JP6869599B2 - 電流センサおよび電流測定装置並びに太陽電池ストリング用電流測定システム - Google Patents

電流センサおよび電流測定装置並びに太陽電池ストリング用電流測定システム Download PDF

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Description

本発明は、比較的小さな磁界を測定するための磁気センサおよびそれを利用して小さな電流を非接触で測定するための電流センサ、および、この電流センサを用いた電流測定装置、並びに、この電流測定装置を用いた太陽電池ストリング用電流測定システムに関する。
磁気センサ装置およびそれを利用した非接触型の電流センサ装置は、産業上有用であるため、古くから多くの方式のものが開発されている。しかし、利用分野はさまざまであり、これまで大きな市場ではなかった。しかしながら、近年の環境問題の対策のため、国内外において、再生可能エネルギーの普及が広まっており、その中でも、太陽光発電は必要な出力に応じて容易にシステムを構築できることなどから、導入は著しい。一般的に太陽光パネルと呼ばれる、太陽電池モジュールは、構造がシンプルであることから、メンテナンスフリーの設備と誤解されてきたが、実際は太陽電池セル間のはんだ接続の不良やバイパスダイオードの不良により、発電力が低下、または太陽電池モジュール内部の一部が高温化するホットスポットと呼ばれる現象などが発生する虞があり、長期的に安定した発電を行うためには、定期的な保守点検が必要である。最近では、建設当初に電圧や電流、発生電力などをモニタリングするシステムを導入している太陽光発電所もあるが、このようなシステムは高額であり、数100kW〜数MWクラスの大規模発電所でなければ、導入コストがつり合わないため、全ての太陽光発電所に導入されているものではない。100kW未満の中〜小規模の太陽光発電所での保守管理体制は整っていない。特に50kW未満の小規模発電所においては、電気主任技術者を専任させる義務もないため、管理する手法も確立されていない。
このような小〜中規模発電所の保守点検体制を充実させるための、太陽光発電所に持ち込むことのできる、さまざまな点検装置が開発されている。ところが、市場にある太陽光発電専用の測定器のほぼ全てが、太陽電池のケーブルまたは、太陽電池の直列回路である太陽電池ストリングのケーブルに、測定機器のプローブを接触して測定することが必要な装置であり、かつ、これらの測定は快晴時に行うことが推奨されている。このような測定手法では、太陽電池の発電力が極めて高い状態において、作業者が充電部に触れ、感電する虞がある。よって、これらの点検は、詳細点検としては有効であるものの、安全作業上、可能な限り減らすべきである。
上記のような充電部に接触させる機器を最初から用いるのではなく、例えば、太陽電池ストリングの状態把握の手法として、複数の太陽電池ストリングのケーブルを流れる電流を非接触で同時に測定・記録し、時系列データとして比較することは、異常のある太陽電池ストリングをスクリーニングするために有効であることに加え、作業者が感電するリスクが極めて小さい。太陽電池ストリングから発生する電気は直流であり、市場の太陽電池モジュール(直列接続の場合は、太陽電池ストリング)の短絡電流(Isc)は、結晶シリコン系太陽電池モジュールで最大約9.6アンペア、CIS化合物太陽電池モジュールで最大約2.2アンペアである。よって、上記の約10A以下の測定範囲の直流電流を非接触で高精度に測定する事が求められる。
直流電流を非接触で測定する場合、一般的な手法として、電線を流れる電流により生じる磁界を磁気センサで検出し、電流を測定する方法が採られる。この磁気センサには、大きく分けて、ホール素子を用いたものとフラックスゲート素子を用いたものがある。ホールセンサ素子を用いた電流センサは、大きい磁界の測定に有効であること、感度が低いこと、温度特性が悪いこと、測定時に毎回オフセット電圧の処理を行うことなどの欠点があり、主に数10〜数100アンペアの直流電流を測定する用途に向いている。それに対し、フラックスゲート方式では、ゼロ点でのドリフトが少ないことや、温度特性が良いこと、微小磁界の精度良い検出ができるなどの利点があり、数アンペア程度を出力する太陽電池ストリングの直流電流測定に向いている。しかしながら、フラックスゲート式の電流センサは、形状が大きく、測定に不都合が生じる。これは、太陽電池ストリングのケーブルを集約する接続箱の寸法が影響している。
太陽光発電所の建設コストを抑えるため、様々な部分でのコンパクト化が行われている。太陽電池ストリングのケーブルは、接続箱にて複数回路が並列接続され、パワーコンデョショナの定格電圧および定格電流に合うように構成し、パワーコンディショナに接続される。この時、各太陽電池ストリングからのケーブル末端にはブレーカ(開閉器、断路器ともいう。)が設けられるが、このブレーカの寸法は年々小型化され、隣接するブレーカ同士のケーブルの離隔は、2センチに満たない状況になっている。また、ブレーカの小型化に加え、周辺部材も小型化され、最終的には接続箱も小型化されている。このようなことから、狭小なケーブル集約部に市販の非接触のクランプ式電流センサを後付けし、複数のストリングの電流を同時に計測することは、非常に困難である。このため、太陽電池ストリングの電流測定を行うための電流センサは可能な限り小型化される必要がある。
フラックスゲート素子を用いた電流センサは、励磁、検出、帰還という工程からなる。図4に一般的なフラックスゲートの電流センサを示す。電流センサは、まず初めに環状の磁気コアを励磁することからはじまる。励磁は、磁気コアに巻き付けた励磁用コイルに交流電流を流すことにより、磁界を発生させる。次に、環状の磁気コアの中空部を通る電線に流れた電流により生じる磁気コア内の磁界の変化を検出コイルにて捉える。そして、検出コイルで得られた磁界の変化を打ち消すように、磁気コアに逆向きの磁界を発生させるための電流を、帰還コイルに流す。この流した電流を計測することにより、被測定電線の電流を測定することができる。これらのコイルの巻数は、電流センサに供給できる電流による。磁気コアに巻回するコイルは、その巻回数が多いほど、使用する電流は低く、巻回数が少ないほど大電流を要する。一般的には、数百〜千数百ターンが用いられる。これが、フラックスゲートの小型化及び低コスト化を阻害する要因となっている。
