JP6864304B1 - 植物の特性を増強する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遺伝子組み換え技術によることなく、植物の特性を増強する新たな技術を提供することにある。【解決手段】植物組織を凍結する凍結工程と、前記凍結工程を経た植物組織から抽出液を得る。【選択図】図2

Description

本発明は、遺伝子操作によらずに植物の特性を増強する方法に関する。
人類は古来より品種改良手法により有利な性質を有する植物を作出してきた。従来の品種改良法は一定の特性を固定するために長い年月を要するものであったが、世代促進技術の登場により、固定に要する時間を短縮することが可能となっている。しかし、世代促進技術によっても固定には数年を要するという問題があった。そこで、固定の作業を必要としない葯培養などのバイオテクノロジーが開発されている。
また、有利な特性を有する植物を作出する方法として、遺伝子組み換え技術が知られている。遺伝子組み換え技術により、除草剤耐性作物、害虫抵抗性作物、耐病性作物、保存性を増大させた作物が作出されている。
一方、ある特定の処理を施すことで突然変異を誘発し、植物の特性を増強する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ガンマ線照射と染色体倍加処理を行なう工程を含む耐寒性を付与する品種改良方法が開示されている。
また、遺伝子配列に変更を加えることなく、植物の特性を制御する方法が考案されている。例えば、特許文献2には、植物の栄養成長期において、栽培環境中に起因する塩類ストレス、寡照ストレス、強光ストレス、乾燥ストレス、過湿ストレス、高温ストレス、低温ストレス、栄養ストレス、重金属ストレス、病害ストレス、酸素欠乏ストレス、オゾンストレス、COストレス、強風ストレスなどのストレス処理をかけることで、植物の次世代における開花時期を制御する方法が開示されている。
ところで、日本のほとんどの地域は温帯に属し、北海道や東北地方は亜寒帯(冷帯)に属する。そのため、亜熱帯〜熱帯地域で栽培されているような日本の気候での栽培に適していない作物については、輸入に頼っている状況にある。
この問題を解決する画期的な技術として「凍結解凍覚醒法」と呼ばれる技術(特許文献3)が本発明者によって開発され、これまでに非常に優れた多数の実績をあげている。例えば、凍結解凍覚醒法を適用して国産無農薬バナナが生産されており、岡山県産のものは「もんげーバナナ」(登録商標)という名称で販売されている。
凍結解凍覚醒法とは、凍結して解凍した植物組織を栽培することにより、その植物の特性、具体的には、成長速度、耐寒性、耐暑性、高地順応特性及び低地順応特性などの環境順応特性、果実や種子の量や大きさ、甘味度、耐病害虫性、耐乾燥性などを増強する方法である。凍結解凍覚醒法は一定の科、属、種の植物に限定されず、全ての植物に適用可能である。現在まで、230種類を超える品種の栽培に成功している。
特開2006−25632号公報 特開2016−182094号公報 特開2018−183112号公報
本発明の解決しようとする課題は、遺伝子組み換えによることなく、植物の特性を増強する新たな技術を提供することにある。
本発明者は、凍結解凍覚醒法の更なる発展を研究する過程で、凍結工程を経た一の植物組織の抽出液に、他の植物組織を浸漬することにより、当該他の植物組織に対して凍結解凍覚醒法を適用したのと同一の効果を付与できることを発見し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
[1]植物組織を凍結する凍結工程と、前記凍結工程を経た植物組織から生きている植物組織を選抜する選抜工程と、前記選抜工程を経た植物組織から抽出液を得る抽出工程を含み、前記凍結工程における凍結時最低温度は−20℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上である、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性を増強するための抽出液の製造方法。
[2]前記凍結工程において、糖類水溶液中に浸漬した状態で前記植物組織を凍結することを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3]前記糖類がトレハロースであることを特徴とする、[2]に記載の製造方法。
[4]前記選抜工程が、前記凍結工程を経た植物組織に対して発酵処理を行うことを特徴とする、[1]ないし[3]のいずれか1項に記載の製造方法。
[5]前記発酵処理が、前記凍結工程を経た植物組織を外気に放置することによって行われることを特徴とする、[4]に記載の製造方法。
[6]前記放置が、0℃から40℃で行われることを特徴とする、[5]に記載の製造方法。
[7]前記選抜工程において、前記発酵処理後、死んでいる植物組織と生きている植物組織とを分離処理することを特徴とする、[4]ないし[6]のいずれか1項に記載の製造方法。
[8]前記分離処理が、発酵処理された植物組織を洗浄することによって行われることを特徴とする、[7]に記載の製造方法。
[9]前記洗浄が水洗であることを特徴とする、[8]に記載の製造方法。
[10]前記抽出工程が、生きている植物組織に対して破砕処理を行うことを特徴とする、[1]ないし[9]のいずれか1項に記載の製造方法。
[11]前記破砕処理がすりつぶし処理であることを特徴とする、[10]に記載の製造方法。
[12]前記すりつぶし処理が、数十秒から数時間かけて行われることを特徴とする、[11]に記載の製造方法。
[13][1]ないし[12]のいずれか1項に記載の製造方法により製造された、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性を増強するための抽出液。
[14]前記抽出液が糖類または糖アルコールを含むことを特徴とする、[13]に記載の抽出液。
[15]前記糖類または糖アルコールがスクラロース及び/又はトレハロースであることを特徴とする、[14]に記載の抽出液。
[16]前記抽出液が、希釈化されていることを特徴とする、[13]ないし[15]のいずれか1項に記載の抽出液。
[17][13]ないし[16]のいずれか1項に記載の抽出液を乾燥して得られた抽出乾燥物。
[18][13]ないし[16]のいずれか1項に記載の抽出液、または[17]に記載の抽出乾燥物を溶解して得た抽出液に、前記植物特性を増強したい植物組織を浸漬する浸漬工程を含む、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
[19]前記植物特性を増強したい植物組織が前記浸漬工程の前に乾燥されていることを特徴とする、[18]に記載の植物組織の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
[20]前記浸漬工程における浸漬時間が1〜100時間であることを特徴とする、[18]または[19]に記載の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
[21][18]ないし[20]のいずれか1項に記載の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法を適用することにより、前記植物特性が増強された植物組織を生産する方法。
[22][21]に記載の方法を適用することにより得られる、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性が増強された植物組織。
[23][22]に記載の植物組織を栽培する工程を含む、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性が増強された植物の生産方法。
[24][23]に記載の生産方法により生産された、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性が増強された植物。
[25][24]に記載の植物を栽培することにより、前記植物の果実または種子を生産する方法。
[26][25]に記載の方法により生産された果実又は種子。
[27]高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強に関わる遺伝子の探索方法であって、
[18]ないし[20]の何れか一項に記載の方法によって植物を処理する工程と、
(i)前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において高い発現量を示す遺伝子を同定する工程、及び/又は
(ii)前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において低い発現量を示す遺伝子を同定する工程、
を含むことを特徴とする、探索方法。
[28][1]ないし[12]の何れか一項に記載の製造方法により製造した抽出液を分析対象として準備し、
前記凍結工程を経ていない植物組織から抽出した抽出液を比較対象として準備し、
分析対象の抽出液と、比較対象の抽出液と、を比較分析することにより、
