JP6870850B2 - Mn系強磁性薄膜の製造方法およびMn系強磁性薄膜 - Google Patents

Mn系強磁性薄膜の製造方法およびMn系強磁性薄膜 Download PDF

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本発明は、Mn系強磁性薄膜の製造方法およびMn系強磁性薄膜に関する。
近年、磁気抵抗変化型メモリ(MRAM)のデータ書き込み方式として、スピン注入磁化反転(STT)が注目されている。このスピン注入磁化反転を利用したMRAMは、STT−MRAMと呼ばれ、電子のスピントルクでMRAM内の磁気トンネル接合(MTJ)素子の磁化の向きを反転させるものである。STT−MRAMは、微細化するほど書き込み電流が小さくなるという特徴を有しており、微細化による大容量化が可能になるものと期待されている。
STT−MRAMを実現するためには、高い熱安定性と低い反転電流密度とを有し、サイズが小さいMTJが必要とされている。例えば、熱安定性Δは、Δ=KV/kT(K:磁気異方性定数、V:フリー層(磁化反転層)の体積、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)で表され、STT−MRAMのMTJの熱安定性としては、Δ>60が要求される。また、反転電流密度JC0は、JC0∝αM (α:磁気緩和定数、M:飽和磁化)であり、STT−MRAMのMTJとしては、αM <1MA/cmが要求される。これらの条件を満たすため、MTJの材料として、磁気抵抗(TMR)が高く、高磁気異方性(例えば、K≧1.0×10erg/cc)で、低磁気緩和(例えば、α<0.01)の強磁性材料の開発が望まれている。また、MTJのサイズを小さく際、熱揺らぎによって磁性を失うのを防ぐために、垂直磁気異方性を有する材料が望まれている。
垂直磁化容易軸を有する材料で、高磁気異方性かつ低磁気緩和の材料の一つとして、Mn系強磁性薄膜が注目されている。このようなMn系強磁性薄膜として、例えば、強磁性のτ相のときにL1型構造となり、K>1.0×10erg/cc、α<0.01で、優れた熱安定性および磁気緩和定数を有するMnAl合金が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、焼結法で製造されたスパッタリングターゲット(Mn48Al52)を使用して、200℃に加熱された基板上にスパッタリングでMnAl薄膜を成膜後、450℃〜500℃で熱処理を行うことにより、L1型構造で、垂直磁化容易軸および高磁気異方性を有するMnAl薄膜が得られることが、本発明者等により報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
Akimasa Sakuma, "Electronic Structure and Magnetocrystalline Anisotropy Energy of MnAl", J. Phys. Soc. Jpn., 1994, 63, p.1422-1428 M. Hosoda, M. Oogane, M. Kubota, T. Kubota, H. Saruyama, S. Iihama, H. Naganuma and Y. Ando, "Fabrication of L10-MnAl perpendicularly magnetized thin films for perpendicular magnetic tunnel junctions", J. Appl. Phys., 2012, 111, 07A324
しかしながら、非特許文献1および2に記載のMnAl薄膜は、垂直磁化容易軸および高磁気異方性を有しているが、表面の粗さが大きく、このままではMTJなどの素子に使用するのは困難であるという課題があった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、垂直磁化容易軸および高磁気異方性を有し、表面粗さが小さく、MTJなどの素子に使用することができるMn系強磁性薄膜の製造方法およびMn系強磁性薄膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法は、溶解法で製造されたターゲットを使用してスパッタリングにより基板上に、50〜60at%のMnと40〜50at%のAlとから成る合金から成り、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向した薄膜を成膜後、300℃以上375℃以下の温度で、100分以内の熱処理を行うことを特徴とする。
本発明に係るMn系強磁性薄膜は、50〜60at%のMnと、40〜50at%のAlとから成り、垂直磁化容易軸を有し、磁気異方性定数Kuが1.0×10erg/cc以上であり、表面粗さRaが1.0nm以下であることを特徴とする。
本発明に係るMn系強磁性薄膜は、本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法により製造することができる。本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法は、スパッタリングにより基板上にMn系強磁性薄膜を成膜した後、300℃以上375℃以下の温度で熱処理を行うことにより、薄膜の磁気異方性定数Kuを大きくし、表面粗さを小さくすることができる。このように、本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法によれば、垂直磁化容易軸および高磁気異方性を有し、表面粗さが小さく、MTJなどの素子に使用することができるMn系強磁性薄膜を製造することができる。