特許文献1には、「励振コイル、検出コイル及び帰還コイルを備えるフラックスゲート型磁気測定器の検出部において、前記帰還コイルを円筒形とし、この円筒形の巾中央部に前記励振コイル及び検出コイルを配置したことを特徴とするフラックスゲート型磁気測定器の検出部」(「実用新案請求の範囲」、第1図〜第3図等参照。)が記載されている。非接触タイプで直流電流を検出可能な電流センサは、特許文献1に記載されているような「磁気センサ」を利用したものが知られている。
また、特許文献2には、「被測定電流によって発生する被測定磁界を測定することによって被測定電流を測定する電流センサ装置であって、磁芯と、前記磁芯に巻回された、印加される被測定磁界を検出するためのセンサコイルと、前記センサコイルを一部に含む直列共振回路を有し、前記直列共振回路に流れる共振電流を前記センサコイルに供給して前記センサコイルを駆動する駆動手段と、前記センサコイルに対して直列に接続されたインダクタンス素子とを備えたことを特徴とする電流センサ装置」(「請求項35」、明細書第33欄28行乃至第35欄第12行、第14図等参照。)が記載されている。
実開平01−135377号公報 特許第3212985号公報 特開2006−246289号公報
特許文献1に記載の考案は、図4に示した一般的なフラックスゲートの電流センサと同様に、「励振コイル」と「検出コイル」と「帰還コイル」の3つのコイルが必要であるので、小型化を実現することができず、本願発明が利用される技術分野の電流センサに用いることができない。
また、特許文献2には、「電気自動車や太陽光発電では、数kW〜数10kWの直流電力を扱うため、数10〜数100Aの直流電流を測定する非接触型の電流センサ装置が不可欠となっている」(明細書第9欄第36行乃至39行参照。)と記載されている。これに対し、本願発明は、測定する電流が一列の太陽電池ストリングの電流であるので、最大でも±10A程度の電流を高精度(±0.1A)に測定するものである。したがって、特許文献2に記載の電流センサ装置と本願発明の電流センサとでは、処理する電流値が全く異なるので、本願発明において、特許文献2に記載の発明の技術思想を利用することはできない。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高精度で特性が良く、小型で安価な電流センサを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の電流センサを複数接続し、複数の被測定電線の電流を同時に計測できる電流測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の電流測定装置から得られた複数回路の電流値を比較、積算することにより、異常を分かりやすく伝える太陽電池ストリング用電流測定システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、一列の太陽電池ストリングの電流を測定する電流センサであって、高透磁率軟磁性材質でギャップレスに形成された閉磁路磁気コアと、該閉磁路磁気コアに巻回された一つのコイルを有し、前記太陽電池ストリングの電流によって生じる磁界の変化を検出するフラックスゲートセンサ素子と、前記一つのコイルの一端に接続され、該コイルに励磁電流を流して前記閉路磁気コアを励磁する励磁回路と、前記一つのコイルの他端に直列に接続され、前記閉磁路磁気コアの出力信号を検出する信号検出回路と、前記一つのコイルの一端と他端とに接続され、前記信号検出回路が検出した検出結果を、前記磁界の変化を打ち消すように前記閉磁路磁気コアにフィードバックする帰還回路と、を備え、前記一つのコイルは、前記励磁回路、前記信号検出回路、前記帰還回路の一部として機能する構成にされ、前記信号検出回路は、前記一つのコイルに直列に接続されたインピーダンス素子を備えており、該インピーダンス素子は、抵抗で形成され、前記励磁回路は、発振回路と、該発振回路と前記一つのコイルの一端に直列に接続されたコンデンサと、前記一つのコイルとを備えており、前記コンデンサと前記一つのコイルとで構成される直列共振回路の共振周波数を有する信号は、前記発振回路から供給されるように構成されていることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1に記載の電流センサであって、前記閉磁路磁気コアが、二つに分割可能な第1の磁気コアと第2の磁気コアとから形成されており、前記第1の磁気コア、又は、前記第2の磁気コアの少なくともいずれか一方に前記一つのコイルが巻回され、前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとが連結されて、前記ギャップレスに形成された閉磁路磁気コアを構成していることを特徴とする。
