JP6989918B1 - 植物の耐病性の向上方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この問題を解決する画期的な技術として「凍結解凍覚醒法」と呼ばれる技術(特許文献3)及びその改良技術である「酵素液法」と呼ばれる技術(特許文献4及び5)が本発明者によって開発され、これまでに非常に優れた多数の実績をあげている。例えば、凍結解凍覚醒法を適用して国産無農薬バナナが生産されており、岡山県産のものは「もんげーばなな」(登録商標)、「田中節三バナナ」(登録商標)、千葉県産のものは「奇跡のバナナ」(登録商標)という名称で販売されている。また、酵素液法を適用して小麦や米などの穀物が生産されている。
植物の病害として例えばべと病(Dawny mildew)が知られている。べと病はべと病菌によって起こる病害であり、ツユカビ科の数種の属の糸状菌(かび)によって発生する伝染性(空気および水媒伝染)の病気である。これらの属はそれぞれいくつかの種を含んでいるが、わが国で農作物に被害をもたらす代表的な属はプシュウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)、ペロノスポラ(Peronospora)、プラズモパラ(Plasmopara)、ブレミア(Bremia)の4属である。
また、遺伝子組み換えや薬剤を使用せずに、植物が本来有する免疫応答反応を強化する方法も知られていない。
上記課題を解決する本発明は、以下の通りである。
前記凍結工程における凍結時最低温度は-20℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上であり、
前記耐病性が、べと病に対する耐性、鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性、シュードモナス・シリンガエ感染症への耐性及びさび病耐性から選ばれる1種又は2種以上の耐病性であり、
以下の(A)又は(B)に従って行われることを特徴とする、植物の耐病性の向上方法。
(A)耐病性を向上させたい前記対象植物の植物組織を前記凍結工程に供することで、該対象植物の前記耐病性を向上する。
(B)前記対象植物とは別の植物組織を前記凍結工程に供し、該別の植物組織より得た抽出液に、耐病性を向上させたい前記対象植物を接触させることで、該対象植物の前記耐病性を向上する。
[2] 植物組織を凍結する凍結工程を含む、対象植物における耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する方法であって、
前記凍結工程における凍結時最低温度は-20℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上であり、
前記対象植物における耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動が、RPPL1(Putative disease resistance RPP13-like protein 1)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、FLS2(Flagellin sensing 2)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、LRK10(Rust resistance kinase Lr10)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇及びUGT74F2(UDP-glucosyltransferase 74F2)遺伝子又はそのオーソログの発現抑制から選ばれる、耐病性に寄与する遺伝子発現量変動であり、
以下の(A´)又は(B´)に従って行われることを特徴とする、植物の耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する方法。
(A´)耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい前記対象植物の植物組織を前記凍結工程に供することで、該対象植物の前記耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する。
(B´)前記対象植物とは別の植物組織を前記凍結工程に供し、該別の植物組織より得た抽出液に、耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい前記対象植物を接触させることで、該対象植物の前記耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する。
[3] [1]又は[2]に記載の方法を実施する工程を含む、べと病に対する耐性、鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性、シュードモナス・シリンガエ感染症への耐性及びさび病耐性から選ばれる1種又は2種以上の耐病性が向上した植物を製造する方法。
[4] 凍結工程を経た植物組織から水性溶媒により抽出された抽出物を有効成分として含み、
前記凍結工程における凍結時最低温度は-20℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上であり、
以下の(i)及び/又は(ii)の用途に用いられることを特徴とする、植物の耐病性向上及び/又は植物の耐病性に寄与する遺伝子発現量変動誘導用組成物。
(i)べと病に対する耐性、鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性、シュードモナス・シリンガエ感染症への耐性及びさび病耐性から選ばれる耐病性を向上するための用途。
