JP6869518B2 - スルホン化セルロースナノファイバーを含むハイドロゲル - Google Patents

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Description

本発明は生分解性のハイドロゲルに関し、詳細にはスルホン化セルロースナノファイバーと第一級アミノ基を有する生分解性ポリマーを含む、インジェクタブルなハイドロゲルに関する。
カテーテル治療は、低侵襲な治療法として脳動脈瘤治療など広く医療現場で用いられている。脳動脈瘤は、脳の血管の一部が膨らんだものであり、破裂するとくも膜下出血を引き起こす疾患である。現在、カテーテルを用いて塞栓物質で動脈瘤を閉鎖する治療法が普及しており、開頭する必要のない低侵襲な治療法として重要となっている。
塞栓物質としては、これまでにコイルが広く用いられてきており、ポリグリコール酸・乳酸共重合体をコートしたMatrix2 coils(Stryker,ΜSA)や非分解性高分子をコートしたHydrocoil embolic system(Microvention/Terumo,Japan)などが使用されている。しかしながら、操作中に動脈瘤を破裂させてしまう危険性や低い充填率、充填後の内皮化が不十分であること、非分解性であることなどに課題があった。また液体塞栓物質は、動脈瘤の中を完全に充填させることができる一方、シアノアクリレート(NBCA)やエチレンビニルアルコール(EVOH)コポリマー(Onyx,Covidien)などの非分解性の高分子を用いるため、高い細胞毒性及びそれらの漏出による他臓器での塞栓が起きるリスクがある。そのため、カテーテル等によってデリバリーが可能な、インジェクタブルな塞栓物質の開発が求められている。
インジェクタブルな塞栓物質として、ポリマーにセルロースナノクリスタル又はウィスカーを添加して弾性率を高めたハイドロゲルが提案されている。例えば、アジピン酸ジヒドラジド等で修飾されたヒアルロン酸とアルデヒド化セルロースナノファイバーを含むハイドロゲル(非特許文献1)、カルボキシルメチルセルロースとデキストランとアルデヒド化セルロースナノファイバーを含むハイドロゲル(非特許文献2)、ゼラチンとアルデヒド化セルロースナノウィスカーを含むハイドロゲル(非特許文献3)等が提案されている。
Rui M.A.Dominguesら,Bioconjugate Chem.2015,26,1571−1581 Xuan Yangら、Biomacromoleules,2013,14,4447−4455 Rajalaxmi Dashら、Carbohydrate Polymers 91,2,16 January 2013,638−645
上記セルロースナノクリスタル又はウィスカーを含むハイドロゲルは、ダブルバレルシリンジを用いてナノクリスタル又はウィスカーと、ヒアルロン酸等を別々に注入しなければならず、コイルや液体塞栓物質等の単一物のデリバリーに比べて煩瑣である。これは、ナノクリスタル又はウィスカーとヒアルロン酸等は、混合されると直ちに化学反応して共有結合からなる架橋構造を形成してゲル化してしまい、デリバリーができなくなるか、大きな力を要し、無理に注入しようとするとゲル構造を損傷し得るからである。また、該架橋構造によりゲル内のポアサイズが制限され、物質透過を阻害する場合がある。
そこで、本発明はカテーテル等で、より容易にデリバリーすることができ、物質透過性に優れるインジェクタブルハイドロゲルを提供することを目的とする。
即ち、本発明は下記のものである:
スルホン基を0.1〜7ミリモル/gで備えるスルホン化セルロースのナノファイバーと、ゼラチン、キトサン、コラーゲン、アルブミン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン及びその誘導体からなる群より選ばれる、第一級アミノ基を有する生分解性ポリマーの少なくとも一種を、重量比1:99〜70:30で含むハイドロゲル。
本発明のハイドロゲルはチキソトロピー性を有し、剪断力下で粘度が低下するので、ダブルバレルシリンジを用いずともデリバリーすることができる。また、架橋構造の少なくとも一部に、スルホン基を介した静電的な結合等の、応力により可逆的にゾルに戻る緩い結合を備え、共有結合のみによって緻密に架橋されたハイドロゲルに比べて、ポアサイズが大きく物質透過性に優れる。更に、セルロースナノファイバーが生分解性であるので、ハイドロゲルも生分解性である。加えて該ハイドロゲルは高い細胞接着性を有し、生体適合性及び親和性に優れる。
図1は、アルデヒド化セルロースのX線回折チャート(左)と結晶化度を示すグラフ(右)である。 図2は、ピロ亜硫酸ナトリウムの仕込み量と得られたスルホン化セルロースのナノファイバーのスルホン基量の関係を示すグラフである。 図3は、スルホン化セルロースのナノファイバーの電子顕微鏡写真である。 図4は、生分解性試験におけるスルホン化セルロースのナノファイバーの重量減少(%)を示すグラフである。 図5は、スルホン化セルロースのナノファイバーとゼラチン溶液を混合して得られた本発明のハイドロゲルの写真である。 図6は、ハイドロゲルの断面の電子顕微鏡写真である。 図7は、ハイドロゲルのせん断弾性率の温度による変化を示すグラフである。 図8は、スルホン化セルロースのナノファイバー及びゼラチンの濃度とせん断弾性率の関係を示すグラフである。 図9は、ゼラチン溶液のpHとハイドロゲルのせん断弾性率の関係を示すグラフである。 図10は、ハイドロゲルのチキソトロピー性を示すグラフである。 図11は、スルホン化セルロースのナノファイバーに代えて、ペンタエリスリトール−ポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジル グルタレートでゼラチンを架橋して得られるPEGゲルの粘弾性試験の結果を示すグラフである。 