また、本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法は、前記基板の温度を200℃〜375℃にして前記スパッタリングを行うことが好ましい。これにより、L1型構造を有し、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向した垂直磁化容易軸を有するMn系強磁性薄膜を製造することができる。また、特に優れた高磁気異方性を得るために、基板の温度を275〜375℃にしてスパッタリングを行うことが好ましい。
本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法は、前記熱処理を、310℃以上360℃以下の温度で行うことが好ましい。この場合、磁気異方性定数Kuが1.2×10erg/cc以上のMn系強磁性薄膜を製造することができる。また、このとき、表面粗さRaを0.7nm以下にすることもできる。また、本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法は、前記熱処理を、40分以上100分以内で行うことが好ましい。この場合、表面粗さRaが0.5nm以下のMn系強磁性薄膜を製造することができる。
本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法は、溶解法で製造されたターゲットを使用して前記スパッタリングを行うことにより、焼結法で製造されたスパッタリングターゲットを使用したときよりも、製造されるMn系強磁性薄膜の表面粗さを小さくすることができる。また、スパッタリング後の熱処理温度も低くすることができ、製造コストを低減することができる。
本発明に係るMn系強磁性薄膜の製造方法により製造されたMn系強磁性薄膜は、例えば、STT−MRAMなどのスピントロニクスデバイス内の、磁気トンネル接合(MTJ)素子等の強磁性薄膜として使用することができる。
本発明によれば、垂直磁化容易軸および高磁気異方性を有し、表面粗さが小さく、MTJなどの素子に使用することができるMn系強磁性薄膜の製造方法およびMn系強磁性薄膜を提供することができる。
本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の膜構造を示す正面図である。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、スパッタリング時の基板の温度Tsを200℃〜400℃として成膜したときの、スパッタリング後の各MnAl薄膜のX線回折パターンを示すグラフである。 図2に示すMnAl薄膜の(a)Ts=200℃、(b)Ts=350℃、(c)Ts=400℃のときの磁化曲線(M−H曲線)を示すグラフである。 図2に示すMnAl薄膜の、磁気異方性定数Kuおよび表面粗さRaと基板温度Tsとの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、Ts=350℃でスパッタリングしたときの(a)スパッタリング後、(b)スパッタリング後に、熱処理温度Taを350℃として30分間の熱処理を行ったとき、(c)スパッタリング後に、熱処理温度Taを325℃として30分間の熱処理を行ったときの、MnAl薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)による測定画像である。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、Ts=350℃でのスパッタリング後、(a)Ta=325℃、(b)Ta=350℃、(c)Ta=400℃で30分間の熱処理を行ったときの磁化曲線(M−H曲線)を示すグラフである。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、Ts=350℃でのスパッタリング後、Ta=300℃〜400℃で30分間の熱処理を行ったときの、磁気異方性定数Kuおよび表面粗さRaと熱処理温度Taとの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、Ts=350℃でのスパッタリング後、Ta=350℃で(a)30分、(b)60分、(c)120分の熱処理時間tannealingで熱処理を行ったときの、MnAl薄膜の原子間力顕微鏡(AFM)による測定画像である。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、Ts=350℃でのスパッタリング後、Ta=350℃で(a)60分、(b)90分、(c)120分の熱処理時間tannealingで熱処理を行ったときの磁化曲線(M−H曲線)を示すグラフである。 本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法の、Ts=350℃でのスパッタリング後、Ta=350℃で30分〜120分の熱処理時間tannealingで熱処理を行ったときの、磁気異方性定数Kuおよび表面粗さRaと熱処理時間tannealingとの関係を示すグラフである。
以下、実施例に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法は、まず、スパッタリングにより、50〜60at%のMnと40〜50at%のAlとを含む合金を基板上に成膜して、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向した薄膜を形成する。このとき、スパッタリングターゲットとして、溶解法で製造されたターゲットを使用する。また、基板の温度を200℃〜375℃にしてスパッタリングを行う。これにより、垂直磁化容易軸を有し、磁気異方性定数Kuが大きい薄膜を得ることができる。
