JP6868486B2 - 導電性回路布帛、およびその製造方法 - Google Patents

導電性回路布帛、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性回路布帛に関する。また、本発明は、導電性回路布帛の製造方法に関する。
導電性回路を有する布帛とその製造方法としては種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、布帛の上に第一絶縁層と、第一絶縁層の上に設けられた導電層と、導電層の上に設けられた第二絶縁層とを含む導電性布帛が開示されている。導電層は、金属粉等の導電性フィラーと樹脂とを適当な有機溶媒に溶解乃至分散させた導電性ペーストを用い、各種印刷法を用いて形成できることが記載されている。一方、特許文献2には、導電性を有する糸を織込んだり編込んだりする手法が開示されている。
特許文献1に記載されるような導電性ペーストを印刷する手法では、導電性が不十分となる場合がある。導電性を上げるために印刷する導電性ペーストの量を増やす必要から布帛が硬く重くなる傾向があるという問題があり、さらには布帛の柔軟性に追従できずに割れを生じるおそれもあった。特許文献2に開示されている、導電性を有する糸を織り込んだり編み込んだりする手法では、特殊な装置を要することや、導電性パターン形状の自由度が低いことなどの問題がある。
国際公開第2016/114339号 特開2013−019064号公報
本発明は、折り曲げなどの変形に対しても耐久性のある高い導電性を有し、導電性パターン形状を自由に設計可能である導電性回路布帛とその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、少なくとも一の表面を金属層で被覆した導電性織物を所望の回路パターン状に切り出した導電性部材を、基材織物の表面に積層することで得られる導電性回路布帛が、折り曲げなどの変形に対しても耐久性のある導電性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、導電性織物からなる回路パターン状の導電部材を、非導電性の基材織物に積層してなる導電性回路布帛であって、前記導電性織物は、第一の糸条と、前記第一の糸条に概ね直交する第二の糸条とで構成された織物の少なくとも一の表面を被覆する金属層を有していることを特徴とする、導電性回路布帛である。
前記基材織物を構成する第三の糸条または前記第三の糸条に概ね直交する第四の糸条に対して、前記導電性織物の前記第一の糸条または前記第二の糸条のいずれか一の糸条のなす角度が5〜40°を満たすように回路パターン状の前記導電部材が前記基材織物に積層されていることが好ましい。これによれば、様々な方向に折り曲げた場合でも、導電性が低下することのない導電性回路布帛が得られる。
前記金属層が銅または銀を主成分とすることが好ましい。前記導電部材のシート抵抗が0.10Ω/□(スクエア)以下であることが好ましい。前記導電部材と基材織物とが、絶縁性接着層を介して積層されていることが好ましい。
更に本発明は、第一の糸条と、前記第一の糸条に概ね直交する第二の糸条とで構成された織物の少なくとも一の表面に金属層を形成して導電性織物を得る第一工程と、前記導電性織物の一方の面に絶縁性接着層を積層し、前記導電性織物の他方の面に粘着シートを貼付する第二工程と、少なくとも前記導電性織物と前記絶縁性接着層とを、所望の回路パターン状に切り出す第三工程と、前記絶縁性接着層を非導電性の基材織物表面に当接し、接着させた後に前記粘着シートを剥離する第四工程と、を有する、導電性回路布帛の製造方法である。
前記第四工程において、前記基材織物を構成する第三の糸条または前記第三の糸条に概ね直交する第四の糸条に対して、前記導電性織物の前記第一の糸条または前記第二の糸条のいずれか一の糸条のなす角度が5〜40°を満たすように当接し、接着させることが好ましい。
本発明の導電性回路布帛は、布帛としての柔軟性を損なわず、折り曲げに対して耐久性のある高い導電性を有している。また、導電性回路のパターン形状も自由に設計することが可能であるため、製造コストを抑える効果も期待できる。
本発明の導電性回路布帛の断面構造を説明する模式図である。 本発明の導電性回路布帛における導電部材と基材織物との積層状態について説明する模式図である。 図2の二重破線の円で囲まれた領域Bの拡大図である。
