JP6862749B2 - 光学用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は光学用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合あり)に用いるバックライトの光学シートとして使用されるマイクロレンズシート、プリズムシートの基材に用いられるポリエステルフィルムであって、高い輝度を実現できる光学的性能に優れた光学用ポリエステルフィルムに関する。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
ポリエステルフィルムは、近年、特に各種光学用フィルムに多く使用され、LCDの部材のプリズムシート、光拡散シート、複合シート等の各種用途に用いられている。(特許文献1)これらの光学製品において、明るく鮮明な画像を得るために、光学用フィルムとして用いられるベースフィルムはその使用形態から透明性が良好であることが必要だが、近年は特に画像の高精細化に伴い、バックライトユニットとして高輝度化を要求されるようになってきた。
LCDの輝度向上には、光源であるLEDの数を増やす方法、素子を大きくする方法があるが、ディスプレイ本体のコストアップにつながることと、消費電力が増えることでバックライトユニットにかかる熱が増え、フィルムのカール、たわみなどの不具合につながる。一方でバックライトユニットとしての輝度向上として、プリズムシートの使用枚数を増やすこと、屈折率が高いプリズムレジンを使用することや、プリズム層を厚くすることで、バックライトユニットの輝度の向上は期待できるが、いずれもコストアップにつながり、コスト面で課題が残る。
特開2010−256481号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高い透明性および輝度を有する二軸延伸ポリエステルフィルムであり、特にLCD用バックライトのプリズムシートとして用いる際に、低コストで高透明かつ高輝度と優れた光学特性を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、フィルムヘーズが3.0%以下であり、全光線透過率が90%以上であり、マイクロ波方式分子配向計で測定したMOR−C値が4.5以上であることを特徴とする光学用二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
マイクロ波方式分子配向計で測定したMOR−C値が特定の範囲内とすることにより、二軸延伸ポリエステルフィルムに高い透明性および輝度を持たせ、特にLCD用バックライトのプリズムシートとして用いる際に、低コストで優れた光学特性を有するポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の積層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の1種または2種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の1種または2種以上が挙げられる。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えば、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等が挙げられる。その中でも、チタン化合物やゲルマニウム化合物は触媒活性が高く、少量で重合を行うことが可能であり、フィルム中に残留する金属量が少ないことから、フィルムの輝度が高くなるので好ましい。さらに、ゲルマニウム化合物は高価であることから、チタン化合物を用いることがより好ましい。
本発明で用いるポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合して得られた原料を用いれば、原料中に含まれるオリゴマー量が低減できるので好ましく使用される。得られるポリエステルの極限粘度は0.40dL/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dL/gであることが好ましい。
ポリエステル原料中に含有するオリゴマーの熱処理後の析出量を抑えるために、オリゴマー含有量が少ないポリエステルを原料としてフィルムを製造することが挙げられる。オリゴマー含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えば、ポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。また、オリゴマー含有量の少ないポリエステルを最外層に来るように、共押出積層した構造を有するフィルムとすることによって、オリゴマー析出の抑制効果を高度に発揮できる。
かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルを含む層の厚みは、通常1〜20μmであり、好ましくは3〜15μmである。該層厚みが1μm未満である場合、隣接する層からのオリゴマーが、オリゴマー含有量の少ない層を通り越してフィルム表面に析出して、輝点が異物として検知され、輝度の低下を起こし問題となる場合がある。また、該層厚みが20μmを超える場合、フィルムがカールしやすくなる傾向にあり、更にオリゴマー含有量の少ないポリエステルや、粒子を含むポリエステルの使用量の割合が増え、コスト高にもなる。
本発明のポリエステルフィルム中にはフィルムの耐候性の向上、液晶などの劣化防止のために、紫外線吸収剤を含有させることも可能である。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する化合物で、ポリエステルフィルムの製造工程で付加される熱に耐えうるものなら特に限定されない。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤があるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などが挙げられる。耐久性の観点からは環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系がより好ましい。また、紫外線吸収剤を2種類以上併用して用いることも可能である。