また、請求項の発明は、電流測定装置であって、請求項1又は請求項のいずれか1項に記載の電流センサと、照度センサと、測定装置本体と、前記電流センサ及び前記照度センサを前記測定装置本体と接続する接続ケーブルとを備え、前記電流センサは複数設けられており、該複数の電流センサで、複数の太陽電池ストリングの電流を同時に測定可能に構成されていることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項に記載の電流測定装置と、複数の太陽電池ストリングと、該複数の太陽電池ストリングの電流ケーブルが集約される手段とを備えた太陽電池ストリング用電流測定システムであって、前記太陽電池ストリングは、複数の太陽電池モジュールが直列に接続されており、前記電流測定装置が有する前記電流センサが、前記太陽電池ストリングの電流ケーブル毎に装着されていることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項に記載の太陽電池ストリング用電流測定システムを用いて太陽電池ストリングの異常を検出する太陽電池ストリング電流異常検出方法であって、前記複数の太陽電池ストリングの電流値を同時に、かつ、時系列に測定する第1のステップと、該測定した前記各電流値の第n番目の電流値と第n+1番目の電流値との差分値を算出し、該差分値を積算する第2のステップと、第1番目から第n+1番目までの前記積算値に基づいて、一次近似式を求め、該一次近似式の傾き値を算出する第3のステップと、前記第1のステップ〜前記第3のステップを、全ての太陽電池ストリングの電流について実行し、各太陽電池ストリングに対応した前記傾き値を算出する第4のステップと、該第4のステップで算出した全ての前記傾き値を基準値と比較し、該基準値に対し所定範囲外の値を示す前記傾き値に対応する前記太陽電池ストリングを異常のある太陽電池ストリングとして検出する第5のステップとを備えたことを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項に記載の太陽電池ストリング電流異常検出方法であって、前記基準値は、前記第4のステップにおいて算出した全てのストリングの一次近似式の傾きのうち、一番小さい値に所定係数を乗じたものであることを特徴とする。
本発明によれば、電流センサを、高精度で特性が良く、小型で安価にすることができるという顕著な効果を奏する。
また、本発明によれば、太陽光発電を停止することなく、複数の太陽電池ストリングの発電電流を精度良く、簡易の測定することが可能となり、容易に異常ストリングを検出することができるという顕著な効果を奏する。
本発明の第一の実施形態の電流センサの回路図である。 本発明の第一の実施形態の電流センサの波形を示す図である。 磁気コアの変形例である。 一般的なフラックスゲート素子を用いた電流センサの回路図である。 本発明の第二の実施形態の電流測定装置の全体図である。 本発明の第三の実施形態の太陽電池ストリング用電流測定システムの全体図である。 本発明の第三の実施形態の太陽電池ストリング用電流測定システムを用いた太陽電池ストリング電流異常検出方法を説明する図である。 本発明の第三の実施形態の太陽電池ストリング用電流測定システムの変形例である。
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態における電流センサについて、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の電流センサ1の回路図である。本発明の電流センサ1は、主として、フラックスゲートセンサ素子2、励磁回路3、検出回路4、帰還回路5から構成されている。フラックスゲートセンサ素子2は、鉄、パーマロイ、フェライト、アモルファス磁性合金のような高透磁率軟磁性体で形成された磁気コア2aに一つのコイルL1が巻回されて構成されている。つまり、磁気コア2aは、高透磁率軟磁性体で形成されたギャップレスの閉磁路磁気コアの構成をなしている。なお、閉磁路磁気コアは、継ぎ目のない円環形状に限定する必要はなく、後述するように、分割されたクランプ型の二つの磁気コアを付勢手段を設けて当接させることで、磁束漏れがないようにギャップレスに構成されたものでもよい。また、本発明では、磁気コイルL1は、励磁回路3、検出回路4、帰還回路5の一部としても機能している。
コイルL1は、好ましくは、磁気コア2aの全周に巻回させる方がよいが、後述するように、例えば、磁気コアを2分割式のクランプ型にした場合は、分割された一方の磁気コアにのみコイルを巻回する構成にすることもできる。
なお、コイルL1を磁気コア2aの全周に巻回させる方が、より高精度な検出を行うことができる場合がある。例えば、磁気コア2aの内径に対して被測定電線の外径が極端に小さいときは、測定時に、被測定電線が磁気コア2aに対して偏心することで、被測定電線と磁気コア2aに巻回されたコイルL1との距離が、測定する太陽電池ストリング毎にバラついてしまうことがある。ことのとき、特許文献1,2に記載された発明のように、コイルが磁気コアの一部分にしか巻回されていない場合は、太陽電池ストリングケーブル等の被測定電線に流れる電流によって生じる磁界の変化の大きさが、測定時の被測定電線とコイルとの距離によってバラついて検出誤差が発生してしまう。
そこで、本発明では、磁気コア2aの内径に対して被測定電線の外径が極端に小さいときは、好ましくは、コイルL1を磁気コア2aの全周に巻回させることで、被測定電線Wが磁気コア2a内のどの位置にあっても、磁界の変化を安定して検出できるように構成することができる。より好ましくは、コイルL1を磁気コア2aの全周に均等に巻回させる方がよい。
励磁回路3は、発振器3aと、発振器3aの出力端とコイルL1の一端との間に直列に接続されたコンデンサC1とを備えている。コンデンサC1とコイルL1との接続点を節点n1とする。発振器3aは周知の発振器を用いればよく、特に限定されない。なお、コンデンサC1とコイルL1とは直列共振回路を構成し、この直列共振回路に供給される交流信号の共振周波数は、発振器3aで生成されている点において、「共振用コンデンサ12」、「センサコイル2」、「検出コイル20」を「クラップ発振回路」に組み込んで、「共振用コンデンサ12」、「センサコイル2」、「検出コイル20」で発振周波数を設定している(実際には、「帰還用コンデンサ13,14」も発振周波数に寄与する。)特許文献2に記載の構成とは異なっている。なお、周知のクラップ発振回路を特許文献3(段落「0045」〜「0047」、図3等参照。)に示す。
検出回路4は、抵抗R1,R2,R3,R4と、コンデンサC2,C3,C4と、ダイオードD1,D2とを備えている。抵抗R1は、節点n2(つまり、コイルL1の他端)と接地間に接続されており、抵抗R1に流れる検出電流i1を検出電圧V1に変換する。ここで、被測定電線Wに流れる電流(太陽電池ストリングの短絡電流)をI、コイルの巻数をNとすれば、I=N・i1の関係式が成り立つ。