(ii)RPPL1(Putative disease resistance RPP13-like protein 1)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、FLS2(Flagellin sensing 2)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、LRK10(Rust resistance kinase Lr10)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇及びUGT74F2遺伝子UGT74F2(UDP-glucosyltransferase 74F2)又はそのオーソログの発現抑制から選ばれる、耐病性に寄与する遺伝子発現量変動の誘導のための用途。
本発明は細菌を病原とする病害への耐性向上のために適用することができる。グラム陽性菌-グラム陰性菌、好気性菌-嫌気性菌、球菌-桿菌のいずれを病原とする病害への耐性をも向上し得る。特に本発明は鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性向上のために用いることが好ましい。
RPPは“Recognition of Peronospora Parasitica”の略であり、RPPL1はペロノスポラ・パラサイティカをはじめとするべと病等の原因となる糸状菌を認識し、その抵抗性をあたえるRPP13遺伝子と相同性の高い遺伝子である。RPPL1遺伝子は、RPP13遺伝子と同一の分子機能GO(ADP結合、ATP結合)、生物学的プロセスGO(防御反応)が付されている遺伝子であり、防御関連遺伝子として知られている(例えばJournal of Agricultural and Food Chemistry,2020,Vol.68,pp.11026-11037)。RPP13やRPPL1が有するNB-ARCドメインは、機能性ATPアーゼドメインである。変異解析の結果、NB-ARCドメインは抵抗性蛋白質の活性制御過程で重要な調節的役割を果たしていることが知られている(Journal of Experimental Botany,Volume59,Issue6,April 2008,Pages1383-1397.)。
本発明は上述した抵抗性蛋白質の活性調節機能を備えるNB-ARCドメインを有するRPPL1遺伝子の発現向上に起因して、べと病への耐性向上効果を奏する。
FLS2は細菌の鞭毛タンパク質であるPAMPであるフラジェリンを認識し、免疫反応(PTI)を誘導する。FLS2遺伝子の発現向上は、鞭毛を有する細菌に対する耐性の向上をもたらす(例えば、化学と生物Vol.50,No.5,2012,363-369やPlant Signal Behav.2008 Jun;3(6):423-426.などを参照)。
したがって、本発明はFLS2遺伝子の発現向上に起因する、鞭毛を有する細菌に対する耐性向上効果を奏する。
本発明の適用を受けた植物においては、UGT74F2の顕著な発現抑制が観察される。したがって、本発明はUGT74F2の顕著な発現抑制に起因する、シュードモナス・シリンガエへの感受性低減効果を発揮する。
一方、上述したさび病の病原であるさび菌や、シュードモナス・シリンガエ、べと病の病原菌は病徴発現温度が比較的低い。そのため、熱帯植物に凍結解凍覚醒法又は酵素法を適用し、これを冷涼地で栽培する場合には、これら病徴発現温度が比較的低い病害を受ける可能性が考えられた。
しかし、凍結解凍覚醒法、酵素液法と工程が共通する本発明の適用によって、比較的低い温度域で病徴発現する病害への耐性が付与される。そのため、凍結解凍覚醒法又は酵素液法の適用による上記の懸念は払しょくされている。
また、凍結時最低温度の下限は、好ましくは-200℃以上、より好ましくは-150℃以上、さらに好ましくは-100℃以上、さらに好ましくは-80℃以上、さらに好ましくは-70℃以上、さらに好ましくは-65℃以上である。
このように緩慢に温度降下させる場合には、凍結工程においてはプログラムフリーザーを用いることが好ましい。
なお、「凍結工程の期間」とは、植物組織に温度降下を開始した時点から、解凍工程を開始するまでの期間である。
(A)耐病性を向上させたい前記対象植物の植物組織を前記凍結工程に供することで、該対象植物の前記耐病性を向上する実施形態。
(B)前記対象植物とは別の植物組織を前記凍結工程に供し、該別の植物組織より得た抽出液に、耐病性を向上させたい前記対象植物を接触させることで、該対象植物の前記耐病性を向上する実施形態。
(A´)耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい前記対象植物の植物組織を前記凍結工程に供することで、該対象植物の前記耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する実施形態。
(B´)前記対象植物とは別の植物組織を前記凍結工程に供し、該別の植物組織より得た抽出液に、耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい前記対象植物を接触させることで、該対象植物の前記耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する実施形態。
なお、本明細書において実施形態(B)における「対象植物とは別の植物組織」とは「耐病性を向上させたい対象植物の植物組織及び耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい対象植物の植物組織とは別の植物組織」という意味である。言い換えると、凍結工程に供する植物組織は、後述の接触工程に供する植物組織とは別であるという意味である。