分析対象の抽出液に含まれるが比較対象の抽出液には含まれていない成分、又は、比較対象の抽出液に比べて分析対象の抽出液に多くまたは少なく含まれている成分を同定する同定工程を備えることを特徴とする、抽出液の分析方法。
[29][1]ないし[12]の何れか一項に記載の製造方法により製造した抽出液を分析対象として準備し、
前記凍結工程を経ていない植物組織から抽出した抽出液を比較対象として準備し、
分析対象の抽出液と、比較対象の抽出液と、を比較分析することにより、
分析対象の抽出液に含まれるが比較対象の抽出液には含まれていない成分、又は、比較対象の抽出液に比べて分析対象の抽出液に多く含まれている成分を同定する同定工程を備えることを特徴とする、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強の因子の探索方法。
[30]前記同定工程により同定された1種又は2種以上の成分を含む溶液に植物組織又は植物細胞を浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬工程を経た植物組織又は植物細胞において、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性が、浸漬工程を経ていない植物組織又は植物細胞に比べて増強された場合には、前記成分を前記植物特性の増強の因子であると判別する判別工程と、
を備えることを特徴とする、[29]に記載の探索方法。
[31][30]に記載の探索方法を実施する工程と、
前記探索方法により前記植物特性の増強の因子であると判別された前記成分を水性媒体に添加する工程を備えることを特徴とする、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性を増強するための溶液の製造方法。
[32][31]に記載の製造方法により製造した溶液に、前記植物特性を増強したい植物組織を浸漬する浸漬工程を含む、植物組織の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
本発明によれば、数年に及ぶ品種改良法や、遺伝子組み換え法によることなく、特性が増強された植物を得ることができる。また、凍結解凍覚醒法では、個々の植物組織に所定の凍結および解凍という処理を行わなければならないが、本発明においては、いったん凍結解凍覚醒法によって増強された特性を有する植物組織が得られてしまえば、凍結および解凍という手間のかかる処理を行う必要がない。そのため、当該植物組織から単に抽出液に得て、それに浸漬するという簡単な操作で、コストをかけずに時間的にも早く、一度に大量の別の植物組織に対して優れた特性を付与できるという利点がある。これにより、凍結解凍覚醒法による植物の特性増強技術の伝搬スピードが一層加速化され、様々な植物あるいは世界中の地域へ益々大きな広がりをみせることができる。
なお、稲、小麦、小麦、大豆などの穀物は、主食又は飼料として大量消費されるため、膨大な作付面積をもって大量に栽培される。言い換えると、穀物の栽培に際しては、需要に対して十分な量の作物を供給するために、膨大な量の種子を必要とする。
ここで、本発明の特性増強方法は、一度に大量の植物組織に対して優れた特性を付与できるという利点がある。そのため、本発明の特性増強方法は、膨大な量の作付けを要する穀物の種子に対して極めて好適に使用することができる。
試験例1の結果を示す写真である。右が実施例の小麦、左が比較例の小麦である。 試験例1の結果を示す写真である。右列に植えられているものが実施例の小麦、左列に植えられているものが比較例の小麦である。 試験例2の結果を示す写真である。上列に植えられているものが実施例の小麦、下列に植えられているものが比較例の小麦である。 試験例2の実施例の小麦の穂を示す写真である。 試験例2の結果を示す写真である。左が実施例の小麦、右が比較例の小麦である。 試験例4の結果を表す写真である。右列に植えられているものが実施例のトウモロコシ、左列に植えられているものが比較例のトウモロコシである。 試験例4の結果を表す写真である。左が実施例のトウモロコシ、右が比較例のトウモロコシである。 試験例8の結果を示す写真である。左が比較例の人参、右が実施例の人参である。 試験例9の結果を示す写真である。左が比較例の朝鮮人参、右が実施例の朝鮮人参である。
[抽出液の製造方法]
本発明の抽出液の製造方法は植物組織を凍結する凍結工程を含む。
凍結工程に供する植物組織は、いずれの植物種から取得されたものでも構わない。例えばパパイア科(Caricaceae)、パイナップル科(Bromeliaceae)、バショウ科(Musaceae)、ウリ科(Cucurbitaceae)、フトモモ科 Myrtaceae、カタバミ科(Oxalidaceae)、クワ科(Moraceae)、アオイ科(Malvaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、クスノキ科(Laureaceae)、トケイソウ科(Passifloraceae)、ムクロジ科(Sapindaceae)、フクギ科(Clusiaceae)、カキノキ科(Ebenaceae)、ミカン科(Rutaceae)、バンレイシ科(Annonaceae)、ヤシ科(Arecaceae)、サボテン科(Cactaceae)、バラ科(Rosaceae)マメ科(Fabaceae)、イネ科(Poaceae)に属する植物などを例示することができる。
より具体的には、パパイア属(Carica)、アナナス属(Ananas)、バショウ属(Musa)、ラカンカ属 Siraitia、バンジロウ属(Psidium)、ゴレンシ属(Averrhoa)、イチジク属(Ficus)、カカオ属(Theobroma)、コーヒーノキ属(Coffea)、ニッケイ属(Cinnamomum)、トケイソウ属(Passiflora)、レイシ属(Litchi)、フクギ属(Garcinia)、カキノキ属(Diospyros)、カシロミア属(Casimiroa)、バンレイシ属(Annona)、ナツメヤシ属(Phoenix)、ヒモサボテン属(Hylocereus)、サクラ属(Cerasus)、ダイズ属(Glycine)、オオムギ属(Hordeum)、コムギ属(Triticum)、トウモロコシ属(Zea)に属する植物などを例示することができる。
凍結工程に供する植物組織は限定されず、植物の種子、根、芽、茎、葉、花弁などを例示できる。凍結工程に供する際にこれら組織は、そのまま凍結してもよいし、一部を切除し、切片の形態で凍結してもよい。
凍結工程においては、植物組織を液体に浸漬した状態で凍結することが好ましい。植物組織を浸漬する液体としては、DMSO(ジメチルスルホキシド)、グリセリン、エチレングリコール、糖類などの水溶液からなる凍害防御剤を用いることが好ましい。中でも糖類水溶液、特にトレハロース水溶液を用いることが好ましい。
凍結工程における凍結時最低温度の上限は、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下、さらに好ましくは−40℃以下、さらに好ましくは−50℃以下、さらに好ましくは−55℃以下である。
また、凍結時最低温度の下限は、好ましくは−200℃以上、より好ましくは−150℃以上、さらに好ましくは−100℃以上、さらに好ましくは−80℃以上、さらに好ましくは−70℃以上、さらに好ましくは−65℃以上である。
凍結工程においては急速に凍結時最低温度に降下させるのではなく、緩慢に温度降下させることが好ましい。温度降下の速度は、解凍後の生存率の観点から、好ましくは0.8℃/日以下、より好ましくは0.6℃/日以下、より好ましくは0.5℃/日以下、さらに好ましくは0.3℃/日以下、さらに好ましくは0.2℃/日、さらに好ましくは0.1℃/日である。
このように緩慢に温度降下させる場合には、凍結工程においてはプログラムフリーザーを用いることが好ましい。
凍結工程の期間の下限は、好ましくは100日以上、より好ましくは120日以上、さらに好ましくは150日以上、さらに好ましくは160日以上、さらに好ましくは180日以上である。
なお、「凍結工程の期間」とは、植物組織に温度降下を開始した時点から、解凍工程を開始するまでの期間である。
凍結工程を経た植物組織は、凍結状態のまま次の抽出工程に供してもよいが、好ましくは解凍してから抽出工程に供する。解凍の方法は特に限定されない。凍結状態の植物組織を常温に放置することで自然解凍してもよいし、凍結状態の植物組織を流水ですすぎながら解凍してもよい。好ましくは常温で自然解凍することが好ましい。
凍結工程と後述する抽出工程との間に選抜工程を含むことが好ましい。選抜工程は、凍結された植物組織から生きている植物組織を選抜する工程である。
選抜工程の具体的な態様は、生きている植物組織を選抜することができれば制限されない。
選抜工程の好ましい形態としては、凍結工程を経た植物組織を発酵処理することを含む方法が挙げられる。これは生きている植物組織と死んでいる植物組織の微生物による発酵などへの耐性の差異を利用する方法である。
