JP6866695B2 - 水処理剤、スケール除去方法、及びスケール抑制方法 - Google Patents

水処理剤、スケール除去方法、及びスケール抑制方法 Download PDF

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本発明は、水処理剤、並びに水処理剤を用いたスケール除去方法及びスケール抑制方法に関する。
ボイラは、蒸気を生成する装置であり、加熱用、発電用等のエネルギー供給設備として幅広く使用されている。
蒸気を発生させるボイラ水管の内側表面部(伝熱面)は高温高圧の環境下にあるため、ボイラへ供給された水(ボイラ給水)に含まれているカルシウム等の成分がスケールとして伝熱面に付着しやすい。スケールが伝熱面に付着すると、熱の伝達が妨げられ、ボイラ効率等の伝熱特性が低下する。また、ボイラ水管の伝熱面はボイラ給水によって腐食する虞があり、腐食が進行するとボイラ水管の破損にも繋がる。
そこで、従来、ボイラ水管の伝熱面に付着したスケールを除去し又はスケールの生成を抑制し、且つ、ボイラ水管の腐食を抑制するため、ボイラ給水に薬剤を添加することが行われている。
例えば、特許文献1には、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(以下、「EDTA二ナトリウム」又は「EDTA−2Na」とも記す。)等のキレート剤と、アクリル酸アクリルアミド共重合物等の分散剤と、を含有するスケール除去剤が開示されている。
また、特許文献2には、シリカと、水酸化ナトリウム等のpH調整剤と、EDTA二ナトリウム等のスケール抑制剤と、を含有し、腐食及びスケールの生成を抑制するために使用される水処理剤が開示されている。
特開平9−314189号公報 特開2003−159597号公報
ところで、特許文献1に記載のスケール除去剤には、スケールを分散させるため、アクリル酸アクリルアミド共重合物等の分散剤が含有されている。アクリル酸アクリルアミド共重合物は、FDA(米国食品医薬品局)によって食品加工用のボイラへの使用が認められている成分である。しかし、ボイラで生成する蒸気の安全性をより高めるためには、人体への安全性が極めて高い食品添加物等の成分で薬剤を構成することが望まれる。
また、特許文献2に記載の水処理剤には、伝熱面に腐食防止用の皮膜を形成するため、シリカが含有されている。ここで、伝熱面に腐食防止用の皮膜を形成するためには、ボイラ給水中のシリカ濃度を所定濃度以上(例えば、10mgSiO/L以上)に管理する必要がある。一方、スケールの生成を抑制するためには、ボイラ給水中のシリカ濃度を所定濃度以下(例えば、60mgSiO/L以下)に管理する必要がある。しかし、特許文献2のように水処理剤にシリカが含有されている場合、薬注装置の不具合等に起因して水処理剤の添加量が過剰になると、過剰なシリカ分が原因となってスケールが生成する虞がある。特に、燃焼室を有さず、火炎がボイラ水管に触れる構造のボイラにおいては、伝熱面熱負荷が非常に高いため(例えば、116kW/m以上)、水処理剤の添加量が過剰になった場合にスケールが生成し易い。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、人体への安全性が極めて高い成分からなり、ボイラ水管の腐食を抑えながら、付着したスケールを除去し又はスケールの生成を抑制することが可能な水処理剤、並びに水処理剤を用いたスケール除去方法及びスケール抑制方法を提供することを目的とする。
本発明は、シリカ濃度が10〜60mgSiOLであるボイラ給水に添加される水処理剤であって、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA二ナトリウム)と、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種であるアルカリ金属水酸化物と、水と、のみからなり、EDTA二ナトリウムの含有率が5〜25質量%であり、アルカリ金属水酸化物の含有率が、EDTA二ナトリウムの中和に必要な含有率以上、かつ、10質量%以下である水処理剤に関する。
また、本発明は、シリカ濃度が10〜60mgSiOLであるボイラ給水に対して本発明に係る水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を100〜1000mgEDTA/Lに維持するスケール除去方法に関する。
また、本発明は、シリカ濃度が10〜60mgSiO /Lであるボイラ給水に対して本発明に係る水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を5〜30mgEDTA/Lに維持するスケール抑制方法に関する。
本発明によれば、人体への安全性が極めて高い成分からなり、ボイラ水管の腐食を抑えながら、付着したスケールを除去し又はスケールの生成を抑制することが可能な水処理剤、並びに水処理剤を用いたスケール除去方法及びスケール抑制方法を提供することができる。