実施形態(B)において凍結工程に供する「対象植物とは別の植物組織」の植物種と、「耐病性を向上させたい対象植物」及び「耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい対象植物」は同種であっても異種であってもよい。
選抜工程の具体的な態様は、生きている植物組織を選抜することができれば制限されない。
生きている植物組織は微生物の分解などを受けることなく有形の状態を維持する。一方で、死んでいる植物組織は微生物による分解などを受け、軟化又は液状化する。そのため、発酵処理後には、生きている植物組織と死んでいる植物組織を容易に選別することができる。
この場合、放置する環境の温度の下限は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。上限は、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。
上述のとおり、発酵処理を経た後、死んでいる植物組織は微生物により分解され、軟化又は液状化する。そのため発酵処理を経た植物組織を洗浄することにより、死んでいる植物組織を容易に流し去り、除去することができる。洗浄としては水洗が好ましく例示できる。
より好ましくは、糖類又は糖アルコールとしては、スクラロース及びトレハロースを1種又は2種を組み合わせて含む抽剤を用いる。
また、上記糖類又は糖アルコールを含まない抽剤を用いる場合には、抽出工程後に得られた抽出液に上記糖類又は糖アルコールを添加してもよい。
すりつぶし処理は、ミキサー、ボールミルなどの破砕機を用いてもよいが、すり鉢を用いてすりつぶすことにより破砕するのが好ましく例示できる。
抽出工程後、抽出液を濾過して植物組織の残渣を除去する工程を設けてもよい。
上限も特に限定されず、植物組織1質量部に対して、抽剤の量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
この場合には、破砕処理そのものが抽出工程を構成することとなる。
また、上述したように、破砕処理により、植物組織に含まれる成分が溶解ないし分散した液体やペーストが得られる場合には、当該液体やペーストも「抽出液」に含まれる。
(B-1)凍結工程を経た植物組織より得た抽出液に、耐病性を向上させたい対象植物の植物組織を浸漬させる実施形態
(B-2)凍結工程を経た植物組織より得た抽出液を、耐病性を向上させたい対象植物に散布する実施形態
以下、それぞれの実施形態について説明する。
このような種子としては、大麦、小麦、大豆、稲などの穀物の種子が、本発明を適用する種子の好ましい例として挙げられる。
希釈倍率の上限は特に限定されないが、好ましくは100000倍以下、より好ましくは50000倍以下、さらに好ましくは20000倍以下、さらに好ましくは10000倍以下を目安とすることができる。
この場合の希釈倍率の上限は特に限定されないが、好ましくは100000倍以下、より好ましくは50000倍以下、さらに好ましくは20000倍以下、さらに好ましくは10000倍以下を目安とすることができる。
より好ましくは、糖類又は糖アルコールとしては、スクラロース及びトレハロースを1種又は2種を組み合わせて含む液体を希釈のために用いる。
抽出液1リットル当たりに浸漬する植物組織の重量の上限は特に制限は無いが、好ましくは3kg以下、より好ましくは2.5kg以下とすることが好ましい。
栽培の方法は特に限定されない。浸漬工程に供した植物組織が植物の種子である場合には、これを常法に従い播種し、植物個体を発生させ、常法に従い栽培することができる。
植物の地上部に抽出液を散布する場合、土壌にも同時に散布してもよい。地上部への散布と共に土壌にも抽出液を散布することで、植物が根からも抽出液を吸収することができ、抽出液の有する特性増強の効果がより発揮される。
希釈倍率の上限は特に限定されないが、好ましくは1000000倍以下、より好ましくは500000倍以下、さらに好ましくは250000倍以下、さらに好ましくは125000倍以下、さらに好ましくは50000倍以下、さらに好ましくは25000倍以下を目安とすることができる。
この場合の希釈倍率の上限は特に限定されないが、好ましくは1000000倍以下、より好ましくは500000倍以下、さらに好ましくは250000倍以下、さらに好ましくは125000倍以下、さらに好ましくは50000倍以下、さらに好ましくは25000倍以下を目安とすることができる。
また、植物の作付面積1m2あたり好ましくは1000リットル以下、より好ましくは100リットル以下、さらに好ましくは10リットル以下の抽出液を散布することができる。
また、上述した実施形態(B-1)と実施形態(B-2)が組み合わさった実施形態(浸漬工程と散布工程を両方備える実施の形態)としてもよい。
パパイアの種子をトレハロース水溶液に浸漬した状態で、プログラムフリーザー内に静置し凍結した。凍結は0.5℃/日の温度降下速度で180日間かけて緩慢に行い、凍結時最低温度が-60℃となるように行った。凍結したパパイアの種子を流水ですすぐことにより解凍し、これを播種し栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