次に、薄膜を形成後、基板とともに、300℃以上375℃以下の温度で、100分以内の熱処理を行う。これにより、薄膜の表面粗さを小さくすることができる。こうして、本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法によれば、50〜60at%のMnと、40〜50at%のAlとを含み、垂直磁化容易軸を有し、磁気異方性定数Kuが1.0×10erg/cc以上の高磁気異方性を有し、表面粗さRaが1.0nm以下と小さい、本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜を製造することができる。
また、本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法では、スパッタリング時に、溶解法で製造されたターゲットを使用するため、焼結法で製造されたスパッタリングターゲットを使用したときよりも、製造されるMn系強磁性薄膜の表面粗さを小さくすることができる。また、スパッタリング後の熱処理温度も低くすることができ、製造コストを低減することができる。
本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法により製造されたMn系強磁性薄膜は、垂直磁化容易軸および高磁気異方性を有し、表面粗さが小さいため、例えば、STT−MRAMなどのスピントロニクスデバイス内の、磁気トンネル接合(MTJ)素子等の強磁性薄膜として使用することができる。
本発明の実施の形態のMn系強磁性薄膜の製造方法により、Mn系強磁性薄膜の製造を行った。図1に示すように、厚さ100 nmのMgO基板上に、順番に、厚さ40 nmのCr90Ru10層、厚さ50 nmのMnAl薄膜(Mn系強磁性薄膜)、厚さ5 nmのTa層を、スパッタリングにより成膜した。MnAl薄膜のスパッタリング時には、溶解法で製造されたMn46Al54ターゲットを用いた。
以下では、MnAl薄膜のスパッタリング時の基板の温度、MnAl薄膜の成膜後の熱処理(アニーリング)の温度および時間について、検討を行った。なお、成膜されたMnAl薄膜は、Mnを53〜54at%含んでいる。
[MnAl薄膜のスパッタリング時の基板温度Ts]
スパッタリング時の基板の温度Tsを、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃、350℃、400℃として、それぞれMnAl薄膜を成膜した。各基板温度Tsで成膜されたMnAl薄膜に対して、X線回折、磁化曲線の測定、原子間力顕微鏡(AFM)による表面の測定を行った。各基板温度Tsで成膜されたMnAl薄膜のX線回折結果を図2に、Ts=200℃、350℃、400℃のときのMnAl薄膜の磁化曲線を図3に示す。なお、磁化曲線(M−H曲線)は、振動試料型磁力計(VSM)により測定している(以下同じ)。
図2に示すように、基板温度Tsが200℃〜350℃のとき、(001)超格子および(002)のピークが認められており、MnAl薄膜が正方晶のL1型構造を有していることが確認された。また、Tsが200℃〜350℃の範囲では、(001)超格子および(002)のピークは、Tsの増加とともに増加しているが、Tsが400℃になると、非磁性および立方晶の相が確認された。
また、図3に示すように、磁化曲線は、各Tsとも、MnAl薄膜の表面に対して垂直方向(perpendicular)では非直線的でヒステリシス曲線になっており、薄膜の面内方向(in plane)ではほぼ直線的であることが確認された。また、膜の表面に対して垂直方向で飽和磁化Mが観測されていることから、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向しており、垂直磁気特性が得られていることがわかる。特に、Ts=350℃のとき、飽和磁化Mは約約560emu/cmであり、非常に大きくなっていることが確認された。
磁化曲線から求めた磁気異方性定数Ku、および、AFMの測定画像から得られた表面粗さRaと、基板温度Tsとの関係を求め、図4に示す。図4に示すように、MnAl薄膜のKuは、Ts=275℃〜375℃で概ね1.0×10erg/cm以上、Ts=350℃でピーク値の約1.2×10erg/cmとなり、優れた磁気特性を有していることが確認された。一方、MnAl薄膜のRaは、MnAl薄膜が柱状に成長するため、Tsが増加するにつれて増加し、特に、Ts>350℃で、非常に大きくなることが確認された。
図4に示すように、最も優れた磁気特性を有するTs=350℃のとき、MnAl薄膜の平均表面粗さは、Ra=1.07nmとなる。このときのMnAl薄膜の表面のAFMの測定画像を、図5(a)に示す。図5(a)に示す表面粗さの状態では、得られたMnAl薄膜をMTJなどの素子に使用するのは困難である。そこで、MnAl薄膜の表面粗さを改善するために、MnAl薄膜の成膜後にアニーリングを行った。
[MnAl薄膜の成膜後の熱処理(アニーリング)温度Ta]
基板温度Ts=350℃でスパッタリングを行って基板上に成膜されたMnAl薄膜に対して、熱処理温度Taを、300℃、325℃、350℃、375℃、400℃として、それぞれ30分間の熱処理を行った。なお、熱処理は、スパッタリングチャンバー内で行った。熱処理後の各MnAl薄膜に対して、磁化曲線の測定、原子間力顕微鏡(AFM)による表面の測定を行った。Ta=350℃、325℃のときのAFMの測定画像を、それぞれ図5(b)および(c)に、Ta=325℃、350℃、400℃のときの磁化曲線を、図6に示す。また、磁化曲線から求めた磁気異方性定数Ku、および、AFMの測定画像から得られた表面粗さRaと、熱処理温度Taとの関係を求め、図7に示す。