本発明の導電性回路布帛1の構成について図1を参照しながら説明する。導電性織物6は、第一の糸条と、前記第一の糸条と概ね直交する第二の糸条とから製織される織物4をベースとして、前記織物4の少なくとも一の表面を被覆する金属層5とから構成される。前記第一の糸条および前記第二の糸条は、有機化合物や無機物からなる繊維を用いた糸条であることができる。有機化合物からなる繊維としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、ポリアクリル等の合成繊維などを挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。無機物からなる繊維としては、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などが挙げられる。柔軟性、汎用性の点から有機化合物からなる繊維を用いた糸条であることが好ましい。第一の糸条と第二の糸条とは、同じ繊維材料からなる糸条であってもよいし、異なる繊維材料からなる糸条であってもよい。糸条の総繊度は11〜167dtexであることが好ましい。総繊度がこの範囲内であれば、柔軟性の高い導電性回路布帛1を得る事ができる。
前記第一の糸条および第二の糸条から構成される織物4の組織は特に制限されない。平織、綾織、朱子織など従来公知の織物組織が使用できる。この際、前記第一の糸条を織物4の経糸とし、第二の糸条は緯糸としてもよい。また逆に、第二の糸条を経糸とし、第一の糸条を緯糸としてもよい。第一の糸条と第二の糸条とは、その延長方向が概ね90°をなしている。つまり、経糸と緯糸が直交している織物組織が採用される。
上記織物4の少なくとも一の表面に金属層5が形成されて本発明の導電性織物6が得られる。織物4の少なくとも一の表面に金属層5を形成する方法としては、蒸着法、スパッタリング法などの乾式方法や、無電解メッキ、電気メッキなどの湿式方法が挙げられる。製造コストや生産性、金属層の連続性の観点から湿式方法が好ましい。湿式方法による金属層の形成では、織物4の一の表面のみではなく、織物4の両面に同時に金属層5を形成することができるため、更に高い導電性が得られるという利点もある。無電解メッキ、電気メッキによる金属層5の形成方法は、従来公知のメッキ方法を用いることができる。
前記金属層5の主成分となる金属は、銅、銀、金、ニッケル、スズ、亜鉛などが挙げられる。導電性と製造コストの観点から、銅または銀であることが好ましい。金属層5の厚みは0.5〜10μmであることが好ましい。金属層5の厚みがこの範囲内であれば、柔軟性が高く、かつ高い導電性を有するという効果が得られる。また金属層5は単層であってもよいし、二層以上の積層構造を有するものであってもよい。本発明の導電性織物6および導電性織物を回路パターン状に切り出した導電部材6のシート抵抗は0.10Ω/□以下であることが好ましい。シート抵抗の測定方法については後述する。
本発明における非導電性の基材織物2は、前記導電性織物6の場合と同様に、第三の糸条と前記第三の糸条に概ね直交する第四の糸条とから製織される織物である。前記第三の糸条および前記第四の糸条は、有機化合物や無機物からなる非導電性の繊維を用いた糸条であることができる。有機化合物からなる非導電性の繊維としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、ポリアクリル等の合成繊維などを挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。無機物からなる非導電性の繊維としては、ガラス繊維などが挙げられる。柔軟性、汎用性の点から有機化合物からなる非導電性の繊維を用いた糸条であることが好ましい。第三の糸条と第四の糸条とは、同じ繊維材料からなる糸条であってもよいし、異なる繊維材料からなる糸条であってもよい。糸条の総繊度は7〜170dtexであることが好ましい。総繊度がこの範囲内であれば、柔軟性の高い導電性回路布帛1を得る事ができる。
前記第三の糸条および第四の糸条から構成される基材織物2の組織は特に制限されない。平織り、綾織り、朱子織など従来公知の織物組織が使用できる。この際、前記第三の糸条を基材織物2の経糸とし、第四の糸条は緯糸としてもよい。また逆に、第四の糸条を経糸とし、第三の糸条を緯糸としてもよい。第三の糸条と第四の糸条とは、その延長方向が概ね90°をなしている。つまり、経糸と緯糸が直交している織物組織が採用される。
