JP6868321B2 - 凍結工法 - Google Patents
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Description
ここで、二重管により削孔した後、二重管の内管からブラインを供給して外管内に流出させる技術が存在するが(例えば特許文献1)、切削水と冷媒とを切り替える機構は内管が上方にスライドするものであり、内管よりも先端側には、冷媒を供給することが出来ない。そのため、凍結管先端周辺の地盤を凍結することが出来なかった。そして先端周辺の地盤を凍結することが出来ないので、従来技術では、必要な長さを凍結するためにはその分だけ余計に削孔しなければならなかった。
例えばシールドマシンが立坑に近づいた時、立坑とシールドマシン先端との間の領域を凍結するため、凍結管を配置して凍結工法を実施する場合に、凍結管先端の領域を凍結することが出来ないので、その分だけ、余分に削孔しなければならず、立坑の壁の一部を削孔して凍結管を壁の一部に嵌入させる必要があった。そのため、立坑の壁の一部を削孔するという労力の大きな作業が必要となり、また、立坑の壁を損傷してしまうという課題がある。
しかし、凍結管同士を溶接する作業は、冷媒が漏洩することを防止するために溶接部分に気密性が要求され、多大な労力を必要としていた。
さらに、凍結工程が終了し、凍結管を撤去する時は、凍結管全体を引き抜いた後に生じる凍結管跡の孔(削孔空間)に、専用の充填管を挿入して充填材を充填し、孔埋めして周辺地盤の沈下などを防ぐ充填工が必要であり、そのための労力が必要である。そして、凍結管引き抜きと充填に時間差が生じ、その間に沈下が増加するなどの課題があった。
上述した各種労力を軽減して、凍結工法全体のコストを低減する要請が存在するが、係る要請に応える技術は未だに提案されていない。
削孔ロッド(10)内に挿入されている冷媒供給管(6:例えばコイルドチューブ)を有し、
削孔ロッド(10)の先端近傍には、削孔水(W)の水圧では開弁するが冷媒(R)の供給圧力(冷媒供給時の弁体3B直上の圧力)では閉弁している弁機構(3)を設け、削孔水(W)が流れる配管(4)から分岐して弁機構(3)をバイパスし削孔ロッド(10)の先端まで地上から冷媒(R)を供給する冷媒流路(5)が形成され、冷媒(R)が地上と地中を循環することにより地盤を凍結させる。
本発明で用いられる凍結管は、凍結が終了して、凍結管撤去の引き抜き時に冷媒供給管を引き抜くことで削孔ロッドを単管状態にすることが可能であり、削孔ロッド先端から充填材を吐出し削孔空間を埋め戻す機能を有することが出来る。
削孔ロッド(10)を凍結するべき地盤に残存し、
削孔ロッド(10)内に冷媒供給管(6:例えばコイルドチューブ)を挿入し、冷媒供給管(6)が挿入された後に削孔ロッド(10)は凍結管(10)として機能し、
削孔ロッド(10)の先端近傍に設けた弁機構(3)により、削孔水流路(4)と冷媒流路(5)を切り替え、
冷媒供給管(6)から冷媒(R)を供給し、供給された冷媒(R)が凍結管先端まで供給されることを特徴としている。
本発明の凍結工法では、凍結が終了して、凍結管撤去の引き抜き時に冷媒供給管を引き抜くことで削孔ロッドを単管状態にすることが可能であり、削孔ロッド先端から充填材を吐出し削孔空間を埋め戻すことが出来る。
さらに本発明において、削孔ロッド(10)を構成する単位長さのロッド(定尺ロッド)は、一端に雄ネジが形成され、他端に雌ネジが形成されているのが好ましい。
ここで、地上側に冷媒冷却設備を設け、例えば冷媒に液化二酸化炭素を用いる場合には冷媒が地盤中から気化熱を奪う様に、地上側の冷媒冷却設備は、凍結管(10)から排出された気液混合二酸化炭素を冷却して液相にせしめ、液相の二酸化炭素を凍結管(10)に供給する循環冷却機構として構成されるのが好ましい。冷媒がブラインの場合も同様に、凍結管(10)から排出されたブラインを冷却し、凍結管(10)に供給する循環冷却機構であるのが好ましい。
そのため、例えば、シールドマシンが立坑に近づいた時、立坑とシールドマシン先端との間の領域を凍結するため、凍結管を配置して凍結工法を実施する場合に、凍結管の先端部より先の領域を凍結することが出来るので、立坑近傍まで凍結管を配置すれば、立坑の壁の一部を削孔しなくても、シールドマシンと立坑との間の領域を凍結させることが出来る。そのため、凍結管を配置するに際して立坑の壁の一部を削孔する必要が無く、立坑の壁を損傷させてしまうこともない。