なお、特許文献2には「検出用コイル20、帰還電流経路用コイル6およびコンデンサ7は、駆動回路3としての発振回路の一部でもあるし、検出・帰還回路5の一部でもある」(明細書第30欄第14行乃至第16行、図9、図14等参照。)と記載されているので、「検出用コイル20、帰還電流経路用コイル6」を抵抗に置換することは、特許文献2記載の発明の課題解決を阻害することになる。つまり、特許文献2に接した当業者が「検出用コイル20、帰還電流経路用コイル6」を抵抗に置換することは容易には想到し得ない。
直流阻止用のコンデンサC2が節点n2と節点n3との間に接続されており、節点n3と接地との間には抵抗R2が接続されている。節点n3には、ダイオードD1のアノードと、ダイオードD2のカソードが接続されている。ダイオードD1のカソードは、コンデンサC3を介して接地されている。ダイオードD2のアノードは、コンデンサC4を介して接地されている。ダイオードD1とコンデンサC3とで正方向ピークホールド回路を構成し、ダイオードD2とコンデンサC4とで、負方向ピークホールド回路を構成している。正方向・負方向のピークホールド回路を備えることで、検出信号の正・負の極性毎に平滑処理をすることができる。
ダイオードD1のカソードは、直列に接続された抵抗R3を介して増幅器A1の反転入力端子に接続され、ダイオードD2のアノードは、直列に接続された抵抗R4を介して増幅器A1の反転入力端子に接続されている。抵抗R3と抵抗R4とで加算回路を構成し、検出された信号の加算処理を行う。加算処理された検出信号は、増幅器A1で所望の増幅率で増幅され、出力端子out1から電流センサ1の検出結果として出力される。増幅器A1の非反転入力端子は接地されている。
帰還回路5は、抵抗R5を含む。抵抗R5は、増幅器A1の出力端子out1と節点n1との間に接続されており、検出回路4で生成された帰還電流をコイルL1に流すことができる。これによって、磁気コア2aを励磁状態に戻すことができる。図2に、本発明の電流センサ1を用いて、模擬的に、太陽電池ストリングのケーブルに流れる電流を測定した結果を示す。図2において、波形wf1は、発振器3aから出力される励磁用の発振信号の波形であり、波形wf2は、節点n2を流れる(つまり、抵抗R1を流れる)電流の波形であり、波形wf3は、測定する太陽電池ストリングの電流波形である。図2(a)は、太陽電池ストリングの電流(波形wf3)が正方向に最大の“+10A”のときであり、図2(b)は、太陽電池ストリングの電流が“0A”のときであり、図2(c)は、太陽電池ストリングの電流(波形wf3)が負方向に最大の“−10A”のときである。図2(a)〜(c)のいずれにおいても、波形wf2は、直流レベル(動作点)は異なるが、上下ともに歪みのない波形を示している。つまり、電流値が+10A,0A,−10Aと変動しても、帰還が正しくかけられているので、波形に歪みがなく、高精度で測定されていることを示している。この理由の一つは、検出回路に、線形特性がコイルよりも優れた抵抗(抵抗R1)を用いているからである。
ちなみに、特許文献2記載の発明は、発振回路等としても「検出コイル20」を用いているが、そもそも、最大数100Aオーダーの電流を測定するものであるから、コイルの非線形特性による検出精度の劣化が、品質規格上あまり問題にならないとも推量される。しかしながら、本発明は、測定する電流が最大でも±10A程度の小電流であるので、コイルの非線形特性は、検出精度を劣化させる虞がある。したがって、本発明は、線形特性がコイルよりも優れた抵抗を用いることにより、発明の効果(高精度検出)が顕著となる。逆に言えば、特許文献2に記載の発明において、「検出コイル20」を「抵抗」に置き換えることは容易には想到することができないものといえる。
電流センサ1は、励磁回路3を用いて、フラックスゲートセンサ素子2に設けられ、コイルL1が巻回された磁気コア2aを励磁し、かつ、励磁された磁気コア2a内の被測定電線Wを流れる電流によりコイルL1に生じる磁界変化を検出し、かつ検出された値をもとに、磁気コア2aの変化した磁界を励磁時の状態に戻すように作用する負帰還を同一のコイルL1で行うものである。一般的なフラックスゲート式電流センサでは、上述したように、磁気コアに複数のコイルを巻回する、又は、磁気コアのコイルとは別にコイルを必要とする等により、電流センサのサイズを小型化することができなかった。しかしながら、本発明の電流センサ1の構成であれば、磁気コア2aに巻回されたコイルL1が、励磁、検出、帰還の三つの機能を備えており、磁気コア2aに複数のコイルを巻回する必要は無く、磁気コア2aに巻回するコイルが一つのコイルL1でよく、かつ、所望の高精度測定を実現することができる。このため、従来のホール素子を用いた電流センサや、従来のフラックスゲート素子を用いた電流センサに比べ、高精度で特性の良い小型の電流センサを実現することができる。
(磁気コアの変形例)
図3には、磁気コア2aの変形例を示す。本発明の電流センサ1を用いて電流測定装置を構成し、一列の太陽電池ストリング毎の電流を測定するときには、接続箱に固定的に設置された太陽電池ストリングケーブルの電流測定を行うために、磁気コア2aを第1の磁気コア2bと第2の磁気コア2cに分割してストリングケーブルへの着脱を容易にすることができる。このとき、分割した第1の磁気コア2b、あるいは、分割した第2の磁気コア2cの少なくともいずれか一方にコイルL2を巻回して構成されていればよい。また、第1の磁気コア2bと第2の磁気コア2cとをクランプ型にして、太陽電池ストリングケーブルへの装着時には、付勢手段により第1の磁気コア2bと第2の磁気コア2cとを対向させて付勢することで安定したギャップレスの構成にし、太陽電池ストリングケーブルから脱離させるときは、付勢を解除するようにしてもよい。