本発明において、前記導電性織物を回路パターン状に切り出した導電部材6と非導電性の基材織物2とは、絶縁性接着層3を介して積層されていることが好ましい。絶縁性接着層3は、ポリウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリ塩化ビニル系共重合樹脂等の絶縁性樹脂からなることが好ましい。これらの絶縁性樹脂からなる絶縁性接着層3は、接着性を有するペースト状の組成物であって、熱や光によって硬化するタイプの絶縁性接着層3であることができる。あるいは、一旦硬化した状態から熱によって溶融することで接着性を発現する、所謂ホットメルトタイプの樹脂からなる絶縁性接着層3であってもよい。前記絶縁性接着層3の厚みは10〜100μmの範囲であることが好ましい。絶縁性接着層3の厚みがこの範囲であれば、柔軟性の高い導電性回路布帛を得ることができる。
本発明の導電性回路布帛1において、導電性織物からなる導電部材6と基材織物2との積層状態について図2および図3を参照して説明する。破線で描かれた第三の糸条73と第四の糸条74とが概ね直交して格子を形成しているように描かれているが、これは基材織物2を模式的に示すものである。図2においては、基材織物2の上面に「コの字」形状の導電部材6(グレー塗りつぶし部分)が積層されている。導電部材6は導電性織物を「コの字」形状に切り出したものであり、実線で描かれた第一の糸条および第二の糸条からなる。尚、本来であれば導電部材6を積層したことで見えないはずの基材織物2の部分についても、説明を容易にするために描いている。
図3は、図2において二重破線の円で囲まれた領域Bの部分を拡大したものである。導電部材6は第一の糸条71と、第一の糸条71と概ね直交する第二の糸条72とから構成されている。ここで、基材織物2を構成する第三の糸条73または第四の糸条74に対して、導電性織物6の第一の糸条71または第二の糸条72のいずれか一の糸条のなす角度が5〜40°であると、様々な方向への折り曲げに対して導電性の耐久性を備えた導電性回路布帛を得ることができる。つまり、基材織物2に対して導電部材6を、各々の織目に関してバイアスに配置することが好ましい。織目とは一般的に織物の経糸または緯糸の延長方向を意味する。例えば図3において、第三の糸条73に対して第一の糸条71のなす角度θが5〜40°であることが好ましい。この時、第四の糸条74に対する第一の糸条71のなす角度θは、第三の糸条73と第四の糸条74とが概ね直交することから、θ=90°−θとなる。同様に、第一の糸条71と第二の糸条72とが概ね直交することから、第三の糸条73に対する第二の糸条72のなす角度はθとなり、更に第四の糸条74に対する第二の糸条72のなす角度はθとなる。したがって、基材織物2と導電性織物6とが共に概ね直交する二の糸条からなる限り、各々の織物のいずれか一の糸条同士のなす角度を規定すれば、基材織物2と導電性織物6とのバイアスに配置された積層状態を規定することができる。
織物4の少なくとも一の表面に金属層5を形成した導電性織物6は、この織物4を構成する糸条の延長方向に屈曲した場合、最も導電性の低下率が高いという性質を呈する。つまり、第一の糸条または第二の糸条の延長方向と平行なラインで屈曲した場合に、最も導電性が低下し易い。しかしながら、上記のように、導電性織物6と基材織物4とを積層する際に、互いの織目について5〜40°のバイアスをかけて積層することでこの問題を補うことが可能となり、様々な方向における屈曲に対して耐久性の高い導電性を備えた導電性回路布帛1を得ることができる。
本発明の導電性回路布帛の製造方法は、第一の糸条と、前記第一の糸条に概ね直交する第二の糸条とで構成された織物の少なくとも一の表面に金属層を形成して導電性織物を得る第一工程と、前記導電性織物の一方の面に絶縁性接着層を積層し、前記導電性織物の他方の面に粘着シートを貼付する第二工程と、少なくとも前記導電性織物と前記絶縁性接着層とを、所望の回路パターン状に切り出す第三工程と、前記絶縁性接着層を非導電性の基材織物表面に当接し、接着させた後に前記粘着シートを剥離する第四工程からなる。
第一工程では、第一の糸条と第二の糸条を用いて通常の製織方法で得られた織物4に対して、少なくとも一の表面に金属層5を形成して導電性織物6を得る。前述のとおり、金属層5を形成する方法としては、乾式方法、湿式方法のいずれも採用できるが、湿式方法である無電解メッキ法、電気メッキ法が好ましい。