ここで、単位長さのロッド(定尺ロッド)としては、連結した際に気密性が保持されるロッドを使用するため、施工現場で漏洩検査を省略することも可能である。
ここで本発明では、削孔ロッド(10)の単管部分(1)が凍結管の外管として機能するため、ボーリング孔の削孔完了と同時に凍結管外管の設置が完了する。
そして本発明によれば、凍結管引抜きの際、先端から充填材(ボーリング孔を孔埋めするための充填材料)を吐出することが出来るため、凍結管引抜きと同時に削孔空間の孔埋めをすることが出来、解凍した周辺地盤の崩壊や沈下を防ぎ、充填作業も容易である。
そして、冷媒供給配管を容易に地上側に引き抜くことにより、凍結管外管を構成している削孔用ロッドを用いて、容易にボーリング孔の追加削孔を行うことが出来る。
地盤Gにボーリング孔を削孔する工程を示す図1において、削孔ロッド10は単管で構成されている。
明確には図示されていないが、削孔ロッド10は、例えば単位長さの複数のロッド(定尺ロッド)を連結(接続)して構成されている。前記定尺ロッド(単位長さのロッド)は、一端に雄ネジ(図示しない)が形成され、他端に雌ネジ(図示しない)が形成されており、雄ネジと雌ネジを螺合させて定尺ロッド同士を連結することが出来て、多様な施工条件に対応することが出来る。なお、ロッドは定尺ばかりでなく、必要な深度などに合わせて、長さを合せるための比較的短尺なロッドも用いられる。
ここで、削孔ロッド10における定尺ロッド同士の螺合部分は、削孔ロッド10を凍結管として再利用した際に冷媒が漏洩しない様に高い気密性・水密性を有しており、例えば雄ネジに複数の(例えば2個以上の)Oリングを嵌合している。
弁機構3は、スプリング3A(図4)、球状の弁体3B(図4)及び弁座3C(図4)で構成されているが、詳細は後述する。また、削孔ロッド10の先端(地中側端部)に配置され、噴射口7Bが形成された削孔ビット部7についても、図4、図6を参照して後述する。
凍結工法の施工に際しては、先ず、図1で示す様に、削孔ロッド10により凍結するべき地盤Gにボーリング孔を削孔する。削孔に際しては、削孔ロッド10の先端より削孔水Wを噴射しつつ、削孔ビット部7により地盤Gを削孔する。
削孔水Wは地上側の図示しない水源から供給され、削孔ロッド10の中空部を流過して、削孔ロッド10の先端部(地中側端部)まで供給される(矢印W1)。削孔水Wが弁機構3に達すると、弁機構3のスプリング3Aの弾性反撥力に抗して弁機構3を開弁する。そして削孔水Wは、削孔ロッド10の先端に配置された削孔ビット部7に形成された噴射口7B(図4、図6参照)から地中に吐出される(矢印W2)。
吐出された削孔水Wは、削孔ロッド10の外壁を伝って地上側に戻る(矢印W3)。
換言すれば、削孔ロッド10は所定のボーリング孔を削孔した後、コイルドチューブ6が挿入される(図2参照)と凍結管10となる。図示の実施形態では、削孔ロッドと凍結管の外管は、共に符号10で示されている。
従来技術では、ボーリング孔の削孔後に凍結管を挿入し、削孔ロッドを引き抜くという複数の工程を行うが、上述した理由から、図示の実施形態では当該複数の工程が不要となる。
コイルドチューブ6は継ぎ目が無く長尺であるので、地中に挿入する際に切り継ぎを行う必要がなく、冷媒が漏洩する恐れも無いので、容易に配置することが出来る。
図示の実施形態において、冷媒はブラインでも液化二酸化炭素(CO2)でも良く、特に限定条件は無い。明示されてはいないが、地上側に冷媒冷却設備を設け、例えば冷媒に二酸化炭素を用いる場合には冷媒が地盤中から気化熱を奪う様に、地上側の冷媒冷却設備は、凍結管10から排出された気液混合二酸化炭素を冷却して、液相として凍結管10に供給する循環冷却機構として構成されている。冷媒がブラインの場合も同様に、凍結管10から排出されたブラインを冷却して、凍結管10に供給する循環冷却機構として構成されている。
図2で示す様に、凍結管10は、コイルドチューブ6が挿入された状態で二重管と同様な構造になっている。
係る弁機構を用いることにより、凍結管10を水平方向に配置しても、上向きに配置しても、弁機構3を確実に開閉することが出来る。