パパイアにおいては、パパイア軸腐病(病原:Botryodiplodia theobromae、Phomopsis sp.、Colletotrichum gloeosporioides、Fusarium solani、Ascochyta caricae)、パパイア黒腐病(病原:Erwinia sp.)、軟腐病(病原:Phytophthora nicotianae Breda de Haan)、パパイア褐斑病(病原:Corynespora cassiicola)などの病害が発生することが知られている。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のパパイアにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする上述した病害の発生が一定割合観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、これら病害やべと病、さび病、シュードモナス・シリンガエ感染症などが一切発生しなかった。
パイナップルの種子を試験例A1と同様の方法により凍結解凍処理し、これを播種し栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のパイナップルにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする上述した病害の発生が一定割合観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、これら病害やべと病、さび病、シュードモナス・シリンガエ感染症などが一切発生しなかった。
バナナの子株の根を輪切りにし、これを試験例A1と同様の方法により凍結解凍した。凍結解凍後の子株の根を細断し、この断片化した生長細胞塊を培地上で培養し発芽させた。ある程度成長した苗を土壌に移し栽培を行った。なお、栽培は日本の岡山県で行った。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のバナナにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする上述した病害の発生が一定割合観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、これら病害やべと病、さび病、シュードモナス・シリンガエ感染症などが一切発生しなかった。
バナナの株元から生えたわき芽を切り取り、葉と根を切り落とし、タケノコ状に加工した。これを試験例A1と同様の方法により凍結解凍した。解凍後のわき芽を鉢に植えた。その後、茎は腐り消失したが、新芽が発芽することを確認した。この新芽を栽培した。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のバナナにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定割合観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、これら病害やべと病、さび病、シュードモナス・シリンガエ感染症などが一切発生しなかった。
コーヒーは生育が非常に難しい植物であるといわれる。雨量、日照量、温度、土質の四つの条件全てが適切な状態でなければ成長しない上に、成木し実をつけるまでに3年程度の期間を必要とする。アラビカ種はさび病に弱く、セイロン(スリランカ)、インドネシアなどで栽培されていたアラビカ種が全滅したことが知られている。中でも、ティピカ種はアラビカ種の中でも最も古い品種で、収穫量が少なく耐病性も低いため、数あるコーヒー種の中でも特に生育が難しい品種である。また、コーヒー全体の0.01%と流通量が極めて低い。
本試験例では、試験例A1と同様の手順によりティピカ種コーヒーの種子に凍結解凍処理を行い、これを岡山県において播種し栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
なお本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のティピカ種コーヒーにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする上述した病害の発生が相当の割合で観察された。
下に列挙する植物の種子を試験例A1と同様の方法により凍結解凍処理し、処理後の植物組織から植物個体を発生させ栽培した。何れの植物種の栽培においても農薬を一切使用しなかったが病害の発生は見られなかった。
羅漢果、グアバ、スターフルーツ、いちじく、カカオ、セイロンシナモン、パッションフルーツ、ライチ、マンゴスチン、ブラックサポテ、ホワイトサポテ、棘葉シュガーアップル、デーツ椰子、レッドドラゴンフルーツ、アーモンド、青首大根
なお本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の上記植物種においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。
市販のパパイアの種子をトレハロース水溶液に浸漬した状態で、プログラムフリーザー内に静置し凍結した。凍結は0.5℃/日の温度降下速度で180日間かけて緩慢に行い、凍結時最低温度が-60℃となるように行った。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の小麦においては、細菌及び糸状菌を病原とする上述の病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、これら病害やべと病、シュードモナス・シリンガエ感染症などが一切発生しなかった。
試験例B1と同様の手順により、パパイア種子の抽出液に浸漬した小麦の種子を得た。これを宮崎県宮崎市内の農場に播種して栽培を行った。本試験例においても、抗菌性農薬を含むいずれの農薬を用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の小麦においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