第二工程では、第一工程で得られた導電性織物6の一方の面に絶縁性接着層3が積層される。絶縁性接着層3の材料としては前述のとおりである。絶縁性接着層3を積層する方法としてはコーティング法、ラミネート法などが挙げられる。絶縁性接着層3が積層される面は、金属層5が形成された面とは反対側の面であることが好ましい。次に、導電性織物6の他方の面に粘着シートを貼付する。粘着シートとしてはPET75−RC611、PET75−RB105、PET75−RB107(いずれも日栄化工株式会社製)など市販のものを使用できる。あるいは樹脂基材の片面に粘着組成物を塗布した構成の材料を作製して用いることができる。そのような樹脂基材としてはPETフィルム等を挙げることができる。粘着組成物としてはアクリル系粘着剤等を挙げることができる。
第三工程では、少なくとも前記導電性織物6と前記絶縁性接着層3とが所望の回路パターン状に切り出される。ここで粘着シートは切り出されないことが、後の工程において取り扱いの点で好ましい。切り出しには裁断機を用いる方法やカッターによる切断方法、レーザー加工機による切断方法などが採用される。粘着シートを切断せず、後の工程を容易にするためにはレーザー加工機による切断方法が好ましい。所望のパターンに切断された後、不要な部分については粘着シートから剥離されて取り除かれる。
第四工程では、絶縁性接着層3を基材織物2の所望の位置に当接し、接着を行なう。絶縁性接着層3がペースト状の樹脂組成物である場合には、加熱、乾燥、光照射等、樹脂組成物の性質に応じて接着が行なわれる。絶縁性接着層3がホットメルトタイプの樹脂組成物から構成される場合には、加熱圧着によって接着が達成される。その後、粘着シートが剥離され、基材織物2の表面の所望の位置に導電性織物からなる回路パターンが積層された、本発明の導電性回路布帛1が得られる。
前記第四工程において、上述のとおり、導電性織物6と基材織物4とを当接し、接着する際に、互いの織目について5〜40°のバイアスをかけることが好ましい。すなわち、基材織物2を構成する第三の糸条73または第四の糸条74に対して、導電性織物6の第一の糸条71または第二の糸条72のいずれか一の糸条のなす角度が5〜40°を満たすように当接し、接着することが好ましい。このようにバイアスをかけて積層することにより、様々な方向についての折り曲げに対して、導電性の耐久性が高い導電性回路布帛を製造することができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
[実施例1〜5]
導電性織物を以下の手順で作製した。第一の糸条:ポリエステル加工糸(33dtex)を経糸とし、第二の糸条:ポリエステル加工糸(69dtex)を緯糸として、平織り(織り密度:経189本/2.54cm、緯120本/2.54cm)の織物を作製した。この織物の一方の面に粘着シートPET75−RC611(日栄化工株式会社製)を貼付してマスクとした。マスク付きの織物を、塩化パラジウム0.3g/L、塩化第一スズ30g/L、36%塩酸300mL/Lを含む水溶液に常温で30秒間浸漬後、十分に水洗した(触媒付与)。その後、酸濃度0.1Nのホウ弗化水素酸に40℃で1分間浸漬後、十分に水洗した(触媒活性化)。ここで粘着シートを剥がして取り除き、塩化第二銅9g/L、37%ホルマリン9mL/L、32%水酸化ナトリウム40mL/L、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン20g/L及び安定化剤を含む溶液に40℃で15分間浸漬し、これにより一様に織物表面に30g/mの銅被膜が形成され、更に織物を十分に水洗した(無電解銅メッキ)。銅被膜を陰極としてこの織物を、ダインシルバーGPE-ST15(大和化成株式会社製)に浸漬し、不溶性陽極を用いて電流密度2A/dm、常温で1.5分間電気メッキした後に、十分に水洗した。これにより一様に銅被膜上に5g/mの銀被膜が形成された(電気銀メッキ)。最後に乾燥を行い、白色の銅−銀の二層構造を有する金属層が片面(粘着シートを貼付しなかった面)に形成された導電性織物を得た。
得られた導電性織物のシート抵抗値を、ロレスタMCP−T360(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用いて4探針プローブにより測定したところ、0.017Ω/□の値を得た。白色の銅−銀の二層構造を有する金属層の厚みは3μmであった。