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態として、第一の実施形態の電流センサ1を用いて構成した電流測定装置50について説明する。電流測定装置50は、容易に可搬可能な装置であり、複数の電流センサ1と、照度センサ52と、装置本体53と、電流センサ1及び照度センサ52と装置本体53とを接続する複数の接続ケーブル51を備えている。本実施形態では、電流センサ1を10個備えており、10チャンネルの太陽電池ストリングの発電電流を同時に測定可能であるが、電流センサ1の数は、必要に応じて適宜増減されてよい。
電流センサ1は、前述の磁気コア2a(又は、第1の磁気コア2b及び第2の磁気コア2c)とコイルL1とからなるフラックスゲートセンサ素子2に対して、非接触で太陽電池ストリングのケーブルに装着することができ、容易に着脱可能な構成である。非接触であるので、作業者が充電部に触れ感電するという危険性はない。また、電流センサ1は、前述したように小型化されているので、全ての電流センサ1を同時に、装置本体53と共に太陽光発電システムの接続箱の狭小なケーブル集約部に支障なく収納することができる。接続ケーブル51は、電流センサ1、又は、装置本体53に着脱可能であり、電流センサ1、又は、接続ケーブル51が、故障又は性能劣化した場合には、容易に交換可能にされている。装置本体53には、表示部53a、操作部53b、メモリカードスロット部53cが設けられている。装置本体53は、電流センサ1で測定した各太陽電池ストリングの検出データ、照度センサ52で測定した日射量データ、及び、それらの演算処理データを表示部53aに表示させることができる。
本発明の電流測定装置50によれば、電流センサ1のコイルが、コイルL1一つでよいので、接続ケーブル51内の芯数が少なくてすみ、したがって、接続ケーブル51の径も小さくなり、コストを低減することができる。
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態として、第二の実施形態の電流測定装置50を用いて構成した太陽電池ストリング用電流測定システム100について説明する。
[構成]
まず、構成について説明する。太陽電池ストリング用電流測定システム100は、太陽電池アレイ106と、接続箱102と、電流測定装置50とを備えている。太陽電池アレイ106は、3列の太陽電池ストリングST1,ST2,ST3が並列に接続されて構成されている。太陽電池ストリングST1〜ST3の各々一列は、3個の太陽電池モジュール105が直列に接続されて構成されている。太陽電池モジュール105(一般的には、「太陽光パネル」ともいう。)は、複数の直列接続された太陽電池セル107で構成されている。太陽電池セル107は、結晶シリコン系太陽電池セルであり、一列の太陽電池ストリングの発電電流は、一般に、最大約9.6Aである。各太陽電池モジュール105には、バイパス・ダイオード(不図示)が設けられている。なお、太陽電池モジュール105の直列接続数、太陽電池ストリングの並列配置数は、必要な出力電力等に応じて適宜増減されてよい。
各太陽電池ストリングST1〜ST3は、それぞれ、各一対の太陽電池ストリングケーブルで接続箱102内の対応する開閉器(ブレーカ、断路器ともいう。)103に接続されている。本実施例では、P側のストリングケーブル101について説明する。開閉器103は、太陽電池ストリングST1〜ST3の開閉を行う。3つの開閉器103の出力は、集約されて一つの主開閉器104に接続されている。主開閉器104は、不図示のパワーコンディショナに接続され、主開閉器104から出力された直流電流は、パワーコンディショナで所定の交流電流に変換される。各太陽電池ストリングST1〜ST3と主開閉器104との間には、それぞれ対応する開閉器103を介して、逆電流防止用のブロッキング・ダイオード108が挿入されている。ブロッキング・ダイオード108と開閉器103との間には、過電流防止用のヒューズ109が設けられている。
図示するように3つの電流センサ1が、非接触でそれぞれ対応する太陽電池ストリングST1〜ST3のストリングケーブル101に装着されている。ここで、本願出願時の一般的技術水準では、太陽電池モジュール105が直列に接続されて構成された太陽電池ストリングST1の短絡電流(Isc)は、結晶シリコン系太陽電池モジュールで最大約9.6アンペア、CIS化合物太陽電池モジュールで最大約2.2アンペアである。したがって、本発明では、最大でも約10A程度の小電流を高精度(0.1A)に測定するものである。なお、本発明では、異常検出のため、最大約−10Aも高精度(−0.1A)に測定可能にしている。太陽電池ストリングST2,ST3についても同様である。なお、特許文献2に記載の発明は、数10〜数100Aの電流を測定するものであるので、個々の太陽電池ストリングの電流ではなく、複数の太陽電池ストリングの集約された電流(例えば、図6の主開閉器104に接続される線路の電流)を測定するものと推量され、本願発明のような高精度(±0.1A)を必要としないものと推量される。また、上述したように、本願出願時の技術水準では、太陽電池ストリングの短絡電流(Isc)は、最大でも約10A程度であるが、技術の進歩により、太陽電池ストリングの短絡電流が増大(例えば、約20Aに増大)しても、本願発明を適用することができる。
[測定方法]
次に、太陽電池ストリング用電流測定システム100の測定方法について説明する。まず、太陽光発電所にて、接続箱102の開閉器103に接続されるストリングケーブル(太陽電池ストリングのケーブル)101の全回路に、それぞれ電流センサ1を取り付ける。このとき、ストリングケーブル101は、太陽電池ストリングST1〜ST3のそれぞれに対し、P側・N側の2線あるが、取り付ける電流センサ1は、P側又はN側のどちらか一方に取り付けるように統一する。本実施形態では、P側に統一して取り付けている。
次に、照度センサ52を太陽電池モジュール105が太陽光を受ける角度に合わせ、固定する。照度センサ52は、太陽電池が受ける日射強度を測定するものであり、太陽電池モジュール105のフレーム(不図示)などに取り付けると、太陽電池セル107の受光を妨げない。