実施例1、2及び比較例1〜4におけるスケール除去量を示すグラフである。 実施例3〜5及び比較例5における腐食減量を示すグラフである。 実施例6〜8及び比較例6、7におけるスケール付着量を示すグラフである。 実施例9〜11及び比較例8、9におけるスケール付着量を示すグラフである。
[水処理剤]
本実施形態に係る水処理剤は、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に添加される水処理剤であって、EDTA二ナトリウムと、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種であるアルカリ金属水酸化物と、水と、からなる。
EDTA二ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムは、いずれも日本において食品添加物として指定されている成分である。このため、本実施形態に係る水処理剤は、人体への安全性が極めて高く、食品加工用のボイラにも好適に使用することができる。
また、本実施形態に係る水処理剤は、シリカ等のスケールの原因となる成分を実質的に含有しないため、薬注装置の不具合等に起因して水処理剤の添加量が過剰になった場合であっても、スケールが生成する虞が低い。このため、本実施形態に係る水処理剤は、伝熱面熱負荷が116kW/m以上となるボイラ(例えば、燃焼室を有さず、火炎がボイラ水管に触れる構造のボイラ)にも好適に使用することができる。
(EDTA二ナトリウム)
EDTA二ナトリウムは、ボイラ給水中に含まれるカルシウムイオン等の硬度成分をキレート化してスケールの生成を抑制するほか、スケールを溶解して除去する役割を担う。
水処理剤中のEDTA二ナトリウムの含有率は、5〜25質量%であることが好ましく、7〜22質量%であることがより好ましく、10〜22質量%であることがさらに好ましい。
水処理剤中のEDTA二ナトリウムと後述するアルカリ金属水酸化物との質量比は、EDTA二ナトリウム/アルカリ金属水酸化物=1/2〜25/1であることが好ましく、1/1.4〜9/1であることがより好ましく、1.4/1〜5/1であることがさらに好ましい。
(アルカリ金属水酸化物)
アルカリ金属水酸化物は、ボイラ缶水のpHを、ボイラ水管の伝熱面を腐食しにくいアルカリ性のpH領域に調整する役割を担う。また、ボイラ缶水をアルカリ性のpH領域に調整することにより、マグネシウム系のスケールの生成を抑制することができる。ボイラ缶水のpH領域は、例えば、11.0〜11.8に調整することが好ましい。
水処理剤中のアルカリ金属水酸化物の含有率(水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとを併用する場合は合計の含有率)は、1〜10質量%であることが好ましく、2.5〜10質量%であることがより好ましく、2.5〜7質量%であることがさらに好ましい。
以下、水処理剤中のアルカリ金属水酸化物の含有率についてさらに説明する。
ボイラ水管のうちスケールが付着していない部分の腐食を抑制するためには、ボイラ缶水をpH10.5以上(好ましくはpH11.0以上)のアルカリ性にする必要がある。この点、ボイラ給水中には炭酸水素イオンが含まれているため、この炭酸水素イオンがボイラ内で熱分解して炭酸イオン及び水酸化物イオンを生じることにより、ボイラ缶水のpHが上昇する(下記反応式を参照)。その結果、ボイラ給水に水処理剤を添加していない状態であっても、ボイラ缶水のpHは11.0〜11.8の範囲に落ち着くことになる。
2NaHCO→NaCO+HO+CO↑(揮発)
NaHCO+HO→2NaOH+CO↑(揮発)
一方、水処理剤に用いられるEDTA二ナトリウムは弱酸性であるため、これをそのままボイラ給水に添加するとボイラ缶水中の炭酸イオン及び水酸化物イオンが消費され、pHの上昇が妨げられる。
EDTA二ナトリウムによってボイラ缶水のpHの上昇が妨げられないようにするには、EDTA二ナトリウムを含有する水処理剤に予めアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)を添加し、EDTA二ナトリウムを中和しておく必要がある。具体的には、EDTA−2NaをEDTA−4Na又はEDTA−2Na2Kにまで中和しておく必要がある。
この中和反応の当量関係は以下のとおりである。
EDTA−2Na(372.2g/mol)+2NaOH(2×40.0g/mol)=EDTA−4Na(416.2g/mol)+2HO(36.0g/mol)
EDTA−2Na(372.2g/mol)+2KOH(2×56.1g/mol)=EDTA−2Na2K(448.4g/mol)+2HO(36.0g/mol)