上記導電性織物の金属層が形成されていない面に、絶縁性接着層としてSHM101−PUR(シーダム株式会社製)を積層した。積層に際しては熱転写プレス機HP−4536A−12(株式会社ハシマ製)を用いて130℃、0.5MPaにて30秒間熱プレスを行なった。次に、導電性織物の金属層が形成されている面に粘着シートPET75−RC611(日栄化工株式会社製)を貼付した。この粘着シートは、透明PETフィルム(75μm厚)−アクリル系粘着剤という2層構造を有している。
絶縁性接着層が積層された導電性織物を幅5mm、長さ45mmの矩形形状に切り出して導電部材を得た。切り出しには高精度レーザー裁断機LS9000(Gravotech社製)を用い、絶縁性接着剤層が積層されている面の側からレーザーを照射した。切り出し条件は、COレーザーにて、パワー(%)=5、スピード(%)=9.0とした。この条件では絶縁性接着層と導電性織物のみが切断され、粘着シートは切断されなかった。不要な部分の絶縁性接着層および導電性織物を取り除き、粘着シート上に固定された所望の形状の導電部材を得た。
非導電性の基材織物としては、第三の糸条:ポリエステル加工糸(33dtex)を経糸とし、第四の糸条:ポリエステル加工糸(69dtex)を緯糸とした平織り(織り密度:経189本/2.54cm、緯120本/2.54cm)の織物を用いた。上記で切り出した導電部材の絶縁性接着層側を非導電性の基材織物に重ね合わせ、熱転写プレス機HP−4536A−12(株式会社ハシマ製)で130℃、0.5MPaにて30秒間熱プレスして当接、接着させた。その後、粘着シートを剥離して導電性回路布帛を得た。
上記導電部材の切り出しの際、導電性織物の第二の糸条(緯糸)の方向と導電部材の幅方向とのなす角度を、0°(実施例1)、15°(実施例2)、35°(実施例3)、60°(実施例4)、80°(実施例5)とした。また導電部材を基材織物に積層する際、導電部材(導電性織物)の第二の糸条(緯糸)と基材織物の第四の糸条(緯糸)とのなす角度が0°(実施例1)、15°(実施例2、4)、35°(実施例3、5)となるように重ね合わせた。
得られた導電性回路布帛について、屈曲による抵抗値変化を測定した。MIT耐屈疲労試験機(株式会社東洋精機製作所)を用い、条件は以下のとおりとして屈曲試験を行なった。尚、屈曲ラインは導電部材の幅方向と平行なラインとしている。
・サイクル:3,000回
・曲げ半径:0.38mm
・屈曲速度:175cpm
・屈曲角度:±135°
・荷重:0kg
・試験片サイズ:170mm×15mm(基材織物)、45mm×5mm(導電部材)
上記屈曲試験の前後に、屈曲ラインを挟んだ位置で導電性回路布帛における導電部材の抵抗値を測定した。測定装置はマルチメーター34410A(アジレント社製)のクリップ型プローブを用いた。屈曲試験前の抵抗値に対する屈曲試験後の抵抗値の増加率を以下の数式1で算出して評価した。
Figure 0006868486
[実施例6]
基材織物を以下のものに変更した以外は実施例1に同じである。
第三の糸条(経糸):ポリエステル糸(7dtex)
第四の糸条(緯糸):ポリエステル糸(7dtex)
平織り(織り密度:経130本/2.54cm、緯130本/2.54cm)
[実施例7]
基材織物を以下のものに変更した以外は実施例2に同じである。
第三の糸条(経糸):ポリエステル糸(7dtex)
第四の糸条(緯糸):ポリエステル糸(7dtex)
平織り(織り密度:経130本/2.54cm、緯130本/2.54cm)
[実施例8]
基材織物を以下のものに変更した以外は実施例5に同じである。
第三の糸条(経糸):ポリエステル糸(7dtex)
第四の糸条(緯糸):ポリエステル糸(7dtex)
平織り(織り密度:経130本/2.54cm、緯130本/2.54cm)
[比較例1、2]
離型材WEKR78TPD−H(リンテック株式会社製:厚み145μm、層構成PP/紙/PP)に熱硬化型ソルダーマスクNPR3400(日本ポリテック株式会社製)をスクリーン印刷し、熱風循環乾燥炉で130℃、30分乾燥することで絶縁層Aを形成した。スクリーン印刷に際しては、乳剤厚み15μm、ステンレス200メッシュ、線径45μmの版を用いた。絶縁層Aのサイズは幅6mm、長さ25mmとした。
次に、銀ペーストTR70901(太陽インキ製造株式会社製)を乳剤厚み15μm、ステンレス150メッシュ、線径55μmの版で、スクリーン印刷し、熱風循環乾燥炉で130℃、30分乾燥することで、配線パターンを形成した。配線パターンのサイズは幅5mm、長さ45mmであり、絶縁層Aに対し幅方向において0.5mm内側に配置するよう重ねた。得られた配線パターンのシート抵抗値は0.1Ω/□であった。
