し、必要な変数の数を最小にするために、機械学習技術を採用した。ベースラインAHIに対する16.0〜20.0hr−1という課されたトランク・ブランチ基準、及び3つの追加の変数を伴う追加の2つの分岐点に関する後ろ向きの樹木状の分類モデルで、全体的なエラー率が11%に低下し、感度/特異度は0.91/0.81、P/NPVは0.92/0.79という値が得られた。これは、前向きのデータ分析を用いた前の結果に対して改善したことを表している。したがって、後ろ向きのモデルは、同じ正確さ及び精度で、この集団以外の他のOSA患者の口腔内装置療法の結果を、予測することができる。
後ろ向きの分析は、試験で収集した同じ生理学的信号、例えば、各鼻孔に対して個別に記録された酸素飽和度及び呼吸流量信号を利用した。3軸加速度計から得た信号も、頭部の位置を判定するために記録した。個々の呼吸毎に吸気の開始と終了の判定に至る基本的な信号処理、呼吸イベントのリアルタイムでの検出と分類、介入の規模とタイミングの計算は、実施例2と同じであった。195という変数各々を調べ、下顎の突出の関数として、夜間の時間的軌跡及び/またはそのグラフ表示が精査された。この検討は、情報の特定の側面に焦点を当てやすくし、現在、変数を使用/解釈している方法では捉えられないか適切に増幅されない可能性がある変数により行われる。例えば、残留AHIのプロットを下顎の突出の関数として調べたとき、この関数の値が1時間当たり10イベント未満に低下する点にのみ焦点が当てられていることが注目された。この関数の絶対最小値を反映する新たに派生した変数を導出した。この新しい変数の意味は、元の変数の意味と根本的に異なる。もう1つの例は、確認した夜の長さに対して計算されたAHIの値である。この値は、(i)下顎が所定の目標に突出した瞬間から始まる夜の長さ全体に対して、(ii)最も高次な突出における時間の長さについて、(iii)調査の最後の2時間について、または(iv)最高に突出した1時間について、計算してもよい。4つの変数(i)〜(iv)はすべて相関が高いが、同時に、各々が調査の異なる側面を拡大している。1時間あたりのアトラクタの総数、1時間当たりのベースのアトラクタの数など、いくつかの新しい変数も導入した。上述したように、図12は、変数の一部を示す表を含む。
後ろ向きの分析の目的は、本来のプロトコルに従って調査された個々のOSA患者の各々を、高い正確さ及び精度で、口腔内装置療法に対する潜在的応答者(成功)または非応答者(失敗)として二項分類できる普遍的な予測モデルを作成することである。
実験データを表すのに最も適した特定のモデル構造/技術を見つけるために、195の潜在的な入力変数から最適な変数のサブセットを選択するための組み合わせられた特徴選択アプローチ(例えば、フィルタ法、ラッパー法、または埋込み法)が採用された。我々の問題に対する最良の機械学習技術を見つけるために、人工ニューラルネットワーク(NN)、サポートベクターマシン(SVM)、及び決定木(DT)という3つのアプローチが探求された。各技術について最も単純なモデルを考慮し、この段階で調整は行わなかった。最初の110人の対象に対するこれら3つのモデルの構造/技術の各々の全体的なエラー率を利用して成績を比較し、NNが16.4%、SVMが20.0%、DTが13.6%と見出された。そのため、決定木のアプローチを選択し、技術の調整に焦点を当てた。
反復アプローチでは、モデルの予測精度を向上させるために、異なる設定、例えば純度の関数、分割基準などを検証した。過学習を防止するための2つの分割規準及び各々の葉の集合に対する制限を用いて構築したサンプルのDT構造は、モデルが131人の対象のうち116人を正しく分類できる(すなわち11.45%の全体的なエラー率)ということが見出された。図14Cは、ベースラインAHIの特徴(例えば、対象から得た診断情報)が木のメインのトランクとして使用された場合を示す。これは、成功に関する前向きのルールに類似し、(i)残留AHIが10未満、または(ii)ベースラインAHIからの50%減少、どちらでも小さい方であった。この成功のルールは、約20のベースラインAHIの分割を命じる。ベースラインAHIが20を超える場合、成功は最終AHIが10未満であることを意味し、20未満の場合、成功は最終AHIがベースラインAHIの50%未満であることを意味する。1時間当たり約20イベントで分割されたメインのトランクに関する決定木が図17Aに示されている。
この閾値分割アプローチの精度を向上させるために、感度の分析を行った。図17Bは、ベースラインAHIの変数の異なる分割された閾値に対する予測されたエラー数を示し、範囲は13〜40に亘る。図17Cによると、16.7が最適な閾値である。図17Cは、二項分類の結果と共に、この閾値に基づくDT構造を示している。