上記の当量関係から、質量濃度W%であるEDTA二ナトリウムの中和に必要な水酸化ナトリウムの質量濃度WNa%は、WNa%=W%×2×40/372.2=0.215W%となる。同様に、質量濃度W%であるEDTA二ナトリウムの中和に必要な水酸化カリウムの質量濃度W%は、W%=W%×2×56.1/372.2=0.301W%となる。
したがって、水処理剤中のEDTA二ナトリウムの含有率が5〜25質量%である場合には、EDTA二ナトリウムの中和に必要な水酸化ナトリウムの含有率は、(5〜25)×0.215=1.1〜5.4質量%となる。同様に、EDTA二ナトリウムの中和に必要な水酸化カリウムの含有率は、(5〜25)×0.301=1.5〜7.5質量%となる。
なお、アルカリ金属水酸化物は、EDTA二ナトリウムの中和に必要な程度を超えて水処理剤中に含有されていてもよいが、アルカリ金属水酸化物の含有率を高くしすぎると、ボイラ缶水のpHが上がりすぎ、ボイラ水管のアルカリ腐食を招く虞がある。また、アルカリ金属水酸化物の含有率を高くしすぎることは、コストの点でも好ましくない。この観点から、水処理剤中のアルカリ金属水酸化物の含有率は、EDTA二ナトリウムの中和に必要な含有率に対して10倍を超えないことが好ましい。
(水)
本実施形態に係る水処理剤は、上記のEDTA二ナトリウム及びアルカリ金属水酸化物のほかに水を含む。通常、水には微量のシリカが含まれるが、水処理剤中のシリカ濃度は、0.005質量%以下であることが好ましい。
なお、水処理剤中のシリカ濃度は、JIS K0101:1998「工業用水試験法」に記載のモリブデン青吸光光度法に従って測定することができる。
(水処理剤の用途)
本実施形態に係る水処理剤は、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に添加される。
シリカは、カルシウム等の硬度成分と結合してスケールの原因となる成分であるが、水処理剤に含有されるEDTA二ナトリウムによってカルシウムイオン等をキレート化するとともに、水処理剤に含有されるアルカリ金属水酸化物によってボイラ缶水のpHをアルカリ性に調整してシリカの溶解度を高めることにより、スケールの生成を抑制することができる。
また、EDTAは通常、ボイラ水管に対して腐食性を示すが、ボイラ給水のシリカ濃度が10mgSiO/L以上であり、且つ、水処理剤に含有されるアルカリ金属水酸化物によってボイラ缶水のpHをアルカリ性に調整することにより、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムの濃度を後述のように高めた場合であっても、ボイラ水管の腐食を抑えることができる。
ボイラ給水中のシリカ濃度の上限は特に限定されないが、通常、100mgSiO/L以下である。
なお、ボイラ給水中のシリカ濃度は、水処理剤中のシリカ濃度と同様に、JIS K0101:1998「工業用水試験法」に記載のモリブデン青吸光光度法に従って測定することができる。
本実施形態に係る水処理剤は、スケール除去剤として使用することができ、また、スケール抑制剤として使用することもできる。より具体的に、ボイラ水管に付着したスケールを除去する際には、ボイラ給水への水処理剤の添加量を多くすればよく、スケールの生成を抑制する際には、ボイラ給水への水処理剤の添加量を少なくすればよい。
[スケール除去方法及びスケール抑制方法]
本実施形態のスケール除去方法は、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に対して上記の水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を100〜1000mgEDTA/Lに維持するものである。ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を100〜1000mgEDTA/Lに維持することにより、ボイラ水管の腐食を抑えながら、付着したスケールを効果的に除去することができる。本実施形態のスケール除去方法において、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度は、120〜800mgEDTA/Lに維持することが好ましい。
なお、EDTAは通常、ボイラ水管に対して腐食性を示すが、水処理剤中のアルカリ金属水酸化物及びボイラ給水中のシリカの防食作用により、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を100質量ppm以上に高めた場合であっても、ボイラ水管の腐食を抑えることができる。
また、本実施形態のスケール抑制方法は、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に対して上記の水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を5〜30mgEDTA/Lに維持するものである。ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を5〜30mgEDTA/Lに維持することにより、ボイラ水管の腐食を抑えながら、スケールの生成を効果的に抑制することができる。本実施形態のスケール抑制方法において、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度は、10〜30mgEDTA/Lに維持することが好ましい。