抽出液の調製にパパイアの種子に代えて小麦の種子を使用した以外は、試験例B1と同様の手順で試験を行った。つまり、凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製し、その抽出液に小麦の種子を浸漬し、この種子を畑に播種して栽培を行った。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の小麦においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例B1と同様の方法によりトウモロコシの種子を当該抽出液に浸漬した。このトウモロコシの種子を中国の海南省(海南基地)において栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の小トウモロコシにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、上述の病害を含むいずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例B1と同様の方法により大豆の種子を当該抽出液に浸漬した。この大豆の種子を中国において栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の大豆においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例B1と同様の方法により小麦の種子を当該抽出液に浸漬した。この小麦の種子を中国において栽培した。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の小麦においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B1と同様の方法によりパパイアの種子から抽出液を調製し、試験例B1と同様の方法により小麦の種子を当該抽出液に浸漬した。この小麦の種子をロシアの永久凍土に播種し栽培した。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の小麦においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
小麦の種子をトレハロース水溶液に浸漬した状態で、プログラムフリーザー内に静置し凍結した。凍結は0.5℃/日の温度降下速度で180日間かけて緩慢に行い、凍結時最低温度が-60℃となるように行った。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の人参においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B8と同様の手順により小麦の種子の抽出液を得た。希釈された抽出液に朝鮮人参の根を浸漬し、72時間置いた。この浸漬工程を経た根を岡山県の土壌に植え、栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の朝鮮人参においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
以下に列挙する植物の種子を試験例B1と同様の方法により、パパイアの種子から抽出した抽出液で処理し、播種して栽培した。なお、栽培は日本の岡山県で行った。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
コーヒー、チリヘーゼルナッツ、ゴールデンエッグフルーツ、バナナ、ドワーフココナッツ、カカオ、ライチ、パームヤシ、山椒、ドリアン、カシューナッツ、キャロブ、ポポーマンゴー、アカシア、ヒノキ、パイナップル、グアバ、アサイー、デーツ、バクパリ、ダニエリ
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製した。この抽出液を定植後2週間のネギに1株当たり約50ml、5日毎に散布して栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のネギにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製した。この抽出液を稲苗に散布して栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の稲においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製した。この抽出液を広島県呉市で土壌栽培している空豆に散布して栽培した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の空豆においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製した。この抽出液をプランターで栽培しているキャベツに散布した。栽培にあたっては細菌及び真菌に対する抗菌性農薬を含むいずれの農薬も用いなかった。
本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例のキャベツにおいては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。一方、本発明を適用した本試験例においては、抗菌性農薬を用いなかったにも関わらず、いずれの病害も一切発生しなかった。