図示の実施形態では地盤中を削孔し、地盤を凍結させる場合を説明しているが、凍結管10の設置方向については前述の通り制約が存在しないため、本発明では、例えばシールド機の鋼殻部や土留め、コンクリート構造体なども削孔し、凍結させる対象とすることが出来る。
冷媒導入部21には、コイルドチューブ6が挿入されるコイルドチューブ挿入部21Aと冷媒戻り口21Bが設けられており、冷凍機(図示せず)の冷媒送り口からの配管は冷媒送りポンプ(図示せず)を経由してコイルドチューブ6に接続され、冷媒戻り口21Bは地上における冷媒戻り流路(図示せず)に接続されている。
凍結管10の地中側端部近傍において、冷媒Rは弁機構3を開弁せず(矢印R2)、削孔ロッド10の先端部を流れた後、削孔ロッド10の内壁とコイルドチューブ6の間の空間を流れる(矢印R3)。ここで、矢印R2で示す様に、冷媒は凍結管10の先端部を流れるが、その詳細については図4を参照して後述する。
削孔ロッド10の中空部を流れる冷媒R(矢印R3)は、冷媒戻り口21Bから地上の冷媒戻り流路(図示しない)に戻される(矢印R4)。
凍結管10を流れる際に、冷媒Rの冷熱は凍結管10近傍の地盤に伝達され、凍結管10近傍の地盤は凍結する。
先端側部材30の詳細は、図4、図5、図6を参照して説明する。なお図4において、冷媒の流れを矢印Rで示す。
図4において、凍結管10の地中側端部に配置された先端側部材30は、その地上側が削孔ロッド接続部30Aを構成している。そして先端側部材30の地中側には、削孔ビット接続部30Bが設けられている。
削孔ビット接続部30Bにも雄ネジが形成されており、当該雄ネジと削孔ビット部7の雌ネジ(接続部7Cの内周に形成された雌ネジ)が螺合して、先端側部材30と削孔ビット部7が接合されている。
図4において、コイルドチューブ6は、凍結時においては、配管4におけるコイルドチューブ先端差込部4Bに挿入された状態が保持される。
換言すれば、冷媒流路5は半径方向冷媒流路5A、垂直方向冷媒流路5B、先端部冷媒通過領域5C、戻り用冷媒流路5Dから構成されている。
先端部冷媒通過領域5Cは、垂直方向冷媒流路5Bに連通し且つ先端側部材30の地中側先端近傍(削孔ビット部7の近傍)で弁機構3を包囲する様に形成されており、スプリング収納部12の半径方向外方の領域として構成され、且つ、中空円筒状に構成されている。先端部冷媒通過領域5Cの最先端部はビット先端部7Aの内面7ASに接している。また、スプリング収納部12は、その内部に弁機構3のスプリング3Aを収納している。
戻り用冷媒流路5Dは、先端部冷媒通過領域5Cに連通して垂直方向に延在し且つ半径方向外方に複数本(実施形態では4本)形成されている。垂直方向冷媒流路5Bと戻り用冷媒流路5Dは、それぞれ4本ずつ、円周方向に交互に配置されている。
図4において、コイルドチューブ6から供給された冷媒は、配管4から半径方向冷媒流路5A、垂直方向冷媒流路5Bを流れて先端部冷媒通過領域5Cに到達する。先端部冷媒通過領域5Cに到達した冷媒の冷熱は、削孔ビット部7を介して凍結管10先端の地盤に投入され、当該地盤を凍結する。そして戻り用冷媒流路5Dを流れて、テーパー状領域4Tを介して凍結管10の中空部分から地上側に戻る(図3の矢印R3)。
一般的に、冷媒が流路内を流れる際に、層流よりも流れの速い乱流の方が熱移動性(熱伝達率)に優れていることが知られている。図示の実施形態では、上述した通り垂直方向冷媒流路5B、先端部冷媒通過領域5C、戻り用冷媒流路5Dを流れる冷媒Rの流速は、矢印R3で示す冷媒の流速よりも速いため、熱移動性に優れる。
そのため、垂直方向冷媒流路5B、先端部冷媒通過領域5C、戻り用冷媒流路5Dを流れる冷媒Rによる地盤凍結効果は、削孔ロッド10内壁とコイルドチューブ6との間の領域を流れる冷媒R3による地盤凍結効果と遜色なく発揮される。
したがって、ボーリング孔削孔時において削孔水Wが供給されている際には、削孔水Wの圧力がスプリング3Aの弾性反撥力よりも強いため、弁体3Bはスプリング3Aの弾性反撥力に抗して下方に押圧され、弁体3Bは弁座3Cに座着せず、弁機構3は開放している。
それに対して、凍結時には、冷媒Rの供給圧力(冷媒供給時の弁体3B直上の圧力)がスプリング3Aの弾性反撥力よりも弱いため、スプリング3Aの弾性反撥力で弁体3Bは上方に押圧され、弁座3Cに座着し、弁機構3は閉弁している。