図12は、ハイドロゲルと、PEGゲルの透過性を比較して示すグラフである。 図13は、スルホン化セルロースのナノファイバーを含む培地で培養した細胞の電子顕微鏡写真(上段)と、細胞数を示すグラフ(下段)である。 図14は、スルホン化セルロースのナノファイバーを含む培地で培養した細胞の位相差顕微鏡写真(左)と、スルホン化セルロースのナノファイバーの濃度に対する細胞のアスペクト比を示すグラフ(右)である。 図15は、本発明のハイドロゲル表面に接着した細胞(左:内皮細胞、右:繊維芽細胞)の位相差顕微鏡写真である。 図16は、本発明のハイドロゲルに内包された線維芽細胞の位相差顕微鏡写真である。 図17は、ハイドロゲルに含まれるsCNFの単位重量当たりのスルホン基の量(mmol/g)と、アルブミンの吸着量との関係を表すグラフである。 図18は、埋植から14日後のハイドロゲルを埋植していない組織(コントロール)とハイドロゲルを埋植した組織の組織切片のヘマトキシリン・エオシン(HE)染色の画像である。 図19は、各ハイドロゲルを埋植してから各日数後のHE染色画像である。 図20は、ハイドロゲル内に浸潤した細胞の分布を定量してプロットしたグラフである。0は組織とハイドロゲルの境界、1はゲルの中央部分を表している。 図21は、各ハイドロゲルに浸潤した細胞の深さを定量してプロットしたグラフである。 図22は、埋植から14日後のビメンチン抗体及びCD31抗体を用いた免疫染色画像である。 図23は、埋植から14日後のビメンチン抗体及びCD31抗体を用いた免疫染色画像である。 図24は、ビメンチン染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。 図25は、CD31染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。 図26は、CD31染色画像から管腔構造の数を定量した結果である。 図27は、埋植から14日後のCD163抗体及びCD68抗体を用いた免疫染色画像である。 図28は、CD163染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。 図29は、CD68染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。 図30は、CD163染色画像から得られた陽性細胞の面積とCD68染色画像から得られた陽性細胞の面積の比を表したものである。
<スルホン化セルロースのナノファイバー>
スルホン化セルロースは、下記式(1)に示すグルコース単位の3位と4位の間が開環されて、スルホン化された構造を含むセルロースである。
Figure 0006869518
上式は、水中等においてスルホン基(−SOH)が解離された状態を示し、対カチオンはNaに限定されずプロトン、K等であってよい。
スルホン化セルロースは、例えばHenrikki Liimatainenら,Cellulose(2013)20:741-749に記載された下記式に示す経路で合成することができる。
Figure 0006869518
先ず、原料セルロースを水に分散させる。該分散液に、セルロース中のグルコース単位の量(k)を100モル%としたときに50〜200モル%の過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を添加し、遮光しながら、40〜60℃で2〜6時間撹拌することによって、アルデヒド化セルロースを生成する。減圧濾過によって未反応物を含む水溶液を除去し、超純水で洗浄する操作を数回繰り返した後に凍結乾燥することで、アルデヒド化セルロースの乾燥粉末を得る。上記式において、kの初期値を100モル%としたときに、mは1〜80モル%、好ましくは10〜50モル%である。mが前記下限値未満では生分解性を確保することが難しい。一方、mが前記上限値を超えると加水分解し易くなり、ナノファイバーの調製が困難になる。アルデヒド基の量は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた導電率測定による中和滴定により求めることができ、0.5〜8ミリモル/g、好ましくは1〜7ミリモル/g、より好ましくは1〜5ミリモル/gである。
原料セルロースとしては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、綿系パルプ等の植物、動物等から得られたセルロース、これらを用いた紙、古紙等を用いることができる。
次いで、アルデヒド化セルロースを超純水に分散させ、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na)を、アルデヒド基量を100モル%として20〜200モル%、好ましくは50〜150モル%で添加して、室温で12〜24時間、撹拌しながら反応させる。生成物を遠心分離により回収し、超純水等で洗浄して未反応物を除去して精製した後、超音波ホモジナイザーによって10〜30分間程度ホモジナイズすることによって、スルホン化セルロースのナノファイバー(「sCNF」と略す場合がある)を得ることができる。収率は、約80〜90%である。
図3は実施例で調製したsCNFの電子顕微鏡写真である。sCNFは電子顕微鏡で観察される繊維の直径が数nm〜100nmであり、好ましくは3〜20nmである。アスペクト比(繊維長/繊維径)については、約30〜1000である。