試験例B3と同様の方法により小麦の種子から抽出し、この抽出液を散布しながらトマト、ピーマン、小麦、アサガオ及びスイカを栽培した。その結果、何れの植物においても病害の発生が観察されなかった。なお、本発明を適用しなかったこと以外は同条件で栽培した比較例の上記植物においては、細菌及び糸状菌を病原とする病害の発生が一定の割合で観察された。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製した。広島県呉市倉橋町においてこの抽出液を散布してネギを栽培した。比較例として抽出液の散布を行わないこと以外は同条件にてネギを栽培した。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製し、この抽出液を散布してネギを栽培した。抽出液の散布を行わないこと以外は同条件にて比較例のネギを栽培した。収穫時期を迎えたネギについて、赤さび病、白さび病の発病率を集計し、実施例における赤さび病及び白さび病の発生の低減率を算出した。その結果、実施例のネギにおける赤さび病及び白さび病の低減率は100%であった。
栽培過程において、実施例のネギにおいても赤さび病及び白さび病の病徴が観察される葉及び茎が若干発生した。しかし、これを除去することでそれ以上の感染拡大は起こらず、上述の収穫時期における病害発生の低減率100%を達成した。なお、比較例のネギにおいては、栽培過程において上記病徴の観察された葉及び茎を除去しても感染拡大を食い止めることができず、収穫時期において出荷できる状態のネギは得られなかった。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製した。切り分けたジャガイモの種芋をこの抽出液に浸漬し、2月下旬に広島県呉市倉橋町の畑に植えた。抽出液への浸漬を行わないこと以外は同条件にて比較例のジャガイモを栽培した。
試験例B3と同様の方法で凍結工程を経た小麦の種子から抽出液を調製し、この抽出液を散布して春菊を栽培した。抽出液の散布を行わないこと以外は同条件にて比較例の春菊を栽培した。収穫時期を迎えた春菊について、べと病の発病率を集計し、実施例におけるべと病の発生の低減率を算出した。その結果、実施例の春菊におけるべと病の低減率は100%であった。
以上の通り、本発明の耐病性向上方法(実施形態(A)及び実施形態(B))の適用により、植物種によらず細菌及び真菌を病原とする病害耐性を含む耐病性の向上効果が得られることが実証された。
以下、栽培実験の結果を分子生物学的に分析するために実施した遺伝子発現解析試験について説明する。
本発明による処理を受けた試験例A1の実施例のパパイア、試験例A5の実施例のコーヒー、試験例A6の実施例の青首大根そして試験例B1の実施例の小麦と、本発明の処理を行わずに実施例と同一栽培条件で栽培したそれぞれの植物(比較例)から、葉を採取した。採取した葉からTotal RNAを抽出しRNA-seq解析を行った。
アセンブルにより得られた転写産物の配列にBLAST解析を行い、類似性の高い遺伝子を抽出した。次に、実施例と比較例で遺伝子あたりのFragments Per Kilobase of exon per Million mapped fragments Value(FPKM値)に2倍以上の差があった発現変動遺伝子(differentially expressed gene, DEG)を抽出した。最終的に重複している遺伝子を取り除き、遺伝子発現差異を確認した。
遺伝子発現量解析によって、本発明の適用を受けたいずれの植物においても耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動が観察された。具体的には、ペロノスポラ・パラサイティカをはじめとする糸状菌を認識し、べと病への耐性を付与するRPPL1遺伝子の顕著な発現量増加、鞭毛タンパク質であるフラジェリンを認識し免疫応答を誘導するFLS2遺伝子の顕著な発現量増加、シュードモナス・シリンガエに対する感受性に関与するUGT74F2遺伝子の顕著な発現量減少、そして、さび病への耐性をもたらすLRK10遺伝子の顕著な発現量増加が観察された。
遺伝子発現量解析の結果は、試験例A1~A6及び試験例B1~B20の栽培実験において観察された優れた耐病性向上効果を分子生物学的観点から裏付けるものである。
凍結解凍覚醒法と酵素液法の共通点は凍結工程であることを考慮すると、凍結工程を引き金として、エピジェネティックな変化とそれに起因する特性増強を惹起する、何らかの特定因子が生じることが合理的に導き出される。凍結解凍覚醒法においては、凍結工程を経ることで生じた前記特定因子が、植物細胞に作用することで、エピジェネティックな変化を誘起していると考えられる。一方で、酵素液法においては、凍結工程を経ることで生じた前記特定因子が抽出液に含まれており、当該抽出液に浸漬された植物組織を構成する細胞にこの特定因子が作用することで、凍結解凍覚醒法と同様のエピジェネティックな変化を植物細胞にもたらしているものと理解できる。
また、特性を増強したい対象の植物組織に「植物の特性増強の因子」が直接的又は間接的に作用する「作用点」が存在していなければ、当該対象の植物組織の特性増強を惹起することができないのは自明である。「作用点」としては、細胞膜上、細胞質内又は核内に存在するレセプターや、遺伝子発現を制御するシグナル伝達経路に関与するタンパク質や、転写因子などが考えられる。
この点、試験例A1~A6によって、何れの植物組織を凍結した場合であっても同様の特性増強効果が得られたことが実証されている。このことから、全ての植物組織において「植物の特性増強の因子」が作用する「作用点」が存在することが理解できる。
以上説明した試験例A1~A6の結果と技術常識から理解できる事項を踏まえて、凍結解凍覚醒法と酵素液法が植物組織の特性増強効果を発揮するメカニズムを説明する。