次に、全回路(ST1〜ST3の全ストリング)の電流を測定する。本実施形態の電流測定装置50は、10回路まで同時測定が可能である。小規模太陽光発電所では、一箇所の接続箱で10回路以下の構成が多いため10回路にしたが、回路数は、必要に応じて適宜増減設定が可能である。測定対象の電流値データは、他の特定の信号(例えば、日照データ)と同期させて取得することも可能であり、測定した電流の生データ又は加工データを他の特定の信号(例えば、日照データ)と同期して表示、演算等処理することも可能である。
次に、測定電流を液晶表示部53aに一括表示する。全回路分を一括で表示することにより、電流符号の反転(逆流回路の検出)や、電流差を見ることができる。測定表示は所定間隔、例えば、1秒間隔でリフレッシュすることができる。装置本体53には、ホールド機能を備えている。
次に、測定データを記録する。測定データは、電流測定装置50の装置本体53の内部メモリに保存される。長期的にデータを記録するために、外部メモリを着脱することができる。測定データの内部メモリから外部メモリへの書き出しのタイミングや容量、その他操作に必要な条件は、適宜設定できる。本実施形態では、夜間の電流を測定する必要がないため、この書き出しのタイミングを1日1回、深夜0時付近に設定している。また、インターバル測定が可能であり、記録の間隔を1秒おきや10秒おき、1分おき、30分おきなど適宜選択することができる。この記録の間隔はプログラムによって所望の値に設定することができる。
本発明によれば、現場で作業者が感電すること無く、発電停止をすること無く、太陽電池ストリングの異変を捉えやすくする、という顕著な効果を奏することができる。電流測定装置50は、その日に判断が付かない場合、接続箱102内に設置したまま、放置できる(数日測定しっぱなし)ことも可能である。
[診断方法]
次に、測定データを診断するための太陽電池ストリング電流異常検出方法について図7用いて説明する。本発明では、一つの太陽光発電システムに設けられた複数の太陽電池ストリングの発電電流を、所定の時間間隔で、同時に、かつ、時系列に測定した値を、横軸(x軸)を時間、縦軸(y軸)を電流とするグラフに、全ストリング分表示して得られる「時系列グラフ」(図7(a)参照。)と、「第n番目」と「第n+1番目」(nは整数。)の電流の変化量(差分ともいう。)の積算値から得られる「積算グラフ」(図7(b)参照。)とを診断することで、測定者が太陽電池ストリングの不具合の傾向を把握することができる。
図7(a)において、凡例◆は、太陽電池ストリングST1の時系列発電電流の測定値を示し、凡例○は、太陽電池ストリングST2の時系列発電電流の測定値を示し、凡例△は、太陽電池ストリングST3の時系列発電電流の測定値を示す。各太陽電池ストリングST1〜ST3のデータは、10秒間隔で同期(同時)測定された値である。図7(a)から、太陽電池ストリングST2は、太陽電池ストリングST1,3に比べ、同時刻での発電電量が低いことがわかる。また、発電電流値の測定時刻毎の増減は、日射量の変動によるものであるので、特定の時刻において、電流値の増減は全ストリング(ST1〜ST3)で同様の傾向を示す。
図7(b)は、各太陽電池ストリングの発電電流測定値の変化量(差分値)を「第1番目」から「第n+1番目」まで加算し続けたグラフを示している。つまり、時刻tiにおける第1番目のデータと、時刻t(i+1)における第2番目のデータとの差分値に、第2番目のデータと、時刻t(i+2)における第3番目のデータとの差分値を加算し、この加算結果に、第3番目のデータと、時刻t(i+3)における第4番目のデータの差分を加算し、この処理を時刻t(n)における第n番目のデータと、時刻t(n+1)における第n+1番目のデータとの差分の加算まで繰り返し実行した得られた積算値をグラフ化したものである。なお、差分値は絶対値で表している。このため、横軸に時間、縦軸に積算電流値をとると、グラフは、通常、右上がりになり、各太陽電池ストリングのグラフから得られる線形一次近似式の傾きをα、切片をb、時間をxとすると、積算電流値yは、
y=αx+b α≧0
の関係式が成立する。
ここで、傾きαの値が小さいほど、太陽電池ストリングの発電電流の変化量が小さく、正常であることを示し、傾きαの値が大きいほど、太陽電池ストリングの発電電流の変化量が大きく、異常であると予測することができる。
そこで、測定した太陽電池ストリングの傾きαのうち、最も小さい値をαminとする。そして、他の太陽電池ストリングの傾きαiと、αminとを比較し、傾きがK倍を超えるものを不良、又は、不良の疑いあり、と判断する。Kの値は、実験結果では、約1.2が妥当であることがわかっているが、長期的にデータを取得することで、より精度の高い閾値(K値)を得ることができる。図7(b)において、太陽電池ストリングST1の一次近似式がy1=α1+b1、太陽電池ストリングST2の一次近似式がy2=α2+b2、太陽電池ストリングST3の一次近似式がy3=α3+b3を示す。実測データから、α1=254、α2=638、α3=274である。α1が一番小さいので、α1をαminとし、このαminをα2、α3と比較する。K値を1.2とすると、α2が[K×αmin]より大きく、α3が[K×αmin]より小さいことがわかる。したがって、傾きα2を有する太陽電池ストリングST2を異常、または、精密調査の優先順位が一番上であると診断し、太陽電池ストリングST1,ST3を正常と診断することができる。
診断方法は、サンプル数を多くするほど、測定日数を長く取る(例えば、数日から1カ月)ほど信頼性が高いと思われる。また、照度センサ52の役割は、測定した照度(換算すると日射強度)が高く、日照が良い状況時に、ストリング電流が著しく低い(太陽電池に樹の陰が掛かっているなど)というパターンを認識するものである。電流測定データと日照データを同期し、重ねることで、陰が掛かるエリアを視覚的に捉えることができる。