sCNFは生分解性である。本発明において「生分解性」は37℃のpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、sCNFの重量が1日で1%以上減少したことにより確認した。この生分解性は、原料セルロースのグルコース単位の量(k)の初期値を100モル%としたとき、m+n、即ち開環された単位が、少なくとも1モル%、好ましくは10〜50モル%であることによるものと考えられる。また、sCNFは開環単位を有することによって、X線回折測定による結晶化度が20〜70%であり、90%程度の結晶化度を有する原料セルロースに比べて低い。
スルホン化セルロースのナノファイバーはスルホン基を0.1〜7ミリモル/gで備える。スルホン基の量は水酸化ナトリウム水溶液を用いた導電率測定による中和滴定により求めることができる。スルホン基が前記下限値未満のセルロースでは、ファイバー間の静電的な反発が弱いためか、ナノファイバーを形成し難い。スルホン基の上限については特に限定はないが、実際上、上記値より多いものを調製するのは困難である。好ましくは、ナノファイバーが遠心分離で容易に回収できる点で、sCNFはスルホン基量が0.1〜2.5ミリモル/g、より好ましくは0.1〜2ミリモル/gである。すなわち、sCNFは下記式(2)で表されるものが好ましく使用される。
Figure 0006869518
式(2)中、k、m、及び、nは、各繰り返し単位のモル%を表し、特に制限されないが、kは25〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましい。mは4〜70モル%が好ましく、7〜60モル%がより好ましい。nは1〜70モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
なお、sCNFは、上記以外の繰り返し単位を有していてもよい。上記以外の繰り返し単位としては特に制限されないが、例えば、以下に掲げる繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0006869518
<第一級アミノ基を有する生分解性ポリマー>
第一級アミノ基を有する生分解性ポリマー(以下「生分解性ポリマー」と略する)は、ヒトの体内又は体表面において、加水分解、酵素分解、微生物分解等により分解可能なポリマーであり、第一級アミノ基を有するものである。但し、第一級アミノ基に加えて、スルホン基と反応し得る第二アミノ基、第三級アミノ基があってもよいことはいうまでもない。このような好ましい生分解性ポリマーの例としては、キトサン等の多糖類、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ラミニン等のポリペプチド、フィブロネクチン等の糖タンパク、エラスチン等の繊維類、及びこれらの誘導体が包含され、これらの遺伝子組み換え体であってもよい。これらのうち、ポリペプチドが好ましく、中でもゼラチン又はその誘導体が最も好ましい。
ゼラチンは動物由来でも魚由来でもよい。また、ゼラチンは酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、又は、遺伝子組み換えゼラチンのいずれであってもよく、好ましくはアルカリ処理ゼラチンであり、より好ましくは低エンドトキシン化ゼラチンである。また、該ゼラチンの分子量の範囲は、重量平均分子量(Mw)が30,000〜150,000が好ましく、50,000〜120,000であることがより好ましい。該分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により定法に従い測定することができる。
ゼラチン誘導体としては、下記式(3)で示される構造を含むものを用いることができる。

GltnNH−CHR (3)

上式において、「Gltn」はゼラチン残基であり、Rは炭素数1〜11のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11のアルキル基である。Nは、ゼラチン中の主としてリジン(Lys)のε−アミノ基由来である。好ましくは、Rが水素原子である。該誘導体は、アルキル基を有するので、組織への接着性に優れ、足場材料としても好適である。
が炭素数1〜5のアルキル基である場合、Rと同じでも互いに異なっていてもよい。該アルキル基は、分岐を有していてもよい。該アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。好ましくは、Rが炭素数1〜3の直鎖アルキル基であり、Rが水素原子である。
該ゼラチン誘導体中の誘導化率は、疎水性基が結合されたイミノ基の、原料ゼラチン中のアミノ基量に対するモル%で、20〜80モル%、好ましくは30〜70モル%である。言い換えれば、得られたゼラチン誘導体におけるイミノ基/アミノ基(モル比)は、20/80〜80/20であり、好ましくは30/70〜70/30である。
該ゼラチン誘導体は、ゼラチン水溶液に、アルデヒドもしくはケトン、例えばドデカナール、テトラデカナール、デシルエチルケトンを添加し、30〜80℃、0.5〜12時間、撹拌してシッフ塩基を形成した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBHCN)、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))、2−ピコリンボラン、ピリジンボラン等を用いて還元することによって調製することができる。
<ハイドロゲル>
ハイドロゲルは、水を含むゲルを意味する。本発明のハイドロゲルは、sCNFと生分解性ポリマーを重量比1:99〜70:30、好ましくは10:90〜40:60、で含む。ここで、重量比は乾燥状態での重量の比である。ハイドロゲル中の水分量は、特に制限されないが、典型的には、該ハイドロゲルの重量の50〜99重量%で適宜調製されることが好ましい。特に、ハイドロゲルをカテーテルでデリバリーする場合、水分量が90〜99重量%であることが好ましい。