生きている植物組織は微生物の分解などを受けることなく有形の状態を維持する。一方で、死んでいる植物組織は微生物による分解などを受け、軟化又は液状化する。そのため、発酵処理後には、生きている植物組織と死んでいる植物組織を容易に選別することができる。
発酵処理の方法は特に限定されない。凍結工程を経た植物組織を外気に放置することによって行う方法が好ましく例示できる。
この場合、放置する環境の温度の下限は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。上限は、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。
外気に放置する期間は発酵ができれば特に制限されず、好ましくは数日から数週間、具体的には1日〜4週間を目安として挙げることができる。
発酵処理後に、死んでいる植物組織と生きている植物組織とを分離処理することが好ましい。分離処理は、死んでいる植物組織と生きている植物組織が混在するなかから、生きている植物組織を分離できれば、その具体的な態様は特に限定されない。
上述のとおり、発酵処理を経た後、死んでいる植物組織は微生物により分解され、軟化又は液状化する。そのため発酵処理を経た植物組織を洗浄することにより、死んでいる植物組織を容易に流し去り、除去することができる。洗浄としては水洗が好ましく例示できる。
本発明は、凍結工程を経た植物組織から抽出液を得る抽出工程を含む。抽出の方法は特に限定されない。抽出に用いる抽剤は、好ましくは水性溶媒、より好ましくは水又は水溶液が例示できる。
抽剤は、糖類又は糖アルコールを含むことが好ましい。より具体的には、単糖類(ブドウ糖、乳糖、トレオース、アラビノース、キシロース、ガラクトース、リボース、グルコース、ソルボース、フルクトース、マンノース)、二糖類(スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、セロビオース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ネオラクトース、ツラノース、パラチノース)、その他の多糖類(三糖類:ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース、四糖類:アカルボース、スタキオース、グリコーゲン、可溶化デンプン、アミロース、デキストリン、グルカン、β1,3−グルカン、フルクタン、N−アセチルグルコサミン、キチン、キトサン)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール)、オリゴ糖類(ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース、スタキオース、シクロデキストリン、キシロオリゴ糖、セルロースオリゴ糖、ラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖)から選択される1種又は2種以上の糖類又は糖アルコールを含む抽剤を用いることが好ましい。
より好ましくは、糖類又は糖アルコールとしては、スクラロース及びトレハロースを1種又は2種を組み合わせて含む抽剤を用いる。
また、上記糖類又は糖アルコールを含まない抽剤を用いる場合には、抽出工程後に得られた抽出液に上記糖類又は糖アルコールを添加してもよい。
凍結工程を経た植物組織、より具体的には凍結工程を経て生きている植物組織を破砕する破砕処理を行うことが好ましい。破砕処理の方法としては、すりつぶし処理が好ましく例示できる。
すりつぶし処理は、ミキサー、ボールミルなどの破砕機を用いてもよいが、すり鉢を用いてすりつぶすことにより破砕するのが好ましく例示できる。
破砕処理において植物組織にかける応力は特に限定されないが、あまり応力をかけずにやさしく破砕することが好ましい。特に好ましくは、すり鉢とすりこぎ棒を用いてやさしくすりつぶす。
破砕処理にかける時間は特に限定されないが、好ましくは数十秒から数時間である。具体的には、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上が下限として挙げられる。上限としては、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、さらに好ましくは3時間以下とする。
植物組織の破砕処理は、植物組織を抽剤に浸漬した状態で行ってもよいが、好ましくは抽剤を添加する前に行う。すなわち、破砕処理を経た植物組織を抽剤に接触させることで、抽出することが好ましい。
凍結工程を経た植物組織を抽剤に接触、より具体的には植物組織を抽剤に浸漬することで、植物組織に含まれる成分を抽剤へ移動させ、抽出液を得る。
抽出工程後、抽出液を濾過して植物組織の残渣を除去する工程を設けてもよい。
抽出工程において使用する抽剤の量は、特に限定されないが、植物組織1質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。
上限も特に限定されず、植物組織1質量部に対して、抽剤の量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
抽剤への浸漬時間は特に限定されない。浸漬時間の下限は、限定されないが、好ましくは1分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上を目安とすることができる。浸漬時間の上限も限定されないが、好ましくは2日以下、より好ましくは1日以下、さらに好ましくは12時間以下、さらに好ましくは6時間以下を目安とすることができる。
浸漬の際の抽剤の温度も特に限定されない。下限としては、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上が挙げられる。上限としては、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下が挙げられる。
なお、破砕処理により、植物組織に含まれる成分が溶解ないし分散した液体やペーストが得られる場合には、当該液体やペーストも「抽出液」に含まれる。
この場合には、破砕処理そのものが抽出工程を構成することとなる。
[抽出液及び抽出乾燥物]
本発明の抽出液は上記製造方法により製造される。
また、この抽出液を乾燥して溶媒を除去して得られた抽出乾燥物も本発明に含まれる。抽出乾燥物を得る方法は特に限定されないが、噴霧乾燥や凍結乾燥が挙げられる。
なお、本明細書において「抽出液」は、抽出工程を経て一次的に得られた抽出液のみを指す用語ではない。「抽出液」には、一次的に得られた抽出液を任意の液体で希釈した希釈液や、一次的に得られた抽出液を濃縮した濃縮液も含まれる。また、抽出乾燥物を任意の溶液に溶解して得た溶液、言い換えると、一次的に得られた抽出液を溶媒交換したものも「抽出液」に含まれる。
また、上述したように、破砕処理により、植物組織に含まれる成分が溶解ないし分散した液体やペーストが得られる場合には、当該液体やペーストも「抽出液」に含まれる。
本発明の抽出液及び抽出乾燥物は、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強のために用いることができる。また、本発明の抽出液及び抽出乾燥物は、成長特性及び/又は耐寒性の増強のためにも用いることができる。
なお、「高温順応性」は植物本来の最適な生育温度よりも高い温度での生育に順応する特性のことをいう。
「発芽率」とは播種数に対する発芽数の割合のことをいう。種子からの発芽に限らず、根からの発芽(根発芽)や、むかごなどの無性的な繁殖体からの発芽の割合も含む。
「根の張り具合」とは土中における根の張り具合のことをいう。
「豊産性」とは一つの植物個体から収穫される植物組織(種子、果実、根、葉又は茎)の量の豊富さのことをいう。
「耐乾燥性」とは乾燥に対する耐性のことをいう。土壌で生育中の植物のみならず土壌から収穫された後の植物の乾燥に対する耐性も含む。
[特性増強方法]
本発明の特性増強方法は、上述した抽出液に植物の前記特性を増強したい植物組織を浸漬する浸漬工程を含む。
浸漬工程に供する植物組織は、いずれの植物種から取得されたものでも構わない。例えばパパイア科(Caricaceae)、パイナップル科(Bromeliaceae)、バショウ科(Musaceae)、ウリ科(Cucurbitaceae)、フトモモ科 Myrtaceae、カタバミ科(Oxalidaceae)、クワ科(Moraceae)、アオイ科(Malvaceae)、アカネ科(Rubiaceae)、クスノキ科(Laureaceae)、トケイソウ科(Passifloraceae)、ムクロジ科(Sapindaceae)、フクギ科(Clusiaceae)、カキノキ科(Ebenaceae)、ミカン科(Rutaceae)、バンレイシ科(Annonaceae)、ヤシ科(Arecaceae)、サボテン科(Cactaceae)、バラ科(Rosaceae)マメ科(Fabaceae)、イネ科(Poaceae)に属する植物などを例示することができる。