その後、凍結工程を経た植物組織から抽出液を得る抽出工程が行われるが、凍結工程を経た植物組織には「植物の特性増強の因子」が含まれるため、抽出液にも「植物の特性増強の因子」が当然に含まれる。この抽出液に植物組織を接触させれば、植物組織を構成する細胞に「植物の特性増強の因子」が作用することで、凍結解凍覚醒法と同様のエピジェネティックな変化が植物細胞にもたらされるものと理解することができる。
したがって、実施形態(B)においては凍結工程に供する植物組織の種類に限定はなく、また接触工程に供する植物組織の種類にも限定は無いことが当然に理解できる。
Claims (4)
- 植物組織を凍結する凍結工程を含む、対象植物の耐病性を向上する方法であって、
前記凍結工程における凍結時最低温度は-50℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上であり、
前記耐病性が、べと病に対する耐性、鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性、シュードモナス・シリンガエ感染症への耐性及びさび病耐性から選ばれる1種又は2種以上の耐病性であり、
以下の(A)又は(B)に従って行われ、
前記凍結工程に供する前記植物組織は植物の種子、根及び芽から選ばれることを特徴とする、植物の耐病性の向上方法。
(A)耐病性を向上させたい前記対象植物の植物組織を前記凍結工程に供することで、該対象植物の前記耐病性を向上する。
(B)前記対象植物とは別の植物組織を前記凍結工程に供し、該別の植物組織より得た抽出液に、耐病性を向上させたい前記対象植物を接触させることで、該対象植物の前記耐病性を向上する。 - 植物組織を凍結する凍結工程を含む、対象植物における耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する方法であって、
前記凍結工程における凍結時最低温度は-50℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上であり、
前記対象植物における耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動が、RPPL1(Putative disease resistance RPP13-like protein 1)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、FLS2(Flagellin sensing 2)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、LRK10(Rust resistance kinase Lr10)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇及びUGT74F2(UDP-glucosyltransferase 74F2)遺伝子又はそのオーソログの発現抑制から選ばれる、耐病性に寄与する遺伝子発現量変動であり、
以下の(A´)又は(B´)に従って行われ、
前記凍結工程に供する前記植物組織は植物の種子、根及び芽から選ばれることを特徴とする、植物の耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する方法。
(A´)耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい前記対象植物の植物組織を前記凍結工程に供することで、該対象植物の前記耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する。
(B´)前記対象植物とは別の植物組織を前記凍結工程に供し、該別の植物組織より得た抽出液に、耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導させたい前記対象植物を接触させることで、該対象植物の前記耐病性の向上に寄与する遺伝子発現量変動を誘導する。 - 請求項1又は2に記載の方法を実施する工程を含む、べと病に対する耐性、鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性、シュードモナス・シリンガエ感染症への耐性及びさび病耐性から選ばれる1種又は2種以上の耐病性が向上した植物を製造する方法。
- 凍結工程を経た植物の種子、根及び芽から選ばれる植物組織から水性溶媒により抽出された抽出物を有効成分として含み、
前記凍結工程における凍結時最低温度は-50℃以下であり、前記凍結工程における温度降下の速度は0.8℃/日以下であり、前記凍結工程の期間は100日以上であり、
以下の(i)及び/又は(ii)の用途に用いられることを特徴とする、植物の耐病性向上及び/又は植物の耐病性に寄与する遺伝子発現量変動誘導用組成物。
(i)べと病に対する耐性、鞭毛を有する細菌を病原とする病害への耐性、シュードモナス・シリンガエ感染症への耐性及びさび病耐性から選ばれる耐病性を向上するための用途。
(ii)RPPL1(Putative disease resistance RPP13-like protein 1)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、FLS2(Flagellin sensing 2)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇、LRK10(Rust resistance kinase Lr10)遺伝子又はそのオーソログの発現上昇及びUGT74F2(UDP-glucosyltransferase 74F2)遺伝子又はそのオーソログの発現抑制から選ばれる、耐病性に寄与する遺伝子発現量変動の誘導のための用途。
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