本発明の実施形態に係るハイドロゲルは、典型的には、sCNFを0.5〜2.5重量%でpH6〜8の超純水又は緩衝液に分散させた液と、生分解性ポリマーをpH8〜10の緩衝液に、1〜30重量%で溶解した溶液を、30〜40C程度に加温しながら、ミキサー等の公知の撹拌手段によって、上記の重量比範囲となる量比で混合することで調製することができる。混合直後から粘度が上昇してゲル化反応が始まる。但し、後述する実施例で示す通り、ゲル化が平衡に達して、弾性率が最高値に達するには時間がかかる場合があり、その溶液のpHに依存することが見出された。この傾向は生分解性ポリマーがゼラチンの場合に顕著である。
例えば、手術等において、短時間で硬い塞栓を形成したい場合には、ゼラチン水溶液のpHを9〜10にすることが好ましい。
ハイドロゲルは、既に述べた生分解性に加えて、チキソトロピー性を有することを特徴とする。これは、本発明を限定する趣旨ではないが、sCNFと生分解性ポリマーが、少なくとも部分的に、例えば静電相互作用、水素結合等の弱い物理的な相互作用に基づくネットワーク構造を形成していることによるものと考えられる。また、ナノクリスタルやウィスカーに比べてアスクペクト比が高いナノファイバーを使用していることも寄与していると考えられる。該ハイドロゲルは剪断力を与えることによって粘度が下がるので、カテーテル、注射器等によるインジェクションに好適である。
本発明のハイドロゲルの他の特徴として、ゲルの内部構造が挙げられる。ナノファイバーというコロイドからなる本発明のハイドロゲルはコロイドゲルとして考えることができ、一般的に用いられる分子同士が架橋してできる分子ゲルとはその構造が大きく異なる。分子ゲルの場合ポアサイズが5nm程度であるのに対し、コロイドゲルは数十nmのポアを有していると考えられる。そのため、物質透過性が高く、栄養や増殖因子をより透過させることが期待される。
<添加剤等>
本発明のハイドロゲルにデリバリーしたい各種薬剤、タンパク質等を配合し、これらの局所デリバリー担体、又は徐放性デリバリー担体として使用してもよい。薬剤としては、例えばステロイド等の抗炎症薬、抗血栓薬、抗生物質、線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、肝細胞増殖因子等の成長因子が挙げられる。
<用途>
本発明のハイドロゲルは、医療用インジェクタブルハイドロゲルとして好適に使用される。例えば、脳動脈瘤治療、冠動脈塞栓療法、心筋梗塞治療に用いることができる。心筋梗塞は、血管の閉塞によって心筋組織が壊死する不可逆的な病態であり、梗塞後には心機能の低下や不整脈によって心不全に陥る可能性がある。生体活性を付与したハイドロゲルを足場として梗塞部位に注入することで、心室壁を厚く保ち、ネクローシスや炎症反応、心筋リモデリングを抑制するとともに、周囲からの細胞浸潤を誘導し、新生血管を形成させることで、組織の再生を促進させることができると期待される。更には、細胞や機能性タンパク質を内包してデリバリーすることで、膵島デリバリー治療や増殖因子のデリバリーなどの適用も期待される。その他、本発明のハイドロゲルを、ハイドロキシアパタイトやリン酸カルシウムなどの人工骨に混合することでインジェクタブルな人工骨として、創傷被覆材として、また生体組織用の接着剤としての用途も考えられる。
本発明のハイドロゲルは、ハイドロゲルの形態として供してもよいが、スルホン化セルロースのナノファイバーを含む第1剤と、生分解性ポリマーを含む第2剤からなる2剤型の形態で供されてよい。例えば、第1剤がスルホン化セルロースのナノファイバーの分散液であり、第2剤が生分解性ポリマーの水溶液であり、これらを施術の際に混合してインジェクトし、又は、ダブルバレルシリンジによりインジェクトしてもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<スルホン化セルロースナノファイバー(sCNF)の調製>
非特許文献1を参考にして、表1に示すスルホン化セルロース1〜8を合成し、スルホン化セルロースナノファイバー(sCNF1〜8)を得た。
第一段階として、セルロースを原料としてアルデヒド化セルロースを作製した。1gのろ紙粉末(ADVANTEC、メッシュ:40−100、繊維長:150−400μm)を撹拌子で撹拌しながら100mLの超純水に分散させた。得られた分散物に、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)をセルロース中のグルコース単位のモル数に対して0.5〜2当量の割合で、それぞれ添加した。遮光しながら、オイルバス中50Cで4時間撹拌することによって、グルコース単位中の3位と4位の間で開環することによって、アルデヒド化セルロースを調製した。反応物を減圧濾過することによって未反応物を含む水溶液を除去し、超純水で洗浄した。この操作を3回繰り返すことで洗浄を行い、最後に凍結乾燥することで、アルデヒド化セルロースの乾燥粉末を得た。生成されたアルデヒド基量を、中和滴定法によって定量した。
続いて、スルホン化処理によってスルホン化セルロースナノファイバーを合成した。上記のようにして得られた1gのアルデヒド化セルロースを100mLの超純水に分散させ、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na)をアルデヒド基に対して、0.05〜2.5当量の割合で、それぞれ添加した。撹拌しながら室温で12〜24時間反応させ、スルホン化処理を行った。得られた生成物を、4000rpm、30分の遠心分離によって回収し、超純水によって洗浄した。この操作を3回行うことで、未反応物を除去し精製した。最後に、超音波ホモジナイザー(150W、40kHz、60%パワー、BRANSON)によって10〜30分間ホモジナイズすることでスルホン化セルロースナノファイバーを得た。