より具体的には、パパイア属(Carica)、アナナス属(Ananas)、バショウ属(Musa)、ラカンカ属 Siraitia、バンジロウ属(Psidium)、ゴレンシ属(Averrhoa)、イチジク属(Ficus)、カカオ属(Theobroma)、コーヒーノキ属(Coffea)、ニッケイ属(Cinnamomum)、トケイソウ属(Passiflora)、レイシ属(Litchi)、フクギ属(Garcinia)、カキノキ属(Diospyros)、カシロミア属(Casimiroa)、バンレイシ属(Annona)、ナツメヤシ属(Phoenix)、ヒモサボテン属(Hylocereus)、サクラ属(Cerasus)、ダイズ属(Glycine)、オオムギ属(Hordeum)、コムギ属(Triticum)に属する植物などを例示することができる。
なお、浸漬工程に用いる抽出液の由来である植物組織の植物種と、浸漬工程に供する植物組織の植物種は、同一であっても異なっていても良い。つまり、ある特定の植物種の植物組織を凍結・抽出して得られた抽出液に、該特定の植物種以外の植物種の植物組織を浸漬しても良い。このような異種間適用であっても、本発明の特性増強方法によれば所望の効果を得ることができる。
浸漬工程に供する植物組織は限定されず、植物の種子、根、芽、茎、葉、花弁などを例示できる。浸漬工程に供する際にこれら組織は、そのまま浸漬してもよいし、一部を切除し、切片の形態で浸漬してもよい。
特性を増強したい植物組織が、浸漬工程の前に乾燥されていることも好ましい。植物組織の表面を乾かす程度でよいので、例えば、同植物組織を2,3日天日乾燥すること等が挙げられる。このほか、ドライヤーなどの乾燥機を用いた乾燥を行ってもよい。これにより、浸漬工程における抽出液の植物組織への浸透効率を高めることができる。
種皮を有する種子を浸漬工程に供する場合には、該種皮の厚さは、好ましくは3cm以下、より好ましくは1cm以下、より好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であることが好ましい。種皮の厚みが上記範囲であれば、抽出液の浸透効率が良く、短時間で抽出液を種子に浸透させることができる。
このような種子としては、大麦、小麦、大豆、稲などの穀物の種子が、本発明を適用する種子の好ましい例として挙げられる。
浸漬時間は特に限定されないが、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上、より好ましくは6時間以上、より好ましくは12時間以上、より好ましくは24時間以上、さらに好ましくは48時間以上、さらに好ましくは60時間以上とする。浸漬時間の上限は、好ましくは300時間以下、より好ましくは200時間以下、さらに好ましくは100時間以下とすることができる。
浸漬工程における抽出液の温度は、同工程中に雑菌が生えないような温度で行うことが好ましい。好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上を目安として挙げることができる。上限としては、好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下、さらに好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下を目安として挙げることができる。
浸漬工程で使用する抽出液は、抽出工程により一次的に得られた抽出液を任意の液体で希釈した希釈液であることが好ましい。抽出工程により一次的に得られた抽出液を希釈することで、一度に多くの植物組織を浸漬工程に供することができ、生産効率を向上させることができる。
希釈倍率は特に限定されない。希釈後の希釈液の体積は、抽出に用いた植物組織の体積の好ましくは100倍以上、より好ましくは1000倍以上、さらに好ましくは5000倍以上、さらに好ましくは8000倍以上とすることができる。このような高い希釈率で希釈しても、本発明の効果を十分に得ることができる。
希釈倍率の上限は特に限定されないが、好ましくは100000倍以下、より好ましくは50000倍以下、さらに好ましくは20000倍以下、さらに好ましくは10000倍以下を目安とすることができる。
また、植物組織に抽剤を添加せずに破砕処理することで得られた液体ないしペーストを希釈することで希釈液を得る場合には、その希釈倍率は、好ましくは100倍以上、より好ましくは1000倍以上、さらに好ましくは5000倍以上、さらに好ましくは8000倍以上とすることができる。このような高い希釈率で希釈しても、本発明の効果を十分に得ることができる。
この場合の希釈倍率の上限は特に限定されないが、好ましくは100000倍以下、より好ましくは50000倍以下、さらに好ましくは20000倍以下、さらに好ましくは10000倍以下を目安とすることができる。
希釈に用いる液は、抽剤と同じく、糖類又は糖アルコールを含む液体であることが好ましい。より具体的には、単糖類(ブドウ糖、乳糖、トレオース、アラビノース、キシロース、ガラクトース、リボース、グルコース、ソルボース、フルクトース、マンノース)、二糖類(スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、トレハロース、セロビオース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ネオラクトース、ツラノース、パラチノース)、その他の多糖類(三糖類:ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース、四糖類:アカルボース、スタキオース、グリコーゲン、可溶化デンプン、アミロース、デキストリン、グルカン、β1,3−グルカン、フルクタン、N−アセチルグルコサミン、キチン、キトサン)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール)、オリゴ糖類(ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース、スタキオース、シクロデキストリン、キシロオリゴ糖、セルロースオリゴ糖、ラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖)から選択される1種又は2種以上の糖類又は糖アルコールを含む液体を希釈のために用いることが好ましい。
より好ましくは、糖類又は糖アルコールとしては、スクラロース及びトレハロースを1種又は2種を組み合わせて含む液体を希釈のために用いる。
浸漬工程においては、抽出液1リットル当たり、好ましくは0.5kg以上、より好ましくは1kg以上、さらに好ましくは1.5kg以上の植物組織を浸漬することが好ましい。
抽出液1リットル当たりに浸漬する植物組織の重量の上限は特に制限は無いが、好ましくは3kg以下、より好ましくは2.5kg以下とすることが好ましい。
浸漬工程においては、植物組織の全体が抽出液に浸かっている状態であることが好ましい。一度に植物組織の全体が抽出液に浸からない場合には、浸漬工程において植物組織を抽出液中で転動したり攪拌したりすることで、植物組織全体に抽出液が接触する状態を実現しても構わない。
浸漬工程に供された植物組織は、凍結解凍覚醒法に供したときと同様に、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性が増強される。
なお、「発芽率」は、浸漬工程に種子を供した場合に得られる効果である。
本発明の特性増強方法により特性が増強された植物組織を栽培することにより、該特性が増強された植物を得ることができる。また、浸漬工程後の植物組織は何らの処理を行うことなく、そのまま播種することができる。
栽培の方法は特に限定されない。浸漬工程に供した植物組織が植物の種子である場合には、これを常法に従い播種し、植物個体を発生させ、常法に従い栽培することができる。
浸漬工程に供した植物組織が種子以外の植物部位である場合には、これをそのまま土壌や培地に移し発芽させてもよいし、また、細かく細断し常法に従い細胞培養を行い、カルス誘導、不定胚誘導、不定芽誘導を行うことで、植物個体を発生させ、栽培することができる。
本発明の特性増強方法の適用を受けた植物から、有性生殖以外の方法により得た次世代の植物は、増強された特性を引き継ぐ。したがって、本発明の特性増強方法により特性が増強された植物を得ることができれば、その植物より得られる、該植物とは独立した植物個体を発生可能な種子以外の植物組織(子株等)から発生した次世代以降の子孫も増強された特性を有する。
また、本発明の特性増強方法の適用を受けた植物は、接ぎ木の穂木として利用した場合であっても、増強された特性を発揮する。
本発明の特性増強方法を適用することにより、果実や種子を実らせる植物については、その果実や種子の大きさや収穫量を向上させることができる。そのため、本発明を果実または種子の生産方法として応用するメリットは非常に大きい。
このようにして生産された果実または種子においては、甘味度をはじめとする栄養成分が増強されており、農産業上の優位性は非常に高い。
[探索方法(1)]
本発明の特性増強方法による処理を受けた植物は、遺伝子発現プロファイルに顕著な変動が起こる。特定の遺伝子の発現量の増減が特性増強の要因であると言える。つまり、本発明の特性増強方法を適用することにより植物細胞内で発現量が増加する遺伝子又は発現量が低下する遺伝子は、植物の特性の増強に関わる遺伝子であるということができる。