本発明のポリエステルフィルムには、フィルムへの傷付き防止性、マスターロールから製品をスリットする際の巻き特性などの面から、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステルの製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。ポリエステルフィルムが積層構成である場合は、表層に粒子を配合することが好ましい。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常5μm以下、好ましくは0.01〜3μmの範囲である。5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、凹凸が発生する事で、バックライトユニット用のプリズム加工などにおいて、加工適正が悪くなる場合がある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、通常5重量%以下、好ましくは0.0003〜3重量%の範囲である。粒子が無い場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなるが、滑り性が不十分となる場合があるため、塗布層中に粒子を入れることにより、滑り性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。また、粒子含有量が5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのがよい。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の粒子や紫外線吸収剤以外に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは25〜250μmの範囲である。
本発明のポリエステルフィルムのヘーズは3%以下であることが重要である。好ましくは2%以下、更に好ましくは0%以上或いは1.5%以下である。ヘーズが3%を超えると、透明性が落ち、輝度の低下につながり、光学用途には適さない。
本発明のポリエステルフィルムの全光線透過率は90%以上であることが重要である。好ましくは91%以上で、更に好ましくは92%以上或いは100%以下である。全光線透過率が90%未満では、輝度が減少して光学用途としては適さない。
本発明のポリエステルフィルムについて、マイクロ波方式分子配向計で測定したMOR−C値が4.5以上であることが重要である。より好ましくは5.0以上である。MOR−C値が4.5未満であると、フィルムの厚みフレが大きくなり加工に適さない。更に輝度も下がるため光学用途として適さない。一方、上限としては特に限定されないが、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
次に本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。まず、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により長手方向(縦方向(MD))に延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.0〜7.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍である。次いで、一段目の延伸方向に対して直交する方向(横方向(TD))に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
本発明のフィルムを得るために、フィルムの長手方向(縦方向(MD))の延伸倍率と長手方向に対して直交する方向(横方向(TD))の延伸倍率との比(MD/TD)は、0.25〜0.70であることが好ましい。より好ましくは0.30〜0.65、更に好ましくは0.35〜0.60である。前記MD/TDが上記範囲を満たすことによって、十分なMOR−C値を満たすことができ、光学用途として好ましいフィルムとなる。
本発明のフィルムは、LCD用バックライトの光学シートとして使用されるプリズム、マイクロレンズの各シートに用いるため、プリズム、マイクロレンズのレジンなどの無溶剤系紫外線硬化型樹脂との密着性を向上する事を目的として、フィルム表面に下引き層としての塗布層を設けることが好ましい。また、その反対面側のフィルム表面にも密着性の向上、全光線透過率を向上させるために同じく下引き層として塗布層を設けることが好ましい。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、またコーティング後に延伸を行うために、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングフィルムに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に塗布層を設けることにより、塗布層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより塗布層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦方向および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、塗布層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な塗布層とすることができ、塗布層上に形成され得る各種の機能層との密着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
本発明のフィルムにおける塗布層には、プリズムシート、マイクロレンズシートとの密着性を向上させる目的で、バインダー樹脂を使用することが好ましい。バインダー樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
これらのバインダー樹脂の中でも、より密着性を向上させる観点から、アクリル樹脂またはポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。
本発明のフィルムにおける塗布層の形成に使用されうるアクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体、いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。また、密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能である。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
中でも密着性向上の観点から、ガラス転移温度が好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下のアクリル樹脂が好ましい。またブロッキング悪化の観点から、ガラス転移温度の好ましい下限は−30℃以上である。
本発明のフィルムにおける塗布層の形成に使用されうるポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことであり、通常ポリオールとイソシアネートの反応により作成される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。密着性向上の観点から、ポリカーボネートポリオール類またはポリエステルポリオール類が好ましく、ポリカーボネートポリオール類がより好ましい。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート類としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても複数種併用してもよく、これらのポリイソシアネート化合物は2量体やイソシアヌル環に代表されるような3量体、あるいはそれ以上の重合体であってもよい。また、上記イソシアネートの中でも、活性エネルギー線硬化性塗料との密着性の向上、および紫外線による黄変防止の点から、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
ポリウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用しても良く、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個以上有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個以上有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個以上有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロビリチンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
本発明のフィルムにおける塗布層の形成に使用されうるポリウレタン樹脂は、有機溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ポリウレタン樹脂を水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ポリウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ポリウレタン樹脂の骨格中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性、密着性に優れており好ましい。
また、導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。ポリウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ポリウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。かかるポリウレタン樹脂は、塗布液の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、得られる塗布層の耐久性、耐水性、耐ブロッキング性等を更に改善することが可能となる。
本発明のフィルムにおける塗布層には、塗布層とプリズム層、マイクロレンズ層の密着性の向上や、塗膜を強固にするために、架橋剤を併用してもよい。架橋剤としては、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、カルボジイミド化合物を使用することが好ましい。これらの中でも密着性の向上の観点から、オキサゾリン化合物またはイソシアネート化合物の少なくとも1種を使用することがより好ましい。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5〜10mmol/g、より好ましくは1〜9mmol/g、さらに好ましくは3〜8mmol/g、特に好ましくは4〜6mmol/gの範囲である。
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。密着性向上の観点から、ポリエーテル系のエポキシ化合物が好ましい。また、エポキシ基の量としては、2官能より、3官能以上の多官能であるポリエポキシ化合物が好ましい。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
さらに本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
かかる架橋成分を含有する場合、同時に架橋を促進するための成分、例えば架橋触媒などを併用することができる。
本発明のフィルムにおける塗布層に用いられる架橋剤は、乾燥過程や製膜過程において、反応させて塗布層の性能を向上させる設計で用いている。できあがった塗布層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
本発明のフィルムにおける塗布層には、滑り性やブロッキングの改良のため、塗布層の構成成分として、粒子を併用することも可能である。
粒子を併用する場合、その平均粒径は、フィルムの透明性の観点から好ましくは1.0μm以下の範囲であり、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下の範囲である。粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等が挙げられる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等が含有されてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上併用してもよい。
本発明のフィルムにおける塗布層の厚みは、通常0.002〜1.0μm、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.2μm、特に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲である。厚みが上記範囲を下回る場合は密着性が不十分となることがあり、上記範囲を超える場合には、ブロッキングの悪化やヘーズの上昇等の弊害の発生する懸念がある。
本発明のフィルムにおいて、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明のフィルムにおいて、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次の通りである。
(1)ポリエステルの極限粘度(dL/g)の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)フィルムのヘーズ、全光線透過率の測定
全光線透過率はJIS K7361、ヘーズはJIS K7136に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH2000」により、全光線透過率、ヘーズを測定した。
(3)マイクロ波分子配向計によるMOR―C値の測定
王子計測器株式会社製のマイクロ波方式分子配向計を用いてMOR―C値を測定した。
(4)ポリエステルフィルムの輝度評価
プリズムシートとして使用した場合の光学特性を評価した。