各アルデヒド化セルロースのグルコース単位の開環割合、アルデヒド基量を、滴定法により測定した。結果を表1に示す。同表から分かるように、グルコース単位に対する過ヨウ素酸ナトリウムの仕込み量を0.5〜2当量まで変化させることで、開環するグルコース単位及びそれによって生成するアルデヒド基の量を制御することができる。
Figure 0006869518
<X線回折測定>
過ヨウ素酸ナトリウムを用いた開環反応によって、セルロースの結晶性がどのように変化するかを評価するため、X線回折測定(XRD)を行った(図1、左図)。XRD測定の結果より、グルコース単位の開環割合の増大に伴ってセルロース由来のピーク(14.6、16.5、22.8)が減少しており、結晶性が低下することが示された。アモルファス構造由来の18のピークと22.8の比から結晶化度を算出したところ、もともと90%であった結晶化度が開環反応に伴って徐々に減少し、グルコース単位の7%を開環したsCNF1では83%の結晶化度、30%を開環したsCNF2では70%の結晶化度、40%を開環したsCNF3では68%の結晶化度であった(図1、右図)。開環割合が62%のsCNF4では23%まで結晶化度が減少しており、分解性が向上していることが予測される。このように、開環反応を制御することで、セルロースの結晶性及び分解性が制御できることが示された。
<ピロ亜硫酸ナトリウム量とスルホン基量の関係>
各スルホン化セルロースナノファイバーを超音波ホモジナイザーで処理した後、スルホン基量を滴定法により測定した(表1)。ピロ亜硫酸ナトリウムの量がアルデヒド基に対して、それぞれ、0.05〜0.5当量であったときのスルホン化セルロースナノファイバーのスルホン基量を図2に示す。同図から分かるように、開環割合とアルデヒド基量が同じであってもピロ亜硫酸ナトリウムの量を変化させることでセルロースナノファイバー中のスルホン基量を制御することができた。
<電子顕微鏡観察>
ピロ亜硫酸ナトリウムがアルデヒド基の50モル%のsCNF3、及び150モル%仕込みのスルホン化セルロースナノファイバーは、超音波処理によって機械的に細断することで図3の電子顕微鏡写真に示すようなsCNFを調製することができた。
<生分解性>
sCNFの生分解性を、グルコース単位の開環割合が7%のsCNF1及び62%のsCNF4を用いて、37℃において調べた。各sCNF100mgを、5mLのPBS(pH=7.4)に分散し、24時間ごとに不溶解性物の重量を測って、重量減少を測定した。比較として、原料セルロース(ろ紙粉末、ADVANTEC社)を用いた。図4に結果を示す。sCNF1は1日で約5%、sCNF4は約15%減少した。このように生分解性は、グルコース単位の開環割合に依存するので、他のsCNFはsCNF1と4の間の値となると予測される。これに対して、原料セルロースは1日ではほとんど重量が減少しなかった。
<ハイドロゲルの調製>
各sCNFとゼラチンからなるハイドロゲル(sCNFゲル)を合成した。2.5重量%のsCNF3の分散液(超純水、pH=7)と37Cに加温した20重量%のブタ皮アルカリ処理ゼラチン(新田ゼラチン社)溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=8.5)を、ボルテックスミキサーを用いて、素早く等量混合することでsCNFゲル3を調製した。混合した瞬間からゲル化反応が始まり、数分以内には図5の写真に示すようにゲル化した。同様にして、sCNF1、2、4、7についてもsCNFゲルを得た。得られたsCNFゲル3を凍結乾燥して液体窒素に浸漬後粉砕して、ゲルの断面を電子顕微鏡で観察した。図6に電子顕微鏡写真を示す。同図から、sCNFゲルが約10〜80μm径の孔を有することが分かる。図6において、高倍率の写真(左)は、孔の壁部分の拡大である。
<粘弾性評価>
得られたハイドロゲルの力学特性を評価するために、粘弾性測定装置(Rheoplus、アントンパール社)を用いてsCNFゲルの粘弾性評価を行った(図7)。5重量%のsCNF3の分散液(超純水、pH=7)と37Cに加温した20重量%のブタ皮アルカリ処理ゼラチン溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=8.5)を50μLずつ素早く混合して得られた溶液100μLを粘弾性測定装置のステージにのせ、直径10mmの円盤状の治具で固定し、10Cから測定を開始し、1分に1Cずつ昇温しながら50Cまで測定を行った。測定時の周波数は1Hz、ひずみは1%で実験を行った。ゼラチンは30C付近に相転移温度(ゲル化温度)を有しているため、低温ではゲル、30C以上では溶解し液状となる。これは温度上昇によって水素結合が開裂するためである。一方で、sCNFゲル3においては、30C以上でも相転移は起こらず、生体組織の温度である37Cにおいても1kPaという高いせん断弾性率を示しており、ゼラチンのみの場合と比較して1000倍増加した。これは、sCNF3とゼラチンとの間で相互作用が働くことで、ネットワーク構造が形成されたためであると考えられる。このことより、sCNFとゼラチンを組み合わせることで、ゲル化が起こり、37Cでも高い弾性率を有するゲルが作製できることが分かった。
<sCNFとゼラチンの濃度の影響>