ベースラインAHIに対して16.7hr−1の課されたトランク・ブランチ基準、及び3つの追加の変数‐例えば評価した夜から得た残留AHIの最小値(例えば、図17Cの第1の検査期間)、確認した夜の最後の1時間のAHI(例えば、図17Cの第2の検査期間)、及び確認した夜から得た最大突出時のAHI(例えば、図17Cの第2の検査期間)‐に関与するさらなる2つの分岐点に関する上に呈示したDTモデルでは、全体のエラー率が11%に減少し、感度/特異度について0.91/0.81、P/NPVについて0.92/0.79という値が得られた。これは、前向きのデータ分析(実施例2)の先行する結果に対して改善したことを示している。
自動タイトレーション調査を利用したDTアプローチの有効性を検証するための前向き調査を、家庭環境で無人で行った。
12人の対象をリクルートし、自動RCMP装置を用いた、複数の夜にわたる自宅でのタイトレーション検査に供した。調査の設定は実施例2のものと同様であった。手短に言えば、各対象は、携帯型睡眠モニタを使用して、自宅で事前に二晩のベースライン前処置呼吸評価を受けていた。その後、各対象を歯科共同調査者が評価し、印象材で満たされた上下の歯科用タイトレーショントレイを備え付けた。歯科医は、タイトレーショントレイのスケールから後退及び突出の最大値を測定した。
患者がいったん眠ったら、RCMP装置を二晩から三晩の期間にわたり(例えば、上記の口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための技術に従って)意思決定アルゴリズムで制御した。それは少なくとも2つの異なるタイプのセッションからなっていた。このアルゴリズムは、フィードバック情報(例えば、SaO2−酸素飽和度及び鼻腔特異的な気流)を連続的に受信し、無呼吸及び低呼吸を自動的に検出及び分類し、下顎の位置決めに関するその時々(moment−to−moment)の決定を下した。装置は、各々の晩に得たデータセットを計算し、次の夜のセッション用のパラメータを設定した。データが不十分だった場合、装置は同じセッションを繰り返した。調査が終了した時点で、複数の夜から得たデータを分析して、患者が口腔内装置療法に成功する候補と考えられるか、成功しない候補と考えられるかを予測し、目標突出位置を判断した。
対象は、歯科医のもとに戻って遡及的な下顎再位置決め装置(MRA)を備え付けられ、下顎再位置決め装置(MRA)と共に、自宅での二晩にわたるベースライン調査に用いたものと同じ携帯型モニタを用いて、睡眠中の処置後呼吸評価で検証された。
口腔内装置療法で成功すると予測された7人の対象のうち、7人が、1時間当たり10未満の治療AHI及びベースラインから50%を超える減少を達成した。口腔内装置療法で失敗すると予測された5人の対象のうち、4人の予測が正しかった(すなわち、遡及的なMRAで治療結果を達成しなかった)のに対し、失敗であると予測された1人の対象は、予測が正しくなかった(すなわち、恒久的なMRAで治療結果を達成した)。感度は88%として計算され、特異度は100%として計算された。この調査は、実施例2に詳述したアプローチに対してDTアプローチの改善を期待できると確認した。
実施例6
実施例5において後ろ向きに分析したもの(実施例2)から得た同じデータセットを、ランダムフォレスト(RF)技術を用いて分析した。完全なデータセットが入手可能であった131人の患者(平均AHI=25.3±13.3hr5hr−1、平均BMI=30.1±5.0kg/m2)について、後ろ向きの分析を行った。
分析は、タイトレーションプロセスの二晩から三晩の間に集められたすべての重要な情報を含む266の変数の抽出から開始した。これらの変数は、実施例5で使用され、図12に示したものと同じ変数の多くであった。この特徴は、様々な突出レベル及び時間における呼吸障害イベントの異なる尺度を含む。ベースライン調査、人口統計、質問者、及び歯科の測定値から別の変数のセットが抽出されている。単一の決定木とは対照的に、訓練集合に対する過学習に対して左右されないことが知られている最適な予測モデルを見つけるために、アンサンブル機械学習技術が採用された。連続する木が以前の木に依存しないランダムフォレスト法‐各々がデータセットのブートストラップのサンプルを使用して独立して構成され、予測のために単純な多数決がなされる‐が採用された。このモデルは、+1と−1のクラス名を使用して両方のクラスに等しい重み付けし、完全なデータセットを使用して訓練された。決定木の数は、予測された誤差に対する木の数を用いて特定され、ここで十分な数はエラー率が実質的に変化しない数である。