次に熱硬化型ソルダーマスクNPR3400(日本ポリテック株式会社製)を乳剤厚み15μm、ステンレス200メッシュ、線径45μmの版で、配線パターンに重ねてスクリーン印刷し、熱風循環乾燥炉で130℃、30分乾燥することで、絶縁層Bを形成した。絶縁層Bの形状は上記配線パターンと同一とした。
ウレタン系ホットメルト接着剤TF−108U(株式会社村山化学研究所製)を乳剤厚み15μm、ステンレス80メッシュ、線径71μmの版で、絶縁層Bと同じ寸法で上に重ねてスクリーン印刷し、熱風循環乾燥炉で100℃、10分乾燥することで、接着樹脂層を形成した。
基材織物は実施例1と同じ基材織物を用いた。基材織物の表面に上記接着樹脂層の側を重ね、熱転写プレス機HP−4536A−12(株式会社ハシマ製)にて130℃、0.5MPaで30秒間熱プレスし、放冷後離型材を剥離して導電性回路布帛を得た。本比較例において導電部材は絶縁層AとBとに挟まれた銀ペーストTR70901(太陽インキ製造株式会社製)の硬化物から成っているため、屈曲試験における配置角度は考慮されない。基材織物に関しては、その第四の糸条(緯糸)方向と導電部材の幅方向(屈曲試験における屈曲ラインと平行)とのなす角度を0°(比較例1)、45°(比較例2)とした。
Figure 0006868486
本発明の導電性回路布帛は、センサー等からの信号を伝達する信号線、電源供給のための導体として利用されるばかりでなく、電子部品を実装して各種機能を持たせた回路基板に替わる回路布帛として利用できる。布帛としての柔軟性を保持しており、ウェアラブルデバイスの基材として産業上の利用範囲が広い。
1 導電性回路布帛
2 基材織物
3 絶縁性接着層
4 織物
5 金属層
6 導電部材(導電性織物)
71 第一の糸条
72 第二の糸条
73 第三の糸条
74 第四の糸条
θ 第一の糸条と第三の糸条とのなす角度
θ 第一の糸条と第四の糸条とのなす角度

Claims (7)

  1. 導電性織物からなる回路パターン状の導電部材を、非導電性の基材織物に積層してなる導電性回路布帛であって、前記導電性織物は、第一の糸条と、前記第一の糸条に概ね直交する第二の糸条とで構成された織物の少なくとも一の表面を被覆する金属層を有していることを特徴とする、導電性回路布帛。
  2. 前記基材織物を構成する第三の糸条または前記第三の糸条に概ね直交する第四の糸条に対して、前記導電性織物の前記第一の糸条または前記第二の糸条のいずれか一の糸条のなす角度が5〜40°を満たすように回路パターン状の前記導電部材が前記基材織物に積層されていることを特徴とする、請求項1に記載の導電性回路布帛。
  3. 前記金属層が銅または銀を主成分とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性回路布帛。
  4. 前記導電部材のシート抵抗が0.1Ω/□(スクエア)以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性回路布帛。
  5. 前記導電部材と基材織物とが、絶縁性接着層を介して積層されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性回路布帛。
  6. 第一の糸条と、前記第一の糸条に概ね直交する第二の糸条とで構成された織物の少なくとも一の表面に金属層を形成して導電性織物を得る第一工程と、
    前記導電性織物の一方の面に絶縁性接着層を積層し、前記導電性織物の他方の面に粘着シートを貼付する第二工程と、
    少なくとも前記導電性織物と前記絶縁性接着層とを、所望の回路パターン状に切り出す第三工程と、
    前記絶縁性接着層を非導電性の基材織物表面に当接し、接着させた後に前記粘着シートを剥離する第四工程と、
    を有する、導電性回路布帛の製造方法。
  7. 前記第四工程において、前記基材織物を構成する第三の糸条または前記第三の糸条に概ね直交する第四の糸条に対して、前記導電性織物の前記第一の糸条または前記第二の糸条のいずれか一の糸条のなす角度が5〜40°を満たすように当接し、接着させることを特徴とする、請求項6に記載の導電性回路布帛の製造方法。
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