sCNFゲルの作製条件と力学特性の関係を明らかにするために、sCNF及びゼラチンの濃度の影響を調べた。0.5〜2.5重量%のsCNF3の溶液(超純水、pH=7)と、1〜30重量%のゼラチン各溶液を50μLずつ素早く混合して得られた溶液100μLを粘弾測定装置のステージにのせ、直径10mmの円盤状の治具で固定し、37Cにおける粘弾性特性を評価した(図8)。測定時の周波数は1Hz、ひずみは1%で実験を行った。図8に示すように、sCNF及びゼラチンの濃度を増加させるとせん断弾性率が増加した。sCNF及びゼラチンそれぞれの濃度を調整することで、数Paから1000Paまで幅広く力学特性を変化させることができた。
<ゼラチン溶液のpHの影響>
sCNF3の2.5重量%溶液(超純水、pH=7)と、20重量%のゼラチン溶液のpHを8〜10に変えて、ゲル化速度への影響を調べた(図9)。pH=8では5分でゲル化するものの、ハイドロゲルのせん断弾性率が平衡に達するまでに6時間必要とした。一方pH=9及びpH=10のゼラチン溶液を用いると即座にゲル化し、10分以内にせん断弾性率が1kPaに達した。
<ハイドロゲルの粘弾性試験>
2.5重量%のsCNF3の溶液(超純水、pH=7)と、20重量%のゼラチン溶液を50μLずつ素早く混合して得られた溶液100μLを粘弾測定装置のステージにのせ、直径10mmの円盤状の治具で固定し、37Cで5分ごとにひずみを1%と1000%へ変化させることでチキソトロピー性を評価した。1000%ひずみによってゲルがいったんは破壊され弾性率が低下したが、1%のひずみに戻すと、再び弾性率が回復していた(図10)。これは、本発明のハイドロゲルの結合様式が可逆的なものであることを示す。これに対して比較対象として、末端N‐ヒドロキシスクシンイミドで修飾されたカルボキシル基を有する4分岐ポリエチレングリコール(ペンタエリスリトール−ポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジル グルタレート、Mw=20,000)でゼラチンを架橋したゲル(以下「PEG−G」又は「PEGゲル」という)で同様の実験を行った(図11)。その結果、3サイクル後には、貯蔵弾性率が元の20%程度まで低下していた。一方で、本発明のハイドロゲル(sCNF−G)は3サイクル後も貯蔵弾性率が元の値まで回復しており、チキソトロピー性を有していることが示された。
<透過性試験>
高い分子量を有するフルオロセイン(FITC)で蛍光ラベル化されたデキストラン(Mw=2,000,000Da)を用いて、ゲルの透過性試験を行った(図12)。2.5重量%のsCNF3の分散液(超純水、pH=7)と37Cに加温した20重量%のブタ皮アルカリ処理ゼラチン溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=8.5)を素早く50μLずつ混合して得られた溶液100μLを24ウェルトランスウェルインサート(コーニング社)内に添加し、1日ゲル化させた後、超純水2mLを加えて1日かけて膨潤させた。比較として上記PEG−Gを同様に処理した。その後、1mg/mLのFITC−デキストラン(Mw=2,000,000Da,流体力学半径〜50nm)を200μL添加し、プレート側には1mLのPBSを添加した。所定時間ごとに50μLの溶液をインサート下側から取り出し、50μLのPBSを補充した。得られた溶液の蛍光強度を、マイクロプレートリーダーを用いて測定し、検量線から透過率を評価した。その結果、分子ゲル(PEG−G)と比較して、sCNFゲル3は50nmという巨大な分子をより透過させることが明らかとなった。また、速度定数は、sCNFゲルが6.4×10−5−1、PEG−Gが1.6×10−5−1となっており、約4倍透過性に優れることが示された。
<sCNFが細胞機能に与える影響>
sCNFを細胞培養液中に分散させ、培養細胞に与えることで、細胞機能に与える影響をin vitro試験で評価した。L929マウス線維芽細胞(理研)は、RPMI1640培地(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリンストレプトマイシン)を用いて37C、5%COのインキュベーターで培養した。5×10個のL929細胞を96ウェルプレートに播種し、24時間培養した。その後、sCNF3を12.5μg/mLの濃度で懸濁した培地をL929細胞に添加し、培養を継続した。sCNFを添加した日を0日目として、1、2、3日後に細胞数カウンティングキット(WST−8、DOJINDO)を用いて細胞数を定量し、3日後のサンプルに関しては、固定と脱水処理を行った後に、SEM観察を行った(図13上段)。sCNFは基板上に集積してフィルムのような構造を形成しており、細胞の足場として接着に関与していることが示唆された。
細胞数については、sCNFを添加した細胞は未添加のサンプルと同様に増殖しており、有意な差はみられなかった(図13下段)。
一方で、細胞の形態を位相差顕微鏡で観察すると、sCNFの濃度依存的な細胞の伸展が観察された(図14左、×40)。この画像観察から、細胞の長軸と短軸の長さの比(アスペクト比)を算出し比較すると、sCNF50μg/mL以上の濃度で、未添加と比較して優位に細胞伸展が促進されていた(図14右、×40)。これは、sCNF上のスルホン基が培地中のたんぱく質(フィブロネクチンなど)を吸着し、細胞の足場としてのマトリックスを培養中に構築したためであると考えられる。このように、本発明のハイドロゲルは、再生医療に適用することも期待される。
<ハイドロゲルへの細胞接着試験>