すなわちフィルムの塗布層A面側に、下記要領にて、プリズム層を形成し、プリズムシートを得た。得られたプリズムシートをプリズムシートの中心が、バックライトの対角線中心と重なるようにバックライトユニット(松下電器産業社製液晶テレビ VIERA TH−LX80(32インチ)に搭載されていたバックライトユニットを使用:(構成)反射板/CCFL/拡散板/光拡散シート)上に配置し、輝度測定を実施した。輝度測定にはコニカミノルタセンシング社製CS-200を用いて測定角1°、サンプルと輝度計の距離を500mmとし輝度値(cd/m)を測定し、基準サンプルと比較した。
基準サンプルは、比較例1のフィルムに下記と同様のプリズム層を形成したプリズムシートを用いた。基準サンプルの輝度値を100.0%として、実施例、比較例の輝度値を相対値として算出した。
<プリズムシートの製造>
試料フィルムの塗布層A1面上に、紫外線硬化型樹脂(Microsharp社製、MCL555、屈折率=1.58)を塗布し、その塗布面にプリズムシート形状を有する型版を重ね合わせ、メタルハライドランプを用いて、積算光量換算で400mJ/cmの紫外線照射を行い、下記形状を有するプリズムシートを得た。
・断面の形状:頂角90°、底角45°の二等辺三角形
・高さ: 25μm
・頂角と頂角との間隔:50μm
以下に使用したポリエステル原料の内容について説明する。
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.03重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度が0.68dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(a)の極限粘度は0.63dL/gであった。
<ポリエステル(b)の製造法>
ポリエステル(a)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂の極限粘度が0.82dL/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)の極限粘度は0.82dL/gであった。
<ポリエステル(c)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、平均粒子径2.1μmのシリカ粒子をポリエステルに対する含有量が0.3重量%となるように添加する以外は同様にして製造し、ポリエステル(c)を得た。得られたポリエステル(c)の極限粘度は0.63dL/gであった。
・塗布層(A1)組成
塗布層(A1)を構成する化合物例は以下のとおりである。
下記(I)、(II)、(III)、(IV)の化合物を各々、60/18/18/4の重量比で混合した混合物である。
(I):1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートからなる数平均分子量が2000のポリカーボネートポリオール/メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)/ジメチロールプロパン酸=45/50/5(mol%)から形成されるポリカーボネートポリウレタン樹脂の水分散体
(II):オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー(「エポクロス」、日本触媒社製、オキサゾリン基量=4.5mmol/g)
(III):水溶性ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
(IV):平均粒径0.07μmのシリカゾル
・塗布層(B1)組成
塗布層(B1)を構成する化合物例は以下のとおりである。
下記(V)、(VI)、(VII)の化合物を各々、80/16/4の重量比で混合した混合物である。
(V):エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合アクリル樹脂(ガラス転移点40℃、乳化剤:アニオン系界面活性剤)
(VI):水溶性ヘキサメトキシメチロール化メラミン
(VII):平均粒径0.07μmのシリカゾル
(実施例1)
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ90重量%、10重量%の割合で混合した混合原料を表層の原料とし、ポリエステル(a)100重量%を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層A/中間層/表層B=1/8/1)の層構成で共押出した後に冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に延伸した後、この縦延伸フィルムの表層A面側に、塗布液A1を塗布し、表層B面側に塗布液B1を塗布した後、テンターに導き、横方向に110℃で延伸し、230℃で熱処理を行ったのち、横方向に2%弛緩し、表層A、B面の塗布層の厚み(乾燥後)がそれぞれ0.03μm、厚みが75μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例2〜4、比較例1〜2)
実施例1において、フィルムの縦方向および横方向の延伸倍率を表1の通りとした以外は、実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3)
実施例1において、ポリエステル(c)100重量%を表層の原料とし、ポリエステル(a)100重量%を中間層の原料とした以外は、実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。
(比較例4)
実施例1において、フィルムの表層B面側に塗布液B1を塗布しない以外は、実施例1と同様に製造し、ポリエステルフィルムを得た。
上記実施例、比較例で得られた各フィルムの特性を下記表1に示す。
Figure 0006862749
本発明は光学用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、光学特性に優れた高輝度タイプのフィルムであり、LCD構成部材のプリズムシート、マイクロレンズシートに好適に使用することができ、その工業的価値は高い。

Claims (3)

  1. ヘーズが3.0%以下であり、全光線透過率が90%以上であり、マイクロ波方式分子配向計で測定したMOR−C値が6.3以上であることを特徴とする光学用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. フィルム両面に塗布層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の光学用二軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. フィルムの長手方向の延伸倍率と長手方向に対して直交する方向の延伸倍率との比(MD/TD)を0.35〜0.52として延伸することを特徴とする請求項1または2に記載の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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