したがって、本発明の特性増強方法を適用することにより植物細胞内で発現量が増減する遺伝子を解析し、同定することで、植物の特性の増強遺伝子の探索を行うことが可能である。
すなわち、本発明は、上述の特性増強方法によって植物を処理する工程と、
前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において発現量に相違があった遺伝子を同定する、植物の特性の増強に関わる遺伝子の探索方法にも関する。
具体的には、本発明の探索方法は、上述した本発明の特性増強方法によって植物を処理する工程と、以下の(i)及び/又は(ii)の工程を含む。
(i)前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において高い発現量を示す遺伝子を同定する工程
(ii)前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において低い発現量を示す遺伝子を同定する工程
本発明の探索方法における(i)と(ii)の工程は常法により行うことができる。例えば、マイクロアレイやRNAシーケンスなどのトランスクリプトーム解析によって、本発明の特性増強方法による処理を受けた植物において発現量に変動がある遺伝子を同定することができる。
[スクリーニング方法]
上で述べた通り、本発明の特性増強方法を適用した植物において発現量に変動がある遺伝子が特性増強の要因であるから、当該遺伝子の発現量を指標とすれば、植物の特性増強因子をスクリーニングすることができる。
すなわち、本発明は、被験物質を適用した植物における遺伝子の発現量の変動を指標とした、植物の特性の増強因子のスクリーニング方法にも関する。ここで「被験物質を適用した植物」とは、被験物質を導入させた植物、被験物質で処理した植物、被験物質に接触または暴露させた植物などを含む。
具体的には、上述した本発明の特性増強方法による処理を受けていない植物と比較して、以下の(i)及び/又は(ii)の遺伝子を指標とする。
(i)該処理を受けた植物において高い発現量を示す遺伝子
(ii)該処理を受けた植物において低い発現量を示す遺伝子
そして、被験物質を適用した植物における前記(i)の遺伝子の発現量が、前記被験物質を適用していない植物における前記遺伝子の発現量に比して高いとき、該被験物質を植物の特性の増強因子としてスクリーニングする。
また、被験物質を適用した植物における前記(ii)の遺伝子の発現量が、前記被験物質を適用していない植物における前記遺伝子の発現量に比して低いとき、該被験物質を植物の特性の増強因子としてスクリーニングする。
遺伝子の発現量の確認は、ノザンブロッティングやqPCRなどの常法により行うことができる。
[分析方法]
本発明は、抽出液の分析方法にも関する。
具体的には、上述した本発明の抽出液の製造方法により製造した抽出液を分析対象として準備する。また、比較対象として、凍結工程を経ていない植物組織から抽出した抽出液を準備する。
精度の高い分析を実現するため、比較対象の抽出液の製造条件は、分析対象の抽出液の製造条件と、凍結工程の有無以外の条件を一致させることが好ましい。
準備した分析対象の抽出液と比較対象の抽出液を比較分析する。
比較分析の手法は常法により行うことができ、質量分析計(LC−MS、GC−MSなど)が好適に例示できる。
比較分析によって、分析対象の抽出液に含まれるが比較対象の抽出液には含まれていない成分、又は、比較対象の抽出液に比べて分析対象の抽出液に多くまたは少なく含まれている成分を同定する。
同定の方法は特に限定されない。例えば、比較分析において質量分析計を用いる場合にはマススペクトルを比較し、特徴的なピークに対応する成分を同定する方法が挙げられる。この場合、m/z値から化合物を検索できるデータベースを利用してもよいし、当該ピークに対応する成分を単離し、これをNMR測定に供することで成分を同定してもよい。
本発明の分析方法を用いて、比較対象の抽出液と分析対象の抽出液の成分比較分析を行うことによって、凍結工程により植物組織にもたらされる変化を把握することができ、ひいては本発明の特性増強方法の作用機序の詳細を明らかにすることができる。
[探索方法(2)]
本発明は、植物の特性増強の因子の探索方法にも関する。ここで、「植物の特性増強の因子」とは、本発明の抽出液に含まれている成分であって、植物組織、植物細胞またはそれらより発生させた植物に作用して、特性の増強を導くことのできる成分である。
具体的には、上述した本発明の抽出液の製造方法により製造した抽出液を分析対象として準備する。また、比較対象として、凍結工程を経ていない植物組織から抽出した抽出液を準備する。
精度の高い分析を実現するため、比較対象の抽出液の製造条件は、分析対象の抽出液の製造条件と、凍結工程の有無以外の条件を一致させることが好ましい。
準備した分析対象の抽出液と比較対象の抽出液を比較分析する。
比較分析の手法は常法により行うことができ、質量分析計(LC−MS、GC−MSなど)が好適に例示できる。
比較分析によって、分析対象の抽出液に含まれるが比較対象の抽出液には含まれていない成分、又は、比較対象の抽出液に比べて分析対象の抽出液に多くまたは少なく含まれている成分を同定する。
同定の方法は特に限定されない。例えば、比較分析において質量分析計を用いる場合にはマススペクトルを比較し、特徴的なピークに対応する成分を同定する方法が挙げられる。この場合、m/z値から化合物を検索できるデータベースを利用してもよいし、当該ピークに対応する成分を単離し、これをNMR測定に供することで成分を同定してもよい。
本発明の好ましい形態では、さらに浸漬工程と判別工程を備えていてもよい。
浸漬工程では、同定工程により同定された1種又は2種以上の成分を含む溶液に植物組織又は植物細胞を浸漬する。
植物組織を浸漬する実施形態については、上述した本発明の特性増強方法に関する浸漬工程の説明がそのまま妥当する。
植物細胞を浸漬する場合には、培養容器に植物細胞を播種し、前記成分を含む培養液により培養する実施形態としてもよい。
判別工程では、浸漬工程を経た植物組織又は植物細胞において、浸漬工程を経ていない植物組織又は植物細胞によりも、植物の特性が増強された場合には、前記成分を植物の特性増強の因子であると判別する。
判別工程の具体的な実施形態として、浸漬工程を経た植物組織又は植物細胞より発生した植物と、浸漬工程を経ていない植物組織又は植物細胞により発生した植物とを観察する形態が挙げられる。
具体的には、判別工程において、浸漬工程を経た植物組織又は植物細胞より発生させた植物の特性を観察し、浸漬工程を経ていない植物組織又は植物細胞より発生させた植物よりも、該植物の特性の増強が観察された場合には、前記成分を植物の特性増強の因子であると判別する。
ここで観察する植物の特性は高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性である。
また、判別工程において、遺伝子解析手法により判別を行う実施の形態としてもよい。
具体的には、上記[探索方法(1)]の項に記載の方法で同定した遺伝子の発現量を分析し、同項に記載の(i)で同定した遺伝子の発現量の向上が観察された場合や、同項に記載の(ii)で同定した遺伝子の発現量の低下が観察された場合に、前記成分を植物の特性増強の因子であると判別する。
遺伝子の発現量の増減は、ノザンブロットやqPCRなどにより容易に確認することができる。
[植物の特性を増強するための溶液、その製造方法及び特性増強方法]
本発明は、植物の特性を増強するための溶液及びその製造方法にも関する。
植物の特性を増強するための溶液は、上記[探索方法(2)]に記載の本発明の探索方法により、植物の特性増強の因子であると判別された成分を水性媒体に添加することで製造することができる。
水性媒体としては、上記[特性増強方法]の項で説明した、抽出液の「希釈に用いる液」が好適に挙げられる。
水性媒体に添加する成分は、植物組織より抽出して得たものであってもよい。より好ましくは植物抽出液より単離・精製することで、前記成分を得る。
また、前記成分は、人工的に合成することで得たものであってもよい。合成手法は化学的手法や分子生物学的手法の何れであってもよい。
前記成分がタンパク質である場合には、適宜の細胞・細菌に当該タンパク質の発現ベクターを導入してタンパク質を発現させ、これを抽出することで得ることができる。前記成分がRNAである場合には、常法に従い適宜の核酸合成法により化学合成することができる。前記成分が多糖類である場合には、加水分解逆反応法、溶融法、溶媒法などの方法により化学合成することができる。また、前記成分が低分子化合物である場合には、適宜の有機化学的合成法により合成することができる。
このようにして製造した溶液に、植物の特性を増強したい植物組織を浸漬することで、当該植物組織の特性を増強することができる。かかる特性増強方法の実施の形態については、上記[特性増強方法]の説明がそのまま妥当する。
<試験例1>パパイア抽出液を用いた小麦の特性増強