以下、EDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度のことを、単に「EDTA濃度」とも記す。
ボイラ給水への水処理剤の添加方法は、ボイラ缶水中のEDTA濃度が上記の範囲に維持される限り特に限定されず、連続的な添加であっても断続的な添加であってもよい。一例としては、水処理剤を貯留した薬剤タンクと薬注ポンプとを備える薬注装置をボイラの給水ラインに設けておく。そして、給水ポンプに同期させて薬注ポンプを作動させることにより、ボイラの濃縮倍率に基づいて計算された量の水処理剤をボイラ給水に対して添加する。
なお、ボイラ水管へのスケールの付着程度は、例えば、ボイラ水管に設けた温度センサにより確認することができる。スケールの熱伝導率はボイラ水管の熱伝導率に比べて非常に小さいため、ボイラ水管にスケールが付着すると火炎の熱がボイラ缶水に伝わりにくくなり、ボイラ水管の温度が上昇する。そこで、ボイラ水管の温度を温度センサにより測定することで、ボイラ水管へのスケールの付着程度を確認することができる。
本実施形態に係る水処理剤、並びに水処理剤を用いたスケール除去方法及びスケール抑制方法によれば、例えば、以下の効果が奏される。
(1)本実施形態に係る水処理剤に含有される水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びEDTA二ナトリウムは、いずれも日本において食品添加物として指定されている成分である。このため、本実施形態に係る水処理剤は、人体への安全性が極めて高く、食品加工用のボイラにも好適に使用することができる。
(2)本実施形態に係る水処理剤は、シリカ等のスケールの原因となる成分を実質的に含有しないため、薬注装置の不具合等に起因して水処理剤の添加量が過剰になった場合であっても、スケールが生成する虞が低い。このため、本実施形態に係る水処理剤は、伝熱面熱負荷が116kW/m以上となるボイラ(例えば、燃焼室を有さず、火炎がボイラ水管に触れる構造のボイラ)にも好適に使用することができる。
(3)本実施形態に係る水処理剤は、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に添加される。EDTAは通常、ボイラ水管に対して腐食性を示すが、水処理剤中のアルカリ金属水酸化物及びボイラ給水中のシリカの防食作用により、ボイラ缶水中のEDTA濃度を例えば100mgEDTA/L以上に高めた場合であっても、ボイラ水管の腐食を抑えることができる。
(4)本実施形態のスケール除去方法では、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に対して上記の水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA濃度を100〜1000mgEDTA/Lに維持する。これにより、ボイラ水管の腐食を抑えながら、付着したスケールを効果的に除去することができる。
(5)本実施形態のスケール抑制方法では、シリカ濃度が10mgSiO/L以上であるボイラ給水に対して上記の水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA濃度を5〜30mgEDTA/Lに維持する。これにより、ボイラ水管の腐食を抑えながら、スケールの生成を効果的に抑制することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例6〜8は、いずれも参考例と読み替えるものとする。
<実験例1:スケール除去実験>
(実施例1)
硬度/シリカ系スケールを付着させた保有水量約0.15Lのボイラに、シリカ濃度20mgSiO/L、硬度0.4mgCaCO/Lの軟水を給水し、大気圧下(100℃)で運転した。その際、表1に示す組成の薬剤Aをボイラ給水に添加し、ボイラ缶水中の薬剤Aの濃度を2500〜3500mg/L(EDTA濃度:375〜525mgEDTA/L)の範囲に維持しながら、2時間毎に全ブローした。そして、8時間運転後にスケール除去量を測定した。結果を図1に示す。
(実施例2、比較例1、2)
薬剤Aの代わりに表1に示す組成の薬剤B〜Dのいずれかを添加し、ボイラ缶水中のEDTA濃度を表1に示す範囲に維持したほかは実施例1と同様にして、8時間運転後のスケール除去量を測定した。結果を図1に示す。
(比較例3)
ボイラ給水中のシリカ濃度を5mgSiO/Lとし、薬剤Aの代わりに表1に示す組成の薬剤Bを添加したほかは実施例1と同様にして、8時間運転後のスケール除去量を測定した。結果を図1に示す。
(比較例4)