先端側部材30の底部(地中側端部)に配置される削孔ビット部7のビット先端部7A(図6参照)の中心には、削孔水の噴出口7Bが形成されている。
スプリング収納部12の半径方向内方はスプリング3A収納スペースとなっている。
削孔ビット部7の端面形状を示す図6において、削孔ビット部7のビット先端部7A(削孔ロッド10の地中側先端に位置する部分)は円盤状であり、地盤G側(地中側)の面には、地盤G側に突出した複数(実施形態では6個)のビット7Dが、円周方向に等間隔に設けられている。上述した様に、削孔ビット部7のビット先端部7Aの中心には、削孔水Wを地中に噴射する噴射口7Bが形成されている。
削孔ビット部7のビット先端部7Aの厚さ寸法(図4の寸法D)は、冷媒の冷熱が伝導される寸法で、且つ、削孔時の使用に耐え得る強度を有する寸法であることが必要である。
冷媒Rは弁機構3をバイパスし、配管4の分岐部4Aから分岐した半径方向冷媒流路5A、垂直方向冷媒流路5Bを介して、凍結管先端(先端側部材30の先端)の先端部冷媒通過領域5Cを通過する。先端部冷媒通過領域5Cを流れる冷媒Rの冷熱は、削孔ビット部7を介して地盤Gに投入され、凍結管10先端の地盤を凍結する。
先端側部材30先端の先端部冷媒通過領域5Cを通過した冷媒Rは、戻り用冷媒流路5Dを介して配管4のテーパー状領域4Tに戻り、凍結管10を通過して地上側に戻る(図3参照)。
そして、削孔ロッド10でボーリング孔を削孔した後、コイルドチューブ6を挿入した時点で削孔ロッド10が凍結管10として機能するので、削孔ロッドの引き抜き、凍結管挿入という複数の工程を省略することが出来る。
そのため、シールドマシンが立坑に近づき、立坑とシールドマシン先端との間の領域を凍結するべき場合には、図示の実施形態では、従来技術の様に立坑の壁の一部を削孔して凍結管を配置する必要が無い。図示の実施形態によれば、立坑近傍まで凍結管を配置すれば、シールドマシンと立坑との間の領域を凍結させることが出来る。
換言すれば、図示の実施形態では、シールドマシンが立坑に近づき、立坑とシールドマシン先端との間を凍結する際に、凍結管建て込みのために立坑の壁の一部を削孔する必要が無く立坑の壁を損傷させてしまうことがない。
そして、凍結管として作用した削孔ロッド10を引き抜く際に、従来技術における凍結管引き抜き作業の様にガス切断等を行う必要が無く、火器の使用が不要である。そのため、凍結管撤去作業の安全性、環境保全性が向上する。
また、図示の実施形態によれば、凍結管10引抜きの際、先端から充填材(ボーリング孔を孔埋めするための充填材料)を吐出して削孔空間の充填を行うことが出来るため、凍結管引き抜き後の孔埋め作業が容易である。この場合、削孔時と同様に、充填材の吐出圧により弁機構3は開弁し、充填材は噴射口7Bから削孔空間に吐出される。
それに加えて、図示の実施形態では冷媒供給配管6が、切り継ぎを行う必要がないコイルドチューブで構成されているため、冷媒供給配管6を容易に地上側に引き抜くことが出来る。
そして、冷媒供給配管6を容易に地上側に引き抜くことにより、凍結管10の半径方向最外方の管を構成している削孔用ロッドを用いて、ボーリング孔の追加削孔を容易に実施することが出来る。
3A・・・スプリング
3B・・・弁体
3C・・・弁座
4・・・配管
5・・・冷媒流路
6・・・コイルドチューブ
10・・・凍結管(削孔ロッド)
30・・・先端側部材
R・・・冷媒
W・・・削孔水
α・・・断面円環状の領域
Claims (2)
- 削孔時には複数のロッドから構成された削孔ロッドを用いて削孔水を噴射しつつボーリング孔を削孔し、
凍結時には削孔ロッドを残存し、
削孔ロッド内に継ぎ目のない冷媒供給管を挿入し、
削孔ロッドの先端近傍に設けた弁機構により、削孔水流路と冷媒流路を切り替え、
冷媒供給管が挿入された後に削孔ロッドは凍結管として機能し、
冷媒供給管から冷媒を供給し、供給された冷媒が凍結管先端まで供給されることを特徴とする凍結工法。 - 凍結管引き抜き時に削孔ロッドを単管状態にすることが可能であり、削孔ロッド先端から充填材を吐出し削孔空間を埋め戻す請求項1の凍結工法。
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