市販のパパイアの種子をトレハロース水溶液に浸漬した状態で、プログラムフリーザー内に静置し凍結した。凍結は0.5℃/日の温度降下速度で180日間かけて緩慢に行い、凍結時最低温度が−60℃となるように行った。
凍結したパパイアの種子を室温(25℃)で自然解凍した。これを1週間、外気(25℃)に放置した。凍結工程で死んだ種子は外気下での放置によって発酵し、軟化ないし液状化した。種子をザルに載せて水洗することで、この発酵した種子(つまり死んだ種子)を洗い流し、生きている種子のみを選別した。
ザルに残った、生きている種子をすり鉢とすりこぎ棒を用いて優しくすりつぶして破砕してペーストを得た。ペースト1ccをスクラロース及びトレハロースの水溶液で10Lに希釈し(約8000倍から10000倍に希釈)、希釈された抽出液を調製した。
希釈された抽出液10Lに対し、20kgの小麦「ふくほのか」の種子を浸漬し、72時間置いた。なお、浸漬した種子は、浸漬の前に2、3日天日で自然乾燥された状態のものを使用した。
この浸漬工程を経た種子を2019年9月30日に岡山県高梁市有漢町上有漢の畑において播種した。比較例として、同品種の無処理の種子も播種した。なお、栽培地は12月には氷点下となるような寒さが厳しい地域に位置する。
図1に2019年11月2日時点における比較例と実施例の小麦を撮影した写真を示す。また、図2に2019年11月13日時点における比較例と実施例の小麦の栽培状況を撮影した写真を示す。
図1及び図2に示すように、比較例の小麦に比べ、実施例の小麦は顕著に成長速度が向上している。実施例の小麦は、播種してから3〜4日で芽を出し、成長速度も均一で、比較例の小麦に比べて、まばらな成長がみられない。また、根もしっかり張っており、葉の緑色も、比較例の小麦に比べて濃かった。おそらく葉緑素の量が異なっていると思われる。また、このように成長速度が速いという点は、雑草を生えにくくするので、除草剤が要らないというメリットが得られる可能性がある。また、栽培地が寒さの厳しい地域であることに照らせば、実施例の小麦には耐寒性の向上も認めることができる(図2参照)。
さらに、実施例の小麦の種子の発芽率は比較例の小麦の種子に対して高いことが確認された。また、実施例の小麦の収穫量も比較例の小麦より多かった。
また、土壌から抜いた実施例と比較例の小麦をしばらく外気下に放置した。放置後の実施例の小麦は比較例の小麦の手触りを確認したところ、実施例は比較例に比して明らかにしっとりしていた。つまり、実施例の小麦は比較例の小麦と比較して、明らかに水分が保持されていた(図1参照)。
以上の結果は、凍結工程を経た植物組織より抽出した抽出液に、植物組織を浸漬することで、浸漬した植物組織及び該植物組織より発生する植物に、成長特性と耐寒性、並びに発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性の増強効果をもたらすことができることを示している。
<試験例2>パパイア抽出液を用いた小麦の特性増強
試験例1と同様の手順により、パパイア種子の抽出液に浸漬した小麦の種子を得た。これを宮崎県宮崎市内の農場に2019年11月に播種して栽培を行った。比較例として、同品種の無処理の種子も播種した。
図3に翌2020年1月末(約90日後)における実施例と比較例の小麦の写真を示す。また図4に同日に撮影した実施例の小麦の穂の写真を示す。さらに図5は、2020年3月5日に実施例と比較例の小麦を採取したときの写真を示す。
実施例の小麦には顕著な成長速度の向上(比較例に対し約3倍)が観察され(図3参照)、しかも1月末の寒さにも関わらず結実が観察された(図4参照)。そして、試験例1と同様、成長速度の均一性の向上(図3参照)、根の張り具合の強化が観察された。また、栽培時期が11月〜1月という冬期であるにも関わらず顕著な速度で成長し、かつ、結実したことに照らせば、実施例の小麦には耐寒性の向上も認められる(図3及び図4参照)。また、早朝、比較例の小麦には多量の霜が降りていたが、実施例の小麦には霜が一切降りていなかった。霜は植物の枯死の原因となるものであり、通常は霜よけなどの対策が必要であるが、実施例の小麦は霜よけが不要であり、寒冷地での栽培に非常に好適であるものと認められる。
また、3月5日に小麦を採取したときの状況では、右側の比較例は、穂を全くつけていないのに対し、左側の実施例は3倍以上の丈に成長し、多くの穂をつけていた(図5参照)。驚くべきことに、これらはそれぞれ1粒の種から成長させたものであり、実施例は比較例に比べて、茎数が多く、穂数も多かった。このような結果は、小麦の二期作を可能にすることを示唆するものと思われる。なお、実施例および比較例ともに、肥料は全く与えていない。
さらに、実施例の小麦の種子の発芽率は比較例の小麦の種子に対して高いことが確認された。また、試験例1と同様に耐乾燥性の向上も認められた。
以上の結果は、凍結工程を経た植物組織より抽出した抽出液に、植物組織を浸漬することで、浸漬した植物組織及び該植物組織より発生する植物に、成長特性と耐寒性、並びに発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性の増強効果をもたらすことができることを示している。
<試験例3>小麦抽出液を使用した小麦の特性増強
抽出液の調製にパパイアの種子に代えて小麦の種子を使用した以外は、試験例1と同様の手順で試験を行った。つまり、凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製し、その抽出液に小麦の種子を浸漬し、この種子を畑に播種して栽培を行った。
その結果、試験例1及び試験例2の結果と同様に、処理を受けた小麦は、無処理の小麦に比べて、成長特性および耐寒性並びに発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性の顕著な向上が認められた。
試験例1〜3の結果は、浸漬工程に用いる抽出液の由来である植物組織の植物種と、浸漬工程に供する植物組織の植物種は、同一であっても異なっていても良いことを示している。つまり、本件発明は同種間適用と異種間適用の何れもが可能であることを示している。
<試験例4>パパイア抽出液を使用したトウモロコシの特性増強
試験例1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例1と同様の方法によりトウモロコシの種子を当該抽出液に浸漬した。このトウモロコシの種子を2019年の年末に中国の海南省(海南基地)において栽培したところ(11月29日に播種)、無処理のトウモロコシの種子を栽培した場合に比べて、成長特性および耐寒性の顕著な向上が認められた(図6、7参照)。小麦と同様、色が濃く、根がしっかりと張っていた。また、処理したトウモロコシは無処理のトウモロコシに比べて約4倍の収穫量があった。栽培地は台風が多い地域でもあるが、根がしっかり生えているので、風で倒れることなく、これが収穫量の良さにつながっていくと思われる。
さらに実施例のトウモロコシは成長速度が均一であることが確認された(図6)。また、実施例のトウモロコシの種子は、比較例の種子に対して高い発芽率を示した。
<試験例5>パパイア抽出液を使用した大豆の特性増強
試験例1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例1と同様の方法により大豆の種子を当該抽出液に浸漬した。この大豆の種子を中国の寒冷地において栽培したところ、無処理の大豆の種子を栽培した場合に比べて、成長特性および耐寒性の顕著な向上が認められた。
また、試験例1〜5と同様に、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性の向上も認められた。
<試験例6>パパイア抽出液を使用した小麦の特性増強
試験例1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例1と同様の方法により小麦の種子を当該抽出液に浸漬した。この小麦の種子を中国の寒冷地において栽培したところ、無処理の小麦の種子を栽培した場合に比べて、成長特性および耐寒性の顕著な向上が認められた。
また、試験例1と同様に、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性の向上も認められた。
<試験例7>パパイア抽出液を使用した小麦の特性増強
試験例1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例1と同様の方法により小麦の種子を当該抽出液に浸漬した。この小麦の種子をロシアの永久凍土に播種したところ、播種から僅か2か月での収穫に至った。また、その収穫量は1ヘクタール当たり13トンであり、通常の4倍の収穫量であった。栽培地が永久凍土であるため、雑草の根が張らない。また、成長速度が速いため、土の養分をすべて吸収する。そのため、栽培には除草剤の使用も不要であった。また、地面を掘り返し、実施例の小麦の根の状態を観察したところ、完全に凍結している凍土にまで根を張っていた。試験例7を実施した時期における降水量は、小麦の栽培に必要な水量を賄うには足りないものであるが、実施例の小麦は凍土に含まれる氷より水分を吸収して成長していたものと推察される。また、実を刈り取った後の、残りの葉や茎などを入れて、一緒に土地を耕せば、養分を土に戻すことができるので、土壌負荷が少ない農業ができるものと思われる。また、試験例1と同様に発芽率、成長均一性、耐乾燥性の向上も認められた。