薬剤Aを添加しないほかは実施例1と同様にして、8時間運転後のスケール除去量を測定した。結果を図1に示す。
Figure 0006866695
実施例1、2及び比較例2の結果から、ボイラ缶水中のEDTA濃度が高いほどスケール除去効果に優れることが分かる。実用的なスケール除去効果を得るためには、ボイラ缶水中のEDTA濃度を100mgEDTA/L以上に維持することが必要と考えられる。
また、実施例1及び比較例1の結果から、薬剤中のアルカリ金属水酸化物の有無は、スケール除去効果に殆ど影響を与えないことが分かる。
また、実施例2及び比較例3の結果から、ボイラ給水中のシリカ濃度の高低は、スケール除去効果に殆ど影響を与えないことが分かる。
なお、比較例4に示すとおり、ボイラ給水に薬剤を添加しない場合には、スケールを除去することができなかった。
<実験例2:腐食実験>
(比較例5)
硬度/シリカ系スケールを付着させた保有水量約0.15Lのボイラに、シリカ濃度1.7mgSiO/L、硬度0mgCaCO/Lの軟水を給水し、濃縮倍数10倍、0.3MPaの条件で運転した。その際、表1に示す組成の薬剤Bをボイラ給水に添加し、ボイラ缶水中のEDTA濃度を0〜900mgEDTA/Lの範囲に維持した。そして、48時間運転後に腐食減量を測定した。結果を図2に示す。
(実施例3〜5)
ボイラ給水中のシリカ濃度を10mgSiO/L、30mgSiO/L、又は50mgSiO/Lとしたほかは比較例5と同様にして、48時間運転後の腐食減量を測定した。結果を図2に示す。
図2に示すとおり、ボイラ給水中のシリカ濃度が高いほど、ボイラ水管の腐食が起こるEDTA濃度の閾値が上がることが分かる。スケールを除去するためにボイラ缶水中のEDTA濃度を100mgEDTA/L以上に維持する際には、ボイラ給水中のシリカ濃度として10mgSiO/L以上が必要と考えられる。また、一般的なボイラ給水中のシリカ濃度を考慮すると、ボイラ缶水中のEDTA濃度の上限値は1000mgEDTA/L程度と考えられる。
<実験例3:スケール付着実験(1)>
(実施例6〜8及び比較例6、7)
硬度/炭酸系スケールの生成し易い調合水(シリカ濃度:5mgSiO/L、硬度:1.2mgCaCO/L、Mアルカリ度:120mgCaCO/L)を保有水量約0.15Lのボイラに供給し、濃縮倍数10倍、0.3MPaの条件で運転した。その際、表1に示す組成の薬剤Aをボイラ給水に添加し、ボイラ缶水中のEDTA濃度を0〜30mgEDTA/Lの範囲に維持した。そして、48時間運転後にスケールの付着量を測定した。結果を図3に示す。
図3に示すとおり、ボイラ缶水中のEDTA濃度が高いほどスケール抑制効果に優れることが分かる。実用的なスケール抑制効果を得るためには、ボイラ缶水中のEDTA濃度を5mgEDTA/L以上に維持することが必要と考えられる。
<実験例4:スケール付着実験(2)>
(実施例9〜11及び比較例8、9)
硬度/シリカ系スケールの生成し易い調合水(シリカ濃度:60mgSiO/L、硬度:0.5mgCaCO/L)を保有水量約0.15Lのボイラに供給し、濃縮倍数10倍、0.3MPaの条件で運転した。その際、表1に示す組成の薬剤Bをボイラ給水に添加し、ボイラ缶水中のEDTA濃度を0〜30mgEDTA/Lの範囲に維持した。そして、48時間運転後にスケールの付着量を測定した。結果を図4に示す。
図4に示すとおり、ボイラ缶水中のEDTA濃度が高いほどスケール抑制効果に優れることが分かる。実用的なスケール抑制効果を得るためには、ボイラ缶水中のEDTA濃度を5mgEDTA/L以上に維持することが必要と考えられる。

Claims (3)

  1. シリカ濃度が10〜60mgSiOLであるボイラ給水に添加される水処理剤であって、
    エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA二ナトリウム)と、
    水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種であるアルカリ金属水酸化物と、
    水と、のみからなり、
    EDTA二ナトリウムの含有率が5〜25質量%であり、
    アルカリ金属水酸化物の含有率が、EDTA二ナトリウムの中和に必要な含有率以上、かつ、10質量%以下である水処理剤。
  2. シリカ濃度が10〜60mgSiOLであるボイラ給水に対して請求項1に記載の水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を100〜1000mgEDTA/Lに維持するスケール除去方法。
  3. シリカ濃度が10〜60mgSiOLであるボイラ給水に対して請求項1に記載の水処理剤を添加し、ボイラ缶水中のEDTA二ナトリウムのEDTA換算濃度を5〜30mgEDTA/Lに維持するスケール抑制方法。
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