データセットは、様々な種類の成功基準(RDIが1時間当たり10イベント未満、RDIが1時間当たり10イベント未満かつベースラインから50%減少)と、異なるタイプのRDI(例えば、AHIが4%、AHIが3%、ODIが4%)で訓練された。無作為に選択された変数(NVar)とバッグ内注視の一部(FBoot)の最適なセットを見つけるために、両方の成功基準に対して木が500のランダムフォレストを使用して各々異なる値を設定した。10倍交差検証(CV)における出力エラー率に基づいて、Nvar及びFbootの値を各基準について選択した。これらの入力を使用して、各基準に対する木の数を、エラー率の収束に基づいて個別に設定した。例えば、Nvar=10とFBoot=0.3を設定すると、成功基準が1時間当たり10イベント未満で、ベースラインから50%減少した4%のODIの場合、エラー率は150の木に収束した。1時間当たり10イベント未満のみの成功基準では、エラー率は100の木に収束した。木の数を設定した後、集合における予測精度の割合を推定するために10倍CVを使用した。CVを3回試行した結果から、訓練されたデータセットの第1及び第2の尺度各々について、予測精度が82%及び85%で一貫していることが見出された。
この後ろ向きの分析の目的は、高い精度及び正確さで、呼吸イベントのタイプの使用者選択基準と成功基準に従って、口腔内装置療法に対する潜在的応答者(成功)または非応答者(失敗)として各個々のOSA患者を二項分類することを可能にする普遍的な予測モデルを作成することである。
自動タイトレーション調査を用いたRFアプローチの有効性を検証するための前向き調査を、家庭環境において無人で行った。
全部で50人の対象をリクルートし、幾日もの夜、自動RCMP装置を用いた自宅でのタイトレーション検査に供した。調査の設定は実施例2のものと同様であった。手短に言えば、各対象は、携帯型睡眠モニタを使用して、自宅で事前に二晩のベースライン前処置呼吸評価を受けていた。その後、各対象を歯科共同調査者が評価し、印象材で満たされた上下の歯科用タイトレーショントレイを備え付けた。歯科医は、タイトレーショントレイのスケールから後退及び突出の最大値を測定した。
患者がいったん眠ったら、RCMP装置を二晩から三晩の期間にわたり(例えば、上記の口腔内装置療法のためのタイトレーションを行うための技術に従って)意思決定アルゴリズムで制御した。それは少なくとも2つの異なるタイプのセッションからなっていた。このアルゴリズムは、フィードバック情報(例えば、SaO2−酸素飽和度及び鼻腔特異的な気流)を連続的に受信し、無呼吸及び低呼吸を自動的に検出及び分類し、下顎の位置決めに関するその時々(moment−to−moment)の決定を下した。装置は、各々の晩に得るデータセットを計算し、次の夜のセッション用のパラメータを設定した。データが不十分だった場合、装置は同じセッションを繰り返した。調査が終了した時点で、複数の夜から得たデータを分析して、患者が口腔内装置療法に成功する候補と考えられるか、成功しない候補と考えられるかを予測し、目標突出位置を判断した。
対象は、歯科医のもとに戻って遡及的な下顎再位置決め装置(MRA)を備え付けられ、下顎再位置決め装置(MRA)と共に、自宅での二晩にわたるベースライン調査に用いたものと同じ携帯型モニタを用いて、睡眠中の処置後呼吸評価で検証された。
ランダムフォレスト法によって口腔内装置療法で成功すると予測された27人の対象のうち、26人が、1時間当たり10未満の治療AHI及びベースラインからの50%超の減少を達成した。口腔内装置療法で失敗すると予測された21人の対象のうち、15人の予測が正しかった(すなわち、遡及的なMRAで治療結果を達成しなかった)が、失敗であると予測された6人の対象は、予測が正しくなかった(すなわち、遡及的MRAで治療結果を達成した)。感度は81%として算出され、特異度は94%として計算された。10未満のみの結果(ベースラインからの50%の減少なし)の予測のために調整された異なるランダムフォレスト法を用いると、感度及び特異度は各々85%及び93%であった。この前向き調査は、高い精度及び正確さで、呼吸イベントのタイプの使用者選択基準と成功基準に従って、口腔内装置療法に対する潜在的応答者(成功)または非応答者(失敗)として各個々のOSA患者を二項分類するためのランダムフォレスト法を実施したことを確認した。
主題は、構造的特徴及び/または方法論的な動作に特有の言い回しで記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義された主題は、必ずしも上記の特定の特徴または動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴及び動作は、請求項を実施する例示的な形態として開示されている。