この結果は、本発明の適用により、植物の成長特性、耐寒性、豊産性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、耐乾燥性を顕著に向上できることを示している。
<試験例8>小麦抽出液を用いた人参の特性増強
小麦の種子をトレハロース水溶液に浸漬した状態で、プログラムフリーザー内に静置し凍結した。凍結は0.5℃/日の温度降下速度で180日間かけて緩慢に行い、凍結時最低温度が−60℃となるように行った。
凍結した小麦の種子を室温(25℃)で自然解凍した。これを1週間、外気(25℃)に放置した。凍結工程で死んだ種子は外気下での放置によって発酵し、軟化ないし液状化した。種子をザルに載せて水洗することで、この発酵した種子(つまり死んだ種子)を洗い流し、生きている種子のみを選別した。
ザルに残った、生きている種子をすり鉢とすりこぎ棒を用いて優しくすりつぶして破砕してペーストを得た。ペースト1ccをスクラロース及びトレハロースの水溶液で10Lに希釈し(約8000倍から10000倍に希釈)、希釈された抽出液を調製した。
希釈された抽出液に人参の種子を浸漬し、72時間置いた、この浸漬工程を経た種子を2020年5月21日岐阜県各務原市の土壌に播種し、栽培を開始した。なお、比較例として、本発明の処理を施していない人参の種子を実施例と同値、同条件にて播種し、栽培した。
図8に土壌栽培開始より38日経過後の時点における実施例と比較例の人参の栽培状況を撮影した写真を示す。図示するように、比較例は発芽しないものが多く、実施例の種子は、ほとんどの種子が発芽した。一般に人参種子は、発芽しにくいことが知られている。本願発明の適用を受けた人参種子は発芽率の改善効果が認められた。また発芽した苗の成長速度において、比較例は緩慢であったのに対し、実施例の人参は極めて速く、比較例よりも早く収穫することができた。さらに、人参は比較的冷涼な気候を好み、直根肥大の時期は高温に弱いことが知られている。実施例では、土壌栽培開始後38日経過後(図8参照)の時期で既に約4センチの直根肥大が確認されており、夏の高温時期に収穫することができた。
上述の通り、本発明の適用を受けた人参は、発芽率および成長促進、高温順応性の向上を示した。この結果は、発芽率の難しい作物に対して適用したときに高い発芽誘導効果があることを示している。そして冷涼な気候を好む作物であっても、高温順応性が向上した結果、成長特性の増強効果を示したといえる。
<試験例9>小麦抽出液を用いた朝鮮人参の特性増強
試験例8と同様の手順により小麦の種子の抽出液を得た。希釈された抽出液に朝鮮人参の根を浸漬し、72時間置いた。この浸漬工程を経た根を2020年5月11日に岡山県加賀郡吉備中央町の畑の土壌に植え、栽培を開始した。なお、比較例として、本発明の処理を施していない朝鮮人参の根を実施例と同条件にて同時に同地で栽培した。
図9に土壌栽培開始より42日(6週間)経過後の2020年6月22日時点における実施例と比較例の朝鮮人参の栽培状況を撮影した写真を示す。図示するように、比較例の朝鮮人参は根より発芽しないものも多く、発芽したとしてもその成長速度は緩慢であった。
一方で、実施例の朝鮮人参は栽培した全ての根より発芽し、その成長速度は極めて速く、比較例の数倍の速度で成長することが確認された。
さらに、朝鮮人参は比較的冷涼な気候を好み、直根肥大の時期は高温に弱いことが知られている。実施例では、土壌栽培開始後42日経過後(図9参照)の時期で既に直根肥大が確認されており、夏の高温時期に収穫することができた。
上述の通り、本発明の適用を受けた朝鮮人参は、発芽率および成長促進、高温順応性の向上を示した。この結果は、発芽率の難しい作物に対して適用したときに高い発芽誘導効果があることを示している。そして冷涼な気候を好む作物であっても、高温順応性が向上した結果、成長特性の増強効果を示したといえる。
<試験例10>その他の植物
以下に列挙する植物の種子を試験例1と同様の方法により、パパイアの種子から抽出した抽出液で処理し、播種して栽培した。なお、栽培は日本の岡山県で行った。
コーヒー、チリヘーゼルナッツ、ゴールデンエッグフルーツ、バナナ、ドワーフココナッツ、カカオ、ライチ、パームヤシ、山椒、ドリアン、カシューナッツ、キャロブ、ポポーマンゴー、アカシア、ヒノキ、パイナップル、グアバ、アサイー、デーツ、バクパリ、ダニエリ
その結果、上に列挙した何れの植物種においても、抽出液の処理により成長特性及び耐寒性、並びに発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性の増強が確認された。
この結果は、本発明の特性増強方法は全ての植物種について有効であることを示している。
<考察>
植物組織を凍結する凍結工程を経る方法、すなわち、凍結解凍覚醒法(特許文献3)の適用により、植物の特性、具体的には、成長速度、耐寒性、耐暑性、高地順応特性及び低地順応特性などの環境順応特性、果実や種子の量や大きさ、甘味度、耐病害虫性、耐乾燥性などを増強することができる。特性を増強することができる植物種は特に限定されず、パパイア、パイナップル、バナナ、コーヒー、羅漢果、グアバ、スターフルーツ、いちじく、カカオ、セイロンシナモン、パッションフルーツ、ライチ、マンゴスチン、ブラックサポテ、ホワイトサポテ、棘葉シュガーアップル、デーツ椰子、レッドドラゴンフルーツ、アーモンド、大豆、小麦、大麦、トウモロコシなど、これまでに試験した全ての植物種で所望の効果が得られることが確認できている。ここに列挙した植物種からも明らかなとおり、凍結解凍覚醒法は、特定の系統の植物にしか適用できない技術ではなく、植物種全般にわたって適用可能な普遍的な技術である。
植物の遺伝子はその97%が眠っていると言われている。凍結解凍覚醒法による処理を受け特性が増強された植物についてDe novo RNA−seqにより発現解析を行うと、処理群については未処理群と比較して数千の遺伝子の発現量に変化があることが最近明らかとなっている。
解析の結果、植物ホルモンなど成長に関わる遺伝子の発現上昇や、塩、高温、低温、乾燥など各種環境ストレス応答に関わる遺伝子の発現上昇が観察される。
凍結解凍覚醒法により増強された特性が、成長や株分けによっても失われることなく引き継がれるという事実は、上述の遺伝子発現プロファイルは細胞分裂によっても喪失しないということを示している。
以上述べたように、遺伝子発現プロファイルの変化と維持が観察されることからして、凍結解凍覚醒法による特性増強にはエピジェネティックな変化が関与していることが明らかである。
つまり、凍結工程を引き金として、上述した植物の特性の増強を導く遺伝子がコードされた領域においては、発現を正に制御するエピジェネティックマーカーが付与されることで当該遺伝子の転写が活性化していることが理解できる。逆に上述した植物の特性を制御する方向に作用する遺伝子がコードされた領域においては、その発現を抑制するエピジェネティックマーカーが付与されることで当該遺伝子の転写が抑制されていることが理解できる。
この知見に基づき本明細書の試験例の結果を考察する。試験例1〜8に示すように、凍結工程を経た植物組織の抽出液に浸漬した植物組織においては、凍結解凍覚醒法の適用を受けた場合と同様の特性増強が観察されている。つまり、本発明の適用を受けた植物組織においても、凍結解凍覚醒法の適用を受けた植物組織と同様のエピジェネティックな遺伝子発現プロファイルの変化が生じているものと理解することができる。
実際に本発明の特性増強方法を適用した数種の植物を試料としてDe novo RNA−seqにより発現解析を行ったところ、本発明の適用を受けた植物と凍結解凍覚醒法の適用を受けた植物とで同様の遺伝子発現プロファイルの変動が観察された。
本発明と凍結解凍覚醒法の共通点は凍結工程である。この共通点に照らして考察すると、凍結工程を引き金として、エピジェネティック変化とそれに起因する特性増強を惹起する、何らかの特定因子が生じることが合理的に導き出される。
凍結解凍覚醒法においては、凍結工程を経ることで発生した前記特定因子が、植物細胞に作用することで、エピジェネティックな変化を誘起していることが考えられる。
一方で、本発明においては、凍結工程を経ることで発生した前記特定因子が抽出液に含まれており、当該抽出液に浸漬された植物組織を構成する細胞にこの特定因子が作用することで、凍結解凍覚醒法と同様のエピジェネティックな変化を植物細胞にもたらしているものと理解される。
つまり、本発明は、上述した特定因子を介することにより、凍結解凍覚醒法と同様の特性増強効果を発揮するものと考えられる。換言すると、凍結解凍覚醒法により増強できる植物の特性を、本発明の適用によっても増強できることが理解できる。
また、凍結解凍覚醒法は制限なく全ての植物種に適用可能であること、並びに、試験例1〜8において様々な種の植物において本発明の効果が確認できたことに照らせば、本発明も凍結解凍覚醒法と同様に、特定の系統の植物にしか適用できない技術ではなく、植物種全般にわたって適用可能な普遍的な技術であることが理解できる。