図6に示すように、磁化曲線は、各Taとも、MnAl薄膜の表面に対して垂直方向(perpendicular)では非直線的でヒステリシス曲線になっており、薄膜の面内方向(in plane)ではほぼ直線的であることが確認された。また、膜の表面に対して垂直方向で飽和磁化Mが観測されていることから、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向しており、垂直磁気特性が得られていることがわかる。特に、Ta=350℃のとき、飽和磁化Mは584emu/cmであり、図3に示す熱処理前のものよりも、さらに大きくなっていることが確認された。
また、図7に示すように、熱処理後のMnAl薄膜のKuは、Ta=300℃〜375℃で1.0×10erg/cm以上、Ta=310℃〜360℃で概ね1.2×10erg/cm以上、Ta=350℃でピーク値の約1.3×10erg/cmとなり、図4に示す熱処理前のものよりも、さらに優れた磁気特性を有していることが確認された。一方、熱処理後のMnAl薄膜のRaは、Ta=300℃〜350℃で0.7nmより小さく、Ta=325℃で最小値の0.38nmとなり(図5(c)参照)、図4に示す熱処理前のものよりも表面粗さが改善されていることが確認された。最も優れた磁気特性を有するTa=350℃のときのMnAl薄膜の平均表面粗さは、Ra=0.65nmであった(図5(b)参照)。
[MnAl薄膜の成膜後の熱処理(アニーリング)時間tannealing
基板温度Ts=350℃でスパッタリングを行って基板上に成膜されたMnAl薄膜に対して、熱処理温度Ta=350℃とし、熱処理時間tannealingを30分、60分、90分、120分として熱処理を行った。なお、熱処理は、スパッタリングチャンバー内で行った。熱処理後の各MnAl薄膜に対して、磁化曲線の測定、原子間力顕微鏡(AFM)による表面の測定を行った。tannealing=30分、60分、120分のときのAFMの測定画像を、図8に、tannealing=60分、90分、120分のときの磁化曲線を、図9に示す。また、磁化曲線から求めた磁気異方性定数Ku、および、AFMの測定画像から得られた表面粗さRaと、熱処理時間tannealingとの関係を求め、図10に示す。
図9に示すように、磁化曲線は、各熱処理時間tannealingとも、MnAl薄膜の表面に対して垂直方向(perpendicular)では非直線的でヒステリシス曲線になっており、薄膜の面内方向(in plane)ではほぼ直線的であることが確認された。また、膜の表面に対して垂直方向で飽和磁化Mが観測されていることから、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向しており、垂直磁気特性が得られていることがわかる。特に、tannealing=60分、90分のとき、飽和磁化Mはそれぞれ594emu/cm、584emu/cmであり、図3(b)に示す熱処理前のものよりも、さらに大きくなっていることが確認された。また、tannealing=60分のものは、図6(b)に示すtannealing=30分のものよりも飽和磁化Mが大きくなっていることも確認された。
また、図10に示すように、熱処理後のMnAl薄膜のKuは、tannealingが100分以内で概ね1.0×10erg/cm以上、tannealingが60分以内で約1.2×10erg/cm以上、tannealing=30分で約1.3×10erg/cmとなり、図4に示す熱処理前のものよりも、さらに優れた磁気特性を有していることが確認された。なお、Kuは、tannealingが100分より長くなると急激に低下することも確認された。
一方、熱処理後のMnAl薄膜のRaは、tannealing=40分〜100分で概ね0.5nm以下、tannealing=60分、90分で最小値の0.22nmとなり(図8(b)参照)、図4に示す熱処理前のものよりも表面粗さが大きく改善されていることが確認された。なお、Raは、tannealingが40分より短くなると若干大きくなるが(図8(a)参照)、tannealingが100分より長くなると急激に大きくなり、表面が粗くなることも確認された(図8(c)参照)。
本発明に係るMn系強磁性薄膜は、磁気トンネル接合(MTJ)素子の強磁性体として好適に使用され、MRAMやスピントルク発振素子、磁場センサなどに利用することができる。

Claims (7)

  1. 溶解法で製造されたターゲットを使用してスパッタリングにより基板上に、50〜60at%のMnと40〜50at%のAlとから成る合金から成り、磁化容易軸が膜の表面に対して垂直に配向した薄膜を成膜後、300℃以上375℃以下の温度で、100分以内の熱処理を行うことを特徴とするMn系強磁性薄膜の製造方法。
  2. 前記熱処理を、310℃以上360℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1記載のMn系強磁性薄膜の製造方法。
  3. 前記熱処理を、40分以上100分以内で行うことを特徴とする請求項1または2記載のMn系強磁性薄膜の製造方法。
  4. 前記基板の温度を200℃〜375℃にして前記スパッタリングを行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のMn系強磁性薄膜の製造方法。
  5. 50〜60at%のMnと、40〜50at%のAlとから成り、垂直磁化容易軸を有し、磁気異方性定数Kuが1.0×10erg/cc以上であり、表面粗さRaが1.0nm以下であることを特徴とするMn系強磁性薄膜。
  6. 前記磁気異方性定数Kuが1.2×10erg/cc以上であることを特徴とする請求項5記載のMn系強磁性薄膜。
  7. 表面粗さRaが0.5nm以下であることを特徴とする請求項5または6記載のMn系強磁性薄膜。
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