2.5重量%のsCNF3の分散液(超純水、pH=7)と37Cに加温した20重量%のブタ皮アルカリ処理ゼラチン溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=8.5)を100μLずつ素早く混合して得られた溶液200μLを48ウェルプレートに添加し、1日ゲル化させた後、超純水2mLを加えて1日かけて膨潤させた。得られたゲルを1時間のUV照射によって滅菌処理した。1x10個のヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC、Lonza社)又は2x10個のヒト皮膚由来線維芽細胞(NHDF、Lonza社)をゲル上に播種し、HUVECはEGM−2培地で、NHDFはFGM培地(Lonza社)で、それぞれ、37C、5%COのインキュベーターで24時間培養した。その後、位相差顕微鏡によって観察を行った(図15、×40)。どちらの細胞もゲル表面に良好な接着・伸展が確認された。本発明のハイドロゲルは高い細胞接着性と親和性を有していることが示された。
<ハイドロゲルへの細胞の内包実験>
37Cに加温した20重量%のブタ皮アルカリ処理ゼラチン溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=8)に1x10個のNHDFを混合したものと、2.5重量%のsCNF3の分散液(超純水、pH=7)を素早く100μLずつ混合して得られた溶液200μLを48ウェルプレートに添加し、ゲル化させた。3分間静置後に、FGM培地を1mL添加し37C、5%COのインキュベーターで培養した。その後、位相差顕微鏡によって観察を行った(図16、×40)。ゲルに内包されたNHDFはゲル内部でも良好な接着及び伸展をしている様子が確認された。本発明のハイドロゲルは、細胞の内包が可能であることから、細胞デリバリーに応用できることが示された。
<ハイドロゲルへのタンパク質吸着実験>
表1に「6」と記載したのと同様の方法により作製し、スルホン基量が0.5mmol/gであるsCNFの2重量%の分散液(超純水、pH=7)と37Cに加温した20重量%のブタ皮アルカリ処理ゼラチン(新田ゼラチン社)溶液(0.1Mホウ酸バッファー、pH=8.5)とを、ボルテックスミキサーを用いて、素早く等量混合し、厚さ1mmのシリコンモールドへ入れ、4℃で24時間インキュベートすることでsCNFハイドロゲルを調製した。上記ハイドロゲルをPBS中で24時間洗浄した後に、10mmのパンチで打ち抜き、1mg/mLのFluorescein isocyanateでラベル化されたウシ血清アルブミン溶液に浸漬し、24時間37℃でインキュベートした。次に、PBSで3回洗浄後、100μg/mLのコラゲナーゼ溶液でゲルを溶解し、96ウェルプレートに移し、蛍光強度をマイクロプレートリーダーで測定した。ハイドロゲルに吸着したアルブミンの量は検量線から算出した。
また、上記sCNFに代えて、表1に「7」と記載したのと同様の方法で作製し、スルホン基量が1.2mmol/gであるsCNF、表1に「8」と記載したのと同様の方法で作製し、スルホン基量が1.7mmol/gであるsCNFを用いて上記と同様の試験を行った。結果を図17に示した。
図17に示した結果から、ハイドロゲルに含まれるsCNFの単位重量当たりのスルホン基の量(mmol/g)が増加するにつれて、アルブミンの吸着量が増加した。
これは負に帯電したスルホン基とアルブミン中の正に帯電した部分が静電相互作用したためであると考えられる。このことから、本発明の実施形態に係るハイドロゲルは体内のサイトカインや増殖因子を吸着することで体内で機能を発現すると期待される。
より詳細には、ハイドロゲルに含まれるsCNFのスルホン基量が、0.4mmol/g以上であると、ハイドロゲルは優れたアルブミン吸着性能を有し、スルホン基量が0.5mmol/gを超えると、ハイドロゲルはより優れたタンパク質吸着性能を有し、スルホン基量が1.0mmol/g以上であると、ハイドロゲルは更に優れたタンパク質吸着性能を有し、スルホン基量が1.0mmol/gを超えると、ハイドロゲルは特に優れたタンパク質吸着性能を有し、スルホン基量が1.7mmol/g以上であると、ハイドロゲルは最も優れたタンパク質吸着性能を有する。
<ハイドロゲルのラット皮下への埋植試験>
本実験は、物質・材料研究機構の動物実験安全委員会に承認された実験計画に基づいて行われた。マウス(C57BL/6J、メス、6−8週齢)を2.5%イソフルランによる吸入麻酔下で、背部の毛を剃り70%エタノールで消毒した後に、背部皮下に直径5mm厚さ1mmのディスク状のハイドロゲルを埋入した。
なお、上記ハイドロゲルは、2重量%のsCNFと20%ゼラチン(タンパク質吸着実験と同様のもの)とを当量混合することにより作製したものである。なお、sCNFは、表1に「6」、「7」、及び、「8」と記載したのと同様の方法により作製し、スルホン基量がそれぞれ0.5mmol/g、1.2mmol/g、1.7mmol/gであるものを用いた。
表2には、使用したハイドロゲルの「試料名称」と、上記ハイドロゲルに含まれるsCNFの作製方法、スルホン基量をまとめて示した。
Figure 0006869518
上記ハイドロゲルはUV(紫外線)照射によって滅菌した。次に、ハイドロゲルを埋植した日を0日目として、3、7、及び、14日後に、ソムノペンチルを過剰投与し、マウスを屠殺した。その後、周辺組織を取り出し、10%ホルマリンで固定し、組織切片を作製し(材料の中心部分)、染色した。結果を図18〜図21に示した。
図18は、埋植から14日後のハイドロゲルを埋植していない組織(コントロール)とハイドロゲルを埋植した組織の組織切片のヘマトキシリン・エオシン(HE)染色の画像である。なお、図18中、黒色の破線で囲まれた範囲は、埋植したハイドロゲルを示している。なお、図18中のスケールバーは1mmに対応する。
図19は、各ハイドロゲルを埋植してから各日数後のHE染色画像である。なお、図19中、白色の破線はホストの組織とハイドロゲルとの境界を示しており、破線で挟まれた範囲は、ハイドロゲルを示している。また、上記破線で挟まれた範囲において、黒色に見える部分は、ハイドロゲルであり、灰色に見える部分は、浸潤した細胞と細胞が産生した細胞外マトリックス成分である。なお、図19中のスケールバーは、300μmに対応する。