さらに、パパイア由来の抽出液を系統的に離れた多数の植物種に適用することでも特性増強が可能であることを実証した試験例1、2、4〜10の結果は特筆すべきものがある。植物の遺伝子の塩基配列、タンパク質のアミノ酸配列、植物ホルモンについて見ると、系統的に遠く離れた異種間においても高い相同性を有することが知られている。これら試験例の結果は、この異種植物間の高度の相同性に基づく、本発明の異種間適用の広範性を証明するものであるといえる。
つまり、前記特定因子は、ある特定の植物種にのみ適合するものではなく、広く植物一般に適合する高い異種適合性を有する因子であることが合理的に理解できる。そのため、本発明においては、抽出液の由来である植物種と、浸漬工程に供する植物種が、どのような組み合わせであっても、所望の効果を得られることが理解できる。
また、試験例1〜7及び10においては耐寒性の増強効果が観察されているが、試験例8、9においては高温順応性の増強効果が観察されている。この結果は、本発明が耐寒性と高温順応性のどちらかを択一的に増強するということではなく、植物の生育適正温度域を拡張(生育温度適応性の向上)していることを示している。これは本発明の適応を受けた植物の遺伝子発現解析の結果からも裏付けられる。
本発明は農作物の生産技術に適用できる。

Claims (26)

  1. 植物組織を凍結する凍結工程と、前記凍結工程を経た植物組織から生きている植物組織を選抜する選抜工程と、前記選抜工程を経た植物組織から抽出液を得る抽出工程を含み、前記凍結工程における凍結時最低温度は−20℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上である、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性を増強するための抽出液の製造方法。
  2. 前記凍結工程における凍結時最低温度は−55℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.6℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は160日以上であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記凍結工程において、糖類水溶液中に浸漬した状態で前記植物組織を凍結することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記糖類がトレハロースであることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  5. 前記選抜工程が、前記凍結工程を経た植物組織に対して発酵処理を行うことを特徴とする、請求項1ないしのいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記発酵処理が、前記凍結工程を経た植物組織を外気に放置することによって行われることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  7. 前記放置が、0℃から40℃で行われることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  8. 前記選抜工程において、前記発酵処理後、死んでいる植物組織と生きている植物組織とを分離処理することを特徴とする、請求項ないしのいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記分離処理が、発酵処理された植物組織を洗浄することによって行われることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  10. 前記洗浄が水洗であることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
  11. 前記抽出工程が、生きている植物組織に対して破砕処理を行うことを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記破砕処理がすりつぶし処理であることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記すりつぶし処理が、数十秒から数時間かけて行われることを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
  14. 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の製造方法により製造された、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性を増強するための抽出液(ただし、前記植物組織として藻類を用いる場合を除く)
  15. 前記抽出液が糖類または糖アルコールを含むことを特徴とする、請求項14に記載の抽出液。
  16. 前記糖類または糖アルコールがスクラロース及び/又はトレハロースであることを特徴とする、請求項15に記載の抽出液。
  17. 前記抽出液が、希釈化されていることを特徴とする、請求項14ないし16のいずれか1項に記載の抽出液。
  18. 請求項14ないし17のいずれか1項に記載の抽出液を乾燥して得られた抽出乾燥物。
  19. 請求項14ないし17のいずれか1項に記載の抽出液、または請求項18に記載の抽出乾燥物を溶解して得た抽出液に、前記植物特性を増強したい植物組織を浸漬する浸漬工程を含む、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
  20. 前記植物特性を増強したい植物組織が前記浸漬工程の前に乾燥されていることを特徴とする、請求項19に記載の植物組織の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
  21. 前記浸漬工程における浸漬時間が1〜100時間であることを特徴とする、請求項19または20に記載の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法。
  22. 請求項19ないし21のいずれか1項に記載の高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強方法を適用することにより、前記植物特性が増強された植物組織を生産する方法。
  23. 高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強に関わる遺伝子の探索方法であって、
    請求項19ないし21の何れか一項に記載の方法によって植物を処理する工程と、
    (i)前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において高い発現量を示す遺伝子を同定する工程、及び/又は
    (ii)前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において低い発現量を示す遺伝子を同定する工程、
    を含むことを特徴とする、探索方法。
  24. 請求項1ないし13の何れか一項に記載の製造方法により製造した抽出液を分析対象として準備し、
    前記凍結工程を経ていない植物組織から抽出した抽出液を比較対象として準備し、
    分析対象の抽出液と、比較対象の抽出液と、を比較分析することにより、
    分析対象の抽出液に含まれるが比較対象の抽出液には含まれていない成分、又は、比較対象の抽出液に比べて分析対象の抽出液に多くまたは少なく含まれている成分を同定する同定工程を備えることを特徴とする、抽出液の分析方法。
  25. 請求項1ないし13の何れか一項に記載の製造方法により製造した抽出液を分析対象として準備し、
    前記凍結工程を経ていない植物組織から抽出した抽出液を比較対象として準備し、
    分析対象の抽出液と、比較対象の抽出液と、を比較分析することにより、
    分析対象の抽出液に含まれるが比較対象の抽出液には含まれていない成分、又は、比較対象の抽出液に比べて分析対象の抽出液に多く含まれている成分を同定する同定工程を備えることを特徴とする、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性の増強の因子の探索方法。
  26. 前記同定工程により同定された1種又は2種以上の成分を含む溶液に植物組織又は植物細胞を浸漬する浸漬工程と、
    前記浸漬工程を経た植物組織又は植物細胞において、高温順応性、発芽率、成長均一性、根の張り具合、豊産、耐乾燥性から選ばれる1種又は2種以上の植物特性が、浸漬工程を経ていない植物組織又は植物細胞に比べて増強された場合には、前記成分を前記植物特性の増強の因子であると判別する判別工程と、
    を備えることを特徴とする、請求項25に記載の探索方法。
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