図7(c)に、太陽電池ストリングST1〜ST3の電流電圧特性カーブ(以下、「IVカーブ」という。)を示す。不良のない理想のIVカーブ(不図示)は、一つの変曲点を有するきれいな右肩下がりの曲線を描く。発電電流に異常のある太陽電池ストリングのIVカーブは変形している。図7(c)では、太陽電池ストリングST1及びST3のIVカーブが、理想のIVカーブに近く正常であり、太陽電池ストリングST2のIVカーブは変形しており異常である。
太陽電池ストリングは、複数回路並列にパワーコンディショナに接続されている。発電中のシステムの出力動作電圧(図7(c)の横軸に示す)は、最大出力を得るために、最大出力動作点付近で動作している。したがって、各太陽電池ストリングの電圧は常に同じであり、異常の変化は電流にのみ生じる。図7(c)において、電圧掃引(最大出力動作電圧付近の電圧)時の電流変化は、理想のIVカーブに近づくほど、小さくなる。本発明では、刻々と変化する太陽光発電システムの動作電圧に対応する電流値を時系列に取得し、前述した「時系列グラフ」と「積算グラフ」を描くことで、電流変化の差を視覚的にもわかりやすくするものである。
また、上述した一次近似式の傾きの値は、各太陽電池ストリングST1〜ST3の比較を行うために用いること以外にも、年次点検、月次点検等において、同一の太陽電池ストリングの経年劣化の兆候を検出することにも適用することができる。
太陽電池ストリングの発電電流は、複数の太陽電池モジュールを直列に接続しているので、複数の太陽電池モジュールのうち特定の太陽電池モジュールに異常があった場合でも、太陽電池ストリングの動作電流としては、理論的には一定であることが一般に知られている。しかしながら、このような場合であっても、実際には、図9に示すように、最大出力動作電圧(Vpm)に対する最大出力動作電流(Ipm)は、正常な太陽電池ストリングST1,ST3と異常な太陽電池ストリングST2とでは差がある。従来の電流センサでは、検出精度が低く、この差分値を検出することができなかったが、本願発明では、検出精度を高精度(±0.1A)にすることにより、この差分値を検出することが実現できた。
また、検出できた値が正確であったとしても、その原因が環境(例えば微妙な温度や日陰の変化)にあることを排除できるように、電流値を時系列に取得して、「第n番目」と「第n+1」番目に測定した電流の差分データをとり、この差分データの積算値によって正常・異常の診断をするようにしている。また、複数の太陽電池ストリングの電流値を同時に測定することによって、太陽電池ストリング間の環境依存性を無視することができる。例えば、太陽電池ストリングST1の第n番目のデータの測定時刻と、太陽電池ストリングST3の第n番目のデータの測定時刻が異なると、日射条件、温度条件等の環境が変化してデータが同一条件で取得できなくなるが、本発明では、同時に測定するので、このような環境依存性を無視することができる。このように、本発明は、電流センサによって発電電流値を高精度に検出することと、検出した電流値の差分値を積算して解析することで、真の異常を検出することができる。
[変形例]
図8は、第三の実施形態の太陽電池ストリング用電流測定システムの変形例を示す。太陽電池ストリング用電流測定システム100は、太陽電池セル107が結晶シリコン系太陽電池セルの場合を想定して説明したが、本変形例の太陽電池ストリング用電流測定システム200は、太陽電池セル207が、CIS化合物太陽電池セルの場合を想定して説明する。図8において、太陽電池ストリングST201は、CIS化合物の太陽電池セルセル207が複数配設されて構成された3つのモジュールが直列に接続されて形成されている。そして、3つの太陽電池ストリングST201,ST202,ST203を並列に接続して1つの太陽電池サブアレイ205aが構成されている。同様に、3つの太陽電池ストリングST204,ST205,ST206を並列に接続して太陽電池サブアレイ205bが構成され、3つの太陽電池ストリングST207,ST208,ST209を並列に接続して太陽電池サブアレイ205cが構成されている。そして、太陽電池サブアレイ205a,205b,205cで、1つの太陽電池アレイ206が構成されている。
太陽電池サブアレイ205aの3つの出力ケーブル、つまり、太陽電池ストリングST201,ST202,ST203の出力のストリングケーブル201a,201b,201cは、接続箱202の外部で、1つの集約ケーブル201に集約されている。なお、本変形例でも、P側のケーブルについて説明する。同様に、太陽電池サブアレイ205bの3つの出力ケーブル、つまり、太陽電池ストリングST204,ST205,ST206のストリングケーブル211a,211b,211cは、接続箱202の外部で、1つの集約ケーブル211に集約され、太陽電池サブアレイ205cの3つの出力ケーブル、つまり、太陽電池ストリングST207,ST208,ST209のストリングケーブル221a,221b,221cは、接続箱202の外部で、1つの集約ケーブル221に集約されている。集約ケーブル201,211,221は、接続箱202内の3つの開閉器103のそれぞれに接続されている。また、太陽電池ストリング用電流測定システム100と同様に、ブロッキング・ダイオード108、ヒューズ109。パワーコンディショナ104を備え、同様に接続されている。
本変形例では、電流測定装置50の10回路分の接続端子に9個の電流センサ1を接続している。個々の電流センサ1は、それぞれ、ストリングケーブル201a,201b,201c,211a,211b,211c,221a,221b,221cに接続されている。
前述したように、CIS化合物太陽電池セルを用いた場合、一列の太陽電池ストリングの発電電流は、最大約2.2Aであるので、3つの太陽電池ストリングST201,ST202,ST203それぞれの電流も、最大約2.2Aである。なお、集約ケーブル201の電流は、最大約6.6Aとなる。本変形例は、電流測定装置50で、ストリングケーブル201a,201b,201c,211a,211b,211c,221a,221b,221cの電流値を測定し、太陽電池ストリングST201,ST202,ST203,ST204,ST205,SR206,ST207,ST208,ST209の個々の異常を診断することができる。診断方法については、前述した方法と同様であるので、説明は省略する。本変形例の太陽電池ストリング用電流測定システム200においても、前述の太陽電池ストリング用電流測定システム100と同様に顕著な効果を奏することができる。