図20は、ハイドロゲル内に浸潤した細胞の分布を定量したものである。0は組織とハイドロゲルの境界、1はゲルの中央部分を表している。
図21は、各ハイドロゲルに浸潤した細胞の深さを定量したものである。
図18〜図21に示すように、埋植から3日後にはどのサンプルにおいても細胞浸潤は見られないが、7日後には浸潤が起きており、特に1.2−sNC、及び、1.7−sNCにおいては、14日後には完全にホストの細胞によって内部まで浸潤が起きていた。
次に、どの細胞が浸潤しているかを調べるため、14日後のサンプルに対してビメンチン及びCD31による免疫染色を行った。結果を、図22〜図26に示した。
図22、及び、図23は、埋植から14日後のビメンチン抗体及びCD31抗体を用いた免疫染色画像である。図中、ビメンチン染色では黒色で見える部分が線維芽細胞、CD31染色では黒色で見える部分が管腔構造を有するものが血管内皮細胞である。なお、図22、及び、図23中のスケールバーは、100μmに対応する。
図24は、ビメンチン染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。
図25は、CD31染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。
図26は、CD31染色画像から管腔構造の数を定量した結果である。
上記のビメンチン染色の結果から、多くの線維芽細胞がゲル内に浸潤していることが明らかとなった。また、1.2−sNC、及び、1.7−sNCにおいては血管の数が他のサンプルと比較して多くなっていた。これらのことより、ハイドロゲルに含まれるsCNFのスルホン基量が、0.7mmol/g以上であると、細胞浸潤と血管新生をより促進することで、組織リモデリングをより誘導しやすいことが示唆された。上記観点からは、sCNFのスルホン基量は1.0mmol/g以上が好ましく、1.2mmol/g以上がより好ましい。
より詳細なメカニズム理解するために、マクロファージの染色を行った。結果を図27〜図30に示した。
図27は、埋植から14日後のCD163抗体及びCD68抗体を用いた免疫染色画像である。なお、図27中のスケールバーは100μmに対応する。
図28は、CD163染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。
図29は、CD68染色画像から陽性細胞の面積を定量した結果である。
図30は、CD163染色画像から得られた陽性細胞の面積とCD68染色画像から得られた陽性細胞の面積の比を表したものである。
マクロファージには炎症に関わるM1型と組織再生に関わるM2型があり、ゲル内におけるM2型マクロファージの数を調べることで、組織再生との関連性が分かると考えた。CD163はM2型のマクロファージのマーカーである。図27〜図30の結果から、ハイドロゲルに含まれるsCNFのスルホン基量が、上記数値範囲であると、明らかにCD163陽性の細胞がより増えており、M2型マクロファージがより多く存在することが分かった。この細胞が組織再生を促す液性因子を産生することで、組織再生がより誘導されたと考えられる。
本発明のハイドロゲルは、生分解性のチキソトロピー性材料であり、インジェクタブルハイドロゲルとして医療用途に大変有用である。

Claims (10)

  1. スルホン基を0.1〜7ミリモル/gで備えるスルホン化セルロースのナノファイバーと、ゼラチン、キトサン、コラーゲン、アルブミン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン及びその誘導体からなる群より選ばれる第一級アミノ基を有する生分解性ポリマーの少なくとも一種を、重量比1:99〜70:30で含むハイドロゲル。
  2. 該第一級アミノ基を有する生分解性ポリマーが、ゼラチン又はその誘導体である、請求項1記載のハイドロゲル。
  3. 該スルホン化セルロースのナノファイバーがスルホン基を0.1〜2ミリモル/gで備える、請求項1又は2記載のハイドロゲル。
  4. 該ゼラチンもしくはその誘導体がアルカリ処理された動物由来もしくは魚由来である、請求項2又は3記載のハイドロゲル。
  5. 該ゼラチンもしくはその誘導体が低エンドトキシン化ゼラチンである、請求項2〜4のいずれか1項記載のハイドロゲル。
  6. 該誘導体が、下記式(3)で示される構造:
    GltnNH−CHR (3)
    (上式において、Gltnはゼラチン残基であり、Rは炭素数1〜11のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜11のアルキル基である)
    を含むゼラチン誘導体である、請求項2〜5のいずれか1項記載のハイドロゲル。
  7. 該スルホン化セルロースのナノファイバーを含む第1剤と、該第一級アミノ基を有する生分解性ポリマーを含む第2剤からなる2剤型の形態で供される請求項1〜6のいずれか1項記載のハイドロゲル。
  8. 該第1剤が該スルホン化セルロースのナノファイバーの分散液であり、該第2剤が第一級アミノ基を有する生分解性ポリマーの水溶液である、請求項7記載のハイドロゲル。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載のハイドロゲルを含む、医療用インジェクタブルハイドロゲル。
  10. 血管塞栓材である、請求項9記載の医療用インジェクタブルハイドロゲル。
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