1 電流センサ
2 フラックスゲートセンサ素子
2a 磁気コア
2b 第1の磁気コア
2c 第2の磁気コア
3 励磁回路
3a 発振器
4 検出回路
5 帰還回路
50 電流測定装置
51 接続ケーブル
52 照度センサ
53 装置本体
53a 表示部
53b 操作部
53c メモリカードスロット部
100,200 太陽電池ストリング用電流測定システム
101,201a,201b,201c,211a,211b,211c,221a,221b、221c ストリングケーブル
102 接続箱
103 開閉器
104 主開閉器
105 太陽電池モジュール
106,206 太陽電池アレイ
107,207 太陽電池セル
108 ブロッキング・ダイオード
109 ヒューズ
201,211,221 集約ケーブル
205a,205b,205c 太陽電池サブアレイ
A1 増幅器
C1,C2,C3,C4 コンデンサ
L1,L2 コイル
R1,R2,R3,R4,R5 抵抗
D1,D2 ダイオード
out1 出力端子
ST1,ST2,ST3,ST201,ST202,ST203,ST204,ST205,ST206,ST207,ST208,ST209 太陽電池ストリング
W 被測定電線
wf1,wf2,wf3 波形

Claims (6)

  1. 一列の太陽電池ストリングの電流を測定する電流センサであって、
    高透磁率軟磁性材質でギャップレスに形成された閉磁路磁気コアと、該閉磁路磁気コアに巻回された一つのコイルを有し、前記太陽電池ストリングの電流によって生じる磁界の変化を検出するフラックスゲートセンサ素子と、
    前記一つのコイルの一端に接続され、該コイルに励磁電流を流して前記閉路磁気コアを励磁する励磁回路と、
    前記一つのコイルの他端に直列に接続され、前記閉磁路磁気コアの出力信号を検出する信号検出回路と、
    前記一つのコイルの一端と他端とに接続され、前記信号検出回路が検出した検出結果を、前記磁界の変化を打ち消すように前記閉磁路磁気コアにフィードバックする帰還回路と、を備え、
    前記一つのコイルは、前記励磁回路、前記信号検出回路、前記帰還回路の一部として機能する構成にされ、
    前記信号検出回路は、前記一つのコイルに直列に接続されたインピーダンス素子を備えており、該インピーダンス素子は、抵抗で形成され、
    前記励磁回路は、発振回路と、該発振回路と前記一つのコイルの一端に直列に接続されたコンデンサと、前記一つのコイルとを備えており、前記コンデンサと前記一つのコイルとで構成される直列共振回路の共振周波数を有する信号は、前記発振回路から供給されるように構成されている
    ことを特徴とする電流センサ。
  2. 前記閉磁路磁気コアが、二つに分割可能な第1の磁気コアと第2の磁気コアとから形成されており、
    前記第1の磁気コア、又は、前記第2の磁気コアの少なくともいずれか一方に前記一つのコイルが巻回され、
    前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとが連結されて、前記ギャップレスに形成された閉磁路磁気コアを構成している
    ことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の電流センサと、照度センサと、測定装置本体と、前記電流センサ及び前記照度センサを前記測定装置本体と接続する接続ケーブルとを備えた電流測定装置であって、
    前記電流センサは複数設けられており、
    該複数の電流センサで、複数の太陽電池ストリングの電流を同時に測定可能に構成されている
    ことを特徴とする電流測定装置。
  4. 請求項3に記載の電流測定装置と、複数の太陽電池ストリングと、該複数の太陽電池ストリングの電流ケーブルが集約される手段とを備えた太陽電池ストリング用電流測定システムであって、
    前記太陽電池ストリングは、複数の太陽電池モジュールが直列に接続されており、
    前記電流測定装置が有する前記電流センサが、前記太陽電池ストリングの電流ケーブル毎に装着されている
    ことを特徴とする太陽電池ストリング用電流測定システム。
  5. 請求項4に記載の太陽電池ストリング用電流測定システムを用いて太陽電池ストリングの異常を検出する太陽電池ストリング電流異常検出方法であって、
    前記複数の太陽電池ストリングの電流値を同時に、かつ、時系列に測定する第1のステップと、
    該測定した前記各電流値の第n番目の電流値と第n+1番目の電流値との差分値を算出し、該差分値を積算する第2のステップと、
    第1番目から第n+1番目までの前記積算値に基づいて、一次近似式を求め、該一次近似式の傾き値を算出する第3のステップと、
    前記第1のステップ〜前記第3のステップを、全ての太陽電池ストリングの電流について実行し、各太陽電池ストリングに対応した前記傾き値を算出する第4のステップと、
    該第4のステップで算出した全ての前記傾き値を基準値と比較し、該基準値に対し所定範囲外の値を示す前記傾き値に対応する前記太陽電池ストリングを異常のある太陽電池ストリングとして検出する第5のステップと
    を備えたことを特徴とする太陽電池ストリング電流異常検出方法。
  6. 前記基準値は、前記第4のステップにおいて算出した全てのストリングの一次近似式の傾きのうち、一番小さい値に所定係数を乗じたものである
    ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池ストリング電流異常検出方法。
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